第97回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和2年7月31日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 

○阿部部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから「第97回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。

 議事に先立ちまして、雇用対策基本問題部会の委員に交代がありましたので御報告させて頂きます。まず、使用者代表の清家委員と穂岐山委員が御退任されております。退任されたお二人の委員におかれましては大変お世話になりました。部会を代表して感謝申し上げたいと思います。

 続きまして、新たに就任された方を御紹介いたしますので、一言御挨拶を頂ければと思います。日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹の新田委員でございます。

○新田委員 経団連の新田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。続きまして、全国中小企業団体中央会常務理事の中澤委員でございます。

○中澤委員 全国中央会の中澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況について御報告をいたします。公益代表の桑村委員、勇上委員、労働者代表の小林妙委員、使用者代表の志賀委員、吉村委員、若鶴委員が御欠席ということです。なお、志賀委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部担当部長の杉崎様にお越しいただいております。

 それから、岸本大臣官房審議官は諸用のため途中からの御参加と聞いております。また、小林職業安定局長、岸本大臣官房審議官、弓雇用政策課長は諸用のため途中で退席と伺っております。

 早速ですが、本日は議題1、議題2、議題3とありますが、まず議題2から始めたいと思います。議題2「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令について」です。事務局より説明をお願いいたします。

○雇用政策課長 雇用政策課長の弓でございます。議題2につきまして私から御説明申し上げます。

 まず、資料7をお開きいただければと思います。「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部を改正する法律の施行に向けた主な検討事項」というものでございます。

 こちらに省令事項としまして3つ挙げさせていただいています。1つ目が、正規雇用労働者の中途採用比率の公表の方法(公表の手段、頻度、また対象となる事業年度の期間)ということです。2つ目が、正規雇用労働者の中途採用比率の公表の対象となる通常の労働者に準ずる者の範囲ということで、3つ目が新規学卒等採用者の定義規定に関する事項でございます。後ほど詳しく御説明してまいります。

 資料8を御覧ください。資料8-1が、労働施策総合推進法改正の内容についての概要となっております。中途採用に関する情報公表についてというものでございます。

 こちらについて改めて簡単に触れさせていただきます。改正の趣旨でございますけれども、人生100年時代において職業生活の長期化が見込まれるという中におきまして、労働者の主体的なキャリア形成による職業生活の更なる充実や再チャレンジが可能となるように、中途採用に関する環境整備を推進していくということ、2つ目の○ですが、中途採用に関する情報公表を求めることにより、企業が長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況を明らかにするといったことによりまして、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進していくというものでございます。

 改正の内容の所ですが、301人以上の大企業に対しまして、正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働者の中途採用者数の割合の定期的な公表を義務付けるといったものでございます。

 具体的には、資料8-2に法律の新旧対照表がございます。こちらの5ページまでスクロールしていただきますと、改正の内容が規定されております。

 こちらでは、先ほど冒頭に申し上げました省令における御検討いただく事項と併せて御紹介させていただきます。第27条の2に、「常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより」とございます。「労働者の職業選択に資するよう、雇い入れた通常の労働者及びこれに準ずる者として厚生労働省令で定める者の数」となっております。

 先ほど、法律の概要の部分におきましては、正規雇用労働者という形での文言となっておりまして、部会におきましても、正規雇用労働者の採用者数の公表ということについて御議論を頂いたところでございます。ただ、法律上の規定としましては「正規雇用労働者」という文言が使えずに、「通常の労働者」という規定になります。こうなりますと、雇用期間の定めのない方のフルタイムの方という形になり、正規雇用労働者の範囲が限定されてしまうということで、「及びこれに準ずる者として厚生労働省令で定める者」という規定が置かれているといったものでございます。

 その後、「に占める中途採用」として括弧書きがございまして、括弧書きを飛ばしますと「により雇い入れられた者の数」となっております。この「中途採用」の後の括弧の中ですが、中途採用を規定するに当たって、新規学卒等採用者を規定することによって、それ以外の雇入れをいうという規定の仕方をさせていただいています。新規学卒者等採用者につきましては、「学校教育法に規定する学校その他厚生労働省令で定める施設の学生又は生徒であって卒業することが見込まれる者その他厚生労働省令で定める者」ということで規定をさせていただいており、この内容について御審議をお願いするといったものでございます。

 また、法改正に当たりまして、審議の過程で附帯決議がございました。そちらについても紹介させていただきます。資料8-3が衆議院の附帯決議、8-4が参議院の附帯決議でございまして、いずれも抜粋になっています。8-42枚目、縦書きでございますけれども、22という枠囲みがございます。こちらで紹介させていただきます。

 22としまして、「大企業における中途採用比率の公表に当たっては、企業の実態や入社後のキャリアパス等の情報も中途採用を目指す労働者にとって有益であることから、様々な情報を総合的に公表しやすくするための支援を検討すること」、ここの部分につきましては衆議院の附帯決議も同様でございます。

 「また」以下が参議院の附帯決議として追加されている部分となっております。「また、中小企業においても大企業に義務付ける項目と併せてその他有益な情報の公表が自主的に進むよう支援を行うとともに、政府機関においても中途採用に関する情報の公表の在り方等について検討すること」となっております。最初に、政府機関の部分について御説明させていただきますと、今回の労働政策総合推進法の公表義務につきましては、民間企業において公表を義務付けるものでございます。ただ、政府機関につきましては、内閣人事局や総務省の方には今回の改正内容について適宜情報提供させていただいておりまして、こちらの方で前向きに御検討いただいているといったところでございます。

 そのままスクロールしていただきますと、8-5、法改正に当たっての審議会での御議論の中で建議として頂いた報告書の抜粋を付けております。スクロールしていただきますと、報告書の中途採用に関する部分を抜粋したものが付いております。下に付いているページで6という所に、中途採用に関する情報公表についてという部分がございます。こちらの2、公表項目についてという部分ですが、「情報公表を求める項目については、正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働者の中途採用者数の割合とすることが適当である」ということ、こちらが法改正の内容になっておりまして、「また」としまして、「経年的に企業における中途採用実績の変化を把握するため、直近3事業年度の割合を公表することが適当である」としまして、3事業年度の公表ということにつきまして、御審議の報告書の中で触れていただいているといったものでございます。

 また、その下の、公表方法についてですけれども、「情報公表の方法については、企業のホームページなどの利用等により、求職者が容易に閲覧できる方法によることが適当である」といったことでございまして、公表方法についてもこういった方向性を頂いているといったものでございます。

 その下の4、支援策についてです。今回の省令事項につきましては、法改正の内容について具体的に記載していくということでございますので、支援策については予算措置等で実施させて頂くことを検討しているものです。先ほど御紹介しました附帯決議で触れられている支援策につきましては、こちらの報告書でも触れていただいているところでございます。

 4の支援策についての(1)ですが、中途採用比率の公表のみならず、企業における職場情報の自主的な公表が進むように支援を行うことが適当であるといったことが記載されておりまして、2つ目の段落の「このため」以下ですが、例えば中高年齢者や就職氷河期世代等の定量的な情報であったり、中途採用に関する企業の考え方、キャリアパス・人材育成・処遇等といった定性的な情報の公表が進むように支援することが適当であるといったことです。

 「また」以下でございますが、「中小企業についても、大企業に法的義務を求める項目と併せて他の情報の公表が自主的に進むよう、支援を行うことが適当である」ということで、こういった建議で頂いた報告書、また附帯決議で頂いた内容に沿った形で、施策のほうを推進してまいりたいと考えているものです。

 次に、資料9を御覧いただければと思います。こちらには施行規則改正の具体的な内容について記載しております。

 2の検討内容を御覧ください。(1)情報公表の方法等でございます。こちらは、おおむね1年に1回以上、公表した日を明らかにして、直近の3事業年度についてインターネット利用その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるように行わなければならないこととするとしております。

 (2)通常の労働者に準ずる者ですが、通常の労働者に準ずる者として厚生労働省令で定める者は、短時間正社員(期間の定めのない労働契約を締結している労働者であって、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ、通常の労働者と同等の待遇を受けるものをいう。)とすること」としております。

 (3)(4)につきましては、先ほど申し上げました中途採用者ではないという、中途採用者を規定するときに必要となる新規学卒者の規定の際に定める施設についてでございます。まず、学校又は厚生労働省令で定める施設という規定がございまして、そちらの施設については(3)で専修学校とするということを規定しています。

 (4)は新規学卒者に準ずるものに関する規定として、厚生労働省令で定める者につきましては、マル1として公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校の行う職業訓練を受ける者であって修了が見込まれる方としております。マル2ですが、マル2のaは学校又は専修学校を卒業した方、bは職業能力開発施設等の訓練を修了した方で、abについては既卒の方をここで定義しています。cdは卒業見込みの方も含むのですが、cは各種学校に在籍される方で卒業見込みの方又は卒業された方、dは外国の教育施設に在学される方で卒業が見込まれる方又は教育施設を卒業した方というものでございます。

 こうした規定につきましては、青少年の雇用の促進等に関する法律等におきまして、新規学卒者についての定義が省令で定められている部分があり、そちらを前提とした規定の仕方となっているところでございます。

 (5)その他としまして、この省令につきましては令和341日から施行するといったことを規定しているところでございます。私からの御説明は以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして御質問や御意見等がありましたら御発言をお願いいたします。特段よろしいですか。杉崎代理、お願いします。

○志賀委員代理杉崎氏 中小企業に対する支援に関して、今回の中途採用の公表に関しては大企業が対象ではあるりますが、中小企業は中途採用比率が非常に高く、人材確保に当たっては主たる手段になっています。

 そうした中、中途採用で年間約50万人程度が大企業から中小企業に労働移動しているようなデータもあります。今回の措置である大企業の情報公表の措置によって、中小企業の人手不足を助長してしまうようなことが懸念されます。

 したがいまして、中小企業の中途採用がより一層円滑に進むよう、具体的な支援策を講じていただきたいと思っています。以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございます。事務局、何かありますか。

○雇用政策課長 今般の法改正による法律上の義務付けにつきましては、大企業のみという形にはなっておりまして、中小企業におきましては既に中途採用が活発であること等から、大企業における公表の義務付けというものでございます。

