第299回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)5月27日(水)13:00~

場所

オンライン会議会場
東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館 205会議室(2階)

出席者

公益代表委員
  • 小野 晶紀子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 藤本 真理
  • 松浦 民恵
労働者代表委員
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
使用者代表委員
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 平田 充
  • 森川 誠

議題

  1. (1)労働者派遣制度について(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 それではただいまから「第299回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の松浦委員が遅れて出席されます。本部会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンライン会議とさせていただきます。議事に先立ちまして、配布しております資料のとおり、使用者代表委員として、新たに平田委員が就任しています。御挨拶をお願いいたします。
 
○平田委員 平田と申します。よろしくお願いいたします。事務局のほうの雑音がすごい感じで、鎌田先生の声は非常にクリアに聞こえる状況です。
 
○鎌田部会長 平田委員の御挨拶は終わったのですか。画像が映っていないのですが、あえてでしょうか。
 
○平田委員 トラブルでカメラがうまく動かないというような事情なので、隠れているわけではありませんので。どこかで復活するかもしれませんが、よろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 そうですか。私は、平田委員は以前に需給部会の委員であったのでお顔を存じ上げておるのですが、皆さんは初めての方もいると思うのです。では、復活したときにまたお願いしたいと思います。
事務局は聞こえていますか。
 
○事務局 聞こえています。
 
○鎌田部会長 では、議題(1)に進みます。 まず、本日は「労働者派遣制度について」を公開で行った後、許可の諮門に係る審査を行うこととしています。後者については資産の状況等、事業主に関する個別の事項を扱うことから、非公開とさせていただきます。その際、傍聴されている方々には退席をお願いいたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
それでは、議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは、資料の説明をさせていただきます。
資料1-1の1ページを御覧ください。労働者派遣事業の許可制につきまして、現行制度の概要をまとめておりますが、初回許可の有効期間は3年、一度更新を受けた場合は、有効期間は5年間隔というようにされております。
また、その下に許可制に関する主な法改正の経緯をまとめておりますが、特に、右の許可の有効期間に関しましては、法の制定当時は新規の許可及び更新の場合、いずれも3年間とされておりましたが、平成8年の法改正によりまして、更新の場合の有効期間が3年から5年に延長されております。また、平成27年の派遣法改正におきまして、それまで届出で派遣事業を行うことができた特定労働者派遣事業を廃止して、全ての労働者派遣事業について許可制に一本化されたといった経緯がございます。
次に2ページを御覧ください。平成27年の改正による特定労働者派遣事業の廃止の概要についてまとめております。改正の背景としては、上にあるとおり、改正当時、以下のような問題が指摘されていたということで、例えば常時雇用で雇用が安定しているはずではありますが、内訳は有期雇用の方が多かったということ、それから行政処分の件数が多かったこと、また、特定労働者派遣事業と偽り、一般労働者派遣事業を行う事業者が当時いたこと、こういったことを背景としまして、特定派遣事業が廃止されたというものです。
その結果として、派遣事業者の数がどうなったかですが、左下の一般労働者派遣事業の囲みの中にあるとおり、平成27年の改正当時、一般労働者派遣事業は1万8,279所、特定労働者派遣事業については67,370所ありましたが、平成27年の改正の直近の数字としては、労働者派遣事業の事業所数全体として、4万4,764所、そのうち特定労働者派遣事業から許可に移行した事業所数が2万677所となっています。
次に、3ページは現行制度の概要で、労働者派遣事業の欠格事由についてまとめています。また、4ページには、これも現行の労働者派遣事業の許可基準を記載しているものです。(1)から(4)にあるとおり、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと、また、雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること、個人情報を適正に管理するために必要な措置が講じられていること、事業を的確に遂行するに足りる能力を有すること、以上のような基準が定められております。
5ページを御覧ください。派遣元事業所数の推移です。長期的に見ますと、平成11年に派遣可能業務が原則的に自由化され、さらに平成15年に製造業務への派遣が解禁されたといった経緯の下、派遣事業所数は増加傾向にありましたが、先ほど御紹介いたしましたとおり、平成27年の法改正による特定労働者派遣事業の廃止により、おおむね半減しているといった事業所数の推移となっております。
次に、6ページを御覧ください。初回更新の状況です。左側の円グラフを御覧いただきますと、許可の有効期間を更新した事業所数の割合が86%、また、有効期間の更新を行わなかった事業所が8.3%、有効期間満了までに廃止届を受理した事業所数が5.7%となっております。
また、更新を行わなかった事業所と廃止届を受理した事業所について、廃止及び不更新の理由を右側にまとめております。主な理由としては、(4)の「労働者派遣事業の実績がなく、今後も行う見込みがないため」、(9)の「基準資産額を満たさなくなったため」が大きな理由となっております。
7ページを御覧ください。初回許可事業所と更新許可事業所における指導状況をまとめております。平成28年度~平成30年度に指導監督を実施した事業所のうち、初回許可事業所、これは新規に許可を受け、初回の許可更新を受ける前の事業所のことですが、それと更新許可事業所、これは既に許可更新を1度以上受けている事業所のことですが、それぞれ600所程度の無作為抽出をしまして、指導の実施状況をまとめたものになります。円グラフにあるとおり、それぞれの指導割合については、両者とも85%前後の文書指導率となっておりまして、おおむね同様の水準となっております。また、その下の違反条項別の違反率を見ますと、全体として、おおむね同様の傾向となっておりますが、一部の違反条項については更新を経ることで違反率の低下が見られるといった傾向になります。
次に8ページを御覧ください。過去の主な指摘ということで、平成27年の派遣法改正時にされた附帯決議を記載しております。労働者派遣事業の許可に当たっては、事業運営の実績等がない中で書面による審査にならざるを得ないこと等に鑑み、最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が許可基準を満たしていることを労働政策審議会に報告することについては、すでに毎月の需給部会における諮問の際にも報告をしております。また、本日のデータの6ページに、その全体像をまとめさせていただいたとおりです。また、初回の許可の有効期間の三年を短縮することについても検討すること、と指摘されております。
次に9ページを御覧ください。(旧)特定労働者派遣事業の廃止に関する論点として、届出制を廃止し、許可制に一本化したことにつきまして、先ほど事業所数が半減したとのデータをお示ししたところですが、そういったデータ等も踏まえて、施行状況の現状について、どのようにお考えいただくか。また、2つ目ですが、現在でも4万余りの派遣元事業所がある中で、許可制の在り方について、どのようにお考えいただくか。このような論点を挙げさせていただいております。
また、初回許可の現行期間については、先ほどの附帯決議の指摘もありましたが、初回の有効期間の現行の3年間という長さについて、どのようにお考えいただくか。このような論点を提示させていただいております。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 説明ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して、御質問、御意見がございましたら、発言を希望する旨を御入力いただきたいと思います。私のほうで発言希望者の名前をお呼びいたしますので、それから発言をお願いいたします。それでは、どうぞ。
仁平委員から発言希望がございました。仁平委員、お願いいたします。
 
