令和2年度第1回 化学物質のリスク評価検討会(ばく露評価小検討会)議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和2年8月27日(木)13:30~15:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム12G

議題

  • ばく露実態調査対象物質の測定・分析手法等について
  • その他

議事

議事内容
○神田有害性調査機関査察官 それでは、少し時間も早いですが、皆様おそろいのようでございますので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。これより令和2年度第1回ばく露評価小検討会を開催いたします。
本日は、新型コロナの感染状況に鑑みまして、リモート開催との併用という形で開催させていただいております。こちらの会場には名古屋座長を初め、圓藤先生、鷹屋先生、オンラインの参加者といたしまして原先生、小嶋先生に御参加いただいております。先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
今回はリモート開催ということでございますので、御発言の際には挙手していただきまして、座長の御指名を受けてから御発言いただきますようにお願いいたします。
まず本日の委員の出席状況でございますが、本日は内山先生から所用により欠席との御連絡を頂いております。
本日、会場には、事務局支援といたしまして、ばく露実態調査の受託事業者であります中央労働災害防止協会から山室様、東久保様、島田様に御出席いただいております。
また、本年4月に事務局側に異動がありましたので、御紹介させていただきます。
まず、4月1日付で化学物質対策課長に木口が着任しておりますので、一言御挨拶申し上げます。
○木口化学物質対策課長 大変お世話になっております。4月1日付で化学物質対策課長を拝命いたしました木口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
この評価委員会対しましても、実際にばく露の実態を調査されることも大変な御苦労があろうかと思いますけれども、これを根拠にして働く方々のばく露を防止するということで、大変重要な役割を担っている委員会と承知しておりますので、どうぞ今後ともお力添えのほどよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 また、本年4月から化学物質評価室長補佐といたしまして植松が着任しております。
○植松化学物質評価室長補佐 植松と申します。よろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 そして、改めまして、私、この4月から有害性調査機関査察官を拝命いたしました神田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、以降の議事進行は座長の名古屋先生にお願いいたします。
○名古屋座長 よろしくお願いいたします。
では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 本日の資料は、会場に御参集の方にはタブレットを配付させていただいておりまして、中の内容を確認していただければと思います。こちらの資料は必要なときにこちらから画面に共有で出させていただきますので、手元の資料と併せまして御覧いただければと思います。
本日の資料ですが、今画面に出させていただいたとおりの資料一覧となっております。資料といたしましては、測定・分析手法の検討結果や分析手法の一部改定部分についての資料1-1から1-5まで。また、資料2-1から資料2-4としまして、こちらはリスク評価の実施要領の改定について御説明するための資料4つとなっております。また、参考資料といたしまして参考資料1から3まで御用意しております。
資料の確認は以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入ります。
まず議題1として、ばく露実態調査対象物質の測定・分析手法等につきまして、本日は4物質と、一部は修正等が予定されておりますので、最初に資料1-1のクレゾールについての説明をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 今後のばく露実態調査の実施に当たって、新たに採用する測定・分析法について御確認いただきたい物質、今、名古屋先生から御説明いただいたとおり、4物質と、昨年経気道に係る詳細リスク評価の結果高リスクと判断された塩化アリルの標準測定・分析法につきまして、先日の措置検討会で現状に合っていないのではないかといった御指摘を頂きましたので、その部分の修正案ということで本日御用意させていただいております。
では、具体的な説明は中央労働災害防止協会からお願いしたいと思います。
中災防さん、お願いいたします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 では、私、山室から御説明させていただきます。
最初に資料1-1、2,6-ジ-ターシャリ-ブチル-4-クレゾールです。
まず1ページ目をお開きください。こちらに対象物質の物理化学的性状等の記載がございます。沸点が265℃、融点が70℃、蒸気圧1.3Paの固体という物質になります。
測定・分析手法のサマリーとしては、一番最後のページ、別紙に記載がございますので、こちらを御覧ください。
先ほど申し上げ忘れましたが、ばく露限界値としてはACGIHのTLV-TWAが2 mg/m3という数値が勧告されております。
サンプリングにつきましてはOVS-7というものを使います。4ページ目に図がございます。前段にガラスファイバーフィルターがございまして、その後ろにXAD-7が2層式で充填されているものでございます。
サンプリング流量は1 L/min、サンプリング時間は4時間です。
メタノール3 mLで1時間放置して脱着いたしまして、ガスクロマトグラフ質量分析法で分析を行うということになっています。
サンプリング後の保存性ですけれども、添加量970 µgというのが4時間サンプリングしたときにACGIHのTLV-TWAの2倍の濃度に相当するものです。それから、0.48 µgが同じくACGIH TLV-TWAの1/1,000に該当する濃度です。この2つの添加量で保存性を確認いたしまして、冷蔵保存で、1日だけなのですが、90%以上保存性があるということを確認いたしました。
精度といたしましては、脱着率はともに90%以上、回収率につきましてもともに90%以上ということで、良好な状態です。
定量下限値につきましては、240分間の捕集で0.003 mg/m3ということですので、ACGIH TLV-TWAの約1/600までの濃度の分析が可能ということになります。1/1,000までは届いておりませんけれども、そこまでが可能ということです。
分析につきましては、先ほど申し上げましたとおりガスクロマトグラフ質量分析法ということで、分析条件はこちらに記載のとおりになります。内標準法で分析を行いまして、内標準物質としては、2,6-ジ-(ターシャリー-ブチル-d9)-4-メチルフェノール-3,5-d2 ODというものを使用するということでございます。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
