令和2年7月17日 第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和2年7月17日(金) 13:00~15:00

場所

TKPガーデンシティPREMIUM田町 ホール4B+4C(4階)
(東京都港区芝浦3-1-21 msb Tamachi 田町ステーションタワーS)

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第48回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和2年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。書面での開催が続いておりましたので、前回お集まりいただいた1月31日以降に改選があった副反応検討部会の委員についてまとめて御報告いたします。桃井委員が本年3月をもって辞任され、伊藤澄信委員、森尾委員が新たに就任されました。また、長島委員が7月をもって辞任され、宮川委員が就任されました。順に御紹介いたします。独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター長の伊藤澄信先生です。
○伊藤(澄)委員 伊藤です。よろしくお願いいたします。
○事務局 東京医科歯科大学発生発達病態学分野小児科教授の森尾友宏先生です。
○森尾委員 森尾です。どうぞよろしくお願いします。
○事務局 公益社団法人日本医師会常任理事の宮川政昭先生です。
○宮川委員 宮川です。よろしくお願いいたします。
○事務局 はじめに、本日の委員の出欠状況について御報告します。副反応検討部会の永井委員、安全対策調査会の望月委員から、御欠席の連絡を受けております。また、長谷川先生は、少々遅れているようです。現在、副反応検討部会が、長谷川先生がいらっしゃいましたら副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員の6名のうち5名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。なお、全ての委員において関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
申し訳ありませんが、カメラ撮りは、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。本日の審議の前に、傍聴に関して留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や、会議中に退席となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので御留意願います。
本日の座長につきまして、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。部会長交代後、初めてお集まりいただいての開催となりますので、一言御挨拶いただいた上で、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾委員 副反応検討部会長に就任した森尾です。よろしくお願いします。専門は免疫及び感染症、血液疾患です。バランスの良い審議に務めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について、御報告いたします。本日御出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。本日の議題において調査、審議される品目は、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、A型肝炎、23価肺炎球菌、HPV、インフルエンザワクチンの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、MSD株式会社、デンカ株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社です。事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、宮川委員は第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、MRワクチン、風しんワクチン、麻しんワクチン、おたふくかぜワクチン、インフルエンザワクチンについて、柿崎委員は、MSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、23価肺炎球菌、HPVワクチンについて意見を述べることができますが、議決に参加いただけません。また、伊藤澄信委員はインフルエンザワクチンの薬事承認申請資料等の作成に関与していることから、当該ワクチンの審議に参加いただけないことを御報告いたします。
引き続き各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。以上でございます。
○森尾委員 ただいま事務局から、審議の参加について報告がありましたが、伊藤澄信委員は、インフルエンザワクチンの薬事承認申請資料等の作成に関与していることから、当該ワクチンの審議に参加いただけません。しかし、申請資料の作成に関与している場合であっても、分科会等が認めた場合には意見を述べることができるとされております。伊藤澄信委員は、インフルエンザワクチンについて、深い知識をお持ちであるため是非意見を述べていただきたいと思いますが、委員の皆様いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは、御了承いただけましたので、当該ワクチンについての意見を述べていただきたいと思っております。ありがとうございます。
それでは次に、事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 配布資料としては座席表、議事次第、委員名簿、配布資料一覧、資料が1~13、参考資料が1~2-4、委員の謝金等受取の申告状況、また委員限りの資料として「各社の出荷量と副作用の発現頻度」、各ワクチンの添付文書、リーフレット案の紙媒体をお配りしております。資料を御確認いただき、不足の資料等がありましたら事務局にお申出ください。
○森尾委員 過不足よろしいでしょうか。それでは、早速ですが議題(1)「各ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。まず事務局から、資料1~4までの説明をお願いいたします。
○事務局 はじめに、全体的な事項を説明いたします。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうでない比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は、比較的単独接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告の状況について説明いたします。比較的単独接種が行われるワクチンのうち、インフルエンザ以外のワクチンにつきましては、前回3月30日の合同会議において、昨年9月1日から12月末までの症例について報告しております。本日は、本年1月1日から4月末までの4か月間に報告された症例について説明いたします。
それでは、資料1~4について説明いたします。
資料1をご覧ください。MRワクチンです。具体的な製品名は1ページ目の上段にある「商品名」に記載しております。1ページ目の中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。MRワクチンの接種可能のべ人数は約71万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は20件、うち重篤なものは7件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00042%、医療機関からの報告頻度は0.0028%となっております。1ページ下段は「重篤例の転帰」等の情報をまとめております。今回の集計対象期間内で、医療機関から後遺症症例が1例、死亡症例が2例報告されております。
2ページ目に移る前に、本資料を含め、各資料の1ページ目の見方について説明いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため、医療機関の報告として掲示しております。また、中段の表、報告数の部分ですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内であったものについて、括弧書きでその件数を記載しております。また、製造販売業者ごとの出荷量や、副反応疑い報告頻度につきましては、別途、委員限りの資料をご覧ください。