○仁平委員 派遣事業の許可制について3点申し上げたいと思います。1点目は、許可制については維持すべきだということです。許可制に一本化することによって、許可基準を満たした事業所でなければ派遣事業を行うことができなくなったということについては、労働関係法令の遵守と労働者の保護の観点から、非常に重要なことだと考えております。適正な事業所のみが労働者派遣市場において事業を実施することは、派遣労働者の安心感の向上と労働者派遣市場の健全化につながるため、引き続き許可制を維持していただきたいと思っております。
2点目は更新の有効期間に関してです。初回の許可審査においては、書類の形式上の基準を満たしていれば許可は下りるということですが、更新に当たっては、書面審査だけでは分からない派遣会社の実績について、更新時において一層評価することで優良な派遣会社が労働者派遣市場において残っていく仕組みとすべきだというように考えております。
3点目についてです。これは厚労省の委託事業としてやっている、優良派遣事業者認定制度をもっと活用していただく必要があるのではないかということです。法令の遵守のみならず、適正な労働環境の確保等に努める派遣会社であるか否かということについて、派遣労働者にとっては重要な情報でありますし、派遣労働者を受け入れる派遣先企業にとっても、コンプライアンスの遵守のためには重要なものだと考えております。許可の更新時において、こうした制度の一層の周知と認定の取得を促すべきではないかと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 3点の御意見がございましたが、特に3点目については、事務局に周知と徹底を促すべきというような御趣旨かと思います。事務局のほうで何かコメントはございますか。
 
○松原課長 今、仁平委員からお話がございましたように、優良派遣事業者認定事業というものをやっておりますが、これについては、なかなか実際に派遣業者を使う側が、認定は余り承知していないという実態がございますので、こちらは御指摘のとおり、労働局等を通じてしっかり周知徹底に取り組んでまいりたいと考えております。
 