 ただ、先ほど附帯決議や報告書の内容としても御紹介させていただいたとおり、支援策につきましては大企業に限定することなく、中小企業の自主的な公表含めて支援するといった御議論を頂いているものですし、私どももそういった方向で実施してまいりたいと考えているところでございます。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。それでは、ほかに御意見や御質問等がないようでしたら、議題2は以上にさせていただきたいと思います。

 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の改正」についてですが、今後パブリックコメントを行い、最終的な案を厚生労働省から諮問していただき、議論していただくこととしたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい、ではそのようにさせていただきます。ありがとうございます。引き続き、事務局におかれましては、御対応のほどよろしくお願いいたします。

 ここで、小林局長と弓雇用政策課長は退席されます。

 続きまして、議題1に戻りまして、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令および告示について」に入りたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長の宮本です。私から資料について御説明申し上げます。雇用保険法等の一部改正については、昨年1225日の労働政策審議会における建議に基づいて、先の通常国会に法案を提出し、本年331日に成立、公布されたところです。本日は改正法のうち、令和341日の施行となる高年齢者雇用安定法及び労働施策総合推進法の改正に関して、省令の改正等の施行に向けた検討の内容をそれぞれ御説明いたします。

 なお、本件につきましては、今月22日の職業安定分科会において、当部会で具体的内容を御議論いただくことについて了承されております。当部会での議論の後、パブリックコメント等の必要な手続を経た上で、要綱案等を諮問させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず高年齢者雇用安定法の関係について資料の順に御説明いたします。まず、資料1です。こちらに主な検討事項をまとめております。それぞれの具体的な内容は後ほど御説明させていただきますので、概要にとどめますが、省令の一部改正事項については、マル1からマル4に掲げていますように、法律において省令で定めることとされている事項についての規定の整備、様式の改正を行うものです。

 告示事項としましては、高年齢者の雇用、就業に関する目標や施策の基本的な考え方を示す高年齢者等職業安定対策基本方針について、全文改正を行うとともに、改正法により新たに設けた高年齢者就業確保措置について、資料に記載しているような留意点等を主な内容として、その実施及び運用に関する指針を新たに策定するものです。

 続いて、資料2です。こちらに改正法に関する資料をまとめております。資料2-1が改正法の概要です。資料2-2は新旧対照条文です。内容については既に御案内のことと思いますが、資料2-12ページ及び3ページに、改正の内容をまとめております。2ページの下に図がございますので、こちらを御覧ください。今般の改正によりまして、65歳から70歳までの高年齢者就確業保措置を新たに事業主の努力義務といたしました。この措置の内容としては、マル1定年引上げ、マル2継続雇用制度の導入、マル3定年廃止といった雇用による措置に加えて、創業支援等措置として、過半数組合等の同意を得た上で、マル4継続的に業務委託契約を締結する制度、マル5社会貢献事業に継続的に従事できる制度を導入することも選択肢に付けたところです。

 また、高年齢者就業確保措置を設けることに伴いまして、3ページですが、その他の改正内容として4点まとめているとおり規定を整備いたしました。これらの改正事項を円滑に施行するために必要な内容を、省令及び告示において定めてまいりたいと考えております。

 それから、資料2-312ページです。資料2-415ページです。これは、それぞれ衆議院及び参議院の厚生労働委員会における附帯決議です。それぞれ、高年齢者雇用安定法関係で多くの事項が盛り込まれております。例えば創業支援等措置に関しては、資料2-4の参議院の附帯決議の16ページから18ページに掛けてですが、16ページの五の部分の最後の行に、「以下の事項を指針等で明確にすることを検討し」とございます。そして、次のページからの1から7までに項目が掲げられております。事業主が創業支援等措置を講ずる場合に、どういった点を考慮したり配慮したりすることが望ましいのかといった内容となっております。後ほど御説明する指針において、これを十分に踏まえて検討しているところです。

 さらに資料2-5に、昨年12月に取りまとめていただいた建議がございます。建議においても、29ページですが、(3)のとおり、措置の対象者を限定する場合に、労使で合意が図られることが望ましいことや、次の(4)ですが、(4)のとおり労使の間での話し合いに関することについて、それぞれ指針に明示することが適当であるとされておりましたので、これらについても検討に盛り込んでいるところです。

 それでは、省令及び告示のそれぞれの詳細について、御説明を進めてまいります。まず、省令改正の検討内容です。資料3に関係資料をまとめております。まず、3ページからの資料3-2「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の改正内容の検討について(詳細)」という資料を御覧ください。2の検討内容について、順に御説明申し上げます。

 (1)については、高年齢者就業確保措置の対象者を事業主が雇用する高年齢者であることを法律において規定しておりますが、特殊関係事業主により65歳まで継続雇用されている労働者については、60歳まで雇用していた事業主において措置の対象とすることとし、特殊関係事業主においては措置の対象としないように除くよう、省令で定めるものです。

 (2)創業支援等措置の実施に関する計画については、マル1のとおり、計画を作成して、過半数組合等の同意を得るものとすることを定めまして、マル2に列挙している事項を記載事項として定め、4ページにまいりますが、マル3のとおり、同意を得た計画の労働者への周知方法を定めるものです。

 (3)については、(2)の計画の同意について過半数組合がない場合に過半数代表者を選出いただく際の手続等を定めるものです。他の労働関係法令における規定と同様の内容としております。

 (4)です。創業支援等措置において、個人で事業を開始した高年齢者本人と事業主の業務委託契約を締結する場合のほか、高年齢者が法人を設立して事業を開始し、その法人と事業主が業務委託契約を締結する場合も含むように省令で定めるものです。

 (5)です。事業主に対して、厚生労働大臣が必要と認め、高年齢者就業確保措置の実施について指導及び助言をしたものの、状況が改善しない場合に、措置の実施に関する計画の作成を勧告できることを法律で定めております。その計画の記載事項や勧告を文書で行うこと、及び計画をハローワークに提出しなければならないことを定めるものです。

 5ページです。(6)です。現在、45歳以上65歳未満の解雇、その他の事業主都合等による離職者を対象としている再就職援助措置について、その対象範囲などについて、70歳までの高年齢者就業確保措置が努力義務となったことに伴う規定の整備を行うものです。省令の規定が一見複雑なものとなりますので、12ページに資料3-5を用意しております。

 資料3-5ですが、上に現行、下を改正後としております。現行については、年齢は65歳未満で、離職理由については、右上の枠の中にございますが、解雇、経過措置に基づく継続雇用制度の基準に該当しなかったことによる離職、その他事業主の都合による離職のいずれかの場合に対象となります。

 これを改正後、左下の赤字の部分になりますが、年齢については70歳未満とすること、右側ですが、マル1の現行と同様の離職理由に加えて、マル2の70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務が達成されていないことによる65歳以上70歳未満定年や、措置の年齢の上限に達したことによる離職の場合も対象となるよう、規定の整備をするものです。

 5ページにお戻りください。また、個別の資料は用意しておりませんが、再就職援助措置の努力義務を負う事業主について、他の事業主による継続雇用制度や創業支援等措置のあることを踏まえた規定の整備も併せて行うところです。原則として、再就職援助措置を実施するのは、措置の対象となる高年齢者を離職時まで雇用している事業主になりますが、例外として、例えば他の事業主による67歳までの継続雇用を導入して、67歳で離職する場合や、創業支援等措置の対象者についても、もともと雇用していた事業主において再就職援助措置の対象となるよう、規定を整備するものです。なお、再就職援助措置とともに、多数離職届についても同様の対象範囲とするものです。

 一方、高年法第17条に規定する求職活動支援書の作成、公布義務については、年齢は70歳未満としつつ、離職理由については現行から変更せず、解雇、経過措置による継続雇用制度の対象者基準に該当しなかったことによる退職、その他事業主の都合による退職とするものです。

 続いて、6ページです。(7)です。現在の省令においては、再就職援助措置の内容や再就職援助担当者の業務に係る基本的な事項について、過半数労働組合又は過半数代表者に意見聴取を行うことが規定されております。(3)の過半数代表者の選出手続等について、この場合にも準用する規定を設けるものです。

 (8)です。高年齢者就業確保措置の実施に関する指導等の厚生労働大臣の権限を、都道府県労働局長及び事業所所在地を管轄する公共職業安定所長に委任する規定を整備するものです。

 (9)及び(10)については、それぞれの様式の改正です。7ページの資料3-39ページと10ページの資料3-4が改正案の様式です。多数離職者届については7ページですが、65歳から69歳の欄を新たに設けるのみです。高年齢者雇用状況報告については、もともと65歳以降の措置を実施している場合にも、その旨を記載できる様式となっておりましたので、項目自体を追加する必要がございますのは、9ページのマル12とマル13です。その創業支援等措置の関係と、次の10ページですが、マル18とマル20で、65歳以上の定年到達者等の状況や対象者基準の適用状況の部分です。省令改正の検討内容は以上のとおりです。

 続きまして、基本方針の全部改正の検討内容について、資料4により御説明申し上げます。1ページ目の資料4-1に要旨をまとめております。平成24年当時に5年間の計画を策定して以降、ここ3年間は制度改正等の議論が行われておりましたので、順次期間を延長していただいたところです。この度、改正法が成立したことを受けまして改正するものです。

 具体的な検討内容については、2ページからの資料4-2に現時点の案、27ページ目からの資料4-3に現行と改正案の新旧対照表をそれぞれ用意しております。27ページ目からの新旧対照表を御覧ください。左側が改正案で、下線部がある部分が改正箇所となります。

 はじめに、1の方針のねらいについてです。現行と趣旨は大きく変わっておりませんが、3段落目の下から3行と次のページに掛けてですが、今般の法改正について言及しています。28ページの上から3分の1辺りにアンダーラインがあります。また書きとして、65歳までの希望者全員の雇用確保措置の導入に向けた取組についても盛り込んでいます。

 次に、2の方針の対象期間については、令和3年度から令和7年度の5年間とするものです。

 次に、第1の高年齢者の就業の動向に関する事項です。33ページまでに掛けて、1の人口や労働力人口の高齢化、29ページですが、2の高年齢者の雇用・就業の状況、さらに30ページから32ページに掛けて、3の高年齢者雇用確保措置や賃金の状況など、それから32ページからの4の高年齢者の労働災害の状況、5の高年齢者の就業意欲などがございます。それぞれについて、労働力調査をはじめとした国の統計のほか、高年齢者雇用状況報告の集計結果や独立行政法人労働政策研究・研修機構による調査などからデータを引用し、近年の動向をまとめています。

