第132回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

 令和2年8月19日(水)10:00~12:00

場所

三田共用会議所 講堂(1階)

出席者

【公益代表委員】
    砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、三柴丈典、水島郁子
【労働者代表委員】
    漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
【使用者代表委員】
    鈴木重也、砂原和仁、中澤善美、中村節雄、増田将史、最川隆由、矢内美雪
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    田中佐智子(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、丹羽啓達(建設安全対策室長)、
    髙倉俊二(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、和田訓(産業保健支援室長)、
    黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

副業・兼業を行う場合の健康確保措置について


 

議事

 

○城内分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第132回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は公益代表委員の山口委員、労働者代表委員の佐々木委員及び使用者代表委員の中村委員が欠席しております。なお、中村委員の代理として、日本商工会議所の清田様が御着席されております。本日は感染症対策のため、一般傍聴は募集せず、報道関係者のみ傍聴を受け入れておりますので御承知おきください。8月7日付けで事務局に異動があったということですので、御紹介をお願いいたします。

○小宅計画課長 8月7日付けで安全衛生部長と労働衛生課長が交代になっています。まず、安全衛生部長の田中でございます。労働衛生課長の高倉でございます。以上でございます。

○城内分科会長 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。では、議事に入ります。議題の「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」に関し、事務局から説明をお願いします。

