令和2年9月30日 第186回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年9月30日(水) 15:00~18:00

場所

WEB会議
東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス Room A+B
 

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて
  2. (1)介護人材の確保・介護現場の革新
    (2)制度の安定性・持続可能性の確保
  3. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第186回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
本日の委員の出席状況ですが、椎木委員より御欠席の連絡をいただいております。また、井上隆委員に代わり、間利子晃一参考人に、岡島さおり委員に代わり、齋藤訓子参考人に、黒岩祐治委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
以上により、本日は22名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
また、本日は、議題の関係で、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の川端裕之が出席しております。
議事に入る前に、お手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認を行います。
本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
まず、議事次第と委員名簿がございます。次に、令和3年度介護報酬改定に向けた資料として、資料1「介護人材の確保・介護現場の革新」、資料2「制度の安定性・持続可能性の確保」を掲載しております。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
御発言される場合は、通常の会議と同様に、挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○栗原企画官 それでは、以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆様、こんにちは。
本日は、令和3年度介護報酬改定に向けて「介護人材の確保・介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」の2点について議論いたします。
事務局からまとめて説明を受けた後、質疑を行うこととします。
いつものことですが、事務局においては資料説明を簡潔に行うとともに、各委員におかれても御発言は論点に沿って簡潔に行ってくださるよう、協力をお願いいたします。
早速ですが、事務局から説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
それでは、資料1、資料2を用いまして、事務局からの御説明をさせていただきます。
まず、資料1でございます。「介護人材の確保・介護現場の革新」というテーマの資料になります。
1ページ目でございますけれども、ここからは、これまでの分科会における主な御意見を抜粋しております。
考え方といたしましては、1つ目の○にありますとおり、今後の後期高齢者の急増と生産年齢人口の急減に対応した見直しを行う必要があるのではないか。介護人材の確保のため、介護現場の革新、感染症に配慮した改革、安全で働きやすい職場づくりが重要といった御意見がございます。
次に、事業所間の連携につきましては、1つ目の○でございますけれども、介護人材の確保に関連して、柔軟に人材を活用できるようにする一方で、サービスの質と仕事の質を維持するための方策についても検討が必要ではないかという意見がございます。
2ページでございます。専門職の連携という観点からは、人材確保が困難となる中で、専門職人材の活用についても検討が必要であり、専門性の高い人材は事業所や施設を超えて、相互連携し合うような報酬体系が必要ではないか。
処遇の改善につきましては、介護離職ゼロ社会の実現のためにも、介護職員へのさらなる処遇改善が、人材確保のためには必要である。
研修等の充実につきましては、様々な団体が行う認知症の研修について、有資格者の必須研修としてはどうかという御意見がございました。
3ページに移りまして、配置要件等で見ますと、同一拠点内において複数事業所を展開している場合、職員の専従要件については職務の負担に留意しつつ見直しを検討すべきといった意見もございました。
仕事と介護の両立、ロボット、センサー、ICTの活用では、介護ロボット等の技術については、介護現場の生産性向上に向けて非常に重要であり、具体的な活用方法について導入事例も踏まえながら検討してはどうか。以下、多くの意見をいただいております。
4ページに進ませていただきます。文書量の削減でございます。○は1つでございますが、事務負担の軽減の点からも、総合事業も含め国が標準的な様式等を作成することで、文書の簡素化・標準化・ICT化を推し進めていくということも必要ではないかといった御意見をいただいたところでございます。
5ページ目は、前回改定の審議報告でございます。その中で、要点だけお話しさせていただきますが、IIの4ポツの(3)報酬体系の簡素化の中では、介護職員処遇改善加算の見直しということでございまして、現在あります介護職員処遇改善加算(IV)及び(Ⅴ)については、廃止することとするということであります。このようなことが取りまとめられております。また、IVでは、今後の課題が取りまとめられております。
6ページは、2019年度介護報酬改定に関する審議報告でございまして、特定処遇改善加算を入れることについての審議報告の抜粋でございます。
1つ目の○にありますように、今般の処遇改善について、介護人材の確保等の目的が達成されたか効果検証を行うということ。そして、離職防止に向けた総合的な取組を行うことが適当であるという取りまとめをいただいております。
次に、7ページ目は昨年末に取りまとめいただきました介護保険制度見直しに関する意見から、介護人材関連のところの抜粋でございまして、同じようなことが取りまとめられております。
8ページ目も、見直しに関する意見の中の文書量削減の抜粋の部分でございます。
9ページ目、10ページ目は、今年の通常国会で成立いたしました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律に対する附帯決議ということで、衆議院の附帯決議、参議院の附帯決議をつけております。例えば衆議院で申し上げますと、四と五の部分が本日御議論いただくテーマに合致、10ページの参議院の附帯決議で御覧いただきますと、四が福祉人材の処遇改善の状況を適切に把握するなどということが記載されているところでございます。
11ページ目は介護職員数の推移でございますけれども、直近のもので平成30年度の値をお示ししております。平成30年度は調査の方法が変わりまして、推計方法が変わったので、従来の方法と新しく推計をした方法の2つを掲載しているところでございます。
12ページは有効求人倍率でありまして、依然として介護関係職種の有効求人倍率は高いということ、そして13ページは、事業所におきまして、訪問介護員あるいは介護職員の不足感、大いに不足している、不足という答えをしていただくところが増えてきている。不足している理由は、採用困難であるというアンケート結果があるところでございます。
14ページ、15ページは仕事を辞めた理由でございまして、14ページが介護関係職種全体を取ったもの、15ページが介護福祉士を対象にしたものでございます。
14ページで申し上げますと、1番の理由は職場の人間関係に問題があったため。収入が少なかったためということは6番目の理由になっています。
15ページ目、介護福祉士で見ますと、業務に関連する心身の不調が一番の理由になってございます。職場の人間関係は3番目、収入が少なかったは4番目となっております。
16ページ目は、勤続10年以上の者に対して行ったアンケート調査でございますけれども、勤務継続に当たり重要と思うものを複数回答していただいて、最も割合が高かったのが、仕事へのやりがいがあることでございました。次が、能力や業務内容を反映した給与体系といった順番になっております。
また、17ページ目は勤務の継続に当たり有効と考える取組でございまして、質の向上、職場環境のところに赤の四角で囲ってございます。こういった理由が有効と考える取組ということでございます。
18ページ目は、介護職員の平均勤続年数を年代別に見たものでございます。一直線に伸びておりますのが、全産業、産業計でございます。つまり、年齢階級が上がるごとに勤続年数も上がっていくというのが産業計でありますけれども、太い赤の折れ線グラフが介護職員でございまして、年齢が上がっても勤続年数自体はそんなに上がっていかないということでございます。
19ページは、賃金構造基本統計調査を基に作成いたしました全産業平均、そして介護職員の基本給与の差を見たものでございます。
次に「1.人員配置基準等の取扱い」について御説明させていただきます。
21ページ目は、介護報酬における人員配置基準の考え方ということで、専従か、常勤の時間の勤務時間に達しているか、していないかということで、常勤専従などの組合せがございます。下にありますように、こういった職種につきましては、常勤あるいは常勤換算で計算してよいなどのルールがあるところでございます。
22ページは、介護報酬において、常勤の考え方につきまして整理をしたものでございます。診療報酬の取扱いと一部異なっているということがあるものをお示ししているところでございまして、23ページ目が平成28年度の診療報酬改定の資料でございますけれども、例えばその下にありますとおり、育児休業後等の従事者が短時間勤務制度を利用し正職員として勤務する場合、育児・介護休業法で定める期間は、週30時間以上の勤務で常勤扱いとするといった扱いがされているところでございます。
24ページは、老人福祉施設、老健施設の主な人員配置基準を比較したものでありまして、今でもサテライトのところでは、両者で基準の差が見られるというところでございます。
25ページは通所介護・地域密着型通所介護、総合事業との一体的な実施の文脈におきまして、従前相当、多様なサービスとの一体実施、保険外活動との一体実施。右側に行くほど市町村独自の多様性がある仕組みでありますけれども、現行の基準では、一番右の保険外活動との一体実施の計算をいたしますと、必要配置数は6人となるところでございます。これについてどう考えるかということでございました。
26ページ目は、人員配置基準に関して、いわゆるローカルルールがあるとお示しするものでございます。
こういった現状を踏まえまして、28ページに論点をお示ししております。今後も高齢化の進展による介護サービス需要の増大、現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる中で、質の担保に留意しつつ、育児や介護と仕事の両立を進める観点や、柔軟な人材配置を可能とする観点等からどのような方策が考えられるか。あわせて、いわゆるローカルルールの対応について、実態の把握を含めどのような方策が考えられるか。このような論点としております。
2つ目「介護職員の処遇改善」でございます。
30ページ目は従来からあります処遇改善加算の仕組みでございまして、加算(I)から(V)まであるというものでございまして、(IV)と(Ⅴ)については前回改定で廃止の方向が決まっているものでございます。それぞれキャリアパス要件というものがございまして、加算(I)の最も高い加算ですと、下にございますキャリアパス要件マル1、マル2、マル3全てを実施していただく必要があるということでございます。
31ページ目は、平成30年度に行いました介護従事者への処遇状況等調査の結果でございまして、1万円程度増となっていたということでございます。
そして、介護職員処遇改善加算の請求状況でございますが、32ページを御覧いただきますと、(I)から(V)まで合わせますと全体で92.3%の事業所がそれを請求していただいている。33ページ目は、これをサービス種類ごとに見たものでございます。合計が合わないのは、アスタリスクをつけておりますが、介護予防サービスを除いて集計しているからということですけれども、先ほどの32ページですと92.3%、33ページですと92.6%という値になっております。
34ページ目、35ページ目、36ページ目は、この介護職員の処遇改善加算の算定に当たって、法人が行った取組をアンケートしたものでございます。
37ページ目には、処遇改善加算の効果として考えられるものを複数回答ということでございまして、最も多い回答の内容は、職員の処遇に関する満足度が向上した。次にあるものが介護職員の平均在職年数が長くなった、または定着率が上がったということになっております。
38ページは、介護職員の処遇改善加算等の職場環境要件等でございます。上の四角にありますように、加算(I)及び(II)は平成27年4月以降、加算(III)及び(IV)は平成20年10月以降に実施した事項について、当該年度の取組として認めることとしているということでございます。この扱いについても御議論いただければと思っております。
39ページは新しい経済政策パッケージに基づく介護職員のさらなる処遇改善ということで、昨年10月から実施しております特定処遇改善加算の仕組みとなります。
40ページに算定要件がございますけれども、要件は3つございます。先ほどの一般の介護職員処遇改善加算(I)から(III)のいずれかを算定していること。また、職場環境等要件について複数の取組を行っていること。要件3として、ホームページの掲載等を通じて見える化を行っていることが要件となっております。
