薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会(2020年9月30日)

日時

令和2年9月30日(水)
15時00分~18時00分

場所

オンライン会議
事務局設置場所;AP虎ノ門 会議室B
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル)11F)

出席者

委員

五十君部会長 畝山委員 苅田委員 工藤委員
桒形委員 小坂委員 戸田委員 二村委員
吉田委員 吉成委員    

事務局

中山食品基準審査課長 田中課長補佐 出口専門官
津田主査 小玉主査  

議題

(1)審議事項
  食品中のデオキシニバレノール(DON)の規格基準の設定について
  清涼飲料水の規格基準の改正について
 1.ミネラルウォーター類の成分規格の改正
 2.清涼飲料水の製造基準の改正
(2)その他

議事

 
○田中補佐 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会を開催いたします。本日の会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、オンライン会議として実施させていただきます。皆様におかれましては、事前の接続テストなどへの御協力を誠にありがとうございました。本日は御不便をおかけすることがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。なお、傍聴については報道関係者のみ事務局設置場所にて可とし、後日、議事録を公開することとしています。
 まず、オンライン会議の開催に当たり、留意事項を御説明させていただきます。事前にお知らせしている部分が大半でございますが、会議中に回線が途切れるといったトラブルがございましたら、厚生労働省の規格基準係まで、御連絡をお願いいたします。
発言状況を把握しやすくするために、できる限りカメラ機能を「オン」にして御参加いただければ幸いです。発言いただく際以外はミュートを設定してください。発言されたい場合は、メッセージをお送りいただいて意思をお伝えいただくようにお願いいたします。そのメッセージを確認しましたら、座長又は事務局から指名させていただきます。指名された先生におかれましては、ミュートを解除し、お名前をお伝えいただいた後で御発言をお願いいたします。発言終了の際には「以上です」といったことを添えていただけると助かります。発言が終了しましたら、またミュートに戻していただくようにお願いします。また、決議の際にはメッセージで意思表示の確認をさせていただくこととしています。以上が注意事項です。
 審議に入るまでの間は、事務局から議事を進行させていただきます。はじめに委員の出席の状況です。本日は下村委員、中野委員、堀端委員から御欠席の連絡を頂いております。部会委員13名中10名の委員に御出席いただいておりますので、当部会が成立していることを御報告申し上げます。
 次に、部会委員の異動について御報告いたします。令和2年4月に部会委員の改選がございまして、お二人の先生に新たに着任いただいております。御紹介させていただきますので、後ほど一言ずつ御挨拶いただければと思います。国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部第二室室長の桒形麻樹子委員です。続けて御紹介させていただきます。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子医学・医療部門の吉田聡委員が着任されています。桒形委員、御挨拶をお願いいたします。
○桒形委員 国立医衛研の桒形です。毒性領域を担当することになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○田中補佐 ありがとうございます。続きまして、吉田聡委員、一言、お願いいたします。
○吉田委員 量子科学技術研究開発機構の吉田です。もともとは環境中の放射性物質が専門で、今回、初めてお目にかかる先生方が多いのですが、どうぞよろしくお願いします。以上です。
○田中補佐 ありがとうございました。続きまして、事務局にも異動がございましたので紹介いたします。本年1月1日付けで医薬・生活衛生局食品基準審査課課長に中山が着任していますので、一言御挨拶申し上げます。
○中山課長 本年の1月1日付けで、医薬・生活衛生局食品基準審査課課長を拝命いたしました中山と申します。一言だけ簡単に御挨拶させていただきます。本日は、委員の皆様におかれましては御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。当課では食品衛生、食品安全という分野を所管していますけれども、2年ほど前に食品衛生法の改正を行いまして、規格基準関係では、食品用の器具・容器包装のポジティブリスト化といった制度改正を行ったところです。
