2018年12月11日 第11回 たばこの健康影響評価専門委員会(議事録)

日時

平成30年12月11日(火)10:00~12:00

議題

(1)室外へのたばこの煙の流出防止措置について
(2)その他

議事

 

○祖父江委員長 それでは、定刻ジャストになりましたので、ただいまから第11回「たばこの健康影響評価専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、年末で御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本専門委員会の委員の出席状況を報告いたします。
 本日は小嶋委員と蒲生委員が御欠席という連絡をいただいております。したがって、全8名中6名の御出席をいただいているという状況です。
 今回より本委員会、ほかの委員会もそうですけれども、ペーパーレスでの開催となりましたので、委員のお手元には資料をおさめたタブレットがあります。これに関して何か説明はありますか。皆さん操作できますでしょうか。特に問題ないようでしたら説明なしで進めたいと思います。
 では、事務局より本日の資料について確認をお願いいたします。
○木下健康課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の先生方の端末を見ていただきまして、最初に議事次第が入っているかと思います。その次に委員名簿、座席図。
 資料1「今までの検討および議論のまとめ」。
 資料2「加熱式たばこの煙の流出評価試験」。
 資料3「煙の流出防止にかかる技術的基準(案)」。
 参考資料1は第9回の資料ですが、「『煙の流出防止基準』に係る関係団体ヒアリング」。
 参考資料2は第8回目の資料でございますが、「健康増進法の一部を改正する法律の概要」。
 参考資料3も第8回の資料ですけれども、「喫煙室の類型について」。
 参考資料4は前回、第10回の専門委員会の議事録でございます。
 御確認大丈夫でしょうか。
 このほかに委員限りの資料といたしまして、たばこ会社からのヒアリング結果が端末に入っております。この資料につきましては、たばこ会社の商品に関する機微に触れる情報も入っておりますので、当該資料は審議会のホームページには掲載しない取扱いとさせていただきます。
 資料の確認は以上となります。よろしいでしょうか。
 それでは、マスコミの方におきましては、カメラ撮影についてはこちらまでとなりますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、委員長、よろしくお願いします。
○祖父江委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 本日の議題は「(1)室外へのたばこの煙の流出防止措置について」ということです。
 まず事務局から資料1に基づいて、今までの経緯についての御説明をお願いします。
○平野たばこ対策専門官 おはようございます。
 資料1に基づきまして、今までの検討及び議論のまとめを御説明申し上げます。
 あわせて参考資料2、参考資料3についても適宜御参照ください。
 本専門委員会では、喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室、これは加熱式たばこを想定したものでございます。それから、喫煙目的室、これはシガーバー等を想定したものでございます。それと既存特定飲食提供施設の一部を喫煙、一部を禁煙にする場合の喫煙室の基準として、煙の流出防止措置を考えていくに当たりまして、現行の助成金と同様に入り口における風速が0.2m/秒以上であることを基本として考えていくというのが、第8回委員会のコンセンサスであったかと存じます。
 その後、団体様からのヒアリングを実施いたしました。8月9日から22日にかけまして関係団体からのヒアリングを行っております。こちらにつきましては、必要に応じまして参考資料を御参照ください。
 そのヒアリングでありました主な御意見といたしましては、1つ目でございます。喫煙専用室について、屋外排気のための設備を設けようとしてもビルのオーナーに許可されない場合などがあるということが御意見としてございました。
 2つ目でございます。加熱式たばこ専用喫煙室について、加熱式たばこは煙も少ないので、喫煙専用室よりも基準を緩和すべきという御意見がございました。さらに、最新の科学的知見に基づいた基準を定めることとの参議院厚生労働委員会の附帯決議を踏まえて、最新の科学的知見に基づいた検討、議論を行うべきであるという御意見もございました。
