令和2年8月3日 第181回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年8月3日(月) 9:00~12:00

場所

WEB会議
TKPガーデンシティPREMIUM田町 ホール4B
 

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて(事業者団体ヒアリング1)
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第181回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、大西委員、椎木委員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、井上委員に代わり、間利子晃一参考人に、黒岩委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
 以上により、本日は22名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 本日は、令和3年度介護報酬改定に向けた事業者団体ヒアリングを行うこととしており、ヒアリングさせていただく団体の皆様には会場にお集まりいただいております。
 ヒアリングの進め方につきましては、後ほど田中分科会長から御確認いただきますが、議事に入る前に、お手元の資料の確認と、ウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に、令和3年度介護報酬改定に向けた関係団体ヒアリング等の資料として、資料1「令和3年度介護報酬改定に関する関係団体ヒアリングについて」。資料2から資料14まで、それぞれ関係団体様から御提出いただきました資料をつけさせていただいております。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆様、ヒアリング団体の皆様、おはようございます。
 本日は、令和3年度介護報酬改定に向けて、事業者団体ヒアリングの1回目を行います。次回と合わせ2回のヒアリングを行っていく予定です。
 皆様方におかれましては、本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 令和3年度介護報酬改定に向けた検討の一環として、忌憚ない御意見を頂戴したいと存じますので、発表をよろしくお願いいたします。
 進め方ですが、本日は審議を3部に分け、それぞれのセッションごとに各団体のプレゼンテーションを連続して伺った後、まとめて質疑を行います。
 また、各部の入替えの間に休憩を入れる予定です。
 審議時間が限られていますので、プレゼンテーションはあらかじめお伝えしている時間の範囲を厳守くださるようお願いいたします。
 今回は、単独で御意見を伺う団体は5分、複数の団体の連名による意見表明の場合は15分と設定しております。終了時間の1分前にはチャイムが1回鳴り、時間が経過しましたらチャイムが2回鳴るそうです。学会並みに厳しいですね。その段階でプレゼンテーションは終了となりますので、御承知おきください。
 まず、ヒアリングの趣旨及び、第1部でヒアリングを行う団体について、事務局から紹介をお願いします。老人保健課長。
○眞鍋老人保健課長 おはようございます。老人保健課長でございます。
 それでは、ヒアリングの趣旨等について御説明をさせていただきます。
 今回のヒアリングにつきましては、令和3年度の介護報酬改定に向けた検討の一環として、関係団体から意見をお聴きするものでございます。よろしくお願いいたします。
 資料1にございますとおり、実施方法といたしまして、事前に私どもからヒアリングの聴取に関する意見をお聞きし、そして意見を表明されたいという団体に出席していただいてございます。
 大事なところですけれども、意見陳述が一通り終了した後にまとめて質疑応答を行っていただきますが、こちらは意見陳述内容についての議論ということではなく、陳述内容に関する御質疑をいただくという趣旨というふうにお願いをしたいと思っております。
 また、全国ホームヘルパー協議会様からは、書面の提出により御意見をいただいてございます。今日の資料につけてございます。
 それでは、第1部のヒアリング団体について御紹介をさせていただきます。
 日本ホームヘルパー協会より、青木文江様。
 全国訪問看護事業協会より、高砂裕子様。
 全国介護事業者連盟より、斉藤正行様。
 24時間在宅ケア研究会より、津金澤寛様に御出席いただいております。
 それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 早速ですが、日本ホームヘルパー協会の青木様より、御説明をお願いいたします。
○青木意見陳述人 日本ホームヘルパー協会の青木と申します。
 資料2を御覧ください。
 令和3年度介護報酬改定に伴い、ヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。
 訪問介護サービスは、訪問介護員やサービス提供責任者により、利用者の生活意欲、生活機能、社会性等を観察し、個々の状態像や暮らしを営む環境に合わせて継続的に介入しています。また、状態悪化のリスクをいち早く捉え、悪化を断ち切る働きかけや関係者への情報提供等により、利用者の主体性のある暮らしを再構築する専門性の高いサービスを行っています。また、利用者の維持・改善・QOLの向上等に寄与し、国が目指す地域包括ケアシステムにおいて、利用者の在宅生活の継続に欠かせないサービスとして位置づけられていると認識しております。
 しかし、現在、訪問介護の人材不足は危機的状況で、養成研修に人が集まらない、求人をしても応募がない、現任の訪問介護員の高齢化が顕著であるといった問題を抱えており、将来にわたり安定的にサービス提供を行うためには、人材確保は待ったなしの状態です。
 また、人材不足は、事業所の経営に直接かつ甚大な影響を及ぼし、昨年度の訪問介護事業所の倒産件数は過去最多となりました。このような状況は、利用者の不利益に直結し、将来的には、地域包括ケアシステムの崩壊にもつながりかねず、大きな社会問題であると受け止めています。
 日本ホームヘルパー協会では、訪問介護の重要性と専門性を評価いただくとともに、魅力ある訪問介護の仕事が給与の低さで敬遠されることなく、新規の雇用につながり、現任の訪問介護員が将来にわたり、安心かつ継続して働ける給与が保証されるような報酬改定が行われるよう切に要望いたします。
 また、介護保険制度の理念である自立支援・重度化防止に基づくサービス提供を行い、重度化を遅延させることは、将来の給付抑制につながり、貴重な財源の有効活用及び効率化に資するものであると確信しています。本観点から、既存のサービスにおいて、適正化や見直しが必要と考えられることについても提案いたします。
 まず、介護報酬改定に関すること。
(1)人材確保や雇用の継続につながる給与設定ができる報酬単価を設定してください。専門職として、全産業平均賃金以上の給与で常勤雇用が行え、介護福祉士の資格を持つ者がほかの国家資格保有者や専門職種並みの給与が保証されるだけの報酬単価の設定をお願いします。
(2)サービス提供責任者が法で定められた業務を全うできるよう、加算を創設してください。訪問介護サービスの要であるサービス提供責任者が介護保険法で定められている本来の業務を全うできるよう、サービス提供責任者の以下の業務に加算を創設してください。退院・退所時のカンファレンスへ参加した場合。緊急時等のカンファレンスへ参加した場合。ターミナルケアにおいて利用者宅を訪問し、心身状況の確認やサービスの調整を行った場合。
(3)医療依存度の高い利用者へのサービス提供に新たな加算を創設してください。以下に挙げた課題について解決を図るとともに、加算の創設をお願いいたします。ターミナルケア加算をつけてください。喀痰吸引研修の受講費用の補助等、受講しやすい環境を整備してください。
(4)生活機能向上連携加算を見直してください。ついては、自立支援・重度化防止に効果の高い在宅リハビリの推進に向けて加算の見直しをお願いします。
(5)日祝日・年末年始等の訪問に、新たな休日加算を創設してください。介護分野においても、休日加算を創設してください。
(6)新型コロナウイルス対策に関し、訪問介護事業所への継続支援と感染防止に配慮して行った介護サービス提供に関し、新たな加算を創設してください。以下の加算を創設してください。訪問看護の新型コロナウイルスに関する「特別管理手当」に類する感染症加算。通所介護や訪問看護で認められている電話等での状態確認での算定。
2、既存サービスの適正化に関すること。
 「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」の確実な実施について、保険者に再周知してください。利用者や関係職種に本制度の趣旨や効果が理解されるよう、都道府県・市区町村等を通じ、再周知を行ってください。
 以上です。
○田中分科会長 青木様、ありがとうございました。
 次に、全国訪問看護事業協会の高砂様より、御説明をお願いします。
○高砂意見陳述人 皆様、おはようございます。全国訪問看護事業協会の高砂と申します。
 資料3を御覧ください。本日はこのような貴重な機会を頂戴し、ありがとうございます。
 令和3年度介護報酬改定に関する意見を述べたいと思います。
 「地域包括ケアシステム」の担い手として訪問看護が役割を発揮するために、次の事項について検討いただきたいと思います。
1、中重度者の在宅療養を支える訪問看護の提供体制の拡充。
2、質の高い訪問看護の評価(診療報酬とのそごの解消)。
 次のページに参ります。具体的な内容になります。
1、中重度者の在宅療養を支える訪問看護の提供体制の拡充。
1)看護体制強化加算について、看護職の人員基準を設け、看護職が全体の60%以上とする要件の加算。看護体制強化加算は、医療ニーズの高い利用者への訪問看護体制強化や整備推進を目的に、平成27年に創設されました。この加算の趣旨に合った人員基準の在り方の検討をぜひお願いしたいと思います。
 下の表は、理学療法士等職員の割合が高いステーションの特徴ということで、理学療法士等の職員の割合が40%以上と40%未満のステーションを、職員1名当たりの重症者の受入数やターミナルケアの実施数を比較した内容です。重症者の受入状況に関して、別表7と書いてあるのは在宅酸素をなさっている方や留置カテーテルをつけていらっしゃる方で、40%以上の事業所では平均1.8人、40%以下の事業所では平均2.1人になっています。
 右側の別表8に該当する利用者というのは、重度の疾患の方です。上の40%以上の事業所では平均1.2人、下の40%未満のステーションでは平均1.6人となっています。また、訪問看護ステーションの役割の大きなところに、在宅でのみとりの支援がございます。ターミナルケアの実施状況として、リハ職の方が40%以上の場合は平均0.3人、40%未満の場合は0.7人という結果が出ており、人員基準の在り方の検討をお願いいたします。
 下の表になります。2、質の高い訪問看護の評価(診療報酬とのそごの解消)。
1)入院・入所時の医療機関等への情報提供の評価(訪問看護情報提供料の新設)をお願いしたいと思います。
重度高齢化する在宅療養に関し、利用者に切れ目ない支援が必要な状況になっています。平成30年診療報酬改定において、訪問看護ステーションが主治医を介して入院する利用者について、情報提供した場合、情報提供療養費3の算定が可能になっています。
 下の調査結果では、現在算定はございませんが、利用者にとって必要なことと判断し、訪問看護ステーションが自発的に情報提供を56%行っております。また、その結果、医療機関での活用方法は、看護師同士の連携や医療処置の連絡、在宅での看護が継続されるようなケアが提供されること、入院生活がスムーズに送れるような内容、そして退院時に向けても活用いただいていると聞いております。
 ぜひ、訪問看護情報提供料の新設をお願いいたします。
 最後の表になります。2)緊急時訪問看護加算を診療報酬の24時間対応体制加算と同額にしていただきたいと思います。
 左の表は、利用者の方が訪問看護師に求めることということで、24時間対応、相談に乗ってくれる、必要時医師に連絡しているの3つが挙がっております。そして、右側の緊急訪問の現状といたしましては、約1割の方に緊急訪問をしていて、深夜・夜間の場合、約4割の方に深夜でも訪問しているという現状がございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○田中分科会長 高砂様、ありがとうございました。
 次に、全国介護事業者連盟の斉藤様より、御説明をお願いいたします。
○斉藤意見陳述人 おはようございます。
 御紹介いただきました全国介護事業者連盟の斉藤と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 資料4を御確認いただければと思います。
 当団体は、法人種別やサービス種別の垣根を越えた横断的な組織ということで、組織化させていただき、現在、介護事業者が805社、6,850事業所、会員として存在しておりまして、会員の皆様方からいただいた意見を取りまとめさせていただいております。
 資料をおめくりいただきまして「はじめに」で、今申し上げましたとおり、私どもは横断的な組織ということでありますので、本日の御意見は全体的なテーマということで、既に分科会で示されております4つのテーマについて、意見をまとめさせていただいております。
個別のサービスごとにつきましては、当連盟で3つの委員会を設置しておりますので、都度、意見を取りまとめて、また個別に御報告、御相談をさせていただきたいと思います。
 なお、本日の御説明も時間の限りがございますので、既に分科会で議論をされていないテーマを中心に、一部、現状、分科会で議論されているテーマにつきましては、より詳しく御提案したいという中身につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 その他は、後ほど資料を御参照いただければと思います。
 まず初めに、1つ目のテーマ、地域包括ケアシステムの推進につきましては、3つの提言をまとめさせていただいております。
 1つ目に、制度のシンプル化によって、利用者のサービス選択の推進ということをより一層行っていただきたいということで、こちらは既に分科会で様々な意見が出ているかと思います。我々としては、利用者への選択ということがしっかりとできるような、利用者へのサービスの開示と判断基準を示していくということの重要性を付け加えさせていただきたいと思います。
 2番目に、地域密着型サービスの定義の再構築をいま一度お願いしたいということで、市町村に限定した住民の方しか原則的には利用できないという状況で、様々な不都合が起きているということで、もう一度、枠組みについての見直しを御検討いただきたいと思っております。
 3つ目ですが、地域区分の単価設定におきましての寒冷地の取扱いということで、根拠はこちらに示させていただいておりますが、冬場の雪国では別途の経費がかかるということで、改めて雪国地域につきましては、地域区分単価の見直しにつきまして御配慮をいただきたいと考えております。
 続きまして2つ目のテーマ、自立支援・重度化防止の推進につきまして、こちらは4つの提言をまとめさせていただいております。
 まず1つ目が、ADL維持等加算の拡充と算定要件の見直し、また、他のデイサービス以外のサービスへの展開を御検討いただきたいということ。こちらも既に分科会で様々な意見が出ておるかと思います。特に算定要件の緩和の見直しの中身につきまして、おまとめさせていただいております。例えば、短時間型のサービスでもBarthel Indexの改善効果が出ているということにつきましては、データ検証等をさせていただいておりますので、こちらも別途御検討いただければと思います。
 また、デイサービス以外への展開ということも併せて検討いただきたいと思います。
 2つ目に、生活機能向上連携加算についての算定要件の見直し。こちらも既に意見が出ているかと思いますが、中身については幾つか記載をさせていただいております。
 おめくりいただきまして3番目、アウトカム評価の拡充ということで、事業所評価加算、既に要支援1と2のデイサービスにつきましては設定をされている中身につきまして、要介護につきましても検討いただきたいと思っております。
 4番目のCHASEにつきましては、データの算出が大変難しいということもございますので、トライアル項目の設定等を御検討いただきたいと思います。
 3番目の介護人材の確保・介護現場の革新につきましては、3つまとめさせていただいております。
 1つ目は処遇改善に関してですが、事業者の裁量の拡大ということで、介護職以外へのさらなる拡充や、職員への給与以外の人材総合対策につきましても一定の御検討をいただきたいと思っております。
 2つ目の文書削減につきましては、先般開催されました専門委員会を再開いただきまして、進捗の徹底を図っていただきたいと思います。
 3番目のICT活用につきましても、既に議論されているとおりですとか、個別につきましては、AI等の活用に基づくケアプランの作成につきましての推進をお願いしたいと思います。