○鎌田部会長 仁平委員、追加で何かございますか。
 
○仁平委員 結構です。
 
○鎌田部会長 次に中西委員から発言の希望が出ております。中西委員、お願いいたします。
 
○中西委員 意見を申し述べさせていただきます。労働者派遣事業の許可制について、派遣事業所の運営については、当然ながら法制度にのっとった適切な派遣労働者の雇用管理を求めます。そのため、行政には引き続きその監督、指導の徹底をお願いしたいと思います。
次に、許可制への一本化についてです。届出制を廃止して許可制に一本化したことで、派遣事業の許可要件を満たさない事業者の違反行為を是正できたのであれば、一定の効果があったと考えます。また、現在4万4,000を超す事業所がある中で許可制の在り方を検討するのであれば、違反行為に対する監督、指導が適切に実施できる体制の整備と併せて検討する必要があると考えます。
それに加えまして、初回許可の有効期間についてです。新規許可の有効期間の3年の長さについては、派遣事業所の負担及び更新時の行政によるチェック、指導体制の状況、同一事業所への派遣可能期間等からも、妥当と考えます。新規許可時及び更新許可時の際には、違反のチェックや管理指導の体制を十分に整備していただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○鎌田部会長 中西委員、特に事務局に質問事項はございませんね。
 
○中西委員 はい。
 
○鎌田部会長 では、御意見として伺いました。次に、佐久間委員から発言希望が出ております。佐久間委員、よろしくお願いいたします。
 
○佐久間委員 私も仁平委員、中西委員と同様に、今回、この許可案件になったということは重みがあることだと思っています。本来、「許可」ですから、禁止していることに許しを与え、認めていくわけですから、非常に重みがある制度だと思っています。これは引き続き「許可」ということで進めていただきたいと考えています。
ただ、この許可の中で、更新は初回3年、次回以降5年になっていますが、労働者も非常に人材が限られている状況ですので、監督をしていくことは重要だと考えます。どういう事業をやっているか、後で出てくるマージンの関係でも、初回の申請のあった所が、どれだけの運営をやっているかというのは非常に興味のあるところです。派遣事業が適正に、ちゃんと法令を守っていただくように、適切な指導というのをお願いしたいと考えています。
 
