第3回 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和元年12月6日(金) 14:00~16:30

場所

労働委員会会館6階 612会議室
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)関係者からのヒアリングについて
  2. (2)その他

議事

○課長補佐 本日は大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、第3回「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。本日は、中澤委員が御欠席です。高橋委員の代理として、UAゼンセンの谷村様に御出席いただいております。以降の議事進行は城内座長にお願いいたします。
○城内座長 皆さんこんにちは。お寒い中を多数御出席いただきましてありがとうございます。議事に移ります。前回に引き続き、本日も関係者からのヒアリングを行います。事務局と相談をして、本日は化学物質管理に関する関係者として、全日本フレキソ製版工業組合の島崎様と宮田様、JXTGエネルギー株式会社川崎製油所の持田様にお越しいただいております。また、本検討会の参集者でもある、日本化学工業協会の永松委員からもお話いただく予定としております。ヒアリングは、今御紹介させていただいた順で進めていきます。
 ヒアリングを始める前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○課長補佐 本日はヒアリングのみとなっておりますので、座長のほうから御紹介いただいた3社のヒアリング資料を用意しております。資料1は全日本フレキソ製版工業組合から頂いた資料です。資料2は持田様から頂いた資料です。資料3は日本化学工業協会から頂いた資料になります。御確認をお願いいたします。
○城内座長 ヒアリングに移ります。ヒアリングの進め方ですが、初めに20分程度で御発表いただいた後、委員の皆様から質疑応答を20分程度行う形で進めていきます。初めに、全日本フレキソ製版工業組合の島崎様と宮田様より御発表いただきます。
○全日本フレキソ製版工業組合 よろしくお願いいたします。全日本フレキソ製版工業組合と申します。日本では非常にマイナーなのですが、フレキソ印刷というのがあります。日本では、オフセットとかグラビアという印刷方式がメジャーですが、近年、欧米で発展してきているのですが、樹脂版を使って直接転写するような印刷方式です。私たちは、その印刷業者へ出す、いわゆる版を作っている業者です。主に材料として、日本では旭化成さん、海外だとデュポンさんというメーカーの材料を使って製版を作る加工業者です。
 資料に戻ります。この版を作る工程として、最初にグラフィックのデータ処理をします。そこから樹脂版のブラックマスク層をレーザーで描画していきます。樹脂版は光を当てて固まる材料で、感光性樹脂といいます。
 洗浄するときに凹凸が付くのですが、その洗浄のときに各社様々な溶剤を使います。私たちは加工業者ですので、洗浄溶剤のこととか樹脂のこととか、化学の知見はほとんどありません。メーカーから勧められるままに、この溶剤はこういう反応だったとか、この材料にはこういう特性がありますみたいなところを指導に基づいて加工していきます。
 洗浄器の中に洗浄溶剤が入っていて、機械的にブラッシングして、乾燥しきれないまま出てくるようなものがほとんどです。樹脂が膨潤して溶剤が浸垂れているような状態のものを手で取り出して、乾燥器に入れていきます。乾燥しきってしまうと溶剤はほぼ飛んでしまっているので、無いです。その後、印刷機仕様にするためシーリングするとか、手作業でローラーでインキを樹脂版に塗って試刷りするとか、いわゆる検品作業です。そういうところでインキを使うとか、シーリング剤を使うというようなところにも溶剤が含まれています。
 ほとんどが100名以下の中小企業です。小さい所だと10人前後でやっている業者も多いので、化学の知見もなければ、作業環境は決して良いとは言えないような所でやっているのが実態です。そういう中で、メーカーからこういうやり方でやってくださいみたいなところでやっているのが実情です。化学物質の知見に基づいて何かをするというよりも、むしろ、いかにこの樹脂版をきれいに、上手に作るかみたいなところに注力しているような業界です。
 全日本フレキソ製版工業組合というのは、この版を作る業界なのですけれども、化学物質についてはメーカーからいろいろな材料や溶剤を提供されたり、場合によっては材料メーカー以外から溶剤も買います。しかし、化学物質に対して危険という認識はほとんど業界にはありません。化学の知見がたくさんある方からすると、それは実は危険なのですよみたいなところが多分におありかと思うのですが、私たち業界でも、こういう場を機に、もっと化学物質の知見を深めていかなければいけないと思っております。この10年間の中で、業界団体としては1度だけしか研修会はやっておりません。資料にあるように、2013年11月の業界の研修会で、デュポンさんからと、ダイソーケミカルさんから、溶剤の危険性について御教授いただいたような次第です。
 ちょうどこの春に、大阪の印刷業者が溶剤で胆管がんが発生しているときに取り上げられました。私は、このときに初めて溶剤というのは取扱い方によっては非常に危険なのだということで、デュポンさんとダイソーケミカルさんに相談をして研修を行いました。それ以降、実態として業界団体としての取組はやっていません。
 各個別の会社においてどのような取組をしているかについてです。私どもの業界は結構小さくて、業界団体自体29社しか入っていないですが、そのうちの16社からアンケートが取れましたので、それを次のページに載せています。個々には、溶剤は全く安全だという認識はないと思うのですけれども、それほど危険だという認識もそもそもない状況でした。実際には、作業のときには手袋をしているとか、マスクをしているとか、多少なりとも溶剤の取扱い主任の資格を持っているというような所もあるのですけれども、決して充実している形ではありません。義務的にそういう知識を持ってやらないといけないという意識はほとんどないと思います。
 私の会社も含めて、手袋をしていてもそれが本当に溶剤に適正なのかどうかということとか、マスクについてもそうですけれども、個別の溶剤についてそのマスクが本当に機能しているのかどうかというところまでは検証もしないで、自前で、これぐらいやっておけば大丈夫だろう的な感覚でやっているのが実態です。そういう意味で、まだまだやるべきことは、業界団体として啓蒙からいろいろな指導までやっていかないといけないのかと思っています。
 実態としては、メーカーから溶剤を販売されるわけですけれども、個々の会社で溶剤の取扱いもまちまちの状況です。意外と古い機械で、溶剤に浸された樹脂版が出てきて、マスクもしないでやっている所もあれば、溶剤をばく露している状況も実態としてはあるかと思います。私も同業で何社か訪問していますけれども、機械的に溶剤に浸された樹脂版を持ってくるのではなくて、ほぼ人の手で次の工程へ持っていっていますので、マスクを着用している人もいれば、着用していない所も多いというのが実態です。
 メーカーから、溶剤を販売するときに私たちはSDSを頂かなければいけないのでしょうけれども、それをもらわなければいけないという認識もしていないです。化学メーカー直接でなく、商社から買うことが多いのですけれども、商社も新しい溶剤を販売するときにSDSが付いてくるかというと、実態としてはほとんど付いてきていないのが実情です。これは弊社も含めて、業界団体で調達の際に求めると当然出てくるわけですけれども、販売のときに具体的に溶剤について説明があるかというと、ほぼない状態です。SDSも後から出てくるというような形で、それも余り深く見れていないのと、見ても余り分からないというような次第です。
 課題としては、私どもの溶剤としては、私たち自身は化学物質の知見がありませんので、やはり化学メーカーから供給を受ける際にSDSを必ず受けて、取扱いの説明を受けながら進めていくべきかと思っています。なかなかそういうタイミングがないので、私たちはこれをきっかけに毎年定例的に化学物質について知識を持つとともに取扱いの仕方を学んでいかないといけないと思っております。
 管理面についても、ほとんどの会社がルーズかと思います。アルコール系の溶剤を使っている所が多いのですけれども、1つ何か事が起こると人体の健康面の影響もありますし、火災についても起こる可能性がありますので、もう一段レベルを上げていかなければいけないと思います。
 現行の化学物質における要望等についてです。私どもは中小企業が中心の、100名以下の会社がほとんどです。溶剤は安易に手に入ります。先ほど申しましたように、余り説明もないまま、機能だけを重視して買っているところがあります。果たして危険を伴う化学物質がそんなに簡単に手に入るのはどうなのか。売る際には必ず安全指導の義務付けであるとか、ちょっと相談したいときにもメーカー、商社しかいませんので、もう少しフェアな立場で簡単に聞けるような方がいるといいのにと思います。現実はあるのかもしれないのですけれども、実態として中小企業のレベルでは、どこの誰に相談していいのかというのも分かっていない状況ですので、何かそういう所がもしあるのであれば、PR活動であるとか、化学物質についての取扱いの規制というのは、ないよりもあるほうが私たち中小企業にとっては有り難いと思っております。
○全日本フレキソ製版工業組合 引き続きまして、島崎と申します。よろしくお願いいたします。宮田のほうから説明させていただいたのですけれども、私どもが化学物質である洗浄溶剤を取り扱っていく上で、やはり一義的に最初に注意していたのは消防法です。消防法に合致する管理の仕方をしておけばよいのだろうぐらいの意識しかなかったというのがもともとの発端です。私どもの業界自体には、70年ほど前から日本でフレキソというものがありました。もちろんそのときはプラスチックの樹脂を洗浄溶剤で凹凸加工するのではなくて、彫刻刀みたいなものでゴムを彫っていたわけですから、化学物質とは無縁でした。
 そのフレキソ製版業を営んでいるうちに、ゴムを手で彫るようなデザイン、意匠だと、これからはPRの世の中でお客様の目を引かなければいけないということで、意匠性に足りないというところから、意匠再現性の良い版を作ろうということで、手彫りから樹脂版に置き換わっていきました。ですから、私ども製版業自体は、同じ版を作っているという認識の中で、今度は樹脂版を作るために溶剤を使わなければいけないというのに、化学物質を扱うことになるのだという意識がほとんどないまま移行してしまいました。
 さすがに今はありませんけれども、昭和40年代ぐらいには、既に化学物質を使って製版をしており、洗浄機械は当時からクローズドタイプのものを使って、局所排気は強制排気はしているのですけれども、その近くで喫煙をしたりしているというような状態も散見されたという話を先輩から聞いております。
 そんな状態ですので、2013年にオフセットで胆管がんが起きて、私どもフレキソでも同じ化学物質を使う印刷関係として、これをしっかりやっていかなければいけないということがあったにもかかわらず、それが一過性で、その後6年間経過して一度も触れてないということが非常に大きな反省としてあります。今回この機会を頂いた中で、これから何かを始めなければと考えております。