 最後、4つ目の制度の安定性・持続性の確保につきましては、このコロナ禍での影響をより一層検討いただきたいということで、4つまとめさせていただいております。
 1番目の事業者の影響調査につきましては、既に老健事業でも取組を始めるとお聞きしておりますので、中身を含めて検証いただければと思います。
 2つ目に、コロナは一定期間の影響という配慮もございますので、一定期間限定の加算の創設等も御検討いただきたいと思います。
 最後にマル3、マル4、軽度者への在り方及び集合住宅への在り方につきましては、いま一度、このコロナ禍の状況を踏まえて、介護事業者の苦しい現状を踏まえた在り方の見直しにつきましては、より慎重な議論を進めていただきたいということでお願いをしたいと思います。
 以上になります。
○田中分科会長 斉藤様、ありがとうございました。
 次に、24時間在宅ケア研究会の津金澤様より、発表をお願いいたします。
○津金澤意見陳述人 おはようございます。一般社団法人24時間在宅ケア研究会、理事の津金澤です。会長の冨永に代わりまして、御意見申し上げます。
 資料5を御覧ください。
 1枚めくっていただきまして、右肩の3から御説明いたします。
 定期巡回・随時対応サービスが持つ可能性について。この定期巡回サービスは非常によいサービスでして、ぜひ日本全体に普及していきたいなと考えております。大きく4点ございます。
 1点目、自宅で最期まで暮らしたいという利用者の希望をかなえることができる。
 2点目、家族をはじめとする主な介護者の介護離職を避けられる。非常に重要だと思います。
 3点目、介護人材不足の解消。人材不足は非常に深刻でございますが、常勤換算1人の職員が支えられる利用者数を増やすことが可能でございます。
 4点目、介護人材不足の解消。給与水準を引き上げられる。簡単に説明をしますけれども、箱物サービスと比べますと、箱物サービスでは客単価と定員が決まっております。客単価と定員が決まっているサービスに関しては、売上げはそこで頭打ちです。そうなってしまうと、職員の定期昇給は当然不可能になります。定期巡回であれば設備投資は不要ですし、お客様の数、御利用者様の数を増やしていくことは実際に可能でございます。
 1枚めくっていただきまして、右肩の数字が4です。
 この定期巡回サービスが持つ可能性を最大化するための御提案を4点申し上げます。
 1点目、人材の有効活用(人材不足解消)に逆行するローカルルールを撤廃していただきたい。
 2点目、事務作業負担軽減を阻害する指導の撤廃。こちらもローカルルールでございます。
 3点目、夜間対応型訪問介護の必要性について。我々は非常に必要であると考えております。
 4点目、夜間対応型訪問介護との基準の整合性について。今ちょっとばらつきがありますので、定期巡回の基準と合わせていただけると、非常に経営がしやすいかと思います。
 それでは、詳しく説明をしますので、右肩5の資料になります。
 人材の有効活用に逆行するローカルルールの撤廃ですけれども、表を御覧いただきまして、一般的なサービス提供が認められている訪問介護、夜間対応型訪問介護、訪問看護について、本サービスと勤務時間を分けた勤務表の提出が求められている事業所が非常に多いのですけれども、本来これは分ける必要がないという状況なので、こういったローカルルールをぜひ撤廃していただきたいと思っております。
 夜間対応型訪問介護と本サービスを一体的に提供している場合に、オペレーターとは別で訪問要員の配置が義務づけられておりますけれども、これも兼務が可能となっておりますので、こういうローカルルールに関しましては撤廃をお願いしたいと思います。
 3点目、訪問介護事業所への一部委託。これも当然認められているわけですけれども、認められていないという事業所がいまだにございますので、こういったところをQ&A等で整理していただけると非常に助かります。
 次に、右肩6の資料になりますけれども、今申し上げましたとおり、指定権者ごとの解釈の仕方によりまして、本来の趣旨に逆行する解釈ができてしまう余地を排除するため、基準上での明記またはQ&Aの追加をお願いできればありがたいと思っております。
これはもちろん指定権者の判断の中で、利用者の処遇に支障があるという根拠に基づくローカルルールの制定を妨げる趣旨ではございません。
 続きまして、資料の7番目、事務作業負担軽減を阻害する指導の撤廃をお願いいたします。
 表の真ん中ですけれども、サービス提供票上に随時対応(コール受付)の時間を除く、利用者宅に訪問をした時間のみの記載を求められている。緊急コールを待つ時間も当然勤務時間でございます。
 詳しくは、もう一枚めくっていただいて8ページでございます。事務作業負担軽減を阻害する指導の撤廃で、柔軟なサービス提供が認められているにもかかわらず、サービス開始時間が前後した場合、サービス提供票上で行を分けて記載することを求められることで、非常に事務量が増えております。
 次は9ページです。夜間対応型訪問介護の必要性です。
 入退院におきまして、退院後老健さんを利用されて、定期巡回を利用して、夜間対応、訪問介護、最終的には訪問介護に戻る方、その逆ももちろんいらっしゃいますので、そういった意味で、継続的な利用という意味では夜間対応が必要です。
 最後、右肩の10です。夜間対応型訪問介護との基準の整合性については、表を見ていただきますと、夜間対応では認められていない、定期巡回では認められているというもので、整合性が取れていないものも一部ございますので、これは整合性を取っていただくという意味で、基準にそろえていただくことを提案いたします。
 以上です。ありがとうございます。
○田中分科会長 津金澤様、ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様、今の団体の皆様方の説明に対して質問がありましたら、20分ほど時間を取ります。どなたからでもどうぞ。
 濱田委員、お願いします。
○濱田委員 ありがとうございます。
 まず、資料4の全国介護事業者連盟様に御質問申し上げます。
 12枚目、AIケアプラン推進の加算創設を要望されておりますが、例えばソフトやハードなど、もし加算による収入を充当したい内容、またこのAIケアプラン導入によりまして、効率化、算定件数などというもので、何か貴連盟で検討されていることがあれば教えていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○田中分科会長 斉藤様、お願いします。
○斉藤意見陳述人 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 先ほど冒頭で申し上げさせていただきましたとおり、個別の中身につきましては、また改めて委員会でより詰めていきたいということでございますが、大前提のところだけお伝えさせていただくと、AIということにつきましては、要件定義が大変難しいと理解をしております。今、様々なサービスやシステムも開発されているかと思いますが、かなり制度の高いものから粗いものまでございますので、AIの推進を行っていく上において、どのようなAIであればよしとするのかということについての要件は、政府のほうでも、また各省庁の皆様方もいろいろと御議論されているかと思います。そういった内容を踏まえた上でということが大前提でありますが、今、濱田委員からおっしゃっていただきましたとおり、趣旨としては、きちんと質を担保していくということを大前提に効率化が図れるということの一定のエビデンスや根拠の存在していくようなAIを活用したという場合に、別途の加算や利用者さんの人数の上限、集中減算といった要件定義についての見直しを御検討いただきたいということで、個別具体的なハードやソフトの中身につきまして、こういうものがいいということまで私どもで詰めているわけではございませんが、このあたりを皆さんとしっかりと議論を進めさせていただきたいと考えております。
 以上です。
○濱田委員 ありがとうございます。
○田中分科会長 安藤委員、どうぞ。
 安藤委員、石田委員の順でお願いします。
○安藤委員 御報告、ありがとうございました。
 各事業者様からの御報告を受けまして、まず、人材確保が非常に大事だということは我々も認識しているのですけれども、確保のためには給料を高くするための加算が必要だというお話を皆さんいろいろな形でおっしゃっていると思うのですが、その中で、全国介護事業者連盟の斉藤様に質問させていただきたいのですが、斉藤様の御提案の中で、3番目の介護人材の確保・介護現場の革新のマル1、処遇改善加算及び特定処遇改善加算の書類の簡素化というものがあるのです。
 まず1点、処遇改善加算なのですけれども、そもそも今までいろいろな形で介護事業者の方たちに処遇改善するための手当てをやってきているのですけれども、どうしても我々のほうから見ますと、各介護人材の方たちに、そのお金がきちんと渡っていないような感じが見えるのです。
1つ質問なのですけれども、人材確保のために人材のあっせん事業者を使ったりとか、派遣事業者のための費用がかなりかかっているという実態があると思うのですけれども、そこの部分に関しまして、斉藤様のほうで実態としてどのような感じになっているのかということを御存じであれば、教えていただければと思います。
 以上です。
○斉藤意見陳述人 御質問、ありがとうございます。
 安藤委員におっしゃっていただきましたとおり、まさに介護の人材紹介の手数料につきましては、今、業界の中で様々な議論がされているところでございまして、私どもの会員メンバーの多くの声も、毎年毎年紹介会社さんに払う手数料が増加し続けているということで、介護事業者の収益を圧迫している一つの要因になっていると、間違いなく言えると思います。
 そういった観点からも、この処遇改善につきましては、きちんと従業員に還元していくということが大前提でございますので、この制度の意義、必要性は大変高いと理解をしておりますが、一方で、職員の給与ということにつきましては、介護事業者の人事制度や給与規定という経営の根幹に関わるところでもありますので、ある程度、事業者の裁量に委ねていただきたい面もあると感じておりまして、職員の給与以外にも、今申し上げた紹介会社さんへの手数料を含めた作業費や労務管理費、研修費等々がかなり高騰しているという状況にもございますので、そういった費用への配慮も一定お願いをしたいということで、このような御提案をまとめさせていただいております。
 以上です。
○安藤委員 ありがとうございます。
 もう一点、意見を述べさせていただきます。
 その次のページに文書削減の見直しの徹底、専門委員会の再開とあります。これはぜひやるべきだと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 石田委員、どうぞ。
○石田委員 よろしくお願いします。
 日本ホームヘルパー協会の青木さんに確認をさせていただきたいことがございます。
 この内容を拝見いたしまして、現在の訪問介護事業所というのは非常に危機的状況であるということを痛切に感じております。昨年度の倒産件数が過去最高という事態で、今、訪問事業がこんな形で非常事態に追いやられているということは、在宅の利用者にとっても緊急事態であるということを非常に痛感しております。
 今回、こういう形で要望された内容を確認いたしまして、最終的には報酬単価の引上げという御希望はよく分かるのですけれども、そのほかに、例えば、サービス提供責任者の業務、医療依存度の高い利用者さんが大変増えているという状況、あとは休日加算、最後に老健10号の「1-6」という要望が挙げられております。これらの内容につきまして、そちらの協会のほうで実際の実態調査やエビデンスみたいなものがどのぐらい取られているのか、もう少し実態の中で数字を示していただきながら、非常に大変な状態であるということが明確に提示することが必要ではないかと思うので、その辺の調査や実態の内容についてお聞きしたいと思います。
○青木意見陳述人 まず、御理解をいただいて、ありがとうございます。
 例えば、サービス提供責任者というのが、結構訪問介護では要となっているのですが、なかなか成り手がいない、あるいはケアマネジャーのほうにシフトして、実際に事業所でも宿泊しているという状況があるのです。
これは10年前に当協会が行った調査なのですが、私は10年後の今も改善されず、調査時と同様であると認識はしております。それによりますと、サービス提供責任者の全体業務時間のうちに、訪問業務に占める割合が41.1%です。このうち、人材不足を補うための代行訪問にかかる時間が11.9%。自らの担当訪問にかかる時間が70.2%を占めています。そういうことで、運営基準で定められた本来業務をなかなか行えないという実態があります。
 こういったところの問題点は何かという背景も分析しました。人材不足のほかに、サービス提供責任者の本来業務に報酬単価が設定されていないということが一番の要因かなと思っております。経営の視点から、訪問業務以外のサービス提供責任者業務が軽視されて、自ら担当を持ち、訪問して、収入を得る。1か月で100時間、訪問をしてもらわなければ経営は成り立たないという話もよく聞いております。こういった実態があって、確かに10年前の調査資料を出しているのですが、これは改善されていないと認識していると先ほど言いましたが、そのとおりだと思うので、こういったところを考えていただければいいのかなと。
 日曜・祝日というのも非常に大きいです。というのは、今、サービス提供責任者も、高齢の方はいいのですが、若い方というのは土日祝日といったところのお休みを要求してきます。それが条件になったりしています。登録型のヘルパーに対しても同じなのです。どうしても御家族がいる、小さなお子さんがいるとなれば、土日祝日はお休みしたいというのがその方たちの本音なのかなと思うのです。
そのために、土曜でも日曜でも祝日でもできるよという方はどうしても高齢者に限ってくるのですが、土曜日には基本給の1.25倍、日曜日、祝日には1.35倍を払っています。これが結構圧迫しているという状況になっています。
 それから、もう一つが医療依存度の高い利用者です。私たち訪問介護では、これから地域包括ケアシステムというところを考えたときに、医療依存度の高い方も訪問介護で担っていくというのが流れではないかということは認識しています。その中で、今実際に痰吸引とかをやっていらっしゃる。あるいはがんのターミナルの方ということになりますと、ケアマネジャーとかサ責とか、訪問介護員、御家族との連絡を密にしていかなければ成り立たないというところで、サ責も非常に頻繁に訪問介護員の要請に対して、かなり行っています。そのようにして情報を提供して、末期の方は日々変化するものですから、その人の今の状況に見合ったサービスは何か。あるいは、どのように対応したらいいのかということ。そういった大変さもあります。
 最近では、今まで利用していた方が入院しました。その退院のとき、今まではなかったのですが、私は地域包ケアシステムというのがかなり浸透してきているのかなと理解していますが、病院側のほうから、ケアマネジャー、医師、看護師、栄養士、薬剤師、いろいろな職種の方が集まって、今後退院に当たってどうしたらいいのか。特にターミナルの末期の方にはどういったことが必要なのかということで、皆さんがその方のサービスをどうしようということで議論され、合意をして、それぞれの職種の役割を明確にしているというようなことがありますので、私たちの仕事というのは普通は元気にしていくのですが、訪問介護員もサ責も、これから死に向かっていく人と向き合っていくという大変さもあります。
 そのようなことでよろしいでしょうか。
○石田委員 分かりました。今の窮状は非常によく伝わってきましたので、大変だと思いますけれども、その内容が客観的に分かるような数値やデータを早急に集めて、きちんと提出をしていただいて、窮状を訴えられるというのが今は一番必要なのではないかと感じました。
○青木意見陳述人 ありがとうございます。ぜひそうします。
○田中分科会長 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 伊藤です。
 日本ホームヘルパー協会にお尋ねをしたいと思います。
 お話で、在宅サービスにおいてはとにかく人材確保が非常に大変だということは前から課題になっておりますが、訪問介護員の高齢化の問題を今日も御指摘になりまして、危機的な状況ということはよく分かりました。
 少なくとも、提案いただいた、全産業平均賃金以上の給与で常勤雇用が行えることや、ワーク・ライフ・バランスを考えて土日祝日等の訪問に対する手当が必要であり、この分の報酬ということは非常に重要なことだなと思いました。
 お聞きしたいのは、処遇改善加算が十分取得できていないという御主張のようなのですけれども、処遇改善加算の要件で、キャリアパス要件と職場環境等要件とありますが、キャリアパス要件の中でどの要件が、算定するにあたり満たすのが難しいということがあれば教えていただきたいと思います。
 あと、サ責の任用要件については見直しが行われておりますけれども、この点について、人材確保の観点から何か影響があったかということを教えていただきたいと思います。
 最後に、コロナ禍で人材面への影響ということを危惧しているのですけれども、ヘルパーの中には高齢者がかなり多いので、働く方にどのように影響が出たかということがありましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