何かありますでしょうか。
1点聞かせてほしいのですけれども、別紙を見ると分析のところに「脱着:メタノール3 mL 1時間放置」と書いてあるのです。本文の3ページを見ると、一番下の行ですけれども、「よく撹拌し1時間程度静置した後分析操作を実施した」と書いてあります。一般的に1時間と設定するときは、例えば20分、40分、60分、100分と放置時間の実験を行って、その結果のデータが出ていて、そこから考えると1時間ぐらいが一番良い脱着時間というような形で報告が出てくると思うのです。後のデータを見ると1時間放置でそれほど分析精度等に問題ないと思うのですけれども、ここの1時間の決め方のデータがあったほうが分かりやすかったかなというのでお聞きしたかったのです。これはどんなものなのでしょうか。問題ないと思うのだけれども、突然1時間が出てきたので。
○中央労働災害防止協会/山室氏 おそらく検討している段階ではそういったことをやっているかと思いますけれども、最終的な報告はこのようになっていたということでございます。
○名古屋座長 分かりました。
あとお気づきの点がありましたら、どうぞ。
○鷹屋委員 結局、破過実験とか回収率の実験で、実際には固体だけれども、プレフィルターではなくて後ろの吸着材にほぼ行っているという前提ですよね。逆にガラスフィルター上にとどまっていると実は結構分解するのではないかという気もしないではないのですけれども、例えばガラスフィルター上に添加しても5分の通気で後ろに行くぐらいの蒸気圧で、普通の時間のサンプリングであれば、プレフィルターがついているものの、基本的にはXAD-7に吸着されるので、保存安定性にしろ脱着率にしろ問題はないという御判断をされたのかどうか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 添加につきましては、ガラス繊維ろ紙上に添加ということで、液体ではありますけれども、一応そこでやっているから空気中での酸化はそこでも見れているという判断をしたということでございます。
○名古屋座長 残らないでしょうね。測定している途中で後ろに全部ガスとして来ていますよね。
ほかによろしいでしょうか。何かお気づきの点がありましたら。
○圓藤委員 5ページの図4のクロマトグラムですけれども、これはトータルイオンですか?マスナンバーが確認イオンではないということですか。マスナンバーが何も書いていないのですけれども。
○中央労働災害防止協会/山室氏 おそらくそうだと思います。トータルイオンのクロマトグラムだと思います。
○圓藤委員 もう一つ、現場ではいろいろなものが混じっているということはないのですか。これは単一物質としての測定法だけなのですけれども。GC/MSなのでいいのかなとは思ったのですけれども。
○名古屋座長 別紙の適応の作業環境のところに「妨害:なし」と書いてあるから、大丈夫ではないですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 検討している段階では妨害はなかったということで、現場で必ずないとは言い切れないと思いますけれども、MSで分析しているのでかなりのところは除外できると思います。
○圓藤委員 200を超えているからあまりないのでしょうね。ありがとうございます。
○名古屋座長 小嶋委員と原委員、大丈夫でしょうか。
○小嶋委員 すごく細かいことで恐縮なのですけれども、閉じ括弧が。
○名古屋座長 何ページですか。
○小嶋委員 一番最後の別紙です。
○名古屋座長 括弧が抜けていますね。NIOSHのところですね。
○小嶋委員 そうです。
○名古屋座長 ありがとうございます。
あとはよろしいですか。
そうしましたら、この資料1-1は終了ということで、次の資料1-2、ちょっと省きますけれども、マラチオンの説明をよろしくお願いいたします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうしましたら、資料1-2です。非常に化学物質名が長いので、別名の「マラチオン」ということでお話しさせていただきたいと思います。
それでは、1ページ目をお開きください。
こちらは物理化学的性状として、沸点が156~157℃、融点が2.85℃、蒸気圧が3.38×10-6 mmHg、25℃のときのデータです。形状としては20℃、1気圧で液体というものになります。
ばく露限界値としては、日本産業衛生学会の許容濃度で10 mg/m3、ACGIHのTLV-TWAで1 mg/m3という数値が勧告されているところでございます。
一番最後のページに分析・測定法のサマリーがまとめられておりますので、そちらを御覧ください。
サンプリングにつきましては、NOBIAS RP-SG1WAという、前段にガラスファイバーフィルターがありまして、後段にジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体の充填剤が入ったものをサンプラーとして使用してございます。
サンプリング流量としては0.2 L/min、サンプリング時間が4時間です。
こちらの分析は、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析法で分析するということになります。
サンプルにつきましては、冷蔵で少なくとも5日間まで変化がないことを確認してございます。
脱着率ですが、0.04 µg、これが4時間サンプリングでACGIHのTLV-TWAの1/1,000に相当する濃度で、0.48 µgが1/100、96 µgが2倍に相当する濃度です。これらで検討を行いまして、全て90%以上であることを確認いたしました。回収率につきましても同じ濃度で検討いたしまして、いずれも90%以上であることを確認してございます。
定量下限値につきましては、48 L採気、4時間のサンプリングで0.00057 mg/m3ということで、ACGIHのTLV-TWAの1/1,000をクリアする定量下限値であったということです。
分析につきましては、アセトニトリル10 mLを逆方向、バックフラッシュで溶出していくという方法でございます。この溶出液につきましては、内標準物質マラチオン-d6が入っているものでございます。
液体クロマトグラフ-タンデム質量分析法の分析条件につきましては、こちらに記載のとおりでございます。
簡単ではございますが、以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
これはSKCと日立があって、選択の理由は、内容ではなくて、やはり国産のほうがいいからということですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 入手のしやすさのほうがどちらかというと強いと思います。
○名古屋座長 もう一点聞いていいですか。これは順方向と逆方向とあって、結果的には逆方向がいいということで、これは逆方向のほうがいいという文献か何かがあって、それで試してみてこういう結果が得たということなのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 これにつきましては、このばく露評価小検討会の中で、順方向、逆方向を試してみてくださいという話が出ていましたので、それで両方実施したということでございます。
