第1回 審査支払機能の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和2年9月2日(水) 15:00~17:00

場所

全国都市会館 大ホール
(オンライン開催)

出席者

構成員(五十音順)

議題

  1. 1.審査支払機関の現状と課題について
  2. 2.審査支払機能の在り方に関する検討会における論点と今後の進め方について

議事

(議事録)

○姫野保険課長 それでは、ただいまから第1回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催いたします。
開会に当たりまして、保険局長の濵谷より一言御挨拶申し上げます。
○濵谷保険局長 保険局長の濵谷です。
初回から大変開会が遅れまして申し訳ございません。委員の皆様方には、御多忙の中、本検討会に御参加いただき、大変ありがとうございます。
急速な高齢化が進展する中で、患者本位の良質な医療を提供する観点から、診療報酬の迅速・適正な審査等を行う重要性がますます増してきております。これまでもそういった観点から着実に改革を進めてまいりました。
まず、社会保険診療報酬支払基金におきましては、平成29年に支払基金業務効率化・高度化計画を策定いたしまして、審査支払新システムの構築など種々の改革を進めてきております。また、国保連中央会におきましても同様に、国保審査業務充実・高度化基本計画を策定いたしまして、同様に審査支払システムの開発などの改革を着実に進めてきたところでございます。
また、昨年は、御案内のとおり、5月に社会保険診療報酬支払基金法等が改正されまして、支払基金の本部によるガバナンスの強化等が図られますとともに、支払基金と国保連中央会の関係といたしまして、有機的に連携して診療報酬の適正な請求に資する取組を行うよう努めなければならない。こういったことが法律上明記されました。
こうした法改正経緯なども踏まえまして、本検討会におきましては大きく2つの議題、1つは審査結果の不合理な差異の解消、2つ目はシステムの話を申し上げましたけれども、今開発中あるいは今後開発いたします支払基金と国保連合会中央会のシステムの整合的かつ効率的な在り方等について、基本的にはこの2つを主要な議題として御議論いただきたいと考えております。
基金、中央会の審査支払機能の在り方については、これまでも種々議論が重ねられてきておりますけれども、この検討会におきましても、忌憚のない御意見をいただければ幸いでございます。
簡単ではございますけれども、開会の挨拶とさせていただきます。
○姫野保険課長 ありがとうございました。
それでは、会議の御発言の手順などについて御説明したいと思います。本日、オンライン開催となっておりますので、会議中、御発言いただく際には、手を挙げていただきまして、画面の中で合図をしていただきますようお願いいたします。それを受けまして、座長から指名をし、マイクのミュートを解除して御発言をお願いしたいと思います。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくということで、いわゆる「異議なし」の確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事についてでございますが、お手元の議事次第にありますように、この後、「審査支払機関の現状と課題」、「検討会の論点と今後の進め方」の2つを議題とさせていただいと思ってございます。
本日の会議の構成員の皆様の御紹介につきましては、お手元の資料1の別紙、2ページ目でございますけれども、名簿をつけさせていただいております。本来であれば、お一人お一人を御紹介すべきところでございますが、時間の関係上、この名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。
なお、本日の出欠でございますが、黒田構成員、宮田構成員から御欠席の御連絡をいただいてございます。
また、髙橋構成員が御欠席のため、本日は代理として三浦様に御出席いただくこととしたいと思っておりますが、御異議ございませんでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○姫野保険課長 ありがとうございます。
次に、座長の選出に移ります。あらかじめ各構成員に御相談させていただいておりましたが、本会議の座長は、菊池構成員にお願いをしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○姫野保険課長 ありがとうございます。
それでは、菊池構成員に座長をお願いいたしたいと思います。
今後の議事運営につきましては、菊池座長にお願いをいたします。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ただいま御紹介にあずかりました菊池でございます。クリアに聞こえますでしょうか。ありがとうございます。
冒頭からハプニングが起きましたのですが、オンラインで便利になったのですけれども、こういうこともあるということで、気をつけなければと思った次第でございます。
私は、法学部で法律、社会保障法という分野を専攻しておりますが、必ずしも今回の審査支払機能に関する専門的知見を持ち合わせてございませんのですが、恐らく医療保険部会の委員を仰せつかっている関係で御指名いただいたと認識してございます。専門の皆様の御知見、忌憚ない御議論をいただけるように、せめてもの交通整理ぐらいはさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭に、まず、副座長を決めさせていただきたいと思います。副座長につきましては座長が指名するものとして、私としては、まさに専門分野でいらっしゃいます印南構成員にお願いしたいと存じます。印南構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○印南構成員 よろしくお願いします。
○菊池座長 それでは、議事に入りますので、カメラはここで御退室をお願いいたします。
まず、議題1と2が関連しますので、資料の説明をお願いするところなのですが、実は本日、佐藤主光構成員は次の御予定があると伺っておるのですが、もしお時間の関係がございましたら、事務局説明前にでも、冒頭御発言、御意見をお願いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
○佐藤(主)構成員 では、申し訳ありません。次の会議がもう少しで始まりそうなので、よろしいですか。
○菊池座長 お願いします。
○佐藤(主)構成員 よろしくお願いいたします。一橋大学の佐藤です。
私は、この支払基金の前の会議でも参加させていただいておりました。印南先生や大石座長も同様ですけれども、今は規制改革推進会議の委員を務めさせていただいております。
支払基金のほうには、その後いろいろ御尽力いただきまして、まさに支部の集約化や本部機能の強化、不合理な差異の解消に向けて様々な御尽力をいただいたこと、その努力には深く感謝申し上げます。私のほうから大きく3点だけ申し上げて、それで失礼させていただければと思います。
1点目なのですけれども、御案内のとおり、今回のコロナでもよく分かったのですが、我が国はやはりデジタル化に大きく後れを取っていると。デジタル化をどう進めていくかというのは医療にかかわらず、政府全体の大きな課題であります。デジタル化を進めるということに当たっては、これまでの業務の在り方を見直していくということが必須なのですね。私は自治体の仕事もしているものですから、自治体のデジタル化というときも、やはり業務の見直しを先にやらないといけないということはよく知られていることです。
そのときに、今回の支払基金に関して言うと、業務というのはまさに審査ということになるわけですので、各支部にこれまで、言葉を悪く言えばガラパゴス的におのおのが独立に発展してきたところもある審査のやり方をどこまで標準化できるかということ。つまり、差異の解消ができるかということ。これがやはりデジタル化を進めていく上では重要ですし、もちろん、もう一つの課題としてレセプト等のオンライン化というのもありますので、これはまさにエンド・ツー・エンドというのですけれども、入口から出口まで一貫したオンライン化を進めるに当たっても、やはり標準化、差異の解消というのは必須かなと思いますので、そこは一層御努力いただければと思います。
あと、やはり今、雇用がかなり流動化している中において、人によっては健康保険組合に入ったり、その後、独立して自営業あるいはフリーランスになりますと国民健康保険に入ったりと、保険の制度を渡り歩く人が増えていると思うのです。特にフリーランスという人たちがいますけれども、事実上、サラリーマン的ではあるのだけれども、契約ベースで働いている方々というのがいます。彼らは今は国民健康保険の対象者です。
自分の働いている業種によって、実は保険の扱い、つまり、どの診療がオーケーで、どの診療が駄目でという差異があるのは不公平でありますし、国民の納得はなかなか得られるものでもないので、ぜひこのあたりも国保と支払基金の間での審査基準の統一、システムの統一というのは進めていっていただければと思いますというのが簡単な挨拶です。