特定処遇改善加算の請求状況でございますが、41ページにございますように、だんだん伸びてきております。令和元年度3月時点で59.4%ということでございまして、42ページは、これをサービス別にどの程度の加算の算定率かということをお示しする表となっております。
この特定処遇改善加算も含めて、43ページ、44ページは令和2年度の介護従事者処遇状況等調査を行うということをお示しするものでございまして、今ちょうど集計中でございます。
45ページは、介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算の申請様式に関しましては一本化を実施したということをお示しするものでございます。
46ページ目でございますが、この介護職員の処遇改善加算はなるべく上位の加算を取っていただくということで、それを支援するような事業もやっておるというものをお示しするものでございます。
論点に進ませていただきます。49ページ目でございます。
1つ目でございますが、介護関係職種の有効求人倍率は高く、介護職員の人手不足感は高い状態で推移している。介護職種への採用や定着を促していくことが必要である中、介護職員の着実な処遇改善に向けて、どのような方策が考えられるか。特に、新規人材の確保、適切な業務分担の推進、やりがいの醸成を含めた離職防止の観点、職場環境等要件に基づく取組についてより実効性のあるものとしていく観点からどのような方策が考えられるか。
処遇改善加算(IV)及び(Ⅴ)について、上位区分取得が進む中で、平成30年度介護報酬改定に関する審議報告も踏まえ、どのような対応が考えられるかという論点にさせていただいております。
次に「3.サービス提供体制強化加算等」ということで、御説明させていただきます。
51ページには、サービス提供体制強化加算が設定されました考え方、見直しの経緯をまとめております。いわゆる質の評価を進めていくというときに、これはストラクチャー指標となると思いますけれども、有資格者を多く配置しているというところは、それが代替の指標になるのではないかということで、介護福祉士さんの配置割合を目安にした加算をこれまで充実させてきたということでございまして、52ページがその一覧でございます。黒字であったり赤字であったりするところがございますが、割合がやや違っていたりするところもあるところでございます。
53ページはサービス提供体制強化加算の算定状況ということで、全体で6割強の事業所において算定されているということでございます。
54ページは、平成25年と令和元年のサービス提供体制強化加算の算定率の変化を見たものでございまして、上昇傾向にあるということでございます。最も算定率が高いのは介護老人保健施設でございました。
その考え方をお示ししたのが55ページでございます。介護職員の配置があるもの、24時間のサービス提供が前提のものに応じて、それぞれ要件を考えているということをお示しするものでございます。
56ページは、介護職員の介護福祉士と常勤職員の割合の変化でございます。左が介護職員のうち介護福祉士の割合、右側は常勤職員の割合でございますが、青が平成18年、赤というかえんじ色が平成30年でございまして、介護福祉士さんの割合は、そこに記載しているどのサービスにおいても増えているということでございます。
57ページは勤続年数を見たものでございます。左側が平成19年度、右側が平成30年度でございますけれども、青のところが3年未満ということでございます。右側に行くほうが長い方が多いということなのですが、青の面積は、一見していただくと平成30年度ではそれが少なくなっているというか小さくなっているということが見えるので、全体としては勤続年数自体も伸びてきているということでございます。
58ページは、サービス提供体制強化加算と処遇改善加算の算定要件に関して、実は若干かぶっているところがあるということを比較表でお示しするものでございます。
少し進ませていただきまして、60ページ、61ページでございます。質の評価という観点では、現在、科学的介護という取組が進んでおるということをお示しするものでございます。
63ページに進みまして、論点として、質の高い介護サービスの提供を進める観点から、介護職員等の質の向上やキャリアアップ、人材の定着等を一層促進するために、サービス提供体制強化加算について、その最も上位の区分の算定が介護職員等特定処遇改善加算の要件であることも踏まえつつ、介護福祉士割合や勤続年数が上昇していること、ロボットやICTの活用による生産性向上の取組の進展、介護サービスの質の評価に関する取組の進展、報酬体系の簡素化等の観点から、どのような方策が考えられるかという論点にしてあります。
4つ目は「ハラスメント対策」でございます。
65ページ目は、平成30年度に行いました介護現場におけるハラスメントに関する調査研究の概要でございます。調査研究を行い、介護事業者向けの対策マニュアルをつくったということで、それをお示しするものでございます。
66ページはその次の年度、令和元年度でございますけれども、検証を実施するための支援材料、手引などを作成したというもの。
67ページ目は今年度でございますけれども、ハラスメント対策推進事業を現在実施しているところでございます。
68ページ目は、ハラスメント対策に関する事業主の責務でございます。下の表は、上半分が職場関係者からのハラスメント、下半分が職場関係者以外のサービス利用者等からのハラスメントということで、今日の御議論の文脈で申し上げると、介護現場におけるハラスメント対策の主な対象ということでございます。ここで事業主の責務が定められてきているということで、それをお示しするものでございます。
69ページ目の論点でございますけれども、介護事業所における適切な就業環境維持(ハラスメント対策)について、介護報酬や人員、運営基準等においてどのような方策が考えられるかという論点とさせていただいております。
70ページ目、5つ目のテーマ「介護現場の革新」でございます。
介護現場の革新の取組を現在行っておりますが、71ページにその全体の概要をお示ししております。平成30年度に会議を立ち上げて、パイロット事業を実施するようなことで今、進めているところでございます。令和2年度以降もこれを全国展開していくようなことを現在進めているということでございます。
72ページ目は、7つの地域で行っておりますパイロット事業の総括でございます。
73ページ目は三重県での例ということで、インカムを導入したときのエビデンス。
74ページ目が、介護職員が介護助手と言われる取組を行った際に、どのようなメリットがあるかということをお示ししているものでございます。そうすると、介護職員のいろいろな確保対策に有効であるということでございます。
75ページ目は、介護助手の配置割合と介護職員の消耗感の関係というバーンアウト尺度などを用いまして、介護助手の配置割合が高いと介護職員の消耗感は減っていくということをお示しするものでございます。
76ページ目は、介護施設におけるテクノロジー活用の先進事例ということで、元年度に行いましたパイロット事業でございます。ICT・介護ロボット等を活用した新たな介護の働き方の実証などを行ってございます。北九州市での実証の結果が、76ページ目、77ページ目にございます。
78ページ目でございますけれども、79ページ目も含めて横浜市さんの資料でございます。
介護ロボットやICTに関しましては、様々なところで御指摘がございます。80ページでございます。令和元年度の経済財政諮問会議におきましては、下線を引いておりますけれども、介護現場の生産性向上という文脈の中で、見守り機器の導入を促進するための役員職員加算配置が導入された。これは前回改定でございますが、この利用割合が少ないということでありまして、さらにその強化を進めて、効率化を進めるべきということ。また、全世代型社会保障検討会議でも、テクノロジーを活用し、介護サービスの質と生産性の向上を進めるべきではないかという指摘がなされているということでございます。
81ページ目は、介護職員の夜勤業務における状況ということで、休憩が十分取れるかということでございますが、取れないという方が一定程度いらっしゃるということでございます。
82ページ目でございます。こちらは夜勤の基準について、特養、老健施設、介護医療院・介護療養型医療施設、グループホームで比較をした表でございます。
83ページ目は、前回改定で導入いたしました、見守りのセンサーを入れたということでございますけれども、見守り機器を導入した場合に、現在の1名分の加配をする、そこの要件を緩めることができる。0.1人分人材が効率化されるという改定を行ったところでございます。
84ページ目、85ページ目、86ページ目、87ページ目は4月の分科会にお示しししたものでございまして、介護ロボットの導入でどのような効果があったかというものでございます。詳細は割愛しますが、例えば86ページ目の右側のグラフを見ていただきますと、見守り機器の導入割合が高いと直接介護や巡回・移動の時間割合が減っていくという関係が見えているところでございます。
88ページ目、89ページ目も先進的な例として、それぞれの法人などでどういう取組をしたら、どのぐらいの人員配置の状況になっているかというものをお示しするもの。
90ページ目、91ページ目も、民間企業の取組でこのようなものがあるということでございます。
91ページ目は国内外ということでございますけれども、ノーリフティングケアということも進められている例があるというものでございます。
こういった介護ロボットの導入支援あるいは効果実証ということで、このような制度がありますということを92ページ目でお示ししております。
また、93ページ目では、ICTを活用したリハビリテーション会議への参加も可能としているところでございます。
こういった現状を踏まえまして、会議等のICT化に関しましては各種決定がされております。97ページにあります。
恐縮ですが96ページに1枚戻っていただきまして、今般の新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いにおきましても、ICTを活用した会議等の効率化ということを様々お示しさせていただいているところでございます。
98ページ目から101ページ目までは、運営基準や加算、介護報酬でどのようなもの、会議あるいは訪問等が要件となっているかということを一覧にしたものでございます。
103ページに論点がございます。平成30年度に改定した夜勤職員配置加算の活用推進に向けて、見守りセンサーとインカム等のICT機器との併用などによる効果実証の結果等を踏まえながら、他のサービスへの評価の拡大も含めインセンティブの方策を検討してはどうか。
テクノロジーの活用によって、サービスの質の向上や職員の職場定着に取り組む介護事業所に対する報酬上の評価をどう考えるか。
各種会議や多職種による連携等において、ICTの活用を進める観点から、どのような方策が考えられるかという論点でございます。
「6.文書に係る負担軽減」でございます。
105ページに、介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会の概要を書かせていただいております。令和元年12月に中間取りまとめを行いました。委員の名簿がここにございます。分科会の先生方にも何名かお入りいただいているところでございます。
106ページ目が文書負担軽減に関連する各種決定ということで、成長戦略あるいは骨太の方針等でも、こういった文書負担軽減に関しましては関連の記載があるということでございます。それが107ページにも続いております。
また、108ページ目は押印に関する考え方ということで、こちらは令和2年6月19日にお示しされたものでございますけれども、内閣府、法務省、経済産業省の連名で、契約における押印についての考え方についてQ&Aが発出されております。その内容をお示ししております。
109ページ目、介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会等における主な指摘でございますけれども、下の図は、居宅サービス利用時に、赤で示しておりますようなものに関しましては契約時あるいは初回、変更時等に同意などを得ることが必要になってくるというものでございまして、書類は多いということが実感いただけるのではないかと思います。
110ページ目には重要事項説明等の中で説明同意についてどのような規定があるかでございます。
111ページ目は員数の記載についてです。員数に関しましては、重要事項説明を変更することは、印刷されたものですと手間や時間がかかりますという御指摘があったところでございます。
112ページには、過去の介護保険担当課長会議でお示ししたものでございますけれども、員数の変更があった場合の届出は年1回で足りるということをお示ししているものでございます。
113ページ目は掲示方法です。重要事項等について、事業所の見やすい場所に掲示が求められているところでございますが、閲覧のしやすさ等の観点から、電子的な対応を求める声があるところでございます。
114ページでございます。ケアプランの同意を得る際の押印、署名についても対応を求める声があったということでございます。
書式が115ページ、116ページは、各サービスにおけるサービス計画書等における導入の取扱いを一覧にしたものでございます。
117ページ、医療系の加算もございますが、それぞれこのような見直しの期間が設けられているというところで、これについてもどう考えるかということでございます。
118ページ目は、電磁的記録による保存が可能な文書や、サービス提供時の記録の保存期間に係る定義の明確化を求めるといった御指摘もあるところ。
119ページにありますように、規定上、例えば居宅サービス等の運営基準におきましては、その記録は、利用の完結の日から2年間保存しなければならないとなってございます。また右側では、その事務連絡におきまして、介護報酬の請求でしたら2年というような規定がそれぞれ決まっているところでございます。これもサービス終了の日につきまして、ここの解釈を明確化するべきだといった御指摘もあるところでございます。