 アンケートの結果も下のほうに書き添えましたが、実施が2019年9月ということで、このヒアリングが決まってから、急に業者に諮ってみたというのが実態です。これを機に、来年2月に毎年恒例の技術研修会を行います。2020年2月には化学物質取扱いに関する啓蒙を行うために、特別にそのコーナーを作ってこれをやろうということは理事会で決定しております。
 こんなフレキソ製版工業組合ですけれども、先ほど御案内させていただいたとおり、今は組合員数が29社です。全国で何社あるかというと100社あるかないかというのが実態です。約3分の1ぐらいがここに入っています。フレキソ製版は何に使われているのか、フレキソ印刷がどういう領域で利用されているか。日本で一番大きな利用領域というのは段ボール印刷です。段ボール印刷はほぼ100%フレキソ製版で作られた印版によって印刷されています。この100社で日本中の段ボールの印刷物の版を作っているのが実態です。私どもは29社ということで数は少ないのですけれども3分の1になります。
 先ほど、私どもの中小企業性、零細性みたいなことを言及させていただきましたが、100社あるうちの50番以下ということになると、従業員数が10名を割り込む所がほとんどになってきます。そういう意味で私どもの29社というのは、数では3分の1ですけれども、市場に供給している量ということで言えば半数以上のものがここから出ているという状況です。その業者にしても、アンケート調査で明らかになったように、化学物質に対する認識というのはこの程度しかないというのは非常に恥ずかしいことですし、非常に危険なことであります。なんとかこれを解決していかなければいけないと切歯しているところです。
 次のページに、私どものアウトラインを書いてあります。昭和52年にフレキソ製版業者として全国組織を作りました。このときには300社ありました。それが今は100社に減っています。現在では組合数29社で、全国8支部でやっているのが実態です。本筋と外れるかもしれませんが、フレキソという言葉を初めてお聞きになる方々も多いと思います。これは皆様方もそうだと思いますけれども、どんなことなのかを少しだけお話をさせていただきます。
 水性フレキソ印刷の特徴と書いてあります。フレキソ印刷には水性のインキと、水性でないインキがあります。グラビアでも水性のグラビアインキと、水性ではないグラビアインキと両方あります。グラビアインキの場合は、水性グラビアインキと言っても、溶剤分が20%から40%ぐらい入っているのが水性グラビアインキです。水性フレキソインキの場合は、アルコールがメインなのですけれども、含有量が0.5%以下ということでほぼ水に近くて、非常に環境優位性が高いフレキソインキになっています。
 欧米ではフレキソ印刷で非常に盛んに刷られていますけれども、そのほとんどがアルコール含有が40%以上あるフレキソインキを使っていますが、日本では環境に良いものを作っていこうということで、大防法、埼玉県条例、PRTRというところから、これからの包材に印刷するためには環境性能を上げなければいけないということで、このような水性インキの開発が15年ほど前から始まりました。現在は、紙だけでなくて、今机上にあるペットボトルのラベルとか、今ここに出ているのはほぼ100%グラビアで刷られているものですが、ヒートシュリンクのかかっていない、セルフロールのラベル、ミネラルウォーターなどはみんなセルフロールの、キュッとなっていないラベルですけれども、ああいうものにも刷れるフレキソインキ、フィルムで、水性で、で刷るというような技術も出来上がってまいりました。
 そういうものを通じて、参考資料の2ページにあるように、印刷工程でのVOC濃度をどんどん減らしていこうとか、温室効果ガスの原因であるCO2の排出、グラビアの場合は燃焼しないといけないということで、CO2がどうしても出てしまう、溶剤を閉じ込めようとするとどうしてもCO2が出ます。フレキソの場合は水ですから、燃やす必要はないのです。そういう意味でもCO2の排出量は極めて低い状態で抑えられるということで、今は印刷業界の中でも水性フレキソ印刷というものを内包材、内包装、お菓子とか、冷凍食品とか、ペットボトルのラベルといったプラスチックフィルムを使った印刷に対して、グラビアではなくてフレキソを適用していこうという動きがあります。私ども製版業界としても、水性インキで刷られる印刷物がどんどん増えていくように、いろいろな機会を通じて世の中にアピールしていこうというような状況です。雑駁でしたけれども、私どもからの説明は以上です。御清聴、ありがとうございます。
○城内座長 ありがとうございました。非常に現場の状況をよく御発表いただいたと思います。委員の方から御質問等をお願いいたします。
○名古屋委員 1点お聞かせください。印刷のインキによることによって出てこないのだというのは分かりました。通常のグラビアでも、このインキを使うことによって印刷は可能で、VOCは出てこないというように考えてよろしいのですか。やはり何かあるのですか。
○全日本フレキソ製版工業組合 グラビアというのは凹版で、あそこにインキを溜め込んで刷ります。フレキソは凸版で、それを乗せて刷るということから、インキフィルムの厚みが全然違うということもあって、インキの凹凸ができません。
○名古屋委員 だから、これは使えないということですね。
○全日本フレキソ製版工業組合 はい。
○城内座長 その他にありますか。
○永松委員 日本化学工業協会の永松です。2点ほどお伺いします。先ほどの中で、SDS等の受領がないということで大変大きな問題だと思っています。例えば、多くの組合員の方はどういう販売ルートでされているのか。いわゆるSDSがどのような形で流れていっているのか。印刷工場で使われますので、きっとドラム缶などで入手されるはずで、であればラベルもあるのではないかと思うのです。それが1点目です。
 それから、ここに書かれている有機溶剤の種類を見ると、有機溶剤の取扱いの知識が必要だということは御承知かと思うのです。一方で有機溶剤の取扱いは一度講習を受けて資格を取ると、その後はほとんどフォローがないので、その辺についてどのように考えているのか、これが2点目です。
○全日本フレキソ製版工業組合 最初の御質問に対するお答えは、私どもは、旭化成さんとデュポンさんは版の製造メーカーで、ここが溶剤もレシピを作って販売しているという状態です。大きな会社ですので、私どものような小さな会社に対しては一次代理店、二次代理店というような所を通じて販売しているのが実態です。洗浄溶剤についても同じルートになるわけです。
 ですからSDSについてはドラム缶にはもちろん付いていますし、SDSもそうなのですけれども、1回持ってくるともう持ってこない。例えば、3年とか5年たつと変わっている場合もあります。ところが、その変わったときに、我々が要望しないと出てこないような状況です。
○全日本フレキソ製版工業組合 2つ目の御質問の、溶剤の取扱い主任の資格は、今お話がありましたように、2日間受講すれば得られる資格です。本人にとっては、そのときに受講したら、しばらくの期間は意識として実際にはあるかと思います。いざ作業現場に出て作業をし出して、大半の人が資格を持っていない中でやっていると、だんだん意識としては実態として薄れているのではないか。本当は、そういう資格を取る人をどんどん増やしていかないといけないのかもしれません。会社として、1人、2人持っていればいいのかなというような、ちょっとファジーな感覚でいるというのは実態としてあるのかと思います。
○永松委員 ありがとうございました。
○城内座長 その他にありますか。
○三柴委員 三柴と申します。貴重なお話をありがとうございました。業界としてなかなか認識が高まらないというお話を伺いました。実際に被災の例などはどのように認識されているのですか。過敏症の方も場合によっては声を上げるということがあり得ると思うのです。そういう例も含めて、業界として認識をお持ちかどうかを教えてください。
○全日本フレキソ製版工業組合 業界としての認識は、恥ずかしい話なのですけれども、特にないのが実態です。私も個人で製版会社をやっておりますけれども、その何十年かの経験の中で、問題はない、労働者からの報告もないというのが実態です。
○三柴委員 ありがとうございました。
○城内座長 その他にありますか。
○宮腰委員 ありがとうございました。私はJEC連合の宮腰と申します。先ほど、2013年に胆管がんが発生したということでした。その状況というのは、ガスを吸われての胆管がんの発生状況だったのか、それとも手袋等が合わなかったとか、その辺の実情というのは分かっているのですか。
○全日本フレキソ製版工業組合 あのときは、ガスを吸ってというような状態で胆管がんが発症した例が、最終的には30とか40という事例まで挙がって、ご不幸なことに死亡した方もいました。経皮ということではなくて、全て、長年にわたって吸い込んだために胆管がんを発症したというような経緯だったと記憶しております。
○城内座長 今のは、報道された胆管がんの例の説明ですね。
○全日本フレキソ製版工業組合 はい。
○城内座長 その他にありますか。
○課長補佐 事務局からの質問で申し訳ありません。大体が100人未満の会社で、小さい所は10人を切るような会社が多いというお話でした。実際に化学物質をこれからしっかり管理していきましょうということになったときに、具体的に管理をするような方とか体制というのは、そういう小さな会社の中でどのように作っていけるかというイメージはお持ちでしょうか。
○全日本フレキソ製版工業組合 大変難しいことではあると思います。一番考えられるのは、最近の労働の流動性の問題もあるのですけれども、辞めていってしまう社員が出たときに、その方が作業主任者であったということがあると、職場にそういう方がいなくなってしまうというのはまずいという認識は多分あるのではないか。そうすると、オーナー系の方々が取っていくということで対応していく、ということが一番考えられるパターンだと思います。
 実態として懸念が残るのは、知識がアップデートされないまま、ずうっと年月が経過していったときに、名目だけの主任者が残った法人ということだけでは意味がないことになります。私どもの業界、組合としては、誰かというよりも、その会社で作業に就く者全てが、2人であれば2人、1人であれば1人ですけれども、全てがきちっと講習を受けて、それもアップデートしていくような形での指導をしていく以外にないのかと思っています。
○城内座長 その他にありますか。
○漆原委員 御説明ありがとうございました。2ページの加工の写真を見ると、例えばそこの樹脂版の清掃の工程は、ここで記載してあるような化学物質が外に漏れるような形の機械ではないようなイメージがあります。そこのばく露の可能性はどのぐらいで、何人ぐらいが実際に作業をしているのかが分かれば教えてください。
○全日本フレキソ製版工業組合 右から2つ目の写真が洗浄装置になっています。一応クローズで局所排気するような機械にはなっています。これは中に溶剤が入っていて、中で洗浄されて、出てくるのは溶剤に浸された樹脂版が出てきます。ほぼ95%ぐらいの製版会社はこのタイプを使用しています。その溶剤に浸された樹脂版を取り上げて乾燥器に持っていく状況ですので、ある程度はばく露するのかなと。ある程度というか、ほどほどばく露している状況です。
