第295回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)2月26日(水)10:00~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(11階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 正木 義久
  • 森川 誠

議題

(1)労働者派遣制度について(公開)
(2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
(3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 それでは、ほぼ定刻となりましたので、ただいまから第295回労働力需給制度部会を開催します。本日は、公益代表の藤本委員が所用により御欠席されると聞いています。それから、佐久間委員が少し遅れるということです。
本日は、労働者派遣制度について公開で御審議いただき、その後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開とさせていただきます。その際、傍聴されている方々には退席をお願いいたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
議事に先立ちまして、本日の資料について事務局から説明をお願いいたします。
 
○清水補佐 現在、厚生労働省内のタブレット端末が不足しています。本日の部会は、ペーパーレスで行うことができませんでした。皆様には御不便をお掛かけしますが、お手元の紙の資料にて御審議いただきますようよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 それでは議事に入ります。労働者派遣制度について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 それでは、労働者派遣法施行状況調査の結果について、説明申し上げます。資料1-1の1ページを御覧ください。まず調査方法等の概要ですが、本調査は平成24年と27年の労働者派遣法改正法の施行状況を把握することを目的として、実施したものです。調査対象は、派遣元が7,000事業所、派遣先が1万3,000事業所、派遣労働者等の個人については合計2,610人を対象としています。
抽出方法については、派遣元は人材サービス総合サイトの事業所リストから無作為抽出で、派遣先については帝国データバンク社の法人データから、派遣社員1名以上、従業員数10名以上の条件で抽出をし、また派遣労働者等の個人については、調査会社に登録されているモニターを対象として調査を実施したものです。
2ページを御覧ください。有効回答数については、派遣元が1,527、派遣先が3,452、過半数労働組合、過半数代表者が620。派遣労働者等の個人が2,610となっています。
3ページを御覧ください。雇用安定措置及びキャリア形成に関して、今しがた説明申し上げた調査とは別に、独立行政法人労働政策研究・研修機構において、派遣元に対する調査を実施しており、その概要をまとめています。調査対象は、2万9,252事業所、うち7,370件の有効回答を得ています。
それでは、結果の内容について説明申し上げます。資料の5ページを御覧ください。まず、ここからは派遣元に対する調査結果になります。回答事業所の企業規模等の属性ですが、記載のとおり大企業から中小規模の派遣元事業主まで幅広く回答を頂いています。
7ページを御覧ください。ここからは、日雇派遣の実績について雇用期間1ヶ月超の派遣と比較をしながら、調査結果をまとめています。まず調査結果全体の見方として、基本的には2019年の1年間の実績について回答を頂いているものです。また、このページにはありませんが、ページによっては下に「該当するもの全て」という※を付けている所があります。そのページについては、複数回答を頂いた調査の結果をまとめたものと御覧いただければと思います。
それでは結果ですが、まずこのページの左の円グラフにありますとおり9割弱の派遣元が、有期・無期、何らかの派遣実績があると回答している一方で、右のグラフのとおり、日雇派遣については9.8%の派遣元が実績があると回答しています。
8ページを御覧ください。派遣実績のある業務内容について、灰色の棒グラフのほうが雇用期間1ヶ月超の派遣の実績。紺色の棒グラフが、日雇派遣の実績になります。回答事業所のうち、どの程度の割合の事業所がその業務の派遣実績があるのかということをお示ししたものになります。ここでは業務A群として、現在も日雇派遣が可能ないわゆる17.5業務の実績を示しています。日雇派遣の実績については、受付・案内が最も多く、次に事務用機器の操作、通訳・翻訳・速記の業務と多くなっています。
9ページを御覧ください。同じく派遣実績のある業務について、先ほどの17.5業務とは別に、それ以外の業務についての実績をお示ししたものになります。日雇派遣の実績を御覧いただきますと、販売、一般事務、倉庫・運搬・流通加工、物の製造、イベント運営、接客・給仕といったものが多くなっています。一方で、灰色のグラフのほうの1ヶ月超の派遣の実績については、一般事務が特に多く、次に物の製造、倉庫・運搬・流通加工、販売といったものが多くなっています。
10ページを御覧ください。日雇派遣労働者の月当たりの就業日数をお示ししています。2日~7日が最も多く46.7%を占めており、2日~7日と1日未満を合わせると、1週間以内の就業が6割以上を占めるといった結果となっています。
11ページを御覧ください。日雇派遣において、派遣先との派遣契約と派遣労働者との雇用契約、それぞれの契約の単位をお示ししています。両者ともに1日単位の契約が最も多く、次に1ヶ月単位が多くなっています。双方を比べますと、ほぼ同じような傾向の回答となっています。
12ページを御覧ください。教育研修の実施状況を示しています。上段の雇用期間1ヶ月超の派遣労働者に対する研修の実施状況と、下段の日雇派遣労働者に対する研修の実施状況の比較をしますと、日雇派遣労働者に対しては約1割の派遣元が研修を「行っていない」という回答を頂いています。その右側の棒グラフは、実施している研修内容を示しているものですが、派遣前研修や安全衛生研修、情報保護に関する研修、コンプライアンス研修といったものが、上段、下段ともに実施率が高くなっています。
13ページを御覧ください。派遣場所の巡回と派遣先からの就業状況の報告についての実施状況をお示ししていますが、「必ず行っている」「ほとんど行っている」といった事業所の割合を見てみますと、雇用期間1ヶ月超の派遣と比べて日雇派遣の場合の実施状況が低い傾向が見られます。ただ、例えば巡回のほうを御覧いただきますと、日雇派遣の場合でも6割以上の事業所が「必ず」又は「ほとんど行っている」といった回答を頂いているといった結果となっています。