121ページ、最後のページでございます。論点としては、政府の決定や介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会における議論や意見等も踏まえ、文書負担の軽減や手続の効率化を一層推進していくため、サービスごと及びサービス横断的に、重要事項説明等の記載や同意、各種加算に関する計画等の簡素化、各種記録の整備や保管、掲示等について、どのような方策が考えられるかという論点にさせていただいております。
それでは、資料2を用いまして「制度の安定・持続可能性の確保」につきまして、御説明をさせていただきます。
1ページ目がこれまでの主な御意見でございます。主な考え方としまして、1つ目の○でございます。介護報酬の面でも現役世代の負担が増大することがないようなめり張りをつけた評価が必要という御指摘、その他がございました。
報酬体系の簡素化につきましては、複雑な報酬体系となっており、サービス利用者にとっても、事業者や保険者にとっても分かりにくいため簡素化し、明快な報酬体系を構築することが必要ではないかという御指摘をいただいております。
2ページ目は、昨年夏に取りまとめていただいた見直しに関する意見でございますけれども、2ポツに給付と負担がございます。これにつきましては分科会で御議論いただきまして、テーマは8つあったわけでございますけれども、このうち(2)及び(6)について実施する方向での準備を進めているところでございます。
3ページ目が平成30年度介護報酬改定の概要でございまして、改定率プラス0.54、そして4つの柱があったということでございます。
その中で右下、緑になってございます「IV.介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」ということで、この後にありますスライドのようなことをやってまいりました。
4ページ目は、福祉用具貸与の価格に上限を設定したというものでございます。
5ページ目は、集合住宅居住者に関する訪問介護等の減算対象を、有料老人ホーム等以外の建物にも拡大したということでございます。
6ページ目でございます。集合住宅の居住者の区分支給限度基準額を計算する際の方法ですが、減算後ではなく減算前の単位数を用いるということにしたところでございます。
7ページ目でございますけれども、先ほどの減算前の単位数を用いるようなルールは、訪問系のサービスに入ってございますが、一方で通所サービス等には入っていないという比較の表でございます。
8ページ目は、サービス提供内容を踏まえた訪問看護の体系の見直しでございまして、訪問看護はこのように見直しをし、9ページ目、10ページ目は通いのサービス、通所介護、認知症、デイサービス、10ページは通所リハビリテーションでございますけれども、2時間以上あるいは1時間だったところを細分化したということで、1時間単位の報酬に変えていったということをお示ししております。
11ページ目は、前回改定の審議報告における今後の課題と言われているものでございまして、介護サービスの適正化や重点化、報酬体系の簡素化は前回からも指摘があったところでございます。
12ページ、13ページでございます。12ページは介護報酬の基本報酬と加算についてでございます。上の図は御案内のことかと思いますけれども、下に加算の種類の変化とございまして、平成12年の制度発足当時、訪問介護、通所介護などのそれぞれのサービスごとに加算が3種類、5種類、1種類、8種類、8種類ということでございましたが、現行はそれぞれ非常に増えておりまして、訪問介護ですと3種類が20種類、介護老人保健施設や特養では8種類だったものが55種類や54種類になっている。
これに伴いまして、サービスコードでございますけれども、平成12年当時、居宅で1,176程度、合計で1,800程度であったものが、現行では2万5000程度まで増えていることをお示しするものでございます。
ここで大変恐縮でございます。下の○で訂正がございます。加算の算定状況が3か年とございますが、事実関係からも2か年でございまして、括弧も平成29年11月から令和2年になっていますが、令和元年の平均算定率が80%を超える加算についてお示しするものでございまして、その下が解説になります。そのほか、加算の種類数も少し訂正をさせていただきたいと思います。
13ページのタイトルも先ほどと同じ訂正がございます。大変申し訳ございません。2か年平均で算定率80%以上、四角の中は、2か年の平均算定率が80%を超える加算が13種類、延べ29種類と訂正をさせていただきます。49ではなく29ということでございました。
そして、ここの下にありますような算定率であったということでございます。例えば初回加算や初期加算などは非常に高い算定率であるということでございます。
翻りまして、14ページ目が各種加算の算定状況ということで、こちらは逆でございまして、算定実績がない、あるいは年間算定率が1%未満ということでございます。過去1年間に算定がない加算は34種類、延べ114種類ということでございます。また、過去1年間の算定平均率が1%未満の加算が63種類、延べ222種類となっていることをお示しするものでございます。
論点として15ページ目の最後でございます。介護保険制度の安定性・持続可能性を確保する観点から、平成30年度介護報酬改定における対応や審議報告等を踏まえ、介護サービスの適正化や重点化、報酬体系の簡素化等について、どのような方策が考えられるかという論点でございます。
御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
資料2にあった加算とサービスコード数の変化はすごいですね。驚きの数でした。
これらを踏まえて、皆様から意見や質問を伺います。どなたからでもどうぞ。
河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
項目ごとに、論点に沿って御意見を申し上げたいと思います。
まず、人員配置基準の取扱いの関係でございますけれども、資料の22ページあるいは23ページにございます育児・介護休業を取得した場合の常勤配置の取扱いについては、診療報酬と同様に、介護報酬においても特例を設けてよいのではないかと思います。
また、人員配置基準でございますけれども、現行の人手不足の中で、もちろんサービスの質の担保に留意は必要ですが、柔軟な人材配置を認めていくべきかなと思います。
いわゆるローカルルールについては、実態を調査した上で、その解釈に差異が出ないように、基準なり解釈等の統一を明確化すべきだと思います。
2点目の介護職員の処遇改善の関係でございます。
処遇改善加算や特定処遇改善加算につきましては、従来から申し上げておりますけれども、賃金の改善に加えて、職場環境の改善も大変重要であると思っております。加算の取得が進んでいる状況を踏まえて、さらなる勤務継続や定着率の向上に向けて、例えば職場環境等要件について、特定処遇改善加算ではそれぞれの区分について1つ以上の取組となっておりますけれども、例えばこれを2つ以上の取組にするとか、あるいは具体的な取組事項の見直しといったことも含めて、要件の見直しを検討すべきかと思っております。
また、処遇改善加算の(IV)と(Ⅴ)については、前回改定の審議報告、また上位区分の取得が進んだということも踏まえて、廃止をしてもいいのではないかと思います。
3点目、サービス提供体制強化加算の関係でございます。質の高い介護サービスの提供が目的であり、かつ、介護福祉士の割合あるいは勤続年数の上昇といった状況が進んでいるということを踏まえれば、例えば、より上位区分の設定をするとか、下位区分の評価を引き下げるとか、質の高い介護サービスを提供するために、必要な評価項目あるいは算定要件といったものの見直しを検討すべきかと思います。
5点目の介護現場の革新の関係でございますけれども、各種の会議、あるいは多職種連携に関しては、ウェブ会議による実施を可能とするなど、ICTを活用した方策を積極的に取り入れていくべきだと思います。
ICTの活用については、介護報酬上の評価というよりは、介護ロボットや見守り機器、システム等の導入に当たって、地域医療介護総合確保基金等の補助金を活用した財政支援を充実、強化するとともに、具体的な活用方法や事例の横展開など、研修会の実施や導入支援等といったことを国や都道府県において実施すべきだと思います。
6点目、文書に係る負担軽減でございますけれども、利用者に対する説明あるいは同意の取得が確実に行われる、あるいはそれが確認できる方法をきちんと取るという前提の上で、負担軽減の観点から効率化・簡素化を進めるべきだと考えます。
最後の制度の安定性・持続可能性の確保の関係でございますけれども、区分支給限度基準額については、7ページにあるように、訪問系サービス以外の他のサービスにおいて減算を受けた者と受けない者で差異が生じているという状況があるのであれば、減算前の単位数を用いる同様の措置を講じるべきだと思います。
各種の加算については、これまでも複数の委員から御指摘がございましたけれども、これだけ加算が増えて複雑化している現状を考えれば、13ページにございます平均算定率が80%を超える加算については普及したものと考えられるわけで、基本サービス費に要件を組み込むような形で評価をして、報酬体系の簡素化を図るべきだと思います。
一方、14ページにあるように、算定がない加算については、もちろんその理由の精査も必要でございますけれども、基本的には廃止すべきだと思います。
これまでも何度も申し上げてまいりましたけれども、医療費の伸びを上回るスピードで介護給付費が伸びていく。これ以上、現役世代の負担が増大することのないよう、めり張りをつけた評価が不可欠だと、繰り返しになりますけれども考えております。
今回の資料では、介護サービスの適正化や重点化に関する論点、具体的な項目があまり見えてきておりません。もちろん今後、介護事業の経営実態調査の結果等々も踏まえて議論ということになると思うのですけれども、適正化・重点化の観点から、どういった項目を見直していくのかということを、なるべく早いタイミングで整理、提示していただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 包括的な御意見をありがとうございました。
たくさん手が挙がりました。皆さん順番に当てますから御心配なく。
石田委員、伊藤委員の順でお願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
それでは、私のほうからは4点、意見を述べさせていただきます。
まず、1点目の人員配置基準の取扱いのところです。先ほど河本委員もおっしゃいましたけれども、常勤換算のところで、育児のための短時間勤務の常勤取扱特例、これはぜひ介護の理由でも適用してほしいというのが1点です。
そして、この人員配置のときの論点に、「柔軟な人材配置を可能にする観点」という表現があるのですけれども、この柔軟な人材配置というときに、直ちに数を減らすという方向ではなく、本来、定数というのは基本的にそれが適切であるとして設定された数でもありますので、その数を基本として、それを実現できるような柔軟な運用方法にまず重きを置いて進めていくことが重要であると考えます。柔軟な人材配置というところで、直ちに人を減らすという方向に流れていかないように検討すべきというのが一つ、意見として述べさせていただきます。
2番目が処遇改善です。加算でずっと全体的に給与が上がってきたということの実績は非常に重要なこととは思いますけれども、何度もここに出ているように、本来的には基本報酬が上がっていかなければいけないというところに帰ってくると思います。処遇改善の究極、根本は基本報酬のアップということにつながるというのが二つ目の意見です。
3つ目は、サービス提供体制の強化というところで、ここに「介護ロボットやICTの活用による生産性の向上」ということが何回も述べられております。この点においても、ICTや介護ロボットをどうして活用するかというと、人手を減らすという理由ももちろんないわけではないのですが、機械やICTの導入によって捻出された時間や労力の分を、現有の専門職が本来の専門的能力や技術力を発揮するための時間や労力として活用できるからであるという点を再確認しておくべきと考えます。介護ロボットの導入、ICTの促進ということに異論はありませんが、この基本的な観点をどうしても揺るがしてはいけないのではないかと思います。
最後に4つ目ですが、制度の安定性、持続可能性の確保です。現状のところで、平成30年度の介護報酬改定について、福祉用具貸与価格の上限設定や集合住宅居住者への訪問介護費等に関する減算というものがありました。制限や減算という形は、これからの介護報酬の改定の中で検討されることだとは思いますけれども、今のコロナの状況の中で本当にいろいろな事業者のヒアリングの声もお聞きしていて、今の状況以上の制限や減算という方法は、コロナ禍で必死の思いで努力している介護事業所の息の根を止めてしまう可能性もあるのかなという懸念があります。現有の形を何とか維持できるような方法をぜひ検討していただきたいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
まず、人材確保についての議論をするための資料として提示されているものについて、御意見させていただきます。
資料1の14ページで「前職の仕事を辞めた理由」が出ていますけれども、これは介護職から介護職へ転職した人の回答だと思います。人材流出の食い止めを問題意識として持つべきであって、そういう意味では、介護職から介護職の転職者の意見だけでは不十分だと思います。連合で複数の事業所の管理者に聞いた中でも、福祉用具の男性正社員が結婚を機に他職種へ転職した例や、なくならない仕事として続けてきたけれども、きつさに比べて収入の低さで他業種への転職をしてしまって、資格取得でキャリアアップしていくという小多機の男性非正規常勤職員の声、人手不足だから採用を断られることはないということで入ったけれども、もともと一時的に勤めるという考えで、本来やりたかった仕事に就けるチャンスが来たから辞めたというグループホームの男性常勤非正規など、枚挙にいとまがありませんので、適切な資料に基づいた検討が必要です。
