令和2年8月27日 第183回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年8月27日(木) 9:00~12:00

場所

WEB会議
TKPガーデンシティPREMIUM田町 ホール4B

出席者

委員
  • 五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて
    (介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第183回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、黒岩祐治委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
 以上により、本日は25名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。次に、令和3年度介護報酬改定に向けた各サービスについての資料として、資料1~4まで各サービスの資料、参考資料として個室ユニット型施設の推進に関する検討会報告書、委員提出資料として、小泉委員、東委員から、資料が提出されております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に、挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認いただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようにお願いいたします。挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
 以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆様方、おはようございます。
 本日は、まず、前回議題の訪問介護・訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅介護支援・介護予防支援について御意見を伺った後に、令和3年度介護報酬改定に向けて、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設について議論を行います。
 初めに、前回の議題について、先週は時間の関係で発言の機会がなかった方あるいは追加の発言をなさりたい方から意見を承ります。
 まず、今日の議題に入る前に前回議題について追加発言がおありの方はいらっしゃいますでしょうか。
 濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 ありがとうございます。
 前回の分科会では、多くの委員の皆様から居宅介護支援費の基本単位の見直しに関する前向きな御意見を頂きまして、感謝を申し上げます。当日もお話しさせていただきましたが、居宅介護支援費の収支は唯一マイナスとなっており、当協会といたしましては、居宅介護支援費の基本単位の引上げは以前から継続して要望していることでありまして、これにつきましては現在も変わりません。居宅介護支援事業所の安定した運営基盤が、地域のケアマネジメント力の向上、地域包括ケアシステムの進展に寄与するものと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 正立委員、手を挙げていらっしゃいますか。お願いします。どうぞ、正立委員。
○正立委員 ありがとうございます。
 質問を含め、2点意見を申し上げます。
 まず、1点目ですけれども、利用者やその家族にとって最も身近なサービスである居宅介護支援についてです。こちらにつきましては、前回たくさんの委員から御意見が出されておりましたが、今、濱田委員から御説明がありましたように、その収支差率は、徐々に改善してはきているものの、いまだにマイナスの状況にあります。前回、平成30年度の介護報酬改定において基本報酬が引き上げられ、併せて、医療と介護の連携強化、ケアマネジメントの充実などに資する改定が行われましたが、こちらの改定はどちらかといえば算定要件の見直しに係るものが多く、新設された加算においても取得率が低い状況になっております。一方で、資料にもございましたが、ケアマネジャーが必要に迫られてやむを得ずマネジメント業務以外のことを行っている実態を見ますと、全てを体系化して対応することは現実的ではありませんので、政策的なインセンティブが求められる加算は残しつつも、基本報酬の見直しを通して経営改善を図る必要があるのではないかと考えます。
 次に、2点目ですが、認知症対応型共同生活介護についてです。先般、事業者団体からのヒアリングで日本認知症グループホーム協会様から要望があり、委員からも御意見がありました夜勤体制の要件緩和の件ですが、我々のような専門的な知見を有さない高齢者から見ますと、不安な点、疑問な点がございます。グループホームの場合、入居されている方々は全て認知症の方ですので、人によって違いはあるものの、不眠や昼夜逆転、夜間時の妄想、せん妄、徘回といったBPSDがある方がいらっしゃって、そういう方のケアに当たるために他の施設より手厚い体制が取られているのではないのか、仮に2ユニットを1人で見るということになれば、1人で最大18人の利用者の見ることになりますが、それで本当に対応できるのかという不安です。
 過日の分科会で、グループホームの夜勤体制はもともと2ユニットごとに1人以上の配置で認められていたものが、火災事故によって例外規定が廃止され、1ユニットごとに1人以上の配置が義務づけられたという旨の話を伺いました。
 そこで、事務局にお尋ねいたします。人員配置基準の改正ですので、当然、当時の分科会において議論があったことと思いますけれども、そこでは防火設備が整備されるまでの間の経過措置という観点から議論が行われたのでしょうか。それとも、火災事故が契機になったものの認知症利用者へのケアの在り方そのものも含めた議論がされたのでしょうか。それによって前提条件が変わってまいりますので、お伺いしたいと思います。
 もし前者ということであれば、そもそもケアの上で2ユニットごとに1人以上という夜勤体制に問題があったわけではなく防火設備の不備が原因ですので、すでにグループホームにおける設備が整った現在、その役割を終えたということは言えるでしょうが、後者であれば少し慎重な議論が必要だと思います。
 また、認知症グループホーム協会様からは、見守り機器の導入によって、バイタルの把握や離床の検知など、見守りの質の向上や業務の効率化につながっているというお話がありました。私は、この分科会のキックオフの際に、ICTや介護ロボットの活用は大いに賛成ですが、それは利用者の安心・安全と介護従事者の負担軽減を図ることに主眼を置くべきであって、人員配置基準の引下げありきの議論にならないようにしていただきたいと申し上げました。しかし、介護分野の人材不足が深刻化する中で、利用者の安全とケアの質が担保されるのであれば、何が何でも反対ということではありません。
 そこで、事務局に2つ目のお尋ねです。認知症グループホームにおける見守り機器の導入はどのぐらい進んでいるのでしょうか。把握していらっしゃったらお教えいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、もともとそうでなかった基準を新たに義務づけ、さらにまた元に戻すということであれば、今後のグループホームにおける夜間のケア体制の在り方を含め、誰もが納得できるような丁寧な説明が求められるのではないかと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 質問が2点ございました。お答えください。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 まず、2点目、グループホーム、見守り機器の導入状況でございますけれども、申し訳ございません。現時点で調査中ということでございますので、また折を見て御報告させていただきたいと思います。
 第1点目につきまして、人員配置基準の防火設備についての改正についてのお尋ねでございました。前回の改正における御議論でございましたけれども、その経緯も含めて、今、私は必ずしも全て詳細を承知しているわけではございませんので、また追って御報告させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○田中分科会長 後日、調べていただけるようです。
ほかにいかがでしょうか。
亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 ありがとうございます。
介護サービスの関係で、訪問介護であったり、訪問入浴介護であったり、あるいはまた総合事業の要支援者支援であったり、これは、非効率であったり、あるいはまた安価であったり、サービスの提供者がかなり不足してきておるわけです。それでは、保険料を上げてこの分野を手厚くできるかというと、私ども保険者にとっては保険料は限界に来ていると思っております。だから、重度へ傾斜して、軽度は助け合いでやっていこうという方向性が出ているわけです。
 我々自治体は、今、地域共生社会の創造に向けてその取組を進めているわけでございますけれども、同時に、新たなそういう制度設計が必要ではないかと思っています。これから支える人口はどんどん減少していきます。ただ、支えられる人口は2040年までは増え続けるわけです。そこで、包括的にこの高齢者であったり障害者であったりを支える人材を養成していく。これが、かねてから申し上げておりますけれども、一定の共通資格を持つ日本版のラヒホイタヤであったり、リンクワーカーであったりするわけです。つまりは、地域の方々や各種団体の方々が有償ボランティアとして活躍できる制度が必要になってきておると思っています。
 課題として、幾つかありますが、それでは、どこまで有償ボランティアとして認められるのか。今、我々のところは、ワンコイン、500円で地域の方々に料理を作りに行っていただいたり、あるいはまたお買物に行っていただいたり、そんな介助とかもやっていますけれども、これではちょっとどうかなと私は思っているのです。それで、どこまでを有償ボランティアとして認められるのかというテーマがあります。
それと、この有償ボランティアにも介護保険料を支出できるような制度が必要ではないか、こんなふうに思っています。つい最近ですが、三重県で44歳の障害あるいはまた病気もお持ちの女性が71歳の母親にあやめられたのです。風呂の中ですね。それで、そのお母さんも自殺を図ったのですけれども、そのお母さんは死ねなかったのです。2人で生活されているおうちだったのです。あるいはまた老々介護もあります。8050の問題もあります。これらを我々は乗り越えていかなければならないわけですよ。
 ただ、今日のようながんじがらめの縦割り行政では困難です。我々現場では包括的取組を行っているわけです。ヤングケアラーの問題もそうなのです。これは子ども家庭局ですかということになります。霞が関は、今、現場で何が起こっているかをきちんと把握してほしいと思っています。私は、社会のしんがりを務める、誰一人取り残さない、そんな社会をつくっていくために奮闘しているわけですけれども、今日は土生局長にお越しいただいていますか。このことにつきまして、土生局長がもし御出席なら御所見を頂ければと思っています。
 もう一つだけあります。6月30日に老健局から、7月3日には社援局から、施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応について、都道府県であったり、関係団体に通知が出されたわけです。ポイントは何かというと、発生した場合、人材確保をいかに進めていくかということです。これは、DMATであったり、DPATであったり、看護協会との連携であったり、こういうことになるわけですけれども、文書を出しっ放しということではなくして、進捗状況等も把握いただきたい。こんなふうに思っています。
 この2点です。お願いします。
○田中分科会長 土生局長、突如指名がありましたが、よろしいですか。
○土生老健局長 局長の土生でございます。御指名いただきまして、恐縮でございます。
 ただいま、亀井市長から非常に根源的な御指摘を頂いたと思っております。介護あるいは地域の暮らしの現場で様々な問題が実際にあるということ、霞が関は縦割りだという御指摘がございましたけれども、厚労省としては、できる限り、省を挙げて、連携しながら、あるいは、政府全体としましては、関係省庁の連携しながら、それぞれの責任もございますけれども、現場の実態を教えていただき、また、把握して、様々な対応をしようと努力をしているところでございます。
 御指摘いただいた問題は、一度の報酬改定で全てが解決できるということでは全くないわけでございますけれども、制度の問題、現場の方々の御努力、団体相互の連携あるいは地域の中での取組など、重層的なこととして、我が国における非常に重要な課題として総力を挙げて取り組んでいくべき問題だと思っております。
 私も、微力ながら、一身をささげて取り組ませていただきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
○田中分科会長 老人保健課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 2点目の御質問につきまして、老人保健課長から回答させていただきたいと思います。
 現在、現場におきましては、このコロナ禍の中、特に介護事業所の皆様におかれましては、感染を蔓延させない、あるいは、感染が発生した際にも適切な対応をするということで、大変な御努力を頂いていると認識しております。そのおかげをもちまして、我が国におきましては、高齢者関係施設の死亡者の割合は非常に低い状況にとどまっているところでございます。先ほど亀井委員から御指摘いただきました6月30日付の事務連絡でございますけれども、そうした感染が発生した場合などにおける応援体制あるいは人員確保というところも含めての事務連絡であったと承知しております。こういったことに関しまして、私どもはそのフォローアップは大事だという御指摘はそのとおりだと思ってございます。そのため、今、都道府県に対しまして、関係団体とも連携いたしまして、応援体制の整備をお願いしているところでございます。
 今、7月末時点の構築状況が手元にございます。今後、また8月末時点、9月末時点と把握していくわけでございますが、現在、構築済みが12件で、構築中が18件、検討中が17件と承知しております。御指摘いただきました三重県におかれましては、今日御出席いただいております東委員の御地元でございまして、そのリーダーシップもあってだと思いますけれども、非常にいい例で応援体制が構築されているということで御紹介もさせていただいたところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 それぞれお答えいただきました。
 ほかにいかがでしょうか。前回の議題について、御発言の方は。
 武久委員、お願いします。
○武久委員 ありがとうございます。