○名古屋座長 そのときに、別紙に「溶出方法:逆方向溶出」と書いてあるだけで分かりますか。この記述だけで大丈夫ですか。皆さん、分析をやっている人に分かるのだったらいいのですけれども、あまり見たことが無いので。
○鷹屋委員 今までも、日立さんが開発してNOBIASが使っているやつは、順方向だと脱着率に問題があって、よく裏返して。数年前にも、物質は覚えていないのですけれども、NOBIASで吸着したやつで日立さんが順と逆で試されて、逆方向のほうが脱着率がいいということで、どう書いてあったかも記憶にないですけれども、現実にそういったやり方のものは今までもありました。
○名古屋座長 捕集材へのつき方とかに何かあるのですかね。
○圓藤委員 何ででしょうね。逆がいいというのはどういうことですかね。
○鷹屋委員 シンプルによくくっつくからではないかと思っているのですけれども。
○名古屋座長 「逆方向溶出」で分かるのだったらいいのですけれども、「逆方向溶出」というのはあまり聞かないので。
○鷹屋委員 だから、マニュアルのときにちゃんと図を描く。こういうシートだけではなくて、手順書のところにサンプラーの形状と一緒に。
○名古屋座長 そういうのがあるとありがたいですね。順番は書いてあるのだけれども、その順番が逆になったときにどう吸着していて何が抜けやすいのかよく分からなかったので。
分かりました。ありがとうございます。
では、何かわかるように作ってもらいたいと思います。
○圓藤委員 細かいのですけれども、内標のマラチオンのd6体というのは簡単に入手できるのですか。市販されているのですか。海外に頼まないといけないということが時々あるので、そうすると普通のところはちょっと。「CDN ISOTOPES」と書いてあるのですけれども。
○中央労働災害防止協会/山室氏 2ページ目のところに「CDN ISOTOPES」と書いてありますけれども、ばく露実態調査で使う内標準物質はなかなか国産でなかったりというのは今までもありますので、もしかすると海外のものかもしれません。
○圓藤委員 そうすると、どこの企業でも測れるということにはならないですよね。トルエンのd6体ぐらいだったら市販されているからいいですけれども。d6体のほうが楽ですけれどね。
○鷹屋委員 これは水素が19もありますけれども、d6体というと一義的にここに入っているというものは決まっているのですか。カタログ製品ならどこがd6かというのは決まる。今回は特にMS/MSで一回壊して子供のイオンで見ているので、同位体もちゃんと入れているところを指定して、それこそ分子式を書くとかしておかないと、個別に発注をかけたときに、多分入りやすいところでどこかというのは決まっていると思うのですけれども、一応公の分析法でやるからには、どこを重水素にしているのかということをちゃんと書いておいていただかないといけないのかなと。
もう一つ、圓藤先生がどこの企業でも測れるのかという御疑念を持っていらっしゃいましたけれども、まずもってLC/MS/MSという時点でかなりハードルが高いような。言ってはいけないことなのですかね。だから、ばく露実態調査をやる分にはいいと思うのですけれども、もし実際にばく露があって、措置検(討会)に回して作業環境測定をしていただくとかいう話になると、LC/MS/MSの導入というとかなり大事になるのではないかと思っていて、確かに分子量が大きくて複雑な物質で、LC/MS/MSでないと測れないのかなと思う反面、逆に言うと、許容濃度は結構高いのです。だから、MS/MSを、例えば元の分析法があって、一般環境の農薬か何かでもっと低い濃度を測るときに下地の方法があってやったということなのか。例えばどの値、産衛を使うのか、一番低いACGIHでも1 mg/m3なので、液クロのほかの検出器で本当にできないのかどうかというのも。だから、ばく露実態調査はこの方法で進めるとしても、次に、もしばく露があったとして、作業環境測定を提供するというときに、このままだと対応できる方が少ないのではないかという気はします。
○圓藤委員 これは蛍光は出ないのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 2ページのところに検討の過程を若干書いてあるのですが、NIOSHとOSHAの試験法でGC-FPD法が採用されているということで、最初はGC/MSでの分析を検討していたのだけれども、検討の条件としてばく露限界値の1/1,000から2倍ということなので、このLC/MS/MSに行き着いたということになっております。
○名古屋座長 逆に言うと、ばく露のときはここまで行かなくてもできるのだけれども、これが措置検討会に行って作業環境測定を行ったときにはMS/MSまで行かないと駄目だよという設定になるのではないかという気がします。
○鷹屋委員 A測定だとそういうことに。
○名古屋座長 A測定だとばく露と違って測定時間が長くないし、10分と短いから、10分間捕集で管理濃度の1/1,000の濃度を定量できる精度が必要になるけれども、措置検討会に行ったときにまたそのことについて検討することで、本来的にはもう少し濃度が高いので、そこまで行かなくても、ばく露だったらできるかもしれないけれども、ここまでやっておけば一番いいということだと思いますけれども、どうなのだろう。
○圓藤委員 1/1,000が必要なのですか。
○名古屋座長 一応約束でそうなっていますので。ばく露のところの条件で分析・検討したらよかったのですが、詳細リスクから健康措置検討会まで行くと、対象物質は作業環境測定を行こうことになっているので、どうしてもそういうところまで検討することになります。今はそこのところをなるべくクリアにして、1/1,000ぐらいでもいいという形にはしているのです。ただ、全ての分析法を開発する化学物質にそれをクリアさせるとなかなか分析できない部分があるのと、詳細リスク評価のところであえて来ないリスク対象化学物質に対してそこまでの精度を求めるのではなくて、ある程度ばく露が測れるぐらいの濃度レベルで検討していって、初期リスク評価で終わってしまえば、その分析は、その精度の分析法で終了になりますので、実際には作業環境測定で使うところまで行かないということになるのではないかなと思います。
○原委員 私自身は、このマラチオンではなくて、フェニトロチオンとか有機リン系の農薬をGC-FPDで実験したことがあります。FPDという検出器自体もなかなかまれな検出器なので、微妙なのですけれども、GC-FPDである程度分析はできると思いますので、そういうデータがもしあれば、作業環境測定レベルだったらできるような気がしますけれども、いかがでしょうか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 作業環境測定はまた別途検討しないとならないのかなと思います。
○原委員 分かりました。
○名古屋座長 リスク評価を行うためのばく露濃度測定で、初期リスク評価で終わるものなのか、措置検討会まで行くものなのかによって、そのときに分析法を検討して、とりあえず今のところ、ばく露濃度測定を可能にするところまで検討するところでよろいしいかと思います。この他に何か問題がなかったらこのまま行かせてもらって、その後、ばく露濃度の測定結果が出てきた後にどのようにしていったらいいかという検討をしようと思いますが、それでよろしいでしょうか。