2ページをご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただき、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。5ページ目をご覧ください。こちらは、予防接種法の副反応報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらも左側が前回までの報告、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。6ページから8ページは、報告された個別症例の一覧です。6ページの製造販売業者からの報告No1~3につきましては、同一文献に基づく報告であり、ワクチンのメーカー名が不明であるため、各社より報告されている症例です。7ページ、医療機関重篤No1が後遺症症例、No2とNo4が死亡症例です。9ページ、こちらは後遺症症例です。1歳女性、MRワクチンと水痘ワクチンを同時接種し、接種6日後に、全身性強直間代性けいれんが発現、サイトカインストーム性脳症を所見として認め、重度精神運動発達遅滞が後遺症症状となった症例です。表の一番右のカラムに専門家の意見を記載しております。「ワクチンとの因果関係は不明である、否定できない」との御意見を頂いております。10ページが、アナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回は、そのような症例はありませんでした。11ページが死亡症例です。いずれも現在、詳細調査中のため、調査結果が得られ次第改めて御報告いたします。資料1は以上です。
資料2は麻しんワクチンです。接種可能のべ人数は約2万人。こちらは対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略いたします。
続いて資料3をご覧ください。風しんワクチンです。接種可能のべ人数は、約3万人、製造販売業者からの報告が2件、報告頻度は0.0079%でした。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。4ページ、製造販売業者からの報告No1及び2につきましては同一文献に基づく報告であり、ワクチンのメーカー名が不明であるため各社より報告されている症例です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料3は以上です。
資料4をご覧ください。おたふくかぜワクチンです。接種可能のべ人数は約50万人、製造販売業者からの報告は4件、医療機関からの報告は7件、うち重篤なものが5件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00082%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、医療機関から死亡症例が1例報告されています。2~4ページは、症状別に集計した結果です。5~7ページは個別症例の一覧です。5ページ、製造販売業者からの報告No1及び2につきましてはいずれも健康被害救済制度の支給決定通知に基づき情報入手した症例です。6ページ、医療機関からの報告No4が死亡症例です。MRワクチンを同時接種しており資料1で説明した症例と同一です。8ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのよう症例はありませんでした。9ページは、死亡症例についてです。こちらは資料1のMRワクチンの死亡症例と同一ですので、説明は省略いたします。資料4は以上です。
資料1~4の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 それでは、ただいまの事務局からの説明について御質問、御意見はございませんでしょうか。
○多屋委員 いつも申し上げていることで恐縮ですが、資料1の製造販売業者からの報告例ですが、論文から報告された類天疱瘡の3人、資料3の同じく論文から報告されたシェ―グレン症候群の2人。これがずっと表に残って、割合の計算に使われていますので、同じ論文からこのような形で報告していただいた方については、やはり別で集計されたほうがよいのではないかと思います。3人ではなくて1人としてカウントしたほうがいいのではないかと。毎回申し上げていることなので恐縮ですが、どこかで検討いただければと思いました。以上です。
○森尾委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 御意見ありがとうございます。こちらでも資料の構成については、引き続き検討させていただいているところ、なかなか対応が進まず申し訳ございません。製造販売業者の調査が進み、このワクチンの製販がはっきり分かればそれ以外の製販の報告は取下げられるので、最終的には例えばMRワクチンでしたら3例が1例という形に集約されるものになります。製造販売業者からのこのような報告形態については、製造販売業者と引き続き報告の在り方について検討を続けておりますので、また進捗等がありましたら御報告いたします。
○多屋委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 同一のものが、より分かりやすくなるといいですね。ほかにはいかがでしょうか。
○濱田委員 MRについてですが、昨年から5期接種が始まっていると思います。副反応の状況について、始まった前後で何か変化みたいなものがありますでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○事務局 御質問ありがとうございます。現在ご覧いただいている資料が報告の実態ですので、5期の接種が始まって特に報告の様子が変わった印象は受けませんが、中身については改めて確認させていただき、先生に報告させていただきたいと思います。
○森尾委員 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これまで御議論いただいた内容をまとめたいと思います。今回確認できた内容としては、副反応疑いの報告頻度はこれまでに検討したワクチンに比べると、特段高いということはない。2つ目として、後遺症の報告は、MR・水痘ワクチン同時接種で1例ありました。ワクチン接種との因果関係は否定できないとされております。3番目としては、死亡症例は今回の集計対象期間内にMR・おたふく・水痘ワクチン同時接種で1例、MRワクチン単独接種で1例報告されました。いずれの症例も現在、詳細情報を調査中で、次回以降に改めて報告される予定です。このようなことでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。先ほど多屋委員から御指摘いただいた同じ論文の扱い方は、また継続的に検討いただけたらと思っております。それでは、この内容を踏まえて、現状の取扱いの変更をする必要があるかどうか御意見いただければと思います。よろしいですか。
それでは、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告において、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンの副反応疑い報告は終了いたします。
引き続き資料5~8までの説明をお願いいたします。
○事務局 資料5をお開きください。水痘ワクチンです。接種可能のべ人数は約64万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は9件、うち重篤なものが6件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00016%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、医療機関から後遺症症例が1例、死亡症例が1例報告されています。2~4ページは症状別に集計した結果で、5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。6~8ページは個別症例の一覧です。7ページの医療機関からの重篤報告No2が後遺症症例、No4が死亡症例で、いずれもMRワクチンを同時接種しており、資料1と同一の症例です。9ページは後遺症症例です。資料1のMRワクチンに掲載されていたものと同一の症例ですので、説明は省略いたします。10ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。11ページは死亡症例です。こちらも資料1のMRワクチン、資料4のおたふくかぜワクチンに掲載されていたものと同一の症例ですので、説明は省略いたします。資料5は以上です。
資料6は帯状疱疹ワクチンです。今回より審議対象となります。接種可能のべ人数は約3,000人、製造販売業者からの報告は2件で、報告頻度は0.069%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは個別症例の一覧です。4ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料6は以上です。
資料7はA型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約4万人です。こちらは対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略いたします。