 最初の委員の御発言に関係がありますけれども、グループホームが9人の1単位に1人ずつの当直という旨をおっしゃっていますけれども、2000年のときに比べると、たくさんサービスが増えたのですね。しかもそれが全部小規模になって、非常に小規模になれば効率が悪いということは当たり前ですけれども、例えば、グループホームで9人に1人の当直であれば、老健であれば、100人であれば10人の当直と同じ割合になるのですね。これをペイしていくというか、順調に運営していくというのは非常に難しい。小規模多機能であれば、宿泊の際、2~3人の人のために1人が泊まらなくてはいけない。いろいろなサービスが新しくできて、しかも、ある一時期、どんどん小規模化していったことによって、看護小多機もそうですけれども、効率が非常に悪いということもあります。
 基本的に介護保険のサービスというのは、入所、通所、訪問の3つに全部集約されてくるわけです。この3つのサービスが施設なりサービス事業の中にそれぞれに組み込まれているわけですけれども、その施設によっては、また、サービスによっては、通所なら通所、訪問なら訪問、入所なら入所の条件が、いろいろな施設ができてきまして、施設によって条件が全く違う。ある意味、そろそろ2000年から20年ですね。20年たった来年の4月、そろそろ、ばっと広がったサービスをこの3つの基本的なサービスに集約して、それぞれのサービスはほとんど同じように人員に対してもサービスに対しても公平にしていくような改革が必要だろうと思います。
 こう申しますのは、100名の特養でありますと、認知症の人はいっぱいいます。老健にもいっぱいいます。もちろんグループホームにもいっぱいいます。だけれども、グループホームの認知症が老健にいる認知症と比べて重いということは現実には示されていません。その辺のところが、小規模化することによって効率が悪くなって、人件費が非常に多くなって、収支が悪くなっているということもありますが、同じ患者さんであれば、同じ日本であれば、どの施設に入っても同じ程度の人は同じようなサービスを受けられるような公平性をそろそろ担保してあげて、しかもそれぞれの施設にいるスタッフに関しても大体統一していく時期かと思いますので、大変御苦労さまではございますけれども、2021年の改定におきましては、そのような3つの基本的な介護保険のサービスの中でのいろいろな事業体における同一サービスについての集約をそろそろ考えていただけたらと思って、発言させていただきました。
 ありがとうございます。
○田中分科会長 制度全体を見渡した御意見を頂戴しました。ありがとうございます。
 前回の議題については、ほかによろしゅうございますか。
 ないようですので、本日の議題に移ります。
 まず、資料1~4について、事務局から一通りの説明を伺った後、まとめて質疑を行います。
 事務局は、資料説明を簡潔に行ってください。また、各委員の皆様も活発な意見交換が可能となるよう、発言は論点に沿って簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 事務局から、資料の説明をお願いします。
○齋藤高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。
 資料1に基づきまして、介護老人福祉施設につきまして御説明申し上げます。
 まず、1ページ目は概要でございます。
 2ページ目、施設の基準。
 3ページ目が、報酬の概要でございます。
 4ページ目から、加算の概要でございます。
 8ページ、9ページが、加算の算定状況。これはまちまちになっております。
 10ページをお開きください。経営状況ですけれども、広域型で1.8%、地域密着型で2.0%になっております。
 請求事業所数は、11ページ、1万施設余りでございます。
 受給者数は61万人、12ページでございます。
 13ページ、要介護度割合ですけれども、平均要介護度4.0程度となっております。
 少し先に行きまして、17ページ、平均在所・在院日数ですけれども、平均在所期間は3.5年で長くなっております。
 飛ばしていただきまして、20ページ、費用額でございますけれども、2兆円余りとなっております。
 24ページまで飛ばしていただきまして、居室の類型ですけれども、ユニット型個室から多床室まで幾つか類型がございます。
 このうちのユニット型個室につきまして、26ページでございますけれども、2025年までに70%以上とするよう目標を設定しておりますが、平成29年時点で43.6%になっておりまして、これの推進に向けて検討会を立ち上げまして検討したところでございます。
 その概要を御報告いたしますと、28ページになります。まず、ユニット型施設については、ユニット単位での職員シフトを回している施設が多いので、利用者10名のユニットであれば、職員のローテーションがぎりぎりになってしまって思うように休みが取れないという状況がございます。そういった中で、1つのユニットに15名程度であればよいのではないかという御意見がございました。また、昼間の時間帯について2ユニット単位での運営をしてはどうかという御意見もございましたが、一方で、職員の負荷がかえって多くなるのではないかということで、2ユニット単位での運営は難しいという御意見もまたございました。また、ユニット型個室的多床室につきましては、感染症やプライバシーに配慮し、個室化を進める意味でも、少なくとも新たに設置することは禁止してもよいのではないかという御意見もございました。
 29ページ、ユニットリーダーにつきましては、研修の受講率向上の観点から、座学につきましてはオンライン化やe-ラーニングを積極的に進めるなど、職員の受講しやすさに留意するという御意見とか、ユニットリーダーは常勤を必須としておりますけれども、原則は維持しつつも、出産・育児などやむを得ない場合については必ずしも常勤を求めないこともあり得るのではないかという御意見がございました。
 続きまして、31ページを御覧ください。介護老人福祉施設からの退所ですけれども、死亡退所が67.5%で圧倒的に多く、看取りが重要だと思っております。
 次、32ページ、サテライト型でございます。サテライト型につきましては、本体施設と適切な連携がなされている場合に、人員の基準や設備の基準が緩和されるという制度でございます。
 基準につきましては、33ページに記載しております。
 続きまして、34ページ以降、平成30年度の介護報酬改定でございます。
 37ページを御覧ください。医療ニーズへの対応といたしまして、配置医師緊急時対応加算を創設するとともに、看取り介護加算について充実を図ったところでございます。
 38ページ、看取り介護加算ですけれども、特養で63%が取得しておるところでございます。ただ、その届出をしていないところにつきましては、その理由として、加算を算定する要件を満たすことが困難であったという特養が46%でございました。
 また、40ページ、生活機能向上連携加算を創設しておりまして、外部のリハビリテーション専門職との連携という場合の評価を創設しております。
 41ページにございますとおり、取得率は低調となっておりまして、算定しない理由としては、外部のリハ事業所等との連携が難しいため、かかるコスト・手間に比べて単位数が割に合わないためというところが多くなっております。
 また、43ページ、介護ロボットの活用で、夜勤職員配置加算につきまして、見守り機器の導入を評価することにしております。
 44ページを御覧いただきますと、その届出をしているところが7.1%になっておりまして、届出を実施していない理由を聞きますと、見守り機器の導入による0.1%の要件緩和をしなくても人員配置基準を満たしているところが57.5%になっております。
 続きまして、46ページ、47ページでございます。昨今の災害の対応あるいは新型コロナ感染症の対応につきまして、46ページですけれども、運営基準につきましては、非常災害に関する計画の策定とか、関係機関への通報・連携体制の整備あるいは定期的な避難訓練が義務づけになっております。また、感染症におきましては、同じく運営基準におきまして、感染症の発生、蔓延防止のための措置の実施が位置づけられております。これが十分かどうかというところが論点になろうかと思います。
 次、介護老人福祉施設に関する指摘という点で、48ページでございます。前回の介護報酬改定における審議報告の中では、介護ロボットの幅広い活用についての報告がなされておるとともに、介護保険施設のリスクマネジメントにつきましては、運営基準や介護報酬上どのような対応を図ることが適当なのか検討すべきという御意見もございました。
 最後、論点でございます。52ページをお開きください。生産年齢人口の減少など介護人材不足が続く中で、今後も増加する介護ニーズに対応するため、介護老人福祉施設において、介護ロボット・ICTの活用や基準の緩和などをはじめ、どのような方策が考えられるかが1点目。2点目は、介護老人福祉施設においてユニット型施設の普及方策としてどのような方策が考えられるか。3点目、今後、介護老人福祉施設では、入所者の重度化が進み、医療や看取りのニーズも増大していくことが想定されるが、医療提供施設ではない介護老人福祉施設において、看取りの促進や医療分野との連携強化について、どのような方策が考えられるか。最後、介護老人福祉施設における感染症、災害等のリスクへの対応についてどのように考えるか。以上、4点でございます。
 よろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 介護老人保健施設につきまして、資料2を用いまして御説明させていただきます。
 資料2の1ページ目に、老人福祉施設制度の沿革がございます。昭和61年に老人保健法を改正して、そう規定したものでございます。
 2ページは、平成29年の法改正によりまして、介護老人保健施設の位置づけが明確化されたということでございます。こちらの上に定義がございますけれども、矢印のところを読ませていただきますが、在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設、リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設ということが明確化されたということでございます。
 3ページ目は、報酬体系。
 4ページ目、5ページ目は加算の算定状況でございます。
 6ページ目に参りまして、介護老人保健施設は現在4,300ほど施設がございます。
 受給者数でございますが、7ページにございまして、36万人余りの方が御利用されているということでございます。
 8ページ目に、御利用者様の要介護度の割合がございます。他の施設系のサービスと違いまして、介護老人保健施設は平均要介護度3.2でございます。特養や療養型と比べまして、平均要介護度は低いということでございます。
 次は、飛ばさせていただきます。
 10ページでございます。こちらは、老人保健施設における傷病名、認知症の周辺症状でございますが、疾病名としては、脳卒中、認知症が多く、また、認知症の周辺症状では徘回が一番多いというものでございます。
 11ページ目は、こうした疾患の発生状況でございます。これは入所中にどのような疾患が発生しているかということでございますけれども、例えば、右側で申し上げれば、肺炎、膀胱炎、誤嚥性肺炎などが多いということでございます。
 12ページ目、平均在所・在院日数でございます。介護老人保健施設に関しましては、一番下、えんじ色の折れ線グラフでございまして、低く推移をしております。
 その下、13ページが、介護保険3施設における入所・退所の状況でございますけれども、上の老人福祉施設、下の介護療養型医療施設につきましては死亡が最も多くなっているのに対しまして、介護老人保健施設は家庭にお戻りの方が3割程度いらっしゃるということでございます。
 14ページ目が費用額でございますけれども、現在、1兆3000億円余りの費用となっているということでございます。
 それでは、ページを進ませていただきまして、18ページでございます。こちらは経営状況でございますけれども、経営概況調査によりますと、平成30年度の決算で3.6%という収支差になっているところでございまして、平成29年度と比べると0.3ポイント下がっているということでございます。
次、19ページ目以降は、平成30年度介護報酬改定でございます。
 20ページ目に、先ほどの法改正の趣旨を踏まえまして、在宅復帰・在宅療養支援を明確にするためのそういった5段階の報酬にしたということを表にしてございます。上にございますとおり、超強化型、在宅強化型、基本型の中でも加算型と基本型、その他型という形で、それぞれ指標はございますけれども、それを総合しまして5段階に設定されているところでございます。
 21ページ目は、その中で超強化型に該当する施設の割合が増えてきているということをお示ししております。
 22ページ目から24ページ目に至りましては、それぞれの類型でどのような特徴があるかということでございますけれども、これは施設類型を反映した特徴になっているということで飛ばさせていただきます。
 25ページ目でありますが、介護老人保健施設は、在宅復帰、在宅療養を支える施設でございまして、居宅サービスも提供していただいているところがほとんどでございます。その中で、実質的な有無を左上のグラフで見ていただきますと、通所リハ、短期入所は9割以上の施設でやっていただいておるということでございますが、訪問リハに関しましては3割強にとどまっていることを示してございます。
 26ページ目でありますけれども、退所時指導等を行っている施設の割合は、超強化型では99.3%などの結果が出ているところでございます。
ケアマネジャーと連携を取った時期、また、連携でありますけれども、27ページ、28ページ目にお示ししておるところでございまして、入所前から連携しているところにおきましては入所期間が短いというデータもあるところでございます。
 次に、30ページ目に進ませていただきまして、こちらは、減薬をした、老健施設に入所されるときに入所前の服薬状況からお薬を減らした場合に、それをかかりつけ医の先生とちゃんと合意ができたという場合には加算が算定できるというものでございますけれども、入所時に6種類以上の内服薬が処方されている、また、1種類以上減ったという割合も1割程度ありましたということでございますが、この中でかかりつけ医の加算を算定できた人の割合は6.9%でございます。
 32ページ目に進ませていただきまして、老人保健施設で疾患はどのようなものが発生しているか。先ほどの肺炎や尿路感染症、帯状疱疹でございます。これは全体の縦の長さが件数でございまして、その中で所定疾患施設療養費の何を算定したかということをそれぞれの色で示しております。
 また、33ページ目は、検査を実際に行ったかどうか。
 34ページ目は、この所定疾患施設療養費は算定期限がございますけれども、その期限内に収まった人の割合がどの程度かということでございます。例えば、一番左上の肺炎ですと、半分ぐらいの方は算定日数内に治療されておりますが、期限を超えて治療をした方もいらっしゃるということでございます。
 35ページ目でありますけれども、これはリハビリテーションに医師が関与した場合に改善がよりなされているという例でございます。