そうしますと、これはこれでよろしいですか。検量線のところもよろしいですか。
○圓藤委員 1つ聞いてもいいですか。日立のこの捕集剤は0.2 L/minという流速が決められているのですか。これを1 L/minにしたら濃度1/5までいける。
○中央労働災害防止協会/山室氏 今回は0.2 L/minで検討したということなのですけれども、NIOSHのマニュアルでは、0.2~1 L/minでOVS-2のチューブを使うということになっています。今回は個人ばく露測定ということで、ある程度長時間吸引するほうがメインということなので、0.2 L/minを採用したのかなと思います。粒子状物質ですので、取込み流速がありまして、正確な数字は覚えていませんが、20 cm/sぐらいの速さで採っていたかと思います。IOMサンプラーと同程度です。
○名古屋座長 19だね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そのぐらいですね。ぴったり19ではなかったと思いますけれども。
○名古屋座長 NIOSHは10倍だものね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 採取口を大きいパターンと小さいパターンと2つできるようにしてありまして、0.2 L/minのときは採気口を小さくし、1 L/minのときは採気口を大きくして採気するというやり方でこのNOBIASのサンプラーを使い分けているということです。
○名古屋座長 本来こういうのは面速で決めておくのが一番いいのです。サンプラーに装着するろ紙の径が大きかろうが小さかろうが、面速で決めておけば、それに関して全然問題ないわけです。現状では、ニッケルもそうだし、除染作業の粉じんのときもそうだったけれども、面速でいかれたほうがサンプラーの大きさが違う作業環境測定でも個人サンプラーでも同じなので楽なのです。吸引流量ですと使用するサンプラーごとに吸引流量を規定しておかなければいけなくなってしまいますよね。だんだん面速で規定する様にしていただけるとありがたいと思いますけれども、先生、今回はそれでよろしいですか。0.2 L/minのところで。
○圓藤委員 面速というのは普通の人は簡単に測れるのですか。
○鷹屋委員 結局サンプラーの直径で入力を決めるだけなので。ただ、後ろに吸着材があると、今度は上限だけは決まっているので、それは明示しておかないといけないと思います。
○名古屋座長 サンプラーの径もそんなにあるわけではないですから。
よろしいですか。あとお気づきの点はないですか。大丈夫ですか。
そうしましたら、ここのところはそういう形で終わりたいと思います。
そうしましたら、資料1-3の炭化けい素をよろしくお願いいたします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうしましたら、資料1-3、炭化けい素を御覧ください。
1ページ目に物理化学的性状の情報がございます。外観は粉末で、色が淡灰状となっています。今回、炭化けい素ですが、対象としてはウィスカー及び繊維状のものに限るとなっております。形状としては粉末と書いてございますけれども、見た目は粉末で、顕微鏡で拡大すれば繊維状もしくはウィスカーというものになります。
融点・凝固点が2,700℃で、沸点、初留点等はデータがございません。
屈折率が2.650ということで、非常に屈折率が大きくて、この後の分析のところにも影響するのですけれども、分散染色法に対応できる浸液が市販されていないので分散染色法が適用できないということになります。
次のページになりますけれども、ばく露限界値、ちょうど中ほどに許容濃度ということで記載がありますが、日本産業衛生学会ではありませんで、ACGIHのTLV-TWAで0.1 f/ccというものがございます。そのファイバーとしてはレスピラブルファイバーが対象ということで記載があります。条件としては、5 µmよりも長くてアスペクト比が3:1以上のものであるということ、メンブランフィルターの方法で採取して400~450倍の位相差顕微鏡で計測ということが条件とされています。
測定方法といたしまして、一番最後のところの別紙になります。
こちらに記載してございますのは、リフラクトリーファイバーと同じ方法でございます。最終的に繊維状の粒子を位相差顕微鏡で計数するという方法でまとめさせていただきました。
サンプリングにつきましては、ろ過捕集で、セルローズエステル混合メンブランフィルターの直径25 mmのもので、ポアサイズとしては0.8 µm。
サンプリング流量としては、面速が4.0~5.0 cm/sになるようにということで設定しますと、このサイズのフィルターを使うと1 L/minぐらいの吸引流量ということになります。
採気量としては、最大800 Lというのがリフラクトリーセラミックファイバーの条件ですので、そのまま持ってこさせていただきました。
保存性といたしましては、安定であるのでろ紙のまま保存ということになります。
分析の方法としては位相差顕微鏡の計数法ということで、アセトン、トリアセチン法で前処理を行いますけれども、空気中の有機繊維を消失させるために低温灰化処理も可能です。
計数としては、長さ5 µm以上で、長さと幅の比が3:1以上で、幅が3 µm未満の繊維を計数するということです。
計数に使う顕微鏡の条件はこちらに記載のとおりになります。
それから、ブランクとして、1回の測定につきまして未使用のセルローズエステル混合メンブランフィルターを使用するということになります。
それから、精度。定量下限値としては、石綿なりリフラクトリーセラミックファイバーのところで出てくる定量下限値の式をそのまま使用できるということになります。
適用といたしましては、この方法は炭化けい素のみに適用するものではなく、総繊維数濃度、無機質の繊維数濃度として繊維状粒子を測定するものであるということです。
それから、視野内に非繊維状の粒子が多く含まれている場合や、現場で繊維の飛散状況を考慮せず分割サンプリングを実施しなかった場合、繊維が折り重なることによりマイナス誤差になる。それから、計数規則に従って計数するため、炭化けい素以外の繊維が飛散している場合はその繊維も計数することになり、プラスの誤差になるということでございます。
そういったことなので、実際の現場がどうなのかということで、事前調査まで全部できるところは済んでおりますので、そのあたりもお話ししたいと思います。
ばく露作業報告が17事業場ございまして、そのうち8事業場が誤報告ということで、繊維状のものではない粒子状のものを使っているというところがほとんどでした。
それから、実際に繊維状の炭化けい素を使っていたところには3事業場ございまして、そこでは炭化けい素以外の繊維状物質は使っていないということは確認いたしました。
そのほか、調査受け入れができませんという事業場が1事業場。
それから、既に使用中止、それから代替化したというところが合計2事業場。
それから、ばく露作業報告を受けて調査票を送付して、返信がなかったところが3事業場あったところでございます。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございます。