○小宅計画課長 資料1と2を、まとめて説明させていただきたいと思います。まず資料1ですが、2ページ目です。労働者の方への副業・兼業に関する調査を行っておりまして、集計の仕方について、第131回の分科会におきまして、こういった項目で集計してはどうかということで御議論いただきまして、こういった項目でやるということになっておりました。次ページ以降、この項目で集計をさせていただきました。
内容ですが、4ページを見ていただきますと、調査概要ということで、調査方法としてはインターネット調査を行いました。7月下旬に行いまして、有効回答が23万人、そのうち調査への参加に同意がない方などを除きますと、約16万人の回答があったということです。副業については、複数のものをやっている場合については、最も収入の多いものについてお尋ねしました。全体像としては、繰り返しになりますが16万人の回答となっていて、※ですけれども、仕事には雇用関係以外も含むということで、回答いただいております。年齢階層は、表のとおりです。
分析対象者という欄ですが、16万人の回答のうち、仕事が1つだけ、すなわち副業のないという方が144,000人、仕事が2つ以上、すなわち副業ありという方が15,000人ということで、副業ありというのが全体の9.7%でした。それから、一番下の※ですが、仕事が2つ以上ある方を副業している方として、本業、副業の捉え方ですが、回答者本人が主たる仕事と考えているものを「本業」、それ以外を「副業」という定義でお伺いをしたということです。
5ページは年齢別のもので、これは御参考ですが、複数就業者についての実態調査を平成29年に労働政策研修研究機構でやっておりまして、それと比較したものです。6ページ目についても同様に比較をしたものです。
今回の回答の中身を詳しく見ていきます。7ページですが、就業形態別に伺ったもの、1番上の全体というのは、回答のあった16万に対して副業という方が9.7%あったと。本業の形態別、本業の正社員なり契約・嘱託社員という方ごとに見てみると、自由業・フリーランス・個人請負という本業の方が29.8%と最も高くて、正社員の5.9%というのが一番低かったということです。
次に8ページ、業種別で見ますと、本業の業種が農林漁業・鉱業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス、娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、その他のサービス業、その他が、全体と比べると副業している方の割合が高かったということです。
9ページですが、本業の収入別に見ますと、「5万円未満」、「5万円以上10万円未満」、「10万円以上20万円未満」、それから下のほうの「70万円以上」が、全体と比べて副業している割合が高いということです。
10ページですが、副業している理由については、一番多いのが「収入を増やしたいから」で56.6%、次が「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」で39.7%ということです。次のページでは、副業している理由を、副業の就業形態別で伺っております。以降、数ページにわたりましては、黄色で塗って、回答が30%以上の部分を見やすいようにしております。全ての就業形態で、「収入を増やしたい」というのが3割を超えています。それから「会社役員」を除く全ての就業形態で、「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」という回答が、また3割を超えていたということです。それから「臨時・日雇社員」は、「働くことができる時間帯に制約があり、1つの仕事で生活を営める収入を得られる仕事に就けなかったから」、それから「会社役員」については、「自分で活躍できる場を広げたいから」というのが多かった、30%を超えていたということです。
次に、12ページで本業の業種別を見ますと、全ての業種で「収入を増やしたいから」というのが3割を超えている。それから「情報通信業」、「不動産業、物品賃貸業」を除く全ての業種で、「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」というのが3割を超えているということです。
13ページですが、本業の仕事内容別に副業をしている理由を伺ったところ、全ての仕事内容で「収入を増やしたいから」というのが3割を超えていた。「管理的職業従事者」を除く全ての仕事内容で、「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」というのが3割を超えているということです。
14ページが本業の収入別ですが、これも全ての層において「収入を増やしたいから」という回答の割合が高かったと。それから、月収が少ない層では、「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」という回答をした割合が高く、また多い層では、「自分で活躍できる場を広げたいから」という割合が高い傾向があるということです。
次に、本業と副業の就業形態をかけ合わせて見てみるとというのが15ページです。本業の就業形態別の副業の就業形態では、「パート・アルバイト」、「自由業・フリーランス・個人請負」の割合が高くなっていて、また、本業と副業で同じ就業形態であるという割合が比較的高い。それから、本業が雇用、副業が雇用という「雇用×雇用」の場合ですと、「パート・アルバイト×パート・アルバイト」、本業が雇用、副業が非雇用ですと、「正社員×自由業・フリーランス・個人請負」というパターン。それから、本業が非雇用、副業が雇用という場合ですと、「自由業×パート・アルバイト」というパターン。それから、本業、副業ともに非雇用という場合ですと、「自由業・フリーランス・個人請負×自由業・フリーランス・個人請負」というのが最も多いということです。
16ページですが、本業と副業の形態を雇用か非雇用かという大くくりで見た場合の割合です。下のほうに書いてありますが、雇用というのは「正社員」、「契約社員・嘱託社員」、「パート・アルバイト」、「臨時・日雇社員」、「派遣社員」、「請負会社の社員」、「期間工・季節工・日雇」をまとめておりまして、「会社役員」、「会社などの役員」、「自営業」、「自営業主」等々を非雇用というくくりでまとめております。
17ページです。これが健康関係に直接的に関係する質問項目かと思いますが、本業・副業における強い不安、悩み、ストレスの状況についてお伺いしたものです。本業・副業において強い不安、悩み、ストレスがあると回答した割合は、副業している方が56.6%、していない方が58.2%。本業における強い不安、悩み、ストレスについて、副業している方もしていない方も、上位の3つを見ますと、「収入が低いこと」、「仕事の量・質」、「対人関係」というものでした。副業における強い不安、悩み、ストレスについてですと、「副業にはない」、「収入が低いこと」という回答が3割を超えていました。
次に18ページですが、強い不安、悩み、ストレスについて就業形態別に見ますと、本業については就業形態を問わずに「収入が低いこと」、「仕事の量・質」という割合が高く、本業の就業形態が雇用の場合ですと、「対人関係」と回答した割合が高い。「派遣社員」ですと「雇用の安定性」、「会社役員」ですと「会社の将来性」というのが高い。一方、副業についての不安、悩みですと、「収入が低いこと」という回答割合が高く、「正社員」、「契約・嘱託社員」ですと「副業にはない」という回答割合が高かったということです。
次に19ページですが、これを業種別に見ますと、本業における強い不安、悩みですと、「収入が低いこと」、「仕事の量・質」というもの、「医療・福祉」ですと「対人関係」という回答割合が高い。副業について見ますと、「収入が低いこと」、「副業にはない」という割合が高いということです。この辺の黄色の部分が30%を超えたもので、色を塗っております。
20ページも、引き続き不安、悩みについてです。仕事の内容別に見ますと、本業ですと「収入が低いこと」、「仕事の量・質」というのが高く、「事務従事者」、「介護サービス職業従事者及び保健医療サービス職業従事者」、「生産工程従事者」については「対人関係」という回答割合が高かった。副業については「収入が低いこと」、「副業にはない」という回答割合が高かった。
21ページですが、今度は収入別で不安等の状況を聞いたものです。本業については「仕事の量・質」という回答割合が高かった。「5万円未満」、「5万円以上10万円未満」、「10万円以上20万円未満」、「20万円以上30万円未満」、「30万円以上40万円未満」という層ですと、「収入が低いこと」という回答割合が高かった。副業について見ますと、5万円未満から30万円未満の層までは「収入が低いこと」という割合が高く、その他、「10万円以上20万円」等々については、副業については不安等はないという回答が高かったということです。
22ページですが、そういった不安、悩みを相談できる人がいるかというのを、副業の有無別に伺ったものです。相談できる人が「いる」という回答は、副業している人が62.4%。副業していないという方が60.5%。相談できる人が「いる」と回答した割合を、本業と副業の就業形態別で見ますと、「本業雇用×副業雇用」の方は64.2%と最も高くて、本業、副業とも非雇用という方が55.5%と最も低かったということです。
続きまして、23ページですが、不安、悩み等についての相談環境の整備を希望するかどうかということについて、副業の有無別に伺ったものです。相談できる人が「いない」と回答した方のうち、そういった環境の整備を「希望する」と回答した割合は、副業をしている方が15.7%、していない方が19%でした。相談できる人が「いない」と回答した方のうち、整備を「希望する」と回答した割合は、副業している方が31.5%、していない方が33.3%となっております。それから副業している方で本業が非雇用の方は、本業が雇用の方と比べて「希望する」と回答した割合が低かったということです。
次のページが、本業・副業の労働時間の状況です。1週間当たりの本業の総実労働時間ですが、副業していない方は「40時間以上50時間未満」との回答割合が40.4%と最も高いです。副業している方については、副業していない方と比べて「5時間未満」、「5時間以上10時間未満」、「10時間以上20時間未満」、「20時間以上30時間未満」、「30時間以上40時間未満」、「70時間以上80時間未満」、「80時間以上」という回答割合が高かったと。1週間当たり副業の総実労働時間については、「10時間以上20時間未満」、「5時間以上10時間未満」、「5時間未満」という回答割合が高かったと。
25ページですが、今度は1か月当たりの労働時間ですが、副業していない方ですと「160時間以上200時間未満」が33.2%と最も高い。副業している方は、していない方と比べて「40時間未満」、「40時間以上80時間未満」、「80時間以上120時間未満」、「200時間以上240時間未満」、「240時間以上280時間未満」、「280時間以上320時間未満」、「320時間以上360時間未満」、「360時間以上」というところでの回答割合が高いということです。
次は、睡眠時間を副業の有無別に伺ったものです。睡眠時間が「5時間未満」という回答は、副業している方が13.4%、していない方が10.4%、本業と副業の就業形態がともに雇用という場合の14.8%が最も高かった。それから、「5時間以上6時間未満」という場合について見ますと、副業している方が35.5%、していない方が36.6%でした。本業と副業の形態別に見ますと、ともに雇用という37.2%が最も高かったということです。
