第294回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2020年(令和2年)1月31日(金)10:00~

場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

公益代表委員
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
労働者代表委員
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
  • 仁平 章
使用者代表委員
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 正木 義久
  • 森川 誠

議題

  1. (1)労働者派遣事業者団体からのヒアリング(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 それでは、ただいまから第294回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員が所用により御欠席されております。
本日は、労働者派遣事業者団体からのヒアリングの後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、労働者派遣事業者団体からのヒアリングについては、公開で実施いたしますが、許可の諮問にかかる審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とさせていただきます。
傍聴されている方につきましては、ヒアリング終了後に御退席いただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。
それでは議題1、労働者派遣事業者団体からのヒアリングについて、資料の確認と、併せて御出席いただいている方の紹介を事務局よりお願いいたします。
 
○米岡補佐 本日は労働者派遣事業者団体として、日本人材派遣協会の大原理事と野村事務局長にお越しいただいております。資料は、資料1となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○大原理事 改めまして日本人材派遣協会の大原です。どうぞ今日はよろしくお願い申し上げます。
 
○野村事務局長 事務局を担当しております野村です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 日本人材派遣協会の大原理事と野村事務局長におかれましては、大変御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は労働者派遣事業者団体の立場から、派遣制度について御意見を述べていただければと思います。まずは15分程度御説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
 