○青木意見陳述人 まず、私どもが一番気になっているのは人材確保というところなのです。本当にこれはせっぱ詰まっているというのが実情です。
 これに関して基本給を上げてくれとか、いろいろなお願いをこちらでも要望いたしました。ですが、それを満たしたら人材は集まるのかと言われれば、なかなかそうはいかないのが現状ではないかと思います。
 その一つに、私が常々気になっていることは、社会の風潮というのでしょうか。最近びっくりしますが、学校の先生あるいは家庭の両親が、勉強をさせる一つの方便として、勉強しなければ介護の仕事しかないよということがまかり通っているということを聞いています。そうすると、福祉の仕事がすばらしいのだという社会の風潮が生まれるのと、そのように人生どうにもならないよというような、最後は介護の仕事しかないよというような、そういったことは、少しずつ影響を与えていくのではないのかなと。
 それについては、人材、若い人たちにも魅力があるように、育成というわけではないけれども働きかけみたいなものが必要なのではないか。昔からよく介護職は3Kと言われて、本当にそれを聞くたびに、世の中はそのように思っているのかと思っていました。でも最近では、その3Kというのは私もよく講義で使います。そうではないよと。訪問介護の仕事、介護全般のあれですが、介護というのは利用者に希望を与えたり、向上したり、感動といった3Kなのだということで、こういう働きかけをもっと社会に伝えて、介護はすばらしいのだというふうに持っていかないと、いろいろな条件をクリアしても、なかなか人材確保というところまでにはつながらない。
 魅力ある仕事なのだというところを、私たちが訴えていく必要があるのかなと思っております。
 それから、本当に国は特定処遇改善加算といったところで頑張っていただいています。ですが、実際に取りにくいという声があります。それは、小さな事業所は1つのチームとなって支えているわけです。そのときに、ほとんどの事業所がケアマネも抱えています。そうすると同じ事業所の中で、訪問介護員だけというわけにはいかなくなって、そこのバランスを取るために、事業所が何らかの方法で対策を練っているわけです。
 それから、給与規定の改正に当たって、知り合いのところが大変なものをやってしまったと。どうしたのかと言ったら、専門家に頼んだら、改定に100万かかったのだということも訴えていました。
 とにかく格差が生じるというところと、処遇改善に限らず、全てにおいて事務が煩雑過ぎる。小さな事業所というのは、事務員がほとんどおりません。経営者がそこのところをいろいろとやっていくわけですから、難し過ぎてといった声が聞かれます。
 もう一つは何でしたか。よろしかったでしょうか。
○伊藤委員 あと、コロナの影響で人材への影響があったかということと、サ責の任用要件の見直しで人材確保に影響があったかです。
○青木意見陳述人 コロナの影響というのは、何よりも風評被害が怖いのかなと。実際に風評被害に遭って、デイサービスなのですが、それを閉じなければならなくなった。訪問介護も、コロナばかりではないと思いますが、この際にということで閉鎖したというところもあります。
 よろしいでしょうか。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 まだ質問があるかもしれませんが、時間となりましたので、第1部はここまでといたします。
 もし質問がおありの場合は、事務局にメールか文書で提出すれば、発表した方々に伝わるようにしてくれるはずです。
 第1部に御参加いただいた発表者の方々、どうもありがとうございました。
 次の部に入る前に入替えがありますので、7分程度休憩を取ることといたします。
 
(休 憩)
 
○田中分科会長 システムトラブルで少し遅れましたが、第2部のヒアリングにお越しいただいた皆様、どうもありがとうございます。
 それでは、第2部の審議に入ります。
 第2部でヒアリングを行う団体について、事務局から御紹介をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 それでは、御紹介させていただきます。
 全国社会福祉法人経営者協議会より、柿本貴之様。
 日本福祉用具・生活支援用具協会より、花岡徹様。
 日本福祉用具供給協会より、小野木孝二様。
 全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会より、宮島渡様。
 全国個室ユニット型施設推進協議会より、佐々木亀一郎様に御出席いただいております。
 それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 早速ですが、全国社会福祉法人経営者協議会の柿本様より、説明をお願いいたします。
○柿本意見陳述人 全国社会福祉法人経営協議会高齢者福祉事業経営委員会の柿本でございます。
 本日は、このような貴重な機会を賜りまして、大変ありがとうございます。
 スライドのほうに資料を映写していただいておりますが、限られた時間ですので、ポイントのみ御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、スライド2、令和元年度介護報酬改定に際しまして、特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人を対象に調査を実施いたしました。
 当調査で寄せられた1,400を超える施設の声を中心に、意見・要望をこのたび取りまとめております。
 スライド3を御覧ください。意見・要望の全体像につきましては、マル1からマル4の大きな柱を基に、全体のスローガンとして、地域共生社会の実現2040年へ備え・挑戦をするということを掲げております。
 スライド4ページ、5ページの経営基盤の強化について、お話しをいたします。
 社会福祉法人は、地域共生社会の実現に向け、地域における公益的な取組をはじめ多種多様な取組を実践し、着実に実現につなげてきております。
 一方、平成30年度サービス活動増減差額について、34.9%の特養が、私どもの調査で赤字という結果になっております。さらに、離島や中山間の地域においてセーフティーネットとしての役割を果たしています。定員30名の特養の約半数が赤字となります。定員充足率が90%以上の施設でも4割程度赤字となっており、強い危機感を持っているところでございます。小規模の施設の経営強化を強く要望いたします。
また、長期化する新型コロナウイルスへの徹底した対応を推進するためには、基本報酬の増額がぜひとも必要であると考えております。調査結果につきましては、スライドの6~8ページを御覧いただきたいと存じます。
 続きまして、スライド9、福祉人材の確保について御説明をいたします。
 採用計画数を満たす新卒採用を行えなかった法人は、私どもの調査で全体の7割を超えております。人口減少、高齢化が進む中、人材の量と質の確保が何より重要であります。基金のメニューや介護報酬における総合的な人材確保支援策の抜本的な強化を強く要望いたします。
一方、コロナへの対応が長期化する中、利用者の生活を守り抜くためには、余裕のある人員体制を確保できる報酬体系の確立が必要とされます。
 スライド10であります。続いて、処遇改善加算について御説明します。
 調査によりますと、処遇改善加算について、74%の法人が職場内での不公平感を払拭するために、看護職員やケアマネなどを中心に、独自で賃金の改善を実施しているところでございます。加えて、多くの法人が事務手続について大変煩雑と感じておりまして、この辺が法人本部、中小の法人の事務のマンパワーにかかっているということでございます。
 対象、配分方法等の見直しと法人裁量の拡大、そして事務負担軽減のための施策をスピーディーにお進めいただくことを要望いたします。
調査結果については、スライドの11~13ページにそれぞれ御説明させていただいております。
 続きまして、スライド14、生産性の向上とICTロボット等の活用につきまして、ICTの導入について8割が導入費用、4割が情報不足を課題として認識しております。導入を加速化するために、イニシャルコストだけではなく、ランニングコストの観点から、施設への定着に向けた支援について検討していただきたいと存じます。
 具体的には、報酬上の評価などのインセンティブの措置を講じることも非常に重要であると考えます。
 調査結果については、スライドの15~17ページを御確認いただきたいと思います。
 スライド18、自立支援・重度化防止、認知症施策の総合的推進について御説明します。
 重度化防止に関連する加算取得を促進するために、実態を分析し、単価の増額、拡充、要件の見直しをお願いしたいと思います。
 CHASEにつきましては、施設・事業所の負担を考慮して、何らかインセンティブの措置を導入していただくことを求めます。
 認知症施策の推進に関連して、多くの施設が認知症専門ケア加算の算定に障壁があると回答しておりまして、その大きな理由は、認知症介護実践リーダー研修の機会不足、都道府県によって開催回数が非常に少ないということ、現場にマンパワーの余裕がないために、なかなか複数回にわたって人材を研修に派遣する余裕が生まれていない、費用もある程度高額になっているという3つが大きな理由でございます。
 ICT化とともに、中山間地域における施設から研修会場までのアクセスなどの配慮、受講費用の軽減など、受講しやすい環境を整えていただければと存じます。
 スライド19、加算の見直し・創設でございます。介護職員、専門職の人材不足、関係機関との連携体制を理由に、多くの施設が加算について障壁があり、算定できいないと感じております。各種加算の算定要件、特に定期的な会議等の実施、外部の専門職・関係機関との連携、指導・助言等についてICTの活用を積極的に進めていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス、令和2年7月豪雨は法人経営に非常に大きなダメージを与えているところでございます。感染症対策及び災害対策に関する体制構築を評価する加算を創設していただき、非常時を見据えた体制強化を促進することを強く要望いたします。
調査結果については、スライド20を御確認ください。
 スライド21、その他でございますが、要望事項は記載のとおり3点でございます。
 中でも新型コロナウイルスに関連して、全てのサービスにおいて、減収に対して従前収入を補塡する仕組みの創設など、財政支援のさらなる強化を強く要望するところでございます。
 食費等の基準費用額についてですが、こちらも調理員の人件費の高騰、食材費の高騰等々で施設間によりばらつきはあるものの、全体として非常に費用の不足感を感じているところでございます。
 以上、要望の取りまとめを御説明させていただきました。
 最後に、いずれにいたしましても、私ども社会福祉法人が経営する特別養護老人ホームは経営基盤が全体的に様々な要因で脆弱化しているのが事実でございます。今後、コロナウイルスへの対策、災害時の対策にしっかり対応し、地域におけるセーフティーネットの機能を最後まで守れる法人・事業体であるためにも、ぜひとも今回の報酬改定において、経営基盤の強化につながる基本報酬の増額等を検討していただければ大変ありがたく思います。
 以上、説明とさせていただきます。ありがとうございました。
○田中分科会長 柿本様、ありがとうございました。
 何人かの委員から、音声が途切れて聞こえないというチャットがどんどん入っています。中断して、事務局は対応可能ですか。少々お待ちください。1人だけではなくて複数の委員から、音声が聞こえない、途切れるとの指摘が画面に届いています。
 直るまでちょっと中断してください。
(中断)
○田中分科会長 システムが改善したので、再開いたします。
 発表の方々、お待たせいたしました。
 次に、日本福祉用具・生活支援用具協会の花岡様より、説明をお願いいたします。
○花岡意見陳述人 ただいま御紹介がありました日本福祉用具・生活支援用具協会会長の花岡でございます。
 本日は事業者団体ヒアリングにお招きいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 当協会は平成15年4月、福祉用具製造事業者メーカーを中心に輸入事業者などで構成されている協会です。
 主な活動は、厚生労働省、経済産業省と協力し、福祉容疑のJISの規格の原案作成など、安全・安心な福祉用具を開発・普及する仕組みづくりを構築する活動を行っております。
 それでは、次期介護報酬の見直しに当たっての当協会の意見・要望を陳述させていただきますが、時間が限られておりますので、その要旨を発言させていただきます。
 1ページです。
 1点目は、福祉用具貸与価格の上限設定についてです。福祉用具貸与価格については貸与価格の上限が設けられ、3年に一度の頻度で見直すことになりました。今後、その運用に当たる要望を述べさせていただきます。
 上限価格や平均価格の公表で、貸与価格の安さが強調され過ぎ、安価だけれども安全性などが軽視される福祉用具の増加を助長することのないように、福祉用具の機能性向上と安全性の確保を実施していただきたいと考えます。福祉用具メーカーは、貸与対象の福祉用具開発に当たり、機能の開発、高齢者が利用する上でのリスク検討に多くの時間とコストをかけています。さらに、貸与サービスに対しての安全性を検討しております。
 レンタルという仕組みの福祉用具貸与サービスには、用具の消毒が頻繁に行われますが、貸与事業者により消毒設備は異なっております。そのため、福祉用具メーカーは製品の開発に際し、様々な消毒設備や機材に対し用具が著しく劣化しないように、消毒剤への品質対応を行います。
 さらに、貸与サービスは用具の組立て・分解と輸送を頻繁に行い、消耗部品の交換・修理を繰り返し行うので、長期間の品質維持が必要です。
このように、福祉用具メーカーは製品開発に当たり、機能面の向上、利用者のリスク検討だけではなく、貸与サービス特有の安全性の検討も行い、福祉用具貸与サービスの安全・安心を支えています。
 貸与対象の福祉用具において、安全性を軽視した製品が増長することのないよう、上限価格の実態を踏まえつつ、対応いただきたいと考えております。
 2ページ目です。
 2点目は、介護現場でのロボット・センサー等の活用について意見を述べさせていただきいます。
 1つ目は、介護施設への評価拡大です。当協会でも、介護ロボット・センサーの開発製造を行っている協会員がおり、介護施設、福祉施設などで業務効率化等に有効利用されている実績があります。
 厚生労働省の調査においても、施設に見守り機器の導入割合が高いと、夜勤職員の業務効率が図れるという調査結果が出ています。
また、新型コロナウイルス感染対策において、見守り機器の非接触・遠隔管理が的確な訪室判断につながり、感染リスクの減少に貢献しているという介護福祉施設の声もいただいております。
 次期介護報酬改定においては、ロボット・センサーの評価の拡大と、全施設を対象として導入施設への運用支援を加えた新たな評価を検討いただきたいと考えます。
 2つ目に、居宅への有効なロボット・センサー、そして新たな福祉用具の導入促進です。
 今後、高齢者世帯や独居世帯が増加する一方、介護従事者の不足が予測されます。居宅において、ロボット・センサー及び新たな福祉用具の導入がますます必要になると考えます。
 居宅へ導入を促進するためには、製品開発が活性化され、有効性の高い製品を介護現場へ導入することが必要です。その根本となる製造事業者等の製品開発を活性化させるため、介護保険福祉用具・住宅改修評価検討委員会を毎年開催することを御検討いただきたいと考えます。
最後に、令和元年10月の消費税10%増税は、非課税である身体障害者用物品製造事業者に対し損税負担が増加しており、また、さらに新型コロナウイルス感染拡大で多くの福祉用具製造事業所がサプライチェーンに大きな支障が出ており、対前年度で収益が減少しております。今後、介護現場に貢献する福祉用具の開発を促進するため、現在の福祉用具製造事業者の厳しい状況を御理解いただきますよう、お願い申し上げます。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○田中分科会長 花岡様、ありがとうございました。
 まだ音声が悪いようですので、またここで一旦中断して、調整してください。
(中断)
○田中分科会長 復旧したようですので、再開いたします。
 お待たせいたしました。日本福祉用具供給協会の小野木様より、御説明をお願いいたします。
○小野木意見陳述人 ありがとうございます。
 このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私どもは福祉用具のレンタルサービスをさせていただいておる業界の団体でございます。
 次のページをお願いします。まず、我々の福祉用具の商品が車椅子から自動排せつ処理装置等、多岐にわたりレンタルをさせていただいております。
 次のページをお願いします。我々はもう20年間やっておりますので、皆さん御存じだと思いますけれども、特に福祉用具サービスの特徴でございます。一番上の24時間365日、御利用者さんがいつでも利用できるサービスであるということと、一番下でございますけれども、レンタル制度を導入しておりますので、身体状況などの御利用者さんの変化に合わせて、適切に変更できるサービスであるということが特徴だと思っております。