27ページですが、病気による休みの状況です。過去1年間で病休したという方は、副業している方が24.8%、していない方が24.1%。「休んだことがある」という回答の割合ですが、本業が雇用、副業が非雇用という場合が29.5%と最も高く、本業が非雇用、副業が雇用の18.6%が最も低かった。
28ページは、健康診断の受診状況です。一般健診を「受診した」という割合が、副業をしている方が57.4%、していない方が72.5%。副業している方で本業が非雇用という場合は、本業が雇用という場合と比べて受診した割合が低かったということです。
次が健康診断における有所見の状況です。一般健診で「所見あり」の回答割合は、副業している方が35.9%、していない方が36.7%でした。「所見あり」との回答の割合を本業・副業の就業形態別に見ますと、本業が雇用、副業が非雇用という場合で40%と最も高くて、本業、副業ともに非雇用の31.8%が最も低いということになっています。
次に、健診後に就業上の措置が取られたかということですが、副業の有無にかかわらず「何も対応は受けていない」という割合が最も高く、次に「保健師等による保健指導」という割合が高いという状況です。
31ページですが、ストレスチェックの受診状況です。「受けた」という回答割合は、副業している方が29.7%、していない方が45.5%。副業している方で本業が非雇用の方ですと、本業が雇用の場合と比べて「受けた」という割合が低いということです。
32ページは、ストレスチェックにおける高ストレスとの判定の状況です。高ストレスと判定された方は、副業している方で20.7%、していない方で18.9%。副業している方であって本業が非雇用の方ですと、本業が雇用の方と比べて高ストレスと判定された割合が低い傾向があると。
次のページは、高ストレスと判定された方への面接指導の実施状況です。高ストレスと判定された方のうち、面接指導を「受けた」という回答割合は、副業している方が17.9%、していない方が15.2%であった。また、「面接指導を受けることを希望したが実施されなかった」という割合は、副業している方が11.7%、していない方が10.9%。面接措置を「受けた」という方の割合ですが、就業形態別に見ますと、本業が非雇用、副業が非雇用という場合の23.7%が最も高く、本業が非雇用、副業が雇用の10.5%が最も低かったということです。
続いて、資料2もまとめて御説明させていただきたいと思います。前回、これまでの議論を整理して、いろいろと御意見を頂いた結果を事務局において要約しております。2ページですが、副業・兼業の対策については、改正労災保険法の施行の時期で、何かまとめるものやがあればまとめ、引き続き検討するべきものがあれば検討してはどうかと、事務局からも申し上げてきたところですが、そういった方向で検討していくことで議論がなされたのではないか、これが1つ目の○です。
2つ目の○ですが、改正法の施行に併せて副業・兼業のガイドラインを見直すということが考えられると申し上げておるところですが、ガイドラインを見直すのであれば、以下のような点について盛り込むことが考えられるのではないかと御指摘があったということです。
1ポツ目が、非雇用として副業・兼業を行っている場合でも、実態が労働者であれば、労働者として保護されることを明確にすべきではないか。2ポツ目が、副業・兼業を報告しやすい環境の整備が必要だ。3ポツ目が、労働者のプライバシー等もある中で、事業者が全てを把握することは難しい面もあるのではないか。4ポツ目が、労働時間管理などと併せて全体パッケージで考える必要がある。すなわち、労働時間管理については、労働時間通算の方法や時間管理の方法について明確にすることが労働条件分科会で議論されておりまして、そういったことが強力な過重労働防止策となっていることも十分に認識する必要があるということです。
5ポツ目ですが、労働者に他の事業者と相談することを求めさせることは、昨年の夏にまとめられた専門家の検討会報告で、健康確保措置の考えられる例示として挙げられていたことですが、こういったことを措置するのであれば、そういった措置を求められた事業者は、措置を講じなければならないとしないと実効性がないのではないかというコメントがあったということ。6ポツ目ですが、労働者は本業の状況に照らして、就業規則などの範囲で副業先を探すと考えられるが、求人票を見たときに副業・兼業が可能かが分かるようにしておくべきではないかという御意見がありました。
めくっていただき、以上が、ガイドラインを見直すのであればということについての御意見でしたが、今後、更に議論が必要ではないかという点に関しては、以下の御意見がありました。1ポツ目ですが、健診やストレスチェックの実施対象者の選定に当たって、副業・兼業先の労働時間を通算してやることが考えられるのではないかという御指摘がありました。
2ポツ目ですが、健康診断やストレスチェック等の健康確保措置を実施すればそれでよいということではなく、個別具体的な判断の下での事後措置まで含めた一連の仕組みである。そうすると、本業の事業者は、副業・兼業先の業務内容を正確に把握することは難しいので、副業・兼業先の事業場における業務内容を踏まえた事後措置まで実施することは難しい、本業と副業・兼業先のそれぞれの事業者に、それぞれ何らかの義務を課すということではなく、現行の仕組みの中で、どう健康確保をするかという議論ではないかという御意見があったと。
3ポツ目ですが、労働者にとって、本業と副業・兼業がそれぞれ何を指すのか分かりにくいので、定義を明確にすべき。これは、措置義務者を明確にするのであれば、本業の方に義務を課すという発想があり、その場合には、本業なり副業・兼業というのが何になるのかが分からないと実効性がないという観点の御指摘かと思います。
一番下ですが、社会的な課題、例えば現在ですとフリーランスの問題等がクローズアップされていますが、そういった問題や、セーフティネットとしての機能、つまり雇用労働者だけか、もう少し幅広いところも見て考えるのかといったことも視野に入れた安全衛生対策の在り方を検討すべきではないかという問題提起があったということかと思います。
そのような御議論を踏まえ、4ページ以降、具体的には5ページになります。現在、副業・兼業の促進に関するガイドラインというものがあります。参考資料の形で、横書きの紙でお付けしていますが、こういったものが現在あります。これに安全性対策のことも盛り込んでいくことが考えられるのではないかということで、見直すとすれば、先ほどのまとめのような議論を踏まえるのであれば、具体的に以下のような事項を規定してはどうかということで、整理させていただいております。これについては、繰り返しになりますが、労災保険法で複数就業者の制度改正が行われて施行がなされるので、それに合わせて改定をしてはどうかということです。
1ポツ目ですが、実質的に雇用労働である場合には、形式的な就業形態にかかわらず、労働安全衛生法等が適用されることをガイドラインではっきりとさせる。2ポツ目ですが、労働者が労働時間等を申告しやすい環境整備をする観点から、兼業・副業を行ったことにより、当該労働者について不利益な取扱いをすることはできないこと。これに関しては、前回、例えば適切に事後措置を行った結果として、労働時間の短縮が必要な場合も出てくるだろうと、これは必ずしも不利益な取扱いではないのではないかというコメントもあったかと思いますが、適切な労働時間の短縮ということまで不利益ということではなく、申告したことをもっての不利益ということはできないということを明らかにしてはどうかということです。3ポツ目ですが、健康確保の観点からは、労働時間の適正化は重要なポイントになります、それについての御意見があったことを踏まえてのものです。健康確保の観点からも、他の事業場における労働時間と通算して適用される労働基準法の時間外労働の上限規制を遵守すること、また、それを超えない範囲内で自らの事業場及び他の使用者の事業場のそれぞれにおける労働時間の上限を設定する形で副業・兼業を認めている場合におきましては、自らの事業場における労働時間を超えて労働をさせない、労働時間をきちんと守るということ。
次のページです。現在、健康診断等につきましては、他の通常の労働者の4分の3以上の労働時間の方等の要件に該当する方について、義務付けられているところですが、副業・兼業が使用者の指示による場合につきましては、使用者が、労働者からの申告等により、他の使用者の事業場における労働時間を把握して、自らの事業場における労働時間と通算した労働時間に基づいて、健康確保措置を実施することが適当である。また、実効ある健康確保措置を実施する観点から、他の使用者との間で労働の状況等の情報交換を行って、それに応じた健康確保措置の内容に関する協議を行うことが適当だ。
6ページの2ポツ目です。使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合には、健康保持のために自己管理を行うように労働者の方に指示をする。それから、心身の不調があれば、その都度、企業が相談を受けることを労働者の方に伝える。それから、副業・兼業の状況も踏まえ、必要に応じて法を超えるような健康確保措置も実施するといったことなど、労使の話合いなどを通じて、副業・兼業者の健康確保措置に資する措置を実施する取組が適当ではないかということ。
3ポツ目ですが、以上は企業側の取組ですが、以降は労働者のほうにおいても留意すべき事項です。労働者が副業・兼業先の求職活動をする場合には、就業時間、特に時間外労働の有無等の副業・兼業先の情報を集めて、適切な就職先を選択することが重要ではないかと。前回の議論で、結果として上限時間を超えてしまうような就職をしてしまった場合ですと、いろいろな問題もあるということもあっての御意見であったわけですが、そういったことがないように、「また」以降ですが、業務内容や就業時間など、希望する条件に合致する副業・兼業先の検索が困難な場合には、ハローワークの窓口に相談するなどして、職業安定法や労働基準法に抵触しない適切な副業・兼業先を選択する必要があるということ。
一番下は労働者における留意事項です。労働者が使用者に対して、他の使用者の事業場の業務量、自らの健康の状況などについて報告することにつきましては、企業による健康確保措置を実効あるものとするという観点から有効だということに留意していただきたいということを書いてはどうかと。以上が、ガイドラインを見直す場合の考えられるものです。
7ページが、今後、引き続き検討をしてはどうかと御意見があったものをまとめたもので、このような事項としてまとまるのではないかということです。1ポツ目が、副業・兼業を行う労働者の健康確保措置の在り方についてです。具体的に言うと、一般的健診やストレスチェックの対象となる労働者の在り方が議論になったかと思います。2ポツ目が、労働安全衛生関係施策、法令などを通じた統一的な本業、副業・兼業の権利ということ。これも、議論としては健康確保措置の実施者を考える上で、仮に本業に寄せるといいますか、そういった方に義務を課すのであればという流れで、そういった場合には実施者をはっきりさせる観点から、本業、副業の定義はいるのではないかという御議論があったのかと思います。それから、フリーランス等の新しい働き方への対応の御提案があったのかと思います。
以上、改正労災法の施行に併せて行うガイドラインの改正内容と、今後もこの場で引き続き検討をしていってはどうかというものの整理としては、以上のようなものを考えなければいけないのではないかということで、ご議論いただければと思います。