次に14ページを御覧ください。トラブルや問題の発生状況です。雇用期間1ヶ月超、日雇派遣の両者ともに「発生したことがない」という回答が半数以上を占めている一方で、発生したトラブルの結果を見ますと、「派遣労働者が出勤しなかった」が最も多く、「労働者がけがを負う事故」「ヒヤリハット事案」「ハラスメント」といった回答を一定の割合で頂いています。
15ページを御覧ください。日雇派遣で、前日又は当日に仕事がなくなった場合の対応についてお示ししています。「このようなことは起きたことがない」が最も多い回答になっていますが、対応したケースについて見ますと、「予定していた賃金の一部として休業手当相当額を支払う」が最も多く、「賃金全額を支払う」「他の仕事を紹介する」といった回答が続きます。前日と当日の傾向を比較しますと、当日に仕事がなくなった場合には「賃金全額を支払う」といった対応が多く、前日に仕事がなくなった場合は「ほかの仕事を紹介する」という対応が多くなる、そういった傾向が見られます。
16ページを御覧ください。年収要件の確認状況です。左のグラフは、日雇派遣の例外属性における年収要件、これは副業の場合には本業の収入が年収500万円以上であること、主たる生計者以外の方が日雇派遣に従事する場合は、世帯の年収が500万円であることですが、この確認手続をどのように行っているかという質問に対して、「公的証明書のコピーの提出を求めている」と回答した派遣元が55.3%。一方で、「確認していない」という回答が10.7%となっています。右のグラフでは、年収要件の確認手続が必要だと考えるかどうかという質問に対する回答ですが、「確認手続は必要」という回答が4割強ある一方で、「不要」という回答が約3割といった結果になっています。
17ページを御覧ください。左のグラフは、日雇派遣の原則禁止についての考え方を質問したところの回答ですが、「分からない」「今のままでよい」という回答が特に多い一方で、「日雇派遣を全て可とするべき」との回答が6.4%、「日雇派遣は原則可とし例外的に禁止業務や属性を設定すべき」が20.4%と、規制の緩和を求める回答も一定割合含まれています。右のグラフは、年収要件の基準500万円に対する考えを問うたものですが、同じく「分からない」「今のままでよい」という回答が多い一方で、「基準を撤廃したほうがよい」「基準を引き下げたほうがよい」という回答も一定の割合で含まれています。
次に、19ページを御覧ください。ここからは日雇紹介、これは雇用期間30日以内の仕事に関する職業紹介ですが、これの実績についてお示ししています。ただ、留意点ですが、今回の調査はあくまで派遣元事業主に対する調査で、その中で日雇紹介も兼業している事業所からの回答を頂いたものを参考として、回答数は少ないのですがお示しをしているものだということを御留意いただいた上で、結果を御覧いただければと思います。そうしたこともあり19ページのデータから日雇紹介の実績があると回答したところは、3.6%の事業所となっています。
20ページを御覧ください。日雇紹介の実績のある業務内容ですが、特に下の段の業務B群を御覧ください。販売が最も多く、続いて倉庫・運搬・流通加工、看護業務、接客・給仕といった内容が続いています。
21ページを御覧ください。日雇紹介で、前日又は当日に仕事がなくなった場合の対応です。先ほど御覧いただいた日雇派遣の場合とおおむね似たような傾向となっていますが、比較をしますと当日の場合の賃金全額を支払うといった対応が、日雇派遣に比べて若干多い結果となっています。
23ページを御覧ください。以上で日雇関係の調査結果は終わりまして、次にグループ内派遣の実施状況をお示ししています。約2割の派遣元が、グループ内派遣を実施しています。右側のグラフですが、直近5年程度のグループ内派遣の動向を見ますと、「特に変化はない」という回答が最も多い一方で、「増加傾向」よりは「減少傾向」であるという回答が多くなっています。
25ページを御覧ください。マージン率についてですが、回答事業所のマージン率全体の平均値は、30.4%となっています。また、その主な内訳ですが、教育訓練費が2.4%、福利厚生費が3.4%、社会保険料・労働保険料が11.4%、営業利益が5.9%となっています。なお、こちらの内訳のデータについては、各項目ごとに回答いただいた事業所の平均値をそれぞれ示しているものでありまして、これらの合計が左側のマージン率全体の平均値30.4%と一致するものではありませんので、御留意を頂ければと思います。
27ページを御覧ください。離職後1年以内の派遣の禁止について、該当者の有無と該当者についての離職前の状況についてお示しをしています。まず、左側ですが、約1割の派遣元が該当ありと回答しています。また、その方の離職前の状況については、雇用形態については正社員以外が正社員よりも多くなっており、勤続年数については1年以上3年未満が最も多く、次に1年未満が多い結果になっています。離職理由については、自己都合と雇用期間満了が多くなっています。
28ページを御覧ください。離職後1年以内の派遣の禁止に対する考えについて、質問したところの回答になります。「今のままでよい」「分からない」といった回答が多い一方で、「禁止すべきでない」が18.4%、「制限は必要だが期間は1年より短くすべき」という回答が18.8%となっています。
30ページを御覧ください。個人単位の派遣期間制限についての考えを問うたものですが、「制限は不要」という回答が最も多く約4割となっており、次に「今のままでよい」という回答が続いています。
31ページを御覧ください。特定目的行為の禁止に対する考え方については、「分からない」が最も多い一方で、特定目的行為を「禁止すべき」「禁止すべきでない」という回答がほぼ同じ割合となっています。
33ページを御覧ください。ここからは、冒頭に説明をしました労働政策研究・研修機構による調査結果をお示ししたものになります。まず、派遣労働者のキャリア相談・面談方法ですが、「営業担当者が相談に乗る」という回答が7割弱と最も多くなっており、次に「希望者のみキャリアコンサルタントがキャリア相談に応じる」という回答が多くなっています。
34ページを御覧ください。派遣労働者への研修の実施状況です。先ほどの調査結果としてお示しをしましたものとおおむね同じような調査結果となっています。
35ページを御覧ください。回答事業所において、教育訓練等を利用しない者の割合を示したものです。この結果は、事業所ごとに教育訓練等を利用しない者が派遣労働者全体の何割くらいかを質問をして、回答を頂いたものになります。0割というのは、教育訓練等を派遣労働者全員が受けているといった回答ですが、これが5割弱を占めている一方で、派遣労働者の5割以上は教育訓練を利用していないという回答も合わせると、約25%程度といったような結果となっています。
36ページを御覧ください。教育訓練を受講しない方に対する受講を促す施策については、「フォローの担当者等が受講を促す」が最も多く、「受講を促すメールや案内を送る」が次に多くなっています。
