2020年9月17日 第9回政策評価に関する有識者会議 医療・衛生WG 議事録

日時

令和2年9月17日(木)13:58~16:21

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

印南座長、井深委員、大西委員、河北委員、宮﨑委員

議事

 

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第9回政策評価に関する有識者会議医療・衛生ワーキンググループを開催いたします。政策評価の担当をしています肥沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、本日、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。なお、本日、本田委員は所用のため御欠席されるそうです。

 議事に入る前に、事務局から報告事項があります。厚生労働省では、87日付けで組織改編を行いまして、政策統括官機能の強化の一環として政策評価官室を改め、新たに政策立案・評価担当参事官室を設置したところです。そのため、政策評価に関する有識者会議の庶務につきましても、従前の政策評価官室に代わり、今後は政策立案・評価担当参事官室が担当することとなりました。また、事務局の体制にも変更があり、生田参事官及び飯島政策立案・評価推進官が着任されましたので、それぞれ御挨拶申し上げます。

 

○政策立案・評価担当参事官

 参事官の生田です。よろしくお願いいたします。

 

○政策立案・評価推進官

 政策立案・評価推進官の飯島です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐

 本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。また、紙資料もお手元に御用意しています。資料となるファイルは、マイプライベートファイルに格納されています。

 それでは、本日の議事進行については、座長の印南先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○印南座長

 それでは始めたいと思います。本日は、議事次第にありますように、7つのテーマの実績評価書()について委員の皆様に御議論いただきたいと思います。

 それでは、配布資料及び「令和2年度の実施に関する政策評価について」の進め方について、事務局より説明をお願いします。

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐

 議事の進め方について御説明します。プライベートファイルの01の議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)の1から7について、テーマごとに担当課の入れ替えを行い、議論していただきます。テーマによって多少時間は異なりますが、まず担当課より5分程度で簡潔に御説明を頂き、その後、約10分で議論していただくということで進めていただければと思います。

 今回は、実績評価書を議事としていますので、測定指標の実績値、評価結果と今後の方向性を中心に御意見を頂ければと存じます。

 また、本日の議事進行に当たり、説明担当部局の都合で一部順番を入れ替えて御説明をさせていただくこととなります。議事次第で最初に議論することとされていましたⅠ-1-2については、最後になります。若干順番が前後しますが、7つの評価書を御審議いただくということです。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○印南座長

 それでは1つ目のテーマ、「今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○医政局

 医政局医師臨床研修推進室長の児玉と申します。よろしくお願いします。それでは、施策目標Ⅰ-2-1について御説明を申し上げます。まず資料の基本目標1に書いてありますが、安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進するということが大きな目標となります。

 施策の概要ですが、医師・看護職員数の増員、医療関係職種の離職防止、復職支援、チーム医療の推進等を行うことで、医療従事者の確保及び業務の効率化を図り、地域において必要な医療を提供できる体制を整備するために実施しています。

 施策実現のための背景・課題の1つ目、医師確保についてですが、経済財政運営と改革の基本方針2016において、特に医師については地域医療構想を踏まえ、実効性のある地域偏在、診療科偏在対策を検討することとされています。地域における医師の確保を進めること、これが課題となっています。

 看護職員の確保については、看護師等の人材確保の推進に関する法律第4条において、国の責務として看護職員の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等のために必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないとされています。これらの規定に基づきまして、看護職員の養成等に関する施策を行っています。

 今回、各課題に対応した達成目標の1点目に、医師数の増加及び医師の偏在を是正すること、2点目に、看護職員を質・量ともに確保すること、歯科衛生士の人材確保を図ることを挙げています。この2つの目標を達成するための5つの測定指標について、順次、御説明申し上げます。

 指標の1です。人口10万人対医師数です。医療需要に対する医師数ということで、人口対医師数を利用しています。目標年度については、医師・歯科医師・薬剤師統計があります。これが2年に1度実施されていることから、次回調査時点において、現在の医師数よりも増加していることを確認します。お手元の資料で実績値を御覧いただければと思いますが、前回の調査、平成28年度、直近の調査、平成30年度ともその目標を達成しているところです。

 続きまして、資料2、お手元の実績評価書では恐らくページが変わるかと思いますが、資料の2です。こちらは、診療科別医師数の増減割合というものを設定させていただきました。医師の不足が指摘されることの多い小児科、産科、産婦人科、外科の医師数の増減割合について評価しています。こちらも先ほどと同様に2年に1度の調査で、増加していることを確認するということにしています。平成26年度と比較しますと、平成30年度では小児科、産科、産婦人科は漸増傾向、外科は横ばいとなっています。

 医師の偏在のうち、地域別の偏在の状況を把握するために、指標の3、医師偏在指標を導入しています。医師偏在指標は、三次医療圏、すなわちこれは都道府県単位なのですが、それから二次医療圏ごとに、地域ごとの医療ニーズ、人口構成、医師の性・年齢構成等を踏まえ、全国ベースで医師の多寡を統一的・客観的に比較・評価する指標として令和元年度より新たに設定したものです。目標年度については、医師偏在指標の見直しが3年に1度となっていますので、次回の調査時点において、それぞれの地域の偏在是正の程度を確認するということにしたいと思っています。

 ここから達成目標に移りますが、指標の4、就業看護職員数についてです。看護職員確保対策の推進として、看護師等の人材確保の促進に関する法律第3条に基づき、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針が策定されています。国、地方自治体、国の指定する中央ナースセンター、それから各都道府県の指定する都道府県ナースセンターが連携して、新規養成、定着促進、復職支援を柱とした取組を進めているところです。なお、現在の看護職員の確保については、御覧のとおり実績値が順調に推移しているところから、目標を達成していると考えています。引き続き現在の施策を進め、目標達成を目指していきたいと思っています。

 最後、指標の5ですが、就業歯科衛生士数を設定しています。この指標は、2年に1度の調査において、その数が増加していることを確認しています。平成26年度と比較すると、直近、平成30年度は増加していまして、目標を達成していると考えています。

 評価結果と今後の方向性についてですが、施策の分析で有効性・効率性ともに目標を達成していると考えています。今後もこの方向で、医療従事者の確保に努めていきたいと思っています。御質問等がありましたら、よろしくお願いします。担当課とともにお答えしたいと思います。

 

○印南座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○河北委員

 この問題は、完全に陳腐化しています。この課題そのものが、おかしい。以前、資料を頂いたのですが、その国家資格の医療関係職種の入学定員は全部合わせると何万人ですか。

 

○医政局

 20万人。

 

○河北委員

 16万人ぐらい。

 

○医政局

 16万人、はい。

 

○河北委員

 16万人ぐらいいます。今、子供は何人生まれますか。

 

○医政局

 直近だと、80万人。

 

○河北委員

 86万人ですよね。コロナの関係で、今年は更に減るだろうと思いますが、その人たちに対して、16万人の入学定員数というのは、どう考えますか。余りにも過大ですよ。確保確保と言いますが、80万人しか生まれない子供に対して、医療関係職種を16万人育てても意味がない。まず、そのことが社会全体として、一番大きな問題です。資格は取ったけれども、働けなくなります。では、それをどう考えるか。

 それから、次の課題ですが、偏在と言いますが、いつも忘れられている偏在がもう1つあるのです。業態別偏在です。業態別偏在というのは、開業するか勤務医でいるか、特に医師の場合です。これが全く是正されない。勤務医は足りないけれども、恐らく開業医はあふれてきます。こういうものをどうするか。日本は、臨床研修教育、あるいはその専門医になる教育というものが、全くたがをはめられていないわけです。やはり、アメリカのACGMEがやっているようなことをしっかりとやらないと、定数制を作るべきだと私は思います。

 例えば、医師の資格というのは管理できるのです。国家資格としての医師の資格と、保険医の指定があるでしょう。保険医の指定をなぜ使わないのか。保険医の指定だったら、かなりいろいろな意味での計画ができるのです。それを全く使おうとしていない。私は実におかしな話だと思います。

 入学定員の話を先ほどしましたが、入学定員ではなく医療関係職種の人たちが本当に生涯その仕事をやってきてよかったと思う一番の理由というのは、やはりプライドなのです。賃金でもなければ、やはり社会から認められているということを、どう作っていくかとが大切であって、看護師の離職、あるいは実際に働く年数、それから、それ以外の職種も非常に短いです。本当に粗製濫造です。ですから、基本的にこの問題は、捉え方を根本的に変える必要があります。

 

○印南座長

 ありがとうございます。これに対するものは何かありますか。

 

○医政局

 まず、現在の出生数に対して、医療関係の大学の定数が過大という話がありました。ただ、この大学の定数そのものは今から約20年ぐらい前、120万人ぐらい生まれていた時代の賜でもありますので、当然そこは今のものに応じた見直しを図っていくものだと思っています。ただ、当然、以前に比べて医療職になる方の割合、医療職に就く可能性のある方の割合が増えているということは、意識していますので、正に基本的なものとして今後考えていかなければいけないと思っています。細かい所で何かありますか。

 

○河北委員

 是非、医療の現場から地域医療構想もいいけれども、やはり業態別偏在というものをしっかりと考えたほうがいいと思います。勤務医が、やはり足りないのです。それから、今の働き方改革との関係を、是非、考えてほしいと思います。医師の働き方改革とその業態別偏在で、勤務医たちをどうするか。開業すると、医師の働き方改革から外れていきます。そちらの方はいいのです。ですが、現在は、自由開業制ですが、そういうものをどうするのか、自由標榜制をどうするのかを含めての話ですから、これはしっかりとやっていきましょう。

 

○医政局

 すみません、1点だけいいですか。

 

○印南座長

 どうぞ。

 

○医政局

 外来に関する偏在指標というものもあります。少なくとも、これまでどの地域がどういう状況になっていたかということは、統一的に測ることは難しかったところが、まず見える化するようになっています。そこを基に、それぞれの地域でどのような施策を打っていくかということに、今、次のステージにいっていると思います。ただ、今、頂戴したアイデアも踏まえながら、そういった客観的なデータも使いながら、さらなる是正に努めていきたいと思っています。

 

○印南座長

 その他、御意見、御質問等はありませんか。

 

○井深委員

 指標2に関して、質問をさせていただきたいと思います。こちらの指標は3つの科が挙がっています。小児科、産婦人科、外科です。小児科は増えていっているという様子が分かって、外科に関しては横ばいであるということだと思いますが、判定の際には外科に関して横ばいということも含めて、目標が達成されていると判定されていると思います。その外科に関しても、このまま横ばいの傾向で保っていくことが、目指している方向性であるのかということをお尋ねしたいということが1つ。