 次に、第2の高年齢者の就業の機会の増大の目標に関する事項です。33ページから34ページまでございますが、変更点は主に2点ございます。1点目は3段落目の「加えて」から始まるアンダーラインのある部分です。今般の改正法に基づき、70歳までの高年齢者就業確保措置が適切に企業において講じられるよう取り組む旨を追記しております。

 もう一点は34ページですが、結びの部分です。就業率の目標数値について、昨年6月に閣議決定されている成長戦略実行計画における目標と同じく、2025年までに65歳から69歳で51.6%以上としています。

 続いて、第3の事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項に関してです。1の事業主が行うべき諸条件の整備等に関する指針として、(1)募集・採用に係る年齢制限の禁止、35ページですが、(2)職業能力の開発及び向上、(3)作業施設の改善など、高年齢者の意欲と能力に応じた雇用機会の確保等のために努めていただきたい事項を盛り込んでいます。

 また、36ページからの2の再就職の援助等に関する指針として、(1)再就職の援助等に関する措置の内容や、(2)求職活動支援書の作成等の留意事項を盛り込んでいます。さらに、38ページの3の職業生活の設計の援助に関する指針として、(1)職業生活の設計に必要な情報の提供・相談等について実施していただきたい事項を盛り込んでいます。この第3の部分については、基本的に内容面の変更はございません。

 次に、39ページを御覧ください。第4の高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項については、雇用確保措置等の円滑な実施や高年齢者の再就職促進、地域における多様な就業機会の確保等の国の施策をどのように展開するかについてまとめています。

 1の高年齢者雇用確保措置等の円滑な実施を図るための施策の基本となるべき事項としては、指針の周知や指導等について、今般の法改正を踏まえた変更をしております。特に、40ページの(2)ですが、その後段において、高年齢者就業確保措置の実施に関する指導等について、新たに盛り込んでおります。制度の周知徹底を主眼とする指導・啓発を行うこと、好事例等の収集・提供に努めること、改正法の趣旨に反する措置については改善等のための指導等を行うこととしております。

 また、41ページの(3)継続雇用される高年齢者の待遇の確保として、いわゆる雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保や、高年齢者のモチベーションや納得性に配慮した能力及び成果を重視する評価・報酬体系の構築を進める事業主等に対する助成や相談・援助等。さらに次のページの41ページですが、法改正によって、令和7年度に段階的に縮小することとなる高年齢雇用継続給付の周知や処遇改善を推進するための支援等についても盛り込んでおります。

 42ページからの2の高年齢者の再就職の促進のための施策の基本となるべき事項としては、第3で御紹介しました指針の周知や、ハローワークにおける各支援の実施、助成制度の活用などについてまとめております。特に、43ページの(4)ですが、現在、全国300か所のハローワークにおいて、高齢求職者を重点的に支援している生涯現役支援窓口について、新たに盛り込んでおります。

 44ページからですが、3のその他高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項としては、地域における多様な就業機会の確保や職業能力開発、労働時間や安全衛生対策など、幅広く関係施策についてまとめております。

 特に、45ページから46ページに掛けて、(7)安全衛生対策において、先般当省で取りまとめましたガイドラインの周知等について盛り込んでいるほか、平成28年の法改正に基づく事項として、(8)ですが、シルバー人材センターに関する派遣及び紹介の場合の労働時間の緩和について盛り込んでおります。また、(10)に地方自治体が中心となった協議会の提案に基づき実施する生涯現役促進地域連携事業についても、新たに盛り込んでおります。基本方針の現時点の内容については以上となります。

 なお、資料4-4ですが、こちらについては今御説明した内容に関する具体的なデータや施策の概要をまとめた参考資料となっております。

 続いて、指針の新規策定について御説明いたします。資料5を御覧ください。1ページ目の資料5-1に要旨にまとめております。今般の改正により、事業主の努力義務とした高年齢者就業確保措置について、事業主がその実施及び運用を図るために必要な事項を定めるものです。検討内容は2の部分に列挙しているとおりです。

 2ページ目からの資料5-2に現時点の案、14ページ目からの資料5-3に現行の65歳までの雇用確保措置に関する指針との対比表を、それぞれ御用意しておりますが、14ページからの対比表を御覧ください。左側が今般策定する指針の案、右側が現行の雇用確保措置に関する指針です。下線部が内容が異なっている部分です。

 まず、第1です。ここにおいては、今御紹介したような指針の趣旨を記載しています。

 次に、第2からが具体的な内容に関する部分です。1の高年齢者就業確保措置においては、措置全般に係る留意点を中心にまとめております。冒頭の14ページから15ページに掛けての部分では、65歳から70歳までの安定した就業を確保するよう努めなければならない旨を明示しております。その上で、(1)から(4)に留意点を記載しております。

 (1)の努力義務への対応として、イにおいて、継続雇用制度に基づいて特殊関係事業主に雇用されている高齢者については、原則として、当該高年齢者を定年まで雇用していた事業主が高年齢者就業確保措置を講ずること。ただし、当該事業主と特殊関係事業主で協議を行い、特殊関係事業主が高年齢者就業確保措置を講ずることも可能であること。その際には、特殊関係事業主が高年齢者就業確保措置を講ずる旨を事業主間の契約に含めることとしております。また、ロですが、いずれかの措置により70歳までの就業機会を確保するほか、複数の措置を組み合わせることにより、65歳から70歳までの就業機会を確保することも可能であることとしております。

 続いて、(2)労使間での協議です。イにおいて、高年齢者就業確保措置のうちいずれの措置を講じるかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置が講じられることが望ましいこと。それから、ロにおいて、雇用の措置に加えて創業支援等措置を講ずる場合には、雇用による措置により努力義務を実施していることとなるため、創業支援等措置を講ずるに当たり、過半数労働組合等の同意を得る必要はないが、過半数労働組合等の同意を得た上で創業支援等措置を講ずることが望ましいこととしております。

 次の15ページのハですが、高年齢者就業確保措置のうち複数の措置を講ずる場合には、個々の高年齢者にいずれの措置を適用するかについて、個々の高年齢者の希望を聴取し、これを十分に尊重して決定することとしております。

 (3)対象者基準です。イにおいて、高年齢者就業確保措置を講ずることは努力義務であることから、措置の対象となる高年齢者に係る基準を定めることも可能とすること。ロにおいて、対象者基準の策定に当たっては、労使間で十分に協議の上、各企業等の実情に応じて定められることを想定しており、その内容については原則として労使に委ねられるものであり、当該対象者基準を設ける際には、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいこと。ただし、労使間で十分に協議の上で定められたものであっても、事業主が恣意的に高年齢者を排除しようとするなど、法の趣旨や他の労働関係法令に反する又は公序良俗に反するものは認められないこととしております。

 (4)その他留意事項です。イにおいて、高年齢者の健康及び安全の確保のため、高年齢者就業確保措置により働く高齢者について、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を参考に、就業上の災害防止対策に積極的に取り組むよう努めること。ロにおいて、高年齢者が従前と異なる業務等に従事する場合には、必要に応じて新たに従事する業務に関する研修、教育又は訓練等を事前に実施することが望ましいこととしております。

 続いて、2です。65歳以上の継続雇用制度においては、個別の選択肢に係る留意事項のうち、継続雇用制度の65歳以上の部分についてのものをまとめております。16ページから17ページに掛けてですが、(1)においては、他の事業主により雇用する65歳以上継続雇用制度を導入する場合においては、現行の特殊関係事業主での継続雇用の場合と同様に、事業主は当該雇用する高年齢者を引き続いて雇用することを約する契約を継続雇用先となる他の事業主と締結する必要がある旨を明記しております。

 (2)においては、他の事業主において継続して雇用する場合であっても、可能な限り個々の高年齢者のニーズや知識・経験・能力等に応じた業務内容及び労働条件とすべきことが望ましいこと。

 (3)においては、他の事業主において、継続雇用されることとなる高齢者の知識・経験・能力に係るニーズがあり、これらが活用される業務があるかについて十分な協議を行った上で、(1)の事業主間の契約を締結する必要があることとしております。

 (4)です。(4)においては、心身の故障のため業務に耐えないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職務を果たし得ないこと等、就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には、継続雇用しないことができること。就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定と別に、就業規則に定めることもできること。また、当該同一の事由について、65歳以上継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができること。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えることとしております。

 続いて、3の創業支援等措置についてです。3においては、創業支援等措置についての留意事項をまとめています。18ページからですが、(1)の措置の具体的な内容として、イにおいて、事業主が資金提供、その他の援助を行う団体が実施する社会貢献事業に従事する制度を設ける場合においては、事業主は社会貢献事業を実施する者との間で、当該者が当該措置の対象となる高年齢者に対して、当該事業に従事する機会を提供することを約する契約を締結する必要があることとしております。

 ロにおいて、団体に対する資金の提供、その他の援助は、資金の提供のほか、法人その他の団体が事務を行う場所を提供又は貸与すること等が考えられることとしております。

 ハにおいては、社会貢献事業は社会貢献活動その他不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする事業である必要があり、特定又は少数の者の利益に資することを目的とした事業は対象とならないこと。また、特定の事業が不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする事業に該当するかについては、事業の性質や内容等を勘案して個別に判断されることとしております。

 ニにおいては、雇用時における業務と内容及び働き方が、同様の業務を創業支援措置等と称して行わせることは、法の趣旨に反するものであることとしております。

 続いて、(2)過半数労働組合等の合意に係る留意事項です。イにおいて、過半数労働組合等に対して、創業支援等措置による就業は労働関係法令による労働者保護が及ばないことから、創業支援等措置の実施計画に記載する事項について定めるものであること、及び当該措置を選択する理由を十分に説明することとしてございます。

 また、ロにおいて、実施計画について、マル1からマル8までの留意事項を定めております。まず、マル1においては、業務の内容については高年齢者のニーズを踏まえるとともに、高年齢者の知識・経験・能力等を考慮した上で決定し、契約内容の一方的な決定や不当な契約条件の押し付けにならないようにすることとしております。

 マル2においては、高年齢者に支払う金銭については、業務の内容や当該業務の遂行に必要な知識・経験・能力、業務量等を考慮したものとすること。また、支払期日や支払方法についても記載し、不当な減額や支払を遅延しないこととしています。

