第4回職業情報提供サイト(日本版O-NET)(仮称)普及・活用の在り方検討会

開始日
令和2年8月24日(月)
終了日
令和2年9月3日(木)
(持ち回りによる)
 
(委員)
伊藤 芳彦(株式会社三菱総合研究所執行役員 コンサルティング部門副部門長)
漆原 肇 (日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長)
大藪 毅 (慶応義塾大学大学院経営管理研究科専任講師)
木下 学 (パーソルホールディングス株式会社グループ経営戦略本部本部長)
酒井 基博(日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹)
新宅 圭峰(認定特定非営利活動法人育て上げネット執行役員)
千葉 吉裕(公益財団法人日本進路指導協会理事・調査部長)
根本 直樹(政府CIO補佐官)
野原 正和(アデコ株式会社キャリア開発本部本部長)
藤田 真也(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会会長)
星野 亜弓(新宿公共職業安定所東京新卒応援ハローワーク室長)
松原亜矢子(労働政策研究・研修機構キャリア支援部門統括研究員)
(オブザーバー)
能村 幸輝 経済産業省経済産業政策局産業人材政策室長
(五十音順 敬称略)
 
【議事概要】
持ち回りにより第4回職業情報提供サイト(日本版O-NET)(仮称)普及・活用の在り方検討会が開催されました。
 
【議事について】
各委員より、「職業情報提供サイト(日本版O-NET)サイト運営方針書」の内容については特に異論はないとした上で、以下の意見があった。

○ 伊藤委員
・着実に改修が進んでいる点を評価。今後は、求職者・労働者などとともにキャリアコンサルタントなどの支援者の声をしっかりと拾って、これに対応していくことが重要。
・昨今の新型コロナウイルスの影響で、社会変化も大きい。本サイトの職業の内容等もこうした変化を踏まえてしっかりとリバイスすることが必要。特に、ジョブ型社会を見据えればタスクの項目が重要である。
・新型コロナウイルスの影響で、「対面」で何かを行うということが減っている中、オンラインで自分で探して、自分でできるという環境を整備していくことが重要であり、本サイトもこうした観点をしっかりと持つべき。

○ 漆原委員
・障がい者の方の利用への対応もしっかり進めること。
・職業アクセスランキングを見ると、雇用ではなく請負で行われることがある職業も含まれている。求職者がこれを見る際に、非正規就労が多いとか、請負契約や業務委託契約で行われることが多いといったことがわかるように、今後、工夫してほしい。

○ 大藪委員(座長)
・統計情報の充実などはよいが、都道府県単位だけでなく企業規模別もあるとよい。本サイトは情報サイトとして、利用者が欲しい情報を見やすくまとめて提供する機能がある。
・ジョブ型雇用が注目されているが、ジョブ型には、採用時点でジョブ型で採用するという面と雇用中の人材マネジメントをジョブ型で行うという2つの面がある。後者はどういう業務を社内でその者のジョブとし、責任の範囲とするのかという観点であり、本サイトはそういった場面でも使えるものである。
・米国などでは、O*NETに先だって、どのような能力があるかというテストがある。各業界における、その業界での就労で必要な知識等があるかを確認する検定試験などがあると、ジョブ型での採用や社内での人材管理に役立つし、労働者側も何を身につけていくかわかりやすい。日本でも、いくつか団体等が行っているものがあるが、本サイトも、こうした検定等に関する情報を、幅広に提供していくとよいと考える。
・新型コロナウイルス対応では在宅・オンライン勤務など、従来とは異なる働き方が注目されており、そこでは正社員・パートといった労働区分とは別に、より本質的な組織労働のあり方が問われている。現在の集団的補完性が高い日本の職場では今後もっとJob型の働き方が広まり、それは必然的に雇用・人事管理のあり方の見直しにもつながる。日本版O-NETはこうした職業の新しい軸に十分適応できるものであり、社会的な利用拡大が期待される。

○ 木下委員
・米国版O*NETを研究し、本サイトを向上していくという考え方もあるが、その際には、日本人のメンタリティや考え方といったものを踏まえる必要があり、あくまで参考としながら日本にあったものを作っていく必要があると考える。
・最近の新型コロナウイルス対応により産業構造も大きく変わる時にさしかかっている。こうした中、働く個人が本サイトを利用し、参考とできるよう、想定する利用者の中でも特に働く個人のユーザビリティをアップするという観点が重要である。
・今後について、他サイト連携などは、いろいろと検討することはあると思うが、まずはできるところから着実に進めていくことが大切と考える。また、プロモーション、民間系サービスや各行政とのサービス連携、利用者からの声を踏まえた機能のアップデートなどは、特に重要であり、しっかり行っていく必要があると考える。

○ 酒井委員
・本日の説明については、今年度対応等ということで了解であり、現時点では特に言うことはないが、今後も本サイトがどうなっていくのかについては、引き続きしっかりと確認していく。