ということは、有機繊維ではないものがあると総繊維数として数えるから、それはみんなウィスカーとして数えてしまうということですね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○圓藤委員 2ページの毒性情報で、発がん分類がACGIHのグループA2になっているのですけれども、これはIARCが1にしていませんか。違いますか。ACGIHがA2ということは大体1みたいなものだけれども。
○中央労働災害防止協会/山室氏 確認いたします。
○圓藤委員 お願いします。
○名古屋座長 分かったらつけておいてください。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○名古屋座長 あとちょっと気になっているのは、別紙の中で機器が書いてあるのだけれども、計測の規則は書いてありますよね。要するに5 µm以上とかアスペクト比が書いてある。でも、一般的に計数のところには、繊維数200本以上あるいは検鏡した視野の数が100視野という形でみんな書いてありますよね。そこは入れなくていいのですか。これだと測っているだけで、濃度を求めるときに困ってしまうので、そこのところも書いておいたほうがいいのではないですか。アスベストとかリフラクトリーセラミックに合わせたほうがいいのかなという気がします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 追加いたします。
○名古屋座長 あと、ついでに400倍も書かれたほうがいいのではないですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね。400倍と計数視野数を追加いたします。
○名古屋座長 そう。計数視野数があるといい。
でも、図1を見ると随分大きいのですね。これがそうでしょう。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうです。
○名古屋座長 これは計数の対象には入らないような気が。多分幅で駄目でしょう。NIOSHは幅の規定がないけれども、日本は幅の規定があるから、多分これは外れてしまうはずです。
○鷹屋委員 サンプラーそのものは石綿のサンプル用のフェアリングがついているやつですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうです。石綿と同じもので大丈夫です。
○鷹屋委員 これだけ大きいとサンプラーの分級特性がきいてきそうな。
○名古屋座長 どちらかというとリフラクトに近くしているのでしょう。リフラクトは分散染色法があるけれども、これはないから、リスクを考えて総繊維でいきましょうという形だと思います。
○圓藤委員 平均630 µmだから、大きいですよね。
○名古屋座長 要するに繊維の特徴を材料に生かさなかったら球状のほうが楽ですよね。よほど引っ張り強度や何か、ほかに繊維形態を有することで材料として使うのでなかったら、球状のほうが楽かなと。
○圓藤委員 用途はどんなものなのですか。用途がないのだけれども、どんなところで使われているのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 今記憶にないので、申し訳ございません。
○圓藤委員 でも、結構事業場がありましたよね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 結局3事業場です。ばく露作業報告があったところは16なのですが、繊維状と繊維状でないのを勘違いして出しているところが非常に多くて、最終的に3事業場だけが繊維状の炭化けい素を扱っているということになりました。
○名古屋座長 「炭化けい素」と書いてしまうとそうなってしまうのですね。この前のセピオライトのときもそうだったのだけれども、有害性が問題になるセピオライトで出てきているのはみんな繊維状のセピオライトであって、球状のセピオライトは何ともない、日本で扱っているセピオライトは全部球状だということでリスク評価の対象から外したのと同じで、繊維状炭化けい素と書いてあげたほうがいい。繊維状の炭化けい素に対しての規制だという言い方で書いてあげないと。それから、製鉄で使用するマグネシウム系の蛇紋岩もマグネシウムが欲しいのだけれども、では蛇紋岩に代ってマグネシウムを含むドロマイトでいいかというと、やはり蛇紋岩のマグネシウムでないと駄目だということになって、それを使っている部分があるから、これももしかしたら、繊維形態でないものだったら、健康影響の有害性が低くなると思うから、繊維状かそうでないかにかかってくるのかなと思うのです。もしそんなことが分かったら付け加えてあげて、書くときには「炭化けい素」ではなくて「繊維状の炭化けい素」という形で書かれたほうが分かりやすいと思います。
あとはよろしいですか。
○原委員 細かなことですけれども、最後のページだけで言いますと、形式的なことで、最初の許容濃度等のところで、ACGIHの間にスペースか何か、コロンか何かを入れて、書き方を統一していただいたほうがいい。
それから、サンプラーのところで、「セルローズ」ではなくて「セルロース」ですね。ブランクのところでも「セルローズ」となっているのですが、「セルロースエステル」で、濁らないのではないかと思います。
それから、右に行きまして、融点・凝固点は「2,700℃」ではないでしょうか。
○名古屋座長 点ではなくてコンマですね。
○原委員 コンマのような気がします。
それから、全体にもなりますけれども、数字と単位の間に半角のスペースをあけるのだったらあけるようにされたほうがいいのではないかと思います。
とりあえず小さなことなのですけれども、気づいた点です。
○名古屋座長 でも、皆さん、ここを一番最初に見るから大切だと思います。
では、許容濃度の記述方法の修正と、「セルロースエステル」とか「セルローズ」か「セルロース」かという形の確認と、それから分析のところは先ほど言いましたように計数の仕方とか倍率とか、その辺の修正をよろしくお願いいたします。
そういう形でよろしいでしょうか。―ありがとうございました。
そうしましたら、1-4のヒドロキノンの説明をよろしくお願いいたします。
○中央労働災害防止協会/山室氏 それでは、資料1-4、ヒドロキノンになります。
1ページ目を御覧ください。こちらに物理化学的性状の記載がございます。融点が172℃、沸点が287℃、20℃における蒸気圧が0.12Pa、形状としては無色の結晶になります。
許容濃度等、ばく露限界値につきましては、日本産業衛生学会では設定されておりません。ACGIHのTLV-TWAが1 mg/m3ということで、今回は1 mg/m3を暫定的な二次評価値として検討を始めております。
そうしましたら、最後のページの測定手法のサマリーを御覧ください。
サンプリングにつきましては、MCEメンブランフィルターで、ポアサイズが0.8 µmというものになります。直径が37 mmで、バックアップのパッドをつけているものでございます。
こちらをフィルターカセットに入れた状態で、サンプリング流量2 L/min、サンプリング時間4時間でサンプリングを行いまして、サンプリング後直ちにMCEフィルターを1%酢酸が10 mL入ったポリプロピレンの容器に移すということです。フィルターのままでは保存性が非常に悪いということで、すぐに1%の酢酸の中に移す必要があるということでございます。
こちらを高速液体クロマトグラフ法で分析していくということになります。