 マル3においては、個々の高年齢者の希望を踏まえつつ、個々の業務の内容・難易度や業務量等を考慮し、できるだけ過大又は過小にならないよう適切な業務量や頻度による契約を締結することとしています。

 マル4においては、成果物の受領に際しては、不当な修正、やり直しの要求又は受領拒否を行わないこととしております。

 マル5として、契約を変更する際には、高年齢者に支払う金銭や納期等の取扱いを含め、労使間で十分に協議を行うこととしております。

 マル6においては、高年齢者の安全及び衛生の確保に関して、業務内容を高年齢者の能力等に配慮したものとするとともに、創業支援等措置により就業する者について、同種の業務に労働者が従事する場合における労働契約法に規定する安全配慮義務をはじめとする労働関係法令による保護の内容も勘案しつつ、当該措置を講じる事業主が委託業務の内容・性格等に応じた適切な配慮を行うことが望ましいこと。また、業務委託に際して機械器具や原材料等を譲渡し、貸与し、又は提供する場合には、当該機械器具や原材料による危害を防止するために必要な措置を講ずること。さらに、業務の内容及び難易度、業務量並びに納期等を勘案し、作業時間が過大とならないよう配慮することが望ましいこととしております。

 20ページにまいりまして、マル7です。事業主が資金提供その他の援助を行う団体が実施する社会貢献事業に高年齢者が従事する措置を講ずる場合において、事業主から当該事業を実施する者に対する個々の援助が、社会貢献事業の円滑な実施に必要なものに該当することとしております。

 マル8として、創業支援等措置は労働契約によらない働き方となる措置であることから、個々の高年齢者の働き方についても、業務の委託を行う事業主が指揮監督を行わず、業務依頼や業務従事の指示等に対する高年齢者の諾否の自由を拘束しない等、労働者性が認められるような働き方とならないよう留意することとしております。さらにハにおいて、実施計画に記載した内容に沿って、個々の高年齢者の就業機会が確保されるよう努める必要があることとしております。

 続きまして、(3)です。その他の留意事項として4点ございます。まず、イです。創業支援等措置により導入した制度に基づいて個々の高年齢者と契約を締結する際には、書面により契約を締結すること、なお、その際には実施計画の記載事項について、個々の高年齢者との契約における就業条件を記載すること。また、この際、当該高年齢者に対して実施計画を記載した書面を交付するとともに、創業支援等措置による就業は労働関係法令による労働者保護が及ばないことから、実施計画に記載する事項について定めるものであること、及び当該措置を選択する理由を丁寧に説明し、納得を得る努力をすることとしております。

 ロです。創業支援等措置により就業する高年齢者が、委託業務に起因する事故等により被災したことを当該措置を講ずる事業主が把握した場合には、当該事業主が当該高年齢者が被災した旨を厚生労働大臣に報告することが望ましいこと。また、同種の災害の再発防止対策を検討する際に、当該報告を活用することが望ましいこととしております。

 ハです。契約に基づく業務の遂行に関して高年齢者から相談がある場合には誠実に対応することとしております。

 ニです。心身の故障のため業務に耐えられないと認められること、業務の状況が著しく不良で引き続き業務を果たし得ないこと等、実施計画に定める契約解除事由又は契約を更新しない事由に該当する場合には、契約を継続しないことができること。また、就業を継続しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられること。また、契約を継続しない場合は、事前に適切な予告を行うことが望ましいこととしております。

 4の賃金・人事処遇制度の見直しと、22ページの5の高年齢者雇用アドバイザー等の有効な活用においては、現行の指針の規定内容を基本としつつ、雇用によらない選択肢も含めた記載となるよう、技術的な変更を行っております。

 また、活用が考えられる支援策の1つとしまして、22ページの下のほうの5の部分ですが、産業雇用安定センターにおける他の事業主とのマッチング支援を記載しております。指針の現時点案の内容につきましては、以上でございます。

 最後に、職業安定分科会における御意見について、資料6により御紹介させていただきます。

 まず1つ目です。「高齢者が安心・安全に働き続けられる環境整備は重要な課題であり、現場が混乱しない具体的な指針となるよう、これまでの議論の積み重ねを踏まえつつ、検討を進めていくべき」という御意見がございました。

 2点目として、「新型コロナウイルス感染症の影響もある中で、施行に向けて各企業が着実に準備を進めていけるよう、様々な手段で、また平易な表現で分かりやすく周知を行うべき」という御意見がございました。

 3つ目に、「雇用によらない選択肢が新設されるため、企業がこれらの選択肢の内容を具体的にイメージできているかについての調査や、好事例の横展開を行うべき」という御意見がございました。

 4つ目として、「高齢者は健康状態・意欲等の個人差が大きいほか、特に中小企業などは人事労務のマンパワーやノウハウが足りず、さらに働き方改革関連法の施行への対応等の負担もあるため、助成や相談体制の充実などの支援策を強力に講じるべき」という御意見がございました。

 5点目として、「新型コロナウイルス感染症の影響もある中で、改正法の内容に関する周知に加えて、省令や指針等の詳細な検討に当たっては、各企業はいつまでにどのような対応を行えばよいかについて、現場で混乱が生じないよう、実態を踏まえた議論を行うべき」という御意見がございました。

 最後の6点目ですが、「高年齢者就業確保措置を講じていない企業への指導等についても、新型コロナウイルス感染症の影響の下、政府から雇用維持の要請が寄せられている中で、企業の実情に配慮した柔軟な対応とすべき」という御意見がございました。

 分科会の御意見も踏まえながら、各検討内容について御議論いただきますようお願い申し上げます。説明は以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について御質問、御意見等がありましたら御発言をお願いいたします。新田委員、お願いします。

○新田委員 大変丁寧な説明をありがとうございました。まず最初に、所感を申し上げたいと思います。今まで定めていた65歳までの指針等が、今回70歳に全体的に延ばした内容になっているという認識でおります。したがいまして、70歳へ向けた内容としては少し洗練されていない部分や、まだ詰め切れていない、抽象的な表現があるのはやむを得ないと思っております。

 ただこれは、今後整えていくことであり、労使が時間を掛けて各企業の中で様々な取組をしっかりと行うことで好事例が積み上がり、そういった実態を踏まえたものになっていくものと承知しているところです。そうした認識に立った上で、幾つか質問と確認をさせていただければと思います。

 資料が膨大なので、資料のどれの何ページという説明は割愛いたしますが、まず、雇用によらない措置の関係で、この措置においても対象者基準を設定できると理解しておりますが、その場合の設定内容のイメージは、具体的にどのようになるのか、教えていただければと思います。今までの65歳までに使っている対象者基準は雇用によるもので、客観的・具体的というのが、当然求められているということで、様々な基準が設定されておりましたが、これが今度、雇用によらない措置になった場合に、どのような形の設定をお考えなのか、教えていただければと思います。

 それともう1つ、今回から他の事業主についても継続雇用の対象になるということですが、65歳超で他の事業主等に転籍をした場合に、仮にですが、転職先で70歳までの雇用が実現しなかった場合、その後の扱いがどうなるのか。例えば、もともとの事業主等にそういった努力義務が係ってくるのかどうか、そういった点も確認させていただければと思います。

 次に、創業支援等措置についての確認と質問です。今回、実施計画を定めることになっておりますが、今後、雛形やガイドライン、Q&A等が発出されるのかということと、その場合の予定等があれば教えてください。もう1つは、仮にその雛形やガイドライン等々と異なる実施計画を労使で合意した場合の扱いはどうなるのかという点についても御教示いただければと思います。今回、お示しいただいた中で、実施計画について1から12まで様々な項目が列挙されていますが、この記載事項に欠けているものがあった場合、その計画の扱いがどうなるのか。例えばそれについては無効になってしまうのか、無効になった場合は、例えばガイドラインが私法上の契約に転化するようなことが想定されるのかどうかといった点についても教えていただければと思います。

 計画で幾つか列挙されている中に、安全衛生等、災害等に関する項目もありましたが、今回、創業支援等ということで、これは雇用によらないものです。運用上の配慮がなかなか困難な部分もあるのではないかと思っており、この具体的なイメージなどがあれば教えていただきたいと思います。特に、業務外の疾病という記述がありますが、雇用によらない措置の場合に、そこについてどのような想定をされているのかという点についても教えていただければと思います。複数の質問等で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、御質問もありましたので事務局からよろしくお願いいたします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 高齢者雇用対策課の日髙です。新田委員から御質問、確認点を4点いただきましたので、順に御回答いたします。まず1点目は、雇用によらない措置、創業支援等措置に関しても対象者基準の設定ということで、どのようなイメージかという御質問を頂きました。これについては創業支援等措置に限らず、65歳までの現行の義務に関して、経過措置により対象者基準を設けることができるものとなっております。この考え方は現在、指針よりもう少し具体的な内容をQ&Aでお示ししているところですが、創業支援等措置の部分も含めて、そういったQ&Aなどでお示ししていくことにより、労使でしっかりと話合いをしていただけるように周知してまいりたいと思っております。例えば、こういったものは適切ではないといった例なども少し挙げることなどを想定しております。

 続いて、2点目は他の事業主による継続雇用という部分で御質問を頂きました。御質問の趣旨としては、恐らく事業主間の契約で、70歳までの他の事業主による継続雇用が制度として導入されている中で、他の事業主に継続雇用され、70歳まで何がしかの事情で継続雇用されずに退職された場合を想定されていたものかと理解しております。この場合、他の事業主に継続雇用されてから、行った先の事業主で、事業主都合での離職が70歳に至るまで、例えば68歳であった場合などについては、その行った先の事業主の事情での退職となりますので、65歳まで雇用していた事業主に、改めて就業確保措置を講じていただく努力義務が発生するものではありません。

 なお、先ほど省令の検討内容ということで御説明しましたが、他の事業主の都合でその対象者の方を退職させてしまったときは、その方が希望される場合には、他の事業主で再就職援助措置を講じていただく努力義務が生じることになります。そういったことを想定しております。

 3点目も創業支援等措置についてですが、今後実施計画を作成いただき、労使合意を得ていただくということですが、その雛形やガイドライン、Q&Aといったものの予定があるのかという御質問を頂きました。こちらについては、まず改正法についてパンフレットのようなものを作成し、どういった形でやっていただくかということについて周知をしてまいりたいと思っております。Q&Aを作っていく中でも、実施計画をどのように策定をしていただくかお示ししてまいりたいと考えております。

