令和2年9 月4日 第184回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年9月4日(金) 13:00~16:00

場所

WEB会議
東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス Room A+B
 

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて
  2. (今後の進め方、感染症や災害への対応力強化、地域包括ケアシステムの推進)
  3. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第184回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、亀井委員より御欠席の連絡を頂いております。また、岡島さおり委員に代わり、齋藤訓子参考人に、黒岩祐治委員に代わり、山本千恵参考人に御出席いただいております。
 以上により、本日は23名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。次に、令和3年度介護報酬改定に向けた資料として、資料1、令和3年度介護報酬改定に向けた今後の進め方について(案)、資料2、これまでの主な御意見、資料3、感染症や災害の対応力強化、資料4、地域包括ケアシステムの推進となっております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に、挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認いただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
 以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、こんにちは。
 9月になりましたので、本日から令和3年度介護報酬改定に向けての第2ラウンドに入ります。
 今回は、今後の進め方と地域包括ケアシステムの推進だけではなく、状況を鑑みて感染症や災害への対応力強化も議題として入れていただいております。
 初めに、資料1~4について、事務局から一通り説明を伺った後、質疑に移ります。
 事務局においては、いつものことですが、資料説明を簡潔に行っていただくとともに、各委員の皆様の御発言は論点に沿って簡潔に行ってくださるよう協力をお願いいたします。
 早速ですが、事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料を用いまして御説明させていただきます。
 資料1でございます。「令和3年度介護報酬改定に向けた今後の進め方について(案)」でございます。
 1ページになりますけれども、下の○でございます。今般の新型コロナウイルス感染症や昨今の災害の発生・対応の状況、これまでの本分科会における議論を踏まえ、分野横断的なテーマに「感染症や災害への対応力強化」を加え、年末の取りまとめに向けて引き続き議論を進めていくこととしてはどうかと御提案するものでございます。その下に、分野横断的テーマとしましてポツが5つございます。これまで第1ラウンドでお示ししていたものは下の4つのポツであったわけでございますけれども、その上に1つポツを加えまして、「感染症や災害への対応力強化」というテーマを冒頭に持ってまいりまして、横断的なテーマとして引き続き御議論を頂いてはどうか、5つの柱としてはどうかという御提案でございます。
 次のページでございますけれども、これを踏まえまして、9月に入っておりますけれども、第2ラウンド、論点についてさらなる検討を進め、年明けに諮問・答申に至るといったスケジュールをお示ししているところでございます。
 資料1については、以上でございます。
 資料2について、第176回以降の介護給付費分科会で御議論いただいた御意見につきまして、事務局の責任で整理したものになってございます。
 1ページ目に、目次がございます。分野横断的なテーマということで、1~5、先ほどの横断的な事項の論点に沿って項目を立てさせていただいており、その後、各種サービスということで、1~20のサービスについて、それぞれ頂いた御意見をこの後のページにありますようにまとめさせていただいております。今日は、この後の資料3と資料4で、1.感染症災害への対応力強化、2.地域包括ケアシステムの推進について御議論いただく予定でございますけれども、ここにあります意見のまとめに関しましては、それぞれの資料3、資料4の冒頭に同じものを記載させていただいているところでございます。こちらは、後ほど御確認いただければと思っております。
 それでは、具体の議論に進めさせていただきます。
 資料3でございます。「令和3年度介護報酬改定に向けて」、1つ目の横断的事項「感染症や災害への対応力強化」でございます。
 1ページ目を御覧ください。先ほどの意見のまとめにあったものをそのままこちらに転記しております。かいつまんで御紹介させていただきます。<新型コロナウイルス感染症や災害を踏まえた今後の対応>、(今後の評価の在り方)の1つ目の○でございます。新型コロナウイルス感染症等の予防、蔓延防止を視野に入れた地域包括ケアシステムの推進に向け、介護施設及び事業所が取組を充実させ、質を高めていく観点から、その対応については基本報酬で評価すべき、事業継続計画(BCP)の体制整備についても評価すべきという意見がございました。その下、(基準上の対応)とございますけれども、感染症対策に係る基準の規定が例として示されているが、標準的に予防や蔓延防止の対応ができるよう仕組みが必要ではないか。施設では感染症対策の委員会の開催が3か月に1回以上求められているが、それを強化することも考えられるのではないかという御意見がございました。
 2ページに進ませていただきます。(報酬の臨時的な取扱い)についてでございます。1つ目の○でございますけれども、新型コロナウイルス感染症や災害対策における臨時的な取扱いについて、検証した上で、恒常的な対応が必要な事項とそれ以外の事項とを整理し、対応すべきといった意見でございました。その他、補正予算や災害時における対応に関する御意見があったところでございます。
 4ページ以降、感染症への対応でございます。
 5ページを御覧ください。感染症対策等にかかる規定の例でございまして、こちらは行と列がございますけれども、施設サービス、通所系・居住系サービス、訪問系サービスとまずは縦で分けさせていただいて、その上で、こちらは義務あるいは努力義務となっているものがそれぞれ○と●で記載を抜粋しております。例えば、施設サービスの感染症対策で申し上げれば、感染症または食中毒の発生、蔓延の防止のための以下の措置の実施は、○でございますので、義務となっているところでございまして、マル1からマル4にあるようなことが義務となっているということでございます。通所系・居住系サービスですと、●でございますので、感染症の発生または蔓延の防止、左の施設サービスのようにマル1からマル4はございませんけれども、こういった努力義務が課せられているということでございます。一方で、訪問系サービスにはこういった規定はないということをお示しさせていただくものでございます。
 6ページに進ませていただきます。こちらは、2019年3月に取りまとめました「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」の目次でございます。このようなものは既にお示しさせていただいているところ、一方で、もちろんこのときには新型コロナは流行してございませんでしたので、そういった項目はございません。
 7ページ目以降が、こちらは新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについてお示ししているものでございます。7ページの1.基本的な事項といたしまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に人員基準を満たせなくなる場合、介護報酬の減額を行わない等の柔軟な取扱いを可能としておりまして、2.以降にあるような、こういったそれぞれのサービスごとの特例的な扱いを認めているところでございます。
 例えば、8ページ目に参りまして、3.通所系サービスでございますが、1つ目の○でございます。場所が変わってもデイサービスに関しましては措置に応じた介護報酬が算定可能であるとか、8ページの一番下の○では、前回にも御議論がありましたけれども、2段階を掛け上げた介護報酬の算定も可能になるということもお示ししております。
 9ページ目は、4.ケアマネの事業所に関する事項でございますが、1つ目の○で、ケアプランで予定されていたサービス利用等がなくなった場合でも、必要なケアマネジメントを行い、請求に当たって必要な書類の整備を行っていれば、この請求は可能であるといったことをお示ししているところでございます。
 進ませていただきます。10ページ目以降、予算による支援でございまして、10ページ目、11ページ目、12ページ目、13ページ目までが第1次補正による内容でございます。かかり増し経費等を支援しているものでございます。
 14ページ目以降が、第2次補正の内容でございます。
 15ページ目には、第2次補正の中のメニューでございますけれども、感染症対策マニュアルの作成とか、BCPの作成支援、メンタルヘルス支援がメニューとして盛り込まれているということでございます。
 16ページ目は、介護支援専門員の研修のオンライン化でございます。
 17ページ目が、認知症サポーター養成講座のオンライン化。
 18ページ目は、ICT導入の加速化支援などがございます。
 20ページ目、21ページ目には、医療・福祉事業に対する無利子・無担保融資といった危機対応融資の拡充が行われたということを書いております。
 22ページ目から24ページ目でありますけれども、こちらは、感染対策として、施設、事業所においてどのようなことに留意していただきたいかということで、これは累次事務連絡等でお示しさせていただいているものをまとめたものでございます。
 25ページ目に参りますけれども、こちらは高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応をお願いするものでございます。1.感染拡大防止に向けた取組、2.感染者等が発生した場合に備えた人材確保でございまして、実際に感染者が発生いたしますと、スタッフの方々も含め、濃厚接触者となることが多く、多くの方は自宅待機となりスタッフが不足する事態となります。そういう場合に、応援職員の派遣や関係団体などからの応援などが行われた例がございました。こういうことも踏まえて、平時より応援体制を構築しておいていただきたいということもお願いしているところでございます。また、高齢者施設におきましても、人員体制に係る施設内・法人内の関係者と相談しておいていただきたいということをお示ししております。
 次の26ページもその続きでございます。高齢者施設における平時の対応等でございまして、シミュレーションなどもやっていただきたいということをお示ししておりますし、動画等につきまして、厚生労働省が作成したものも御紹介してございます。
 ちなみに、27ページ、28ページでございますけれども、動画のシリーズを書かせていただいております。28ページにありますとおり、総視聴回数は昨日の12時時点83万回以上となってございます。ここにお示ししているもの以外にも字幕版とかダイジェスト版がございますけれども、そういったものを合計しますとこの回数となっているところでございます。
 次、災害への対応に進ませていただきます。30ページ以降でございます。
 31ページでございますけれども、非常災害対策の基準省令における位置づけでございまして、先ほどの感染症対策と同じように、施設サービス、通所系・居住系サービス、小規模多機能型居宅介護と認知症対応型共同生活介護、訪問系サービスと居宅介護支援等で縦に分けさせていただいておりまして、義務となっているものが○で書いているものでございます。非常災害に関する具体的計画の策定、関係機関への通報などの周知、定期的な避難訓練等でございます。
 32ページ目、33ページ目が、災害時における介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについてということでございますけれども、これも、32ページの上の1.にありますように、サービス事業所が被災したことにより、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合は、介護報酬との減額を行わない等の柔軟な取扱いを可能としているものでございます。
 34ページ目に進ませていただきます。直近で申し上げますと、令和2年度7月3日からの大雨ということで、九州で発生しました災害に対してこういったことを適用したということでございます。
 また、それ以降は、予算事業の御紹介でございまして、被災高齢者等の把握事業。
 36ページ目に参りまして、今年7月の豪雨の医療・介護の一部負担金・利用料の免除等に係る特別対策などを行っているところでございます。
 37ページ目には、災害復旧費補助金でございます。
 その後、38ページ目、39ページ目、40ページ目まで、各種予算を御紹介してございます。
 次に、国土交通省の施策になりますけれども、41ページ目でございます。開発許可制度の概要でございます。
 42ページ目にその変更の概要をお示ししてございまして、災害レッドゾーンにおける開発の原則禁止でございます。上の四角は現行でございますけれども、例えば、そのレッドゾーンにはこうした4つの●がありますが、これは原則含まないこととなってございます。これは見直しの案ということで、令和4年4月施行予定でございますけれども、左側を見ていただきますと、自己の業務の用に供する施設の中に、病院、社会福祉施設などが書かれてございます。開発はレッドゾーンを原則含まないことと改正されるものでございます。
 3.介護サービスの安定的・継続的な提供でございます。
 44ページでございます。介護サービスの安定的・継続的な提供について、まず、1つ目の四角がございますけれども、感染症や災害が発生した場合でも、必要なサービスが安定的・継続的に提供されることが重要であるということでございまして、下の図にありますように、介護報酬や運営基準等による対応、予算事業による対応等を組み合わせまして、総合的に取組を進めることが必要ということでございます。下の絵は、今、申し上げた、介護報酬、運営基準、予算事業、その他といった全てものが重なって、安定的・継続的な提供を支えていくべきものであろうということをお示しするものでございます。