 もう一つ、加熱式たばこの受動喫煙による健康影響が明らかでないことを踏まえると、喫煙専用室と同様の基準を設けることは過剰ではないかという御意見もございました。
 10月12日でございますが、たばこ会社からのデータの聴取を行いました。こちらにつきましては第10回の委員会で御承認いただいた後、祖父江委員長、欅田委員長代理にも御同席いただきまして、たばこ会社3社から研究データの説明をいただきました。
 こうした過去の経緯を踏まえまして、本日、団体ヒアリング時の御意見、たばこ会社の知見を踏まえて、喫煙室からの煙の流出防止措置につきまして再検討・議論をして、基準案を取りまとめいただくというところが今回の趣旨でございます。
 御説明は以上でございます。
○祖父江委員長 ありがとうございました。
 前回から少し時間があきましたので、今までの経緯についての確認をいただいたというところだと思います。
 今の事務局の説明にありましたように、喫煙室の煙の流出防止基準については、特に加熱式たばこについては最新の科学的知見に基づいて検討する必要があるということですから、委員長の私と委員長代理の欅田委員、事務局の厚労省とでJT、フィリップ・モリス・ジャパン、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、この3社のたばこ会社より説明を受けました。これが10月12日でありました。たばこ会社の説明内容も含めて、事務局から資料2、資料3に基づいて報告をお願いいたします。
○平野たばこ対策専門官 御説明申し上げます。
 まず資料2をご覧ください。これは私どものほうで国立がん研究センターの委託事業及び大和委員にも御協力をいただきまして、加熱式たばこの煙の流出評価を行いました。
 資料2の右上の図をご覧ください。こちらの喫煙室、横が2.58メートル、奥行きが2.4メートル、高さが2.39メールの部屋を使いまして、加熱式たばこ3種類の煙の流出評価試験を行いました。図中の○の場所から、加熱式たばこというのは吸わないと煙が出ないという性質もありますので、注射器を使って煙を吸引して放出するという形で行いました。放出した後、1分おきに人が出入りするという前提、いわゆる喫茶店等の喫煙室の出入りを想定した間隔で人の出入りを行ったところ、外側の環境を評価したものでございます。
 それぞれ加熱式たばこA、B、C3種類について、入り口の風速が0.1m/sのとき、0.2m/sのとき、部屋の外側、40センチの場所に揮発性有機化合物VOC計を設置して、そのVOCの濃度を測ったグラフが左側の3つになります。いずれの場合も人の出入りによって若干数字は上がっていきますが、風速が0.1m/sと0.2m/sのときでは有意な差がございました。
 このことから、0.1m/sの場合には人の出入りに伴って室外に煙が流出して、室外のVOCが蓄積しているものと考えております。これが私どもの結果でございます。
 続きまして、たばこ会社からいただきましたデータの概要について、御説明をいたします。
 まずJTさんからいただいた結果、委員のお手元には端末に入っているものでございます。こちらにつきましては、まずプルーム・テックに関する情報提供の9ページをご覧ください。プルーム・テックの煙の中からは、健康懸念物質がほとんど検出されないという御説明でございました。
 11ページをご覧ください。呼出煙の中に含まれている成分を測った結果でございます。その結果ですと、実質的に周りの人たちへの健康影響を与えるものではないというデータを御説明頂いています。
 続きまして、空気環境評価の資料をご覧ください。こちらの1ページをご覧いただきますと、実際のカフェで室内空気環境を測定した試験でございます。総客席数が28席、喫煙エリアが15席、非喫煙エリアが13席の喫茶店を利用されて、喫煙エリアから非喫煙エリアへの煙の流出を評価しています。その様子が2ページにございます。
 結果は4ページ、8ページをご覧ください。4ページ、喫煙エリアの粉塵濃度は、加熱式たばこを使った場合にほとんど変わらないという結果を頂いています。
 8ページは、今回、加熱式たばこは2種類が評価されておりまして、加熱式たばこBというところを見ていただきますと、加熱式たばこBではプロピレングリコールとニコチンのみが上昇しているという結果でございました。それに対して加熱式たばこAでは、使用時に有意な上昇は見られなかったという結果でございます。
