第301回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)6月17日(水)15:00~

場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館 第612会議室(6階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

(1)労働者派遣制度について(公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 定刻より少し早いようですが、委員の皆様おそろいですので、ただいまから第301回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員、松浦委員、労働者代表の永井委員が所用により御欠席されております。
それでは、これから議事に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは御説明いたします。資料1-1を御覧ください。「日雇派遣の原則禁止について」です。1ページですけれども、現行制度の概要をまとめております。派遣元事業主は、以下の場合を除き、日雇労働者「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者」について「労働者派遣を行ってはならない」とされております。
例外が2つありまして、1つ目が(1)日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務。2つ目が(2)雇用機会の確保が特に困難な労働者等を派遣する場合、この2つが例外的に日雇派遣が可能とされております。具体的には下にありますとおり、18の例外業務が認められているのと、(2)の日雇派遣の例外の場合につきましては60歳以上の者、昼間学生、副業又は主たる生計者以外の者が日雇派遣に従事する場合、一定の年収以上があれば可能といった仕組みになっております。
次に、2ページを御覧ください。日雇派遣の原則禁止に至る主な経緯ですけれども、従前、労働者派遣が禁止される業務以外は、日雇派遣に係る規制はなかったところ、平成19年から平成20年頃に不適正な日雇派遣、いわゆるデータ装備費、給与からの不適正な天引きに係る事案ですけれども、こういったものが社会問題化いたしました。こうした経緯も踏まえまして、平成24年の労働者派遣法の改正によりまして、日雇派遣が原則禁止とされ、先ほど申し上げたような現行制度になったところです。
次に、3ページを御覧ください。日雇派遣の例外業務について、現在では18の業務が例外的に日雇派遣が「可能」とされておりますが、その18の業務が選定された改正当時の考え方をまとめたものです。日雇派遣については必要な雇用管理がなされず、派遣労働者の保護に欠けることから、原則禁止とされたところですけれども、「日雇派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務等について、政令によりポジティブリスト化して認めることが適当」と、平成21年の労働政策審議会の答申で指摘をされたことを踏まえまして、具体的には当時の、いわゆる26業務から、特別な雇用管理を必要とする業務、これは専門性がなく交渉力がないということで、例えば建築物清掃や駐車場管理といった業務を除いた上、更に日雇派遣がほとんど見られない業務、こちらは放送機器等操作、放送番組等演出等ですが、これらは当時、日雇派遣がほとんど見られない業務であったことから、これらの業務を除外して、現在の18の業務になったという経緯です。
次に、4ページを御覧ください。日雇派遣の例外の場合のうち、副業で日雇派遣に従事する場合と、主たる生計者以外の者が従事する場合には、それぞれ本業の収入と、若しくは世帯収入が500万円以上であることが要件とされておりますが、この500万円という水準が、当時決定された経緯をまとめております。
2行目ですが、生活のためにやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準にある者については、派遣労働者の保護が欠けるおそれが少ないため、原則禁止の例外としたものですが、具体的には標準生計費の2倍程度の年収があれば、生活のためやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準であるといった認識の下、この水準を500万円とされたというものです。
次に、5ページにつきましては、現行の日雇派遣に関する指針の概要をまとめております。詳細の説明は割愛させていただきます。
次に、6ページ以降が、日雇派遣の実態に係るデータをまとめております。
7ページを御覧ください。日雇派遣労働者数の推移ですが、こちらは事業報告によるものです。平成24年の労働者派遣法の改正で、日雇派遣が原則禁止となった後、6万8,000人から3万人と急減しておりますが、平成25年以降につきましては、おおむね3万人前後で推移しており、直近の令和元年6月1日現在の日雇派遣労働者数は3万1,000人となっております。
次に、8ページを御覧ください。この3万1,000人の内訳をお示ししたものですけれども、上にありますのが日雇派遣が例外的に認められている属性別にまとめたものになります。最も多いものが(4)主たる生計者でない者で34.7%、次に昼間学生、次に60歳以上の高齢者、副業として従事する者と続いております。
下の段は業務別で、日雇派遣が例外的に認められている18の業務について、それぞれに従事する人数をまとめたものですが、特に多いものが添乗と受付・案内、この2つが特に多くなっております。
次に、9ページを御覧ください。日雇派遣労働者の派遣料金と賃金の推移をお示ししております。派遣料金に関しましては、近年1,900円前後で、また、賃金については1,300円程度で、それぞれ推移しております。
次に、10ページを御覧ください。日雇派遣の実績がある業務につきまして、先ほど日雇派遣が可能な18の業務についての実績をお示ししましたが、こちらでは日雇派遣が例外的に可能な18業務以外の業務につきまして、どのような業務に日雇派遣が行われているかというところをお示ししたものになります。紺色の棒グラフを御覧ください。特に多いものが販売、一般事務、倉庫・運搬・流通加工関係業務。それから少し飛びまして、物の製造、イベント運営、接客・給仕といったものが特に多くなっております。
次に、11ページを御覧ください。教育研修の実施状況ですが、上の段が日雇でない雇用期間1か月超の派遣労働者についての教育研修の実施状況、下の段が日雇派遣に関する実施状況です。左側、そもそもの実施状況につきましては、日雇派遣の場合は行っていないという派遣元事業所が10%あり、雇用期間1か月超と比較して、多い結果になっております。右側の実施している教育研修の内容につきましては、全体的な傾向としては、おおむね同様となっておりますが、右側の階層別研修や長期的なキャリアに関するものについては、上の雇用期間1か月超に比べて、日雇派遣が少ないといった結果になっております。
12ページを御覧ください。こちらは教育訓練の受講状況について、派遣労働者に調査した結果になります。一番下のように、教育訓練(研修など)は受けていないという回答が60.3%と多くなっておりますが、受講した研修の中で比較的多いものとしましては、派遣前研修、安全衛生研修、情報保護研修、コンプライアンス研修といったものが挙がっております。
次に、13ページを御覧ください。派遣場所の巡回状況と派遣先からの就業状況の報告の状況について、派遣元に対する調査の結果です。上の巡回状況を見ますと、雇用期間1か月超の派遣と比べて、日雇派遣の場合には、「必ず行っている」の回答が20%ほど低い水準になっております。下の段の就業状況の報告状況につきましては、両者を比較してもそれほど大きな差はない結果になっております。
次に、14ページを御覧ください。労働者派遣における労災事故の発生状況をお示ししております。こちらにつきましては、日雇派遣に関するものではなく、派遣全般と、それから派遣以外も含む全労働者の労災の状況を比較したものとして、御覧いただければと思います。左側が全労働者の休業4日以上の死傷者数の業種別の割合、右側が派遣労働者についての同様の数値となっておりますが、全労働者については第三次産業が最も多く、次に製造業が多くなっております。一方で派遣労働者の場合には、製造業が最も多く、過半を占めているといった状況になっております。その下に、製造業の就業者の割合を示しておりますが、全労働者の場合には、18.3%の方が製造業に従事されている。一方で派遣労働者の場合には、33.8%の方が製造業の派遣先で就業されているといった状況になっております。
次に、15ページを御覧ください。日雇派遣で前日・当日に仕事がなくなった場合の対応を派遣元に調査したものですけれども、「このようなことは起きたことがない」というものが最も多くなっておりますが、何らかの対応が講じられた中では、予定していた賃金全額を支払う、予定していた賃金の一部、休業手当相当額を支払う、その日にほかの仕事を紹介するといった対応が多くなっております。
次に、16ページについては、同じ内容につきまして派遣労働者に調査したものになります。「そのようなことは起きたことがない」という回答が最も多くなっておりますが、その他、派遣元調査と同様、予定していた賃金全額、若しくは休業手当相当額、ほかの仕事の紹介といったような対応もある一方で、「特段の対応はされなかった」といった対応も1割程度あります。
次に、17ページを御覧ください。年収要件の確認状況、確認手続きに対する考え方について、派遣元に対する調査の結果ですが、年収要件の確認状況につきましては、公的証明書のコピーの提出、自己申告書へのサイン、口頭での確認といった内容で確認されている一方で、「確認していない」というお答えも1割程度あります。年収要件の確認手続きに対する考えとしては、「確認手続きは必要」との回答が43%、「確認手続きは不要」との回答が30.7%となっております。