 37ページ目に進みますけれども、これは介護老人保健施設の人員配置状況・リハビリテーションの内容でございまして、3職種全てそろっているとする施設が半分弱、リハビリテーションの内容は右側にございます。
 39ページ目は、介護老人保健施設における安全・衛生管理体制でございますけれども、こういう状況になってございます。
 その後は、先ほどの特養でもありましたが、非常災害対策にかかる運営基準や感染症対策にかかる運営基準をお示しさせていただいているところでございます。
 論点に進ませていただきまして、介護老人保健施設は45ページ、最後のページでございます。これまで説明申し上げたことを文章にしておりますけれども、論点に行かせていただきます。在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設として、これらの機能をより強化していくためにどのような方策が考えられるか。かかりつけ医との連携を含め、介護老人保健施設で提供される医療、リハビリテーションについて、どのように考えるか。介護老人保健施設における感染症、災害等のリスクへの対応についてどのように考えるか。こういった論点とさせていただいております。
 続きまして、介護医療院につきまして、資料3を用いまして御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。介護医療院の概要であります。こちらのサービスは、平成29年の介護保険法改正によりまして創設されたサービス類型でございます。定義がございますけれども、その下に矢印で概要を一言で申し上げると、医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設であるということでございます。これは、次の資料4の介護療養型医療施設と対比させていただくと明確でありますが、介護療養型医療施設が長期療養施設であるのに対しまして、この介護医療院は長期療養・生活施設であることが明確化されたということでございます。また、下のほうに、これは委員の皆様で初めて御覧になる方がいらっしゃるかもしれませんが、介護医療院のロゴマークでございまして、私どもはこういうものを用いまして、介護医療院の普及に努めているということでございます。
 2ページ目が、基準でございます。
 3ページ目が、報酬体系でございます。要介護度ごとの報酬になっている。
 4ページ目が、開設状況でございます。平成30年に開設が可能になりまして、その後、増えてきているところでございます。令和2年6月末時点で、515施設、療養床数といいますけれども、3万2000床以上になってございます。各県別に見たものがその下にあるところでございます。令和2年6月に大幅な増加があったということでございます。
 もともとは、介護療養型、医療療養型あるいは転換老健などから移行していただくわけでございますけれども、その移行元を5ページにお示しさせていただいておりまして、介護療養病床から移行しているものが最も多いということでございます。
 6ページ目が、これは開設数・療養床数の推移でございますけれども、お示ししておりますように、令和2年4月以降、非常に療養床数も増えているということでございます。
 8ページ目に移りまして、要介護度の割合でございますが、平均要介護度は4を超えている状況でございます。
 その下、9ページ目に、各加算の算定状況がございます。
 10ページ目も、その続きでございます。
 11ページ目でございます。現在、この介護医療院に関しましては、移行していただいた場合の加算、移行を支援する加算がございます。名前は移行定着支援加算と申しますが、こちらを算定していただいている事業所の割合ですけれども、おおむね9割以上、移行してから12か月間取れるという期間限定の加算でございますけれども、9割以上の事業所・施設は取っていただいているということでございます。
 それでは、進ませていただきまして、15ページであります。介護医療院の1か月当たりの費用額は41.6万円でございます。
 16ページ目に参りますと、経営状況がございます。介護医療院に関しましては、有効回答数が28ということで、まだ全体を語ることのできる数ではないと承知しております。参考値ではありますが、7.1と出ております。ただ、こちらも、先ほど申し上げました移行定着支援加算の影響があって高めに出ているという要素は割り引いて考える必要があろうかと思っております。
 17ページでありますけれども、入所者・退所者の状況でありますが、こちらは、介護医療院に入所される入所元は併設医療機関や併設以外の医療機関が多く、また、退所の理由としましては死亡退所が多いということでございます。
 介護医療院の入所者について、18ページ目に分析を深めたものがございます。その中で、1つ目の○にありますけれども、医療区分1、ADL区分3が最も多かったとございます。これは解説が必要だと思いますけれども、医療区分1、ADL区分というのは、診療報酬における言葉でございます。医療区分1、2、3とございまして、医療の必要性に応じまして、1、2、3と上がるほど高い方が多い。それから、ADL区分3は、1、2、3といくほど、3は一番ADLが低い人、重い方が多いということでございます。御覧いただきますと、介護医療院の入所者は、医療区分1ですから医療の必要性はそれほどでもないのですけれども、ADL区分3で非常にADLの介助が必要とか、重い方が多いということでございました。
 19ページに、疾患、また、行われている処置が書かれているところでございます。
 20ページに、介護医療院の開設を決めた理由及び活用した経過措置でございまして、こちらに移行していただいた施設に関しまして、左側のグラフにありますように、自院には介護医療院にふさわしい患者さんが多いと考えられたという理由が多いということでございます。経過措置も活用していただいているということでございますが、経過措置には該当しないとする施設が大半でありました。
 21ページ目に、介護療養型医療施設のこのグラフは資料4にも出てくるわけですけれども、介護医療院へ移行を予定している病床数の構成比ですけれども、記載のとおりでございますが、それぞれこの帯グラフは、一番右側にありますけれども、2023年度末、いわゆる介護療養型の経過措置の期限までにどのような類型に移行するかということをアンケート調査したものでございますけれども、こちらを御覧いただきますと、未定というところが3割程度あるということでございます。また、この2023年度末までの経過措置なのですが、それでも介護療養型医療施設と回答していただいているところも12.2%あるということでございました。
 22ページは、医療療養の移行予定でございますが、医療療養の病床を運営されている病院の方は介護医療院に来ることはあまり多くないところでございます。
 また、23ページ目、こちらは、転換老健、介護療養型老人保健施設の移行予定でございますけれども、こちらもさほど多くない状況でございます。
 24ページ目に、こちらは移行しない理由でございますけれども、例えば、医療療養病床のところでしたら、自院の経営に適しているということでございました。
 25ページ目には、まだ検討していないと回答されているところも一定数あるということをお示ししております。
 また、26ページ目、27ページ目には、移行するとした場合の課題というアンケートの回答結果ですが、27ページ目に、移行した場合に十分な看護職員、介護職員を雇用することができないという回答がございます。こちらに関しましては、移行する場合、特に人員要件は強化されておりません。現状の人員配置基準で移行していただけるということですので、そちらの周知がまだ足りないのかなと考えております。
 次、30年度改定でどのような介護報酬を創設したかということを29ページ目にお示ししております。
 30ページ目、31ページ目、32ページ目は飛ばさせていただきます。
 33ページ目には、先ほど申し上げた移行定着支援加算でございまして、1日辺り93単位という加算がついております。
 また、34ページ目には、排せつ支援加算のようなものも新設したということでございます。
 次、36ページ目でございますけれども、看取り期の取組はほぼ全ての介護医療院でやっていただけているということでございます。ただ、これもnが72ということで、まだ全体を語るとすればちょっと少ないかなという形でございます。
 37ページ目には、生活施設としての環境を整えるための取組・工夫ということで、こういった工夫をしているということでございます。
 その続きが、38ページ目にございます。生活施設ということですので、プライベートな空間をなるべく確保するという取組をしていただいているということ、あるいは日常の楽しみなども施設としては提供する努力をしていただいているということと考えております。
 40ページ目以降は、診療報酬の話でございますけれども、医療療養病床ですと、例えば、40ページ目では700日以上入院している患者さんが多いとか、そういう施設において退院を困難にしている理由などが41ページ目にございます。
 こうした現状を踏まえまして、44ページ目、論点をお示しさせていただいております。44ページの最後の2行ですが、介護療養型医療施設等からの円滑な移行を一層促進する観点から、どのような方策が考えられるか。医療の必要な要介護者の長期療養施設としての機能及び生活施設としての機能をより充実させる観点から、どのような方策が考えられるか。このような論点とさせていただいております。
 それでは、介護療養型医療施設につきまして、資料4を用いて御説明させていただきます。先ほどの介護医療院の中でも若干触れさせていただきましたので、説明は簡潔にと思っております
 1ページ目に、施設の概要がございまして、こちらは長期療養施設でございます。いわゆる病院でございますけれども、そこの中で介護療養型医療施設となっているということでございます。
 2ページ目が、基準。
 3ページ目が、報酬体系。
 4ページ目、5ページ目が、加算の算定状況でございます。
 6ページ目が、こちらは経過措置を図で表したものでございまして、こちらは介護療養型医療施設に関しましては、現在、経過措置で法律上は設置根拠が残っている状況でございまして、令和6年3月、令和5年度末までの経過措置となっておりまして、それまでに順次何らかの施設類型に移行していただくわけでございますけれども、介護医療院を最も主な選択肢としていただけるように、今、様々な措置を行っているところでございます。
 移行が進んでおる状況でございますので、例えば、7ページ目、8ページ目、9ページ目、それぞれ、事業所数、受給者数、費用額ともに減っているということでございます。
 12ページ目に進みまして、こちらは要介護度でございますが、平均要介護度4.3ということで、重い方がたくさんいらっしゃる。
 14ページ目に進みます。こちらは経営状況でございますが、収支としましては4.0%でございます。平成29年度と比べますと1.0ポイントのマイナスでございました。
 療養病床数は、移行が進んでいる結果だと思いますけれども、こちらは令和2年4月の状況でございますが、2万床を切っておるということでございます。
 16ページ目、それを病院と診療所で分けてみましても、それぞれ減少しているということでございますが、病院のほうがより減少割合は高いということ。
 17ページに、こちらは介護療養病床を有する医療機関の病院数と病床数を都道府県ごとにお示ししております。
 18ページには介護療養病床の移行先でございますけれども、やはり介護医療院が多く、8割の介護療養病床を持つ施設は介護医療院に来ているということでございます。
 20ページに進ませていただきまして、この介護療養型医療施設の中には老人性認知症疾患療養病棟も含まれるということをお示ししております。
 進みます。23ページ目でございますけれども、こちらは、先ほどの介護医療院の中でもお示ししたグラフでございますので、説明は割愛させていただきます。
 24ページ目、こちらは介護分野の文書に係る主な負担軽減策でございますけれども、この中で赤でハイライトをしておりますが、介護医療院への移行に係る文書の簡素化でございまして、介護療養型から介護医療院に移行する際には、ほぼ同じ条件で来られるとしているところでございますが、自治体によりましては、新規開設とまったく同じような書類を求めておる例もございましたので、そこは簡略化できることもお示ししたところでございます。
 25ページ目以降が前回改定の内容でございます。ここは割愛させていただきます。
 28ページ目でございます。こちらは診療報酬の改定内容でございます。診療報酬にも、この介護療養型と類似の人員配置基準の評価がございます。療養病棟入院基本料の経過措置、いわゆる25対1病棟でございますけれども、こちらは前回改定で経過措置を延長するとともに、こちらは診療報酬の基本診療料を少し下げているということでございました。
 最後のページに進ませていただきまして、論点、32ページでございます。介護療養型医療施設の論点といたしまして、令和5年度末の廃止期限までに、介護医療院への移行等が確実に行われるよう、より早期の意思決定を支援するために、どのような方策が考えられるか。令和2年度診療報酬改定における評価の見直しを踏まえ、介護保険の療養病床に対する評価について、どのように考えるか。このような論点とさせていただいております。
 資料の説明は、以上でございます。
○田中分科会長 御説明をありがとうございました。
 それでは、ただいまから皆様方からの御意見、御質問を承ります。また、途中で休憩をはさむ予定でございます。どなたからでもどうぞ。
 河本委員、どうぞ。それから、石田委員、小泉委員の順で参ります。大西委員にも気がつきました。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 そういたしましたら、施設類型ごとに意見と質問を申し上げたいと思います。
 まず、介護老人福祉施設でございますけれども、論点にございますように、介護ロボットやICTの活用、基準の緩和等については、業務負担の軽減や効率化を進めていくために必要であります。この意味では、もちろんサービスの質の確保に留意は必要ですけれども、人員の基準あるいは定員といったものの緩和を検討していくべきだと考えております。その下のユニット型施設の関係でございますけれども、その普及のためには、今回、個室ユニット型施設の推進に関する検討会報告書の御報告が先ほどございましたけれども、そのケアの質を落とさないことを前提に基準の見直しや緩和についてよく検討するべきだと思います。1ユニット当たりの定員の緩和みたいなことも報告書の中に入っておりましたけれども、こういったことも検討に値するのではないかと考えております。