 その上で、1点御質問がありましたが、そういった指針や、今後お示ししていくものと異なる形の実施計画、例示として、指針に挙げている事項のうち欠けているものがあった場合の御質問を頂きました。指針については、いわゆるガイドラインということですが、できる限り創業支援等措置で就業される方が、安心してあるいは安全に就業を70歳まで継続していただけるように、事業主に配慮や考慮していただきたい事項について挙げているものです。

 最終的に実施計画を作っていただき、同意を得られるかどうかは、労使の協議に委ねられる部分です。その中で、できる部分、できない部分、いろいろと提示があり、交渉があってということになろうかと思いますが、そういったところについて、御相談などを労働局で受け付けていくことも含めて、しっかり丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 その関連で、4点目としては、具体的に安全衛生に関する事項や業務外の疾病といったことについて想定するものがどういったものかという御質問を頂いたかと思っております。これについては指針に書いてありますとおり、具体的に業務委託をしていただく業務の内容や性格に応じて必要となってくるもので、かなり度合いに差があることが想定されると考えております。業務の種類によっては、そういった安全衛生にかなり高いレベルで配慮していただく必要がある業務もあれば、そういった必要性が相対的には低いものもあろうかと思っております。

 こうしたところは、指針にもありますとおり、例えば雇用の労働者がそういった同種の業務に従事している場合に、どういった労働法制上の保護、安全配慮義務があるかを勘案しながら御検討いただきたいとお示ししております。その中で、こういったことはできる、あるいはここまではできないといったことを検討していただいて、実施計画を作成していただければと考えております。以上です。

○阿部部会長 新田委員よろしいですか。では、小林委員どうぞ。

○小林()委員 全建総連の小林です。私からは、創業支援等措置による雇用ではない働き方に関して2点御意見を申し上げたいと思います。今回のこの措置については、労働契約によらない働き方ということで、資料の中にも出てきておりますが、事業主が指揮・監督は行わない等々、基本的なルールがあるわけですが、この新たな措置を講ずる事業主の理解はもちろんのこと、その措置の適用を受ける当該高齢者、該当する高齢者にも同様の理解がしっかりと進むような方策を取らなければいけないという問題意識を持っております。

 特に、対象者である高齢者についても、多くは、この間長く雇用で、いわゆるサラリーマンとして働いてきたということで、その慣習の意識のまま、この新たな措置となると、少し、その働き方そのものに基本的なルールに欠けるような事例が出てきてしまうのではないかと思っております。

 この点については、この指針の中に、しっかり説明をして納得を得るような努力をすることと書いてありますが、そこにとどまらず、先ほどの御質問の中にもガイドラインやQ&A等々のお話がありましたが、こういった周知をしっかり行うことで、双方がきちんと基本的なルールに基づいた働き方、争いにならないような働き方ができるような対策をしっかりと講じていただきたいということが1点です。

 もう一点は、この創業支援等措置の適用を受けた高齢者については、いわゆるフリーランスなどのいろいろな呼び方があると思いますが、個人事業主という認識をすると、先ほどの話とも重なるのですが、これまでサラリーマンとして多くの人たちが働いてきた中で、自ら会計処理をし税務処理をしてという、このようなことはほとんどの方がやっていない、サラリーマンで年末調整を受けていれば、余程のことがない限り確定申告をすることは経験としては余りありませんので、そこも何らかのフォローが必要だと思っております。

 なので、創業支援等措置の適用を受ける本人に、今後適用を受けた後については、会計処理や税務処理は自分の責任で行っていくものだという認識がきちんと伝わるような措置が必要だと思います。更に言えば、そこを支援する、この措置の適用をする事業所による支援や公的な窓口の支援だとか、会計や税務についてのアドバイスなどの仕組みも併せて行っていったほうが、いきなり契約の内容が変わったので税務も財務も全部自分だというのは、少し対応が難しいと感じる高齢者、適用を受ける人も多いのではないかと思っております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。御意見でしたが、事務局から何かありますか。では、事務局お願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 御意見を2点、創業支援等措置に関すること、特に御本人に関することで御意見を頂き、ありがとうございます。もちろん、事業主の皆様に限らず、そういった措置の対象になる方、また、創業支援等措置以外にこれから雇用の形でも70歳まで働き続ける対象者が出てくるところですので、そういった方々についても周知をしていけるように取り組んでまいりたいと思います。さらに、そういった方々、特に創業支援等措置の対象になる方が、やはり安心して安全に働けることを国が支えていく、あるいは措置を導入する事業主が支援することを国もサポートするという、そういった点をしっかりと念頭に置いて取り組んでまいりたいと思います。

○阿部部会長 小林委員よろしいですか。ありがとうございます。ほかにいかがですか。それでは、春川委員からお願いします。

○春川委員 私からは1つ質問です。今、出ておりました創業支援等措置に関してですが、これは労使現場でどう説明をしていくかということに関しての質問になります。繰り返しになりますが、創業支援等措置に関しては労働関係法令が及ばないといったこともありますから、過半数労働組合等の合意が要件とされていることもありますし、措置の実施に関する計画についても、なぜその措置を講ずるのかといった理由についても記載することとされております。そういった中で、先ほど御説明のありました資料5の指針案、3(2)3(3)18ページや20ページ辺りです。この辺りの読み込みですと、労使合意の内容や、なぜこの措置を講ずることにしたのかといった理由が、書面をもってきちんと説明がなされるような読み取りにはならないのではないかと思います。

 そこで質問ですが、改めてこの創業支援等措置を講ずるに当たっての論議、また説明に関しては、過半数労働組合等及び対象となる労働者本人に対して、事業主からは書面をもってしっかり説明がされるということでよろしいでしょうかという質問です。それは、先ほどの周知をしていくということとは少し本質的には違うと思っておりますので、そこの質問です。

 併せて、先ほど来ありましたが、今後Q&Aやガイドライン等で様々な案内がなされるということであれば、この辺りも御検討いただけないかという、最後は要望になります。以上です。

○阿部部会長 それでは、事務局お願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 御質問ありがとうございます。まず、質問としていただきました労使合意の計画の内容や、創業支援等措置を選んだ理由が書面により説明をされるのかという確認であったかと思います。

 まず、省令の関係から御説明いたします。資料では資料3-23ページ、先ほども御説明した部分ですが、検討内容の(2)の部分にマル1、マル2、マル3とあります。こちらは創業支援等措置の実施に関する計画のプロセスなり内容について記載しています。こちらにありますとおり、まず創業支援等措置の実施計画については、事業主が作成し、過半数労働組合あるいは代表者の同意を得るものとするということです。

 それから、記載事項の1つとしては、マル2のaにありますとおり、措置を講ずる理由をしっかりと記載していただくことと、手続としては、その同意を得た上で実施計画を掲示したり労働者に書面で交付するといった方法により、御本人に対しても周知をするといったことを定める形で検討しておりますので、こうした内容から事業主が書面で計画を作成し、過半数労働組合等に対して同意を得るに当たって、この内容を説明していただくことを考えております。

 また、もう一点、過半数労働組合あるいは代表者への同意の際の説明に加え、対象労働者本人に対しても書面でといった御質問を頂いたかと思います。これに関しては、指針にありまして、3(3)のイの部分です。20ページになります。こちらのまた書きの所です。当該高年齢者は創業支援等措置で働く高年齢者ということですが、「当該高年齢者に対して実施計画を記載した書面を交付する」と書いてあります。そして、「実施計画に記載する事項について定めるもの」であるということと、「当該措置を選択する理由を丁寧に説明」していただくということで、つまり書面を交付して説明をしていただくと、そういった形で指針に記載しておりますので、こうしたところを書面で説明するということについて、周知をしっかり分かりやすくすることも含めてさせていただきたいと思っております。

○阿部部会長 よろしいですか。それでは、先ほど手が挙がっていた境田委員、中澤委員の順番でお願いします。それでは、境田委員お願いします。

○境田委員 私から2点確認をしたいと思います。まず、1点目は資料4-3になります。27ページの新旧対象表で、目次の第2ですが、「高年齢者の雇用の機会」から「高年齢者の就業の機会」に変更されているかと思います。これは今回の法改正で雇用によらない形態も含めておりますので、これを受けて法文言も修正し合わせていらっしゃると推察はしておりますが、この方針案の前後のみを読めば、逆説的に捉えると、雇用の形態を取らなくてもよくなったと解釈されなくもないと、そのように考えております。

 今回の法改正の趣旨は、雇用による就労を減退させるものではないと認識しております。文言の修正をしてほしいという話ではありませんが、厚生労働省としてどのような御認識でお考えをお持ちなのか、念のため御確認したいというのが1点目です。

 2点目は就業支援措置についてです。資料5-3、指針案の3の創業支援等措置その他留意事項のロが一番関係性が強いと思いますが、具体的に就業でトラブルが生じた場合です。こちらの項には、被災した場合の対処について記載はされていますが、そもそも、そのような事態が生じないように、トラブル防止の観点から労働者が創業支援等措置により就業した場合の相談窓口が必要なのではないかと思っており、こちらについては参議院の資料2-4があったと思いますが、参議院の附帯決議の第10番でも指摘がなされていると思います。

 先ほど、新田委員からの御質問でも日髙課長補佐から労働局といった話がありましたが、都道府県の労働局等における相談窓口の設置など、適切な助言・指導を行う体制の整備について、現時点での御見解などがあれば、お伺いしておきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 それでは、事務局お願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 御質問が2点ありましたので、順にお答えいたします。まず1点は、基本方針の項目立ての部分について確認ということで御指摘を頂きました。こちらは、境田委員もお話されていたとおりで、今回の法改正に伴い、この項目の部分は文言が変わっているところです。

 具体的には、資料2-24ページに新旧対照条文を付けております。改正法の第6条の部分ですが、ここで、この基本方針に定める事項を列挙する形になっております。この第2項の第二号ですが、こちらが今般の改正内容を踏まえて、「雇用の機会の増大の目標に関する事項」から「就業の機会の増大の目標に関する事項」となっておりましたので、これを反映して基本方針の標題についても改めているということが、まず事実関係でございます。