○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問と発言のある方は、挙手をお願いいたします。

○漆原委員 御説明ありがとうございます。まず資料1の調査についてお伺いいたします。28ページ以降ですが、ここに健診の結果やストレスチェックに関するデータがあります。この中で、副業ありの者で、「非雇用×非雇用」というどちらも雇用されていない者についても、健診を受診しているとそれなりの人数が回答しております。ストレスチェックにおいてもです。例えば、最後の33ページのストレスチェックを受けた後の面接指導の所も、nが少ないので、どこまで信憑性があるか疑問もありますが、23.7%の方が面接指導を受けているという回答をしています。これをそのまま受け止めると、いわゆるフリーランスとして本業も副業も非雇用で働かれていても、一定程度の健康確保措置が行われている、というようにも見えてしまうかもしれないので、お聞きしますが、この「非雇用×非雇用」の組合せはどのような属性の方かを教えていただければというのが1点です。
もう一点は、資料2の3ページの下に、「社会的な課題を踏まえた~在り方を検討すべき」という記載がありました。一番最後の資料2の7ページを拝見すると、やはり一般健診やストレスチェックの対象となる労働者について、「在り方について」という記載になっております。それであれば、前回合算して30時間ということを発言させていただきました。しかし、合算が事務的に手間が掛かるということであれば、例えば、雇用保険等も20時間以上になっていることですし、検診やストレスチェックについて、今30時間のところを20時間に引き下げるなど、そういった議論も想定してるのかどうか、今後の検討課題としてあり得るのかということについて、御回答いただければと思います。以上です。

○城内分科会長 事務局からお願いします。

○小宅計画課長 はい。まず、御質問の1点目の非雇用とはどういう属性かということですが、資料の23ページの下、正社員、契約社員、パート・アルバイト、臨時・日雇、派遣、請負、期間工・季節工が「雇用」で、会社役員、自営、フリーランス、家族事業者、その他を「非雇用」としているということです。それから、そういった方について健診が行われているというのは、誰がやっているのかということもあろうかと思いますが、ちょっとその辺は聞き方にもよりますが、必ずしも明らかではありません。福利厚生的に広めにやっているというような取組も一部あるようです。その辺は、どうしてやっているのかというのは、更に詳しく見てみないと分からないところですが、まず属性についてはそういうことかと思います。
それから、資料2の7頁の「在り方」という中では、これまで定期健診等については、他の事業場の他の一般労働者の4分の3以上の労働時間等の要件を満たす方について義務化されているところであって、単独企業ではなくて通算してという御主張があったかと思います。それに加えて、例えば30時間ということでしたが、4分の3の引下げというふうな議論もあるのかということで、それは今後議論していってはどうかということですので、そういったことも御提案があれば議論の対象にはなるのかと思います。

○城内分科会長 増田委員、お願いします。

○増田委員 資料1の、先ほど漆原委員が御指摘の28ページ以降ですが、後半の結果につきましては、例えば一般定期健康診断の受診率がありますが、これは特定健康診査と混同して回答している人が結構いるのではないかと思います。と言いますのは、30ページの健康診断後の就業上の措置の状況の所で、2番目に多いのが保健師による保健指導で、30%ぐらい受けているという回答となっていますが、これは、特定保健指導を受けたのを、一般健康診断で有所見の方が受ける就業措置と回答した人がいる、混同しているのではないかと、私は読みました。ですので、まずアンケートに回答している人たちが、会社がやっている健康確保措置とそれ以外のものを、結構混同しているという前提に立って、この数字は見ないといけないと思います。
ストレスチェックにつきましても、「非雇用×非雇用」でストレスチェックを受けている人がいますが、では、これは誰が実施したのか。誰も実施する人はいないはずなのに、これだけ受けていると回答している。これもやはり、例えばインターネット上で何かチェックできるものがあるかと思いますので、そういったものまで含めて回答しているということかと思います。ただ、だから駄目だというわけではなくて、むしろ逆にこの保険者によるサービスや、事業者以外がやっている何らかの仕組みが、ある程度機能しているのではないかと読めますので、事業者がもちろんやらなければいけないところもありますが、それ以外の健康確保に資するインフラの活用状況や、今後の活用の在り方などについても、検討していけばいいのではないかと思った次第です。