 10ページでございますが、今回の測定条件、境界風速0.06m/sにおいて、紙巻たばこを喫煙した場合は喫煙エリアの外にも影響を及ぼす結果でしたが、加熱式たばこの場合は0.06m/sでも周囲の非喫煙エリアへの室内環境に影響を及ぼさないという結果であったとの説明を頂いております。
 その他、カラオケボックスを使った試験についてもデータを頂いておりますので、そちらもあわせて御参照いただければと思います。
 続きまして、フィリップ・モリス・ジャパンさんより御説明をいただいた内容についてもざっと御報告をさせていただきたいと思います。「加熱式たばこ(IQOS)の研究成果と要望」というファイルをご覧ください。そちらでは2つの試験が行われて、その結果を御説明頂きました。
 1つは5ページをご覧ください。欧州標準化委員会のスタンダードに則って、3種類の居住空間、オフィス、飲食店等で評価をしています。そのプロトコールで評価されています。
 その結果が、7ページにございます。屋内で紙巻たばこを使用した場合は、測定した物質全てで高い数字となっていますが、加熱式たばこを使った場合には、上昇している項目はニコチンとアセトアルデヒドとグリセリンの3項目だけという結果になっております。
 続きまして、21ページをご覧ください。実在するレストランで受動喫煙の曝露評価を行って、エアロゾルを曝露した後の非喫煙者の尿中のバイオマーカーを調べた結果でございます。レストランの様子は23ページをご覧ください。
 結果は25ページをご覧ください。曝露イベントのときに空気中のニコチン濃度は平均で1.5μg/m3というのが最大となっておりまして、ニトロソアミンは検出限界以下、粉塵等粒子状物質については大差が見られないという結果でございました。
 また、尿中のバイオマーカーにつきましては26ページ以降をご覧ください。ニコチン濃度につきまして、あるいはニトロソアミン濃度につきましては、曝露の増加はなかったという結果を頂いております。
 最後、ブリティッシュ・アメリカン・タバコさんの結果でございます。「加熱式たばこ製品(glo)の科学的評価」というファイルをご覧ください。こちらも3種類の試験を頂いております。
 1つ目、主流煙中の分析でございます。4ページをご覧ください。gloのベイパー中に含まれる化学物質は、非常に少ないという結果を頂いております。
 2つ目、6ページをご覧ください。喫煙者が紙巻たばこから加熱式たばこに変えた場合、一酸化炭素、ベンゼンのマーカーが劇的に下がって、その後、禁煙者と同じレベルで推移されているという結果の説明を頂いています。
 最後、実験3でございます。7ページをご覧ください。大きさ37.8m3の部屋を使って中の濃度を計測したという試験でございます。
 その結果は、8ページ、9ページをご覧ください。紙巻たばこと比べて粒子状成分の濃度が非常に低いという結果と、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等についても、紙巻たばこに比べて90%以上低いという結果を御報告頂いております。
 戻りまして資料3をご覧ください。「煙の流出防止にかかる技術的基準(案)」でございます。マル1にありますように、第8回の委員会では喫煙専用室で必要となる煙の流出防止措置は、入口風速0.2m/秒であること。さらに加熱式等につきましても0.2m/秒以上であることというのが当時のコンセンサスであったかと思います。その他、壁、天井等によって区画されていること。たばこの煙が屋外に排気されていることというこの3つの基準が基本となるかと思いますが、本日は、先ほどの私どもの評価試験及びたばこ会社から御説明頂きました試験等の結果をもとに、特に加熱式たばこの専用喫煙室において、入口風速0.2m/秒以上であることという基準が適切かどうかを再度御検討いただきまして、御審議をいただければと思います。
 御説明は以上でございます。
○祖父江委員長 ありがとうございました。
 資料2の流出評価試験の結果と、各たばこ会社からの説明のまとめを事務局からしていただきました。
 まずたばこ会社からの説明に関して私と欅田委員が同席しましたけれども、欅田委員から追加のコメントはありますでしょうか。