ただ、国保には国保の難しい問題があるというのは分かっておりまして、支払基金の場合は本部機能がありますので、本部に機能を集約化させるということも一つの標準化だと思うのですが、国保の場合は中央会がございますけれども、本部機能というのを持たせるのはなかなか難しいのかもしれませんので、やはりそこは自治体間の連携が必須かなと思います。そのあたりもまた議論させていただければと思います。
すみません。ちょっと長くなりましたけれども、この後、失礼しなければいけませんので、御挨拶をさせていただきました。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
お待たせする形になってしまって、お待ちいただいてありがとうございました。
それでは、戻りまして、事務局から資料説明をお願いしますが、今日はお尻の時間も決まっていますので、基本的な部分は必要であれば次回にでもやっていただくということにして、できれば5分程度に縮めて、資料3のほうを中心にやっていただいたほうがいいのかもしれません。よろしくお願いします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
それでは、資料1、2、3と3つございますけれども、時間も限られてございますので、かいつまんで御説明したいと思います。
資料1は、本検討会の開催要綱でございます。
趣旨は、ここに書いているとおりでございます。
検討事項は、冒頭に局長からの御挨拶にもございましたが、審査結果の不合理な差異の解消、支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方、こういった2つが主なテーマとして、その他もろもろの課題の検討をお願いしたいと思ってございます。
議事については、原則公開ということで進めさせていただきたいと思ってございます。
続きまして、資料2でございます。「審査支払機関の現状と課題について」ということで整理してございますが、目次にございますように、医療制度の概要、審査支払機関の概要、比較、そしてこれまでの改革の経緯と取組状況と4つになってございます。医療制度の概要のところは皆様御案内のとおりですので割愛をさせていただきますが、6ページ目から審査支払機関の概要というところで、今、佐藤先生からも少し言及いただきましたが、支払基金、国保連のそれぞれの位置づけを簡単に整理してございます。
6ページは支払基金でございますが、表の目的のところにございますように、診療報酬請求書の審査を行い、迅速かつ適切な支払いを行うことが目的とされておりまして、診療報酬の審査支払が主な業務となっておりまして、その他、支援金の徴収・交付などがございます。
一方で、8ページに国民健康保険団体連合会の概要がございます。こちらの目的にありますように、国保連につきましては、必ずしも審査支払だけではなくて、市町村国保、保険者が共同してその目的を達成するために必要な事業を行うことが目的となってございます。そのため、主な業務につきましても審査支払のほかに、かなり広く、その他にありますような保険者事務の共同事業、介護・障害の審査支払、保険事業関係業務、また、保険料の特別徴収、こういったものも行っている組織になってございます。
9ページがその詳細でございますが、次の10ページ、国民健康保険中央会ということで、先ほど佐藤先生のお話の中でも、国保につきましては本部機能がないということでございましたが、各都道府県に置かれました国保連合会を会員とする公益社団法人として国保中央会というものが存在してございます。そうした意味では全く別組織で存在しているということでございますが、各国保連が単独で行うと非効率な事業、あるいは都道府県域で収まらないような事業を全国単位で行うということで、こういった組織も置かれてございます。
これらを整理しましたのが11ページでございますが、市町村国保が保険者として各都道府県単位で国保連合会というものを設置してございます。そして、国保連合会が構成員となりまして、国保中央会というものを組織している。こういった関係性になっているという整理でございます。
次の13ページから、支払基金と国保連のそれぞれの業務内容の比較をしてございます。
13ページは根拠などを整理したものでございますが、14ページがレセプトの取扱件数ということで、10億強の取扱件数が両機関ともございます。
15ページは原審査の査定状況ということで、現時点では支払基金、国保連ともに査定率としては件数ベースで1%強、点数ベースでも0.25%強となってございます。
また、次の再審査の状況、これも支払基金と国保連それぞれの比較を掲載してございますので、御覧ください。
17ページからが経年の変化を示したものでございますが、レセプトの取扱件数につきましては、受診の回数が増えている、あるいは公費負担の様々な制度が増えている、そういったことも反映しまして増加傾向になってございます。
一方で18ページ、支払基金と国保連の職員数の推移でございます。平成16年から令和元年度まで比較してございますけれども、オンライン請求などの進捗もございますので、職員数については低下傾向ということでございます。
続きまして、これまでの改革の経緯と取組状況でございます。
20ページに概略を示してございますが、見直しの背景といたしまして、審査に要する費用は保険料で賄われておりますので、国民負担の軽減の観点から業務効率化を進めていくということでございます。また、不合理な審査結果の差異が存在するとの指摘もありますが、こういったものについては、医療を受ける国民の公平性の観点から解消を図っていくという、そういった2つの主な考え方から随時改革を進めてございます。
平成28年には規制改革実施計画の中で、主に支払基金でございますけれども、在り方に関する検討組織の設置ということが定められまして、29年にはデータヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者会議の検討会報告書をまとめてございます。この中で、審査業務の効率化、審査基準の統一化といったこともテーマになりましたし、また、ビッグデータの活用、いわゆるデータヘルス改革といった文脈での位置づけも検討されてございます。
こういった報告書を受けまして、支払基金におきまして、業務の効率化・高度化計画を29年7月に策定し、取組を進めてまいりましたし、その後、少し飛びますけれども、令和元年5月には支払基金法の改正ということで、本部のガバナンス機能強化、データ分析などの業務の追加、そういったものも対応しているところでございます。
また、昨年度末、令和2年3月には、こういった法改正も踏まえまして、支払基金の審査事務の集約化の計画工程表というものも公表をしてございます。
今年度におきましても、規制改革実施計画の中で支払基金の新システム導入に向けた対応、工程の提示、あるいは審査支払機能の在り方の検討、そういったものも課題として指摘されているところでございます。
次に、21ページからが支払基金におけるこれまでの主な取組状況ですが、これはまた次回以降にも支払基金のほうから御説明いただくことになるかと思いますので、少し簡単に触れていきますけれども、1つ柱としては、支払基金の審査新システムを構築していくということで、2021年9月にモジュール化をしたり、あるいはAIを活用した振り分け機能を実装したり、そういったことを目標として現在取り組んでいるところでございます。
2番目の審査業務の効率化の部分ですけれども、コンピューターチェックルールというものを医療機関にも公開し、さらに医療機関にも取り込みやすいような形で公開をしていく。そういった取組を進めることで、データヘルス分野での支払基金の役割を発揮していく。そんなことも進めているところでございます。
また、22ページでございますが、支部間差異の解消のためということで、支部ごとに設定されたチェックルールの廃止を進めてございます。2017年10月時点で約14万件あった支部ごとのルールにつきましては、2020年8月時点で1万5000件まで減少させてきておりますし、2021年9月の新システム稼働時には、基本的には本部チェックルールに取り込むか、あるいは廃止をするという方向性で現在進めていただいてございます。その他、本部審査の拡大ですとか審査基準の統一、そういったものも進めていただいているところでございます。
次の23ページでございますけれども、組織の在り方の見直しということで、支払基金法の改正に基づいて、現在、審査事務センターというものは47都道府県ごとに支部がございますけれども、2022年10月に全国14か所の審査事務センター等へ集約するという計画を発表していただいてございます。
5番目につきましては、審査支払機関の効率的な在り方ということで、これは支払基金、国保連合会、両者の審査基準の統一に向けた取組も2019年9月から、こちらは厚生労働省が主催して連絡会を開催してきている。そういった取組を記させていただいております。
24ページは、先ほども触れました支払基金法の改正の概要でございますので、御覧いただければと思います。
少しページが飛びますけれども、27ページが昨年度末、3月に支払基金のほうから公表いたしました審査事務集約化計画工程表の概要でございます。全国14か所程度の審査事務センター等に集約するということで、具体的には29ページに地図を貼り付けておりますけれども、こういったブロック単位での事務センターに集約をするということでございます。
