第131回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

 令和2年7月31日(金)10:00~12:00

場所

三田共用会議所 講堂(1階)

出席者

【公益代表委員】
    熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、三柴丈典、山口直人
【労働者代表委員】
    漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
【使用者代表委員】
    鈴木重也、砂原和仁、中村節雄、増田将史、矢内美雪
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、安達栄(安全課長)、井内努(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、
           和田訓(産業保健支援室長)、黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

(1)「経済財政運営と改革の基本方針2020」等について
(2)じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)副業・兼業を行う場合の健康確保措置について


 

議事

 

○城内分科会長 皆さん、おはようございます。会場は非常に疎でいいと思うのですが、会議のほうの議論は密でいきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは定刻になりましたので、ただいまから、第131回労働政策審議会安全衛生分科会を開催します。本日は、公益代表委員の砂金委員、水島委員及び使用者代表委員の中澤委員、最川委員が欠席しています。本日は、感染症対策のため、一般傍聴は募集せず、報道関係者のみ傍聴を受け入れていますので、御承知おきください。
次に、傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。また、第161回労働政策審議会労働条件分科会の資料1及び第162回労働政策審議会労働条件分科会の資料一式を机上に配布しています。
では、議事に入ります。議題(1)「『経済財政運営と改革の基本方針2020等』について」に関し、事務局から説明をお願いします。
 
○小宅計画課長 資料1により御説明させていただきます。7月半ばほどに経済財政運営改革の基本方針等について、閣議決定がなされましたので御報告します。今後、事務局においていろいろと検討し、事案に応じてこちらの審議会に議論をお願いすることがあろうかと思いますので、今日は御報告ということで御紹介をさせていただきます。
2ページ、経済財政諮問会議における決定事項です。具体的には3ページですが、マイナンバー制度の改善ということで、関係省庁がPHRの拡充を図るため、2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年を目途に、マイナンバーカードを活用して、生まれてから職場等、生涯にわたる健診データを一覧性をもって提供できるように取り組むことになっております。
参考資料1-1を御覧ください。現状はどのようなことになっているかと申しますと、資料1-1の中ほどの少し細い字になっている所ですが、高齢者の医療の確保に関する法律で、事業主健診のデータについては、保険者のほうが提供を求めることができると。提供の求めがあったときには、事業者は提供することになっております。
ただし、この提供を受けた者にデータを使い、保険者としては様々なサービスを提供していくということでして、その下の〇にありますように、保険者に事業主健診データを提供するということについては、法令にも書いておりますし、PHRの推進やコラボヘルスの推進によって、労働者の健康保持増進につながり、更に労働者が健康になることによって、企業の労働生産性の向上とか、経営改善・経済成長にもつながるということで、労使双方のメリットになるということかと思います。現状、このデータの提供というのが低調であるということもあり、このようなことに取り組むべしということが決定されております。
資料1の3ページにお戻りいただき、②の下のほうに線を引いておりますが、各種免許・国家資格、教育等におけるマイナンバー制度の利活用について検討するということです。これは資料1-3の一枚紙を見ていただきますと、労働安全衛生の関係については、危険な機械とか、業務に就く場合には、免許なり技能講習を受けていただくことが必要になっております。それを証明するものが発行されるわけですが、お一人でいろいろな資格・免許を持っていらっしゃるという場合に、そのものごとに証明書を持つのも大変ですので、まとめて分かるようにしているところですが、それをマイナポータルから見られるようにして利便性を高めてはどうかということです。
資料1の3ページの③です。行政手続のオンライン化、ワンストップを抜本的に進めることが書かれております。
また、4ページで、書面・押印・対面主義からの脱却ということで、2行目ですが、全ての行政手続を対象に見直しを行い、原則として書面・押印・対面を不要とし、デジタルで完結できるよう見直す。今回のコロナウイルス問題の中でも、押印のために出社ということがいろいろ言われました。それから、対面を避けるということで、電子的にいろいろなものを提出できるようにということが言われております。それを進めるべきだろうということが言われております。
資料1の3ページの(3)の①ですが、働き方改革関連法の着実な施行に取り組むということが言われております。
5ページですが、再生本部の関係ですが、再生本部の下に置かれました6ページの未来投資会議ですが、ここでの議論の中身が7ページ以降に掲載されております。7ページには、兼業・副業の環境整備ということで、主に労働時間に関するものですが、①自己申告制を取るということとか、②簡便な労働時間管理の方法についてというようなことが書かれております。また、フリーランスの環境整備ということも書かれております。
9ページを見ていただきますと、フリーランスの方について、雇用に該当する場合、労働関係法令が適用されることを明確化するということも書かれております。
そのページの一番下に、安全規制の関係のことが書かれております。労働安全衛生法の規制対象であるボイラーについて、2020年度中に、開放検査周期を最長12年に延長し、検査周期を設備の状態により管理する手法や事業者による自主的な検査を導入した場合の課題を洗い出すとともに、2021年を目途に規制の見直しに係る基本方針を策定する、また、労働安全衛生法上の電子機器等の活用に関する防爆規制について、2020年度中に、対象となる危険エリアの判断基準を明確化し、防爆規制の将来の在り方について課題を洗い出すとともに、2021年を目途に規制の見直しに係る基本方針を策定することになっております。
資料1-4を見ていただきますと、下のほうに書いてありますが、ボイラーについては、原則1年ごとの定期検査があるわけですが、それが最大8年まで開放せずに検査ができることになっているわけですが、これを12年まで延長できるかというもの。それから、1の②ですが、検査の周期についての経年劣化に着目ということのほかに、設備の状態により考えるという方法が可能かと。(2)の防爆規制ですが、爆発等の恐れのある所で使われる電子機器については、爆発が起きないように防爆構造であるものを使うことになっておりますが、そういう規制の係る危険エリアについての定量的判断基準を明確化すべきではないか、ということが課題となっております。
資料1にお戻りいただき、10ページですが、産業保安の関係で、スマート保安を推進するために協議会を立ち上げて、アクションプランを策定するということ。以下再掲になりますが、押印の問題とか、パーソナルヘルスレコードの問題とか、マイナンバーを活用するといったことについて、こちらでも書かれております。
11ページの規制改革推進会議については、12ページにその内容が書かれておりますが、こちらでも押印とか、電子申請の利用率の向上とか、そういったものがこちらでも書かれているということです。今後、事案によってお諮りしたいということで御報告させていただきました。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。御質問、御意見等がありましたら、お願いします。
 
○勝野委員 参考資料1-3の関係について、少しお聞きをしたいと思います。安衛関係の免許とか、技能講習の修了証とマイナンバーカードを連携する上で、新たに資格情報ポータルを設置をするというような提案ですが、例えば、指定講習機関等々が持っている保有データは、それぞれの機関で情報はまちまちであるということから、仮にマイナンバーカードの情報と連携を図る場合、例えば個人情報としての突合は、氏名とか、生年月日で行うことになろうかと思いますが、それで突合できない方について、未資格者という扱いに多分なってしまうと思いますが、そういう意味で正確な情報を共有できるという担保というのでしょうか、そういうことはどうやって図っていくのかという点と、マイナポータルとの連携を図るための本人承諾を、指定講習機関それぞれが本人から得ているわけではありませんが、個人情報の利用に関してどのように周知をしていくのかという点です。マイナンバーカードのように自己の意思でカードを発行し、情報をまとめたいと考えている方が、全員ではないと思われますので、情報提供に反対された場合、その対応はどうしていくことになるのかという点について、少し細かいのですが、まずお聞きをしたいと思います。
 
○城内分科会長 事務局からお願いします。
 
○安達安全課長 安全課です。今、2点御質問がありましたので、御説明したいと思います。技能講習の統合ですが、御指摘のとおり技能講習については、37種類の技能講習があり、年間100万件の方が講習を修了していますので、おっしゃるとおり大変膨大なデータになっており、免許と違い講習機関は多数ございます。これは各機関が直接マイナポータルに登録するのではなくて、ワンタッチで、以前、中災防で実施していた「まとまるくん」と同様の形で既に統合機関に入れて、情報を整理してやっており、これが今、大体、全機関の全修了者の8割ぐらいが入れておりますので、そういったところを利用して、さらにマイナポータルに連携をしていくという形になっておりますので、この統合機関なり、そういった所で情報の管理はまた引き続きしっかりやっていきたいというところでございます。
2点目の個人情報の管理については、既に重要な課題ですので、直接マイナポータルに入れるということではなくて、国の受託者に一旦情報を管理して、そこから入れる形で2段階になりますので、情報の管理はそれぞれの段階でしっかり確保していきたいとは考えております。
 