 次のページをお願いします。見にくくて申し訳ないのですけれども、御利用さんの数とそれに対する費用という部分が載っております。特に利用者数のところを見ていただきますと、居宅の中では、全体では居宅サービスとしては393万人の方がサービスを受けられておりますけれども、その中で241万人、61.4%の方が、我々の福祉用具サービスを活用されている。そして、その費用としては4兆3000億に対して3020億ということで、7.0%という形で、小さな金額になっているということが特徴かと思っております。
 次のページをお願いします。我々のほうも、福祉用具専門相談員自身のレベルを上げるということで、昨年から相談員自身の研究大会を開催しております。昨年は6月17日に東京国際フォーラムで348名が参加いたしました。本年も6月に開催する予定でございましたけれども、残念ながらコロナということがございまして来年に延期されましたけれども、毎年、このような形で研究大会を開催しながら、福祉用具専門相談員のレベルアップを図っていきたいと考えております。
 次のページをお願いします。コロナの中での福祉用具サービスの特徴という部分でございます。
 福祉用具サービスは他のサービスと違いまして、人との接触が一番少ないという特徴がございます。結果として、このコロナ禍の中でデイサービスが受けられない、あるいはヘルパーさんのサービスが受けられないという過程の中で、御利用者さんのためにということで、入浴補助用具を導入するとか、あるいは屋内で歩行器を導入するとか、手すりを活用して、自分で何とか、あるいは家族の方と一緒になってトイレに行く、あるいはお風呂に入るという要望が出ております。
 一方、災害時協定ということで、我々のほうとしても、全国の保険者である自治体の皆さんと現在145の市町村との災害時協定を結ばせていただいています。
 次のページをお願いします。これが災害時協定の中で、実際に我々のほうから発動させていただいた事例でございます。
 2年前、平成30年には京都市並びに長岡京市でベッドのレンタルをさせていただきました。
 次のページをお願いします。今年度は熊本県のほうで、福祉用具のレンタルをさせていただきました。
 それでは、我々のほうの要望でございます。
 次のページをお願いします。読ませていただきます。
 福祉用具貸与価格の上限設定については、本年6月10日開催の社会保障審議会介護給付費分科会の了承を受けて、令和3年4月貸与分から適用する価格を見直した上で、その後、3年に1度の頻度で見直すこととなりました。業界団体としてはこの決定に対して、制度の適切な運用を啓発し、前向きに取り組んでいく所存です。
 しかし、この制度は他の公定価格と違い、見直しを重ねるごとに上限は確実に下がっていく性質を持っています。また、現場における貸与価格は地域の競争を経て形成されています。
 つきましては、今後について福祉用具貸与事業者が適切なサービス提供を実施し質の維持向上に努めていくためにも、事業者の経営が圧迫されないような制度の運用を要望します。
 次のページをお願いします。2番目といたしまして、特定施設利用者への給付についてという部分でございます。
 特定施設入居者生活介護の指定を受けていない住宅型有料老人ホームやサ高住の入居者に対する福祉用具貸与は、介護給付によって福祉用具専門相談員によるアセスメントやモニタリング等が実施され、適切に活用いただいているところでございますけれども、介護付き有料老人ホームの入居者は福祉用具貸与が介護給付の対象とならないことから、適切な用具とサービスが残念ながら利用者のほうに行き届かない現状がございます。
 住宅型有料老人ホームやサ高住においては、途中から特定施設入居者生活介護の指定を受けるケースが存在し、この場合、既存の福祉用具利用者は、本人に適合し使い慣れていた福祉用具を解約した上で、施設が準備した福祉用具を利用する状況であります。
 このようなことが起こらないよう、特定施設入居者生活介護の利用者においても福祉用具貸与を給付対象としていただけるよう要望します。
 以上です。
○田中分科会長 小野木様、ありがとうございました。
 次に、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の宮島様、お願いいたします。
○宮島意見陳述人 全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の宮島と申します。
 本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
 本日は、小規模多機能の現状をお伝えし、検討いただくための素材を準備いたしました。全ての資料を説明するのは時間的に難しいことから、具体的な話は資料を御確認いただき、小規模多機能から見た現状についてお話しをしたいと思います。
 小規模多機能は、創設から15年を迎えました。全国に約5,500か所、10万人の方に御利用いただいております。
 創設当初の小規模多機能から状況は大きく変化しています。解釈通知にあるように、通いを中心として訪問や宿泊を組み合わせとなっておりますが、この間、利用者ニーズも変化しており、通い中心から訪問の重要性が増してきております。訪問回数も伸びてきております。
 また、利用者の53.2%は独居や高齢者のみ世帯になっております。
しかし、パッケージサービス、通い、泊まり、訪問、ケアマネジメントの提供を24時間365日提供していることが、小規模多機能の強みであると考えております。
 今回の内容は3点です。
 1つ目は、スライド4~11の基本報酬の見直し。
 2つ目は、スライド12~18の加算の検討。
 3つ目は、スライド19の地域共生社会の実現です。
 資料は、スライド3のとおり7つの柱立てをしておりますが、詳細は後ほど資料を御確認いただければと思います。
 先ほどお話ししたとおり、小規模多機能を取り巻く状況も変化しております。しかし、報酬構造は要介護度1や2の軽度者は低く抑えられ、中重度者は比較的高い構造となっており、制度創設当初からあまり変わっていないということです。
 ちなみに、平均要介護度は2019年の調査では2.20、2009年の10年前の調査では2.37ということでした。したがって、稼働率が70%になっても半数は赤字という状況がスライド16のほうから分かります。
 利用者を増やしても黒字化しないというのは、恐らく新規の紹介は軽度者が多く、契約修了者は中重度者が多いということだと、報酬構造が赤字に影響するという要因になっているのではないかということです。
 入所系の包括報酬系サービスは、なだらかな報酬構造となっており、利用者の入れ替わりによる影響は少ない構造になっております。したがって、包括的サービス提供プラス包括報酬という点では、むしろ施設サービス体系に近い報酬設定が必要ではないかと考えております。
 地域共生をキーワードに、自宅や地域で役割や生きがいを見据えた支援をするという状態像の改善をするスライドも資料に入れておきました。 利用者や家族によっては喜ばしいのですが、事業者としては複雑な心境です。翌月、赤字が待っているわけですから。
 介護離職ゼロに向けて、家族の状況に合わせて21時までの通いや1日複数回の訪問をしている事例も入れました。このままでは、持続可能な事業所として運営していくことはできません。
 新型コロナ禍で、基本報酬の見直しや加算の検討は難しいかもしれません。しかし、小規模多機能側から見れば、今後、強がりと痩せ我慢だけではやっていけないという状況になっております。
 基本報酬の見直しに向けて、エビデンスある資料も入れさせていただいております。加算についても、訪問体制強化加算の基準になる月200回の訪問の倍となる400回以上の訪問がスライド13のほうに載っておりますので、全体の4分の1が400回以上の訪問をしているということです。
そのほか、期待への評価ではなく、実践していることを評価していただく資料を提供させていただいております。
 これまでの報酬を上げられない代わりに、緩和という路線ではなく、地域共生社会実現に向けて、利用者や地域の求めるケアを提供できるよう、御検討をお願いします。
 在宅での生活を継続するためには、単にケアを提供すればいいということではなく、本人を取り巻く関係機関、ネットワーク、民生委員や近所との付き合い抜きには実現できません。調査ではスライド15~16に、週当たり1~2時間はそこに費やしていることが明らかになっております。
 このような小規模多機能を今後継続的に存続していくためにも、これらのことを要望させていただきます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 宮島様、ありがとうございました。
 次に、全国個室ユニット型施設推進協議会の佐々木様より、御発表をお願いいたします。
○佐々木意見陳述人 全国個室ユニット型施設推進協議会の佐々木でございます。
 本日は、このような意見を述べさせていただくお時間をいただきましたことに、感謝を申し上げます。
 お時間の関係がありますので、当方の資料を御覧いただいて、まずは本題に入らせていただければありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、個室ユニット型施設事業者が置かれている現状について、総括的な意見を述べさせていただきます。
 そもそも個室ユニット型施設の推進は、厚生労働省が平成13年9月28日の全国介護保険担当者会議で、特別養護老人ホームにおける4人部屋主体の住居環境を抜本的に改善し、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、これからは個室・ユニットケアを行う特別養護老人ホームの積極的な整備を進めると通達をしたことに始まります。
 そして、平成15年4月に介護報酬も制度化され、さあいよいよと私たちは思いましたが、これからだというときに、想定外の介護報酬大幅減額改定がされ、事業者は大きく出ばなをくじかれ、途中の微調整はありましたが、抑制的な介護報酬により苦しんでいるというのが現状です。
事業所サイドから見た個室ユニット型施設を取り巻く情勢は、以上のような形になっております。
 通常、厚生労働省が新規介護サービスを創設した場合、そのサービスの拡大を図る観点から、しばらくの間は意図的に介護報酬を高めに設定しているかと思いますが、次のページの資料1を御覧いただきたいと思います。個室ユニット型施設に関しては、その逆を行く結果となっていくのではないでしょうか。このベクトルの向きを反転させない限り、いつまでも目標達成は困難だと考えております。
 一方、厚生労働省は、介護事業者経営実態調査の結果を考慮して、客観的に改定率を決定していると思いますが、資料1の次に資料2がございますので、そちらを御参照ください。これは、経営実態調査をランニングコストに関する部分とイニシャルコストに関する部分に、一定の前提において分解したものです。これをよく見ると、ランニングコストにかかる部分の介護報酬からは利益率はほとんど出ておらず、一方、イニシャルコストの利用者負担や自治体からの施設整備に対する補助金が利益となっていることが見てとれます。
 これらは、見方を変えれば、利用者負担増や自治体からの補助金が介護報酬の減額に活用されているということとも言えます。
 経営実態調査は、介護報酬決定の重要な要素ですので、介護にかかるコストを適切に考慮していただきたいと思います。
 最後に改めて申し上げますが、個室ユニット型施設の事業者は、厚生労働省が掲げた高齢者の尊厳を守るという高邁な理念に共感し、資財を投入し、事業を実施しておりますが、厳しい経営を強いられております。しかし、利用者がいる以上、私たちはどんな困難でも撤退できるわけはありません。それでも限度があります。次期介護報酬において、個室ユニット型施設を推進するという原点に立ち返って介護報酬を設定していただくとともに、個室ユニット型施設を特別養護老人ホームの基本として、強く打ち出していただくようよろしくお願い申し上げます。
 全国個室ユニット型施設推進協議会の全体的、総体的な意見として、述べさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。
○田中分科会長 佐々木様、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの団体の皆様方の御意見に対して、また20分ほど時間を取って質問を承ります。どなたからでもどうぞ。
 水町参考人。
 手を挙げたのが分かりましたので、順番に当てていきます。
○水町参考人 ありがとうございます。
 まず、介護現場の生産性向上に向けたICTやロボット活用について、全国社会福祉法人経営者協議会様にお伺いしたいと思います。
 ICT、介護ロボットについては、神奈川県としましても今後導入を一層促進していくべきだと考えておりまして、昨年度、介護現場革新会議のパイロット事業のモデル地域として取組を進めているところでございます。
 御意見にありましたとおり、我々も導入の促進のために人員配置基準の見直しや介護報酬への反映など、インセンティブが必要だと考えています。
 そのためには、導入効果について、人員配置基準の面とサービスの質の向上の両面でしっかり検証を行って、公開することが必要だと考えております。
 そこで、このロボット・ICTの導入効果の検証について、現場の立場から御意見があれば教えていただきたいと思います。
 また、資料の14ページで、施設への定着に向けた支援について検討いただきたいとされておりまして、ランニングコストの観点からということで、先ほど報酬などという御発言があったかと思いますけれども、報酬への反映のほかにどのような支援が必要とお考えなのか、教えていただければと思います。
 もう一点、資料9の特定非営利法人全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会様にお伺いしたいと思います。
 小規模多機能型居宅介護については、前々回、私どものほうから、地域づくりの観点でサービス提供を行い、利用者の状態の改善につながった事業所に対して、例えば追加加算で評価してはどうかという提案もさせていただきましたが、今回、「地域の拠点として、日常生活圏域ごとに整備されている小規模多機能型居宅介護を有効に活用できるよう検討を進めてほしい」という御意見が記載されております。
 その中で、「認知症カフェや地域食堂、生活困窮者やその世帯支援等、地域福祉に資する事業についても、非営利事業であれば弾力的な運用ができるよう、施設、設備、人員等の緩やかな判断をいただきたい」とされていますが、具体的にどういう点がネックとなってこうした地域づくりの活動に支障が生じているのか、教えていただければと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 柿本様、お願いします。
○柿本意見陳述人 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 最初に御質問いただきましたICT導入の効果やその質の向上についてでございますが、まだ全体的に導入されている施設が少ないということ、それから、一部見守りやベッドセンサー等ということで、これから導入の幅が広がったり、また施設数も増えていく中で、私ども経営協といたしましても、それぞれの評価の検証をどのようにしていくのかということは今後詰めてまいりたいと思っております。現在はまだ検証をする前段階にあると理解をしているところでございます。
 2つ目については、ICTを使った研修をどう活用するかでよろしかったでしょうか。
○水町参考人 報酬以外へのインセンティブ、支援で、どういったものが必要だとお考えになっているかということでございます。
○柿本意見陳述人 報酬以外につきましては、遠隔で研修の参加や、そういったことを推進していく上での通信の環境整備であるとか、オンラインで受けるための設備の導入等々といったものが必要ではないかと考えております。
 以上ですが、いかがでしょうか。
○水町参考人 どうもありがとうございます。
○田中分科会長 宮島様。
○宮島意見陳述人 御質問ありがとうございました。
 今、御質問いただいた件については、スライドの19番にあるかと思いますが、確かに事業所のある地域の中での取組として、中段よりも下のところに書いておりますけれども、認知症カフェや喫茶、22.8%、登録者以外のサロン、21.4%というふうに独自に取り組んではおります。
 ただ、事業の位置づけが不明確なので、市町村によっては施設が人員の目的外使用ではないかという御指摘をいただく場合があるということでございますので、その上で緩やかに、こういった地域の拠点としての活動が実現できるように図っていただきたいという要望でございます。
 以上です。
○田中分科会長 小泉委員、堀田委員、石田委員、濱田委員、河本委員ですね。今言った順番で、小泉委員、お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。
 社会福祉法人経営者協議会の柿本様に、御質問が2点ございます。
 まず1点目、特別養護老人ホームの基本報酬の増額ということでございますが、30床の小規模特別養護老人ホームにつきましては、平成30年度介護報酬改定におきまして、地域密着型の特別養護老人ホームとの単価の統一が図られる見込みとなりましたところですが、その方向性を修正してほしいという御要望ということでよろしいのでしょうか。