資料8は23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約72万人、製造販売業者からの報告は22件、医療機関からの報告は42件、うち重篤なものが8件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0031%、医療機関からの報告頻度は0.0059%となっております。また肺炎球菌ワクチンに関しては、薬効欠除などのワクチンの副反応ではないと考えられる症状が報告されることについて、これまでの合同会議でも御指摘いただいており、うち数として肺炎球菌感染、肺炎等を除いた件数も示しております。今回の対象期間では、製造販売業者から肺炎関連の症例が報告されており、これらを除くと製造販売業者からの報告数は14件となります。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、製造販売業者から死亡症例が1例報告されています。2~8ページは症状別に集計した結果です。左側に★を付けている症状が1ページで、うち数として集計する際に除外したものになります。9ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。10~12ページは個別症例の一覧です。10ページの製造販売業者からの報告No1が、死亡症例です。14ページはアナフィラキシーのまとめですが、今回はそのような症例はありませんでした。15ページからは死亡症例についてです。16ページ以降に詳細な経過や専門家の意見を添付しておりますので、併せて御確認ください。対象期間内に肺炎以外の症状で報告された症例は1例です。No1の年齢不明男性の症例は、患者家族からの情報に基づく報告であり、情報不足のため、ワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。No2は対象期間前に報告された65歳女性の症例で、昨年8月の合同会議で報告済みの症例ですが、追加報告に基づき再調査された症例です。今回新たに下線部の情報が追加され、再評価を行っています。調査の結果、剖検にて間質性肺炎の急性増悪の所見が認められたとの情報が追加されましたが、死亡等の因果関係は前回同様不明であるとされています。16ページ以降の公表不可としている委員限りの資料については、その内容を御発言いただく際は、患者さん個人の特定につながらないよう御配慮いただきますよう、よろしくお願いいたします。資料8については以上です。
資料5~8の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。事務局からの説明に対して、御意見、御質問はいかがでしょうか。
○倉根委員 資料8の23価肺炎球菌ワクチンの11ページの7番目ですね。7番の報告の方ですが、これはほかにもあるのかもしれませんが、右からいくと7番目ぐらいのカラムに、症状名があります。そこに、「C-反応性蛋白の増加、白血球数増加」というのが、症状名として入っているんですね。でも、これは検査結果であっても症状名ではないと思うので、これは医療機関からの報告ではあるけれども、症状名としては適切ではないと思うので、私は削ってもよいのではないかと思いますが。
○森尾委員 発熱だけで、よろしいかということですね。いかがでしょうか。
○事務局 念のため、医療機関から届けられている症例表を確認させていただきますので、少しお待ちいただけますでしょうか。
○森尾委員 ほかにいかがでしょうか。
○多屋委員 先ほどの、MRのところで申し上げたほうがよかったかもしれませんが、資料5のMRワクチンと水痘ワクチンの同時接種の症例で、脳症で後遺症が残された方が報告されています。この方については、接種から3日後から40度の高熱、解熱後の全身の発疹ということで、典型的な突発性発疹の症状を呈されています。この症例の報告の中に、病原体を検索するために様々な臨床検体から病原体を検索したという記載があり、そこには細胞成分を含まない血清からHHV-6が検出されたと書かれていますので、HHV-6による脳症ということがたまたま接種3日後から始まってしまったということがかなり疑わしいと感じます。でも、このようにきちっと病原体検索をすることはとても大事なことだと思いますので、しっかり実施して副反応か、あるいはほかの病気かの鑑別は、これからもやっていったほうが良いと思ったので申し上げました。
あと、もう1つですが、同じく資料5で帯状疱疹の症例がお二人報告されています。以前の部会でも議論になりましたが、帯状疱疹の症例の場合は、ワクチン株か野生株かの鑑別が重要であることを、当時倉根先生もおっしゃっておられたと思うのですが、もし今後帯状疱疹が報告されたときは、病原体検査についても先ほどの脳症の症例とともに、重要な課題と思いますので、御検討いただけたら有り難いです。以上です。
○森尾委員 ありがとうございます。これは、どう反映させていくかは難しいですかね。やはり、病原体の検査はできるだけ詰めていくことを、何かうまく提言として出せればいいかなという感じがいたします。HHV-6脳症の方は、本当にそのとおりで、背景に、ジェネティックファクターもあるかもしれないなと思ったりもしておりましたが。貴重な御意見をありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○舟越委員 直接審議事項には関わりませんが、資料6のシングリックスで、病院ですと発売当初は需要が非常に多くて、供給のほうが1医療機関に20本という割当て制限がかかっていました。対象患者も、優先順位をつけて接種の計画を診療科と調整をしていたのですが、今は供給はどうなっているかというのを事務局に確認を取りたいと思いますが。
○森尾委員 舟越委員、ありがとうございます。事務局で、何か情報はありますでしょうか。私も少ないなと思っておりましたが。
○事務局 帯状疱疹ワクチンの供給に関しましては、月別の目安の数字が設定されていると製造販売業者から伺ってはおりますが、医療機関から希望された数字については、現在のところ希望数を納入できていると伺っております。
○森尾委員 供給は、十分であるという理解でよろしいですかね。ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
○事務局 先ほど倉根委員より御意見頂いた資料8の症例について、症例表を確認いたしましたので、その件について御報告いたします。こちらは医療機関報告ですが、医療機関報告の経過に記載された症状名を拾い上げて、こちらに掲載させていただいている状況です。先生の御意見は、大変御理解できますが、事務局側で症状名を恣意的に削除する判断ができませんので、全ての症状について書かせていただいていることを、御理解いただければと思います。
○倉根委員 分かりました。
○森尾委員 記載が、報告側の問題だったのですかね。ほかにはいかがでしょうか。ありがとうございます。
それでは、これまでに議論された内容をまとめたいと思います。確認された事項としては、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはない。後遺症の報告は、MR・水痘ワクチンの同時接種1例であり、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされた。死亡症例は、今回の対象期間内にMR・おたふく・水痘ワクチンの同時接種で1例、23価肺炎球菌ワクチンで1例報告されました。MR、おたふく、水痘ワクチンの同時接種症例は、現在詳細情報を調査中であり、次回以降に改めて報告される予定です。23価肺炎球菌ワクチンの症例は、情報不足のためワクチン接種と、死亡との関係は評価できないとされた。対象期間内に報告された23価肺炎球菌ワクチンの症例については、追加情報に基づく情報が報告された。ワクチン接種と死亡との因果関係は不明であるとされた。
このようなことでよろしいでしょうか。この内容を踏まえて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において、重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。以上で、水痘、帯状疱疹、A型肝炎、肺炎球菌の各ワクチンの副反応疑い報告は終了いたします。
引き続き、資料9~11までの説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 資料9はサーバリックスです。接種可能のべ人数は3,017人で、医療機関から非重篤1件の報告があり、報告頻度は0.033%となっております。販売開始からの累計は参考として中段下の部分に記載しております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~10ページにかけて症状別に集計した結果を記載しております。11ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。今回の対象期間には該当する症状の報告はありませんでした。12ページは報告された個別症例の一覧です。13ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。14ページは接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。今回、該当する症例はありませんでした。資料9は以上です。