16ページの「勤務継続にあたり、重要と思うもの」については、以前から指摘しているとおり、賃金の引上げが第1位という調査結果が幾つもありますので、そういうことを踏まえる必要があるということに加え、この調査結果の第1位が「仕事へのやりがいがあること」となっています。この「やりがい」という言葉は、今日的には大変危うい言葉になっています。就活界隈では「やりがい搾取」ということも言われていて、雇用主が従業員に「この仕事は給料以上のやりがいがあるのだぞ」と言って強く業務を押しつけ、不当に安い給料や劣悪な環境で働かせることに対して、厳しい評価が働く側、働こうとする側に下されているわけです。このことを十分に認識する必要があると思います。
49ページで、厚労省として、やりがいの醸成を離職防止の論点として掲げていますけれども、介護職がやりがい搾取の場にならないように、厚労省の任務ということも十分踏まえて十分留意して検討してもらいたいと思います。
17ページの「勤務継続に当たり有効と考える取組」の資料の中には、賃金関係の選択肢が見当たりません。介護で働く人からは賃金の引上げや賃金制度の整備など、賃金の改善こそが勤務の継続の有効な手段だという評価が圧倒的に多いのです。そういう中で、介護の仕事をしていても賃金が低くて生活が不安であることや、将来の生活設計ができないこと、将来のことを考えると40歳を機に新たな道に進むラストチャンスだと思っているという声もたくさん届いています。
13ページに介護労働安定センターの資料も出ていますけれども、連合が行った調査でも、コロナ禍で昨年と比べて職員数が不足するようになったという回答が回答者の4分の1でありました。昨年の介護保険部会のとりまとめ報告でもさらなる処遇改善を行うことが重要と記載されており、今年の通常国会の衆議院厚生労働委員会附帯決議を踏まえて、コロナ禍であることを踏まえつつ、他業種に比べて遜色のない労働条件が提示できるように、賃金整備などを伴う形で、今回改定でさらなる処遇改善を行うべきだと考えます。
人員配置基準のところですけれども、常勤配置に係る短時間勤務の特例を設けるべきかという点については、30時間以上で常勤換算上も「1」と扱えるようにすることや、休業者への対応を複数の非常勤職員で対応することで満たせるようにするということが、1日を通じての職員の負担の増加やサービスの質の低下につながるようなことがないように考えないといけないと思っています。
次に、処遇改善です。
この点については質問をさせていただきます。処遇改善加算(IV)、(Ⅴ)については、前回改定の審議報告に、事業所により上位の区分の加算取得について積極的な働きかけを行うことと明記されたわけですね。加算取得促進事業で幾つの事業所に戸別訪問したのか教えてください。
それから、国実施分で744万円、自治体は67分の32自治体、これで積極的な働きかけが行われたということなのか。廃止すれば処遇改善加算(IV)、(Ⅴ)を取得している939事業所は、処遇改悪ということになるのか。この点について、厚労省として、どういう方向性を考えているのかお聞きしたいと思います。
特定処遇改善加算については、私たちの調査で、仕事のやりがいや意欲、職場の雰囲気などに悪い影響が出たとする回答も少しあったのですけれども、ある程度評価されているようです。これは一般の処遇改善加算が介護職員に限定されていることの裏返しと見ることもできますし、介護職場は集団的労使関係がない職場が多いということを前提に考えていただいて、賃金のみに充てられる報酬がいずれの事業所においても算定されるようにしていくことが必要だと思います。
依然として、一般の処遇改善加算はケアマネ、医療職、リハ職、栄養士、調理師、事務職員、福祉用具専門相談員などが対象になっていないわけで、全て含めた一層の処遇改善を図るべく、処遇改善加算の対象拡大と引上げを行うべきだと考えます。
サービス提供体制加算については、事業主の裁量に任されて使われるわけです。一方、処遇改善加算については、事業主を通じて労働者に支払われるものです。全く性格の異なるものなので、それぞれの趣旨を踏まえて、引き続き算定できるようにすべきだと考えます。
ハラスメント対策については、これまでも私ども日本介護クラフトユニオンの調査を機に、厚労省でも対応が進んできたことはありがたいと思っています。今後、契約締結時の確認などを徹底するということについては、運営基準に明記するということも必要だと思いますし、加えて、きちんと事業所で対応されるように、周知徹底するということも必要だと思います。また、処遇困難ケースについては、保険者や都道府県の協力が必要だと考えております。
介護現場の革新については、夜勤職員配置加算の人員要件について、現在、見守り機器を導入したときにプラス0.9でよいとしていることに対して、さらに要件を緩和すべきという意見が84ページに出ていますし、様々な機器を駆使したパイロット事業も紹介されています。介護現場は人材確保が最大の課題であるということを十分に踏まえて、さきほど石田委員もおっしゃっていましたけれども、効率化のためではなくて、職員の負担軽減のためにロボット等の導入を促進すべきと考えます。ですので、人員配置基準を引き下げることには反対です。
また、会議の開催や報告に関して、電話やメール、テレビ電話などの活用については、いろいろな職員間、医師や様々な人との連携の間には使えるという面もあると思うのですけれども、利用者との関係においては対面に比べれば情報量は圧倒的に不足してしまうので、なかなか難しいのではないかという意見が現場から届いております。
介護支援専門員の実務研修を、コロナ対応で、ウェブ対応とレポート提出でよいとされている点について、もしこれを一般化してしまうと、どうしても一方的な情報伝達になりがちな対応になってしまいますし、集中力が続かないとか、グループワークとか、ファシリテーターの介入とか、実施上の質の担保にまだ課題があると思いますので、時期尚早だと思います。
文書に係る負担軽減のところは、個々に検討しないといけないと思うのですけれども、契約の成立の確認は絶対に必要ですし、不正請求の防止という観点からも、何がしかの同意が確認できる必要は当然あると思います。署名と押印が両方要るということではないかもしれないですけれども、自署できない人がいる場合もありますし、いずれにしても、そういう場合の手続や、同意を確認することができる手段が必要です。
それから、同意取得の際の周知徹底もおろそかにならないようにする必要があると思います。
最後です。効率化において、先ほどほかの委員からも発言がありましたけれども、算定率の高い加算はやめるとは単純に考えられないと思います。支給対象についても十分考え、これが誰のための加算なのかということを踏まえて、丁寧に検討していく必要があると思います。
以上です。
○田中分科会長 どうもありがとうございました。
質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
資料1の46ページ、介護職員処遇改善加算取得促進支援事業に関するお尋ねでございました。この事業、社労士などを派遣して訪問あるいは相談などの支援も行うものでございます。大変申し訳ございませんが、幾つ訪問したかというのは、私どものところでは現時点では把握できていないところでございますが、一方の質問で、積極的にこの事業を活用することにより、私どもとしては、介護職員処遇改善加算(IV)、(Ⅴ)に関しましては随分上の区分のほうの算定が進んでいると認識をしております。
また、この事業は前からあるものでございますけれども、国実施分をつけて、その中で再度、都道府県向けの研修も行うなど、その立てつけも少し工夫をしております。より上位の区分の取得が進むように、私どもとしては努力をしておるつもりでございますし、今後も続けたいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
大西委員、安藤委員、小泉委員の順でお願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
私のほうから、2点についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、資料1の28ページの論点の2つ目でございますけれども、いわゆるローカルルールへの対応でございます。どのような方策が考えられるかということでございますけれども、資料1の26ページに示されておりますように、人員配置基準等につきまして、兼務の範囲や自治体ごとに異なる解釈や取扱いが行われている状況がございます。これらがなぜ設定されるかというのは、いわゆる自治体ごとに地域の実情あるいは資源の賦存状況が異なりますので、それぞれ基準省令等で示されている範囲内において、最も適当と思われる解釈、取扱いが行われているということかと思っております。
例えば26ページのほうに管理者の例が示されておりますけれども、本市におきましても、この管理者が、他の職務に従事する場合において無制限に認めると、それによって業務過剰になるというおそれもあるということで、同一敷地内でも事業所が異なれば認めないというルールを設定しておるところでございます。
基準省令等では、支障がない場合には同一敷地内にある他の事業所等との兼務も可能とされているわけですが、本市の場合は、そこは認めていないという取扱いにしておるということでございます。
今後、このローカルルールの実態の把握をどうするかということですが、何らかの調査を行うべきでありますし、調査を行った上で、ある程度見直しを行うべきだと思っております。
ただ、その場合にぜひともお願いいたしたいのは、先ほども言いましたように、地域の実情なり、そうせざるを得ない理由もあるわけでございまして、ちょっと煩雑にはなりますけれども、その背景や理由も含めて調査をしていただき、それを踏まえた上で適切に対応していただきたいということをお願いいたしたいと思います。
2点目でございます。資料2の報酬体系の簡素化の問題でございます。全国市長会といたしましては、1ページの1つ目の○に書いておりますように、これまでの複雑な報酬体系につきまして、サービスの利用者や事業者、保険者にとって分かりにくくなっておるということで、また事務負担の増大にもつながるということから、報酬体系の簡素化、明快な報酬体系を構築する必要があると主張してまいっているところでございます。
先ほど河本委員ほかからお話がございましたように、例えば資料2の12ページを見てみますと、創設時から比べましても、介護報酬の加算あるいはサービスコードの数が大変に増加しておりまして、複雑な報酬体系になっておるというのが現状かと思っております。
特に加算という意味で言いますと、資料にもございまして、説明にもございましたけれども、基本報酬と要件が一部重複して、1つのサービス内容について基本報酬と加算のそれぞれから報酬が評価されているものも見受けられるということでございます。給付費の適正化を図るという観点からも、報酬体系の整理が必要かなと思っております。
また、加算につきましても、先ほどからもお話が出ていますが、9割以上の事業所が算定している加算がある。これらについては基本報酬のほうに入れていいのではないかと思います。一方で、算定率が1%未満あるいは算定実績がない加算も見られるということで、廃止も検討していいのではないかと思うわけでございます。
そういう意味では、平成30年度の介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査が行われて、そろそろ速報値が出ると聞いておりますけれども、その分析結果等を踏まえまして、算定要件の見直し、あるいは先ほど言いましたように基本報酬と重複しているようなところについての基本報酬への包含、ほとんど利用されていないものについては加算の廃止等は検討していただきたいと思うわけでございます。
その上で、報酬体系や請求事務の簡素化を図りつつ、サービス事業者や保険者等が制度改正に円滑に対応できるような配慮をぜひお願いしたい。そのためには、ぜひとも可能な限り早い時期に簡素化、加算の見直しの改正法内容を我々にもお示しいただきたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
今、チャットで出ましたが、退室時間の可能性で齋藤参考人を先に。次に安藤委員。お願いします。
○齋藤参考人 申し訳ございません。発言させていただきます。
介護職員の処遇改善加算とサービス提供体制強化加算につきましては、両輪で進めていくというのが柱だとは思いますが、算定要件が一部重複しているところがありますので、整理、統合できる部分については検討していくべきだと考えています。
あと、介護職員処遇改善加算の(IV)、(Ⅴ)については、私も河本委員の意見に賛同いたします。簡素化を図る観点から、廃止を検討するということでよろしいのではないかと考えています。
ハラスメントの件につきまして、調査結果でも出ておりますように、利用者からのハラスメントを経験した人たちが最大でも7割という状況なので、大きな課題ではないかと思います。特に訪問系のサービスにつきましては、1人で伺って、密室の中でケアをしてくるということもございますので、深刻な被害も私どもには多く届いているような状況です。ですので、まずは全ての事業所で実態の把握、あるいは発生時の対応、再発防止、職員の安全を守るという取組を運営基準に入れていくことが重要ではないかと考えています。
訪問看護につきましては、30年度改定時に補助者との複数名訪問が新設されまして、迷惑行為のある利用者さんには複数名で訪問できることにはなっておりますけれども、それが必ず算定できるという状況ではないようにも思います。67ページで示されていますように、基金等でヘルパーさんとの同行事業を拡大するといったことも併せて支援していくことが大事ではないかと思います。
ロボットやICTの推進につきましては、非常にまだ数は少ないですけれども、使っているところでは、例えば排せつ支援のところでも、おむつがぐっしょり濡れている状況ではなく、割と早く発見ができるということもありますので、これは一方で推進していくべきだと思いますけれども、先ほど石田委員等も言われておりましたように、それが人の代わりになるのかというと、それはもう少し広まってから検証すべきではないかと思います。やはりロボットやセンサーの導入につきましては、報酬以外にまずは基金や自治体の補助といったことを活用して、初期投資を支援することが重要ではないかと思います。