 45ページ目は、新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドラインがBCPで例としてお示ししているものでございます。
 論点に進ませていただきます。48ページ目、最後のページでございます。論点といたしまして、今般の新型コロナウイルス感染症や昨今の自然災害における介護サービスの被災状況等も踏まえ、感染症や災害が発生した場合であっても利用者に対して必要な介護サービスが安定的・継続的に提供される体制を構築していくため、日頃からの発生時に備えた取組や発生時における業務継続に向けた取組を推進する観点から、現行の運営基準等も踏まえて、どのような方策が考えられるか。各事業におきまして、災害や感染症が発生した場合でも業務を継続していくための業務継続計画(BCP)の策定を進めていくために、どのような方策が考えられるか。災害発生時や新型コロナウイルス感染症への対応における介護報酬の臨時的な取扱いについて、災害や感染症への対応力強化や生産性向上等の観点から、ICTの活用をはじめ、平時からの取扱いとすべきものについて、どのように考えるか。
 以上の論点でございます。
 それでは、資料4を用いまして、地域包括ケアシステムの推進について資料を御説明してまいります。
 まず、1ページ目でございます。<基本的な考え方>として、1つ目の○でございます。尊厳の保持と自立支援という介護保険の原点に立ち、利用者視点の議論が必要。加算についても、加算算定を目的とするのではなく、本人の自立や尊厳の保持にどのようにどのようにつながっているかという視点で検討が必要ではないか。制度設計の視点から、基本報酬部分ではどのようなサービス提供となっているのか、各種加算については効果検証によるきめ細かい施策の対応が必要ではないかという意見がございました。次の下の<サービスの整備>の1つ目の○では、介護サービスの整備を進めるに当たっては、2025年や2040年以降の介護需要を見据えつつ、地域医療構想による医療提供体制の改革と一体的な議論が必要。最後の<看取りへの対応>の部分では、人生の最後まで、どう尊厳が保持され、本人の意思がいかに尊重されるかということが非常に大事という御指摘がございました。
 2ページに進ませていただきます。2ページの真ん中辺りでございます。<各サービス等における対応>でございますけれども、1つ目の○では、在宅での生活を継続するためには、在宅医療の提供が不可欠であり、継続的な訪問診療、訪問看護に加え、訪問介護を必要に応じて導入するとともに、生活機能の維持・向上を図るリハビリテーションを進めていくことが重要といった意見がございました。
 3ページに進ませていただきまして、<認知症への対応>では、認知症の方が増えている中で、横断的な事項として「認知症」を検討すべきではないか。住民の認知症への理解は不可欠であり、例えば、介護事業所等における住民主体や住民を巻き込んだ取組を積極的に促すことも考えられるのではないか。<専門職の関与>の中では、認知症ケアの充実や看取りに関し、専門性の高い看護職が取り組むことができる報酬体系の整備が必要ではないかといった御指摘があったところでございます。
 4ページ目に進ませていただきまして、<地域の特性に応じたサービスの確保>という観点では、条件不利地域になどに住む高齢者が置き去りにならないよう、いかなる地域においても、人材確保を含め、必要なサービスを継続的に受けることのできる施策展開が必要で、今回の改定でもしっかり議論すべき等、以下にあるような御意見を頂いているところでございます。
 それでは、各論に入りまして、1.医療・介護の連携と看取りへの対応でございます。5ページ目以降になります。こちらは、第1ラウンドでお示ししたものも何枚かスライドとしては交じっておりますけれども、説明させていただきたいと思います。
 6ページ目、年齢階級別の要介護認定率でございますけれども、年齢が上がると認定率も上がっていくこと、また、お1人当たりの介護給付費も、85歳以上、90歳以上になりますと増加してくるということをお示しするものでございます。
 7ページ目でございますけれども、全年齢を通しまして、基本的には在宅サービスの割合が多いのですが、年齢が上昇するにつれて、施設サービスの割合が上昇し、特に85歳以上になるとその上昇割合が高いというところでございます。
 8ページ目は、各サービス類型の要介護度の割合でございます。
 9ページ目は、これは介護費ではございませんが、医療でも同じような傾向が見られるということをお示しするものでございます。
 10ページ目は、死亡者数の将来推計でございまして、2040年頃に死亡者数のピークが見込まれる。2040年と2015年を比べますと、約39万人/年の差が推計されているというもの。
 11ページ目でございます。こちらは、右側の死亡の場所の推移を見ていただきますと、病院、医療機関での死亡の割合が今でも依然として高いわけでございますけれども、一方で、近年はその割合は減ってきておりまして、一方で、老人ホーム等でお亡くなりになる方の数が増えてきているということをお示ししているものでございます。
 12ページは、介護保険3施設の入所者・退所者の状況でございまして、老人福祉施設、老人保健施設、介護療養型医療施設で、それぞれのどのような退所の割合になっているか。特に老人福祉施設や介護療養型医療施設では、死亡の割合が高いということをお示ししてきているものでございます。
 次、13こま目は、こうした傾向でございますけれども、高齢者向け住まいにおきましても、「死亡による契約終了」が最も多くなっているということをお示ししているものでございます。
 14ページでございます。こちらは、認知症グループホームにおける加算の算定状況と看取りの状況でございますけれども、右側の円グラフがございますが、こちらはそのグループホームの事業所で看取りまでを行った方が2割程度いらっしゃるということ。
 15ページは、看多機でございます。看多機で死亡された方ですけれども、事業所内という方が6割を超えていたということでございます。
 16ページは、小多機でございます。安定期から死亡まで通じて事業所が関わったケースは約5割だったということでございます。
 17ページ目、こちらは老人保健施設の報酬の体系をお示ししているものでございます。
 18ページ目、こちらは中重度の在宅要介護者や、居住系サービス利用者の医療ニーズへの対応でございまして、平成30年度改定でこのようなことを行ったと、看護体制強化加算の充実とか、医療連携体制加算の拡充といったことを行ってきたということでございます。
 一覧にしておりますものが、19ページ、20ページでございます。
 また、その算定率が21ページにございますけれども、算定率に関しましては、低いものから一定程度あるものまでばらつきがございます。
 22ページ目、こちらも前回改定でございますけれども、特別養護老人ホームにおきまして看取りを行うことに関しまして、その評価を拡充したことを示すものでございます。
 次、23ページ目は、居宅介護支援でございますけれども、ターミナルケアマネジメント加算を新設したというもの。
 24ページ目、こちらも前回改定で人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインの内容に沿った取組を行うことを明示しております。
 次、看取りに関する加算が25ページ目にございます。
 その算定割合が、26ページ目にございます。
 27ページ目以降が、医療・介護の役割分担と連携の一層の推進でございます。27ページ目は、30年度介護報酬改定におきまして、居宅介護支援におきまして、より医療と連携するようなところを評価しているような、そういった改定が行われてございます。
 28ページ目でございますけれども、入退院時にケアマネさんと病院の連携を評価する加算を体系化したものでございますけれども、これはいわゆる居宅介護支援事業所の加算でございますが、今回の議論といたしましては、いわゆる施設にいらっしゃる、あるいは、内マネさんと言われるような方々の報酬についてどのように議論するのかということでございます。
 進ませていただきまして、論点に行かせていただきます。33ページでございます。医療・介護の連携と看取りへの対応という論点でございます。<論点>、今後、医療ニーズが高い高齢者の増加が見込まれる中で、医療と介護の役割分担と連携を進めながら、それぞれのサービスの役割や機能を踏まえつつ、各サービスにおける医療ニーズや中重度者への対応の強化や、施設・居住系サービスと訪問系サービスの役割分担と連携を推進していく観点から、どのような方策が考えられるか。看取りへの対応として、それぞれのサービスの役割や機能も踏まえた対応の充実や、人生の最終段階においても、利用者の尊厳を保持し、本人の意思に沿ったケアを進める観点から、どのような方策が考えられるか。まずは、このような論点とさせていただいております。
 それでは、何名かの委員から音声が聞き取りにくいというコメントが入っておりますので、一旦ここで切らせていただきまして、事務的に環境の確認をさせていただくということで、分科会長、いかがでしょうか。
○田中分科会長 音声が聞き取りにくいというメッセージがたくさん来ていますので、対応をお願いします。ほかの委員の方々、しばしお待ちください。調整をいたします。
○眞鍋老人保健課長 先生方、老人保健課長でございます。
 システムの不具合で、申し訳ございません。今、チャットでお伝えしておるところでございますけれども、分科会長の指示によりまして、10分程度、ここで休憩を取らせていただきたいと思いまして、その間、システムの調整をさせていただきたいと思います。聞こえていらっしゃる先生は、これで御確認ください。また、そうではない先生方、聞こえにくい先生方も、チャットで御確認いただければと思います。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 御心配をかけましたが、直ったようなので、再開いたします。
 課長、説明を続けてください。
○眞鍋老人保健課長 ありがとうございます。
 御心配、御迷惑をかけまして、大変失礼いたしました。事務局としてお詫びを申し上げたいと思います。
 それでは、資料4の続きからで恐縮でございますけれども、御説明をさせていただきます。
 ページ数で申し上げますと、34ページ以降、認知症への対応力強化の部分からでございます。
 まず、35ページでございますけれども、認知症施策の総合的な推進について、こちらは昨年6月に取りまとめられました認知症施策推進大綱の概要をお示ししているものでございます。これまでも新オレンジプランということで取り組んできているところでございますけれども、それを大きく組み替えまして、認知症施策の閣僚会議の決定でございまして、右側にありますような具体的な施策を5つの柱に取りまとめ直しているものでございます。
 その概要でございますが、36ページ目、37ページ目、38ページ目でお示ししております。抜粋でございます。
 39ページ目が、平成30年度の介護報酬改定で認知症に関係する加算に関しまして幾つか拡充しているものをお示しするものでございます。
 40ページ目が、その設定状況。
 41ページ目が、その加算の算定状況でございますけれども、こちらも低調なものから一定程度算定されているものでございます。
 42ページ目から45ページ目までが認知症に関連した加算の概要でございます。ここは、御覧いただければと思います。
 46ページ目に進ませていただきます。認知症高齢者のサービスの利用割合でございます。認知症高齢者の日常生活自立度II以上の各サービス利用者の割合を見ますと、認知症に特化したサービス以外では、老人福祉施設、介護療養型医療施設、地域密着型の老人福祉施設で9割以上の方がII以上ということでございます。
 47ページ目は、この後に出てまいりますBPSDに関しまして提案をお示しするものでございます。中核症状と行動・心理症状でございます。
 48ページ目は、BPSDプログラムをお示しするものでございまして、東京都で取り組んでいるものの例でございます。スウェーデンのケアプログラムを基に、日本版のBPSDケアプログラムを開発している。こちらは、アドミニストレーター研修を受講した者を中心に、症状やニーズを「見える化」し、具体的な計画を立て、チームで統一的なケアを行っていくものでございます。
 49ページ目に、この検証事業を老健局でやったわけでございますけれども、こちらで効果が見られているというものをお示しするものでございます。
 50ページ目、こちらはNPIの評価尺度でございます。
 この検証事業の中で、51ページにありますような意見を頂いているということでございます。
 東京都におきましては、これを基に実行プランが設定されていることをお示ししてございます。
 53ページ目でございますけれども、このBPSDへの対応に関する各種意見でございまして、こちらは8月に行いましたヒアリングの中から関連する意見を抜粋しております。
 54ページ目、55ページ目でございますけれども、こちらは介護保険法に規定する介護サービスの情報公表制度でございます。こういった情報が公表されているということでございます。
 56ページ目でありますが、認知症ケアに携わる人材育成のための研修でございます。上の四角にありますけれども、現在、幾つかの研修を行ってございます。これらのことに加えまして、今年度からは市町村が配置しますチームオレンジのコーディネーターに関する研修を実施しております。それは、56ページ目の右下の赤でハイライトをしている部分でございます。
 57ページ目でございますけれども、介護従事者等の認知症対応力向上の促進でございまして、左側には認知症介護指導者養成研修、実践リーダー研修などの体系をお示ししてございますが、その右側に認知症介護基礎研修がございます。この矢印の下に目標とございまして、介護に携わる全ての職員の方々に受講していただくことを目標としているということでございます。
 全ての方々にということを、58ページ目でございますけれども、これは先ほど申し上げました認知症施策推進大綱の中にもそのような記載があるということでございます。
 59ページ目、60ページ目が、その研修の概要でございます。
 61ページ目に進んでいただきまして、介護職員の資格を並べてみたときに、無資格であるという方に関しましては6.1%でございます。この方々をターゲットにこの研修を受けていただいてはどうかという御提案をしたいと考えてございます。
 62ページ目から65ページ目は、都道府県ごとに見た研修の修了者数を一覧にしたものでございます。