○全日本フレキソ製版工業組合 もう1点ですが、その洗浄溶剤が疲労していくと、当然その溶剤に樹脂が溶け込んだ形になりますので、それを再蒸溜するという工程が会社の中にあります。加熱、減圧で再蒸溜したものをまたリサイクルして使いますが、しかし残留物が残ります。その残留物はゲル化しているのですけれども、溶剤分が残った状態ですので、それを産廃業者に出すために回収するという作業のときに、グローブ、マスク、ゴーグルをしていないとかなりきつい臭いを吸い込むことになります。指導はそういうことで、個社個社に今は任されているような実情です。その辺についてもしっかりと組合として指導ができるように、まあ指導まではいかないのでしょうけれども、その啓蒙ができるような仕組みを取らなければいけないと感じております。
○城内座長 その他にいかがでしょうか。私から1つ質問させていただきます。今、ばく露のお話があったのですが、実際に労働者とオーナーが本当に危ないと思っているのか、そうではないのかというところで、何かをしようと思ったときにすごく大きく違ってくると思うのです。もちろん本日お話を伺っている島崎様と宮田様は、やはり対応しようということだと思うのですが、実際の現場で働いている方、あるいはオーナーたちが、今までそんな事故もないのだからいいではないかなのか、いやいややはりやったほうがいいのではないかというのか、その辺の感じはいかがでしょうか。
○全日本フレキソ製版工業組合 今御指摘いただいたことが、そのまま私たちの杞憂となっています。言っても、本当にそこに気付きを向けてくれるのかどうかというのは全く自信のないところであります。回数を重ねることで説得に応じてくれるような性質のものでもないと思います。もちろん私どもも毎年機関誌も発行していますので、その中でそういうことに触れていくことはしていく計画はありますが、実態として、個社個社の中で、それがどのように受け止められるかという部分については、座長からおっしゃっていただけたような杞憂を払拭されることはないのではないかと思います。
○城内座長 ということは、実際に働いている方たちも、日常その臭いが嫌だとか、ちょっと具合が悪くなったというようなことはそれほどないということでしょうか。
○全日本フレキソ製版工業組合 私の知る限りはないのですけれども、宮田さんはどうですか。
○全日本フレキソ製版工業組合 余り聞いたことはないです。ただ、大なり小なり危険はあるのではないかと思いながらも、実際に起こっていないものですから、まあまあ大丈夫なのかな的なところはあるのかと思います。
○城内座長 どうもありがとうございました。その他に御質問等はよろしいでしょうか。質疑応答はここまでにいたします。島崎様、宮田様どうもありがとうございました。
○全日本フレキソ製版工業組合 ありがとうございました。
○城内座長 続きまして、JXTGエネルギー株式会社の持田様より御発表いただきます。よろしくお願いいたします。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) JXTGエネルギーの持田と申します。よろしくお願いいたします。本日はこのような場にお招きいただきましてありがとうございます。本日は諸外国での化学物質の取扱いについて話してほしいという話があったのですが、アメリカのことしか分からないので、アメリカに限ってのお話とさせていただきます。
 化学物質管理と一くくりに言いますと、例えばEPAとか、環境省みたいな所とか、そういった所も絡んでくるのですが、職場におけるということでOSHAの話に限って話したいと思います。
 2枚目からいきますと、本日のトピックスとして、まずOSHAの法令の全体像をお話したいと思います。有毒物質や有害物質というのがどの辺に位置されているかというのをお話できればと思います。1番がそれで、2番がその中でどのように全体の法令があるのかという、ちょっと深掘りをしたところをお話したいと思います。3番、4番は少し話を変えてインダストリアルハイジニストというものはどういうものなのかということと、米国におけるOSHAの査察のプログラムの考え方ですとか、そういったところをお話していきたいと思います。
 3ページ、OSHAの法令の全体像ですが、ここは29CFRという所ですが、赤字の所を本日説明しますが、少し前後行ったり来たりしますので、迷子になってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。
 この29CFRという中で、更にPartナンバーで分かれています。Part24から始まって、1900幾つまであるのですが、これは番号が結構飛び飛びで、Part24から始まったら次はPart70ぐらいになって、そうしたら1900になって、番号の付け方がどうしてそうなったのかよく分からないのですが、今日、フォーカスするのはPart1910-Occupational Safety and Health Standards、いわゆる労働安全衛生法のところです。ここで注目したいと思うのは、その下にOccup.Safety and Health Standards for Shipyard、造船業のものとかも個別にあったりするのです。それからConstructionで建設、もちろん1910を守った上で更にこれも守りなさいよということで、いわゆる事故が多い所というのは、法令が別個上乗せのような形で出来ているというところです。
 それでは1910という所を更に入っていきますと、4枚目のスライドになります。1910の中に更にSubpartとしてAからZまであります。Aの総則から入って、Hに危険物質という所があるのですが、ここは高圧ガスや爆発性物質、引火性の物質、そういったところが書いてあります。今日はここは触れないでいきたいと思います。Subpart Iの所、保護具についても結構いろいろと法令があるので、ここも後で触れていきたいと思います。
 今日のメインのトピックとなるSubpart Z-Toxic and Hazardous Substances(有毒および危険物質)という所ですが、評価の方法ですとか、発がん性物質などの個々の化学物質に関する法令というものがここに載っています。
 5ページ、Subpart Zにいきたいと思います。Subpart Zからいきますと、1910.1000-Air contaminants、空気汚染物質という所です。ここがいわばメインの皆さんが聞いたことがあるような所かなと思います。PELとか、Limits for Air Contaminants(ばく露限界値)、その辺がここに載っています。
 ここで触れておきたいかなと思ったのは、PELというのは今470ぐらいの物質があるのですが、それ以外の物質はどうなのか。その辺は放置なのかなと思われるかもしれませんが、そこはGeneral Duty Clauseというのがありまして、これは1970年に発行されたOSH Act、労働安全衛生法と訳されるらしいのですが、そこの中に組み込まれて、「雇用者は、事業所において、認識されているハザードを放置してはならない」というのが入ってきます。例えばPELとか、PELに限らず、OSHAの法令に入っていないものを、これでつかんでくるというのがOSHAのやり方というか、結構怖いところです。
 それでどういうものがカバーされるのかというと、例えば、エルゴノミクスとか、ずっとの反復作業で腰を痛めてしまう、腕を痛めてしまう、そういったのは法令には入っていませんが、もう既に認識されているハザードだよね、では駄目ですねという形でOSHAから指摘を受ける形になります。
 その下にいきまして、実際の1910の1000番の所を詳しく見たいと思います。この辺で化学物質管理の基本的な考え方というのが示されています。
 7ページ、1910の1000番、ここに最初の上2つを取ってきたのですが、結構長々といろいろと書いてあるのですが、要約すると、本当にこれしか書いていなくて、TableZ-1に記載されているものに対して、超えては駄目よというところしか書いていない、本当にこれはシンプルな法令になっています。PEL、TableZ-1に記載されているものに対して超えないというのはどうやって測るのかというと、OSHAのTechnical Manualという所にいって、これが法令の技術指針みたいなものですが、これはばく露評価のサンプルは呼吸域で取りなさいと記載されております。
 8ページ、TableZ-1の最初の上のほうだけ切り取ってきたものです。フォルダがAからZまであって、これが今500弱ぐらいあります。
 9ページです。参考として、私が見ていった中で、アメリカと日本はどう違うのかというのをまとめてみました。評価の手法としては、個人ばく露測定をやらなくてはいけないというのがアメリカ式で、一方、日本では、これに当たるのが作業環境測定なのかなと思います。対象物質というのももちろんPELの規制対象物質が同様にあるという形です。3番目が、いちばん違うのかなと思います。ばく露が想定されている作業者、それから対象作業は特に限定しないでどんなものでもやりなさいよと、どこで作業をやっていてもやりなさいよというのがアメリカであって、一方日本では、対象者は特に指定しませんが、作業というのを指定しているのかなと。それから、屋内に限ってしまっているのかなと。もちろん屋外のガイドラインが出ているというのは認識しておりますが、法令という中ではそういうことなのかなと思います。こういった形で作業場所、作業を特定せずにやろうとするとすごい数がどうしても出てきてしまうので、やはり少し自由度があって、例えば、これだけしか使っていない、こんな作業ではばく露はほとんどないよねと言ったら、それは個人ばく露も測定しないでいいやという判断もしていいよという自由度が少しあるのかなと思います。ここまでが化学物質のばく露という部分でお話しました。
 話は飛びまして、保護具の考え方という所を少しお話したいと思います。コントロールの部分では、もちろん日本と考え方が一緒でまずは毒性が低いものに変えなさいよ、それから密閉しなさいよ、換気しなさいよ、それで最後の最終手段としては保護具を使いなさいというのがあるのですが、その最終手段であるからこそということで、法令で、保護具というものを使うことは結構厳しく、事細かに規制しています。それが1910のSubpart Iという所で、その中の1910.134という所でマスク、Respiratory Protection、呼吸用保護具、そこが書いてあります。1910.134の中に書いてあるのが、11ページ目になります。
 主に書いてあることは3通りです。まず1つ目は、雇用主は従業員に対して無償で呼吸用保護具を提供しなさいと。2つ目は、Respiratory Protection Programというのがあるのですが、それを作りなさい、中身はこうですよと。3つ目は、指定の防護係数(APF)というのが記載されています。先ほどのRespiratory Protection Programの話をしますと、マスクの選定の手順や、医療従事者による評価、いわゆるマスクを付けても大丈夫な人なのかというのを、例えば肺疾患とかはないというのを医療従事者が大丈夫ですよというのを確認する。それから、フィットテスト、ちゃんと自分に合ったマスクを機械とか、定性的な方法を使って確認する。これは細かいなとは思ったのですが、マスクを清潔に保つための手順とスケジュールとか、そういったものも中に入ってきます。空気の品質と量、これはエアラインマスクの場合、担保するための手順。それからハザードの教育。教育というのが結構いろいろな所で出てきます。必ず従業員に対して何を取り扱っているのかを教育しなさいというのが法令で決められているというのが特徴です。それから、マスクの使用方法の手順の教育と、プログラムの更新の手順、そういったことをこのプログラムの中で書いたものとして作っておくようにというのがアメリカの法令となっています。