資料10はガーダシルです。接種可能のべ人数は2万5,445人で、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は非重篤3件でした。またこれらのうち、今回の集計対象期間内に接種が行われた症例の数をそれぞれ括弧書きで記載しておりますが、今回の対象期間内に接種された報告は、製造販売業者から1件ありました。報告頻度はいずれも0.012%となっています。販売開始からの累計は参考として1ページ中段下の表に記載しております。1ページ下段の重篤例の転帰について今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~7ページにかけて症状別に集計した結果を記載しております。8ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。今回の対象期間内には該当する症状の報告はありませんでした。9~10ページは報告された個別症例の一覧になります。11ページは後遺症症例になります。対象期間前に報告された14歳女性の症例です。経過が非常に長いので、別紙として14ページ以降に記載しております。2011年頃HPVワクチンを接種、2012年3月より「気分が落ち込む」という症状が発現し、抑うつ気分が後遺症ありとされた症例です。今回新たに下線部の情報が追加され、そちらの症状をもって改めて再評価頂く症例となっております。11ページ右側のカラムに専門家の評価の結果を記載しておりますが、「情報が不足しているため因果関係について評価できない」などとされています。12ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。13ページは接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。今回は該当する症例はありませんでした。資料10につきましては以上です。
資料11、失神関連副反応疑いについて御報告いたします。こちらはHPVワクチン接種後の失神関連の副反応が疑われる症例をまとめた資料のアップデートになります。2~8ページがサーバリックス、9~13ページがガーダシルのまとめです。2ページの1.サーバリックスの国内の発現状況ですが、販売開始から本年4月末までの報告は994例、発生率が10万接種当たり14.17例でした。このうち、意識消失のあった症例は661例で、10万接種当たり9.42例でした。3ページは意識消失までの時間を表したもので、上の棒グラフは接種後30分までに発現した症例を、下の表は接種後30分以降に発現した症例をまとめたもので、多くは30分以内に発現しているという状況です。4~8ページは意識消失があった症例の時期ごとの発現の傾向を示しています。8ページが最近のものになりますが、ここ最近の事例として報告された症例はございません。9ページ以降はガーダシルの資料です。9ページ1.ガーダシルの国内の発現状況ですが、本年4月末までの報告は406例、発生率が10万接種当たり19.9例となっております。このうち意識消失のあった症例は277例で、10万接種当たりの発現率は13.6例でした。10ページからはサーバリックスと同様にそれぞれ意識消失などの時間を示したグラフと表になっております。傾向はサーバリックスと同様です。12~13ページにかけては最近の報告となりますが、ここ最近の事例として報告された症例はございません。資料11につきましては以上です。
資料9~11の説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森尾委員 ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見はいかがでしょうか。
○倉根委員 資料10の11ページの症例の所ですが、下線は後で付け加わったと確か御説明があったと思うのですが、基礎疾患のマイコプラズマ肺炎と百日咳、あるいは外科手術というのは、接種の前に存在していたけれど、情報としては入っていなかったということでしょうか。以前に罹患していたけれども、情報としては入っていなかった、あるいは接種のとき罹患していたけれど、情報として入っていなかったとそういう理解でよろしいですか。
○事務局 下線部の情報につきましては、新たに得られた情報である場合と以前に報告された症状と若干記載が変わっている場合もございます。改めて今回の報告、以前の報告症例を確認させていただきますので、申し訳ありませんがこちらにつきましても症例票を確認しまして、後ほど回答させていただきます。
○倉根委員 ワクチン接種後にこれにかかったのか、その前にかかっていたのかそこの時間経過を教えていただければそれで結構です。
○森尾委員 何か情報が届きましたか。
○事務局 資料の14ページ以降に経過があるのですけれども、はじめのパラグラフの辺りにその記載がありまして、マイコプラズマ肺炎が8歳、百日咳が8歳等々の既往歴があったという記載があります。
○倉根委員 はい、分かりました。失礼しました。ありがとうございます。
○森尾委員 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。事務局から失神関連反応疑いの報告頻度の見直しについて何かございましたでしょうか。
○事務局 前回3月30日の合同会議は書面で開催しておりますけれども、その際に委員から資料11、失神関連疑いの報告資料について、この資料の在り方について幾つか御意見を頂いているところです。現在はHPVの定例の報告に併せて企業から資料を提出いただいて、提示しているのですけれども、一定程度の失神が起きるという注意喚起は、これまでの症例の積み重ねである程度分かっている部分もあり、注意喚起としても、接種後30分程度は背もたれのある椅子に休んでおくようにというような注意喚起を現在行っている状況ですので、逆にこのような資料を提示し続けることが、HPVワクチン接種をすることに対する不安を煽るのではないかというような御意見もあるところだと理解しております。この資料の在り方について、先生方から引き続き継続して定例のワクチンの報告と併せて報告したほうがよろしいか、あるいはその報告頻度等を見直したほうがよろしいか、御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 委員の皆さまからいかがでしょうか。
○多屋委員 失神に関してはHPVワクチンが接種されるようになった頃、例えばこの資料の4/13ページにあるように、初期の頃はかなり頻度が高く、失神が起こることがあると注意喚起された後、同じ出荷数でも症例の報告が少なくなってきたという経緯があります。最近とても頻度が少ないので、取りまとめの間隔をもう少し長くされることはいいかと思うのですけれども、これを完全に無くしてしまうと、忘れられてしまうといけないので、残しつつ頻度をもう少し少なく、間隔を長くすることはいかがでしょうか。完全に無くしてしまうのは余りよくないと感じております。
○森尾委員 ありがとうございます。無くすことは少し行きすぎだけど、間隔を長くしたらどうかということです。皆さんいかがでしょうか。
○伊藤(澄)委員 これは最初の頃に失神が起きやすいことを皆さんが注意したから頻度が減ってきていると理解をするべきではないかと思うのです。それでも一定程度あるということについては、きちんと皆さんにお伝えした上で、今後どうすればいいのかということを考えればという気がします。
あともう1点質問でもあるのですが、最初に失神を起こした人が、2度目の接種についてどうされるのかを、十分に提示をしていかないといけないのではないかと。とりわけ今回提示された症例で、1回目で打って具合が悪かったにもかかわらず、2回、3回と打ち続けているのは少し気になっていて、ワクチンはもともと予防するためのもので、病気をつくるものではないと思うので、ある程度情報をまとめて、医師や、これから出てくるHPVワクチンに対するパンフレットの中にも、具体的に例えば1万人に1人の方が、痛みで失神を起こすことがあるということが書かれているか書かれていないかで、随分心構えが違うでしょうし、具体的にそういう症状が出たときにはどうすればいいのかについても、もう少し丁寧に書いていくことが皆さんの不安を極小化することではないかという気がいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。伊藤委員、このワクチンのパンフレットについて、また後ほど恐らく議論があるかと思っておりますけれども、今、1回目に接種された方でそういう失神を起こした方が、2回目、3回目どうされているかここら辺何かデータがあるのですか。そういう切り口のということは。
○多屋委員 頻度が高く報告されていたときに部会でも議論になったのですけれども、採血するときもそうですが、採血等で気分が悪くなったことがありますかという問診をされて、そういう場合は横になって採血をすることで随分その症状の緩和ができるので、1回目にそういうことを起こした場合は、2回目以降はベッドに横になられて接種されるようなことが臨床の現場ではされていらっしゃるかと思います。後ろに倒れたり前に倒れたりという報告があって、30分は背もたれのある椅子で支えながら体調を見ましょうということが出てきたのも、ここからきていると思いますので、十分、この報告がその後の対策に貢献しているのではないかと感じています。
○森尾委員 この情報の収集とそして提供という形で、恐らく継続して情報提供が必要だろうという御意見かと思いますが、その頻度についていかがでしょう、具体的にこのくらいでという何か御意見があれば承りたいと思います。五十嵐委員お願いいたします。