 その上で、雇用の方をやらなくてよくなってしまうことがあり得てしまうのではないかという御指摘だったかと思いますが、そちらについては、就業という、より広い意味にはなっておりますが、この中にはしっかり雇用が含まれていると、引き続き雇用についてもしっかり取り組んでいくことは変わっておりませんので、厚生労働省としてはそうした認識です。

 なお、資料4、基本方針の「はじめに」の「方針のねらい」は基本的な方向性、考え方を記した部分です。この第2の内容の部分においても、その趣旨が分かるように書いてあり、資料の33ページ、第2の項目の1段落目に下線の部分がありますが、この中で「高年齢者の雇用の場の拡大に努めること等により、高年齢者の就業の機会を確保し」ということで、就業の中にしっかり雇用の部分が入ってくるのだという趣旨を明らかにしているものと考えております。

 2点目は、創業支援等措置に関してですが、いわゆるトラブルを防止するといったことに行政として取り組む体制については附帯決議の方で御指摘いただいていることも御紹介いただいたとおりですが、そういったことへの今後の対応について御質問を頂きました。先ほど境田委員からも触れていただきましたが、こういった業務上の事故等の被災といったトラブルを防ぐという観点は非常に重要ですので、指針の中で安全衛生に関することは事業主が必要な配慮を行うことが望ましいとお示ししているところです。

 その上で、都道府県労働局等において相談の受付、あるいは指導・助言を行う体制を確保することに関しては、各労働局に高齢者対策担当官、ハローワークにも雇用指導官という高年法に関する業務を担う職員がおりますので、こうしたところについて、必要な体制を確保するように努めてまいりたいと考えております。

○阿部部会長 よろしいですか。それでは、中澤委員お願いします。

○中澤委員 全国中小企業団体中央会の中澤です。膨大な資料の説明をありがとうございました。1点目、感想的なものですが、先ほど境田委員が言われたものと若干似ているのですが、今般の基本方針の改正案において、第2の所で「雇用」が「就業」に書き換えがなされておりますが、これにより、従前の第1も「就業の動向」という形で書かれているところが、この第1と第2の関係で位置付けが変わってくるのかなと思っております。

 その上で、いわゆる雇用と就業の状況等々をいろいろな調査結果を引いてきて書かれているわけですが、若干その辺で雇用という問題と就業という問題を明確にしながら記載すべきではないかという点があるのではないかというのが感想です。

 それから、指針について御質問というか、御意見を申し上げたいと思います。まず1点は、今般社会貢献事業という新たな事業が定義されているわけですが、これについての定義が今ひとつよく分からないということで、今後例えば何かの指針なり、指針以外のものでそういったものが明示されてくるのだとは思いますが、例えば類似的に浮かんでくるのは公益の事業など、いろいろな言葉があると思いますが、そういった定義付けがなされていくべきではないかと思っております。

 それから、社会貢献事業と併せて、「事業主が自ら実施する社会貢献事業」とそれ以外で「事業主が委託、出資(資金提供)等をする団体が行う社会貢献事業」ですが、資金提供等の「等」ということで、若干含みを持たせているように読めるわけですが、どの程度の関わり合いを持った他団体が行う社会貢献事業も範囲に入るかどうか、何か現段階で情報提供できるようなものがあれば教えていただきたいと思っております。以上です。

○阿部部会長 それでは、事務局からお願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。まず、最後のご指摘の部分になりますが、具体的に社会貢献事業による制度を設ける際の、自社ではなくて他の団体という点です。こちらは法律や指針にも書かせていただいているところではありますが、関係性については、1つは資金の提供ということ、それからその他の援助ということで、法律上規定をさせていただいております。

 他の団体で行われる社会貢献事業が円滑に実施されていくという、要はその措置でもって70歳までの継続的な就業をする制度を作っていただくということですので、その趣旨を踏まえて、事業を円滑に実施するために必要な関係性がある、こういったことを想定しているところです。

 実際に社会貢献事業を措置として講じられた場合に、事業の内容あるいは事業の規模、こういったところは様々なものがあろうかとは想定しておりますので、なかなか現実的に一概に基準を示すことは難しいとは考えておりますが、例えば様々な事例などが出てくる場合にはしっかり収集する、あるいは事業主からこういった制度を考えているといった相談がある際には丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 また、社会貢献事業の関係に関しては、定義が少し分かりづらいという御指摘を頂きました。この指針以外で何か明示がされていくのだろうかといったところ、あるいはその定義付けをしていくべきではないかといったような御指摘も頂いたところです。これについても指針にも書いておりますとおり、個別に判断をしていくという部分が強いと考えておりますが、しっかりと事例を蓄積していく中で、そういった適切な判断をさせていただけるようにしてまいりたいと考えておりますし、お示しできるものが出てきた際には、事業主あるいは働く労働者の方にも分かりやすく提示をするよう取り組んでまいりたいと考えております。以上です。

○阿部部会長 よろしいですか。

○中澤委員 追加で、最近の雇用状況というか就業状況のところがどうしても引っ掛かるのです。65歳を過ぎて就業したいという調査結果が載っているわけですが、これはそもそも雇用という形のものを前提としたものでないものも含めてという理解でよろしいですか。

 もう1つ、このアンケートは、他の団体でおやりになったものだと思いますが、対象者はいわゆる雇用されている者に対してのアンケートなのでしょうか、それとも先ほど少しお話がありましたが、フリーランスとか事業主、そういったものも含めた上での回答かどうか、もし分かれば教えていただきたいのですが。

○阿部部会長 それでは、事務局お願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 御指摘ありがとうございます。今、中澤委員から頂いた箇所は、具体的には基本方針の32ページのから33ページに掛けて高年齢者の就業意欲、意識調査の結果を掲載しておりますが、この点に関してということで理解をさせていただきました。

 この調査については、1点は、現在就労している60歳以上の方を対象にしたものです。この就労というのは、「就労」と書いておりますとおり、正に働いている状態の方に広くお聞きをしているものと理解をしております。その中で、働けるうちはいつまでも働きたい、あるいは何歳までといったことをアンケートでお答えいただいているわけですが、これも働き方を何か限定している形ではなくて、何かしらの形で働く意欲がある、そういったところをお答えいただいているものと考えております。

○中澤委員 ということは、今働いている方にお聞きしているのだけど、今後どのような形で、なかなか言葉は難しいのですが、雇用にこだわらなくて、とにかく就業したいという意味合いの調査結果だと理解をすればよろしいですか。

○高齢者雇用対策課課長補佐 雇用だけではないということで御理解いただければ結構かと存じます。

○阿部部会長 よろしいですか。では、紺谷委員どうぞ。

○紺谷委員 今ほどの中澤委員の御質問と重なるかもしれないのですが、質問させていただきたいと思います。具体的には、資料5-2にある指針案の7ページ、3の創業支援等措置の(1)のハにある社会貢献事業についての質問です。「社会貢献事業は、社会貢献活動その他不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする事業である必要があり、特定又は少数の者の利益に資することを目的とした事業は対象とならない」と明記されてありますが、実際に企業が65歳以降の就業先として、当該事業がここで規定される社会貢献事業に該当するかどうかについては、労働局に問合せをして、多分そこで判断されることになろうかと思います。

 その際、全国どこの労働局等に問い合わせても、同じような基準で判断されることが必要だろうと、どのような内容であればこの社会貢献事業に該当するかという一定の基準が必要になろうかと思います。この基準について、現段階で結構ですが、見解があれば教えていただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 では、事務局からお願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。今、社会貢献事業は、どのようなものであれば認められると判断されるのかという基準について、御指摘を頂きました。まず1点、どのようなイメージのものが社会貢献事業に合致すると、現時点でイメージをしているかを、少しお話をさせていただきたいと思います。もちろん、これで判断を示すということではないです。イメージということです。

 例えば、希望する、ある事業主からの定年退職者が会員となるようなNPO法人がある場合に、その法人に対して事業主が、例えば地域の里山の維持・運営や地域の子供向けの教育に関する事業といったものを委託などされていて、そういった事業に当該事業主の退職者が従事をされる、雇用ではない形で従事をされるという形は、あり得る取組として想定されるのではないかと考えております。

 その上で、一定の基準、考え方は整理されるべきではないかという視点、我々としても非常に重要であると受け止めております。現時点では、一概に一律の基準を示すことは、様々な事業が想定されるため、なかなか難しいところではありますが、事前に企業の方で検討されている内容を御相談いただいたりする場面は、これから出てくるだろうと思っておりますので、そういったものを11つ蓄積していきながら、また各労働局間でそういった情報を共有していくことも含めて取り組んでいけるように進めてまいりたいと考えております。

〇阿部部会長 仁平委員、お願いします。

○仁平委員 宮本課長より丁寧に御説明いただきありがとうございました。説明いただいた指針については、国会の附帯決議も踏まえて作成されたものと受け止めさせていただいております。その上で、質問が1つと要望が1つあります。

 質問は、創業支援措置等に関するものです。現在でも労働者性があるにもかかわらず、契約上、請負契約とされている事案も散見されます。我々は現場を抱えていますので、現場からは、今回の就業確保措置によって、労働者性がありながら請負として就業させられている「偽装請負」が促進されかねないという不安の声が出されているところです。まずもって制度の導入前の現在においても、こういった偽装請負についてきちんと指導していただくことは、これまで以上に実施していただくようお願いします。今後、この制度が導入されるに当たってですが、これが正しく活用されていくためには、やはり現場での周知が非常に大事なのではないかと思っています。

 恐縮ですが、参議院の附帯決議を読み上げさせていただきますが、6で「創業支援等措置の導入を検討するに当たり、適切な労使合意を目指す観点から、関係労使双方が、判例・裁判例を基に労働者性の基準等について必要な知識を身につけることができるよう、研修や資料提供等の具体的な方策を検討し、実施すること」と書いてあります。これが指針のどの辺りに書いてあるかを教えていただきたいということと、また、行政による研修などがあればよいと思いますが、偽装請負を防ぐ方策について、何か具体的なお考えがあれば教えていただけないかというのが質問です。

 もう1つは要望になりますが、制度全体の周知に関してです。これもかなり複雑な制度ですし、それと施行が来年4月ということですが、実際にはその前に労使が制度を理解して、労使の話合いをしていかなければ始まらないわけです。それに当たっては、初めてこの制度に触れる事業主と労働者、それと労働組合に、分かりやすくこの制度を周知していく必要があるだろうと思っています。