制度の安定性のところにつきまして、今、いろいろと加算の実績のないもの、あるいは高いものについてどうするかの議論がございましたけれども、実績の少ないものにつきましては、算定要件とサービスの実施状況に大きく乖離があるということであれば、廃止あるいは簡素化することには賛同いたします。
ただ、おおむね地域密着型の小規模の施設についている加算がなかなか取得できないということもございますので、そういった場合は、やはり夜間配置などの要件が厳しいのではないかと思います。算定されない背景についてはよく吟味をして、その上で廃止をするのかどうなのかということを検討すべきだと思います。
ありがとうございます。
○田中分科会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、介護人材の確保について2点、意見を申し上げさせていただきます。
1点目です。限られた人材や財源で十分な介護サービスを提供するためには、特に地方等におきまして、現在は分散しているサービス等を集約して、利用者のニーズを十分に踏まえた上で重点的な体制整備や施設の多機能化を進めるなど、効率的なサービス提供の在り方を検討すべき段階に入ってきているのではないかと考えております。
2点目です。資料1の16ページの調査結果によりますと、介護職員の皆さんに継続して勤務していただくためには、能力や業務内容を反映した給与体系が重要であることが分かります。また、18ページで示されておりますように、35歳以上の介護職員の平均勤続年数が、その他の専門職や産業と比較して低いことが分かります。
こうした状況を踏まえますと、介護職員のキャリアパスの整備とそれに応じた給与体系の整備が人材確保の観点から非常に重要であると考えられます。
これまでも処遇改善加算の要件として、キャリアパス要件などを設定してきましたが、まだ職員の実感からすると不十分ということかと思いますので、より踏み込んだ要件設定とすることを検討するなど、介護を生涯の職業として安心して選択できるような環境の整備が必要であると考えております。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
お待たせしました。小泉委員、どうぞ。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会でございます。
まず、人員配置基準の取扱いについてですけれども、ローカルルールの取扱いについては、行政担当者の指導の相違により、年間で大きな人員ロスや報酬返還等の多大なロスが出てしまうことがございます。
本来、サービスの人員基準そのものに差があることは、あまり望ましいものとは思えませんので、法令の位置づけを整理し直す等、対応方法を検討する必要があると考えます。
具体例としては、特養以外のサービスとの専従要件の緩和がどこまで許容されているのか、かなり不明瞭な現状となっています。また、特養において生活相談員と介護支援専門員の兼務を認めない事例や、管理者の兼務の範囲を制限している事例がございます。ぜひ、現場に即した状況で改善していく必要があるのではないかと思っております。
あと、人員配置基準における基準緩和の要望といたしましては、同一敷地内の広域型特養と小規模多機能型居宅介護の管理者や介護職員の兼務が認められておりませんが、管理者の兼務や併設事業所との現場職員の兼務については、幅広く認めるべきと考えております。また、小規模多機能型居宅介護における通所の事業で、3対1の配置基準が過重と思われますので、ぜひ見直していただきたいと考えております。
次に、介護職員の処遇改善についてですけれども、介護職員処遇改善加算及び特定処遇改善加算につきましては、算定要件が複雑であり、担当の事務量もかなり負担があるものとなっております。さらなる簡素化と自治体によって扱う書類の手続、解釈の標準化を推進すべきだと考えております。あわせて、他の職種について、より柔軟に配分できるようにするべきであると考えております。
次に、サービス提供体制強化加算につきまして、介護職員に占める介護福祉士の割合、常勤職員の割合、勤務年数は上昇傾向にあるということですが、現在のハードルを上げることは特定処遇改善加算にも影響が生じるため、最上位の加算を検討してはどうかと考えております。例えば、職員の勤続年数5年以上が100分の50以上とか、介護福祉士の割合が100分の75以上など、こういった検討をしていただければありがたいかと感じております。
そして、ハラスメント対策でありますけれども、事業所内でのハラスメント対策については、全事業所で労働基準法上監督されることになりますが、それに併せて基準省令等で明記したほうが、自治体、事業者双方に対して丁寧だと考えます。
また、訪問系や居住系サービスを中心に、利用者からのハラスメントを受けるケースがございます。現場の従事者には受け入れ難いこともありますので、従業員を守る上でも、特にひどいケースはサービス提供の拒否を勘案できる余地があってもよいのではないかと考えます。
次に、文書に係る負担軽減ですけれども、オンライン化が進む中、事業所の更新申請はもとより、介護給付費算定体制届、処遇改善計画書、実績報告書等についても、紙媒体による提出以外にオンラインによる届出が可能とならないかと考えます。
また、サービスの提供時における重要事項説明書、施設サービス計画書、各種加算関係の文書の交付が求められておりますが、電子媒体等による交付を可能とすることや、説明者の氏名、説明内容、説明し同意を得た日時、同意した者の氏名について記録をすることで、署名捺印を不要とすることができないかと考えます。
在宅におけるサービス担当者会議等につきましても、利用者の状態及び介護度、サービス内容に変更がないような場合にはテレビ会議で可能とするなど、柔軟な対応ができないかと考えます。
最後に、制度の安定性・持続可能性の確保の上では、事業者の事業継続が担保されることが不可欠でございます。今回、基準費用額については特に取り上げられておりませんが、これは事業継続を脅かす要因の一つでございまして、食費の基準費用額については、都市部の食材料費の高騰や調理員の人件費等の高騰など、実態のコストが投影されていません。本会が行った調査によりますと、食費収入は1利用者1日当たり1,377円の一方で、材料費、調理員の人件費等の費用は1,452円にまで高騰していることから、見直しが必要と考えます。少なくとも、介護保険3施設それぞれの平均値により設定するなど、対応を御検討いただきたく思います。
また、嚥下調整食の作成につきましては、それ相応のコストがかかっております。日本摂食嚥下リハ学会によれば、ゼリー状の主食では48分、ゼリー状の副食では63分、ペースト食の主食では59分、ペースト食の副食では85分の時間を要しております。このような食事提供が必要な高齢者は、特養において13.4%存在しておりますので、これらの労務に係るコストを適切に御評価いただくことを検討いただきたいと考えております。
材料費、調理員、人件費双方の高騰が進んでいます。介護報酬を勘案する上での平均的な費用の額は介護保険施設それぞれに見直していただき、食の質を落とさないためには、現時点での対応が必要かと考えます。
どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田中分科会長 間利子参考人、小玉委員で休憩を取ります。休憩後に今井委員から行きます。
間利子参考人、どうぞ。
○間利子参考人 ありがとうございます。
まず、介護人材の確保・介護現場の革新の関連で、処遇改善加算の関連から申し上げますと、ここ最近、近年ですけれども期中の改定も含めて処遇改善の拡充が実施され、保険料の追加負担が発生しています。こうした中で、まずは加算拡充の効果をしっかりと検証していただくことが必要で、その上で、今後も処遇改善を介護報酬で対応するか、根本的な議論が必要なのではないかと我々は思っております。
この関連で申し上げれば、従来より、我々は処遇の改善は本来労使の自立的な取組を通じて実現すべきものであるという考えに立っておりますが、例えば資料の19ページに介護職員の賃金の推移が掲載されておりますけれども、マクロ的な平均で見れば、示されているグラフのようになるのかとは思うのですけれども、個々の事業者に着目し、事業所の規模等、さらに多面的な分析をしていけば、恐らく処遇の水準もバラエティーに富むものであると思っています。例えば、高い処遇水準を確保しているような事業所等もあると思いますので、そうした分析を行った上で、資料を示していただき、高い水準で処遇をしているような事業所がどういう工夫をされているのかといったものも併せて示していただきたい。また、そうしたものを広く展開していくことも有効なのではないかと思っております。
また、我々も繰り返し何度も申し上げていますように、資料の14ページから16ページに、離職理由や勤務継続に当たってのポイントが示されていますけれども、これらを見ますと、必ずしも処遇だけではなくて、処遇以外の要素、例えば人間関係も含めて、高い傾向が示されています。人材確保に当たっては、処遇改善加算ありきの議論ではなくて、こうした点に着目して、その他の施策を通じて現場の負荷の軽減や介護職の魅力を向上させることも検討すべきだと思っております。
この関連で申し上げれば、論点ともなっております介護ロボット・ICTの活用のさらなる推進というのも非常に重要な施策だと思っておりまして、現在の特養が対象となっている夜勤職員配置加算の人員配置要件の緩和のような趣旨で、加算に関連した配置基準の要件緩和をより幅広いサービスあるいは機器へ適用拡大していくとともに、安全性の担保というのが前提になりますけれども、人員配置基準の緩和の程度についても、事業者がメリットを感じられるような検討をしていってもいいのではないか。
また、これも繰り返し申し上げていますように、導入の費用に関しては既存の基金や公費による補助で対応すべきだと我々としても考えております。
もう一点、ロボットの関連で申し上げれば、少し違う視点なのかもしれませんが、サービス提供体制強化加算について論点として提示されていますけれども、仮に見直すのであれば、見直しの際に介護の質の向上という点も踏まえて、今回のロボットの活用という視点も考慮要素として盛り込むこともあり得るのではないかと考えております。
ICTの活用の関連で、98ページ以降に各種加算の要件となっている会議を整理していただいています。業務の効率化や今後のウィズコロナを考えれば、基本的にはオンラインで実施可能な会議は、対面からどんどん置き換えていくべきだと我々は思っております。ただ、加算によっては、算定上の会議等の持つ意味合い等も異なってきますので、その点では精査が必要だと思っております。例えばICTの活用に置き換えることで、加算の算定のハードルを不用意に下げて、不要な加算の算定が誘発されないような留意も必要ですし、ICTやオンラインを活用する場合に、関係者の移動に要していたコストが低減されるのであれば、そういったところを踏まえて単位数を適正化するような視点も併せて検討していくことも必要だとは思っております。いずれにしても、今後介護制度全般として、早期にICTの技術活用をどんどん進めていくべきだと思っております。
文書負担の軽減につきましては、行政、事業者、それから利用者にとって効果的、効率的、あるいは適正に介護事業を運営していく環境の整備から、積極的に活用していくことは重要だとは思っています。とりわけ、これまでも指摘されている自治体ごとに異なる必要書類の標準化や電子的な申請などを速やかに進めていくべきだと思っております。
2つ目の制度の安定性・持続性・可能性の確保に関連して、河本委員からも指摘がありましたが、制度の持続可能性確保の観点から、保険料などの負担のバランスも常に考慮しながら議論していくことが重要で、限られた財源の中にあっては、評価する視点があるのであれば、同じぐらい給付の適正化や重点化の視点からも、ちゃんとバランスを持って議論を進めていただきたい。総論的にはそう思っております。
この関連で、制度の安定性や持続可能性の観点から、制度全般としての効率的な運営が重要だと思っておりまして、今回、明示的に論点とはなっていないのですけれども、工程表の中で、介護事業者の経営の大規模化あるいは共同化というものが示されておりまして、そういう視点からも積極的な検討があってもいいのではないかと思っております。
現行の公的保険制度の中では、安定的にサービスを提供する観点から、例えば小規模事業所などの場合に、経営の効率性に関わらず、その事業継続が可能となるような報酬体系になっている部分があるように思っております。こういうところを、経営基盤をより大きくするなどして、生産性を上げていくことに重きを置くような報酬体系に改めていくというようなことも必要なのではないかと考えています。こういった規模を大きくして生産性を向上していくということは、最初の論点にありました介護人材の確保や処遇改善にも結びついていくのではないかと思っております。
いろいろ方策としてはあると思うのですけれども、例えば今あるサテライトの形態を有効的に活用していくといったことも検討できるのではないか。小規模で必ずしも効率性が上がらないような事業所同士がネットワークを組む、あるいは大規模な事業所との連携で生産性を高めていくといった方向に置き換えていく。こういった可能性を検討することもあり得るのではないか。そのためには、ローカルルールを含めて、規制の緩和など、サテライトを進めていくような方向で見直していくということもあるのではないか。それから、既存の介護事業者がサテライト化していくことによって全体的に生産性が上がるのであれば、本体事業所を時限的に報酬上評価するなどのインセンティブも場合によっては検討していくこともあり得るのではないか。
こうした際の財源については、現状、経営効率性にかかわらず、事業継続の維持のために活用される報酬を適正化していくことにより、振り向けていくということがあるのではないかと思っております。
この関連で、一度サテライトの事業所の実態ですとか、全国にどれくらいあるのかという現状を整理していただければありがたいなと思っております。
