2020年9月18日 第9回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG 議事録

日時

令和2年9月18日(金)10:00~13:20

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

玄田座長、石田委員、岩佐委員、皆川委員

議事

 

 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
それでは定刻になりましたので、ただいまから第9回政策評価に関する有識者会議労働・子育てワーキンググループを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、本日お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
議事に入る前に、事務局から報告事項がございます。有識者会議委員についてですが、日本経済団体連合会の正木委員から、同じく日本経済団体連合会の池田委員に変更がありましたが、本日は急用のため御欠席とのことです。また、厚生労働省では、8月7日付けで組織改編を行い、政策統括機能の強化の一環として、政策評価官室を改め、新たに政策立案・評価担当参事官室を設置したところです。そのため、政策評価に関する有識者会議の庶務につきましても、従前の政策評価官室に代わり、今後は政策立案・評価担当参事官室が担当することとなりました。また、事務局の体制にも変更があり、生田参事官及び飯島政策立案・評価推進官が着任されましたので、それぞれ御挨拶申し上げます。
 
○政策立案・評価担当参事官
生田でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価推進官
飯島でございます。よろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。また、念のためお手元にも紙資料を御用意しておりますので、適宜便利なほうをお使いください。資料となるファイルは、タブレット上では「マイプライベートファイル」に格納されております。
それでは、本日の議事進行につきましては、座長の玄田先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
改めましておはようございます。本日も、どうぞよろしくお願い申し上げます。会に先立ち、座長として事務局に2点ほどお願いを申し上げたいと思います。本日池田委員が御欠席と伺っておりますが、大変重要なワーキングですので、もし御欠席の場合には代理の方を御検討いただくなど、是非池田委員にお伝えいただき、今後対応についてもお考えいただきたいと思っております。
もう一点。渥美委員からは、本日の御出席について必ずしも正確な御回答を頂いていないと理解しておりますので、この点の出欠については事前に必ず御連絡いただくよう、座長から強い要望があったことは委員にお伝えいただけますでしょうか。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
承知いたしました。2点賜りましたので、今後対応させていただきます。
 
○玄田座長
ありがとうございます。それでは早速、議事に入りたいと思います。本日は議事次第にありますとおり、7つのテーマの実績評価書案について委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
それでは配布資料及び、「令和2年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局より御説明をお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
議事の進め方について御説明いたします。タブレット上での御説明となります。ファイルの01の議事次第、紙資料は一番上に付いている議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)の1~7の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行い御議論いただきます。テーマにより、多少お時間が異なるかと思いますが、まず、担当課より5分程度で簡潔に御説明いただき、その後約10分間で御議論いただくということで進めたいと思います。
今回は実績評価書を議事としておりますので、「測定指標の実績値達成状況」、「評価結果と今後の方向性」を中心に御議論いただければと存じます。事務局からは以上でございます。
 
○玄田座長
ありがとうございました。もう1つ確認ですが、厚労省でこのような委員会やワーキングをするときに、発言者はマスクは必須ですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
こちらからはマスクをしてきてくださいとまでは言っていませんが、皆さんしてきてくださる場合が多くて。
 
○玄田座長
それは、大変有り難いですが、今日は十分にスペースもありますし、場合によってはマスクは聞きにくいこともありますので、その辺は適宜御判断いただいて、皆さん発言される際にもマスクを取ったほうがしゃべりやすいということがありましたら、この距離ですし、そのようにしたいと思いますので、御説明側も適宜御判断いただければと思います。よろしいですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
はい、もちろんでございます。
 
○玄田座長
ありがとうございました。それでは1つ目のテーマ、施策番号Ⅲ-3-2「被災労働者等の社会復帰促進・援護等を図ること」につきまして、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○労働基準局
担当課長の山田です。資料番号04、資料1-1実績評価書Ⅲ-3-2をお開けください。これは、被災した労働者等が社会復帰促進・援護等を図ることで事業をやっておりますが、労災保険に関しては、まずそもそも起きないようにすることが大事ですが、仮に一度起きた場合には療養補償や休業補償、長くなる場合には一定のケースで年金支給もあります。更にそれを補足する事業、起きないようにするための事業ということで、施策の概要に書いてありますとおり、労災保険法29条に基づいて社会復帰促進等事業として、被災労働者の円滑な社会復帰を促進するための事業、被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業、そして労働者の安全・衛生を確保するために必要な事業を行っております。特に3につきましては、その他様々な助成金とありますが、これは今回は、ほかの事業の中での整理になっておりますので、3の1は未払い賃金の立替払のみ、このシートの評価対象ということに整理されております。
まず、各課題に対応した達成目標で、目標の1番です。義肢、車椅子などに係る費用の迅速な支給、高度専門的な医療の提供が1つの達成目標ですが、これらの事業について右側にありますとおり交付金に必要な経費、あるいは未払賃金立替払、アフターケアの実施費について評価をすることにしております。目標2にありますとおり、迅速な労災就学援護費等の支給、疾病特性に応じた介護サービスの提供もありますので、これについては右にありますとおり、労災特別介護援護経費、就学援護経費、その他について評価をしているところです。施策の予算額、執行額についてはその下にあるとおりです。
具体的には下の所に、達成目標ごとに指標、実績値が記されておりますので御説明いたします。まず指標1ですが、医学的に職場、自宅復帰可能である医療リハビリテーションセンターの退院患者の割合があります。ここにありますとおり、様々な四肢・脊椎の障害、中枢神経の麻痺など、障害を被った労働者が円滑に社会復帰できるように、医療リハビリセンターを設置しております。これにせっかく入った以上は、そこで専門的なリハビリを得て退院できるように毎年度目標としては、これに80%と掲げておりますが、令和元年度、過去も含めて目標を達成しております。アフターケアの健康管理手帳があります。ここにありますとおり後遺障害に付随する疾病を発症させる恐れのある20の傷病、一定の症状が固定した後も様々な後遺障害等があるものとして、例えば脊髄の損傷、慢性肝炎、振動障害、そういったものを含めて20の傷病を対象としております。こういったものに該当する方について、申請に基づいて健康管理の手帳を交付して、通院費等について支援させていただいております。これにつきましても毎年度80%以上の目標を掲げておりますが、達成しております。
次のページは指標3、未払賃金立替払です。これにつきましては、倒産等によって賃金が払えなくなるケースに鑑みて、迅速に支給していくことが大事ですので、明らかな不備の事案を除いた請求書の受付日から支払日までの期間で、毎年度の目標として、過去の実績等も勘案して25日と掲げておりますが、令和元年度については16.5日で、ここ数年も目標は達成している状況です。
達成目標の指標4です。労災特別介護施設、私どもは通常ケアプラザと呼んでおりますが、在宅での介護が困難になった被災労働者に対して、専門的な介護サービスを行う施設を整備しております。こういったところでの介護サービスが有用であったかどうかということを指標で設定しておりますが、毎年度の目標90%を越えているところです。
それから、労災就学援護経費ですが、労働災害、特に重度の災害に遭った方の子弟が学校に行かれるに当たって不便を来たさないようにということで、一定のお金の支給等を含めて支援をさせていただいております。迅速な支給を目標に掲げておりますが、申請から決定までの期間1か月以内であったものの割合80%を越えております。
最後の指標6です。労災保険指定医療機関数を目標に掲げておりますが、労働災害に遭ったときに指定の医療機関になっていれば、そもそも労災の場合は自己負担はありませんが、それ以外のところでは一旦自分で払って後で戻すことになります。指定医療機関になっていれば、直接そのまま現物の給付ができることになっています。こういったサービスができることについては、指定医療機関を増やしていくことが非常に重要で、前年度以上を毎年掲げておりますが、今のところ順調に増えている状況です。私からは以上でございます。
 
○玄田座長
御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問などお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○石田委員
おはようございます。連合の石田です。御説明ありがとうございました。私から1点、直接目標の達成についてではないのですが、達成目標1に書いてあるとおり、指標3として、未払賃金立替払の処理期間が設定されています。この未払賃金立替事業は説明にあったとおり、会社が倒産したときに未払賃金がある退職者に対して支給するもので、もちろんこれも説明にあったとおり、迅速な対応は極めて重要だと考えていますが、達成目標1の項目の指標として、この事業が設定されていることについては、違和感があると感じています。
資料の上段に、設定理由の欄がありまして、全体として事業数が多いことはもちろん承知しております。ただ、設定理由に「予算が多い事業を評価する」と記載されるのであれば、もう少し評価する事業を増やしていただき、その事業の目標に合った指標を選ぶ工夫も必要だと思います。
このワーキングの中で適正に評価するということでありますから、余り資料の分量にこだわりを持たずに、次回から目標と指標の設定のあり方、記載の仕方についても工夫をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○玄田座長
何かございますか。
 
○労働基準局
せっかく御指摘いただきましたので、少し具体的に、例えば立替払以外についても、もう少し規模の大きいものについて幾つか重要なものがあれば上げていくことを考えたらどうかと、こういう御提案という解釈でしょうか。
 
○石田委員
そうですね。規模の大きい事業の枠をもう1つ作ることも手だと思いますし、1の達成目標については、義肢や車椅子などにかかる費用を迅速に支給し、被災した労働者の円滑な社会復帰を促進することが目標ですので、その達成のためにどのようなことを実施して、どのような結果になったのかが一番知りたいところです。この未払賃金立替払の処理期間も決して重要ではないわけではありませんが、義肢や車椅子などと未払い賃金の関連付けについて、違和感があると感じました。指標の結果については特にありませんが、この記載について少し工夫をいただければと思います。
 
○労働基準局
分かりました。御指摘も踏まえて、今後何を評価していくことがふさわしいかを検討させていただきたいと思います。
 
○玄田座長
今後の御検討にしていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 
○皆川委員
委員の皆川です。今日は、説明ありがとうございました。実は私も、ただいま石田委員から御指摘のあった点です。こちらの達成目標を拝見していて、確かに未払賃金立替払は、これは別に被災された方に限らず、一般的な立替えですよね。
 
○労働基準局
そうです。
 
○皆川委員
ありがとうございます。それで全体の目標を見ると、どうしても施策目標の所が、被災労働者等という所で社会復帰などに含めているのかなと。全体の趣旨はよく読むと理解できるのですが、やはりどうしても労働災害は最初に目標できますので、そことの関連で、確かに石田委員の御指摘のように、ここにこの指標があることが収まりがいいのかどうかと私も思いましたので、その点は石田委員の御指摘と重なるところがありますが、また今後とも御検討いただければと思います。私からは以上です。
 
○玄田座長
併せて御検討いただければと思います。
 
○労働基準局
分かりました。
 
○玄田座長
岩佐委員、何かありますか。
 
○岩佐委員
ありがとうございます。2点だけ言わせてください。1つは、この指標1で退院患者の割合をアウトカムで出していただいていて、これ自体は指標として、要するに社会的入院みたいなものも防ぐ必要があり、また、社会に戻っておられることも確認することでいいことだと思います。ただ、私も気になるのが他方で例えば、もう少し入院を続けて、いろいろと対応したいのに病院側の都合やいろいろな都合で退院せざるを得ないようなケースでも、ここでは退院できてよかった、ということに含まれてしまうので、これとともに、利用されている方の声が聞けるなど、もう少し内実について、これは指標にならなくてもいいと思いますが、報告いただけるような施策のチェック体制があるとよいと思ったのが1点です。
2点目が、指標4でアンケートの回答を書いていただいて、これはまさに逆に言うとアンケートで利用者の声を反映されていることだと思いますが、できればアンケートについて、どういう聞き方をされているか、母数が何人でと、全体のアンケートの細かい分析はまだいいですが、少なくともそういうのがあると、この回答についての評価がしやすいなと思いました。以上です。
 
○玄田座長
何か御回答ございますか。
 
○労働基準局
かしこまりました。今の御指摘、リハビリテーション、退院していくことも重要ですが、逆に言えば、一方で退院できない方もいらっしゃる中で、もう少し何か補足的に。例えば全体として平均の在院日数がどうとか、補足的に全体の事情が分かるようなものがあったほうがいいと、そういうことがあるのかなと思いますが。
 
○岩佐委員
あと、やはり併せて、利用された方の声が反映できる仕掛けがどの程度あるのかないのか、それを具体的にどうしていくかは難しいと思いますが、取りあえず声が聞けている状態が大事であると思っています。既になされているのかもしれませんが、その点が少し気になったという趣旨の発言です。
 
○労働基準局
なるほど。分かりました。確かに、こうやって数字だけ見ると数字だけでポンと出てくるので、もう少し何か背景みたいなのが、紙の中にどこと載っているのはあるのでしょうが、逆に私どものこの中に落し込めるのか、あるいは説明の中で少し具体的にその辺が分かるようなということかもしれないので、そこは考えさせてください。
 
○玄田座長
加えて今回、資料1、2の添付資料を付けていただいておりますが、今、委員から御意見のあったアンケートの背景や、それについて添付資料等、また今後適宜活用することもお考えいただけますでしょうか。
 
○労働基準局
分かりました。了解です。ありがとうございます。
 
○玄田座長
私から1点だけ。3ページの効率性の評価についてです。達成目標は、全般的に満額回答と言いますか、大変順調な状況だとお見受けしますが、これにたどり着くまでは、費用対効果といいますか、今回当然大変大きな予算が組まれており、やはりこの予算が必要不可欠であり、結果としての目標達成なのか、それとも今後いろいろうまくできている部分もあるので、ある程度より費用を効率化させながら目標達成できるのか。費用対効果に関する部分の御説明が経費の言葉が若干出てまいりますが、余り詳しく踏み込んでいないので、その辺りについて何か補足や今後の課題等ありましたら御回答ください。
 
○労働基準局
どうやって分析するかは難しいところではあります。1つは、当然必要な予算を投入するのは重要ではありますが、一方でたくさん投入すればいいということではなく、その辺りの効率化を図っていかなければいけないということで、これは資料1ページにもありますとおり、別に縮減すればいいと言うわけではありませんが、予算については平成28年、平成29年と定義が変わっていますので数字が違っております。平成29年、平成30年、令和元年にかけて当初予算に比べて可能な効率化を図っていくことは言えるかと思います。それについて、もう少し個別にどうかということもあろうかと思いますので、私どもも、また少し留意してやっていきたいと思います。
 
○玄田座長
ほかに、御意見などよろしゅうございますでしょうか。それでは担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえ、実績評価への反映など、お願いいたします。ありがとうございました。それでは、次のテーマに移りたいと思いますので御準備お願いいたします。
(メインテーブル交替)
 