 指針の記載については、より具体的に書いていただきたいと思いますが、更に加えて、事務局からもコメントがありましたもの、Q&Aの作成とか、分かりやすいマニュアルを作っていただくとか、制度を解説したパンフレットの準備など、諸々お願いしたいのと、企業規模ごとの好事例の収集と展開などについても是非お願いしたいと思っています。以上です。

○阿部部会長 それでは、事務局からお願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。現状でも、労働者性がありながらも請負の契約になっていることもあるということを踏まえた形で、きちんとした指導が必要ということ、それからこの制度を今回導入していくに当たって、正しく活用されるために、しっかり取り組んでいくべきということで御指摘を頂いたところです。

 まず1点、そういったことが指針のどの辺りに反映されているのかという御質問を頂きました。労働者性に関する記述については、資料520ページ、対象の中のマル8という項目があります。こちらは事業主に向けて配慮いただきたいことをお示しをしている部分にはなりますが、事業主が指揮監督をしない、あるいは業務の依頼や業務の従事の指示等に対する高年齢者の諾否の自由を拘束しないなど、労働者性が認められるような働き方にならないように留意していただきたいということをお示ししています。

 その中で、国としましても当然、基本方針の方では、全般に関わる部分に、もちろん創業支援等措置も含めてということですが、周知の徹底を図っていくことを盛り込んでいるところですので、これはしっかりと周知を図っていくということですし、具体に附帯決議を御紹介いただきましたが、研修等についてということでしたが、まず制度全体の周知をしていく中でパンフレットなどをお作りしていく際に、例えば労働基準法による労働者性の判断基準といったものもありますし、労働者性の判断に関わる判例等々の蓄積もありますので、こういった情報も入れた形で周知用の資料を作成して、それを説明会などで活用していくような取組を通じて、まずは適切な理解が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。

 また、御要望ということで頂きましたが、そういったパンフレットあるいは事例の収集や展開についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。以上です。

〇阿部部会長 では、新田委員どうぞ。

○新田委員 今の仁平委員の発言とも重なる部分ですが、おっしゃったとおり、今回の法改正の内容をきちんと周知していくのは、非常に大事です。重ねて、企業労使によるしっかりした話合い、これも非常に大事だと思っています。そういった観点で、私ども経団連でも会員企業等に周知をしっかり行っていきたいと思っています。

 その関係で、今回70歳までの就業確保措置は努力義務規定ということでありますが、一方で指導・助言、併せて改善されなかった場合の勧告も書かれています。来年41日からの施行ですが、来年41日のときに、どのような状態にあればよいのかの具体のイメージ、例えばその時点でどの措置が取られているのか、決まってなくてはいけないのか、あるいはその時点から検討を始めればいいのか、そういった点について確認をさせていただければと思います。

○阿部部会長 では、事務局お願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。1点、新田委員から触れていただいた指導・助言等については、先ほど基本方針を宮本からも御説明したとおり、基本的な考え方は基本方針の中で示させていただいているところです。

 その中で具体には41日の施行を迎えた時点で、どのような状態にあればよいのかといったことを御質問いただきました。努力義務ということですので、70歳までの就業確保措置を講じていただくことに努めていただくという努力義務の効力が、41日から発生するところです。これについては、もちろんその時点で講じられていれば、それが最も望ましいということは言うまでもありませんが、労使の中で新しく65歳以降の仕組みを作られるという会社も多くあろうかと考えておりますので、そういった検討を始めていただく、あるいは労使間で相談を始めていただくといったことも、41日時点では十分あり得ることと考えておりますし、そうしたことをしっかり支援していくことも含めて、行政からもサポートしてまいりたいと思っております。

○新田委員 よく分かりました。ただ、現状、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、大企業でも非常に大きな打撃を受けている状況にあります。昨今、厚生労働大臣から我々使用者側の各団体に雇用維持等に関する様々な要請が行われています。そうした状況にも鑑みて、来年の状況は分かりませんが、そのときの状況に応じて適切な対応を是非お願いしたいということを申し上げたいと思います。

 そのほかに少しだけ細かいことで、文言の確認をさせていただきたいことがあります。資料518ページの(1)のニで、「雇用時における業務と、内容及び働き方が同様の業務を創業支援等措置と称して行わせることは、法の趣旨に反するもの」というくだりがありますが、例えば御本人の業務がかなりの専門性を持っている業務であった場合に、本人の希望等もあって、その方が別の所で兼業、副業等もしたいといったニーズがあったとしても、こういった雇用によらないような働き方が否定されてしまうものなのかどうかを教えていただきたいというのが1点です。

 また、21ページから22ページに掛けて、賃金・人事処遇制度の見直しの部分で、21ページの(4)で、「70歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、70歳までは契約更新ができることとし、その旨を周知するよう努めること」とあるのですが、あくまでも70歳までの契約は努力義務のはずです。これを読んでいると、「努めること」という文言がどこまで掛かっているかが分かりにくいと思いますので、ある程度文言の整理をお願いしたいと思います。以上です。

○阿部部会長 では、事務局からお願いします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。2点御指摘を頂きましたので、それぞれお答え申し上げたいと思います。1点目、資料518ページの(1)のニの部分です。雇用時における業務と内容及び働き方が同様の業務をということで書かせていただいております。今ほど新田委員から御指摘を頂きましたのは、ある専門性がある業務に元々従事されていた方が、引き続きそういった業務を雇用ではない形で創業支援等措置の中でされたいといった場合に、兼業を含めての、この場合雇用ではなくといった形で、いろいろな所から発注を受けたいとか、そういったイメージになるのかと捉えたところです。正に、ここは内容及び働き方が同様と書せていただいておりますし、業務の内容とともに働き方、これは雇用のときの働き方と同じという意味合いですので、労働者性がある、指揮監督がある、そういった働き方と同様であると、それは雇用ではない創業支援等措置にはふさわしくないだろうと、そういった趣旨で書かせていただいておりますので、単純に専門性がある業務を続けられないといったことではないというように御理解いただければと思っております。

 次に、2点目の御指摘、21ページの4(4)です。こちらは右側にあります65歳までの義務に対する現行の指針と基本的に同じ書き方をさせていただいて、これは70歳までということで書かせていただいている部分ですが、具体的に申し上げますと、実態としましても、65歳までの場合でも、例えば継続雇用制度の場合に、1年の契約期間、有期の形で雇用契約をされていて、これを65歳まで更新をしていくことができる、こういった形で継続雇用制度での雇用確保を図っていただくという、こういった例が多くあると承知をしております。65歳以降も、70歳までの雇用契約あるいは創業支援等措置による業務委託契約が1本という形はあり得るとは思いますが、なかなか難しいということも想定されます。そういった場合に、70歳前に契約期間が終了するというのは、正に1年単位、あるいは70歳まで至らない単位での契約期間となっている場合に、それを70歳までは更新をしていける、それが努力義務で掲げている70歳までの就業を確保していくといった趣旨に適うものですので、そういった70歳までの制度を作るというときには、しっかりそういったことを制度としては仕組んでいただきたい。それを誤解がないように対象の労働者にも周知をしていただくように努めていただきたいといったことです。

○阿部部会長 よろしいですか。それでは、杉崎部長にお願いいたします。

○志賀委員代理杉崎氏 ありがとうございます。資料5、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針案について、意見を申し上げます。今回の改正では、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となることから、来年4月の施行に向けまして、各企業で着実に準備をしていく必要があります。この指針は、各企業が着実に準備を進めていくことや措置を円滑に運用していく上で、非常に重要なものであると認識しています。

 一方で、高齢者は体力や健康状態、意欲の面で個人差が大きいことや、中小企業は人事労務に関するマンパワーやノウハウが十分ではなく、働き方改革関連法への対応等の負担増もあることから、この指針が有効に機能するためにも高齢者の特性や企業の実態を踏まえた内容にしていく必要があるかと思います。そうした認識の下で、意見を申し上げたいと思います。

 まず、資料16ページ、対象者基準についてです。先ほど申し上げました高年齢者の特性を踏まえますと、この対象者基準に関する記載はおおむね妥当であると考えます。

 次に、18ページの(1)のニ、「雇用時における業務と、内容及び働き方が同様の業務を創業支援等措置と称して行わせることは、法の趣旨に反する」旨の記載に関しまして、高年齢者は当該企業における長いキャリアの中で様々な業務に従事してきたかと思います。この記載の趣旨は理解いたすところではありますが、現状の記載ぶりでは、雇用時における多くの業務が措置の対象外とも読めてしまい、創業支援等措置の実効性を阻害してしまうことが懸念されます。したがって、創業支援等措置が適正に利用され円滑に機能するために、対象となる業務に幅を持たせるような記載にしていく必要があると思います。

 次に、19ページのマル4、「成果物の受領に際しては、不当な修正点、やり直しの要求又は受領拒否を行わないこと」という記載に関しましては、正当な理由や合理的な根拠があれば、これらができる旨を明確に記載すべきだと思います。

 なお、コロナ禍の混乱の中で今回の改正が十分に周知されているのか、企業がその内容を理解しているのかといったことが懸念されますので、厚生労働省におかれましては、改正法や省令、この指針の内容について、分かりやすく丁寧に周知をしていただきたいと思います。また、中小企業に対する助成措置、相談等の体制の充実など、企業に対する支援策も強力に講じていただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。

○阿部部会長 それでは、事務局お願いいたします。

○高齢者雇用対策課課長補佐 ありがとうございます。今、杉崎様のほうから具体的に指針に関しまして2点御指摘を頂きました。18ページの(1)のニについては先ほども申し上げたとおりですが、単純に業務内容だけを想定しているものではないといったところではありますが、御指摘の趣旨、御懸念の向きという点は受け止めさせていただきたいと考えております。

 また、次の19ページのマル4の部分ですが、こちらは記載のとおりでして、杉崎様からの御懸念は、その裏返しの部分、こういったものに当たらないような事由であれば、例えば成果物の受領ができないといったこともあり得る、それを明確にできないかといったような御趣旨でした。これについても、具体に指針の文言を修正させていただくということなのか、あるいは今後様々な形で御指摘のとおり分かりやすく周知を図っていきたいということもございますので、そうしたところでしっかり対応させていただくということも含めて、この問題意識を受け止めさせていただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。では、玄田委員どうぞ。

