第306回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)9月18日(金)15:00~

場所

オンライン会議会場
東京都千代田区霞が関3-2-1霞が関コモンゲート西館ショップ&レストラン3F
霞が関ナレッジスクエア レンタルスペース

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶紀子
  • 鎌田 耕一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

(1)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する
法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」等について(諮問)(公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 どうも皆さん、お忙しいところありがとうございます。今日はZOOMによるオンライン会議ということで、以前よりは環境が整備されているのではないかと思います。もしお聞き苦しいところがあれば、また御連絡いただければと思います。
それでは、ただいまから第306回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員、松浦委員が所用により御欠席です。また、本部会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンライン会議として開催しております。議事に先立ち、事務局の異動で田中職業安定局長、志村審議官が着任されました。今回が初めてということで、一言ずつ御挨拶をお願いします。
 
○田中局長 田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○志村審議官 志村でございます。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。
さて、本日は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、公開で審議を頂きます。議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
 
○東江補佐 では、資料1-1に基づいて説明いたします。令和2年7月14日の需給部会において、労働者派遣制度に関する議論の中間整理が取りまとめられました。そのうち、省令・指針の改正を要するものについて手当をするもので、昨日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会長宛てに諮問させていただいております。今回諮問させていただくのは、別紙1~4ということで4つあります。別紙1が令和3年1月1日施行の省令、別紙2が令和3年4月1日施行の省令、別紙3が令和3年1月1日施行の指針、別紙4が令和3年4月1日施行の指針です。具体的な内容については、資料1-2に沿って御説明申し上げます。
資料1-2の内容については、2ページに「改正内容」と書いてありますが、こちらは令和3年1月1日施行分の省令・指針の改正事項です。(1)は「派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け」です。派遣労働者を雇い入れる際、派遣元事業主のほうから派遣労働者に対し、教育訓練やキャリアコンサルティングの内容を御説明することを義務付けるものです。そういうことにより、派遣労働者が自分の希望に沿ったキャリアパスを歩むことができるよう、キャリア形成支援の充実を図るものです。
(2)は「労働者派遣契約に係る事項の電磁的記録による作成について」です。労働者派遣契約については省令上、書面に記載しておかなければならないとされておりますけれども、書面保存に係る事業者負担が大きいということで、今回、電磁的記録により作成することを認めるものです。
(3)は「派遣先における派遣労働者からの苦情の処理について」です。派遣労働者の苦情の相談先としては派遣元事業主が大半で、次いで派遣先が多いという状況にも留意し、派遣先に課されている労働関係法令上の義務、例えば労働時間管理であったり、安全衛生、ハラスメントに関する義務について派遣労働者から苦情があった場合には、派遣先において誠実かつ主体的に対応すべきということを、指針のほうに明記するというものです。
(4)は「日雇派遣について」です。具体的には当日キャンセル等の場合を想定しておりますけれども、日雇派遣において労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって、派遣契約の解除が行われた場合には、現行の指針において派遣先の関連会社での就業のあっせん等により、新たな就業機会の確保を図ることとされております。今回、新たな就業機会の確保ができない場合であっても、休業等により雇用の維持を図るとともに、休業手当等の責任を果たすべきということを指針において明確化するものです。以上が令和3年1月1日施行分の改正事項です。
3ページを御覧ください。こちらが令和3年4月1日施行分の省令・指針の改正事項です。(5)は「雇用安定措置に係る派遣労働者の希望の聴取等」です。派遣労働者の希望を踏まえた雇用安定措置が講じられることの前提として、派遣元事業主が雇用安定措置を講じるに当たっては、派遣労働者が希望する雇用安定措置の内容を聴取しなければならないとするものです。その上で聴取結果を派遣元管理台帳に記載することを義務付けることにより、実効性を担保したいと考えております。
(6)は「マージン率等のインターネットでの情報提供について」です。現行、派遣元事業主は自社の事業運営に関する情報、具体的には派遣料金の平均額、派遣労働者の平均賃金額、マージン率等々の情報について、関係者に情報提供をすることとされております。今回、マージン率を含め、こうした情報提供義務のある全ての情報について、インターネットの利用により広く関係者に提供することが適当であるということで、部会での御議論を踏まえて、今回、原則インターネットによる情報提供を義務付けることとするものです。なお、これは法令改正事項ではありませんが、インターネットの環境が整備されていないといった、特段の理由がある派遣元事業主もおられるかと思います。そうした方に対する支援として、人材サービス総合サイトの活用を検討しておりますけれども、今回の法令改正に伴い、マージン率のほかにも主な派遣先の職種やキャリア形成支援制度、福利厚生制度等を合わせて情報提供をすることにより、個々の派遣会社の運営状況を詳細に把握できるよう改修を予定しています。
以上が今回の改正内容となっております。公布日は10月上旬を予定しております。なお、省令・指針については事前にパブリックコメントを実施しており、改正内容に関してはおおむね賛成ということで、8件の御意見を頂いております。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは、ただいまの説明に対する質問、御意見がありましたら、画面下の参加者欄から「手を挙げる」を選択していただくか、画面上映るように挙手をお願したいと思います。仁平委員、どうぞお願いいたします。
 