保存性としては、添加量0.5 µgで、こちらが4時間サンプリングしたときのACGIH TLV-TWAの1/1,000の濃度に相当いたします。それから、50.2 µgが1/100の濃度に相当。それから、1,005 µgが2倍に相当する濃度になります。この溶液のまま冷蔵で保存した場合、少なくとも3日間までは変化はないということを確認してございます。
脱着率につきましては、今申し上げました添加量でいずれも90%以上であることを確認しております。回収率につきましても同様に90%以上であることを確認しております。
定量下限値につきましては0.0006 mg/m3ということで、ACGIHのTLV-TWAの1/1,000の濃度を十分にクリアして、分析ができているということになります。
分析方法としましては、高速液体クロマトグラフ法ということで、分析条件はこちらに記載のとおりですが、検出器としてはダイオードアレイの検出器を使って紫外の吸収を見ているということで、測定波長は288nmでございます。
以上になります。
○名古屋座長 ありがとうございました。
何かお気づきの点はありますでしょうか。
ここもOSHAとNIOSHではNIOSHのほうが日本の作業環境には合っているのですか。粒子があるということで。採用されている理由として書かれている。NIOSH法を採用しましたと。同じものを分析するのだけれども、使う試薬は随分違うなという気はするのですけれども。
○中央労働災害防止協会/山室氏 ヒドロキノンは無色の結晶ということで、OSHAですとガスを対象にした測定手法で、XAD-7でサンプリングするということです。NIOSHはフィルターの方法で採取するということで、そちらを参考にしたということになります。
○名古屋座長 日本の現場はこちらのほうが多いということですね。
○中央労働災害防止協会/山室氏 そうですね。
○名古屋座長 ありがとうございます。
検量線も小さな範囲と大きな範囲で結構よくそろっているので問題ないと思いますけれども、何かお気づきの点はありますでしょうか。
○小嶋委員 細かいことで恐縮ですけれども、5ページの真ん中あたりで、「なお、ヒドロキノン標準溶液は……用いる際は用時調製する」と。
○内田化学物質評価室長 4-1の2)の下のところの「用時調製」。
○名古屋座長 用時の際に調製するでいいのかな。
ありがとうございます。分かりました。
○小嶋委員 さらに細かい点ですが、矢印が長過ぎて。
○名古屋座長 どこですか。
○小嶋委員 次のページです。
○名古屋座長 分かりました。ありがとうございます。図3ですね。
○小嶋委員 そうです。
○名古屋座長 分かりました。
「用時調製」の「用時」は要らないのでしょう。ただ「調製する」で。それとも「用」を必要の「要」にする。
○圓藤委員 この字でいいんじゃないの?
○鷹屋委員 使うときに作るから。
○名古屋座長 では、これは「用時」ですね。用途から考えると。
○圓藤委員 細かいことでいいですか。5ページの捕集方法で、SKCのMCEメンブランフィルターというのは、このフィルターでないと駄目なのですか。先ほどSKCのフィルターは捕集剤が手に入りにくいから日立にしたとかおっしゃっていたので。
○中央労働災害防止協会/山室氏 混合セルロースエステルメンブランフィルターであればみんな同等商品ですので、大丈夫です。今まで何か違っていたという経験はないので。
○圓藤委員 では、MCEメンブランフィルターならばいいということですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。このSKC製はフィルターカセットに入ったものが市販されているのでやりやすかったということだと思います。自分で詰めなくていいということで。
○圓藤委員 分かりました。
○鷹屋委員 MCEは大体大丈夫です。PVCとかテフロンは銘柄をちゃんとしておかないと、特にこういう酸化還元のものはいけませんけれども、MCEは大もとをたどるとそんなに何種類もない。
○圓藤委員 SKCと後ろに書かれると、それしか駄目みたいに思えてしまうので。
○名古屋座長 大丈夫なときは「メンブランフィルター」と書いて。
では、「用時調製」のところは確認してみてください。これでいいのかもしれないので。
○中央労働災害防止協会/山室氏 分かりました。「用時調製」の字を確認いたします。
○名古屋座長 あとのところは大丈夫そうですね。
ありがとうございました。
そうしましたら、最後のところで、資料1-5、多分措置検討会であったのだと思いますけれども、問題があったということで、これの説明をよろしくお願いいたします。どう変えられたか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 塩化アリルですね。資料1-5になります。
参考資料で前のものがありますでしょうか。参考資料3の一番最後のページが変える前のものですけれども、実は塩化アリルの分析方法につきましては、この物質のリスクの初期評価の段階で中災防でないところが取りかかっておりまして、途中から中災防が引き継いでやったということでございます。引き継いだ後に、分析方法としては日本産業環境測定協会様の「発がん性、生殖毒性、神経毒性等有害性の考えられる物質に対する作業環境測定手法の検討報告書」というものに塩化アリルの分析方法があるのでこちらを使ってくださいということを当時の担当官から御指示いただきまして、この検討会の場で検討して採用されたものではないその方法で調査を行っていたところでございます。
当初そういった事情がありましたので、初期リスク評価のところには測定・分析手法を全く書かずに報告書ができ上がっていたわけですが、それでは具合が悪いだろうということで、詳細リスク評価の報告書には、標準の測定・分析法を、この日本産業環境測定協会様が作られた報告書に書かれた表をそのまま持ってきたわけですが、その方法がNIOSHで検討されていた方法をそのまま日本語に訳してものであったということで、慌てて作ったりしたものですからそこまで気がつかずにそのまま添付してしまったものです。
今回お出しした資料1-5は、日本産業環境測定協会が平成13年に検討された方法、報告書の中身をそのままこの書式に合わせてまとめて書いたものでございます。
サンプラーとしては固体捕集管としてヤシガラ活性炭を使われていた。サンプリング流量としては0.01~1.0 L/min。このあたりにつきましてはNIOSHの方法と変わらない方法です。
保存性につきまして再度検討されていまして、25℃で17日間、5℃で21日間までは90%以上の保存性が確認されていたということでございます。
それから、脱着率につきましては、61.6 µgのところで100±5%という良好な結果であったと。
それから、定量下限値は、採気量20 Lのときに0.1 ppmというようなことが記載されておりました。
分析方法ですが、ここが措置検討会で一番指摘があったところでして、脱着で1 mLのベンゼンを使っているということで、ベンゼンを使っているのは良くないのではないかということと、分析手法としてパックドカラムが使われているので、そういったものは今は使われていないでしょうという御指摘がありまして、そこは報告書からかき出しまして、1.5 mLの二硫化炭素―二硫化炭素も有害性が高いわけですが、これを使わざるを得ないというところで今も使っているところですけれども、1.5 mLの二硫化炭素で時々振とうさせながら1時間で脱着を行います。