○大原理事 失礼しました。それでは早速ですが、資料をベースに御説明申し上げたいと思っております。まず最初に当団体のことについて簡単に御案内申し上げます。日本人材派遣協会、設立は1986年です。派遣法が我が国に初めて施行された同年に設立いたしております。現在の会員会社数は764社です。会員の主たる事業内容は、オフィス業務、事務領域への派遣を中心に行っておるところです。参考の所に記載してありますとおり、当協会の業界におけるシュア、占有率ですが、会員企業に就業していただいている派遣社員の方々、並びに売り上げシュアともに、おおむね3割強程度の占有率と考えておるところです。当協会の主な事業の内容ですが、お手元に当協会のパンフレットが御覧いただけるのではないかと思っております。大きく2方向で事業を進めております。ページをめくっていただきますと、コンプライアンス推進という、紙ベースでいきますと一番後ろの紙になりますが、裏表紙的な1、2枚です。1つの事業方向といたしましては、派遣元の事業サポートということで、特にコンプライアンスの推進を中心に各種の事業サービスを行っておるところです。
もう一方向は、もう1枚おめくりいただきまして、派遣社員の視点に立つという地点で、派遣社員の方々のキャリア形成の支援に、現在は力を入れて事業の推進を行っておるところです。まずは以上、簡単ですが、当協会の事業の御案内でした。
早速内容のほうにまいりたいと存じます。事前に御要請をいただきましたヒアリング事項について、順を追って御説明をさせていただきたいと思っております。
まず、日雇派遣の状況についてです。少し読み上げをしながら御説明申し上げます。短期就業に関する需給調整機能について、人材派遣サービスのみを一律的に規制するということには、私どもとしては違和感を覚えているところです。書いてありませんが、特に派遣で働いている方にとって、あるいはこれから派遣で働こうとする方々にとって、今の仕組みは必ずしも合理的なのかどうかという点で違和感があるということです。就業者の雇用安定への影響、あるいは就業上の安全・衛生環境に配慮しつつも、やはり社会的なニーズ、特に就業希望者のニーズに対応可能な仕組みとしなければならないのではないかと考えておるところです。短期就業に関する需給調整機能について、この派遣サービスを規制するに至った経緯、これは釈迦に説法ですが、急激な経済変調による一時的な、しかも大量の雇用不安が発生したこと。また、短期就業における安全衛生の在り方などが挙げられていたわけです。記載はありませんが、当時、これは個社の話とはいえ、基準法にもいろいろ問題があったと認識をしているところです。
一方で、その後の日本経済、労働市場については、経済についてはゆるやかな回復傾向を継続し、現在では御案内のとおり人手不足といったものが経済・社会問題となっていて、入管法の改正をはじめとして海外からの人材受入れを検討・実施するという逼迫した状況にあります。したがって規制があった当時と現在では全く環境が異なると認識しております。こうした労働市場の状況は、既に先行、進行しておるわけですが、少子高齢化・人口減少はますます進展することが確実な状況の中で、今般の働き方改革の実現とともに、一人でも多くの方に労働市場に参加していただくような需給調整機能が求められていると考えております。
さて、短期就業に関する需給調整機能ですが、さらなる女性の就業促進であるとか、昨今の兼業・副業をどう推進していくのか、あるいは地方や地域の人手不足など多方面から、需給調整機能の活用意向ということについては、いろいろあると考えております。特に、我々人材派遣のサービスにおいては、就業開始から雇用の終了まで求職者の方や求人企業の方々のエージェントとしての機能が期待されておりますし、私どもとしては、それに十分答えられると考えております。
さて、具体的にということですが、現在恐らく、もう間もなく公表されるであろう改正派遣法の施行状況調査の結果を見つつということになろうかと思いますが、短期就労が常態化する可能性の低い業務とか、安全衛生上の問題が発生する懸念が少ない業務については、例外業務として追加を検討すべきと考えておるところです。特に、需給バランスが逼迫している業務領域については、さらなる早急な対応も聞こえてくるところです。
同様に、いわゆる年収制限の問題、個人の属性に関する規制についても、施行状況調査の結果を見つつでありますが、適切な規制のあり方とはどういうものかということは、もちろん検討すべき事項だと思っています。
生計の主な収入が短期就労に依存していない場合については、例外属性として検討することが望まれていると考えているところです。以上が、日雇(短期)派遣の問題です。
続いて、雇用安定措置の事柄です。派遣社員の方々の安定就業とか、それに伴うキャリア形成を支援することは、派遣先の会社にとっても我々にとっても優秀な人材を確保するという上で大変重要な事柄であると考えております。派遣社員の方々の志向に応じた支援に取り組むことは必要であります。このような観点から、現在の雇用安定措置という仕組みについては適正に運用がなされていると認識しております。記載はありませんが、各派遣元企業にとって、派遣契約を終了した方を再稼動していただくことは派遣会社にとって大変重要な施策です。これは従前からですが、昨今の人手不足も含めて雇用安定措置というのは、図らずもこれは実施せざるを得ない、そういう状況だろうと考えていることでもあります。
続いて、派遣期間制限についてです。先般の改正によって、個人ごとの派遣期間の制限が新しく制度として運用が始まったところですが、3年という個人の期間制限、これは派遣社員あるいは派遣先にとっては3年ごとの継続の見直しはあるわけですが、派遣元など3者にとって、一旦現況を見直す、確認をする。そして次のステップ段階をどうするか。特に派遣社員の方々にとっては、次のキャリアをどう考えていくかということを考え、そういう機会として一定程度、これは有効性のある仕組みだろうと認識しております。ただ一方で、有期雇用派遣社員の身分のまま、今の就業先で仕事を続けたいという方もいらっしゃるのも事実です。そういった方々に対する対応も含めて、必要に応じた制度のあり方を検討すべきと考えております。
続いて、教育訓練・キャリアコンサルティングについてです。派遣社員の教育研修・キャリアコンサルティングについては、まず現在の仕組みについて、適正に運用がされていると認識しておりますし、今後も重要な課題として継続的に取り組む所存です。記載はありませんが、従前より派遣で働いている方々の働く特性としては、短期・断続・移動があります。したがって、いわゆる教育訓練の機会が乏しいと指摘を受けていたのは事実です。そうした観点から、このような仕組みが運用されるということについて、私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
続いて、その他の事項です。1つ目のポツです。いわゆるグループ企業内派遣の問題です。本文に入ります前に、また従前よりグループ企業だからこそより制度の高いマッチングが可能であるとか、あるいはグループ外の派遣社員の方をグループに派遣することは、通常の需給調整機能として問題がないのではないかなどという指摘があることは私どもも認識しているところです。然るに、今回はもう1つ別の視点で意見を述べさせていただきます。従来と比較して、ここ数年、昨今は企業の業務提携とか、事業売買、M&A、資本政策は大変活発化しているところは申し上げるまでもありません。今後も、この傾向は続くであろうということです。結果として、そのグループの一企業である、派遣元企業が属するグループの範囲といったものが連結決算の対象範囲も瞬間的に変わるということが少なくありません。グループ会社の一事業会社である派遣元企業にとって、あらかじめ親会社、あるいはグループの業務提携であるとか、M&Aであるとか、資本政策の情報を事前に知ることはなかなか難しい。したがって行方を予見することがなかなか困難な状況があります。こうした状況において「グループ企業内派遣の8割規制」を常時維持するということが難しい場面もあるわけです。規制のあり方、グループ企業の資本政策の変更による一次的な上限越えに関する指導のあり方というものは検討されて然るべきではないかと考えております。この一次的あるいは常時維持するということですが、それなりの企業規模を持ったグループ企業派遣というものの資本政策による変化の場合、それを修正する時間は、時として年単位で必要なケースもあるのではないかと考えております。
続いて、離職後1年以内の派遣禁止の問題です。御本人の意向であるとか、あるいは離職に至った経緯を考慮せず、離職後1年以内の労働者派遣を一律的に禁止している現在の仕組みは、就業を希望する方のニーズに反していて、本当に良好な、問題のない就業機会までも阻害をしているのではないかと考えています。必要に応じた制度のあり方や例外対応などを是非、検討していただきたいと考えております。離職後1年以内の派遣を禁止された経緯は直接雇用の従業員の方を解雇して、労働条件を引き下げるために派遣社員として再度受け入れるといった事例が過去に挙げられていたわけですが、離職後1年以内の労働者派遣をしようとするケース全てがこうしたケースに該当するわけではありません。適正な需給調整機能のもと、労使双方の合意に基づいた短期就労などの直接雇用も少なくないわけです。現在は、こうした短期就労や有期雇用の就労者の方々も、この規制によって就労ができないとなっているわけです。したがいまして、仮に現在の禁止を原則としつつも、御本人の意向、離職に至った経緯を踏まえた例外対応を検討するということが重要ではないかと考えております。
その他として、7項目を列記してあります。マージン率から派遣先の団体交渉応諾義務まで、これらについて、もちろん項目によっては課題や問題が全くないと考えているわけではありませんが、少なくとも現状においては現行制度を維持することが妥当ではないかと考えておるところです。以上、ヒアリング項目について、一応15分ということでしたので、概略を御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 大変コンパクトに御説明いただきまして誠にありがとうございます。これからは、委員からの質疑応答にいたします。ただいまの御説明に対する質問、感想等があれば、何でも結構ですので自由に御発言ください。
 