 そういうことで、67ページ目、論点でございます。今後、認知症の人が増加していくことが見込まれる中、施設においても、在宅においても、認知症の人本人の意思決定を基本として、それぞれの状況に応じて適時・適切な医療・介護等が提供されることが求められる。特に在宅の中重度の要介護者も含めた認知症対応力を向上させていくことが求められるが、こうした観点から、認知症関連加算の算定状況や在り方について、どのような対応が考えられるか。また、在宅や施設で生活する認知症の人のBPSDの発症を予防したり、重症化の緩和を図る観点や介護現場の負担を軽減する観点から、的確なアセスメントや認知症の人本人の視点を重視したケア手法の標準化を図るため、どのような具体的な取組が考えられるか。また、定期的なアセスメントを通じて、科学的に効果が裏づけられた質の高い介護の実現につなげていくことが考えられないか。さらに、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、できる限り認知症症状の進行を遅らせ、BPSDの予防を進めていくとともに、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させることが求められるが、どのような取組が考えられるかという論点にしております。
 最後の項目でございます。地域の特性に応じたサービスの確保でございます。
 69ページ目、70ページ目、71ページ目でございますけれども、今後、後期高齢者、また、85歳以上の方が増えていきますということをお示しするものと、71ページ目でございますけれども、こちらは、地域によってその高齢者が増える時期にかなりばらつきがあるということ、また、そのインパクト、数の大きさにもばらつきがありますよということをお示しする日本地図でございます。
 72ページ目でございますけれども、こちらは地域差の反映でございまして、介護報酬におきましては、法律上、事業所が所在する地域等も考慮した、サービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定することとされておりまして、次の○でございますけれども、従業者の賃金は地域によって差がある。この地域差を介護報酬に反映するために、「単位」制を採用し、サービスごと、地域ごとに1単位の単価を設定しております。その下に、それぞれ地域区分ごとにどれぐらい上乗せをしているか、その上で、介護サービスのマル1、マル2、マル3の中に分解していきまして、1単位単価が幾らであるかということをお示ししてございます。
 73こま目でありますけれども、こちらは介護サービス関連施策の中山間地域への配慮でございます。特例が幾つかございます。また、中山間地域等に対する報酬における評価、離島等地域における特別地域加算に係る利用者負担額軽減措置、離島等サービス確保対策事業といったものがございます。
 74ページ目でございます。こちらは、中山間地域等に対する報酬における評価で、こちらは、先ほど、マル1、マル2、マル3と御説明申し上げましたが、それぞれの単位数が100分の15とか、100分の10、100分の5のように加算されるわけでございますが、それが適用されているサービスを一覧にしてございまして、マル3の措置でございますけれども、認知症デイケアに関しては今のところ対象となっていないということについてどう考えるかということでございます。
 以降、これが平成30年度改定の内容でございまして、前回改定では、この地域による加算につきまして多くのサービスを対象としていることを御説明させていただきます。
 79ページ目以降でございます。こちらは、サテライト型施設・事業所の基準・報酬でございます。79ページ目、80ページ目、81ページ目から84ページ目まで、それぞれサテライト型という類型を設けられているものが各都道府県でどの程度設置されているか、できているかということを、こちらは都道府県別にお示ししているものでございます。
 85ページ目でございます。前回改定の審議報告の中に○がございまして、この都市部や中山間地域等のいかんにかかわらず、本人の希望する場所で、その状態に応じたサービスを受けることができるようにする観点から、どのような対応を図ることが適当なのか、引き続き、検討していくべき。昨年取りまとめられました介護保険制度の見直しに関する意見におきましても、その下の四角で囲っておりますけれども、(看護)小規模多機能などのサービスの整備を進めるとともに、既存の施設等による在宅支援を強化していくことが必要であるという記載がございます。
 また、86ページ目、こちらは地域包括ケア研究会報告書の抜粋。
 87ページ目以降が、地方からの過疎地域等の取扱いに関する提案でございます。87ページ目が、こちらは小規模多機能型居宅介護につきましては、一定の状況を満たす場合に、登録定員を超過した場合の介護報酬減算を一定の期間に限り行わない措置を講ずることについて検討してほしいというもの。
 88ページ目でございますが、上の四角は訪問看護ステーションごとに置くべき看護師等の員数を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へ、その下側の四角でございますけれども、こちらは小規模多機能型居宅介護について、厚労省令により、登録定員と1日当たりの利用定員に上限が設けられているけれどもということでございますが、普及に向けて「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へというもの。
 89ページ目、こちらはICT等の活用による介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の人員に関する基準の緩和を求めるものでございます。
 90ページ目でございますけれども、こちらは特別養護老人ホームの基本報酬について、定員規模別にならないかといったものでございます。
 こうした資料を踏まえまして、論点として、93ページ目、最後のページでございます。論点といたしまして、地域の特性に応じながら、都市部や中山間地域等のいかんにかかわらず、各地域で質の確保された必要なサービスを確保していく観点から、地方からの提案も踏まえつつ、どのような対応が考えられるか。このような論点を出させていただいてございます。
 資料の説明は、以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 途中、心配しましたが、お手元に資料があったので御覧になれたと思います。
 ただいま説明を承った事項について、御意見及び御質問があれば、お願いいたします。
 伊藤委員、手を挙げていらっしゃいますか。お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
 あまり説明がなかった資料2で、改めてこのようにこれまでの意見をまとめていただきましたら、人材確保のために処遇改善が必要だという点についての記載が、いかにもあっさりといいますか、そういう文脈では書かれていないということに驚きました。これでは、介護離職ゼロ社会の実現は道半ばで終わってしまうのかという失望感を非常に感じてしまいます。現場で働く人たちに非常に心配をかけていくことになります。現場からはこの処遇改善について非常に強い期待があります。今でも、「コロナで、少し体調が悪くても、パートだから収入が減ってしまうという不安と感染させたらいけないという葛藤の中で一生懸命働いている」「人員を減らしていて退職者も出ているのに、現場からは稼働率を上げろというような無理な筋を言ってくる。残業をするなと一方で言われる」といった声や、こういう矛盾の中、「会社の使い捨ての駒でしかない、上の人は下を全く見ていない、数字しか見えていない、そんなものだよ」という、非常にむなしさを感じている声が届いております。ぜひさらなる処遇改善が人材確保のためには必要だという点について、明確に意見があったことを資料に書いていただいた上で、今後の議論をさせていただきたいと思います。
 今日の論点なのですけれども、まず、感染症や災害への対応です。5ページ、施設サービスや通所系・居住系サービスでは規定されている感染症の発生または蔓延の防止ということが、訪問系サービスについては今のところ義務として課されていないという点です。現場では最大限そうした感染予防・防止に取り組んでいるわけですけれども、居宅を巡回していくといった特徴を踏まえた感染防止対策の強化は必要ですので、それを担保するためには報酬に結びつくような対応が必要だと思いますし、そのための義務化ということについては、考える必要もあるのではないかと考えます。
 また、7ページのところで、訪問介護員の資格がない者でも一定の要件のもとで訪問介護員として従事可能としていることを、現在、コロナの特例として行っている点については、ほかの方もおっしゃっていましたけれども、サービスの質の点と一般のお宅を訪問するという意味の倫理観が求められるということも踏まえ、この点については一般化することは非常に問題があると思っております。
 8ページのところで、通所系サービスやショートステイなどで、利用者からの同意が得られた場合に高い報酬を算定してもいいという点について、この間、議論になっておりますけれども、現場からも、やはり大変不公平感があるとの声や利用者と事業者の間でトラブルにも発展しているということが伝わってまいりました。サービスの対価ではない料金を利用者から徴収することは非常に問題が大きいので、公費による支援を含めた対応に切り替えていくことが必要だと思います。
 31ページのところで、非常災害対策ですが、こちらも訪問系サービスや居宅介護支援について、実際にあらかじめ利用者を避難させるといったことや、非常時の物資の購入などの形で支援をしているケアマネがいることを聞いておりまして、こういうような対応を取ったときの報酬の在り方を考える必要があると思います。ただ、この災害については二次被害もあり、避難への誘導を行うことによる被害が拡大する場合もありますので、そういった点も含めた検討が必要だと思います。
 それから、地域包括ケアシステムの推進につきましては、地域の特性に応じたサービスの確保について意見を申し上げます。4ページにこれまでの意見として、通所介護の送迎や定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、地域特性を踏まえた報酬にすべきといった意見が出ていますが、それはそれで検討が必要だと思っておりますけれども、訪問介護など居宅系サービスの移動時間を含めた横断的な検討をぜひ行う必要があると思っています。
 資料の最後のほうに出てきます過疎地域等の取扱に関する地方からの提案に関してです。87ページ以降、小規模多機能について、登録定員を超過した場合の減算をしないといったことや、訪問看護ステーションを「参酌すべき基準」にするなど、こういったことは地域密着サービスの適切な提供とかサービスの質の確保という点で心配するところが多分にありますので、十分に慎重に検討していただきたいと思います。
 最後に、89ページのところですけれども、介護老人福祉施設や介護老人保健施設のICTを活用した場合の人員基準の緩和です。前にも申し上げていますけれども、ICTを活用したとしても業務自体がなくなるわけではないので、こういったICTの活用に際しては、人員基準の緩和という形ではなく、加算を行うことによってその推進を図るということで、人材確保対策と相殺するようなことがないようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○田中分科会長 御意見をありがとうございました。
 小玉委員、小泉委員、お願いします。まず、小玉委員。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 まず、初めにこれまでの分科会の議論をこのようにおまとめいただきまして、また、新型コロナウイルス感染症拡大防止の上で会議開催等、今日もいろいろいとございましたけれども、そのようなことに迅速に対応していただいております事務局に対して、心より敬意を表するとともに感謝を申し上げたいと思います。
 本日は、私からは感染症や災害への対応力強化について、意見と要望を申し上げたいと存じます。
 資料3の48枚目にございます論点の最初の■の3行目に、日頃からの発生時に備えた取組についての方策をどうするかと示されてございます。感染症対策におきましては、新型コロナウイルス感染症だけではなく、季節性インフルエンザに対しても、手洗い、うがいと併せて、歯磨き、舌磨き、やや強めのうがい、口の中の乾燥の防止を、介護保険の利用者の皆様方だけではなく、国民の皆様お一人お一人に励行していただきたいと思っているところでございます。
 また、災害時には、被災された方々への健康支援として、避難所等での口腔ケアも含めた口腔衛生管理が極めて重要と考えます。すなわち、誤嚥性肺炎による災害関連死の予防が重要でございます。1999年の口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防の知見とか、災害時の歯科医師会や大学歯学部などによる組織的な対応の成果もございまして、肺炎による震災関連死者数は、1995年1月発災の阪神淡路大震災の223名から、2004年10月発災の新潟中越地震では8名と大幅な減少につながってございます。この分科会での議論を踏まえましてこれから本格的な議論が行われとると承知してございます第8期介護保険計画におきましては、感染症や災害に備えた備品・備蓄品リストの中に、ぜひとも、歯磨き剤、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、舌ブラシ、また、入れ歯保管用の義歯ケース等の口腔衛生用品を加えていただきたいと要望したいと思います。
 また、本日の意見の取りまとめにも入れていただきました口腔スクリーニングや口腔衛生関連の充実に関連いたしまして、介護施設等の職員の皆様への口腔ケアの研修等もぜひ義務づけていただけたら幸いに存じます。
 日頃から、平時から口腔ケアの質の向上を目指していただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、同じく、48ページ目の3つ目の■には、ICTの活用をはじめ、平時からの取扱いとするものについて、どのようなものであるかということが示されてございます。介護サービスの質の向上や効率化のためには、他職種との連携の強化が必要でございます。現在のICTの活用による情報共有のシステムをさらに一層活用しながら、より使い勝手のよい通信機器とかソフト等の開発が必要と思います。また、歯科におきましても、これから介護報酬上での歯科医療職によるオンライン対応による評価に向けた議論をぜひ進めていただきたいと要望するところでございます。高齢者の皆様や要支援・要介護状態の利用者様への新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも、安心・安全につながる対応だと思います。