○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか、御発言はありませんでしょうか。中澤委員、お願いいたします。

○中澤委員 幾つか教えていただきたいのですが、調査結果で本業の月額の収入の状況が書かれておりますが、非常に低い回答が多いという印象を持っております。事務局として、どのような要因が考えられているのか、お教えていただければと思います。それからまた、今回の集計対象のる平均の月額収入が分かれば、お示しいただければと思います。
それから、調査結果から副業・兼業をしているか否かにかかわらず、健康確保措置に関しては、大きな隔たりがないと理解いたしました。
もう一点、本業と副業・兼業のクロスの集計がかなりあります。例えば15ページの本業と副業・兼業の就業形態という表がありますが、個人的な意見を申し上げますと、左側に本業の就業形態ということで、自営業があります。それで、右側の副業の就業形態の所にも、自営業主があります。一般的には、自営業というのは自ら個人として事業を行っている者という理解をしております。このクロスというのは本来、副業・兼業をしているという見方をすべきではないのではないかと思っております。同じような形で、その下にある自由業・フリーランス・個人請負も、基本的には副業・兼業とのクロスはあり得ないのではないかと思っております。
もう1つは、その下に家族従業員・家業の手伝いがありますが、これも基本的には個人の仕事の話であり、副業・兼業とのクロスで回答を得るべきものではないと思っております。また、もしこれらを副業・兼業なしとみなした場合には、全体的に兼業・副業をしている割合は減ってくることにもなると考えます。

○城内分科会長 ありがとうございました。中村委員の御意見をお伺いしてから、事務局のほうからお願いします。

○中村(恭)委員 資料2の6ページ目、ガイドライン見直しの検討事項の続きの1つ目のポツですが、「副業・兼業が使用者の指示による場合は、使用者は、労働者からの申告等により他の使用者の事業場における労働時間を把握し」と記載されています。労働者側の立場から言わせていただきますと、使用者の指示による副業・兼業ということであるならば、当然、労働時間や勤務時間の管理は、可能な限り使用者がやるべきものだと思っておりますので、労働者側の申告等によりというよりは、やはり使用者側で労働の状況等の情報交換を行うということのほうが適切ではないかと思っております。ということですので、この「労働者からの申告等により」という文面については、削除してもいいのではないかと。むしろ、使用者側できちんと適切に管理を行う、としたほうがいいのではないかと思いますので、意見として言わせていただきました。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございました。事務局から、お願いいたします。

○小宅計画課長 はい。増田委員からありました、事後措置の中に特定保健指導、他法令による指導を受けた場合も入っているのではないかということについては、その可能性は否めないかと思います。かつ、他法令でやっているものがあるのであれば、それとの機能を分けること、そういったことも検討すべきではないかというお話がありました。それは御提案だと思いますので、踏まえていきたいと思っております。
それから御質問として、本業で賃金の低い方がいる理由はというようなことだったかと思います。今回、インターネットのアンケート調査で、労働時間が長い方も短い方も出てきており、かつ本業というのは、その人の認識における本業ですので、労働時間の短い方や、そもそもいろいろな形態での働き方が含まれていて、必ずしも最低賃金の適用される労働者という方だけに限ったことではない、そういった意味で低い方も一定程度入ってきているのかと思います。2点目は、平均賃金という御質問でしたでしょうか。それは、また調べます。
3点目は、健康確保措置についての御意見だったと思います。4点目につきましては、この調査は、先行する労働政策研修研究機構の平成29年調査とできるだけ歩調を合わせてということで質問項目を作っており、そういった観点から、このような項目の立て方になっております。これも御意見だったかと思いますが、そういう観点で、今回はこの調査項目を作ったということです。
中村委員から、資料2の6ページ目の一番上ですが、使用者の指示による場合については、「労働時間の把握も使用者同士で情報交換をする」というような書き方が適当ではないかという御意見があったかと思います。労働時間の関係は、このガイドラインの全般を通じての統一的な書きぶりの問題等もあり、それから個々の企業の内部における労働時間の把握の問題、各企業ごとの労務管理の状況等もありますので、労働時間管理全般について、このガイドラインでは「申告等」というような書き方でまとめており、全体の符丁からして「申告等」というのが適当ではないか。もちろん、企業別にいろいろなやり方がありますので、企業間で情報交換をするということも全く否定するものではないと思っておりますが、労働時間の把握については、統一的な書き方として、こういったことがガイドラインの誤解のない書き方かなと思っております。以上でございます。

○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか、ございますか。事務局から、追加をお願いいたします。

○和田産業保健支援室長 増田委員から、健康診断については、事業者以外が行うサービスも含まれているのではないかとの御指摘いただいたところですが、アンケート調査では、「会社が実施する一般健康診断(人間ドック等を含む)を受診しましたか」という聞き方をしております。また、ストレスチェックについても、「会社が実施するストレスチェックを受けましたか」という聞き方をしていますので、基本的には会社が行ったものということです。しかし、前者では「人間ドック等を含む」という聞き方もしていますので、そこで事業者以外の行っているサービスを入れて回答しているという可能性はあります。

○城内分科会長 ありがとうございました。水島委員、お願いします。

○水島委員 ありがとうございます。先ほどの中村委員の御質問と事務局の御説明に関してですが、ここで使用者の指示といった場合に、使用者が具体的な指示を出しているという理解でしょうか。そのような理解であれば、中村委員の御指摘は十分当てはまると思います。ただ、後半部分の書きぶりを見たときに、具体的な指示だけではなく、もう少し抽象的な意味での指示、あるいは推奨や促進も含むのか、疑問があります。事務局がお書きになった「使用者の指示」がどのレベルのものか、お聞かせいただければと思います。

○城内分科会長 では、事務局からお願いいたします。

○小宅計画課長 はい。これは、前々回だったでしょうか、企業ヒアリングをしたときに、会社が兼業・副業自体をしてくださいと、そういう意味での指示をしている場合については、健康確保措置をかなりカチッとやっているというデータがありました。それを踏まえてのものですので、いわゆる日々の業務指示ではなくて、副業・兼業をこの会社でやってくださいというような、そういう意味での指示ということです。