○鎌田部会長 特に事務局に質問はございませんね。
 
○佐久間委員 はい。
 
○鎌田部会長 次に、平田委員から発言の希望があります。平田委員、お願いいたします。
 
○平田委員 届出制を廃止し、許可制へ一本化したことは概ね評価しています。そのうえで2点申し上げます。1点目は、特定派遣事業から一般派遣事業へ移行した後も、派遣事業の申請件数は増加傾向にあると理解していますが、許可基準の資産要件の見直しについては、もう少し推移を見守る必要があると考えています。
2点目です。初回許可の有効期間について、例えば1年に縮小した場合、短期間では事業の右記歯髄があると思われますので、現行の3年間を短縮する必要はないと考えています。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。それでは、次の資料1-2に移りたいと思います。事務局から続いて資料の御説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは、資料1-2について御説明いたします。資料1-2の1ページを御覧ください。計画的な教育訓練・相談機会の確保、いわゆるキャリアコンサルティングですが、これらについて、現行制度をまとめております。上の囲みにあるとおり、派遣元事業主は、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければならない。また、派遣元事業主は派遣労働者の求めに応じ、キャリアコンサルティングを実施しなければならないという義務が課されております。また、派遣先に対しても、派遣元の求めに応じ、派遣労働者に対して業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施義務が課されています。この下につきましては、特に派遣元の教育訓練及びキャリアコンサルティングに関して、その詳しい要件を記載しています。
まず、教育訓練については、派遣労働者全員を対象とするものであり、有給かつ無償で行われるものであること、キャリアアップに資する内容のものであること、入職時の教育訓練が含まれるものであることなどの要件を、局長通知で規定しております。
なお、その下に※で参考として記載していますが、訓練内容に係る能力を十分に有していることが明確な方については、受講済みとしても差し支えないという取扱いをしております。
また、相談機会の確保、キャリアコンサルティングにつきましては、キャリアコンサルティングの相談窓口を設置していることという義務を課しており、そこにキャリアコンサルティングの知見を有する担当者の配置を求めています。その上で、希望すれば派遣労働者の方がキャリアコンサルティングを受けられる体制を設けることを求めているものです。
次に、2ページを御覧ください。これは派遣元に対する調査により、実施している派遣労働者への研修の内容をまとめたものです。2018年度に、派遣労働者が1人以上いる事業所につきまして、それぞれの選択肢の研修を実施していると回答した事業所の割合を示しています。割合が高くなっているものとしては、派遣前研修、安全衛生研修、情報保護研修、コンプライアンス研修、ビジネスマナー研修、階層別研修といったものが、50%以上の回答となっています。
次に、3ページを御覧ください。これも派遣元に対する調査の中で、教育訓練等を利用しない方の割合をまとめております。これは回答事業所の中で、教育訓練を利用しない方は派遣労働者全体の何割いらっしゃるかということにお答えいただいたもので、この中で結果は0割、全員が教育訓練を受講しているという事業所の割合が48.2%あります。その一方で、5割以上と回答している事業所、これは半分以上の派遣労働者が教育訓練を利用していないところですが、こちらの回答は24.8%といった割合になっています。
次に、4ページを御覧ください。こちらは、教育訓練等の受講を希望しない方に対する受講を促す方法についてまとめています。最も多いのが、フォローの担当者が受講を促すで64%、受講を促すメールや案内を送るのが41.3%となっています。
次に5ページを御覧ください。教育訓練の効果について、派遣元としての認識をお聞きしたものです。回答が多いものとしては、派遣労働者の満足度を高めることができる、能力向上に対する派遣労働者の希望に応えられる、派遣労働者のキャリア意識を高めることができる、派遣労働者の質を一定以上のレベルに保つといった回答が出ております。
次に6ページを御覧ください。ここからは、訓練について派遣労働者御本人に調査をした調査結果になります。教育訓練の受講状況ですが、こちらで灰色の棒グラフになっているのが、雇用期間1か月超の派遣の経験がある方、紺色の棒グラフは日雇派遣の経験がある方からの回答をまとめたものになっています。どちらを見ましても、教育訓練や研修などは受けていないといった回答が、それぞれ45.2%と60.3%と最も高くなっており、一方で、受講している中で割合が多いものとしては、派遣前研修、安全衛生研修、情報保護研修、コンプライアンス研修といったものが、比較的多くなっております。
7ページを御覧ください。教育訓練の効果について、これも派遣労働者の方にお聞きした結果ですが、「特に効果はなかった」とのお答えが58.4%、「新しい派遣先でスムーズに業務を開始することができた」が15.6%、「よりレベルの高い仕事に従事できるようになった」が9.7%となっております。
8ページを御覧ください。教育訓練を受けなかった理由を派遣労働者の方にお聞きしたものです。こちらについては、2019年以降、雇用期間1か月超の派遣労働の経験がある方の中で、教育訓練を受けていない方に対して御回答を頂いたものです。「特に理由はない」が44.3%、「派遣会社・派遣先で教育訓練が行われなかったため」が42.7%と高くなっております。
9ページを御覧ください。ここからは相談機会の確保、キャリアコンサルティングについての調査結果になります。派遣元に対する調査の結果として、相談・面談の方法をお答えいただいたものですが、「日々のフォローの中で」が68.4%、「希望者のみキャリアコンサルタントがキャリア相談に応じている」が35.5%となっています。
10ページを御覧ください。こちらは、キャリアコンサルティングについて、派遣労働者の方にお聞きしたものです。まず、左側で、経験の有無をお聞きしたものですけれども、「受けたことがある」が7.8%、この受けられた方に対して効果をお聞きしたものが右側ですが、「長期的なキャリアについて考えるきっかけとなった」、「これからの仕事やキャリアについて見通しを立てることができた」というような回答がおおむね35%ということで、多くなってございます。
11ページを御覧ください。キャリアコンサルティングを受けなかった理由について、派遣労働者の方にお聞きしたものです。「特に理由はない」との回答が52.1%、「キャリアコンサルティングを受けられることを知らなかったから」が24.8%、「キャリア形成に興味がないから」が11.3%となっております。
12ページを御覧ください。論点をまとめております。まず、教育訓練につきましては、派遣元事業主における教育訓練の実施体制は整備されていると見られる一方で、派遣労働者の実際の受講状況は低い水準にとどまっているといった状況を踏まえ、派遣労働者に対する教育訓練の在り方について、どのようにお考えいただくか。それから、相談機会の確保(キャリアコンサルティング)については、キャリアコンサルティングを受けた派遣労働者は少ないが、受けた場合は効果を感じられたとの意見が多いという状況を踏まえて、派遣労働者に対するキャリアコンサルティングの在り方について、どのようにお考えいただくか。このような論点を提示させていただいております。事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは、ただいまの説明に対して、御質問、御意見がありましたら、先ほどのようにメッセージ欄に氏名と発言希望を御入力いただきたいと思います。永井委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○永井委員 教育訓練と相談機会の確保について、1点ずつ意見を申し上げます。まず、教育訓練ですが、御説明いただいた資料の6、7ページ、受講状況調査の派遣労働者に対する回答の中で教育訓練を受けていないと回答された方が雇用期間1か月超で約5割、日雇で6割に上っています。また、訓練を受けた方でも、特に効果がなかったと回答した方が約6割未満あった。このような調査結果を踏まえ、教育訓練を実施する意義を労働者に伝えるとともに、中長期的なキャリアアップにつながるような教育訓練の機会を与えることが重要ではないかと考えております。
そのためにはどのような教育訓練を受ければキャリアアップにつながるのか、教育訓練に責任を負うキャリアアップマネージャーを選任するとともに、受けた教育訓練の成果を確認、評価できるような職務評価制度を整備することなど、派遣労働者が自らのキャリアの向上と効果を実感できるような教育訓練の仕組みとすべきではないかと考えております。また、相談機会の確保では営業担当者が日々のフォローの中で相談に乗っていると回答した人が6割又は7割(68.4%)と最も多くなっていました。
派遣労働者の長期的なキャリアアップと能力の向上のためには、日々のフォローの他に専門的なキャリアコンサルタントの活用など、相談機会を確保することが重要ではないかと考えております。キャリアコンサルティングの機会を派遣労働者にとって意義あるものにするためにも、キャリアコンサルティングの際には、教育訓練の在り方や内容も含めた相談をすべきだと考えております。こういうことを派遣先や派遣元も含めて考えていかなければならないだろうと思っているところです。意見を2点申し述べました。以上です。
 