 それに関連して、指標2に対する具体的な対策について、「有効性の評価」の所で書いてくださっていると思います。2つ書かれていて、特定の地域診療科での奨学金の話と、処遇改善のことが書かれていると思うのですが、この2つが主な施策だとして、外科に関して小児科と異なるような取組みをされているのか。それとも同じように取組みをしているのにもかかわらず、一方、小児科では増えているけれども、外科は横ばいという状態になっているのか。目標と実際に行われている施策の結果の関係を知りたいと思い、質問させていただきました。よろしくお願いします。

 

○医政局

 基本的には、まさにここに書いてあるとおりです。政策評価としては、一応、目標は達成しているのですが、確かにこの数値を伸ばすということが視野に入っていたことは事実です。政策評価という点では、少なくとも目標は達成しているのですが、もう少し、ということはあると思います。それは今後、力を入れていかなければいけない部分だと思っています。

 施策については、まさにまだこのような形で進めていて、結果として変わってきているということもあります。ただ、例えば小児科などに関して、臨床研修の段階でそういった方面に進む方の枠を特別に取るなどしているところがあります。一方で、外科に関してはそういったものがないということもあります。あとはやはり、臨床研修等で回っていく中で、どうしても外科の勤務実態がなかなか厳しいといったことが敬遠されているところもあると思います。そこはまさに当該学会や、専門医の仕組みなども使いながら、あるいは臨床研修段階の研修医の皆さん、その前段階の学生さんに、どのようにアプローチしていくかということも含めての話になってくるかと思っています。

 

○印南座長

 よろしいですか。ほかにはありませんか。

 

○宮﨑委員

 よろしくお願いします。この指標4の看護職員のことをもう少し伺いたいのですが、実績値を見ると166万人ということですが、これは准看護師が入っていますよね。

 

○医政局

 入っています。

 

○宮﨑委員

 はい。准看護師の問題は、別途、議論が必要な課題ではあるのですが、いわゆる正看護師が着実に増えているのかどうかを伺いたいのですが、私の認識では微増というか増えているとは思いますが。

 

○説明者

 大幅に増えているわけではないですが、確かに微増ではありますが、若干増えています。

 

○宮﨑委員

 そうですよね。増えることによって、やはり働く場が多様化している。いわゆる病院や診療所というメインの就職場所だけではなく、介護施設、それからいろいろな地域包括支援センターなど、割といろいろな地域の施設に、今、看護師の活躍の場というものが多様に広がっていて、そういうところに十分配置が拡充できているのかというのは、これからの社会において、地域包括ケアの時代において重要な課題であると思うのですが、この指標の分析がちょっと一括的というか、大なたを振るった分析になっている気がしないでもないというか。先ほど地域偏在の問題も出ましたが、それも深刻で、私がいる千葉県はいつも埼玉県とワースト1位を争っているのですが、本当に房総半島の方は就職する看護師がいないのです。学生時代から奨学金で囲い込むような感じ、そういう熾烈な状況の中で、保健所も看護師対策に乗り出している、そういう厳しい状況が本当にあって、実績評価ではうまく達成しているとなっているのですが、実情を多様な視点から、特に働く場が多様化する中で充足できているのかということや、地域偏在のことも慎重に議論をしてほしいと私は思っています。

 

○医政局

 これについては、令和元年1115日に「医療従事者の需給に関する検討会」の中の看護需給分科会で、領域・地域偏在の調整による検討課題が示されています。現在、日本看護協会で行っている中央ナースセンターの事業の中で、地域に必要な看護職の確保推進事業という取組を行っており、都道府県ナースセンターが、地方自治体や病院団体等と連携の上、地域の実情に応じた課題と対策を検討して取り組んでいる最中です。

 

○宮﨑委員

 そういった事業が、きめ細かい都道府県単位の施策が重要になると思うので、その辺りを強化していただきたいと思います。

 

○印南座長

 ほかにはありませんか。よろしいですか。それでは、全部を反映するのは非常に難しいかもしれませんが、反映できる範囲で実績評価書へ反映してください。次のテーマに移りたいと思います。施策番号Ⅰ-2-2、「医療従事者の資質の向上を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○医政局

 引き続き、施策目標Ⅰ-2-2、「医療従事者の資質の向上を図ること」について御説明申し上げます。「施策の概要」ですが、医師・歯科医師の臨床研修を推進すること、医療従事者に対する研修を実施すること等を通じて、医療従事者の資質向上を図ることで、質の高い医療サービスを提供できる体制を整備するための取組ということになります。

 「施策実現のための背景・課題」の1つ目、医師の臨床研修などについてですが、医師については免許取得後2年以上、歯科医師については1年以上、臨床における研修が義務付けられています。患者を全人的に診ることができる基本的な能力の習得が図られています。また、看護職員については、免許を受けた後も研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならないとされています。看護職員の資質の向上を目的とした研修を実施しているところです。

 背景・課題の2つ目、ドクターヘリについてですが、傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性に鑑みまして、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供するため、ドクターヘリを用いた救急医療提供体制の整備を全国的に進めているところです。ドクターヘリによる出動件数は年々増加していることから、ドクターヘリの安全運航のための取組を進める必要があると考えています。

 今回、それぞれの課題に対応した達成目標の1点目に、臨床研修の充実による質の高い医師及び歯科医師を養成すること及び看護職員の資質の向上に係る研修を推進すること。2点目として、ドクターヘリという特殊な場所において、安全管理を考慮した救急医療を提供できる医師・看護師等の養成・育成を図ることを掲げています。この2つの目標を達成するための6つの測定指標について、順次御説明申し上げます。

 指標1では、研修医の満足度調査の調査結果として、満足度5段階評価のうち4段階以上の回答者の割合を設定しています。平成30年度においては、臨床研修部会の議論の結果、調査項目としてありませんでしたが、満足度調査の結果、直近の実績値が判明している年度は、それぞれ目標値を超えていました。医師の質の向上につながっているものであると評価しています。

 指標2ですが、研修歯科医の満足度調査の調査結果として、満足度5段階評価のうち4段階以上の回答者の割合を設定しています。調査の結果、直近の実績値が判明している年度については目標値を超えています。歯科医師の質の向上につながっているものであると評価しています。

 指標3及び指標4ですが、新人看護職員研修の実施状況に関する指標です。指標3は、新人看護職員を受け入れている病院における新人看護職員研修の実施割合を設定しています。指標4は、新人看護職員研修を実施している病院数を設定しています。いずれも医療施設静態調査において、3年ごとに実績値を把握しています。令和元年度については、調査年ではありませんので、平成29年度が直近の実績値となっています。指標3及び指標4については、前回調査である平成26年度時点の実績値以上となっていて、目標を達成しています。

 達成目標2、ドクターヘリに関して、2点指標があります。指標5では、ドクターヘリ従事者研修の受講者数を指標として用いています。前年度の実績を上回ることを指標として設定しています。令和元年度の受講者数については、166人となりました。前年実績の200人を下回っており、目標を達成できませんでした。

 指標6では、ドクターヘリ従事者研修の満足度調査の調査結果として、満足度5段階評価のうち4段階以上の回答者の割合を設定しています。その結果、直近の実績値が判明している年度については、目標値を超えています。ドクターヘリ従事者の質の向上につながっているものと評価しています。よろしくお願いします。

 

○印南座長

 ただいまのテーマについて、御質問、御意見等がありましたらお願したいと思います。

 

○河北委員

 うるさいようですが、臨床研修はどのように評価をされていますか。今、岩﨑先生がつくってきた卒後臨床研修評価機構があります。この機構の評価を受けている病院というのは、臨床研修病院の中の何パーセントぐらいですか。研修はピンからキリまであります。ですから、ただ単に初期臨床研修を受ければいいというものではないわけです。その研修の標準化をしっかりとしたほうがいいと思います。ちなみに河北総合病院は、今年は11名に対して88名の応募があって、選べるということはとてもいいことなのですが、医師の働き方改革がものすごく影響していて、このことをやると手当が付きますかなど、そういうことばかりなので、そこは少し考えたほうがいいと思います。やはり、臨床研修教育の評価をしっかりやるべきだと思います。

 

○医政局

 データがすぐに出てこなくて、申し訳ありません。お調べして、この後、御報告申し上げます。臨床研修そのものの評価は、確かに受けた研修医の満足度だけではなく、全体としてどうなのかという第三者的な評価は必要だと思いますので、そういったものをしっかりと活用していく流れにはなっています。第三者評価の結果として出てくるものは、個別のプログラムの充実や、場合によってはカリキュラム全体の改善につながってくると思っています。今後もそうした外部の視点を重視していこうと思っています。

 

○印南座長

 ほかに御質問、御意見等は。

 

○河北委員

 これはなかなか難しい議論なのですが、アメリカの医師は非常に高度だと言われています。それから、ほかの国と日本を比べてみて、そもそも「医師の資質とは何か」という議論をしっかりやったほうがいいと思います。臨床の中でトラブルが起こるのは、ほとんどコミュニケーションの問題なのです。ですから、コミュニケーションが取れない医師が余りにも多過ぎるということも、是非、皆さんの頭の中に入れておいてください。

 

○医政局

 御指摘ごもっともだと思います。まさにトラブルはそういったところからくると思います。臨床研修の目標としても、しっかりコミュニケーションを取れること、全人的に診るということはまさにそういうことだと思いますので、患者さん、その御家族の背景にまで耳を傾けて目をかけることのできる、そういった態度などの養成も必要だと思っています。そういったものができるようにするために、臨床研修の中身をどうやっていくのか、まずは個別の病院のプログラムということかもしれません。どうやって目標設定をするかということにもなってくると思いますが、御指摘を踏まえて改善を進めていきたいと思っています。

 

○河北委員

 臨床研修でよく言われていることは、知識と技能と態度、この3つなのです。知識は、勉強すればいくらでも頭の中に入ると思います。なぜ技術と言わないで、技能と言っているか。皆さんは分かりますよね。人の温もりのある技術の使い方を技能と言うと昔から言ってきているのですが、技能と態度、是非、しっかりとやっていきましょう。

 

○医政局

 ありがとうございます。

 

○宮﨑委員

 ちょっと教えていただきたいので質問です。医師の臨床研修は、国から給料が払われていますか。

 

○医政局

 厳密に言うと、そうではないです。

 

○宮﨑委員

 今は違いますか、一部ですか。一部、払われていると。看護師の研修は何か国からの補助や財政的な支援はあるのですか。

 

○医政局

 一部、看護研修を行っているものについて、都道府県から医療介護総合確保基金で支援を行っています。

 

○宮﨑委員

 都道府県から各病院などに、そういう制度があるという通知があって、申請してもらう形ですか。

 

○医政局

 はい、そういうことです。

 

○宮﨑委員

 では、一応、制度はあるということですね。

 

○医政局

 はい、財政的な支援は行っています。

 

○宮﨑委員

 財政的な支援は行っていることについては分かりました。是非、国からの支援を頂きたいと思っています。

 