 その修正を要望する理由があれば、お聞かせいただきたいと思います。
 そして、スライドの21ページでございますけれども、基準費用額、食費についてですけれども、見直しについて貴会の会員様から具体的な意見が出ておるようであれば、お知らせいただきたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○柿本意見陳述人 御質問ありがとうございます。
 まず、最初の質問でございますが、定員30名の特養については、スライド5の中でも、私どもの調査で約半数が赤字という調査結果であります。この辺につきましては、30名の特養は過疎地や離島等ということで、設置の段階で特殊な事情の中での必要性を鑑みた定員30名の特養ができているわけですから、ここの経営状況が厳しい状況にあることは、重要な課題であると認識しておりまして、次回の報酬改定においても、この部分については特段の御配慮を願いたいと思っております。
 以上が1点目の御質問についてでございます。
 それから、次の基準費用額についてでございますが、食費につきましては、給食の委託費、直営でありましても調理員の人材採用の困難さ、それに伴う人件費の増額等ということで、委託、直営にかかわらず厳しい状況にあると理解をしております。
 ただし、本来私どものこの部分につきましては、第2弾の調査をこの春に行う予定にしておりまして、もう少しその厳しさの要因を本日のヒアリングの中でお伝えできるとよかったのですが、コロナの影響で第2弾の調査を導入できなかったということを大変残念に思っております。
 根拠を十分に示せないままでの御要望になって大変恐縮ではございますが、実態といたしまして、そういう会員の声が大きく挙がっているということをお伝えして、この要望の説明にさせていただきます。
 以上でございます。
○小泉委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
 小規模多機能の宮島さんに2点、お伺いしたいと思います。
 1点目は、小規模多機能は地域での利用者さんの生活継続と併せて、広く住民の方々の安心の拠点としてという意味でも期待したいと思っているのですけれども、プレゼンテーションをお伺いすると、現状、要介護度3以上になるとどうしても居住系や入所系施設に流れていってしまうという水準と、報酬の構造になっているのではないかという感じもしまして、地域でどっしりとというにはなかなか厳しそうなふうに思ったのです。
 例えば加算を本体に組み込みながら、もう少しフラットにするとかしたほうがいいのではないかと思ったりするわけですが、改めて包括的なサービスを、包括報酬でということを生かす報酬の在り方という観点から、ポイントを一言で言うとどういうことになるかをお話しいただきたいと思います。
 もう一つは、生活の継続を最後までということを考えると、看護管理をどうやって効果的にやっていくかということもポイントかなと思うのですけれども、これについても御意見があれば、伺えればと思います。
 以上です。
○田中分科会長 宮島様、お願いします。
○宮島意見陳述人 御質問ありがとうございました。
 確かに、要介護度3以上になると入所系の施設に入るということで、また入ってくる人が1、2ということを先ほどお話ししました。
 包括報酬ということでございますので、先ほど私もお話ししたように、できれば報酬的にも施設と同じようなフラットな報酬になっていたほうが、安心して生活を継続することができるのではないかということ。なおかつ、私たちも、事業所としても、要介護度1、2でも支え切ることができるのではないかと考えておりますので、包括的なサービス提供プラス包括報酬という点では、繰り返しになりますけれども、施設サービス体系と近い報酬設定にすべきだと考えております。
 2点目の看護管理についてですが、介護の人材の中に1名は看護職員と配置されておりまして、実質的にその看護職員が機能するためには、看護職員の配置加算を取得するということになっております。
 毎年の調査では、正看を採用しているところで30%ぐらい。准看の方についていただいているところで25%ぐらいということで、加算もどちらでも常勤換算をしてということをつくっていただいたわけなのですけれども、なかなか看護職の確保は難しいということで、重度になって医療が必要になった人たち、看護が必要になった人たちを見ることができないというのも一つの大きな原因になっているのではないかと思います。
 そこで、例えばグループホームと同様に、医療連携体制加算のようなものがあって、それを訪問看護ステーションや診療所、あるいは医療機関との包括的な委託契約などによって、みとりや日常的な看護管理が可能になるようにするというのも一つの方法ではないかと考えております。
 以上です。
○堀田委員 ありがとうございます。
○田中分科会長 石田委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
 私も小規模多機能の件でお伺いしたいところが2つあります。
 まず1点目ですけれども、全体的にサービスの中で訪問が非常に増えている実情があるということです。訪問ということは、事業所からスタッフが離れるということがあるので、人員の定数について今のままでいいのかどうか、その辺のところをどのように考えていらっしゃるかというのが1点。
 もう一つは、先ほども出たのですけれども、人材確保という中で、自治体の介護予防・日常生活支援総合事業と連携をするという件で、住民などが参画する通所型サービス等の拠点として小規模多機能施設を活用していくという御提案がありました。
 これは非常にいいなとは思います。ただ、このときに基準の緩和ということで、こういった提案が小規模多機能の事業をやっていらっしゃるところの多くから出ているのかどうか。それから、そういった意見が出たときに、当該の自治体との話合いといったことがどのぐらいまで進められているのかということ。実際にどういった基準を緩和してほしいのかということも含めて、そこを伺いたいと思います。
 以上2点です。
○宮島意見陳述人 御質問ありがとうございました。
 訪問の増加の傾向は、27年度の改正のときに訪問体制強化加算を入れていただいたのですが、その体制強化加算の以前に訪問が増えてきているということがございました。いろいろな事情があるのではないかと考えておりますけれども、やはり在宅で生活をしていく上では、通いに来ていただいたり、泊まりっ放しになるというよりも、自宅で生活する時間が増えるということはとても重要なことでありますし、そういう意味では、訪問が多くなっているということは、その方たちの在宅生活を真に支えているのだろうなと考えております。
 余談になりますけれども、そのためには、自宅近辺の御近所の人や民生委員、あるいは福祉推進委員という人たちとの関係。要するにずっと見続けているわけにはいかないので、点で支えますので、地域の方たちにも見守りをしていただくということが必要になってくるかと思います。
 そういう意味では、旧来からある訪問看護と違って、ごく短時間でも、例えば5分だけとか、声をかけるだけとか、そういうふうにして訪問を小刻みに提供することができるということも、この小規模多機能の訪問のメリットではないかと考えております。
 御質問の中にあります通いの方たちが一方でいる中で、事業所からスタッフが離れることで手薄になるのではないかという御指摘をいただきました。確かにそうだと思います。ですので、以前このような場でひとつお話しをさせていただいたのは、通いの場の場合、15人であれば3対1でスタッフを確保することはできるわけなのですけれども、そうではなくて、登録者に対して3対1というのも提案としてはいいのではないかということも以前させていただいたことがあります。
 すなわち、通いに来ていない場合は訪問で対応しなければいけない。いずれにしても地域という面の中に登録されている方がいるので、それが通いを使おうが訪問しようが、我々はどちらでも支えるためにも、人員配置をそのように考えていくというのも必要ではないかと考えております。
 2点目ですけれども、介護予防の拠点として、あるいはそれ以前の自立している人たちの使う場としても小規模多機能が活用されているというのは、アンケートの中でも先ほどありましたように、調査した3割ぐらいのところがサロンやカフェ、子供食堂などを運営しているということなのです。
 福祉空間整備等交付金等を使って、以前、自治体がサロンを併設するように推進をし、自立しているときからそこを使い、そして要介護状態になっても小規模多機能が利用できるような風通しのいいサービスを提供したらどうだろうかと言っていただいている自治体も数多くありますが、逆に、小規模多機能が介護保険で運営されているのですから、先ほど言いましたように、事業が確定されていないようなものであれば、併設しても、設備も使ってはいけないし、あるいは人員もそこに充ててはいけないということをおっしゃる自治体もありますので、そこの部分についてもう 少し風通しよく、地域の方たちが活用できる拠点としての機能を強化していただけるような緩和をお願いしたいということでございました。
 以上です。
○石田委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、全国社会福祉法人経営者協議会様には人材確保の点で、日本福祉用具供給協会様には災害支援の件で、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会様には認知症BPSDケアプログラム及び入退院支援の件でお尋ねできればと思っております。
 まず、全国社会福祉法人経営者協議会様の10枚目のパワーポイントでございますが、介護支援専門員や他の職種について、74%の法人が持ち出しで賃金改善を実施と記載がございます。基本単位の改善や処遇改善加算の対象職種の件などあろうかと思っておりますが、もしこれらの点で、特に優秀な人材等、経験豊富な人材を採用する際に、今、感じておられることなどがあれば御教示いただければと思っております。
 それから、福祉用具供給協会様、7枚、8枚目で福祉用具の災害支援、供給を地域で行われているということが出ておりますが、例えばどのような流れで提供に至ったかなど、もし把握されていることがあれば教えていただきたいと存じます。
 全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会様の17ページに、認知症BPSDケアプログラム、BPSDの改善が非常に見られるということでございますが、これらの評価すべきメリットといいますか、もう少し把握されている点がございましたら教えていただければということ。
 それから、非常に入退院が増えて、今井委員の御意見も掲載されておりますけれども、以前に比べて増えてきているのかどうかなど、この点についてお伺いできればと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 順に、柿本様。
○柿本意見陳述人 御質問いただきて、どうもありがとうございます。
 ただいま御質問いただきましたことについて、お答えをいたします。
 特に介護支援専門員の人材不足については、現場でも感じているところでございまして、看護職員は当然ではございますが、在宅サービスのコーディネートを行っていく介護支援専門員の中でも、主任介護支援専門員の役割が年々増してきているようにも感じられます。そういった中で、処遇を改善していこうというときに、現状の特定処遇改善加算の対象になっていないところもあるので、その辺は法人が持ち出しながら、処遇を改善しつつ、優秀な人材を採用していきたいという方向が特に重要ではないかと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 小野木様。
○小野木意見陳述人 ありがとうございます。
 災害時の防災協定でございますけれども、まず、私どもの各会員のほうから、保険者さんである各市町村さんに災害時協定の締結という形でお願いをし、協定を結ばせていただきます。そして、実際に災害が起きた場合には、災害窓口の担当者の方からお電話をいただいた場合には、即こちらのほうから対応して、福祉用具を供給させていただく。また、お電話がない場合は、こちらのほうから災害があった各市町村に、必要があるかどうかというお電話をさせていただきます。そして、必要がなくなった場合には回収をさせていただくという形でございます。
近年では、災害が起きたときだけではなくて、災害の予行演習といったときにも我々が一緒に参加をさせてもらって、災害の演習を一緒にさせていただいております。
 以上でございます。
○田中分科会長 宮島様。
○宮島意見陳述人 御質問ありがとうございます。
 スライド17にあります認知症BPSDケアプログラムについての御質問でございます。まず一つ、BPSDの発生については、行動障害は中核症状でもあるわけですけれども、もう一つは環境要因などいろいろなものが要因としてあるわけです。
 小規模多機能のよさとしては、訪問で自宅での様子や通いで日中での様子、泊まりを使って夜間の様子を観察することができます。例えばBPSDの発生要因の中には、脱水、日中の活動の不足、低栄養、痛み、服薬等があるわけですけれども、御家族にしてみると、BPSDで昼夜が逆転してしまうといったときに、昼間寝ていて夜騒いでいるという場合は、御本人も眠れないので、どうしてもお医者様に相談をして、眠剤を服用するような形を取ってしまって、結果的に昼夜逆転がひどくなってしまうということがあるかもしれません。
 そうした場合に、日中の活動量あるいは泊まりのときの夜間の様子を観察して、ドクター、薬剤師と連携を取りながら、チームでBPSDに当たることができるということが大きなメリットではないかと思います。単にBPSDを非常に困った行動と見るのではなくて、それは服薬によるものや脱水など様々なエビデンスがあるわけですから、そういったものをしっかりと状態を観察して、改善していくということが必要なのではないかと思います。
 特に日中の役割不足のために、やることがなくてぼーっとしているということで、通いに来ていただくことで、地域や事業所の中の役割づくりをすることによって、要介護度が改善した事例が数多くあります。そういう意味でも、規則正しい生活を認知症の方にしていただくということも、BPSDの対応の1つのメリットではないかと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 お待たせしました。河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 私は、日本福祉用具供給協会の方に1点質問させていただきたいと思います。
 福祉用具の仕入れは当然、事業所規模によるバイイング・パワーの差が出てくると思うのですけれども、効率的に運営する意味で共同購入といったことが当然考えられると思うのですが、協会として共同購入の実態を把握されておられたら教えていただきたい。
 あるいは、協会として、共同購入への取組について何らかの動きをされているかどうか。それも併せて伺いたいと思います。
 以上です。
○小野木意見陳述人 協会として、共同購入というようなものは今のところは手をつけておりません。
 中小のレンタル業者については、今は主に福祉用具の卸さんのほうからレンタルで供給を受けております。結果として、卸さんのほうはパラマウントケアサービスさんであったり、日本ケアサプライさんであったり、それぞれ独自の商品を供給されるということもございます。
逆に、卸さんのほうはバイイング・パワーがございますので、結果としては、レンタル、レンタルで卸されるという形でございますので、そちらの要望もあまり今のところはないという状況がございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 第1部の終わりのときに聞こえなかったかもしれませんが、もう一度申し上げますと、今の時間だけでは質問し切れなかった委員がおられるはずです。その場合、質問があれば事務局を通じて提出していただければ、今日来ていただいた方にお渡しすることにします。
まだ続けたいのですが、時間が後ろに押してしまいましたので、第2部はここまでといたします。発表された方々、ありがとうございました。
入替えのために、これから7分程度休憩いたします。
 
(休 憩)
 
○田中分科会長 ここから、第3部に入ります。
 第3部でヒアリングを行う団体について、事務局から紹介をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、第3部でヒアリングを行う団体について、御紹介させていただきます。
 日本栄養士会より、中村丁次様。
 続きまして、全国リハビリテーション医療関連団体協議会を代表いたしまして、日本訪問リハビリテーション協会より宮田昌司様。
 全国デイ・ケア協会、日本リハビリテーション医学会より近藤国嗣様。
 日本理学療法士協会より、佐々木嘉光様。
 日本作業療法士協会より、中村春基様。
 日本言語聴覚士協会より、深浦順一様に御出席をいただいております。
 それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 まず、日本栄養士会の中村様より、説明をお願いいたします。