○玄田委員 予定されている時間になりましたが、今、労使の皆さんの御意見を伺っていて、やはりどうしても一言意見を申し上げたいなと思いますので、若干時間を超過することをお許しいただければと思います。法改正の詳細の内容についての意見ではございません。むしろ、今回の法改正がもたらす今後の政策への影響ですとか、その他更に是非検討すべきではないかということでして、どちらかというと、審議官若しくは課長に是非伺いたい、若しくは今後検討いただきたいということを2点ほど申し上げたいと思います。

 1点目は、やはりこういう件に関して、この部会若しくは分科会で関わってきて、だんだんこの内容ということについては自分なりにある程度は分かってきたつもりなのですが、確か仁平委員がおっしゃったことと関係すると思うのですが、かなり複雑化しているという、政策自体が相当複雑化しているということは間違いないのだろうと思っております。資料6の分科会の意見でも「平易な表現でわかりやすく」ということが出てきたり、今日の御議論もそうですし、事例を展開すべきだという声が出てくるということは、一見それだけでは分からないということの裏返しでもあって、このことについてどう考えるのかという、つまり働き方改革関連法案も含めて、雇用政策というのが一般の人には分からない、相当専門的な知識を持っていないと分からないとか、事例とか通達を見ないと全然理解できないというものにどんどん加速化しているという可能性があるとするならば、これはちょっと気を付けなければいけないのではないかと。

 では、仮に今、私の意見がある程度妥当であるとして、なぜそうなるかというと、そうなる必然性はあるのだと思います。つまり、やはり労働の現場というのがかなり個別化、多様化しているということで、簡単にはなかなか表現できないという、そういう実態を踏まえたものが、こういう法政策、政策の複雑化になっているとするならば、ある意味では致し方ないと。

 ただ、もう一点、複雑化の可能性として考えられるのは、言い方はどう言っていいかよく分かりませんが、何というか、やや未来を先取りしようとしているという面があるのではないか。つまり、今回の創業支援等措置もそうですし、雇用によらない働き方というのが、現状が60歳からのそういう働き方が溢れ出していて、これに対して政策をやらないと実態に合わないというよりは、むしろこれからこういう政策、働き方が増えてくる可能性があるので、その可能性を踏まえて対応しておこうという先取りであるとか、もっと思い切って表現すれば、むしろこういう多様な今までにない働き方が増えることが望ましいので、ややもすると誘導するとまでは言いませんが、そういう働き方を広げていこうというような趣旨があって、実態よりは可能性に懸けるために、こういうことであればこういうようにしなければならない、こういうことがあればこうしなければならないということで、非常に見方によっては目配りが利いている。ただ、別の見方をすれば、なぜそこまで先取りしなければいけないのだ、そこまで誘導されなければいけないのだということです。どちらかというと、阿部さんとか我々の世代のような、政策というのは、実態はこうなって今までどおりではもうどうにもならないから、それに対して法律が実態に合うように変わっていくというようなことに何となく思考が慣れている人間にとっては、こういう非常に先取りしていくということに、ある種の危険性といいますか、怖さを感じるということは一言申し上げておきたいと思っております。

 ですので、これがうまくいくことがいいと思うのですが、働き方改革、こうしたものがどんどん進んでいって、どんどん雇用政策が専門家だけしか分からないものになっていくということについては絶対に避けたいし、先取りの在り方と現状に対する認識とで対応するかということの間にどう立っていくかということについては、改めて御検討いただきたいというのが1点目です。

 2点目は、主に中澤委員のおっしゃったこととも関係するのですが、今回の政策が、ある種歴史的なターニングポイントになるとするならば、かなり思い切って就業に踏み込んだという、雇用ではなく、就業に踏み込んでいくということを、かなり明確にしたということが、歴史的なターニングポイントになり得るのかもしれないと。雇用によらない働き方というのをこれだけ政策の中でやっていくということは、これから雇用対策というはどういう範囲までを指していくのかという。むしろ素直に考えれば、雇用によらない働き方もやるのであれば、雇用対策ではなく、だからこの雇用対策基本部会も就業対策基本部会として今度はやるべきではないかということで、そうなったときに、今までの線引き若しくは他の政策との関連性をどうしていくかということは、これから大きく問われるところではあると思います。実際、今のコロナ対策の中でも、外から見ていると、雇用対策であることがある種の縛りになって、何かもどかしさを感じているな部分もあるのではないでしょうか。例えば、フリーランス対策も然りですし、在学中の学生・生徒が就業する場合の問題なども、何となく雇用対策というものをどういうように考えればいいのか、よく分からないといったようなことです。やはり、これから就業対策というものと雇用対策の関係をどうしていくかということを、今回の施策をきっかけにして、もう一歩踏み込んで、しっかりと位置付けをしていかなければならない状況になっていると思います。

 更に言えば、雇用というのは、やはり労働の法律に関して、かなり明確に定義されているのでしっかりしているのですが、就業に関して言えば、紺谷委員がおっしゃったように、かなりこれ自体は何をもって就業とするかというのは非常に幅があるわけです。非常に大げさに言えば、就業というのは、かなり文化性や地域性によるような部分があって、先ほどの社会貢献1つ取ってみても、何をもって必要な社会貢献とするかによっては、ある地域とか文化によってはかなり違う可能性が出てくるかもしれないのです。

 これまでの雇用政策というのは、一部の零細を除けば、多くはユニバーサルなデザインというか、ユニバーサルなサービスであって、どこの地域であっても同じように解釈できたり、同じように対策できるものを雇用対策として大事にしてきました。それが平等であるというような理念の下でやってきたのを、これが就業まで広げていくと、その地域的な平等性と同時に地域の違いをいかすということのバランスをどう取っていくのかという、また新しい問題を、本来はこの政策というのは投げ掛けているのかもしれなくて、非常に大きな今後の転換点である可能性があると思うので、この法政策が複雑化しているという点と、就業に大きく乗り出すということが、今後の施策に与える影響というのを、今回のこの法律の中で考えるというよりは、今後の大きな課題として重要な、これは問題点と言っているつもりはありません。今回の法律が更に日本の労働社会を良くするためのきっかけとして、そういう重要な問題提起をしているのではないかということを、今日皆さんの御意見を踏まえて感じましたので、是非今後の議論につなげていっていただきたいというように思います。時間が長くなりましたが、以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、お願いします。

○高齢・障害者雇用開発審議官 審議官の達谷窟でございます。今、玄田先生から大変貴重な御指摘を頂きました。ありがとうございます。正に今回、高齢者の皆様の就業機会の確保ということで、65歳、70歳の皆様の働き場の確保をどういうようにするかという中で、ニーズが多様化していることなどを踏まえまして、かなり幅広い選択肢を用意させていただいたというのが、ここの部会で御意見を頂いたところです。

 そういう意味では、正に今までの雇用対策とはちょっと違うと言いますか、この雇用対策の幅の外に出てきているといったところでは御指摘のとおりですので、従来の雇用対策と違うという点では、相当複雑化してきているというのも、正に御指摘のとおりだと思います。今回の法案は、まず第一歩として、しっかり施行させていただきたいと思いますし、雇用政策全般という御指摘でしたが、これをどうやって今後の在り方について考えていくのか、御指摘も踏まえて今後しっかり考えてまいりたいと思っております。ありがとうございました。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。

○酒井委員 時間が超過している中、申し訳ございません。創業支援等措置というのは、玄田先生からも出たように、やはり未知の領域に入っているのかなという気がしていまして、その中で、先ほどはいわゆる61報告の新しい調査票の仕様について御紹介があったかと思いますが、その創業支援等措置に関する項目というのは、ある意味で形式的な質問にとどまっているかなと思います。1点確認したいのは、実際にこれが実施された後に、より他の調査によって踏み込んだことが調べられるのかということを確認させていただきたいと思います。というか、是非確認していただきたい、調べていただきたいというように考えています。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、小野委員どうぞ。

○小野委員 創業支援等の施策についてなのですが、未知の領域にこれから踏み込んでいくというお話がありましたが、非営利セクターにとっては、今までこのグレーゾーンであった有償ボランティアという存在が、ある意味政策的に就業確保措置としてこれから存在していくということになっていくと思います。ですので、労働者や企業に対する周知というのは当然なのですが、非営利セクターにとってもこれは影響が及んでいく話になっていきますので、そちらに対しての周知も十分にやっていただきたい、混乱がないような形でやっていただきたいと思います。それから、有償ボランテイアについても、今一度定義について、労働者性がないような形での有償ボランティアというのはどういうものであるのかということを、やはり周知していただきたいなというようには思っています。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、事務局、何かありますか。

○高齢者雇用対策課課長補佐 では、手短にお答えさせていただきます。まず、御質問いただきました創業支援等措置に関する様々な実態の把握調査ですが、この61報告の中身はお示ししているとおりで考えていますが、関係機関などとも連携しまして、法律施行後における状況全般の調査をすることになろうかと考えております。その中で、しっかり創業支援等措置についても実態把握をするということで考えていきたいと思っております。

 小野先生からのご指摘につきましても、この法改正が与える周辺領域と申しますか、企業、労働者以外の方への影響というところ、そういった辺りも少し考慮に入れながら、この制度がしっかり世の中で運用されていくように、あるいは皆様に正しく理解し取り組んでいただけるように、引き続き検討してまいりたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。そのほかにいかがですか。それでは、本日もたくさんの御意見を頂戴しました。この後ですが、法律施行規則の改正、対策基本方針、指針、この3つについては、皆様のただいまの御議論を踏まえまして、必要な修正については私と事務局のほうで相談しながら一度まとめて、その後パブリックコメントを行い、最終的な案を厚生労働省から諮問していただいて、再度我々で議論していきたいと思いますが、そのような方向でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。では、事務局は引き続き対応をよろしくお願いいたします。

 それでは、議題3に入りたいと思いますが、事務局から何かございますか。

○総務課長 特にございません。

○阿部部会長 委員の皆様から何かございますか。よろしいですか。それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思いますが、最後に事務局から次回の日程についてお願いします。

○総務課長 次回の日程については部会長とも御相談し、個別に委員の皆様に御連絡させていただきます。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは予定されている議題は以上で終了しましたので、本日の部会はこれで終了させていただきます。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、お二人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の春川委員、使用者代表の川上委員にお願いしたいと思います。本日は大変貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。これで終了させていただきます。