37ページを御覧ください。教育訓練等の効果ですが、上の3つ、「派遣労働者の満足度向上」「能力向上に対する派遣労働者の希望に応えられる」「派遣労働者のキャリア意識の向上」、少し飛びまして、「派遣労働者の質を一定以上のレベルに保つ」という回答が多くなっています。
38ページを御覧ください。ここからは雇用安定措置に関する調査結果になります。まず雇用安定措置の説明・周知方法ですが、「担当者との面談で説明する」という回答が最も多く、「パンフレット等の書面の配布」が次に多くなっています。
39ページを御覧ください。雇用安定措置についての、派遣労働者の希望の状況を示しているものです。なお、ここまでは基本的に回答事業所の数ベースでの集計結果をお示ししていましたが、ここでは派遣労働者の人数ベースの集計となっていますので、御留意ください。ここでの結果を御覧いただきますと、「新たな派遣先の提供(2号措置)」の希望者の割合が67.7%と最も多くなっており、次に「派遣先への直接雇用の依頼(1号措置)」が15.0%となっています。
40ページを御覧ください。雇用安定措置の実施状況をお示ししています。ここも同じく、派遣労働者の人数ベースでの集計となっています。まず上の棒グラフ、講じられた措置の割合を見ますと、2号措置が66.9%と最も多く、1号措置が19.3%となっています。先ほど御覧いただいた、希望者の割合とおおむね近い傾向となっています。左下の円グラフは、1号措置が講じられたもののうち、派遣先の直接雇用に結び付いた方の割合を示していますが、48.2%とおおむね半数程度の方が直接雇用に結び付いています。右下の円グラフは、2号措置の状況ですが、新たな派遣先で就業した方の割合が76.5%となっています。
41ページを御覧ください。これは同じく雇用安定措置の実施状況ですが、特に雇用安定措置の義務の対象となる同一の派遣先の同一の組織単位での就業が、3年見込みである方についての実績をお示ししたものになります。措置別の実施状況については、1号措置が26.7%となっており、努力義務対象者も含めた先ほど御覧いただいた全体のデータに比べると、1号措置の割合が多くなっています。一方で、下の円グラフにありますとおり、1号措置で直接雇用に結び付いた割合については、前のページとほぼ同じ約半数程度といった結果となっています。
42ページを御覧ください。直接雇用の依頼を講じたにもかかわらず、派遣先の直接雇用に至らなかった理由です。「派遣先に新規の採用枠がなかったから」が最も多く、次に「派遣先の基準に比べて能力が不足していたから」という理由が多くなっています。
43ページです。雇用安定措置の措置別の月給額・年収額の変化を見ています。一番上の棒グラフが1号措置の場合、2本目以降の棒グラフが2号措置のうち、有期・無期の別や新しい派遣先に変わったかどうかの別等の組合せで、4つのパターンをお示ししています。全体の傾向を見ますと、月給、年収ともほぼ変わらないという回答が最も多くなってはいますが、一番上の派遣先での直接雇用や派遣であっても無期雇用に転換した場合には、月給、年収ともに上がるという回答が比較的多くなる傾向が見られます。派遣元調査の結果については以上です。
次に資料1-2を御覧ください。ここからは派遣先に対する調査結果になります。1、2ページの調査方法の概要については省略させていただきます。4ページを御覧ください。まず、業種の分布ですが、製造業が消費関連、素材関連、機械関連、その他を合わせて5割弱を占めています。また、企業全体の雇用者数について見ると、大企業から中小企業まで、幅広く回答を頂いております。
6ページを御覧ください。ここからは日雇派遣について、雇用期間1ヶ月超の派遣との比較でお示ししているものです。まず、派遣の受入実績ですが、左のグラフのとおり、2019年の1年間に雇用期間1ヶ月超の派遣労働者を受け入れている派遣先事業所が9割近くある一方で、日雇派遣労働者を受け入れている派遣先は3.8%となっております。なお、補足ですが、本調査は調査会社が保有する派遣を受け入れている法人データを対象に調査をしております関係で、左のグラフの派遣受入割合が9割と非常に高くなっておりますが、企業一般における派遣受入割合については、例えば平成29年の派遣労働者実態調査を見ますと12.7%となっておりますので、参考として御紹介させていただきます。
次に7ページを御覧ください。派遣受入実績のある業務内容について、まず17.5業務についてお示ししています。日雇派遣、紺色の棒グラフを御覧いただきますと、先ほどの派遣元調査の結果と同様の傾向となっており、案内・受付、事務用機器の操作、通訳・翻訳・速記等が多くなっております。8ページを御覧ください。同じく派遣受入実績のある業務内容について、17.5業務以外の業務についてお示ししております。日雇派遣については、物の製造、倉庫・運搬・流通加工が特に多く、次に一般事務と続いております。
9ページを御覧ください。トラブルや問題の発生状況ですが、「発生したことはない」との回答が8割近くを占める一方で、トラブルが発生した場合の状況について見ますと、「派遣労働者が出勤しなかった」が最も多く、「労働者がけがを負う事故」「ヒヤリハット事案」「ハラスメント」についても、一定割合を占めています。
11ページを御覧ください。ここからは短期、30日以内の人材確保ニーズの状況についてお示ししております。まず、ここではこうしたニーズがあると回答した派遣先の割合ですが、9.2%となっております。なお、ここでは日雇派遣などの人材確保の方法は問わずに、まず単に短期の人材確保ニーズがあるかどうかを質問した結果ということになります。
次に、12ページを御覧ください。短期の人材確保ニーズのある業務の内容です。特に、下の段の業務B群について御覧いただきますと、物の製造が最も多く、倉庫・運搬・流通加工、一般事務、販売の順に多くなっております。13ページを御覧ください。短期の人材確保ニーズについて、「どの程度の期間確保したいか」との質問に対する回答です。29~30日が最も多くなっている一方で、1日や2日~7日といった回答も、それぞれ3割程度ずつといった結果となっております。
14ページを御覧ください。短期の人材確保ニーズを満たす方法として、希望する方法とその理由をお示ししています。まず、左側の希望する方法については、「直接応募」と「日雇派遣」が特に多くなっています。また、右側では「日雇派遣」又は「日雇紹介」を選択した回答者に対して、それを選択した理由を質問した結果になりますが、全体としてはほぼ同じような傾向となっておりまして、「人材確保のスピード」「人材確保に手間がかからない」「適切な人数が確保できる」といった回答が多くなっています。
16ページを御覧ください。派遣会社を選択する上で、派遣先が重視していることについては、「派遣料金の水準」が最も多く、次に「派遣元が得意とする業務」となっています。