○城内分科会長 よろしいでしょうか。

○水島委員 ありがとうございます。すみません、私が十分理解できていないので、もう一回お願いします。業務指示ではなくて、この会社で働いてくださいという指示なのでしょうか。それは、どのように違うのでしょうか。

○小宅計画課長 一例ですが、関連会社のほうでこの曜日に働いてくださいと、そういう指示であって、例えばその曜日においてどの業務でやるかと、そういう具体的な、そういう意味での業務指示ではないという趣旨です。

○水島委員 関連会社でこの曜日に働いてくださいというのは、その本業の会社の休日に働いてくださいという、そのような指示と理解してよろしいですか。

○小宅計画課長 例えばの話ですが、本業の会社で月、水で働いて、木、金は関連会社のほうでと、そういったような場合があるということです。

○城内分科会長 砂原委員、お願いします。

○砂原委員 関連してですが、自分がどうなんだろうと考えていて、質問です。私、実は名刺が4枚、5枚あり、東京海上ホールディングスという会社がメインの職場ですが、東京海上日動の同じ健康管理をやっているセクションを兼務しています。そこは一体で運営しているので、時間管理なども同じ端末のログオンログオフで管理できます。そのほかに、メディカルサービスという会社を兼務しており、これは全く別会社です。そこの上司からは、「週1回ぐらい来いよ」と言われており、一応木曜日に行くと言っているのですが、別の日に打合せ等で訪問することも頻繁にあります。上司にとってみれば、部下がいつ来るかわからない状況でもあり、オフィスに来ていても自分の部下としての仕事をやっているかもわからない。そんな形となっていて、上司も管理が困難な状況になっています。加えて、そこの肩書で学校法人の理事と疾病管理会社の取締役もやっています。これをどうやって管理するのかと言ったら、やはり本人が自分の時間がこうですと言わない限りは、会社が把握することは100%不可能ではないかと思います。そういうことが、多分、水島先生がおっしゃっている趣旨ではないかと思いますが。

○城内分科会長 この点については、御意見等はございませんでしょうか。中村委員、お願いします。

○中村(恭)委員 ありがとうございます。先ほどの事務局の御説明にあったとおり、ここで私もイメージしたのですが、やはり関連会社で使用者が指示をして働くというところがほとんどではないのかなと思っています。先ほど、ほかの委員の方からも実態の意見を頂きましたが、やはり関連会社であるならば、何かしら情報交換を行って、きちんと労働時間を管理することは可能ではないのかなと思いました。ここの書き方でいうと、労働者側の申告について、これを全く否定するわけではありませんが、やはり使用者側にある程度責任を持っていただき労働時間を把握するところが本筋ではないのかなと思っておりますので、意見として発言させていただきました。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございました。門﨑委員、お願いします。

○門﨑委員 ありがとうございます。質問になるのかとは思うのですけれども、資料2の6ページの上から2つ目の中ポツの3行目に「副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ」うんぬんというようにあります。この法律を超える健康確保措置について、個人個人の労働者が使用者と話し合うというのはちょっと難しいのかなと思っているのですけれども、この労使の話合いというのは、具体的にどのようなイメージを持っていらっしゃるのか教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○城内分科会長 三柴委員どうぞ。

○三柴委員 まず、労使の話合いとはどういうものかということ。ドイツなどでしたら、労働者と似たような方、労働者類似の方をどう扱うかということについて、ソーシャル・ダイアログと向こうでは言っているのですけれども、労使間で改めて話し合って決めていくと。要するに、新しい課題もいろいろ出てきているから、より労使の協議の枠組みを強めていこうという動きを取っているということです。これは既存の労使協議の枠組みだから、個々の事業場での労使協議や団体交渉のようなものかもしれないし、産業別の協議や交渉など、いろいろ形態はあり得ると思うのですけれども、そういうものを使っていくと。政策がそれを誘導するということもあるのかもしれません、この分科会のような枠組みも含めてですけれども。
これは今お答えいただく必要はなくて、事務局にお考えいただきたいことなのですが、今回の兼業とか、あるいはフリーランスを含めた労働者類似の方への安全衛生政策を進めるに当たり、安全衛生政策の所掌範囲というのをどこまでと考えるかという根本課題が、実は突き付けられていると思います。と言うのは、これまで安全衛生政策は、主にブルーカラー用、いわゆるブルーカラー用の技術的な対策を中心としてきた。それが最近になって、ホワイトカラー用の社会的な対策を大分取り込むようになってきたという流れがあるわけです。そして、今回、ターゲットになっている問題、前提になっている問題は、恐らく労働者類似の方でSOHOをしておられるとか、そういう方が1つの中心だと思うのです。
とはいえ、例えば化学物質対策とか、機械とか、電気とか、これまで安全衛生政策が伝統的に扱ってきた課題も、恐らく無視はできないのだと思うのです。そうすると、一人親方のような方も、今回の政策議論に入れるのか。化学物質についても、いろいろな事業場で働いてきた方がそれぞれで何らかのばく露をしてきたというような方も、ここで含めて考えるのかと。あくまで最近出てきた働き方、新しい働き方のみを対象としていくのかということは、考えないといけないと思うのです。
さらに、この議論の行き先を考えたとき、恐らく発注者とか業務管理者の責任をどうするかという問題が出てくるだろうということと、労働者については、あるいは労働者類似の方については、エンプロイアビリティと言いますけれども、要するに転職しやすさですね、市場での自分の力についてどう鍛えていくかという、そういう課題も恐らく出てくる。そこまで考えないと、実効的な対策になかなか結び付かないのではないかと思います。すみません、長くなりました。

○城内分科会長 ありがとうございました。では事務局からお願いいたします。

○小宅計画課長 門﨑委員からの労使で話し合ってという、労使の話合いのイメージということですけれども、何かカチッとした形式的なものというのに決めているわけではなく、組合を通じてというような形もあるでしょうし、個別にということもあるでしょうし、その企業において実態に応じて対応の在り方があると思いますので、やりやすい形でということで、ここはイメージしております。
それから会社の指示について、肩書が幾つもあってというような具体的な例示もあったところですけれども、個別具体の指示、先ほどもありましたように何日に出てきてくれと、それでこの業務をやってくれという意味ではなくて、繰り返しになってしまいますけれども、こっちの所に行ってくれというような、そもそも副業をしてくれと、契機としての指示という意味合いで使っております。
それから三柴委員の御発言につきましては、今後の検討に当たっての留意事項ということですので、そのようにさせていただきたいと思います。