 介護老人保健施設の関係でございますけれども、論点にある在宅復帰、在宅療養支援の機能をより一層強化していくためには、今、超強化型、在宅強化型、加算型、基本型とあるわけですけれども、この評価についてさらにめり張りをつけた評価をしていくべきと考えます。その財源は、財政中立的に行うべきかと思います。かかりつけ医との連携の関係ですけれども、かかりつけ医連携薬剤調整加算が紹介されておりますけれども、算定率がかなり低い。30ページ目の算定しなかった理由として、主治医との合意形成が困難とございますけれども、これについて質問でございます。この主治医との合意形成が困難とは具体的にどのような状況なのか、算定要件では主治医と共同して総合的に評価及び調整をして薬を減少させることになっているのですけれども、そもそも主治医と相談すること自体が難しいのか、あるいは、共同しての評価が難しいのか、要は、その辺りのもう少し詳しい理由ですね。どんな形で評価・調整を行っているのかという辺りをもう少し御説明いただければと思います。これは質問です。
 介護医療院の関係でございます。資料の21ページ目に、その介護療養型施設からの移行予定で、28.9%が未定とか、あるいは、令和5年度末に療養病床の設置期限を迎えるわけですけれども、それでも12.2%が介護療養型施設にとどまるとかという回答をされている。25ページ目でも、移行に関して院内で検討しておらず全く未定というのが10%強あるとか、これはかなり問題だなと思います。設置に当たっての課題や問題点を改めて整理していただきたいと思いますし、介護医療院への移行が確実に進むように、転換計画書を作成していただくとか、あるいは、地域医療介護総合確保基金といった助成制度を活用するとか、そういったことも必要だと考えております。国によるさらなる周知と支援が必要と思います。その関係で、移行定着支援加算は、令和3年3月末までの期限となっておりますけれども、サービス提供以外の部分について介護報酬の加算という形で評価するというのはいささか問題があるのではないかと考えます。15ページに受給者1人当たりの費用額が41.6万円ということで他の施設と比べても高いという御紹介がございましたし、これは当然利用者負担にも影響しているわけでありまして、収支差率もかなり高い。これも、その意味では、この加算の影響ということだと思うのですけれども、早期の転換を促す施策は必要だと思いますけれども、転換支援策は、先ほど地域医療介護総合確保基金の助成の活用を申し上げましたけれども、介護報酬以外の形で検討すべきではないかと考えております。
 最後、介護療養型医療施設の関係でございますけれども、これも論点に令和2年度の診療報酬改定における医療療養病床に関わる評価も踏まえて、この介護の療養病床に対する評価をどう考えるかということでございますけれども、移行を促進していく観点からも、減算あるいは報酬の引下げといったことも検討してもよいのではないかと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 資料2の30ページでございます。かかりつけ医連携薬剤調整加算、いわゆる減薬をしたときに算定できる加算につきましての御質問がございました。こちらのアンケートの結果の中に、先ほど引用させていただきました入所前の医療機関の主治医の医師との合意形成困難という影響で59.1%、これがハイライトをされているところでございます。これ以上の中を分析したアンケートではございませんので、なかなかこういうことですということをつまびらかにお示しすることは困難でございますが、お聞きしているところでは、例えば、老健施設はそもそも薬剤が包括された報酬でございますので、減薬するインセンティブはそれなりに内包されている。その中で、入所ということでございますので、在宅とは少し環境が変わる。そうすると、例えば、睡眠薬などの処方が少し変わって減らすことができるとかということがある。ただ、それをわざわざ主治医の医師に一つ一つ御連絡するかというと、せずに減薬するような例もあると聞いておりますし、主治医の医師がなかなかお忙しいこともあろうかと思います。あるいは、専門性の違いもあろうかと思っておりますが、そういう例があるとは聞いております。
 今日は東委員も御参加されておりますので、もし補足があればしていただければと思いますが、そのような状況と承知をしているところでございます。
 以上です。
○田中分科会長 小泉委員、お願いします。
○小泉委員 全国老人福祉施設協議会でございます。
 全国老人福祉施設協議会より、令和3年度介護報酬改定に関する提案について、本日、参考資料として提出させていただきました。全て説明する時間がございませんので、お手数ですが、御一読いただきますようお願い申し上げます。
 まず、論点に沿って意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 介護老人福祉施設についてでございます。介護ロボットやICTの活用や基準緩和等をはじめ、どのような方策が考えられるかということでございますが、介護ロボットやICTにつきましては、資金投資を行っただけで使用されていない機器も多数ございます。厚生労働省が平成30年度に公表しております介護サービス生産性向上ガイドラインに依拠した体制として、業務改善のためのチームの構築、業務の必要性の検討、業務手順書の作成を行うなど、一連の体制とプロセスを基準上設け、計画的に推進を行うべきであり、基本報酬において評価していただきたいと考えております。
 次に、介護老人福祉施設においてユニット型の普及方法についてどのような方策が考えられるかということでございますが、ユニット型普及の阻害要因としましては、人員配置を手厚くしないとユニットケアの目標とするケアができない。有給が取得しにくい。研修に参加しにくい。昼間のサービス提供において、ユニット間で支援ができない。人数が充足されていなければ、1人で業務を行うため、新人には不安と負担感がある。本来推奨される勤務体制では、休日がないような感じがする。地方では、ユニットへの入所希望者が少なく、運営が困難である。このような課題がございます。それらを解決する必要がございます。要するに、人材確保と労働環境の改善、経営環境の改善が必要であり、ユニット型の基本単価の改善が必要と考えます。ユニットに対して否定的な意見となりましたが、ユニットケアは、個別介護、なじみの関係など、個人の尊厳を基本にした施設であり、私が入所するならユニットケアの施設に入所したいと考えていますので、ユニットケアを否定しているわけではございません。誤解をしないでいただきたいと思います。
 次に、看取りの促進や医療分野との連携強化についてどのような方策が考えられるかということでございますが、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインに従い、本人の意思を尊重したACPが作成され、医療・ケアチームにより実行されるべきと考えております。特に独居の方などは、過去の生活環境、背景等をひもとく過程で、地域とのつながりを持つ生活相談員、社会福祉士の技能が役立つものと考えます。推進に当たり、社会福祉士やソーシャルワーカー等の関与を明確化し、評価の充実を検討すべきと考えております。
 介護老人福祉施設における感染症・災害等のリスクの対応について、どのように考えるかということでございますが、感染症予防については、適切な対応を行っている事業者及び事業継続計画、BCPを作成している事業者には、評価を行い、基本報酬において評価すべきと考えます。
以上、論点についての重要性については、私どもも十二分に理解し、いずれも積極的に推進を考えておりますが、これ以上加算を増やすのは得策ではなく、加算は業務量の増大にもつながりますので、基本報酬の中で評価をお願いしたいと考えているところでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症につきましては、最大限の努力を行っており、協議会としてもマニュアルの作成等、いろいろな対応をしているところでございますが、諸外国に比べて高齢者施設での死亡者の割合は非常に低く、これは我が国の高齢者施設介護従事者のケアの質・意識の高さそのものと考えております。介護従事者は、様々な不安を抱えながらも、御利用者、御本人の生活に寄り添い、様々な制約の中でケアを行っております。高齢者の感染爆発には至らず、医療崩壊の防止に少なからず貢献していると考えますので、評価の一つに御配慮いただきたく思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 石田委員、お願いいたします。
○石田委員 ありがとうございます。
 私からは、2点、質問と意見ということで述べさせていただきます。
 一つは、今、御発言もあったのですけれども、個別ユニット型施設の推進が、非常に課題があってなかなか進んでいかないということがありました。もともと、今も御説明があったように、個別ユニット型施設の特色として、個別ケアを重視していることと、それに対応できるための手厚い人員配置があります。これらは利用する側にしてみれば非常に重要なポイントです。ただし、人員が不足しているということで、いろいろな形で現場では規制を緩和して、何とか対策をしようという意向は非常によく分かるのですけれども、その中で、ケアに当たるスタッフの人数をもう少し少なくしていいのかどうか、あるいは1ユニットを2ユニット単位で運用していくことも実施してはどうかという意見もあるようです。しかし、これらの提案についてはかなり懸念を感じております。それでは、どうやって解決していくかという方法論を探っていく中で、参考資料には出ていたのですけれども、検討会の報告書がありまして、一番最後の部分で専門職の常勤要件が示されています。この常勤の規定について、もう少し柔軟な考え方で、短時間で勤務している方たちも含めて、対応できるような仕組みがひょっとしたら考えられるのではないか、まず、そちらからやっていく方法もあるのではないかと考えております。これは一つの意見です。
 もう一つは、質問なのですけれども、今、介護老人保健施設と介護老人福祉施設ということで御説明いただきました。現在、コロナ禍の中で、通所に関するデイケアやデイサービスの利用控えがあるということを聞いておりまして、その実態などがどれくらい把握されているのか知りたいと思います。例えば、老健の場合は、それでも、訪問リハ等で利用者とのつながりがカバーできる部分があるように思うのですが、特養の場合には、通所のサービスを控えた利用者に対して、それに代わるサービスといったことが検討されているのかどうか。そして、通所系サービスの利用控えの実態についてこれまでに調査が行われているのかどうか、また、そのときに、通所に代わる代替のサービスが何かあるのかどうか、その辺のところを現状としてお聞きしたいので、これは質問としてお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 老人保健課長。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 報酬全体の話でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。
 まず、利用控えでございますが、これは、各種事業所団体からのお話、あるいは、そういう団体の調査、私どもの給付実態などを見させていただきまして、コロナ禍が進展していた、例えば、3月、4月、5月で、特に通所系のサービスにおいて利用控えがあるのではないかと私どもは承知しているところでございます。また必要に応じてお示しさせていただければと思いますが、そういったことがあることは承知しております。
 一方で、通所サービスを利用されていた方とどのように関わりを継続するかという御質問があったわけでございますけれども、私どもは、その中で、報酬の特例といたしまして、例えば、そういう通所サービスを御利用されていた方が御自宅にいらっしゃるときに、通所サービスから、これは訪問介護としてではなくて、通所サービスをデイサービスの事業所から訪問をして日々のお世話をする、あるいは、入浴介助をするなどにおきましても、もともとの通所介護の報酬単位を算定できるという特例を設けて、なるべく、継続、関わりが続くように、私どもとしては配慮しているところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 お待たせしました。大西委員、どうぞ。
○大西委員 ありがとうございます。
 私から、何点かある中で、介護医療院について、2点意見を申し述べたいと思っております。
 資料3の44ページに論点が出ておりますけれども、まず、1点目の論点の介護療養型医療施設等からの円滑な移行を一層促進する観点から、どのような方策が考えられるかということでございます。介護療養型医療施設等からの移行促進策でございますけれども、平成30年度の介護報酬改定におきまして、先ほど御説明がありましたように、転換後、12か月の算定可能な移行定着支援加算が創設されております。ただ、これは令和3年3月末までが期限でございます。
 資料3の6ページにおきまして、令和2年4月に前年4月の3倍ぐらい開設数が伸びておるといいますか、増えているわけでございます。言わば12か月の加算をもらうためにこの令和2年4月に間に合わせたということは大きいと思っております。したがいまして、円滑な移行を今後とも進めていくためには、引き続き当該加算を算定できるようなことも考えたらいいのではないかと。ただ、その場合に、加算措置の介護報酬分が高くなるという点もございますけれども、何らかの工夫をした上でこの加算の延長を考えていいのではないかと思っております。
 もう一点、この介護医療院ができることによりまして、私どもが一番大きく危惧いたしておりますのは、医療保険財政から介護保険財政に保険が移行することでございます。その分、もちろん市町村の保険者の全体の保険財政を圧迫することになるわけでございます。これにつきましては、介護保険部会につきましても意見を言わせていただきましたけれども、療養病床から介護医療院への転換について、第8期計画期間中も引き続き総量規制の対象外にするということで聞いておるところでございまして、保険者にとりましては、今、言いましたように、新たに来る介護医療院のサービス見込み量の見通しが非常に立てづらいこと、医療保険から介護保険への利用者の振替が発生いたしまして、介護保険財政への影響が非常に大きくなるということでございまして、それに対する保険者の保険財政への支援をこれまでも要望してきたところでございます。これにつきましては、基金への返済期間を、3期計画期間、9年間とすることで議論されたところでございますけれども、これにつきましては、あくまで基金からの保険者に対する貸付でございまして、貸付の返済期間をある程度猶予してくれるということでございます。ただ、実質的には貸付でございますので、その分は、何らかの形で補塡、基本的には保険料でカバーをしなくてはいけないことになります。新たに移行してくる報酬分でございますので、実質的な支援、財政措置といったものを、今後とも私どもとしては求めてまいりたいと思っておりますので、意見として言わせておいていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御意見をありがとうございました。
 小玉委員、どうぞ。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 私からは、主に、介護老人福祉施設、介護老人保健施設につきまして、意見と要望を述べさせていただきたいと思います。