18ページを御覧ください。離職後1年以内の派遣の禁止についてですが、まず左のグラフが該当者の有無です。「該当者がいた」と回答した派遣先は0.3%となっています。右側では、この制度に対する考えをお示ししていますが、「分からない」「今のままでよい」が最も多い一方で、「禁止すべきでない」「制限は必要だが、期間は1年より短くすべき」との回答についても、一定割合で合わせて4分の1程度頂いております。
20ページを御覧ください。事業所単位の派遣期間制限についてですが、まず左側のグラフでは、約2割の派遣先から、「3年を超えて有期雇用の派遣労働者を受け入れている」との回答を頂いています。この2割の回答者のうち、期間延長の手続、これは過半数労働組合ですとか、過半数代表者への意見聴取ですが、これを実施している事業所の割合が77.8%となっている一方で、「行っていない」と回答した事業所が8.6%となっています。なお、この「行っていない」との回答についての評価ですが、不適切な事案が含まれる可能性も必ずしも否定できない一方で、制度上は派遣労働者が60歳以上の場合や有期プロジェクト業務の場合、育休・産休等の代替で派遣を受け入れている場合などには期間制限が適用されませんので、この点にも御留意いただいて御覧いただければと思います。
21ページを御覧ください。まず左の円グラフでは、意見聴取の対象者を示していますが、過半数労働組合が3割弱となっており、過半数代表者が約7割となっています。右のグラフでは、過半数代表者の場合にその選出方法を示しておりますが、「挙手」が最も多く、次いで「紙での投票」といった結果になっております。
22ページを御覧ください。期間延長が必要な理由ですが、「欠員補充等、必要な人材を迅速に確保できるため」が最も多く、次に「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」が続いております。
23ページを御覧ください。左のグラフは意見聴取の際の反対意見の有無を示していますが、「反対意見があった」との回答は0.9%となっております。右のグラフは、事業所単位の期間制限に対する意見に対する回答ですが、「制限は不要」との回答が最も多く、次に「今のままでよい」「制限は必要で、3年より延長すべき」と回答が続いております。
25ページを御覧ください。雇用安定措置のうち1号措置、派遣先での直接雇用依頼について質問したものです。派遣先での直接雇用への切替えの実績については、左側のグラフのとおり、27.4%が「切り替えたことがある」と回答しており、切り替えた場合の労働条件については、右側のグラフのとおり「有期雇用より無期雇用のほうが多く、賃金については上がった」という回答が多くなっています。
次に、26ページを御覧ください。派遣労働者を直接雇用に切り替えることの難しさですが、派遣元調査と同じように、「派遣労働者の能力が基準に足りない」との回答も多い一方で、「提示した労働条件が派遣労働者の希望と合わない」「直接雇用が成立した場合の手数料の条件が派遣会社と折り合わない」との回答も多くなっています。
28ページを御覧ください。左のグラフは、派遣先において、派遣労働者の加入する労働組合からの団体交渉の求めに対応していますかとの質問に対する回答を示したものですが、「求められたことがない」との回答が大部分を占める一方で、「対応している」との回答が3.1%、「対応していない」との回答が2.1%となっております。右のグラフは、今後団体交渉を求められた場合には対応しますかとの質問に対する回答ですが、「分からない」が最も多い一方で、「対応する」といった回答が4割程度、「対応しない」はごく少数となっております。
30ページを御覧ください。ここからは過半数労働組合及び過半数代表者に対する調査結果となります。まず、調査の方法について補足させていただきます。派遣先を通じて過半数労働組合又は過半数代表者の方に回答を依頼しまして、回答者御本人からはインターネット調査の形で、調査の実施業者に直接回答を送ってもらうという方法で調査をした結果になっています。回答者の属性については、過半数労働組合が約4分の1程度、過半数代表者が約4分の3となっておりまして、先ほどの派遣先事業所回答とおおむね同じ傾向となっております。
31ページを御覧ください。期間延長が必要な理由について、派遣先の事業主からどのような説明を受けているかですが、先ほどの派遣先調査結果と同じ傾向となっています。
32ページを御覧ください。左のグラフは意見聴取の際の反対意見の有無を示していますが、「反対した」との回答が0.8%あり、その具体的な内容としては、「労働力の確保について、一時的な対応による技術の流出等を懸念したもの」であったり、「派遣労働者の正社員化の検討を打診しているから」といった回答を記載いただいております。右側のグラフは、過半数代表であること、若しくはなろうとしたこと等により、不利益な取扱いを受けたことはありますかとの質問に対する回答を示したものです。0.3%が「ある」との回答をしております。なお、この質問は過半数労働組合と過半数代表者の双方に対して質問したものを集計した結果となっています。派遣先調査の結果は以上になります。
次に、資料1-3を御覧ください。ここからは派遣労働者等の個人に対する調査結果になります。まず、4ページから御覧いただければと思います。4ページと5ページでは回答者の属性をまとめております。4ページの下の表では、主な就業形態について記載しております。今回の調査は、派遣法の施行状況把握が主な目的ということで派遣労働者が最も多くなっておりますが、それに加えて日雇派遣等の短期就労の実態を把握するという目的で、派遣と派遣以外の日々又は短期就労の労働者の方も一定数確保しています。さらに短期就労のニーズについても併せて調査をするため、派遣労働者以外の個人全般についても調査の対象に含まれておりまして、記載のとおり、正社員、契約社員、パート・アルバイト等の方についても一定のサンプル数を確保しております。
5ページの下を御覧ください。本人又は世帯の年間収入を示しております。現在の日雇派遣の原則禁止の下では、500万円の年収要件というものが1つの基準となっています。それとの関係でサンプルを見ますと、今回の調査対象の中には、本人・世帯年収が500万円未満の方と500万円以上の方、双方のサンプルが含まれた結果になっているということを申し添えさせていただきます。
7ページを御覧ください。派遣労働者として従事した業務について、まず日本標準職業分類の大分類別にお示ししたものになります。雇用期間1ヶ月超の派遣では、事務が突出して多い結果になっておりますが、日雇派遣では事務、サービス職業、運搬・清掃・包装、生産工程が多くなっています。
次に8ページを御覧ください。8ページと9ページでは、先ほど来御覧いただいていますとおり、17.5業務とそれ以外での実績をお示ししております。8ページの、いわゆる17.5業務については、派遣元、派遣先調査の傾向と類似した傾向で、案内・受付が最も多くなっています。9ページを御覧ください。17.5業務以外の業務についての結果ですが、倉庫・運搬・流通加工が最も多くなっており、一般事務、販売、物の製造と続いております。