○玄田座長
続いては施策番号Ⅳ-2-1「非正規雇用労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者)の雇用の安定及び人材の育成・待遇の改善を図ること」につきまして、担当課から5分程度で御説明をお願いしたいと思います。御準備よろしいですか。マスクのままでも結構ですし、もし説明しづらいようでしたら御説明はマスクを取ってでも構いませんので適宜御判断ください。よろしくお願いします。
 
○雇用環境・均等局
有期・短時間労働課の課長をしております牧野と申します。よろしくお願いします。まず、資料2-2を使いまして、施策の概要をざっと御説明させていただきたいと思います。ちょっと駆け足で説明させていただきます。表紙の次の1ページ目からです、右上のこのテーマでは、非正規雇用の課題として、今、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会が乏しい、セーフティネットが不十分という課題がございまして、非正規雇用に関しても、処遇改善全般の改善というのが至上命題という形になっております。
次のページは非正規雇用の1つ象徴的な数字として、「不本意非正規雇用労働者」と言って、非正規雇用に就いていながら、本当は正社員になりたいと思っている人の割合を統計で取っておりまして、これは5年ぐらいずっと減ってきてはおりますけれども、まだ1割程度の方がそのような考えをお持ちであるという状況になっております。
3ページは、この非正規雇用の問題への対応として、1つは雇用形態に関わらない公正な待遇を確保しようということで、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法を改正いたしまして、改正のポイントの所にありますけれども、不合理な待遇差の禁止ということで、いわゆる同一労働同一賃金というものですけれども、法律の施行を通じて公正な待遇の確保に努めているところです。
この同一労働同一賃金を進めるに当たりまして、様々な支援策を講じておりまして、相談援助などはもとより、一番下にありますけれども、キャリアアップ助成金として、事業主の取組に対して資金面でも支援をしているということです。
5ページ目、キャリアアップ助成金が一覧としてコースが書いてありますが、これは正社員化をはじめとして、処遇改善全般を助成しておりまして、一番下に、能力開発関係については平成30年度から別の助成金のほうに統合されましたけれども、これも非正規雇用労働者の処遇改善の1つとして行っているということです。
最後に、短時間正社員制度として、これは非正規雇用労働者の処遇改善というよりは、正社員の中に柔軟に働ける仕組みを作る取組も進めている状況です。これを踏まえまして、資料2-1の実績評価書の「各課題に対応した達成目標」として、3つ定めております。1つは非正規雇用労働者あるいは不本意非正規雇用労働者の方の正社員転換を図ること。それから目標の2として、均等・均衡待遇の確保を図るということです。目標3として、有期契約労働者等の職業能力開発の推進という3つの目標を立てております。
それに対応した測定指標ということで、全部で7つ立てておりますけれども、正社員転換に関する指標として3つ立てておりまして、これがおおむね達成又は達成という状況になっております。達成目標2につきましては、均等・均衡待遇の推進について2つ目標を立てております。行政指導の是正割合について一応達成しておりますけれども、短時間正社員制度を導入している事業所の割合は、平成30年度から統計の調査の仕方が若干変わったこともあり数字が大きく下がっておりますが、それを除いてもちょっと達成できていない状況になっております。
最後の能力開発の推進については、訓練後の正規雇用労働者になった者の割合とキャリアアップ計画の認定数を測定指標として立てておりまして、これもおおむね達成又は達成という形になっているところです。すみません、ちょっと雑駁ですけれども、御説明は以上とさせていただきます。
 
○玄田座長
ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見などをお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○石田委員
何点かお伺いしたいと思います。実績評価書の資料2-1ですが、非正規雇用労働者に関する施策について、2ページの中段になります。不本意非正規雇用労働者の正社員への転換が目標として記載されていますが、この目標の測定指標として、2ページに記載されているように、不本意で非正規雇用労働者になった方の割合を設定することについては異論ございません。ただ、不本意非正規雇用労働者と一言で申しましても、年齢や雇用形態によって、効果的な施策が違うと思っています。先ほど別添の資料で、年齢別、あるいは雇用形態別の一覧表を頂いておりますけれども、これはクロスがかかってないので、どれぐらいの年代の方にどういう雇用形態の方がどの程度おられるのかを見ることはできないと思っています。したがって、割合は割合として大事だと思いますが、年齢や雇用形態別の実態などを踏まえた施策の在り方を詳細に検討していただくことも望ましいことだと考えています。
それともう1つ、これも達成目標2の指標4についてです。達成目標2の達成割合を測る指標として、事業主に対して都道府県労働局が実施した行政指導の割合が設定されていますけれども、同一労働同一賃金の規定が施行された2020年、当時はまだ中小企業には適用されていませんでしたが、それ以降については同一労働同一賃金の法整備によって、いかに短時間・有期雇用労働者の均等・均衡待遇が確保・推進されたのかを明確にすべきだと思っています。したがって「行政指導の割合」と言っても、2020年度以前と以降の違い、いわゆる法施行前後の違いについてもう少し分かるようにしていただくとよいと思います。
それと、別紙で参考資料の6を頂いています。そのB15の所に、今後の検討ということで、令和2年度事前分析表において、「同一労働同一賃金に関する達成目標や測定指標等を記載する」となっていますけれども、検討状況が、今どの辺まで進んでいるのかを伺いたいと思います。この法律の実効性を図って、短時間・有期雇用労働者の均等・均衡待遇改善を促進するためにも、同一労働同一賃金に係る指標を明確にしていくことが大変重要だと思っています。
さらに、本紙のほうに戻って、4ページ、「評価結果と今後の方向性」の「施策の分析」の「現状分析」において、キャリアアップ助成金における有期実習型訓練終了後の正規雇用労働者等になった方の割合をみる指標6については、目標達成しなかったと記載されています。その要因分析として「雇用情勢の改善で正規雇用転換が進んで、正規雇用に転換することが難しい方の割合が高くなっていることが要因」と記載されています。目標と実績についてはほぼ同程度だというような状況になっていますけれども、正規雇用転換に向けて、より丁寧な支援が必要である方が増えていると受け止めています。したがって、転換をされた方の割合だけを見る指標設定が適切なのかという疑問もある一方で、実際には御本人の希望は高くてなかなか合致をする正規雇用の就職先が見つけにくい、非常に困難だということが要因と推察されるのであれば、その傾向に対応できる別の施策についても、今後検討いただくことも必要だと思っておりますので、以上4点について発言させていただきました。ありがとうございました。
 
○玄田座長
ありがとうございました。今、多分すべてにお答えいただく時間はないかもしれませんので、今お答えできる範囲で何かございましたら回答をお願いいたします。
 
○雇用環境・均等局
御指摘ありがとうございました。1点目の不本意非正規雇用労働者につきまして、年齢、雇用形態別の分析という御指摘だと思いますけれども、確か年齢別は取れたと思うのですが、私もちょっとどこまで詳しく取れるか、すみません十分確認しておりません。この政策評価の指標として全部載せるのは難しいかもしれませんけれども、こちらの担当課としてきちんと分析をしていくようにしたいと思います。
2点目の、同一労働同一賃金が施行されたのが今年からということで、2020年以前と以降について、すみません、パート法の行政指導については、当然内容が異なっております。これもちょっと指標化するとなかなか詳しくお示しすることができないのですが、もちろん中身が全然変わってきておりますので、同じ是正率でも意味が違ってくるというところがございますので、我々の内部の分析と、今後ということもあると思いますけれども、先生のお示しの仕方も少し考えたいと思います。
それからそれに関連しまして、目標の設定ということで、資料2-1の指標4の所を御覧いただきますと、指標4の所で、当初はパートタイム労働法に基づき、都道府県労働局が実施した行政指導の是正割合ということになっております。令和2年度以降の改正法施行後につきましては、パートタイム・有期雇用労働法という新しい法律に基づく是正割合ということで目標設定、指標設定を考えていたところでございます。ただ、今回その同一労働同一賃金ということで、実は派遣労働者も入ってきますので、派遣労働者についてはまた別途目標を設定する必要があるのではないかということで、ここはまだちょっと調整中というように聞いているところでございます。
指標6についてはすみません、人材開発のほうから。
 
○人材開発統括官
すみません、後ろから恐縮でございます。人材開発統括官の元木と申します。指標6について、御指摘頂きありがとうございました。確かに御指摘のとおり、こちらの指標は目標を達成しておりません。この目標の設定の仕方を若干補足で御説明させていただきますと、一定の客観性を持たせる観点から、過去3年間のアベレージを目標値として設定しております。雇用、失業情勢なども含めていろいろと正規転換をできる、できないというところに様々な要因が働くところではございますが、そういった客観的な目標というところで3か年の平均としているところを、3ページの測定指標の過去の経過を御覧いただくと、平成27年度から令和元年度までの実績を記載しておりますけれども、平成30年度が81.8%と非常に高い数値となっておりまして、若干これが目標を引き上げてしまっているというところもございます。
 
○玄田座長
資料に「81.4」と書いてあるのですが、「8」ですか。古い資料かもしれませんけれども、私の手元にある資料2-1では、「81.4」と書いてあります。
 
○人材開発統括官
失礼いたしました。私どものほうでは「81.8」ということで。
 
○玄田座長
「8」になっていますか。では、正確な数字は後で事務局と確認してください。
 
○人材開発統括官
はい、かしこまりました。こういった要因で目標設定をしているというところも御承知置きいただきながら、また、御指摘のとおり、ほかの施策についても様々な観点から今後検討してまいりたいと考えております。
 
○玄田座長
こういう政策の統廃合があったときに、その後どこに付けるかというのはちょっと難しいですけれども、何か基準があれば今後考えないといけないですね。
 
○人材開発統括官
その事業の移管をしたものについて、どのように取り扱うのかというのは、事務方とも検討しておりますので。
 
○玄田座長
そうですね、よく御相談ください。
 
○人材開発統括官
はい、かしこまりました。
 
○玄田座長
よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
 
○皆川委員
委員の皆川です。本日は御説明ありがとうございました。大きく3点、簡単にお伺いできればと思います。1点目、不本意非正規雇用労働者の方の割合は確かにちょっと目標には到達しない見込みということですが、しかし、平成27年以降の数値が下がっておりますね、こちらは不本意非正規雇用労働者ですから、これは何らかの形で正社員転換をされたので減っているという、そういう理解で把握されているかという、要因のところですけれども、お分かりになる範囲で簡単で結構ですので、確認させていただければと思います。それが1点目です。
2点目は、短時間正社員の方、こちらの制度を導入している事業所の割合が増えたり減ったりという状況ですね。こちらは余り数字が上がってこないということについて、例えば周知とかがちょっと足りていないというような評価も書いておられるかと思いますが、この点なぜその短時間正社員制度の導入事業所の割合が増えないのかということについて、労働市場や日本の雇用システムに関連して、要因となるような点を把握されているか、お分かりになる範囲で御教示頂ければと思います。
それと関連するのですが、3点目、石田委員からもお話がありました、今後同一労働同一賃金について、パートタイム・有期雇用労働法に基づく均等・均衡待遇がかかってきたところですが、そこでの目標の立て方とも関連するのですが、今後、その非正規雇用労働者と言われる方の待遇とか労働条件をどっちの方向に持っていくのかについて、全体的な今後の様々な政策の整合性とか考え方のコンセプトをどのようにお考えかということ。これもお分かりになる範囲で御教示頂ければと思います。
と言いますのは、短時間正社員の方というのは、労働時間はフルタイムではないけれど、恐らく正社員ですから無期雇用だという、そういう制度だと理解しております。一方、いわゆる同一労働同一賃金における均等・均衡待遇というのは、パートや有期で働いている方、しかし通常の労働者の方と均衡待遇なり均等待遇なりでその待遇を上げていくと。要するに雇用形態にかかわらず、均等・均衡待遇を実現していくという政策ですから、もし、仮に均衡待遇で非正規雇用労働者の方(パートや有期の方)の条件が上がっていくと、必ずしもその短時間正社員に移らなくても、労働条件として満足するという方も出る可能性がありますよね。そうすると、短時間正社員に無理に移らなくても、今のパート・有期の雇用形態でも良いと考える人が仮に増えたとするのだったら、その数値の取り方と言いますか、両方達成できないという可能性もあると思いますので、こういったもろもろの政策の整合性をどのように図っていくかということについて、これも非常に難しい問題ですので、何かお分かりになることあればというか、半分意見のような形で、お伺いできればと思います。すみません、長くなって申し訳ございません。
 
○玄田座長
いかがでしょうか。今後の検討課題も大分含まれていると思いますが、今分かる範囲でお答えになれることがあればお願いします。
 
○雇用環境・均等局
御指摘ありがとうございました。いずれもかなり難しい問題なのですが、私もきちんと分析できているわけではないという前提で、こうではないかというぐらいのことしか言えないのですが、不本意非正規雇用労働者の割合が下がっていることにつきましては、数値的な証拠は示せないですけれども、全体に、安倍政権で非正規雇用労働者が増えたというのですが、正規雇用労働者の数も増えておりまして、そういう意味では正規の就業機会は確実に増えている。一方で生産年齢人口は減っていますので、正社員になりたいと思う人はなれるようになってきているのではないかと考えております。
それから短時間正社員の数値がなかなか上がっていないことについては、御指摘のとおりで、恐らく周知不足もあるとは思うのですけれども、周知以外にもなかなか企業で導入し難い要因があるのではないのかと思っております。その辺りは十分分析はできていないのですが、もう少し個別に状況を見ていく必要があるのではないかと思っております。
それから均衡待遇の目標の立て方と、パートの処遇改善と短時間正社員の推進で、どのようにしていくかというところですけれども、今言ったようにやはり会社によって処遇のバランスの取り方は違ってくるのではないかと思っておりますので、どの会社も同じようなことをやるわけではなくて、こちらとしてはいろいろな選択肢を準備していくことが大事かなと思っております。多分短時間正社員制度は100%にはならないと思いますので、そこは会社の実態を見ながら、という形で、もう少し我々もアピールの仕方を考えていく必要があると考えているところでございます。すみません、このような状態で。
 