○鎌田部会長 永井委員、御発言ありがとうございました。それでは、小野委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○小野委員 永井委員の御発言とかなりかぶるところがあります。7ページに、せっかく教育訓練を受けても特に効果はなかったという方が58.4%となっております。ほかにどういう効果があるかということについて、この中で一番高いのは15.6%の新しい派遣先でスムーズに業務を開始することができたという、極めて、教育訓練やキャリア形成には
縁遠い回答です。やはり、教育訓練の質的な向上は、今後、目指さなければいけないのではないかと思っております。
平成27年改正では、新たな取組みとして、キャリア形成をやってみようということで義務付けで始まりました。ベースができて、これから質を向上していかなければいけないと考えますので、何らかのノウハウの伝授や、横のつながりでやり方を業界団体の中で共有するということをやっていく時期に入ってきたと考えております。意見です。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、中西委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○中西委員 意見を述べさせていただきます。派遣労働者へ教育訓練を実施することについては、派遣労働者及び派遣先企業の両者に有益であるため実施すべきと考えます。一方、データを見ると能力開発を目的とした教育訓練の実施割合は低く、制度の趣旨に基づく段階的かつ体系的な教育訓練は余り実施されていないのではないかと思われます。ついては、派遣労働者のキャリア志向や派遣先企業の利益や意見を踏まえて、具体的なスキルアップにつながるような教育訓練が実施される体制及び、環境が整備されるように検討していくべきではないかと考えます。
資料1-2の2ページと6ページに記載されている教育訓練の受講内容を見ると、派遣前研修、安全衛生に関する研修、情報保護に関する研修、コンプライアンス研修が、実施されている教育訓練の上位になっております。派遣労働者の能力向上に資する教育訓練は下位になっていることが分かります。
教育訓練の不足している事業所については、指導を実施するとともに好事例になるような教育訓練やその他の仕組み、制度は積極的に横展開を図っていただきたいと思います。また、相談機会の確保については、派遣労働者の求めに応じて相談できる体制があることが望ましいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、平田委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○平田委員 論点について、2つ申し上げたいと思います。1点目は、働き方が多様化する中で、当然、派遣労働者の中にもキャリアアップを目指す人もいる一方で、家庭の事情やその他プライベートな事情を抱えた人もいるということです。今回のアンケート調査を興味深く拝見いたしましたが、例えば、キャリアアップを目指していたり正社員を目指している人たちに絞って、教育訓練・キャリアコンサルティングの実施状況や効果について、もう少し詳しく実態を捉えてもいいのではないかと思っています。
2点目です。法の定めや「派遣労働者の求めに応じて実施」となっておりますが、派遣元には担当者がいて派遣労働者を定期的にフォローしてます。こうした機会を通じて、根気強く粘り強く、研修、教育、キャリアコンサルティングを働き掛けていかなければならないのではないかと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、奈良委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○奈良委員 安全衛生教育について、1つ意見を申し上げたいと思います。このアンケートの派遣元調査では、安全衛生に関する研修はほとんどの事業所が実施しているという回答で、ある意味当然だと思います。一方、労働者については2割受講したという、受けたという労働者は2割にも届かない。特に日雇では13.9%です。この両者の意識の乖離は何なのだろうと。取り分け、安全衛生教育は現場で、どのような仕事であれ少なからず危険を伴う部分はあるはずですから、それぞれの労働者の命や健康に関わる重要な教育です。これは、労働者に自ら進んで受けてもらえるような講習のメッセージ、受講へのインセンティブ、あるいは、職掌的な評価制度、処遇改善につながるような仕組みにしていく必要があるのではないかと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。松浦委員から御発言をお願いいたします。
 