30ページからが、今、申し上げましたような様々な取組を時系列で工程表的に並べたものでございますので、基本は割愛しますけれども、その中でも30ページの下のほうに丸8から丸11ということで、例えば在宅審査の検討ですとか、レセプト請求の電子化のさらなる推進。そういったことについては、もう少し検討を進めなければならない課題として残っていると認識してございます。
ページが飛びまして、33ページでございますが、国保につきましても同様に、平成29年に業務充実・高度化基本計画というものを出してございます。この中でも、審査支払システムの開発につきまして、この当時、平成で書いておりますが、36年度の次期刷新時において整合的かつ効率的な機能の実現に努力をすると、そういった方向性を示しているところでございます。
一方で、34ページが国保連合会のシステムの概要でございます。こちらは左上にオンライン請求システムというボックスがありまして、その右側に審査支払系システムというものがございます。ここがいわゆる審査支払に直接関係する部分でございますが、それ以外に下側あるいは右側に、保険者共同処理系システムといったもので、保険者業務を共同実施するためのシステムも国保連合会については実装しているということでございまして、赤い線で囲った審査支払系システムについて、支払基金との整合性を図っていく一方で、保険者共同処理系システムをどう対応していくのか。そういったことが一つ課題としてあるという認識でございます。
35ページ以下は参考資料ですので、随時御覧いただければと思います。
そして、資料3が論点、今後の進め方ということでございます。
論点は、冒頭、開催要綱の中でも書いておりますように、1つ目が審査結果の不合理な差異の解消ということで、様々な取組をしておりますけれども、審査の業務フローとしてどういう全体像を描いていくのかというところが一つの論点になろうかと思います。また、新しい2021年9月からの支払基金の新システムの中では、差異を自動的にレポーティングするような機能も実装しようとしてございますけれども、その具体的な内容についてもどのようにするのかということが一つ論点かと考えてございます。
2つ目が、支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方ということでございますが、支払基金での新システムの内容も踏まえながら、今後、国保連のシステムについてもどのように取り組んでいくのかと、そういった方向性について御議論いただけるとありがたいと思ってございます。
また、丸3でその他とございますけれども、先ほども少し触れました在宅審査の在り方でございますとか、レセプトのさらなるオンライン化の推進、そういったものも課題とさせていただきたいと思ってございます。
今後の進め方でございますが、第1回目、本日でございますけれども、現状と課題についてディスカッションいただければと思いますが、2回目以降、今挙げました論点の丸1から丸3につきまして、まず、支払基金からその取組状況などをヒアリングした上で、また、国保中央会からも主に審査結果の不合理な差異の解消、こういったことに焦点を当ててプレゼンいただき、1個目の論点についての討議をスタートさせていただき、その中では、現場で実際に審査に当たっていただいております審査委員長からのヒアリング、そういったものも交えながら、各論点について2巡目、3巡目といった議論をし、6回目ぐらいをめどに取りまとめに向けた議論をさせていただけるとありがたいなと考えているところでございます。
少し長くなって申し訳ありませんが、説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
本日は、第1回目ですので、キックオフといいますか、各構成員の皆様から自己紹介も兼ねて、資料3でお示しいただいた論点を中心に、皆様から忌憚のない御意見を頂戴できればと思っております。
私、PCを閉じてしまって、皆様のお名前も目が悪いもので読めませんので、恐れ入りますが、五十音順で御発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、印南構成員、お願いできますでしょうか。
○印南構成員 慶應義塾大学総合政策学部の印南でございます。佐藤構成員から紹介があったとおり、規制改革推進会議のメンバーでもありまして、この問題はそちらでも扱っております。
これは事務局に対する要望みたいなものですが、論点の第1に不合理な差異の解消と挙がっていて、これ自体が大きな扱いを受けているようなのですけれども、率直に言って、私、この不合理な差異の解消という言葉が一体どこまでぎりぎりやるつもりなのかをお聞きしたいのです。というのは、不合理だというからには合理的な差異もあると考えていいのか。
それから、大きく言えば、解消というのはゼロにすることなのでしょうか。私は直感的にはゼロは結構厳しいのではないかと思ったりしますし、なので、不合理と合理の差で、関連する質問が幾つかあって、この部分で、次回からきっと検討されるのでしょうけれども、我々構成員が不合理な差異に関する共通のイメージが持てるように、その不合理な差異の具体例みたいなものですね。これは公開にふさわしくないということであれば、会議場限りの資料でいいのですが、それをまず示してほしいと。
その際、不合理だと判定する基準は何ですかと。これはさっき言ったように、合理と不合理の間の線引きの話だと思うのです。それに何か限界事例みたいなものが現実にあるのかというのが次です。
それから、私はよく知らないのですが、仮に支払基金の間で、例えば同じデータを違う支部で審査してみて差が出た。そのような一種の社会実験みたいなことはやった上で不合理な差と認定しているのかどうかとか、それから、支部間の差に注目していますが、佐藤構成員も言っていたように、社保、国保の間にも似たような不合理な差があるのか。
それから、どうもルールを統一すれば不合理な差は解消されたように議論が進むように私には見えたのですが、ルールが同一でも、人間が介在したり、ちょっとした差異で結果に差が出ることはあるかもしれないと私は思っています。そうすると最初の問題ですね。不合理な差異を解消、ゼロにするという、どこまでぎりぎりやるかという話と関連するのですけれども、それはどこまでスコープに入れているのでしょうかと。
今言ったことの全部を検討するのかどうか、私にはよく分かりませんが、少なくとも2回目以降、具体的に考える具体例で、構成員の間で不合理な差とは何かというイメージをしっかり共有したほうがいいのではないかと思います。
だらだら言いましたけれども、以上です。どうもありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
どうしますかね。御要望と御質問もあったかと思うのですが、お一方ずつ答えられますか。簡単に。
○姫野保険課長 保険課長でございます。
今、御要望と御指摘もいただきましたので、簡単に触れさせてきますけれども、審査結果の不合理な差異について具体的なイメージを持ちながら議論できるようにという御要望でございますけれども、次回以降、そういったイメージを持っていただけるような資料を事務局としても用意して、御議論に供したいと思ってございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
まずは一巡させていただいて、追加で皆様から御質問等ございましたら、時間のある範囲内でお受けしたいと思います。
続きまして、大石構成員、お願いいたします。
○大石構成員 大石でございます。よろしくお願いします。御紹介いただきましたとおり、私は規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループの座長を務めております。という関係で、去年もこの支払基金の課題を扱わせていただきました。本業は、メディヴァという医療機関だとか介護施設に対するコンサルティングを行っている会社の創業社長でございます。
私が気になることは2つございまして、先ほどの論点にもありましたとおり、規制改革推進会議から出ている在宅審査の話ですね。これは結構、今後どういうふうに進めていくのかということをクリアにしていきたいなと思っていて、そのときには一般的に、去年議論をしたときには、やはり審査する先生方だとかの利便性を高めるため、それによって、よりいい審査される方を確保するためという、そのような観点から結構議論が出たのですが、その後、コロナがこんなに蔓延して、多分働き方だとかが抜本的に変わっているのだと思うのです。ですから、来られない人が来ないのではなくて、そもそも物理的な場所はどういうふうに考えるのか。これはお医者さんたちだけではなくて、審査を担当されている事務の方なども含めて、ウィズコロナ、アフターコロナの新しい時代の働き方、もしくは社会的な運営の中でどうあるべきなのかということも含めて御検討いただけるとありがたいなと思っています。
その中で出てくる課題として、これは2つ目の話にもつながるのですけれども、やはりシステムをどう使うのか。それが最も効率的で効果的な最先端なものをきちんと使えているだろうかということも大事で、モジュール化等の設計の仕方だけではなくて、その中でそれぞれどういうふうにしてつくっていくのかであるとか、当然、個人情報等の機微なデータを扱いますし、また、そのデータを二次利用していきたいというニーズもあるので、そこで過度におそれることなく、でも、ちゃんと使えるようなものがデータとして吐き出されるような形でシステムが組まれているかなど、そういう観点も含めて、システムのところはちゃんと精査していきたいなと思っています。