10ページを御覧ください。日雇派遣労働者の月当たり就業日数です。「14日以内」の回答が合わせて半数程度、残り半数が「15日以上」となっております。先ほど、派遣元調査でも同じ項目の結果がありましたが、先ほどの結果では、回答事業所として把握している範囲をお答えいただいたもので、ここでは派遣労働者個人として、例えば複数の派遣元に登録して、日雇派遣に従事している場合には、その全てを累計したものとして回答いただいたものというように御覧いただければと思います。
次に、11ページを御覧ください。教育訓練の受講状況についてお示ししています。「教育訓練は受けていない」との回答が、雇用期間1ヶ月超、日雇派遣の双方で最も多くなっています。教育訓練を受けた方についての回答の中では、派遣前研修、安全衛生研修、情報保護研修、コンプライアンス研修が多くなっております。なお、派遣元事業主には、派遣法に基づく段階的、体系的な教育訓練の実施義務があり、また労働安全衛生法に基づく安全衛生教育の実施義務もありますが、一方で教育訓練の内容に関する十分な能力を持つ労働者については、受講済みとして扱うなど、実施しないことも認めるような取扱いとなっている点について、この結果を御覧いただく上で御留意いただければと思います。
12ページを御覧ください。トラブルや問題の発生状況ですが、「発生したことはない」との回答が7割以上を占める一方で、「ハラスメント事案」「ヒヤリハット事案」「けがを負う事故」なども、一定の割合で回答を頂いております。
13ページを御覧ください。日雇派遣に係る年収要件の確認状況です。まず、左のグラフでは、「年収を確認されたことがない」との回答が4割で最も多くなっておりまして、「何らかの形で確認された」との回答の中では、「公的証明書のコピーの提出」などが約2割となっています。右のグラフでは、「年収を確認されたことがない」と回答された方に対し、その理由を質問しております。「そもそも年収確認の必要がない(学生、60歳以上)」とか、「日雇派遣が可能な専門業務のため」との回答も若干ながらある一方で、「その他の理由」とか「分からない」といった回答も多く含まれています。
14ページを御覧ください。日雇派遣で前日又は当日に仕事がなくなった場合の対応です。「そのようなことは起きたことがない」との回答が最も多い一方で、「特段の対応はされなかった」との回答も前日、当日ともに1割強といった回答となっています。その次に、「予定していた賃金の全額の支払い」が続きます。
16ページを御覧ください。ここからは日雇派遣以外の日々又は短期(30日以内)の就労実態をお示ししております。業務内容については、業務のB群のほうを御覧いただくと、倉庫・運搬・流通加工が最も多く、一般事務、販売と続いておりまして、日雇派遣の場合と類似した結果となっております。17ページを御覧ください。月当たり就業日数ですが、「7日以内」が半分弱、「8日以上」が残りの半分強となっておりまして、日雇派遣の場合と比べると、就業日数が少ない傾向となっております。
18ページを御覧ください。教育訓練の受講状況ですが、「教育訓練は受けていない」との回答が6割以上となっており、その他、受けた場合の教育訓練の内容の傾向については、先ほどの日雇派遣又は一般の派遣の場合の受講状況と類似した傾向となっています。
19ページを御覧ください。トラブルや問題の発生状況ですが、「発生したことはない」との回答が8割近くを占める一方で、その他、発生したトラブル等の傾向については、日雇派遣の場合と類似した傾向となっています。
20ページを御覧ください。前日又は当日に仕事がなくなった場合の対応ですが、これについても日雇派遣の場合と類似した調査結果となっております。
22ページを御覧ください。ここからは日々又は短期で働きたい希望があるかどうかについての回答です。まず、左側の希望の有無については、正社員や契約社員等のその他個人も含めた、今回の調査対象全員に対して質問した回答を見ますと、27.1%が、こうした希望があると回答されています。その理由については、「自分の都合のよい時間や場所で働けるから」が最も多く「自分で自由に使えるお金を得たいから」「勤務時間や労働日数が少ないから」といった理由が続いています。23ページを御覧ください。日々又は短期で働きたいと希望する業務の内容についてです。特に下のB群のほうを御覧いただきますと、一般事務が最も多く、倉庫・運搬・流通加工、試験監督、物の製造、販売が続いています。
24ページを御覧ください。日々又は短期で働くとした場合の働き方の希望についての回答です。「直接応募」と「日雇派遣」が多くなっており、次に「日雇紹介」と続いています。
25ページです。日々又は短期で働くとした場合、日雇派遣と直接応募、日雇紹介、これらは双方就業先に直接雇用されるものですが、これらを比較して、どちらがよいと思うかとの質問の結果を示しています。仕事の見つけやすさについては、「日雇派遣のほうがよい」、又は「どちらかというと日雇派遣の方がよい」との回答割合が特に多い傾向が見られます。
次に、26ページを御覧ください。ここでは、日雇派遣の年収要件が理由で働けなかった経験の有無について、お示ししております。そうした経験があるとの回答が、約1割となっています。また、右側では「経験がある」と回答された方について、その理由を質問したところ、「自身の年収が基準を満たさなかった」が最も多く、次に「世帯収入が基準を満たさなかった」が続いております。27ページを御覧ください。日雇派遣の原則禁止に対する考えについてです。「分からない」「今のままでいい」との回答が多くなっている一方で、「日雇派遣を全て可とすべき」「原則可とし、例外的に禁止業務や属性を設定すべき」との回答も、一定の割合で頂いております。
29ページを御覧ください。ここからは教育訓練とキャリアコンサルティングに関する調査結果です。まず、教育訓練を受けたことのある雇用期間1ヶ月超の派遣労働者の方に教育訓練の効果について質問したところ、「特に効果はなかった」が6割近くと最も多くなっており、「効果がある」との回答の中では、「新しい派遣先でスムーズに業務を開始できた」「よりレベルの高い仕事に従事できるようになった」との回答が比較的多くなっております。
30ページを御覧ください。教育訓練を受けていない派遣労働者の方に対して、教育訓練を受けなかった理由について質問したところ、「特に理由はない」「派遣会社・派遣先で教育訓練が行われていなかったため」との回答が特に多くなっています。
31ページです。左側のグラフは雇用期間1ヶ月超の派遣労働者に対して、キャリアコンサルティングの経験の有無を示していますが、7.8%が「受けたことがある」と回答していまして、受けたことがある人にその効果を聞きましたところ、「長期的キャリアについて考えるきっかけになった」「これからの仕事やキャリアについて見通しを立てることができた」との回答が多くなっております。
32ページを御覧ください。「キャリアコンサルティングを希望しなかったので受けなかった」と回答された方に対して、その理由を質問したところ、「特に理由はない」が最も多く、次に「キャリアコンサルティングを受けられることを知らなかったから」が多くなっています。