○欅田委員 一緒にヒアリングをさせていただきましたけれども、今、平野専門官から話がありましたように、加熱式たばこの成分に関しましては、各社さんが独自に分析されていますように、また、私たちも分析していますけれども、その中では今、御紹介がありましたように、ニコチンは結構出ているというのは各社さん同様に言われているところです。
 また、それ以外に普通のシガレットよりも多いような物質として、JTさんが述べられていましたプロピレングリコールあるいはグリセリン、これはグリセロールと同じなのですけれども、グリセリンとかが多いようなところがあるかと思います。また、アセトアルデヒドも、シガレットに比べると低いのですけれども、比較的高濃度に観察されているという御紹介があったかと思います。
 こういった中で、ほかの発がん性物質、たばこ特異的ニトロソアミンといったものに関しましては、検出されにくいといったようなところでしたけれども、かなりの濃度が出る化学物質があるというのは、たばこ会社さんも私たちが測定した結果も同様だったかと思います。
 その中で、外への漏れといったようなことに関しましては、各社がモデルとして実在のレストランあるいはモデル室を使って実験をされているところですけれども、やはりそこでは条件がそれぞれ特異的に皆さん余り出ないような感じでつくられているような実験系に見えるところもなきにしもあらずのようなところです。JTさんの分で0.06m/sであればという話がありましたが、実質0.06m/sというのは測定器でも測定できない話だと思いますので、確認しましたらこれは計算上の数値でありますといったようなところでした。シガレットに比べると比較的濃度は下がっているとはいいましても、一般大気環境とかそういったものに比べると、化学物質はかなり含まれているものがあるといったような観点からは、今、最終的に提示いただいた0.2m/sという入り口での風速の確保というのがどうしても必要になってくるかなと思えるところです。
 ニコチンは3社ともかなり含まれているところで、これまで以前の検討会でも紹介されていましたように、海外の事例では、受動喫煙対策が実施された自治体では、ニコチン曝露の低下から虚血性心疾患の発症が随分疫学的にも下がっていることが証明されているといったような観点からも、やはり何らかの対策はとっておくことが望ましいと思いますので、今の状況としてはこの数値が一番適切なところなのかなと私も思えるところでした。
 とりあえず以上です。
○祖父江委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料2の流出実験に参加されました大和先生からコメントをお願いします。
○大和委員 資料2ですけれども、赤が現状の喫煙室に対する基準である0.2 m/sで、それを半分に弱めた0.1 m/sは風速計で安定してぎりぎり測れる程度です。また、写真はスモークテスターといってわずかな気流を目で確認する方法でも見ていますので、0.1m/sという風速は、今回、しっかり実験的に成り立っております。
 それで人が出入りすると外のVOCが0.1 m/sのときも0.2m/sのときも徐々に高くなっていっている様子がわかります。特に0.1 m/sに下げると明らかに統計的に有意な傾きの差が発生しますので、0.1m/sは絶対に弱過ぎです。0.2m/sでさえも外のVOCがだんだん高くなっていく様子がわかりますので、私から見ると0.2m/sでさえ不十分だと思っているのです。ですから0.2m/sの基準を弱めるというのはあり得ないと思っています。
 以上です。
○祖父江委員長 ありがとうございました。
 本日の資料はこれで全て出そろったわけですけれども、議論のほうに移りたいと思います。ポイントが喫煙専用室の煙の流出防止措置に関して、喫煙専用室と指定たばこ専用喫煙室で違いを設けるかというところが最大のポイントだと思いますが、本日の資料等を踏まえて何らか御意見、コメントありますでしょうか。
○大和委員 加熱式たばこから、口から呼出されるエアロゾルと言いますけれども、小さな水の粒子、水滴は離れると気温でガスに気化するわけですから、粉塵を測定しても周囲の汚染を評価することはできないものなのです。ですから測定機械、粉塵計が反応しないものを測定して何も出ませんとか、漏れませんというのは議論にならないです。
 そして、喫煙専用室の中でエアロゾルが口から呼出されて、吐き出されて、それがその後、水滴からガスに変わるわけですから、有害物質がなくなるわけでは全然ないのです。そして、それが人の出入りによって外に漏れるということが資料2で示されました。ガス状物質というのは粉塵のようにリアルタイムでずっと1秒おきに測るということが難しいものですが、今回、粒子で測った過去の結果と同じ動きをすることが実測された、と結論していくべきであると思います。