 定期的な口腔健康管理、口腔衛生指導による療養生活の質の向上、また、現場から離れていても、例えば、施設でのミールラウンドでの食形態や摂食、そしゃく、嚥下状態の確認、また、地域ケア会議等への参画、また、地域支援事業の短期集中予防サービスの取組への活動等、利用者様を中心といたしました介護サービスの質の向上と効率化につながるものと考えますので、これらの点につきまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○田中分科会長 御要望と御意見をありがとうございました。
 小泉委員、どうぞ。
○小泉委員 ありがとうございます。
 全国老人福祉施設協議会でございます。
 感染症の対応について、まず、施設における感染症の対応といたしましては、指針の作成や委員会の設置について、現在、規定されているところでございますが、さらに新型コロナウイルス感染症における対応についても指針や委員会の協議内容に加え、研修の実施、手順書等の作成を促していくべきと考えております。地域でのパンデミックも踏まえて、クラスター発生時の専門家の派遣等の受入体制、各事業所における感染防護用品の調達計画、同一法人内や他施設等からの応援派遣等の体制整備等を新たに設けてはどうかと考えます。地域全体で感染を押さえていく視点が重要となりますので、7月21日に発出されました自主点検のような形で各事業所にてチェックをし、自治体も含めた体制構築が必要と考えています。在宅系サービスにおいても、一定程度の対応は不可欠と考えております。
 次に、災害への対応でございますが、災害対応として、事業継続計画は、その事業所において起こるリスクを想定し、事業継続のための手段を作成しておくべきと考えます。BCPについては、令和2年3月調査で、高齢者施設において作成済みと回答した施設は29%であります。さらに、専門的な知識がないために策定しなかったと回答した事業者が約3割存在しております。基本報酬で事業所の継続的な取組を促し、一般会計においてこうした専門家に係る費用を助成する等、多面的な対応が必要と考えます。感染症、災害、どちらも発生して必要な介護サービスが安定的かつ継続的に提供されることを念頭に作成されるべきと考えます。この2点につきましては、基本報酬で評価をすべきと考えております。
 次に、医療・介護の連携と看取りへの対応について、医療と介護の連携については、情報提供や取組を推進するに当たり、お互いにメリットがなければスムーズに進まないと思われますので、連携に対して双方に対価が支払われるようにするなど、双方にメリットのあるシステムが必要ではないかと思います。
 ここで質問でございますが、28ページの入退院の支援加算等の算定状況はどのようになっているのでしょうか。また、この図にある入院から退院までの流れの中で、その算定の実績にどのような特徴があるのか、医療・介護の両面で分析しているものがあれば、情報としてお知らせいただきますと幸いでございます。
 また、ACPの取組は着実に推進していくべきと考えております。これは前回も申し上げましたので、そこでとどめておきます。
 最後、認知症への対応力の強化でございますが、今後増加する認知症高齢者について、在宅、事業所、施設における対応が急務であると思われます。現段階では、進行を遅らせる薬もしくは個別の症状に対しての薬しかなく、根本的な治療薬もないので、認知症高齢者に対するケアは環境整備による対応しかないとされております。今回、48ページ以降にBPSDケアプログラムへの取組が記載されています。認知症ケアについて一歩踏み込んだ形で検討いただけることは大変ありがたいことと思います。
 53ページに、全国老施協の意見を記載していただきました。私どもも数年にわたってどうすればBPSDで落ち着かせることができるのか調査を重ねてまいりましたが、御利用者の生活背景を踏まえた関わりや、栄養、排せつケア、減薬等による対応で状況は随分落ち着くことがございます。そのような現場での取組を評価していくという観点で、精神科医や協力医療機関等の医師による脳疾患の識別診断による連携や認知症に関する情報の提供に関する取組を評価する。また、BPSDケアプログラムを参考に、多職種連携による観察・評価、背景要因の分析、ケア計画への反映、実行というストラクチャー・プロセス評価を勘案する。NPIの導入による状態像の変化や減薬調整によるアウトカム等を考慮する。このような形で評価方法を取り入れてはいかがかと考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 資料4の28ページに関する質問にお答えください。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 資料4、28ページ目の算定状況等についてのお尋ね、さらに、その実績の特徴、あるいは、医療・介護両面での分析についてのお尋ねでございました。
 まず、入院時情報連携加算I、IIでございますけれども、こちらの算定率につきましては、合計で5割程度になってございます。左下の退院・退所加算につきましては、合計で3割程度の取得状況になってございます。それと、真ん中の左下でございますけれども、グループホームにつきましては、入院時費用は、事業所ベースでは、実績というか、データがないということでありますけれども、初期加算につきましては、こちらも5割程度の算定率になっているといった状況でございます。
 入退院時の情報連携加算につきましては、入所系のサービスと比較しまして医療機関との連携が難しいという指摘がある中で、診療報酬、介護報酬の両面から評価するということで連携を進めているものでありますので、利用者の希望に応じたサービス提供につながっていると考えておりますが、実績や分析、特徴は、なかなかお答えするのが難しいのですが、入退院時情報連携加算についてのみお答えすると、例えば、平成27年から順次データを取っていきますと、27年時点では31%程度でございますので、先ほど申し上げた令和元年4月現在で5割ということでございますので、上昇傾向にはあるということで、報酬上の観点からの連携は進んできているのではないかと考えているところでございます。
○小泉委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 お答えは以上ですね。
 安藤委員、井上委員、お願いします。それから、大西委員、東委員、皆さんが手を挙げているのが見えました。
○安藤委員 ありがとうございます。
 私からは、資料4、包括ケアシステムの推進について、意見を述べさせていただきます。
 資料4の89ページに、過疎地域における地方からの提案として、ICTを活用して業務を効率化した場合の人員基準の緩和が挙げられております。先日のヒアリングにおきましても、事業者団体等の皆様からも、人員基準の緩和に関わる御意見があったと記憶しております。介護人材不足は、過疎地域では特に大変な状況にあるとお察ししますし、今後、さらに後期高齢者が増加していくことを踏まえますと、全国的にも危機的な状況にあると思います。
 これまで厚生労働省や現場の皆様の御努力により、少しずつロボットやICTの普及を図ってきていただきましたが、今後、さらに御活用を促進していくためには、介護事業所にとってより直接的なメリットを提示していくことも重要であると考えます。そのためには、介護の質を確保することが大前提ではありますが、過疎地域も含め、ロボットやICTを活用した場合の人員基準の緩和等を検討していく必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 まず、今後の進め方について、分野横断的なテーマとして「感染症や災害への対応力強化」を含めるにことにつきましては、このコロナの時代あるいは今の災害多発の現状に即した内容でありまして、賛同いたします。
 資料の中の分野横断的テーマの中に、「制度の安定性・持続可能性の確保」が掲げられていることは改めて評価いたしますが、この分科会の審議プロセスとして基本となっているのがやはり事業者の皆様からのヒアリングでございますので、なかなか制度を重点化するとか効率化するという提案が出にくいと考えております。私ども、企業経営に近い視点からしますと、この分科会で議論されている項目がどのようにその介護サービスの質の向上につながって、それがどのように保険料とかほかのものに影響が出ていくのかということが見にくいと感じております。なかなか議論の段階で影響を見積もるのは至難の業だとは思いますけれども、サービス、ベネフィットの質の向上と、それを裏づけるための報酬制度、裏返せば、被保険者をはじめとした保険料の負担のバランスの視点がなくては、やはり制度は回っていきませんので、よくよく事務局でその経営者視点を持っていただいて吟味をしていただき、プラスする項目があれば同時にマイナスにする部分というのはないのか、あるいは、既に政策誘導の役割が終わった加算制度に整理・統合していくものはないのかという、スクラップ・アンド・ビルド、制度の簡素化という視点も含めて、今後、整理をしていただきたいと思います。
 2番目に、感染症や災害への対応力強化でございますが、コロナによって、我々産業界でも、業種によっては売上が前年比でも9割減という業態もあるわけでございます。一義的には各社の努力で何とか事業継続を図っているというのが基本となっておりますけれども、しかし、この社会保障制度、公的介護保険制度というのは国民のセーフティーネットでございますので、安心してサービスを受けられる体制を確保していくことが重要でございます。ただ、その財源に関しましては、コロナであっても、災害であっても、平時の保険制度で想定しているような保険対象を超える事象であると思います。したがいまして、保険料ではなくて、公費など別の財源で対応していくことを基本として考えていくべきではないかと思います。また、今回、介護報酬の臨時的な取扱いにつきまして、これは臨時的なものとして導入されたものでございますので、感染症が終息した段階で一旦元に戻して検証してみるということが基本になると思います。検証を経て仮に評価が必要となった場合、介護事業者による感染症・災害対策について、一律に基本報酬で対応するということではなくて、サービスの質の低下につながらないような、一定の体制とか取組を行う事業者を対象として、効果を検証できるエビデンスを前提に加算制度をつくっていくことも考えられるのではないかと思います。ただ、一方で、ウィズコロナということでございますので、今後、恒常的に必要となる、いわゆるニューノーマルに係るような部分、例えば、ICT化とか、ロボットの活用等々につきましては、これはコロナでなくても進めるべき施策でございましたので、今回、コロナによって脆弱性がより明らかになったということで、急ぎ対応すべきであり、そのため、例えば、人員基準の見直しとか、非対面のカンファレンスの加算の算定要件の緩和等々につきましても、先に制度化していくことは考えられるのではないかと思います。
 最後に、認知症加算のところで、1点、質問というか、次回以降で結構なのですけれども、前回の改定で認知症加算を幾つかつけているわけですけれども、なかなか取得率が低水準にとどまっているというデータもございましたので、その理由につきまして、次回以降で結構でございますので、分かればお示しいただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 回答は次回にお願いすることにしましょう。
 大西委員、東委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
 まず、今後の進め方の中で、今回、分野横断的なテーマの一つとしまして「感染症や災害への対応力強化」を加えて、年末の取りまとめに向けて引き続き議論を進めることが提案されております。この感染症はもちろん我々にとりましても目下最大の課題でもございますし、度重なる災害への対応も苦心しておるところでございます。全国市長会でも、感染症、災害につきましては、これまでも様々な提案も行ってきているところでございます。そういう中で、介護分野でもさらなる議論を行い、その取りまとめが必要であるというのは当然でございまして、テーマとして加えるのは妥当であり、賛成するものでございます。
 2点目でございますが、その感染症や災害への対応力強化でございます。資料3の34ページに、ここ3年間の大きな災害の発生状況が示されておりますけれども、それを見ただけでも平成30年度以降で毎年大きな災害が発生しているのが分かるというものでございます。また、今回、新型コロナウイルス感染症の拡大ということでいろいろ対応策をしておるところでございますが、これらにつきましては、従来のインフルエンザ等の感染症につきましても同様にこれから秋から冬にかけて関心が高まっていくことが想定されます。これらに対応した介護サービスの提供体制の構築が求められるということかと思っております。この新型コロナウイルスの感染症の対応でございますが、今年度の国の1次及び2次の補正予算等におきまして様々な手厚い支援策も講じられております。今般の感染症の対応での経験や知見が対応力強化の検討に資するように、特に現場におけます支援策の効果等をきちんと検証していただきたいと思っております。そして、その上で、介護サービスの提供体制構築に向けた議論を進める必要があろうかと思っております。特にその中でも私どもが大事だと考えておりますのは、特にコロナの場合には、人との接触を避けなければならないということでございますので、より進めたデジタル化あるいはICT化といったことが一番大事かと思っております。介護事業所におけるICT化や介護ロボットの導入支援等につきましては、今回の補正予算等におきまして大幅に拡充されたところでございます。その拡充された予算案によるICT化の効果を、今後、きちんと検証いたしまして、その推進に当たっての方策や課題をきちんとまとめていくべきであると思っております。
 最後に、3点目でございますけれども、業務継続計画の策定についてでございます。施設系のサービス等では、災害時に備えまして、非常災害に関する具体的計画を作成いたしますとともに、避難訓練を実施することが運営基準として定められております。また、感染症対策として、感染症または食中毒の発生、蔓延の防止のための措置の実施等についても、これもまた運営基準上位置づけられているところでございます。一方、災害や感染症が発生した場合においての業務を継続していくための業務継続計画(BCP)の作成につきましては、運営基準上、現在のところ、明確な規定がなく、国において作成が推奨はされておりますけれども、先ほどからもお話が出ていますように、高齢者施設において策定率が29.7%とまだ低い状況でございまして、多くの事業所で策定が進んでいない状況でございます。先ほども申し上げましたとおり、自然災害が多発しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染が再拡大している状況でもございます。これらに備えたというか、これらに対応した業務継続計画が非常に重要である、その重要性が増してくると思っております。したがいまして、業務委継続計画作成の促進を目的として、この作成計画を努力義務とする等の規定を運営基準の中にぜひ設けていただきたいと思っております。