○城内分科会長 そのほか御意見はありませんでしょうか。清田さん、お願いします。

○中村(節)委員(代理 清田氏) すみません、代理出席ですけれども意見として申し上げさせていただきます。資料2の5ページにある議論のまとめについてなのですけれども、ガイドラインの見直しにおいて、「実質的に雇用労働である場合には、形式的な就労形態に関わらず、労働安全衛生法等が適用されること」ということを検討されているということです。こちらはそもそものお話だということは理解しておりますけれども、雇用管理に関わる誰もがしっかりと正しく認識できるように、実質的な雇用労働とみなされる場合の具体例ですとか、そういったことを詳しく書いていただけると助かると感じます。
続いて7ページの今後の検討課題についてです。労働安全衛生法に基づく措置というのは、そもそも職場における労働者の健康や安全を確保することを目的としているということを踏まえると、やはり使用者の影響が及ぶ範囲である、自社における労働状況や労働環境に応じた措置を、責任を持って取り組んでいくということが原則であるかと考えます。他の事業所の労働状況に干渉するということは非常に困難なことであるという前提に立ちますと、自社の労働環境に対する健康確保措置に限定して取り組んでいくことが現実的かと考えます。兼業・副業というものを、円滑に促進していくという視点に立つのであれば、過度な制約というものは設けるべきでないかと思います。したがって、定期健康診断やストレスチェックの対象者となる労働者は、自社の雇用形態や労働時間に応じて選定していくことが妥当であり、現行のガイドラインどおり、副業・兼業先の労働時間を通算するべきではないと考えます。
また、労働安全衛生関係施策や法令等を通じた統一的な本業、副業・兼業の定義を設けて、健康確保措置の実施者の在り方を検討するということに当たっては、各事業所が自社の労働環境に対して個別に健康確保措置を講じていくということにするのであれば、自社か自社以外かということに区分されるのみとなって、どちらが本業でどちらが副業・兼業かという一律的な定義を設けることは余り重要ではないかと思われます。
最後に、フリーランス等の新しい働き方については、自らが事業主として自己の責任の下で事業を行うことを原則として、各省令を考えていくことが妥当と考えます。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございました。佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。本日の資料2の7ページ、今後の検討課題の2つ目にあります、統一的な本業、副業・兼業の定義についてに関して意見させていただきたいと思います。本日お示しいただいた資料1、労働者調査の結果の15ページの表にありますとおり、副業を場合分けしますと、一番右にあるように、どうしても「その他」というようなセグメントが出てくるということです。ここにいみじくも「有償ボランティアを含む」ということで例示していただいていますけれども、例えばこうした有償ボランティアも副業・兼業に含むのかどうかということについては、今後しっかり検討していく必要があるのではないかと思っています。労働側としては、トータルで労働時間が長くなってくるのであれば、何らかの健康確保措置は必要になってくるのではないかと考えていますけれども、例えばこの有償ボランティアも副業・兼業と扱っていくのかどうかという点は、しっかりと議論を深めていく必要があるのではないかということで、意見として申し上げます。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いいたします。

○小宅計画課長 はい。資料2の7ページの所については、これまでの御提案といいますか、事項としてこういったものがあったのではないかということでまとめていますので、今後何か方向性を持ってどうこうということではなくて、正に議論すべきであろうという提案があったものがこういうものであったという理解で、これからいろいろ議論していただければと思っています。
資料2の5ページ目の2ポツ目の所については、またちょっと検討させていただければと思います。

○城内分科会長 ありがとうございます。鈴木委員お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。副業・兼業者の健康確保を考える場合に、何か事故が起こった場合に対応するという事後的なアプローチよりも、まずは未然に過重労働を防止するというような視点が、何より重要ではないかと考えています。その点で、先ほど事務局からも御紹介がありましたけれども、今、労働条件分科会の方で副業・兼業者を雇用している企業に対する上限規制、それから割増賃金規制に対する実効性を高める方向での議論が、大詰めとなっているところです。この労働基準法の運用の見直しの結果、副業・兼業者に対する過重労働を防止するということが期待できるのではないかということを、重ねて申し上げたいと思います。
加えて、先ほど御紹介がありました労働者調査を拝見しますと、健康状態や労働時間に関しては、総じて副業・兼業している方が強い不安、悩み、ストレスを抱えているという状況ではないようでありますし、また高ストレスになっている状況も見られないのではないかと思っています。そういうことを考え合わせますと、今回まとめの案として、安衛法上の健康確保措置の見直しということでなく、必要な中でのガイドラインの見直しを図るという方向性について、支持したいと思います。
その上で、中身について2点ほどお話をさせていただきます。1つは、健康確保を図る上で、副業・兼業の実態というのは様々だということを踏まえないといけないと思っております。資料2の6ページの2つ目のポツにも書いてありますけれども、就業の実態。企業の実態を踏まえて、労働者の健康確保のために、適切な措置が各社で選択できるようにすることが重要と考えます。また、今後企業の行う様々な健康確保に資する工夫を、できれば厚生労働省としても引き続き収集して、広く周知をしていただく活動をお願いできればと思っています。
もう一点は質問になるのですが、6ページの3つ目のポツの後半部分、「また」という所ですけれども、「また、業務内容や就業時間など、希望する条件に合致する副業・兼業先の検索が困難な場合、ハローワークの窓口に相談するなどして、職業安定法や労働基準法に抵触しない適切な副業・兼業先を選択する必要があること」という記載がされています。これは、前回の労働側の委員の発言を受けて盛り込まれた内容だと思っていますけれども、職業安定法や労働基準法に抵触するようなケースというのは、典型的にはどのような例かということについて、改めて御説明いただけると有り難いと思います。よろしくお願いします。

