第89回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第89回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和2年9月16日(金) 10:00~11:16
 
2.場所 AP虎ノ門会議室Aルーム(一部オンライン会議会場)
  (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授     大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授  中野 妙子
○大阪大学大学院高等司法研究科教授  水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 楠 博志
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巖
○UAゼンセン政策・労働条件局部長  髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 人財戦略部専任部長 北 隆司
○セコム株式会社人事部主務 久保田 祥子
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木 重也
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長  山内 幸治


4.議題
(1) 令和2年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について
(2) 改正高年齢者雇用安定法について
(3) 特別加入制度に関する国民からの意見募集について
(4) その他

 
5.議 事

○荒木部会長 それでは定刻ですので、ただいまより第89回労災保険部会を開催いたします。本日の部会は、会場からの参加及びオンラインでの参加と併せて実施するということでお願いいたします。なお、委員の出欠状況ですが、楠委員と森戸委員が御欠席と承っております。出席者は現在16名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
始めに事務局の人事異動がありましたので、御挨拶をお願いいたします。
○審議官(労災、建設・自動車運送担当分野) 審議官の小林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○労災管理課長 労災管理課長を拝命いたしました山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木部会長 よろしくお願いいたします。それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いします。早速議題に入ります。議題(1)は「令和2年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について」です。では、事務局より説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、私のほうから御説明させていただきます。資料1というのがあります。1枚紙と、それから、少し厚い参考1があります。中身についてはこの資料1に沿って御説明いたします。今年7月29日に、今年度の第1回の社会復帰促進等事業に関する検討会がありました。このときに頂いた主な御意見について、本日、御報告するものです。まず、資料1の最初の所、ご意見、全体の中で1つ、概算要求全体について御指摘を頂いています。副業・兼業についても法改正に伴って、今後、給付が増加していくのではないか、あるいは新型コロナの影響により、景気後退によって保険料収入が低下するのではないか、更には、未払賃金立替払事業の事業費の増大が想定されると。こういう中で、来年の予算について大幅に切り詰めていく必要があるのではないかとういった御指摘です。
また、関連して、令和3年度予算要求に向けて、多くの事業で前年度の執行見込みを踏まえてということではなく、そのときの事業の積上げだけではなくて、まず予算の枠を定めた上で、どのような事業が可能かを検討すべきだ。あるいは、第二次補正予算の各事業については、国庫による負担が望ましいのではないか、こういった御意見も頂いています。
同じく来年度の保険料収入はどの程度になるのかといったものを推計した上で、上限値を超えない形で計画をすべきではないか、それから、社会復帰促進等事業については、保険給付本体の部分にもっと特化していくべきではないか。
更に予算5%削減というものではなく、もっと思いきった措置が必要ではないか。また、具体的な例として、機械等の災害防止対策費の事業について、ある程度の削減ができる。ほかについても同様の切り口で予算を削減することを検討してはどうかと、こういった御指摘を頂いております。
続きまして目標設定・評価の在り方です。新型コロナでなかなか予想がつかない事態にあるという中ではありますが、敢えて目標を変えるということではなく、仮に達成されなかったとしても、その新型コロナの状況を踏まえた説明をしていけばいいのではないか。あるいは、その目標についても、事業をロングランで見て評価していくという観点から、時系列でデータを取れるようにする。こういった観点からも、コロナ関連で目標値を下げることは避けるべきではないか、こういった御意見を頂いております。
2ページです。アウトカム指標あるいはアウトプット指標の目標の立て方とか、それから、PDCAサイクルによって選択と周知を行い、更に、内容についてもよく整理をして、事業者に一層の周知・浸透を図っていくことが必要ではないか、こういった御指摘を頂いております。
更に個別の事業ですが、労災の援護金等経費、それから、安全性分野における国際化への的確な対応のための経費は廃止すべきではないか、こういった御指摘を頂いております。また、未払賃金立替払事務費についてですが、立替払をした賃金については破産管財人を通じて事業所から可能な限り求償・回収できるよう一層取り組むべきではないか、こういった御指摘を頂いております。
また、過重労働の解消、働き方、仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直しについて、団体推進コースというのがありますが、これを活用する団体に対してしっかりした制度の周知を行って、助成金の活用を促すべきではないか。