 私からは、以上3点でございます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございます。対応するだけではなく、事後的な検証も必要であると言っていただきました。
 東委員、お願いします。次に、石田委員。
○東委員 全老健の東でございます。
 意見を2点、発言させていただきます。
 まず、資料3の感染症や災害への対応力強化について、最後の48ページの論点に沿ってお話し申し上げます。今般の新型コロナウイルス感染症や昨今の自然災害等、大西委員もおっしゃったように、以前にも増して災害が増えている状況でございます。このような感染症や災害のようなリスクに対しまして、日頃からどのような対応や取組をしているかというのは、今、まさに求められていることだと思います。これに関しましては、私ども全老健が養成しておりますリスクマネジャー等、リスクの管理者をきちんと配置して、感染症や災害に組織的に対応することが必要になってくると思われます。そのうえで、これを運営基準に求めるということであれば、それに見合うだけの基本報酬のかさ上げ等、セットで考えていただく必要があると考えますので、よろしく御配慮をお願いいたします。
 次に、資料4地域包括ケアシステムの推進について、1点だけ申し上げます。67ページの論点、認知症への対応力を向上するための取組の推進について、意見を申し上げます。認知症については、今までのこの介護給付費分科会におきましても、もう少し認知症についてきちんと議論をする、対応をしていくことが必要ではないかと発言してまいりました。今回、この論点のところに、認知症対応力を向上させていくこと、的確なアセスメント、定期的なアセスメント等を通じて、科学的に効果が裏づけられた質の高い介護の実現ということを書いていただきました。ありがとうございます。まさしく、今、認知症への対応力を問われている時代だと思います。この認知症への対応をするときに、まず必要なものは、認知症の評価だと思います。現在、国が使っております認知症日常生活自立度という評価指標は、認知症の方の能力を見たものではありません。まさしく認知症の方がどれだけ迷惑をかけているかという迷惑度の指標でございます。これは、早急に改めるべきで、認知症の方の尊厳を踏まえた適切な評価指標に変えていただくべきだと思います。一方、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)というものも使われておりますが、これも単に記憶の能力を見ているだけにすぎません。認知症の方をきちんと評価するという意味では、コミュニケーション能力とか、オリエンテーション能力、意欲の指標であるバイタリティーインデックスとか、そのような指標を用いて、認知症の方が今持っている残存能力をきちんと評価した上で、的確な認知症への対応が必要になるのではないかと思っております。そのような認知症の評価を、今後、きちんと進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 今後の研究への期待でした。
 石田委員、お願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
 私からは、3点、申し上げたいと思います。
 1つは、先ほどから多くの委員の皆さんがおっしゃっているように、分野横断的なテーマで「感染症や災害への対応力強化」という項目が加わったという点です。これは大変重要なことなので、これが加わったことは評価したいと思います。
 その内容で、何人かの委員の皆さんもおっしゃいましたけれども、現在のコロナの状況は、臨時的な対応というのではなく、これは当たり前に原則的にあるという前提で対応していく対策が必要ではないか。災害もそうです。決して災害が来ないということはあり得ないので、原則あるということで、それに対応する仕組みづくりが早急に必要であると思います。内容にもありましたが、恒常的な体制づくりを前提として検討していく必要があるのではないかと思っています。その中で、現在も、これまでいろいろなヒアリング等の報告の中で、例えば、訪問介護事業所等の窮状が明らかになっております。こういったところの存続の危機を何とか救っていく、救済していくということを考えていく必要があろうかと思います。現在、事業所として事業展開しているところを決して一つも閉鎖させないという対応を考えていく必要があるのではないか。これが1点です。
 2つ目は、地域包括ケアシステムの推進の中における医療と介護の連携、看取りのところです。ここでは、多職種協働ということが既にほかの委員の皆様からも言われておりますけれども、大事なことは、これまでになかった、例えば、組織や機関を超えて、それをまたいで専門職の力が有効に発揮できるような仕組みが、これからは当たり前に必要になってくるのではないかと考えます。ただ、こうしたことはあまりこれまでになかったように思いますので、ここについては、新たな取組をしている、効果を上げている事例について評価していきながら、きちんとした体制をつくっていく必要があるのではないかと思います。よくこの会議でも出ている生活機能向上連携加算ですが、これは、効果は非常に高いと誰しもが認めるけれども、算定割合が低いわけです。その理由の中に専門職活用に関する困難さがあります。こういったことを参考にしながら、もっと連携がスムーズに進む形を考えていく必要があるのではないかと思っています。
 最後に、3点目は、地域特性で、離島や中山間地域におけるそれぞれの特別な状況についてどう考えるかということが出ておりました。ここのまとめにもありますように、小規模多機能型居宅介護で過疎地域において一定の条件を満たす場合は、登録定員を超過した場合の報酬減算を一定期間は行わない措置というのがありますけれども、こういった対応で果たしていいのかどうか。地域格差はこれからますます広がっていくと思いますので、この地域差を最初から前提としてこの対応策は考えていく必要があるように思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 3つの御意見をありがとうございました。
 武久委員、どうぞ。それから、今井委員、お願いします。濱田委員も気がつきました。
○武久委員 ありがとうございます。
 前回もお話ししましたように、過疎地での要介護者が都会の要介護者に比べて受けられる介護サービスにおいてかなり損しているという現状はありまして、それに対してお話ししましたもけれども、今回の資料4、68ページから地域の特性に応じたサービスの確保ということで大きなページを割いて検討していただいていることは非常にありがたいことだと思いますが、現実問題として、公的介護保険ですから、全国どこにいても同じような均一の介護保険サービスを提供するとうたっているわけですけれども、現状としては非常に厳しい。今回も、20%加算とか、15%加算とか、いろいろありますけれども、現状としては、現場では、件数が少なくなってきたり、アクセスが非常に遠いので、1件当たりの経費が非常にたくさん要るということで、過疎地ではほとんど赤字というのは当然であって、このようにお考えいただいていても、非常に厳しいだろうと。むしろ、2倍、3倍をもらってもなかなか厳しい状況であることは想定されますし、民間事業者は、日本は資本主義社会ですから、資本主義社会での勝者は、理論としては通る。つまり、株式の株主に対しては、赤字になるような行為をすることはマイナス行為となりますので、現実に非常に大きな利益を出している大手の介護事業所に損しても過疎地に行ってくれというのは、なかなか厳しいところがあると思います。そういうこともあって、そういう過疎地にいる要介護者に我慢しろと言うのか、地方役場の近くに住まうところをつくるからそっちに出てこいというのかは別として、辛抱しろというのは難しいので、提案として、皆様からはとんでもないと言われるかも分かりませんが、介護保険は公的介護保険ですけれども、過疎地に対しては一部昔の措置制度を導入して措置制度でやらないと、どこの民間事業者もボランティアとして義を見てせざるを勇なきなりとして行ってやろうというところがないと厳しい。かといって、過疎地にいる要介護者に対しては、こんなもので我慢しろと。これは介護保険の第一の目的に書いてあることに相反することにもなりますので、公的介護保険の中に一部措置制度的な制度を導入されてはいかがかということで、提案させていただきます。
 以上です。
○田中分科会長 大胆な提案でした。
 今井委員、お願いします。
○今井委員 民間介護事業推進委員会の今井でございます。
 私からは、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思っております。
 まず、1点目は、今後の進め方の中で、各事業の方向性に関しましては、これまでの給付費分科会において、その都度、意見や要望を述べさせていただきましたので、今後の進め方に関しましては、本日、厚労省の責任においてお取りまとめいただいている、これまでの意見を踏まえて具体的な検討を進めていただければと思っております。しかしながら、ただ1点、加算に関して、これまでも加算が多く事務が煩雑となっている、もしくは、加算の算定率が低いものがあまりにも多いという現状について、加算の仕組みが妥当だったかどうかということも含めて、述べさせていただきました。今回の報酬改定においては、算定率が高くサービス水準の定着が見込めるようなものは基本報酬に組み込んだり、算定要件を満たさないものを減算していくという方向性を整理してはどうか。また、効果が認められるものの算定率が低い加算については、要件そのものの見直し、これもこれまでに要望してまいりましたけれども、それを検討する、もしくは、算定率が低く、想定された効果も見込めない加算については、これまでの分科会での議論を踏まえて廃止していくという整理にしてはどうかという御提案を申し上げたいと思っております。しかしながら、今後の在宅での限界値を引き上げるための施策として効果が期待できるものについては例外的に加算を新設などの検討も必要であると思っております。
 2点目でございますけれども、地域特性に応じたサービスの確保という観点について意見を述べさせていただきたいと思います。論点に記載がございますように、地域の特性に応じながら、都市部や中山間地域のいかんにかかわらず、各地域で質の確保をされた必要なサービスを確保していく観点は極めて重要ではないかと思っております。しかしながら、例えば、生産年齢人口の急速な減少への対応については、介護報酬の地域区分といった報酬設定の引上げだけで対応していくには限界があるのではないかと思っております。今後を見据えては、個々のサービスごとに指定基準が示されて、事業所ごと、サービスごとにこれを満たしていかなければならない。こういったサービスの提供の在り方自体に抜本的な見直しが必要ではないかと思っております。効果的なサービス提供の在り方を検討していく必要があるという観点から意見を述べさせていただいております。
 以上、2点、長くなりましたけれども、介護保険制度の創設から20年目、節目の年の改定の動きであるところから、介護保険制度の原点である基本理念を踏まえつつ、整理すべきは整理、そして、今後につなげるべき対応について検討を開始していければということで、述べさせていただきました。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 濱田委員、どうぞ。その後、5分ほど休憩を取ります。ほかの方も手を挙げていらっしゃいますが。
○濱田委員 ありがとうございます。
 まず、感染症や災害への対応力強化について、意見を述べさせていただきたいと存じます、
 感染症拡大防止に向けた様々な施策につきまして御配慮いただきまして、この場を借りまして感謝申し上げます。ICTの活用拡大につきましては機器購入について様々な支援も頂いておりますが、その導入及び運用方法辺りが定着するまでその部分についてももう少し支援が必要かと考えております。感染拡大時は必要なサービスが受けづらく、また、代替するサービスにつきましても、例えば、休止に至らないまでも、一定の制限がかかって、なかなかサービスの調整に苦慮することが多いと言えます。御家族や介護者の方の健康状態や就労・就学等、また、例えば、高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦世帯等の家庭状況にも大きく影響を受けることがありまして、課題が複雑化することも少なくございません。そのため、今般、新型コロナウイルス感染対策として、様々な、例えば、資料3の9ページ、居宅介護支援に関する事項をはじめ、その他のこれまでの感染対策として発出されている取扱いにつきましては、その効果を踏まえて、可能であれば継続的に実施すべきものは実施するという検討をお願いできればと思っております。
 また、災害時につきましては、当協会としましても、被災者アセスメント支援に関して対応しておりますが、近年、頻発しております災害につきましては、日頃からの地域における減災や防災への備えが重要であり、これも地域包括ケアの一つの機能であると考えております。
 さらに申し上げれば、居宅で生活する要援護者への災害に関する周知や支援はなかなか困難なことが少なからずあるということもございます。このために、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所が市町村あるいは保険者の皆様と協働して平時から災害に対する備えについて念頭に置くことが有効と考えられまして、特に要介護者等、避難一つ取りましても、例えば、どのように避難所まで行くのかなどもございます。以上の状況から、防災・災害分野において必要に応じて適切な評価を受ける体制づくりが必要と考えております。また、先ほど緊急時の物資の搬送など、介護支援専門員が行う例ということで伊藤委員からも御意見を頂きましたけれども、地域包括ケアシステムが進展するにつれまして、ケアマネジメントにおいても、これをインフォーマルと呼んでいいのかどうか分かりませんが、インフォーマルなサービスを含む多様な社会資源をより意識的に活用するようになってきておりますので、今後、この点も適切な評価の検討をお願いできればと思っております。