○中村意見陳述人(日本栄養士会) スライドをお願いします。
 私は、日本栄養士会会長の中村でございます。
 今回初めてこのようなヒアリングの機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 日本栄養士会は、約5万人の管理栄養士・栄養士によって組織された職能団体であります。管理栄養士の免許交付は、累計で23万人、年間1万人が誕生しております。
 右下の表でございますが、介護分野の管理栄養士の配置状況です。介護保険施設では1施設に約1名、そして通所サービスにはまだ配置がほとんど進んでおりません。
 次のスライドをお願いします。このような状況から、令和3年度の介護報酬改定で要望することは、御覧の3点でございます。
 まず、要望Iの介護保険施設における栄養ケアのさらなる推進と管理栄養士業務の適正な評価についてでございます。
 1つ目は、先ほどお話ししましたように、介護保険施設の管理栄養士の配置状況は約1名という状況の中で、個々の入所者に応じた栄養ケアマネジメントや経口移行、経口推進等の取組を多職種と連携して行っております。
 次のスライドをお願いします。このスライドでお示ししていますとおり、定員80名以上の施設に常勤の管理栄養士を2名以上配置した場合は、老健では在宅の復帰が有意に推進され、特養では医療機関への入院が有意に抑制されたということが分かってきました。
 今回、新型コロナウイルス感染の影響下で安定的に栄養ケアを提供するというリスク管理の観点からも、複数配置はとても重要なことと思います。
 現在、介護保険施設における栄養ケアは、栄養マネジメント加算の評価の下に行っていますが、この加算は入所者がどのように多くおられる施設でも、常勤管理栄養士は1名で算定できる規定になっております。先ほど紹介した背景や現状の栄養ケアマネジメント加算の規定を踏まえ、栄養ケアの充実に向けて、特に中・大規模な介護保険施設への管理栄養士の複数配置に関して、切にお願いしたいと思っております。
元のスライドに戻してください。2つ目は、令和2年度の診療報酬で、栄養情報提供加算が新設され、医療機関から介護保険施設への栄養連携が評価されました。医療、介護の領域間での切れ目のない栄養管理を行うには、介護保険施設から医療機関への栄養連携、あるいは介護保険施設においても同様な評価を要望いたします。
 3つ目と4つ目は、みとり介護・ターミナルケアチームや、入所者の相談支援に管理栄養士が管理することなので、適正な栄養管理がより円滑に図れるような報告があることから、これらの関与に関する職種として、管理栄養士の明確な配置をお願いしたいと考えております。
次のスライドをお願いします。要望IIは、自立支援・重症化防止の推進に向けて、管理栄養士の参画によるリハビリテーションの効果的かつ効率的実施の評価についてでございます。
 次のスライドをお願いします。このスライドで示したとおり、管理栄養士が理学療法とともにリハビリテーションの計画作成に参画し栄養管理を行うと、約9割の患者で栄養状態が改善され、栄養状態の改善とFIMの得点は相関することが明らかになってきました。
 このような報告も踏まえ、近年の診療報酬改定において、管理栄養士が回復リハビリテーションの実施計画の作成に参画することが要件化するということが検討されています。このようなことから、施設入所者及び通所利用者に対しても、リハビリテーションの計画書作成に管理栄養士が参画した場合の評価を要望いたします。
 次のスライドをお願いします。最後の要望IIIですが、通所利用・在宅高齢者の栄養改善のための栄養ケア・ステーションの活用でございます。通所サービスの利用者や在宅高齢者で栄養改善が必要な方は一定数想定されますが、通所サービスの事業所や在宅栄養管理指導所に配置されている管理栄養士は極めて少ないため、栄養ケア・ステーションの管理栄養士の活用が進み、通所サービス利用在宅高齢者と通所が困難な在宅高齢者の双方の栄養管理が充実するようにお願いします。
 参考資料として、栄養ケア・ステーションの資料を添付しておきました。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田中分科会長 中村様、ありがとうございました。
 次に、日本訪問リハビリテーション協会の宮田様、全国デイ・ケア協会、日本リハビリテーション医学会の近藤様より説明をお願いいたします。
○近藤意見陳述人 よろしくお願いします。
 今回このような機会を設けていただきまして、感謝いたします。
 今回は、医療保険のリハビリテーションが、疾患別リハビリテーションの算定基準を超えた要介護者に対して実施できなくなってからの初めての介護報酬改定となります。つまり、介護保険の枠組みの中で、医学的かつ医学的管理に基づく適切なリハビリテーションの実施が求められているということです。
 新型コロナウイルス感染に伴う非常に厳しい状況にある介護保険事業の対処は、最重要課題です。
 一方で、介護保険の枠組みの中で、医学的に質の高いリハビリテーションの提供体制を整備することも待ったなしであると考えます。
 スライドをお願いします。私たちからの要望は、退院後円滑な生活期リハビリテーションの開始、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーション共通、施設系、生活機能向上連携加算の6項目ございます。
スライドをお願いします。まず、退院前カンファレンス参加加算の新設です。退院退所より早期にリハビリテーションを実施したほうが、ADLが向上するという根拠があります。前回の改定にて、退院前に医療機関に介護支援専門員、訪問看護事業所の看護師やリハ専門職が出向いてカンファレンスに参加することが報酬化されました。
 一方、訪問リハ、通所リハ事業所のリハ専門職がカンファレンスに参加することについての報酬はありません。しかし、通所リハ、訪問リハ職員がカンファレンスに参加している例も多くあり、その場合のほうがより早期に通所リハ、訪問リハが提供されている根拠があります。
 次のスライドをお願いします。続きまして、通所リハにおける専門職配置や加算算定率等を基準化した総合的な報酬体系の構築です。現在の通所リハは、基本単位が提供時間別、規模別といったマトリクス型で、これに要支援・要介護という異なる算定構造、加算体系があり、さらに種々様々な加算が組み合わさるというものです。
 この加算の中で、昨年度の通所訪問リハビリテーションの目的を踏まえた在り方に関する調査検証事業において、リハマネII以上算定者は、リハマネI算定者と比較して、利用者のIADL、LSA改善値が有意に高くなる結果となりました。リハマネII、IIIは目標とする活動を明確にして、治療設計図を立てて、リハ専門職ならず患者、家族、介護職、福祉用具相談員などが協働してリハビリテーションを実施していくものであり、そのプロセスが効果に結びついたものと認識しております。
 一方、このリハマネII算定については、利用者負担が増加するため、実施できないという実態も聞こえております。
 これらに対して、現在の通所リハの事業に専門職配置、加算算定率、社会参加等を含めた総合的なリハビリテーションの評価を導入して、具体的にはリハ強化型、体制強化型、従来型の3つになりますけれども、介護老人保健施設の基本方針と同様な構造に近づけてはどうかという要望になります。
 リハ強化型は、医学的リハビリテーションを実施できる療法士の体制、ストラクチャーがあり、さらに今回、プロセスとしてエビデンスが示されたリハビリテーションマネジメントII以上を一定割合以上実施しており、必要とされる方に関しては、社会参加させる事業所となります。
 体制強化型は、体制強化加算での基準であるリハ専門職の割合25対1かつPT・OT両者1名以上、そしてリハマネIIをリハビリテーション強化型より低めで実施率を位置づける。
 従来型は、療法士の配置基準を50対1とする以外に関しては、現行に近い形となります。
 一方、このような体系を構築した場合に、重度者が多く利用している事業所の問題が生じる可能性があります。不利益が生じないように、従来の中重度ケア加算を算定している事業所については、要介護3以上の加算率を高めるなどの配慮を加えることによって、公平性と継続性が保たれればと考えております。
 冒頭で申し上げましたけれども、エビデンスのある医学的リハビリテーションを実施できる通所リハを新たに構築することが、介護保険法第4条に記されるリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めることが可能となると思います。
 スライドをお願いします。もう一つスライドをお願いします。続いて、社会参加・重度化防止等に向けた事業所評価の対象者の見直しです。社会参加支援加算は要介護者を対象としていましたが、現実的に要介護者の機能維持を前提として通所介護や通いの場に移行することは困難であり、実際に算定数も多くありません。むしろ要支援者のほうが、本加算の対象になじむのではないかと思われます。
 また、事業所評価加算は、要支援者の維持向上を対象としたものですけれども、むしろ要介護者こそ維持向上を目指すべきであり、報酬上評価すべきではないかと考えます。
 スライドをお願いします。次に、短期集中個別リハ実施加算や生活行為向上リハ実施加算の弾力化です。入院を必要とするような疾病ではなくても、身体機能が低下する要介護者は少なくありません。医療保険でのリハビリテーション実施が困難な中で、このような加算に対して適切なリハビリテーションを実施する必要があります。
 現在、要介護者に対して医療保険上は1か月で器具もしくはBarthelの点数が5点以上低下した例に対しては、訪問リハビリテーション指導管理料を2週間に限って1日4単位、6か月間に1度算定できる仕組みがありますが、在宅療養中の患者に限られ、改正に当たって訪問指導も必要とされており、実際にはあまり算定されておりません。
 また、通所リハビリテーション利用者がADL低下時に医療保険で集中的にリハビリテーションが実施できる制度はありません。通所リハ利用者に対しても、廃用などによりADLが一時的に生じた場合に対して、集中的にリハビリテーションが実施できる体制が必要と思われます。一時的にADLが低下した場合に、短期集中個別リハビリテーション加算や、もともと廃用例を対象として考えられてつくられた生活行為向上加算を弾力的に運用できる仕組みづくりを御検討いただきたいと思います。
 スライドをお願いします。続いて、訪問リハビリテーションにおけるリハマネジメント加算の評価です。現在、リハビリテーションマネジメントは通所リハ、訪問リハともに加算体系がありますが、両事業での点数差は加算Iにて120単位、加算IIだと250単位、加算IIIだと480単位と大きな違いがあります。リハビリテーション会議開催と議事録作成、リハビリテーション実施計画作成、さらには医師による説明と同様、同じプロセスであり、訪問リハのリハビリテーションマネジメント加算を通所リハに近づける形の改定を要望します。
 スライドをお願いします。続いて、訪問リハ計画診療未実施減算研修修了期間の延長と研修団体の拡大です。現在、訪問リハビリテーションを実施するに当たっては、事業者の医師の3か月に一度の診療が必要とされます。一方、診療が困難な場合には、適切な研修を受けたかかりつけ医からの情報に基づいて、事業所の医師が計画することが訪問リハビリテーション計画診療未実施減算として認められております。
 この未実施減算の処置は来年3月とされておりますけれども、現状ではこの減算処置を活用している事業所も少なくはなく、継続を要望します。
 また、現在かかりつけ医の適切な研修は日本医師会の研修のみですが、大規模病院に勤務する医師も研修を受けやすくするために、他団体の研修、例えば日本リハビリテーション医学会、日本生活期リハビリテーション医学会が主催しているかかりつけ医のための訪問リハビリテーション診療に係る研修等も要件に入れていただきたいという要望となります。
 スライドをお願いします。次に、訪問リハビリテーション費における退院・退所直後3か月の回数制限の緩和です。
現在、介護保険の訪問リハビリテーションは、週6単位、120分が上限とされています。一方、医療保険での訪問リハビリテーション指導管理料は、退院後3か月間は週12単位、240分が上限です。介護保険での訪問リハも退院・退所直後は週12単位を上限とすることを要望します。
根拠としては、先ほど少し触れましたADLが一時的に低下した場合に、訪問リハビリテーション指導管理料を算定して、集中的に週10単位程度リハビリテーションを実施した場合には、ADLをほぼ元のレベルに戻しているという実績があります。
 スライドをお願いします。続いて、計画書等の様式の簡素化及び統一化です。現在の通所リハ、訪問リハの計画書は、基本動作、ADL、IADL、さらには障害と活動への影響、そして目標や支援内容など記載すべき項目が非常に多くあり、記載する側の煩雑さだけではなく、説明を受ける側の利用者としても分かりづらいと思われます。
 医療保険のリハビリテーション実施計画書は、本年の改定にて、心大血管と呼吸器リハ、運動器と脳卒中の2つに分かれて、いずれも簡略化されました。通所リハ、訪問リハについても、利用者の状態に応じて過不足ない情報量の簡素化された計画書が望まれます。
 医療との統一化については、同時改定でないと難しいと思われますけれども、今回の改定がそのスタートになればと思っております。
スライドをお願いします。続いて、VISITデータ提供加算の創設です。現在VISITを提供する際の加算はリハマネIIIを算定している事業者がデータを提供した場合のみリハマネIVとして認められます。このため、リハマネI、IIの算定者の情報はVISITに提供されておりません。多くのデータを抽出するという観点からも、新たなVISIT提供加算の創設を求めるものです。
 なお、その際には初回の入力にかなり時間を要している現状から、情報量や書類の緩和、または初回提供時の報酬の増加などをお願いできないかというものです。
 スライドをお願いします。次に、老人保健施設におけるリハビリテーション専門職の配置の評価です。現在、老人保健施設における療法士配置数は入所者100人当たり1名以上となっておりますが、超強化型、強化型では5人以上配置する施設が多くなっております。よりリハビリテーション機能を強化する観点からも、入所者100名当たりリハ専門職を3名以上配置することへの評価を要望いたします。
 スライドをお願いします。続いて、介護医療院、介護療養型医療施設、介護老人保健施設における離床を促すための取組についての評価です。
 介護医療院、介護療養型医療施設、また一部の老健施設においては重度の方が入所されている中で、尊厳を少しでも高めるという観点、さらに身体機能維持・向上の視点からも、座位での生活時間の拡大は重要と考えられます。
 ただし、長期臥床していた方を離床させる場合には、様々な合併症の併発も危惧されます。長期臥床されていた方に対して、医学的管理の下、医師、リハ専門職、看護職、介護職が協働して離床を進め、その時間、頻度を拡大した場合に報酬を認めていただきたいという要望です。
スライドをお願いします。次に、通所介護等の連携の評価として、生活機能向上連携加算関連です。前回の改定において、訪問介護だけではなく、通所介護事業者や介護老人福祉施設などの事業所が通所リハ、訪問リハ、200床未満の病院からの医師、リハ専門職から助言を受けた上で計画書を作成することに対しての加算となりました。
 しかし、算定実績は多くありません。これは医師、リハ専門職を派遣する側に報酬設定がないことや、連携そのものへの評価がない点が大きいと思われます。派遣側に対しての報酬設定、または対象者を通所リハ、医療機関にて評価できる仕組みなどがあってもよいのではないかと思います。
 スライドをお願いします。続いて、自立支援型ケアマネジメントを推進するための居宅介護支援事業所と医師、リハビリテーション専門職のチーム体制の構築です。
 生活機能向上連携加算対象事業所は、前回の改定にて拡大しました。
 一方で、各介護事業所内の計画作成だけではなく、ケアプラン自体にリハビリテーションの活用の視点が増えれば、より自立支援型ケアマネジメントの実施が可能となると思います。
 地域ケア会議でケアマネジャーとリハ職の連携は拡充してきておりますけれども、難重症例が中心であり、一般的な要介護者に対するケアプランにも、リハビリテーションの活用の視点が高まることを期待しての要望となります。
 スライドをお願いします。最後になりますけれども、生活機能向上連携加算の算定が増えない理由として、連携施設が200床未満の病院・診療所、もしくは通所リハ、訪問リハ事業所に限定されている点があるのではないかと考えます。もう少し連携できる医療機関を拡大できれば、増える可能性があるのではないかと要望しております。
 ただ、いずれにしても重要なことは、本加算の拡大ができる仕組みづくりが一番大事であると認識しております。
 以上が要望となります。ありがとうございました。
○田中分科会長 近藤様、ありがとうございました。
 次に、日本理学療法士協会の佐々木様、日本作業療法士協会の中村様、日本言語聴覚士協会の深浦様に説明をお願いいたします。
○深浦意見陳述人 それでは、日本言語聴覚士協会の深浦でございます。