 今、134の話をしたのですが、それに付随するアペンディックスみたいなものがありまして、それが12ページ目です。このアペンディックスA、B、C、Dとあるのですが、13ページ目で、このアペンディックスAをそのまま開くと大量の文書があるのですが、何が書いてあるかというと、フィットテストの手順が事細かく書いてあり、それを1年に1回実施しなくては駄目ですよということ。それから、現場に行ったときに、毎回フィットテストができるわけではないので、マスクの使用者はフィットチェックを自分でやりなさいと、フィルターを自分で抑えて、ネガティブフィットチェックとポジティブフィットチェックというのがあって、それをマスクを付ける都度にやりなさいというのが法令にあります。それから、清潔に保たなければならないというのは、これはクリーニングの手順、どういった薬剤を使ってクリーニングするのかとか、そこまで結構書いてあります。それから問診票を用いての医療従事者による確認を受けなくてはなりませんよということと、アペンディックスDはちょっと要約がうまくできなかったのですが、これはマスクが必要な作業というわけではなくて、従業員が、必要ではないのだが、私はマスクをしたいと言ったときの手順ということになります。呼吸用保護具については、多分、日本の法令では見なかったと思いますので、紹介しておこうかなと思いました。
 14ページ目、また話は飛びますが、ハザードコミュニケーションという所をお話したいと思います。こちらが同じSubpart Zの中の1200番に書いてあります。15ページ目、このHazard Communicationというのは何なのかと言いますと、まず、従業員、作業員というのが知らない状態で知らない物質を取り扱うことを許さないような法令です。なので、先ほどお話があったように認識がなかったとか、知らなかったとか、そういった時点で実は法令違反になってしまうようなことになっています。この特徴的なところは、all chemicalsという所に赤線を引っ張ってあります。全ての物質に掛かってくるものなのかなと思います。その目的として、その全ての物質のハザードのクラス分けがされていて、その情報を取り扱う者に対して周知するのがこの目的になります。実施しなくてはいけないことというのは、Hazard Communication Programの作成、書いたものをちゃんと用意しておきなさいよと、誰もがふだんから見られるものを用意しなさいよというのがまず1つ目になります。次に全ての化学物質容器にラベル表示、SDSの管理、従業員への教育。従業員への教育を全ての会社でやることによって、みんな化学物質への意識がだんだん高まるわけです。そうすると、例えばこちらで働いていたけれども、今度違う会社に行ったらそういうのは何も聞かないと言うと、その人が教えてくれないということで、OSHAに通報するのです。OSHAの通報もすごく簡単にできるので、OSHAのホームページにいくと通報するというリンクがすぐに出てくるような状態です。実際に2018年にOSHAが行った調査で1万8,000件、半分ぐらいが事故・通報・報告に基づくと。事故も入るのですが、報告とか通報とかがすごく多い状態です。通報者と言うと、後ろ指を指されて何かひどい扱いを受けないかとちょっと思ってしまうのですが、それを守る法令もしっかりできているので、通報して人事の扱いが悪くなったと言ったら、その扱いが悪くなったことを通報をまたできるのです。
 16ページ目です。ラベル表示とかSDSが必要なものというのは、先ほど全ての化学物質ですよという話をしたのですが、もちろん一部ラベル表示といったものが不要のものはあります。それはどういうものかと言うと、OSHA以外の法令でカバーされて、EPAとかからのラベル表示を指示されているもの、そういったものはそちらでやってくださいねということで、OSHAからは触れていない。
 ちょっと皆さん興味があるかなと思うのは、一般消費者向けの製品という所がありますが、一般消費者向けの製品を一般消費者のように使用するのであれば不要ですよとなっています。ただし、それは一般消費者のように取り扱うのであればという前提があるので、例えば、普通の食器用洗剤を1日2~3時間取り扱って、10mLぐらい使いますと言うのだったら、じゃあいいよと言うのですが、1日8時間ずっと使っていて、1日20Lぐらい使うのですと言ったら、それはSDSを用意しなさいとOSHAから言われてしまう。なので、メーカーとしては、メーカーの意図にかかわらずそれが発生することがあるので、メーカーは必ずSDSは作ってあるのです。なので、ちょっと有名なメーカーさんと商品の名前とSDSと検索すれば全部出てくるようになっています。すごく簡単に手に入れられる状態です。こういうのも良いところかなと思います。
 3番目として、少し話題が変わりまして、「インダストリアルハイジニストの位置付け」のお話をしたいと思います。インダストリアルハイジニストというのがOSHAから見てどういうふうに位置付けられているのかというところですが、法令の中にもときどきその言葉が出てくるぐらいで、法令に結構組み込まれている状態であると言っていいと思います。OSHA 3143というOSHAからの出版物があるのですが、その中にどういうふうに記載されているのかと言いますと、「OSHAは、健康ハザードの評価について、インダストリアルハイジニストを必要としている。」、これは上の赤字の部分を訳しているような感じになっています。下の所でOSHAの調査員も40%以上はインダストリアルハイジニストですよということで、やはりOSHAの調査員が事業場に来て、企業の個人ばく露測定などを調査員がやったりするのですが、そうすると、超過しているねということで罰則をやることもある状態です。
 18ページ、先ほどお話したように、インダストリアルハイジニストは結構組み込まれてて、いろいろな所にインダストリアルハイジニストという人がいるので、かなりの人数がいる状態です。大企業でしたらIHを従業員として雇用する場合が多いのですが、結構、IHというのは単価が高いのです。なので、1人を雇うとなると、それなりの力がないと雇えない。そうするとどうするかと言うと、中小企業はIHのコンサルタントを利用します。なので、IHのコンサルタントというのも1つの企業形態としても出来上がっていて、各地にIHコンサルタントというのがある状態です。なので中小、小さい所などはそういったものを利用して、化学物質のコントロールをしているという状態です。
 CIHというのは説明書きを入れなかったのですが、CIHというのはアメリカの認定のインダストリアルハイジニストです。先ほどの2万人、3万人というのがいわゆる資格を持っていないインダストリアルハイジニストですが、この世界地図のあるページの中では、認定インダストリアルハイジニストの話をしています。日本は少ないなというところで、ちょっと注目したいのが、周りのアジア諸国がだんだん増えてきているところかなと思います。これは私が日本が遅れていると言っているわけではなくて、日本はアメリカと同じぐらいの時期から従業員の安全とか衛生を考えて法令を作って一緒にヨーイドンで進んでいたわけですが、そんな中でアメリカの力が強くなっていって、米ドルも強くなっていって、英語も強くなっていって、今まで従業員の安全衛生に対して少し遅かった国が、「よし取り入れよう、ちゃんと従業員の安全や衛生を見よう」となったら、じゃあアメリカに行って学んで帰ってこようというのがやっぱりそういうところなのかなと思っております。そうしますと、やはり周りがアメリカ式になっていくというのがあるのかなと思います。ここは少し最後のまとめで、またお話をしたいと思います。
 今度はアメリカの査察プログラムの考え方と実例というところを少し話したいと思います。ここの後ろの背景の法令の所は罰金の所が全部書いてあるのですが、この右下の赤四角の所を見ますと、大体こんなことが書いてあるというのが分かるかなと思います。通常の違反だと日本円にして大体140万円以下の罰金や、あまりに悪質で故意と思われるようなもの、又は繰り返しこの前指摘したのにまたやっているというようなものだと一気に1桁上がって、約1,400万円以下の罰金ということになって、やはり悪質のものだとそれ1つというのでは大体収まらなくて、何個かそういうのがあって、どんどん高額になっていく傾向があります。これによって本当に罰金で会社が潰れてしまうことも結構あるので、そうやって安全でない職場というのは淘汰されていくのかなというところです。
 21ページ目です。参考として、2018年のOSHAの法令違反ランキングです。これは毎年出しているのですが、持っていたのでシェアしたいと思います。どうしてもやはり死亡事故が多いのは高所からの落下ということで1番に来ています。注目したいのは2番目のHazard Communicationというのがかなり高い位置に来ているというのが面白いところかなと思います。やはり入った瞬間に従業員に対して「何を使っているの」と聞いて、「よく分からないけど」と言ったら、もうそこでHazard Communicationができていないのがすぐ分かるので、やはり指摘しやすいようです。
 4番目の呼吸用保護具の所についても、かなり上位に来ているというのがまた面白いところかなと思います。これもやはりマスクをしている従業員を見たら、「あっ、マスクをしているよね。何を扱っているの」と聞けば、「よく分かんない」と言ったら、もうそこですぐアウトとなるので、これも指摘をしやすいという点が少しあるのかなと思います。
 22ページ目に実際にあった事例を4つぐらい持ってきました。これを実際に見ますと、会社の名前とかも載っていたりするのですが、A社、B社としました。上のほうから、ベンゼンやコークス炉排出物へのばく露超過があったとして、900万円の罰金になりましたと。ウィスコンシン州ではジクロロメタンやトルエンジイソシアネートへのばく露超過の違反があったとして1,050万円の罰金。3番目の結晶性シリカ、今すごくOSHAは結晶性シリカに力を入れていて、結晶性シリカへのばく露超過の事例がすごくたくさん出てきています。そういった中で、ニュージャーシー州ではそういうのがあって900万円の罰金があったと。最後にニューハンプシャー州では、鉛へのばく露超過。この鉛というのはまた個別に結構厳しく規制が掛かっているので、これへの対策が不十分であったとして2,600万円の罰金だったというところです。
 5番目で「まとめ」です。化学物質へのばく露の管理という点では、PELというものを使って、ただしその手段は問わない、リスクベースアプローチでやっていると。PELが設定されていないような化学物質についても、General Duty Clauseというのがあって、それで網羅的にカバーしていて、管理が必要になってくる。呼吸用保護具の管理も必要であり、Hazard Communicationも必要なもの。インダストリアルハイジニストの位置付けとしては、法令上必要なものであるというところがあります。社会の中に組み込まれている状態である。米国における査察プログラムですと、結構厳しくチェックする仕組みがあって、OSHAの調査員もインダストリアルハイジニストも多いというところです。やはり罰金が高額になることが多い傾向があります。
 最後にですが、アメリカの方式というのは結構良いところもあるのかなと思います。今後国内でもどのように化学物質管理が更に改善できるのかと考えたときに、やはりリスクベースアプローチというのは必要なところではないかと思います。