○仁平委員 本日はありがとうございました。パンフレットも御紹介いただき、コンプライアンスの徹底、あるいはキャリア形成に向けて取り組まれているということでした。こういう活動もされているのだなということで、改めて認知をした次第です。2点ほど質問をさせていただきます。
1点目は、安全管理の問題です。この間、いろいろな所からヒアリングもさせていただいており、その中で日雇派遣のお話も伺っています。日雇の安全管理で言うと、研修なしで自分で守れ、というように言われましたと。あるいは、深夜に高校生を、これは法的にも禁じられていることですけれども、仲間が指摘しなければそのまま働かせていたような事例もありました。昨年は台風もありましたけれども、台風のときにも派遣先へ行くべきかどうかというのを、派遣元も派遣先も何ら指示もしてくれなくて非常に心配になったなど、いろいろな事例がありました。そういう意味では、日雇派遣の安全管理について、現場で徹底できているのか、非常に難しいのではないかと思っています。この辺を徹底できているのか、という質問です。
2点目は、雇用の安定の話です。短期といえども途中解約のような、前日に仕事は入っていたのだけれどもキャンセルされましたという場合、生活に直結する本人にとっては非常に深刻な問題であります。派遣元で代わりの仕事の紹介などは十分できているのか、できない場合というのはどういう対応になるのでしょうかという質問です。
 
○大原理事 1点目の安全管理に関する点です。私どもは冒頭に申し上げたとおり、事業領域は主に事務領域の派遣が中心です。必ずしもこれが全てであろうとは思っておりませんが、私どもの事業の中において、現在の改正派遣法が施行されてから特にということになりますけれども、たとえ短期の就労であっても、雇入時の教育・研修等については必ず実施せねばならないという仕組みになっています。例えば、9時から18時だけの1日の就業であっても10分、15分前に、もちろんこの時給をお支払いするわけですが、御集合いただいて、たとえ10分でも15分でも、スタート前の研修を実施します。これは、私どもの会員企業においては実施されていると認識しております。ただ、現場現場によって状況は様々でしょうから、果たしてそれで十分かどうかということは今後の検証は必要だろうと思っています。我々として最低限、スタッフの方々に事前に御承知いただきたいことは徹底しているというように考えています。
2点目の雇用安定の問題です。あらかじめ一定程度余裕があってオーダーを頂く短期派遣もありますし、さあ明日というオーダーも様々あると思っています。基本的に私どもとしては、当日の朝にキャンセルがあったという場合は、お客様との商取引として必要なキャンセル料をお支払いいただきます。そういうビジネス上の手続も進めつつ、一方で休業手当ということになるかどうか、仕事には就いていませんので分かりませんが、そこは働く人の立場になってみれば当然そういう思いはあるわけです。然るべく対応をとるというのは一定の常識の範囲で起こり得ます。
私ども派遣会社というのは、派遣社員の方々から、どう評価されるかということは極めて重要なファクターです。「あの派遣会社はひどい」というような事柄があれば、今や、あっという間に情報が拡散する時代です。そういうことは二の次ですけれども、非常に重要な事柄であると認識しております。先ほど事例に挙げられたような事柄は、私どもの会員会社の中ではあるとは考えていません。
 