○大西委員

 達成目標2について、若干形式的なことを教えていただきたいのですが、次年度以降は指標5に関しては、単純な受講者数だけであれば一時的な上振れ等の影響を受ける数値なので、来年度以降は参考指標に落とされる予定ということですが、そうすると達成目標2に関する測定指標としては、今後は指標6のみを用いる。そういう理解でよろしいのでしょうか。

 

○医政局

 そういう形になります。

 

○大西委員

 それで、この達成目標との関係で測定指標として、満足度評価をするだけで果たして十分なのかどうか。指標5に代わる新たな代替的な指標として、ドクターヘリ従事者の養成・育成の達成度を測る客観的な測定指標を導入する必要性等については検討されているのかどうかお伺いできればと思います。

 

○医政局

 私から、説明させていただきます。評価書にも入れさせていただきましたが、ドクターヘリの導入機数に関しては、おおよそ全国配備が展開されていっています。機数の増加に関しては、落ち着いてきています。単純に人数の増加だけでは、やはり捉え切れない部分があると思いますので、今後はその質の維持といったことに着目して、指標6もそういった内容かと思いますが、そういったところに指標をシフトしていく時期ではないかなと考えています。指標の見直しの必要性等も踏まえまして、検討していきたいと思っています。

 

○印南座長

 よろしいでしょうか。それでは、ただいまの議論を実績評価書に反映してください。続きまして、施策番号Ⅱ-3-1、「規制されている乱用薬物について、不正流通の遮断及び乱用防止を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局

 私は、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官の橋本です。私からは、施策大目標3、「麻薬・覚醒剤等の乱用を防止すること」について、説明いたします。まず簡単に、我が国の薬物情勢について説明いたします。令和元年に、薬物事件で我が国で検挙された者は、約14,000人です。このうち一番多いのが覚醒剤事犯で、この者が約8,700人です。次に多かったのが、大麻事犯の検挙者で、この者は約4,600人でした。最近の特徴としては、覚醒剤の報酬量が1トンを超えるなど、非常に大型の摘発があるということと、大麻事犯の検挙者、特に若者の検挙者が増えているというところが懸念されるところです。

 こうした情勢を踏まえて、私どもの施策については、3本の柱を用意させていただいております。実績評価書にもありますけれども、施策の概要として書かれておりますが、1つ目は流通防止、供給遮断です。これは一言で言ってしまえば、取締りです。次に、薬物乱用の防止です。これは使わせないこと、需要の削減です。3つ目は、最近はようやく下火にはなっておりますけれども、いわゆる危険ドラッグの規制と、薬物乱用防止のための啓発活動で、この3つを柱とさせていただいております。

 我が国の薬物対策は、厚生労働大臣が議長を務めております、政府の薬物乱用対策推進会議が策定している、薬物乱用防止5か年戦略があります。お手元の資料7-21ページ目がその概要です。この施策については、1つ目の課題として、この5か年戦略に基づいて、我が国の薬物対策を推進していくこと。2つ目の課題としては、危険ドラッグの乱用によって、過去に生じたような痛ましい事件や事故が再び起きないようにすることの2点を挙げております。そして、この各課題に対応するということで、1つ目の課題に対しては達成目標1として、薬物を使わせないという広報・啓発活動で、資料の23ページ目です。2つ目は、薬物再乱用の防止で、資料の4ページ目にあります。こうした取組を進めること。そして、2つ目の課題に対しては、危険ドラッグの流通や乱用の防止を進めるために、達成目標1と同じですが、広報・啓発活動の取組。それから、参考指標にはなっておりますけれども、薬物の新規指定。例えば、危険ドラッグは指定薬物という規制がありますので、こうしたものの指定ということにしております。

 まず、達成目標1の指標について説明いたします。この目標の指標としては、評価書にありますように、薬物乱用防止啓発訪問事業の啓発人数、それから薬物使用者に対する再乱用防止事業の対象者の再犯率の2点を設定しております。まず指標1の啓発訪問事業ですけれども、これはどういうものかと申し上げますと、小・中・高などの学校の要請に基づいて、薬物乱用防止の指導員を派遣して、いわゆる薬物乱用防止教室を開催するというものです。これについては、令和元年度は目標値として設定しておりました11万人を上回る、約12万人の方を対象に開催することができました。これによって、この数値目標は達成したと考えております。

 次に指標2の再乱用防止対策事業は、薬物事件の初犯者で執行猶予とされた者に対して、麻薬取締部におります公認心理師等の専門家が直接本人に面談をしたり、依存症治療を行う医療機関等や民間団体等の地域資源にそのような方をつないで、本人の断薬、薬をやめることに継続的に関わっていくというものです。この事業は、令和元年度が初年度で、その目標値は平成29年の覚醒剤の再犯者率、これは何かと申しますと、平成29年中に全国で覚醒剤事件で検挙された人のうち、その人に同じ覚醒剤の前科があった人、つまり再犯をして捕まった人の割合を言います。これが65.5%と出ておりますので、この事業の成果として、当初の目標として、これを下回ることといたしました。

 この事業については、薬物事件の初犯者で、執行猶予判決を受けた者が対象ですので、その対象になる割合として、その人がこの事業の中で離脱をしてしまった、つまり現れなくなってしまったといった場合には、再乱用してしまった可能性があると考え、その割合を実績値として反映させました。その結果、実績としての割合は10%という数字が出てきましたので、目標値に比べて有効な結果が得られたということです。

 次に、達成目標2の指標です。これについては、先ほど申し上げましたように、広報・啓発活動を同じ指標として挙げさせていただいております。これについては、11万人の目標に対して、12万人の方々に対して広報・啓発活動ができたということで、目標は達成できたものと考えております。このほか参考指標として、達成目標1の測定指標4、達成目標2の測定指標7に、それぞれ取締りをした検挙者数等を挙げさせていただいております。以上です。

 

○印南座長

 ありがとうございました。御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。

 

○井深委員

 指標2について、質問をさせていただきます。令和元年度の暫定値が10%ということで、これは本当に低い数値で、すごい達成だと考えます。平成29年度の65.5%と令和元年度暫定値の10%は、どうしてここまで大きく差があったのかを知りたいということです。その上で、今後の目標としても、同様に平成29年度の値を基準としていくのか、それとも、また新たな基準を設定するのかということについても、教えていただきたいと思います。

 

○医薬・生活衛生局

 実は、この目標値と実績値の差が大きいことについては、一言で申し上げますと、基になっている物差しが若干違うということがあります。詳しく申し上げますと、目標値の65.5%は、実は警察検挙者を含めた全国の覚醒剤事犯者の再犯者の割合です。一方、当省で行っている事業はその全体ではなく、初めて薬物事件で捕まって執行猶予判決を受けて、社会に出てきた方、この方を捕まえて、この再犯防止事業、実際にはこのプログラムをやって断薬を続けようというのが、この事業です。ですので、この事業から離脱してしまった者が、今回我々の事業につながった者から離脱した者の割合ということになるので、先ほど申し上げたように物差しが違います。

 そのため、私どもとしては、令和元年度に始まったばかりで、まだ間もないということもあるのと、これまで適当なオフィシャルな指標がなかったものですから、今後これについては政策立案・評価担当参事官室の御指示も頂きながら、実績値、指標をもう少ししっかりしたものに改めていきたいと考えております。

 

○井深委員 

 分かりました。ありがとうございます。

 

○大西委員

 質問というか意見というか、希望のような位置付けのコメントになるのかもしれません。やはり、当然職業柄、刑事事件で、特に薬物事犯の被告人なども多く検分する機会があります。特に覚醒剤事犯の再犯率が高いということは、これは国家的な課題と言っていいのではないかと思います。やはり、保護観察の付かない執行猶予判決を受けた乱用者に対し、こういう対象事業を施策として実施していくことは、恐らく1年度の数値だけを見てもかなり有効性が高いのだろうということは、期待ができるところです。

 あとは、事業の対象者をなるべく広げていくと。単純執行猶予付き有罪判決の対象者以外の初犯者、ないしは再犯者にも広げていくということを是非施策として、当然1つの省庁の中だけの政策判断では済まない問題も出てくるかと思いますし、法務省との調整も必要になってくるかと思いますけれども、やはりその事業の対象者を広げていくことを前向きに御検討いただければと希望いたします。

 

○医薬・生活衛生局

 私どもとしても、この事業などで再犯が増えないというのが、基本的に一番大事だと思っておりますので、そこをしっかりやっていきたいと思います。

 

○河北委員

 質問なのですけれども、この押収量を見ると、かなり増えていますよね。これは、実際にリアルワールドでの人間の接点と、Web上のいろいろな情報とで、やはり若い人たちがどんどんWebを使っていますよね。そういうものの影響は、かなりありますか。

 

○医薬・生活衛生局

 委員のおっしゃるとおりで、私たちが理解もできないようなダークウェブ、あるいはアプリケーションも通信をしたらしばらくすると消えてしまって証拠が残らないといったものが、携帯電話とともに売られているというようなこともあり、私たち年寄りだと分からないような世界が、若い人たちの間で、言い方は悪いですけれども横行しているような現状です。

 ただ、こうした大きな密輸事件というのは、洋上取引などで人と人が接触して、いずれ末端の薬物取引でも必ず最後は人が取引をするのですけれども、そこに至る経緯が、これまでであれば昔はやくざがいて、その知り合いの知り合い、知り合いということでつながっていったものが、今はもうクリック1つで、全く見知らぬ者から手に入るという時代ですので、その辺りも考えながら、しっかり取締りをしていく必要があると考えています。

 

○印南座長

 ほかは、いかがでしょうか。指標2に戻って恐縮ですが、先ほどの65.5%というのは、目標値と初年度の実績値10%の乖離は物差しが違うと。そうすると、達成度の評価で「○」は書けないのではないでしょうか。物差しが違うのだから、今回は評価できず、ですよね。別に、「×」でも「△」でもなくて、評価できないというのが正確なところではないでしょうか。

 

○医薬・生活衛生局

 分かりました。その辺りについては、事務局とも相談させていただければと思います。

 

○印南座長

 率直に、そうではないかと思うのですが。

 

○医薬・生活衛生局 

 ありがとうございます。

 

○印南座長

 次年度以降も、10%のほうの物差しを使うのですか。それとも、元の65.5%に合わせるのか、更に別の指標を開発するのか、この辺りはどうなっているのでしょうか。

 

○医薬・生活衛生局

 その辺りも内々では検討を始めているのですけれども、65.5%を使うのは物差しの違いもありますので、なかなか難しいと考えております。1つは、今回初めて出てきた数字を基準にするのかといったところも含めて、少し検討させていただきたいと思います。

 

○印南座長

 そうですね。元が10%だと、それを劇的に減らすのは難しいですよね。

 