 ゼロの状態から、これを規制、これを規制、これを規制とやると、ポジティブリスト方式になって、どうしても後ろが抜けてしまうこともあるだろうから、一旦、全部と言ってから、それを個別に規制するというネガティブリスト方式というのも考えてもいいのかなと思います。
 世界展開している企業というのも日本から世界へ、世界から日本へ来ている中で、みんなこうやっているのに、ここは違うねと言われると、やはり企業としてもやりにくいところがあると思いますので、グローバルスタンダードになりつつあるハイジニストの方式も考えなくてはいけないのかなと思います。
 最終手段である呼吸用保護具といったものもしっかりしていく必要があるのかなと。聞いたところでは、マスクが必要だねと言うと、マスクをポンと渡されて終わりというのが結構多いみたいなので、それではなかなか最終手段にはなり得ないのではないかなと思います。
 最後に、リスクアセスメントの義務化や、既に国内でいろいろと始まっている動きの中で、今後国内でもインダストリアルハイジニストというものの必要性が高まるのではないかなと思っています。この分野をより発展させるという決意があれば、法令にハイジニストの必要性とか役割を明記することも手法の1つではないかと思います。私からは以上です。
○城内座長 米国との違いを挙げながら、日本の制度も考えられるような非常に有益な情報をありがとうございました。ここで質疑応答に移りたいと思います。御質問のある方は挙手をお願いいたします。
○名古屋委員 貴重な情報をありがとうございます。特にマスクに関しては私はこの委員会のときに法制化をお願いしていましたので、この流れはすごく分かって、よかったと思っています。ただ、1点お聞きしたかったのは、11ページに書かれているマスクの選定ですが、細かいことはあると思いますけれども、多分これは事前のばく露濃度を測定して、指定防護係数と合わせて選定されているのかなと、それはそれでよろしいのですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) そのとおりです。それに加えて、ガスの種類とか、そういうものによって有機ガス用のものとか、酸性ガス用のものを使うとか、そういった保護具を使うのか、それともエアーラインを使わなければ対応できないものなのかを事前に確認しておくことが必要になってくると思います。
○名古屋委員 もう1点お聞きしたいのは、我々だと防じんマスクをフィットチェックをしてそのように設定しているのですが、作業姿勢と発生源からばく露濃度によっては多分マスク内に漏れ込んでしまうような駄目な状況をまねく様なものがあるので、そうした状況を見るときに必ずそのマスクの中の濃度を測って、本当に適正にマスクを装着しているかどうかの確認をすることにしているのですが、アメリカではそこまではやらないのですか。要するに供給するからそれで終わってしまって、マスク内への進入の確認という作業はやられるのですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) それはまず、防護係数と、ばく露濃度の測定によって。
○名古屋委員 ある程度カバーできているからと。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) はい。それにプラスしてマスクのフィットテストがあるので、外の空気より例えば半面だったら10分の1以下になっていることを確認することで、外の空気を測ることによって、それからフィットテストをすることによって、マスクの中の濃度は担保できているというような考え方です。
○名古屋委員 分かりました。ありがとうございます。
○谷村氏(高橋委員代理) 御報告ありがとうございました。UAゼンセンの谷村と申します。UAゼンセンとしては前回のヒアリングの中で、多くの労働組合の加入企業は中小企業が多く、そこでの実態として、人手が足りない、資金が足りない、そこでなかなか法にのっとった理想の化学物質の管理まで届かないという御報告をさせていただいた中で、かなり興味深く聞かせていただきました。3つ御質問があります。1つは、今回この法の取決めを実施する際に、特に気になった、保護具のプログラムを作りなさいというように書かれているのですが、そういうのを実際にやるに当たって、何か分かりやすい手順とかマニュアルとか、法にのっとってと言っても文章だけなので分からないので、そういうものが用意されていて、中小企業の人手が少ない知識の足りない所でもやりやすくなっているのかという点が1つです。
 それから、「SDSが不要なもの」というところの決まりというのもちょっと興味深く思います。中小企業で全てに対応するのが大変だということがございまして、一般消費者向けの製品は書かれているのですが、一番最後の「その他」のところが実は気になっていて、法で細かく規定という、ここでは例えばどんなものは除外されるのかというような考え方を教えてください。
 3点目が、「インダストリアルハイジニスト」は、今回初めて聞いてまだちょっとなじみが正直なくて、例えば日本の制度の中で産業医とか作業環境測定士とか、実際は現場の中での環境安全課とかいう所がそれに対して作業をしていると思うのですが、ハイジニストが入ってくると日本の制度の中でどこに入ってくるのか、ちょっとそこがイメージが付きにくくて、教えていただければと思います。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) ありがとうございます。1つ目が、Respiratory Protection Programをどうやって作成するかというところだったと思います。特に中小企業などはそんなに人員を割けないというところだと思いますけれども、様式みたいなものが作ってあります。例としてこういうものを作りなさいというのがあるので、それを持っていってサイトスペシフィックに、その事業所に合ったように書いて作りなさいというようになっています。まず、その様式自体があるので、いわばガイダンスみたいな感じになっているので、それを自分たちの現場ではどうかというように書き換えていくのがまず1つかと思います。
 2つ目が、SDSのその他の所をもう少し詳しくということですが、例えばEPAとかにあるものと、食べ物、飲み物、一般消費者向け、薬、農薬とかそういったものはまた別途違うところで法整備されているので、それはOSHAからは出ていないと。結構長いリストがあります。ここの法令の所を見ていただけるとすぐ出るかなと。
○谷村氏(高橋委員代理) 前回の報告の意見で、中小の実態として出たのは、量産品はもちろんお客さんの所に届けるというのでSDSの用意はするのですが、いろいろ研究開発品、試作品とかそういった小ロットというか、たくさん取り扱っておられるらしいので、そういう規模のレベル感というのですか、そういうところまで決まっているのかなと思ったのですが。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) 研究室用の法令はまた別途ありまして、それでは確かSDSは必要となっています。
○谷村氏(高橋委員代理) ありがとうございます。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) それからもう1つ最後の、インダストリアルハイジニストというものがもし日本に入ってきたら、その位置付けはどうなるかというお話だと思うのですが、ちょっとどのようになるかは分からないです。分かりますか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(中原氏) 同じJXTGの中原と申します。ハイジニストの役割と衛生管理者の役割はちょっと違うところもあるかと思います。衛生管理者は実際に決められたルールとかを確実に実行していくという管理者の面もあると思うのですが、ハイジニストはどちらかというとエンジニア的に、技術者として、ここに先ほどあったように、anticipation、evaluationとかrecommend controlとか、こういったものを技術的なサイトでアドバイスしていくこういう技術専門職の位置付けですので、あるとしたらその衛生管理者を技術的にサポートするとかそういう形で貢献できるのではないかと私個人的には思っています。
○谷村氏(高橋委員代理) ありがとうございます。
○城内座長 次に、大前委員いかがですか。
○大前委員 どうも御紹介ありがとうございました。2つ、3つあります。1つは、PELを超えることを許さない、超過しないということで、その方法に関しては各所に任せるというような記載があったと思うのですが、その任せるというのは測定法を任せるのか、あるいはそれに対する対処法の話なのか、あるいは両方なのかということが1点です。
 それから、当然、法律なので全業種に対してかかる法律だと思うのですけれども、例えば大企業と中小、日本だと50人未満とかそのようなことに関する分け方と言いますか、そういうものがあるのかどうかです。
 3つ目は、IH、特にcertified IH、CIHというのが非常に数としては少ないのですが、この方々のバックグラウンドは、どういう方々がCIHとして活躍されているのか、そこら辺の情報があればと思いますが、よろしくお願いします。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) 1点目がPELの各所に任せるということだと思うのですが、測定法についてはかなり厳しく測定方法が決まっております。その部分については、作業環境測定みたいな感じなのかと思います。ちょっと誤解のないようにしたいのは、先ほど自由度があると言ったのですけれども、コントロールについては、どのようにコントロールするというのは自由があります。ただし、作業においては結構厳しく、作業ごとに、この作業はこうしなさいと法令で決められているものもあります。例えばサンドブラスト作業だったらこうしなさいとか、溶接だったらこうしなさいと、今は溶接は結構ホットな話題なのかなと思いますが、溶接だったら、測定はどこでやりなさいと、保護面の下でやりなさいとか、そんなところまで書いてあって、溶接のヒュームというのは粉じんとして見るのではなくて、全部の金属成分として見なさいとか、それでPELを超えないようにしなさいと、そのようなことも書いてあったりします。それから大企業、中小企業の。
○大前委員 会社の規模によって若干の……。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) それはもうその会社によりけりです。中小で、小さな規模であっても化学物質を大量に取り扱うような会社、従業員が20、30人だけども常に化学物質へのばく露が懸念されるような所だとハイジニストを1人置いていたりします。なので人数とかそういうものではなかなか分かれていなくて、企業の性質で分かれるのかなと思います。
 最後に、IHのバックグラウンドのところは、18ページに少し書いてあるのですが、AIHAという所がありまして、ここは米国の産業衛生協会という所です。これがインダストリアルハイジニストの定義を定めています。それは例えば理系の大学を出ている、それからインダストリアルハイジニストの下で3年以上の経験がある、インダストリアルハイジーンの仕事の経験が3年以上ある、そして私はインダストリアルハイジニストになりたいと言えば、それで大丈夫です。なので学歴と経験で、インダストリアルハイジニストと名乗ってもいいですよというのが、AIHAの定義となっています。その中で5年以上の経験を持っていて、決められた単位を全部取っていて、それでテストを受けて合格したものが認定のインダストリアルハイジニストと呼ばれるものになります。