また、テレワーク普及促進対策について、国庫の負担で行うべきと、こういった御指摘を頂いています。私どもとしましては、こういった御指摘を踏まえて、来年度の要求に向けて精査している状況です。私からは以上でございます。
○荒木部会長 ありがとうございました。本議題については議題(2)にも関連するため、引き続き議題(2)の御説明をお願いしたいと存じます。
○労災管理課長 引き続きまして、資料2で御説明させていただきます。本日、資料2にありますとおり、別紙、「社会復帰促進等事業に要する費用に充てるべき額の特例に関する省令案要綱」について、御意見を求めたいと、お願いしたいと考えています。2枚めくって、省令案について、参考があります。これで背景を御説明します。御承知のとおり、今般、新型コロナの流行に伴い、今後、未払賃金の立替払の請求といったものが増加していくことが見込まれています。一方、この立替払事業を含めた社会復帰促進等事業に要する費用につきましては、労災保険法の施行規則において限度額が定められています。来年の予算について、特に立替払事業を中心に増額していくことも予想されるところ、一方、保険料収入減額ということも考えられるところから、我々としても精一杯検討していますが、最終的に、予算額、執行額について、限度額を超える可能性があるのではないかと考えています。
こういった状況に鑑みまして、2の所にあるとおり、令和3年度から令和5年度までの予算及び決算につきまして、労災則の第43条の特令を設けさせていただき、立替払事業に関する費用につきまして、社会復帰促進等事業に要する事業に充てるべき額から除外するといった提案をさせていただきたいと思います。この特例的な措置につきましては、過去にも、平成11年度、それから、平成23年度に特例措置を講じて、3か年度させていただいています。下にあるとおり、施行期日につきましては、今年の9月下旬、それから、施工は公布の日と考えています。
後ろに参考2という資料を付けていますので、現状を少し御説明いたします。これは、社会復帰促進等事業、それから、事務費に充てるべき限度額ですが、上にあるとおりの計算式でして、この1号保険料収入積立金から生ずる収入、それに付属雑収入などを加えた値に120分の20を掛けると、これに付属雑収入が加わるわけですが、これを社会復帰促進等事業費等の限度額としています。下のほうがこの事業費等の推移ですが、平成28年度から令和元年度については決算ベースで出しております。一番下にある限度額に対する予算額の割合ですが、元年度決算では86.76%ということで、中に収まっています。現在、令和2年度におきまして、当初予算、その後の第二次補正予算におきまして、様々な事業を要求した結果、一番右下にあるとおり、現在、直近が97.84%ということで、限度額に近いところまできています。私どもは、こういった状況を念頭におきつつ、一方で、先般の社会復帰促進等事業に関する検討会での御議論を踏まえて、来年度要求についてしっかり精査をしていますが、現状、予算を編成する中で、この限度額を超えて、やむを得ず超えてくる可能性があると考えておりまして、今般、緊急避難的に、こういった省令の改正をお願いできないかという提案です。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいま御説明があった件、諮問のあった件につきまして御意見、御質問があればよろしくお願いいたします。
○鈴木委員 現在、コロナ禍の状況におきまして、多くの経営者の方が大変厳しい状況におかれているということは、皆様も御承知を頂いていると思います。コロナ関連の破綻が累計で500件に達し、今後も増えるのではないか、こういう報道もあるところでございます。我が国経済が短期的にV字回復する見通しが立っているかというと、これまた残念ながら立っている状況ではございません。そのため、労働者の方々のセーフティーネットとして、未払賃金立替払事業の予算を拡充し、手厚くしていくということは、大変重要だと思っております。
しかし、そうであるからこそ、使用者側は7月29日に行われました社会復帰促進等事業の検討会の席上、来年度予算については、それ以外の事業の予算を大幅に削減する必要があるということを強く申し上げた次第です。
近年は働き方改革関連の事業の予算が膨れ上がることに伴いまして、社会復帰促進等事業全体の予算というのは拡充し続けております。今後は労働災害の防止、そして被災された方の援護に直接資するような事業に絞り込んで、7、8年前の予算水準に戻していくことが必要だと思っております。そのようなドラスティックな取組を行ったにもかかわらず、立替払の費用が想定を超えて支出され、結果として限度額に近付いてしまうというようなシチュエーションになれば、その時点で省令改正が視野に入ってくるということはあろうかと思いますが、まだまだこの立替払事業以外の予算を圧縮する余地があると我々は考えております。
そのため、今回の厚生労働省事務局からお示しがあった省令案改正につきましては、なかなか納得することができず、使用者側としては反対という立場を表明したいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかには御意見いかがでしょうか。
○砂原委員 御説明ありがとうございました。社会復帰促進等事業については、前から申し上げておりますが、労災保険は、労働災害に遭った人に対する補償を行うという部分が、本来の部分なのかなと思っております。その観点から、それ以外のものについては極力圧縮して、本給付というか、そちらの部分を充実させるということを念頭におくべきではないかということを申し上げておりました。
今回コロナでいろいろなことが起きている中で、未払賃金立替払というのが膨らむ可能性があるというのは、御指摘のとおりかなと思いますので、そこについてはやむを得ないと思いますが、もともとこの部分は、雇用保険でカバーされるべき部分なのかなと思ったりすることもありまして、どういう形で整理をするのかというのをもう1回考え直す必要があるかなと思ったのが1つです。