○皆川委員
いえいえ、ありがとうございました。
 
○玄田座長
今後の制度の方向性に関する部分もかなりありますので、雇用政策課との連携を深めながら。
 
○皆川委員
そうですね。
 
○玄田座長
方向性とそれに対する具体的に何ができるかという御検討をしていただきたいという御意見だったと思います。
 
○皆川委員
はい、御趣旨のとおりです。ありがとうございます。
 
○玄田座長
よろしくお願いいたします。
 
○岩佐委員
多分内容が重なるので、感想程度ということでお聞きいただければと思います。まず、不本意非正規雇用労働者の関係で、先ほど背景とかの分析とか、クラス集計というお話も出て、他方で、例えば「本意」と言われている人の背景として、なぜ本意なのか、極端に言うと、非正規雇用から正規雇用に転換したいけれど、正規雇用になると全体的に条件が下がるというのもあって、非正規雇用で満足していますという話になってくると、満足しているけれど、実は社会的背景で余り褒められたことではないという問題点もあると思うので、この数値の目標自体は全然異論がないですけれども、少し背景について分析していただければと思いました。
もう一点は、これも重なるのですが、先ほどから出ている短時間正社員制度を導入している事業所の割合を「何%以上」といって目標を設定する仕方は違和感があり、多様な労働の在り方が確保されるということは大事だと思うのですけれども、一定以上あったほうがいいのかどうかというのは私の中では分からない。下手をすると労働条件の切下げみたいな形で、8時間勤務していたのを6時間にするように、短時間にすることもあり得るし、逆にそういう短時間だから働きやすくなることもあって、いろいろあると思うので、「何%以上」というのには、すみません、ちょっと私は違和感があると、感想ですのでお答えは結構です。
 
○玄田座長
はい、分かりました。是非参考意見として。「不本意」というのも考えるととても哲学的な概念で、昔経済学で「非自発」とか言っていたけれども、「非自発」と「不本意」とは同じかとか、これはどちらかというと、統計局の問題なので、引き続き検討をいただくと。
時間が大分過ぎているのですが、私も2点ありまして、まず、資料2-1の指標4については、ほぼ是正改善したところはちゃんとしてくれるというのがもう大体定着しているので、これは指標としてそろそろ卒業する時期かと。「私はいつも100点だ」と自慢するのもいいけれど、これを目標として続けるということにどれぐらい意味があるかというのを1つお考えいただくことが1点目です。
もう一点は、5ページ目の次期目標等の所ですけれども、今回、就職氷河期のことが全然言及されていないのですが、今年度からの政府目標の「3年間正社員30万人」をこれだけ大きく打ち出していて、政権が代わってもこれは変わらないので、大変注目の集まるところですけれども、私が拝見するに、これが実現するとすれば恐らくキャリアアップ助成金がかなり有効に活用されないと、30万人はとても難しい数字で、さっき石田委員もおっしゃいましたけれども、指標2にあるとおり、今はキャリアアップ助成金を活用して正規雇用労働者等に転換した労働者数は11万人程度ですが、これを年齢別に見ると多分20代とか30代という、就職氷河期世代より若い世代が多いのではないかと思います。一方で、就職氷河期世代も0人ではないはずで、いろいろな就職氷河期世代への支援策との合わせ技で、このキャリアアップ助成金が就職氷河期世代に届くことがあるならば、とてもそれは社会的にも重要なメッセージなので、そういう意味では石田委員がおっしゃったように、きちんと年齢別とか、雇用形態別を把握するのは社会的な要請が大きいと思います。確か去年、前の課長、古舘さんのときにこの話をして、就職氷河期世代への支援のことがあるので、キャリアアップ助成金の成果については就職氷河期世代にどのくらい届いたかという観点で年齢別の状況の把握を検討すると言われた記憶もあるので、それがどのように引き継がれているか分かりませんけれども、この施策の効果というのは、就職氷河期支援策にとっても非常に分岐点になるぐらい大きな役割だと思いますので、石田委員の御意見とほとんど同じですけれども、是非その辺りは検討をお願いします。何かございますか。
 
○雇用環境・均等局
ありがとうございます。今のキャリアアップ助成金につきましては、実は去年の秋から一応、年齢別に取れるようになりました。
 
○玄田座長
そうですよね。
 
○雇用環境・均等局
今は何歳から何歳までが就職氷河期なのかというところはいろいろな考え方があるようではありますけれども。
 
○玄田座長
30代後半から40代ぐらいで取っておけばいいのではないですか。
 
○雇用環境・均等局
そうですね、ある程度決めて就職氷河期世代にどの程度使われているかというのは、今後分析していきたいと思っているところでございます。
 
○玄田座長
ほかに御意見はよろしいでしょうか。それでは、たくさんいろいろ期待と課題が出ましたので、是非引き続き御検討のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。次のご準備よろしくお願いします。
(メインテーブル交替)
 
○玄田座長
続きましては、施策番号Ⅳ-4-1「個別労働紛争の解決の促進を図ること」についてでございます。担当課の御準備ができましたらよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは御説明よろしくお願いいたします。
 
○雇用環境・均等局
雇用環境・均等局労働紛争処理業務室長の平岡です。どうぞよろしくお願いいたします。御説明させていただきます。
資料3-1を御覧ください。上から3つ目の所にございますが、「施策実現のための背景と課題」にありますが、この制度については、個々の労働者と事業主の個別労働紛争が増加している中で、紛争を実情に即して迅速、適正に解決することを目的としておりまして、個別労働紛争解決システムを整備、運営しております。資料には記載しておりませんが、そのほか、無料、参加が任意、非公開ということを特徴にしております。
特に、解雇、嫌がらせ等の民事上の個別労働紛争は、最終的な紛争解決制度として司法があるわけですが、当事者、特に労働者にとっては費用の負担などがある中で、いきなり司法に解決を求めるというのはハードルが高いと思われます。こうした中で、国、都道府県、民間の裁判外の紛争処理機関の中から、当事者が実情に応じて選択できる複線的な紛争解決システムが有効とされております。
その中でも、特に厚生労働省には労働関係の専門的な知識を有する職員を有していること、法に基づく行政権限を有しており、法違反と民事の複合事案が結構ございますので、そういったものに迅速に対応できます。また、御承知のように、労働問題の窓口である労働基準監督署を全国各地に有していることなどから、個別労働紛争に対しては、迅速に、そして有効に対応することが求められていると考えております。
具体的には、都道府県労働局や労働基準監督署等に設置している総合労働相談コーナーで、様々な労働相談へのワンストップでの対応とか、民事上の個別労働紛争に解決の方向性を示唆する都道府県労働局長による助言・指導、紛争当事者の合意形成のための紛争調整委員会によるあっせんということを行っております。
次に、達成目標を御説明いたします。まず、達成目標1です。個別労働相談の件数は、12年連続で100万件を超えて高止まりしておりまして、内容についても、いじめ、嫌がらせが8年連続でトップとなるなど、内容も多様化、複雑化してきております。こうした中で、個別労働相談を迅速に処理するということが重要なポイントではないかと考えておりまして、まず指標1で、都道府県労働局の助言・指導の1か月以内の処理割合を90%以上にするということです。次に、2ページの指標2がございますが、紛争調整委員会のあっせんの2か月以内の処理割合を90%以上としております。
次に、同じく2ページの達成目標2について御説明いたします。紛争調整委員会のあっせんは、紛争当事者の話合いを促進することにより合意の形成を図り、紛争の解決を図る制度となっております。あっせんへの参加は任意ですので、紛争当事者に、まず参加の勧奨を行い、いかに話合いのテーブルに着いていただくかということが重要になっております。紛争解決のために有効に機能しているかを評価するため、指標7にございますが、あっせん参加率を50%以上とすることを指標としております。
最後に、これらの指標の達成状況とか、今後の対応を御説明させていただきます。まず、1ページの指標1については、令和元年度が97.2%であるなど、目標を達成してきておりますが、2ページの指標2については、令和元年度は83.3%であるなど、達成できておりません。後者の状況を都道府県労働局に幾つか聞いてみますと、紛争当事者が多忙のため、特に使用者のほうが多いらしいのですが、あっせんの期日の早期設定が難しく、あっせんの処理期間が延びてしまったということが主な原因のようでした。しかし、紛争を迅速に解決させていく必要があると思っておりますので、指標1についても、指標2についても、これらの指標については維持した上で、しっかりと対応していきたいと考えております。
次に、同じく2ページの指標7で、令和元年度は56.3%であるなど、目標を達成してきております。紛争当事者の参加率を引き続き高めることで、合意に至る、解決に至る事案を増加させていく必要があると考えておりますので、この指標も維持したいと考えております。
最後ですが、個別労働相談の件数が高止まりしておりますし、また、内容も複雑、困難化しておりますが、行政機関である厚生労働省が運営する紛争処理機関の使命である、簡易・迅速、かつ有効な解決が図られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。簡単ではございますが、説明は以上です。
 
○玄田座長
それでは、御質問、御意見などをお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○石田委員
ご説明ありがとうございました。参加率の促進に関しては、指標に記載のとおり、労働者が安心して働き続けるために迅速な解決を目指す観点から、引き続き参加率の向上に向けて御尽力いただければと思っています。
若干違う視点ですが、労働相談全体に占める助言・指導の申出の受付件数、あるいはあっせんの申請受理件数が極めて少ないという状況がある一方、労働者があっせんなどの手続を求めていても、どう対処することが最善なのか明確でない、いわゆる微妙な相談内容については、相談の段階で説得されてしまって、あっせんに至らないというケースも結構あるのだと伺っています。
相談に対応される方のお答えにもいろいろあるのだと思いますが、是非相談者御本人の御意思や御意向を十分に踏まえて、適切な手続あるいは処理の仕方、そういうものについて親切に誘導していただくということについて、引き続き御尽力いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○雇用環境・均等局
御指摘どうもありがとうございます。この個別労働紛争解決制度につきましては、紛争当事者の御希望に沿って、できるだけ解決を図っていくということが重要だと思いますので、今頂いた御指摘を踏まえまして、引き続き適切に対応してまいりたいと思います。
 
○玄田座長
ほかにいかがでしょうか。
 
○皆川委員
1点だけお伺いします。全体の指標の立て方と、その状況については、特に私から何か申し上げることはないのですが、参考までにお伺いしたいのですが、例えばあっせんの手続終了がどのぐらいで完了するとか、あっせんに出てくる当事者の割合とか、地域差というのはあるのでしょうか。全国的に大体同じような傾向というように捉えていいのでしょうか。労働紛争というのは、特に裁判などは、件数について地域差が大きいものですから、こういう行政からのサービスで、例えばこういう指標のように地域差が出たりするのか。そのことによって、例えばリソースの問題とか、より具体的な方策を何か考えられるのか。お分かりになる範囲で結構ですので、教えていただければと思います。
 
○雇用環境・均等局
今言われたそのものは手元にないのですが、例えば今回目標を達成できていない、2か月以内のあっせんの処理の割合ですが、実は意外と地域差がございまして、いろいろ聞いてみますと、各労働局でいろいろな工夫をされているということが分かりました。
特に、東北が多いとか、関西が低いとか、地域によるばらつきなどは、先ほど申し上げた指標についてはなのですが、どちらかと言うと、いかに工夫ができているかというところが大きいと思われます。先ほど先生の御質問にあったものがそうかというところまでは、自信をもって言えないのですが。
ですので、先ほど御説明の中では申し上げなかったのですが、例えばあっせんの申請書を受理して、相手方にこういう通知があったというお知らせをするときに、併せてあっせんの日程の調整もしてみるとか、それを送ったときに期限を早めに設定し、できるだけあっせん期日を確定するとかの工夫をしているようです。あっせんについては基本的に1回で終わらせるという運営をしておりまして、そういったところが早期に、簡潔に解決できるというところが利点であると思っています。いずれにしましても、よい取組については、他の労働局にも促していき、先ほどの石田委員からの御指摘もありましたけれども、それだけではなくて、できるだけ当事者の御意思や御意向に沿った解決を図っていくことが大事であると思っております。
 
○玄田座長
今、地域の御質問がありましたので、可能であれば、後日事務局を通じて地域の実情などの情報を提供することも御検討ください。また、今お話がありましたが、かなり地域によって工夫の余地があるということですので、そういう好事例の御紹介なども、こういう評価には極めて重要な材料になりますので、そのような情報提供も併せて御検討いただければと思います。
 
○皆川委員
よろしくお願いいたします。
 
○雇用環境・均等局
検討させていただきます。
 
○玄田座長
私も指標2について、今回は「△」ということで、特に日程調整が難しかったとか、その背景には主に使用者側の多忙ということがあったということです。これは、ある意味では、そういうたまたまという面もあるかもしれないし、一方で、非常に由々しき構造的な問題かもしれなくて、単に日程調整が合わなかったというだけで済まされない可能性もあると。その背景をもう少し詳しく分析していただく必要もあると思います。
もし、仮に多忙さというのがあっせんを難しくするとするなら、例えばですが、当事者同士の合意が得られたら、オンラインを使って、今後のあっせん手続などを行うことを検討される可能性はないのでしょうか。つまり、日本も狭いようで広いので、移動に非常に時間と費用がかかって手続までうかがえないようなことがあるのか。今回のコロナの緊急対応という面もありますが、あっせんは対面でやらなければ駄目だという、強い合理的な根拠があれば別ですが、繰り返しますが、当事者同士に合意があるのであれば、そういう工夫も考える時期ではないかと、この「△」からは感じられたりもするのですが、その辺りの感触ですとか、検討の可能性など、今の段階でお答えください。「△」を「○」に変えるための方策になり得るかどうか、検討対象になり得るかについて、今の時点で御意見があればお願いします。
 
○雇用環境・均等局
御指摘ありがとうございます。現在もあっせんについては全て対面でしなければいけないという指示は行っておりませんで、例えば、紛争当事者の御意向やあっせん会場までの距離等を踏まえて、テレビ会議システムを利用したあっせんや、出張方式のあっせんをすることも1つのやり方だと指示をしているところです。
例えば、かなりエリアの広い地域については総合労働相談コーナーがある監督署ですとか、労働局までの距離が遠いものですから、そういった所ではテレビ会議システムの活用率が高い地域がございます。そういった地域では、最近の実績で見ても、3割ぐらいはその方式を利用されています。
ただ、紛争調整委員の方にいろいろ伺ってみますと、結局、1回で解決して、しかも、労使の歩み寄りを促すという制度なものですから、可能なら対面方式のほうが、その方の表情とか仕草とか話し方とか、テレビ会議で一部分かる部分はあるのかもしれないのですが、できるだけ対面方式でやりたいというような御意見を持たれている方もいらっしゃるとは聞いております。
あとは、厚労省の言い訳になって恐縮なのですが、システムのセキュリティの問題とかいろいろありますので、どこまでできるかということもございます。例えば後者については、今は監督署に当事者に出向いてきていただいて、そこから参加していただくというようなやり方になっていて、例えば会社のパソコンとか、労働者のパソコンから参加するという形にはできていないものですから、今はやりのZOOMとか、Skypeとか、いろいろなシステムはあるのだと思うのですが、どこまでできるかとか、あっせん委員の方の利便性とか、総合的に検討していく必要があるかなと思っております。
 