次に、18ページを御覧ください。年収要件の確認状況につきまして、派遣労働者に対する調査の結果です。確認状況につきましては、「年収を確認されたことはない」という回答が4割程度で最も多くなっておりますが、その理由について尋ねたところ、「学生又は60歳以上であるため」、「日雇派遣が可能な専門業務であるため」といった現行制度上問題がないと思われる回答もある一方で、その他の理由「わからない」といった不適切な事案が一定数含まれる可能性がある回答も一定程度ありました。
次に19ページからは、短期の人材確保ニーズ、又は就労ニーズについての調査結果になります。まず、20ページにつきましては、派遣先企業に対しまして、短期の30日以内の人材確保ニーズの有無について尋ねたものです。こちらは日雇派遣に限らず短期の人材確保ニーズということで、まず尋ねたものですけれども、9.2%の回答者が、そういったニーズがあると回答されております。
次に21ページですけれども、この短期の人材ニーズにつきまして、どのような業務でニーズがあるのかと尋ねたところ、下の段を御覧いただきますと、日雇派遣が原則禁止されている業務につきましては、一般事務、倉庫・運搬・流通加工関係業務、物の製造といったものが特に多くなっております。
次に22ページは、そのニーズにつきまして、どの程度の期間、確保したいかを尋ねたものですけれども、「29日~30日」という回答が39.9%と最も多く、次に「2日~7日」といった回答が3割程度と次に多くなっております。
次、23ページにつきましては、このニーズを満たす方法として希望するものと、その理由についてお尋ねしたものですけれども、希望する方法としては、直接応募が最も多く、次に日雇派遣となっております。この中でも、日雇派遣と日雇紹介につきまして、それぞれを選択した理由を尋ねたものが右側の棒グラフになりますけれども、全体的に両者ともに、ほぼ同様の理由が上位に挙がっておりまして、例えば「人材確保のスピードが速いから」、「人材確保に手間がかからないから」、「適切な人数を確保できるから」といった回答が多くなっております。
次に、24ページを御覧ください。ここからは個人に対する調査で、日々又は短期で働きたい希望の有無についてお尋ねしたものになります。左側、約27%の方が、こうした短期で働きたい希望があるとお答えになっています。その理由につきましては、「自分の都合のよい時間や場所で働けるから」、「勤務時間や労働日数が短いから」、「自分で自由に使えるお金を得たいから」といった回答が多くなっております。
次に、25ページは、日々又は短期で働きたいと希望される方に、どのような業務で働きたいかをお尋ねしたものですけれども、こちらも下の段、日雇派遣が原則禁止されている業務について御覧いただきますと、日雇派遣の実績が多かった販売、一般事務、倉庫・運搬・流通加工、物の製造、イベント運営、接客・給仕といったものも高くなっている一方で、試験監督、選挙補助といったものもニーズが高い業務として回答に現れてきております。
次に、26ページを御覧ください。日々又は短期で働くとした場合の働き方の希望についてお尋ねしたものですが、直接応募が最も多く、次に日雇派遣、その次に日雇紹介といった回答になっております。
次に、27ページを御覧ください。日々又は短期で働く場合、「日雇派遣」と「直接応募・日雇紹介」(就業先で直接雇用されるもの)のどちらが良いと考えるかということについて、個人に調査をしたものです。「日雇派遣のほうが良い」という回答が特に多かったものが、仕事の見つけやすさ、事務手続きの簡便さといったものが、日雇派遣のほうが良いという回答が目立つ結果になっております。
次に、28ページを御覧ください。日雇派遣の年収要件が理由で働けなかった経験の有無について尋ねたものですが、こちらについては調査対象全員、派遣労働者だけでなく、日々又は短期就労者、その他の個人全般からのお答えを集計したところ、10.2%の方が経験が「ある」との回答があり、その働けなかった理由としては、「自身の年収が基準を満たしていなかった」、「世帯の収入が基準を満たしていなかった」との回答が多くなっております。
次に、29ページを御覧ください。日雇派遣の原則禁止に対する考え方について、個人からの回答ですけれども、「わからない」が48.7%と最も多く、次に「今のままでよい」、次に「日雇派遣はすべて可とするべき」、「日雇派遣は原則可とし、例外的に禁止業務/属性を設定すべき」といった回答が続いております。
次に、30ページを御覧ください。こちらは日雇派遣の原則禁止、年収要件の基準について派遣元からの回答ですけれども、原則禁止に対する考えとしては、「わからない」が最も多く、次に「今のままでよい」、次に「日雇派遣は原則可とし、例外的に禁止業務/属性を設定すべき」といった回答が多くなっております。年収要件の基準については、「わからない」が最も多く、次に「今のままでよい」、次に「基準を撤廃したほうがよい」といった回答が続いております。
31ページを御覧ください。過去の主な指摘ですが、平成26年の労働政策審議会の建議において、日雇派遣に関する指摘がなされております。日雇派遣の原則禁止については、以下の観点に留意しつつ、今回の制度全体に係る見直しと併せて実施することを検討することが適当とされており、具体的には(1)日雇派遣による収入に生計を頼ることがないようにしつつも、現在の年収要件を見直すことにより雇用の機会を拡大すること、(2)教育訓練を十分に受けていない労働者が日雇派遣に従事することによる労働災害の発生を防ぐこと、といった観点が示されております。
最後に32ページ、論点を御覧ください。大きく3つの論点を挙げておりますが、1つ目の日雇派遣の例外業務につきましては、今、御説明申し上げました日雇派遣の実績や短期の人材確保ニーズ、短期の就労ニーズ等を踏まえて、例外業務の在り方について、どのようにお考えいただくか。また、4つ目の○になりますけれども、後ほど御説明申し上げますが、福祉及び介護施設における看護業務については、規制改革実施計画を受け、特別に実施したニーズ等の実態調査も踏まえて考える必要があるといった論点をお示ししております。2つ目、日雇派遣の年収要件等につきましては、今、御覧いただきました、年収要件の確認が適切に行われていない実態が一部に見られるといった実態も踏まえて、年収要件の在り方について、どのようにお考えいただくか。また、就業場所の巡回状況や、前日又は当日に仕事がなくなった場合の対応等の調査結果も踏まえて、日雇派遣に係る雇用管理等の在り方について、どのようにお考えいただくか。また、短期の需給調整につきまして、現行制度上、日雇派遣は原則禁止とされている一方で、日雇紹介や日雇での直接募集は可能であるといったことも踏まえて、短期の労働力需給調整に係る規制の在り方について、どのようにお考えいただくか、といった論点をお示ししております。
続きまして、資料1-2を御覧ください。今しがた申し上げました、規制改革実施計画の指摘も踏まえまして、福祉及び介護施設における看護師の日雇派遣に関するニーズ等の実態調査を実施しております。その集計結果をお示ししたものになります。こちらは3月に厚生労働省のホームページで公表済みの結果に関する御報告となりますので、調査結果のポイントについて御説明申し上げます。
まず、4ページを御覧ください。こちらは派遣先となります介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、児童福祉施設に対する調査の結果になりますけれども、まず、人材不足の状況について調査したところ、一番上の2番、看護職員の過不足状況につきましては、施設類型によって差はありますけれども、「大いに不足」から「やや不足」までを合わせて、おおむね3割から4割の事業所が「不足感がある」と回答されております。
その下の看護職員の不足状況について、「不足」と回答のあった所に臨時的・突発的な人手不足なのか、長期雇用も含めた慢性的な人手不足なのかをお尋ねした結果ですけれども、臨時的・突発的な人手不足が、「かなり」と「やや」を合わせまして4割程度といった回答になっております。また、その理由について、その下にありますが、特に多いものとしては右から2番目、「シフトの穴埋め、急な欠勤等の代替」が特に多い結果となっております。
次に、9ページを御覧ください。こちらも派遣先となる福祉施設側に対しまして、短期就業の活用意向についてお尋ねしたものですけれども、まず上の段が、短期就業の看護職員の活用意向で、これは派遣に限らず短期の人材の活用意向を尋ねたところ、「既に短期就業で活用している」、「積極的に活用したい」、「活用しても良い」、「こだわらない」までを合わせまして、おおむね2割から3割程度の回答があります。そのうち、特に短期の派遣の看護職員の活用意向があるかを尋ねたところ、「既に短期就業の派遣労働者として活用している」、「派遣労働者として積極的に活用したい」、「派遣労働者として活用しても良い」までを合わせて3割から4割程度。「こだわらない」までを入れると7割から8割程度の回答があったところです。
次に、14ページを御覧ください。看護師・准看護師の資格を有する方、労働者の側に対する調査の結果ですが、短期就業に関する希望につきましてお尋ねした結果が9番ですけれども、「既に短期で就業している」、「積極的に働きたい」、「働いても良い」、「こだわらない」までを合わせて65%となっております。また、その中で、特に派遣労働者の雇用形態で働くことについてのお考えを尋ねたところ、「既に派遣労働者として、短期で就業している」、「派遣労働者として積極的に働きたい」、「派遣労働者として働いても良い」までを合わせて4割程度。「こだわらない」までを合わせて8割程度の回答となっております。
また、短期就業したい理由ですけれども、「自分の都合の良い時間や場所で働けるから」、「世帯収入の補助になるから」、「家事や育児、介護と両立しやすいから」といった回答が多くなっております。
最後に15ページを御覧ください。看護師等の派遣労働者として、短期就業する場合の懸念点ですが、「派遣先にすぐに順応できない」、「契約が細切れで、収入が安定しない」といった回答が特に多くなっております。資料1-2の説明は以上です。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。それでは、今、説明いただいたことにつきまして御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。佐久間委員、どうぞ。
 