○勝野委員 追加で、利便性の向上ということから、既にこれまで取り組まれてきた同様のシステムがあるということで、先ほどお話のとおり、建設関係では、技能講習の修了証明について、まとまるくんというカード発行システムがあり、また、昨年からは建設キャリアアップシステムということで、これは国交省や厚労省も関わって資格情報等の一元化が業界全体として行われようという取組が進められています。こうした既存のシステムとの関係や整合性をはっきりさせていかないと、かえって屋上屋を架すということで、利便性を低下させるものになってしまう、そういう危惧を持ってしまいますので、その点について、是非、慎重な検討をお願いしたいと思っております。
 
○村山安全衛生部長 勝野委員から御指摘のとおりだと思っています。御指摘のの閣議決定文書に至るプロセスについて、一言申し上げたいと思います。勝野委員から御指摘がありましたように、まとまるくんと建設キャリアアップシステムの連携、そしてキャリアアップシステムを含めた様々なシステムからマイナポータルにつなぐ際の個人情報保護の観点や、利便性、効率性の観点から、縦割りの弊害とか省庁の壁があってはいけないということで、内閣官房、厚生労働省、国土交通省、マイナンバーを所管する内閣官房の部署とともに、建設業界の方々や、キャリアアップシステムの運営主体としての仕事を担われている法人の方々などを、一堂に会して議事概要も公開するような形での場を設けていただいて、意識合わせをしながら、これまでも取り組んできております。その会議には私自身も参加しましたが、一歩一歩そうした討論を積み上げて、またこの場で御指摘いただいたことも踏まえて、今後の運用面についてもしっかり、先ほど安全課長からも申し上げたことを徹底していきたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 そのほかございますでしょうか。
 
○中村(節)委員 資料1-1ですが、意見とお願いを述べたいと思います。事業主健診における保険者との連携についてですが、以前の検討会を踏まえた事業者から保険者へ健康結果の提供に関するスキームについては、おおよその趣旨は理解をしています。
しかしながら、資料1-1の5ページですが、現在のスキーム図だけでは、事業主にとりまして実際の運用に当たり、どのような負担が生じるのか分かりづらいので、事務量が把握できるように具体的な事務作業の内容とか手順などを明示いただければと考えています。
同時に、現状、事業主が講じなければならない手順と比較して、事業主の負担をできるだけ抑えるための業務フローの検証等も必要ではないかと考えています。よろしくお願いします。
加えて、事務作業の量やそのボリューム感は、お示しいただくことが可能でしょうか。以上です。
 
○城内分科会長 事務局、お願いします。
 
○井内労働衛生課長 今、頂きました御質問について、お答えをします。我々としても、新たに事業主のほうに事務負担を課すことは、適切ではないと考えております。今回、まだ量が少ないので、そういった御懸念かと思います。具体的なスキーム等がもう少し明確になった時点でまた御説明をしたいと思いますが、実際のところ、今、想定しているところでは、事業主に対して新たな事務負担は生じないと考えております。あくまでデータを共有するのは、健診機関からできるということを実務的には考えており、事業主と健診機関の契約の形を変えることで、健診機関から事業主が理解をしている範疇の中で、自動的に保険者のほうにデータが送られて、共有されることを考えております。そういったことを踏まえ、またもう少し具体的にどういったフローになるかというのがあれば、また別の機会に御説明をと考えております。
 
○砂原委員 関連してですが、健診機関の場合、紙で渡していた結果についてデータで渡すことになると、追加でコストが必要ということになるとよく聞くものですから、全体コストが増加しないような形を考えていただきたく存じます。以上です。
 
○井内労働衛生課長 現在も実は保険者へのデータの共有は、当然、高確法がこういう形になっておりますので、行われております。そのときのコストの負担は保険者が行っていることになっておりますので、今回ここで書かせていただいているのは、その制度を更により充実させるという方向ですので、その範疇の中で動くという理解をしております。
 
○城内分科会長 そのほか御質問ございますか。山口委員どうぞ。
 
○山口委員 すごく原則的なことをお聞きしたいのですが、マイナンバーカードは、官民で言うと本当に官の世界で考案されて出来上がってきたシステムだと思うのです。でも、今いろいろな案が出ているものは、民間の知恵とか活力を注入しないとどうしてもうまくいかないと思うのです。官主導であると、うまくいかなかったことが今まで多かったと思うのです。その辺について、厚生労働省としては、どういう考え方で民間の知恵とか活力を活用してこの事業を進めていくおつもりなのか。すみません、抽象的な質問で恐縮ですが、その辺の考え方の整理がもしもついていたら教えてほしいと思います。
 
○小宅計画課長 先ほど部長からもありましたが、こういったものを進めるに当たりましては、関係者の御意見をまず踏まえるということ。それから、技術的な面についても、専門の業者さんなどの意見も聞きながらということを留意してまいっているつもりです。今後も今の御意見を踏まえ、そういった方向で更に留意してやっていきたいと考えております。
 
○山口委員 技術的なことは、いろいろ標準化をどうやって進めるかとか、いろいろなことはあると思うのですが、私が民間と言いましたのは、これは活用する側ですよね。例えばPHRを活用するといったら、いろいろな医学界とか、いろいろな所がふっと浮かびますよね。そういう所の知恵をきちっと取り入れて進めないと、出来上がったけれども誰も使わないみたいな、すみません、失礼な言い方になってしまうかもしれないですが、そういうことが多いに有り得るのではないかと思いますので、その辺のことを私は申し上げております。システムの標準化も実は結構気になってはいるのですが、そういうことも含めて是非よろしくお願いしたいと思います。
 
○城内分科会長 事務局、どうぞ。
 
○村山安全衛生部長 本日事務局として座っている者として、委員の高い視点からの御提議にお答えするのがいささか申し訳ない感じもするのですが、PHRに関しては、もとより個々の国民の方々の生涯を通じてということもありますが、ただいま委員方から御指摘いただきましたように、医療の観点からもこれを一層、効果的・効率的に進める上で、山口委員のお言葉を借りれば民間の視点は大変重要であるというのは、おっしゃるとおりであると思っております。
ちょうど昨日ですが、厚生労働大臣をトップとする、省のデータヘルス改革推進本部というものが開催されて、一部の報道にも取り上げられておりましたが、当然、厚生労働省の枠の中だけでやっては、そうした委員御指摘の民間の視点は不十分だというのは、御指摘のとおりです。省の本部では、顧問やアドバイザリーグループという形で、医療界あるいは情報通信技術に詳しい方々の様々な御指導を頂きながら、全省的な体制を設けて進めているところです。
先ほど労働衛生課長から御説明した事業主健診における保険者との連携に関しても、そうした方々からのアドバイスも頂きながら進めており、本分科会と並行して、そうした多様なお声も承りながら進めていることも含めて、御理解いただければと思っております。雑ぱくで不十分な答えで恐縮です。
 
○漆原委員 今の点、健康情報に関わるPHRの話は極めてセンシティブな個人情報でありますので、それを民間でビッグデータとして活用する場合は、単に氏名だけを匿名にすれば良いというレベルではないと思います。厚生労働省の中でも民間での活用を積極的に推進している部局もあろうかと思いますが、健康関係の情報については特に個人情報の配慮に重々慎重に対応していただければと思います。
 
○熊﨑委員 参考資料1-4についてコメントです。本件スマート保安推進のために性能検査や防爆規制の見直しをしていただくということでした。石油化学プラントなどは複数の省庁の規制が掛かっています。ある規則において、技術革新を取り入れた、保安の取組をされていても、ほかの規則がそれに追い付いていなかったりすると、せっかくの取組も効率・効果が出ないこともありますので、今回の見直しはそういった連携の一環かと受け止めています。今後も様々な見直しや、合理化を是非お進めいただければと思っています。よろしくお願いします。
 
○安達安全課長 ありがとうございます。スマート保安については、参考資料1-4は厚生労働省の該当部分だけですが、関係省庁も含めて、多くの省庁がこのスマート保安に取り組む形になっております。スマート保安の進め方については、今、各省庁の連携ということがありましたが、官民協議会のような形のものも作り、経済産業省とか消防庁と私ども厚労省も一緒に入って議論する場もありますので、しっかり連携して取り組んでいきたいと考えております。
 
○城内分科会長 その他御発言はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。
次に、議題(2)「じん肺法施行規則等の一部を改正する省令安要綱について」に関し、事務局から説明をお願いします。
 