○医薬・生活衛生局

 そうですね。初年度で、1年目の数字ですので、当然これから離脱していく人は出てくると思いますので、これがある意味マックスかもしれませんけれども。

 

○印南座長

 はい、分かりました。ほかによろしいでしょうか。それでは、ただいまの議論を踏まえて、実績評価書に反映をしてください。ありがとうございました。

 

○医薬・生活衛生局

 ありがとうございました。

 

○印南座長

 続いて、施策番号Ⅰ-8-1、「革新的な医療技術の実用化を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○医政局経済課

 医政局経済課ベンチャー室長でございます。本施策ですが、革新的な医療技術の実用化を促進するとともに、医薬品産業の振興を図ることを目標にしております。目的としましては、革新的な医療技術の実用化を図るとともに、医薬品・医療機器産業の動向を的確に把握し、そして振興を図るために実施しているものです。

 背景としては、付加価値の高い知識集約型の医薬品・医療機器産業を我が国の経済成長を担う重要な産業と位置付けておりまして、医薬品・医療機器等及び医療技術関連分野における産業競争力の向上を目指す、それから、医療の国際連携や国際貢献を進めることとしております。また、医薬品産業強化総合戦略、これは平成279月に策定されたものですが、こちらについても見直しを行うこととされております。

 そして、後発医薬品についてです。後発医薬品を普及させることは、後発医薬品の方が価格が低いですので、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資することになります。効率化できた医療費を新しい技術、新薬に振り替えることも可能になるという観点から、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討するということが背景としてございます。

 各指標については担当課が複数にわたりますので、それぞれの担当課から御説明を頂くようにしたいと思います。

 

○医政局研究開発振興課

 具体的な指標の説明に入ります。達成目標1から入ります。まず、医薬品・医療機器産業の振興とか、革新的医薬品の創出促進のところで、指標が幾つかあるうちの指標1です。これは、先進医療という保険診療と併用が可能なカテゴリーがあるのですが、その件数を1つアウトカム指標として設定させていただきました。もともとの件数は少ないのですが、直近で見ると、前年度よりは増えている状況です。これは何が影響しているかというと、手続を緩和しています、具体的には、会議を2回開かなければいけないのを1回にするという手続の緩和をしたので、それで増えたのだろうと想定しています。

 次は指標2です。これは再生医療という、どちらかと言うと先端的な医療の領域なのですが、その研究の数を指標として設定しております。ありとあらゆる再生医療の関係の研究というのは、基本的に届出をしないといけないということで、正確な件数を国で把握できるのですが、これに関しては平成30年度から令和元年度で減っています。これは被験者保護の観点から、昨年省令改正をしたので、その影響で少し減ったのだろうという状況です。

 次は指標3です。これは臨床研究登録情報で、研究の情報のポータルサイトを置いているのですが、その閲覧数をアウトカム指標として設定しております。これは平成30年度から令和元年度まで爆発的に増えているのですが、この要因を分析してみますと、コロナの影響かと思ったのですが、コロナの影響ではなくて、厚労省のホームページからこのポータルサイトにアクセスできるのですが、そのリンク先の表示を見やすい位置に変更したことにより大きく件数が増える効果を得たということで、前年度以上という目標値を達成しているという状況です。次は指標4です。

 

○医政局医療国際展開推進室

 相手国の実情に適した医薬品・医療機器の輸出等の促進に寄与するため、新興国のカウンターパートの保健省との医療分野に係る協力関係の充実、協力関係を進める国の数、具体的には覚書を結んでいる国を指標として設定しています。毎年度、その数値を伸ばしていくことを目標としています。この表のとおり暫時増えておりまして、平成30年度から令和元年度は25か国のままですが、こちらは協議中の案件が1つ、イタリアがあり令和元年度中に協議し、その実を結んで、表では表現できておりませんが、令和2年度になってイタリアと新たに覚書を結びましたので、26か国と実質に増えています。このように、目標については前年度から増やすことができているので達成してきています。

 

○医政局研究開発振興課

 続いて指標5です。これは疾患登録情報を活用した治験臨床研究の実施件数ですが、各研究関係のNCなどに、研究に使うための疾患別のデータベースが設置されています。そのデータベースを使った研究がどの程度進んでいるかということです。データベースの数自体が、20個程度です。難病やがんのデータベースを使った研究を進めていくこととしており、令和2年度で20件を目標としていますが、順調に増えている状況です。

 続いて指標6です。これは、研究に使う医療情報に関し、研究に使いやすいよう情報を標準化する必要があります。特に国が研究の拠点として力を入れている臨床研究中核病院というのが13病院ありますが、そこでは情報が標準化されたデータを病院内で持っておきたいという事情があります。PMDAMID-NETという医薬品などで使えるデータベースが既にあり、一定程度ハイレベルで標準化されているデータベースであるため、PMDAに臨床研究中核病院の職員などを派遣して研修等を受講し、標準化の手法を学んでいます。その実施医療機関数をアウトプット指標と設定しておりしており、PMDAのスペース等を踏まえて、4機関を目標値とし、達成しています。

 次の指標7です。指標6と関連するのですが、そうしたPMDAで研修して技法を学んだ方がその技術を病院に還元し、実際に標準化されたデータベースを使ってどの程度研究が進んだかという指標を設定しています。こ4機関が研修を受けたので、目標値としては当然4機関ですが、令和2年度までに4機関で標準化されたデータベースを利用して研究を進めることを目標としています。

 

○医政局経済課

 続きまして、指標8は、バイオシミラーに関する講習会の開催数をアウトプットとしています。バイオシミラーに関しては、後発品のバイオバージョンで考えていただくのが、簡単なイメージかと思います。化成品と異なり、バイオの場合には基礎的な技術が必要になります。また、バイオ後続品なので、化学品とは若干違う性質を有しているところがあり、実際に使う医師、薬剤師、患者といった方が、そもそもどういうものなのかがよく分からなくて、実際にバイオシミラーを使っていいのかどうかも含めて、よく分からないという現状がございます。そういう中で、バイオシミラーの基礎知識を普及することは、バイオシミラーを活性化させていく上で重要ですので、講習会を実施しているところです。

 指標としては、令和元年度で10回以上を設定したのですが、令和元年度の実施回数は7回となっており、目標は達成できておりません。ただし、平成30年度までの講習の対象者は薬剤師、患者を中心に実施していたのですが、令和元年度は、それに加えて実際に処方される医師も含めて講習会を始めました。逆に言うと、新しく医師を入れましたので、資料の準備などに時間がかかったため、実施の回数という観点では少し目標値を下回っておりますが、バイオシミラーを理解し、普及を進めていく観点では、対象者が広げられたことで、一定程度有効に機能していると考えています。

 指標9はバイオシミラーの品目数です。こちらは、バイオシミラーの製品として承認された数を指標としています。目標値としては、平成29年度は5品目だったところ、令和2年度までに倍増し10品目以上としていましたが、令和元年度の時点で12品目ということで、目標が達成されている状況です。指標9については、バイオシミラーの研究開発支援は有効に機能していると考えられます。

 

○説明者医政局経済課

 達成目標2の後発医薬品の使用促進に関してですが、指標10は後発医薬品安心使用促進事業の実施都道府県数を設定しています。後発医薬品の使用促進に当たっては、地域ごとの特徴がありまして、各地域で取組を行っています。令和元年度の目標値として、前年度の41都道府県以上としており、令和元年度実績値は42都道府県ですので、目標を達成しています。

 続いて指標11は後発医薬品の使用割合を設定しています。2017年の骨太の方針において、20209月までに後発医薬品の使用割合を80%以上とするという目標が定められています。まさに今月がその目標の達成月になるのですが、昨年度の薬価調査の結果で76.7%という数字が出ております。前回の平成30年度より4ポイント程度の伸びがありますので、このまま順調にいけば、今年度で80%を達成できるのではないかと考えています。まだ結果は出ていないのですが、これまでの伸び率等を考えると、恐らく達成できるということで、目標達成と仮置きをしています。

 

○印南座長

 ただいまの説明に関して、御質問、御意見等があればと思いますが、いかがでしょうか。

 

○大西委員

 この施策目標に関しては幾つかあるのですが、1つずついきます。まず、指標2の研究に係る提供計画の減少要因が、直接的には省令改正の影響があるということは、個人的にも再生医療関係の厚労省事業などに別の事業で関わっておりまして、何となく背景としては理解できるのですが、COI管理などが厳格化されて、提供計画とかCOIの管理計画とかを作るのが大変になり、それが影響しているというようなところは想像がつくのですが、大学の先生などと話をしていると、特にアカデミアの関係で臨床研究法などの施行の影響もあって、特に、これでは特定臨床研究などはなかなか策定、実施することはできないよねという、若干、怨嗟の声に近いような意見も聞く機会もあります。

 この提供計画の令和元年度の減少が、省令改正の影響による一時的なものなのか、それとも臨床研究全体が臨床研究法の施行の影響もあり、やや、停滞しつつある状況にあるのか。それは、必ずしも停滞や数の減少が悪いわけではなく、今まで水ぶくれになっていたような質の低いプロトコルが淘汰されていくのであれば、それはそれで逆に質の向上につながる面もあると思います。しかし、そういう政策効果を超えて、逆に革新的な医療技術の実用化にもつながるような再生医療を含む臨床研究全体の停滞化傾向にまで、弊害として進展していくことがあると、これは逆に政策のベネフィットよりもリスクのほうが大きくなってしまうというところも危惧されるものですから、その点に関して担当課として、直接的には再生医療の研究の提供計画の減少という一時的な減少から、今後の再生医療を含む革新的な医療の実用化に関して、どのように傾向を分析して、どのような対策が必要になると考えておられるかに関して、所感をお伺いできればと思います。

 

○医政局研究開発振興課

 御指摘のとおり、臨床研究法が施行されることによって、手続が重くなり、ご指摘のような声があることは承知しています。

 ただ、もちろん臨床研究法ができた背景などを考えますと、被験者保護という観点から、やはりこうした法律が必要であり、質の低い研究が淘汰されたのか、それとも研究全体が淘汰されたのかは、今後分析しなければならないと思っております。もちろん、手続が二重になっているなどがあれば、そうした点は運用の中で改善しないといけないと認識しています。特に再生医療に関しては、再生医療法の見直しの議論も去年から続けておりますので、そうした中で、要因分析をしながら、どういった形であれば、より質の高い研究が進むのか、どういう政策が必要かというところを検討していきたいと考えております。

 

○大西委員

 達成目標2の後発医薬品の使用促進に関する指標10の話なのか、指標11の話なのか判断がつきませんが、全体としては全国目標の80%に近付きつつあるということは好ましい傾向かとは思いますが、まだ都道府県単位で見ると使用割合が目標値を下回る都道府県があるとのことでした。個人的に、親が遠方で使用割合が低い県で一人暮らしをしているものですから、そこの県の使用割合動向は気にしておりまして、先日70%を超えたというニュースを見ました。そういった地域的な使用割合の差、なかなか増加していかない傾向の強い地域、都道府県について、要因分析と使用率向上の対策はお考えになっているのかどうかをお伺いできればと思います。