また、枠外にするという話についてですが、枠外にするのであればそこの部分もほかの社復等事業で使っていいということではないと思うので、そこを減らした金額を限度として、ほかの事業を運営するのだというところは明確にすべきだと思いました。いずれにしても労災保険を適切に運営していくためには、本給付に比重を置いた形にしていく必要があると思いますので、意見として申し添えさせていただきます。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○髙橋委員 新型コロナウイルス禍の終息がまだ見通せないという大変厳しい状況の中で、様々苦労もあると思います。一方で、この新型コロナウイルスに関連したした労災申請も増えているというように聞いております。また、休業4日以上の死傷災害も、ここ数年やはり増加傾向にあるということで、職場において安全の担保がなかなか難しいというような状況にもあるのではないかなと思います。そういった意味では、職場の環境改善の取組は急務だと思いますし、社会復帰促進等事業で実施している内容についても、非常に重要な位置付けにあると思っております。そのため、必要な事業について、適切な目標の設定をしたうえで、その達成に向け着実に推進しいただければと思うところです。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。オンラインのほうで久保田委員から発言の希望があります。久保田委員、どうぞお願いします。
○久保田委員 久保田です。聞こえますでしょうか。
○荒木部会長 はい、聞こえます。
○久保田委員 予算編成について他の委員の方の御意見と同様でして、コロナ禍の国難の中、様々な優先課題が出てきた中で、財源を圧縮するという姿勢で規定路線を見直して、弾力的な見直しをすべきと思慮します。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○田久委員 今報告いただいたように、コロナ禍のところで給付も含めた所が増えてきているという状況もあるのは理解はできて、働く側からすれば支給していただくことは、最も生活困難にはならない状況にはなるかなと思うのです。先ほど鈴木委員からも言われたように、働き方改革等で、保険料の本体の所に対することを重点にというような話も、充てるべきというのは、そのとおりではありますが、実際そこに至る安全対策のところをちゃんと見極めていただければなと思います。
建設でいいますと、やはり長時間労働を含めたところで、ヒヤリハット、いわゆるけがをしたりする、その予備軍というものが、長時間労働や睡眠不足やそういったところから出てきているというのが、建災防さんの調べでも分かっているところではありますから、そういったところでは、ちゃんとそこの部分では働き方改革の社復事業の関係は、安全対策につながるようなところも精査をきちんとしていただいて、取組を進めるべきかなとは思います。ですから、本体に関係ないということではなく、関係をそういったところでもする部分というのは幾つかあると思うので、そういった部分はかなり精査が難しくはなると思いますが、そういったところをきちっとしていただいて、やはり財源は無限ではありませんので、そういったところでの取組を進めていただければと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○本多委員 労災保険部会で兼業・副業の検討のときからも、ずっと重ねて申し上げてきたのですが、やはり社復事業に関しましては、費用の削減をきちんとやるべきだということで、是非お願いしたいと思っております。確かに置かれた環境、いろいろ分からないではないのですが、社復事業は打ち出の小槌ではありません。使用者側としては、建設業でいうと、現場社員の汗と血で出てきたものから供出するものでありますので、非常に大事な財源だと思っております。そういう意味では、当然ながら大事に扱っていただくものでありますので、考え方としては、とにかく一律カットぐらいの認識の上で、更には個別にももっと精査して、財源をもっと圧縮すべきだと思っております。
あと、立替払の件も、今後は考慮する必要があると思いますが、まだ様子が見えない段階で、それを前倒しでするということよりも、それが少し見えた段階でまた財源を考えればいいかと思いますので、是非とも私としては、社復事業の費用については、縮減する方向で検討いただければ有り難いと思っております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。
○山内委員 よろしいでしょうか。委員の山内でございます。使用者側の皆さんのおっしゃっているとおりだと思います。今のコロナ禍の超非常事態、国難と言われる中で、未払賃金立替費用が増えるということ自体については、やむないのではないかと思いますが、一方で、これを外出しした上での社復事業の削減が5%、7%ぐらいの削減で済むのかといったことについて、非常に疑念を感じます。今回頂いた資料では、令和3年度について、未払賃金立替費用を除いたとしても限度額に対する予算額の割合は、過去から増加していっているのはなぜか。足下のコロナ禍においては、事業自体に携わる方々のボーナスも、残業も減っているのではないかと思います。いろいろな負担を国民全体が受けているわけですが、(事業の見直しではなく)人件費だけをみても費用は削減されているはずで、この費用減は今回の予算にどう反映されているのか。。あるいは反映されていないのか。人件費の削減だけでも事業費用の5%、7%削減というレベルではないのではないか。また、、こうした環境下においては、これに加え事業自体の選別を非常事態での対応としてやるべきではないか。こうこうした観点での検討がされたようには見えないと感じた次第です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはどうでしょうか。それでは、種々御意見が出ましたので、事務局よりお答えをお願いします。
○労災管理課長 様々な御意見ありがとうございました。ただいま特に使用者側の先生方から、大変厳しい御指摘を頂いたと受け止めています。先だっての社復検討会におきましても、コロナの状況をしっかり踏まえた上で、削減するべきところは削減すべきであるという中で、私ども事務局では、事業費について5%を1つの目標にするということを、あのとき発言させていただいたと思いますが、それについては不十分であるというような強い御指摘を頂いたと受け止めさせていただいております。実際私どもの編成の中で、更なる切込みということも含めて、現在鋭意検討、調整をさせていただいているところです。
当然限度額があるということを前提に、我々もちょっとまだ編成過程ではありますので、個別のことを申し上げることはできませんが、個別に御指摘を頂いた事業を一部、例えば廃止とか予算計上を見直すとか、あるいは減額をするとか、こういった個別の御指摘も頂いておりまして、私ども、そこは真摯に受け止めて、再度見直しをするということでやってきています。ただ、まだ編成の状況の中でちょっと今、お示しすることができませんが、現実問題限度額にかなり迫っているところでございまして、今御指摘いろいろありましたが、一方で立替払が今後伸びていくであろうということを、我々としてもしっかりしたセーフティーネットは築いておかなければならないという前提で、そういったことを念頭に置きつつ、逆に収入のほうが減っていくということも勘案しますと、来年度実際に編成していく中で、現在も限度額の100を超える可能性があるという状況です。