 本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 地域包括ケアシステムの構築に向けまして、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会よりの提案を代表してさせていただきます。
 具体的な要望は、今、近藤先生が提案されましたことと重複しますことをお許しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次をお願いいたします。こちらの図は、介護保険制度におきまして、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に求められている役割を要介護度別のフェーズで表しております。介護保険制度の安定性、持続可能性の確保を図り、さらに自立支援・重度化防止を推進するためには、医師の判断の下、利用者の状態変化に合わせて理学療法・作業療法・言語聴覚療法の適時適切な提供を行うことができる体制を整備することや、利用者にとって適切なケアプランを作成することが重要であります。
 例えば、退院時の短期集中的な関与が必要な時期に、退院からのタイムラグを生じることなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がおのおのの専門的な役割を果たすことができる制度を構築することで、自立支援・重度化防止は推進されます。さらに、多職種との専門的な情報共有により、自立支援・重度化防止を的確に実施することにより、制度の安定性、持続可能性は高まると思っております。
 次をお願いいたします。本日御提案させていただく要点としましては、I、自立支援・重度化防止の推進、II、制度の安定性・持続可能性の確保、III、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の提供体制の地域格差の是正の3点に分けまして、御説明させていただきます。
 次をお願いいたします。まず1つ目に、自立支援・重度化防止を推進するための提供内容の課題に対する提案でございます。
 提案の1ポツ目は、自立支援型ケアマネジメントを推進するために、居宅介護支援事業所と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士とがチーム体制を構築することについて提案させていただきます。
 高齢者の自立した生活を実現するために、退院時や状態変化時における速やかで効果的な自立支援型ケアマネジメントが重要であります。さらに、自立支援・重度化防止に資する介護職員による介護を推進するためには、介護支援専門員と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がチームとなり、速やかに自立支援型ケアマネジメントを実施することが有効であります。
 2ポツ目は、通所リハビリテーションにおきまして、適時適切に理学療法・作業療法・言語聴覚療法を受けることができるような提供体制を評価することにつきまして、提案をさせていただきます。
 私たちの調査では、通所リハビリテーション事業所に3職種を配置している事業所におきましては、医師と協働したリハビリテーションマネジメントの取組を実施している割合が高いことが分かっておりますので、そのような提供体制の推進は重要であります。
 3ポツ目は、介護医療院、介護療養型医療施設、介護老人保健施設における離床を促すための取組の評価を提案いたします。
医師の医学的管理下での離床は、臥床による廃用症候群の防止はもちろんのこと、摂食嚥下機能を改善し、認知機能にもよい影響を与え、自発性を高めることが知られています。
 4ポツ目は、生活機能向上連携加算のさらなる普及によりまして、自立支援と重度化防止をさらに推進することを提案いたします。
 私たちの調査では、生活機能向上連携加算の普及を阻害する要因として、外部派遣できるマンパワーが足りないことが示されております。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が所属する施設から、より積極的に関与できるような見直しが必要であると考えております。
 次をお願いいたします。次に、制度の安定性・持続可能性の確保に向けた利用者に適したサービス提供の課題に対する提案としまして、リハビリテーションマネジメント等のリハビリテーションに係る評価のうち、利用者に適したサービスを普及し、提供できる体制を構築することについて提案いたします。
 介護保険サービスは、高齢者やその家族の生活を支える基盤として必要不可欠なものであり、その制度の安定性と持続可能性を確保していくことが求められています。制度を持続させ、かつ利用者に適したサービスを提供するためには、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の適時適切な提供に加えまして、自立支援や重度化防止の取組を推進し、利用者の生活をよりよいものにするためのリハビリテーションマネジメント加算など、利用者に適したサービスを普及し、提供できる体制を構築することについて、さらに推進する必要があります。
 次をお願いいたします。続きまして、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるサービス提供体制の地域格差を是正し、地域偏在の課題を解決するための提案としまして、介護保険計画に基づき、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の資源が不足している地域の格差を是正し、過疎地を含め、国民が必要なリハビリテーションサービスを享受できる体制を実現することを提案いたします。
 本提案につきましては、老健局の御尽力によりまして、既に7月14日付で要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会報告書が取りまとめられましたが、今後さらにリハビリテーション提供体制の均てん化に向けた取組を推進することをお願いしたいと思います。
 次をお願いいたします。最後としまして、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士ができることをまとめております。
 今申し上げましたように、まず、介護保険制度の大きな土台としましては、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の適時適切な提供ができる体制を構築することで、自立支援と重度化防止の推進や制度そのものが安定性と持続可能性の確保がなされると思っております。
 以上となりますが、次に理学療法士協会、作業療法士協会から提案がございますので、どうぞよろしくお願いします。
○佐々木意見陳述人 次のページをお願いいたします。
 日本理学療法士協会の理事をしております佐々木と申します。会長の半田に代わりまして、介護保険制度におけます理学療法士の役割について説明をさせていただきます。
まず、理学療法士の最大の役割は、移動、歩行能力の維持向上をすることであります。移動・歩行能力があってこそ、活動と参加を活発に行うことができます。
 そして、理学療法士法・作業療法士法の定義に定められておりますとおり、理学療法士は医師の指示の下に理学療法を行います。
 まずは、介護保険制度上、医師による適時適切な指示、関与がなされることが重要であります。また、理学療法士は、利用者の身体機能や生活状況につきまして、エバリュエーションとしての評価を行います。その評価結果を踏まえ、予後予測と計画立案を行います。
この評価と予後予測を生かすことこそ、理学療法士の最大の役割であります。
 そして、評価の後にはPDCAサイクルを回しまして、再評価と計画の見直しを行いますが、生活期理学療法を実施する上で重要なのは、理学療法士が理学療法を実施する際に、患者や家族に対しまして、医師による説明と合意がなされることであります。リハビリテーションマネジメントをはじめとする制度に組み込まれております医師による説明がさらに普及することで、患者・家族にとって安心・安全に生活期理学療法が提供されるような制度にすることが重要であります。
 以上、理学療法士の役割についての説明とさせていただきます。
○中村意見陳述人(日本作業療法士協会) スライドは次をお願いいたします。
 次に、作業療法士の役割を説明させていただきます。
 ただいま、活動参加、自立支援・重度化防止というお話がありましたが、その中で、作業療法士は特に活動と参加に資するサービスを提供する仕事であると理解をしております。
 このスライドは、その活動と参加を推進するために、作業療法士がどのような過程でADLを見ているかということをお示ししたものであります。
 先ほどエバリュエーションというお話がありましたが、治療を目標とするところで、ADLを工程分析し、それを基本的、応用的、環境の側面から評価を行い、ADLプログラムの応用的、基本的、社会的適用、それぞれ分けてアプローチすることになります。
後半、事例を出しますが、こういう評価の下で行うことが一番大事であると思っております。
 次のスライドをお願いいたします。これは軽度者に対する自立支援・重度化防止ということでの支援であります。平成28年度に老健事業を使って行わせていただきました。事例数は52例です。右上に書いてあります。訪問回数、これは総合支援訪問のCでございます。平均訪問回数は4回です。頻度は、3回から22回であります。
 どれぐらいの支援をするのか。週1回が43%、週2~3回が48%、それ以下となっております。
効果としまして見てみますと、達成及び一部達成が83%に達しております。これぐらいの頻度で総合支援Cは効果が出るということでありまして、左の表1を見ていただきますと、アプローチの内容が心身機能、活動、参加、環境に対してアプローチしているということが分かると思います。
これも先ほど言いました細部にわたる評価を行って実施したら、こういう効果が出るということであります。
 これらを老研式活動能力指標とFAIで統計分析しますと、効果があるということが明らかになっておりますので、総合支援Cがなかなか普及していないのは理解しておりますが、適時適切な支援をしたら、これだけ効果が出るということを御報告させていただきたいと思います。
次に、先ほどは軽度者でしたが、重度者はどうであるかということで、調べさせていただきました。表1、表2、表3は、昨年OT協会が実施しました介護領域に対する作業療法士の意識調査であります。表1に示しますとおり、寝たきりの方に対してどのような効果が出るのだろうかということを調査したものでありますが、一定程度アプローチをしたら効果があるのではないかということであります。
 表2では、その効果を表すためにはどういうことが不足しているかということを問うたものでありますが、福祉用具等の整備が不足しているのではないか。それと、非常に多忙でありますので、連携というところで工夫が要るのではないかということであります。
 右下の図は、これも平成28年度、寝たきりの方のリハビリテーションの在り方の研究事業で取り組んだ28事例のうち1事例であります。
スライドを左から見ていきますと、表情が変化していることが分かります。3か月間のアプローチでこれぐらい変わるということが分かりました。これは多分廃用が原因で、それが改善したということですが、車椅子を適切に処方して、介護職・看護職と、離床時間を延ばし、ここが作業療法の大事なところであります活動の付与をしたら、このように変わるということであります。
 ちなみに、この人は3か月間のアプローチを行いましたが、6か月後は外泊もできるようになりました。寝たきり度Cとなりましても、一定程度アプローチすることの重要性がこれで明らかになりました。
 次のスライドをお願いいたします。介護保険の大きなテーマであります認知症の方へのアプローチであります。アルツハイマー型認知症の方、前頭側頭型認知症の方の2事例がありますが、認知症と一言でまとめてアプローチする時代ではないということの御報告でございます。
 疾患を考慮し、その人の持てる残存能力を把握し、その人のできる活動を探して、家族、その人を取り巻く環境にアプローチをしたら、できる能力は維持できるということのあかしであります。
 このような、個別に合わせた認知症への対応が今後ますます必要ではないかと思っております。
 次に、福祉用具についてのスライドであります。先ほど、福祉用具の重要性を述べましたが、表にありますとおり、疾患障害によって様々な福祉用具が適用されておりますが、実施手順としまして、ここに書かせていただきました。グリーンのところが作業療法士の主に対処するアプローチと考えておりますが、この中で、住宅改修・福祉用具については、介護支援専門員や福祉用具専門相談員との連携が非常に重要になるわけですが、現場を見ないと分からないところがありますので、同行訪問等の仕掛けがありましたら、なお一層、適時適切な福祉用具の適用が図れるのではないか。これに基づいて、ADLが充実していくのではないかと考えております。
 次のスライドをお願いします。それをまとめたものでございますが、先ほどから出ております生活機能向上連携加算の適用ということで、作業療法の立場からでしたら、認知症疾患医療センター、精神障害者等でも作業療法士や病院等でも働いておりますので、その適用の中にぜひ加えていただきたいと思っております。
 最後に、27年度、30年度、今回の改定と流れを見てみますと、平成27年度に取りまとめられました高齢者の地域における新たなリハビリテーションの在り方検討会報告書において、身体機能に偏ったリハビリテーションが実施され、活動や参加などの生活機能全般を向上させるためのバランスの取れたリハビリテーションが実施されていないこと及び、訓練そのものが目的化し、機能訓練が漫然と実施されており、目標と期間を定めた計画に基づく適時適切なリハビリテーションが提供されていないとの御指摘をいただきました。
 その上で、生活期リハビリテーションにおける問題意識を踏まえ、平成27年度介護報酬改定において、家庭や社会への参加を可能とするための目標を設定した上で、利用者のADL及びIADLを向上させ、社会参加へ移行させることを目標とする社会参加支援加算と、活動と参加などの具体的な生活活動の目標について焦点を当てた生活行為向上リハビリテーション実施加算が創設されました。
 大事なことだと思います。介護保険、自立支援、活動参加の充実ということでありますので、今後もこのような理念をより一層進めていく方策を検討していくべきだと思いますし、今回の改定におきましても、自立支援・重度化防止の上に、基本的な内容として活動と参加をさらに推進する改定となることを祈念しております。
 どうもありがとうございました。
○深浦意見陳述人 最後に、言語聴覚士のほうからでございます。
 3枚のパワーポイントがございますが、最初のパワーポイントは、言語聴覚療法、言語聴覚士の役割についてまとめたものでございます。多くは認知・コミュニケーション障害と摂食嚥下障害に対応する職種として、生活期においても活躍していきたい、頑張っていきたいと思っております。
 特に最近、次のスライドでありますが、加齢性難聴、老人性難聴が非常に重要な課題となっております。特に、左下にありますように、施設入所者において難聴の方たちの割合が多いということが課題であろうと思います。
 最後のスライドが、食べるということに関して、摂食嚥下障害の方たちに生活期において栄養状態の確保のためにも、我々は介護者の方たち、家族の方たちと連携をしながら、食べることへの支援も行っていきたいと思っております。
 以上でございます。どうもありがとうございました。
○田中分科会長 佐々木様、中村様、深浦様、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの発表に対して20分程度質疑を行います。
 もし12時から予定がおありの方は、御退室いただいても構いません。どなたからでもどうぞ。
 東委員、お願いします。
○東委員 ありがとうございます。
 資料12の全国リハビリテーション医療関連団体協議会の資料について、御意見を申し上げたいと思います。
 まず、4ページ目にございます御提案につきましては、賛成でございます。星印の最後に「医療・介護で共通に使用しているADL評価指標が改善した場合の評価がない」とありますが、現実には今、医療で使われておりますBarthelやFIMは介護現場では広くは使われておりません。ぜひ共通に使えるADL評価指標の開発が必要であると考えております。
 次に7ページ目の「社会参加支援加算」に「対象者要支援者」に絞ってはどうかという御提案がございます。前回の介護給付費分科会で申しましたけれども、要介護高齢者においては、リハビリの修了とか卒業という考えは適さないと思っています。やはり生活機能を維持するためにはリハビリが必要でございますので、そういう意味からも、リハビリを中止するという社会参加支援加算の対象を要支援者とするというのは賛成でございます。