○佐久間委員 何点か質問もございまして、よろしくお願いします、資料1-1の11ページから12ページの教育研修の実施状況です。前回も部会で審議があったと思いますけれども、教育研修の在り方について、11ページで安全衛生に関する研修とか情報保護に関する研修というのは、派遣元では実施しているという思いが強いような数字が出ていると思います。しかし、実際に派遣労働者のほうでは、その項目はあったかもしれないけれども、受けているのか、受けていないのか分からないような数字になっている傾向がみられています。この教育訓練については前回の審議の繰り返しになりますが、協議をもう1回していく必要があるのかなと思います。
それを踏まえまして、この論点整理の所ですけれども、一番最初の日雇派遣の例外業務については、もちろんこちらはリスト化されているわけで、今後、検討の材料として追加とかはあると思いますが、今回、提示を頂きました介護施設の看護の関係は、調査結果を見ても施設側としては活用する必要はないというか、そちらの傾向がある。一方、看護師さんのほうは、あれば利用するという数字も強いと思いますけれども、現状、日雇紹介とか直接の事業者の募集の方法で足りるのではないかと思います。
これは質問ですが、例えばフリーランスについては、チーム医療体制という言葉がありますからなかなかできないと思いますが、病院・医院で働く看護師さんの看護ではなく、介護施設となると自分の判断で介護業務・作業ができるとして、介護の事業者化というのでしょうか、フリーランスということが可能なのかどうか、お伺いしたいなと思っています。
年収要件については、過去、平均の給与とか倍の水準ということできていますので、私は500万円の現状でもいいのではないかと考えています。
短期の需給調整についても、現状、日雇紹介又は直接募集というのができる状態です。これも検討材料になりますけれども、実際には現行のまま進めていくのがよろしいのかなと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 御質問ですけど、特に介護事業所へのフリーランス派遣ということでなく、需要ということ。
 
○佐久間委員 そうですね、事業者として、フリーランス化というのがあるかどうか。多分、ほとんどないと思いますけど。実際、医師会とか看護師協会の団体がどういう意向を持っていらっしゃるか、追加で申し訳ありませんが、教えていただければと思っています。
 
○鎌田部会長 それも派遣に限定しないで、一般的にそういう動向、意見があるかどうか。
 
○佐久間委員 そうですね。
 
○鎌田部会長 もし何かデータがあれば教えていただきたいと思います。どうぞ。
 
○松原課長 佐久間委員の御質問ですが、フリーランスにつきましては病院などの関係で言いますと、病院などで設置基準とかございまして、そこにフリーランスの方が入ることは望ましくないという形で整理されていると認識しております。介護のほうですが、こちらのほうも運営上の基準というものがございまして、確認できていないですけれども、一般的に申し上げるとフリーランスということではなく、実際に来て雇われる方、若しくは派遣の方というのが、施設を運営する上での基準がございますから、そこにフリーランスの方は入っていないと思いますが、確認してお答えさせていただきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○佐久間委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。奈良委員、どうぞ。
 