○松浦委員 オンラインになり次の予定に間に合うことになりましたので、参加させていただいております。よろしくお願いいたします。今までの御発言を聞いて、特に質問というわけでなく感想めいた意見になってしまい恐縮です。教育訓練について、どういう教育訓練が効果的なのかということは、この調査結果を見るだけではなかなかはっきりと申し上げられないですし、そもそもこの問いは難解なものだと思います。
例えば、転職前の直前の研修が次のキャリアに効果的かどうかも解釈が分かれるところで、まずは目の前の仕事がしっかりできるように教育することが、その人のキャリアにとって効果的な場合もあるかもしれません。
この研修はキャリア形成に効果的だが、この研修は効果的ではないということは、なかなか明確には言いにくいのではないかと思います。キャリア形成に効果的な研修にしていくべきという総論には私も全く賛成です。ただ、それでは具体的にどういう研修、キャリア開発になっていくべきなのかということについては、もう少し議論を深めていく必要があるのではないかという感想を持ちましたので、一言申し添えたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 今、松浦委員から、総論として効果がある訓練を促していらっしゃることに、皆様御異論はないところだと思います。具体的な研修方法について、何かアイディアがあれば御意見を頂ければと思います。今すぐには無理であれば後日でも結構ですが、いかがでしょうか。
 
○松浦委員 多分、この場で御意見を頂くのは難しい気がいたしますので、今後、議論を深めていきたいという、問題提起として捉えていただければと思います。
 
○鎌田部会長 すみません。私が先走ったようです。今後の検討すべき課題ということで、受け止めさせていただきたいと思います。ほかに何か御意見ございますか。特に発言希望がないようですので、次の資料に移ります。事務局から、次の資料の説明をお願いします。
 