今日はたまたま御欠席になられている宮田先生、黒田先生が多分そこら辺の御専門だと思いますので、次回以降、先生方にも入っていただく中で議論ができるといいと思いますし、そこら辺に焦点を当てた事務局様からの御説明などもいただけるとありがたいと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございました。
御意見、それから課題の提示ということで承りたいと思います。
それでは、岡﨑構成員、お願いいたします。
○岡崎構成員 全国市長会から参加しております、高知市長の岡﨑です。国保中央会の役員でもありますので、少し現況の課題と今後の取組の方向性についてお話ししたいと思います。
多分、全国市長会のシステムも、先ほど事務局から少し御報告がございました。資料2の34ページに、国保中央会というのは、全国の都道府県にあります、いわゆる各都道府県の国保連合会を、全体、中央会のシステムが取りまとめておりますので、今、画面に出していただいた国保連合会のシステムですが、審査支払の中でいかにして効率的な、共用できるようなシステムを構築していくかというのが本会の議論になっています。
国保中央会、国保連合会のシステムですが、各都道府県とつながると同時に、国保の被保険者は、例えば東京に行ったとき、東京で病気になれば、東京の医療機関にかかりますので、全国決済等の処理も行っております。
課題は、これから次回以降の課題になりますけれども、審査支払のシステムが、先ほど佐藤先生がおっしゃったとおり、佐藤先生はエンド・ツー・エンドと表現されましたけれども、様々な分野のシステムとインターフェースファイルでもつながっておりますし、それぞれのシステムが関連してつながっているので、全体にも関わってくる課題でもあるということになっています。
この中の真ん中の吹き出しにあるように、審査支払を含めて現行のシステムは令和6年度、2024年度に公開ということで、今、様々なその手順に入ってきております。相当大きいシステムなので、4~5年は当然かかるシステムなので、いろいろな手順が入っていますが、2024年度に全体の現行システムを改築していく、構築し直していくということですので、このタイミングでどこまで支払基金のレベルと合わせていけるかというところが課題になっています。
もう一点、先ほど少し大石さんからも出ましたが、やはりコストです。国保中央会の場合はもちろん審査支払の手数料は頂いていますけれども、潤沢に資金があるわけではないので、最終的にシステムの開発経費というのは各都道府県の連合会に御負担を願わなければいけない。各都道府県はそれぞれの市町村国保で構成されていますので、最終的には各市町村の負担ということになるので、やはりコストということが一つの課題になります。ここのコストがあまりに高過ぎると、最終的には各市町村の負担になるので、ちょっと無理だねということになりかねないので、このあたりのバランスをどう取っていくかというのが多分、そのことを含めて全体を見ていかなければいけないというのが私たちの立場ですので、議論の中でもそこはずっとつながっていくと思いますけれども、また今後ともよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 健保連の河本でございます。よろしくお願いします。
私どもは、支払基金に審査支払を委託しているユーザーの立場でございますけれども、今日は日頃のいろいろな思いも含めて、若干お時間をいただいて、意見を申し上げさせていただきたいと思います。
先ほど来出ております審査結果の不合理な差異の解消というのがございますけれども、これは私どもが従来から強くお願いをしてきたお話でありますし、現在進められている支払基金改革の重要なテーマであると考えております。従来、支払基金47支部、国保連も都道府県で47あるわけで、その審査ルールがそれぞれ微妙に違っていて、それこそ日本には審査ルールが94通りあるのかと、そんな陰口をたたかれてきた経緯がございます。
先ほど印南構成員が社会実験云々というお話をされましたけれども、数年前のお話ですが、ある県の支部で審査しているレセプトを隣の県の審査委員会で審査をしてみたケースがあったと聞いておりますが、結構差異が出たというようなお話も聞いたことがございます。
その意味では、支払基金、国保連とも、今回のシステム刷新を契機に不合理な差異の解消に向けての取組を進めていただきたいと考えておりますけれども、そのためには支部間あるいは国保連間の情報公開、見える化の徹底と審査基準の統一化ですね。不合理な差異解消へ向けてのプロセス、目標とか方法、あるいは工程とか、そういったものを明示していただくというのが特に重要かなと考えています。その上で、審査を委託している保険者の意見を聞きながら、協議をしながら進めていくことが重要だなと思います。
論点の例に自動レポーティング機能の内容という記載がございます。これは今回、支払基金のシステム刷新の目玉として挙げられております。ただ、まだ我々保険者は、その中身をよく伺えておりません。どんなものを対象にレポートして、どのようにそれを集積、分析して、どのように差異解消を進めるのかということを、次回、支払基金からのヒアリングもあると伺っておりますけれども、現在の進捗状況と具体的な事例を用いた説明をお願いしたい。イメージアップできるような説明をお願いしたいと思っております。
私ども保険者は、従来からレセプトの二次点検などということもやって、内容を精査して再審査請求を行っております。基準を統一化するといっても、少なくとも審査結果の中身の具体的な検討なしに、支部ごとの審査結果の多数決みたいな形で一方的に決められるものではないと考えております。このレポーティングの状況を保険者に情報公開し、保険者と協議をしながら、審査基準の統一化に向けての取扱いを検討することが必要かなと思います。
不合理な差異の解消とは少し話がずれてしまいますけれども、資料2の15ページから18ページ辺りを見ますと、支払基金の職員1人当たりのレセの処理件数が国保連に比較して2~3割程度低いようにも見えます。これだけで断定的なことは申し上げられませんけれども、そういうふうにも見えます。どういう理由かは定かではございませんけれども、今後のシステム刷新においては、先ほどどなたかもおっしゃっていましたが、効率的・効果的な業務フローを想定して、それに合わせてシステム開発するということが非常に重要かなと考えております。そういう意味では、効果的・効率的な審査業務体制・フローの整備と一体的に進めるべき話だと思います。
それから、システム開発に当たって、支払基金のシステム刷新、先ほども御説明ございましたけれども、来年9月のリリース予定ですが、内閣官房の主導の下に設計をされて、保険者が約230億円を超える費用を拠出して進められております。社会インフラの整備として、同様のシステムを同様の費用をかけて全く別個に開発するというのは、納税者の目線から見ても当然疑問ということになりますので、国保連と支払基金で組織の性格とか業務内容の相違、それは当然あるのですけれども、極力重複を避けて、先に開発される支払基金の新システムをできるだけ活用することが望ましいのだろうなと考えております。
若干蛇足ですけれども、その際には被用者保険が捻出した開発費用の還元というのも考えていただけたらありがたいなみたいなことは思っております。
それから、若干議題から外れますけれども、効果的・効率的な審査支払を行うためにはシステム刷新以外の取組も必要だと思っておりまして、紙レセプトの削減です。これは重要な課題だと思います。最近、デジタル化とか、あるいは対面を避けるとか、書面を避けるという話が相当出てきておりますけれども、健保組合からの再審査請求のオンライン化について、健保連も説明会などを開催して取り組んでおりますけれども、保険医療機関からの紙レセプトによる請求、あるいは返戻、再請求です。これも減らしていかないと、ペーパーレス、デジタル化ということが進まない。その辺については国としても取り組んででいただきたいなと考えております。
若干長くなりましたけれども、日頃思っていることを申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、佐藤好美構成員、お願いいたします。
○佐藤(好)構成員 産経新聞社の佐藤好美です。よろしくお願いします。
私は長らく医療の取材をしてきておりまして、この間には、被用者保険に入っていて、この地域からあの地域へ移動したら今までと同じ治療が受けられなくなったとか、被用者保険に入っていて、この医療を受けていたら何となく受けられなくなって、「国保にしたら」と言われたとか、そういう話を聞きます。ちょっと前の話です。やはりそういうことがありますと、制度に対する信頼性を損ねますので、地域間の差異ですとか保険者による差異というのは、基本的には収れんする方向に持っていっていただきたいと思っています。