そういったこともありまして、これまで過去の例も踏まえて、今回緊急避難的にこういった省令の改正の提案をさせていただいているという状況です。また改めていただいた御指摘もあります。個別的なところも含め、また全体としての予算の在り方も御指摘いただいていますが、そういったものを私どもしっかりと受け止めてやっていきたいと考えています。
○荒木部会長 というお答えですが、更に御意見ございますか。
○鈴木委員 ただいま山田課長から、更に精査するということをおっしゃっていただいたわけですが、そもそも大幅な予算の切込みが行われれば、今回の省令改正は出てこなかったものだと私自身は受け止めております。繰り返しですが、立替払事業の中で、本来的なもの、これは使用者側の委員の方が皆さんおっしゃっていましたが、そこへの切込みの余地はあると考えておりますし、また使用者側としては社会復帰促進等事業というのは、繰り返しで強縮ですが、労災の防止、被災労働者の援護に直接資する事業に絞り込んだだ上、予算を削減していくべきだと考えているところでございます。この趣旨をまとめの答申に当たっては、意見として付していただくことを御検討いただきたいと思います。
○荒木部会長 事務局からいかがですか。
○労災管理課長 大変厳しい御指摘いただいたと思っておりまして、しっかりそれを受け止めて、当然来年度の予算要求、しっかり私どももやってまいりたいと思いますし、今、縷々事業の趣旨、目的、一方で超過されている内容、今のコロナの情勢の中で、今、求められるものは何か、一方で安全対策の重要性ということもございます。そういったことも含めて、一つひとつその在り方、効率性も鑑みて、しっかり検討していきたいと考えています。
○荒木部会長 委員の方からほかに何か御意見はございましょうか。
○砂原委員 あともう1点、まず令和3年から5年までの3年間についてのことを今決めようという話ですが、そもそも今3年分を決めておく必要があるのかということも、議論の余地かなと思います。
○労災管理課長 お答えいたします。私ども様々いろいろ検討しているところですが、1つは今のコロナの情勢がどれぐらいの期間続くのかというのが、なかなか正直見にくいというところです。私どももいろいろ計算して、結果としての経済情勢とか、そういったところもどこまで落ち込むのかを検討しているところですが、これがすぐ終息をして底を打つというところが、今どこで見込めるというのが正直なかなか難しいというところです。そういったことで、過去の例を参考に3か年度ということをお願いしておりますが、一方でこの省令が制定された後の毎年の事業実績を勘案して、特例の措置をもう講ずる必要がないという判断に至った場合には、速やかにこの省令を廃止をするというような対応は取らせていただきたいと考えています。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。種々御意見いただきまして、事務局からもお答えをいただいたところです。使用者側委員からは当初強い反対の意見もありましたが、それは意見として付すべきではないかという御発言があったところです。そこで、私としてはただいまの使用者側の意見を、答申に意見として付記するということで、本件は処理してはいかがかと考えますが、いかがでしょうか。特段異議がないというように了解してよろしいでしょうか。
それでは、そのようなことで処理させていただきたいと思います。事務局におきましては、このような使用者側の意見を付記するということで、答申案の準備をしていただきたいと思います。そこで若干時間を要しますので、この議題(2)については、後ほど議題(4)が終わった後に、再度御検討、御報告をさせていただくということで進めさせていただきたいと存じます。
それでは続いて議題(3)に移ります。「特別加入制度に関する国民からの意見募集について」です。事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 それでは、まず資料3の1枚紙があります。これに基づいて御説明をさせていただきます。昨今、雇用によらない働き方というものが増えているのではないかという御指摘がある中で、この労働保険につきましては従来から一人親方や、そういった方につきましても特別加入という形で労災保険に加入するという制度があります。こういった制度を活用して、何と言いますか、カバーで範囲を広げていくことを今後検討していくべきではないかということで、これまで議論が進んでいると承知しております。そういった中で、この資料3は今年6月29日~8月14日にかけて広く一般に、どういった業種を入れたらいいですかというのを募集をさせていただいたものの一覧です。
ここには業種、職種、具体的な業務内容、災害事故の例、あるいは提出件数があります。一部、今回の募集では趣旨と違う意見もありましたので、ここには載せておりませんが、これだけのものでした。提出件数と書いてある55件、15件とありますが、これは団体からの御意見と個人からの御意見といろいろ入っております。こちらにありますとおり、俳優・スタントマン。これは前回の部会のヒアリングでお願いしたところかと思います。ほかにアニメーター、植木剪定、清掃業、社会保険労務士、行政書士、製造業、インストラクター、柔道整復師、ライター、翻訳家、司会業、訪問介護、ネイリスト、ペットシッターといったものが意見として1つ出されているところです。
今、ここにあります具体的な業務内容や災害事故の例とありますが、私ども事務局といたしましては、この意見を提出いただいた個人の方、あるいは団体に対して事務的なヒアリングと言いますか、仮にこの特別加入にしていく場合には、例えばそういった働き方に従事している方がどれぐらいいるのか、具体的にどんな作業をしているのか、あるいはこれは災害の補償となりますので、実際どんな災害が想定されるのか、最終的には現在の制度ですと特別加入の団体を通じて、この制度の中に入っていくことが想定されておりますので、加入の団体としてどんなところが想定されることにつきまして今、個別に相談させていただいている状況です。
私どもといたしましては、できればこの中でそういったものがある程度明らかになってくると言いますか、団体の要望も踏まえて、非常に前向きで、ある程度是非にというところが整理がつきましたら、次回以降、当該団体からこの部会の場をお借りして、ヒアリングをさせていただき、その中で具体的な業務の内容や、いま申し上げました、けがが想定されるものを説明の場をいただき、更に今後どうしていくべきかについて御議論いただければと考えております。以上です。