○仁平委員 まず省令案については、中間整理の内容を適正に反映いただいており、妥当なものだと考えております。その上で、今後の労働行政に対する要望を申し上げたいと思います。今回の施行状況調査はコロナ前の調査ということですが、その中でも周知が十分でなかったり、法令遵守が徹底されていないと判明した部分については、制度の適正な運用のために改めて法の内容の周知徹底を図っていただくとともに、厳正な指導・監督をお願いしたいと思います。
次に、苦情処理について、改正派遣先指針においては、裁判例や中労委の命令だけではなく、労基法等の特令に関する条文についても明記していただいております。直接の雇用関係にないからといって、労働者からの苦情が放置されることがないように、法の内容の周知を含めて、これについても適正に指導していただきたいと思います。中間整理では引き続きの検討課題とされておりますが、派遣先の労働現場における労働問題解決の実効性を高めるためにも、派遣先事業主への団体交渉応諾義務については、労組法との関係も含めて検討すべきだと、改めて申し上げておきたいと思います。
それともう1点です。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、多くの派遣労働者が雇用不安を抱えています。厚生労働省からはこの間、派遣元・派遣先に要請を頂いていることは承知しておりますが、派遣労働者の権利がきちんと守られるように、労働者保護の取組を引き続き行っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。これは要望です。
 
○鎌田部会長 御意見として承りました。ほかにありますか。佐久間委員、どうぞお願いします。
 
○佐久間委員 今回の諮問文について異議はありません。その中で1点だけ、質問をさせていただきたいと思います。別紙2の1ページか3ページになるのですか。別紙2の第一、「情報提供の方法」です。従前は「事業所への書類の備付け」という文言が入っていたと思います。やはり公開するのはインターネットの利用が全面に出てくるということは理解できるのですけれども、それが今回の改正より、従前にあった「事業所への書類の備付け」は、「その他の適切な方法」に含まれるようになったのかというのがお伺いしたいところです。
また、そのこと関連してもう1個です。これはインターネットが前提でそれにプラスして、「その他の適切な方法」というように読んでいけばいいのですか。インターネットがなくてもその他の適切な方法であれば、例えば今までの事業所への書類の備付けということでもいいのかどうかですね。その辺の確認だけさせてください。よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 質問なので、事務局のほうから回答をお願いしたいと思います。
 
○松原課長 佐久間委員の御質問にお答えいたします。まず1つ目の御質問です。「事業所への備付け」については、当部会でも中間整理のときに御議論いただきました。原則インターネットで公開とさせていただきますけれども、中小企業を中心にインターネットにすぐに対応できない所は当然存在すると考えており、「その他の適切な方法」という所で、基本的には当面事業所の備付けも認めつつ、促していくという形で考えております。
もう1つはインターネットを原則とするということで、もちろん私どもも原則として周知等々を図っていきたいと思っております。しかし、これも繰り返しになるかもしれませんが、事業所への備付けが、すぐに駄目だと申し上げるということはしないと考えている次第です。
 