○城内分科会長 漆原委員、どうぞ。

○漆原委員 多分、前回ハローワークのシステムの課題について発言させていただいたことを受けてこの記載が入ったのではないかと思います。ご承知のとおり、ハローワークは失業者に仕事を紹介するためのシステムで、副業・兼業を想定して作られていません。そのため、すでに労働者として働いている者が副業・兼業を探すことができない。また、副業・兼業の定義すらなく、システムとして副業・兼業の検索ができない中で、例えば、副業・兼業先の企業においてどのような競業避止があるのかどうか。また、副業・兼業として本業から、例えば「週20時間以内」といった許可があった場合の「副業・兼業の検索」も、なかなか現状では難しいと聞いています。記載の「それが困難な場合、ハローワークの窓口に相談するなどして」という後段の所については、ハローワークで副業・兼業を検索できない中で、労働者が偽装請負などの違法な副業・兼業を選択してしまうことがないような対応が必要ということで、例えば職安法もそうですけれども、労基法でいえば、請負を装った労働者供給事業のような形の中間搾取に該当する場合は、労基法の違反になるということです。分かりやすく言うと、「偽装請負などではない適切な」という表現かと思います。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございました。事務局から何かありますでしょうか。

○小宅計画課長 まず基準法違反の例としてはということですが、今、漆原委員から前回の議論についての御発言がありましたので、そういう趣旨であれば、またこの記述はちょっと検討させていただければと思います。

○城内分科会長 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。職業安定法、基準法の抵触というのはかなり広くてイメージが付かないので、私からも、具体的に分かる、今、漆原委員がおっしゃったような趣旨の修正を御検討いただければ有り難いと思います。

○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかコメント等、お願いします。

○袈裟丸委員 資料2の5ページの上から2つ目の所に、「環境を整備する観点から、不利益な取扱いをすることはできないこと」とあるのですが、AだからBという主従よりも、環境整備が必要であるということと、不利益な取扱いをしないということは並列だと思いますので、例えば文章を「環境を整備する必要がある。また」と続けるとか。そういうふうに読んだときに受け止めたので、そういう解釈で合っているのかどうかも含めて、ちょっと確認させていただきたいと思います。

○城内分科会長 事務局からお願いします。

○小宅計画課長 ここの趣旨は、先ほども……明確に確認してほしいとかという趣旨が、分かりやすいように具体例をとかという話がありましたが、環境を整備するというだけでは、なかなかどういったものが環境整備なのかというようなところもあるでしょうから、具体的な内容として一番分かりやすいものとして、不利益取扱いということを書かせていただきましたが、御意見がありましたので、またここも検討させていただければと思います。

○城内分科会長 そのほか御意見等ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。三柴委員お願いします。

○三柴委員 先ほどの会社の指示による兼業者の労働時間管理責任の話ですけれども、一応今の労基法上、通算規定があって、労働時間把握は使用者の責任であるということも書かれているわけなので、指示をしている以上は、基本的な労働時間管理責任はその指示をした使用者にあると法的には考えられる。けれども、実際にそのコンプライアンスをどう果たすかという方法論の問題において、自己申告も受けないとなかなか難しい点があるということですから、法的には責任は使用者にあるけれども、方法論については隙間のようなものがあったということなのだろうと思います。労基法上の問題に直接的には関わりませんが、労働者の健康にかかる民事過失責任との関係では、民事裁判例で、JFEスチール事件でしたか、二重の契約という意味では兼業に近い出向関係で、出向者を送り出した側がどうにも労働時間管理等が難しい場合については、出向者が長時間労働等で健康を障害しても責任を負わないケースがあるとしたものも確かあったので、その方法論というのは軽視ができないということだと思うのです。この機会にそうした方々への労働時間管理をどこまで強化するのかしないのかということも、議論が必要なのだろうと思います。
もう1つだけ申し上げますと、安全衛生というのは、事業場に問題を限定するかどうかはともかく、現場にあるリスクにどう対応するかという再発防止策を中心に展開してきた経過があるので、今回新しい問題について何がリスクなのかということを、まず同定する必要がある。1つは、フリーランスの方等については生活苦の問題がある。フリーランスに限らず収入が低い方がそうせざるを得ない、非自発的な副業・兼業者等については、やはり生活苦の問題を何とかしないといけないのではないかと。これは安全衛生の範囲に入るのかということは議論する必要があるけれども、そこに何らかの手当てをしなければいけないのではないかと。それから、それとリンクするけれども、現に長時間労働をし過ぎる方にどう手当てをするかということですね。また、長時間労働に限らない心理的なリスク要因についてどうするかという問題があるのだろうと。それに、先ほど申し上げたような伝統的な安全衛生の課題を付け加えるのかどうかということになると思うのですけれども、ものによっては付け加えざるを得ないのではないかと。ただ、それを短期でやるか中長期でやるかという問題が残るのかなと思っております。以上です。

○城内分科会長 ありがとうございました。ほかに意見はないでしょうか。私からちょっと印象を述べさせていただきたいと思います。長期にわたって副業・兼業について御議論いただいてきて、使用者側、労働者側の御意見ももっともだと思っております。ただ、三柴委員から今お話があったように、労働安全衛生法というのは、あるハザードがあったときに、事業者が予防的な措置をして、それで健康の問題については健診でカバーしましょうという枠組みできたと思うのですが、その枠組みがかなりもう限界にきているのではないかと、個人的には思っています。化学物質もそうですし、労働時間もそうですし、いろいろな事態でそういうことが見えてきたかなと思っています。ではどうすればいいかということなのですが、個人的には働いている人、労働者に対して、この仕事はこういうハザードがあって、こういうリスクもあるのですよということを、やはり伝えていかなければいけないのではないかと思っています。安衛法上は、いろいろな所に条文としては書いてあるのですけれども、実はそこに誰も努力をしてこなかったのではないかと、自分も含めてですけれども、そんなふうに感じています。
今、良い例があって、横断歩道の所に人が立っていたら止まらなければいけないのですよという法律ではあったけれども、それは誰も守らなかった、だからちゃんと守らせるキャンペーンをしましょうと実際にやって、事故が減っていたりしているわけです。ですから、ハザードはこういうところにあるのですよということを、直接、労働者に伝える努力をもっとしていけば、少し問題解決につながるかもしれないなという印象を持ちました。ちょっと座長として余計なことかもしれませんが、お話しさせていただきました。
そのほか委員の方、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。これで全ての議題を終了しました。本日も長時間にわたり熱心に御議論いただき、ありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○小宅計画課長 次回は、今日出ました御意見を踏まえて、またこれらの修正案でというようなことで御議論いただければと思います。具体的な日時については、また別途御連絡させていただきます。以上です。

○城内分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお議事録の署名については、労働者代表委員は袈裟丸委員、使用者代表委員は増田委員にお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。