○仁平委員 追加で、よろしいですか。ありがとうございました。多分、様々な実態があるのだろうと私も認識しております。短期就労が常態化する可能性が低い業務とか、安全衛生上の問題が発生する可能性が低い業務については拡大してはどうかという御提案でしたが、私の意見としては、やはり働く人が安全に働くことができ、それが将来の安定した雇用につながるものであるということが大事だと思っています。それについて日雇派遣を考えると、「派遣元においても求職者のエージェントとしての機能を含めて発揮したいのです」と、ここにも書いてありますが、ある程度長い期間派遣される方と短期の方とでは、エージェント機能の発揮の仕方というのは自ずと違いがあるでしょうし、派遣先ということで考えれば、使用者の責任として、先ほどの台風の例ではないのですけれども、短期で来るのだから十分フォローできないということは大いにあり得ることなのではないかと思っています。そういう意味で、日雇の拡大について、まず法令遵守については当然のこととして徹底した上で、拡大以前にやるべきことがあり、拡大についても慎重に考えなければいけないのではないかと思っています。
1人でも多くの人が労働市場に参加可能な需給調整機能が求められているのではないかと、ここに書いてあります。あえてこれを日雇派遣でやらなければいけないと思われているかどうかということと、雇用の安定とか安全管理ということについて、日雇の形態で担保していくのはなかなか難しいのではないかと考えておりますので、この2点について御意見があればお伺いしたいと思います。
 
○大原理事 私どもが例外規定、特性というものを拡大していただきたいということについては、おっしゃるとおり、業務自体が常態スポットの仕事であるかどうかという観点と、安全管理はどうかという2つの視点があります。確かに、この2つ両方を同時並行で考えていくと、現実的に拡大が図れる範囲というのは難しいということは認識しています。ただ一方で、これは私見も少し入るのですけれども、現在、例外規定として、私どもは主たる業務が事務領域ということがあるものですから、現在の17.5業務を見渡したときに、たまたま今般4月1日から始まる同一労働同一賃金の労使協定方式も、いわゆる一般賃金水準を職業安定業務統計調査を見ると、事務領域の職種が随分たくさん列記されています。
今の17.5業務と、職業安定業務統計の職種分類を見ると、例えば安全管理という視点においては、安全性が担保される業務というのは、もう少し幅広に捉えることはできないのか、ということを考えたりします。これは私見です。
短期派遣だからこそのエージェント機能とは何か。直接雇用でもいいではないかという御意見があろうかと思います。私どもとしては、派遣という短期就労の選択肢があってもいいのではないかと考えたわけです。必ずしも短期派遣でなければならないというようには全く考えておりません。ただ、そのときに、派遣のエージェント機能としては働く人、特にこれは地方の人ですけれども、自らの時間と労力やコストを使って仕事を探しに行く、あるいは直接雇用の応募に行くというのはそれなりの負担のかかる話です。一旦派遣元に御登録いただければ希望に応じた仕事を適宜、御案内することは可能です。例えばそういうことです。
通常、地方に限らず、介護とか、看護とか、育児で自ら仕事を探しに行くことが時間的になかなか難しいという方々は首都圏にも大変多くいます。一旦御登録いただければ、そういう方々に代わって適切な仕事を随時御紹介できます。
もう1点は、昨今の個人情報の問題です。住所、氏名、職歴、あるいは給料を振り込む銀行口座といった個人情報を、直接雇用の度にその相手先に提供していくというリスクが、一旦派遣元に御登録いただければ、我々はそれをしっかり管理させていただいて、それをいたずらに広げることなく仕事を紹介して、受けることが可能です。以上のようなことは、1つのエージェント機能として、短期であっても享受できるものと考えます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○仁平委員 はい。
 