○荒木部会長 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等があればお願いいたします。
○田久委員 意見を、場を持って、ヒアリングも含めてとお話があったので、是非そこを進めていただきたいです。私自身が前々から言っているように、特別加入制度実態の補償を受けられない人たちへの拡充は賛成しますが、現に補償されている人たちがこういった自己負担、自己責任にならないような体制づくりというのは必要になりますし、特別加入団体に関しては、やはり安全対策をきちんとやることが項目に上げられている関係では、現時点でもそれをやられていないような団体が、特にインターネットを通じて加入を進めているような団体は、それができているのかどうかは甚だ疑問ですので、そういったことをきちんとできる団体をしっかり見極めないと、先ほど言ったように本来である労災保険は湯水ではないですから、そういった部分をきちんと見極めてやっていかなければいけないなと。この2つは常日頃、私自身、拡充も含めたところは進めていく必要性を感じていますが、そういったところも配慮して、ヒアリング等でもそういった中身をきちんと聞いていただけるようなことをしていただきたいなと思っております。要望です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○安原委員 御説明いただきましたところについて、現在ヒアリング中ということで、実際の整理が進んでいる最中だと思います。資料の中で★が付いている訪問介護ですが、この注釈にも現行の制度において既に特定作業として対象範囲に含まれる業務と印が付いています。このリストに記載されているものは既に措置されていると理解していますが、それでも意見が寄せられたということは、何等かの理由で加入できないような、現行制度でカバーできない就業者が出てしまうような要素があるから載っているのでしょうか。情報の取扱い等をご教示お願いできればと思います。
○荒木部会長 それでは、事務局よりお願いします。
○労災管理課長 今御指摘をいただいた2点について、御説明いたします。今、田久委員から御指摘いただきましたとおり、この特別加入の団体になるという場合には、一人親方あるいは特定作業従事者の業務災害の防止に関して当該団体が講ずべき措置と、これらのものが守れる事項を定めるということが1つ要件とさせていただきます。これは、非常に重要な要件ではないかと私どもは思っておりますので、是非そういったところも実際に事務的にヒアリングするときは確認したいと思いますし、また、ヒアリングの場で発言されるときはその辺りも準備をして、その辺りも含めた御審議をいただければと考えております。
資料の整理上の2点目、安原委員からの点ですが、確かにこれは私どもが一応確認したところ、今回は入れなくても加入ができるところについては★が付きましたが、本来ここに上げなくてもよかったのかもしれません。一応意見があったということで上げさせていただきました。若干混乱があったかもしれませんので、これは私どもの整理の仕方の問題だったと思います。そういうことです。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○鈴木委員 ありがとうございます。先ほどの田久委員から御指摘の点は、大変重要な点だと思っています。この特別加入制度を拡充することについては、制度という以上は受入れ団体が、受入れ団体足り得るかというところが大変重要なので、この点も含めて、議論をしていく必要があると感じたところです。○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特段ほかに御意見がなければ、この議題は以上とすることといたします。
続いて、議題(4)です。改正高年齢者雇用安定法について、事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 資料(4)です。左肩、A4横の一点閉じの資料です。「改正高年齢者雇用安定法に基づく創業支援等措置の対象者の業務について」。これは、国会附帯決議関係と書いてあります。1ページです。先般、雇用保険法と、これは労災保険法も含んでいるわけですが、一部を改正する法律での審議の際に附帯決議、衆議院、参議院両方頂いております。取り分け参議院の附帯決議におきまして、下線にありますとおり、「今回の創業支援等措置により就業する者のうち、常態として労働者を使用しないで作業を行う者を特別加入制度の対象とすることについて検討すること」が、附帯決議として付されていることです。
この創業支援等措置につきまして、16ページを御覧ください。今回の高齢法の改正で70歳までの就業機会の確保ということが法律の中に盛り込まれたわけですが、一番下の所に枠囲みがありますとおり、65歳までにつきましては現行定年引き上げ、雇用継続制度等、あるいは定年廃止での継続雇用となっているわけです。今回70歳までにつきまして、就業確保措置ということで努力義務規程が新設されているところです。これにつきましては、雇用関係の下での定年引上げ、継続制度の導入、定年廃止のほかに一番右下にありますとおり、雇用以外の措置ということで、希望する高年齢者について70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、⑤希望する高年齢者について、事業主が自ら実施する事業、事業主が委託や出資することにより団体が行う事業について、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」という要件も付いております。そういった業務に、70歳まで継続的に従事できる制度というものが今回盛り込まれております。これに関しまして、特別加入の対象とすることについて検討するといった御指摘を国会から頂いております。
資料2ページ目にお戻りください。簡単に、仮にこういった指摘を受けて、私どもとしても議論していくに当たって、論点としてどのようなものがあるのかを大きく3つに分けております。詳しくは、3ページ以降です。まず1(1)は、現行制度における対応の可否です。今の制度で一体どこまでできるのかを整理しております。これは、今の労災保険の特別加入制度ですと中小事業主、一人親方、家族従事者、特定作業従事者、海外派遣者といったものがあります。ですので、その下の○にありますとおり、当該高年齢者が中小事業主になるか、一人親方として貨物運送はもともと事業に入っておりますので、そういった場合は現行制度でも特別加入は可能です。ただ、留意点は、この創業支援等措置業務につきましては、何か業種には特段の制約はありませんので、今後どうなるかまだ分かりません。実際に運用は来年4月以降ですので、まだ詳細は分かりませんが、業務内容は多岐にわたる可能性があります。また、当然高年齢者自身が中小事業主になることも要件がなっているわけでもありませんので、やはり今の現行のままでは加入できない高齢者は生じることが1つあるかと思います。