○五十嵐委員 HPVワクチンは接種の対象が12歳の女児が中心であったという点です。この年齢の女性の方たちは、起立性調節障害等の体質を持っている方が3割から4割ぐらいおられます。彼女らはデリケートで、予防接種を受けたことが精神的なストレスになり様々な症状の誘因となることが推定されています。また、接種後に立ち上がったときに、生理的に血圧が下がってしまう、心拍数が増えるなどの現象が起きやすいことも特徴です。こうしたことは成長段階における一つの特徴と言えます。
A型肝炎ワクチンを12、13歳の女性に筋注した場合にもやはり同じことが起きうるのですが、接種する数が少ないために、これまであまり問題にはなりませんでした。
対象者がデリケートな方たちであるために、接種後に様々な症状を呈することがHPVワクチン接種を契機に分かってきたと理解しています。最近ではそれに対する予防策や注意喚起が行き渡っていると思います。私の個人的な意見としては、年に1回ぐらい御報告するのがいいのではないかと考えています。
○森尾委員 貴重な御意見ありがとうございました。いかがでしょうか。1年に1回ぐらいと。そしてこういう対応をしたらうまく臨床の現場でも対応できるようになってきたと。そしてこういう頻度であるというのを、しっかりしたメッセージも出していく必要があるかと思います。1年に1回程度でどうかという御意見ですけれども、いかがですか。
○倉根委員 今ほとんど数がない、積み重なっていかないのであれですが、1年に1回ぐらいというのを決めておいて、事務局として、仮に数が少し増えた、ある時期に増えてきたとか、何か問題が出てくるようであれば、それはそれとしてその時期に出していただくというのがいいのではないかと思います。
○森尾委員 いかがでしょうか。倉根委員から修正というか、モニターはしながら何かあればアラートを出すと、それが何もなければ1年に1回でどうかということですがそういう方向でよろしいでしょうか。事務局のほういかがでしょうか。
○事務局 御意見ありがとうございました。先生方から頂いた意見を含めまして、事務局で検討させていただきます。方向性としましては、1年に1回程度、その頻度に新たなシグナルが見られるようであれば、少しタイミングを早めて報告させていただくという方向で検討させていただきたいと思います。
○森尾委員 ほかに資料9~11について、何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。それではまとめさせていただきますと、今回の報告では、過去に発生した症例が時間をおいて直近に報告された例が多い状況ですけれども、全体の傾向としては、これまでの報告と大きな変化はないと考えられるという形でまとめさせていただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。
○濱田委員 MRまで戻ってすみませんが、MRワクチンの5期接種は日本でも初めて40、50代に生ワクチンを集団で接種する形になります。今まではそんな接種はやってなかったわけですけれど、その意味で先ほど何か変わったことがあるのかどうかを伺いました。
実際今まで黄熱ワクチンは中高年者に接種しているわけです。それにあたって黄熱の場合、糖尿病についての問診を検疫所や当院でも行っています。というのは糖尿病の人が生ワクチンを打つと、ウイルスの増殖により糖尿病が一時悪化するケースがあるということで、HbA1c8以上は要注意という対応をしているのですね。今回、MRのところで、7ページのNo4というケースは、糖尿病性のケトアシドーシスを起こして亡くなっています。
今後も、時限的にMRを40歳代~50歳代に打つわけですけれど、同じように糖尿病が悪化してくるケースもあるのではないかと考えております。添付文書を見ると一切そういうことは書かれてはいないのですね。ですから、こういうケースがほかにもあるのかどうかも調べていただいたほうがいいと思いますし、大人への生ワクチンの接種に当たっては注意をしていかないといけないのではないか。この糖尿病のケースは、ワクチン接種が原因なのか分かりませんけれど、そういったケースが実際に起きているということは、注意をしたほうがいいと感じました。
○森尾委員 実際どういたしましょうか、データを取りまとめることも重要だと思うのですが、そういう添付文書を含めるとなるとまた違った次元のことになってくるとは思うのですけれど、注意喚起というのはどういう形で。何か御意見とかございますでしょうか。
○多屋委員 私もこの症例を拝見して気にはなっていたのですけれど、現在調査中となっていましたので、この調査中の結果が今の段階ではまだ分からないので、これが判明したときに、次に議論されるのかなと思っていました。少し詳細な情報が得られてから議論頂くというのはいかがでしょうか。
○森尾委員 濱田委員、今までほかの国では報告が論文として出ているということでよろしいのでしょうか。
○濱田委員 今まで大人にMRワクチンを集団で打つということが実際に行われてはいませんでした。生ワクチンなら黄熱ワクチンは接種していますけれど、集団というわけではないです。本件の論文的な検索もしてみないといけないのではないかと思います。それに基づいて、あるいは実際の症例を検討した上で、必要であれば何か注意喚起みたいなものを出してもいいのかと思っております。
○森尾委員 貴重な御意見、御視点を頂きました。エビデンスを下に見ていく必要があるかと思いますので、早急に論文的なところと今までの症例などをまとめつつ、検討ということで、次回もまた持ち越しで何か進展があれば協議をと思います。こういう形でよろしいですか。ありがとうございました。
現状の取扱いにつきましては変更、特段の御意見がないということでよろしいでしょうか。
御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において現状の取扱いを変更をする新たな懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。これでHPVワクチンの副反応疑い報告は終了いたします。ありがとうございました。
引き続きまして、資料12の説明をお願いいたします。
○事務局 資料12はインフルエンザワクチンです。こちらにつきましては昨年10月から本年4月末までの結果をまとめております。1ページ目をご覧ください。資料の構成がほかのワクチンとやや異なっております。接種可能のべ人数は表下の注意点、二つ目の※中に記載しております約5,649万人となっております。報告数は表に記載しておりますが、1か月ごとの集計としております。合計は表の一番下で、製造販売業者からの報告55件、医療機関からの報告は277件、うち重篤なものが93件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.000097%、医療機関からの報告頻度は0.00049%となっております。死亡症例は製造販売業者から1件、医療機関から5件報告されています。2ページ目以降は、医療機関からの報告につきまして関連性の内訳別に集計した結果です。3ページ目は、上段が患者の性別、中段が年齢の内訳別に集計した結果です。下段には参考として2018年/2019年シーズン、2017年/2018年シーズンの数字を記載しております。1ページ目で先ほど御説明した今回の報告頻度と比べて特段高いという状況ではございませんでした。4~6ページが症状別の集計で、表の左側が昨シーズン、右側が今シーズンの件数となっております。7ページが予防接種法の報告基準に定められた症状につきまして集計した結果を記載しております。8ページ以降が個別症例の一覧となっております。8ページ、製造販売業者からの報告No6が死亡症例、No14が後遺症症例です。10ページの医療機関からの報告のNo8及びNo9につきましては双胎児の症例で、同一の経過をたどった報告とされています。11ページ、医療機関重篤報告のNo31が死亡症例です。同様に12ページのNo67、68、13ページのNo85、91が死亡症例となっております。22ページをご覧ください。後遺症症例を記載しております。No1は74歳男性の症例で、ワクチン接種後2日後に右顔面麻痺となり、ベル麻痺の残存が後遺症症状となった症例です。表の一番右のカラムに専門家の意見を記載しており、「ワクチンとの因果関係は不明である」とされています。No2は44歳女性の症例です。ワクチン接種翌月より足底部のしびれが発現し、しびれが後遺症症状となった症例です。専門家の意見は、「ワクチン接種との因果関係は否定できない」とされています。23ページNo3は11歳女性の症例で、ワクチン接種2日後に歩行障害、接種8日後に視力障害などが発現し、視力低下が後遺症症状となった症例です。No4は基礎疾患に川崎病を有する6歳女性の症例で、ワクチン接種26日後から発熱、意識障害があり、境界域の知的発達が後遺症症状となった症例です。どちらの症例も一番右側の専門家の意見は、「ワクチン接種との因果関係は否定できない」とされています。24ページNo5、基礎疾患にてんかんを有する5歳女性の症例で、ワクチン接種3~4日後に水疱形成、色素脱失(白斑)が後遺症症状となった症例です。一番右側の専門家の意見は、「因果関係は評価できない」との御意見をいただいております。25ページの後遺症症例は、今回の対象期間より前に接種された昨シーズンの症例です。58歳男性の症例で、ワクチン接種14日後に右上肢の疼痛及びしびれが発現し、麻痺状態が持続している症例です。