第4回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会生活機能分類普及推進検討ワーキンググループ 議事要旨

審議期間

令和2年9月28日(月)~10月2日(金)

審議方法

書面による持ち回り

議事

(1)課題別検討班からの進捗報告
(2)その他

審議結果

 
各委員に対して、資料を送付し、議題ごとの意見を聞いた。概要は以下の通り。

<議事1>課題別検討班からの進捗報告
資料1-2フィールドテスト班 進捗報告
○意見の概要
(小松委員)
・実際の検証作業まで進めておられることで、今後のリファレンスガイドの信頼性を高めると感じた。過程(プロセス)において、被検対象者(9名)のバックグラウンドについては、対象者によって(例えば、性別、年齢、認知機能レベル)、専門職の判定に差が生じるように思う。対象者のバックグラウンドと選定基準があれば明記したらどうか。
 
資料1-3教育ツール班 進捗報告
意見なし
 
資料1-4分類更新・翻訳班 進捗報告
意見なし
 
資料1-5リコード班 進捗報告
WG委員への依頼事項
1)リコード班が実施したICFリコード作業(要介護認定調査、FIM、Barthel)の確認
○意見の概要
(浅川委員)
・ICFのどのレベルを使用するのかはリンキングルールで決まっているのか。
・リコード班の提案では第2レベル(3桁)で行われているが、例えばFIMの整容は口腔ケア・整 髪・手洗い・洗顔・髭剃りまたは化粧の5つで構成されている。髭剃りまたは化粧は必要のない方もいるので、基本的に4つで構成されているとすると、d5201歯の手入れ、d5202頭髪と髭の手入れ、d5100身体の一部を洗うことなど更に第3レベルにも対応させることが可能ではないか。
・d520身体各部の手入れでも、構成要素の4つを総合的に見て評価点をつけることが
可能かと思うが、第3レベルで評価点をつけることで更に信頼性が上がる可能性もあ
ると思う。
・あまり細かく分けるとまた使用しにくくなる。意見と言うよりはむしろ自分で使用した際の感想である。
(村井委員)
・特に認知機能の項目について、介護保険が始まった時代は、認知症に関する知識は医学的にまだ曖昧であったこともあり、精神行動障害がなぜ生じるのかという議論より、生じている状態像が調査項目となっていた。そのため、生じている状態像は、実は様々な要因の結果として生じているため、一つの機能で説明することは難しいと感じている。
・認知症の精神行動障害の4割が薬剤性せん妄であり、2割が周囲の方の対応ともい
われている。最近では、身体合併症によるせん妄が課題となっていて、ほとんどが意識機能の障害から生じる状態像ということが言われている。
・ただ、疾患の特徴から、たとえばレビー小体症による認知機能の低下では、変動する意識障害や知覚障害からの介護抵抗が課題となっている、前頭側頭萎縮症では、認知の柔軟性の低下や洞察、問題解決、実行機能の低下などの高次認知機能の低下から我が道を行くという特徴的な状態が明らかとなってきている。
・認定調査項目から、特に認知機能のICF項目を特定することは難しいと思う。
(森田委員)
・高次脳機能障害関連のものは、機能面でみるか、活動面でみるかで選択コードが変わるため、その考え方を整理しておくと良いのではないか。
 
2)リコード班にICFリコード作業を実施してほしいアセスメントツール等の紹介
○意見の概要
(浅川委員)
・要介護認定調査項目はとても有用だと思う。同様に障害支援区分判定の認定調査項目についても作成いただけると良いと思う。
(近藤委員)
・リコード、リンキングルールなどの用語は、WG内では通用しても、外部では一般的ではない。まずはわかりやすい解説を試みていただきたい。
・またリコードするあるいはリンキングルールで処理した場合の利点を具体的に示してほしい。その点に関しては「考え方」に示されるのだと思われるが、技術論や概念とともに、わかりやすさ、利点を重視したものにすることを切に望みたい。
(森田委員)
・多くのアセスメントツールをICD-11 V章に集約し、データ比較を可能にしようという試みには賛同する。しかし、単に参照コードを示すだけではなく、例示としてとりあげている指標そのものに存在する項目自身が持っている内容の不足がICD-11 V章の枠組みの中で捕捉されることを期待する。
 
3)「ICFリコードの考え方」に示すICFを活用した各領域での実践例の紹介
○意見の概要
(浅川委員)
・学生への教育で使用している。FIMやBIをリコードいただけることで、学生がICFの概要を学ぶことには非常に有用だと思う。また要介護認定調査については活動・参加の項目以外に心身機能も含まれているので更に有用である。
 
資料2 生活機能分類普及推進検討ワーキンググループ成果報告書骨子(案)
○意見の概要
(山田委員)
・「II成果目標 (1)WHOが公表するICF関係資料の翻訳案作成」について、ICF2020は、まだFDRGやCSACでも作業が停滞している印象があるため、年度内にまとまらない可能性がある。
 
議題1全体に対する意見
(横堀委員)
・ICFが各医療機関の情報提供・共有等に幅広く使用されることを願っている。
 
 
議事1 審議結果
全委員より了承の返答があり、WGの取組状況及び今後の予定について承認された。
 
 
<議事2>その他
資料3 第9回厚生労働省ICFシンポジウムの開催(案)
○意見の概要
(浅川委員)
・シンポジウムについて、オンラインでの開催はやむを得ないと思うが、逆に参加者も増えるかと思うので、広く周知いただければ。
(小松委員)
・シンポジウムは、すべてオンラインで開催か。第2部のワークショップのことを考えると、限定で会場参加も認めたらどうか。
 
 
<向野座長コメント>
・現在の取り組みについて、基本的に方針が了承された。今後は年度末に成果を出せるよう、スケジュールに沿って集中した取り組みを進めていく。
・リコード(従来の臨床スケールのICFでの読み替え)の難しさについては以前より議論されていたところではあるが、その手法、意義についての考え方の整理が必要であることが再確認された。最終報告に向けてWGとして原則となる考え方、位置付けについての議論を継続する。
 
以上

照会先

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 渡、高橋

代表03-5253-1111 内線7493