4ページです。この対象範囲をどう検討していくのかは、1つ論点としてあろうかと思います。これまでの経緯ですが、この特別加入の対象範囲を検討するに当たっては、実態のある業務について関係団体からの要望等を踏まえて、就労実態や災害発生状況とを把握して、いろいろ検討して必要な措置を講ずることです。実際、過去にも、ここにあるような対象要件の見直しをしております。留意点は、今回の改正法に基づく創業支援等措置については、令和3年度4月1日から施行されることが予定されておりますので、逆に言いますとこの時点では、まだ業務の実績はあるわけではありません。
ただ一方で、先般の国会の審議において、参議院の附帯決議で、創業支援等措置業務に就く高齢者へのセーフティーネット整備の検討が要請されております。ですので仮に、これまでの検討と同じように就労の実態を把握した上で対象範囲の拡大を検討するとなると、制度スタートについては、この業務に係る負傷した高齢者に労災保険が適応されない。枠の中に入る方は一部いらっしゃるかもしれませんが、そういう可能性はあり、国会等の附帯決議で要請されている内容との関係を、私どもでどう考えることができるかと思っております。
5ページです。これも今の派生的な論点ですが、他の業務との衡平性で、今申し上げましたとおり、就労実態、災害発生状況を把握した上で、そういった実績がありませんので、この創業支援等措置以外での労働者が働き方を選択する。これは正に、議題(3)に該当すると思います。そういった方との衡平性をどう考えるのが論点の1つとしてあろうかと思います。
6ページの2(1)です。同じような論点ではありますが、従来業務内容を明確に特定しております一人親方、特定作業従事者についてです。これは、歴史的には昭和40年の答申、この特別加入の制度が作られたときの審議会において、特別加入者の従事する業務の範囲が明確性ないし特定性をもち保険業務の技術的な処理の適確を期しうるかどうかを十分に検討すべきであることを踏まえたところです。ただ一方で、昨年末の建議におきましては、特別加入制度創設時にはなかった新たな仕事。例えばIT関係などが創設されるとともに、様々な科学技術の成果が、我々の生活の中に急速に浸透しているといった経済社会情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲、運用方法等について適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要があるとされているところです。
論点といたしましては、現時点で具体的な業務の内容の特定は困難でありますが、一方で附帯決議において要請をされていることがあります。ですので、現時点で特別加入の対象となる業務の内容を特定するのはなかなか難しい。そうすると逆に、選択肢が限定される、あるいは誘導させることになりはしないかと一応論点としてはあろうかと思います。
少し飛びまして、9ページです。実際に、特別加入になる場合に保険の料率をどう設定していくのかが、実務的には課題になってまいります。従来は、就労実態、災害発生状況を勘案して「徴収則」に規定をしてきましたが、この創業支援等措置につきましては業務内容が多岐にわたる可能性がありますし、実績がない中で、どう検討していくのかが課題としてあります。
最後、12ページです。特別加入団体につきましては、従来一人親方あるいは特定作業従事者の団体につきましては、加入の申請をいただき一定の要件がありますので、承認を受けた場合にはこの団体を事業主、一人親方等又は特定作業従事者は労働者とみなすとされております。これは1つの団体が複数の事業、あるいは作業の特別加入団体になることは特段規定をしているわけではありません。留意点は、今回の措置業務については業務内容が多岐にわたる可能性がありますので、団体の構成をどうしていくのか、業務内容ごとに設立を求めるのか、1つの団体で複数の業種、作業について特別加入団体になることを認めることとすべきかといったところが、論点になってくるかと思います。
私どもといたしましては、現時点で、国会の審議において要請されている事項についてまず御紹介させていただいた上で、現在考えられる論点について御提示をさせていただきました。また今後、この支援等措置の業務の施行までの間にどのような動きがあるかといった辺りも、事務局で今後いろいろ可能な限り調べたり、関係する団体などに必要な助力をいただいて、今後もし追加的な御報告ができれば、やらせていただきたいと考えております。今日の時点では、考えられる論点について御提示をさせていただいているところです。以上です。
○荒木部会長 ただいまの事務局の説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
○仁平委員 来年4月から改正高齢法の施行ということで、今は対象者が存在しない新しい制度によるものですから確認させて下さい。来年の4月1日に合わせて、65歳以上の創業支援等措置に基づいた業務をを対象として新たななカテゴリーを、現行の特別加入とは別に新しく設定するようなイメージでよろしいのでしょうか。これが1つです。
それから創業支援等措置で就業する者であって、特別加入の希望者が出てきた場合、そのカテゴリーカテゴリーの中で、業種に応じて必要な対応を図っていくという理解でいいのでしょうか。イメージがあればば教えて下さい。いずれにしても、対象者に分かりやすく納得感のある制度設計の検討が今後必要ではないかと思っている次第です。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 質問がありましたのでお願いします
○労災管理課長 現時点のイメージということで御指摘を頂いております。私どもも、これは法律ができて今後施行していく中で、まだ具体的にどういったところで、どのような動きがあるかというところは、まだ私も十分な情報を持っていない中ですので、予断をもってと言うと語弊があるかもしれませんが、具体的なところをお伝えするのはなかなか難しいところですが、行政といたしましては、参議院の附帯決議において、1ページの附帯決議にありますとおり、まず雇用類似の働き方が拡大している中で、特別加入の加入促進を図るために周知・広報、あるいは対象範囲や運用方法について、適切かつ現代に合ったものとなるよう必要な見直しを行うということが、まず掲げられた上で、更にその際、今後、今回の創業支援等措置により就業する者のうち、常態として労働者を使用しないで作業を行う者についても対象とするということが、国会の附帯決議で特に指摘されているということですので、こういった1つのカテゴリーについて、どう対応していくのかというのが、制度的には求められています。