○大前委員 それはAIHAがテストをするということになるわけですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) はい、またちょっと違う団体でABIHという所があるのですが、そこが資格の制度を持っている所です。
○城内座長 よろしいでしょうか。
○三柴委員 三柴と申します。貴重なお話をありがとうございました。まず、OSHA基準の性格に関する件ですけれども、国によって、規制には、大体めりはりがあって、アメリカの場合はOSHA基準、特に特定基準を立てるときは、cost benefit analysisを原則にしていますよね。だから基本的にビジネスを侵さないことが原則としてあって、したがって、いわゆるスリーステップアプローチに照らしていうならば、アメリカの法令は、利用する物質、使用する物質を制約してしまうとか、作業環境を制約するというよりは、同様の効果を担保できるなら、お金のかからない方法のほうを採って構わないということでと思うのです。ハザードコミュニケーションを含めて透明性の確保はうるさく言うけれども、アメリカ流のOSHA基準のめりはりというのは、要するにビジネスを侵さない、お金のかからない方法という方策ではないかと思うのです。先ほど作業の仕方そのものについてもかなり規制があるというお話ではあったのですが、その点はどう見られているのかなということが1つ目のお尋ねです。
 それから、インダストリアルハイジニストですけれども、私もこれは日本で導入することに賛成なのですが、ただ、幾つかの前提条件の違いを踏まえる必要があると思うのです。おっしゃるように、向こうのインダストリアルハイジニストの特徴は、学習と実務と実績の3つの基準で担保されていて、理科系の大学で、日本だったらJABEEに当たるようなプログラムを持っている所できちんと勉強をして、普通の学士を取っただけではなくて、その後、アドバンスな内容の単位を60単位ぐらい課して、産業衛生については基礎や毒物、計測管理といったものを200時間程度学んで、なおかつ産業衛生業務を原則4年以上やって、しかも先輩のIHと上司などの書面による業務実績の評価を得てやっと認定されるという、かなり強気な資格になっています。しかもそれをクレジットはあるにしても民間団体が出しているわけです。その背景が日本にあるかということだと思うのです。
 日本の場合は、衛生コンサルタントにしても衛生管理者にしても、国家資格にして何とか担保を図っている状況です。安全衛生を軽視する風潮が強い中で、もちろん業界等々によって温度差はありますけれども、まだまだ基盤が十分とは言えない状況の中で、こういうものを導入することがきちんと普及をもたらすかというところを私自身はちょっと心配しているのです。1つだけお尋ねすると、これを取った人は収入とか社内での位置付けですが、これを取ったらかなりキャリアが発展するというような、そういう様子が見えるかどうかだけ教えていただきたいのですが。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) 1つ目が、cost benefit analysisを用いて、いわば安いコントロールに走りがちなのではないかというところだと思います。それがきちんとPELを遵守できている状態であれば、安い手段を取るのは企業によってもちろんあるだろうと思います。それは長い目で見てどうなのか、すごく長い目で見てどうなのか、例えばマスクを着けておけといって、マスクを着けさせたら、マスクのプロテクションプログラムやいろいろまた規制がかかってきて、それを吸収缶は毎日毎日変えて、その何十年を見たら、局所排気を付けたほうが安いのではないかと、そこまでやっている会社もあると思います。なのでピンきりだと思いますけれども、やはりそれについても特にこれは局所排気を付けなければ駄目なものですというようには付けていない。実際そのとおりcost benefit analysisをきちんとやって、候補を決めているのだろうと思います。ただし、それで安い方法でいくかというと、きちんとした長い目のcost benefitで見たアナリシスをしたときに、どの方法になるかはその時々によって違うのかなと思います。
 2点目が、IHについてです。まず日本でのそういったバックボーンがあるかということですけれども、今はもう既にCOHという、オキュペイショナルハイジニストとの認定制度ができたと思いますので、それに近しいものも既にIOHAに認定されている、CIHと同等のものができているので、まずその人たちが躍動できるのではないかなと思います。この認定のインダストリアルハイジニストを取ったらキャリア的にどうなのかというところですけれども、キャリア的に大分上に上がるものになっています。そのぐらいに企業からは認識を受けているものに、例えば特に課長、部長クラスから見ると、もうCIHを持ってないと駄目ですとか、そのように位置付けている所もあります。
○三柴委員 なるほど。
○城内座長 よろしいでしょうか。そのほか何かありますか。
○環境改善室長 御報告ありがとうございました。最後の23ページの「まとめ」の所で、先ほども少しお話はありましたけれども、1番目の所で、「その手段は問わない」というのは、この1910では多分そうだと思うのですが、それぞれの規則ではものすごく、例えばビルディングの話が出ましたけれども、日本でいうところのガイドラインと告示と通達が全部合わさったぐらいものすごく莫大な量の法令があるので、こういうベンチレーションを使いなさいとか、手段を問わないというのは必ずしも、ちょっとこの書き方だとミスリードかなと思います。
 あと、教えていただきたいのは、IHのことですけれども、法令にも記載があるというのですが、私の知っているかぎりでは実は余りなくて、例外的措置を取るときに、何かそういう管理者やIHとかの了解を得るみたいにふわっと書いてあるぐらいだと思うのですが、具体的にはどういうイメージで法令にも記載があると書かれているのですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) そうしたふわっとした記載の話をしています。プラス、具体的に何かきちんとインダストリアルハイジニストと書いてあるところはどこかというと、大体アスベストのところです。そこにはかっちりインダストリアルハイジニストという単語が出てきて、ふわっとした書き方ではないところだとそういう所になるのかなと思います。ただ、法令の中にそういう言葉、文言が出てきているという意味で書きました。
 それから、「手段を問わない」というミスリードの所、御指摘ありがとうございます。それで作業の部分について補足した次第です。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。
○永松委員 どうもお話ありがとうございました。15ページのハザードコミュニケーションの件で、書いておられるプログラムは大体どういう内容のものかという点。
 それからOSHAによる査察のお話がございましたが、こういうプログラムをOSHA以外の第三者が何か認証するというか、例えばISOのような形で、そういうものはあるのかないのか、その2点をお伺いしたいと思います。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) 1点目のハザードコミュニケーションプログラムにはどのようなもの記載されているか。この1番がHazard Communication Programの作成ですけれども、2、3、4は、中身として入っていなければ駄目ですという内容になります。
○永松委員 わかりました。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) すみません、2個目の質問をもう一度お願いします。
○永松委員 OSHAによる査察のお話がありましたけれども、例えばこういうプログラムをOSHA以外の第三者が、査察とは言いませんが認証するというか、そのような仕組みはあるのかないのか、いわゆる社外の第三者が見るという点です。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) 認証というものは多分ないと思います。すみません、そこまで言い切れないですけれども。社外の人の認証というのは余りピンとこないです。ただし、コンサルタントはいるので、ちょっとうちのHazard Communication Programを今作ったけれども見てくれますかというと、それは可能です。いいのができていますね、ここは直したほうがいいですよというのをレビューとしてやることはあります。
○永松委員 ありがとうございました。
○大前委員 すみません、IHの再教育というか、そういうプログラムはあるのですか。あるいは1回取ってしまったらそれでおしまいと、そういうパターンになっているのですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) IHの更新は、5年ごとに更新となっています。更新の方法としては、例えば教育を何時間以上受けたというので0.1ポイントとかもらえるのです。それを積み重ねて大体40ポイント以上取ると更新として認定してもらえると。私も今年更新しました。
○城内座長 そのほかにどうでしょうか。
○三柴委員 先ほど永松委員からのお尋ねの点について、私から補足的な情報提供になりますけれども、アメリカの場合はVPPという仕組みがありますよね。ボランタリーに自主的な安全衛生活動を推進する施策で、基本的には安全衛生の管理体制をしっかり敷いているかとか、もちろん災害データとかも見るけれども、基本的には体制をしっかり作っているかを審査する。審査の主体は安全衛生局です。それに受かると定期検査を免れるというようなメリットがある。けれども、実際には、そのメリットを狙って審査を受ける企業は余り多くなくて、実際に現地で調査をして頂いた分担研究者によると、その体制をきちんと作ることで実をいうとビジネスに役に立つと、組織がピリッとするという、そういう面が大きいということでした。すみません、私のほうから。
○永松委員 ありがとうございます。
○城内座長 そのほか何かありますか。
○三柴委員 すみません、もう1つだけ追加で情報を加えますと、SGEという仕組みがあって、これは民間で安全衛生の管理のベテランに当たる人を政府が一時的に任用して、いろいろな会社の査察をしてもらうと。ただ、緩やかな査察をするので、何か違反を見つけてもすぐ取り締まるとかいうことではなくて、本人や送り込む企業からすると、いろいろな会社の様子が見れることがメリットになるというような仕組みも持っていると。要するに、アメリカのOSHAの仕組みは、単に強権的に基準の強制だけを図っているのではなくて、そういうこわもての面もあるけれども、様々な自主的な取組の推進とかと一体的に行われているということが申し上げられるかと思います。