○和田産業保健支援室長 「じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について御説明させていただきます。資料2-1と資料2-2を用意しております。こちらは諮問案件となっております。改正内容につきましては、資料2-2を用いて御説明させていたただきます。資料2-2の表紙をめくっていただきまして1ページ目を御覧ください。まず改正の背景についてですが、じん肺法や労働安全衛生法等においては、事業者は労働者に対して、各種健康診断やストレスチェックを実施することとされております。また、それらの結果については、じん肺法施行規則や労働安全衛生規則等で定める様式により、健康診断個人票等を作成して、保存することとされております。これらの様式については、事業者が医師等による健康診断の実施や、その結果に基づく医師等からの意見聴取を実施したことが分かるよう、医師等が押印することとされており、電磁的記録により保存する場合には、その押印の代わりに電子署名を行うこととされております。
健康診断個人票等については、生涯にわたる健康診断に係る情報等の活用を促進するために、情報の電子化を推進することが求められております。そういった中で、医師等による電子署名の取得が、企業の負担になって、企業での当該情報の電子化が進まないという御意見を踏まえ、医師等による押印及び電子署名を不要とするものです。
また、事業者は健康診断等の実施後、安衛則等で定める様式により定期健康診断結果報告書等を、所轄の労働基準監督署長へ提出することとされております。事業者が産業医に健康診断に係る情報を提供したことが分かるよう、当該様式には産業医が押印することとされており、電子申請で行う場合にはその押印の代わりに電子署名が必要ということとされております。定期健康診断結果報告書等について産業医の電子署名の取得が企業の負担となって電子申請が進まないという御意見を踏まえ、産業医による押印及び電子署名を不要とするものでございます。
なお、健康診断個人票等や定期健康診断結果報告書等において、押印等により確認していた事項については、労働基準監督署による監督指導等で確認することとしております。
次に改正内容についてです。大きく2つありまして、繰り返しになりますが、(1)として、健康診断個人票等について医師等の押印を不要とする、(2)として、定期健康診断結果報告書等について産業医の押印を不要とする、となっております。公布日は令和2年8月中旬、施行期日は公布日を予定しております。
次に2ページ目を御覧ください。今回の改正の対象となる様式の一覧を示しております。左側が健康診断個人票等で医師等の押印を不要とする様式、右側が定期健康診断結果報告書等で産業医の押印を不要とする様式となっております。
次に3ページを御覧ください。参考として、様式改正のイメージを示しております。左側は例として、健康診断個人票安衛則様式第5号(2)の裏面を載せております。その左側の欄を御覧いただきますと、医師等の押印に係る丸印の所に×をつけていますが、これを削除するというものです。また、右側には例として、定期健康診断結果報告書安衛則様式6号を載せております。産業医の欄の中の丸印の所に×をつけていますが、これを削除するというものです。説明は以上です。審議のほどよろしくお願いいたします。
 
〇城内分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた内容につきまして、質問等発言がある方は挙手をお願いいたします。
 
○増田委員 御説明ありがとうございました。1点質問、1点お願いがございます。まず質問なんですが、押印は必要ないということなんですが、記名は引き続き必要ということでしょうか。
 
○和田産業保健支援室長 御本人の署名である必要がないということになります。
 
○増田委員 つまり、最初から印刷されている書式を準備して、それで運用するといったことは可能ということですか。
 
○和田産業保健支援室長 はい、可能ということでございます。
 
○増田委員 はい、ありがとうございます。1点、本件とは直接関係ないので恐縮ですが、資料の3ページ目に例として様式6号が載っております。下のほうの産業医の欄に、氏名と所属医療機関の名称及び所在地とあるのですが、そこに所属医療機関と書かれますと、私のように会社で専属で勤務していますと、ここの欄に虚偽の事項を記載しないといけないという問題が出てきます。ここは、今回ではなくて、いずれかの機会で構いませんので、所属機関の名称及び所在地というふうにできないか、お願いできればと思います。
 
○城内分科会長 事務局からお願いいたします。
 
○小宅計画課長 御指摘のあった点、検討させていただきたいと思います。
 
○城内分科会長 そのほか御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、「じん肺法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」については妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○城内分科会長 はい、ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。次に議題(3)「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」に関し事務局から説明をお願いいたします。
 