分析装置としてはガスクロマトグラフ分析装置で、FIDの検出器になりますけれども、カラムとしてはURBON HR-1の30 m、0.53 mmのボアサイズで、膜厚が3.0 µmで、注入量1µLというキャピラリーカラムを使って分析しているという方法が書かれておりましたので、その方法をこちらに書かせていただきました。
○名古屋座長 この塩化アクリルの分析法が措置検討会に出てきたときに小野座長に聞かれたのです。でも、その時ここに出てくる分析法はいつも中災防の測定分析等検討分科会で検討した後、さらの中災防のばく露委員会で再度検討した後の成果物として、ばく露小検討会に出てきて、それを小検討会で検討し、そこで決まったものが措置検討会に出てくるので、多分そのラインで行っているから、ここに書いてあることは中災防の測定分析分科会のところに聞かないと分からないと私は答えたのだけれども、今聞いていると、中災防の測定分析分科会もばく露委員会もばく露評価小検討会の全部をスルーして、ぽんと措置検討会に出て来ているのですね。だから改訂版のこちらのほうがいいのだと思います。もし何か不安があったら、中災防の測定分析分科会のところに一回持っていって、これでオーケーかどうか聞いて確認してから上げればより正確になると思います。ここの経緯がよく分からなかったから、多分そうゆう通常の流れで来ているにしてはあまり見ていないなと思って、家に帰って見たらリスク小検討会ではこの分析方法はなかったので。よく分かりました。そういう経緯だったのですね。古いですものね。ここで決めないで、一回測定分析分科会で見てもらったほうがいいですよね。
○圓藤委員 定量下限値が0.1 ppmなのですけれども、これでいいのですか。今まで1/1,000とか何かやっていましたけれども。これは1/10ですけれども。
○中央労働災害防止協会/山室氏 実際に測定を行ったときにはこれをアレンジしていますので、もっと低いところまで分析、たしか最終的にはMSを使って分析していたと思います。ただし、そこのところについては我々受託者側で分析方法を工夫してやったということで、それを報告書にそのまま載せるわけにはいかないだろうと思いますので、必要な場合はもう一度検討して、きちんとした形にまとめることが必要と思います。
○名古屋座長 塩化アリルは措置検討会で検討を行っているから、この分析法は公定法になってしまうわけです。このままだととても公定法として定量分析できる方法ではないし、ではこの改訂版のままでいくかといったら、記述が不十分なところがある。公定法としてこれから測定士さんが分析するのだから、やはり一回中災防の測定分析分科会に戻してもらって、そこでちゃんとした分析法になったものをもう一遍こちらへ上げてもらって、それをそのまま公定法としてガイドブックとかに記載するような形にしておいたほうがいいのかなと。初期リスクで終わるのだったら問題ないのだけれども、健康措置検討会に行っているので公定法の分析法ですから、作業環境測定とか、これから個人サンプルが出てくるから、そこでちゃんとできる分析方法として皆さんに提示して報告したほうがいいのではないかと私は思うのです。だから、もう一度中災防に持って帰ってもらって、きちんとしたものにして出していただけるとありがたい。今皆さんが言われたように、ここでは違って、1/1,000と圓藤さんが言われたように、形も引っくるめて、データを入れながら、きちんとした分析方法として報告してもらうほうがいいのかなと。要するに、完全にどこでも使ってもらう方法なので、やはりきちんとしたほうがいいのかなと。こういう形で一度出してもらえるとありがたいと私は思うのですが、どうでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 では、WGで一度もんでいただいてからまた上げていただくという形にいたしましょう。
○中央労働災害防止協会/山室氏 分かりました。ありがとうございます。
○名古屋座長 お手数をかけますが、よろしくお願いいたします。
これは加熱脱着が使えないのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 加熱脱着は使えるのではないかと思いますけれども、このばく露実態調査の中ではほとんどやっていないです。
○名古屋座長 当時はまだ平成13年だから無理ですよね。それはいいです。このままで大丈夫です。よろしくお願いします。
いずれにしろ、こういう報告で見て、ガイドブックとか分析方法になるので、そういう形で報告してもらえるとありがたいということでございます。
では、すみませんが、よろしくお願いいたします。
あと何か検討しておくことは?大丈夫ですか。
○内田化学物質評価室長 もう一つの議題を。
○名古屋座長 どうぞ。
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室長の内田でございますけれども、よろしくお願いいたします。
2つ目の議題といたしまして、資料2-1から2-4、リスク評価の実施要領とかばく露評価のガイドライン、それからリスク評価の手法というリスク評価を進めるに当たっての手順というかガイドライン等についての改定に関してでございます。
これにつきましては昨年度この検討会でも御検討いただいたもので、おおむねばく露のガイドラインとかについてセットしていただいたのですが、一部まだ残っているところがあるということ、それからほかの検討会でもいろいろと御議論いただいたという経過もございまして、改めて御報告させていただきます。
中身の説明の前にお断りでございますけれども、この資料2-1から2-4はそれぞれ非常に関連しているところでございますけれども、この場で検討いただくに当たって、タブレットだと並べて見づらいということもございまして、ほかの検討会でも御指摘いただいたのですけれども、この場で御質問なり御意見があればいただければと思いますし、また、お持ち帰りいただいて、後ほどお気づきの点があれば改めて御意見等いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
資料としては幾つかありますけれども、資料2-3をベースに見ていただければと思います。
経過について補足させていただきますと、去年の11月にこの検討会でも御議論いただいたのですけれども、この資料の右下にございますように、ばく露評価をするに当たって、ACGIHのTLV-TWAがなくてCeilingだけがあるというような物質についてその取扱いをどうするのかということで御検討いただいた経過がございます。この検討会、それから合同検討会でいろいろ御議論いただきまして、TWAがなくてもCeilingがある場合、それからTWA、Ceiling両方がある場合、こういったいろいろな状況がございますけれども、いずれにしても、それぞれどちらかということではなくて、両方見る必要がある。Ceilingについてはそれに対応したばく露濃度の測定が必要だということで、個人ばく露測定ということで、作業別に短時間でサンプラーを切り替えて測定する手法でばく露測定もしていただいて、TWA、Ceilingいずれか一方でもばく露評価レベルが二次評価を超えていればリスクが高いと評価するということで整理いただいたところでございます。