○米岡補佐 資料1-3「マージン率等の情報提供について」です。1ページを御覧ください。マージン率等の情報提供について現行制度をまとめております。上の囲みにあるとおり、「派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとのマージン率などのあらかじめ関係者に対して知らせることが適当である事項について情報の提供を行わなければならない」という義務が課されております。
具体的に情報提供をすべき事項としては、左の真ん中辺りに(1)~(7)として記載しているとおり、派遣労働者の数、派遣先の数、派遣料金の平均額、派遣労働者の賃金の平均額、マージン率などの情報の提供が義務付けられております。
また、情報提供の方法についてですが、一番下にあるとおり、基本的には事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法、例えば、パンフレットの作成等により行うこととされております。特に、マージン率については、常時インターネットの利用により広く関係者に必要な情報を提供することを原則とするという旨が、派遣元指針で明記されております。
2ページです。こちらでは一般労働者派遣事業者のマージン率の推移をお示ししています。長期的に見ても、おおむね3割程度の水準で推移しており、近年、若干の上昇傾向があります。
3ページです。(旧)特定労働者派遣事業者のマージン率の推移をお示ししております。御承知のとおり、(旧)特定労働者派遣事業は平成27年度の改正で廃止されましたので、こちらのデータについても平成29年までのデータとなっております。おおむねの傾向としては、一般労働者派遣事業よりも少し高く35%前後で推移しております。また、特定労働者派遣事業に関しては、平成27年度の法改正で廃止されておりますので、データは平成29年度までとなっております。なお、その前のページで御覧いただいた一般労働者派遣事業のマージン率が、近年、上昇していることの1つの理由ですが、(旧)特定労働者派遣事業の廃止に伴い、(旧)特定労働者派遣事業者が一般労働者派遣事業に移行していることも1つの理由になっているものと考えております。
4ページです。マージン率の内訳を示しております。こちらの調査は、前のページの労働者派遣事業報告ではなく、別途、実施した派遣法の施行状況調査に基づくものを示しております。マージン率の平均値は、おおむね3割となっております。その内訳については、最も多いものは社会保険料・労働保険料で11.4%、教育訓練費は2.4%、福利厚生費は3.4%、営業利益は5.9%となっております。
5ページです。マージン率等の情報提供の方法についてです。インターネットでの情報提供の割合が、平成27年度以降、8%、19%、23%と徐々に上昇しておりましたが、29年度から30年度については2割強で同水準で推移しているという結果になっております。また、書類の備付けについては、直近で58%と最も多くなっております。なお、全ての回答割合を足しても100%になっておりませんが、こちらは事業報告の提出事業所の中で無回答があったことから、合計が100%になっていないということも一因になっていることを御留意いただければと思います。
6ページです。派遣先の企業が派遣社員を選択する上で重視していることです。多いものとしては、派遣料金の水準が51.0%、派遣元が得意とする業務が40.9%と特に多くなっております。7ページです。派遣労働者に対して、同じく派遣会社を選択する上で重視していることをお聞きしたものです。提示される仕事の内容47%前後、賃金水準が雇用期間の1か月超で47.6%、日雇で36.7%、提示される派遣先が34%前後と特に多くなっております。
8ページです。過去の主な指摘をまとめております。下の段の平成27年度の派遣法改正時の附帯決議を御覧ください。マージン率については、派遣労働者保護の観点から、社会通念上適切な範囲であることに鑑み、その規制の在り方について検討すること。また、マージン率の関係者への情報提供について、常時インターネットにより広く関係者、とりわけ派遣労働者に必要な情報が提供されるということを原則とする旨を、派遣元指針に規定することという指摘を頂いております。なお、冒頭に説明したとおり、後段のインターネットによる情報提供については、既に派遣元指針に規定しているところです。
9ページです。論点です。マージン率の水準としては、先ほど御覧いただいたとおり、マージン率の水準はおおむね3割強となっております。その主な内訳は、社会保険料、労働保険料が最も多く、営業利益、福利厚生、教育訓練費と続いております。こういう状況を踏まえ、マージン率の規制の在り方についてどのようにお考えいただくかということをお示しています。また、マージン率等の情報提供について、マージン率等のインターネットでの情報提供の実施率は約2割となっているということ、一方、派遣労働者や派遣先が派遣会社を選択する上では、マージン率よりも、賃金や派遣料金の水準、業務の内容などが重視されているという状況を踏まえ、マージン率をはじめとした派遣元に関する情報の提供の在り方についてどのようにお考えいただくかという論点を提示しております。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたら、発言希望を御入力いただきたいと思います。それでは、木住野委員から御発言をお願いいたします。
 
○木住野委員 マージン率についてどう考えるかということについて、従来から主張してきたことですが、高ければ悪い、安ければ良いと単純には言えないと考えております。
おおむね30%が一般的な水準として考えられるということについては、大きな意味があると思っております。ただ、内訳を見ていく必要があると思っております。そういう意味でいくと、全体の平均値について情報公開するだけでいいのかどうか。これは情報公開の在り方という点で、課題があるという気がしております。内訳の情報を充実しないと、マージン率に対する注目度も上がっていかないのではないでしょうか。世間の注目度が上がっていないという状況は、派遣法施行状況調査の数字等に反映されているという気がしております。
次に、マージン率に係る情報提供については、インターネットに公開していくことが望ましいとなっているわけですが、その部分の体制が非常に不十分であると考えており、ここは今後取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 それでは、中西委員から発言希望が出ております。よろしくお願いいたします。
 
○中西委員 意見を2点述べます。マージン率の推進についてです。多様な業種、業態において派遣事業者及び派遣労働者の合意に基づく事項であるため、現実的な制限や規制は不要であると考えております。
次に、マージン率の情報提供についてです。マージン率は積極的に開示すべき内容と考えます。派遣労働者や派遣先企業が派遣会社を選定する際には、賃金、業務内容を重視する割合が高いとの調査データがあり、マージン率が不透明であればその実態を把握することができません。派遣先が支払う派遣単価及び派遣労働者の賃金の透明性を確保することで、業務と賃金の妥当性を担保すべきと考えます。
また、4月から施行された派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法により、派遣先企業と派遣事業者で派遣単価の見直し交渉がされております。双方の納得感ある合意につなげるべく、マージン率の更なる積極開示を求めたいと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。次は平田委員から発言希望がありますので、お願いいたします。
 