○永松委員 ありがとうございます。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。では、私から1点教えていただきたいのですが、スライド21のOSHA法令違反ランキングの所で、2番目に、Hazard Communication Programがないということで違反件数がすごく多かったのですが、実はGHSが普及する前に、OSHAの人に、ハザードコミュニケーション、つまり情報伝達をしていないだけで罰金を課すようなことがあるかと聞いたら、「いや、それはない」と言われたのです。それで実はGHSが施行される以前は、御存じのように情報は労働者が知る権利だったのですね。知る権利ということは、つまり事業者がそこに情報を出していれば知ることができるかどうかでよかったのではないかと思うのですが、GHSの施行後は、労働者が理解する権利に変えたのですね。変えたというか、2本立てできているので、労働者が知らないよというと、多分そこで挙げられるようなシステムになったのではないかと思ってこの表を見たのですが、それは正しいですか。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) OSHAのインスペクターにも結構いろいろいますので、多分、みんな統一ではないと思います。なので、この人はやらなくてもこっちの人はやったりとかいうのもあります。
○城内座長 私が聞いたのは、OSHAから代表でGHSに来ていて、弁護士だったのですが、そういう事例は知らないと、以前はそう言っていたのです。ところが、GHS施行後は、国もそうだし、事業者も労働者にその情報を理解させなさいというように変わったので、その影響でこういう数字が出てきたのかなとちょっと思ったのです。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) すみません、それ以前のことはちょっと分からないので、今現在ではこのような感じになっているというところです。
○城内座長 ありがとうございます。では、よろしいでしょうか。それでは、質疑応答はここまでにしたいと思います。持田様、どうもありがとうございました。
○JXTGエネルギー株式会社川崎製油所(持田氏) ありがとうございました。
○城内座長 最後に、日本化学工業協会の永松委員より御発表いただきます。よろしくお願いします。
○永松委員 今日は、GPSの担当である梅田部長にも来てもらっています。もし質問等がありましたら、併せて二人でお答えしますので、よろしくお願いいたします。「化学物質の適切な管理を進める日化協の取組」ということで、簡単に日化協の御説明と、化学産業が進めているレスポンシブル・ケア活動について御紹介します。また、日化協の中では化学品管理委員会と環境安全委員会が、この取組を進めておりますので、それぞれ御紹介したいと思います。
 2ページにありますように、日化協は1948年に設立されており、化学品に関わる製品の177社の企業会員、80の団体会員が加盟しております。日化協の事業のポイントが3つ示されております。第1番目に、操業及び製品にかかわる安全の強化ということで進めております。
 3ページが組織です。委員会組織があり、赤で囲んだ環境安全委員会と化学品管理委員会で、化学物質の適切な管理あるいは職場の安全について、またレスポンシブル・ケア委員会で、こういうものに関わる会員の支援や、社会との対話に努めており、また、国際活動にも参加しております。レスポンシブル・ケア活動については御承知の方もおられると思いますが、化学産業はレスポンシブル・ケア(RC)倫理に基づき、化学品の開発・製造から使用・消費・リサイクル・廃棄に至る全てのライフサイクルにおいて、環境・健康・安全に配慮することが求められているもので、日化協では「環境・健康・安全に関する日本化学工業協会基本方針」を定め、これに基づいて会員は事業活動を行っていくことになっております。今お話した内容が、その下に書かれている絵です。
 5ページが、化学品管理委員会についてです。会員企業の事業を化学品管理を自主管理活動、規制対応に関してリスクに基づく管理という観点を踏まえて支援していくもので、大きく分けて3つの柱があります。1つ目が国内外化学品規制への適切な対応、2つ目が会員への支援、3つ目が産業界の自主的取組の推進です。本日は具体的なものとして、6ページに示した5つの項目について御紹介したいと思います。
 7ページは、国際的な化学品の管理です。御承知のとおり、2002年にWSSD2020目標というものが定められ、これに基づいて国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)が策定されており、政府及び産業界でも、これを具体的に取り組んでいるところです。産業界ではICCA(国際化学工業協会協議会)がRC世界憲章を定め、グローバルフプロダクト戦略を定め、長期自主研究支援活動(LRI)を定めるということで、WSSDの目標に向かって活動をしております。
 8ページが、国際的な化学品管理の方向性です。これも皆さん御承知のとおり、リスクベースの管理です。また、先ほど申し上げたサプライチェーン全体でリスクの低減を図ることで、化学品の管理を目指しております。
 9ページは、その中でリスクベースの管理において日化協が取り組んでいることです。左のほうにありますが、リスクゼロの物質はありませんので、個別の化学品の危険性・有害性についての情報が重要だということで、JCIA(日化協)ではBIGDrというシステムで情報検索をできることを進めております。また、安全にばく露領域内で化学品を取扱うことについては、具体的に安全ををどう進めればいいのかという点についてリスクアセスメントツール、BIGDr.Workerというものがあります。これは後ほど御説明いたします。10ページはもう皆さんも御承知のとおりですので、省略をさせていただきます。
 11ページは、繰り返しになりますが、サプライチェーン全体でのリスク最小化を目指した化学品管理を行っていこうというものです。
 それでは12ページから、GPSとJIPSについて御紹介いたします。まず1番目として、ICCAが目指すものであり、開発途上国を含めた全世界規模での化学品の安全性を向上させようということで、利害関係者との対話による継続的な化学品管理レベルの向上に努めています。また、リスクベースでの管理に役立つ使いやすいツールとガイダンスを整備しよう、GPS安全性要約書による化学品の安全性情報の公開をしよう、科学的な化学品の安全性評価のための研究の促進をしていこうというものです。
 13ページが、GPSとJIPSの関係です。JIPSはGPSの日本版で、ICCAのプロダクトスチュワードシップ及びGPSを基本とし、日化協が取り組む化学物質管理の新たな自主活動で、2009年より進めております。日本の状況に合わせたGPSの取組として位置付けられております。
 14ページが、労働安全衛生法から見たGPS/JIPSの役割です。GPS/JIPSは自主活動で、活動を行う対象事業者は化学工業界の企業です。対象物質は、製造する又は取り扱う全ての物質です。これは優先順位を決めており、このようになっております。また、リスクアセスメントを行う推奨ツールとして、ECETOC TRAを推奨しております。リスク評価をするばく露対象としては、サプライチェーンで化学品にばく露する可能性のある方です。管理措置等の周知については、安全性要約書による一般公開を行っております。
 15ページがその主な活動です。安全性要約書の作成を推進していく、JCIA BIGDrの運営、リスクアセスメントツールの開発を行いました。また、セミナーの開催等も行っておりますし、その他、関係の活動も行っております。
 16ページにいきます。このGPS/JIPS安全性要約書というのは、リスクベースの化学品管理ということで、先ほど申し上げたサプライチェーン全体にわたる化学品管理に役立てます。そのため、情報の一般公開を行うものとなっております。
 17ページにその内容が書いてあります。自社が製造・販売する化学品に関し、ばく露情報やばく露ごとの管理措置等を分かりやすい書式でまとめたもので、作成に関する基本方針があります。全てのステークホルダーに一般公開する、専門用語の使用を極力控え、一般的用語を使用する、言語も自由に選択できると。ただ「自由」と言っても、一部英語ということにはなります。項目及びレイアウトは各企業が決定するというものです。
 より具体的には18ページにありますように、安全データシートとの対比で書いておりますが、提供情報としてはリスク情報、提供対象者としては全てのステークホルダーが見られることとなっております。形式は任意で、項目も任意ですが、内容については安全な取扱い方法、いわゆるばく露情報やリスク管理措置に重点を置き、表現についても一般向けに分かりやすい表記ということで進めております。先ほど申し上げたように、テンプレートは自由ですけれども、日化協としてはこのような項目を含むことを推奨しております。
 では、先ほどからお話しているJCIAのBIGDr等における安全性要約書の公開について御説明します。これは日本企業の安全性要約書と、日化協コンソーシアム物質ごとの要約書のドラフト等を記載しております。安全性要約書の物質別リスト、物質名称順というのがあります。最初は物質名称順で表示できます。その下に行っていただきますと、CAS番号順や企業名順に表示したい場合は、それも選択できます。そのリンクをクリックすれば、安全性要約書が表示されるというものです。例示としては、三菱ケミカル様のC1,2-ブタンジオールの内容について記載したものがあります。
 21ページにいきます。では、安全性要約書が実際にどれぐらいあるかということです。全化学品に比べますと、まだまだ少ないレベルではありますけれども、2009年から始まり、2012年ぐらいから本格的に始まりました。現在取り組んでいる企業は40社を超えて、GSSの数としては550程度となっております。
 次に、BIGDrのリスク評価について御説明したいと思います。22ページにあります。化学物質のリスクベースによる管理に重要な事項として、情報の収集やリスク評価の実施ということが必要ですけれども、これを行うには高い専門性が必要であり、あらゆる事業者が全てできるかというと、なかなか難しいということがありました。そこで日化協としては、全ての事業者の化学物質管理を支援する活動の一環として、JCIAのBIGDrの運営を行っております。

 23ページがその概要です。2013年から始まって、現在に至っております。機能としては1.情報検索機能、2.リスクアセスメント支援機能、これらは全部一般公開しておりますが、2.の使用については有料になっておりますので、会員になっていただく必要があります。3.情報配信機能、4.最新動向の情報共有、5.改正安衛法の特設ページとなっております。
 24ページが、先ほど申し上げた機能の説明です。情報検索機能については緑で囲っておりますが、このような情報の所とリンクされておりますので、それが見られるということです。また、リスクアセスメント支援機能があり、リスクアセスメントの実践あるいはそのガイダンス、リスク評価ツールの提供を行なっております。情報配信機能としては安全性要約書のほか、このようなものが分かります。また、最新動向の情報の共有、改正安衛法の特設ページもあります。
 25ページは、情報検索機能の概要です。これはホルムアルデヒドを検索した結果を例示しております。このような形でホルムアルデヒドを見ていき、出てきた表をクリックすると外部データベースにジャンプし、該当する情報のページが表示されます。このように、ホルムアルデヒドに関わる危険有害性に関係するデータベースを、同時に検索することができるものです。