○小宅計画課長 まず、資料3-2を御覧ください。2ページ目、前回の議論のまとめとして、6項目書いております。下には前回、副業・兼業についての事業所調査についてお示しした際の御意見を2つ書いております。事業所調査について、業種・業態別に見る必要があるのではないか。次は、より詳しい調査結果を示してほしいということ。それから文献調査について、どのようにして御報告した文献を選んだのかということがございました。それについて、資料3-1で御報告したいと思います。副業・兼業に関する事業所調査の詳しいものということです。
3ページ目の、正社員について、または正社員以外について副業・兼業を「認めている」、「認めていない」の状況について、業種別で整理したものです。医療・福祉を除き「認めている」と回答した事業所の割合より、「認めていない」と回答した事業所の割合のほうが高くなっております。正社員以外につきましては、複合サービス業を除いて「認めていない」と回答した割合よりも、「認めている」と回答した割合のほうが高くなっております。
続きまして4ページ、許可制・届出制どのような仕組みを取っているかということについて、業種別に整理したものです。業種ごとの明確な傾向はなかなか確認できないというようなことかと思います。
5ページは、禁止するというような規定がある場合に、どういう理由、どういう根拠でというものについて、これも業種ごとに整理したものです。こちらも業種ごとに明確な傾向は確認できなかったという状況です。
6ページは、定期健康診断を実施した割合について、これも業種別に整理したものです。全体的に2012年と比べて2019年のほうが割合が高くなっており、業種にかかわらず100%に近づいていると思います。
7ページは、定期健診について、規模別に整理したものです。こちらも2012年と比べて2019年のほうが割合が高くなっていて、規模にかかわらず100%に近づいてきている状況が見て取れるかと思います。
8ページは、副業・兼業の許可等の状況別の定期健康診断の実施状況です。副業・兼業を認めている事業所も認めていない事業所も実施率は高く、ほぼ100%ですが、明確な規定とか制度がある事業所のほうが、ない事業所に比べて実施率が高い傾向があるのではないかということです。
9ページは、ストレスチェックについて、業種別、それから右と左で規模別で整理したものです。労働者50人以上の事業所につきましては、農林漁業・鉱業、卸売り・小売り、宿泊・飲食サービス、生活関連サービス・娯楽、教育・学習支援、医療・福祉において、全体と比べて実施率が低かった。50人未満の事業所については、業種ごとの明確な傾向というところまでは確認できないのですが、全体として実施率が低いのではないか、ということです。
10ページは、ストレスチェックの事業所の規模別です。これは規模が小さくなるにつれて実施率が低くなる傾向が見て取れるかと思います。
11ページは、副業・兼業の許可の状況別のストレスチェックの実施状況です。副業・兼業の許可等の状況や事業所規模にかかわらず、明確な規定や制度のある事業所のほうが、ない事業所に比べて実施率が高い傾向が見て取れるのではないかと思われます。
13ページは、前回御紹介した文献についてどのようにセレクトしてきたかということです。まず、2つのデータベースによりまして、②検索の対象期間を絞りまして、一定の検索のキーワードを打ち込んで、④にありますとおり、それにヒットしたものが45編ありました。そのうち雇用労働者の副業・兼業の有無による健康への影響を検討した論文が4つ。副業・兼業の有無による怪我の頻度への影響を研究したものが1つあったということで、それを御報告させていただきました。そのほか、低所得の母親のメンタルヘルスに関するものが1つ、不安定雇用者の健康に関するものが1つでしたけれども、研究対象者の一部に副業・兼業を含むということで、副業・兼業者を直接の対象としていなかったので御報告はいたしませんでした。その他については、副業・兼業による健康の影響を検討したものではございませんでした。それから日本語文献のデータベースでもやってみましたが、適当な研究報告はなかったということで、前回の御報告のものに御報告させていただいたということです。
調査につきましては、これまで企業のヒアリングとか企業へのアンケート調査とか文献の調査を行ってきており、もう1つ労働者調査を行うことにしておりました。
15ページは、枠囲いにありますような項目について126回、127回の分科会において御議論いただいて、こういった項目について調査をし、調査自体は実施済みです。申し訳ありませんが、取りまとめが今日間に合わないような状況でしたので、次回御報告をさせていただければと思います。前回、こんな切口での取りまとめの結果も出せないかということで、先ほど御報告したような宿題を頂いたこともございまして、次回、御報告するに当たりましては、次に掲げているような項目で集計をしていきたいと思っておりまして、ここについて、さらにこういう切口でというものがあれば、これも含めてできるものを準備していきたいと思っておりますので、項目について何かありましたら御意見いただければと思っております。
1つ目が副業している人の割合、2つ目が就業形態、3つ目が労働時間、4つ目が理由、5つ目が強い不安、悩み、ストレスの状況、6つ目が睡眠時間、7つ目が不安等を相談できる人がいるか、8つ目が相談できる人がないという場合に、相談環境の整備を希望するか。それから健診の受診・所見があるかどうか、事後措置がどのような状況になっているか。病欠の有無、ストレスチェックの実施・ストレスの状況・面接指導の有無、こういったものについて集計をして御報告したいと思っております。
それから、説明を通してさせていただきたいと思いますけれども、資料3-2です。2ページの所で、前回の議論のまとめについて、これまで副業・兼業について、労災補償、労働時間の問題、健康確保について、どういう順番でというような御議論もあったわけですけれども、3つをトータルでパッケージで考えるということも重要ではないかという御意見がございました。2つめに、副業・兼業を行う場合には、雇用か非雇用かを問わず、労働時間が長くなるということがあるということ。労働者の健康確保の観点から、現場が混乱しないように、明確なものを示していく必要があるのではないかという御意見がございました。3つ目に、副業・兼業を行う際、過重労働とならないようにするために、許可するときの条件が重要である。本業の時間外労働と副業を足して30時間の場合のみ許可するなど、ルールを設けている企業もあって、このような労使の自治を尊重してほしいということ。4つ目に、健康確保の面でデータを取って平均を取ると長時間労働になるから、副業・兼業は認められないという議論になってしまうことを懸念すべき。組織と個人の意思を尊重しなければならないという側面もあるのではないかという御意見がございました。それから先ほど御紹介したデータについての2つの御意見がございました。
先ほど申し上げましたように、次回、労働者の方についての調査の結果を御報告したいと思うのですけれども、これまで議論されてきたものもございますので、それを振り返りつつ、論点のようなものが一応整理できるのではないかということで整理させていただきます。と言いますのは、これまでこの議論の進め方としまして、労災の負荷の通算、給付の合算の施行の段階で、何かまとまるものがあるのであればその段階で取りまとめてはどうかと。さらに、引き続き検討するものがあれば、それは引き続き検討ということで議論してはどうかということを申し上げてまいりました。労災の施行が近々になされるということですので、ここで一旦、今までの議論を整理して論点のようなものをお示しして議論いただきつつ、さらに次回、労働者調査の結果もお出しして、さらに議論を深めていただくというような手順で進めてはどうかと、これまでの議論を整理するというような趣旨でペーパーを準備させていただいております。
4ページ以降がこれまでの閣議決定について整理したものです。5ページの④までは、既にこの場でも御説明済みです。⑤について今年の骨太の中で閣議決定された内容です。労働時間の管理方法のルールの整備を通じた副業・兼業の促進など、複線的な働き方や、育児や介護など一人一人の事情に応じた多様で柔軟な働き方を労働者が自由に選択できるような環境を整備し、RPAの活用を含む更なる生産性向上に向けた好循環をつくり出すといったことが書かれております。
6ページの成長戦略の関係でも盛り込まれております。2段落目の所で、副業・兼業希望者は近年増加傾向にあるものの、他方、実際に副業・兼業がある者の数は横ばい傾向であり、働く人の目線に立って副業・兼業の環境整備を行うことが急務であるということ。この背景には労働法制上、副業・兼業について副業・兼業先と労働時間を通算して管理することとされている中、副業・兼業先での労働時間管理・把握が困難であるとして、認めることに対する企業の慎重姿勢がある。未来投資会議の審議においても、兼業を認めると自社の労働力が減るにもかかわらず、逆に管理工数が上がる中で、企業の労務管理責任の範囲・在り方についてしっかりとルールを整備し、企業も安心して副業・兼業を認めることができるようにしていくことが重要との指摘があるため、労働時間の管理方法について、以下の方向で労働政策審議会における審議を経て、ルール整備を図るということです。次のページから主に労働時間の関係について、自己申告制のこととか、簡便な労働時間管理のこと。成立した労災保険法の給付の拡充について、円滑な施行を図るべしといったことが書かれております。
そういった決定ですけれども、9ページ以降これまでの分科会によっての御指摘事項をまとめました。これは各回、この資料の3ページ目にもありましたように、前回の議論のまとめをしておりますので、その中から論点になったものを抜き出したということです。9ページ①のイは、産業医が重要な役割を果たすわけですけれども、2行目の所で、業務を遂行することを担保している要件の一つに勧告権があるけれども、それは産業医として選任されている事業者に対してのみ有効ではないかと。副業・兼業先の企業に対しては産業医はなかなか有効に機能できないのではないか、②のイは、副業・兼業の点では必要ではないかといった意見でした。
10ページの②のオは、労働者数50人未満の事業場では産業医の選任等についての制度の建て付けの違いがあることから、このような事業場の健康管理についても場合によっては議論が必要ではないか。その下のカが、労働時間の上限規制かと思いますけれども、中小企業は上限規制の施行に向けて時間管理に努めているが、さらに大きな負担が生じないように十分配慮を願うといったような御意見もございました。
11ページは、労働の実態についてどう把握するかということに関して、④のイですが、他の企業との情報交換は難しいというようなこと。企業ヒアリングを見ますと、社命で副業・兼業している場合には、労働時間を通算して管理し、当該通算した時間に応じて健康確保措置を講じている例が多いということです。⑤は前回の、先ほども御紹介しましたけれども、ウの所で、労使の自治を尊重して取り組めるようにということ。エとして、組織と個人の意思を尊重しなければならないのではないかというようなことです。
少し飛びまして15ページ以降に、去年の夏に有識者の検討会の、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会がありまして、この場でもこの内容は御報告させていただきました。その中で、副業・兼業を推進していく場合は、健康確保措置としてこんなことが考えられるのではないかと、取り入れるべき選択肢の例示として、19ページの一番下のパラグラフですが、選択肢の例示として、幾つか健康確保措置として考えられるものが示されております。例えば18ページの一番上、①-1は、事業者が副業・兼業している労働者について自己申告により把握して、通算した労働時間の状況などを勘案して、労働者との面接、労働時間の短縮、その他の健康確保をするための措置を講じるように配慮しなければならないとするもの。この点については、下のポツで留意点などが書いております。2ポツ目の、いかなる措置も講じていなかったら、それは行政指導の対象になり得るだろうと。その下、一方この措置のみでは不十分ではないかという指摘があり得るところであり、労働者自身による管理がより重要になっていくということです。
1-②の選択肢の例として、事業者は副業・兼業している労働者の自己申告により把握し、通算した労働時間の状況について、休憩時間を除いて一週間辺り40時間を超えて働いている労働時間が、一月当たり80時間を超えている場合には、労働時間の短縮措置を講じる。そのほか、自らの事業場における措置のみで対応が困難な場合は労働者に対して、副業・兼業先との相談、その他の適切な措置を求めることを義務付けるということ。また、労働者の申出を前提に医師の面接指導等も講ずる。これにつきましても留意点として、例えば2ポツ目、労働者のプライバシーへの配慮が必要で、他の事業場の労働時間を直接コントロールすることができないことなどにより、労働者の自主性を尊重した措置にならざるを得ないのではないかということ。
19ページの②の、3つ目の選択肢の例示として、通算した労働時間の状況を把握せずに労働者が副業・兼業を行っている旨の自己申告があった場合に、医師の面接指導、ストレスチェック制度等の、現行の健康確保措置の枠組みの中に何らかの形で組み込むということ。これについての留意事項としても、例えば2ポツ目の、ストレスチェック制度が常時雇用される労働者が50人未満の事業場においては、実施の努力義務とされているというようなこと。その下の○で、例示ということと、なおということで、労働時間の上限規制や割増賃金など、その他の部分でどのような選択肢を取るかによっても変わり得ることに留意が必要だということが書かれた上で、このような選択肢が示されたところです。
また、17ページの所では、共通する課題として、2つ目の○で「ただし」の段落ですが、副業・兼業は労働者のプライバシーに配慮する必要があるということ。2行目の、労働者は自身による健康管理も重要だということ。3行目の中ほどから、仮に労働時間管理と同様に事業者に通算する義務を課すとしても、その義務に基づく措置は本業の労働に限定され、副業・兼業先の労働には及ばないことから、自社のみで働いている労働者に対して講じることができる措置と比較すると、限定的となり得る可能性があるということ。3つの○の、産業医については委嘱関係にない副業・兼業先の労働について直接的に対応することは困難であることや、どちらの事業主の下での労働がどれだけ健康に影響を与えているかの判断が困難であるということで、衛生委員会においても、どちらの事業主の下での労働がどれだけ健康に影響を与えるかの判断が困難であるため、労働者の健康障害防止等に関する重要な事項などについて調査審議することができないということに留意が必要だと。ここに留意事項も示されております。
こういった今までの御意見ですが、先行する検討会で示された点などを13、14ページで整理いたしました。こういったことが論点になるのではないかということです。1つ目が、健康確保措置を検討すべき副業・兼業の範囲についてどう考えるか。ここはこれまでの御議論を踏まえると、端的に言いますと、雇用型のほかに非雇用での副業・兼業についてどう考えるかと、そこも含めて考えるべきかどうかという論点だったかと思います。なお非雇用の場合についてもいろいろなバリエーションがありまして、デイ・トレードとかフリーマーケットへの出品等については、アンケート調査の対象にするかということではあったのですが、そういったものは範囲外としていいのではないかということが、ある程度コンセンサスになっていたかという印象を持っています。※の、この点現在、副業・兼業の促進に関するガイドラインというものがございます。ガイドラインで留意点を呼び掛けて、それにしたがって推進していただくことでお示ししているものです。労使で柔軟に取り組んでいただけるというものでガイドラインの形を設けております。その中において、個人事業主や委託契約・請負契約等により労働基準法上の労働者でない者について、又は労働基準法での監督者として副業・兼業を行う者については、労働基準法による労働時間に関する規定が適用されない。なお、この場合においても就業時間が長時間にならないように配慮することが望ましいということで、一定程度そういった方も視野に入れたことになって書かれているのかなという状況です。そういった中で、非雇用の部分についても視野に入れて検討をすべきなのかどうかということです。
2点目に、副業・兼業している労働者の状況の把握をどう考えるか。これは端的に言いますと、先ほども御紹介しましたプライバシーの問題などもございますし、あるいは把握するにしても自己申告という方法はどうなのかという御議論もあったかと思います。そういった意味で、手法なり必要性、そういった観点からの問題についてどう考えるかということです。1ポツ目、把握の必要性、つまりプライバシーという御指摘がありましたが、それをどう考えるか。2ポツ目、事業主による把握の方法についてどう考えるか。企業間での情報のやり取りというのは、今までの議論のまとめの所でもなかなか難しいというところがあり、一方、企業の指示で兼業している場合は、ちゃんと把握されているという実態があるということがありましたが、どう考えるかと。それから一定程度自己申告というのは普及している。労働時間については労働条件分科会で議論されているわけですけれども、自己申告という制度を取り入れることについて議論がなされている状況かと思います。3ポツ目もこういった論点が今まで提示されたかということだと思います。
次のページは、健康確保措置は具体的にはどのようなことを考えるかということで、先ほど検討会報告で示された選択肢も盛り込んでおります。1ポツ目は、事業主が他の事業場での労働の状況を踏まえて、自らの事業場における健康確保措置を講ずることについてどう考えるか。これは先ほど申し上げた報告書に書かれていたものを導入するのがどうかということです。2ポツ目、これも報告書に書いてあったことですけれども、事業主が労働者に対して、他の事業場との相談、その他の適切な措置を求めることを義務付けるということ。それから報告書にもありましたが、産業医が他の事業場における労働の改善について勧告を行うことはどうかと。4ポツ目、それぞれの事業主が連携して措置を講ずるということはどうかと、この辺については企業の調査やヒアリングの結果も御参考になろうかと思います。それからここはかなり重要だという指摘が報告書にも書いておりましたけれども、④として、労働者の健康管理についてどう考えるかということです。⑤として、前回のまとめにありましたけれども、労使である程度柔軟にというような御意見もあったわけですけれども、推進なりルールの形式というのはどのようなものが適切であるかということです。先ほど申し上げましたけれども、現時点においてはガイドラインという形で労使で柔軟に取り組んでいただけるようにということをやっておりますので、そういった手法も活用可能と言えるかと思います。⑥は、中小企業への配慮にも留意が必要ではないかということです。
これから御議論をお願いしたいのですけれども、これらの論点一つ一つ細切れですといろいろな御議論あろうかと思いますが、③の所が中心的な課題になろうかと思います。それとの関連で、どういう論点を取るかによって①や②の選択肢も変わってこようかと思いますので、これら関連付けて御議論いただければ有難いと思っております。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。簡単ではない課題ですが、本件について質問等、御発言のある方は挙手をお願いいたします。中村委員お願いいたします。
 