このほか、食品添加物や残留農薬など、食品の安定的な供給のために使用される化学物質の規格基準を策定することを行っているわけですけれども、また一方で、本部会で御審議いただくように、いわゆる汚染物質についても規格基準を策定しております。この部分というのは食品衛生の基本的な部分だろうと思います。こうしたところに対して着実にデータを集めて、規格基準を整備していくことは、食品衛生の基本的な部分として非常に重要な部分だと認識しているところです。
 先生方におかれましては、本日は食品中のデオキシニバレノールの規格基準などについて御審議いただきますけれども、今後とも御協力のほどよろしくお願いしたいと思っているところでございます。以上、簡単ですが挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中補佐 その他、事務局ですが、食品基準審査課の出口専門官、津田主査及び小玉主査、私、課長補佐の田中と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、この後、議事に入らせていただきます。以後の進行は五十君部会長にお願いいたします。五十君部会長、お願いいたします。
○五十君部会長 皆さん、こんにちは。五十君でございます。音声は聞こえていますか。もし構わないようでしたら、ビデオはオンにしていただきますと皆様の状況が分かりますので入れていただけますでしょうか。よろしくお願いします。恐らく皆さんは御自宅か職場で御参加いただいていると思いますが、無事に進行できるようにしたいと存じますので、御協力よろしくお願いいたします。それでは、本日の部会、よろしくお願いいたします。まず、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○田中補佐 資料の確認をさせていただきます。本日の部会は資料を事前に御準備いただいているかと存じますが、議事次第、委員名簿、座席表、資料1、資料2、資料3となっています。参考資料は、参考資料1、2-1~2-11、参考資料3が最後にございます。何か御不明な点がございましたらお知らせいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
○五十君部会長 資料はよろしいですか。審議に入る前に、事務局から、本日の部会の審議事項に関する利益相反の確認結果につきまして報告をお願いいたします。
○田中補佐 本日の部会におきましては、利益相反確認の対象はございませんので、退室の必要な委員、または議決に御参加いただけない委員はいないことを確認しています。以上です。
○五十君部会長 ありがとうございました。それでは、早速、議事次第に従いまして審議を進めたいと思います。審議事項、「食品中のデオキシニバレノール(DON)の規格基準の設定」に関して、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から、資料1に沿って、「食品中のデオキシニバレノール(DON)の規格基準の設定」について、説明させていただきます。この議題ですが、一度、平成29年9月の食品規格部会において審議いただいておりまして、後でまた御説明いたしますが、その際に小麦中にデオキシニバレノールの基準値として1.0 mg/kgを置くということで、その基準を置くことについて食品安全委員会に評価依頼をすることに合意いただいています。今般、昨年末に、食品安全委員会から評価結果の答申が返ってきましたので、その点を踏まえて御審議いただくというものでございます。
 資料1の1~4までは、実際には平成29年9月に開催した食品規格部会の資料と同一のものですが、改めて簡単に御説明いたします。デオキシニバレノールは、穀類、特に小麦、大麦及びトウモロコシに赤かび病と呼ばれる病気を引き起こすFusarium属のかびが産生するかび毒です。急性毒性としては嘔吐等が知られておりまして、慢性毒性としては体重の減少などが知られているところです。
 デオキシニバレノールの規格基準検討の経緯ですが、平成14年5月、国内で流通する小麦が、高濃度(最大2.2 mg/kg)のデオキシニバレノールに汚染されていた実態調査の結果を受け、食品規格部会・毒性合同部会において、デオキシニバレノールの暫定的な基準値として、1.1 mg/kgを小麦に対して設定しました。当時は国際基準がなかったのですが、JECFAが示していた暫定最大耐容1日摂取量(PMTDI)から、日本人の平均体重と小麦の平均的な摂取量を踏まえて、暫定的な基準値を1.1 mg/kgと通知しています。
 その後の動きとしまして、国内においては平成22年に、内閣府食品安全委員会が自らの判断により食品健康影響評価を行っています。これで、デオキシニバレノールについてTDIを1 μg/kg体重/日と設定しています。これはJECFAと同じ数字を設定しています。
 国際的な動向としましては、平成27年7月、Codex委員会において小麦、大麦、トウモロコシ及び穀類加工品について、国際的な基準値が設定されています。
これらのことを踏まえまして、日本において流通する小麦の汚染実態と、汚染実態を踏まえたばく露評価等の健康リスクを踏まえつつ、Codex委員会でも同様の原則を採用していますが、合理的に達成可能な範囲で、なるべく低くするというALARAの原則も踏まえつつ、安全性と実行可能性の観点から、食品中のデオキシニバレノールの規格基準を設定することについて諮問されたものです。