 まず、資料1の介護老人福祉施設、52枚目の論点に、ICTの活用や基準の緩和について示されてございます。介護サービスの質の向上や効率化のためには、多職種との連携の強化が必須であろうかと存じます。利用者には、様々な生活での課題の解決に中心となる職種、また、連携が必要な職種も様々であろうかと存じます。現在のICTの活用によります情報共有のシステムは、個人情報保護への厳格な対処がまずは求められてございます。もちろんその部分は十分に担保しながら、今後はより使い勝手のよい通信機器やソフト等の活用、また、情報の保管場所等についての検討をお願いしたいと存じます。
 次に、資料2の介護老人保健施設の13枚目、介護保険3施設における入所者・退所者の状況でございます。中段の介護老人保健施設から家庭へは33%の方が戻られておりまして、これは本当に施設の皆様の努力に敬意を表したいと存じます。その前の10枚目には、介護老人保健施設における傷病名等がございますけれども、入所時の主病名として脳卒中が認知症と並んで多いことが示されてございます。脳卒中の患者さんでは、誤嚥性肺炎の発症が70%にも及ぶという報告もございます。この発症の予防や重症化防止のための口腔ケアや口腔衛生管理がとても重要と思いますけれども、この介護施設等から家庭での療養生活に移った後にも、これが継続的に実施され、十分な対応がなされているものが30%ほどにとどまることも報告にございます。したがいまして、この論点にもある施設から在宅や家庭への円滑な復帰のためには、口腔ケアや口腔衛生管理を継続できるような情報共有のスキームづくりをお願いしたいと存じます。
 また、資料1の介護老人福祉施設の52枚目の論点、また、この資料2の介護老人保健施設、45枚目の論点には、感染症・災害時のリスクへの対応についてということが示されてございます。感染症への対応といたしましては、うがい、手洗い、マスクのほかに、私どもの立場から申し上げれば、適切な口腔ケア、特に歯磨き、舌磨きや少し強めのぶくぶくうがいが必要であろうかと考えてございます。
 また、継続的な居宅療養管理指導の実施のためには、そのときの地域での感染状況にもよりますけれども、利用者さんや家族、介護職種の方々とのオンラインでの健康管理・指導が必要と考えますので、そのような新たな対応についての御検討もぜひお願いしたいと存じます。
 また、災害時につきましては、感染症の対応も同じことが言えると思いますけれども、まず、平時からの準備が非常に大事かと思ってございます。すなわち、利用者の方々についての情報共有と災害や感染のリスクの予想、また、関係団体との顔の見える関係構築、施設で対応すべき行動計画、事業継続計画(BCP)の策定と定期的な見直し、健診や訓練の実施など、利用者さんや家族の皆さんとともに実施し、施設や地域での対応力の向上に努めて、災害対策や感染症に関わる全体での地域包括ケアの中で力を高めていくことが必要かと思います。
 先ほど、小泉委員から、諸外国に比べて日本における高齢者施設での新型コロナウイルス感染症の被害が少ないというお話がございました。これは施設の皆様の本当に大きな努力のたまものであろうと敬意を表するところでございますけれども、3月、4月、5月の感染拡大の際には、実は私どもの歯科の施設での在宅訪問歯科診療の実施が少し十分にいかなかったという事例もございます。歯科医師会としては、新たな新型コロナウイルス感染症に対するマニュアルの作成、また、医師会の先生方、厚労省の皆様からの御指導も頂きまして、「みんなで安心マーク」の作成等に努力をしてございます。今後の感染状況がどのような形になっても、もちろん収まることを心より願うところではございますけれども、歯科からの口腔ケア、口腔衛生管理は、施設利用の皆様にとっても、我々も重要だと思いますので、ぜひそういったことの滞りのないようなご対応をお願いいたしまして、発言とさせていただきます。
 以上です。ありがとうございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 伊藤委員、武久委員、椎木委員、そこまでで休憩を取ります。お三方、どうぞ。
 まず、伊藤委員からお願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
 私からは、介護老人福祉施設と介護医療院への移行について述べたいと思います。
 介護老人福祉施設の論点として、資料の最後の52ページの1つ目の、「介護ロボット・ICTの活用や基準の緩和等」について、現場の状況を把握してみたところ、見守り機器の導入ということについては、「おおむね歓迎する」「よかった」という評価の声が聞かれております。ただ、今後どうするかということについては、見守り機器のことで言えば、機器を導入したからといって仕事自体、業務そのものがなくなるわけではなく、これを導入するためのインセンティブとして単純に人員配置基準を減らせば、それはむしろ負担増になってしまって、職員が職場を離れてしまうという懸念を強く持っているという意見が聞かれました。ですので、そういったところは十分に考えていただく必要があると思っております。特に夜間の緊急的な対応にあたっては人手が当然必要となるわけですので、規模が大きい施設とそう大きくない施設の違いも考慮しつつ、今後こういった機器の導入の意味も踏まえ、この間の取組の効果も分析していただきたいと思います。
 また、さらにどういう機器を導入すべきかということについては、様々にあると思いますけれども、実際に利用者様と直接触れないで済むようなことができるようシステムがあれば、それは効果的なのかもしれないという意見もありますので、そうした機器としてどういうものがあるのかということを検討していければと思っております。
 なお、介護ロボット・ICTの活用の検討においては、その目的を、人材不足で基準緩和をすること自体を目的にするのではなくて、ITロボット等の機器を活用することで、人材確保の観点、介護職の就業者を増やしていくのだという観点でぜひ検討をしていただきたいと思っております。
次に、論点にあるユニット型施設の普及方策です。この点について、連合としましては、従来から尊厳ある高齢者の暮らしのためにユニットケアはぜひ進めていくべきと考えております。高齢者が生活の場を急に変えれば、それだけでも大変なのに、尊厳ある暮らしが守られないことは大変悲しいことですので、ぜひ進めていただきたいと思っております。
 検討会で提案されている1ユニットの入所者をおおむね10人から15人に増員することにつきましては、単純に今の人員配置基準のままで15人に定員を増やすということは、明らかに職員の負担が重くなってしまうということで、非常に心配する声が強く出ております。ぜひこういうことに当たっては人員配置基準そのものを検討していく必要があると思います。
 2ユニット単位での運用を昼間の時間帯でも認めることにするという提案につきましては、もしそういうことをする場合、職員としては多くの人を見ることになりますので、質の担保のために様々な研修などが確実に受けられるようなことにしないと、なかなか質を確保し切れないのではないかという意見がございました。
 先ほどの見守り機器のところなのですけれども、実際に見回りしていた際に、向きが違うように寝ていらっしゃった入所者の方を見つけて、確認したら、最初は血圧が取れていたのですけれども、息が止まったため、蘇生して、ドクターの来診を待ったということで、こうしたことはなかなか見守り機器では発見し切れなかったのではないかということが、のちのカンファレンスで話が出たということもあります。必ずしも見守り機器は万能ではないというところも考慮しないといけないと思っています。
 最後に、介護医療院への移行はぜひ進めていくべきだと考えているのですけれども、生活施設という機能を伴っていただく必要があるわけで、そこを建前でなくきちんと伴った形での移行にしていただきたいと思います。あくまでも介護保険はサービスに要した費用を給付するということですので、移行のための費用は例外的にあるものだと理解していますし、生活施設としての環境を整えるための取組や努力をされていることは分かりましたけれども、利用者にとっては負担に見合ったサービスが受けられることが大変重要だと思っておりますので、そういう形で移行を進めていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 御意見をありがとうございました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 まず、介護医療院へのスムーズな移行ですね。我々としては協力したいと思っておりますが、未定とか、介護療養型医療施設にまだ2023年度でも残るというようなアンケート結果が出ているのは残念ですけれども、厚労省の方々が最適な施設として介護医療院をつくっていただいたと我々は思っております。すなわち、看取りをするのは医療機関である病院ではないはずでありまして、看取りというのは、本当に寿命が来ている場合とか、がんのような場合とかがございますけれども、栄養や水分は与えるけれども、それでも受け付けなくなってくるとき、それがまさに終末期と思いますけれども、介護医療院は病院内にあるということもありまして、看取りの場所としては最適と思いますので、従来の一般病棟や療養病棟のいわゆる医療施設の中で看取りをするよりはこちらにシフトをしていく形が一番いいのではないか。そのためには、まだ3万2000床ぐらいですので、予定どおり、10万床ぐらいになれば、看取り的に、いわゆる寿命が尽きたような方の安定的な安らかな看取りをするためには、スタッフのたくさんいる介護医療院がいいかと思っております。
 もう一つ、特養に関して言わせていただきますと、ユニットを推進しているわけですけれども、ちょうどその移行期として、ユニットと多床室の2つの機能を持った100ベッドの特養が現状にあります。ここがほとんど赤字なのですね。2つの施設を別々にきちんとした人員を配置しろという基準がございまして、100ベッドが全部ユニットになりますと、非常に多くの人員が余分に要るということもあって、いわゆるミックス型の特養、すなわち、みんなユニットにしようということで辻さんが言い始めて、ちゃんとこういうふうにしてユニット化していっているわけですけれども、残念ながら月に1人15万円以上も要るということでありまして、なかなか厳しいものがあるわけですね。そのために、従来型といわゆる混合型がありまして、そこの収支が非常に悪いことを検討していただいて、少なくとも運営できるようにしていただきたいということ。
 もう一つは、地方の過疎地にある特養ですね。確実にベッドは空いてきているのですよ。だけれども、その辺にいる地域の人で要介護2や1の人は、原則的には入れない。いろいろな条件で入れるようにはある程度はできておりますが、現状では入れないということで、遠い町へ行かざるを得ない。しかし、その地方の特養は空いている。どう考えてみても、そういう状況の場合には、要介護3以上でないと特養に入れないという今の条件は少し緩和していただかないと、現実に地域に密着した施設としては不十分になってくるということがあります。
 もう一つですけれども、十何年前から何もかも小規模化してきたことを先ほども申しましたけれども、小規模特養の30床というのはほとんど赤字になっているのです。非常に厳しい。小規模化することによって、非常に厳しい。逆に言うと、東京都などは200ベッド以上の特養などがありますけれども、この同じ特養、介護老人福祉施設の中で、規模とか、ある場所、要するに、都市部と過疎地によって、物すごく大きな差があります。これを単純に一つの施設として同一視して運営していけるかどうかとなると、少し問題が出てきていると思いますので、この辺のところも御考慮いただいて改定していただけたら幸いと思います。
 ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 前半の最後に、椎木委員、お願いします。
○椎木委員 全国町村会の椎木でございます。
 私から、2点ほど意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 1つ目は、介護老人福祉施設についてであります。資料1の10ページに経営状況のデータがありますが、収支差率がマイナスになっている施設も多く見受けられます。それは、平成27年度介護報酬改定における基本報酬の引下げなどが影響しているのではないかと思われます。町村部では、例えば、私の町のように高齢化率が50%を超え、一人暮らしや老々介護など、家庭の介護力がない世帯が多いというところもあれば、在宅サービスの事業者の参入がなく、特別養護老人ホームが貴重な地域資源になっているところも少なくありません。そのような地域の特養が継続的・安定的に経営が行えるような仕組みづくりをぜひともお願いしたいと思います。
 2つ目は、介護医療院についてでございます。先日開催されました介護保険部会の中で、厚生労働省から財政安定化基金からの貸付の返済期間に係る時限措置について提案があったところでありますが、医療療養病床から介護医療院への移行については、小さな町村では保険料への影響が大きいということがあるため、この時限措置に加えて、被保険者の保険料負担の総額を軽減するための財政支援についてもぜひともご検討いただきたいと思います。
 以上、2点ほど、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 90分たちましたので、ここで10分ほど休憩を取ることにいたします。
 
(休 憩)
 
○田中分科会長 再開いたします。
 引き続き、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 何点か申し上げます。
 前回の平成30年度の改定のときにも、多様な人材確保と生産性の向上ということで、見守り機器やICTの利活用の促進が掲げられていたところでございます。先般、6月1日の177回の分科会で提出された調査結果を見ましても、見守り機器につきましては、業務時間短縮と同時に、利用者側にもプラスのメリットがあったという評価がございました。今般、感染症の対応も含めまして、介護ロボットやICT化の推進は、今回の改定においても非常に重要な課題であると考えます。したがいまして、より幅広い介護サービスで導入が促進されますよう、具体的には人員配置の基準のさらなる緩和は一番検討すべき課題ではないかと思います。また、この設備投資に関しまして、導入時の資金繰りが重要になってくると思うのですけれども、現在、基金や補助金など、いろいろな措置があると思いますので、一度、どういう支援策があるのか、整理の上、お示しいただければと考えます。
 ユニット制の普及に関しましては、今後、人員の確保がますます困難になることを踏まえますと、今、申し上げましたICT化とか、ロボットの活用などが重要であるとともに、検討会の意見でありますように、ケアに影響を与えないような範囲内で、1ユニットあたり15名程度であれば運営が可能という検討会の報告もございましたけれども、そういった緩和も検討の余地はあると考えております。
 老健に関しましては、在宅復帰を目指す施設という基本方針を踏まえますと、基本型ではなくて超強化型をますます重点化していく必要があると考えます。