○中村(節)委員 資料3-2の13、14ページに関してです。論点の①、②、③、⑥について意見と要望を述べたいと思います。
はじめに、論点①です。労働安全衛生法で規定しております健康確保措置の実施対象となる労働者は、事業主が常時雇用している者とされていることから、副業・兼業においても同様に、常時雇用者に限定することが望ましいと考えます。
次に、論点②の副業・兼業している者の労働状況の把握についてです。副業・兼業先での職種や業務内容などの労務状況の情報は、本業の事業主に副業・兼業の許可の判断に必要となるため、本業の事業主も把握することが望ましいと考えております。また、把握方法については、未来投資会議で政府が示しているとおり、労働者の自己申告を前提とすることが妥当と考えます。また、申告漏れや虚偽申告があった場合は、本業の企業は責任を問われない点もルールが明確かつ企業の実態に沿った内容であると考えております。
続いて、論点③の副業・兼業をしている者の労働状況を踏まえた健康確保措置の在り方についてです。本業の事業主は、副業・兼業先の実態を知り得ない環境にあることから、健康確保措置については限定的にならざるを得ないと思います。長時間労働については配慮するべきですが、事業主に対して煩雑な労務管理を求めることは避けるべきと考えます。また、本業及び副業・兼業先の事業主が連携し、健康確保措置を講じることは、双方の管理負担を考えると現実的ではないと考えています。
最後に、論点⑥の中小企業への配慮の必要性についてです。働き方改革をはじめ、中小企業の労務管理負担が増加している中で、副業・兼業のルールについては可能な限りシンプルなルールにしていただくとともに、労使双方に分かりやすい周知をお願いしたいと思います。その上で大企業のノウハウや技術を持った人材が、例えば、地方の中小企業で副業・兼業することで中小企業の人手不足の解消や経営課題の解決が図られるなど、好事例を創出していくことや、これらのマッチングのスキームを構築していくことが期待されますので、中小企業の実情を踏まえた検討を引き続きお願いしたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 漆原委員お願いします。
 
○漆原委員 まず、事務局にお伺いしたいのですが、次回に労働者調査の速報が出るということは、確報が出るのは次々回という理解でよろしいか。その上で、仮に、次々回に確報が出てくるとすれば、その前に副業・兼業の議論が収束するわけにはいかないと思います。先ほどお話のありました労災保険法の施行は9月ですが、それまでにあと何回分科会が開催されるのかをお伺いしたいと思います。
少なくとも、確報が出てから議論をせずに終わることはないと思います。例えば、公益の委員の先生からも御意見を頂いて設問に入った睡眠時間の話などはまだ示されておりませんし、それを基に今後のルールの在り方などを含めて、次回だけで議論を終結するのは、なかなか難しいと考えています。
その上で全体的な話をしますと、これまで労働者側が縷々発言をしてきた副業兼業先が雇用か非雇用かについてですが、働く者からすれば、結果として過重労働になってしまうのであれば、その副業が、雇用か非雇用かにかかわらず、行政として何らかの健康確保措置を検討すべきではないかというのがまず1点です。
実際、本業の所得が299万円以下の階層の労働者のボリュームは、副業・兼業をしている者の全体の3分の2だというデータもあります。仕事を幾つも掛け持ちすれば、結果的には労働時間は長くなってしまう。生活を維持するために「やらざるを得ない」副業・兼業だとすれば、それが非雇用であることを理由に、一般的な自営業と同じように、本人の自由意思でやっているのだから「自分で時間の調整しろ」とされてしまうと、労働者側としては、そこには違和感があるということを申し述べておきます。
本来、そもそも本業のみで生活できる賃金が確保できるならば、あえて副業・兼業をしないという労働者もそこにはおられるのです。そのため、生計を維持するために副業・兼業せざるを得ない労働者に対して、本人の健康管理も含めて自己責任とされてしまうことがないよう、今後、何か検討が必要だということを改めて申し述べたいと思います。
先ほど、デイ・トレーダーなどを除外するというお話がありましたが、おっしゃるとおり健康確保措置の対象とすべき副業・兼業とは何かというのは重要な論点かと思います。一方で、これも以前、提起いたしましたが、そもそも本業と副業との違いは何か。契約した順番なのか、はたまた、労働時間あるいは得られる賃金の話なのかということも改めて事務局にお聞きしたいと思います。
仮に、本業において、一定の健康確保措置を実施していた場合には、例えば、副業・兼業先では実施しない扱いになるのかどうかということも、併せてお聞きできればと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。では、事務局からお願いいたします。
 