 資料1の2ページ、3の規制状況等ですが、我が国においては、先ほど申し上げたとおり小麦に対して1.1 mg/kgと、暫定的な基準値ではありますが通知をしています。国際的な基準値ですが、小麦、大麦及びトウモロコシといった穀類であったり、その加工品について、Codex、アメリカ、EUについてそれぞれ基準値が設定されています。アメリカについてはガイダンスが示されています。
 資料の3ページ、4ページ、4の汚染実態とばく露量推計については、一旦、後回しにさせていただき、平成29年9月の食品規格部会における審議の概要について御説明します。安全性と実行可能性の観点から検討するというところで諮問し、審議いただいたものです。安全性の観点からですが、ばく露量の推計を行っています。それが4ページのすぐ上の表になります。そのばく露量推計の結果ですが、今の小麦に対して1.1 mg/kgという暫定基準値では、1~6歳の未就学児において95%ile値、上位5%に相当する多く摂取している人では、TDIを若干超える1.1 μg/kg体重/日というばく露量が推計されています。一方で、小麦に対して1.0 mg/kgという基準値案によりますと、未就学児においてTDIと同程度の値になるということで、安全性の観点からは1.0 mg/kgとする基準値は妥当なものであろうとしています。1点、これに補足をしておきますと、これ自体は加工による減衰については考慮しておらず、若干、過大な仮定を含む推計として行っています。
 一方、実行可能性のほうですが、3ページからの実態調査の結果です。一般的に実行可能であるとする目安として、基準値案を超えるような割合が2~3%以下とされており、これに収まっていることから十分合理的に達成可能であろうということで、この基準値案について本部会で適切であると合意いただき、食品安全委員会に食品健康影響評価、食品安全委員会が過去に示したTDI等が変わっていないか等について評価を依頼することとしていました。一方で、大麦であったりトウモロコシは摂取量が少ないということ、また、デオキシニバレノールと同じかびが産生するニバレノールについてばく露量の推計を行ったところ、食品安全委員会が示したTDIの10分の1程度と十分に低い数字に収まっているということで、当時、基準値は設定しないことで合意されています。
 昨年末に答申結果が返ってきた食品健康影響評価の概要については、5ページの下からになります。6の(1)は平成22年に行ったもので、デオキシニバレノールについて1 μg/kg体重/日というTDIを設定しています。昨年末に答申結果が出た食品健康影響評価において、このTDIについては変更がなく、従前のとおり1 μg/kg体重/日というTDIが示されています。また、食品安全委員会が別にばく露評価を行っていて、この結果が6ページの真ん中の表になります。この推計については4ページ、食品規格部会で、以前、御審議いただいた推計と若干仮定が異なっていて、これについてはデオキシニバレノールと、類縁体のアセチル化体であったりグルコシド体というものを含んでいるものになります。一方で、基準値による管理を想定していないものになっていて、最大で3 mg/kg程度のデオキシニバレノールも含む推計になっています。これも同様に若干過大な仮定も含む推計になっています。その結果、1~6歳の未就学児において95%ile値で、0.94 μg/kg bw/日という推計結果になっています。一方、TDIと同程度の値にはなっているのですが、食品安全委員会からは1~6歳の集団については、喫食状況やデオキシニバレノールの汚染状況によっては、TDIを超える可能性がないとは言えないことが指摘されています。その中でいろいろな推計に当たっての不確実性があることが指摘されていて、幾つかこういったデータを集めるべきであろうということで指摘を頂いているのが、6ページの下にあります③食品安全委員会からの指摘についてという所になります。
 上から、類縁体のアセチル化体、グルコシド体の安全性に関する知見、遺伝毒性に関する知見であったり、汚染実態に関するデータという所で何点か挙げられていますが、その中で特に汚染実態に関するデータであったり、ばく露量に関するものということが指摘されている状況です。
 続きまして、7ページ、7の食品健康影響評価、昨年の食品健康影響評価を踏まえた対応案になります。案としましては、平成29年9月の食品規格部会の結論のとおり、小麦に対してデオキシニバレノールの規格基準を1.0 mg/kg以下とする案にしています。一方ですが、先ほど申し上げたとおり、食品安全委員会から汚染実態等のデータを集めるべきであろうということが指摘されていますので、その点についてはそれら指摘を踏まえつつ、継続的に汚染実態の調査を続けさせていただくことを考えています。
 基準値案についてですが、規制対象物質についてと基準値、数字についてという所で2点、小麦に対してデオキシニバレノールの基準値を1.0 mg/kg以下とするという案について理由を補足しています。食品健康影響評価の結果を踏まえますと、TDIはアセチル化体やグルコシド体を踏まえた評価となっていますので、それらを含めた基準値を検討することが妥当ではあるのですが、一方で国際的な基準値、Codex、あとはEUですけれども、これらアセチル化体等を含めたリスク評価は行われてはいますけれども、妥当性が国際的に確認された試験方法がないとか、含有実態データが国際的にもまだまだ不足していること等を理由に、規制対象としては諸外国、国際基準共にデオキシニバレノールのみが規制対象となっています。