34ページを御覧ください。ここからは雇用安定措置に関する調査結果になります。まず質問の前提ですが、ここでは雇用安定措置の義務対象者を想定しまして、下の注釈にありますとおり、2015年10月以降で、「同じ派遣先で有期雇用の派遣社員として3年近く働いたことがある」と回答された方を対象にしまして、雇用安定措置関係の質問をした結果になります。その上で、まず派遣会社からの相談状況ですが、「相談を受けたことがある」と回答された方の割合が4割弱、また、その相談の方法としては「対面相談」が最も多く、また9割弱の場合に「労働者の希望を尋ねられた」という状況になっています。
35ページを御覧ください。派遣労働者本人の雇用安定措置に関する希望の状況です。希望がある方の中では1号措置と2号措置が同程度の割合となっている一方で、「特に希望はなかった」との回答も36%という結果となっております。
36ページを御覧ください。雇用安定措置の実施状況です。2号措置が最も多く、合計で約3割です。次に1号措置が多く、合計で約2割となっています。1号措置の中の内訳を見ると、派遣先での有期雇用と無期雇用の割合が約半数ずつとなっております。
37ページを御覧ください。派遣先に直接雇用された場合の賃金の変化ですが、「ほぼ変わらなかった」との回答が5割強で最も多くなっていまして、「上がった」との回答も3割弱を占めるとの結果となっています。
38ページを御覧ください。派遣先での直接雇用を希望したが実施されなかった理由について、派遣会社からどのような説明を受けたかについてです。「派遣先に新規の採用枠がないから」との回答が最も多くなっています。
39ページを御覧ください。新たな派遣先を提示されたが就業しなかった理由については、「遠方だったから」「賃金が下がるから」との回答が多くなっています。
41ページを御覧ください。派遣会社の選択理由についてですが、雇用期間1ヶ月超の派遣労働者、日雇派遣労働者の双方で、「提示されている仕事内容」「派遣先賃金水準」「派遣会社と担当者の対応」といった回答が多くなっています。
43ページを御覧ください。派遣就労する中での悩みや困ったこと、トラブル・問題についての相談状況です。「どこかに相談をしたことがある」との回答が約4分の1となっており、その際の相談先としては「派遣会社」が特に多く、次に「派遣先」といった結果になっております。
44ページを御覧ください。最も支援してくれた相談先については、前のページで相談先として回答された傾向とほぼ同じ結果で、「派遣会社」が最も多く、次いで「派遣先」との回答となっております。また、相談内容の解決状況については、約半数の方が「解決した」と回答されております。
46ページを御覧ください。特定目的行為の経験の有無についてお示ししています。「そうした経験がなかった」との回答が最も多い一方で、「派遣会社又は派遣先の指示を受けて、事前に派遣先との面接を受けた」との回答も17%ございました。
48ページを御覧ください。労働契約申込みみなし制度を知っているかどうかについて、派遣労働者に対して質問した回答です。「知っている」との回答が1割足らずとなっています。
49ページを御覧ください。個人単位の期間制限について、いろいろな職場を経験できるなど、キャリア形成にプラスの効果があると考えるか、若しくは職場が変わることでマイナスの影響があると考えるか。どちらの意見に近いかを質問したところ、「どちらとも言えない」との回答が最も多く半数近くとなっていますが、意見をお持ちの方の中では、「プラスよりはマイナスの影響がある」との回答が多くなっています。
50ページを御覧ください。個人単位の期間制限に対する意見ですが、「制限が不要」との回答が最も多く、次いで「分からない」との回答が多くなっています。以上が個人に対する調査結果になります。事務局からの説明は以上になります。御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。この施行状況調査の調査設計には、特に松浦委員が中心となって御協力いただくとともに、小野委員には、労働政策研究・研修機構として雇用安定措置とキャリア形成に関する調査を実施していただきました。ありがとうございます。そこで、まず松浦委員、小野委員から事務局の説明に対する補足や御意見などありましたら、御発言をお願いいたします。松浦委員からお願いいたします。
 
○松浦委員 御説明いただきありがとうございました。この施行状況調査については部会でも随分前に御議論いただきまして、その後、ワーキングに公益からは小野委員に入っていただき、外部から法政大学の佐野先生に御協力いただきました。そして、労使それぞれから大変な精鋭のメンバーを出していただき、議論して作った次第です。事務局と委託業者の皆さんにも大変頑張っていただき、お陰様で推測に足り得るサンプル数が確保でき、また、議論の土台になる調査になったのではないかと思っております。御回答いただいた皆様と御支援いただいた皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
今後、この調査結果をどう使っていくかということですが、この調査結果というのは公正な調査結果ですので、謙虚に結果を受け止めていただく必要があります。一方で、人間が人間に尋ねる調査というのは万能ではございませんし、質問している制度内容が複雑なので、結果を慎重に解釈する必要もあると思います。解釈をする上で、是非ご活用いただきたいのが、データを比較するということです。例えば1ヶ月超の派遣、日雇派遣、日々紹介といった制度ごとに同じ内容が比較できるような調査の作りにしていますので、それらを比較しながら見ていただきたい。あるいは、派遣元、派遣先、派遣労働者、場合によっては過半数代表・過半数組合の結果も見比べられる作りにしてありますので、それらを比較しながら客観的に解釈しつつ、御議論・御活用いただければと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、小野委員、お願いいたします。
 
○小野委員 事務局の皆様、本当にお疲れさまでした。ここまで調査がちゃんとできて結果が出てくるというのは本当に大変なことだったと思います。調査についてですけれども、調査会社の方、事務局の方、そしてこれに携わってくださった委員の先生方というのが、今、おっしゃったように本当に優秀で精鋭だったということがラッキーだったと思っていただきたいと思います。非常に短い期間の中で、これは本当に無理なのではないかなと思って、私は調査屋ですから、想定では考えられないような期間と内容を入れた調査だったと思っております。ですから、これは非常にラッキーだったということを肝に銘じていただいて、あまり無理のないような調査を今後は考えていただきたいなというのが、1つ苦言であります。