一番右側の専門家の意見は、ワクチンとの因果関係を記載しておりますが、「情報不足のため評価できない」との御意見をいただいております。26ページの後遺症症例は、昨シーズンの症例なのですが、報告した後の追加報告で後遺症と判明した症例を記載しております。No1は基礎疾患に高血圧・糖尿病を有する80歳男性の症例ですが、ワクチン接種8日後に発熱があり、意識レベルは低下して入院し、急性散在性脳脊髄炎とされた症例で、その後転帰が後遺症となり、両下肢MMT4レベル、排尿障害が後遺症症状となった症例です。専門家の意見は、「ワクチンとの因果関係は否定できない」とされています。No2は2型糖尿病など複数の基礎疾患を有する88歳女性の症例で、ワクチン接種26日後に脱力などの症状が見られて入院、脊髄炎と診断され、四肢のしびれが後遺症症状となっております。専門家の意見は、「ワクチンとの因果関係は評価できない、否定はできない、判断しがたい」等の御意見をいただいております。27ページは、ギラン・バレー症候群(GBS)、 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の可能性のある症例のまとめです。今回の期間内に医療機関から8件、製造販売業者から2件報告があり、専門家による評価の結果、ADEM4件、GBS1件が「ADEM、GBSとして否定できない」と評価されました。症例の詳細につきましては次のページ以降を御覧ください。該当する症例につきましては、29ページのNo5及びNo6、30ページのNo7及びNo9、No10となっております。縦に表をご覧になっていただき一番右側に事務局評価を記載しております。31ページの症例は昨シーズンの症例で、GBSの症状名で報告された症例です。一番右側、事務局評価は「情報不足で評価できない」とされております。32ページも昨シーズンの症例ですが、症例として報告された後に下線部の情報が追加され、再度御評価いただく症例です。記載されている3症例につきましては、いずれも事務局評価としては「情報不足で評価できない」とされております。33ページも昨シーズンの症例ではありますが、こちらは報告された後の追加報告で、ADEMと判明した症例になります。先ほど26ページで報告した後遺症症例と同一ですので、詳細は割愛しますが、専門家の意見に基づき「ADEMの可能性は否定できない、ワクチンとの因果関係は否定できない」という評価をしております。34ページはアナフィラキシーの可能性のある症例についての資料です。アナフィラキシーとして報告された数、ブライトン分類3以上とされた報告数、その報告頻度を製造販売業者ごと、ロットごとに集計しております。全体の数字につきましては、表の一番下に記載しておりますが、全体で22件報告があり、うちブライトン分類3以上とされたものが8件、報告頻度は10万接種当たり0.2となっております。同様に35ページには昨シーズンの結果を記載しておりますが、今シーズンと比較して、全体の報告頻度として特段大きな違いはございませんでした。
なお前回3月30日の合同会議の書面開催におきまして、多屋委員よりアナフィラキシー症例の集計につきまして御意見をいただいております。「ロットの最後にあるアルファベットが違っていても、数字が同じであれば製品としては同一ロットと考えて集計したほうがよい」という御意見でした。この点につきまして製造販売業者に照会をいたしまして、御指摘のとおり同じロットとして扱うことで問題のないことを確認しております。しかしながら今シーズンにつきましては、3月30日に一度中間報告の形で報告しておりますので、次のシーズンから資料の体裁について変更させていただきたいと考えております。
戻りまして36~39ページにかけて、アナフィラキシーの個別症例につきまして記載しております。詳細は省略させていただきますが、該当症例につきましては、36ページのNo1、37ページのNo8及び9、11、38ページのNo18、20、21、39ページのNo22の8症例になります。40ページからは死亡症例の一覧になります。今回の報告対象期間内に6件、対象期間後に1件の報告がありました。3月30日の中間報告の際に、既に報告が済んでいる症例につきましては、左から2列目に「報告済」と記載しております。現在、詳細調査中の症例、番号ではNo2及びNo5になりますが、こちらにつきましては調査結果が得られ次第、改めて御報告させていただきます。43ページに記載の対象期間後6月5日に報告された症例につきましては、医療機関等の情報がなく、これ以上の調査ができないため、今回の報告をもって御評価いただくものになります。44ページに委員限りの資料として詳細を掲載しておりますので、御確認ください。資料12の説明は以上となります。
続きまして参考資料1をお開きください。2019年8月30日合同会議資料8、「インフルエンザワクチンの副反応疑い報告状況」及び2020年3月30日合同会議資料11、「インフルエンザワクチン副反応疑い報告状況」におきまして、誤りがございました。申し訳ございません。詳細は資料を御確認いただければと思いますが、これまでの評価に影響を与える誤りではございません。ホームページに記載している当該資料につきましては、追って差替えさせていただきたいと思います。報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森尾委員 ただいまのインフルエンザワクチンに関する副反応疑い報告につきまして、御意見、御質問ありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それではまとめさせていただきますと、かなり多数の報告でございますけれども、インフルエンザワクチンにつきましては、副反応疑い報告数、死亡数、アナフィラキシーの発生頻度等については、昨シーズンのそれらと同等程度であり、大きな変化はなかったというような形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。それでは現状の取り扱いの変更につきましても、こちらはそのままという形で承ってよろしいでしょうか。
そういたしましたら御審議いただきましたインフルエンザワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性につきまして大きな重大な懸念は認められないという評価とさせていただけたらと思います。ありがとうございました。それでは以上でインフルエンザワクチンの副反応疑い報告は終了させていただきます。
それでは議題(2)です。HPVワクチンの情報提供についてということで、1月31日からの議論の持ち越しという形になっておりますが、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは資料13、「HPVワクチンの情報提供について(案)」というファイルをお開きください。1ページ目は今までに御議論いただいたことということでまとめております。情報提供の目的・内容・方法について、次のような方向で議論が行われてきました。
まず、目的ですが、公費によって接種できるワクチンの一つとして、HPVワクチンがあることについて知っていただくということ。HPVワクチン接種について、検討・判断するためのワクチンの有効性・安全性に関する情報や、接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を、接種対象者及びその保護者に届ける。こういった目的を踏まえ、更なる情報提供の充実を目指すということで御議論をしていただいてまいりました。
内容については、また、本日、後ほど御議論を頂きたいと思いますが、また、情報提供の方法について、10歳からリーフレットまたは同様の主旨の情報提供資材の個別送付を行うことで、それに向けた情報提供の内容を作っていくということでもあります。
接種を希望する場合は接種を受けられるよう、接種の方法をリーフレット等と併せてお知らせするということ。さらに今この情報提供に当たっては、積極的な勧奨とならないよう留意すること。こういうこともこれまで御議論いただいてまいりました。
本日御議論いただきたいことですが、現在3種のリーフレット、これはタブレットの中にも参考資料として入れておりますが、これをどう改訂するかということで、これまで御議論いただいた内容を踏まえて具体的な内容について、御検討いただきたいと考えております。
資料13の次のページにそのリーフレットの改訂の方向性として、今まで1月の議論のときに言われた内容を改めて書いておりますが、対象者、目的を改めて整理すること。読みやすさ、分かりやすさを重視すること。そしてリーフレットの方向性としては、まずマル1、HPVワクチンの接種の対象年齢のお子様及びその保護者に向けたリーフレットを作るということで、更にこれについては、まずは手に取り読み始めてもらえるものにするというようなこともありますので、情報を端的にまとめた概要版と、より詳しい情報を知りたい方向けの詳細版に分けるという方針で議論いただいてまいりました。
マル2、HPVワクチンを接種したお子様及びその保護者向けリーフレットについては、接種後の注意事項等に情報を絞って、今まで4ページのものを、2ページの簡潔なものにするという方向で御議論いただいてまいりました。
マル3、医療従事者向けのリーフレットについては、各種データの時点更新、その他の修正を行うという方向です。