 次に8ページにある「短期集中個別リハ実施加算や生活行為向上リハ実施加算の弾力化」とはどういうことかよく分かりませんが、生活行為向上リハ実施加算について意見を述べます。前回も述べましたが、もともと通所リハビリ等のリハビリを利用していない方の生活行為が落ちた場合に、生活行為向上リハを実施すると理解しております。もちろん通所リハを始めた方が、この生活行為向上リハを使ってもいいわけですが、通所リハを始めた場合は、短期集中とか認知症短期集中リハが使えます。そういう意味では、生活行為向上リハはリハを使っていない方の生活機能が落ちたときに使う加算であるかなと思っております。
 この生活行為向上リハの考え方はいいのですが、ほとんど算定されていない現状を重く受け止めて、生活行為向上リハの考え方、要件をもう一度見直すべきだと思います。
 10ページ目は訪問リハのいわゆる診療要件でございます。このように延長という御提案をされていますが、私も何らかの対応が必要になるかと考えております。よろしくお願いします。
 最後でございます。16ページ目のスライドに生活機能向上連携加算のことについて述べてあります。派遣した側にも報酬設定をしてはどうかという御意見でございます。この生活機能向上連携加算も考え方は大変重要だと思いますが、派遣した側に報酬設定がされても、現実にはこの加算は増えないと思っております。これはリハ職がいない事業所で、この生活機能向上連携加算を使いたいというインセンティブが働かない限り、この加算が使われることはない、少ないと思っております。これは私の意見でございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 御意見ですね。ありがとうございました。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 作業療法士会の方にお伺いしたいのですけれども、認知症に対する作業療法の技術というところでスライドを出しておられますが、私は前回のときにも、認知症の人のできる能力を生かした形でのリハビリをお願いしたいと申し上げているのですけれども、私の周りで、例えばデイサービスやデイケア、訪問リハというところで、こういうリハビリを受けた人というのが皆目いらっしゃらないのですけれども、これが広がらないというのは、こういう技術を持った方や勉強された作業療法士の方々がいらっしゃるにもかかわらず、実際、認知症の人が受けることができない、その現実は何が問題なのでしょうか。
 それと、これを広めるためにはどういうことをやっていけばいいのでしょうか。2点お願いいたします。
○田中分科会長 中村様、お願いいたします。
○中村意見陳述人(日本作業療法士協会) どうもありがとうございます。
 非常に耳の痛い話ですが、現実として、こういうアプローチをしたら変化をするというのは明らかでありますので、作業療法士協会としては、このようなアプローチを進めるために、特設委員会を作成し、実施の普及を図っているところであります。研修会や講習会を適時実施して、少しでも今のような御意見が少なくなるように、こういうアプローチをしたら明らかによくなるというのは体験して、実感しておりますので、ぜひ進めていきたいと思います。
 ぜひそういうOTが近くにいましたら、こういう発表があったよということを伝えていただいて、指導していただけたら幸いと思います。
 学校のレベルから、こういう教育に切り替えておりますので、時間はかかるかもしれませんが、随時変化していくものだと考えております。
 以上です。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 なかなか難しい現実なのですけれども、認知症の方は500万人というたくさんの方がいらっしゃって、使われない能力がだんだんに症状を悪くしているということで、早急な対策や何か報酬上でやればできるというようなお考えはおありでしょうか。
 これで質問は終わります。
○中村意見陳述人(日本作業療法士協会) ありがとうございます。
 身近なところにサービスを届けることが非常に大事だと思いますので、47都道府県医師会があります。認知症の委員会を特設につくっていただいて、適時適切にサービスができるということで、努力をしております。
 診療報酬にどうするかは、既に認知症は10年以上前から、すごく大きな、いろいろな手当てをしていただいております。その中でできることを一緒に考えていけたらいいなと思っています。
 エビデンスもそろえて、次期改定に備えて、調査等も含めてやっていきたいと思っております。ありがとうございました。
○田中分科会長 武久委員、どうぞ。
○武久委員 2つお願いしたいと思います。
 まず、リハビリテーションは医療の分野だったのですけれども、最近介護のほうで特別な委員会をつくっていただいて、介護保険に対してのリハビリの導入というか、積極的な適用を検討していただいたことは、非常にありがたいことだと思います。要するに、回復期だけでリハビリは終わるのではなく、回復期も大事ですけれども、それで在宅や施設に行った人がまたリハビリの状況、要するに可動域が非常に悪くなったときに、2週間なり入ることによってよくしていくという視点も必要ですけれども、介護保険の中でもリハビリのスタッフが大分増えてきましたので、できるだけこの答申に沿って、介護施設なり介護保険のサービスにリハビリ的な要素をもっと増やしていただけたらと思います。
 また、介護保険のほうに医療のところが大分近づいてきたというか、介護施設、介護利用者に医療の必要性が改めてクローズアップされてきたということで、医療と介護の距離がだんだん短くなってきているということは非常にありがたいことだと思っていますので、担当部局のさらなる頑張りを期待したいと思います。
 もう一つ、資本主義社会では、規模が大きいことや効率がいいことが企業としての利益を求めるにはいいわけですけれども、残念ながら介護保険というのは一般事業ではありませんから、結局小規模化というのが、ある一時から小規模多機能とか、グループホームとかいろいろなもので、特養も小規模化、先ほどの全体的な説明を聞いておりましても、小規模化のところほど収益が非常に悪い。これは当たり前ですけれども、大規模化しているような事業体もありますけれども、そういうところは過疎地とか小規模化はほとんど手を出さないで、効率化して、利益は非常にたくさん上げている。これは自由主義社会で、いいのですけれども、この辺のところをどのように考えていくかということも今後必要になるかと思います。残念ながら小規模多機能の収支の悪化もありますし、また、この間も言いましたけれども、過疎地や地方で利用者の減少により収支バランスが悪くなって、赤字になったからといって、その地域にそのサービスが1つしかなければ、やめるわけにはいかない。医療機関や社会福祉法人の社会福祉施設等は、そういうことも含まれております。
 また、社会福祉施設に関しましては、約10年間の建築費の高騰で、非常に減価償却が大きくなっております。それによって収支が悪くなっていますが、何とか減価償却費でやっているようなところがありますが、何しろ小規模で、過疎地で行ういろいろな細かく分画されたサービスシステムは、そろそろもう少し効率化できるようにしないと、それぞれの小さな施設が団体をつくって、それぞれの主張を述べ合う時期ではもうないかなと思っております。在宅が一番いいわけです。施設にいるより在宅が一番いいですから、これがスムーズに動くように、過疎地でも都市部でも、小さい規模のところでも運営が非常に効率的にできるような体制にしていただけたらと思いまして、発言させていただきました。
 よろしくお願いします。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 発表の皆様、ありがとうございました。
 私からは、日本栄養士会様と日本言語聴覚士協会様に質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど、栄養ケアの充実は介護保険施設への管理栄養士さんの複数配置が有効というお話があったのですけれども、さらに多職種のとの連携でも有効かなと思っているところでございます。
 管理栄養士さんには、参考資料の2枚目に、介護現場における管理栄養士の役割というところで、住まいでの対応の中で、栄養ケア・ステーションさんとの関わりが出てきてございます。自立支援と重症感染症をより目指すために、管理栄養士さんの栄養ケア・ステーションの連携と活用を今後どのように進めていかれるのか、お話をお伺いしたいと思います。
また、日本言語聴覚士協会様については、先ほど16ページのところで、摂食嚥下障害に対する生活期における障害に起因する生活課題の把握、対応で連携が必要とお話をいただきました。今の武久委員のお話のとおり、急性期、回復期、さらに生活期でのリハビリテーションが非常に重要になってくると思います。
 その中で、18ページに、具体的に生活期における摂食介助方法の確立、また口の中をきれいに保つというところが出てございますけれども、今後言語聴覚士さんが考えておられる在宅での職種との連携について、具体的な方策、お考えがあればお伝え願いたいと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 中村様、お願いします。
○中村意見陳述人(日本栄養士会) この日本栄養士会が主催します栄養ケア・ステーションは、地域に栄養や食事のことを身近に、気軽に相談できる場をつくりたいというところで設立いたしました。もう10年ぐらい経過しているのですが、現在、地域の栄養指導、栄養改善、そして在宅における訪問栄養指導など、業務は多様な状況になってきております。ただ、何せアたらしいステーションをつくるとしますと、そこに事業費をどうするか、経営をどうやってやるかという組織自体の自立する方法論が、まだきちんとした確立をされているわけではございません。
 現在、既に300ぐらい全国にステーションが立ち上がっているのですが、日本栄養士会でその質的担保をするために、認定栄養ケア・ステーションを立ち上げて、地域の医師会、ケア・ステーションあるいはいろいろな団体と連携を進めております。これが自立した組織になっていけば、もっと積極的な対応ができると思っていますが、現実的には、現在まだ手探り状態であるのですが、必ずや地域の保健・医療・福祉に貢献できるのではないかと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 深浦様。
○深浦意見陳述人 日本言語聴覚士協会の深浦でございます。
 どうも御質問ありがとうございます。
 各地で訪問をやっている言語聴覚士も随分増えてきましたので、病院ではある程度、管理された中での食事の作成ができていましたし、摂食介助等についてもうまくできているところが多いのですが、在宅になると急にそういうのが落ちてくる、できなくなる、あるいは戻ってこられるということが多くございますので、先ほど申しましたように、在宅において、食事自体の作成方法や介助方法等について、具体的にお示しすることが我々にとって必要なことかなと思っております。
 先生が御質問の連携に関しましては、当然のことながら、口腔の状態とかに関しては歯科医師の先生方にいろいろ御相談をしながら、各地でもやっているところでございますし、都道府県の歯科医師会と協働でお勉強会などをいろいろと長くやっているところだと思っております。こういう連携が各地で起こっておりますので、全国で全て整うとすごくいいのだろうなとは思っているところでございます。
これからもどうぞ御支援をよろしくお願いしたいと思っております。
 ありがとうございます。
○田中分科会長 松田委員、どうぞ。
○松田委員 ありがとうございます。
 関係団体から今日、新型コロナウイルス感染症の影響を含めて、事業所の経営に関する発言をいただいたのですけれども、いろいろな加算のお話などがあったのですが、裏づけとして、介護報酬改定に向けて今、厚労省がやっている経営実態調査の結果と突き合わせて考えることが大事だと思うのです。事業所の調査なのですが、いつも回収率が問題になるのですが、今、実際、経営実態調査の調査票の回収状況はいかがでしょうか。
 事務局にお聞きします。
○田中分科会長 老人保健課長、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 介護報酬実態調査、介護事業経営実態調査でございますけれども、改定の根拠となる非常に重要な調査であると位置づけてございます。
私ども、例年どおりやらせていただいていて、回収率の向上に向けた取組もさらにやっていたところだったのですが、恐らく新型コロナ禍の影響もあるのだろうと想像しますけれども、現時点で回収は、例年に比べて若干低くなってございます。
 私どもとしては、今月の末まで行くと厳しいですが、中旬、下旬の頭ぐらいまでであれば対象に入れられるということで、最後またお願いをしたいと思っているところでございます。
○松田委員 今日いただいたいろいろな御意見を反映させるためにも、経営実態調査はすごく大事だと思いますので、できるだけ多くの回収率を達成できるように、事務局のほうからも関係団体にもう一度御協力のお願いをしていただけたらと思います。
 いつが締切りになるのですか。
○眞鍋老人保健課長 実は締切りはもう過ぎてございます。
 今は入力と集計を並行して進めております。恐らく今月の中旬末、または下旬の頭ぐらいまでであれば、最終的には調査結果には反映させられるだろうと思っているところでございます。
○松田委員 できるだけ多くの回収率をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 井口代理、お願いします。
○井口分科会長代理 ただいま松田委員と眞鍋課長のお話がありました。回収期限が過ぎたということでございますが、新型コロナウイルス感染症によるものを含めて、経営状況を適切、迅速に把握するためにも、回収率を高めていくことは極めて重要であります。
 分科会に参加されている団体の皆様も含め、関係団体から会員事業所等に対し働きかけを行い、次期介護報酬改定につなげていく必要があると思いますので、皆様方の御協力をいただけたら非常にありがたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがたいご発言でした。
 岡島委員、どうぞ。
○岡島委員 ありがとうございます。
 私からは、通所リハと訪問リハに関連する団体への意見でございます。
 前回の分科会では、通所リハビリの利用者についてのデータで、要支援と要介護1・2のいわゆる軽度者に対する支援が約8割を占めているというデータがございました。
 訪問リハビリのほうは、最新データをまだ見ておりませんけれども、前回改定時で約半数が軽度者という結果がございまして、先ほど東委員からも、リハビリに卒業や修了はないという御意見がありましたが、その一方で、認知症の方や中重度の方への支援が十分ではない。
今後も、こういった通所リハや訪問リハにおいて、軽度者中心にリハ職がサービスを提供していくという体制を維持していくのであれば、現在、訪問看護ステーションから行っているリハ職等による訪問のうち、軽度者を中心にしたリハビリの内容をメインにしたサービスは見直しをしていく必要もあるのではないかと思います。
 先ほど第1グループのヒアリングにもございましたけれども、看護体制強化加算の趣旨を踏まえると、訪問看護ステーションにおけるリハ職の配置も検討の余地があると考えます。
 一方で、リハ職の活躍の場としては、給付による通所や訪問リハだけではなくて、一般介護予防や認知症に対する地域支援といった面でも必要とされているところがあると思いますので、地域ニーズに応じて、リハ職に有効に活躍していただくという点では、介護保険制度におけるリハビリ提供体制をもっと大きな視点で検討していく必要があると考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 一通り御質問並びに御意見をありがとうございました。
 まだ質問し足りない方は、事務局を通じてお願いいたします。
 また、本日のヒアリングに関する意見は、今後の給付費分科会で生かしてまいります。
 本日御出席いただきました皆様方のヒアリングはここまでといたします。団体の方々ありがとうございました。
 また、委員の方々からは貴重な御意見をいただき、感謝いたします。
 本日の御意見を踏まえ、今後も引き続き検討を進めてまいります。
 事務局から、次回の会合についての御説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 局長が本分科会にご出席になる機会は最後になるので、一言お願いします。
○大島老健局長 今日もありがとうございました。介護報酬改定に向けて、それぞれ現場に即した御意見をいただきました。ぜひこういった御意見も参考にさせていただきながら、議論を深めてまいりたいと思います。
 私ごとですけれども、今週金曜日で異動の内示の発令がございました。大変お世話になりました。至らぬ点も多々あったと思いますが、なるべく現場の皆様の声を制度にちゃんと反映させるように努めてきたつもりでございます。引き続き、老健局としてそういった声を大切にしながら、施策を遂行していくようにしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○田中分科会長 局長、ありがとうございました。
 本日はシステムトラブルで途中、大変でしたが、何とか事務局によって回復できました。次回もうまくいくように、事前の準備をよろしくお願いいたします。
 それでは、皆様、健康に気をつけてお過ごしください。