○鎌田部会長 他の方はいかがですか。森川委員どうぞ。
 
○森川委員 本日はありがとうございました。分かりやすい説明でよく理解できました。2点あります。日雇派遣の中にも出ていましたけれども、短期就労が常態化する可能性が低い業務とか、安全衛生上の問題が発生する可能性が低い業務ということですが、これは具体的にどのような業務なのかを教えてください。
2点目は、派遣期間制限の話です。3年を上限に契約継続できないことを納得しない者がいるので、必要に応じて制度の在り方を検討すべきということですが、これは具体的にどういう御提案なのかをお聞きできればと思います。
 
○野村事務局長 御質問にありましたが、まず常態化が考えにくいということです。私どもの会員企業が担当しているオフィスワーク領域は、各企業からの発注でも、連日のように短期の派遣を入れてほしいという発注はまずないです。やはり仕事の中で代替的な機能、あるいはピーク対応といったスポットでお話を頂くことが大半になっています。したがって、会員各社に所属している派遣社員の方々も、自分の都合とスポットの要請が合えば仕事に入るという形です。毎日待機していて入っていくみたいなことはまず考えにくいと思います。本日は調査資料を持ってきていないのですけれども、実態的にそのように御説明して、まず間違いないと理解しています。
2点目の安全衛生に関しては、オフィスワークですので、先方あるいは派遣元の社内においても衛生委員会は開催しています。そういう意味では、通勤の問題も含めて、就業上の安全確保というのは基礎的なことはもちろんあります。そのような中で、特に労災事故でも、通勤上の労災事故が一番多くて、事業場内での労災事故というのは余り発生していないような状態です。こういうものは対象範囲に考えられるのではないかと申し上げています。
3点目の期間制限に関してです。3年の期間制限で、個人にとっても派遣先にとってもということに対して、直ちに何かの変更をと申し上げているわけではありません。ただ、大原のほうからも申し上げましたように、実際に3年経って、個人の3年が経過して、経過ですよと。次の仕事は直接雇用か、あるいは次の仕事を紹介をというときに、是非このままここでの派遣契約を続けたいという派遣社員はそれなりのシェアでいます。結果としてどうなるかというと、派遣元の無期派遣社員として継続就業するということが多々あります。
本人たちの意向は、派遣元の無期派遣社員で雇用の安定を得たいということではなく、このままこの環境でこの仕事をしたい。その手段として無期になるという考え方を持っている方々が多々います。今回の見直しかどうかは別としても、そういうニーズに関しても調査研究の上、いろいろな御審議を頂戴できればということで申し上げております。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○森川委員 はい。ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 他にありますか。永井委員どうぞ。
 
○永井委員 本日はありがとうございました。今お話のありました個人単位の期間制限と、離職後1年以内の労働者派遣禁止に関して質問させていただきます。期間制限については非常に分かりやすい御説明を頂きました。私の周辺にもずっと派遣で働いている方がおります。聞くと、派遣会社に希望する仕事を紹介していただけるということで、ずっと派遣を続けているのかとは思っています。今の御説明のように、派遣で同じ場所で働きたいという方々がいるということです。ご説明では、有期雇用の派遣社員のまま同じ場所で働き続けたいという方もいるということでしたが、なぜ有期雇用で派遣で働き続けることを希望しているのかということを把握しておられたら少し説明していただけますか。
もう1つは、離職後1年以内の労働者派遣禁止について、必要に応じて制度のあり方、例外などを検討すべきと記載されています。今、企業は人手不足ということで、特に女性は出産・育児で辞めるとか、御主人の転勤で仕事を辞めるようなことは少なくなってきていますし、辞める場合であっても、企業のほうでも工夫をして登録制度のような形で、また働けるときが来たら雇用するといったような制度を作っている所もあると思っています。私ども労働組合も、そういうことを推進しているわけです。離職後1年以内に派遣で働きたいという就業者のニーズについてはどのようなものがあるのか、把握されておられましたら教えてください。
 