○玄田座長
私などもそういう意味では、アナログ世代なので、対面の重要性というのは肌感覚ではよく分かるのですが、一方で、別の所の会議では、オンラインの相談のほうがストレスなく相談しやすいとか、意見が言いやすいというような、逆の評価もあるかもしれません。ですので、もちろん室長がおっしゃったセキュリティの問題というのは大問題ではありますが、今後、オンラインを活用した相談というのは、時代の流れとしては避けられないのではないかと思います。特に、デジタル庁が新設されるとの報道もあり、そうなったときに、労働政策の中にオンラインの活用といったときに、どこがやるかとなると、いの一番に焦点が当たるのは、室長の管轄の部分でもあるような気もしますので、是非その辺りは先入観なく、いろいろな可能性と現時点での課題を網羅していただいて、可能であれば次回以降の政策評価と、特に今回のこの評価を改善する上での活用可能性がありやなきやというところは、是非御検討いただければと思います。石田委員から、何かオンライン相談についての御意見はございますか。
 
○石田委員
連合も労働者からいろいろな相談を受けています。IoTの進展もあり、従来の相談は電話が主流だったのですが、最近はメールだけでなく、LINEによる相談も少しずつ増加しているという実態にありますし、座長がおっしゃるとおり、こうした傾向は、これから避けて通れないものなのかなと感じています。働き方も含めて、これまで概念として持っていた対面原則というものを、実益を損なわない範囲で見直していくということは必要なのかなという感想を、お話をお聞きしていて、私も持ちました。
 
○玄田座長
是非、引き続き御検討をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、御説明ありがとうございました。次の準備をよろしくお願いいたします。
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○玄田座長
続きまして、施策番号Ⅴ-1-1「公共職業安定機関等における需給調整機能の強化及び労働者派遣事業等の適正な運営を確保すること」について、御説明を頂きます。
 
○職業安定局
首席職業支援官の松瀬でございます。資料4-1を御覧ください。施策目標名は「公共職業安定機関等における需給調整機能の強化及び労働者派遣事業等の適正な運営を確保すること」です。施策の概要です。2つ書いておりますが、個々の求人・求職者のニーズにあったきめ細かな職業相談を実施し、労働市場における需給調整機能の強化を図ること、職業紹介事業及び労働者派遣事業の適正な運営を確保することです。
資料4-1の1ページ目の下からですが、指標が8つございます。各課題に対応した達成目標の中に目標1、目標2、目標3とありますが、その目標のグループごとに御説明いたします。
まず、目標1です。「公共職業安定所における労働力需給調整機能を強化すること」に属する指標1から指標3です。指標1は、公共職業安定所の求職者の就職率です。令和元年度の目標値30.8%に対し、実績値は29.2%と未達成となっております。ここで御説明する8指標のうち、唯一の未達成となっておりまして、「△」になっております。これは、後ほど総合判定、施策の分析の欄でやや詳しく御説明させていただきます。
続いて、指標2は、雇用保険受給者の早期再就職割合です。ハローワークの就職支援の中でも、特に優先度が高いと位置付けている雇用保険受給者については、特出しで設定しているものです。令和元年度の目標値37.7%に対し、実績値は38.4%ということで、目標をクリアしております。なお、目標値はクリアしておりますが、対前年度比は僅かにマイナスとなっております。これも指標1の分析と併せて、後ほど御説明させていただきます。
指標3は、公共職業安定所の求人充足率です。令和元年度の目標値12.6%に対して、実績値は13.6%と目標を達成しております。なお、就職件数と充足値というのは1対1のマッチでありまして、必ず同数になるので、当然就職件数が減ってきているということは、実数で求人充足数も減っきているわけです。そのことは併せて後ほど御説明したいと思います。
2ページを御覧ください。達成目標2のグループです。「労働者派遣事業、職業紹介事業等の適正な運営を確保すること」についてのグループです。まず、指標4は、説明会等で周知啓発を図った事業所数です。労働者派遣事業の適正な運営の確保と派遣労働者の保護を推進していくために、労働局が随時開催している制度周知のための説明会等において、労働者派遣法の周知啓発を図った事業所数を指標として選定しているものです。令和元年度の目標値3万所以上に対して、実績値は6万1,608所と大幅に上回っておりまして、目標を達成しております。
指標5は、アンケートによる理解度割合です。労働者派遣事業の適正な運営の確保と派遣労働者の保護の推進のために、労働局が行う相談対応の質の維持・向上を図るものです。労働局において、派遣元や派遣先、派遣労働者等から個別相談を受けた際、相談者に対して理解度アンケートを実施しております。その中で「理解が深まった」と回答した割合を指標としております。令和元年度の目標値の90%以上に対して、実績値は96.7%と目標を達成しております。
指標6は、求人メディアの求人情報提供モニタリングの件数としています。これは実績値の欄を御覧いただければ分かりますように、平成29年度まではガイドラインを配布した事業所数ということで設定しておりましたが、平成30年度からはモニタリング件数ということに変更しております。求人情報提供サイトや求人情報誌等の求人メディアを保有する事業者による、ガイドラインに沿った事業運営がちゃんと行われているか。それを推計するために、これら求人メディアのモニタリングを行った媒体数を指標として設定しているものです。令和元年度の目標値300媒体以上に対して、実績値は300媒体と目標を達成しております。
指標7は、求人情報提供ガイドラインの理解度についてです。事業者向けのガイドラインの周知啓発セミナーを行った際、受講者に対して実施するアンケートにおいて、「理解できた」と回答した割合です。令和元年度の目標値90%以上に対して、実績値は95.3%と目標を達成しております。
続いて、達成目標グループ3の「官民の連携により、労働力需給調整機能を強化すること」です。指標8は、民間活用キャリアコンサルティングです。平成30年度限りで事業を終了しておりますので、御報告の対象から外しております。
指標9は、3施設キャリコンについてです。本事業については、就職件数等の指標に連動しない、キャリアコンサルティングそのものの効果測定ということですので、その効果をアンケートにより把握しているということです。令和元年度の目標の「役立った」との回答割合90%以上に対して、実績値は98.4%と目標をクリアしております。なお、本事業は公共サービス改革基本方針に基づき、平成28年度から平成30年度までの3か年実施され、総務省の官民競争入札等監理委員会において、市場化テスト継続の判定がされたことから、令和元年度から令和3年度までの3か年で再び実施となっている事業です。
3ページ目を御覧ください。総合判定等の欄です。判定結果は「B」とさせていただいております。これまで御説明しました8指標中、第1の指標である就職率が「△」となったことによるものです。ここ数年、求職者数は減少傾向が続いております。事情は様々ですが、どんどん就職できる方は就職していって、かつてであれば、就職がかなり困難だった方も就職はできているのですが、それでも困難を抱える方々が残ってきましたので、そのマッチングのスピードが落ちてきておりまして、それが大きく影響しております。
また、今年の1月になりますと、ハローワークシステムの刷新がございました。メディアでも結構報道はされました。年明けの1月、2月は結構人が動くときで、直近2年間で就職率30%を下回ったことがなかったのですが、今年は28%台まで落ちております。これはハローワークシステムの刷新の当初ですが、多くの事業所が求人提出を手控えてしまったということで、十分な求人が確保できなかったことも要因にあるのではないかと思います。
第2指標の雇用保険受給者の早期再就職割合についても、今年の年明けの2月、3月になりますと、対前年比で3ポイント近く、それぞれ下げてきておりまして、やはり今年の1月、2月、3月は状況として、システム刷新の影響があったのではないかと思います。
次期目標に向けてですが、もちろん今年度に入ってからは明らかに新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出てきておりまして、極めて厳しい状況です。来所者や職員の感染防止対策をしっかりとやらなくてはいけないことに加えて、求職者、求人者の方々は感染をおそれて、安定所への来所を控えてしまうということがありまして、厳しい状況になってきております。それでも、先ほど言及されましたが、就職氷河期世代とか、新卒の就職等は待ったなしですので、こういったところは徹底した感染防止策を講じつつ、面接会をやるとか、積極的なマッチングをやるということで盛り返しを図っております。何とか、これで本年度はトータルとして実績を盛り返していきたいと考えております。
施策の分析の欄にも書いておりますが、ハローワークの職員の専門性向上や感染防止策を講じた上での求人開拓等、あるいは職業横断的比較可能なデータを保有する日本版O-NETの活用といったことを併せて進めながら、引き続き頑張ってまいりたいと思っております。私からの説明は以上でございます。
 
○玄田座長
それでは、御質問、御意見などをお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○岩佐委員
2点あります。まず、達成目標について、目標は労働者派遣事業や職業紹介事業の適正な運営の確保を図るということになっていて、それぞれの指標をお見受けする限りは、適切にやるというようなことをいろいろな関係者に周知されているかという観点からの指標だと思うのですが、指標設定が難しいのかもしれませんが、素朴に考えると、おかしな派遣がなされていないかとか、職業紹介されているけれどもめちゃくちゃなのではないかとか、そうではなくてちゃんとしているとか、本来はそこの実数が知りたいと思います。ただ、その実数を知るのは非常に困難だとは思うのですが、例えばそういうことについての相談とか、問題を摘発したら数が多いとか少ないとか、実情に迫れるような指標のほうが直接的ではないかという感想を持ちましたので、設定の仕方は難しいかもしれませんが、これが1点です。
2点目が、指標9でアンケートを取られて、「役に立った」という回答がこれだけあったということですが、できれば、どれぐらいの数のアンケートを取られているのかということも入れていただけると、有り難いなと思いました。
 
○玄田座長
2点について、いかがでしょうか。
 
○職業安定局
労働者派遣の目標設定の御質問に関してです。確かに、1つ考え方として、指導監督件数、どれだけ違反があったかというのも考えとしてはあると思うのですが、そういう目標を設定したときに難しいのが、それが評価として、たくさん摘発された場合というのは、それだけ是正もされるわけで、それでいいという考えもあるのですが、そういうのが増えるということが評価としていいのかというところもあり、設定として難しいところがありまして、今、こういった周知がどれだけ行き届いているかという指標になっております。そういう視点も持って検討もしたいと思っております。
 
○職業安定局
3施設キャリコンにつきましては、今、実数がございません。恐らく我々のほうから率でというようにやってしまいましたから、業者が項目的に率が高まるように頑張ってしまうというのはありますので、これは課題として検討させていただきます。
 
○玄田座長
是非、今後は付属資料などを活用するなどして、そのアンケートの背景ですとか、補足の重要な情報もお示しいただくように御検討ください。
 
○職業安定局
分かりました。
 
○玄田座長
ほかにいかがでしょうか。
 
○石田委員
何点か教えていただければと思います。まず、達成目標1のグループの指標1です。先ほど資料の3ページの上段にもありましたが、システムの刷新に伴う求人更新の差し控えが要因で目標未達という御説明も頂きました。システムの刷新を実施した時期ということもあって、使い勝手の問題等もあるのではないかという意見もございました。利用者目線のシステム刷新は非常に重要ですが、一方で、実施した政策を適切に評価する観点からは、今後、こういった要因による率の変化を最小化することも必要です。そのためには、利用者だけでなくハローワークで働く者の実態をしっかりと踏まえていただいたうえでシステムを改修するとともに、ハローワークへの人的強化も是非御配慮いただければと思いますので、よろしくお願いします。指標の中身ではありませんが、運営上の課題として、是非御配慮いただければと思います。
それから、達成目標2のグループ、先ほど岩佐先生から御指摘があったことと似ていますが、目標2の達成状況を測る指標に、派遣先、派遣元、派遣労働者に対するアンケートにおいて、「理解が深まった」という数値を使いながら評価をしていただいていますが、「理解が深まる」ことと適正な運営が確保されているということは、一緒なのでしょうか。理解度と運営というのは、少し差異が出てもやむを得ないのかなと思っています。そこをしっかりと差異のないように、理解をして適正な運営がされるということが極めて重要なのだと思っていますし、派遣事業の適正な運営のためには法の遵守も先決です。少なくとも、先ほどありましたが、パート・有期雇用労働法と同様に、行政指導の割合等も、指標として活用することも、ぜひご一考をお願いしたいと思っています。
労働者派遣法に関しては、企業規模にかかわらず、2020年4月より同一労働同一賃金の法規定が適用されています。労使協定方式を採用する際に、局長通達で示された「一般労働者の平均的な賃金の額」に基づいて、派遣労働者の均等・均衡待遇がきちんと確保されているかなども、1つの指標になるものだと思いますので、その指標を使っていただくということも必要だし、明確にすることも必要だと思っています。
それと、達成目標3のグループの中ですが、資料の3ページの一番下段に、「評価結果と今後の方向性」の「次期目標等への反映の方向性」で、達成目標3について、成果連動型の民間委託によって就職氷河期世代への教育訓練等を行う事業に関する新たな指標という形で、「期間の定めのない雇用での就職率」を設定する予定と記載があります。就職氷河期世代の方々については、少し丁寧な対応が必要ですし、御本人からしっかりと希望を聞くということが大切だと思っています。一方で、特に人手不足感が高いとされている介護・看護あるいは建設業といった産業に、本人の希望をまげて就職を優先するような、「人材供給」が優先されるということがあってはよくないと思っています。もちろん、人手不足の産業についても、御本人の希望でということであれば問題はないのですが、人材供給のバランスだけを先行するのではなくて、先ほど御発言いただきましたが、マッチングのところもぜひ考慮していただいて、就職率だけではなくて、いろいろな要素を含んだ指標ということも御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○職業安定局
私から目標グループ1と目標グループ3について、御回答申し上げます。まず、システム刷新について御指摘がございました。通常は「更改」という言葉を使うのですが、「刷新」というぐらいですから、今回は非常に大規模なシステムの入替えを行い、我々としては十分な準備をしたつもりなのですが、更にその想定を上回るような不具合が膨大に出てしまいまして、やや乗り越えられなかった部分がありました。
ただし、現場の力と言いますか、それで随分我々は助けられました。やはり御指摘がありましたように、現場の体制はしっかりと支援しておくべきだと今回も感じた次第です。今後、こういったことがあれば、現場第一でしっかりと計画を練っていきたいと思っております。
3つ目の指標に絡みまして、就職氷河期世代への支援に関する委託事業についてです。新しいタイプの委託事業ということで、本年度からスタートしまして、コロナの感染拡大がありましたもので、やや遅れ気味という感じです。6月の終わりぐらいから、各業者のキックオフが始まりまして、既に幾つかの業者、ハローワークにも就職氷河期世代への支援の窓口は作っておりますので、幾つかのハローワークの就職氷河期世代への支援窓口を見てまいりまして、地域によっても業者のコース、業者特性によっても、一口に「就職氷河期世代」と言っても、集まる層が結構ばらばらでして、非常に課題が多様だなと感じております。
直に業者などとお話しますと、単純に介護、IT、運輸へ、とは行かないとはっきりおっしゃいました。ここのタイミングで正社員を目指そうということですので、しっかり本人たちの意見を聞いて求人開拓、そしてそのマッチングに取り組んでいきたいというようにおっしゃっていましたので、そういう方向で進めていければと思っています。
 