一方、規模の拡大をはじめ、効率性・生産性の向上が、特に地域性の観点から、なかなかそれが対応できないという場合もあるかと思います。そうした場合、保険制度ではないような手だても今後検討していく必要があるのではないかと思っております。
少し長くなりましたが、以上でございます。
○田中分科会長 それでは、前半の最後に小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
私からは論点に沿って3点、意見と要望を申し上げたいと思います。
初めに、63枚目のサービス提供体制強化加算等についてでございます。
ここの論点に、介護サービスの質の評価に関する取組の進展というのがございます。その上段の現状と課題で、高齢者の状態、ケアの内容、これは生活に密着したところが非常に大事だと思うのですけれども、これとCHASE情報の収集・活用というところにつなげていただきたいと思います。
具体的には、61枚目にCHASEの基本的な項目が記されてございますけれども、右側に、口腔、栄養とございます。栄養の摂取は非常に重要でございますけれども、その基本となります口腔機能に関する状態についての項目をデータとして取っていただきたいと思っているところでございます。
先ほど小泉委員のお話の中にも、食の質の向上につなげるため、食事形態の調整についての御苦労の話を伺いましたけれども、生産性を向上するためにも、この項目は非常に有効かなと考えているところでございます。
次に103枚目になります。介護現場の革新というところで、この論点の3つ目に、ICTの活用を進める観点というところが記されてございます。101枚目には、介護報酬における居宅への訪問等というところがございまして、私どもに関連するところでは、この一番下の口腔衛生管理体制加算というところがございます。歯科衛生士または歯科医師が介護職員への指導をICTを用いて行うことにつきましては、利用者の皆様の継続的な健康の維持・管理というところでは非常に重要であると思ってございます。
ただ、サービスを提供する施設につきましては、その内容は様々でございますし、また、職員の皆様の対応も様々であろうかと思いますので、その点を十分配慮しながらのICTの活用が大切かなと思ってございます。
最後に、121枚目の文書負担の軽減でございます。文書の簡素化・標準化・ICTの活用というところは、大いに推進していただきたいと思ってございます。実際の現場におきましては、口腔・栄養・リハビリテーションに関する様式は様々でありまして、項目もなかなか多くて分量も膨大だなと思ってございます。
これらにつきましては、活用目的を踏まえていただきながら、項目の整理をすることで、サービスの質の向上につながるようにお考えいただきたいと思います。一つには、利用者の皆様がその内容を分かりやすいというところが重要だと思いますし、事務的な作業が簡素化されれば、有用かなと思ってございます。
私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中分科会長 時間を要領よく使っていただきまして、ありがとうございました。
それでは、ここで5分間の休憩を入れることにいたします。
 
(休 憩)
 
○田中分科会長 大変短い休憩で申し訳ありませんが、時間の都合で再開いたします。
まず、今井委員、どうぞ。
○今井委員 民間介護事業推進委員会の今井でございます。
私のほうからは、5点ほど意見をさせていただきたいと思います。
まず、資料1の介護人材の確保・介護現場の革新のところから、1点目でございます。
ローカルルールについて意見をさせていただきたいと思います。ローカルルールについては、これまで複数の委員の方からも意見がございました。私どもは、これまでの経緯や介護保険は自治の事務であるということを踏まえますと、ローカルルールの必要性についてはやむを得ないことも理解するのですけれども、資料の24ページに示されているもの以外にも、実際には小規模多機能等地域密着型サービスにおいて根拠が不明確であったり、妥当性・合理性があるか疑わざるを得ないものも存在しているのも事実ではないかと思っています。
事務の効率化の観点から、ローカルルール作成に当たっての一定の基準もしくはガイドライン的なものを国のほうから示していただければと思います。
2点目、介護職員等特定処遇改善加算について述べさせていただきたいと思います。
事務処理の効率化と絡めて、書類手続の簡素化を指摘する事業所が多いことから、この辺の簡素化をぜひ検討をお願いしたい、それから、一般の処遇改善加算ですけれども、先ほど他の委員の方から(IV)、(Ⅴ)の廃止と併せてという話もありましたけれども、取得率が90%を超えているというところで、取得率の高さからという面ではございませんが、そろそろ基本報酬に組み込むことも検討すべきではないかと思います。
3点目でございます。ハラスメント関係については、事業者側の体制管理はもちろんのこと、利用者側の理解を得ることも重要ではないかと思います。ハラスメント事例を掲載したパンフレット等を配付したりして、利用者への啓蒙活動を展開することも必要ではないかと思います。あわせて、事業者側から市区町村行政に相談できる窓口を設置するなどの施策を講じてはどうかと思います。
4点目でございます。文書負担の問題。これは以前も給付費分科会の中で述べさせていただきましたけれども、事業所ごとの生産性の向上を考えますと、事務・文書の負担の軽減は非常に重要であると思います。利用者や事業者の利便性向上の観点から、個々の事業者がばらばらに取り組むという話ではないなと思います。利用者や保険者を中心としてより効率よく取り組めるよう、事業者間をつなぐ情報管理のプラットフォームづくりを推進していただきたいと思います。
特に介護記録など最低限の必要な事項については、先ほど御指摘があったかと思いますけれども、保存年限の差異の問題もあるでしょうけれども、やはり保管方法です。資料にもございますようにたまっていく一方でございますので、電子保存の検討もすべきではないかと思います。
最後、制度の安定性・持続性・可能性について、先ほど河本委員からもありましたが13ページの算定率80%以上の算定状況を見ていますと、単純に比較すべきではないと思いますけれども、加算の算定率の低いものがあまりにも多いという話になってしまいます。算定率が低い加算については、他の委員の方もおっしゃっていましたけれども、必要性を含めて要件を緩和するなり、もしくはそのものの見直しをするか、廃止をするか、それから算定率が高いものについては基本報酬に組み込みをするという整理にしてはどうかということで意見をさせていただきます。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
まず、処遇改善のところでお話をします。
これまでにも介護労働者を確保するために、様々な取組が行われてきましたが、介護職員の処遇改善加算など直接給与の引上げに関わる取組を除いて、様々な方策について効果の検証が行われていると思います。37ページに、法人としての効果評価の結果はありますが、職員側からの評価調査はないようですので、ぜひ、職員の評価調査もしていただきたいと思います。私たち介護家族や本人は、職員さんに笑顔でやりがいを持って介護の仕事に従事していただけることを願い、負担をしています。加算の検証をされる際には、対象当事者である職員の声の調査をお願いしたいと思います。
2つ目です。33ページでは、介護職員処遇改善加算は加算(I)を取得している事業所の割合が訪問介護、通所リハビリテーション、介護療養病床、介護医療院、地域密着型通所介護で低調になります。また、42ページの介護職員等特定処遇改善加算でも取得率が大変低調ですが、加算(I)を取得している割合が3割未満のサービスが訪問介護、訪問入浴、通所リハビリテーション、介護療養病床、介護医療院、地域密着型通所介護とあります。同じサービスで取得割合が低くなっています。取得率が低いのは、ほかの委員もおっしゃっていましたが、要件が厳格過ぎるのか、申請手続の複雑さで取得率が低いのであれば、かなり改善はしてきたというようなデータを出しておられますが、まだまだ低いというところでは原因を追究し、取得率を上げていただければと思います。
この処遇改善加算のように、道理が通る公平な内容であれば、私たち利用者は負担してきました。しかし、現在のような制度の安定性・持続可能性での名の下、負担増、給付削減の流れには反対です。
私たちは、上がった介護保険料や消費税を払っています。それは、それに見合うだけの安心の介護サービスが受けられることを期待していたからです。しかし、介護保険制度は20年を経過し、当初の介護の社会化、自己選択などが制度の安定性・持続可能性の下に崩れてきているように思います。サービス利用の制限が増えています。10月からの要支援者が要介護認定になったときの総合事業の継続もそうだと思っております。
要介護1、2の人を、要支援者と同じように介護保険サービスから外そうとしているようにしか思えないのです。利用者が希望すればと、一見本人の意志が尊重されているような言い回しですが、実態は6月の特例措置での同意があれば、感染予防をし、利用者の安全を確保するため、予防対応で事業者が大変だからで本人・家族は同意しているのですが、このように利用者サイドのように見えながら、実態が違うというものがあります。
この特例措置でも、利用者が事業者をおもんぱかってのものです。ここでの議論ではないのですが、社会保障全体のありよう、給付と負担についてどう考えるのか、基本的な考えが示された上での制度の安定性・持続可能性、そして報酬改定と考えます。国の考えを明確にしていただければと思います。
また、報酬を増やすのならば、利用者負担は増えます。負担できない人には相応の対策も検討していただきたいと思います。私たち利用者が納得して介護保険料や自己負担を払う、信頼を築くことで初めて制度の持続の可能性が高まると思います。
最後に、この制度の安定性・持続可能性は、限られた財源の中での報酬改定の議論です。そのことを考える、検討するというところでの資料では、これはまだ不足しているように考えますので、もう少しこのことを考えるべき資料を提出していただければと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
藤野委員、東委員、濱田委員の順でお願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。3点、意見を述べさせていただきます。
人員配置基準等の取扱いについてです。論点にも書かれていますが、柔軟な配置基準を検討する際、質が担保され、利用者に不利益が生じないことが前提となります。そのためには、より一層多職種での連携や介護職チームのマネジメントを担うリーダーが必要となります。また、それを担うのは介護福祉士であることは、厚労省の報告書においても明文化されているところです。柔軟な配置基準を検討するに当たっては、介護職チームの在り方も明確に位置づける必要があると考えます。
それらを踏まえた上で、サービス種別やローカルルールによるばらつきが是正されることはしかるべきと考えます。
次に、サービス提供体制強化加算についてです。
この加算は、介護福祉士を主軸とした配置加算として、現場の質を担保する上で大変意味のあるものだと考えています。一方で、先ほど述べましたように、サービス提供体制を構築する上で、介護福祉士をリーダーとする介護職チームの編制が当然に求められるとすれば、その評価は加算としての外づけの評価ではなく、内包された報酬、また配置要件を明確にするなどが必要ではないかと考えます。
最後に、ハラスメント対策についてです。
介護現場におけるハラスメントの課題は、見過ごされてはならないものであり、調査研究事業により対策マニュアルが作成され、研修用の手引や動画が作成されたことは大変有意義で、現場のニーズに合致したものと考えます。
しかし、このハラスメントの問題が困難なのは、介護現場に発生する一つ一つの事象をハラスメントと捉えるか、介護技術によって解決できるものと捉えるか、捉え方が一様でないところにあると考えます。
現場が積極的にハラスメントに向き合うには、現在行うことが望ましい取組とされている対応マニュアルの作成や研修の実施が進むことが必要と考えます。
以上です。
○田中分科会長 同じく、要点を絞った発表をありがとうございました。
東委員、お願いします。
○東委員 ありがとうございます。
私からは、質問を1点と意見を2点申し上げます。
まず、介護職員の処遇改善についての質問です。資料1の42ページに「サービス別介護職員等特定処遇改善加算の請求状況」があります。これについては、他の委員から御意見が出ておりましたが、全サービスの合計でも算定率が58.5%と低くなっています。老健施設においても、従来の介護職員処遇改善加算の算定率が8~9割であったにもかかわらず、この介護職員等特定処遇改善加算の算定状況が75%と、思ったよりも低い状況にとどまっております。この介護職員等特定処遇改善加算の算定が低いことに対して、何らかの調査等を行う考えがあるかどうかをお聞きしたいと思います。
次に、介護現場の革新について御意見を申し上げます。
現在、このコロナ禍にありまして、外国人人材等も全く日本には入ってきておらず、介護現場では、人材不足にいよいよ拍車がかかっているような状況でございます。そういう意味では、介護現場の革新についても期待を持っていたところでございます。資料1の71ページに「介護現場革新の取組について」の総論が出ております。1番が介護現場における業務の洗い出し、仕分け、2番が元気高齢者の活躍、3番がロボット・センサー・ICT、4番が介護業界のイメージ改善ということですが、大きな柱の1つ目は介護助手等の活用、2つ目が介護ロボット・ICTと考えられるのではないかと思います。
資料1の74ページでも資料がでておりましたが、介護助手につきましては、明らかな離職率の低下がエビデンスとして得られております。また、75ページには、介護助手の配置割合が高いほど介護職員の消耗度が低い、バーンアウト尺度のきれいなエビデンスも出ているところでございます。