この間の審査支払機関での御努力で、大分それが解消されてきていると承知しています。それが、不公平だからなくす、ということではなく、それぞれのルールに恐らくエビデンスがあると思いますので、それを突き合わせて、患者に対して一定程度標準的な医療に収れんされるところに持っていく。それは質の高い標準的な医療をどの保険に入っていても提供するということだと思っています。
具体的なことを2つほど申し上げようと思っています。1つは、現状、レセプトの時系列でのチェックというのはされているかと思うのですが、横断的なチェックはされていないと承知しています。薬剤のチェックについては、いずれ電子処方箋が導入されて重複処方が回避できるようになると聞いており、大変すばらしいことだと思っております。そのような横断的なチェックを、いずれすることも視野にシステムが組まれるといいなと思っています。それは何かというと、患者に対して質の高い標準的な医療を提供するということだと思っています。
もう一つは、「その他」の「レセプトのさらなるオンライン化の推進」についてです。やはりこれから先、蓄積されたデータがレセプトを見ていく上で重要な鍵になると思います。ですが、訪問看護のレセプトが現状、紙のままになっております。特に訪問看護は診療報酬と介護報酬で提供されるサービスがありますので、そこは早くオンライン化していただくことが必要だと思います。
また、歯科についても長らく紙ベースだと言われておりますけれども、そこが紙ベースだと口腔ケアが把握できませんので、在宅の報酬等が把握できないということになると思います。そのあたりをきちとオンライン化していただくことが大事だと思います。
元に戻りますけれども、審査支払の機能は、審査減点をゴールとするのではなくて、患者がおおむね標準的だと考えられる範囲の医療を受けられることのために、そのツールを使っていただきたい。もちろん患者はみんなそれぞれ違いますし、画一的な仕組みをつくるべきではないと思っていますけれども、皆保険ですので、おおむねこの標準的な範囲に収まるというものができるといいと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございました。
かなり具体的な御指摘がほかの構成員からもございますけれども、今日は第1回目ですが、言いっ放しではなく、これはしっかり事務局としてお受け止めいただいて、何らかの形でお答えいただくという、この会議の間にそういったお願いをしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、髙橋構成員の代理の三浦様、お願いいたします。
○三浦参考人 協会けんぽの三浦でございます。本日、髙橋の代理で出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
協会けんぽは、全国加入者約4000万人の方の医療給付費をお支払いしているわけなのですが、元年度ベースの決算で、それ以外に約3兆6000万の高齢者医療への支援金等という形で拠出しておりまして、この負担がかなり協会けんぽの財政上の大きな負担となっているという状況でございます。
支払基金の改革につきましては、我々はコンピューターによる審査や支部組織の一極化など、実際に支払基金がどういった改革をしているかというのを日々やりとりさせていただいたり、支部・本部も直接やりとりしていますので、具体的にどういった対応が進められているかということは、今承知しているところで、それが実際にどうなっていくかを見ていくところなのです。一方で、国保連等の改革については、全体的な計画というところで承知しておりますけれども、今のところ、具体的な内容は正直いってよく分からないというのが実際の状況としてあります。
協会けんぽとしては、約4兆円の医療費を負担しているという保険者の立場として、支払基金の改革のみならず、国保連の審査の差異、先ほど他の方からもありましたけれども、同じ地域の病院で、支払基金だから、国保連だからといって結果が違うというのは当然変な話ですから、そういった差異の見える化であるとか、コンピューターの活用も含めた効率的な審査体制をどうしていくのかというようなところ。専門の先生方の御意見をお聞かせいただきながら、国保等における審査の業務効率化といったものについて本検討会でしっかりと議論し、方針を出していきたいと考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、林構成員、お願いいたします。
○林構成員 日本歯科医師会常務理事の林でございます。
サマリー的な意見になりますけれども、集約化計画の目的には審査業務の効率化、高度化と審査結果の不合理な差異解消が掲げられております。既に不合理な差異解消に向けましては、コンピューターチェックの拡大やASPサービスの拡充が検討され、また、支部集約が推進されてございます。
審査支払業務を潤滑に運営するには、審査委員と職員の連携が重要でございます。また、かつ、臨床現場を熟知した幅を持った医学的判断がなされることが基盤と理解しております。AIを使いましたコンピューターチェックにより審査を9割方完結させるとのことでございますが、あくまで審査委員による審査の必要性の前さばき的なものといった理解でおります。この数字が財政中心議論で独り歩きしないよう、注視していただきたく思っております。
国保連との審査差異解消に関しましては、当然のことと理解しておりますが、各国保連と中央会のつながりや基金とのシステム共有の財政問題などが今後の課題だと考えております。効率のよいシステム構築を望んでおります。
いずれにいたしましても、システム構築費用もかなりの額になり、人員削減も含め、失敗は許されるものではないと考えております。業務の効率化、高度化に関しましては取り組まなければならないものでございますが、結論ありきでなく、審査現場の声をしっかりと聞き、問題点を共有して、ソフトランディングすべきと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、平川構成員、お願いいたします。
○平川構成員 初めまして。日本精神科病院協会副会長の平川と申します。私は、四病協の病院代表として参加させていただくことになります。よろしくお願いいたします。
松本先生より先にお話しするのは緊張があるのですけれども、まず、今回の審査支払機能の在り方に関する検討会という意味合いが、私どもはよく分からなかったのです。厚生局の指導監査というのがありまして、その判断がぶれることがあって、協会の中でも問題になることが多いのですが、この審査結果の不合理というのは、結局、社保と国保と我々精神科は生保もあるのですけれども、それぞれが別の仕組みを持って審査をしているという意味なのだということは、今分かったと言うと変ですけれども、これは全く、私は現場といいますか、平場の感覚としては寝耳に水に近いもので、これは国としてきちんとシステムを一つつくっていただいて、それを支払基金なり国保連合会などが使うわけにはいかないのかなと、普通に思いました。
これは今までの歴史で法律も別の中でそれぞれがやっていて、システムも予算も別々ということでやられているからだと思うのですが、ここはそれぞれにつくっても全く無駄ですので、少なくとも請求に対する審査については統一をしていただきたいと私は思いました。
先ほど印南先生がおっしゃっていましたが、実際にどんな具体例があるのかということもぜひ教えていただいて、実際に統一してしまったら問題が出そうなものは、統一というと大体、厳しい話と緩い話で、厳しいほうにどんどん合わせてしまいますが、緩いほうにどんどん合わすことで全体をまとめて、それから考え直すというような議論の進め方をしていけば何とかまとまるのではないかと思いますので、私はできれば生保も含めて3つの形が一つになるようにやっていただきたいと思っているところです。今後ともよろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 日本医師会常任理事の松本でございます。
今日は第1回目ということでございますので、各構成員の方々の御意見を拝聴して、総論的な考えとして述べさせていただきたいと思います。
医療機関からレセプトが請求された審査支払機関では、療養担当規則などに基づいて保険診療がなされているかどうか、そして、患者の年齢や性別、病態、合併症等の個別性を踏まえた医学的判断の下で行われているか等を十分考慮して、地域で臨床を行う第一線の医師である審査員による医学的、専門的見地から、極力中立公正な立場で医学的、総合的に審査を行っております。
私も、個人的にも地元で国保連合の審査委員もしておりますけれども、審査支払機関では毎月延べ約1億6000万件、うち基金が8000万、国保が3700万、後期高齢者が4300万と言われていますけれども、このように非常に多くのレセプトを取り扱っております。これほど多くの患者さんに対する医療の医学的かつ保険診療としての妥当性を客観的に判断するという大きな責任を担っている支払基金や国保連は、我が国が世界に誇るべき国民皆保険制度を下支えする、なくてはならない重要な存在であると思っています。
支払基金で行われている改革についてはしっかりと検証して、行き過ぎであれば軌道修正すべきものであり、単純に全てほかにも当てはめるということは、早計ではないかと思います。また、被用者保険は現役世代が大半を占めており、国民健康保険は退職者などの受入れを行うという被保険者の年齢構成や、自営業者が多いといった違いから、疾病構造などにもそれぞれの特性があります。成り立ちやシステムも違うというのは先ほど来説明がありましたが、そのとおりであると思います。