○職業安定局
指標2のグループの労働者派遣の関係で御指摘を頂きました。ありがとうございます。当然ながら、労働者派遣法違反に対しては、労働局が指導監督をしっかり行って、そこを徹底していくというつもりで行政運営しておりますが、目標の立て方に関して様々に御意見を頂いております点を、同一労働同一賃金の点も含めまして、目標の在り方については検討していきたいと思っております。
 
○皆川委員
1点だけ御教示いただければと思います。資料4-1の1ページの一番下の所の測定指標の達成目標1に係る所の指標3ですが、これも以前に御説明いただいたかもしれないのですが、ここでの求人充足率の年度ごとの目標値が低めに設定されてきていると思います。この年度ごとの目標値のパーセンテージが漸減している点について、なぜこうなっているのかを簡単に御説明いただければ幸いなのですが、お願いいたします。
 
○職業安定局
直近3年間のトレンド、あるいは経済予測等から、その当該年度の新規求人数、求職者数から設定するのですが、ここ数年景気がよくなりまして、新規求人が非常に増えてきています。要するに分母(新規求人数)が増えており、予測した求職者数よりもはるかに伸びていることから、結局、分母と分子の計算の結果ということです。
 
○皆川委員
ありがとうございました。
 
○玄田座長
既に幾つか御意見が出ておりますが、例えば指標5、指標7、指標9ですが、四捨五入をすれば限りなく100%、しかもそれが複数年続いているものについては、例えば3年連続で四捨五入で100%、特にアンケートに関しては、「指標の殿堂入り制度」のようなものを作って、これは役割を終えただろうとしてはどうか。そうすると大事なことは、そういうほぼ達成している目標を粛々と毎年続けるのではなくて、より高い目標にチャレンジする姿を示すことが、政策評価に適うということだとすると、これは局だけの問題ではなくて、事務局ないしは省として是非御検討いただきたいのですが、文言は分かりませんが、今言ったような「目標の殿堂入り制度」のようなことを考える必要があるように思いました。もし何かあれば、後でコメントをください。
もう一点は、これも既に御意見が出ているところで、先ほど来の御説明で、システム刷新というのが、とても今回は大きな要因だったという話で、それもよく分かります。そして、それが求人の手控えにつながったと。今年の1月と2月の有効求人倍率が下がったときに、コロナの影響もあるのだけれども、確かプレス発表では、求人登録の仕方が変わったことが求人数を減らしたという感じの文言が出ていて、それがシステムの問題だということでよく分かったのですが、逆に言えば、ハローワークの求人というのは、求人登録の仕方によって大きく増えたり、逆に減ったりする可能性があるということを示唆しているような気がしていて、つまり言い換えれば、マッチングをよくするために、求人の情報をいかにして煩雑ではないというように求人側に考えてもらい、より多くの求人につなげるかという、まだ改善の余地があるとおっしゃっているように見えます。
特に今後のことを考えると、多分コロナに限らず、現在は、新規求人では、余りシステム上も記載上も、それほど明記していない、例えば在宅勤務とかテレワークの可能性とか、そういうことを求人登録としてどのように情報収集し、示していくのかということは、今後の求人の拡大やミスマッチの解消には非常に大きなポイントになる可能性が、雇用形態に限らずある。そういうことを今回の結果は図らずも示唆しているように思いますので、安定局の業務に限りませんが、特に求人、求職について、システムにうまく合致できるような情報を煩雑ではない形で、いかに収集するかという課題、特にオンライン対応のところについて、是非新たな目標の設定の可能性も含めて、今後の検討をお願いできればと思っております。何か今の時点でございますでしょうか。
 
○職業安定局
システム刷新については、本当に申し訳ございません。このシステム刷新は、一旦求人者、要するに事業所の台帳ができてしまいますと、あとはハローワークに来ずに、オンラインで登録できるようになりますので、オンライン自体をするための一時的な過渡期になったと。
求職者については、やがてはオンラインで求職登録が完結するようになりますので、ハローワークが進めようとしている1つの大きなハードルだったと考えています。
加えて、2次補正で、うちはオンライン職業紹介の予算も取りましたので、今年度中には試行的にスタートさせようと思っておりますので、基本的には利用者の便宜を図るためにIT、オンライン、使えるものはハローワークとしてはどんどん使っていくという方針でいきたいと思っております。
また、1つ目の「アンケートの殿堂入り」につきましては、省全体の方針が決まれば、我々は従いたいと思います。ほかはずっと続けて、うちだけ見直すというのはなかなか。
 
○玄田座長
そういうことだそうです。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
事務局としても、先ほど来議論がある、100%の上限に張り付いているような指標というのは動かないので、ウォッチする意味がないというのは、ごもっともだと思いますので、これはアンケートだけでなく、他の指標にも共通することですので、全体のルールを示す実施要領というものを年度末に全体会議の場でお示しする機会がありますので、そこに向けて整理をしていきたいと思っております。
 
○玄田座長
是非御検討ください。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
ありがとうございます。
 
○玄田座長
御説明があったオンラインを使った求人、求職だけではなくて、オンラインの就業を促進できるようなシステムに対応できるかどうか、つまり、ハローワークに行けば、在宅で働けるのだという情報がすごく豊富に取れるとか、どういう会社が在宅勤務を、どういう形で認めたりするのかという、今まで余りそこまでは踏み込んでいなかったと思うのです。そういう意味でのオンラインの活用というのも、是非情報面として整理できるといいかなと思います。
 
○職業安定局
十分課題として認識しておりますので、今後進めていきたいと思います。
 
○玄田座長
よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本日の御議論を踏まえて、実績評価への反映などをお願いいたします。次の御準備をお願いいたします。
(メインテーブル交替)
 
○玄田座長
次は施策番号Ⅵ-2-2「若年者等に対して段階に応じた職業キャリア支援を講ずること」についてです。担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官の河嶋と申します。よろしくお願いします。施策目標名ですが、「若年者等に対して段階に応じた職業キャリア支援を講ずること」ということで、施策の概要は書いてあるとおりで、青少年の雇用の促進等に関する法律が平成27年に改正してできていますけれども、これにおいて無業青少年の職業生活における自立を支援するための施設として位置付けられ、全国に設置しておりますけれども、「地域若者サポートステーション」、いわゆる「サポステ」と言っていますが、若年無業者等の職業的自立に向けた支援をするため実施しております。
この若年無業者とか、無業青少年と言っていますが、15から34歳までの就業していなくて、家事も通学もしていない方を「若年無業者」と言っていますけれども、大体これが2014年以降で50万人台半ばで推移していまして、それと、現時点で就職氷河期世代ということに、おおむね相当している35から49歳の無業者を合わせますと、2012年以降で、大体120万人程度で推移しています。これに対して、サポステで就労に向けた支援をやっているということになります。
達成目標は大きく2つありまして、地域若者サポートステーション事業において、若年無業者等の職業的自立に向けた支援を実施し、より多くの若年者を就労につなげるという達成目標1のほうですが、こちらについて、測定指標は3つあります。1つ目は、サポステの就職等進路決定者数になります。これは平成22年にまとめられた新成長戦略で目標が10万人となっています。令和2年度で累計10万人という目標に対して、令和元年度の実績は累計で12万9,696人になっています。各年度の実績はここに書いてあるとおりですけれども、令和元年度は1万1,110人ですが、累計で言うと12万9,696人で、現時点で目標を達成していて、令和2年度においても当然達成するということなので、達成状況は見込みということで「(○)」としています。
指標2は、サポステにおける就職等率ですけれども、これは平成28年にまとめられた「ニッポン一億総活躍プラン」等を踏まえて就職率を目標として設定したのですが、平成30年度から雇用保険被保険者としての就職に加えて、その就職に向けて着実にステップを踏んでいると考えられる雇用保険被保険者となることが見込まれる就職、週20時間未満の就労者と、公的職業訓練スキームの移行も含めて合わせて評価することとしておりまして、目標値は令和元年度は60%に対して、実績は67.0%ですので目標を達成しています。
2ページ目、3つ目の指標です。サポステの設置数ですが、令和元年度の目標値が177か所に対して、実績値も177か所なので目標を達成しております。
達成目標2については、サポステの事業において支援を受けた方の就職後の定着ステップアップを推進するというものですが、4つ目の指標ですが、サポステにおける定着ステップアップ支援を受けた方のうち、就職後6か月経過時点で就労している方の割合というのが指標になっています。目標値は令和元年度は69%に対して、実績値は69.4%、若干ですが上回っておりますので目標を達成となっています。
続いて、評価結果と今後の方向性です。目標達成度合いの測定結果は、4つの測定指標の達成状況欄が「○」になっておりまして、主要な指標である指標1も目標を上回っているので、大幅に上回っているというわけではないのですけれども、2達成ということで書かせていただいています。総合判定は目標達成なので、「A」ということにしております。
理由については、指標1から指標4の全てが目標達成していて、施策目標の達成に向けて現行の取組が有効・効率的に実施されており、目標達成しているものと判定しております。
施策の分析です。有効性の評価については、雇用情勢が改善する中で、就職氷河期世代を含むニートの数が下がっていない、減ってはいない。就職実現困難性も一層高まっているのですけれども、指標1、指標2、指標4については、ハローワークあるいは訓練機関等との連携を密にするなど、就職実現、就職後の定着に向けた取組を強化することなどによって目標達成しているところでありますし、指標3についても目標を達成していて、サポステ事業は指標の達成に有効に機能していると評価しているところです。
効率性の評価については、予算額がおおむね横ばいで推移していますが、指標1は、平成27年、平成28年の1万5,000人、1万6,000人と比較したら、平成29年度以降は1万人から1万1,000人に減少しているのですが、就職できなかった方とか、就職氷河期世代の方といった、より就職が困難な方への支援に軸足を移しながらやっていることと、指標2の就職等率についても上昇しているので、一定の効率的な運営が行われていると評価しております。
現状分析ですが、指標1から指標4については、いずれも目標を達成していることから、現行の取組は着実に成果を上げていると考えられるため、今後とも有効・効率的な業務運営を実施して、若年無業者等の職業的自立に向けた支援に取り組むことが必要と思っています。
次期目標等への反映の方向性ですが、引き続きサポステ事業を適切に実施して、若年無業者等の職業的自立に向けた支援に努めてまいりたいと考えております。
また、今年度から全国177か所の全てのサポステで、支援対象を40歳代にまで拡大する。就職氷河期世代に相当するのが35~49歳ですが、そこの年齢にも支援を広げていくということで、支援対象を40歳代までに拡大しております。以上です。
 
○玄田座長
ありがとうございました。それでは、御質問、御意見などありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○岩佐委員
非常に支援が必要な若者や、少し上の世代の人たちへの取組をされていて、本当に御苦労さまです。政策評価と合うのかというところがあるのですが、私の視点としては達成目標に関して、もちろん就職がどれぐらいできたかという、この指標自体は極めて重要な指標だと思っています。けれども、引きこもり等をされている人たちにどうサポートが届いているかとか、現実に相談したいことが相談できているのかどうか、もちろん相談したいと思える状態にもなっていないので、相談が届きにくいケースも多くあるというのも承知しています。要するに、誰かが寄り添っているのか、若しくは寄り添おうとしている人が存在しているのかというのが私にとっては極めて重要な指標で、就職というのはそれの先の結果ではないかと思います。ただ、ここは、数値目標を作って、政策評価をしていく所なので、それと合うのかとか、何が指標なのだという論点はあるのですが、少なくとも相談件数とかは取っておられるみたいですが、相談件数がどうで、その内実がどう変化していくということに何か焦点を当てるのかとか。それから、先ほどの殿堂入りの話で言うと、事業所が大分行き渡ってきているが、それぞれの事業所の相談体制がどういう形で、そこに行き渡るような工夫ができているかとか、そういう辺りに政策の指標なり、視点が当たるといいと思いました。以上です。
 
○玄田座長
キャリア形成支援担当参事官どうぞ。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
おっしゃることはすごくごもっともだなと思うところもあって、確かに現状の目標というか指標は、就職の人数等になっていて、中身や内容が分かるような目標になっていないというのはあるので、それは他の政策分野とかがどうなっているかについて私どもは承知していませんけれども、そういうのを見直していくことが必要であるかどうかは、事務局とも相談しながら可能であれば行っていければと思います。
 
○岩佐委員
中身にどれぐらい入り込めるのかというのは、なかなかこの政策評価との関係で難しい側面もあるのですけれども。
もう一点、また哲学的で怒られそうなのですけれども、難しい話からいくと、やはり私としては目標自体がサポートできているかというところがむしろ極めて重要な視点なので、そういう意味で、中身というよりは形でもいいのですが、そこに焦点が当たるような形を意識して、何か指標を検討していただけないかという要望でございます。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
検討してまいりたいと思います。
 
○玄田座長
是非、検討をお願いいたします。大変重要な御指摘で、今、岩佐委員の御説明はどの程度寄り添っているのかというものです。多分サポステにいらっしゃる方には非常に支援の難易度が随分ばらつきもあろうかと思っております。だから、特に難易度が厳しい、先ほど、引きこもりというお話もありましたけれども、そういう方々に対して、例えば何人ぐらいの方が、どれぐらい時間をかけて寄り添っているのかというのは、なかなかすぐには把握するのは難しいのかもしれません。が、かといって、決して、全く不可能とも思いませんので、是非そういう寄り添いの度合いがどのぐらいあるのかということの検討をお願いできればと思います。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
なかなか難しいところですけれども、検討してまいりたいと思います。
 
○玄田座長
是非、お願いいたします。
 
○皆川委員
御説明ありがとうございました。1点、お伺いしたいのは、資料5-1の1ページの下の指標2の所ですが、就職率等の所を御説明をいただきましたが、平成30年度から週20時間未満で雇用保険被保険者となることが見込まれる方も含めるという、そういった数値を取っておられるということですが、これは内訳で結構なのですけれども、週20時間以上、20時間未満というのは全体としての傾向でお分かりになりますでしょうか。もし今後可能であれば、何か補足の資料などで付けていただけると有り難いかなと思っております。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
改めて事務局を通じて出したいと思いますので、よろしいですか。
 