 

○医政局経済課

 後発品の使用割合について、都道府県別のデータについても、本来、後発品の使用割合自体は薬価調査のデータで数字を拾っているのですが、それとは別に調剤メディアスデータというものがございまして、そちらは都道府県単位で数字が出ますので、そちらで数字を見ております。

 全体的な伸びとしては、全ての県が大体平均的な伸びと同じような動きをしていまして、もともとのスタートが低い所が、まだ追い付いていない状況が見て取れます。使用割合の低い都道府県については、重点事業として、今年度は9都府県を選定して、今ここに載っている42の取組のほかに、更に上乗せをするような取組を行っていただいております。例えば、協会けんぽと協力した差額通知の発出や病院ごと、薬局ごとに、後発品の使用割合が低い病院・薬局についての分析をし、そういった所に使用を促すという取組を行うことによって、全体的な底上げを図る事業も行っています。

 

○印南座長

 ほかにはいかがでしょうか。私からですが、まず、これは医薬品産業も入るわけですよね。産業の振興ですよね。これは恐らく内資のことを言っていると思うのです。新薬創出加算を入れて、もう10年ぐらいになるわけです。この間、内資企業の新薬開発件数、例えばフェーズ2とかフェーズ3までいっているパイプラインの数などは指標にしないのですか。あるいはそれは把握できないのでしょうか。一般的な新薬開発の状況は、これでは分からないと思います。これが1つです。

 2つ目は、バイオシミラーについてですが、バイオ医薬品そのものについては何も指標がないと思うのです。これは完全に海外任せなのでしょうか。このバイオ医薬品自体を日本で振興する意図とか、施策というのは考えられているのでしょうか。難しいのは分かっていますが、いかがでしょうか。

 3つ目は、後発医薬品です。おっしゃっていることは分かりますが、これは国が閣議決定で決めた80%という目標に対して、どの都道府県も協力しなければいけないはずです。毎年1件ぐらいずつしか増えないのは、やはり変です。それなりにみんな低いところから頑張っているのだという。これも、残っているのはせいぜい45で、直近は都は入っていなくて府県ですね。それについて公表するだけが能ではありませんが、そういう政策を取らない限り、毎年1件ずつ増えていることで満足しているというのは、何か変だなという感じがします。明らかに意欲がない県があるのは知っていますし、地元の医師会、薬剤師会があまり協力的でないとか、いろいろあるのは分かりますが、何かもう少し強力にできるのではないかと思います。ここの部分は意見です。最初の2つは施策がないのか、それを指標化する必要があるのではないかということなのですが、いかがでしょうか。

 

○医政局経済課

 新薬、バイオ医薬品の指標については、おっしゃるとおりだと思うのですが、指標とするのは、実際は恐らくなかなか難しいところがございます。パイプラインという観点からですと、各製造販売業者、民間企業が実際に開発を進めていますので、それぞれの会社が出してくれればいいですが、なかなか難しい。

 

○印南座長

 具体的に何をやっているかは、企業秘密だから絶対に出さないと思うのです。でも、持っているパイプラインの数や治験の数といったものは抽象的には出せるはずだと思うのですが、それも拒むのでしょうか。そうすると、新薬創出加算をもらっている意味がないのではないかと言いたくなってしまうのですが。

 

○医政局経済課

 そうですね。そこの部分については、どういう形で指標化できるのかというのは内部で検討させていただきたいと思います。

 2点目のバイオ医薬品ですが、こちらは特にバイオ全般という形で、今回は指標を設けておりません。基本的にバイオの医薬品に関しては、日本は世界から見れば、どちらかと言うと遅れているという現状がございます。それは国内に、そもそもバイオの技術を持っている方が余りいらっしゃらない。そのような状況なので、まずはバイオシミラーの技術、バイオシミラーも原薬はほとんど日本で作られていない状況で、海外から原薬を買ってきてから製剤化していくという、その製剤化の部分だけを国内でやられているというような現状になっています。

 そこの部分、まず基礎的なバイオの技術というのを、バイオシミラーの研修、これは実際に製造するところも含まれていますので、そういうところも含めてバイオ全体として底上げをしていきたいということは、施策の中には含まれております。ただ、今バイオの医薬品全体の指標に関しましては、現在は設けられていないという現状にございます。

 

○印南座長

 調べると、どんどん長期収載品の比率が下がってきていて、先発品の割合が増えているのですが、その中でも増えているのはバイオ医薬品なのです。このままいくと、医薬品産業の振興ではなくて、もう医薬品産業の危機、日本国内は危機ではないかと思ったりするのですが、韓国は共同工場のような話が過去にあって、成功しているのかどうかはよく分かりませんが、そういった思い切った施策が必要なのではないか。これは単なる意見です。そのように思います。

 

○医政局経済課

 おっしゃるとおりかと思います。特にバイオ医薬品の技術は非常に重要だと思いますので、是非応援いただければと思っております。ありがとうございます。

 

○井深委員

 指標1について、コメントさせていただきます。これは目標を達成されていて、平成30年度から令和元年度に2件の上昇があって、その背景には手続の緩和等の効果があっただろうということで、達成というのは分かるのですが、同時に経年での変化を見た場合に、平成28年度が基準年度として書かれているのですが、そこからの変化を見ると、必ずしも毎年上昇しているというわけでもないと思います。

 そもそも、目標を達成したかどうかを判断するときに、前年度と評価年である令和元年度の比較をもって評価することが適切なのか。もう1件は、恐らくこれはとても件数が少ない案件ですので、年の変動というのはある程度あることは十分に考えられることなので、これぐらいの少数の件数しかないような場合に、前年度以上という形での目標を設定するということが、果たして目指している方向性として合致するのか。必ずしもそういうわけでもないのかなという気もしまして、その辺を教えていただきたいと思います。

 

○医政局研究開発振興課

 おっしゃるとおり数が非常に少ないということもあって、どうしても変動が年によってあります。手続を緩和したのはつい最近なので、それの影響がどれぐらい出るかというのは、もうちょっと見なければいけないとは思っております。指標の設定について、前年度以上を機械的に当てはめるのが妥当かどうかについては、来年度以降の要検討事項であると思っております。

 

○印南座長

 ほかはございますか。1つ言い忘れたのですが、後発品医薬品で、諮問会議で自分自身がプレゼンする関係がありまして調べたのですが、正確な記憶ではないのですが、これは都道府県別に見られていますが、例えば大学病院別に見ると、慶應病院が全国断トツで低くて、40数パーセントしかありません。大学病院全体が低いかというと、そうではなくて、90%を超えている大学病院もあるのです。なので、病院別に見ると、一部の病院が極めて低い。それが大体都市部に集中しているので、都市部の使用割合も低くなってしまう。これがダブっているのです。

 保険者別に見ると、協会けんぽもそうですが、やはり大都市が低いのです。更に健保組合で見ると、製薬企業の健保組合が非常に低いです。これは、ある意味では当然だということはよく分かります。加えて共済組合を見ると、厚生労働省の共済組合が低いとか、これだけ推進する立場にあって、こういう低い数字は若干問題ではないか。こういうことを全部名指しするというのがいい方法かどうかは別として、都道府県別以外にもターゲットを絞る施策が必要なのではないかということは、コメントとして言いたいと思います。

 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の御議論を実績評価書に是非反映させてください。次にまいります。施策番号Ⅰ-10-1、「地域住民の健康の保持・増進及び地域住民が安心して暮らせる地域保健体制の確保を図ること」について、御説明をお願いします。

 

○健康局

 健康局保健指導室の加藤と申します。よろしくお願いいたします。私からは、お手元の資料5-1に従いまして御説明を差し上げます。施策目標名ですが、地域住民の健康の保持・増進及び地域住民が安心して暮らせる地域保健体制の確保を図ることとなっています。

 施策の概要ですが、地域保健従事者の人材確保及び資質の向上を図ることで、地域保健体制の確保を図るために実施しています。

 施策実施のための背景・課題ですが、地域保健対策については、急激な少子高齢化の進行などにより、地域保健をめぐる状況は大きく変化しています。また、昨今、大規模災害や新型コロナウイルス感染症対策といったところにも対応が求められています。こうした状況を踏まえ、地域保健に関する新たな課題に対応できるよう、一層の体制整備を図っていくことが、現在、課題となっています。

 各課題に対応した達成目標ですが、達成目標/課題との対応関係では、少子高齢化の進行などの環境変化による、新たな課題に対応できる地域保健体制の整備等を図ることにより、地域保健対策を推進することを目標としています。この設定の理由ですが、今後も地域で増加する健康課題に対応する保健師について、適正な人員確保を推進するとともに、地域の保健師の資質の向上がより一層図られるよう、より質の高い研修を実施するなど、効果的・効率的な実施を目指して、必要に応じた施策を講じていくことが必要であるためです。施策の予算額・執行額等は、この表のとおりです。

 続きまして、達成目標の指標についてです。指標1につきましては、保健所保健師及び市町村保健師数、これは地域保健・健康増進事業報告という報告がございまして、それによるアウトカムになっています。指標の選定理由及び目標値の設定の根拠ですが、各地方自治体においては、がん対策、感染症対策、介護予防、児童虐待予防、自殺対策など、今後も増加する保健師業務に対応するため、保健師の人員確保に努める必要があることから、その数値を向上させることを目標としています。基準値、実績値、目標値については下の表のとおりですが、年度ごとの目標値については前年度以上ということで設定しています。平成27年度から令和元年度までですが、全ての年度において前年度の人員を上回っています。

 指標2については、市町村保健師管理者を対象とした研修の受講者に対して実施したアンケートにおいて、今後の管理者として必要な能力の発揮に役立つと思うかという質問項目を設け、それに回答した割合を指標としています。その結果ですが、各地方自治体においては、先ほど申し上げた様々な各種課題に対応するために、保健師自身も資質の向上に努める必要がございます。研修内容が充実していることについては、保健師の資質向上につながると考えられます。特にこの管理者を研修対象にしていることについては、リーダーシップやマネジメントといったところの能力を身に付けていただき、新人期の保健師又は中堅期の保健師の人材育成を図るということでも効果があるものと思っています。年度ごとの目標値については、平成27年度、平成28年度が80%以上、平成29年度以降については100%、令和元年度は100%に達しています。