○小宅計画課長 まず次回は、労働者調査をどのような形でということですが、先ほどの話ですと、確報という形でお出ししたいと思っております。その観点からもこういった項目でということを先ほどお示ししましたので、何か追加等あれば言っていただければと思います。確報で出したいと思っております。
あと何回ということですが、取りあえず、委員の皆様には、あと2回の日程は頂いております。次回、労働者調査を出し、その上でもう一回ということが考えられるのではないかと思います。まだ調整中の日程ではありますが、そのようなことを考えております。雇用・非雇用について何らかの措置を検討すべきではないかという御認識がありましたので、御意見としてそのようなことを踏まえて検討する必要もあると思っております。
本業と副業の違いは何かということですが、現行の法制度において、明確に本業だから、副業だからこのような制度というのは、余りないかと思います。まず、制度面として。健康確保措置についても、例えば、一般定期健診は、こういう人にはやるということなので、こういう労働時間かつ本業の人ということではなく、こういう雇用形態の人ということですので、余り本業と副業によって安全衛生対策に差があるということはないと考えております。
その上で、先ほども申し上げましたが、本業、副業のガイドラインをお示ししておりますが、この中では、例えば、副業・兼業を許可するかという文脈で用いているときは、本業は先にということ、副業は後にということで、必ずしも賃金の大小などではなく前後関係で言っていると思われます。
一方で、健康確保措置ですと、文脈上、先にやった事業者だけなのか、それとは限らず、両方の事業主に留意していただきたいという趣旨に読めるところもありますので、一義的に、本業、副業はどうだという定義ではなく、その文脈においての判断かと思われます。
それと関連して、最後にもつながりますが、どちらかの事業主がやれば、他方は一切措置は不要なのかという御質問ですが、これも最初に申し上げましたが、安全衛生措置については、法令上はどちらかがやったので、どちらかは免責することが、健診などですと、同じ項目をダブルでやる必要はないので、どちらかの事業主でやった場合は、そのデータが出てくれば重ねてやる必要はないという観点からの重複排除はあろうかと思いますが、本業だから、副業だから、どちらかに寄せてやることにはなっていないかと思います。一方で、配慮することについては、必ずしも、どちらかだけで他方は考えなくてよいということまで言っているものではないと思います。
 
○城内分科会長 漆原委員どうぞ。
 
○漆原委員 最後にお聞きしたことは、例えば、健康診断の受診義務がある中で、現行の法律によって、本業で週30時間働いて、また副業先も30時間だとしたら、労働者にも検診を受診する義務はかかるため、労働者は定期健康診断を年に2回やらなければいけないのか、多分、そこは使用者と調整をすれば1回でいいのかどうなのか、それは法改正が必要なのかという点について、お聞きできればと思います。
 
○小宅計画課長 すみません。質問の確認ですが、現行ですと、それぞれの事業主に健診の義務があり、ほかで何らかの健康診断を受けていて、それを労働者の方が提供した場合には、健診を2回やるのもいかがなものかということで、その場合には、健診結果の提供を受けたほうは健診を免除されることになっていると申し上げたのですが、御質問は、今後の話として、そのように提供があった場合ということではなく、例えば、時間の長いほうに義務を掛けて、短いほうの義務は免除するというか、そのような仕組みが考えられるかという御質問でしょうか。そのような御質問だとすると、今後、御議論いただき、どのような姿がいいのか、正に、検討すべき課題かと思います。事務局でこうだとお示しするべき話ではないと思います。
 
○城内分科会長 鈴木委員お願いします。
 
○鈴木委員 私からは、論点の③と⑤に関連して申し上げたいと思います。前回も申し上げたところではありますが、副業・兼業者の健康確保の在り方については、労災保険法、労働基準法を含めた、この保護の全体のパッケージの中で議論することが適当ではないかと思っているところです。
現在、労働条件分科会において、この副業・兼業者に対する上限規制、割増賃金規制の適用については、時間を通算する方向での議論がされております。併せて、その具体的な適用ルールを明確化するということですので、副業・兼業者の強力な過重労働防止策として機能するのではないかと思う次第です。
他方で、安衛法上の措置、例えば、面接指導やストレスチェックは、単に、それを行えさえすればよいという性質のものではないと私自身は理解しているところです。具体的には職場の環境がどうなのか、当該労働者の方がどのような仕事をされ、どのような負荷がかかっているのかを勘案して個別具体的に判断する。そして、必要に応じて事後措置につなげていくという一連の仕組みの中での実効性が上がる仕組みであると思うところです。
ただ、検討会報告やこれまでの議論でも、意見等々が出たかと思いますが、本業企業としては、なかなか副業先でどのような負荷の仕事をされているのかという情報を得ることが難しいわけです。また、取れるとしてもプライバシーの問題や、あるいは本業先の企業が副業先の就業に関して、何か事後措置を命ずることも、これまた難しいと思います。
この点は、先ほど漆原委員からも御指摘のありました雇用・非雇用のときに、特に当てはまる問題だと考えます。したがって、この安衛法上の措置に関しては、見直しを行うことは必要ではなく、むしろ、現行のガイドラインの中で、必要なものを見直していくことで検討することが適当ではないかと思う次第です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。三柴委員お願いします。
 
○三柴委員 詳細はこれから詰めていくことになるだろうとは存じますが、ただ、これまで出されているこの課題についてのペーパー等を見ていると、安全衛生法政策特有の課題がまだ拾われていないということです。要するに、もっとこの分科会で議論しなければいけない課題があると感じております。
つまり、安全衛生政策の特徴は、その事業やその事業場特有のリスクに対応することが基本であると、そのような意味で、広い意味での経営課題とも言えると思います。ただし、以前に重視していた課題、例えば、アスベストにばく露して中皮腫にかかるのを防ぐなど、そのような伝統的な課題から作業関連疾患なども拾うようになってきた。深さと幅が出てきた。少し専門的な言い方をすると、技術的な課題から社会的な課題にだんだん触手が広がってきたという経過があると思います。
つまり、技術的な課題から労働時間や過労など、働き方や生き方そのものに関わるような問題にどんどん幅が広がってきているということです。そのことを前提に、こうした新しい課題に対応しようとすると、1つには、これまでは事業場単位で規制してきたもののうち、適当なものについては、複数の事業場を跨いで、複合的に捉えないといけないことがあります。もう1つは、雇用であるかどうかということだけに捉われず、社会的なセーフティネットをどうするかという、そのような視点も必要であろうと、ドイツなどでは、雇用類似、労働者類似の問題は、経済的な非独立性などの面を捉えて、しかし労使で対応しようとの動きもありますので、そのようなことは意識しないといけないと思います。
最後に、さはさりながら、経営側の委員の先生がおっしゃるように、シンプルに規制を構築していかないと守れなくなってしまうので、そこも意識する必要があると考えております。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。砂原委員お願いします。
 
○砂原委員 幾つか述べたいと思います。まず、②の兼業・副業者の労働時間の把握についてです。先ほども意見が出ておりましたが、事業主が兼業・副業先の労働時間を把握することは難しく、事業主に労働時間把握を求めても、現実問題、把握できないと思います。
それから、企業間で労働者の労働時間を共有するのは、先ほども出ていたように、個人情報の問題もあり、難しいため、事業主による副業・兼業先での労働時間把握は自己申告とならざるをえないと思います。そして、そのときに就業上の措置をどのような形で出すのか。先ほど、産業医が言及できるのは自社の労働時間部分のみという話もありました。これらを踏まえ、どのような対応が可能かと考えると、余り選択肢はないと思います。とにかく、今、三柴委員からの意見にもあった通り、ルールをできるだけシンプルにして、事業主・労働者とも実施可能な内容でまずスタートさせることを考えるべきだと思います。
④の労働者本人による健康管理については、先ほどPHRの話でもありましたが、医療保険との関係もよく考えて、何か方向を考える必要があるのではないかと思います。副業・兼業で複数の事業主が存在するようになっても医療保険は1つだけとなるはずなので、自己保健義務をきちんと使いながら医療保険者の役割と、事業主が健康確保措置としてやるべきことを整理して、保険者がやるべきことをせいせいと実施することでおおむね解決し、就労による付加部分のみを事業主が考えればいいように仕組み作ることで、労働者が健康に過ごしていける形になればいいのではないかと考えますので、そこも申し添えます。以上、意見です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかございますか。漆原委員、お願いします。
 