 介護医療院に関しましては、令和5年度末という期限を再度確認した上で、予定どおりに実施していくことが大切だと考えます。そのために、現行の移行定着支援加算は令和3年度末までとなっており、これにつきまして、期間限定であるから促進されるという面もあると思いますので、その辺を踏まえながら検討していくべきではないかと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 私は、特別養護老人ホームについて、意見とかを述べさせていただきます。
 家族の会は、特別養護老人ホームが利用できるのは要介護3以上が原則は撤廃していただきたいことを前回より述べておりましたし、補足給付の厳格化に対しても介護保険部会でも反対の声を出しております。その理由ですけれども、一人暮らしや高齢世帯で介護が必要になった人、ましてや認知症の人にとって、特別養護老人ホームは亡くなるまで暮らすことができる頼みの綱の施設です。また、介護をする家族にとって、在宅での介護が限界になったときでも特別養護老人ホームがあると考えることができる最後のよりどころです。
 しかし、法律の見直しで、特別養護老人ホームが利用できるのは要介護3以上が原則になりました。今回の資料を見ると、2001年には利用者の25%が要介護1・2の人でしたが、2018年度には5%と劇的に減少しています。やむを得ない事情があるときには要介護1・2でも利用できる特例入所がありますが、あくまでも特例であり、本人や家族にとってはハードルの高い条件です。本当に要介護1・2の人は特別養護老人ホームを利用しなくても暮らしができていくことができるとお思いでしょうか。家族の会の家族交流会の集いでは、介護が大変でサービスつき高齢者向け住宅にはお金的に無理だから特別養護老人ホームに入所したいが、ケアマネさんから要介護1なので行方不明や暴力などというものがなかったら入所条件が厳しいから難しいと言われて、断念されている人は多いです。特別養護老人ホームが狭き門になる中、介護つき有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅を利用する人が増えていますが、家賃や管理費など自費部分が大きく、低所得の人にはとても利用できる条件ではありません。
 また、資料には、ユニット型個室の定員割合を2025年までに70%にするという目標があります。新型コロナウイルスの拡大の中、相部屋ではなく、個室を増やすことも求められていると思いますが、ここでも居住費あるいは家賃という自己負担が増えていきます。
 また、ユニット型個室でないと、尊厳あるケア、個別ケアはできないのでしょうか。職員配置の見直し案も出ている中、別のユニットまでを昼間だからと職員減となると、日中の豊かな生活となる食事や入浴のケアや本人がしたいことへの取組が減ってしまうのではないでしょうか。高邁な理念とかけ離れた現実になっていくように思います。本人にとってどうなのか。再度、本人視点での検証をお願いいたします。私の両親はユニット型個室でしたが、現状以上に職員減となると、あの丁寧なケアは受けられなくなるのだと思います。入所していたときでも職員さんは走り回っておられましたから、隣のユニットまで目配りはできないように思います。人員減は不安が多いですし、職員さんも負担が多くて辞める人が増えるように思います。
 これらの状況の中で、質問があります。個室ユニット型施設の推進に関する検討会が開かれていることを知らなかったのですが、これは老健局の検討会とお伺いしました。この検討会の資料や議事録は公開がされているのでしょうか。教えてください。
 また、2018年度介護サービスが必要と認定された人は658万人になります。要介護1・2で特例入所が認められている人は3万人程度ですが、660万人の認定者のうちやむを得ない事情があった人は3万人だという理解でいいでしょうか。お教えください。
 また、意見ですけれども、特別養護老人ホームが利用できる人は要介護3以上が原則で、家族の会としては原則を撤廃していただきたいと申し上げましたけれども、本当に大丈夫なのか検証をしていただくことを強く求めます。日常の人の介護で大変なのは要介護1・2のときですので、ハードルがあまりに高いというのは、先ほども申し上げましたけれども、本当に家族としては困っている状況があります。サービスつき高齢者向け住宅に入っても、経済的にかなり余裕がないと長期での入所は難しいです。子供が当面負担してという利用計画を立てていても、この新型コロナウイルス感染症での不景気の中で破綻することも増えます。
 それから、新型コロナウイルスの流行は、在宅で暮らす人たちに悪影響を及ぼしているとの報告がたくさん出ています。在宅ワークとなった家族との暮らしがどうなっているのか、地域の会議で包括支援センターや警察の人の話を聞くと、高齢者虐待が増えていると聞きます。在宅サービスを利用し、ぎりぎりの中で介護をしている人が、新型コロナウイルス感染症の流行でその介護が破綻し、さらに例の特例規定やショートの特例措置で利用していないサービスの費用を負担するという経済的我慢とともに、報道で知るにつれ、不公平な制度であるが、お世話になっている事業所も大変だし、心理的にもしんどい状況となっています。
 介護つき有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅を経済的に利用できない人達が在宅サービスを利用しながら暮らすことができなくなったときに、受け皿としての特別養護老人ホームは大変重要です。もう一度言わせていただきますけれども、要介護3以上が原則というのをもう一度検証していただいて、やめていただければと思います。
 ユニット型個室あるいは個室を増やすときに、利用者の負担能力をきちんと考えていただくことを要望いたします。補足給付はありますが、預貯金のチェックが加わり、昨年の介護保険部会の意見ではさらに預貯金チェックが減額されることが提案されています。理論上は負担できるとされていても現実には払えないという事情が個別にはたくさんあります。どこで平準化するかというのは難しいテーマだと思いますが、低所得の人たちも介護保険料を払っている加入者です。認定を受けた人たちの低所得者はどれぐらいいるのかきちんと把握していただきたいと思います。また、低所得の人は保険料を払っているだけで特別養護老人ホームは利用できないという事態を改善するために調査や分析をしていただきたいと思います。
 最後に、認知症専門ケア加算やそのほかの加算についてです。認知症専門ケア加算は、私たち介護家族、本人にとっては大変ありがたい加算ですので、多くの介護保険施設で取得し、認知症ケアの専門性を高めていただくことを望みます。しかし、その取得率は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設ともに、1桁かそれ以下のパーセンテージです。どの施設でも多くの認知症の人が入所・入院している現状の中で、なぜ低いのでしょうか。その要因のデータがあれば教えてください。また、調査がされていないようでしたらぜひ調査をお願いし、要件の見直しも含め、問題が解決し、取得アップに向けていただきたいと願います。
 また、各種多くの加算がありますが、取得率の低い加算が多く見られます。今回の改正では見直しが必要と思います。家族にとって加算項目が多過ぎて分かりにくい制度に拍車がかかっているように思いますので、整理していただき、シンプルな報酬体系としていただくことを願います。各種加算について、その取得率が低い項目については、認知症専門ケア加算と同じく、なぜ低いのかの調査と分析、解決に向けた提案などを出していただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 御質問にお答えください。
○齋藤高齢者支援課長 個室ユニット検討会について、公表されているか、公開されているかということですけれども、これは老健局長の私的検討会ということで位置づけて、自由な御意見を頂くために非公開で行っております。結論としての報告書につきましては、今回、ここにお出しすることによって公開する形にさせていただいている次第でございます。
 以上です。
○田中分科会長 鎌田委員、もう一つ、質問がありましたね。今の検討会のことだけでよろしいですか。
○鎌田委員 ほかの加算とかのデータも、今の時点であるようでしたら、お答えいただければと思います。
○田中分科会長 老人保健課長。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 報酬体系の簡素化、また、加算の算定率等に関しましては、これまでも多々意見を頂いているところでございます。今、特に御意見を頂きました認知症ケア加算に関しましては、また今後の分科会の中で少し分析してお示しができるかと思っております。また、ほかの加算につきましても、検証などは進めてまいりたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 岡島委員、どうぞ。
○岡島委員 ありがとうございます。
 私からは、意見2点と質問1点をお願いしたいと思います。
 まず、最初に、介護老人福祉施設、特養に関する論点の3番目にあります看取りの促進に関連して、意見を述べたいと思います。特養における看護体制の強化について、資料1の13枚目のスライドにありますとおり、特養は要介護4以上の利用者が7割以上を占めています。31枚目には、特養からの退所理由の67.5%が死亡、26.8%が医療機関へとありますので、重度者への対応や看取りの対応はますます必要となると考えます。特養の夜間の看護職の勤務体制はオンコールが圧倒的に多くて、オンコール体制を取っていても、夜間に利用者が急に悪化した、病状が変化したという場合には、救急搬送、入院となってしまう現状がございます。平成29年度の老健事業の調査結果によれば、本人や家族の希望があっても施設内で看取りを受けられないケースがある理由として最も多かったのが、夜間は看護職がいないからという理由が15.8%という結果もございます。したがいまして、看取りの対応のためには、施設内の看護体制の強化を進めるべきと考えます。特養の重度者の受入れの安定化や看取りができる体制整備、外部の医療職との連携強化のためにも、夜間などの看護職への加配に対する評価をぜひ御検討いただきたいと思います。
 2点目は、老健と特養に共通する論点といたしまして、感染症・災害等のリスクへの対応についてどのように考えるかについての意見です。これについても、専門性の高い看護師の活用について意見を述べさせていただきます。今般の新型コロナへの対応に関連して、介護施設における感染対策はますます重要となっております。感染症に関する専門性の高い看護師が、今回、様々な施設からの要請を受けて現地に赴き、マニュアルの整備や職員への標準予防策への助言指導、実践指導を行っている事例もございます。こうした取組は感染拡大予防策の強化にもつながりますし、利用者や職員の安心・安全につながるものでもございます。組織の垣根を越えてサポート体制が得られるような仕組みについて、今回、第2次補正予算の事業でも御配慮いただいたところではございますけれども、長期化しているコロナ禍においても必要とされますので、時限的な臨時的対応ではなくて、恒常的な仕組みとして強化が図られるよう、ぜひ介護報酬上でも御検討をお願いしたいと思います。
 最後に、質問なのですけれども、介護医療院についてです。経過措置期間が終了する時期を迎えても、移行方針が未定というところや、介護療養型にとどまるという回答をされている施設もあるということで、ほかの委員からも御指摘がございましたけれども、早期に移行を促す必要があると考えております。そこで、不勉強な質問で大変恐縮なのですが、最終的な移行方針の意思決定とか、あるいは、移行計画はどの時点で明確になされるものなのか、これに期限はあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。また、経過措置期限に間に合わなかった場合にこの入院中の方がどうなるのかということについても併せてお聞きしたいと思います。なぜかといいますと、やはり皆さんが御承知のとおり、入院中の方にとっては、サービスの移行はその後のサービスの選択にも影響しますし、自己負担が変わる可能性もございます。また、保険者にとりましては、介護保険料や給付額の大きな変動にも影響しますので、できるだけ早期に計画的に促していく必要があると思いますので、期限についてもよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田中分科会長 お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 介護医療院、また、介護療養型医療施設、特に介護療養型医療施設の移行に関する経過措置の期限、移行に関する御質問でございました。
まず、私どもの論点にお示しさせていただいております、資料4の最後の32ページにございますとおりで、より早期の意思決定を支援しなければいけないと考えております。事実関係から申し上げますと、こちらの経過措置ですけれども、令和5年度末で切れる。その後は、介護療養型医療施設というサービス類型は存在しないということになります。そういうことを見据えて、私どもとしては、なるべく全ての介護療養型医療施設の事業者さんにおきまして、行き先を、介護医療院なのか、あるいは、医療に戻るのか、そういったことも含めて方針を早く決定していただくための支援をしなければいけないと考えております。
 計画の作成は、恐らく事業所の移行計画の策定という御質問だと思いますが、そこに関してはまだ期限は切ってございませんが、それも含めて、先ほどどなたかの委員の御発言にもありましたように、時期改定においてどのような基準というか、考え方をお示しして、意思決定をしていただくかということを促すようなやり方が必要なのではないかと考えているところでございます。
 間に合わなかったらどうなるのかという御質問でございますけれども、それは間に合わないことがないように、私どもとしては、まずは今回の改定でも措置をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 東委員、お願いします。
○東委員 ありがとうございます。全老健の東でございます。
 私からは、老健施設および介護医療院について、意見と質問をお願いいたします。
 まず最初に、老健施設についてです。資料2の21ページに前回の介護報酬改定からの5類型の推移が載っております。改定当時は、「その他型」「基本型」で約6割、「加算型」以上が約4割という割合でございました。しかし、その後、2年半で「加算型」以上が約6割、「その他型」「基本型」で4割弱と大変機能の高い老健施設が増えていることを評価していただきたいと思います。現場の老健施設は頑張っています。
 資料2の25ページに「介護老人保健施設の提供する居宅サービス」のグラフがございます。訪問リハに関しましては、まだ3割の老健施設しか訪問リハを併設しておりませんので、訪問リハ事業への進出を全老健としてもさらに推進していこうと思っているところでございます。
