医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について

令和2年10月1日より、本人確認等を目的として医療保険の保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知を求めることが禁止されます(告知要求制限)。

告知要求制限について

1.告知要求制限とは

 今般、健康保険法をはじめとする医療保険各法が改正され、保険者番号及び被保険者等記号・番号等について、プライバシー保護の観点から、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外でこれらの告知を求めることを禁止する規定が新たに設けられ、令和2年10月1日から施行されています。今後も、本人確認等のために被保険者証(いわゆる「保険証」)等の提示を求めることは可能ですが、その際には、この告知要求制限に抵触しないようご留意いただく必要があります。

2.対象となる記号・番号等

 告知要求制限の対象となる記号・番号等は以下の通りです。
  • 健康保険法(大正11年法律第70号)に規定する「保険者番号及び被保険者等記号・番号」(健康保険法第194条の2第1項)
  • 船員保険法(昭和14年法律第73号)に規定する「保険者番号及び被保険者等記号・番号」(船員保険法第143条の2第1項)
  • 私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)に規定する「保険者番号及び加入者等記号・番号」(私立学校教職員共済法第45条第1項)
  • 国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)に規定する「保険者番号及び組合員等記号・番号」(国家公務員共済組合法第112条の2第1項)
  • 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に規定する「保険者番号及び被保険者記号・番号」(国民健康保険法第111条の2第1項)
  • 地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)に規定する「保険者番号及び組合員等記号・番号」(地方公務員等共済組合法第144条の24の2第1項)
  • 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に規定する「保険者番号及び被保険者番号」(高齢者の医療の確保に関する法律第161条の2第1項)
  • 被保険者証だけでなく、高齢受給者証、限度額適用認定証など、上記の記号・番号等が記載された書類等の提出を求めることは、すべて告知要求制限の対象となります。

3.本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項

 今後も、本人確認等のために被保険者証等の提示を求めることは可能ですが、告知要求制限に抵触しないよう、以下の点にご留意いただく必要があります。
  • 被保険者証の提示を受ける場合には、2.の記号・番号等を書き写すことのないようにすること。
  • 被保険者証の写しを取る場合には、2.の記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。
  • 被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し、 2.の記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。
  • マスキングが施されていない写しを受けた場合には、その提供を受けた者においてマスキングを施すこと。
  • 2.の記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、 「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないようにすること。
  • 被保険者証等にQRコードがある場合について、そのQRコードを読み取ると2.の記号・番号等がわかるものについては、2.の記号・番号等同様にマスキングを施す必要があります。
  • これらの扱いは、令和2年10月1日以降に被保険者証等の提示を求める場合に適用されるものであり、これ以 前に取得した被保険者証等の写しについて、改めてマスキングを施す等の対応を求めるものではありません。

4.告知要求制限の対象とならない場合

(1)医療保険者や保険医療機関等、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行のために2.の記号・番号等を利用する者、 (2)(1)以外の者が健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行のために2.の記号・番号等の利用が特に必要な場合 は、告知要求制限の対象にならず、記号・番号等の告知を求めることが出来ます。これらは健康保険法施行規則等に定められており、具体例として以下のようなケースが挙げられます。
詳細は、「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について」(令和2年10月5日付け通知)等をご参照ください。

(1)に該当する者(健康保険法施行規則第156条の2第1項)の例

  • 保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者等
  • 医療保険の保険者
  • 都道府県知事、市町村長 他

(2)に該当する場合の例

  • 保険者から委託を受けた者が、当該委託を受けた健康保健事業に関連する事務を行う場合(例:医療保険者と 委託契約を締結したスポーツクラブ)
  • 被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が、それぞれ当該同意を得た又は当該委託を受けた 保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為を行う場合(例: 保育施設が児童の被保険者証の写しを預かる場合)
  • 特定健康診査、特定保健指導その他の健康診断を実施する機関が、当該健康診断を実施する場合

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