また、データ収集が必要であろうということは指摘されていますので、これについては先ほども申し上げましたように、実態調査は継続して行うということで考えていますが、基準値としましては、現時点ではデオキシニバレノールのみを規制対象として設定することが適当であろうと考えています。
 基準値案については、平成29年に御審議いただいたとおりですけれども、食品安全委員会から示されたTDIについて変更がございませんでしたので、平成29年に審議いただいた4ページのばく露量の推計の結果、TDIを超える割合が増える、増えないといった結果の変更はございません。また、食品安全委員会においてもばく露量の推計が行われています。これらによるとTDIと同程度の値ではあるのですが、不確実性があるので低減に努める必要があることと、実態調査、情報収集等を行うことが必要であることが言及されている状況です。これらを踏まえ、対応案として、小麦に対してデオキシニバレノールの規格基準を1.0 mg/kgと置くことと、食品安全委員会からも指摘されている類縁体の実態調査等を進めることを案として考えています。
 今後の対応についてですが、この対応案について了承が得られた場合、規格基準改正のため所要の手続を進めることで考えています。事務局からの説明は以上です。
○五十君部会長 御説明、ありがとうございました。ただいま事務局から資料1「食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定について」に基づき、食品中のデオキシニバレノールの規格基準を設定する案について御説明いただきました。内容といたしましては、規格基準の案は平成29年に当部会で合意したものから変更はなく、小麦に含まれるデオキシニバレノールは1.0 mg/kg以下でなければならないとすること。それから、食品安全委員会から指摘された事項への対応として、特にアセチル化体あるいはグルコシド体の実態調査等を引き続き行う必要があるという内容であったと思います。
委員の皆様から御質問、御意見を受け付けたいと思います。メッセージボードに御意見のある方は入れていただきますと、こちらからマイクを回したいと思います。いかがでしょうか。画面が出ている方は手を挙げていただいても構いませんが、いかがでしょうか。何か御質問、御意見等がありましたらよろしくお願いします。特にございませんか。二村委員、どうぞ。
○二村委員 今回の結果、対象はこれでいいと思いますが、食品安全委員会の報告を拝見しますと、アセチル化体と配糖体の扱いについて、海外を含めて妥当性が確認された試験法がないという理由から、直ちに基準値の設定は困難と書いてあります。それ自体は理解しますが、今後の方針として、可能であれば妥当性を持った試験法を開発するとか、あるいは海外でそういったものが開発されるような動きについても、是非、視野に入れていただきたいと思いましたので、その点を申し述べたいと思います。
今後の進め方について、試験法については書いてありませんので、試験法が確立されれば規制ができるのではないかと思いましたので発言させていただきました。もし先生方から、検査法の確立の困難な点などについてコメントがあればお聞かせいただきたいと思います。以上です。
○五十君部会長 ありがとうございました。事務局に振る前に分析法について、国立医薬品食品衛生研究所の先生、こちらのデオキシニバレノールの試験法に関して何かコメント、追加等はございますか。吉成委員、もし何かコメントがありましたらお願いできますか。
○吉成委員 吉成です。3アセチルと15アセチルの分析法ですが、以前、国衛研で日本国内での分析機関と一緒にコラボ試験を行いまして、小麦における濃度の妥当性を評価いたしました。ただ、少し難しいというのがあって、3アセチルと15アチセル、アセチル基の部位だけが違いますので、HPLCでの分離がなかなか難しく、公定法となるといろいろ検討することが多いと考えています。
 一方、配糖体ですが、DONと違いまして、こちらも極性がかなり高くなっているので、DONとアセチル体2つと配糖体を一斉に抽出する方法が、まだうまくできていませんから、もし今後必要があるならば、きちんと分離でき、かつ、同時に回収できる試験法を考えないといけないというのが今の現状です。以上です。
○五十君部会長 コメント、ありがとうございました。そうしますと、現状では食品安全委員会の求める実態調査も結構厳しい状況にあるという理解で、よろしいのでしょうか。吉成先生、どうぞ。
○吉成委員 そのようなことはございません。国衛研では確立していますから、実態調査は妥当性が示された分析法で、現在、実行しています。公定法でとなると、もう少し考えないといけないなというのが現状です。
○五十君部会長 よく分かりました。ありがとうございました。それでは、事務局から何か追加コメントがございますか。
○事務局 いただいた御意見も踏まえて進めさせていただきます。