 26ページはリスクアセスメントツール、BIGDr.Workerの概念です。先ほど申し上げたECETOC TRA計算を推奨しておりますが、実際にこの計算をするのは、なかなか難しいという点があるということで、これを簡単に使うためのインターフェイスを作りました。また、その評価結果の帳票の記録もできます。入力項目が左下に書いてありますように、ばく露する作業環境が想定できるものは限られておりますけれども、その中で使いやすい作業者安全用の定量的リスク評価ツールではないかと思っております。
 27ページが、ケミマガアーカイブスについてです。ここで国内外の主要機関のホームページにおける更新情報を提供しておりますし、国別、ジャンル別に時系列で表示しておりますので、検索しやすい内容となっております。
 28ページは、改正安衛法の特設ページについてです。どういう項目があるかということで、改正安衛法の概要やリスクアセスメントに関わる情報を、29ページに載せております。また、セミナーのお知らせ等も載せております。
 以上をまとめますと、BIGDrとしては、改正安衛法を知る、有害危険性情報を収集する、リスク評価を行う、リスク低減措置の内容の検討やリスク低減措置の実施、あるいは周知、記録の保管について支援できるものと考えております。
 次に、リスクアセスメントについては、関連セミナーを行っております。1つは、ケミカルリスクフォーラムです。これは日化協会員以外の方もここの会員になっていただけますので、このような形で定期的に行っております。また、フォーラムはWeb配信もしておりますので、フォーラムの会場に来られない場合も参加できるものとなっております。32ページが、今年やってきた内容です。
 33ページは安衛法対応リスクアセスメントセミナーということで、2016年に11回やっており、525名の方に参加していただいております。現在も年2回を基準に、セミナーを行っているところです。
 34ページが、日化協が行っている生産現場リーダー向け研修での1コマとして、リスクアセスメントについても継続的に研修の機会を設けています。35ページがその内容となっております。
 次に、環境安全委員会は何に取組んでいるかと言いますと、労働安全衛生部会が職場等における化学物質の管理について担当しており、協会内外の動向を把握し、会員の支援及び業界の課題に取り組んでおります。37ページが、その具体的な取組です。労働安全衛生法等への対応ということで、特に2つ目のポチにありますように、厚労省が取り組んでおられる化学物質による労働者の健康障害防止への対応について、いろいろな動向を把握し、前倒しでいろいろと対応ができるようにしていこうというものです。また、職場における化学物質の安全な使用及び管理の推進ということで、化学物質の情報の伝達や、職場での適正な管理の推進ということで、幾つか行っておりますが、本日は労働災害の実績調査と重大災害事例の共有による改善、3つ目のレ点にある他団体との連携の中で、手袋研究会との連携について御紹介いたします。
 38ページは、日化協が毎年行っている労働安全衛生実態調査です。177社のうち、おおむね100社が製造業ですが、そのうちボランタリーに98社から情報を頂いて、事故の解析等を行っております。また、重大な労働災害の事例を収集して会員で共有し、会員以外の皆様にも配布しています。このグラフは度数率と強度率で、日化協の会員、厚労省からの化学工業のデータ、それから親会社だけではなく、協力会社の状況等も見ながら対策を進めているところです。
 実際の事故としては、やはり挟まれ巻き込まれ、転倒、墜落・転落が多いです。次いで、有害物質との接触が7%程度です。日化協の会員の場合は、化学設備の内部の清掃や補修に関わるもの、いわゆる工事に関わる事例が多く、被災された方も協力会社の社員の方が多いということで、工事における元方あるいは発注者の責務が十分にできていない点があるということです。
 最後にその他の活動の事例として、化学防護手袋研究会との連携を行っております。御承知のとおり、化学防護手袋というのはいろいろな種類がありますし、いろいろな化学物質についてどの素材を使えばいいのか、どれぐらい使えるのかなど、大変大きな課題を持ちながらやっておりますので、こういうところで知見を集めております。これは正式に発足しましたので、来年度から日化協は会員になる予定としております。また、レスポンシブル・ケアの交流会や勉強会でも、会員同士が集まって化学物質リスク評価について勉強を行っています。以上です。
○城内座長 どうもありがとうございました。それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問のある方は挙手をお願いいたします。
○大前委員 BIGDrは非常に重要なツールだと思うのですけれども、これは会員以外はまだ使えない、有料の状態になっているということですね。これを無料にする気はないのでしょうか。なぜかというと、先ほどのフレキソ製版工業組合のような小さな所で、自分ではできない所でも使えるようにするのが、日本最大の化学工業団体である日化協の役割でもあるのではないかという点があります。もう1つは、有料というのは幾らぐらいにするのですか。
○永松委員 1つ目は、やはりこういうシステムなので、システムの維持費に関しては、日化協の皆さんの会費のほうから維持しているという状況です。会費については、。補足してもらいます、幾らぐらいでしたか。
○日本化学工業協会(梅田氏) 補足させていただきます。BIGDrのポータルサイトは、基本的に皆さん自由に使っていただけます。ただ、リスクアセスメントツールのBIGDr.Workerは有料となっております。それは年間3万円いただくことになっております。
○大前委員 それでは会員にならなくてはいけないということではなくて、会員でなくてもいいのですね。
○日本化学工業協会(梅田氏) 日化協の会員でなくても年間3万円出していただければ、1年間は自由に使えます。
○城内座長 そのほかに何かありませんか。
○谷村氏(高橋委員代理) 御報告、ありがとうございました。私もBIGDrは情報の共有化という面で、非常に有効なツールとなり得るのではないかというところです。先ほど前回のUAゼンセンからの報告の中で、中小企業では化学物質の廃棄について困っていますというところで、お話をさせていただきました。私の理解したところによると、このツールは情報が廃棄業者まで共有されるようなイメージを持ったのです。実際に捨てる側、化学薬品を製造して全部出荷すればいいのですけれども、残るものもありますので、捨てないといけないというところで捨て先が分からない、探すのもかなかな大変、どこが取り扱ってくれるのかという状況があると。そこで、このツールを廃棄業者がキャッチして、うちだと処理できますというようなことで、情報がうまく回るというか、共有されるようなことになり得るのかどうかを教えていただければと思うのです。
○永松委員 御指摘、ありがとうございます。これは日化協としても廃棄物業者の皆さんにも、是非活用していただきたいと思うのですけれども、まず今は廃棄物を排出する側が、きちんと化学物質に関わるデータを伝えることが重要かと思います。また、廃棄物の処理業者の皆様は、いろいろな廃棄物を扱っておりますし、1つのお客さんから出てきた廃棄物だけではなくて、それを一緒に処理するという状況が生まれますので、是非、そういったことで使っていただければと思っております。先ほどの御質問にもありましたように、BIGDrの会員としてやっていただければと思いますので、こういうところにもこれまで以上に働きかけをやっていきたいと思います。
 それから、産業廃棄物をどのような業者がやっているかというのは、実は日化協も直接お付き合いがありませんので分かりませんが、廃棄関係の団体との連携等はありますので、そういう所と連携して進めていければと思っております。
○城内座長 そのほかに何かありますか。
○課長補佐 JIPSと安全性要約書について御質問します。これはサプライチェーンの中でユーザーとか、今お話に出た廃棄業者も含めて、情報を伝えていくという仕組みだと思うのですが、逆にユーザー側から情報のフィードバックなどがあって、これをブラッシュアップしていくような仕組みはあるのでしょうか。
○日本化学工業協会(梅田氏) 具体的にそういう事例はないのですけれども、BIGDrのお問合せの欄がありますので、もし何かあれば、そちらから返答させていただくという形になると思います。具体的にそういう話はないです。
○城内座長 では、私から1点質問します。スライドの12で、GPSとJIPSという囲みがあるのですが、具体的には例えば東南アジア等あるいは欧州等との共同で、何かやられているということがあると思うのです。それについてはいかがでしょうか。
○日本化学工業協会(梅田氏) ICCAとは、化学品管理委員会としてお付き合いをしており、共同で活動しております。特に東南アジアに対しては、ICCAと協力してキャパビルに対応しているということです。
○城内座長 それは具体的に法令を作るのをサポートするとか、そういうことですか。キャパシティ・ビルディングは、どういった面での活動ですか。
○日本化学工業協会梅田氏 例えば今、東南アジアでGHSの導入を図っているのですけれども、まだなかなか理解が進んでおりませんので、そういう説明をしているという状況です。
○永松委員 補足いたします。今、東南アジアでGHSの仕組みを浸透して構築していこうということで仕組みがあります。それにも日化協が入ってやっております。また、キャパシティ・ビルディングといって、各国のRC協会等から依頼があったら日化協から専門家が行って、化学品管理のお話をさせていただいております。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかにありませんか。よろしいでしょうか。それでは、質疑応答はここまでにしたいと思います。永松委員、どうもありがとうございました。
 以上で今日予定していたヒアリングは全て終了いたしました。改めて検討会を代表して、本日お越しいただいた関係者の方々、永松委員に感謝いたします。委員の皆様から、全体を通して何か特段の御意見などがありましたら、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、本日の議事はこれで終了となります。事務局から今後の進め方について、御説明をお願いいたします。
○課長補佐 前回と今回と、関係者の方からいろいろとヒアリングをして、貴重な御意見を聞かせていただきました。その前の第1回では事務局のほうから、関係する情報なども御説明して、委員の皆様からいろいろな御意見等を賜りました。次回は12月26日を予定しているわけですけれども、これまで3回、議論やヒアリングをしてきた内容に加え、次回は、今後この検討会で議論を進めていただくテーマや論点などを、座長の城内先生ともよく御相談させていただきながら、次回に提示するという形で進めさせていただければと思っております。その後、次々回以降は年明けになりますけれども、議論するテーマと論点等を御了解いただけたら、それに基づいて個別の議論に進んでいければと考えております。よろしくお願いします。
○城内座長 事務局から進め方の提案がありましたが、委員の皆様、それでよろしいでしょうか。何か御意見はありますか。
 ありがとうございます。では、そのように進めていきたいと思います。以上で、第3回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。