○奈良委員 日雇派遣の問題ですが、原則、派遣労働というのはあくまでも臨時的、一時的な需給調整制度だと。やはり雇用責任や使用者責任が明確になる期間の定めのない直接雇用が雇用の原則だと、その点が大事なのだろうと思います。そういう点から言うと、最も不安定な就労形態である日雇派遣については、現行の原則禁止は貫かれるべきだろうと思います。例えば年収要件の確認などにしても、要件が定められているにもかかわらず、派遣元の調査でさえ本人が口頭でとか自己申告でとか、そういうのも含めて不透明な要件確認が4割を超えているわけです。労働者の調査では公的証明はわずか2割にとどまっている。こういう現状はきちんと是正されるべきだろうと、まずそういうふうに思います。
加えて、看護師の日雇派遣の問題、ニーズの調査がございましたが、今般のコロナ禍の問題で言うと、福祉や介護の現場でも感染拡大が大きな問題になっていて、現場での感染防止対策の要になるような有資格者でありますから、きちんとチームの核として機能できるような、資格が発揮できるような働き方が求められる。そういう点で言うと、日雇派遣で対応するというのはいかがなものか。データを見ると、看護師不足というのが一時的、臨時的ではなくて慢性的なんだと事業者のほうでも答えています。そちらのほうが多いように拝見します。であるならば、きちんと正規雇用で看護師を配置できる、そういう福祉や介護の制度設計が求められているのだろうと私は思っています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 ありがとうございます。私からは意見を2つほど述べさせていただきたいと思います。日雇派遣の例外業務についてですが、短期の人材確保ニーズは業種・業務特性によるものとともに、突発的な需要や一時的な従業員の欠員への対応など、特に人手不足が深刻な業種において起こり得るものと考えます。一方、フリーランスや副業・兼業が徐々に普及してギグワークなども出現し、労働形態が多様化する中、そうした労働就業契約においては短期雇用における例外業務や年収要件などについて、特段の制約を受けていない現状がございます。今後、適正かつ安定的な雇用管理がなされていることを担保として、雇用就業環境の変化によって、対象とする例外業務を逐次検証していくことが望ましいのではないかと考えます。
もう1点ですが、日雇派遣の年収要件等について意見を述べさせていただきます。派遣元及び派遣労働者に対する年収要件の調査において、派遣労働者の4割弱が年収を確認されたことはないとするデータから推察しますと、日雇派遣のために年収確認の公的証明書の提出を要することが、派遣労働者と派遣元の双方にとって負担になっており、結果的に年収要件確認の実効性が担保されていないのではないかと考えます。日雇派遣の年収要件を継続させるのであれば、実効性が担保されるような改善策の検討も必要ではないかと考えます。
また、副業・兼業、あるいは雇用に類する労働形態が増加しつつある現在、新たな労働就業形態では何ら制約がない中で、派遣労働の場合は年収500万円以上の条件を課していることについて、労働契約全体における制度的な整合性を検証するべきではないかと考えます。これまでの枠組みだけではなく、雇用に類する労働就業形態全体を俯瞰する中で、多様な働き方の形態としての派遣労働の在り方、その年収要件について検証していくことも必要ではないかと考えます。意見は以上です。
質問を1点、よろしいでしょうか。14ページにございます労働者派遣における労災事故発生状況(平成30年)、この円グラフを見ますと、右の派遣労働者の休業4日以上の死傷者数が4,637人、この中で製造業の割合が圧倒的に多いことと、左の全労働者の休業4日以上の死傷者数12万7,329人中、第三次産業が50%をちょっと切りますが、約半数近いということです。この相違ということにつきまして、どのようにこのような相違が出ているのかということを、もし具体的に何か事例等々がございましたら教えていただけたら有り難いのですが、よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 御質問いただいた部分について、何か事務局で資料等はございますか。
 
○松原課長 御質問についてお答え申し上げます。左側の全労働者の休業4日以上の死傷者数につきまして、こちらは製造現場で働いている人だけではありません。製造業で働いている全ての方を含んでおります。
派遣の製造業での死傷者数が多いことの原因につきまして、これのみが原因だというわけではありませんが、派遣のは製造業務派遣というのが割合的に多い派遣先になっている状況もあり、そういう派遣先の割合が非常に高いのも1つの原因になっているのではないかと思います。この辺につきましては、この死傷病報告を持っている部局に確認し、可能であればご報告させていただきたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○中西委員 はい、ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 仁平委員、どうぞ。
 