 次に、地域包括ケアシステムの進展で、医療と介護の連携につきまして、先ほどもございましたが、入退院時の支援や通院時の情報共有や支援が重要であると思っておりまして、個別案件でございますが、小規模多機能居宅介護においても入退院時の支援が評価される仕組みがあると、地域包括ケアの継続性が高まることにも寄与するのではないかと考えております。
 また、認知症への対応力強化につきまして、認知症の利用者のBPSDを緩和させる介護方法は、これまでは個別支援で経験のある介護職員の方のベテランの技のようになっている事例はございますが、やはりこの辺りを体系的に確立していく必要があると考えられます。このため、今般、御紹介いただいております、例えば、BPSDプログラムの普及など、こういったことの横展開が図れるようにすることが重要と考えます。さらに、例えば、データ蓄積化ができて、ビッグデータで個々のBPSDに対応できる標準的なケア手法が解析し開発されるようなことを期待していければと思っております。こういった手法が各施設や事業所へ横展開が図られるようにすることが有益ではないかと考えておりますが、ただ、それぞれ介護の現場で働く職員の皆様方が意欲的に取り組めるような普及方策を考える必要があると考えております。認知症の方のBPSDへの対応やサービスの選択、ケア内容の検討につきましては、ケアマネジメントにおいても課題となることが非常に多いと考えております。効果的なケア、支援方法が確立し、また、そういったサービスが拡充することは、ケアマネジメントを含め、ケア全体にも大きな影響を与えることになると思っております。
 普及がなされるようにお願いするとともに、当協会におきましても必要な協力を行っていきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ここで5分間ほど休憩を取ります。休憩後は、藤野委員、椎木委員が先ほど手を挙げていらしたので、最初にお願いします。
 しばしお休みしてください。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 お待たせしました。再開いたします。
 藤野委員、お願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。
 感染症や災害への対応力強化について2点、地域包括ケアシステムの推進について3点、意見を述べさせていただきます。
 感染症や災害への対応力強化についてです。
 平成29年度にまとめられた福祉部会の報告書である「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」では、介護福祉士が身につけた能力が通常の日常生活における支援だけではなく災害時の支援にも有効なものであり、非常時における専門職としての役割の発揮も期待されるとあります。介護福祉士のアセスメント力と現場対応力は、平常時のみならず、災害時により一層求められていると考えます。また、災害時には、介護事業所も地域を支える資源となり得ますが、その機能を果たすためには、それを見越して物や人が担保されていなければならず、ぎりぎりの人員配置では自分の事業所のことで精いっぱいになってしまいます。災害時に資源となれる体制、環境整備が必要と考えます。
 2つ目です。今回、コロナの影響を鑑み、柔軟な特例措置が出されましたが、これに関しては、その評価を行い、今後につなげていくことが必要と考えます。
 次に、地域包括ケアシステムの推進についてです。
 今、述べさせていただきましたことと関連しますが、高齢社会、人口減少社会では、災害に耐えるまちづくりが必要であり、平時から意識して関わる必要があります。7月に起きました熊本の豪雨災害では、発災直後から地元の介護福祉士会も支援に入っております。その状況によりますと、高齢化率が50%を超えている地区では、もともと災害弱者が多く、若い人もいる場所等とは支え方も準備の仕方も異なるということです。地域包括ケアシステムでは、住まい、医療、介護、予防、生活支援に加え、これらの災害や感染症対策も、より地域特性に応じた形で、地域単位で具体的で細やかに準備する必要があると考えます。
 2つ目です。暮らしの不自由さは、疾患や障害によるものだけではなく、生活そのものを支援する技術が必要と考えます。だからこそ、身体介護とともに生活支援を行う専門職である介護福祉士がこの役割を担うことが期待されていると考えます。
 3つ目です。地域ごとに様々な地域資源があると思いますが、ICTの活用などにより、これらの情報共有をより進めることで多様な支え方を実現できるのではないかと考えます。
 以上です。
○田中分科会長 地域包括ケアシステムと災害等の関連も言っていただきました。
 椎木委員、どうぞ。
○椎木委員 全国町村会の椎木でございます。
 本日の議題について、意見を申し上げさせていただきます。
 はじめに、資料3の感染症や災害への対応力強化についてであります。
 私の町では、医師会と連携した介護施設を対象とした新型コロナ対応の研修会の開催や、町内で感染者が発生した場合に備えて、町の職員4人1組、15チームの消毒班を編成し、防護服の脱着訓練等を実施しております。さらには、PCR検査について、これまでの保健所経由に加えて、かかりつけ医からの紹介で地域で迅速に行えるよう、町立病院に地域外来・検査センターを設置することといたしております。医師会、介護施設、行政等が連携して新型コロナ対策に万全を期しているところでございます。
 それでは、48ページの論点について申し上げます。介護サービスは、高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可欠なものでありますので、介護サービスが安定的・継続的に提供される体制づくりを進めていくことは極めて重要であります。しかしながら、小さな事業所ほど、人的余裕がないことなどにより、感染症や災害発生時に備えることが困難な状況ではないかと思われます。論点の2つ目に、「業務継続計画の策定」とありますが、小さな事業所では、事務負担等により既存の加算算定もままならない中、「業務継続計画の策定」をどのような手段で推進していくかということは大変悩ましい問題であります。ガイドラインの作成等、第2次補正予算で対応いただいているものもありますが、きめ細かな丁寧な支援を継続的に行うことが必要だと考えております。
 次に、資料4の地域包括ケアシステムの推進の中の地域の特性に応じたサービスの確保についてであります。
 中山間地域等では、採算面や人材の確保が難しく、必要なサービスの確保が困難な地域やサービス利用の選択肢が限られている地域が少なくありません。本人の希望する場所でその状態に応じたサービスを受けることができるようにするため、このような地域において、いかにサービスを確保し、利用者の選択肢を拡げるかということが大きな課題であります。したがって、中山間地域等でも事業者が参入できるよう、そして、安定的・継続的にサービス提供ができるよう、経営面、人材確保面での強力な支援をお願いいたします。また、サービス提供を行いやすくするためには、地域の実情に応じた基準の緩和も必要だと考えます。
 87ページにありますが、昨年提案のあった小規模多機能型居宅介護が登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間に限り行わない措置につきましては、当面は高齢化の進展により登録定員を超えるサービス需要が発生するが、10年、20年後には、利用者が減少し、登録定員の超過も解消することが見込まれる中、代わりになる他のサービスがなく、また、この一定期間の利用者増のために新たにサテライト型事業所を整備するのは現実的ではない。そのような中で、その一定期間のサービス需要に登録定員の超過という形でどうにか応えたいという、提案団体の切実な思いが込められたものでありますので、前向きに検討していただきたいと思います。
 さらに、今年提案のありました訪問看護ステーションの看護師等の人員基準や小多機の定員基準の見直し等の資料も88ページ以降にありますが、いずれも地域に必要なサービス確保の観点からの提案でありますので、サテライト型事業所の設置等で対応が可能だという回答で済ませるのではなく、提案が上げられた背景を十分に理解いただき、課題の解決に向けて真摯に向き合っていただけると大変ありがたいと思っております。
 以上であります。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 鎌田委員、お願いします。それから、齋藤参考人。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 意見と質問を述べさせてもらいます。
 家族の会の昨年度のアンケート調査では、介護保険制度がどんどん複雑になり、地域包括支援センターやケアマネジャー、事業所からの説明を受けたが、難しい言葉が多くて理解ができなかったという声は、これまでに数多くあります。見直しが行われた場合、地域支援事業の対象者を含め、利用者、家族など、介護者に丁寧に説明することをまずはお願いいたします。全体としては、それです。
 1つ目は、認知症の加算です。資料4の44ページです。前回も申し上げましたが、どのサービスでも低い状況です。グループホームですら2割の取得状況です。この取得が低い要因の調査をお願いしたところですが、事業所に聞きますと、研修がネックになっているとのことです。もっと受講しやすい環境設定にできないのでしょうか。例えば、集合研修の一部をe-ラーニングにするなどです。認知症ケアの質の向上を願う私たち家族の会は、切に希望いたします。
 59ページで、認知症研修では、認知症介護実践者などの養成事業で、6時間の認知症介護基礎研修カリキュラムがありますが、これは、認知症ケアの充実のため、例えば、無資格で入職をしている人への必須研修など、介護事業所で働く人全てが受講できるよう、また、受講しやすいようにしていただきたいです。
 47ページに、認知症の症状でBPSDでのケアの新たな取組として、BPSDケアプログラムの概要があり、老健事業では効果があったと書いてあります。BPSDの症状があることで介護サービスの利用が制限され、家族は苦労しています。科学的で有効性のあるケアの方法があるのなら、そのケアプログラムが現場に普及していくよう、さらに進められるよう、家族や本人は願います。
 資料3の9ページの新型コロナウイルスへの対応ですけれども、ケアマネなのですけれども、自宅を訪問しなくても電話など代替手段での聞き取りでも報酬ができるというところで、そういうふうに国からの通知で感染予防の観点からも自宅訪問をしなくてよいとなっているので、利用しているヘルパー事業所に状況を問い合わせているケアマネがあるとも聞きました。その通知を読むとそのようにはなっていないと思いますが、現場では、ケアマネから、国の通知があったから訪問しなくてもよいという声を聞きます。至急調査をしていただき、是正をしていただければと思います。ケアマネの専門性のあるアセスメントは重要で、一人暮らしの人は、特に変化が見えにくく、気づいたときには認知症がかなり進行したものもあります。現場の実態把握と通知の正しい周知をお願いいたします。
 何度も申し上げていますけれども、デイ、ショートでの特例措置での請求は現在どれぐらいの数になっているのでしょうか。教えてください。6月以降、2か月以上たった現在でも混乱は続き、制度のことが報道されればされるほど、その不公平さ、不平等さ、理不尽さは浮き彫りになっています。デイやショートは在宅介護の要です。事業所の存在は、私たちにとってとても重要です。この事業所が存続していくために、ぜひ国の予算でお願いしたいと思います。
 資料4の4ページですけれども、地域の特性に応じたサービスの確保の離島や中山間地への対策で、利用者の負担が増加しないよう国が支援すべきとあります。家族の会は、自己負担割合の原則2割に反対であることを意見に入れていただければと思います。
 最後ですけれども、資料2の20ページですけれども、各サービスのその他に要介護1・2の軽度者への生活援助を総合事業に移行すべきという意見があります。家族の会は、要介護1・2の人たちは軽度者ではないと考えています。介護が一番大変な時期でもあります。要支援認定の人たちも含め、生活援助は給付で支えていただくことを強く希望します。
 また、パブリックコメントが求められていますけれども、要支援の人たちが要介護認定となっても、市町村が認めた場合、総合事業を継続し、介護給付に移行しないとも受け取れるような内容が出てきています。私たちは、要支援の人たちも介護給付をと求めていますので、こちらもよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田中分科会長 特例についての質問がございましたが、答えられますか。報酬ですね。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 デイ、ショートの特例の請求の数ということでございますけれども、資料を持ち合わせてございませんので、どのようなものがあるのかも含めて調査していきたいと思います。
○田中分科会長 今後、検討してください。
 齋藤参考人、手を挙げていらしましたね。
○齋藤参考人 ありがとうございます。
 まず、感染症の対策につきまして、論点の中に、日頃からの発生時に備えた取組を推進していくということが書かれているのですが、これは大変重要だと思っております。リスクの予見あるいは予防、蔓延のときにどう対応していくのかといった力量を平時から積み上げていくことが大変重要だと思っております。今回のコロナ禍においては、私ども日本看護協会が認定しております感染管理認定看護師は、全国に約3,000名おりますが、この方々が大変現場で活躍しております。かつ、中小事業所等でなかなか専門職を雇用できないようなところには専門職の派遣をして、支援や助言を受けられる仕組みを今般、2次補正予算で御配慮いただいたところなのですが、このコロナ禍も長期化が予想されておりますし、平時からの対応能力を上げていくことを考えますと、やはり時限的な対応ではなく恒常的に対策強化が図れるよう、報酬上でも評価は検討すべきではないかと思っております。
 災害への対応につきまして、今、訪問系のサービスに災害時の具体的な計画策定は義務づけられておりませんが、訪問看護の事業所などは、中重度の方々や医療機器を使って療養している方々の支援に行っておりますので、災害の種類や停電のときの対応など様々なことを想定して、独自に災害対策やマニュアルを整備している事業所がございます。ただ、訪問系のサービスでの災害対策は、1事業所で体制整備をするというよりは、いかに災害時に地域のネットワークを活用して在宅要介護者の療養環境を守るかといった観点で、本来的には自治体や事業者団体が主導して考えていく必要があるのではないかと思います。ある自治体では、訪問看護の連絡協議会に助成をして、地域の拠点的な訪問看護ステーションに非常用の簡易発電機などを設置する事業を行っているところもございます。まずは、自治体の災害対策、今回、第8期の介護保険事業計画の中でも盛り込まれるとは思いますけれども、自治体の災害対策において訪問系のサービスの役割あるいは連携方法といった取組を位置づけた上で、個別の事業所で災害時の計画策定を検討するという方向でいいのではないかと考えています。