○平田委員 1つ、意見を申し上げたいと思います。派遣法施行状況調査によれば、派遣労働者・派遣先ともに、派遣会社を選択する際に、マージン率を重視している傾向が強いとは言えないように思われます。そういう状況を踏まえて今後どのような支援の在り方を検討していくか、2つ目の論点ともつながりますが、インターネットでの情報提供が約2割にとどまっている状況をまずは改善し、データ情報をもう少し蓄積してから見直しを検討すべきと思っております。
2つ質問ですが、2割にとどまっている理由について、もし何か事務局で把握されているのであれば教えていただきたいということと、インターネットの割合を上げる改善策で、直ちにできるものがあるのかどうかということを教えていただければと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。今、事務局のほうへの質問もありましたので、2割にとどまっている原因と、改善策として何かあるのかという御質問だったと思いますが、事務局のほうでコメントの用意はありますでしょうか。いかがですか。
 
○松原課長 事務局でございます。マージン率のインターネットの利用が2割にとどまっている理由ということで御質問を頂きました。明解な御回答か分かりませんけれども、やはり1つは私どもの周知不足ということは十分考えられます。
一方で、インターネット、特にこのマージン率については、国会の附帯決議とか、部会で御審議いただいた指針に明記されているわけですが、派遣事業者の場合はかなり中小企業が多い状況です。ですので、なかなか個社でインターネットサイトを持っているという会社はそれほど多くないという原因も一方であると思います。その中で私どもとして、人材サービス総合サイトというサイトを国のほうで、私ども厚生労働省のほうで用意させていただきまして、全派遣事業者に個別にパスワード等々を配布しまして、インターネットでの情報開示をできる形にさせていただいております。ただ、こちらのほうも、なかなか利用が進んでいないということも一方で現実としてあります。
このような状況の中で私どもとしては、今申し上げました総合サイトの周知とか、法律上の指針上の措置について派遣事業者に対して求めていくことを行っていきたいと考えております。取り急ぎの回答とさせていただきます。以上です。
 
○鎌田部会長 平田委員、何か更に追加で御質問等はありますか。よろしいですか。
 
○平田委員 大丈夫でございます。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかに、小野委員が発言希望があります。どうぞお願いいたします。
 
○小野委員 マージン率の規制については、業種であったりとか、無期・有期の雇用形態の比率などによって、かなりマージン率が異なってくる可能性があります。一応、今、平均として30%という形になっているのですが、恐らく平均のピークが30%であって、下のほうにいる、上のほうにいるという、恐らく常用であったりとか、雇用形態である程度分かれてくるのではないかと思っておりまして、一律に何パーセントという形で規制するということは、少し難しいのではないかと思っております。
インターネットでの公開ですけれども、個々の会社のホームページで公開していただくというのはとてもいいことだと思っておりますが、今、厚労省、事務局のほうから御発言があったように、人材サービス総合サイトを最大限利用していただくというのが、私はとてもいいことだと思っております。紹介のほうは、こちらのほうに情報を載せることが義務化されているようですし、派遣のほうは、情報が少ないので、そこの情報を充実させることによって労働者の方も、ここに行けば派遣料金とか、賃金率の平均というのが分かるという、その認識を持てればアクセスも増えていくのではないかなと思っております。
ただ、インターネット上で、マージン率を直接的に「何パーセント」と載せるのは私は反対です。むしろ、先ほどの資料1ページにあった派遣料金と賃金という形を個別に載せることで、大体この会社ではこのぐらいの派遣料金を取って、このぐらいの賃金を労働者に渡しているというように分かるようにするというのが重要だと思うので、そのように掲載していただければと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。いかがでしょうか。特に御質問、御意見の希望はないようですので、公開部分は以上としたいと思います。よろしいでしょうか。これ以外に何か御質問、御意見があればいただきたいと思いますが、特にないですか。大丈夫ですか。
それでは、公開部分は以上となります。議事録の署名は奈良委員、中西委員にお願いいたします。傍聴者及び随行の方におかれましては冒頭に申し上げたとおり、退席をお願いしたいと思います。
 
(傍聴者退席)