○漆原委員 今、三柴先生から雇用類似の話がありました。雇用類似の働き方は、契約上「非雇用」にされているわけですが、契約上は非雇用であったとしても、その実態が雇用労働だったということが分かった場合に、例えば、労働時間の通算で言えば6か月間、過去を遡って労働時間をチェックしたうえで通算するのかということをお伺いをしたいと思います。また、副業先、兼業先の事業場が雇用契約でも、その事業場で適切に労働時間が管理されていなかった場合の通算はどうなるのかもお伺いしたいと思います。健康確保措置をするうえでの合算については、雇用類似の働き方とされる非雇用の契約だったとしても、就労の実態が雇用であれば合算されるという理解でよいかという確認を、改めてさせていただきたいと思います。
それとは別件ですが、この資料では本業・副業ということは記載されていませんが、大多数の労働者は、本業をしていて、さらに副業を探すのではないかと思います。ただ現在のハローワークの求人票では、副業・兼業を希望する労働者が、副業・兼業先として求人票を出している会社に雇用してもらえるのか、あるいは、本業の企業から「副業は何十時間未満」として認められた場合、求人票の企業での労働時間が、その上限以内に収まるのかどうか、といったことは現在の求人票を見ただけでは分かりにくいと思います。そうしたハローワークの情報が整備されていないことには、副業・兼業の就職活動がスムーズに行えないだけでなくて、仮に就職後に競業避止規定などがあった場合、そういった事実をその後に知ったとすれば労働者にとってもリスクになりかねず、一歩間違えれば、本業と副業両方の雇用に影響が出てしまう。
そこで、政府として副業・兼業を推進していくならば、まずはハローワークの求人票に副業・兼業に関する情報を登録するようなシステム改修が、そもそも必要ではないのでしょうか。そうしたシステム改修により、例えば週20時間未満の仕事も探せるようになり、本業企業にとっては、労働者の健康管理にも資するのではないでしょうか。仮に、上限週20時間までの副業・兼業を認める本業の企業があったとして、副業・兼業先の企業が、求人票では週20時間未満と記載してあったにもかかわらず、実際は週20時間を超える業務に常に従事させ、結果として労働者が長時間労働のため健康に影響が出た場合、契約を超え働かせた「副業・兼業先の責任」になるという考え方でよいか、についてお聞きします。
いずれにせよ、求人票の段階で副業・兼業先についての情報がわかることが重要です。それは、本業の企業にとっても、労働者にとっても、就職の段階から分かりやすいので、労使ともメリットがあると考えています。ただ、この分科会で結論が出せないとすれば、また別の場で検討することが重要ではないかと思います。
パートの掛け持ちとか、短時間で働く労働者が複数の就業先で働くことは、全体として長時間労働になっていないのであれば、健康管理の観点からは問題ないのかもしれません。また、9時から17時まで週5日就労し、残業がない正規労働者の場合も、一般的に健康を害さない範囲内で副業・兼業を行っていくのであれば問題ないのかなと思っています。我々が注意しなければいけないのは、恒常的に残業がある労働者で、その方が副業・兼業をしてしまうと合計100時間になってしまう場合については、必要な制限をしていくとか、グラデーションを付けた対応が必要ではないかということで、労働者として一律に副業・兼業を禁止せよと言っているのではないことをこの場で改めて発言させていただきたいと思います。
 
○城内分科会長 ここまでで、事務局から何かありますか。
 
○小宅計画課長 御意見として頂いたものについては、また踏まえて検討させていただきたいと思います。皆さんの御意見で深まっていったところもあるかと思いますので、踏まえていきたいと思います。御質問のような形で頂いた点が何点かあったかと思います。その点についてお答えしたいと思います。漆原委員から、契約上は非雇用のような形だけれども実態を見ると労働者ではないかという場合について、どうなのだという御質問があったかと思います。実態としてということであれば、それはもう労働者として労働法規が適用されることになります。例えば、監督署に御相談があったということであれば適切に対応して是正が諮られる。遡ってということがありましたが、そういったことも含めて適切に是正がなされるかと思います。
それから、健診について、時間を合算して今後やっていくべきではないかというお話があったかと思いますが、それは、そういう御議論の提案があったということで、私から良い悪いということは差し控えますが、そういう御提案があったのかということで受け止めさせていただければと思います。
それから、求人票を見てもちゃんとそこでできるのかという問題提起がありましたので、それは持ち帰りまして関係部署と相談させていただければと思います。また、副業・兼業の定義について要るのではないか。それから、この分科会を超えるような問題を含むのであれば、また別途の場でということがありました。今時点の安全衛生法においては、先ほど申しましたように、本業、副業で対応が変わることは制度上はないのかと思いますが、今後の話としてそういうことが出てくるのであれば、当然、それはこの場で議論する必要があろうかと思います。また、具体的な話としては求人票のようなことでしたが、これも一般的な話ですが、それぞれの制度趣旨とか、制度の仕組みにおいて対象の範囲が変わることはあり得る話で、具体の制度に応じて決まってくる部分がありますが、統一的なものが必ず必要かということになると、それはちょっと分からない面はあるのですが、少なくとも、各施策において齟齬が出ないように各制度ごとにはカチッとしていなければならないのかとは思います。
逆に言うと、余りにも、何て言うのでしょう、先ほど、労働者の状況に応じて規制の在り方など一律であることを別に求めているわけではないというのが最後にあったかと思いますが、逆に、変に一律な定義を最初に置いてしまうことによって各制度がうまく機能しなくなってしまうような危険性もあるのかもしれませんので、ちょっと今、具体的な話は求人票の話だったかと思いますが、その他にもいろいろな議論が、もしも出てくるようであればそういったことが課題になるのかもしれませんが、具体にそういうことが大きな課題になった段階で考えていく必要がある事項かなということです。
 
○城内分科会長 そのほか、御意見等ありますでしょうか。中村委員、お願いします。
 
○中村(恭)委員 論点の②の関係で、副業・兼業をしている者の労働状況の把握についてどう考えるかということです。この点での主に労働者の自己申告というところですが、労働者の立場から言わせると、職場環境において、労働者の自己申告がしやすいような職場であるならばいいとは思うのですが、なかなか全てがそういった職場環境ではないのではないかというのも感じているところです。そうなると結果として、本業の事業主が労働時間の適正管理ができない。その後の安全配慮義務にも影響しかねないのではないかという危惧があります。事業主の労働時間の把握の方法の中心が、労働者の自己申告ということに仮になったとしても、やはり政府として、把握の方法、具体的な例示とか、客観的なものに基づいて、このようなことで把握できるのではないかというところを示していかないと、全て労働者の自己申告というところでやるのは非常に危険があるのではないかと思っております。事務局等の中で、何か検討していることがあれば教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
○城内分科会長 そのほか、御意見。袈裟丸委員、どうぞ。
 
○袈裟丸委員 ③の産業医がほかの事業場における労働の改善について勧告等を行うことについてに関して、まだ労働者側で具体的にこういう枠組みがいいのではないかとかそういうのがあるわけではないのですが、事業者に副業・兼業を申告した労働者がいる場合に、例えば、本業と副業・兼業先両方ともに産業医がいらっしゃるような所であれば、その産業医間で連携を取ることで、それぞれの事業場における必要な対応につながるという環境整備ができないのかなと考えています。ただ、そうなると、50人未満の事業所はまた別途検討していく必要があるかと思いますが、何かしらそういう連携を図っていくようなことを少し検討してはどうかなと考えております。
 
○城内分科会長 門﨑委員、どうぞ。
 
○門﨑委員 14ページの③で、副業・兼業をしている労働者についてですが、15ページ以降の検討報告会で示されていますように、自己申告により把握することを中心に、通算した労働時間を勘案して健康を確保するための必要な措置を講ずる、というのはそのとおりだと思うのです。それには、ガイドライン等において、副業・兼業をしている労働者の健康管理については、いわゆる、副業・兼業は結果として長時間労働になるのだよと、適切な配慮が必要なのだよ、ということを明記した上で、健康診断の受診であるだとか、ストレスチェックの実施、そういう安全配慮義務を果たすような重要なポイントの具体的対策の例示がガイドラインにあれば現場も分かりやすいのではないかとも感じます。
今、ガイドラインという話をしたので⑤についても少しお話をしたいのですが、副業・兼業先ということで、労働時間を通算するということで、それは当然いいのですが、前回の企業調査結果にあったように、非雇用であれば、通算対象でないため企業による副業・兼業の許可を必要としない、ということになると、言い方があれですが、本来であれば、雇用労働者として従事すべきところを、あえて非雇用として募集、求人をして非雇用として従事させるということで、言い方が悪いですが、偽装の請負だとか、若しくは、そういうのが副業・兼業の拡大を通じて広がることがやはり懸念されるのかなと思いますので、これにも法改正だとか制度の見直しが必要ではないかなという感じはあります。仮にガイドラインでやっていくということであれば、例えば、言い方は別としても、偽装請負だとかに対する効果的な監督行政だとか施策を実施することが不可欠だと思いますので、それ以外に効果的な選択肢があるとすれば、事務局からどういう考えがあるかを具体的に教えていただきたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。矢内委員お願いします。
 