 地域包括ケアシステムの推進の、看取りのところでございますが、老人保健施設や介護医療院以外の施設、居住系サービスは、看護配置が少なく、夜間は看護職不在というところも多い状況です。それでも看護配置がある場合は、介護保険の訪問看護は入れないという整理になっています。ですが、今後、利用者の高齢化、さらに重度化、複雑化に対応していくことを想定しますと、配置基準プラスアルファの看護職のマンパワーがないと、今以上に重症者や看取りの対応を強化するのは難しいのではないかと思います。さりとて、人材の確保も難しいという状況は重々承知しておりますので、このプラスアルファ分の配置を自前で加配して取り組んでいる施設にはそれなりの評価、それが難しい場合には介護保険の訪問看護を導入し、地域の資源を有効に活用していくことで、重度者や看取り対応を強化する方策を検討すべきではないかと考えています。
 3つ目で、地方からの過疎地域の取扱いに関する提案で、88ページでは訪問看護ステーションの人員基準について「従うべき基準」から「参酌すべき基準」に変えることを要望されているわけなのですが、これについては、私どもとしては強く反対いたします。在宅療養者に安定的かつ継続的にサービスを届けるためには、訪問看護ステーションの数を増やす方策から、大規模化を図るということで方向転換し、現に訪問看護ステーションの平均看護職員数は、少しずつですけれども増加してきております。過疎地域におきましては、確かに人員確保や事業者参入が困難であるということは十分に理解しておりますけれども、訪問看護は、現行制度でサテライトの仕組みがありますし、離島などで市町村が認める場合には人員基準の2.5を満たさなくてもサービスが提供可能となっております。また、訪問看護は、診療所や病院でも行える事業ですので、その地域の基幹的な病院からの訪問看護といった方法もございます。人口減少はこれから多くの地域での課題となっていくわけですが、だからこそ、使命感を持った事業所の参入やサービス継続にお任せということではなく、その地域でサービスをどのように維持あるいは確保していくのか、やはり保険者が医療機関も交えて計画を立て、協議を進めていく必要があるのではないかと思います。
 ICTを活用した場合の人員基準の緩和という御提案もあったのですけれども、やはりケアの質の確保は大前提で、利用者安全はもちろんですが、ICTを導入してどのぐらいの作業が軽減されるのかといった検証をするべきだと思っております。特に夜間、見守り機器などを導入して常勤換算の0.何人か分を読み替えるといっても、業務自体がなくなるわけではなく、さらに見守り機器の確認やモニタリングなどあらたな業務が加わります。どういった体制でICTを使いこなしながら介護の質を保証していくのかという観点で考えますと、やはり十分な検証が必要ではないかと考えています。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 河本委員、それから、山本参考人、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 私からは、まず、今後の進め方について、感染症の関係と地域包括ケアの関係について、それぞれ御意見申し上げたいと思います。
 まず、今後の進め方でございますけれども、分野横断的なテーマとして、感染症や災害への対応力の強化を追加することは賛成でございます。一方で、今回の新型コロナの感染拡大による経済状況の悪化によって、支える側の現役世代、勤労世代の報酬減少は現に起きておりますし、これからも懸念されるところでございます。こうした状況下で、制度の安定性・持続可能性を確保していくこともしっかりと併せて議論していただきたいと思います。
 感染症や災害への対応力強化の関係でございますけれども、論点にあるBCP、業務継続計画については、国が計画の策定支援あるいは研修の実施等をしっかりと行った上で、運営基準等でその策定を義務づけてもいいのではないかと考えます。災害発生時や感染症への対応における介護報酬の臨時的な取扱いについては、従来も申し上げてまいりましたけれども、具体的な事例や必要性も含めて、恒常的な対応が必要な事項等と臨時的な対応が必要な事項をきちんと整理して進めていっていただきたいと思います。
 地域包括ケアシステム推進の関係でございますけれども、認知症への対応力の強化については、認知症BPSDケアプログラムの介入の効果が実証されて、介護報酬上、その取組を評価するということは、BPSDの改善というアウトかむ指標を設定するという形で検討をすべきかと思います。
 認知症の加算については、算定率が低いものもあって、その原因はよく分析した上で当然見直すべきだと思いますけれども、ただ、算定率を上げるために、言葉は悪いですけれども、安易にいろいろと緩和するとかということではなくて、やはり本来の目的が達成されるような形での見直しをお願いしたいと思います。
 地域の特性に応じたサービスの確保と基準の緩和等が提案されておりますけれども、これはサービスの質の確保が前提で、やはりその地域の実情や必要性をよく分析した上で、必ずしも一律的な話ではないと思いますので、その地域の実情等もよく分析した上で検討すべきだと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 山本参考人、お願いします。
○山本参考人 ありがとうございます。神奈川県高齢福祉課長の山本と申します。
 まず、感染症の対策についてでございます。
 以前も提案してございますが、感染症対策に取り組む介護事業所を評価する恒久的な仕組みが必要と考えます。利用者が安心してサービスを利用できるようにし、利用控えを防止するためにも、介護事業所が実施している感染症対策を見える化していくことが必要だと考えます。そこで、介護事業所に対しまして、感染症対策として取り組むべき新たな要件、例えば、一定の感染症研修を修了した職員の配置や、BCP、事業継続計画の策定、もしくは、サービス継続への連携体制の構築といったことを要件として、サービスごとに検討、設定をしまして、それを満たした事業所には、感染症対策加算として基本報酬に一定の割合の加算をすることを提案したいと思います。この加算を取得していることを利用者の皆様に説明することで、利用者の安心にもつながるのではないかと考えております。この要件を運営基準に含めて基本報酬で対応するのかもしくは加算で対応すべきなのかというのは整理が必要とは思いますけれども、やはりしっかり取り組んでいる事業所にはインセンティブを与えて評価していく仕組みを構築することが、介護事業所全体のさらなる感染症対策の底上げにつながると考えるものでありますので、恒久的な仕組みとして今度の介護報酬改定では実現をお願いしたいと思います。
 また、こうした恒久的な仕組みとは別に、感染拡大時には緊急的な支援が別途必要とされております。例えば、現在も課題となっているのですが、御家族が新型コロナに感染してしまいまして、入院等をしてしまう。そうすると、在宅の要介護者の方が取り残されてしまいまして、その方は陰性の濃厚接触者ということで行き先がなくなってしまうといった課題がございまして、そういった方を受け入れるショートステイの報酬上の加算、あらかじめ協力しておくということで空床の補償といった仕組みも必要ではないかと考えております。
 また、これまで、全国知事会でも提案してきましたとおり、介護事業所については、利用控えなどで経営困難を来しまして、自助努力では困難な実態がございますので、こうした事業所の経営安定に向けた支援を、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の対象に入れるなどの措置を講じていただきたいと考えております。
 感染症の関係では、慰労金の関係なのですが、7月1日以降に感染者が発生している事業所がございますが、現在はそこが20万円の対象となっていないという課題がございます。御承知のとおり、7月以降も新たな感染者等が発生している介護事業所は増え続けておりますので、対象期間を延長する措置を早急に講じていただきたいのと、移動支援とか、現在支給対象となっていないサービスを提供する団体にも対象を拡大していただきたいと思います。
 認知症の対応力強化の関係で、BPSDのケアの関係とはずれるのかもしれないのですが、質の高いサービスを評価するためには、アウトカム評価として評価指標の検討が必要でございます。その際には、認知症、認知機能の評価も取り入れていくことが必要ではないかと思います。以前提案しました未病指標は認知機能なども総合的に簡易に評価できる指標でございますので、認知症の進行を遅らせる質の高い介護の観点からも活用を検討いただきたいと思います。
 最後に、医療・介護連携につきましては、感染症対策の観点からも医療・介護連携が促進される。先ほどの感染管理認定看護師さんと地域の方との連携も今は大変進んできておりますので、そういった取組が地域で促進されるような、そういったことを評価する仕組みも検討いただければと思います。
 以上でございます。
 
○田中分科会長 ありがとうございました。
 堀田委員、どうぞ。それから、江澤委員。まず、堀田委員から。
○堀田委員 ありがとうございます。
 まず、感染症・災害対応で2点申し上げたいと思います。
 論点の48ページの2つ目と3つ目です。
 まず、BCPなのですけれども、今、ガイドラインをそれぞれの種別につくってくださっているということなのですけれども、何人かの委員の方から御指摘があったかもしれないのですが、既に2014年度にも社会福祉支援事業の一環で「社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドライン」が出されていて、これに伴う研修なども行われてきたように聞き及んでいます。でも、今般の新型コロナで十分にはこのBCPが浸透してきていなかったところもあることが分かってきているということだと思うので、ガイドラインを作成するだけではなくて、どうやって浸透させていくのかということはぜひ検討を深めていただきたいなと思います。その際に、とりわけ、何人かの委員の御指摘及び我々が6月に御報告させていただいた5月中旬の緊急調査の中でも、やはり小規模の方針あるいは義務化が行われている施設経営以外ではなかなかBCPが現状では策定されていないか、もしくは、策定されていても感染症対応が十分というところは本当に一部にとどまっていたことになると思います。ですので、その感染症の予防対応という意味合いでも、業務継続対応という意味合いでも、もう少し、特に小規模の事業所あるいは施設系以外のところでどういった取組が効果をなし得るのかということを、事例を集めていったり、その中で一事業所や法人だけではなくて、地域レベルでBCPを考えていくほうが効果的ではないかといったことも併せて出てき得るものではないかと思いますので、そういった観点も含めた展開が必要かと思っています。
 論点の3つ目の臨時的な取扱いについて、臨時的な取扱いは様々なタイプの取扱いがなされていると思うのですけれども、とりわけ、サービスの形態とか場所の柔軟化に関わるようなものなどは、もしそのような柔軟化を図っていたとしても御本人に届けられる価値が変わっていないのだとすると、今後、これまでの分科会の議論の中でも様々に林立しているサービスを機能とか形態に合わせて柔軟に一種統合していくこともできないかという意見がほかの委員からも出されていたと思うのですけれども、そういった観点も含めてきっちりと評価をしてみて、臨時的な取扱いにとどめるのか、とどめたほうがいいタイプのものもいろいろとあると思いますけれども、そうではなく進めていくことに寄与し得るのかということは、検討の余地が大きいかと思っております。
 資料4の地域包括ケアに関連しては、認知症への対応力向上の67ページのところについて1つ申し上げたいと思います。こちらに主に取り上げられているのが中重度の方への対応で、もちろん大変重要だと思っているのですけれども、改めて、今、3つ目の本人主体の介護を考えたときに、軽度の方の社会参加とか、早い段階で当事者と出会える、あるいは、早い段階で支援者や共に生活をつくっていくパートナーと出会えるといったこと、さらに、そういった視点を、もろもろにいろいろな研修が行われていますけれども、専門職向けの研修の中でも、中重度対応ももちろん重要なのだけれども、改めて早いうちに人として出会って共に体験したりつくったりするということをやっていけるような視点も盛り込んでいけるといいのではないかと思いました。
 以上です。
○田中分科会長 先ほども出ましたが、臨時的な対応については、検証を経て、やめるもの、本体にするものを考えるべきだと言っていただきました。ありがとうございます。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 資料3と4について、意見を申し上げたいと思います。
 まず、資料3の5ページに、感染対策等にかかる基準における既定の例がございますけれども、これは以前も申し上げましたが、ぜひ通所系・居住系、訪問系サービスにおいても、実態を踏まえた上で、この辺りの充実をしていただきたいと思っております。特に発症前のいわゆる潜伏期間に相当する発症前2日間辺りからの無症候者からの感染が非常に多く、また、一部は全く症状が出ない方からの感染も併せますと、半分あるいは半数強はそういった無症状病原体保有者からの感染でございますので、その辺りを十分に踏まえておくこと。例えば、PCRの検査結果でいろいろ処遇が決まっておりますけれども、あくまでも感度は7割程度でございまして、偽陰性の存在が一定程度あるということでございましたり、あるいは、インフルエンザをはじめ、今までの感染性疾患でも、やはり職員の持ち込みはかなりリスクが高いので、その辺りを十分に踏まえて、特に知り合いとか職員同士はどうしても安心感があってソーシャルディスタンスが近いということもございますので、十分にその辺りをまた踏まえていただければと思います。
 続きまして、資料3の31ページでございます。こちらに非常災害対策の基準省令における位置づけがございますけれども、この辺りもぜひ地域住民との連携は極めて重要な視点でございますので、これもぜひ実行可能なところは実態を踏まえた上でまた引き続きぜひ検討していただきたいと思っております。