○五十君部会長 ということですが、二村委員、よろしいですか。
○二村委員 ありがとうございます。今の課題と進捗が大変よく分かりましたので、まずは実態調査をしっかりしていただくということと、引き続き、公定法として広く利用できるような分析法について、御検討いただければと思います。ありがとうございました。
○五十君部会長 そのほか、御質問、御意見等はございますか。もしあるようでしたら手を挙げるか、メッセージボードに入れていただければマイクをお回しします。よろしいですか。それでは、追加の御質問、御意見等がないようですので先にまいります。「食品中のデオキシニバレノール(DON)の規格基準の設定」については、事務局案を了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。もちろん、実態調査等は引き続き行う必要があると思いますが、方向性としてはよろしいでしょうか。
それでは、ここでメッセージボードに、了承いただけるかどうかを入力していただくのがよろしいでしょうか。工藤委員、何かありますか。大丈夫ですか。それでは、特に反対のない方はメッセージボードに「異議なし」と、入れていただけますでしょうか。「了解いたします」でも構いません。ほぼ皆さん、問題ないようです。事務局、確認できましたか。了承されたということです。御協力ありがとうございました。それでは、食品中のデオキシニバレノールにつきましては、承認されたということで次に進みたいと思います。
 次の議題にまいります。次は、「清涼飲料水の規格基準の改正について」です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 続いて、「清涼飲料水の規格基準の改正について」、本日は2つありますが、1つ目の「ミネラルウォーター類の成分規格の改正」について、資料2-1~2-3と参考資料2-2に基づいて御説明いたします。まず、資料2-1を御覧ください。1.経緯です。これまでも当部会で御議論いただいておりますが、ミネラルウォーターについては、平成14年のCodex委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定や我が国の水道法の水質基準改正の動きを受け、当部会で御審議いただき、平成15年の内閣府食品安全委員会の発足とともに諮問した化学物質について、食品健康影響評価の結果が得られたものについて、順次、御審議いただいてきたところです。
 今回は、ポリ塩化ビニルの可塑剤として使われるもので、ポリ塩化ビニル製品から滲出する等により環境汚染物質として水に含まれる可能性があるフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)について、食品安全委員会の評価が終了しましたので、こちらの基準値を御審議いただきたいと考えております。基準値案については、資料2-1の2枚目に別紙があります。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものについて、現行の基準値はなしとしているところ、0.07 mg/Lという基準値案を事務局では提案しております。
 ミネラルウォーター類の規格基準は、今御説明した殺菌又は除菌を行うものと行わないものの2分類に分かれております。そのうちの殺菌又は除菌を行うものについて、食品安全委員会から示されたTDIを基に設定する案としております。根拠については、後ほど御説明いたします。
 参考資料2-2を御覧ください。参考資料2-2は、平成22年に当部会で決定されたものです。「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」です。具体的に、基準値をどのような原則、基本方針で定めていくかをまとめたものです。フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)については、Ⅱ.ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の成分規格の設定方針が該当することになります。項目としては、この物質は健康関連項目ということで、(1)の①、②のうちの②に該当し、水質管理目標設定項目とされていて、WHOのガイドラインにおいて設定されている項目です。
 次のページの2.基準値の設定です。原則として、水質基準等の設定の考え方に準じて設定するということです。(1)健康関連項目の①が該当いたします。耐容一日摂取量の閾値が設定される物質については、TDIを超えないような評価値を算出して基準値とするということが基本方針です。使う値は、人が1日に飲用する水の量が2L、人の平均体重が50kg、水経由の暴露割合は一般的な化学物質としてTDIの10%が該当いたします。これを用いて基準値案を算出しております。
 資料2-2です。基準値算出に関する情報を記載しております。1枚目の左から2つ目に食品安全委員会の評価結果を記載しております。この物質は、妊娠期や授乳期の母動物を介したフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の暴露によって、雄児の生殖系に対する影響が比較的低用量から認められているということが結果として得られております。これを基にNOAELが3 mg/kg体重/日と評価し、次のページですが、不確実係数100を適用してTDIは0.03 mg/kg体重/日と評価されております。