○祖父江委員長 今の点は資料2の測定はVOC、揮発性有機化合物の濃度を測定するということですから、粒子をはかっているわけではなくて揮発性の有機化合物、これはガス層ですか。
○大和委員 今回のVOCは、ガスの中でもリアルタイムで測れるのです。ほかのガスはある一定時間、ポンプでサンプリングして測るため、一定時間の平均濃度という評価になりますけれども、粉塵で測った結果と全く同じような動きをしていたわけです。今回、ガス状物質、VOCのリアルタイムを測っても漏れていたので、たばこメーカーから出てきた粉塵計で測ったデータで汚染がないからといって、それでオーケーとするわけにはいかないと思います。
○祖父江委員長 確認ですけれども、各社の流出実験での測定の指標は粉塵を対象としていたということでよろしいですか。
○欅田委員 粉塵を対象にしているもの。粉塵は今、大和委員から話がありましたように、リアルタイムモニタリングがすごくしやすいのですけれども、それ以外にポンプで引いて測っているものもありますが、それの場合は余り有意ではなかったよという主張が多かったというところです。
○祖父江委員長 指標の適切性ということもありますので、資料2の流出実験で風速0.2m/s、0.1m/sで違いが見られたというところは、加熱式たばこに関しては大きな所見だと思いますけれども、ほかに御意見、コメントありますでしょうか。
○大和委員 この実験の結果に追加ですけれども、ここにドアがついていますが、模擬喫煙室での実験のときにはドアはずっと開けっ放しでやったのです。喫茶店の喫煙室のドアはスライド式の自動ドアのことが多いので。仮に押し開きのドアであれば、それを開け閉めするとさらに漏れます。ドアがフイゴのように煙やガス状物質を押し出しますから。ですから今回の実験では一番漏れにくい条件で測定しても、これだけ漏れているというふうに読み取ってもらえればいいのです。ですから、唯一測れるガス状物質のリアルタイムモニタリングの結果でも漏れが証明されていて、これで押し開きのドアを開けたり閉めたりするとさらに漏れるということを考えると、やはり加熱式たばこの基準は余り緩めるべきではないと思います。
○祖父江委員長 漏れているか漏れていないかという観点で言うと、何らかの物質が加熱式たばこの場合でも、0.2 m/s以下ですと漏れるということはこれで確認されていると思いますけれども、漏れた物質の健康影響の大きさといいますか、その漏れたものによる健康影響はどの程度のものと考えられるかというところもポイントになると思いますが、その点に関してはどうですか。濃度が低いとか、有害性物質の成分はかなり減弱されているということは言われているわけですけれども、その点を勘案して漏れがあってもいいということを考えるかどうか。
○大和委員 これはたばこの成分ですから、漏れはゼロであるべきだと思っています。一般の人は、いわゆる健常人は余り反応が出ないこともあるかもしれませんけれども、アレルギー体質の人とか、化学物質過敏症の人は世の中に一定数存在しますので、そういう人たちが普通に生活できるようにするためには、漏れはゼロであるべきだと思います。
 過敏症の体質で私がよく説明するのは、花粉症の時期に、私も30代半ばで花粉症になったのですけれども、花粉症でない人は全然くしゃみも涙も出ませんが、アレルギー体質になってしまった人は涙が出て、鼻水がとまらないわけです。だから同じ空気を吸っていても反応性が違う人たちが一定数存在するわけですから、その人たちが安全・安心に生活できるようにするためには、加熱式たばこの成分も、もちろんたばこの成分も漏れは困ると思います。
○祖父江委員長 欅田委員、どうぞ。
○欅田委員 成分それぞれについて見た場合には、先ほどお話しましたように加熱式たばこから発生する成分は、多くの部分は確かにシガレットに比べると低くなっているのは確かなのですけれども、一部グリセロール、プロピレングリコールのような、これは電子たばこの基剤としても使われているもので、基本的には有害性は低いと言われていますが、そういったものが大量に発生しているのと、それらに熱を加えると新たにアセトアルデヒドとかホルムアルデヒドなんかの発がん性物質の発生が起こり得るわけで、現実にたばこ産業が測っているデータあるいは私たちが測っているデータでも、そういった化学物質の発生というのは見られているところです。