 次の2ページにまいります。評価結果と今後の方向性です。目標達成度合いの測定結果については、目標が達成されたと考えています。総合判定についても目標達成ということです。判定理由につきましては、指標1については、令和元年度についての実績値は集計中ではありますが、平成27年度から平成30年度までは各年度、目標を超える保健師数を確保することができています。目標を達成しているとみなすことができると考えています。指標2については、研修受講者向けのアンケートで、今後、管理者として必要な能力の発揮に役立つと思うかという質問に対し、「そう思う」という回答が、令和元年度では100%となったことから、目標を達成していると考えています。以上を踏まえまして、保健所保健師及び市町村保健師の確保につきましては、目標を達成したと評価しています。

 続きまして、施策の分析です。有効性の評価について、指標1については、現在、令和元年度の実績値を集計中ですが、保健所保健師及び市町村保健師については、平成27年度以降の各年度において、前年度実績に比べて増加していますので、年度ごとの目標値が達成されていることから、有効に機能していると考えています。また、指標2ですが、令和元年度については目標値を達成したところであり、目標を引き続き達成するために、なお一層の取組が必要であると考えていますが、市町村保健師向けの研修の受講者アンケートでは、必要な能力について役立ったという回答が、おおむね9割以上であることから、増加する保健師業務に対応する上で有効に機能していると考えています。

 効率性の評価ですが、指標1については、保健指導従事者の効果的かつ柔軟な保健指導技術といった質の向上を図るために、地方自治体が実施する研修といったものを支援しています。そういったことを予算措置している中で、保健所保健師及び市町村保健師について増加傾向が続いており、効率的な取組が実施できていると考えています。指標2については、市町村の管理的立場にある保健師に対して、保健師の管理者として効果的な活動を実施することが求められています。その資質の向上を図る上で必要な知識を付与する研修を実施していますが、こちらが一般競争入札のほうで業者を決定していて、競争性の確保にも努めています。

 現状分析ですが、指標1に関し、地域で増加する健康課題に対応する保健師の適正な人員確保については、市町村及び都道府県の地域保健の取組が十分に果たせるよう、必要な技術的及び財政的支援を講じており、保健師数は毎年度目標値を上回って増加していることから、地域保健体制の整備に寄与していると考えられます。指標2に関し、地域の保健師の資質の向上については、自治体主導での保健師育成を促進するため、中堅期保健師や新人期保護師の育成にも影響を与える、管理的立場にある保健師に研修を行っていて、その研修のアンケート結果は、ためになったというのが増加傾向にあります。令和元年度については目標値を達成していることから、地域保健体制の整備に寄与していると考えられます。

 最後に、次期目標等への反映の方向性ですが、目標達成に向けた施策の効果が現れていることから、今後も関係施策を効率的に進めることで、引き続き施策目標の達成を目指していきたいと考えています。説明は以上になります。

 

○印南座長

 ありがとうございました。御質問、御意見等があればお願いいたします。

 

○宮﨑委員

 今、現在、本当に新型コロナの対応で御尽力されているところだと思います。その中で改めて、この保健師という職種の重要性というのが非常に社会にアピールされている。そういう昨今であると思います。それで、2点伺いたいのですが、まず指標1では、これは令和元年度の評価ということなので、達成ということで「○」になっていると思います。数的には確かに増えている。でも、主に増えている分は市町村だと思われます。市町村合併以降、市町村の保健師が充足され、また市町村にいろいろ具体的な業務、住民にとって身近な業務が降ってきていますので、そういう点からも市町村の保健師というのは割と潤沢になってきている。

 だけど、保健所の保健師はどうかというと、数的には若干増えていなくはないけれども、今回のコロナでその脆弱性というのは明らかになりました。また、その少し以前から見ると、東日本大震災であれだけ本当に大変なことになった1つの理由は、東北地方の保健所に保健師が23人しかいなかった。その23人が被害に遭ってしまった。本当に保健所の保健師が十分に配置されていない。平時はいいのかもしれないけれども、危機に対する人材の脆弱性というものが、東日本、そして今回のコロナということで露呈したと思います。

 だから、ここはもう少し強化して、今後の施策の方向性という所には、強化ということは書いてくださっていますが、ここで特に保健所の人材配置を本腰を入れてやっていかないと、これからいろいろ大きな災害が毎年起こったり、新興感染症が次々に来たときに、太刀打ちできない、後手に回るというようなことがあるかなと思います。ですので、本当にここは強化してもらいたいという意見になりますが、お願いしたいと思います。

 それから、指標2ですが、これはアンケートを評価根拠にしていて、アンケートから見ると確かに達成となりますけれども、私は、このリーダー的な立場の市町村保健師の存在はとても重要だと思います。私も研修に関わっていますが、出席率という点で出席できない市町村があるのです。今日、突然の業務が入ったから行けませんという形です。だから、毎年、出ている市町村もあるけど、ここ数年出ていませんという市町村があるのです。ですから、この指標の有り様という点で、そういう研修に出席しているのかどうかを、もっと取り上げるべきではないかと思います。そして、そういうことをちゃんと市町村の首長に課していくと言いますか、それぐらいの指導力を持って研修にしっかりと出席いただきたい。特に、管理的な人、リーダー的な人の考え方や部下に対する指導力は、全体に影響すると思うので、ここの指標の有り様はもう少し御検討いただきたいと思います。例えばということで、研修への出席率などを御検討を頂けるといいのではないかと思います。

 

○印南座長

 ほかに、いかがですか。私から1つ、今回の新型コロナの感染症問題で、保健所と医療機関との連携が結構問題になったと思います。そちらについて今後、例えば医療機関との連携に関する指標を作っていただいて努力しないと、似たような感染症が出てきたときに、また同じことになってしまうのではないか思います。ですから、ほかにもまだ考えるべき指標があるかもしれません。特に新型コロナ感染症問題は、保健師の役割や機能の重大さなどに対して、今までとは全く違う認識を生んだと思いますので、これを機会に是非、新しい指標を開発して充実するように努めていただきたいと思います。それから、ICT化です。これは別に保健所だけではないと思いますが、特にこの問題がクローズアップされているのではないかと思います。ほか、いかがでしょうか。

 

○河北委員

 一言だけ意見を述べます。生きていくというのはなかなか大変なことだと思います。こうやって地域住民が健康を保持して増進し、地域住民が安心して暮らせるというのは一体何なのか。これは保健行政だけでできることではないのです。一体、日本人は幾つまで生きなくてはいけないかという感じが、私はとってもするのです。だから、健康というのは身体的、精神的、社会的に健康であって、かつ、どうやって自分が亡くなっていくか。自分らしく生きて自分らしく死ぬということも、自分らしく生きる最後のステージだと私は思うので、そういうことも踏まえた施策というよりも、生き方を国民と一緒に考えていくことが大切だと思います。

 

○印南座長

 ほか、よろしいでしょうか。それでは、本日の議論を踏まえて実績評価書への反映をお願いしたいと思います。続きまして、施策番号Ⅰ-10-3、「総合的ながん対策を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。

 

○健康局

 お時間を頂きましてありがとうございます。厚労省健康局がん・疾病対策課長の古元と申します。よろしくお願いいたします。着座にて失礼いたします。それでは、実績評価書、資料6-1を御覧ください。施策目標名としては、「総合的ながん対策を推進すること」です。がんは生涯のうち、2人に1人ががんに罹患すると推計されていて、健康にとって非常に重要な課題です。このうち、施策の概要にも記載しましたが、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生、この3つの柱に沿いまして達成目標を設定しています。

 資料1ページ目の中ほどですが、各課題に対応した達成目標として、目標1はがん予防に係るがん検診です。がん検診を受けることでがんの早期発見・早期治療により、必要かつ適切な診療につながり、がん死亡者の減少を目指すということ。目標2はがん医療の充実です。がんゲノム医療等を推進し、個人に最適化された患者本位の医療を全国どこにいても受けることができる体制を目指しています。達成目標3は、ライフステージに応じたがん対策を推進することで、仕事と治療の両立ができる環境を整えていこうということです。

 それでは、具体的な目標値の達成状況について御報告申し上げます。資料の2ページを御覧ください。今回、がんにつきましては指標を7つ設定していますが、指標1はがんの年齢調整死亡率です。こちらについては記載のとおり年々低下している状況です。指標2はがん検診受診率です。こちらは男女共に基準年である平成28年より、受診率は向上しています。 

 次の3ページですが、指標3は精密検査受診率です。こちらにつきましては胃がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん検診につきましては目標値の80%を超えています。大腸がん検診につきましては平成27年度に比べて向上している状況です。指標4からは達成目標2に係る内容です。がんの年齢調整死亡率については年々低下しています。指標5ですが、がんゲノム医療中核拠点病院等を設置した都道府県の数につきましては、令和元年度時点で前年度以上を達成している状況です。

 4ページからが達成目標3、すなわち仕事と治療の両立に係る指標です。指標6、仕事と治療の両立ができる環境と思う人の割合については増加しています。指標7、がん診療連携拠点病院において、「治療と仕事両立プラン」等を活用して支援した就労に関する相談件数についても、記載のとおり増加している状況です。

 こうした指標の現状の評価に基づき、総合判定を記載しています。4ページの下段ですが、達成目標2、すなわちがん医療の充実と、達成目標3、がんとの共生に係る指標については目標を達成しています。他方、達成目標1、すなわちがん予防につきましては、がん検診の受診率及び指標3の精密検査の受診率について、目標は達成できていません。ただ、令和4年の目標値に向けて徐々に改善が確認されていることから、達成に向けて進展がありと判定させていただいています。なお、達成できていないがん検診受診率につきましては、受診率向上に効果の大きな個別の受診勧奨、再勧奨などの取組を行っています。また、受診率向上施策のハンドブックなども公表しまして、効果的な受診勧奨の取組を進めているところです。

 指標3、精密検査受診率については、郵送や電話による個別の受診再勧奨を行っています。また、精密検査の未受診者を特定し、効果的な受診勧奨を行うなど、精度管理の取組を進めていきたいと考えています。

 最後、6ページです。次期目標等への反映の方向性ですが、今後、がん対策推進基本計画、現在、第3期の計画ですが、そちらの中間評価を今年度より行う予定です。また、次期、すなわち第4期のがん対策推進基本計画の策定に向けて必要な取組について検討を行い、より一層のがん対策を進めていきたいと考えています。説明は以上です。御協議、よろしくお願いいたします。

 

○印南座長

 御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

 

○河北委員

 このがん検診について私の意見を述べたいと思います。さっき古元さんがおっしゃったように、がん検診というのは早期に発見して早期に治療し、死亡率を低下させるということが目的ですよね。ところが、我が国のがん検診で推奨されている検査の中身というのは、国際水準を満たしていないということは恐らく御存知だと思います。未だに国際水準を満たせないような検査の項目が残っているということは悲劇です。私、厚労省に何回か行って、例えば肺がん検診について、私の所の検診センターで肺がんの見落としということを言われましたけれども、見落とした写真と、見落としでない写真の区別すら付かないレベルの話です。肺がんというのが単なる胸部のエックス線写真で、検診で見つかる比率はものすごく低いというのが事実でありながら、未だに胸部のエックス線写真を推奨している。これは犯罪行為だと私は思います。なぜ低線量のCTに変えられないか。低線量のCTを持っていない所が検診をやっているということで、結局は、そこに引きずられている検診なのです。これは国の施策の間違いです。

