第6回 日独政労使交流について

2020年1月13日(月)から15日(水)にかけて、第6回日独政労使交流をドイツ(ベルリン)において開催しました。

1 開始の経緯

   1999 年11月の日独首脳会談において、シュレーダー首相(当時)から小渕首相(当時)に対し日独政労使三者協議の実施について提案がありました。これを受けて2000年4月に日独の政労使の代表が東京において会談を行い、政労使交流の実施に合意して現在に至っています。
 

2 これまでの実績

   日独両国の大臣等を代表とする政労使交流団が概ね3年に1回、交互に相手国を訪問し、政策対話と関係機関等への訪問を行っています。テーマは開催毎に両国間で協議して決定しています。
 
第1回 2000年4月 独側訪日 政労使交流の開始に合意  
第2回 2003年8月 日側訪独 高齢者雇用対策、若年者職業訓練等  
第3回 2006年11月 独側訪日 若年者の就労促進、最低賃金制度等  
第4回 2010年2月 日側訪独 人口動態変化、労働市場政策、介護問題等
第5回 2015年1月 独側訪日 女性の就労に係る現状、女性の採用・育成・登用促進、仕事と家庭の両立支援等
 

3 第6回日独政労使交流の概要

(1)テーマ:「仕事の未来」
  ・セッション1「労働市場の未来の展望」
  ・セッション2「労働者のキャリアを通じたスキル向上」
  ・セッション3「柔軟な労働時間制度」
 
   各セッションのテーマに沿って日本及びドイツの代表からプレゼンテーションを行い、その後テーマに係る活発な意見交換が行われました。人口動態の変化への対応や、デジタル化などのイノベーションによって大きく変化する労働市場に対応するための労働者の能力・生産性の向上は両国が抱える重要な共通課題であることから、両国の政労使代表者が一堂に会して現状を報告し、課題に係る議論を交わすことは、両国の今後の政策にも大きく参考となる貴重な機会となりました。
 
(2)出席者
  【日本側】
       稲津 久 厚生労働副大臣
       逢見直人 日本労働組合総連合会会長代行
       得丸 洋 日本経済団体連合会雇用政策委員会国際労働部会長 他

  【ドイツ側】
       ビヨルン・ベーニング ドイツ連邦労働・社会省次官
       ライナー・ホフマン ドイツ労働総同盟(DGB)会長
       シュテフェン・カンペーター ドイツ使用者団体連盟(BDA)CEO 他
 
(3)概要
<会合>
○セッション1「労働市場の未来の展望」
 デジタル化などの技術革新が進行する中で、質の高い労働の実現や時間・空間に縛られない働き方などへの関心が高まっていることを踏まえ、「労働市場の未来の展望」を議論する上での日独双方の近年の動向や課題について共有し、意見交換を行いました。
 
○セッション2「労働者のキャリアを通じたスキル向上」
 日独双方の課題である労働者のキャリアを通じたスキル向上について、リカレント教育を中心として双方の取組や課題の意見交換と議論を行いました。今後の技術革新も見据え、政労使三者が協力して取組を進めていくことの重要性が共有されました。
 
○セッション3「柔軟な労働時間制度」
 労働時間を取り巻く現状や課題における日独の共通点・相違点に着目し、労働者がより働きやすい柔軟な労働時間制度について議論しました。ドイツの労働時間制度について意見交換を行い、労働生産性を担保しながらも労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現の重要性が共有されました。
 
<企業等との意見交換>
○BMWベルリン
 各労働者が「労働時間口座」を持ち、労働時間の積み立てと切り崩しを行うことによって、柔軟な労働時間を達成していることの説明がありました。事業所内での労使の密な協議と連携によって具体的な働き方や条件が決定されており、この点を踏まえて活発な質問・意見交換がなされました。
 
○ベルリン水道公社
 難民を含めた青年に対する職業準備訓練について説明がありました。ドイツにおける職業訓練システムであるデュアルシステムの内容を含め、職業訓練の実践について質問・意見交換がなされました。
 
(4)会合の様子
会合の様子の写真(1) 会合の様子の写真(2) 会合の様子の写真(3)