○仁平委員 論点整理について3点、あと、資料1-2に関しても意見を申し上げさせていただきます。
 
○鎌田部会長 どうぞ。
 
○仁平委員 まず、日雇派遣の例外業務の所です。奈良委員とも重なるところですが、この間、我々も申し上げてきたとおり、日雇派遣は、日々雇用という超短期の雇用と間接雇用が合わさった不安定雇用の最たるものであって、原則禁止は維持すべきだと思っております。日雇派遣の原則禁止に至る経緯、先ほど資料の2ページから御説明いただきましたが、そういう状況は基本的に変わっていないと思っております。
その中で例外業務が設定されているわけですが、これについても専門性があって安全衛生等の労働者保護の点で問題がない業務に限るとして、その後の議論の中で属性の例外として日雇派遣が認められたという経緯はございます。しかし、もう一度、24年の労政審の建議の趣旨、つまり雇用管理に欠ける形態である日々又は2か月以内の期間を定めて雇用する労働者については、派遣を禁止することが適当であるといった経緯なども、もう一度踏まえて見ると、禁止の例外というものはいわゆる17.5業務のみに限るべきであって、例外の拡大、撤廃というのは認められないと思っております。全体として見ると、短期の人材確保ニーズはないというのが8割を占めていて、そもそもニーズはそれほど高くないと考えております。17.5業務が禁止の例外とされた本来の趣旨というのは、繰り返しになりますけれども、業務の専門性、安全衛生等の労働者保護の面で問題がないために、認めてきたということであり、その例外を認めた本来の趣旨を、もう一度しっかりと踏まえるべきではないかというのが、1点目の考え方でございます。
年収要件についてです。これも繰り返しになりますが、最も不安定な雇用形態であるということは先ほど申し上げとおりで、雇用情勢が厳しくなると日雇派遣の場合、雇用を失い生活できなくなるリスクが高い。その基本的性格というのは変わらないと思っております。故に労働者がその日暮らしに陥ることのないように、年収要件というのは維持すべきだと考えております。足元の状況も含めてそういうことではないかと思っております。
その上で、先ほど奈良委員からもございましたが、18ページの所は皆さんがいろいろ御指摘のとおりです。口頭での確認1割、本人に確認しても「わからない」という回答6割も含めて、実効性をどう担保するかという委員からの御指摘もありましたけれども、年収要件を上げる、下げるという前に、法の趣旨も含めて現場に制度がしっかりと浸透していないのではないでしょうか。しっかり趣旨を徹底することが、まずやるべきことだと思っております。
加えて、派遣場所の巡回や、就業状況の報告等について、日雇派遣のほうが少ないという結果も出ています。これも日々、職場、働いている場所が変わるものですから、そこのフォローができないと推測するわけですが、改めて雇用管理責任をしっかりと果たすべきだと思っております。
短期需給の調整の関係です。日雇派遣においては派遣法によって派遣元、派遣先、それぞれにチェックが働く仕組みとなっているわけですが、日々紹介の場合は業務等の制限もなく、派遣法のようなチェックも働かないのが現状だと思います。この間、ヒアリングした所でも、派遣先、紹介先の双方で、日雇派遣の方と日々紹介の方の両方が混在している職場がある実態も報告されたわけですが、この日雇派遣と日々紹介がどんな関係性にあるのか。片方の規制を強めると、もう1つのほうに流れるということなのか、その実態の調査も含めて検討を深め、規制の在り方を考える必要があるのではないかと思っております。短期的視点では、日雇派遣、日々紹介、日雇いの直接雇用などの雇用形態に関わらず、日々就労する先において、安全衛生をはじめとした労働関係法令遵守が徹底されるべきと思っております。中長期の視点としては、労働者保護という面から、キャリア形成と能力の向上を図りながら、労働者の雇用安定につなげていくという視点が大事だと思っていて、日々雇用が繰り返される超短期の雇用においても、そういった労働者の能力の向上、キャリア形成という点で中長期的視点から検討が必要ではないかと思っております。
最後になりますが、資料1-2です。9ページ辺りの調査を見ますと、これも施設によって違いはありますが、7割から8割は「活用するつもりはない」と回答しています。個別の派遣元のヒアリングが後ろに付いていますが、その中でも日雇派遣より自社雇用を希望するという現場の声があります。そもそもこのニーズというのがごく少数なのではないかと思っております。
10ページの所に懸念点が書かれています。これは奈良委員と同じです。チームでの役割を発揮しにくい、ケアに支障が生じる、業務を柔軟に任せられないなどの回答が上位にきていますし、これは働く側に聞いても、契約の範囲外の業務の実施を求められるとか、不適切な労働時間管理などの雇用管理上の課題や安全衛生上の課題、取り分け、一番最後のページですが、短期の場合は細切れで収入が安定しない、チームでの役割発揮や心配などの割合も高くなっています。その意味で、日雇派遣という形を通じて福祉及び介護施設の現場の側のニーズと、働く人のニーズが本当にマッチするかは疑問であると思っております。安全にも関わる重要な課題でもありますし、看護師の日雇派遣については単に人手が足りないということではなく、これは慎重に検討いただければと思っております。長くなりましたが以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ありがとうございます。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 ありがとうございます。日雇派遣の原則禁止について意見を申し上げたいと思います。しばしば雇用管理上とか安全衛生上の問題点が指摘されていますが、今日、御説明いただいた資料で教育訓練の実施状況について見ますと、雇用期間1か月超と日雇派遣において著しい差は認められないと理解しました。今回の資料にはございませんが、派遣先に対するトラブルや問題の発生状況の調査においても、雇用期間1か月超と日雇派遣ではほとんど差異がなかったと理解しております。
次に、日雇派遣労働者の推移について言及しますと、2012年の改正後も3万人前後で底堅く推移しており、一定程度の業務ニーズがあることがうかがえます。こうしたニーズを、企業が直接応募で充足させる方法もあるとは思いますが、需給部会の派遣先ヒアリングの際にも、短期間で信頼性のある労働者を一定数確保するのはなかなか難しいとのことでしたので、日雇派遣は派遣先にとって有用な選択肢であると理解しております。
以上を踏まえまして、いわゆる18業務以外の業務であっても、御説明いただいた資料において、日雇派遣の実績が多い一般事務や販売、イベント運営といった業務の中には、安全衛生上のおそれが少ないと思われるような業務が一定程度あるのではないかと考えています。そこで、18業務が禁止の例外として認められている趣旨を改めて精査して、日雇派遣禁止の例外として追加できる業務とか業種がないか検討すべきではないかと考えております。
さらに、例えば労基法で就業制限が設けられている危険有害業務などのように、日雇派遣に不適切な業務をネガティブリスト化することも検討していくことが、望ましいのではないかと考えております。
その上で、かねて主張しておりますけれども、500万円という年収要件について申し上げたいと思います。標準生計費の2倍程度という数字の根拠が乏しく、日本人の平均年収を上回る水準というのは現実的に考えて高過ぎるのではないかと考えております。加えて、政府は現在、多様な働き方や副業・兼業を推進しようとしています。そうした観点からも、年収要件の引下げや撤廃についても、検討すべきなのではないかと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。森川委員、どうぞ。
 
○森川委員 看護師について、例外業務に加えていいのではないかと思います。というのは、一定程度ではありますがニーズがあるということ。それから、専門的な業務でありますので雇用管理上の問題につきましても、安全性についてはある程度対応できるのではないかと思っておりまして、働く側、雇う側、それぞれにメリットがあるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいですか。小野委員、どうぞ。
 