 あるいは、消化管のがんというのは、当然、内視鏡に移らなければいけない。バリウムで映るようながんというのは進行がんだけです。初期のがんなどは映らない。早期のがんを発見するのであれば、消化管だったらば内視鏡を推奨するというのは当然のことだと思います。あるいは前立腺がんだって、血液を採ればある意味で分かるわけですが、そういうものは推奨されていない。それから子宮頸がんに関しては、これはウイルスですからウイルスを発見することが一番の基本です。乳がんはマンモグラフィーに加えて、恐らく高密度の乳腺もあるので超音波を併用する。推奨する項目が間違っていて、がん検診を受けろと言うこと自体が間違いなので、できるだけ早く推奨する検査を変えたほうがいいというのが私の意見です。これは厚労省の怠慢だと思います。OBも含めての話ですけれども、それが一番の問題です。

 それから、がんの治療に関しては、治さなければいけないがんというのは治療をちゃんとすべきだと思いますけれども、これからの社会はがんと共生をしていくことがとても大切なので、本当に共生していくがんの治療をピンポイントで作っていくことを我々は真剣に考えなければいけないだろうと思います。そのときに、我が国で患者さんがどのぐらい放射線治療を受けている率が、欧米に比べて非常に低いのです。欧米は大体6065%ぐらい、がんの患者さんは放射線治療を受けています。我が国は25%なのです。この辺の差です。だから放射線治療装置をたくさん買えば、あるいは配付すればいいというものではなくて、できるだけ効果的に放射線治療が受けられるような体制を作っていくことも大切だと思います。ですから、がんに関して我が国はまだまだ後進性ではないかなと思っているので、是非、これはできるだけ早く変えたほうがいいし、効果は出ます。お願いします。

 

○印南座長

 ほかに、いかがでしょうか。質問ですが、前立腺がんのPSAでしたか、WHOも推奨していないし厚生労働省も推奨していないのに、一生懸命やっている自治体がたくさんあります。こういうのに対して、もちろん必要なものはやっていただかなければいけないと思いますが、ほとんどやる意義が乏しいと専門家が言っているのに自治体がやっているというのは、ある意味で医療資源の無駄ではないかと思います。こういうのに対する対策というか、そういうことはお考えでしょうか。

 

○健康局

 ありがとうございます。がん検診につきましては基本的に、特に税金を使った政策として行われる検診については国が指針をお示ししています。これは集団の死亡率減少効果が確認されて、かつ、メリットが検査のデメリットを上回る、こういった考え方で、今、座長から頂いたPSAについてのエビデンスは、現時点で十分ではないという評価になっています。ただ、市町村単位でPSA検査が行われている所があるという事実は、私どもは認識しています。ただ、国としては、まずはこの指針に定められたものをきっちりやっていただきたい。こういったことを引き続きPRしていきたい。

 あと、がん検診そのものについては、既に一般財源化をされている事業ですので、そこは市町村の判断で行われる面はあると思います。とはいえ、検査のメリットとデメリットを科学的に御判断の上で行っていただきたいので、機会あるごとに御説明はさせていただいています。

 

○印南座長

 やはり地方自治の壁ですか。

 

○健康局

 壁と申しますか、エビデンスに基づいた検診をしていただきたいということを申し上げ続けるしかないと思っています。

 

○印南座長 

 ほかに、いかがでしょうか。お願いします。

 

○井深委員

 がん検診の受診についてですが、今、河北委員から項目について御指摘がありました。それは私のほうでは分からないのですが、そのこととは別に受診率を向上させることに対して、これから更に受診率を向上させる目標があると思います。がん検診の受診率というのは、市町村によってもかなりばらつきがあると理解していますけれども、そういった場合、受診率が高い自治体ではどういう取組をしているのか調べて、それに対して、そうした効果的な方法を広めていくやり方というのは、考えられるのではないかと思います。こちらに記載されているクーポンや個別の受診勧奨といった項目以外に、そういう市町村の取組として成功している事例があれば教えていただきたいと思います。

 

○健康局

 お答えします。厚生労働省で「受診率向上施策ハンドブック」を公表しています。その中に各自治体の好事例をまとめているものがありますので、それを全都道府県や市町村に周知しているので、その中から、各自治体でやり方はいろいろあると思いますけれども、取り入れられそうなものを実践してくださいということで周知を図らせていただいています。

 

○井深委員

 ありがとうございます。素晴らしい取組だと思いますが、実際にその資料を配布された後に、受診率が向上したという評価は得られているのでしょうか。

 

○健康局

 このハンドブック自体、昨年の平成314月に第2版を公表していますので、受診率の状況につきましては、今後、反映されていくので、そこで判断させていただきたいと思います。

 

○井深委員

 では、次回の結果を楽しみにしています。

 

○印南座長

 ほかに、いかがでしょうか。それでは、ありがとうございました。本日の議論を踏まえて実績評価書への反映をお願いいたします。時間も押してきていますが、最後のテーマです。施策番号Ⅰ-1-2、「効率的かつ質の高い医療を提供するために病床機能の分化・連携を推進するとともに、在宅医療・介護連携を図り、地域包括ケアシステムを構築すること」について、御説明をお願いします。

 

○医政局

 医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長の長谷川です。座って失礼いたします。それでは、資料1-1、厚生労働省Ⅰ-1-2ですが、この資料に基づき御説明申し上げます。まず施策目標名ですが、「効率的かつ質の高い医療を提供するために、病床機能の分化・連携を推進するとともに、在宅医療・介護連携を図り、地域包括ケアシステムを構築すること」です。基本目標は、「安心、信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること。施策大目標1、地域において必要な医療を提供できる体制を整備すること」です。

 施策の概要ですが、医療法に基づき、国は基本的な方針を定め、都道府県が方針に即して、地域の実情に応じて医師提供体制の確保を図るための計画を定めることとなっております。また、消防法において、都道府県は傷病者の搬送、受入れの実施基準を定めることとしております。また、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法において、ヘリコプターを用いた救急医療の全国的な確保を図ること。介護保険法における市町村の地域支援事業に、在宅医療・介護連携推進事業を位置付け、市町村を主体とした在宅医療と介護の連携を図ることとされております。

 施策実施のための背景・課題ですが、1番として、少子高齢化の進展に対応するため、地域における医療機能分化・連携を推進するための医療提供体制の構築が課題。2番として、高齢化の進展に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ要介護者や認知症高齢者が増加するなど、医療・介護を一体的に提供できる体制が求められており、医療及び介護の連携の必要性はこれまで以上に高まっているというところです。なお、各課題に対応した目標設定ですが、目標1に関しては、医療計画に基づく医療提供体制の構築、目標2は在宅医療・介護連携の推進となっております。施策の予算額・執行額はお示しのとおりです。

 各指標について御説明申し上げます。まず達成目標1については、9つの指標を設定しています。指標1ですが、救急搬送前に一般市民が目撃した心原性心肺停止者の1か月後生存率(救命率)です。こちらについては、救急医療は直接患者の生死に関わる医療であって、救急患者を円滑に受け入れ、早期に治療を行うことで生存率の向上を図ることが重要だということで、指標を設定しています。実績値を見ていただくと、年々改善傾向が見て取れます。

 続いて指標2です。指標2は、指標1の生存率を社会復帰率に変えたものです。こちらについても御覧いただいたとおり、年々増加、改善傾向が見られます。続いて指標3です。こちらは、災害拠点病院及び救急救命センターにおける耐震化率の状況ですが、年々増加しており、改善傾向となっております。続いて指標4、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATの養成数を指標としていますが、こちらについても近年5660と一定の割合で増加を図っているところです。

 続いて指標5です。無医地区等における医療活動の回数です。こちらについては、数字を見ていただくと平成27年が23,000件、平成28年が25,000件と増加し、その後やや減少が見られており、令和元年が23,000件となっていますが、無医地区自身が減少しており、それにより数が減っているものと考えています。続いて指標6です。周産期死亡率ですが、こちらについても年々減少、改善傾向です。指標7、幼児の死亡率ですが、平成29年がやや前年に比べて増加しているものの、長い目で見れば年々減少傾向と見て取れます。

 続いて指標8は、病院の立入検査における検査の遵守率ですが、こちらについては最近のところは集計中ですけれども、平成27年から平成29年までは改善傾向が見て取れます。続いて指標9は、地域医療構想において2025年における必要病床数を定めておりますが、それに対して実際の病床数を比較した割合を見たものです。こちらについては平成27年度が105%であったものが平成28年、平成29年は104.8%、平成30年はやや増加し105.3%となっています。分母は常に変わらないものですが、分子は医療機関からの有効回答数が増加しており、それによって少し増加が見られるというところです。

 続いて達成目標2ですが、こちらは指標を2つ用意しています。指標10、在宅医療を担う医療機関の数ですが、こちらは平成29年度の数字をお示ししております。指標11については、人生の最終段階における本人の意思決定を行うアウトカムです。なお、指標103年ごとの調査ですが、今回、判定不能となっておりますので、今後は訪問診療を行った数で指標を計測していきたいと思っております。また、指標115年ごとの調査となっておりましたので、こちらについては人生の最終段階のケアに関する人材育成の研修がありますので、この研修に参加された医療機関の数に変更していきたいと考えています。

 4ページは総合判定ですが、A判定としています。判定理由ですが、指標7、幼児死亡率と指標9、必要病床数に対する割合については達成できていない所があるものの、おおむね目標を達成していると考えています。また、有効性についてはおおむね有効に機能していると考えておりますが。指標5の無医地区の医療活動については、無医地区が減少することによっておおむね同水準で実施しており、有効に機能していると考えています。指標9、必要病床数については、達成の正確な把握は困難であるものの、実際に医療機関から得られた有効回答数が増加したことによるものであるので、今後も引き続き病床機能の分化・連携を図っていきたいと考えています。効率については、おおむね効率的に機能していると考えており、引き続き政策の推進を実施していきたいと思っております。

 最終ページの5ページです。現状分析については、救急医療体制の整備、耐震化、DMATの養成数は着実に増加をさせたい。また、無医地区における診療体制が十分でない地域もあるため、引き続き支援を行っていく。小児、周産期については整備を図っていく。検査における遵守の関係については、個別の遵守状況にも着目する必要があるので継続して行っていきたい。必要病床数については、今後2025年に向けて機能分化を図っていく必要がある。指標10ですが、在宅医療の需要の増加が見込まれるため、在宅医療体制の整備を行っていく。指標11、本人の意思決定を支援する医療機関の整備を図っていきたいと思っております。