○大原理事 最初の御質問です。3年期間制限に際して、有期雇用派遣のまま継続したいという事柄です。働く方の動機・理由は様々です。もともと元来、求職者が派遣に求めるものというのは、先ほど労働側の委員からも御指摘があったとおり、働く時間や場所を選べる。あるいは、様々な我々のエージェント機能を、それは教育・研修も含めてサポートを受けられる。これは無期でも受けられます。これは、もちろん無期でも受けられるわけですが、とりわけ有期にこだわる方というのは、御自身のライフワーク、職業人生はこういうものがある。ただ、一方で家庭の事情、それから個人の志向、これは本当に千差万別です。
例えば育児・介護等で急に環境が変わる可能性があります。それに適切に対応、クイックに対応していきたい。したがって、どうしても無期という事柄になると、自由度が狭まるというようにお考えになる方もいるでしょう。また地域活動とか、あるいは自身の学習であるとか、そういうものに1つのライフワークの重きを置いている方々にとっては、そこを優先的にしていきたい。例えば直接雇用になると、今までとは違って残業が多くなるのではないかとか、あるいはこういう事柄を求められるのではないか。それに対して有期の決まった範囲で、決まった時間の中できちんと勤めができることは大変魅力的だという声を聞きます。これが答えというわけではありませんけれども、今言ったように有期で働きたい事情も様々あるということは、我々も冷静に受けて立たなければならないと思っています。必ずしも無期がいいという方々ではないということです。
それから離職後1年の問題です。先ほども本文の中で触れましたとおり、特に有期で直接雇用された方々、その中でも、これはとりわけと言ってもいいかもしれませんが、もともと労使合意の下に、あなたとの契約は1年、あなたとの契約は2年というように終点が決まっているような終了のされ方の有期の方もいます。そういう方々が、せっかくノウハウを知っているのだから、もう一度会社で働きたいということで、全くこの仕組みを知らずに登録に来る。あるいは我々も途中で御案内をしていて、過去の職歴はそうだったのですね、残念ながらできないんですよ、ということでお断りをしなければいけない事例が少なからずあります。実際には禁止されていますからそれはできないわけです。どうしても事前にそういう方々に対しては、難しいということをお伝えせざるを得ないケースがあります。
したがって、自発的離職者も同じ事柄なのですけれども、特に有期・短期で、通常に終了・満了した方々については、これはいかがなものかなということがあります。これは一例です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○永井委員 はい。
 
○鎌田部会長 他にはいかがですか。正木委員どうぞ。
 
○正木委員 協会への加入率が3割ということに問題意識を持ちました。協会に加入している会社はコンプライアンス推進や派遣元責任者講習、派遣社員のキャリア形成支援などをやっていると思います。逆に言うと、あと7割は協会に全く入っていないのか、別の協会に入っているのかということになる。いずれにせよ、メンバーを増やす努力をしていただいて、講習などを受けてほしいというのが1つの意見です。
質問は、グループ企業内派遣8割規制についてです。ここでの書きぶりだと派遣元企業が所属するグループの範囲が、連結決算の範囲となっています。今日、中西委員とも話をしていたのですが、例えばフィンテックという分野だと、M&Aが頻繁に行われている。一方、派遣会社では、得意な職種・分野の人材がそれぞれの派遣会社にいて、フィンテック人材を派遣していたとする。そうすると、派遣先が別々だったはずが、業界の再編により派遣先同士が統合する。それで、あるとき両方とも派遣会社の親会社になってしまったということもあるのではないかと思うのです。これは想像なのですが、実際にそういうことがあるのか、そういう懸念があるのか、その辺の事情を教えてください。
 
○野村事務局長 御質問いただきましたグループ派遣に関する場合です。資本系の派遣元会社においては、御指摘にありましたように、資本を入れている親会社、それからグループ企業、加えてこの規定では連結ということになりますので、実際の支配関係がないが業務提携している先の企業みたいな所も含めて8割という話になっています。かつM&Aとか、業務提携という資本元の会社の営業戦略、事業戦略に関して、一事業会社である系列会社が事前に情報を入手することは非常に困難な状態です。ここが突然、ここと業務提携して連結に加えますとか、今までは8割に入らない、対象外の所に派遣していたにもかかわらずです。あるいは、M&Aということで、グループ内6割、7割だったものが急に8割を超えてきたというようなことも当然、起こり得ます。派遣元会社にとっては予見可能性のない事態があります。こういう場合に対して、8割をどうこうしてくれというお話ではなくて、そういう場合の法的な対応については十分御考慮を頂戴したいということを申し上げているわけです。
更に言えば、今も少し申し上げましたが、実際の支配関係にない連結対象の企業もあります。ここを規制の対象にするのかどうかは是非御検討いただきたいと考えております。もちろん連結の中でも、支配関係のある、いわゆる資本が入っているような場合は従来の考え方でよろしいかと思うのですが。以上です。
 