もちろん、御指摘いただいたとおり、恐らく従来のやり方であれば、業種ごとというのが1つあろうかと思いますが、今回の場合は様々なものが想定されるかと思いますので、その辺りを今後どうしていくかというのは、1つ検討課題かなというように思っております。いずれにしましても、私どもとしては、ここに創業支援等措置ということが附帯決議で特出しで指摘されているということは重く受け止めた上で、検討していくということになろうかと思います。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。鈴木委員。
○鈴木委員 ただいまの仁平委員のご指摘のとおりイメージが湧かないというところは、私も思うところは同じです。前回、特別加入のニーズのヒアリングで、日俳連からもニーズがあるというお話があって、そこはとてもイメージが湧くようなお話だったと思います。
翻って、この創業支援等措置の特別加入ということについては、確かに課長がおっしゃるように附帯決議があるということは、重く受け止めないといけないと思っているところですが、他方で、いつまでに措置をするというところまではいわれていないいとも思っていますし、この特別加入を考えるに当たっては、先ほどの議論とも通ずるのですが、就労実態がどうかということをしっかりと把握して議論する、あるいは先ほどありましたが、受皿団体の適格性がどうなのかということも含めて、適切な言い方かわかりませんが、地に足の着いた議論が必要なのではないかと思っております。
今のタイミングで特別加入の在り方を、入口だけオープンにするというような考え方を完全に否定するつもりはないのです私自身としては、その辺りがまだ腹落ちをしていないところです。今後は、そういったところも含めて議論に参加していきたいと思っている次第です。
○荒木部会長 ほかには何か御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、まだ実態がよくつかめないということがございましたので、引き続き検討していきたいと考えております。それでは、議題(4)は以上とします。
先ほどお話しましたとおり、議題(2)の諮問案件に戻ることといたします。先ほど事務局にお願いしましたが、答申案について、まず配布をお願いいたします。オンラインで参加の委員の皆様には、後ほど、読上げをさせていただきますので、そのときに確認いただければと思います。
(答申案配布)
○荒木部会長 労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがって、当部会の議決が審議会の議決ということになります。
それでは、事務局に答申案を用意していただきましたので、これを読み上げていただくことといたします。
○労災管理課長 お手元に3枚ございますが、3枚目の部会としての答申を読み上げさせていただきます。
令和2年9月16日、労働条件分科会分科会長荒木尚志殿 労災保険部会部会長荒木尚志 「社会復帰促進等事業に要する費用に充てるべき額の特例に関する省令案要綱」について 令和2年9月16日付け厚生労働省発基0916第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。
記 1 厚生労働省案はおおむね妥当と認める。2 使用者代表委員から、社会復帰促進等事業の事業内容については、被災労働者の社会復帰や援護、労働災害防止に直接資する事業に絞り込むべきであり、予算についても精査、見直しを行っていくべきであるとの意見があった。以上です。
○荒木部会長 今読み上げられたものが答申案です。このような内容について御承認いただけますでしょうか。オンラインで参加の委員の皆様もよろしいでしょうか。
(異議なし)
○荒木部会長 それでは御承認いただいたということで、ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに答申を行うこととさせていただきます。なお、答申は後ほど皆様に送付するということにいたしますので、よろしくお願いいたします。御協力ありがとうございました。議題(2)は以上とします。
最後に議題(5)の「その他」事項がございます。事務局より説明をお願いいたします。
○補償課長 補償課長の西村です。資料5を御覧ください。「労災保険柔道整復師施術料金算定基準」の改定について御報告いたします。6月1日の部会でも御報告申し上げましたが、6月1日は医療機関が対象となる労災診療費の改定について御報告いたしました。今回の御報告は、整骨院等で柔道整復師に施術を受けた場合の料金の算定基準の改定です。
資料の2ページ目を御覧ください。これは労災保険における柔道整復師による施術の取扱いの概要を示したものです。柔道整復師による施術については、療養(補償)給付として、労働基準監督署長が支給決定を行っているところです。労働災害により骨折、脱臼、打撲、捻挫、こういうことになった場合に、整骨院等で施術を受けた場合、医療機関と同様、労働局から指名を受けている整骨院等であれば、被災労働者が施術料を負担することなく施術を受けることができます。そして、柔道整復師が施術料金を算定基準に基づいて、労働基準監督署に請求する。このような仕組みになっております。
この算定基準については、厚生労働省労働基準局長の通達により定められておりまして、2年ごとの健康保険の改定を踏まえて、これに合わせて改定しているところです。今回も健康保険の改定内容を踏まえて、同様に一部改定を行ったものです。改定の概要を御説明いたしますので、1枚目にお戻りください。
今回の改定の内容については、2の(1)から(3)までの3点です。1点目として、初検時相談支援料の要件の追加及び引上げです。初検時相談支援料というのは、初回の施術のときに、被災された方に対して柔道整復師が必要な事項を説明して、その旨施術録、カルテのようなものですが、これに記載した場合に算定できるものです。今回、健康保険の改定を踏まえて、必要な説明事項として、「入浴・歩行・運動等」に係る励行・禁止事項などを追加することといたしました。