○皆川委員
はい。
 
○玄田座長
では、御準備のほどよろしくお願いいたします。
 
○石田委員
ありがとうございました。皆川先生と少し重複しますけれども、達成目標1のグループの指標2は、今お話があったとおりに、雇用保険の被保険者となることが見込まれる就職と、訓練スキームへの移行も含めて評価をするという記載があります。グロスで6割ということですが、これは目標である就労につなげるということにどれだけつながっていくかということも、しっかり見ることが大事だと思います。したがって、今、皆川先生がおっしゃったとおりに、訓練スキームに行かれた方、あるいは就職された方、もちろんこれから雇用保険被保険者になることが見込まれる方などについての細かい数字を後ほど教えていただければと思っています。
さらに、訓練スキームの後に就職に至るかどうかも同様に大事だと思います。指標に含まれているということは、多分、多くの方が訓練スキームを経て、ちゃんと就職できているのだと想定されますけれども、訓練スキームの段階を踏んで、どの程度就職につながっているかという実績についても数字があれば教えていただければと思っています。
それと、雇用保険被保険者になることが見込まれる方と公的訓練スキームへの移行した方の合計ということですけれども、カウントの仕方に関して、最初に公的訓練スキームに移行された方を1とカウントして、その方が就労するとまた1とカウントすると、ダブルカウントになるのかなと見ていたのですが、これはどのように処理されているのか教えていただければと思います。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
ダブルカウントになっているかどうか細かく見ないとあれなのですが、そこも含めて、改めて文書で回答したいと思います。
 
○石田委員
お願いします。
 
○玄田座長
御説明もそうでしたし、資料の中にもありますけれども、若年のためにサポステがある一方で、やはり就職氷河期世代への対策にもサポステへの期待は大きいと思います。ただ、若干気になるのは、サポステ全体として就職見込みが、先ほど進路決定者数は年間1万1,000人ということで、このうち就職氷河期世代の方はどのぐらいになるかというと、数字的にはかなり厳しい予想を抱いております。一方で、サポステ予算は40億円ぐらいですか。そうすると、今後、大いに予想されるのは、就職氷河期世代対策としてサポステには期待は大きい。しかも、それだけの予算もそれなりに付いているけれども、実績からすると、例えば、「3年間で30万人の正社員」という目標に対して、サポステが一体どれだけ貢献しているのかというと、数字を見たときに、「えっ、たったこれだけ」みたいになって、そもそもサポステはそのような役割を担えないのではないのといった批判も今後起こり得る可能性もあろうかと思います。その辺りについて、サポステでは、費用対効果では判断できない部分があるのか、やはりその辺も意識しながら施策を進めていかれるのか、サポステ事業とその費用対効果について何か補足的な御説明があればお願いできますでしょうか。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
なかなか難しいところではありますけれども、予算だけで言うと、令和元年度から令和2年度で40億円から53億円ということで、その対象を拡大したので増えてはいるのですが、では、それで十分なのかといったら、そのようなことはないですし、逆に、それだけ対象を増やしたのに、40代の方々に対する支援が補強できているのかと言われたときには、一方で、そもそも無業者、ニートの方々に対する支援というのは、サポステはずっと18年からやっていますけれども、そんなに短期間で成果が出るものではありません。特に40代、現時点で就職氷河期世代となっている方々というのは、無業である期間も長いですし、引きこもりの方とか、いろいろな難しい課題がある中で、更に一層時間がかかっていくという中で、費用対効果とは何かとかというのはあるのですが、短期間で判断できることではないと考えながらも一方で、そういった外部からの評価に耐えられることを考えていきたいと思います。ちょっと抽象的ですけれども。
 
○玄田座長
室長がおっしゃるとおりだと私も思います。若年対策というのは先ほどおっしゃったように、なかなか短期的な評価とそぐわないところがあって、その若年が将来にわたって長期の安定的な雇用政策を実現できるというのが課題で、例えば、先ほどの引きこもりからバイト、フリーターになって、フリーターから経験を積んでパートになって、パートから正社員となることを考えると、なかなか短期間の評価にはそぐわない問題だと思っております。ただ、若年雇用対策について、サポステ事業にかかわらず、これまでの経緯を踏まえると、そういう寛容性というものが評価を和らげてくれるということは現実にはなくて、事業仕分などによって、事業が厳しく評価されるということが、これまでもたくさんあるので、ますます行財政改革や行政の無駄というのが、また別の意味で問われる状況も強まる気がしますし、恐らく雇用政策の中で若年雇用政策というのは、そういう意味では非常に注目のある分だけ厳しい面もあるということで、是非、理論武装も含めて御検討を続けていただければと思います。よろしいでしょうか。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
はい。
 
○玄田座長
ありがとうございました。
 
○人材開発統括官付若年者キャリア形成支援担当参事官室
ありがとうございました。
(メインテーブル交替)
 
○玄田座長
それでは、続いて施策番号Ⅶ-1-2「地域におけるニーズに応じた子育て支援等施策の推進を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○子ども家庭局
子ども家庭局少子化総合対策室長の高鹿と申します。よろしくお願いいたします。私から施策目標Ⅶ-1-2の「地域におけるニーズに応じた子育て支援等施策の推進を図ること」について御説明させていただきます。この施策に関しては、「施策の概要」の所ですが、具体的には子ども・子育て支援法の規定に基づき策定します「市町村子ども・子育て支援事業計画」に基づき実施されております「地域子ども・子育て支援事業」の推進を図っております。その事業の概要については、1から8まで御説明しているところです。この施策の展開に関して、課題として2つ挙げております。
1つ目は、核家族化や地域でのつながりの希薄化などによりまして、子育てに関する不安とか、孤立感を抱えている家庭や、様々な要因で養育支援が必要となっている家庭、そういう特定の家庭に対して問題の解決、軽減を図ることを1つの課題としております。
2つ目の課題としては、そうした特定の家庭以外の広く一般的な全ての家庭に対して、地域のニーズに応じた多様な子育て支援を充実させる必要があるという2つの課題設定のもと、達成目標を2つ掲げております。
まず、1つ目は、乳児家庭全戸訪問事業等の実施により、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援体制を推進する。達成目標の2つ目は、全ての家庭を対象とした多様な子育て支援を充実させるという、2つの達成目標を設定しております。
次ページ、それに基づいた測定指標ですが、達成目標1については、乳児家庭全戸訪問事業等の実施により、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援体制を推進するというところで、2つの指標を挙げております。
以下、指標が達成目標2も含めまして9個続くわけですけれども、基本的にこれは少子化社会対策基本法に基づきます「少子化社会対策大綱」で、5年間の数値目標を掲げており、そちらと同じ目標を、測定指標として設定している状況になっております。
達成目標1の指標1については、乳児家庭全戸訪問事業の実施市町村割合を指標としておりまして、こちらについては令和元年度の目標を100%としておりまして、まだ直近の数字は集計中ですが、平成29年度で99.6%、ほぼ100%に近い市町村で事業を実施していただいているということで、達成状況としては「(○)」としております。
指標2については、養育支援訪問事業の実施市町村割合ということを挙げておりまして、指標1のほうの乳児家庭全戸訪問事業で把握されたリスクのある家庭に対する支援事業の市町村の実施割合ですけれども、令和元年度で100%の目標値を挙げているところ、平成29年度の数字までで84.8%ということで、達成状況についてはおおむね達成と、令和元年度の数字が出てくれば、これ以上の数字を見込めるということで、「(△)」とさせていただいております。
続いて、2つ目の達成目標ですが、全ての家庭を対象とした、多様な子育て支援を充実させるということについては、まず、指標3の利用者支援事業の実施箇所数ということで、こちらは、様々な家庭の子育て上の相談に応ずる事業です。こちらについては、令和元年度の目標を1,800か所としていたところ、実際の実施箇所数が1,194か所にとどまっているというところで、達成状況は「×」とさせていただいております。
指標4は地域子育て支援拠点事業の実施箇所数です。令和元年度の目標値が8,000か所に対して、実績が7,578か所になっておりますので、達成状況としては「△」とさせていただいております。
指標5は一時預かり事業の利用児童数です。令和元年度の目標値は延べ1,134万人としていたところ、直近で分かっている平成30年度の数字で延べ479万人ということですので、達成状況については「(×)」としております。
指標6は子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の実施箇所数です。令和元年度の目標値を950か所としていたところ、実績としては931か所ということで、おおむね達成できたということで、「△」とさせていただいております。
指標7は放課後児童クラブの登録児童数です。こちらについては記載のとおりなのですが、前倒しで整備を図ったという経緯がありまして、令和元年度で、当初目標として設定していた分は既に達成できているということで、達成状況は「(○)」とさせていただいております。
指標8はショートステイ事業の実施施設利用者数です。令和元年度の目標値が延べ16万人の利用を想定していたのですが、直近の平成30年度の数字で延べ9.6万人となっておりますので、達成状況としては「(×)」とさせていただいております。
指標9はトワイライトステイ事業の実施施設利用者数です。令和元年度の延べ14万人の目標を設定していたところ、平成30年度では延べ5万人ということで、達成状況としては「(×)」としております。
次ページ、こうしたことを踏まえまして、指標で達成できていないところが複数ありますので、総合判定としては「C」とさせていただいております。
「施策の分析」については、「有効性の評価」で、特に「×」となった部分の要因を分析しております。特に達成目標2の2つ目のポツを御覧いただくと、指標3については、市町村によって人員、場所等の確保が予定よりも進まなかったことなどが考えられます。また、指標5については、目標値に潜在的ニーズを含めてしまっており、指標5の一時預かり事業のニーズの捉え方が現場の市町村に基本的には任されているのですが、保育所利用との関係等々もありまして、潜在的なニーズも含めて目標値を設定していたことで、実績としてはそこまで及ばなかったということを考えております。
また、指標8、指標9については、ショートステイ事業やトワイライトステイ事業は、養育ができないという状況が生じたケースに対応した事業になっておりますので、市町村において、結果的に対象となる家庭が少なかったということだと考えております。
「次期目標等への反映の方向性」については、少子化社会対策大綱が本年5月29日に新たに閣議決定されまして、第2期の市町村子ども・子育て支援事業計画が令和2年度からスタートするということで、今、市町村でニーズの積み上げ等を行っていただいております。基本的にこちらの測定指標についても、この秋に子ども・子育て会議において、新しい少子化社会対策大綱に基づく目標値について御議論いただきますので、その御議論も踏まえながら、こちらの測定指標について検討していきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。
 
○玄田座長
ありがとうございます。それでは、御質問、御意見などお願いいたします。
 
○石田委員
御説明ありがとうございました。幾つか質問させていただきたいと思います。達成目標1の指標2は、養育支援訪問事業について、実施している市町村割合が数値として出ています。しかし、支援を必要とする人に本当に行き届いているか把握することも重要であると思っており、測定指標が、事業を実施する市町村割合だけでいいのかどうなのかということに少し違和感というか、疑問を感じています。養育支援訪問事業は、育児ストレスや特にケアが必要な家庭が対象になっていることだと思いますので、是非、事業の一層の周知、あるいは本当にその支援が必要であるにもかかわらず、支援が届いていない人をしっかりと選んでいただいて、その支援が対象者に有効的に結び付くよう、是非きめ細かな対応をしていただきたいと思いますし、その指標についても、市町村の割合ではなくて、どういう支援が必要で、どういう支援ができたのかという、そこにも1つ目線を置く必要性があると思っています。
それと、達成目標2の指標5について、総合判定の4ページの「有効性の評価」の中段ぐらいの所ですが、○の3つ目で、幾つかポツが付いた説明をされている所がありますが、指標5について「実施主体である市町村において、目標値に潜在的ニーズを含めてしまっていた」と書いてあります。これは、読み方によっては、含めることが誤っていたというように読み取れるのですが、実は、市町村に対する子ども・子育ての支援事業計画における「量の見込み」の算出の手引の中には、「潜在ニーズを含めて見込みなさい」というような記載があり、本来は見込むべきだということなので、見込みが間違ったのではなくて、見込んだ数字が間違っていたのではないかと思います。
これも説明がありました指標8、指標9について、結果的には対象となる家庭がなかったというお話だったのですが、本当にそれでいいのかどうなのか。事前のリサーチ等も含めながら有効的に事業として展開していただくわけですから、その事業の展開が困っている人の役に立つということに結び付けていただいて、どれぐらいの効果があったかということに最終的につなげていただくよう、是非御尽力いただければと思っています。
それと、指標7の放課後児童クラブの登録児童数について、目標達成見込みということですが、客観的に見ると、依然として待機児童の数は、昨年の数字で1万8,200人程度いらっしゃるという報告があります。待機児童数も指標に加えるなど、実態も考慮した内容について、是非御検討いただければと思います。また、可能であれば、その指標の中に保育の質について、その構造に結び付く指標を御検討いただけると大変いいと思っております。よろしくお願いします。
もう一点は、大変恐縮ですけれども、第27回の有識者会議の中での、インデックスが付いている、この資料を頂戴いたしました。そのⅦ-2-1を御覧いただきたいと思います。それと併せて、「第27回政策評価に関する有識者会議委員からの御意見等への回答」という資料もあります。エクセルで表だけグリーンになっているもので、「第27回政策評価に関する有識者会議委員からの御意見等への回答」という資料の71番になります。ページは載っていないので、申し訳ありませんけれども、71番がⅦ-2-1に関するものです。
 
○玄田座長
達成目標3の測定指標9。
 
○石田委員
はい。話が飛んで申し訳ありませんが、そこに対応困難ということで御回答いただいて、理由も記載していただきました。実は、これは我々が出させてもらった内容で、誤解があったら大変申し訳ないので、少し考え方についてお話をさせていただきたいと思います。
回答いただいた中に、特別養子縁組の利用促進を図ることも社会的養育の充実に向けて、非常に重要な要素だというようにお答えを頂いています。特別養子縁組制度は、社会的養育の選択肢の1つであり、決して我々は反対をするということではありませんし、新しい社会的養育ビジョンにも、子どものニーズに応じた養育形態が選択されるべきというようにも記載されております。そういった意味では、ここに記載させてもらった内容は特別養子縁組だけでは解決できない課題もあるので、なるべく多くのいろいろな手段を講じ、測定指標を作っていただき、適切に評価をし、政策に活かしていただきたいという趣旨で書かせてもらっております。特別養子縁組を否定しているのではないということだけ、是非御理解といいましょうか、共有させていただければ助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
○玄田座長
たくさん御意見を頂きましたので、今、お答えできる範囲でも結構ですので、よろしくお願いします。
 