○小野委員 例外業務と年収要件について意見を述べたいと思います。ニーズについては結構、読み方が難しいなと思っていまして、例えば派遣元のほうについては「該当するものがない」の割合は非常に高いですね、今の派遣実績のある業務内容のところです。ですので、実際にここに挙げている、こちらが用意した業務以外にもいろいろ多く派遣されているというのが、この中から分かると思います。
あとは派遣先のニーズについて、これを見ると21ページですけれども、「一般事務」、「倉庫関係」、「物の製造」、そして「該当するものはない」となっています。今回の調査で残念だったのが、「該当するものはない」という所について、自由回答で書いてもらえるような仕組みにしておけばよかったのですけれども、そういう設計にはなっていなかった。ここの「該当するものはない」というのが何かというところが分からないというのが、若干、気持ち悪い形になっているというのは事実です。
ただ、この派遣先調査を見ていますと、多いのは製造業務だろうなということが推測されます。恐らく緩和するとここの部分がドンと増えるだろうというような予想は付きます。非正規雇用関係の労働供給、労働需要というのは、どちらが牽引するかというと労働需要のほうが圧倒的に優位に動きます。要は企業側のニーズがあるほうに、労働者が増えていく。よって、派遣先のニーズに従って労働市場は動いていくだろうと予想されます。
個人のニーズについては、試験監督であったり選挙補助というのが比較的高い数字で出ています。恐らく学生さんかなと思ったりもします。ただ、非常にニッチなマーケットの中で、そういう需要はあるだろうと想像できるかなという程度だと私は思っております。
そして、戻って18ページですけれども、これは年収要件の話です。年収要件が確認されたことがない理由という所で、「わからない」が60%ということでかなり高い割合になっています。ただ、この「わからない」というのは何が分からないのかも分からないというのが正直なところです。この調査では個人なので年齢とか、どういう業務に就いているかは分かるはずなので、ある程度のプロフィールは割り出すことができると思います。この「わからない」と答えている人は何歳の人たちなのか。学生とか60歳以上の人を省いても、なお60%あるのか。本当に分からなければならない人が分かってない数値はどのくらいなのか、ここは知りたいところではあります。派遣労働者調査の年齢分布であったり男女比というのも、情報として頂ければ有り難いかなと思っております。
年収要件についての500万円のラインについてですが、そもそもこの年収要件については生活のためにやむを得ず日雇いで働かなければならないというような、ある意味、追い込まれた労働者の人たちを増やさないために設けられたラインだと、私は思っております。例えば日雇いだけで食いつないでいくとか、あるいは非正規・非正規というダブルワークだったり、トリプルワークであったりというのでなく、主たる業務、仕事というものがコアにあって、副業だったらいいのではないか。これは、多分、皆さん思っていらっしゃることだと思います。非正規・非正規であったりとか、日雇いだけでずっと生活している人たちを何とか保護するためのコンセプトだとは理解していますが、この500万円ラインについては、私は若干、乱暴だなとかねがね思っているところではあります。ただ、そこについては、先ほど申し上げた非正規・非正規であったり、日雇いだけで生活している方を守るためには、別の視点から再度検討を深めた上で、このラインに代替することが必要なのではないかと思っております。ですので、ここの部分が、300万円でいいのか、250万円のほうがいいのか、もうちょっと引き下げたらいいのかといったお金のラインをどうするかといった単純な議論を拙速にするのではなく、もうちょっと根本的なところからしっかりと考え直す必要はあるのではないかと思っております。
あと付け加えですが、看護師のニーズについて、この調査を見ると本当にニーズがあるのかなと思ったりもするわけですが、調査の行われた時期がだいぶ前ということもあります。世の中、だいぶ変わってきていますし、例えば今回のコロナ禍の状況の中で、介護施設というのはかなりコロナを恐れて閉鎖したり、通所をやめたり、訪問をやめたりというところで困っていらっしゃる要介護の方もたくさんいらっしゃると聞きます。例えば、そういう中で介護施設で短期であったとしても看護師さんを補充していれば、そこの施設が引き続き、続けられたということがあるのであれば、短期で派遣というものを受け入れるニーズはあったかもしれない。これはあくまで仮説ですけれども、こういうふうな緊急的な状況下において、今回、ここに出ているニーズ調査というのは若干違うのかなと考えています。ですので、引き続き、コロナ禍の中で介護施設の看護士さんに対してのニーズはどういうところがあったのかというのは、私は若干知りたいところであるので、そこも引き続き教えていただければと思っております。いろいろと聞きましたけれども、よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 コロナの問題も、今、ここで回答ということではなくということで、よろしいですか。
 
○小野委員 はい。統計の話について、今、分かる範囲で。
 
○鎌田部会長 どうぞ。
 
○松原課長 ありがとうございます。小野委員から御質問がございました年収要件のところです。18ページの学生または60歳以上であるためと、日雇派遣が可能な専門業務であるためを除いた「わからない」になっているのですが、一応、クロス集計で年齢とか、その辺のものが取れますが、今お答えできる状況でありませんので、少し精査させていただいてお答えしたいと考えております。
それと、もう1点、介護施設のコロナ下の状況ですけれども、現在進行形でコロナ対策を行っているという状況にございますので、こちらも可能な範囲で、分かる範囲でどういう状況なのかを担当部局にお聞きして、多分、定量的でなく定性的なお答えになってくると思いますが、お答え申し上げたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○小野委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。よろしいですか。では、このテーマについてはこれまでとします。続いて、次の資料についての説明を事務局からお願いします。
 
○米岡補佐 それでは資料2「グループ企業内派遣の8割規制について」の1ページを御覧ください。現行制度の概要をまとめております。派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者等、いわゆる「関係派遣先」とか「グループ企業」と呼んでおりますけれども、そこに労働者を派遣するときには、そこへの派遣割合が8割以下となるようにしなければならないという規制です。ただし、60歳以上の定年退職者については、制限の対象外となっております。また、派遣元事業主は毎年度、関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされております。具体的な派遣割合の算定方法を下にお示ししております。人数ベースではなくて総労働時間ベースで、その派遣会社における全派遣労働者の総労働時間分のグループ企業で就業する派遣労働者の総労働時間から、適用除外の60歳以上の定年退職者の総労働時間を引いたものといった計算を年度単位で行い、8割以下に収める必要があるというものです。
次に、2ページを御覧ください。グループ内派遣の実施状況について、派遣元に調査をした結果です。左側の円グラフのとおり、回答事業所のうち22.2%の派遣元事業所が、グループ派遣を行っているといった実態になっております。右側がそこについて、直近5年程度のグループ内派遣の動向をお聞きしたものです。「特に変化はない」が46%で最も多く、「減少傾向である」という答えと「増加傾向である」という答えを比較すると、「減少傾向である」との回答のほうが、「増加傾向にある」との回答よりも多い結果になっております。
次に、3ページを御覧ください。こちらは事業報告に基づくデータです。関係派遣先に派遣をしている派遣元のうち、それぞれの派遣割合の実績の分布を見たものです。関係派遣先への派遣割合が80%超から100%となっている事業所が、平成26年度は18%であったところ、年を追うごとに11%、6%、4%と徐々に減少してきているといった結果になっております。
次に、4ページを御覧ください。関係派遣先派遣割合が8割を超えている事案の指導状況です。平成26年度にグループ企業内派遣の規制違反で指導した全403事業所のうち、平成30年度までの間に再度指導を受けた事業所が78事業所あり、約19%が再指導を受けているといった結果になっております。また、年度別の再指導の実施状況が右側の棒グラフです。年を追うごとに徐々に減少してきているといった状況になっております。
次に、5ページを御覧ください。過去の主な指摘です。平成26年の労働政策審議会の建議において、平成24年の改正法全般について情報の蓄積を図り、見直しについて引き続き検討を行うことが適当との指摘がなされております。
最後に、6ページを御覧ください。論点です。今御覧いただいたとおり、関係派遣先への派遣割合が8割を超えている違反事業所の割合は、低下が続いているものの、いまだ違反事業所が一定程度あること、過去に違反した事業所のうち約19%が再度指導を受けていることといった実態を踏まえ、グループ企業内派遣の8割規制の在り方について、どのようにお考えいただくかをお示ししております。資料説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは、この件について御質問、御意見がありましたら、どうぞ御発言をお願いします。
 