JILのほうの調査は、かなりサンプルもたくさん集まっておりますけれども、量的な変数もたくさん入れた調査になっておりまして、今、まだ速報値という形でお出ししております。大きく数字は変わることはないと思いますけれども、まだクリーニングが不完全なところがあって、これから少しサンプルが落ちるかもしれないと思っています。ただ、それほど大きな影響はない。異常値を取り払っていくのを、今やっているところです。
内容についてですけれども、日雇派遣についての業務内容の選択肢について、「該当するものはない」の割合が多くなっています。残念ながらこれまでやってきた調査全てにおいてですけれども、100%成功したという調査はありません。特に探索的な調査の場合、必ずは後悔が残るのです。それはなぜかと言ったら、我々は先を見通す力というか、人間ですから選択肢を万全に作り込むことができないということがあります。ですから、ここの設問については不完全だったなと思う調査については、後でフォローでヒアリングをしたりしながら、なぜ該当しないというものがここまで割合として多くなってしまったのか。その他で考えられる業務というのは、ほかに何があるのかというのは調べなくてはならない課題であると思っております。
雇用安定措置についてですけれども、JILのほうは事業所調査をやりました。調査会社の今回の施行状況調査のほうでは、個人調査を同じような設問でやっていただいて、いろいろ見えるものがあるなと思っております。3年で異動しなければならないという個人期間のものについては、やはり個人から見て不評であるなと思っております。ただ、これは調査サンプルが派遣社員が40%以上ということ。つまり、今現在も派遣で働いていらっしゃる方であって、例えば直接雇用に変わった方がいたりした場合には、その事に対する評価というのが恐らく変わってくるであろうということもあると思います。そして、事業所調査のほうから見えることは、直接雇用の割合が増えているということ。あるいは、直接雇用になったり無期雇用になった方が、その後、賃金が増えていることを見たときに、雇用安定措置の問題は表裏一体であると思っておりますから、総合的に全体を見たときに世の中一般がどうあるべきかを考えて解釈し、我々は検討していかなければいけないなと思いました。
今、出ているのは単純集計なので、これからいろいろクロス集計をして深掘りしていく。そして分析していくことになると思いますので、大いに期待しております。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。本調査結果は今後、政策について議論する上で、エビデンスに基づく議論をする上で大変貴重な資料となると考えております。この調査に関わって担当された皆様に、私からも改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
さて、非常に大部な調査結果となりますので、委員の皆様方もいろいろ御質問があると思いますが、時間に限りもありますので、本日は調査全体についての受け止めなど総論的な御意見を頂ければと思います。それでは、自由に御発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。誰からでも結構ですが、正木委員、どうぞ。
 
○正木委員 派遣元調査、本当にすばらしい公正な調査をしていただいた結果だと思いますが、例えば日雇派遣で研修を行っていない割合が10%と出ている。正直に答えてもらった結果がなので、実態を表しているということを感じられた反面、我々、派遣事業の許可をする部会のメンバーとしては、派遣元についてはプロフェッショナルであるべきだと考える。派遣先とか労働者の方が制度を理解していないこととは、少し意味が違うと思いますので、これについては、今後、許可の更新など別の機会に正しい理解をするよう徹底していくことが重要だと思いました。
それから、派遣先に関する調査についてですが、日雇も雇用期間1ヶ月超も含めて物の製造がすごく多くて、少し感覚と違うなと思ったのですが、回答された事業所の業種が、先ほど説明もありましたように製造業が5割ということでした。通常の就業者数で言うと7割がサービス業というのが我が国の構造なので、全体の中でどれぐらい補正をしなければいけないのか、補正をする必要があるか、そういうものだと思ってここだけ読めばいいのか、今後、分析していく上では、どうしても回答率の高い業種と日本全体の産業構造とはピッタリ一緒にはならないと思いますので、そこは配慮しなければいけないと思いました。細かい質問は事前に事務局にお送りしていますので以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。そのほかございますか。中西委員、どうぞ。
 
○中西委員 調査結果につきましての説明、ありがとうございます。御指示いただいた検討課題につきまして、関係者の皆様からのヒアリングと合わせて、かなり実態が把握できたように思います。調査結果につきまして、お伺いさせていただいて感じた点を3点ほど述べさせていただきたいと思います。
まず1点目ですが、日雇派遣の原則禁止、年収要件に関する考え方についてです。日雇派遣の原則禁止につきましては、個人を対象とした調査から日雇派遣の拡充を方向性として望んでいるように思います。このことから見直しの方向で検討していくことも必要ではないかと思います。それから、日雇派遣労働者の年収要件についてですけれども、調査結果から、働き方が多様化していることの実態が浮き彫りにされているように思います。年収要件につきまして見直しの方向で検討していくことの必要性を感じます。
2点目ですが、離職後1年以内の労働者派遣の禁止についてです。特に自己都合によるケースの内容の詳細を見てみますと、一律に禁止することは果たして合理的かどうかと考える次第です。国として推し進めている多様かつ柔軟な働き方に向けた動きと協働するためにも、柔軟性のある対応・措置が必要ではないかと思います。
3点目ですが、これは個人単位の期間制限についてです。個人に対する調査の中で期間制限の必要性について制限は不要が最も高く、派遣元に対する調査におきましても同様の結果が出ていると思われます。以上のことから、派遣労働者自身の要望でもあり、ダイバーシティ、多様な働き方に対応した雇用制度が国全体として求められている中で、個々の事情に対応した働き方の選択肢を増やすためにも、期間制限を見直すことが必要と、この調査を拝見して感じた次第でございます。以上、本調査に関連して3点につきまして感想を述べさせていただきました。ありがとうございました。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、仁平委員、どうぞ。
 