○鎌田部会長 追加でありますか。よろしいですか。
 
○正木委員 はい。
 
○鎌田部会長 他にありますか。木住野委員どうぞ。
 
○木住野委員 雇用安定措置についてお伺いします。資料の2枚目の先頭の所です。ここに、「派遣社員個々の志向に応じた支援」とあります。先ほど、個々の志向というのは千差万別だというお話もありましたが、具体的にどういう支援活動をされているのでしょうか。キャリア形成に関連して、処遇に反映される可能性のあるような研修や訓練が、受講する本人にも分かるような形で行われているような例があるのかどうかをお伺いします。
 
○大原理事 お答えします。雇用安定のところの御本人の意向・志向です。雇用安定措置の仕組みにある、ある業務が終了した後に、その同一派遣元で継続したいかどうか、まずそこの判断の希望があります。その上で引き続き新しい派遣先を紹介してもらいたい、あるいは、現在の派遣先に直接雇用してもらいたい。主として、この2つが主要な事柄になるだろうと理解しております。どういう派遣元で継続を希望するか、大半の方々がその2つのいずれかを選択することになります。
私どもは、雇用安定措置が始まる前に、相当程度、現在の派遣先に直接雇用されたいという希望が出てくるのではないかと思っていました。実は、直接雇用を希望する方は必ずしもそれほど多くはないという結果になっております。これは、私どもが年に1回、大規模なスタッフのアンケート調査を行っているのですが、そこでも同じような事柄があります。やはり派遣を続けたいという方々が、今はデータを持ち合わせていませんが、3割程度はいるのではないかと思っています。同一派遣元で続けたいか、続けたくないか。そもそも、そこがどうでしょうか、半数程度が同一で続けたいと。その中で新しい派遣先をという方々が3割程度いるのではないか。数字は、うろ覚えですが、そう思っています。
したがって、まずそれをベースに、我々としては希望に沿った形で対応を進めていくというのが基本であろうと思っています。ただ、いずれにしても雇用安定措置という仕組みの中では選択肢が限られておりますので、そういうことになろうかと思います。
ただ、御紹介する案件、業務内容によって必ずしも本人の希望に合致したものになるかどうか。もちろん、これは難しい側面があるのも事実です。ただ、今のところ私どもは現在の労働市場ということもあるのかもしれませんが、おおむね新しい派遣先、あるいは無期雇用になって同一派遣先で続くものも含めて、新たな派遣先の提供で、一定程度の対応は適正に取れていると理解しています。
キャリア形成の御質問がありました。現在は、4月1日から始まる同一労働同一賃金の準備に向けてもというところに重なる部分があります。従来、私どもの処遇の考え方は、職務給の世界であると認識しております。その仕事は時給幾らである、その仕事の業務量は幾らであるかによって給与が決まっているという仕組みが前提というように考えています。したがって、スキルを上げて、新しい業務にチャレンジしたい、ランクが上の仕事にチャレンジしたいという方々をサポートする形で、それが実現できた際には条件が、待遇や処遇が上がるということは当然あり得る話です。
したがって、職務給の世界と、本人の能力が上がっていく段階での処遇の改善を今後、更に精度を上げて実現していくかということは、先ほど言ったことは同一労働同一賃金という仕組みの中で、我々としてもまた新たにしっかり取り組んでいかなければならないと認識したところです。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○木住野委員 はい。
 
○鎌田部会長 他にありますか。小野委員どうぞ。
 
○小野委員 分かりやすい御説明をありがとうございました。1点確認です。一番最初のページで、企業で就業する派遣社員のシェアが35.8%、会員企業は56万人、派遣市場が約156万人ということで、日本人材派遣協会さんの持っている会員のやっている職種というか、派遣業界の中では事務系であったり、製造系であったり、技術系と、大まかに分かれていると思いますが、大体シェアのうち、今持っている会員企業はどういう感じですか。事務系がどのぐらい含まれるのかを教えてください。
 
○大原理事 おおむね稼働者の8割から9割が事務領域で就業されている方と認識しています。残りの10~20%といったものが営業、販売、製造、軽作業、ITといった領域ではないかと理解しています。お答えになったでしょうか。
 