また、②ですが、労災保険独自の説明事項として、「労災保険の請求書の記載方法を含めた労災保険の請求時の説明(医師の同意に関する事項も含む)」、このようなことも追加することといたしました。「医師の同意」ということですが、柔道整復師法上、骨折、脱臼につきましては、医師の同意がなければ柔道整復師は施術することができないということになっておりまして、柔道整復師は医師の同意を確認して施術録に記載することとなっております。今回、算定基準にこのことも明記したということです。改定の金額は、健康保険と同様に、50円を引き上げて、150円としております。
2点目です。骨折及び脱臼の整復料、不全骨折固定料、骨折、不全骨折、脱臼の後療料の引上げです。これについては、骨折や脱臼、不全骨折の際の施術料ですが、改定については表にあるとおり、健康保険と同額の引上げをしております。
3点目です。往療料の距離加算の包括化です。往療料については、従来は8km以上まで、2kmごとに区分を設けて、距離に応じて加算しておりました。こちらも健康保険の改定を踏まえて、4kmまでと4km超の2区分に統合して、料金を設定することとしたものです。これらの3点の改定について、今月の1日から適用しているところです。影響額は、約200万円というところです。説明は以上です。
○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、その他事項として、もう1件あると聞いております。事務局より説明をお願いいたします。
○統計・情報総務室参事官 統計・情報政策担当の政策統括官付参事官の武藤と申します。私からは、お配りしている資料6に沿って御説明いたします。「賃金構造基本統計調査の一部訂正及びそれに伴う関係制度への影響について」です。この資料は昨日、9月15日にプレスリリースさせていただいた資料です。
まず、1事案の概要です。令和2年3月に公表しました「令和元年賃金構造基本統計調査」について、調査対象となる事業所の中に、同一事業所から重複回答が存在したまま集計していたことが分かり、数値の一部訂正を行いました。
簡単に数字を確認しておくために、恐縮ですが資料の3ページの別紙を御覧ください。調査概況の主な訂正箇所です。一般労働者の45歳から49歳の男性で見てみますと、左側が従前の誤っていたものですが、39万400円が、正しくは39万500円ということで、100円ほどの影響がございました。あるいは表の下ですが、同じく一般労働者の40歳から44歳、高校卒男性の場合とか、55歳から59歳の高校卒男性の場合ですと、こちらの数字のとおり、100円程度の影響があったという状況です。
1枚目にお戻りください。2は事案の経緯です。令和元年調査を実施するに当たり、総務省が管理する事業所母集団データベースというものをお借りしまして、調査対象の事業所を抽出することになります。調査時点で同一の事業所が2つの別事業所として事業所母集団データベース上に存在して、かつ、両方を抽出し調査を行ったということです。
このことですが、令和元年の12月に公表した賃金構造基本統計調査のうち、2本立てになっておりまして、最初に集計する事業所票を用いて集計する初任給調査というものがありまして、その後に判明しまして、初任給調査の結果には影響はなくて、初任給の調査なのですが、当該事業所には新卒学卒者がいらっしゃらないということを確認しましたが、今年の3月に公表した賃金構造基本統計調査の個人票を用いて集計する本調査において、重複する個人票を除外しないまま、集計公表をするに至ったものです。
この事案を受けて、当統計を利活用されている省内の各部署、あるいは関係府省庁に照会を行ったところ、労災保険制度に影響があるということが分かったということです。労災関係者の皆様には御迷惑をお掛けすることになり、大変申し訳ありませんでした。
○労災管理課長 労災関係の影響について、私から御説明いたします。1枚おめくりいただきまして、3関係制度への影響です。結果としまして、年金給付等、これは休業給付もございますが、給付日額への影響が残念ながら出てきました。令和2年の8月1日から来年7月31日までの期間に対して、支給される給付の基礎日額について、年齢階層別に、言わば最低これぐらい、あるいは最高、年齢カーブが下がってくるということがありますので、最高と最低は告示で決めています。これは賃金構造基本統計は年齢階級別のデータも出ますので、もう少し具体的に言いますと、上下の二十分位数の一番上下を取って、これを計算して告示しているところですが、今回の訂正を受けて再計算を行ったところ、まず最低限度額については、35から39歳と55から59歳で、3円引き下がります。それから、最高限度額については、35から39歳と50から54歳で3円引き上がるということが判明いたしました。ほかの年齢層は影響はございません。
この影響について概算したところ、最低限度額については、約3,000人、合計で26万円、最高限度額は約200人、合計で2万円です。いずれも1人当たり100円程度ということです。
1人、日額3円ということですので、私どもとしては、これは速やかに再告示して、8月、9月分は支払いが始まっていますので、10月以降は改定されたものによって、支給できるようにということで、改定の作業を急いでいるところです。逆に、8月、9月分のうち、追加給付が必要になる方がございます。これは最高限度額についての約200人、金額としては合計2万円ではありますが、こういった方々については、できるだけ速やかに追加給付を行っていきたいと思います。私は直接業務担当、支出業者とも打合せをして、どこまでできるかということを至急詰めているところです。
今回、特に社復事業でもいろいろと非常に厳しい御指摘を頂いている中、これは本体の給付の執行の段階ですが、こういった事態が生じたということは大変申し訳ないことだと思っております。今後、統計部局ともいろいろと相談をして、こういったことが起きないようにすることが重要かと思っておりますので、そういったことも含めて対応していきたいと考えてございます。
○荒木部会長 ただいまの説明について、御質問、御意見等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、説明いただいたように、適切に対応をお願いしたいと思います。
本日用意した議題は以上になりますので、部会はここで終了といたします。次回の日程については、事務局より追って連絡をさせていただきます。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の田久委員、使用者代表の山内委員にお願いすることになっております。
それでは本日は以上といたします。皆様、お忙しい中御参集いただき、どうもありがとうございました。