 次に、資料2の30ページ「かかりつけ医連携薬剤調整加算について」をご覧ください。この加算については、6.9%と算定が低くなっております。この算定が低い理由として、「入所前の医療機関の主治の医師との合意形成が困難、また、退所時または退所後のかかりつけ医との合意形成が困難」が多い割合になっております。先ほどほかの委員からも御質問がございましたが、この合意形成に関しましては、文書や電話で行うことになっております。主治医やかかりつけ医に電話をして御了解を頂くというのを遠慮してしまうというお声も聞いております。そして連携といいましても、入所前の医療機関の医師と退所時のかかりつけ医師が同一とは限らないわけでございます。その場合には、両方の医師と連携をうまく取っていくという、老健施設の管理医師にとっては、大変難しい役割を求められているわけでございます。ですので、この125単位という加算を取らなくても、減薬をしてやっていこうというところが多いのではないかと推察しております。今後は、このかかりつけ医と老健管理医師の連携がよりスムーズにできるような工夫をお願いしたいと思っております。
 次に、所定疾患施設療養費の件で、32ページをご覧ください。所定疾患施設療養費は、平成24年から設けられまして、約8年たつわけでございます。対象疾患である肺炎、尿路感染、帯状疱疹の算定割合は、帯状疱疹が極端に低いということは、この8年間、一貫しております。この帯状疱疹については、現場からも同じ皮膚感染症でも蜂窩織炎に変更してほしいという声が多数届いております。算定の非常に低いこの帯状疱疹を蜂窩織炎に変更していただきたいとお願い申し上げます。
 次に、33ページ「所定疾患施設療養費の検査について」を御覧ください。肺炎や尿路感染について、検査をしていない割合が10%前後あります。とくに所定疾患施設療養費(Ⅱ)に関しては、検査なしの所定疾患の治療はあり得ないと思っておりますので、これに関しても現場に対してきちんと指導していきたいと思っております。
 45ページの論点にあるリスクについて、今回、提出資料を出させていただいておりますので、御覧ください。
 私ども全老健では、リスクマネジャーを平成20年度から現在まで養成しております。この介護老人保健施設リスクマネジャー資格認定制度は、ここにございますように、約33時間のカリキュラムを持ちまして、模擬試験、認定試験をやりまして、資格の更新も5年ごとということでやっております。現在まで2,300名のリスクマネジャーを輩出しておるところでございます。
 2枚目の表グラフを御覧ください。これは老健施設におけるリスクマネジャー有資格者配置の効果をお示ししております。これについては、診療報酬上にある医療安全対策加算における医療安全管理者の配置の効果が中医協の資料に出されておりますが、それに倣い同様な調査を実施した結果を掲げております。これを御覧になりますと、たくさん項目はございますが、「事故やリスクについて前向きに取り組むようになった」とか、「施設におけるリスクの責任体制が明確になった」とか、全体的にリスク管理に前向きになったという結果が出ておるところでございます。これを参考として御提示申し上げたいと思います。
 最後に、資料2の39ページの「介護老人保健施設における安全・衛生管理体制等について」に戻ります。ここにリスク関係で、市区町村に報告している事故の種別の掲載があり、転倒が84.3%、転落、誤嚥と出ております。この転倒、転落、誤嚥を事故と認定することについて少し意見を申し上げたいと思います。
 認知症で危険の認知がなく、車椅子レベルの方が転倒することは、事故ではなくて老年症候群の一つの症状ではないかと思います。これを防ぐためには拘束という方法がありますが、御存じのように、介護保険施設では拘束をすることはできません。そういう意味で、この転倒を事故とすることで、現場ではそれによる訴訟が大変頻発しております。しかもほとんどが敗訴しておるところでございまして、大変問題となっております。先般、特別養護老人ホームにおけるいわゆるドーナツ裁判がございまして、これは看護師に対しましてドーナツを食べさせたことによる責を問われたわけでございますが、無罪という画期的な判決がございました。今後はこの転倒や転落や誤嚥が本当に事故なのかということも検討していただければと考えております。
 次に、介護医療院について、意見を1つと質問を申し上げます。
 介護医療院につきましては、資料3の21ページの「介護療養型医療施設の移行状況」にございますように、2023年度末においても約29%の施設がまだ「未定」と答えております。これはちょっと多いと言わざるを得ません。こういう施設が速やかに移行できるようなより強力な方策が必要かと考えます。
 最後に質問をします。資料3の23ページにある「介護療養型老人保健施設の移行予定」についてです。いわゆる「療養型老健」でございます。全老健にも加入しておられる施設がありますが、この療養型老健の移行を見ますと、2023年度まで半数以上の療養型老健がそのままでいると意思表示をしておるわけでございます。これに関しましては、御自分の地域で、今のこの療養型老健が、居心地がいいというか、適しているとお考えなのか。それとも、介護医療院への移行を考えているのだけれども、何かハードルがあって移行ができずに苦しんでいるのか、そこのところを何か資料があれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 老人保健課長、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 介護医療院の資料3の中の23ページ目、また、こちらは医療療養になりますけれども、資料で申し上げると次のページ、移行しない理由に関するお尋ねでございました。この24ページ目に類するような質問肢を調査しておりました。ただ、回答していただける施設数が少ないので割合は載っけていないのですけれども、そこは御説明申し上げますと、この介護療養型老人保健施設、いわゆる転換老健につきまして、回答いただいた施設が17と少ないために資料等は載っけていないのですけれども、その中で、11の施設は、24ページの理由にもありますが、今の施設類型を継続することが自施設の経営に適しているという回答でございまして、そういう意味では、今の類型が適しているという回答が大半であったと私どもは承知しております。
 以上でございます。
○東委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 水町参考人、どうぞ。
○水町参考人 ありがとうございます。
 何点か意見を述べさせていただきます。
 まず、介護老人保健施設と介護老人福祉施設のそれぞれ最後の論点で記載があります感染症・災害等のリスクの対応についてです。
 まず、感染症ですが、介護老人保健施設において利用者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、原則入院することになりますが、地域の状況によっては入所の継続を行う場合があるとされています。その際には、都道府県が施設の人員、物資などに対する支援をすることになっていますけれども、実際に施設の中で感染者を隔離しながら通常のサービスを継続することは、現場で支援に当たる職員の負担や不安も大きいところです。この新型コロナウイルス感染症対応については、かかり増し経費に対する支援事業や感染者へ直接対応を行った場合の手当などが対象となりますサービス継続支援事業が設けられていますが、いずれも本年度限りの措置となっています。感染者が入所を継続する場合の恒久的な評価を介護報酬上で行っていただきたいと思います。さらに、介護老人保健施設以外の施設も含めて、繰り返しの提案になりますけれども、感染防止対策担当者の設置や研修など、一定の感染防止対策をしている施設を評価する感染防止対策加算を実現していただきたいと考えます。
 次に、災害の対応についてです。こういった施設における災害対策の充実を図ることは喫緊の課題だと思います。従前から運営基準などによって非常災害対策計画の作成や避難訓練の実施について定められておりますけれども、より実効性のあるものとするために、基準以上の訓練や研修を実施したり、地域の住民の方々や消防団との連携体制を構築するなど、災害対策をより一層充実させるための取組に対する評価を行っていただきたいと思います。
 次に、介護老人福祉施設の論点の2番目にありますユニット型施設の普及方策に関してです。ユニット型施設の普及のために、本県でも既存施設のユニットの改修工事や人員基準が若干緩和されるサテライト型地域密着施設などの設置に対して、地域医療介護総合確保基金を活用して補助を行うなどによって推進を図っているところですけれども、報酬の加算と併せてこうした財政的支援の拡充も図っていく必要があると考えています。
 最後に、介護医療院の論点の最初にございます介護療養型医療施設等からの円滑な移行の促進に関して、介護医療院については、より家庭的な環境で過ごしてもらいたいと願う御家族などから照会も多く寄せられており、生活施設としてのニーズの高まりを感じております。また、実際に介護医療院に移行した施設からは、理念である日常生活施設ということを重視してリハビリを強化したところ、入所者のADLが上がってくるなど、よい効果がもたらされたという声もあります。このように、介護医療院は、長期入所者の受け皿として一層整備を進めていく必要があると考えておりますので、移行定着支援加算については今年度末までとなっておりますけれども、療養病床などから介護医療院への転換を促進するために、この加算の継続を検討してよいのではないかと考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。
 各種サービスに関連して、意見を述べさせていただきます。
 人材不足が極めて厳しい現状にあっても、介護の質を担保するために人手を手厚く配置している施設、事業所に関しては、その取組や努力が適切に評価されるべきと考えます。その得られた評価は、結果として、働きやすい環境づくりに還元され、定着率の促進などに寄与するのではないかと思います。
 また、各種加算の多くは、利用者のQOLの向上やサービスの質の向上を目指して設定されているものと理解しています。しかし、現場では算定要件のハードルの高さや取組に対する評価の低さが指摘され、有効で効果的と思われる加算であっても取得率が上がらない現状が見られます。真に利用者にとって必要な取組を後押しするためにも、評価や算定要件の見直しが必要と考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 濱田委員、どうぞ。それから、江澤委員。
○濱田委員 ありがとうございます。
 介護保険施設に共通してということでございますけれども、既に御承知のとおり、介護職員だけでなく、介護支援専門員や他の専門職の確保も困難になりつつあると伺っております。本日の論点でもICT化やロボット化もございますけれども、なかなか専門職は代替性が難しいということもございますので、例えば、ケアの質の継続を前提といたしまして、同一敷地内等であれば、複数事業あるいは複数施設を行う場合、担当する利用者数などに一定の上限を決めて兼務可能とすれば、人材の有効活用も可能かと存じます。また、前回も少し申し上げておりますが、各事業で一定の収支差額等がございませんと、交付金等の措置も考慮していただいておりますが、ICT化をはじめとした設備投資が難しくて、効率化や生産性向上がなかなか図りにくく、悪循環に陥ることも危惧されております。
 他の委員からも御意見がございましたが、例えば、前回、報酬が変更され、引下げが行われました30名の小規模特養も、それぞれの地域の中核事業でございますので、小泉委員提出資料でも経営状況の悪化が見られているということでございますので、安定かつ持続可能な介護報酬の設定も必要かと考えております。
 また、本日、介護老人保健施設の資料2、27ページ、28ページのケアマネジャーとの連携により、平均入所期間が減少した調査結果など、クロスをしてお調べいただきまして、誠にありがとうございます。入所中も継続的に連携をすることで早期の退所や在宅復帰が促進される仕組みをさらに進めることが、地域包括ケア推進のためにも有用かと考えております。
 また、介護医療院につきまして、資料の41ページに記載がございますように、退所を困難にしている理由として、地域の中での看取りが行える施設が必要でなかなか見つからないという結果が出ております。そういう看取りを行える施設を増やしていくことが重要ではないかということでございます。地域にございます介護医療院様が効果的に機能するためにも、介護保険施設においては、引き続き、看取り体制が充実し、各職種間の連携が促進される方策が必要と考えます。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、近年、最近では特に認知症高齢者で、中でも徘回を有する方が陽性や濃厚接触者等になられた場合に、感染拡大の懸念等からなかなか地域で受入先が見つからないという事例が出てきております。本来は適切な医療機関への入院が可能であればよいのでございますが、それが困難な場合の受入先を決めるまたは在宅でケアするということであれば、そのサービス体制の強化など、こういうことについても検討が必要ではないかと考えております。
 これはあくまでも介護保険施設にということでは必ずしもございませんが、御承知のとおり、近年、老老介護、中には認認介護の例もございますので、地域単位で検討が必要ではないかと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 資料のページ順に意見を申し上げさせていただきます。
 まず、特養の資料、最初の資料1の26ページでございます。ここでユニットケアの資料がございますが、もともと介護保険3施設は、今は4類型になっていますが、従前の3施設においてユニット型個室50%以上という目標も現在は残っておりまして、ユニットケアに関しては、老健、介護医療院、数は少ないですけれども、介護療養病床を含めて、横断的事項と認識しております。
 まず、28ページの矢羽根の3つ目ですけれども、2ユニット単位での運用を昼間の時間帯でも認めるという意見もございますが、これに関しては、ユニットケアはお一人お一人を尊重する個別性の高いケアでありまして、なおかつ、ユニットケアを行う上では、職員の固定配置が生命線となります。利用者の方となじみの関係を築いて、なじみの環境づくりをしていくことがユニットケアの原点になりますので、2ユニット単位で運用となると、ユニットケアではなくなるということにもなりかねませんので、この辺りは利用者にとって、いろいろな施設ケアの選択肢があることが重要なので、本来のユニットケアの理念を生かしていくべきだと思っているところでございます。さらに、2ユニット単位となりますと、職員は10人のところ20人の利用者に対して精通したケアが行われるということで、ある意味では、職員の負担が2倍になるので、十分に注意が必要であると思います。
 続きまして、29ページ、ユニットリーダーにつきまして、ユニットリーダーは利用者の24時間の暮らしを支え、タイムリーにケアの判断を行いますし、職員の労務管理にも関わる。勤務表もつくる。また、施設全体のリーダー会議あるいは施設内の各種の会議にも参加しますので、原則、常勤でないと職務が全うできないので、原則常勤であるべきだと思いますので、その辺りはぜひ検討をしていただきたいと思います。