 これを踏まえて、先ほどの基準値設定の考え方に基づいて、TDIに対する飲料水に由来するフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の割合を10%として、人が1日に飲用する水の量の2Lと人の平均体重である50 kgを踏まえて算出すると、0.075 mg/L以下であればTDIを超えないという試算となります。これを踏まえて下回る値として0.07 mg/Lを提案しております。
 一方、中央に水道法の水質基準等の評価結果を記載しております。数値の取扱い、寄与率10%等については今回の考え方と同じなのですが、最後の0.075の数字の丸め方をWHOのガイドラインと合わせて、切り上げて0.08 mg/Lという値にして水質管理目標値としております。右のWHOでは寄与率を低く見積っており、水道と今回の基準値案においては10%を採用しておりますが、WHOでは寄与率を1%として算出しているので1オーダー低い0.008 mg/Lという値が出されております。以上が、殺菌又は除菌を行うものについての内容です。
 一方、殺菌又は除菌を行わないミネラルウォーターについての取扱いを御説明いたします。既にあるミネラルウォーターの製造基準の中で、人為的な環境汚染物質は原水として用いてはならないという規定がありますので、実質的にはこれによって規制されることになります。コーデックスでも同じ規定があり、基準値は設定されておりません。こうしたことから、今回は基準値を設定しないという案にしております。
資料2-3にフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の汚染実態調査の結果をお示ししております。平成30年度に国内外の155銘柄を調査して、定量下限値を超えて検出された試料はなかったという結果が得られております。
 資料2-1の1ページの3.今後の対応です。この基準の案は、食品健康影響評価を踏まえてのものですので、本日御了承いただければ、パブリックコメント等の必要な手続を進めていくことを考えております。事務局からの説明は以上です。
○五十君部会長 ただいま事務局から、資料2-1~2-3、参考資料2-2に基づいて、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の基準値を設定する案につきまして説明がありました。まず、こちらから確認してまいります。内容としましては、ミネラルウォーター類の殺菌又は除菌を行うもののフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)につきまして、基準値案の0.07 mg/Lを設定するということです。委員の皆様から、御質問、御意見等がございましたらお願いします。
 御意見がある方は、メッセージボードに入れてください。いかがでしょうか。資料2-2に水道基準等では評価値として0.08 mg/Lということですが、今回の御提案は0.07 mg/Lということになりますが、この辺りについて何か確認しておかなくても大丈夫でしょうか。特に問題はありませんか。特に御質問がないようです。事務局、こちらを確認してから、次の「清涼飲料水の製造基準の改正」に進みますか。
○事務局 はい。
○五十君部会長 それでは、ただいまの基準設定に関しまして、清涼飲料水の成分規格の改正、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の基準値案の設定につきまして御了承いただけますか。御了承いただけるようでしたら、先ほどと同様に、異議なし、問題なし、了解等の御回答をメッセージに入れてください。事務局、確認できましたでしょうか。皆さん御了承いただけたということです。こちらにつきましても決定させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、続いて、清涼飲料水の成分規格の改正について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 続いて、資料3に基づき、「清涼飲料水の規格基準(製造基準)の改正」について御説明いたします。まず、1ページの1.経緯です。清涼飲料水については、御承知のとおり食品衛生法の第13条第1の規定に基づいて、食品、添加物等の規格基準に規格基準が定められております。
 このうちミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水(以下「その他の清涼飲料水」という。)にあっては、製造基準において、「容器包装に充填し、密栓若しくは密封した後殺菌するか、又は自記温度計をつけた殺菌器等で殺菌したもの若しくはろ過器等で除菌したものを自動的に容器包装に充填した後、密栓若しくは密封しなければならない。」とされており、基本的には殺菌、除菌を経て製造しなければいけない。製造基準であるため、原則、これ以外の方法により製造することは認められていないということになっています。