 続きまして、資料3の48ページ、最後の論点でございます。まずは、こういった感染症とか災害時において、事業者が経営的・運営的あるいは人員確保の面において倒れないように支援をしていくことが重要でありまして、そのためにBCPも策定するわけですけれども、その辺りの支援を念頭に置いた上で検討していただきたいと思いますし、感染症においても、災害においても、規模別に恐らくかなり対応は異なってきますので、今後、ガイドラインを策定される予定だと思いますから、その辺りについて検討していただいて、その規模にもよりますけれども、そのときの施設基準をどう考えるのかとか、あるいは、サービスの質の担保、特に基準緩和とサービスの質の担保は、ぜひセットで検討していただきたいと思っております。
 介護報酬に、今回、いろいろな臨時的な取扱いで特例が出ておりますけれども、これは現行の算定状況あるいは実態をまずは検証した上で、支障がないのかどうかをいろいろ踏まえた上で検討していくべきだと思いますので、やはり検証は十分に確保していただきたいと思っております。
 最後に、有料老人ホームとか高齢者住宅において、御本人にとって必要なサービスあるいは御本人が希望しているにもかかわらず訪問サービスを住まいのほうが断る事例がありましたり、あるいは、通所へ行くことを拒んでいる高齢者の住まい、有料老人ホーム等が幾つか報告がありますので、その辺りはちゃんと感染対策を適切に講じている事業所において、通所サービスを利用するとか、訪問サービスを利用する場合には、ぜひその辺りを検討していただかないと、今後の認知機能の悪化、フレイルの増悪等が懸念されますので、事務局にはまたよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、資料4に参りますが、21ページでございます。こちらに中重度者を支える各種加算が列挙してありますけれども、一部算定率が非常に高いものから極めて低いものまでいろいろちりばめられていますが、いま一度この算定要件とか報酬設定がどうであるのかを検討していただいて、なぜこういう状況になっているのかはぜひ検討していただきたいと思います。
 続きまして、資料4の31ページに、施設系・居住系サービスにおける訪問看護と訪問リハビリ等の適用状況がございますが、これは以前にも意見させていただきましたけれども、特定施設入居者生活介護及び認知症対応型グループホームにおいては、現行では介護保険の訪問看護と訪問リハビリテーションのサービス提供ができないという仕組みになっておりますので、今後の重度化とか、看取りへの対応を含めまして、ぜひこの辺りは必要に応じて柔軟に検討していただきたいと思っております。
 特養においても、この資料では×になっておりまして、介護医療院には、医師をはじめ、PT、OT、STといったリハビリ専門職の配置があるわけですけれども、その基準のない特養において、特に生活期リハは介護保険が原則と現行はなっておりますので、今後の実態を踏まえて検討課題と認識しております。
 続きまして、33ページでございます。看取りへの対応の論点でございます。特に、今後、以前も申し上げましたけれども、御本人の意思決定支援を適切に現場で取り組んでいただくようお願いしたいと思っております。特に意思決定を行う上で倫理的な規範から見た根拠は、自立尊重原則、与益最大化原則、不加害原則、正義・公正原則のいわゆる4つの医療倫理原則に基づいておりますので、これらの原則に基づく意思決定支援の在り方は最善を行う上で重要な根拠となります。したがいまして、こういったことを、基本的なことで結構ですので、十分に介護現場でも普及していただきたいと思います。したがいまして、今の医療倫理原則を含めて、デスカンファレンス、グリーフケアといった看取りの振り返り等も含めた、特に介護分野に特化した研修が今はないと思っておりますので、介護分野における介護施設あるいは介護事業所における看取りに特化した研修をぜひ充実していただきたいと思っております。
 看取りにつきましては、もう一点、看取りというのは、看取りの数が多い施設が決していいことではございません。看取りを1件とか、件数とかで言いますけれども、一つ一つが、本当に大切な本人の人生の大往生でございますので、大変重たいものでございます。ぜひ看取りの質に着目していただいて、看取りの推進とかという言葉もよくございますが、大変重たい言葉でございまして、そう受け止めるべきものでございますので、看取りの数ではなくて看取りの質がいかに重要かということをぜひ政策等で検討していただきたいと思います。
 続きまして、資料4の67ページに、認知症への対応力を向上するための取組の推進の論点がございますので、こちらにおきましても、ぜひ認知症の意思決定支援を十分に現場で取り入れるようによろしくお願いしたいと思います。その中で、今、厚生労働省において、医政局で人生の最終段階に関するガイドラインと身寄りがない人のガイドライン、老健局において認知症の人のガイドライン、社会・援護局において障害者サービス等の提供に関するガイドラインがあって、今、ガイドラインがざっと4本ぐらいありますけれども、基本的には根本的な考え方に全く差異はないものでございますので、ぜひこの辺りは一本化していただいて、それぞれの各論というか、バージョンに応じて示していただければ、現場も使いやすく、混乱が少ないのではないかと思っております。
 認知省のケアの質ではアセスメントが極めて重要であると認識しておりまして、特に現場のアセスメントにおいては、人生歴をひもといて、本人の気持ちを共有して、受容と共感力を高め、なじみの人間関係やなじみの環境づくりに力を注いで、生活を構築し、支えていくことに主眼を置いております。いいケアをすればするほどBPSDは減ることを私たちは体験しているわけでございまして、したがいまして、良質なアセスメントをちゃんと実施できるように推進するなり評価することが必要ではないかと思っておりますので、その辺りのケアの質をまずは検討していきたいと思います。
 特にBPSDが一番大変で苦慮しますが、BPSDは、逆に認知症が重度になると症状が減ってくるものであり、認知症の中重度というのは、記憶障害や見当識障害が極めて大きくなり、併せてADLが低下するということでございますので、そういった認知症の中重度をどう支えるのかという視点も重要でございます。
 最後に、87ページから90ページにかけて、いろいろ地方からの過疎地域等の取扱いに関する提案がありますが、まず、87ページに小多機の人員基準に関する緩和が出ておりますけれども、小多機は過去に定員を増やす見直しを一度しておりますし、サービスの質の担保あるいは他のサービスとの整合性から考えて、ぜひ慎重に考えていくべきであり、安易に行わないほうがよろしいかと思っています。
 88ページにもいろいろな「参酌すべき基準」が出ておりますけれども、この辺りもぜひ慎重に検討して、ほかに代替サービスがあるのかないのかということも踏まえて検討していくことが必要だと思います。
 89ページに、基準の3対1を3.3対1と書いてありますが、これは現場の運営・経営をする視点から申し上げますと、今の特養とか老健で3対1の介護配置だと、確実に職員が疲弊して、しかもその施設の質の高いサービス提供はほぼ不可能でございます。したがいまして、職員の数は必要ですし、ぎりぎりの配置でできるようなサービスでは到底ございませんので、この辺りもぜひ慎重に検討していただきたいと思っております。
 最後に、いろいろ基準緩和とかが出ておりますけれども、ぜひ検証していただいて、サービスの質の担保も踏まえながら、幅広い視野で議論していくことが必要だと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 多岐にわたる御発言をありがとうございました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 ありがとうございます。
 2つのポイントでお話しさせていただければと思います。
 資料4の26ページ、看取り関連加算についての算定率でございますけれども、これを見ておりますと、特定施設等のトータルと特養のトータルでいうと、特養のほうが約倍ぐらい。なぜか在宅復帰施設である老健が特養の1.5倍ぐらいの加算の算定をしている。これはどういうことかと思いますが、特養は、お医者さんはいないし、看護師さんは入所者100人に対して3名です。老健は、在宅復帰施設と銘打って大きくその方向に10項目で対応しておりますが、なぜか特養よりずっと多い。一般の人々は、医者も看護師もいないところでターミナルを見てもらうことに対して、多少、影響があるのではないか。特養では医師も看護師も夜はいないので、介護職員の人には非常に負担になっているということも聞きますけれども、昔からある施設ですので、そこで亡くなる方も当然いらっしゃいますけれども、この段階では介護医療院はありませんが、国民の意識の中にやはりみとってもらうときには医師と看護師がいてほしいなという意識があるのではないかと、この結果から見ると、私は判断しました。したがって、看取り施設としては介護医療院が最適かとは思いますけれども、がん患者のように自宅でみとる場合もあり、特定施設もあり、それは状況によっては当然率はありますけれども、やはりこの表から見ると、在宅復帰施設である老健が一番現実にみとっている状況を見ると、これからの介護医療院の役割は非常に大きいと感じた次第です。
 もう一つ、同じく29ページですけれども、リハビリテーションが医療から介護へ入っていって、ここに書いてあるように、医療保険と介護保険のそれぞれのリハビリテーションの計画書の共通する事項について互換性を持った様式、すなわち、一連のリハビリとして、同じ患者が医療保険から介護保険にシフトし、また逆になったりするわけですから、これは今回については非常に大きな意識改革かと思います。その下のほうに、医療保険の疾患別リハビリテーションと介護保険の通所リハビリについて項目がついておりますけれども、できるだけ医療保険のリハビリテーションと介護保険のリハビリテーションとの共通性、連続性、効果として、長期の疾患の慢性期の患者さんは、特にリハビリの不必要な人はほとんどいませんので、これは連続して行っていただきたいと思います。リハビリテーションは回復期だけで終わるものでは。当然、このような考え方を進めていただいている厚労省の老健課には評価させていただきたいと思います。今後、もう少し出来高から包括制に移行するに当たって、有効な連続性を期待したいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 井口分科会長代理、お願いします。
○井口分科会長代理 資料4の最後のほうの地方分権でありますが、申し上げるまでもなく、どのような地域に住んでも介護が必要な方は必要なサービスをお届けされるようにする。当然のことながら、重要であると思います。住民お一人お一人が住み慣れた地域で安心して最期まで人生を全うしていくためには、質が担保されたサービスを安心して受けていただけるようにすることが肝要であり、どこの地域に住んでいるかということでサービスの質とか内容に差が出ることは決して適切ではないと思います。こうした観点を踏まえて、さらに、検討、議論を進めていくべきと思います。
 実は、一昨日のある新聞記事で、次期介護報酬改定において感染防止や防災に取り組む介護サービス事業所により多くの報酬を支払うよう仕組みを見直す、感染予防を目的にICTの活用を進めた事業者に手厚く報酬を充てることが今後議論される見通しといった報道がありました。介護報酬については、本分科会で在り方を議論していくものであって、現在、次期改定に向けた議論を進めている中であり、あたかも既に改定の方向が定まったかのように報道されることは遺憾だと思っておりますので、事務局から見解を頂きたいと思います。
○田中分科会長 新聞報道が先行していることについて、老人保健課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 御指摘をありがとうございました。
 今、分科会長代理が御指摘いただきました記事に関しましては、私どもももちろん承知しております。また、分科会長代理の言葉にありましたとおり、介護報酬ですが、御指摘のとおり、この分科会のこの場の議論で方向は定められていくべきものだと認識をしております。その認識からいたしますと、方向感のある報道がなされたことについては、残念だと思っております。
 一方で、私ども事務局としての立場でございますけれども、この分科会におきまして、予断がない状態、つまり、方向感が定まっていない状態で適切に議論していただける環境を整えるという役割も私どもは担っていると自覚をしているところでございます。今後は、情報管理も含めまして、その役割について一層努めてまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
 以上です。
○田中分科会長 適切な情報管理を含めて、きちんと進行させてください。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 一わたり、伺いましたね。
 手を挙げていらっしゃいますか。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 もう一つですけれども、資料2の17ページのところで、介護人材の確保・介護現場の革新で、有償ボランティアに介護保険料を活用という意見があります。人手不足の中で、生活援助ヘルパーが創設され、介護助手も登場するなど、介護現場で働く人たちに質の向上を求めながら、一方で多様化としてプロとアマチュアの線引きが曖昧になっていると思っています。しかし、ボランティアは個人の自発性に委ねられ、出入り自由な活動が基本です。まず、有償ボランティアとは何か、この分科会として定義をする必要があり、介護費を回す是非についても議論を深めていただきたいと思います。
 もう一点です。各サービスでホームヘルプサービスの生活援助の利用回数の制限について、前回、撤廃をお願いいたしました。主な意見にも記載していただき、ありがとうございます。利用回数だけでなく、ケアプランの届出制度の撤廃も併せて意見に加えていただければと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 時間になってまいりましたので、本日はここまでといたします。たくさんの貴重な御意見を頂戴しました。参考として、今後とも引き続き検討を進めてまいります。
 最後に、次回の分科会の日程等について、事務局から説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 今日は、システムトラブルもありましたけれども、無事に皆様から御意見を伺うことができました。
 これにて、閉会いたします。
 お忙しいところ、ありがとうございました。