○矢内委員 労働者本人による自己管理に関してです。先ほど、労働者自身が選んだのでそれは自身の義務ではないかという発言もありましたが、それだけではなく、やはり現場にいると、③の部分、事業主がその方の背景や仕事以外の情報を得るのは非常に難しいのが現状です。やはり正しい情報をもっているのは御本人だと思うので、自己申告のルートは重要です。また、自己申告する力も自己管理の1つだと思います。先ほど中村委員からも発言がありましたが、会社も自己申告をやりやすくする対策は必要かと思います。それプラス、副業・兼業をせざるを得ないような方たちが、きちんと相談する力を持つことと、相談する場所があることが必要なのではないかなと感じております。三柴先生からありましたとおり、何かそういったセーフティネットみたいなものも併せて考えていかなければいけないのかと思います。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか御意見ありますか。増田委員、お願いします。
 
○増田委員 産業医の意見に基づいて就業上の措置を講じるのが健康確保措置のコアになる部分だと思うのですが、副業・兼業の場合は、往々にして、労働時間を減らしてくださいという意見、これに尽きてくるのではないかと思います。そうなりますと、働くことができる時間が減ることになる、それに伴って収入が減ることになる。それが労働者の不利益だということになるのであれば、やはり従来からの仕組みはうまくいかないだろうと思います。健康確保措置が労働者の不利益取扱いだと取られるのであれば、そもそも幾ら制度を整備したところで、その制度を使おうと希望する労働者は出てこないことも起こり得ると思いますので、そもそも既存の枠組みでこれは対応できる問題なのかと思っています。その辺りの議論も今後できたらいいのではないかと、今までの委員の先生方の御議論を聞いていて思った次第です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか御意見ありますでしょうか。佐藤委員、お願いします。
 
○佐藤委員 2点申し上げたいと思います。1点目は14ページ③の所の上から2つ目、事業主が労働者に対して他の事業場との相談、その他の適切な措置を求めることを義務付けることについてに関してです。事業主、労働者、副業・兼業先の三者がいるとしまして、事業主から労働者に指示ということになるのか分かりませんが、とにかく、労働者が副業・兼業先に措置を求めました、伝えましたで、実行性が確保できるのかなという気がしております。事業主、労働者が求めることと、副業・兼業先が適切な措置を講ずることがセットというか、一連の流れとなってこの例では実行性が出るのではないかと考えております。したがって、ここはむしろこの措置をとるのであれば、副業・兼業先に対し、労働者から適切な措置を講ずることを求められた際は、実施する旨を義務付けるべきではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。
それから2点目です。縷々、労働側の委員から申し上げておりますように、労働側としては、労働時間の通算を含め、本業の事業場において適切な健康管理に資する情報、必要な情報を集める方策について検討を開始する必要があるのではないかと考えております。もちろん、労働者本人の合意を得た上でということですが、本業の事業場に副業・兼業に関する必要な情報を集めることができないのかということです。例えば、ハローワークなどではマイナンバーを情報として登録していると思います。労働時間は登録されていないとしても雇用期間などは把握できると思います。所管や省庁を超えた対応になるのかもしれませんが、副業・兼業においても、こうした情報を何らか活用していくことはできないのかという気もしております。繰り返しになりますが、例えばということでマイナンバーの話をさせていただきましたが、このような方策についてどこかの場で御検討をお願いしたいということを意見として申し上げたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか、ありますでしょうか。ここで事務局から、今までの御発言で。
 
○小宅計画課長 自己申告しやすいような状況が必要だ、自己申告のほかにも把握の仕方はいろいろあるのではないか、何か事務局で考えられるものがあるか、という御質問があったかと思います。現行でも、ある程度客観的な方法でということで、事業主が目視というのも変ですが管理する、それから、パソコンの起動等で確認する。それから自己申告で確認するということがありますので、自己申告以外にも、現状でもある程度の幅を持って実務上やれそうな手法もお示ししているところかと思います。それから、幾つか問題提起ということでしたので、そこはかなり大きなお話もありましたので、引き続き議論していかないとなかなかすぐには解決しないいろいろな御提起もあったのかと思います。
それから、偽装請負のようなものが、非雇用についても、通算して健診とかの対象にしないと偽装請負のようなものが発生してしまうのではないかということがあったかと思います。これについては、今時点においても、当然偽装請負というのは実態としては雇用だということになりますので、御相談なり、あるいは監督署が行って見つけるなり、そこは是正させるということですので、きちっと守っていただく方向での対応に努めていくべきかと考えております。
それから、相談しやすい環境作りということで幾つかありました。現行のガイドラインでも労働者が管理するということが書かれてあるわけですが、そういった視点も重要かと受け止めました。
それから、検討会報告の例示の選択肢として、使用者が労働者に副業先に措置を求めることを義務付けるのを仮に取るのであれば、先の企業についての応諾義務というのが必要ではないかということがありましたが、この辺は、検討会報告で例示としてあって、その他に、実際にやるに当たっての問題点ということもありましたが、その辺とトータルで議論していただく大きな話かなということです。
それから、さらに、ハローワークでマイナンバーを通じて勤務時間を把握してというところは、勤務期間との関係で、それが安全衛生法の適用とどういう関係があるのかという点については、また詳しくこういう点を話していただいた上でということでお願いしたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。鈴木委員、お願いします。
 
○鈴木委員 労働側委員から幾つか重要な御指摘があったものと受け止めております。例えば、産業医双方の連携が取れないかという御指摘ですとか、あるいは、労働時間以外の情報で情報共有ができないかという御指摘があったかと思います。素朴な感想として、これが本当にできるのかというところが少し心配であり、そこまでのことを十分ふまえて考えないといけないと思っております。先ほどの議論ともつながるのですが、本業先と副業先の企業のその方の過重性が何対何なのかというのが判断できるのかということですとか、そうするために何かルールを作るに際し本当に可能かということですとか、あるいは、事後措置として、本業先ではこうする、副業先ではこうするという事後措置の分担ができるのかというところの問題はとても深く、慎重に考えないといけない問題ではないかなという印象を持ったところです。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。だんだん時間も少なくなってきましたが、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。漆原委員、どうぞ。
 
○漆原委員 今までの議論とはちょっとまた毛色の違うところなのかもしれませんが、今回、企業調査と労働者調査を、この副業・兼業について、雇用によらない働き方も含めて行っていただきました。今後、副業・兼業をする労働者が増えてくるとすると、厚労省が毎年行っている労働安全衛生調査の中で、健康管理の観点から副業・兼業をしている人の動向も、できれば把握をお願いしたいと思います。例えば、副業。兼業の申告をした人数とか、申告した労働者の労働時間などの項目もその中の調査の1つとして考えられると思います。そうしたデータを基に、副業・兼業をしている人の労働者の労働実態を、今後、継続して把握していくことも重要ではないかと思っているところです。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。三柴委員、どうぞ。
 
○三柴委員 無理があればもう御放念いただきたいのですが、実態調査をされるときに、副業・兼業等を行った者の職務満足感というのを調べられないかなと。要するに、健康障害だけではなくてプラスの面を測っていただくことはかなわないのかと、これは御提案です。もしかなうのであれば、年収との相関も取れるといいのかもしれないとは思います。失礼しました。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかよろしいでしょうか。今のコメントについて、事務局からありますか。
 
○小宅計画課長 調査について2つあったかと思います。調査の仕方も、なるべく事業者の、調査対象者の負担にならないようにという観点から、統計法に定めるようなものは余り広げることができないこともありますし、関心事項を絞ってやらざるを得ない面もありますので、そこは、そういう御指摘があったことを踏まえつつやりたい。そのほかに、随時の委託調査のような形もあろうかと思いますので、そういうものとの組合せでどこまでできるかと考えていったらいいのかということです。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。そろそろ時間にもなりましたので。ありがとうございました。これで全ての議題を終了しました。本日も、長時間にわたり熱心に御議論いただきありがとうございました。事務局では、次回に向けて、また論点の整理等をよろしくお願いしたいと思います。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
 
○小宅計画課長 次回については、また日程調整の結果を御連絡させていただければと思います。
 
○城内分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は漆原委員、使用者代表委員は鈴木委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。