 一方で、HACCPの普及や規制の弾力化の観点から平成7年の法改正で総合衛生管理製造過程の承認制度(以下「承認制度」という。)が新設されました。この制度に基づけば、製造基準によらない製造方法であっても、承認された方法によって清涼飲料水を製造することができるというものでした。
 現在、この承認制度に基づいて承認を受け、殺菌した後に原材料(製造工程中に殺菌又は除菌を行わないもの)を添加する方法で製造することが認められたその他の清涼飲料水(以下「承認品」という。)が2製品あります。ただ、この承認制度自体は、平成30年の食品衛生法の改正によって廃止されております。
 法改正時の附則において、承認されてから3年間の承認の有効期間満了の日までは引き続き製造することができるという経過措置が取られているのですが、この有効期間が満了した日以降は、この承認品を製造することができないという法的な位置付けになっております。そのために、この承認品を承認の有効期間満了後も引き続き製造して販売できるようにするために、HACCPに基づく衛生管理を前提にして、既に安全性が確認されている承認品の製造方法を踏まえて、清涼飲料水に係る規格基準(製造基準)を改正することについて御審議いただきたいと考えております。
 2ページです。2.その承認品の製造方法です。通常では原材料①を殺菌して、そのまま充填、ほかの殺菌した原材料を入れる場合もありますが、そういったものを混合して充填、密封するのが製造基準によるものです。一方で、波線で枠囲みした部分については、乳酸菌や発酵乳を混合して、その後、殺菌しないものを作りたいということで製造基準に適合しないことから承認申請が行われたたということになります。
 承認品は2つあります。(1)承認品Aは、豆乳に糖類を混合して殺菌したものに発酵乳を添加して乳酸発酵させ、その後に殺菌したシロップを混合して無菌的に充填、密封するというもの、(2)承認品Bは、果汁に水、糖類、添加物、香料を混合して殺菌し、その後に乳酸菌を添加して無菌的に充填、密封して製造するもの、この2つについて、過去に承認品として認められております。
 3ページです。具体的に御審議いただきたい内容としては、その他の清涼飲料水の製造基準の改正についてです。こちらの規定を追加して製造基準を改正することについて御審議いただきたいということです。具体的には清涼飲料水のうちcに定める方法、これは殺菌又は除菌に関する方法を示したものですが、その方法に従って殺菌又は除菌したものに乳酸菌、酵母、発酵乳若しくは乳酸菌飲料を混合するものにあっては、混合以降の工程を、病原微生物により汚染されない適当な方法で管理し、自動的に容器包装に充填した後、密栓若しくは密封しなければならないという規定を盛り込み、改正することが適当かどうかということを御議論いただきたいと考えております。
 4.その他の清涼飲料水の製造基準で求められる衛生管理についてです。現行のその他の清涼飲料水の製造基準は、微生物(食中毒菌、腐敗菌)の発育に及ぼすpHの影響を考慮し、保存基準に規定されている保存温度も含めて、当該食品中で増殖する微生物を制御することを目的に設定しているものです。
 一方、先ほど御説明した承認品の2製品は、生きた乳酸菌が製品の特性に繋がるものであることから、後から添加する発酵乳又は乳酸菌(以下「発酵乳等」という。)を除く原材料を殺菌した上で、HACCPに基づく危害分析によった衛生管理や一般衛生管理により、原材料や製造工程に由来する可能性のある耐熱性細菌(クロストリジウム属菌やバチルス属菌)等の食中毒菌及び腐敗菌を制御することにより安全性を確保しているということで評価されております。
 特に1つの製品については、殺菌した原材料に発酵乳等を添加した後に乳酸発酵工程を経るものであり、殺菌後に、耐熱性細菌の芽胞が残存する可能性も想定した検証試験を行い、個別に耐熱性細菌が増殖しないような発酵条件を設定し管理しているということも評価されております。
 5.対応方針(案)です。今、御説明した4.の管理措置のように、適切にHACCPに基づく衛生管理や一般衛生管理が行われる場合においては、現行の規格基準に定めている製造基準以外の方法であっても、十分に安全性が確保できるという科学的な確認ができておりますので、そうした承認品の製造方法を踏まえ、今回、その他の清涼飲料水の製造基準を3.のとおり改正することとしたいということです。
 具体的な内容の確認として、乳酸菌、酵母、発酵乳又は乳酸菌飲料の混合工程以降が適当な方法であるかどうかということについては、従前も承認制度の中では厚生労働省で個別に審査を行い承認してきたところですが、引き続き同様の形で、あらかじめ事業者に対してHACCPに基づく衛生管理に加えて、殺菌又は除菌と同等以上の効果を有する衛生管理が行われているかどうかを示す文書の提出を求め、当省で確認した後に製造・販売を進めていただく体制を取っていきたいと考えているところです。