 この検討会でも要望しましたのが、現在、ユニットリーダー研修を修了した方は非常に大勢いらっしゃるのですけれども、まず、その方の実態調査をぜひやってみるべきだと思います。その方々が、今、どこでどう従事されているのか、あるいは、ひょっとすると介護業界を離れていらっしゃるのか、そういった実態を含めて検討していくことが必要であるので、ぜひ調査すべきと要望したいと思います。
 続きまして、36ページでございます。ここに看取り介護加算が出ておりますが、老健のターミナルケア加算あるいは介護医療院、介護療養病床の施設基準とも併せて申し上げたいと思いますけれども、ここに関しまして、詳細な算定要件が別にございますが、その中にもう少し明記していただきたいのが、御本人の意思を最大限に尊重するための意思決定支援。本人が意思表示できれば「ACP」もしくは「人生の最終段階における医療ケアの決定プロセスに関するガイドライン」といったものを用いて、これらの手法により、本人の意思を最大限に尊重する。現行の算定要件には家族が強調されておりますけれども、やはり本人の意思が重要でございますので、その辺りはぜひ取組を含めていただいて、御本人の意思を最大限尊重するケア、そして、御本人が意思表示できない場合は、当然先ほどのガイドラインにのっとって取組を行うということになりますので、その辺りをぜひ追記していただければと思っております。
 続きまして、43ページに介護ロボットがございますけれども、いま一度原点に立ち返って、介護ケアの特に介護の技術、特に腰痛を防止するようなものでありましたり、無理のない体重移動、あるいは、そういった人間工学を利用したようなトランスファーといったものなどいろいろな介護技術が向上しておりますので、まずは介護技術を向上することも非常に重要ではないかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、老健の資料ですけれども、20ページでございます。ここに、前回の基本報酬を大きく見直したマトリックスの評価がございますが、まず、右下に、充実したリハ、在宅強化型では週3回以上の個別リハが算定要件になっておりますけれども、特に認知症の方においては、全てが個別でなくても集団的なリハが功を奏することも示されておりますので、集団リハを交えることがあっていいのかどうか、検討課題と思っております。
 続きまして、この上の表の4段目に地域貢献活動がございまして、こちらは介護療養病床の強化型の要件にもなっておりますけれども、この地域貢献活動は住民からも非常に期待されるところでございますので、ぜひ地域住民に出前でいろいろな座学や健康づくりを行うとか、あるいは、地域住民と入所者の合同のいろいろなイベントを開くとか、ぜひそういった形で地域交流をさらに活発にしていただきたいと思っております。
 続きまして、22ページから24ページにグラフが出ておりますけれども、まず、前回の改定前と比べると、この10項目の中で最も変化したのがこの22ページの下の2つのグラフ、すなわち、入所者に対して入所前後の指導、退所者に対して退所時の指導、ここが大きくシフトをして、より取組が行われているところでございまして、これは非常にいい傾向だと思いますので、基本的には前回のこのマトリックス評価を維持していただいて、前回の改定がより老健らしくするための改定でございましたので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 23ページの左上のグラフのサービスの3つ目のところががたんと落ちておりますけれども、これは25ページの棒グラフも同じですけれども、老健において訪問リハの提供が少ないというところがございますので、この辺りはまたぜひ引き続き推進していただければと思っております。
 続きまして、老健の31ページでございます。ここに所定疾患施設療養費がございますけれども、その31ページの一番下のところに、介護給付費明細書の摘要欄に診療内容を記載することも必要となるということで、これが診療録に記載していることを改めてまたレセプトに記載するということで、現場の医師の負担になっているという声もございますので、この辺りはまた必要に応じて検討していくべきではないかと思います。
 続きまして、34ページでございますけれども、特に肺炎とか尿路感染症においては、算定要件の1週間ではなかなか治療期間が収まらない事例が示されておりまして、これは治療の状況、実態に即して算定要件を見直すべきだと思います。帯状疱疹につきましては、現行、注射製剤のみが算定要件となっておりますので、一般的には内服薬による治療がポピュラーでございますから、その辺りを検討していただければと思いますし、11ページのところに疾患の頻度がございますので、実態に即した所定疾患の見直しも必要だと思います。短期入所療養介護、ショートステイで、例えば、尿路感染症を合併することもございますので、ショートステイにおいても所定疾患施設療養費は必要に応じて算定出来るようにするべきではないかと思っております。
 35ページの医師の関与の強化でございますけれども、医師の関与が多いほどADLの改善がいいという結果が出ておりまして、ほかの通所リハ、訪問リハでも同様の結果が出ておりますので、引き続き医師の関与の強化は推進していただきたいと思っているところでございます。
 続きまして、介護医療院の17ページでございます。これは以前から大体同様の結果ですけれども、要は、退所された方の6.3%が本人の家でございますし、そのほか、高齢者住宅あるいは居住系の住まいに1%強、要は、介護医療院からまた御自宅へ戻って、またいろいろ往復型で使うような利用形態もあるということが示されていると思いますので、いろいろな利用の仕方があるというバリエーションを示すことも、介護医療院の推進に当たって進めていくべきではないかと思っております。
 26ページについて、ここに介護医療院に移行すると仮定した場合の課題がございますが、ここは医療療養と介護療養の調査結果ですけれども、要望としましては、有床診療所が介護医療院となるときの施設基準において、浴槽に関して介護保険施設と同様に特別浴槽がないといけないという記載がございますので、有床診で大改造して特別浴槽を造るというのは、介護医療院に移行する方にとってはなかなか厳しいところもございますし、もし要介護の方が不自由なく入浴ができるような状況であれば、そこはぜひ施設基準を検討していくべきではないかと思っております。
 最後に、共通事項といたしまして、介護保険が始まりまして20年がたちますけれども、いま一度介護保険の2大目的である尊厳の保持と自立支援に向けてケアの質の向上を図るべきだと思っております。我々は誰もがお元気なときに受けたくないであろうケアを極力排除することも重要であると思いますし、寝たきり、おむつ、機械のお風呂であったり、当然途中経過においてはそういう状況がありますけれども、ぜひ自立支援と尊厳の保持に向けて推進していくべきだと思っております。特に多床室でのポータブルトイレ等は誰もが使用したくないと思いますし、職員が頑張ればどんな方でもちゃんと排せつはトイレでできるものでございますので、そういったことを含めて、基本報酬部分でございますが、特に日中をどう過ごすか。ベッド離床、生きがい支援、社会参加、こういったものを十分に今後評価していく仕組みも重要ではないかと思っております。
 特に廃用症候群やフレイルは十分に改善いたします。したがって、ケアの質の向上を目指して頑張っている施設をぜひ応援していくべきではないかと思っておりますので、いろいろ基準の緩和等が出ておりますけれども、被保険者、国民に対して、質の担保は必ず義務でございますので、ぜひ質の担保を前提として議論をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 理念まで遡って御発言いただきました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 ありがとうございます。
 介護医療院が、今、3万2000床ぐらいなのですよね。当初の予定は10万床と言っておりましたけれども、そこまでいかなくてもこの倍ぐらいは要るのではないかと思っています。特養で今も看取りをしていただいておりますけれども、残念ながら看護師さんは100人に3人しかいないし、介護職員の方に全面的に看取りをやっていただいているという気の毒な状況になっているわけで、看取りは最後に医師と看護師がいてみとったほうがいいかなとは思いますので、介護医療院は増やしたほうがいいと思うのですが、今、一般病床からはあまり行けないような状況になっておりますけれども、一般病床のベッドはこのコロナの状況でも40%は空いておりますので、できれば、この療養から介護医療院に行くのが少なければ、一般病床からも受けていただいて、今の倍ぐらいはつくっていただくとありがたいと思います。
 医療療養1というのは20対1の看護体制ですけれども、医療区分2・3が90%ということで非常に重いわけですね。現在の25対1とか、介護療養からこの療養1の重症が8割以上、2・3が8割以上という病棟にシフトしていくのはかなり厳しいと思われます。そういう意味からすると、今のアンケートでは2024年でも態度を決めかねているところが半分近くありますけれども、だんだん増えてくるかとは思いますが、病院の中にあって、医師がいて、看護師がいて、看取りをする。終末期の状況になってきたら、介護医療院に入っていただいて、紹介していただいて、そこで栄養分や水分を与えて、よくなる人は退院していくわけですけれども、本当のターミナルになると、そういう対応をしても亡くなっていく場合は介護医療院で手厚くみとるという体制を、日本国としては、せっかくですから、それを主体としてやっていただければと思っております。
 ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
 先ほどの介護老人福祉施設についての資料の最後のページ、論点の3つ目について加えさせていただきたいと思います。
 入所者の重度化が進んでいることは16ページなどの資料で明確になっているわけですが、ほかの施設サービス類型に比べても明確に高くなっていて、働く職員にとっては、要介護度が上がることが直ちにその負担が増えることになるわけでもないですけれども、自然な考え方としてはやはり要介護度が上がることが負担増につながっているという認識を持っています。それに対して、そうした負担増が、賃金等の処遇に反映されているわけではありませんので、働いている職員にとっては、その辺について非常に納得感が低いという声が現場から届いておりますので、ぜひそういうことを考慮した検討をしていただきたいと思います。
 最後に、個室ユニット型施設の推進に関する検討会について、先ほど、鎌田委員から、「この検討会について公開されているのか、議事録などが公開されているのか」という質問に対して、事務局からは「していない」というお答えでしたけれども、やはりそれは問題があるのではないかと思います。たしか、閣議決定で、審議会等については、議事録公開が原則で、公開しないときでも理由を含めて議事要旨を公開するのだとされ、懇談会等についてもそれに準ずることになっているはずです。本検討会は行政処分を行う審議会等でもないのですから、この点については公表することで何か問題があるとは思えないですし、どういった議論経過だったのかということは、私たち、この検討の場と、一般に供するような形でぜひお示しいただきたいと思います。要望させていただきます。
○田中分科会長 ほかにございませんか。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 介護医療院について、少し質問させてください。介護医療院は、特別養護老人ホームよりも認定ランクの高い利用者が多いことになると理解しています。資料では、介護医療院の退所時の死亡は50.8%と報告をされています。介護療養病床の死亡は47.2%です。そして、特別養護老人ホームの死亡は67.5%になっています。質問ですが、医療系施設のほうが死亡退所が多いと思ってしまうのですが、なぜ特別養護老人ホームの死亡退所が多いのか、理由が分かるようでしたら説明をお願いいたします。
 また、介護医療院の資料では、看取り期に入った入所者に対するターミナルケアについて94.4%が取り組んでいるとありますが、死亡退所のデータと併せて考えると混乱をしてしまいます。ほとんどの介護医療院でターミナルケアへの取組をしているのに、死亡退所が少ない理由も重ねてお教えくださいますようお願いします。
 以上です。
○田中分科会長 お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 資料で申し上げますと、資料3の17ページに、介護医療院における入所者・退所者の状況がございます。その中で、退所の割合を見ますと、半分、50.8%が死亡という割合、ほかの施設類型の中で出ておりました死亡退所の割合に関する御質問でございました。
 私どもとして、まず、介護医療院は入所と退所でnが大体1,000ぐらいですけれども、数字自体もまだ数十というところにアンケートをしたものでございますので、なかなか定量的なきちんとした評価ができるかどうかというところで、コメントに関しては難しいところはございます。ただ、介護医療院、特養、いずれもついの住みかとしての機能を十分に有しているということでございますので、死亡退所が多いであろうということは、特養はもちろん定着していますが、介護医療院もそういう機能を果たし得るだろうということがこのスライドで分かるかと思っております。
 また、先ほどの看取りに関する取組が9割以上の介護医療院ということでございます。当然、このように死亡退所が多い施設であれば、そういう看取りが必要な方に対して、必要な看取り、適切な看取りがなされるような取組はぜひ行われるべきだと思っておりまして、9割以上の介護医療院でやっていただいて、もう少し上がってもいいかと思っておりますが、やっていただけることが適切だと思っております。
 一方で、17ページを御覧いただきますと、併設医療機関や併設以外の医療機関で、例えば、併設医療機関については23.6%の方、併設以外の医療機関では1割の方がそちらに行っていらっしゃいます。当然介護医療院で療養されていても病状が悪化するあるいはほかの医療が必要になる方もいらっしゃるわけでございまして、どちらかというと、このように適切に本人の希望あるいは病状によって医療機関も御紹介できることも重要な機能ではないかと思っておりまして、死亡の割合だけというよりは、そういう機能を果たせているかどうかということで見るべきではないかと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 よろしいですか。
○鎌田委員 ありがとうございます。
○田中分科会長 それでは、特にないようでしたら、本日の議論はここまでといたしましょうか。
 たくさん頂いた御意見を踏まえて、今後も引き続き検討を進めてまいります。
 本日の審議はここまでといたします。
 最後に、次回の分科会の日程について、事務局から説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 本日も、朝から御議論いただきまして、ありがとうございました。
 これにて終わります。