○仁平委員 調査の実施と取りまとめ、どうもありがとうございます。まず全体観の話ですが、今回の調査結果を見ますと、改正労働者派遣法が十分周知されていない一面もあるし、機能していない一面もあるのではないかと率直に感じた次第です。特に雇用安定措置については、労働者が派遣元から相談されていないという回答が半数以上ありますし、労働契約の申込みみなし制度については9割以上が知らないという回答でした。改正法の周知が不足していることに加えて、こうした背景には1985年の制定時から繰り返し改正が行われる中で、派遣元、派遣先の企業はもとより、派遣労働者にとっても分かりにくい法律になっていることも、一因ではないかと感じている次第です。そのため、今回の調査結果を踏まえまして、派遣労働の拡大のニーズに着目して安易に規制緩和の検討をするのではなく、まずどのように現行の規定を職場に根付かせて、労働者保護の観点から、どう実効性を確保していくのかという視点で議論を進めることが、まずもって大事ではないかと考えています。
あと、全体観ということでしたが、2点ほど個別課題も付け加えさせていただきたいと思います。これから議論される日雇派遣に関してです。資料1-1の14ページなどを見ますと、ヒヤリハットの事案とか、労働者がけがを負う事故が発生している実態も明らかになっていますし、その後に記載されている年収要件の確認も不十分だと思います。事前キャンセルの対応についても不十分だと言わざるを得ないと思っています。日雇派遣は、超短期の雇用と間接雇用が合わさった不安定雇用の最たる形態だと思っておりまして、このような実態を踏まえると原則禁止を維持すべきであるし、規制緩和をする状況にはないということを、これからの議論ではございますが、開始に当たって申し上げておきたいと思っています。
もう1つは、派遣先の団体交渉の応諾義務に関してです。これも資料1-2の28ページにありますが、今後、団体交渉を求められた場合の対応としては、「対応しない」「分からない」を含めますと半数を占めていまして、実効性が担保できていないのではないかと思っております。今回の議論の中で、派遣先の団体交渉の応諾義務の明確化に向けて具体的な道筋を、是非、付けていただきたいと思っています。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。木住野委員、どうぞ。
 
○木住野委員 感想を申し上げます。今回の報告の中では個人に対する調査を非常に興味深く拝見しました。いろいろ調査には制限があるということは承知していますけれども、今回の報告でも、はっきりしたことが分かる項目が随分あるなということで、そこは関係者の御尽力に敬意を表したいと思います。
仁平委員から、今、御指摘があったようなことで、雇用安定措置に関する派遣会社からの相談の有無とか、労働契約申込みみなし制度の周知の状況とか、教育訓練の効果とか、制度があまりよく機能していない実態がよく見えたのかなという気がしております。
あと、派遣労働者が相談する相手の4分の3が派遣元で、しかも結果が解決・未解決半々であるということは、改めて派遣元の負っている責任の大きさを感じました。
これは大変難しいテーマではあるのですが、特に個人調査では、回答項目によってかなりサンプルが振れてしまうということがあります。これは、この手の調査が持っている、どうしても避け難い問題だと思いますが、もっと突っ込みたいテーマがあったときに、そこはどういうふうに考えていったらいいのか。そういうことも併せて課題として認識すべきなのかなと思いました。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。佐久間委員、どうぞ。
 
○佐久間委員 ありがとうございます。本当に事務局、お疲れさまでございました。また今日は遅れてしまいまして申し訳ございませんでした。私も感想を述べさせていただきたいと思います。今回、各委員から検討される項目について、的確な意見が述べられるのではないかと感じています。1つには日雇の年収要件についてですが、年収500万をどのように数字を把握するのか、把握しにくいのではないかというのが意見として出ていたのですが、実際に派遣元に対する調査、資料1-1の中では16ページですが、公的証明書を基本的に提出、その後に自己申告書へのサインとか、口頭での確認など、やむを得ない場合を認めつつというのがあるかもしれませんけれども、気にしていたより、この確認という作業を実際に派遣会社(派遣元)もうまくやっているのではないかというように感じました。また、全体の調査を通して、教育訓練とか、キャリアアップの関係についてですが、派遣元も実際に派遣労働者に対して、どういう教育訓練や説明をやっているのか。さらには、派遣労働者についても、これから派遣という業務の中を行っていく上で、自分のキャリアアップについて、どのような教育訓練が必要なのか。そういう回答も考えながら、は派遣労働者が、特に教育訓練を受けていない、あるいは教育訓練の機会がないということも結構多いものですから、その辺を充実させていかなければいけないのかなと感じています。
もう1つは、最後の個人単位の期間制限に関する所です。これは個人に対する調査結果の50ページの所ですけれども、期限は不要という言葉も出てきています。でも、実際こういうのを設けられたというのは常用の労働者を増やしていこうという流れで出てきたことかと思います。今回、また前回のヒアリング等を通じて、うまい働き方というか、派遣でしかできない、派遣だからこういう働き方ができるんだという、働きがいとか生きがいというのを捉えているところもあるものですから、なかなか労働者一人一人には、期間制限ができた理由が分かりにくいところもあるかもしれませんが、意識としてこういう期間は不要というのも多く出ているんだなと感じた次第です。以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。正木委員、どうぞ。
 
○正木委員 JILPTさんの調査も非常に興味深いなと思ったのですが、例えば雇用安定措置にしろ、その内容は2018年度の実績ということだと思われます。いろいろ制度が変わっていく中で、新しい選択肢ができた当初と、制度が落ち着いてからでは、選ぶ傾向も変わってくると思いますので、できれば何年かに一遍でいいのですが、経過を見ていきたいなと思います。例えば、派遣元での無期雇用というのは最初の頃だからあったけど、だんだんそれはなくなってくるとか、今後も堅調に推移していくとかあると思います。是非、何年かに一遍でも予算を取っていただいて、また調べていただくと制度としてよく分かるのではないかと思います。コメントでした。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいですか。本日のこの件についての質疑は、ここまでとさせていただきます。本日は、この調査全体についての受け止めや総論的な御意見を頂きました。調査結果の詳細について御質問がありましたら個別に事務局にお伝えいただければ、次回以降の部会で事務局から回答をお願いしたいと思います。そのような進め方でやりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは、議事録の署名は仁平委員、佐久間委員にお願いいたします。冒頭に申し上げましたとおり、傍聴の方々につきましては、ここで御退席いただくようお願いいたします。
 
(傍聴者退席)