お手元に、別紙1~4としてリーフレットの案を置いております。まずピンク色の別紙1は、接種を検討しているお子様と保護者と対象者が今まで書いてあったものを、対象者を対象者全員に向けて発信すべきという御意見もありましたので、小学校6年から高校1年生相当の女の子と保護者の方へのお知らせとさせていただいております。
2、3ページですが、これまでの議論の中で子宮頸がんについての情報であるとか、またがん対策全体ですね、ワクチンだけではなくて検診も含めて、こういった子宮頸がんや子宮頸がん対策に関する情報をしっかりと入れるべきということで、そういう情報を追記をしております。
3ページの右半分の真ん中から下ですが、HPVワクチンの効果やリスクについては言葉をできるだけ平易にして文章を簡潔にする方向で、また、そこに書き切れない詳細については、詳細版のほうに記載するという形で案を作らせていただいております。併せて救済制度など制度の説明については詳細版のほうにまとめさせていただくことで、案を作らせていただいております。
前回1月の御議論では痛みについてあらかじめ記載したほうがいいという御意見もありましたので、このリスクのところに痛みが強いと感じる方もいらっしゃるというようなことを記載しておりますし、先ほどの御議論にもありましたような1、2回目に気になる症状が現れたら、それ以降の接種をやめることもできますといった情報もここに記載させていただいております。
4ページです。接種したい場合の接種方法について記載をするという方向となっておりまして、ワクチンを受けることを希望する場合にどう受けるかという情報を、記載させていただくことを考えております。その際市町村ごとでいろいろな情報が異なると思いますので、市町村からの御案内を載せることができるスペースを空けておいたらどうかと考えております。
4ページの下のほうですが、1月の御議論で全部の情報は書き切れないので、Webとの連携が必要ではないかという御意見もありましたので、そのQRコードを掲載すること、また相談窓口等については、詳細版とこうしたホームページに記載するということで対応してはどうかと考えております。また、行政用語をできるだけ分かりやすくという御意見も出ておりました。積極的勧奨の差控えについてどのように記載するかというところですが、その言葉の示す意味を具体的に分かりやすくということで、おすすめするお知らせをお送りするものではないということを、ここに記載をさせていただいております。
別紙2、水色のリーフレットが詳細版のものです。2ページから3ページにかけては、概要版と同様に子宮頸がんについての説明でありますとか、また3ページの右下にありますように、子宮頸がんの治療に関する説明、こういったものは今まであまり入っていなかったところですが、追加をさせていただいております。
3ページ、上の「子宮けいがんにかかる仕組み」については、言葉を平易にするといった工夫をさせていただいているものです。
4ページ、1月の御議論で世界での状況などについても記載すべきという御意見もありましたので、4ページの上のところにそういった情報を入れさせていただいております。また子宮頸がん対策全体、ワクチンと検診ということで、検診にも力点をおいて御紹介をさせていただいております。
5ページ、接種したい場合の接種方法、何回接種するとか、どういった時期に接種するといった情報、今まで提供できておりませんでしたので、こういうことについても記載してはどうかと考えております。
その下、HPVワクチンの効果、それから6ページ、HPVワクチンのリスクですが、これは今までの青いリーフレットに記載をしていた内容を十分に踏まえまして、こういった言葉をできるだけ平易に記載をするという方針で案を書かせていただいております。
7ページ、この副反応検討部会であるとか、また健康被害救済制度の説明ですが、こちらのほうもなかなか平易に書くことが難しい領域ではありますが、可能な限り平易に書くように努めたつもりです。
7ページ下の、「ワクチン接種の注意点」については、ここのところには簡潔に重要なことを記載をしておりますが、あとで御紹介いたしますオレンジのリーフレットのほうに詳細を記載するという形で整理をさせていただいております。
8ページ、市町村からの御案内を載せるスペースを作っておりますのと、相談先についてもいろいろな相談先があるというような内容ですとか、それから具体的な相談先について厚労省のホームページに記載しますので、そちらへのリンクを記載するという形に記載しております。
続いてオレンジの別紙3です。こちらHPVワクチンを接種後の注意事項をまとめることにしたものです。対象を明確にしてHPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へといった形で対象名を加えております。内容については、現在ありますオレンジ色のリーフレットの内容をほぼ踏襲をさせていただいておりまして、青いリーフレットと重複する部分を外して接種後に重要なことを漏らさず記載をするという方針で、編集をさせていただきました。
緑色の別紙4です。医療従事者の方へというものです。これについてはデータの時点更新を行うということが中心ですが、例えば「ワクチンの有効性について」の真ん中の辺りで、子宮頸がんによる死亡者が2700人と書いてあったものが、時点修正で2800人となっているというようなところ。ほかにも幾つか変わっております。「HPVワクチンの効果について」のところでは、今までHPV型の情報について、どの型のHPVをワクチンが予防するのかということが記載されていなかったので、それを追記しております。また、1番下の行で「子宮頸がん検診を定期的に受けるよう指導・助言してください」という内容も追記しております。
次ページ、HPVワクチン導入のインパクトは、新たな論文等にしたがってデータの更新をいたしております。
ワクチンのリスクのところについては、先ほども御議論ありましたが、真ん中の緑のカラム、接種にあたっての注意マル1、それから右ページ上のマル2、こういうところは今までも類似の内容は記載されていたのですが、いろいろな文書の中にもぐり込んでおりましたので、こういう注意事項がはっきりと分かるように、目立つように、またワクチンの一般的な話ではなくて、HPVワクチン特有の注意事項が中心となるように、編集をしてまとめさせていただいているものです。
下の機能性身体症状の説明については、少しでも分かりやすくなるように修正をさせていただいております。
最後のページですが、副反応疑い報告、それから救済制度、こういうところも直近の情報に数字等を修正をさせていただいております。
このような形でリーフレットの案を作らせていただきました。こういうものは最終的には自治体にお示しをして、自治体で選んでいただけるように、こうしたリーフレットを使う、あるいは自ら自治体が情報提供されるときの参考にしていただく、そういう形で使っていただけるものを目指しておりますので、この場で御意見を頂きまして、ブラッシュアップしていきたいなと思っております。説明は以上です。
○森尾委員 これまで本合同会議におきまして、議論を行った方向性に基づいて大分改訂していただいたものです。皆様は恐らくお手持ちのリーフレットをご覧になっていただいていると思いますので、その概要版、詳細版、そしてワクチンを受けた方へと、医療者用のものという所をご覧いただきながら、御意見や御質問がありましたら承りたいと思います。まず伊藤澄信委員に、先ほど失神等のことについて、御意見を頂きましたのを、お待たせしていましたのでよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。大変きれいに情報をまとめられたと思っています。東京都医師会が7月5日に、HPVワクチンについての医師向けの講演会を開いています。そのときにCRPSなどの、患者さんを実際に診察された医師から情報を頂きました。現場の医師から質問があったのは、もし自分が患者さんに接種して、同じような症状の患者さんが出てきたときにどうすればいいのかについては、複数の方から御意見が出ました。
このパンフレットの中にも、具体的には書いているのですけれども、協力機関の所にどういう形で紹介をすればいいのかについて、現場で実際にHPVのワクチン接種されている医師が十分に認識をしていなかったのだと思いました。その点については少なくとも医師向けにはお書きいただいたらと思います。もう少し具体的に。そのときの説明では、接種をされた医師から協力機関に紹介状を送って、患者さんとともに行っていただくという話だと認識しておりますが、具体的にお書きいただいたらいいと思います。
患者さん向けのパンフレットには随分いろいろな副反応が出ると記載されています。先ほど五十嵐先生がおっしゃられたように、大変ナイーブなというか、センシティブな方たちを対象にしていますので、そういうのは起きるかもしれないし、起きたときは今後どんな形で、専門の所に紹介しますという一言があるだけでも随分違うのではないかという気がしましたので、意見として述べさせていただいています。
先ほど、1回受けて痛かったから、次のときは「やだ」というふうにおっしゃる方に無理強いはしませんというのは、もう十分にお書きいただいていると思いますので、それに関しては承知をいたしました。