 たばこ産業は、よく今コンビニなんかに置いてある加熱式たばこのリーフレットでは、常に90%オフとか95%オフとか、先ほど紹介があったような形で、紙巻たばこに比べて有害性が下がっているよというメッセージで、ハーム・リダクションということを述べられていますけれども、先ほど少し私が述べたように、一般環境の場合は大気環境基準とかを設定する場合、常に生涯リスクとして受け入れられるのが10万人に1人とかの発がんリスクという観点で見られますが、そういった大気環境基準等に比べると高いところもありますので、そういったものを大和委員が言われたように、感受性が高い人がおられるような公共の場で漏れることがないようにというのは、求められる最低限度としてこういった基準が適用できるのではないかと思うところです。
○祖父江委員長 ほかの委員の御意見どうですか。
○中澤委員 やはり私たちも条例を持っている立場として、今までの経験から申し上げますと、もちろん健康影響というのは長い目で見て、10年とか20年たったときにどうなるかということを考えると、それを待ってがんになってしまったね、では市民の健康を守っていけないということがありますので、やはり疑わしきものとか、少しでもなるべく低減していくことは必要かと思いますけれども、一方で実効性も担保していかなければならない。
 2回ぐらい前の会議のときにお話が出たと思いますが、例えば排出するときの換気扇を強化して有害物質をゼロにどんどん近づけていくというと、そこにつけてしまうと例えば喫茶店がうるさくてお話もできないとか、そういうことになってしまうと事業者さんなんかも当然つけられないとか、消防法の関係でつけられないということも出てきますので、どこのところで落としていくかいうことが必要なのかなと思っています。
 実際、うちの場合は風速0.2 m/sというところで、皆さん御協力いただいてやらせていただいていますので、そういう意味では健康影響とか視点が違ってしまうのですが、全ての事業者さんに御協力いただいて、国民というか市民の皆さんの健康を守っていくことが必要かと思うと、その落としどころとしては風速0.2 m/sというのは妥当な線なのかなと考えています。もちろんゼロに近づけるということが最大の目的ではありますけれども、現時点のところではそこら辺なのかなと考えております。
 以上です。
○祖父江委員長 ありがとうございます。
 神奈川県の経験でいくと、0.2 m/sというのは無理な値ではなく、実現可能な範囲内になるということですね。
 澤田委員、どうぞ。
○澤田委員 もう一度、私の理解として確認したいのが、JTさんから出ているような、9ページにあるような紙巻たばこと比較した加熱式たばこから発生する各物質量が非常に低いという、この測り方は実際には粉塵で測っているでしょうという計測なので、もう少し出ているでしょうという事実があるかもしれないということでよいですか。
○欅田委員 これは分析して定量しているものです。
○澤田委員 これはよい。では、ニコチンとかもよいということでよいのですか。わかりました。
 そうすると発がん性物質とかそういう点で言えば、紙巻たばこよりも格段に出ている物質としての量は低いと思うので、健康影響としては少ないことが予想されるという主張もよくわかりますが、必ずしもないということがわかっている科学的根拠が今のところないという現状で、そこを緩めるということを言える自信が自分自身にもないという現状です。なので0.2 m/sというのは妥当かなと。もちろん理想はゼロだというのも理解できますけれども、そう思います。
○祖父江委員長 だから成分値が低いということは確かにそうなのだけれども、それに伴う健康影響がそれと見合うだけ減るのかというところです。そこが不確実であるときに成分値が低いということだけで、流出基準を緩めるというのはちょっと説得力が少ないのではということですか。
 井上委員、どうでしょう。