現在、我が国は世界一の超高齢社会を乗り切るために、地域包括ケアシステムを進めている状況にあります。また、今般の新型コロナウイルス感染症についても、これをしっかりと関係者が協力をして乗り切らなければなりません。そのような中で、審査委員の先生方や職員のモチベーションが低下して、結果的に国民皆保険制度を支えている審査に不具合が生じては元も子もないと思っています。
本日は、厚生労働省事務局から資料2で審査支払機関の現状と課題についての説明があり、その上で、資料3「検討会の論点と今後の進め方について」にある3つの論点について、今後検討していきたい旨の提言がなされたものと理解いたしております。
この方向性については、日本医師会としては賛成しておりますけれども、本日は、例えば印南先生からも丸1について、不合理な差異の解消というのはどう捉えたらいいのか。それもどこまでぎりぎりやるのかというお話をいただきましたし、私もそのとおりだと思っております。また、佐藤構成員からは、国保と社保の違いで国民が非常に戸惑う面もあるということがありましたので、この辺もどの程度具体的なことなのか、教えていただきたいと思っております。そういった具体例を示していただきながら、また検討していきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
多くの先生からもう発言があったので、何を話そうかと考えていたのですけれども、少し自己紹介しながら、論点に従って思うことをお話ししてみたいと思います。
私は薬剤師なのですけれども、薬科大学を卒業して、東京の薬局に入りました。その薬局で最初にお世話になったのは組合健保になります。何年か働いた後に地元に戻って自分で薬局を開局したのですけれども、そのときは国保にお世話になりました。何年かして従業員が5人になりましたので、今は協会けんぽにお世話になっています。
佐藤構成員からもあったと思うのですけれども、私も社保、国保、社保と来ていますけれども、仮に同じ病気で同じような状態のときに社保から国保になって治療が認められないとなると、確かにこれは不合理な差異だと思います。ただ、人によって、また状態によっては、差異が出ることはあるのではないかと思います。
今日の資料2の14ページを御覧いただければと思います。よく社保と国保で審査に差があるいう話を聞きます。14ページにレセプトの取扱件数が出ていますけれども、基金が年間11.2億件、国保が年間10.2億件ということで、国保が約1億件少ないのですが、支払金額は約倍となっています。社保と国保の差異というものを考えると、そもそも加入者の年齢構成を含めて状況が異なります。そうしたことから、国保と社保で差異が生じることがあるのではないかと思います。
もう一点、論点丸3の在宅審査の在り方なのですけれども、在宅で審査を行う、審査をできるメリットは確かにあるのではないかと思います。自宅でできる、私で言えば薬局で審査をできるので審査会場まで行かなくていいということもそうですし、今の時期ですと密にならないというのもある意味ではメリットかもしれない。
ただ、一方、懸念する点としては、自宅であれ、薬局であるにしても、人に見られない環境をきちんと整備できるのかという問題。それから、通信回線のセキュリティーをどう担保するのか。専用のパソコンを含めて、そのほかのセキュリティーをどうするのか。様々な課題があるのではないかと思います。
また、審査時なのですけれども、事務局との打合せ、相談をしながら審査を行いますし、薬剤師の審査委員だけではなくて、医科、歯科の審査委員の先生に相談することも少なくありません。そうしたことを踏まえた上で、在宅審査の在り方をどうしていくのかということを慎重に検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
続きまして、横尾構成員、お願いいたします。
○横尾構成員 こんにちは。お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。佐賀県多久市の市長をしています横尾俊彦といいます。市長をしながらですけれども、全国後期高齢者医療広域連合協議会の会長を仰せつかっていますので、首長の立場と両方の立場から御意見を申し上げたいと思います。今日は1回目で、概要、考え方ということですので、以下のようなことを常日頃考えています。
まず1つ思っているのは、やはり今の時代が提供できる技術があります。可能性を開いていく科学技術があります。これらを活用していくのが基本だと思っています。そういった意味で考えると、今までのいろいろな改革議論があるのですけれども、20世紀型で終始しなくて、やはりあるべき姿、21世紀型と言うと大げさですけれども、そういった発想を常に持つべきだとかねて思っています。
もう一つは、最近ようやく総理官邸から発信が始まってきたデジタル社会に関するデジタルガバナンスのことです。これはどんどん進めていくべきだと基本的に思っています。コストも安くできますし、迅速になりますし、公平・公正になります。災害時の緊急時の対応を含め、いろいろな意味でのメリットは大きいと思っています。世界的に見ると日本ではこの分野が大変後れていることが今回のコロナ禍で非常に分かったと、ほかの先生からの御意見もありました。全く同感です。そういった意味で3点ほど意見を申し上げたいと思います。
1つは、エンドユーザーであります一般の方から見ると、支払基金も国保中央会も、ともにチェック機能を行う機関として、要は同じ仕事をしているようにしか見えないと思うのです。医療機関で出されるレセプトに基づいて審査が行われて、御本人の負担と保険の給付が行われるという形になっているのです。世界的な視点から見ると、何で2つもあるのという目でどうしても見られています。そういう意味からすると、これは統合とか統一、協業化とかそういったことをもっと積極的に考えるべきと思われるわけです。そういう意味では、規制改革会議が出されて、閣議決定をされた「ゼロベースで見直す」というのは本当に基本的に大事だと強く思っているところです。そういったことによって改革ができるのではないかなと改めて感じるところです。
そこで、老婆心ながらひょっとしたら次のような心配もあるのではないかとも考えられます。すなわち、統合化によってコストが浮きます。時間も浮くかもしれません。ということになるとマンパワーにも浮きが出るかもしれません。というようなことになっていく。そうするとよくありがちな議論としては、「自分が失業してしまうのではないか」という御心配を審査機関関係の皆さんは持たれるのではないかとも思われる訳です。こうなると心配も尽きないことになり、真にあるべき姿を探求することや改革改善の議論にならなくなりがちです。けれども、そういうマイナス思考の議論ではなくて、そこで時間ができる、そこでマンパワーが生まれる、ならばこれらは、新しい医療サービス、ヘルスケアサービス、新しい日本の人生100年時代を支える行政とか法的サービスを担う、そういった形に展開できれば、みんながハッピーになるウィン・ウィン関係になるのではないかと考えるべきだと思います。聖域として過剰に恐れることなく、本来のあるべき姿はどうあるべきなのかということをゼロベースで考えながら、この審査支払機構に関する議論もすべきではないかなと感じているのが1点目です。
2つ目は、オールジャパンで見てみますと各都道府県に支部がそれぞれあります。国保もそうです。そして、29ページにあると思うのですけれども、ブロック単位の審査サービスセンターみたいなものがあるのですね。これは考えてみると、多分、一日に自家自動車で往復できるような距離でのブロック単位。かつて各省庁がブロック単位の行政を考えるときに考えられたブロックとほぼ一致しているのですね。これは多分、人間の移動距離や利便性、機動性の関係によるものだと思います。
ところが、一般の民間会社で考えていきますと、保険会社の場合なんかはオールジャパンで迅速なサービスを的確にやっていらっしゃるわけです。これはICTやAIや様々な技術が出されています。そういった発想でやっていかないといけないのではないかなというのが時代の要請だと思うのです。そうすると、各都道府県別にもちろんサポートしてくださる人がいらっしゃるセンターがあるのはありがたいし、こういったいろいろなケアをしてくださるセンターがあるのも大事なことだと思うのですが、より合理的で、言うならば生産性の高い公的サービスを提供できるような発想で物事を考えなければいけないのではないだろうかということを思うのです。
さらに、この現状を海外の人と意見交換してみました。すると、今はかなり改善されたのですけれども、各都道府県別の機関ごとにカスタマイズされたものがたくさんあって、先ほども報告がありましたけれども、そういったことをどんどん減らしていって、基本の標準化、標準パターンをつくり、それをベースにあとはオプションでつけるという発想ならいいのですが、そもそもカスタマイズしている限りは永遠にコストがかかっていってしまうし、統合的なデータの収集とかも困難になりますので、各都道府県別にあること、あるいはブロック別にあることの意義は何なのか、あるいは、それをよりよく発展するにはどのような在り方がいいのかということを考えなければいけないと思います。