それに対して、残念ながらロボット・ICTに関しましては、1施設での実証例等のエビデンスにとどまっております。唯一、三重県で行われましたインカムは3施設で導入されておりますが、このインカムについては、大変有効であったという事実が資料に示されております。このようなエビデンスが出たものに対しては、何か報酬上の評価ができないか考えていただきたいと思います。
介護助手につきましても、人件費ベースでいきますと、私の施設で年間約1500万円程度、費用がかかっております。介護福祉士の皆さんに長く勤務していただくことも大事ですが、職場環境をよくすればよくするほど人件費も上がっているという実態もございますので、何らかの助成をいただけたらと思います。また、インカム等の導入にしましてもお金のかかることでございます。前回の介護給付費分科会でも申し上げましたが、このようなインカム等の導入をする上で、地域医療介護総合確保基金の活用が、より容易になるように補助率を上げるとか、そういう工夫をぜひお願いしたいと思います。
最後に、制度の安定性・持続可能性の確保について、1点意見を申し上げます。
最後の論点のところにもございますし、これまで他の委員からも、現在大変多くの加算があり、報酬体系が複雑化しているというご指摘が複数上がっております。加算の算定率の高いものは本体報酬に包括し、加算の算定率が5~6年経過しても1~2%というものに対しては、廃止をするような方向で検討すべきだと思います。
ただ、加算が低いとはいいましても、加算の対象自体が大変少ないものもございますので、そういう加算についてはまた別途、考慮が必要かと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 介護助手等について、データに基づく発言をありがとうございました。
特定処遇改善加算については質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
介護職員の特定処遇改善加算については、資料1の43ページ、44ページに、処遇状況等調査を実施しているということを御報告しております。その中で、44ページに調査項目がございまして、明確に等の中に含まれているのですけれども、届出が困難な理由もこの中で調査をしておりまして、調査が取りまとまり次第、お示しさせていただきたいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
まず、1番の人員配置基準につきまして、論点に沿いまして意見を申し上げます。2~3ページにも記載されてますが人材確保が困難となる中で、専門職人材の有効活用についても検討が必要でありまして、専門性の高い人材は事業所や施設を超えて相互連携し合うことも考えていく必要があるかと存じます。
そうした中で、職員の専従要件につきましては、勤務継続可能な職務、職場環境の改善などの在り方や負担にも留意しつつ、見直しを検討すべきではないかと考えます。
また、基準上の要件の見直しや加算要件の緩和、ローカルルールの扱いにつきましては、地域による柔軟な対応や取扱いが疎外されないような配慮を行いつつも、統一化、地域において各職員の専門性をより発揮できるように、柔軟な取扱いが進むように検討していただければと考えております。
また、先ほども意見がございましたが、22ページの介護報酬の人員配置基準における育児・介護休業法等の取扱いの中の常勤の短時間勤務の場合でございますが、診療報酬の取扱いに倣いまして、介護報酬のほうも、例えば育児短時間等で加算の対象の中での常勤扱いとなりますように、対応いただければ幸いかと存じます。
次に、4番のハラスメント対策でございます。研修を含め各種の対策を講じてまいることはもちろんのことでございますが、訪問系サービス、特に居宅介護支援につきましても、訪問するということで密室化しやすいということがございます。老人保健事業の調査研究事業の中で、介護現場におけるハラスメント対策マニュアルや研修動画を作成していただいておりますが、再度、都道府県や市区町村に積極的な活用をお願いしていただければ幸いかと存じます。
また、ハラスメントに関することでございますけれども、こうした事案が生じます前に、サービス担当者の変更や中止、解約等に関する対応を、運営基準におけるサービス提供拒否の場合の正当な取扱いということにも含められるか検討いただければ幸いです。場合によりますと、利用者やご家族との事前の取決めが重要かと思っておりますので、重要事項説明や契約書等でどのような表現をして、示せばいいかということも含めまして、今後検討を進めていただければということでございます。
5番目のロボット・ICTの推進でございますけれども、既に東委員のほうからも御意見がございましたが、居宅介護支援事業所は小規模事業所も多く、なかなか基金事業の活用等でICT機器等の導入が難しい場合もございます。このため引き続き、小規模事業所でも何とか対応をしていけるような支援をお願いできれば幸いかなと思っております。
6番の文書に係る負担軽減につきましては、同負担軽減に関する専門委員会や介護保険部会におきましても方向性が示されておりますけれども、地域において、具体的な対応時期、恐らくは昨年度末まとまりまして、コロナ対応等でまだ地域に対応策が示されるのに時間がかかっているということもあるのだろうと思っておりますが、負担軽減等の方向性が現場レベルではまだまだ具体的なところが届いていないということがございます。また、この文書負担軽減につきましても、従前から指摘されておりますように、ローカルルールが存在しておりますので、適宜通知やQ&Aの発出などを通じて、判断につきまして統一化を図っていただければ幸いかと思っております。
特に居宅サービス計画書の軽微な変更、あるいは本日の資料でも示していただいておりますが、ケアプランの説明、同意等につきまして、御配慮いただければ幸いかと思っております。
制度の安定性・持続可能性の確保についてでございますが、独り暮らしの高齢者のみの世帯の増加や経済的背景、家族背景など、利用者の状況によって負担の変化や給付の変化、増減といったことが、健全な生活の維持を困難にする場合があったり、重度化につながるといけないということもございます。このため、十分配慮しつつ、できるだけ簡素化していくということを進めながら、必要性が高いものは再度見直しをして、再構築を図るようにするなど、検討してはいかがかと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 ありがとうございます。
私からは1つ、質問をさせていただきたいと考えております。
制度の安定性・持続可能性の確保の論点に絡めて、少し本旨からずれた質問かもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。
介護サービスの適正化や重点化、サービスの質の向上として、これまで多職種連携、情報共有の重要性は共通の認識として議論されてきたと考えております。居宅療養管理指導におきましても同様の意見が当分科会においても複数出されてきたと認識してございます。
この点について、今回の改定に当たりまして、厚労省として多職種連携等について、具体的な推進の仕組みを検討されていらっしゃるかどうか。検討されていらっしゃるとすれば、次回の居宅療養管理指導の議論の際に、具体的な仕組み案をお示しいただけるのかどうかという点について、お聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 次回についての質問でした。どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
多職種の連携、今日の会議の資料におきましても、例えば専門性を有する方々の柔軟な働き方、多数の拠点があるところでも、有効にそういう方々に兼務をするような形で働いていただけるような環境が必要ではないかというメッセージを出させていただいているつもりでございます。
また、多職種連携自体は、医療も介護も、今後も進めていくべきものだろうと思っております。
一方で、具体的なものに関しましては、今後の議論の中で、各サービスの中で私どもとしてアイデアがあれば、それはこのような形でどうかという御提案をさせていただきたいと思いますし、それについてまた御審議いただければと思っております。
恐らく、例えば前回ではリハビリと口腔と栄養という話もあったと思います。そういった一つ一つの横断テーマ、プラス各サービスでのテーマがあろうかと思います。私どもとしては、それは適宜いいタイミングで御審議いただけるようにお示ししたいと思っております。
以上です。
○荻野委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
以上です。
○田中分科会長 武久委員、お願いします。
○武久委員 ありがとうございます。
資料2の14ページですけれども、最初のほうにどなたかが、1%とかほとんど取れていないのであれば、加算はやめたらどうかということもお話しされたり、その後の方もいろいろ意見をおっしゃっていましたけれども、皆さん、このページを見ていただくと、いずれも必要な加算のように思いませんか。排せつや低栄養、栄養、退院時の指導など、ゼロのところは論外ですけれども、1%未満というところでは全国で9か所以内しかないということですから、これは御自分で排せつできて、御自分で食事が取れて、栄養が十分取れれば状況が大分よくなるというための加算ですので、厚労省の老健局としても、ぜひ取っていただきたいという方向で対応していただければと思います。
というのは、これを取るために1人雇うと、それがオーバーになってかえってマイナスになるというような加算もございますし、条件がちょっと厳しくて、そこまでは行けないけれどもという場合はちょっと緩めていただいて、10%ぐらい取れるようになったら元に戻すとか、いろいろな工夫をしていただいて、こういう加算のサービスをするということは、利用者にとっては非常にいいことだと私は理解しております。
診療報酬でも加算頼りでありましても、介護のほうも加算ばかりで、報酬の申請を非常に簡略化したいというかけ声とは裏腹に、非常に複雑化しておりまして、現場では苦労しておりますけれども、この辺のところがみそになると思います。できるだけいい行為に対しての加算がある程度取りやすいようにしていただけるということも必要だと思います。
一方で、ケアマネジャー、居宅介護支援に対しての加算が、比べると非常に少ないように思います。非常によくやっているケアマネは大変なのですけれども、ちょっと手を抜こうと思えば抜けるような人もいますが、35年きちんとフルにやっていこうと思えば、本当に大変です。例えば病院についていくというのがありますけれども、これは幾らもらっても大変なぐらい、たくさん加算をもらいたいぐらいの現場でございます。特に最近は医療との連携で、ケアマネジャーはどちらかというと福祉系の方が多いので、医療についての要望が強うございますので、それに対してよく頑張っていれば、加算をつけてあげたらどうかなと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
資料に沿って、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
先に資料2の13ページに、各種加算の算定状況マル1の資料がございます。算定率の高いものについて、運営基準とすべきかどうかという御意見もあったかと思いますが、この中には単発で、1回きりの算定の加算もあれば、継続的に取っていくような加算もありますので、要はこの取扱いについては、施設の経営に激変が起こらないようにお願いしたいということと、頑張っている施設の努力が無にならないように、取扱いをお願いしたいと思っております。
特に体制加算、介護職員配置加算等は、例えば老健におきましては1日24単位でございますので、仮に100人、365日になると年間で800万円を超えるような大きな金額にもなりますし、いろいろそのあたりは慎重に取り扱っていただきたいと思います。
それでは、資料1について述べたいと思います。
まず、14ページに前職の仕事を辞めた理由が出ておりますが、これは若干変動はあるものの、毎年度、上位の項目はほぼ変わっておりませんので、まずは職場の人間関係であったり、結婚、出産、妊娠、育児、あるいは法人・施設事業所の理念や運営の在り方についてアプローチすることが離職防止につながると考えておりますので、こういったところの取組、特に離職率は従前から離職率の高い事業所と低い事業所に二極分化している傾向もございますので、ぜひこのあたりは好事例を共有できるようにお願いしたいと思っております。
続きまして16ページ、やりがいが一番に出ておりますけれども、これは今までにも何度も申し上げておりますが、自分たちの行ったケアによって、利用者の方がお元気になったり、笑顔になったり、お家に戻れたりということに関して、現場の職員としては非常にモチベーションが高まるところでございますので、ケアの質とこういったことが連動するような仕組みをぜひ検討していく必要があると思っております。
続きまして、18ページでございます。こちらに介護職員の平均勤続年数のグラフが示されております。
現行、こちらで考えなくてはいけないことは、例えばオレンジのラインの産業計のように右肩上がりになりますと、平均収支差が約3%の介護業界においては、多くの事業所の健全経営が担保できなくなる。すなわち、人件費の圧迫によって経営が成り立たなくなることは非常に明白であります。
例えば新卒で就職して、定年まで勤め上げるといったことが、本人の希望によってできる職に介護というものを育て上げていく必要があるわけでございますが、現行の介護報酬では、なかなかそういったところが難しいということがございますので、介護職員の定着・促進、あるいは定着率と介護報酬、特に基本報酬のアップをどう考えるのかということはセットで考えていく必要があると思っております。