○子ども家庭局
まず、指標2の養育支援訪問事業の実施市町村割合についての御質問を頂きました。どういう支援が行われているかということを捉えた測定指標は考えられないかという御趣旨だったかと思います。これについては令和元年度の数値を集計中でして、多分これが100%に近いということであれば、では、次の指標としてどういうものがあるのかということを、少子化社会対策大綱の目標値としても考えていかなければいけないと思いますので、検討させていただきたいと思っております。
また、指標5の一時預かり事業の利用児童数の分析については、確かに表現ぶりが悪かったと思っています。基本的に書きたかったことは、女性の就業率の上昇に伴いまして保育所を利用される方が多かった分、一時預かり事業のほうが結果的に実績として少なかったということ。予想していたニーズとのギャップを書きたかったのですが、ちょっと書き方が悪かったと思っております。
指標8、指標9については、確かに実際のニーズがこれだけだったと、振り返ってみればということだったのですが、では、市町村の想定していたニーズというのは何だったのかということがあろうかと思います。御案内のとおり、これは平成27年から始まった第1期の計画の前に、市町村でニーズを想定していただいたということもありますので、今回5年間で回って、次の第2期の計画に入りますので、市町村でニーズの測定の仕方や把握の仕方も変わってくるのではないかと考えております。
また、指標7の放課後児童クラブの登録児童数ということで、この測定指標として掲げていたものとしては達成したということですが、当然まだ入れない方ということも御指摘のとおりかと思いますので、そこは、引き続き指標の在り方も含めて検討していきたいと考えております。
最後に、御意見を頂いた養子縁組の件については、直接の担当ではないものですので、持ち帰って担当課に御指摘があったことを伝えさせていただきたいと思います。以上です。
 
○石田委員
ありがとうございました。
 
○玄田座長
私も先ほどの指標5の潜在的ニーズのところは同じ意見を持ちました。多分、潜在的ニーズを加えたことが悪いのでは全くなくて、むしろそれは、どんどん掘り起こしていくべきで、多分、目標に加えることが適切ではないというところまで加えてしまっているのだと思います。先ほど来、岩佐委員もおっしゃっていることなのですが、数値を上げることが全てではなくて、本当に国民に納得いただけるような目標設定をすることが大事で、何でもかんでも目標に加えればいいというわけではないので、そこを皆さんによく理解いただくということが大事なので、どういう潜在ニーズを加えることが目標に適するかということは大変難しいのですが、比較的分かりやすく説明できる御努力を引き続き続けていただければと思います。他にいかがでしょうか。
 
○皆川委員
委員の皆川です。御説明ありがとうございました。私からは資料3ページの指標8、指標9の所に関して、簡単にお伺いできればと思います。ショートステイ事業とトワイライトステイ事業を利用された方の延べ人数が目標まで至っていないということですが、これも先ほど来、他のテーマでも御議論があるところなのですが、この数字の目標値の設定と、達成度合いをどう捉えるかというのは、なかなか一筋縄ではいかないところがあるかと存じます。
ニーズが本来もっとあるのに掘り起こせていないと捉えるのか、それとも、一時的にお子さんを預けたり、夜に預けたりというニーズとして困っている方が少ないということであれば、それはそれで結構だとも思います。この辺りの捉え方については、恐らくですが、多分、地域差、そのニーズがある所と、そうでもない所、例えば一時的に預かっていただける親御さんとか、親類の方が近くにおられる確率の高い地域とか、そういった所では事業のニーズがないというか、表面化しないという所もあるかと思います。その地域差や親御さんの状況、どういう年代で子供が生まれたかということで、これを細かく捉えるのは大変だと思いますので、確率的な話だと思いますけれども、そういったところで、ニーズの捉え直しを今後実績を踏まえながらされておられるところだと思いますけれども、その辺り、非常に答えにくい質問になってしまって恐縮ですが、何か補足的にお分かりになるところがあれば御教示いただければと思います。
 
○子ども家庭局
確かにおっしゃるとおり地域差というところがあると思いますので、まさにこれは市町村の積み上げを全国で取って、数値としてどうかというところがありますので、そこは第2期に向けてやる中で、どういう指標の取り方、目標値の設定が可能かというのは、引き続き検討していきたいと思います。
 
○皆川委員
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 
○岩佐委員
私は子供の虐待のことについていろいろ対応していることもあるので、そういった視点が入ったような質問が幾つかあります。乳児家庭全戸訪問、養育支援の訪問事業の関係は、先ほどお話にもありましたように、訪問の内実・内容について、どういう支援ができているのかということを、これをまた政策目標にどのように数値化するのかという困難が一定あるということは理解しつつも、重要ではないかと思います。特に、これは虐待対策室の考えと微妙に私の考えが違うのかもしれませんが、この事業は児童虐待の発見に重要とも言われているのですが、もう一方で、私としては、これが何か子育て監視的なことになるのは非常にまずいと思っています。あくまでも支援のために行く中で、そういう困っている保護者の方の状況が見付かれば、更に支援ができるということです。訪問し、見付けて、いけないじゃないか、というようなことは一線画さなければいけないということもあり、その支援の内実に何らかの形で、また次のステップに指標になればいいと思いました。
指標7の放課後児童クラブのことも同じで、待機で入れないという子どもの関係もあると思います。私の周りでも保育所に預けていて、共働きの両親ですが、小学校1年生というのはやはり1つの線で、特にお母さんになってしまうのですが、お仕事を一旦辞められる方というのが、やはり一定数いらっしゃるのです。帰ってくる時間とか、一旦家に帰るのか、お迎えとか、そういうことも含めて、保育所のときの預けている状況と、放課後児童との状況が違っている。結局そういうものが設置されるのはいいのだけれども、中身がどうかということも含めて検討の課題になっていくといいと思いました。
次は、指標8、指標9ですが、子どもの虐待に対応している立場からしますと、夜に小さい子どもだけが家にいて過ごすという事例は少なからずあって、小学生と幼い子どもだけというような夜の状況、何とか対応できないか。急に何かあったときに対応できないのかというのは非常に重要なニーズだと思っているのです。他方で、そういう方というのは、事前に、1週間前から予約しようというよりは、今日も夜に仕事があって預けたいということもあるので、うまく結び付けるのが非常に難しいということは理解しているつもりではあるのですが、せっかくの事業ですので、事業がうまくニーズと結び付くよう工夫していただけると有り難いと思いました。
あと、2点ですけれども、1点は、これは私の全般的な感想ですが、子育て支援事業の関係で、支援がすごく難しいケースとして、子育てに困難があり、子どもの虐待にいつなってもおかしくないような状態であり、その背景は非常に複雑で専門的な支援を必要とするのだけれども、その方は経済的に苦しい状況にある場合です。こうしたケースは直ちに児童相談所が関わるかと言われると、まだそこまでいっていない。御本人もニーズに気が付いていないような方に支援が届かないか、という思いがあります。この事業をずっと1年見ながら、いつもそこに何かあったらいいと思ったというのが1点です。
最後に、コロナウイルス感染症との関係で、いろいろな訪問事業が困難になり、状況がかなり大きく変化するのではないかと思います。しかし、コロナ状況だからこそ、本来はコミュニケーションが必要であったり、支援が必要だったりするので、ここの施策目標に絡むのかどうか分かりませんが、今後のいろいろな支援について、コロナとの関係ではこういう工夫をしているとか、今後はどうしていくかについて、併せて御提示いただけると有り難いと思いました。
 
○玄田座長
少子化総合対策室長、どうぞ。
 
○子ども家庭局
コロナの話も含めて、様々な御意見を頂きましたので、これを持ち帰りまして、局内の担当課に共有させていただきたいと思います。
 
○玄田座長
是非、御検討をよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、実績評価への反映をお願いいたします。ありがとうございました。
(メインテーブル交替)
 
○玄田座長
それでは、大変長らくお待たせして恐縮です。施策番号Ⅶ-4-1「ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。
 
○子ども家庭局
子ども家庭局母子家庭等自立支援室長です。よろしくお願いいたします。施策目標は、「ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ること」です。達成目標については1から4まで4つ掲げております。いずれもひとり親家庭です。目標1は、必要な支援につなげる。目標2は、生活支援の推進。目標3は、子ども・親の学習支援の推進。目標4は、親の就業支援の推進です。
この4つの達成目標について、それぞれ指標を8つ設定しております。指標1は、母子・父子自立支援員の相談件数をアウトカムとしています。指標については、いずれも平成27年の子どもの貧困対策会議決定の「すくすくサポート-プロジェクト」のKPIを設定していて、そちらの数値を使用しております。指標1については、母子・父子自立支援員の相談件数を、令和元年度までに150万件にするという設定でした。令和元年度については、まだ集計中ではありますけれども、平成30年度で見ると150万件に対して約70万件強という数値になっていますので、こちらの達成状況は「(×)」になっています。
達成目標2に関しては、指標2と3があります。指標2については、ひとり親家庭の日常生活支援事業の年間利用者数です。こちらについては、利用条件を緩和するとともに、ヘルパーの資格要件を緩和するなどによって、令和元年度まで、同事業の利用者数を年間1万人ということで目標設定しておりましたけれども、直近の平成30年度で見ると3,000人弱ですので、達成状況としては「(×)」になっています。
指標3については、ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業の年間延べ提供数です。こちらについては、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得や学習支援、宿題を見るということも含めてです。あとは、食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりの事業です。これは当時の新規事業だったわけですけれども、可能な限り早期に、年間延べ50万人分提供するという目標値を掲げておりました。こちらについては、平成28年度は14万人、平成29年度は23万人、平成30年度は25万人ということで伸びてきてはいるのですけれども、50万人にはちょっと達しないという状況になっていますので、達成は「(×)」とさせていただいております。
達成目標3については、指標4と指標5があります。指標4については、先ほどと同じ生活・学習支援事業ですので省略いたします。
指標5については、家計管理等の講習会への参加者の年間延べ人数です。こちらについては、フィナンシャルプランナー等の専門家を活用した講習会の実施等です。令和元年度の目標値について、講習会参加者数は2万人という目標を設定しておりましたけれども、直近の平成30年度では約1万2,000件強というところにとどまっておりますので、達成状況は「(×)」としております。
達成目標3について指標6があります。こちらは高等学校卒業程度認定試験の合格支援事業の年間利用者数になっています。こちらについて、令和元年度までに、認定試験合格支援事業の利用者数を年間5,000人と設定しておりましたが、非常に乖離していて、直近平成30年度で46人にとどまっておりますので、達成は「(×)」としております。
達成目標4については、就業支援の推進です。こちらは指標7と指標8です。指標7については、高等職業訓練推進給付金を受給して、資格取得した者に対する就業者の割合です。就業者の割合を90%以上とすることを目標としています。こちらについては、平成29年度、平成30年度とおおむね90%を達成している水準になっていますので、達成は「(○)」とさせていただいております。
指標8については、母子・父子自立支援のプログラムの策定件数です。こちらについては、プログラム策定件数を令和元年度までに1万件とすることを目標として設定していますけれども、6,000件強というのが直近の数字ですので、達成は「(×)」とさせていただいております。
総合判定ですが、指標7については目標を達成しておりますけれども、その他の指標1から指標6と指標8については目標の達成が難しいと考えられることから、判定結果は「C」とさせていただいております。
有効性の評価です。達成目標1については、例えば母子・父子自立支援員は行政職員ですので、行政職員の人数が増えない中で、相談件数を2倍にするという目標設定がそもそも過大であったと考えています。
もう1つは、行政による相談支援だけでなく、目標設定以降、民間団体を活用した様々な相談体制の整備が求められており、行政以外の多様な相談支援等が充実してきていることが影響しているのではないかと考えられます。ひとり親家庭の相談支援体制については、民間団体等多様な主体も含め、幅広い取組を進めていくことが今後は重要と考えております。
達成目標2は、生活支援の推進です。こちらは、もともと補助単価が低いといった問題もあったため、自治体がヘルパーをなかなか確保できなかったことが考えられると思っております。
指標3と指標4の生活・学習支援事業は、当時の新規事業であったため、目標の半分程度にとどまっているものです。目標の設定水準が当時妥当であったかどうかという点が問題だったという可能性を記載しております。
達成目標3は、子ども・親の学習支援の推進です。指標5ついては、直近の数字が大体6割強にとどまっています。ひとり親については、ワンストップ相談窓口を別途支援・整備を進めているところです。そういったワンストップの窓口で、講習会とは別に、例えば自治体がひとり親家庭に家計管理の相談を行っているといった可能性もあるので進まないのではないかと考えられるかと思います。
それから、高等学校卒業程度の認定試験の話です。こちらについては、受験を希望するひとり親家庭に関して5,000人という目標値が実績値と比べて非常にかけ離れており、そもそも課題であったのではないかという問題点があります。この受講終了時の費用は、受講した費用の20%の費用補助にとどまっているため、給付金の多くが受けられないことによって、受講を躊躇しているような人がいたのではないかと考えております。
指標4は、就業支援の推進です。指標7のほうは達成ですので省略します。指標8のプログラム策定についてです。プログラム策定員が、キャリアコンサルタントといった専門性のある資格を持っていないという事情があるものですから、そういう専門性という観点で受講が伸びなかった可能性があるのではないかと考えています。
効率性の評価です。効率性の評価については、これらはいずれも母子家庭等総合支援事業ということで、統合補助金の中のメニューに含まれて実施されています。その統合補助金の執行率は90%を上回っている状況です。そういう意味では効率的に運用されたものと考えています。
現状分析です。相談支援で、必要な支援につなげることについては、いずれも予算事業ですから、様々予算の改善を図ることとしております。例えば、令和元年度からは、民間団体を活用して、ひとり親家庭に対して出張や訪問相談の支援を強化するとか、サービスの申請の補助を行うような事業を始めております。更に、アウトリーチ型の相談やSNSの活用を進めています。このほか、相談支援員の専門性の向上を今後図っていく必要があると考えています。
 
○玄田座長
ちょっと確認します。事前に、5分程度で御説明いただくということを事務局から伝えていなかったでしょうか。
 
○子ども家庭局
申し訳ございません。
 
○玄田座長
今の認識として、何分お話をされていますか。
 
○子ども家庭局
すみません、10分を超えています。
 
○玄田座長
私の認識でも10分を既に超えています。平等性の観点もあります。大変お待たせして申し訳なかったのは、こちらの運営上の問題ですのでお詫びいたしますが、一応お約束はお約束ですので、よろしくお願いいたします。
 