そういう意味では、オペレーションに関するシステムソフトをどうするかということや、仕事のやり方、先ほど業務の見直しが必要だという御意見も冒頭にありましたが、まさにそういった視点で、単純なカスタマイズではなくて標準をベースとしてやる。そうすると、その標準パターンは常に毎年バージョンアップしていくような努力をしていく。そういったことでコストをかけず、スピードを上げてより正確で、より新しいサービスにも対応できる、そんな体制に変えていくのがとても大切だろうと思っています。
例えば、先ほど薬剤師さんからの御発言がありましたが、実際に海外に行って見てみましたけれども、海外のある国の例は、窓口で多剤使用とか重複薬剤を出そうとするとワーニングが出ます。さらに、飲み合わせが悪い薬を出そうとすると、その瞬間、厳しいワーニングが出るようになっています。これは全部オンラインでできるようになっているわけですね。日本の場合、そこまでいっていないように聞いているのですけれども、日本の科学技術をもってすれば当然可能だと思うのです。例えばこういったサービスを生み出すには、ここにも財源が必要だ、サービスが必要だとなりますが、まさに全体のシステムや運用やオペレーションの改革をしながら、そういったものを新しく生み出していく。そして、多くの人々がハッピーになるような医療保険制度の一端をしっかり担えるような仕組みをつくっていくのが大事だというのが2点目に申し上げたいことです。
3点目でございますが、ちょっと話が大きくなるかもしれませんが、先々のことを考えていくと、この審査支払機能に関して言うと、今回のテーマの部分と国保の部分が大きくあるわけですけれども、医療保険制度全体が本来はどうあるべきかということも、厚生労働省でお考えだと思うのです。過去を引きずる形ではなくて、あるべき姿はどうなるかということをぜひ意識していただいて、オールジャパンにこれらを統一いていくようなことも、数年間ぐらいかかると思うのですけれども、考えなければいけなのではないでしょうか。
例えば後期高齢者医療というのは75歳以上の人が入っていくわけですね。それまではそれぞれ民間だったり公務員、あるいは自営業、農林水産業だったりして、それぞれの保険が適用されているわけなのです。ところが、さらにさかのぼっていくと、生まれたときは乳幼児医療とか、学童医療とかいろいろあるわけです。でも、一人の人間から見てみれば、生まれて、この日本国で、勉学をし、社会で活躍をして、活動して、何かをしていく、そして人生を全うするというときに、医療保険制度がどのようにその人を支えていくか。そういう大きな視点での検討もしながら、よりよいあるべき姿ということを常に意識していくべきではないかなと常に思っているところです。
冒頭に申し上げましたデジタルガバナンスが必要なデジタル社会というのがこれからの日本のテーマであり、また、Society5.0を政府は提唱されていますので、その基本のコンセプトだと思っています。そういう視点での、今回のここに関する、あるいは審査機能に関する見直しや改革を大いに期待しているところです。
以上です。ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
これで構成員の皆様に一通り御発言をいただいたかと思います。また、本日都合により御欠席の黒田構成員から意見書をお預かりしておりますので、資料7ということで後ほど御覧いただければと思います。
若干時間がございますので、55分ぐらいまで15分程度ございますので、追加での御意見、あるいは事務局への御質問などがございましたら、どうぞ挙手をなさっていただきたいと思いますが、私は読めないので、事務局のほうで教えてください。いかがでしょうか。
横尾構成員でいらっしゃいますか。どうぞ。
○横尾構成員 先ほどどなたかもおっしゃったのですけれども、検討事項の「(1)審査結果の不合理な差異の解消」という、ここで言う不合理な差異は何かというのはある程度共通認識をしたほうがいいと私も感じているのですが、何か事務局のほうで、こういった意味、こういった範囲、こういった範疇のコンセプトで考えているのだというのがあったら、ぜひ御指示いただきたいなと思っています。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。保険課長でございます。
不合理な差異という言い方につきましては、まさに今、いろいろな先生方からも御指摘がありましたが、医学的に、あるいは客観的に判断していく中で出てくる課題だと思いますので、一度事務局としても、どういった実例がこれまで差異の解消という中で諮られていたのか。そういった実例もお示ししながら御議論いただければありがたいなと思っているところでございますので、次回以降、また資料を整えて議論に供したいと思ってございます。
○菊池座長 横尾構成員、いかがでしょうか。
○横尾構成員 分かりました。では、次回から期待しています。ただ、冒頭おっしゃった先生が御納得かどうかは分かりませんが、私は以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
○岡﨑構成員 座長、よろしいですか。高知市長の岡﨑です。
○菊池座長 どうぞ。
○岡﨑構成員 今日は1回目ですけれども、各委員さんから出た中で質問も多分あったと思うので、全部とは言いませんが、事務局で少しそれに回答か、もしくは回答に近いような解説があれば、御紹介いただければと思います。
○菊池座長 最後にやっていただこうと思っていましたが、では、現時点で何かお返しする部分があれば頂きますか。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
幾つか御質問あるいは御指摘いただいた中で少しコメントしておきたいと思いますが、まず、オンライン化の推進ということで、例えば再審査の紙レセプトですとか、まだ紙レセプトで請求されているもの、あるいは訪問看護、そういったものがまだ紙で残っているのではないかという御指摘がありました。確かに現時点では、再審査で一部紙であったり、あるいは訪問看護の請求書については、紙で残っていたりというところがございます。
また、平川構成員から生活保護なども対象にすべきということもございましたが、この点については、実は生活保護については支払基金のほうで審査支払を行っておりますので、その点も含めて、今回、審査支払の差異の解消という意味ではスコープに入ってくると理解をしてございます。
そのほか、様々いただいていたかと思いますけれども、またちょっと整理しまして、次回以降対応したいと考えてございます。
○菊池座長 今、まとめて幾つかお答えいただきましたが、今日の時点でこの点についてはどうかと聞いておきたいことがあればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○平川構成員 平川ですけれども、よろしいですか。
○菊池座長 平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 基本的な方向性の話なのですけれども、この不合理な差異を認めて、それに整合性をつけていくという考えでいくのか、統一をしていくというような、つまりゴールですね。この設定についてはどんなふうに皆さん考えているか、一応意見集約をすると議論しやすいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○姫野保険課長 事務局から少しコメントさせていただきたいと思いますが、不合理な差異の解消というところで少しまだイメージがつかみにくくて大変恐縮なのですけれども、現時点でも支払基金あるいは国保連合会におきまして、実際にケースによって取扱いが異なっている場合ですとか、そういったものについては収れんさせていくような検討が進められているということでございます。
それに当たっては、個別個別に、医学的に、客観的に判断をしていくということでございますが、医療技術も日々新しくなっていく中で、そういった差異というのは恒常的に幾つか出てくるということかと思います。
今、そういった差異が出てきたときにそれを放置するのではなくて、解消していくという取組を進められてはおりますけれども、それをさらに進めていくために、例えば先ほど少し御説明しましたが、新しい支払基金のシステムの中では、自動レポーティング機能といったものも実装して、差異をできるだけ探知をして、それについての議論を促進していく。そんなことも試みようとしているところではありますけれども、どういったプロセスで、どういった流れで差異を探知して、それが果たして不合理なものなのか否か、そういったものも医学的な見地から判断をしながら検証していく。どういう手順でそういった作業をしていくのが最も合理的なのか。そういった全体像を御議論いただく。そういったところが事務局としては、論点設定の中で差異の解消の全体の取組という形で例示をさせていただいているという趣旨でございますので、個別個別の差異の解消については、それぞれ審査委員会の先生方の中で医学的に判断されていくものかと思いますが、それをどういう全体のプロセスの中で解消していくのが最も効率的かつ合理的なのかといったところの御議論をしていただけるとありがたいなと考えてございます。
○菊池座長 平川構成員、いかがでしょうか。