○木住野委員 グループ内派遣の8割規制については、今見た資料の2ページで、徐々に減少傾向にあるということが分かりました。改めて言うまでもないことですけれども、グループ内派遣が派遣先の大半を占めてしまうことの問題点を改めて考えますと、そのグループ全体を1つのものとして捉えた場合、派遣会社が第2の人事部のような機能に陥ってしまう。それはやはり需給調整という派遣事業の在り方としてはあってはならないと思います。それがための8割規制ということだと思いますので、そこは考え方とともに是非、継続して徹底を図っていかなくてはならないと思うところです。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○平田委員 グループ内企業派遣の規制の趣旨は、直接雇用すべき労働者を派遣社員とすることで、労働条件が切り下がることに対する懸念だと理解していますが、今般施行された同一労働同一賃金の法改正の趣旨を踏まえれば、そういった悪質なグループ派遣を行うこと自体が困難な状況になっていると思います。むしろグループ企業内での派遣は、派遣元が派遣先の経営実態や組織事情を熟知していることから、就労の際のマッチングや派遣後の就労状況の詳細な把握が可能と言えるのではないかと考えております。また、グループ内での様々な企業におけるOJT等を通じた能力開発や経験の蓄積などを考えれば、労使双方にとって有益なのではないかと思っております。以上の2つを理由に、8割規制については廃止に向けた検討を深めていくべきではないかと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○佐久間委員 この8割規制ですけれども、事業者のほうからいえば、やはりこの規制はないに越したことはないのかもしれません。ただし、今まで8割規制を行ってきた背景、経緯などがあり、一定限度の歯止めは必要ではないかと思います。私とすれば、これ以上の緩めると、9割、10割ということになってしまいますから、やはりこの8割というのを維持していくべきではないかと考えております。
1点質問です。この資料の4ページに、8割を超えている事案の指導状況というのがあります。これは全576事業所のうち、いわゆる中小企業に当たるのがどのぐらいの数を占めているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。中小企業庁が発表する数値は、通常、従業員規模と資本金規模の両方を見ていると思うのです。しかし、例えば従業員規模が何百名以上で資本金規模は加味していないとか、そういうものでいわゆる中小企業に当たるものがどのぐらいあるのかを知りたいので、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 今の御質問について、すぐに答えられるデータを持っていますか。
 
○松原課長 佐久間委員の御質問は4ページですが、指導状況について、中小企業と大企業の区分けについて、今すぐ手持ちがありませんので、分かる範囲でお調べしてお答えしたいと思います。若干違うお答えになりますが、2ページで、グループ派遣を行っているとお答えいただいている区分は分かります。こちらは300人未満の会社が約60%で、300~999人が17%、1,000人以上が25%という割合になっているという状況です。佐久間委員の御質問については別途調べて御報告申し上げたいと思います。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○中西委員 グループ企業内派遣の8割規制の趣旨は、本来企業が直接雇用にて担うべき労働力をグループ内企業に派遣会社を設け、派遣職員として恒常的に確保する常用代替を防止するためのものであると理解しております。一方で、特定の企業で派遣社員として働く希望を持っている労働者のニーズや、同一労働同一賃金を通じて待遇の見直しが図られている状況も考慮する必要があると考えます。会社が悪意を持って直接雇用の労働者を待遇の低い派遣労働者に変更させ、労働力を確保するような行為は禁止するべきと考えますが、派遣元会社で雇用安定措置を徹底し、同一グループ内でも派遣社員の意思に基づくキャリアアップが図れるのであれば、改正も視野に検討を進めるべきではないかと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、次の資料の説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは資料3「離職後1年以内の労働者派遣の禁止について」を御覧ください。1ページに現行制度の概要をまとめております。派遣先は、当該派遣先を離職後1年以内の者を、派遣労働者として受け入れてはならないこととされております。また、派遣元事業主についても、派遣先を離職した後1年を経過しない労働者を派遣労働者として当該派遣先へ派遣してはならないこととされております。ただし雇用機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者、具体的に省令では60歳以上の定年退職者としておりますが、こうした方については禁止の対象から除外されております。派遣先の単位については事業所単位ではなく、事業者(事業主)の単位で規制が掛かるといった制度になっております。
次に、2ページを御覧ください。離職後1年以内派遣禁止の該当者の状況について、派遣元に調査をした結果です。左側が離職後1年以内派遣禁止の該当者の有無について、「あった」と回答があったのが9.7%の派遣元事業所となっております。また「あった」という回答があった事業所について、離職前の雇用形態、勤続年数、離職理由について、それぞれ複数回答で回答いただいたものが右側です。雇用形態については正社員が3割、正社員以外が77.7%となっております。勤続年数については、1年未満と1年以上3年未満が特に多くなっております。離職理由については、自己都合と雇用期間満了が特に多い結果になっております。
次に、3ページを御覧ください。今、御覧いただいたデータについて離職前の雇用形態が正社員であった場合と、正社員以外であった場合に分けて集計したものをお示ししております。勤続年数について左右で比較いただきますと、正社員の場合は正社員以外と比べて、3年以上勤続しているという回答が多い傾向になっております。離職理由については、自己都合と雇用期間満了が特に多いという傾向は、両者ともに変わらない結果となっております。
次に、4ページを御覧ください。こちらは派遣先に対する調査の結果です。左側が、離職後1年以内派遣禁止の該当者の有無について回答いただいたところ、「あった」との回答が0.3%となっております。右側が、この制度に対する考えをお尋ねしたものです。「わからない」が最も多く、次に「今のままでよい」、次に「禁止すべきでない」といった回答が続いております。
次に、5ページを御覧ください。過去の主な指摘です。こちらについても具体的な指摘ではなく、平成24年の改正法全般についての見直しの検討の指摘が、過去の労政審でなされているところです。
最後に、6ページを御覧ください。論点です。御覧いただいたとおり、離職後1年以内の派遣禁止の該当者がいたと回答した派遣元は1割程度です。また、該当者の離職前の状況を見ると、雇用形態は正社員以外が多く、勤続年数は雇用期間3年未満が多く、離職理由は自己都合又は雇用期間満了による離職が多いといった傾向にあります。こういった状況を踏まえ、この規制の在り方についてどのようにお考えいただくかというようにまとめております。資料の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは、この件について御質問、御意見をよろしくお願いいたします。
 
○木住野委員 まず資料の2ページと4ページに、派遣元調査と派遣先調査として、該当者の有無について数字が上がっています。該当者の割合が非常に少なく、派遣元でも1割未満で、派遣先で見たら0.3%まで下がってしまうという実態が分かりました。資料の3ページに離職状況の結果が出ています。正職員の場合のサンプル数が45で、正職員以外の場合が115なので、数字的にかなり小さいですが、特に注目したいのは離職理由のところです。自己都合の内容として、出産/育児・介護というのが上がっています。ただ、この数字もって離職後1年以内の派遣禁止の緩和と結び付けて考えることについては、違和感を感じるところがあります。
と申しますのは、育児/介護というのは、離職しなくても両立を可能とするために、両立支援制度の整備を図ってきているわけですから、派遣労働の制度とも整合性を持たなくてはいけないのではないかと思います。一旦、育児/介護で辞めざるを得ない場合であっても、再雇用登録制度のような直雇用を前提とする形で制度の運用を探っていくべきで、派遣をそこに絡ませていくことについては、違和感があるということです。
 
○鎌田部会長 この件について、ほかにありますか。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 離職後1年以内の労働者派遣の禁止の趣旨は、派遣制度を悪用して労働条件の引下げを防止しようということだと理解しておりますが、自己都合退職については、労働者本人の意向や離職に至った経緯を考慮するなど、例外規定を検討してもよいのではないかと思っております。また、正社員だけでなく、パート、アルバイト、有期契約によって短期就業した者であってもこの禁止規定が適用されることから、派遣労働者として働きたいという本人のニーズに反して、就業機会そのものが奪われてしまうということになれば、労働者保護という法の趣旨に逆行するのではないかと考えております。そういったことから、離職後1年以内の労働者派遣を禁止する規定については、廃止に向けた検討を深めていくべきではないかと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。小野委員、どうぞ。
 