○鎌田部会長 佐久間委員、どうでしょうか。
 
○佐久間委員 理解できました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 それでは、ほかに御質問、御意見はありますか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 それでは意見、要望を述べさせていただきます。今回の省令等改正案については、これまで十数回に及ぶ議論を重ねてきた中間整理を踏まえたものであり、特段の異論はありません。ただ一方で、改正により新たに発生する義務があります。これについては派遣元事業者・派遣先に対する周知の徹底に加え、改正の趣旨・目的が適正に果たされるよう、指導とサポートも併せて行っていただきますようお願い申し上げます。
もう1点ですが、今後、今回の改正によりどのような効果が現れたか、調査・検証することも重要と考えます。引き続き現場の実態やニーズを把握しながら、派遣制度の見直しを検討することも必要と思われますので、よろしくお願い申し上げます。
 
○鎌田部会長 幾つか要望もありましたが、事務局のほうで何かコメントはありますか。
 
○松原課長 中西委員からの御要望ですが、今回の改正内容については私どもとしても、派遣元・派遣先に対して、しっかりと周知徹底を行っていくということはやっていきたいと考えております。また、中間整理でおまとめ頂いておりますけれども、今回のコロナ下での派遣労働者の状況を、きちんと検証せよという御指示を頂いております。その点も含め、しっかり検証させていただいた上で、また必要が生じましたら審議会で御審議いただくということと考えております。
 
○鎌田部会長 中西委員、よろしいですか。
 
○中西委員 はい、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○鎌田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。平田委員、どうぞお願いします。
 
○平田委員 2点の意見を申し上げます。まず1点目です。省令と指針の改正について御説明ありましたが、派遣元にとってみると、ホームページやシステムの改修に一定程度の時間を要することもあろうかと思います。必要な期間を確保できるように是非、施行日の配慮をお願いしたいと思っております。
2点目です。これまで見直し議論を行い、中間整理をしましたけれども、個別の論点について、幾つか引き続き検討することが適当とされ、課題が残っていると理解しています。経済界としては残された課題について、引き続き議論を深めていければと思っております。
 
○鎌田部会長 事務局、今の御意見にコメントはありますか。
 
○松原課長 平田委員の御意見ですけれども、施行日については審議会の中間整理において、使用者側からも御指摘がありましたことを踏まえ、今回のような案とさせていただいております。本日、これに基づいて答申を頂ければ、この内容に即して省令等改正を行っていきたいと考えております。
2点目は、先ほど中西委員にお答え申し上げた内容と重複いたしますけれども、今回の中間まとめにおいてコロナ下の状況を踏まえて検証を行うということ、若しくは短期の需給調整機能について検証を行うことという2点の宿題を頂いておりますので、こちらについても私どもとしてはしっかり検証した上で、今後の検討課題と整理されたものと共に審議会にお諮りしていきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 平田委員、よろしいですか。ほかにありますか。特にないようでしたら、当部会に諮問があった以下の4つについて、妥当と認めるかということで御意見を賜りたいと思います。長いので、議題にある4つということでいいですね。事務局、議事録に残すという趣旨から言うと、これらを全部読み上げたほうがいいですか。
 
○松原課長 本日諮問させていただいた文書のほうにありますので、この4点について、部会としての御判断を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 では、この4点について当部会としては妥当と認めることとし、その旨を職業安定分科会宛てに報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 特に異議がないようですので、このように対応したいと思います。では報告文案の表示を、画面上お願いします。
 
                         (報告文案をスクリーンに表示)
 
○鎌田部会長 画面に表示している案のとおり、職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 特に異議はないようですので、このような形で報告したいと思います。事務局から何か連絡事項はありますか。
 
○清水補佐 次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 本日、音声は非常にスムーズで良かったかと思います。スムーズな議論への御協力、ありがとうございました。議事録の署名は佐久間委員、永井委員にお願いいたします。以上をもちまして、第306回労働力需給制度部会を終了いたします。どうも皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。