○平川構成員 同じ疾患で国保から社保に行っただけで判断が変わってしまうというのは、医学的観点云々ではないと思うのです。この辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか、今の説明ではちょっと分からなかったのです。
○岡﨑構成員 よろしいですか、座長。国保側から今の御意見に対して少し意見として述べたいのですが、今、最初に平川さんからもお話があったように、2011年の東日本大震災の後、やはり健康保険に行かれたり、国保に行かれたり、実は相当相互に移動がありました。それは震災後のいろいろな雇用の関係もあったのですけれども、健保へ行ったり国保へ行ったりということで相当移動があったので、それぞれの資格確認をできるだけリアルタイムでやろうということで、これは一応オンラインで確認ができるようなシステムを組み上げるようになっていますので、そこの資格確認は、従前は何日かかかっていましたけれども、できるだけ早く資格確認が相互にできるようになります。
それで、国保中央会、国保連合会としても、例えば健保から国保へ移って、また国保から仕事が決まったので健保へ行くということは当然考えられるもので、そこで標準的な審査基準が違うは駄目だろうというベースで考えておりますので、ベースのスタンダードの部分の審査というのは、やはり共通ベースに合わせていくべきだというのが中央会の考え方でもあります。
ただ、画面審査とかシステム審査が入ってきたので、システムがどこで合わせられるかという技術的な問題はあるのですが、ベースの考え方は支払基金と国保で審査の基準が違うのはおかしいだろうという考え方に立っていますので、そこはどういうふうに調整されていくかということだと思います。
○菊池座長 それを受けて事務局からは特にないですか。よろしいですか。
平川構成員、よろしいですか。
○平川構成員 よく分かりました。ありがとうございました。
○菊池座長 印南構成員、お願いいたします。
○印南構成員 今の論点に絡むのですが、審査結果の差異がローカルなルールの、ある意味ではガラパゴス化したルールの差異によるものなのか、それともそれを統一しても、さらに患者さんの個別性とかいろいろなことがありますから、差が生じるものなのか。
何が不合理と冒頭で私がいろいろ言ったことに関連するのですけれども、この差を合理的に突き詰めるのは、実は社会実験で、ちょっと変な、理想的なことを言うつもりは全くないのですが、例えばつい最近、ルールの差も減ってきているわけですね。差が違うところと、それからルールがほぼ統一化されたところに具体的な個人情報は全部隠して、それ以外の年齢とか性別、疾患の状況とか、そういう同じものを複数の支部とかに審査してもらえば、そういうのを幾つか、そんなに大規模なことではなくても、それはルールの差によるのか、それとも、レセプト上は同じ患者さんに見えるはずなのですが、それでも審査する先生によっては判断が違うかもしれない。
これは私の想像ですけれども、現場の医学的判断は1点に統一されるものではなくて、一定の幅を持っているのではないかと想像するのです。だから、どこまで本当にぎりぎりやるのかというのは疑問が出てくるわけです。完全なる差異の解消でなくてもいいのではないかと個人的には思っていますけれども、ただ、その前に科学的、合理的に差異の原因がどこから生じてくるのかは、ちゃんと突き止めたほうがいい。それもそんなに大変なことではないのではないかと私は想像します。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
松本構成員でしょうか。
○松本構成員 今の印南構成員の意見に賛同しますけれども、そもそもまず不合理な差異の解消の差異というのが、実際の審査の上で、例えば同じ支払基金の中でも専門家の意見が違うこともたくさんあります。6割はこちらの意見だけれども、4割の先生はこちらの意見という、そういった違いがあります。それから、もちろん国保と社保でも違いがありますけれども、その違いというのが各構成員の先生方の中で、果たして具体的にどういう違いを差異と言っているのかというのは、先ほど平川構成員もおっしゃいましたけれども、皆さん考えている内容が本当に統一できているのかどうか、共有できているのかどうか、非常に疑問に思っています。先ほど印南構成員も冒頭におっしゃいましたけれども、ある程度事例を示していただいて、こういった差異のことなのだよということを示さないと、皆さん考えている差異の程度が、内容がどの程度かということは全く分からないと私は思っています。
社保ではよかったけれども国保では駄目だったというのは、どういうことが駄目だったのか。全部を駄目だとか見られなかったわけではなくて、先ほど印南構成員もおっしゃったけれども、同じレセプトで同じ病名がついていても、その人の病態というのは様々ですので、それに対して差異が生じてくることはやはりあると思います。ですから、そういったことも考えながら示していかないと、ただ差異という言葉だけで今ここで考えても、恐らくそんなに皆さん方の考え方が共有できるとは思えないので、ぜひそれについて事務局から次回以降、きちんと示していただきながらやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございます。
確認ですが、その点は具体的なものを次回以降にお示ししながら議論していくということでよろしいですか。
○姫野保険課長 事務局でございます。
今の御指摘も踏まえまして、次回、もう少し具体的なイメージをつかんでいただけるような資料を準備したいと思います。
○菊池座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局のほうから。
○葛西参与 厚生労働省のデータヘルス改革推進本部技術参与をやっております葛西と申します。元は情報処理推進機構というところの研究員をやっておりまして、日々、データヘルス改革の一環として、審査支払機能についても厚生労働省側に助言をしている立場の者でございます。
1つだけ重要な論点がありまして、私は実は3年前の、資料2の20ページ目にあるデータヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会のときには構成員でございまして、その頃からずっとこの件に関わってきておりました。その際に、実は同様の議論を結構されておった記憶がございます。なので、できればその際にやった議論をちょっと整理していただいて、45個ぐらいのアクションが決まっていたはずなのです。その中で、これは支払基金側の問題なのですが、どれが出来上がっていて、どれができていないのかと。例えば医療機関で既に審査を終えて、一定の審査を終えられるように、電子カルテではないですけれども、医療機関のレセコンにチェック機能を入れるということはできていなかったと思うのです。なので、そういったところでちゃんと棚卸しをしていただきたいなということが1点気になりました。
それから、もう一個気になるのは、平成29年からずっと関わってきた身としては、せっかく様々な有識者の方にこの検討会に出ていただいて、積極的に御意見をいただくのですが、情報システムの仕様書に落ちる段階で大分それが盛り込まれないことがありました。なので、私自身、気になるのは、ここでせっかく議論した内容がちゃんと、今後多分国保中央会でのシステムに影響があると思うのですが、そこの仕様書にどういうふうに反映されていって、その反映具合がちゃんと反映されたのかどうかということは、きっと厚生労働省でチェックをしなければいけないと思うのですが、どういうガバナンスでこれをやるのかと。いわゆる検討会には権限というものが不明確になりがちでございまして、実態はシステム化する際にほとんどのものが盛り込まれないという課題が出てまいることがあります。全てではないのですが。このあたりは明確にしていただかないと、せっかく皆さんから御意見いただいても、最後に出来上がったものは違うものではないかというふうになりますので、あえてオープンな場で発言をしておきたいと思っています。
すみません。以上です。
○菊池座長 そろそろ時間が参りました。様々な御意見、御発言をいただきまして、これまでの歴史的経緯がある中で、デジタル化への対応の必要性が時代の要請であると。それで目指すのは、やはり質の高い医療、標準的という話もありましたが、それを目指すと。ただ、そこには医学的な専門性に裏づけられた判断の尊重という面がある。さらには、ポストコロナで働き方改革といいますか、そういったものまで広がってくる可能性のあるような、決してテクニカルな問題ではない、非常に医療の根幹に関わるような様々な論点のお話があったかと思います。次回以降、皆様方からさらに様々な御意見を頂戴しながら深めていければと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はここまでにしたいと思いますので、次回以降について、事務局から御連絡をお願いいたします。
○姫野保険課長 次回検討会の開催日についてですけれども、10月初旬頃に開催すべく調整中でございますので、追って御連絡をしたいと思います。
○菊池座長 それでは、最初に不手際がございまして、大変申し訳ございませんでした。
以上をもちまして、第1回の検討会を終了いたします。お忙しい中、どうもありがとうございました。