○井上委員 今お話された各先生方と大きな差はないのですけれども、私はもちろんたばこあるいは加熱式たばこから出てくる有害物質をゼロにするというか、そういうもの自体をなくすというのが最終的なゴールだと考えていますが、その前提でハーム・リダクション、その過程の中で現実とハーム・リダクションとゴールに向かっていくための道筋というのをきちんと考えながら進んでいかなければいけないと思っていまして、先ほど言われたのと同じですけれども、加熱式たばこ、例えば参考資料1の2ページにヒアリングでの御意見ということで、各関係の加熱式たばこをつくっている会社ではなくて、各現場のヒアリングがありますけれども、そちらのほうで下のほうに健康影響が明らかでないということを考えたときに、もっと緩めたほうがいいのではないかという意見と、だからこそたばこと同じ基準にすべきだという意見があって、ということではないかと思うのですけれども、私の意見としてはもちろんたばこと同じように健康影響がまだ明らかになっていない以上、たばこと同じ基準で防いでいくというのが基本だと考えているので、0.2 m/sというのは非常に現実的で、また、今、実際にこれで進んでいる企業がありますので、同じものを用いることによってさらに投資もなく、今の基準でそのまま導入していけるところは新しい厳しい基準を設けるよりは多いと思うので、まさに賛成です。あくまでゴールを考えると同時に、早くハーム・リダクションを進行していくためにも、紙巻たばこと同じ基準にして持っていくというのがいいのではないかと思います。
○祖父江委員長 一応、委員全員の意見を聞きましたが、特に0.2 m/sで反対をするという委員の先生がおられませんが、何かほかのコメント、追加のコメント等ありますでしょうか。
○大和委員 資料2の結果が0.2 m/s以下に緩めるべきではないということ全てをあらわしていると思います。さっき言ったようにエアロゾルは室温でどんどんガスに変わっていって、それでガスに変わったものでさえ喫煙室の外に漏れ、蓄積していっていることを見ると、絶対に緩めるべきではないということを再度強調しておきたいと思います。
○祖父江委員長 ほかの委員は一応、御意見を伺ったので、資料3のところで煙の流出防止措置に係る技術的基準の案をもう一回確認したいと思いますが、ここに書かれているのが、ですから指定たばこ専用喫煙室も含めての話だと思いますけれども、喫煙専用室等で必要となる煙の流出防止措置は、以下のとおり。マル1として入り口における室外から室内への風速が0.2 m/s以上であること。マル2、壁、天井等によって区画されていること。マル3が、たばこの煙が屋外に排気されていること。こういうことです。この案のとおりで、この委員会の結論としてよろしいでしょうか。
 反対意見はないようですので、これを本専門委員会の結論として上げることにしたいと思います。
 そのほかの点について何かコメント、御意見ありますか。
○欅田委員 参考資料1で先ほどの団体ヒアリングの意見で、屋外排気の設備を設けようとしても、ビルのオーナーに許可されない場合があるということは以前も議論がありましたけれども、こういったものに対しての対応、先ほど中澤委員からも実効性ということがありましたが、どのように考えていったらよろしいでしょうか。
○平野たばこ対策専門官 屋外排気が困難な施設があるという御意見は、このヒアリング等を踏まえまして我々も承知しております。また、そういう困難ということが各お店等、御本人の責によらず対応ができないこともあるということも承知しておりますので、その取扱いにつきましては、法律の範囲内でどのような工夫ができるかということを事務局で検討させていただきたいと思いますけれども、先生方いかがでございましょうか。
○祖父江委員長 それで欅田先生よろしいですか。では、本件については事務局で取扱いを検討していただくことにしたいと思います。
 では、最後に武井課長から一言いただきたいと思います。
○武井健康課長 健康課長の武井でございます。
 今日はお忙しいところ御議論のほど、まことにありがとうございました。
 委員の先生方におかれましては、政省令の制定に当たりまして技術的な事項をここ数回御議論いただいたところでございます。
 さかのぼって考えますと、法律の制定から今日に至るまで多くの苦難、大変な論点について御議論いただきまして、まことにありがとうございます。今回のこの会合をもちまして一定の区切りがつくとは思います。ただし、たばこ対策はこれで終わりではなくて、今後しっかりまたこの進捗を見ながら、また、研究を進めながら事務局としてもしっかりたばこ対策を進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きまして委員の先生方におかれましては御指導、御鞭撻いただければ幸いでございます。
 本日は御議論まことにありがとうございました。
○祖父江委員長 それでは、これで閉会としたいと思います。ありがとうございました。