○ 新宅委員
・実際に育て上げネットで活用している中で、仕事を具体的にかみ砕いて、これができる、これができないと確認していくが、そこでは、「タスク(職業に含まれるこまかな仕事)」の表現レベルがとても役に立つ。さらに、タスクよりもう少し一般化・共通化された言葉で書かれたものがあると、キャリアコンサルティングの過程で行う本人の能力の明確化で使われる表現レベルとも一致できるようになり、より、自己理解と仕事理解がつながりやすくなるのではないかと考えている。JILPTが検討しているワークアクティビティがどういうものとなるか見守っていきたい。
・「仕事の性質」による検索機能はよい。どうしても苦手なことがある場合に、これが少ない職業を検索できることは重要である。

○ 千葉委員
・生徒・学生の利用を考えると、職業を検索し情報を得るだけでは魅力に欠ける。自分について分析できる機能は利用のとりかかりとして有効である。特に、職業能力プロフィールについては、職歴がない又は少ない場合に作成しづらく、数値データ作成時のアンケート等に同じように答えるとプロフィールができあがるなど、工夫が欲しい。また、学生などは、アルバイト等、短い期間の職業経験を複数の職種で持っているケースが多いので、例えば、タスクであっても、経験した複数の職種から、これを編集して自分の経験したタスクをリスト化する等の機能があるとよい。このように、実際の利用を想定した改修が今後も必要である。
・新型コロナウイルスの影響もあり、本来数年かかったであろう職業の変化が急速に進むことが想定されるため、本サイトもしっかりとデータ改修をしていく必要がある。

○ 根本委員
・都道府県別の統計データや訓練関係等ページとのリンクなどは、利用者が欲しい情報につながっていくことを可能とするもので評価できる。今後も利用者のニーズに合わせて使ってもらえるようにしていくという観点が特に重要。
・新型コロナウイルスの影響もあり、ジョブ型雇用も最近はメディア等で多く取り上げられている。本サイトはこの流れに沿ったものであり、今後のジョブチェンジ型の再就職に際して使われることが期待される。

○ 野原委員
・昨今の新型コロナウイルスの影響でリモートワーク、在宅勤務などが注目を集めているが、本サイトにこれに対応する内容が少ない。サイトに載せるためにはデータ収集等が必要であり即応できないというのは仕方がないが、今後、できるだけ早く何らかの対応ができるよう検討する必要がある。
・スキルや能力について検索してみるとたくさんの職業が該当しすぎると思っていた。絞り込みや並べ替え機能がうまく機能することに期待する。

○ 藤田委員
・キャリアコンサルタント養成研修の中で本サイトが紹介されている。特に、職業理解に関連し、利用を促している。今年度改修により、さらに使い勝手がよくなることを期待する。
・本サイトはキャリアコンサルタントがコンサルティングに際して利用するという面と、労働者個々人が自分で利用するという面がある。情報を読み解くというところでキャリアコンサルタントの関わりは重要であるが、同時に、労働者個人が自分で利用することができるようにすることが重要と考える。

○ 星野委員
・新卒応援ハローワークの就職支援ナビゲーター等の専門相談員に本サイトを活用につて聞いた。本サイトの利用は、複数回のコンサルティングを前提に2回目以後に使用することが多く、職業について理解が浅くなんとなく希望職種を選定していた学生等に職業理解を進めることができたという声とともに、その後のキャリアコンサルティングを進めるにあたってのラポールの形成にも役立ったという声が多かった。
・本サイトを自分で利用してもらうという方法もあるが、その場合、本人が調べたい職業に偏り、必ずしも職業理解が深まらないこともあるため、専門相談員が話をしながら、本人に理解して欲しい職業の全体像を示しつつ相談を進めることが有効であった。
・職業紹介に直結する段階での支援にも活用できるが、大学生等の場合、就職活動を始める前によく職業を知り、希望職種を定めることが有効であり、ぎりぎりでは方向修正が難しい場合がある。その意味では、大学の1・2年生などのキャリア教育時点、また、遅くともインターンシップ先を探す前ぐらいには、本サイトも利用して職業を理解することが有効である。
・若年層と中高年では転職に当たっての本サイトに対するニーズが違う。年齢が上がるにつれ、前職の職歴から、他職種でも通用する能力(汎用性スキル)を解析できることが重要。また、年齢が上がるにつれ、完全に退職して数年間学生として学ぶというのは、今の日本においては、まだまだハードルが高く、働きながら利用できる入職経路がないか知りたいというニーズがあり、入職経路についてもっと充実するとよい。

○ 松原委員
・今年度新たな数値情報として、タスクの抽象概念である「ワークアクティビティ」を取得することを考えており、転職等の際に、異なる業界でもタスクの類似性に基づく職業の探索に役立つことを期待している。
・他にも新規項目として、コロナ対応のため、「仕事の性質」の領域について、「電子メールの頻度」、「病気・感染症への接触リスク」などの項目を増やすことを検討している。これにより職業ごとのテレワークへの親和性などがわかるようになるのではと考えている。

○ 能村オブザーバー
・今後、職種転換による転職の可能性を広げることと、そのための訓練というのが重要であり、本サイトがこれにどう使っていけるかということを考えていくべき。
・民間活用促進というのは重要な観点であり、今後も進めていくことが重要。