 次年度以降の変更点については、先ほど御説明したとおりです。私からは以上です。

 

○印南座長

 ありがとうございました。御質問、御意見等はありますか。では、私から1ついいですか。無医地区なのですが、減少しているのは、日本の人口減少によって、地方でより人口が減少しているため、無医地区の定義に当たる人口すら確保できない地区が増えているからですよね。人口減少がスタートして、いつからスタートしたかというのはいろいろあるのでしょうけれども、2005年か2008年か、それからもう10数年たっているので、無医地区そのものの指標を見直す必要があるのではないかと思います。要は、医療へのアクセスですよね。この辺を何か変えない限りいろいろなものが、例えば医師偏在といっても、個人的な見解ですが、偏在していること自体が問題ではなく、必要な医療へのアクセスが得られないことが本当の問題であって、それを確保するためには別に箱物としての病院や、常勤の医師が全国にいる必要はなて、巡回や訪問診療などでカバーすればいいという話で、無医地区などの話も同じだと思うのです。

 だから、医政局は忙しいかもしれませんが、人口減少が起きて久しいので、そういう指標や定義の見直しをしないと、新しい内閣は地方を重視していますから結構すごい球が飛んでくるかもしれないということを、ちょっと危惧いたします。コメントです。

 

○医政局

 ありがとうございます。

 

○大西委員

 指標についてというよりは、この施策目標全体ということで、なおかつごく患者目線、国民目線からのオープンクエスチョンということで御理解いただければと思います。病床機能の分化・連携に関する現状の指標の設定の在り方についてです。今般の新型コロナ感染症の蔓延による一時的な感染症病床の逼迫という事象を受けて、測定指標や達成目標の在り方について、何らかの見直しをする必要性について担当課のほうで何か御検討なさっている事項はあるのでしょうか。逆にそういう一時的な事象をもって現状の指標の設定の在り方等について、根本的な変更を検討するような状況にないという、御判断や知見がおありになるのであれば、お伺いできればと思います。

 

○医政局

 御質問どうもありがとうございます。御指摘の点はごもっともだと思っております。実は、これまで今後の日本の人口の変化に伴って、各地域で病床機能の検討を頂き、基本的には人口減少に伴って病床数の削減が進む方向を皆様にお示しいただいていたところです。今般、新型コロナ感染症の関連で、医療機関で相当現場が逼迫した状況を私どもも把握しております。これを受けて、実は先般、厚生労働省で半年ぶりに医療部会を開催して、その中で多くの委員の先生から言われたことは、これまで地域医療計画、地域医療構想の関係の議論の際は、感染症に関して、特に新興感染症等について余り考慮してこなかったと。その点については反省の弁を述べられたり、事務局に対して今後きちんと検討すべきではないかという御意見を頂いたところです。

 つきましては、医療部会の中でも新型コロナを含めた新興感染症を考慮した今後の医療提供体制の在り方について議論、検討すきことについて、おおむねのコンセンサスを得られたと考えております。今後私どものほうで、事務局として議論を進めていきたいと考えております。恐らくその中で今後望ましい指標、施策の測定等について議論を進めていきたいと思っております。以上です。

 

○大西委員

 できましたら、長期的な医療提供体制の効率化を図れる病床機能の連携・分化ということは視野に入れつつ、突発的な事象の発生に応じた危機管理も図れる最低限度の冗長性は確保した病床計画の在り方について、御検討いただければと希望しております。

 

○医政局

 ありがとうございます。

 

○印南座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○河北委員

 今の感染症のことは昔、1972年だったと思うのですが、日中友好病院を寄付する際に、武見太郎氏が、未知の感染症が出てくることがあるから感染症に対応した病院にしておくべきであるとおっしゃっています。中国でSARSの感染が非常に広がったときに、SARSの患者さんを全員、日中友好病院に入院させ病院ごと封鎖したことで解決したという歴史がありますから、やはり感染症というのはいつ出るか分からないので、我々も考えていかなければいけないと思います。

 そこで、3つほどあるのですが、今回の地域医療計画、地域医療構想について、1985年に地域医療計画の話が出てきたときに、実は私は既にそういったことに関係していたので、二次医療圏をどのように設定するかを具体的に東京都医師会と話をしたことがあります。杉並区の人口は57万人ですが、今回のコロナに関しては、ほとんど杉並区とやり取りをしました。特に東京の場合なのかもしれないですが、二次医療圏なんて何も関係なかったのです。特に新宿区というのは大学病院が3つあるし、国立国際医療センターもあるので、そういった病院の一体機能を地域医療構想でどう考えていくか。自治体と二次医療圏の在り方について再度、調整会議の中に、より柔軟に省単位で考えるという検討会が設置されていると聞いていますので、二次医療圏だけで考えるのではなくて柔軟に考えた方がいいと思います。

 2番目は、こういう効率的かつ質の高い医療うんぬんというときに、データの議論が全然ないので、イギリスのようにデータを集められるような電子カルテの仕組みを考えたほうがいいと思うのです。せっかく菅総理がデジタル庁の創設を掲げているわけですから、どうやって医療のデータベース化をしていくか。今のDPCとか、あるいはビッグデータの話がありますが、やはり電子カルテから持ってくる方法が一番正当だと思うのです。イギリスはNICEという所が中心になりながら、特にプライマリーケアのデータは全て無料で電子カルテを配布して、その代わりにデータは一元管理する仕組みになっています。そうした仕組みが将来的に必要なのかもしれない。けれども、電子カルテを作っている、例えば富士通にしても、富士通の中で電子カルテの市場は非常に小さいのです。そうしたことが影響して、なかなか柔軟性のある電子カルテシステムが出来ていない。電子カルテというのは、データベースにつながらなければ意味がないので、ただ紙のカルテをデジタル化しただけのものでは意味がないと思います。

 最後ですが、例えば鳥取県は人口が55万人ですが、東西100kmあって、そこに総合病院が確か8つ程度あります。こんなものは全く必要ないです。総合病院は3つで十分なのです。真ん中と東西の端にあればいいのです。それで住民がとても困るかというと、しっかりした診断センターを残せばいいのです。入院ができる総合病院ではなく、8つ総合病院があるのだったら、しっかりとした診断センターを設置し、診断センターが5つの病院に代われば、アクセスは変わらないのです。入院のときに車かヘリコプターで搬送すればよいということです。今後そういうことを考えないと、非常に資源の無駄だと思います。

 

○医政局

 どうもありがとうございます。私から簡単に、1つ目は確かに御指摘のとおり、感染症に関して医療政策部門と基礎自治体との連携について、私どもも課題があろうかと思っております。私どもは今、厚労省でコロナ対策本部を立ち上げていますが、実は医療体制班については医政局のメンバーが中心になって対応させていただいておりますので、その点は重々状況を理解しているところです。

 2つ目のデータの関係については、DPCやナショナルデータベース等を用いて解析し、分析していますが、今後ふさわしいデータの在り方についても引き続き検討していきたいと思っております。

 3つ目の、都道府県における医療機能分化等の関係ですが、都道府県で病院の再編や機能分化に関して、御希望がある県に関しては私どもが全面的にサポートする重点支援を行っておりますので、こちらを通じて都道府県を支援していきたいと思っております。以上です。

 

○河北委員

 特に厚生労働省と総務省の調整はとても大切だと思います。

 

○医政局

 承知いたしました。

 

○印南座長

 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。大分時間も過ぎていますので、この辺りにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

○医政局

 ありがとうございました。

 

○印南座長

 議論を踏まえて実績評価書に反映させてください。

 

○説明者

 ありがとうございます。

 

○印南座長

 続いて議事次第2、「その他」として事務局より報告事項があるということですので、よろしくお願いいたします。

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐

 続いて事務局より御報告させていただきます。本年3月に持ち回りで開催させていただいた第27回政策評価に関する有識者会議で御意見を頂きましたが、それへの対応状況についての御報告です。御意見として頂いた総数は94項目でして、対応と回答したものが全体の約半数程度、今後検討としたものが23.4%、対応困難が20%程度、事実関係の照会が6%程度ということになっております。特に、このうち今後検討と回答した22項目について、現時点での検討状況についてこの場を借りて御報告させていただきます。

 別紙となっている今後検討という項目について、主に医療・衛生ワーキングに関するものが上段に書いてあります。先ほど河北先生からも御指摘がありました電子カルテの標準化について、春の会議でも御指摘がありました。これについては、先ほど医政局より回答があったかと思いますが、今、厚生労働省での標準規格の実装を進めていくことにしています。電子カルテ自体は多くの病院でも導入されておりますので、この標準規格の実装を進めていくことが必要ということで、今年度中を目途に工程を具体化しようと考えております。

 また、電子カルテの情報を患者様御本人が確認できる仕組みついても今年度中を目途に工程を具体化したいと考えております。これに関しても、具体的な指標を作るべきではないかという御意見もありましたが、実際に工程表が出来た後に、補助の対象となる標準規格に関して検討しているところで、今年度中に標準化のための具体的な方策の結論を得ることにしています。いずれにしても補助要件が決定され次第、測定指標の設定を検討したいという状況です。簡単ですが、以上です。

 

○印南座長

 ただいまについて御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。

 

○河北委員

 昔話ばかりで申し訳ないのですが、皆さんは、1974年に設立されたMEDISという財団法人は御存じですよね。大島正光先生が当時の通産省と厚生省に声を掛けて、共同で医療情報の電子化をやろうと言って作ったのが1974年ですが、それ以降、何も進んでいません。この46年間、本当に何も進んでいないのです。私は今、MEDISの理事をやっているのですが、もう風前の灯です。結局この約50年間、何をやってきたのだろうと思いますから、是非ガイドラインをしっかり示して、実際には医療の現場、民間でやるということが必要だと思います。そのため、民間で個別にやるのではなく、コンソーシアムのようなものを組まなければ、できないだろうと思います。

 

○印南座長

 ほかはよろしいでしょうか。それでは、ただいまの意見を踏まえてというのはちょっと難しいと思いますが、今後、対応の検討を行っていただきたいと思います。本日予定しておりました議事は、これで全て終了となります。時間を過ぎてしまったことは御容赦ください。それでは事務局より、本日の議論の取扱いについて説明をお願いいたします。

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐

 まず委員の皆様方、本日はありがとうございました。本日頂きました御意見の取扱いですが、まず実績評価書の記載に関する御指摘については、担当課において必要な修正を行うとともに、評価書の該当欄に反映状況を記載させていただきます。また、この会議の場で伝え切れなかった御意見等がございましたら、924()までに事務局まで御連絡ください。実績評価書については、当室で取りまとめの上、総務省への通知、また厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。併せて委員の皆様にも最終版を送付させていただく予定です。以上です。

 

○印南座長

 ありがとうございました。これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。