○小野委員 先ほどのグループ企業内派遣8割規制と、離職後1年以内の派遣禁止については、私は基本的に同じような趣旨の下で出来上がった規制であると思っております。すなわち、常用代替によって労働条件が引き下げられかねない労働者を保護するためのものだと思っております。先ほど、平田委員などからもありましたけれども、同一同一が施行されたということがあります。ただ、やはりこれは状況を見て判断しなければいけないということがあるので、施行されたけれども、そこがちゃんとうまくいっているかどうかというところを見極めた上で、どうするかということを考えなければいけないだろうと思っております。
離職後1年以内の労働者派遣の禁止については、正社員だけでなく、正社員以外の労働者についても入っております。ここで見ると、やはり正社員以外の労働者が該当する割合が多いということが、調査によって見受けられております。先ほど言った常用代替の話から言うと、正社員以外の労働者については労働条件の引下げがないというように確認できるのであれば、この状況から外されてもいいのではないかというのが私の考えです。どちらにしても同一同一の施行状況の調査というのは、今後、必ず必要になってくるものなので、それに併せてこちらのほうの議論も進められていいのではないかと思っている次第です。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 平田委員と小野委員のお2人が発言された内容と重複する箇所もあるかと思いますけれども、私からも意見を述べさせていただきたいと思います。離職後1年以内の派遣禁止の本法は、会社都合による意図的な派遣への変更を防止する目的で設けられたものと推察いたしております。しかしながら、有期雇用契約の期間満了により円満退職された労働者や何らかの事情により自己都合で退職した労働者が、自らの意思で同じ職場で柔軟な働き方を希望し、派遣として勤務しようとする場合などについてはその限りでなく、禁止の対象から外してもよいのではないかと考えます。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、次の資料の説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは資料4「特定目的行為の禁止について」を御覧ください。1ページに現行制度の概要をまとめております。労働者派遣の役務の提供を受けようとする者というのは、派遣先になろうとする者ですけれども、これは労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければならないとされております。労働者派遣に先立って面接をすること、労働者の履歴書を送付させること、発注に当たって若年者に限るなどの指示をすること等が、認められない特定目的行為の具体例として派遣先指針に記載されております。下に留意事項を記載しております。派遣元事業主に対しても指針に以下の定めがあり、こうした特定目的行為に対して協力してはならないこととされております。また、紹介予定派遣の場合は円滑な直接雇用を図るため、例外的に特定目的行為が認められております。
次に、2ページを御覧ください。特定目的行為の経験の有無について、派遣労働者に聞いた調査結果です。「特になかった」との回答が74%で最も多くなっておりますが、次に「事前に派遣先との面接を受けた」との回答が17%となっております。
次に、3ページを御覧ください。特定目的行為の禁止に対する考えについて、派遣元に対する調査の結果です。「わからない」が47.7%で最も多くなっており、「禁止すべき」「禁止すべきでない」との意見は、ほぼ同程度となっております。
次に、4ページを御覧ください。都道府県労働局における特定目的行為に係る指導状況をお示ししております。調査期間は平成30年度の1年間で100件の指導件数があり、その具体的な例を2つ挙げております。1つ目は、派遣先が派遣に先立ってプロフィールシートと称する、いわゆる履歴書のようなものの提供を派遣元に依頼していたケースです。この件については派遣先Aに対し、文書指導を行っております。2つ目のケースは、派遣労働者になろうとする求職者が派遣元の担当者とともに、派遣先の事業所訪問を行ったケースです。ここでは事前に派遣元の担当者から派遣先に対して履歴書が渡されており、事業所訪問の場で経歴等を聞かれ、結果的に後日、この方が不採用となったケースです。派遣先による特定目的行為に協力をした行為をしたということで、派遣元に対する文書指導を行うとともに、派遣先に対してもこうしたことを常態的に行っているということで、文書指導を行ったというケースです。
次に、5ページを御覧ください。過去の主な指摘です。平成27年の労働者派遣法の改正の際の附帯決議で指摘されております。特定目的行為は、労働者派遣法の趣旨に照らし不適当な行為であることに鑑み、その禁止の義務化について検討することとの指摘です。
最後に、6ページを御覧ください。御覧いただいたとおり、派遣労働者に対する調査や労働局における指導状況から、派遣先からの事前面接や履歴書送付等が行われている事例が一部に見られました。こうしたことを踏まえ、特定目的行為の禁止の在り方についてどのようにお考えいただくかというようにまとめております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは、この件について御質問、御意見がありましたらどうぞ自由に発言をお願いいたします。木住野委員、どうぞ。
 
○木住野委員 資料の2ページに、特定目的行為の経験の有無について調査結果が出ており、一定数そういう事実があったという実態があります。それはやってはいけないことですが、そういうことが周知されていないという1つの結果だろうと思います。労働者を含め、法の周知を図っていかなくてはいけないという気がいたします。ただ、これについては特に罰則規定がなくて、文書による指導という形でしか、取り締まる方法がありません。より実効性を高めるために、どういう手段があり得るかということについて、罰則についても場合によっては検討することを考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
 
○鎌田部会長 ほかの方は何かありませんか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 意見を申し述べさせていただきます。企業が求める業務スキル、能力や特性の把握、一方、派遣労働者が活用したいスキル、能力や希望する職場環境について、それぞれの視点で双方が確認し合うことは、ミスマッチの防止の観点から有益であり、安定就業に寄与するものと考えております。労働法上の年齢制限の禁止に準じ、年齢などを特定する行為は禁止事項として継続しつつも、派遣労働者と派遣先企業双方の業務内容等の確認のための事前の会社訪問や顔合わせは、ごく自然な行為であることから、面接の禁止については運用実態の検証やルール作りなどを含め、緩和の方向で検討すべきであると考えます。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。平田委員、どうぞ。
 
○平田委員 労働者派遣制度においては、派遣元が派遣労働者の能力を把握することが前提と理解しておりますが、一方で派遣元が派遣先の業務内容を熟知し、完全に把握することは現実には難しく、実際の職場のニーズと派遣労働者のスキルにミスマッチが生じることは決して少なくないと考えております。派遣労働者と派遣先の間でミスマッチが生じれば、短期での派遣契約の終了や不更新を誘発することから、労働者保護という観点からも、極力ミスマッチが生じないように特定目的行為の在り方など、ルールの見直しを検討していくべきではないかと考えております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。よろしいですか。今日の全体を通じて何か言いたいことがあれば、御意見を言っていただければと思います。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、本日の議題はここまでといたします。事務局から連絡事項はありますか。
 
○清水補佐 次回の部会は6月26日の金曜日、労働委員会会館講堂を予定しておりますので、追って正式に御連絡を差し上げます。
 
○鎌田部会長 それでは以上をもちまして、第301回労働力需給制度部会を終了いたします。議事録の署名は仁平委員、佐久間委員にお願いいたします。それでは、本日はどうもお疲れさまでした。