○子ども家庭局
分かりました。申し訳ございませんでした。最後に、次期目標等への反映の方向性として、目標1については、令和2年度から母子生活支援施設等を活用した短期間の生活一般に関する相談支援を予算要求しています。達成目標2については、ヘルパーの補助単価の充実を図ること、定期利用について小学生を対象にするといった改善を令和2年度予算でしております。子ども・親の学習支援については、令和2年度から、支払った費用について20%から40%まで引き上げるといった予算の改善を図っております。
最後に達成目標4です。プログラム策定員については、キャリアコンサルタントの資格を取る講習を受講する経費を補助対象とできるように、令和2年度から改善しております。さらに、令和元年11月には「子どもの貧困対策に関する大綱」が閣議決定されておりますので、このようなものを参考にして、次期目標については、測定目標の見直しに当たって、引き続き様々な検討を図ってまいりたいと思います。時間をオーバーして大変申し訳ございませんでした。
 
○玄田座長
ありがとうございました。それでは、御質問、御意見などをお願いいたします。
 
○石田委員
ありがとうございました。端的に伺います。達成目標1の指標は1つしかないわけですけれども、少し目標が過大だったという評価をしていただいています。そもそも、その件数を目標にするのか、この文面にも入っていますけれども、好事例を収集して共有するということであれば、指標の立て方そのものも少し工夫が要るのではないか。件数ありきではなくて、好事例がどのような形で展開されていくのかということが大事だと思いますので、是非御検討いただければと思います。
それから、民間団体への相談件数が多かったという評価も書いてあります。多かったと書いてある以上は、大体数字は押さえているのではないかと思いますので、その辺の合算の数値も参考までに、今なければ結構ですので、後ほど教えていただければと思います。
達成目標2の指標3と指標4は、子どもの支援という形で、先ほど岩佐先生から虐待のお話もありましたけれども、新型コロナウイルス感染症の関係で、家庭の貧困化や、親御さんのストレスによる虐待などが我々の耳にも入ってきています。また、お子さんが自分の居場所を見付けることができないということも指摘されています。これから新型コロナウイルス感染症の状況がどのようになるか見通しはつきませんけれども、辛い思いをされている子どものことを最優先に考えて、是非対応できる対策の整備をお願いいたします。
達成目標3の指標6で、親御さんの高等学校卒業程度認定試験の受講の関係です。「子どもさんの中学校卒業後の進学率が高水準であることによって、親御さんの高等学校卒業程度認定試験合格支援事業の受講率が少ない」というように書かれているのですが、これは、どのような因果関係があるのか。資料の4ページの中段からちょっと下に指標6と書いてあって、ひとり親家庭の子どもさんの進学率が高いと記載がありますが、そのことと、親御さんが改めて学習をする希望者数が少ないということとは、どのような因果関係があるのか不明なので、そこを教えてください。
 
○子ども家庭局
民間団体の話ですけれども、民間団体を活用した事業を行っておりますが、具体的にその相談件数が何件であるとかという数字を今は持ち合わせていません。事業としての実施状況等はありますので、後ほど御報告できると思います。
最後に頂きました、高等学校卒業程度認定試験の話ですけれども、評価書に記載した「子どもの進学率」と「親の進学率」は直接関係しないと思います。この記載の仕方が適切でなかったとしたら訂正させていただきます。その他、新型コロナ等も含め、御意見を参考にさせていただきます。
 
○玄田座長
調べて、記載ぶりなどを確認してください。
 
○子ども家庭局
はい。
 
○岩佐委員
2点あります。1点目は、指標2と指標3は先ほど御指摘もありましたように、子どもや、困難を抱える親にとって重要な実質支援ということになります。私の手元に集計や科学的根拠があるわけではないですが、かなりのニーズがあると思われるので、よりそうした支援に結び付いていくとよいと思います。それとの関係でも、ひとり親家庭になってしまったときに、本日のいろいろなもの以外にも児童扶養手当の問題とかいろいろなことがあると思います。養育費の関係や、面会交流をどうするのかとか、そうしたいろいろな悩みについて、どこかに相談に行くと、どのような支援メニューがあるのかを教えてもらえることがとても重要だと認識しています。
指標1について、先ほどもお話のあったように、民間の相談も広がってきていることですが、私としたら、基本的にあまり費用がかからずに相談ができる部分について、国や自治体側としても一定の準備が必要だと思います。つまり、ひとり親になったときに1万円や2万円払えば相談に行けるけれども、お金を払わないと相談に行けないということではなくて、大変なときでも相談できる体制が必要だと思います。そういう意味では、行政がグリップする相談と、場合によっては何らかの形で補助が出たりするかもしれませんが、行政が意図的にグリップしている民間団体での相談と合わせて、全体として相談体制として、目標は何で、その目標を達成できたかどうか。今は行政での相談だけで目標設定していただいていますが、これが民間に広がるとしても、行政として、最低限ひとり親の方々が利用しやすい相談体制ができているかという視点から指標を考えていただけると有り難いと思いました。
 
○玄田座長
今の段階で何かありますか。
 
○子ども家庭局
ありがとうございます。おっしゃるとおり、児童扶養手当とか養育費、面会交流の関係のメニュー事業や手当も逐次改善を図ってきているところです。この中にはなかった事業もありますけれども、そこも引き続き改善を図りたいと考えております。
それと、相談支援体制ですけれども、私どもの相談支援については、自治体を補助対象としております。例えば、母子家庭当事者の団体に委託することも可能にしております。そういう意味で、先生がおっしゃるとおり、民間の活力も使って相談支援体制を増やしていければと考えております。ありがとうございます。
 
○玄田座長
皆川さんどうぞ。
 
○皆川委員
御報告ありがとうございました。全般的なお話になってしまいますので、意見という形でお聞きいただければと思います。特にひとり親家庭に対する支援は、どの事業も社会的なサポートという意味では非常に意義あるものだと思われます。あと、目標と達成度合をどう考えるかというのは、他の施策にも共通するところだと思うのです。数値目標の立て方も、様々な事情や状況の変化によって変わると思いますし、当初見込んでいたものが違うということであれば、現実に合った目標に変えていただくということも当然だと思います。様々な施策の進展状況とか、利用状況とか、岩佐委員からお話があったように、サポートの潜在的なニーズがあって、それを掘り起こす必要があるということであれば、なぜ達成できないのかということを分析していただければと思います。
ニーズ自体がこのポイントではないというか、当初から目標が高かったとか、行政のサービスのリソースとの比較で高かったということであれば、これは政策の効率性とか、適切性という観点から柔軟に見直していただければと思っています。これを達成するのは意義ある事業ですが、いろいろな要因が関連して、本来ニーズがある所に届かないといった複雑な要因が様々ある分野だと思います。御苦労が多いと思いますが、引き続き御検討いただければと思います。
特にひとり親家庭の子どもさんへの学習支援というのは、目標値はともかく、その件数としては伸びてきていますし、社会的なサポートの必要がなくなるわけではないと思いますので、引き続き要因分析や、社会事情の声などを踏まえて御検討いただければと思います。これは意見です。
 
○玄田座長
御意見ということですので、是非御検討を進めていただければと思います。何かございますか。
 
○子ども家庭局
いいえ、ありがとうございました。
 
○玄田座長
私からも2点申し上げます。1点目は、是非表現の再検討をお願いしたいのです。5ページの「効率性の評価」の欄で4行書いてあって、最後の所に記載されている「効率的に運用されているものと評価できる」という表現は、極めて違和感がありました。効率性というのは一定の成果が上がっていて、それに対して適切な支出の下で行われているということを、効率性というのではないか。全くと言ったらちょっと失礼ですが、このC判定につながるような、ほとんど成果というものが未達成な状況の中で、執行率は90%を超えているとか、必要な経費に限定しているから効率的というのは私には理解できない。私だけかもしれない。しかし、この結果を見て、効率的に使われているから問題ないと思う国民がいたら是非聞いてみたい。
必要な経費は支出しているけれども、残念ながら効率的な効果にはつながっていないということだったら分かります。ただ、これをもって効率的であると分析して評価できると言われると、効率的には全然運用はされていない。もっと言えば、効率的な運用をするためには、全くまだもって、これだけの予算では足りないと書かれるのであれば分かる。
他にもいろいろなお考えがあってこの表現になっていると思うので、異論があれば是非事務局と議論していただいて、修正困難と言っていただければいいと思います。
私は、この成果をもって効率性を評価できるということを、有識者会議のWGで認めたというのは、少なくとも座長としてはちょっと納得はできないので、強く申し上げておきたいと思います。
あとは他の先生方と同じなのですが、この結果の最大の問題は、閣議決定なり大綱という、内閣府等の決定と、厚労省との連携ができていないことが最大の問題ではないかと思います。先ほど、KPIを引用してこの目標になっているとおっしゃっていましたが、筋としてはそうだと思います。一般的に政策というのは上下関係ではなくて、必要な省庁同士でちゃんと密に連絡を取り、必要な目標と、実現できる目標のすり合わせをしながら政策目標ができてくると思うのです。
この結果は、目標と実行主体の連携が全くできていないように見えます。言いすぎかもしれませんし、この批判は室に対してするのは適切ではなくて、省同士でお考えいただく必要があると思うのです。室に対しての意見でもないし批判でもないというふうに御理解ください。ただ、この問題を室だけで解決するのは無理だと思います。もしこの目標を置くのであれば、もっと段階を踏んで、この段階までだったらできる、というようなことをやらないと、延々にこの目標は多分達成できない、恐らく予算を倍にしても無理だと思います。私はそのように思います。
そもそものこの目標の設定の仕方というのが、どういうプロセスで目標ができるかということを、もう一度再検討する必要があるのではないかという意見であることを申し上げておきます。何か御意見等はありますか。
 
○子ども家庭局
効率性の評価については、補助金の執行という観点からのみこのように書いているかと思います。記載については持ち帰って検討させていただきます。それから、KPI等の関係ですけれども、このように指標等の乖離が非常に大きい事業でありますので、おっしゃることは大変よく分かります。こちらについても宿題とさせていただきます。次期目標等の設定に当たっては、本日頂いた御意見を反映させていただき、考慮しながらやらせていただければと考えております。
 
○玄田座長
また、実績評価等の御検討をよろしくお願いいたします。
 
○岩佐委員
私も、大きい話なのでどうしようかと思っていたのですけれども、今の座長のお話で、こういった内閣府から大きく決まって幾つか対応している部分があろうかと思うのです。先ほどのワンストップの話で言うと、私がすごく気になっているのは、ワンストップサービスが必要ということ、いろいろな縦割りで多くのワンストップができて、前よりもかえって相談窓口が多数あるようなことも起こりかねないと思います。ワンストップサービスができること自体はとてもいいことですけれども、子どもの関係で言うと、ひとり親家庭はワンストップにしたほうがいいとか、子育て支援もワンストップが必要とか、母子の関係では包括センターを作って、そこでワンストップでやろうとか、ワンストップがいっぱいできてきている側面もあり、かえって市民・国民からは見にくいというところもある。
先ほど座長が言われたように、それは室だけの問題ではないけれども、子どもをめぐる施策という意味では大きく1つの所で、困難を抱えている人たちに対してどのようにすればアプローチしやすいかというところもあるので、是非連携して、調整していただけると有り難いと思ったので一言言わせていただきました。
 
○玄田座長
併せて御検討をよろしくお願いします。よろしいでしょうか。それではありがとうございました。お疲れさまでした。
 
○子ども家庭局
ありがとうございました。
 
○玄田座長
それでは、全体としてありがとうございました。もう1つありまして、議事次第2「その他」として事務局から報告事項があります。お願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
大変申し訳ありません。最後に私のほうから、前回持ち回りで開催した有識者会議への御意見の対応状況を御報告させていただきます。総数として94項目御意見を頂きました。49%程度対応と。対応の中身として、全体的なルール変更を行ったものも1つあります。多くが、令和2年度事前分析表では対応と。令和2年度事前分析表はまだ公表されておりませんが、10月中には公表予定です。
対応困難が21.3%となりましたが、ここについては先ほど石田委員から御意見を頂いたものもありますので、そういうものについては今後も検討させていただき、次の令和3年3月の会議の際に検討状況を報告させていただきます。
今後検討とした22項目についての現時点、つまり3月からの変更点という意味での現時点での検討状況を御報告させていただきます。労働WGに関するものはB12ぐらいからです。テレワークの関係で、自営型テレワークと、雇用型テレワークというのが、今は異なる施策目標として書かれているのですが、両者とも「多様な働き方」という意味では、ある種共通するような部分があるので、1つの施策目標にくくる、若しくはある程度指標なり目標を共有するという整理等を考えたらどうかという御意見でした。対応困難という回答になっています。
B15は、先ほど非正規雇用労働者の議論をした際に、同一労働同一賃金の関係で、具体的にこういう指標を設定予定だという話が担当課からあったかと思うのですが、要するに行政指導に対する是正割合の話です。実績値として100%の上限に張り付いており、指標としての意義を終えたものを測定指標として設定しようと考えていると説明がありました。ここは「対応」となっていますが、対応の内容を変えなければいけないと思いますので、原課と調整をしたいと思います。
あと目立ったところでは、例えばB18、B19で、求職者支援訓練の関係で、就職率だけではなくて、定着率も指標化という御指摘がありました。これは、ハローワークシステムの改善で、定着率も取れるようにはなったのですが、そもそも離職理由というのが積極的に本人が希望して辞めてしまう場合があって、訓練の結果、必要な能力が身に付けられなかったことによる、能力のミスマッチということでの離職をどう取るのかというのがやや難しいところがあります。そこは、雇用情勢がかなり流動的な状況にありますので、もう少し落ち着いてから、その範囲の離職を除いた分を定着率として取るかというのは今後検討していきたい、ということで一定の時間がかかる理由を詳しく説明しているという状況です。これについても御意見がありましたら頂き、引き続き検討させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
今の段階で、特に御質問、御意見はよろしいですか。引き続き御検討をよろしくお願いします。大変長くなりました。大変恐縮でございますが、予定しておりました議事は全てこれで終了となります。誠に熱心かつ有意義な御審議を頂きましてありがとうございました。事務局より、本日の議論の取り扱いについて説明をお願いします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
先生方、本日は非常に有意義な御議論と、たくさんの御指摘、御示唆を本当にありがとうございました。本日頂いた御意見の取り扱いですが、まず実績評価書の記載に関する指摘については、担当課と相談の上、必要な修正をするとともに、評価書の必要欄に反映状況を記載させていただきます。また会議の場で伝えきれなかった意見等がございましたら、9月24日(木)までに事務局まで御連絡ください。実績評価書については、当室で取りまとめの上、総務省に通知、また厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、先生方にも最終版を送付させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 
○玄田座長
渥美さんと池田さんも、もし意見があれば24日までに同じように事務局ですか。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
はい、連絡しておきます。
 
○玄田座長
よろしくお願いします。以上をもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。大変長時間にわたってありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。どうもありがとうございました。お世話になりました。