 6.今後の対応です。5.の対応方針(案)について了承が得られれば、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し、同委員会でも了承が得られれば、改正のための所要の手続を進めることとしたいと考えております。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十君部会長 御説明ありがとうございました。ただいま、事務局から資料3に基づき、清涼飲料水の規格基準(製造基準)を見直す案について御説明いただきました。内容としましては、これまで法律に基づき承認されていた製品、一般的にいえば総合衛生管理製造過程承認制度によって承認されていた製品を、今後も製造できるよう、承認品の製造方法を踏まえて製造基準を改正することです。
 実際の運用においては、これまでと同様に、個別の内容を確認するということですが、委員の皆様からただいまの御提案につきまして御質問、御意見等がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。戸田委員どうぞ。マイクをオンにしてお願いいたします。
○田中補佐 戸田委員お願いいたします。
○戸田委員 一つ、衛生管理についてお伺いしたいのですが、今後、こういった菌を殺さない飲料水、健康ブームというか、乳酸菌ブームがあって増えてくるような気がするのですが、衛生管理に関しては、今現在は、会社がそれぞれに行って、基準というか、この基準は満たすようにみたいな、スタンダードに沿って行われているのでしょうか。それとも、各々が独自に、基準を会社ごとに作って行っているのでしょうか。この点について御説明いただけたらと思います。
○五十君部会長 事務局、いかがですか。
○事務局 今現在としては、殺菌工程を経なければいけないと原則になっておりますので、製造基準に基づく殺菌等は行われるということになります。一方で、今、御質問にありました「生きた菌」に関しては、これまで例外的に認めており承認品の2製品のみです。その承認品2製品については、こちらで個別に確認をしておりますので、それ以外の製品で生きた菌のものは特段ないと認識しております。
○戸田委員 それで、衛生管理については、基準のようなものはあるのでしょうか。
○事務局 製造基準としては、殺菌条件等を守っていただく必要があり、あとは個別に製造基準以外のところで一般的な衛生管理などを各事業者で守っていただくものになります。
○戸田委員 例えば、こういった種類のものが増えてきて、企業が各々こういった衛生管理を自分で作り上げて、それを文書で提出していく形になるわけですか。
○事務局 これまでの承認品もHACCPによる衛生管理が基となっておりますので、それと同様に製造工程等に応じた危害分析をしていただき、適切なリスク管理をとっていただくということになります。
○戸田委員 どうもありがとうございました。
○五十君部会長 今の御質問は非常に重要な部分であると思います。総合衛生管理製造過程承認制度があったときは、基本的には国にHACCPとともに、その管理状況を確認して承認をもらう制度だった訳ですが、今回はHACCPだけ残るということになりますと、私も少し心配なのは、ここで御提案されている個別の管理状況を確認するという部分が、実際にうまく運用できるのかが心配ですが、この辺りについて何かコメントはありますか。
○事務局 実際の運用については現在検討しているところでありますが、この改正が了承されれば告示を出すことになります。その際に、具体的な確認の手続などを通知の形でお示しして、それに則って手続を進めていただくことを考えております。
○五十君部会長 そうしますと、通知の中に、こういったものについては個別に確認を行ってくださいといった方針を示し、徹底していくことになるという理解でよろしいですね。ありがとうございました。
そのほか、今の関連以外でも構いませんが、御質問がある方はメッセージを入れていただけますでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、改正について確認を取りたいと思います。先ほどと同様に、事務局の提案について了承いただけるかどうか、コメントをメッセージでお願いします。
 事務局大丈夫ですか。皆さんから了承いただけたようですので、それでは、「清涼飲料水の規格基準(製造基準)の改正」については事務局(案)を了承することで進めます。御協力ありがとうございました。それでは、今日の議題はこれで全て終了になります。その他について事務局から何かありますか。
○田中補佐 特にございません。
○五十君部会長 それでは、今後の予定につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○田中補佐 次回の部会の開催日程に関しては、事務局より追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。
○五十君部会長 ありがとうございました。それでは、本日の議題等はこれで全て終わりました。次回の予定につきましては、改めてまた日程調整があると思います。今回は初めてのWeb会議ということで、進行や皆さんの御対応などに難しいところがあったのではないかと思いますが、予定しておりました議事を終えることができました。御協力をありがとうございました。それでは、本日は以上をもちまして規格部会を終了いたします。御協力ありがとうございました。