ほかの修正点といたしましては、この図表の左のほうに書いてございますけれども、対象物質の使用実態がないとか、実際にばく露作業報告はあったのだけれどもなかなかばく露実態調査をできるようなところがないとか、そういったものについてはどう取り扱うのかということで、これらにつきましては必要に応じて再度ばく露作業報告をしていただいて、それでもばく露実態調査ができるような状況ではないということになれば、有害性評価だけ行ってリスクの判定は行わないということで整理いただいた経過がございます。
それから、ここには書いてございませんけれども、そのほかに、実施要領については資料2-1の一番後ろのほうに表がありますが、また後ほど御覧いただければと思いますけれども、その表の中でそれぞれ毒性などの定義について記載しているといった変更や、あるいは資料2-2のばく露評価のガイドラインにおいては、対象事業場の選定に当たってどのぐらい選定するかという数について計算式がございましたけれども、少し計算式におかしいところがありましたのでそういったところを見直すとか、そういった点で修正したという経過がございます。
ばく露評価のガイドラインについてはおおむねセットいただいたのですけれども、実は、この資料2-3、リスク評価のスキームだけは確認いただいていなかったということで、この資料2-3の1枚目と、2枚目には従来のものが入っておりますけれども、今し方申しましたCeilingの話とか、あるいは一番左の修正のほかに、今の状況を踏まえまして、経皮吸収の取扱いについてということで、それぞれ初期リスク、詳細リスクのところに注釈で書いてございますけれども、経皮リスクの評価が難しい場合については、一番右にございますが、詳細リスクでそのような状況であれば、とりあえず経気道ばく露に係る評価について中間報告として取りまとめをして、経皮については後ほど評価を頂くとか、そういった状況になっていることも記載してございます。
そのほか、このフローについても今の実態に合わせて少し手直しをしているといった状況になってございます。
あと、これ以外にほかの文書についても、まだ有害性評価検討会で御議論いただいていなかったということで、この7月に有害性評価検討会でも御議論いただいて、軽微な修正でございましたけれども、御意見を頂いたことを踏まえて今回お出ししている資料2-1から2-4について修正させていただいたという経緯でございます。
そういった状況でございますけれども、もし全体を通してお目通しいただいて何かお気づきの点があれば、本日もしくは改めて御意見を頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
1点お聞きしたかったのは、Ceilingのときに使うもの、今、個人ばく露と言われたのですけれども、私の記憶だとスポット測定という形だと思ったのです。資料2-2の17ページに「スポット測定」と書いてあって、それを個人ばく露にしましょうということで、従来のスポット測定の数を増やして、それをCeilingの値に代えましょうという議論をしたと私は思っていて。
○内田化学物質評価室長 資料2-2の15ページに書いてございますけれども、もともとスポット測定みたいな話があったのですが、昨年11月のときに中災防さんから御提案いただいて、資料2-2の15ページの358行のところに表がございまして、その下段のほうになりますけれども、作業別に短時間でサンプラーを切り替える測定手法で個人ばく露測定をして、その値をもとにCeilingと比較するという形で。
○名古屋座長 例えば352行にスポットがまだ残っていますよね。私が記憶していたスポットはこのスポットではなくて、違った意味で個人ばく露測定をする。スポットとは違うという形で考えていいのですか。
○内田化学物質評価室長 そうですね。スポットはスポットとして。従来も個人ばく露測定とスポットはそれぞれ。TWAについても従来の形で見ていましたので。
○名古屋座長 では、スポットはB測定みたいな形になっていて、個人サンプラーは呼吸域のところにつけて、測定中に個人サンプラーを4回ぐらい変えるよという話だから、そこでそうなのですね。分かりました。大丈夫です。
○内田化学物質評価室長 よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 ありがとうございます。
あと何かお気づきの点はありますか。よろしいですか。先ほどお話ししましたように、今日持ち帰られて、お気づきの点がありましたらメール等で事務局等にしていただいても結構です。特に資料2-3の表の中で。多分これでいいのではないかと思うのですけれども。―よろしいですか。
これを書いているときに、詳細リスク評価に行って、二次評価値以下のばく露があるというところで、以下のところで「リスクは低い」となっていますよね。もともと二次評価値より初期リスクの最大ばく露濃度が高いから詳細リスクに行っているのに何でここがあるのだという話になったことがあったのです。それは、最近までそれに該当する事例がなかったのだけれども、最近2例ほど出てきました。それはなぜかというと、区間推定値の最大値を使っているときがあって、その最大値が二次評価値より大きいと詳細リスクに行くのだけれども、詳細リスクで測定事業場を増やしてばく露測定を行い、測定結果を集計してみるとばく露濃度も区間推定値のいずれも二次評価値より低くなることがあって、こういう事例が2例出てきて、やはりこれはあっていいのだなと。それまでなかったのに何でこれがあるのだろうという議論が結構あったのですけれども、区間推定値の最大値で持ってきているときはばく露の推定でしかないから。やはりこれがあったのは良かったのだなというのが分かったというのがあった。それまではなかったので、何でこれがあるのだ、これより高いから行くはずだろうという話がずっと出ていたのですけれども、これがあって本当に良かったなと思っています。
そうしますと、あとはよろしいですか。
もしお気づき、今日でなかったら、また今後の説明についてお話しいただければという形で、後日メール等で事務局にお任せという形でもよろしいですか。
○内田化学物質評価室長 はい。そのような形でよろしくお願いいたします。
○名古屋座長 そうしましたら、今日のところはこれで終わりますか。何かほかに事務局等でありますでしょうか。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございました。本日お諮りしたい議題は以上でございます。
次回の開催のめどなのですけれども、9月14日で調整をお願いしたいと思っております。後ほどテクノヒルからスケジュール調整の御連絡をさせていただきますので、そのときにスケジュールを御確認いただきまして、御返答いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 以前14日に開催するというのがありましたものね。
○神田有害性調査機関査察官 そうですね。一回その話はさせていただいたのですけれども、そこからコロナの感染者が大幅に増えて、やれるかどうかわからないなという話になってしまいまして、少しやり方等を検討して、今回のようなオンラインでのやり方もめどがつきましたので、そちらでもう一回やらせていただきたいと思います。御確認いただければと思っております。
以上でございます。
○名古屋座長 ありがとうございました。
そうしましたら、以上で本日のばく露小検討会はお開きとします。
どうもありがとうございました。
リモートの先生方、ありがとうございました。