○小野委員 はい。ほとんどが事務領域で働いている方で、会員企業も事務系の派遣企業が会員でいるということですね。
 
○大原理事 そうです。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○小野委員 はい、大丈夫です。
 
○鎌田部会長 他にありますか。私からちょっと細かい話なのですが、先ほど御回答いただいたのですが、事前キャンセルの話で、特に短期の日雇派遣についての事前キャンセルについてです。先ほど大原さんは、当日キャンセルについては一定の対応が必要である、常識の範囲内で対応すべきであるというような回答だったかと思います。考えてみると、こういう短期派遣については前日とか前々日も含めて、一応派遣先からの依頼があって、登録派遣労働者に依頼をして、そして決まった時点で派遣の労働契約というのは成立するのかと思っています。そうすると、これを内定とするのか、契約成立とするのか。就労開始はもちろん翌日の8時とか8時半から就労開始ということだと思います。
そうすると、派遣先からのキャンセル料の発生とは別に、派遣労働契約のキャンセルという問題について、どの時点からキャンセル料というものが発生するのか。あるいは一定の対応というのは休業手当というのか何か分かりませんが、一定の対応というものが必要になるのか。もし業界として何か見解があれば、なければ個人的な見解でも結構ですけれども教えていただけますか。
 
○大原理事 契約という事柄については、口頭でも契約は成立するという大前提と言いますか、そういうことがあります。少なからず私どもとしては本人と、書面のことはともかくとして、これこれこういう仕事でお仕事をどうですか、受けます、やりますという意思表示があった時点で、基本的には労働契約の形式はともかくとして、一定程度これはあるものだろうと認識しております。したがって、そこに対して、どのように履行責任を取るかという点については、先生も御指摘のとおり、その法的な根拠をどこに求めるかということもありますけれども、派遣元としては対応は必要だということを先ほど申し上げたつもりです。業務上のキャンセルフィーのことは副次的な話として御理解ください。
 
○野村事務局長 ですから、基本的には休業補償というのが原則の対応になっています。御指摘のような場合、オフィスワーク領域では、直前に依頼が入って、翌日すぐ就業というケースが主体というよりは、いついつに入力業務が発生するので、少し手前から依頼を頂けます。例えば、流通業の棚卸しの伝票整理の類といったように、計画的な発注を頂くケースもそれなりのシェアがあります。全てが明日何人みたいな話ではないものですから、きっちりとした手続が進んでいきます。
それから、大原がお話しましたように、そこで人数調整や、何らかの理由で日程が変わったというような場合に、新たなマッチングということになりますから、そこも丁寧な対応をさせていただくというのを原則として会員企業にお話をしていますし、実施していただいていると思っています。
 
○鎌田部会長 もう一点追加です。派遣期間制限の見直しについて、特にこれは個人単位の派遣期間の制限の見直しという御提言があったかと思います。これは御存じのように、常用代替防止との関係があります。確認したいのは、この見直しというのは、常用代替防止という原則に関わる話ではなくて、ニーズを捉えてこのように検討してみたらどうだというニュアンスでしょうか。そこのところを確認したいのです。
 
○大原理事 そのとおりです。常用代替ということではなく、本人の就労ニーズというところに視点を置いた意見を申し上げたというように考えています。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございました。松浦委員どうぞ。
 
○松浦委員 貴重なお話をありがとうございました。
1点御質問したいのは、2枚目の一番下の、個人属性に関する日雇派遣規制の在り方に関する「生計の主な収入が短期(日雇)就労に過度に依存していない場合なども例外属性として検討することが望まれる」というところです。これは、恐らく副業として日雇派遣に従事される場合などを想定されているのかもしれませんが、こういう例外属性を検討するとなると、具体的にどういう条件で対象を規定するのか、イメージを持っておられたら御教示いただきたいです。
 
○大原理事 先ほども申し上げたとおり、副業・兼業という昨今言われている事柄についてイメージしているのが、まず1つあります。それから、従来から扶養の範囲内で働きたいという方々も現に短期派遣ではなくていらっしゃいます。扶養の範囲というものも、技術的なこと、法的なことは私もよく分かりませんが、そういう方々に対する例外的な扱いはどうなのだろうということはイメージとして持っています。
 
○松浦委員 ということは、例えば本業を別に持っている方だとか、扶養の範囲での就労を希望している方が、例外属性の条件になり得るのではないかというご意見ですね。
 
○大原理事 そうです。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○松浦委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。長時間にわたり御説明、それから丁寧な御回答を頂きまして本当にありがとうございました。大原理事、野村事務局長におかれましては、お忙しいところ誠にありがとうございました。
 
(ヒアリング対象者退席)
 
○鎌田部会長 ヒアリングについてはここまでといたします。議事録の署名は森川委員、永井委員にお願いいたします。冒頭に申し上げましたとおり、傍聴の方々についてはここで御退席いただくようお願いいたします。
 
 (傍聴者退席)