最後の57ページに、介護職員等の勤続年数が出ております。例えば右下のほうに、平成30年度の調査の施設系の平均勤続年数が8年、9年、10年あたりで示されておりますけれども、実際に平均勤続年数が12年とか14年という非常に定着率の高い施設になると、経営自体は実際に赤字基調になっていきます。したがいまして、ここにおきましては、介護職員の勤続年数と経営というものをリンクさせて、あるいは調査を行って、実態がどうなっているのかを考えていく必要があるのだろうと思っておりますので、介護職員の促進とか定着率と経営との相関関係は見ていかないと難しいと思っております。
したがいまして、介護事業所の経営モデルとして、そういった観点から、いわゆる公費と保険料で賄っている介護の給付、いわゆる報酬について、抜本的に検討すべき時期が来ているのだろうと認識しております。当然、職員が定着して平均勤続年数が長いという施設は、恐らくいい施設だろうと思われますけれども、一方で経営的には大変厳しくなるという相反することが生じてしまいますので、このあたりは十分認識した上で、いろいろな報酬の在り方を検討していただきたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
亀井委員、お願いいたします。
○亀井委員 眞鍋課長に、文書保存年限についてのお願いをいたしておきたいと存じます。
今、2年間保存の検討がされているようでございますけれども、これは保険者に対して、2年以内に監査しておきなさいというふうに言われていることかなと思っているのですが、ただ、これはここだけの話ですけれども、施設は多くなっているし、審査する内容は人員基準だったり、算定の要件であったりと非常に複雑になってきていまして、全施設を2年以内にみんな回れというのは非常に難しいことです。
自治法上も、5年過払いの返還請求とかが認められているわけですから、これは5年にしておいてもらったほうがいいのではないかと思わせていただいていますので、課長、何か御所見があったらおっしゃっていただきたいなと思います。
あと2点ばかり、本件とちょっと離れるのですけれども、実は9月4日付で厚生労働省コロナウイルス感染症対策本部から都道府県等、それから保健所設置市に対して、インフルエンザ流行に備えた体制整備についての指針が示されました。10月をめどに取り組むこととされているわけでして、その中には大きく2つのテーマがあります。
その一つというのは、これから多くの発熱患者が予想される中で、相談・健診・検査体制を多くの医療機関で整えていくこととされております。都道府県、都道府県医師会、市町村、そして医療機関関係者でその体制を整えていっておるわけでございますけれども、介護施設においても毎年クラスターが発生しているわけですので、行政側もその注意喚起について活動していっているのですが、老健局のほうから、介護施設、介護従事者団体の中央組織へも、抜かりない対応という周知を図っていただければと思っています。
もう一つは、インフルエンザワクチンの効果的な接種なのですけれども、今年はワクチンが不足するのではないかと思われるのです。その理由は、各自治体が今、コロナとインフルの同時感染のリスクを避けるがために、予防接種に対する補助金を出させていただいています。そういう自治体が多いのです。
もう一つは、8月18日にWHOがインフルエンザの予防接種を推奨するメッセージを発せられたわけです。そのような中で、今年のワクチンは昨年度の1.1倍、6300万人分だと言われておりまして、有精卵の確保等が難しいので、増産は難しいだろうということになっています。
そこで、優先順位をつけて送られてくると思うのですが、例えば高齢者、基礎疾患のある方、小児、医療従事者となるのですけれども、介護従事者は医療従事者以上に濃厚接触になる部分もあるのではないかと思っていますので、介護従事者についても予防接種についての徹底ということもお願いしていければと思っています。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
難しい質問かもしれませんが、質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
サービスの記録の保管・整備に関するお尋ねでございました。いろいろとございましたけれども、私どもとしては、やはり現場がちゃんと回ることが大事であると思っております。それは事業所の現場もそうですし、指導を行う市町村の現場もそうだと思っております。その中でどういう規定ぶりがいいか。私どもとしては、一律にこうということを考えているわけではございませんで、ここは丁寧に、自治体の皆様、事業所の皆様の御意見を聞きながら考えていきたいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 水町参考人、どうぞ。
○水町参考人 ありがとうございます。黒岩委員の代理の水町です。
何点か意見を申し上げたいと思います。
まず、介護人材の確保・介護現場の革新の中で、介護職員の処遇改善についてです。
これまでの介護職員の処遇改善は、各種の加算によって行われてきたところですが、依然として他産業の賃金と比べると差があります。介護職員の人材不足を招く一因になっていると受け止めています。
コロナ禍の中で、介護職員の処遇改善の必要はますます高まっていると認識しておりますが、資料1の18ページにあります介護職員の平均勤続年数を見ても、経験を積んだ職員が働き続けることが難しいということが一番の課題であり、処遇改善というのは、引き続き検討していくべきことの一つだと思います。
以前も、訪問介護の処遇改善加算のところで申し上げましたが、加算の種類が増えると、小規模な事業所ほど加算届の作成などが負担になってしまうという面もありますので、処遇改善は、加算よりも基本報酬の見直しを中心に行っていくべきではないかと考えます。
次に、介護現場の革新について、意見を申し上げます。
神奈川県では、これまでも提案させていただいたとおり、ICT・介護ロボットの利用の促進を一層図っていくべきと考えておりまして、ICTの導入効果の検証をしっかり行って、効果を見える化した上で、人員配置基準の見直しや報酬への反映など、インセンティブを講じていく必要があると考えています。
サービス別の各論でも述べさせていただきましたけれども、外部の専門職から動画などによる助言を受けるなど、ICTの活用を加算要件などで幅広に認めることによって、業務負担の軽減や多職種連携についてもより促進されていくと考えます。
続いて、文書負担の軽減についてです。各種の記録の保管については、紙媒体の原本を電子化した場合の取扱い、特に同意署名つきの紙媒体の廃棄の可否を明確にしていく必要があると考えます。
この文書保管の取扱いの緩和を検討する際は、不適切な支援業務の記録が廃棄されてしまうというリスクもあると思いますので、そういった点も勘案しながら検討を進めていただきたいと考えます。
最後に、制度の安定性と持続可能性の確保についてです。
報酬体系の簡素化について、事業者の負担軽減の面からも、各種の加算をできる限り整理して、原則として基本報酬に含めて、基本報酬自体をアップして、真に必要なもののみ加算で対応するという、極力シンプルな報酬体系を目指していくべきと考えます。
以上です。
○田中分科会長 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
3点、申し上げたいと思います。
1つ目は、特に次回の報酬改定に向けてということではないのですけれども、今回の2つの議題を通じて、あまり基本的な論点が深化させられていないなという反省も込めて、中長期的にということで申し上げたいと思います。
改めて、各自治体が地域包括ケアを実現していく、さらに地域共生社会へということをしっかりと取り組んでいくという前提で、包括な圏域なのか、それとも小学校区なのか、生活圏域ということで、24時間365日の生活支援の多機能拠点みたいなものを想定して、もしかすると介護現場革新会議みたいな場をある程度発展させてできるのかもしれないと思うのですけれども、改めてどういう機能が求められるのかということを検討して、そして再編につなげるということを、このままの延長でもつ気がしないという意味からも、やっていく時期ではないかと思います。
その検討の中で、では24時間365日の生活支援の多機能拠点ということの中で、介護保険が給付の範囲として考えるべきなのはどういうところなのかとか、その中で、ケースのマネジメント、チームのマネジメント、地域のマネジメント、運営法人の在り方、それから担い手、今日も話題になっていましたけれども、どこからどこまでを専門職が担って、今回も事例が挙がっていましたが、元気高齢者とか副業とか、もっと中間的就労の場として御活躍いただけるという余地もあると思います。そこの分担はどうするのかとか、ICT・テクノロジーの活用とか、それをどう評価するか。そして、保険者の裁量みたいなことをセットできっちり中長期的に議論した上で、報酬の中でも展開を議論するということをやっていかなければいけないのではないかと思います。これが1つ目です。
2つ目、3つ目はもう少し短いところでということになるかと思いますが、シンプル化という議論が、事業種別のことでも支払いとか加算とかいろいろなところで話題になっています。もう一つ、研修のシンプル化ということもそろそろ考えていい時期ではないかと思います。
特に高齢だけではなくて、全対象対応でという地域共生ということも言われているときに、今、皆さん御存じのように事業種別で、例えば計画作成の担当にはとか、管理者にはとか、代表者のためにはとか、いろいろな研修があるわけです。
それぞれ各担い手側から見ると、どの研修をどこで受けたのか、そのことは結果的にどういうコンピテンシーを賄っているとみなすことができるのか。当たり前だと思うのですけれども、結構似たようなものがいろいろな研修に組み込まれている傾向にあって、それは免除していいということも、履修の管理、学習マネジメントと効果的な学びの在り方ということにつなげるためにも、少し関連する研修を棚卸しして、事業種別ごとに読み替えたりとかということも含めた学習マネジメントができるようにということも考える必要があるのではないかと思っています。
最後は、皆さん同じことをお考えの方が多いと思いますけれども、特にこのコロナ禍もあって、とりわけ介護の職員になろう、勉強しようという方の希望も、入職の希望も、先日も学校の学科がまた閉鎖しないといけないのではないかとか、就職フェアに全然人が来ないというお話を伺うところです。その辺に対して、次回の報酬改定の中で、どういったメッセージを出すことができるのかというのは、とても大事な局面なのかなと思っています。
総論的で恐縮ですけれども、以上3点です。
ありがとうございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
どうしても、ここで示す論点は実務的にならざるを得ないのですが、それを超えた視点を忘れてはいけないという貴重な御指摘でした。
また、我々研究者にとっても、そういうより広い観点から世の中に発表することも重要ですね。改めてありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 2回目の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
資料2の2ページですけれども、最初の説明で、今後の検討ということで2番の補足給付に関する給付の在り方、6番の高額介護サービス費というところの検討がなされているという説明がありましたけれども、これは利用者、私たち家族、本人にとっては負担が増えるということで、大変心配なことです。どのような検討がされているのか、お聞かせ願いたいということ。
もう一点は意見ですけれども、先ほど小泉委員のほうからハラスメントのところで、利用者からのハラスメントがあった場合には、サービス拒否でもよいのではないかという御意見がありまして、確かにそういう面もあるかもしれませんけれども、しかしそのときには、藤野委員もおっしゃいましたけれども、提供されたサービスの質がどうであったのかということも重要であると考えますので、その点も考慮していただきたいと思います。
認知症ケアにおいては特にそれが言えると思います。言葉でうまく表現できずに、遮ったことが暴力と言われてしまうようなことがあります。そのようなことも、一方的な側面だけではなく並行して検討していただき、サービスの拒否ということは、本当に最後の最後というところでお考えいただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 それでは、資料2の2ページについて、質問にお答えください。
介護保険計画課長、お願いします。
○山口介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。
先ほど御質問いただいた点につきましては、去年、介護保険部会のほうで取りまとめをいただいた資料についての御質問だと思いますけれども、補足給付の在り方、高額介護サービスの在り方につきましては、具体的な案を示させていただいて、御議論いただいて、取りまとめいただいたと考えております。
検討しているというものにつきましては、制度の細部について、法令上どういうふうに書いていくかといったことを含めて検討しているということでございまして、実施の方向は既に御意見をいただいて、その方向で動いていると御理解いただければと思います。
○田中分科会長 鎌田委員、よろしいですか。
○鎌田委員 実施の方向で動いているということですね。確認です。
○山口介護保険計画課長 そのとおりでございます。
介護保険部会のほうで取りまとめいただいた意見書の中で書いてあるということですので、この場とは違いますけれども、介護保険部会の取りまとめということで御理解いただければと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 一当たり、よろしゅうございますか。
それでは、ここまでといたしましょうか。
本日も、それぞれのお立場から様々な意見を頂戴しました。これを基に審議を進めてまいります。
では、次回の日程等について説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田中分科会長 本日も熱心な討議をありがとうございました。
それでは、また次回。