○森尾委員 ありがとうございました。医師向けの所で、何か起きたときに協力機関への紹介を、もう少し具体的に記載をされてはどうかということと、あとは接種を受ける方には起きたときにこのような体制で対応できますということを、もう少し安心ができるような形の工夫ができるかどうかという御意見かと承りました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 劇的に見やすくなって感動して読んでいたんですけれども、ただ、まだブラッシュアップの途中だということなので、これから文言を厳しくチェックをされていくのだと思います。念のため、ということで発言させていただきます。頻度についての記載が分かりにくいかなという感想を持ちました。
というのは、じんましんに関しては、オレンジのリーフレットにはよく起こるものと書いてあって、こちらのアナフィラキシーの症状の中にじんましんが入っているのですね。こちらの青い詳細版には、1~10%と書いてあったり。また、じんましんが漢字だったり平仮名だったりという所もあって、意味が違うのかな、と思わせてしまうところがあります。細かい部分を統一して少し整理していただくといいのではないかなと思いました。
あと「健康被害が起きたときは」と書くのであれば、できればQRコードを付けていただくほうがいいのかなと思います。後ろの相談先一覧というので全部まとめているということかもしれませんが、すぐにわかった方がよいと思いました。このパラグラフにいろいろ書いてある割には、詳細を参照する先が分からないというところが少し気になったので、参照先を分かるようにしていただければと思いました。以上です。
○森尾委員 ありがとうございました。リーフレット間で頻度とか語句の統一を見直してはいかがかということと、あとは参照先としてどこにQRコードとかを載せるか、もう一回見ていただいて、ユーザーフレンドリーにできるかどうかということかと承りました。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。濱田委員どうぞ。
○濱田委員 私もすごく見やすくなってきたと思うのですけれども、やはり細かい点は考えていただきたいところがあります。特に最後の文章の所で、積極的勧奨をおすすめしているわけではありませんという言葉が書かれています。非常に大事な言葉になると思うのですけれども、これは相変わらずよく分からないというか、いろいろなことが詰め込まれ過ぎていると思うのです。
ここで一番言いたいのは、「おすすめするお知らせをお送りするわけではない」ということですかね。そこがこれを見てもよく分からない。私は思うに、これは全部一言で書かないほうがいいと思います。例えば、接種に関する情報をお届けするものです。ただしおすすめするお知らせをお送りするのではありませんとか、2つに分けないと一般の方が見ても分かりにくいです。ここは非常に大事なところなので、この辺を御検討いただきたいと思います。
もう一点だけ。概要版でこのワクチンは「2種類のウイルスの感染を防ぐことができます」と書いてあるのですけれども、これは何のことなのか。型を言われているのですかね。3ページの真ん中辺りの所なのですけれども、何価という意味であるのか。一般の方にそこまで説明する必要があるのかどうかということもあります。
○森尾委員 ありがとうございます。ここが一番苦心されている所だと思います。バランスをどう取っていくかということですけれども、今の段階で事務局から何かありますか。
○事務局 御意見ありがとうございます。気付いていなかった所を御指摘いただいた部分もありますので、よく検討させていただきたいと思います。最後の部分の記載はやはり必要な記載事項、今回皆様に情報をお届けするということ。また希望される方に接種していただくためにそうしているということも必要な記載事項だと思いますし、積極的勧奨の差控えという内容をどうお伝えするかということも非常に重要でありますので、なかなかこれ以上知恵が出るかどうか不安な所もありますけれども、改めて受け止めて検討させていただきたいと思います。
○森尾委員 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。柿崎委員、お願いします。
○柿崎委員 非常に見やすくなったと思うのですけれども、自治体からリーフレット又は同様の趣旨の情報提供資材を個別送付する際には、この概要版と詳細版というのは必ずセットで送られるのでしょうか。それともある程度、自治体の判断になってしまうのでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○事務局 自治体がどのようにお使いになるかということですけれども、これを使うことを強制する趣旨ではありませんので、そもそもこのリーフレットでなくてはならないということを申し上げることはできないと思っております。併せてこのうちのどの2つ、3つをセットにするというようなことも、申し上げることにはならないと考えております。
○柿崎委員 概要版のほうを見ると、詳細版を参照するページがあるのですが、その場合、片方だけだと参照しても分からないとなってしまうかと思うのですけれども。
○森尾委員 事務局どうぞ。
○事務局 詳細版も概要版もHPのほうに掲載させていただきますし、QRコードが付されているサイトの一番分かりやすい所に置きたいと思っておりますので、詳細版はそこにあるということをこの中でお伝えできればと思っております。
○柿崎委員 分かりました。
○森尾委員 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。多屋委員どうぞ。
○多屋委員 前の版に比べると分かりやすくなったとはいえ、やはりまだ大分難しいように思います。概要版ですが、これは中学1年生の女のお子さんが主に読むわけなのですけれども、できれば詳細版の最初から4ページぐらいのように、比較的図とか絵を大きく中心に持ってきながら文章を補足するほうが、中学生ぐらいの女子には取っつきやすいのかなと感じました。
これはもともとお子さんと保護者が一緒に読むものにはなっているのですけれども、例えばお子さん用にはもう少し簡単なというか分かりやすく一部を載せて、保護者の方にはその後もう少し詳しくというふうに、メリハリを付けられるのもいいかと思いました。
あとは詳細版のほうで、改行の位置ですが、不思議な所に改行が入っていて、意味がむしろ取りにくくなっている。例えば5ページ目のHPVワクチンの効果の所などは、「HPVワクチンは、子宮けいがんをおこしやすいウイルスである」で切れるので、少し行の切れ方なども工夫されるといいのかと思いました。
オレンジのリーフレットの裏側ですけれども、これも結構字がたくさんというイメージで、これを中学生の女子が渡されると1ページ目はなんとなく流れで見られるのですけれども、ヘビーな感じがするので、本当に言いたい所を、例えば一番上の書き出しとその次の枠囲みが大事だなということであれば、そこをもう少し大きく書くとか、何かメリハリがあったほうが読んでもらいやすいのかなと思いました。以上です。
○森尾委員 ありがとうございました。倉根委員お願いします。
○倉根委員 この協力医療機関の書き方なのですけれども、かなり整理されたと私は理解しています。これはどこに書くかですが、例えばこの1ページのワクチンを受けたお子様と保護者の方への、例えば数を書くのか、全国、県に何か所かある、つまり東京、大阪のような大都市圏だけにあるというのではなく、全国的に整備されているというのをもう少し宣伝ではないけれども、知らしめて安心していただくということが必要なのではないかと思います。ですから何か工夫して、大体各県に数か所ずつあるとか、少し具体的に書いてあげると安心感も出てくるのではないかと思いました。
あとは例えば概要版の書き振りが難しいのだと思うのですけれども、例えばHPVワクチンの効果の所で、「子宮けいがんをおこしやすい2種類のウイルス」と書かれていますが、ウイルスとしては1つですよね。ただ型が違うだけなので。どう書けばいいのだと言われると難しいですが、そこの正しさというか、というのも必要なのではないかと思いますので、少し考えようがあるかなと思います。
○森尾委員 ありがとうございました。五十嵐委員、お願いいたします。
○五十嵐委員 先ほどの伊藤委員と倉根委員の御指摘と関連するのですが、この協力医療機関について、例えば詳細版の8ページのHPVワクチンに関する相談先一覧の一番上の、「接種後に、健康に異常があるとき」という所に協力医療機関が出ています。それからグリーンの別紙4のほうですけれども、これは医療従事者の方へですけれども、これの3ページになるのですか、右の下のほうに「HPVワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関」のhttps:が示されています。できればQRコードで示していただくと、アクセスが簡単です。
各都道府県単位で相談に応じることの出来る複数の医療機関のリストが示されています。もしできればQRコードを使って、医療機関がわかるようなシステムがあると良いと考えます。先ほど倉根先生は各都道府県に協力医療機関がちゃんとリストアップされていますよと、もう少し宣伝したほうがいいとおっしゃっていましたけれども、それも含めて簡単に、つまり接種を受けた人たちにも分かりやすく、かつ医療機関の方たちも分かりやすくなる工夫をしていただくといいのではないかと思いました。よろしくお願いします。
○森尾委員 ありがとうございました。どうぞお願いいたします。
○山縣委員 これ本当に前よりもすごく見やすくなったと思います。2点あります。1つは、詳細はHPの所にいけばかなりのことは載っているとはいえ、どこの部分がどこにあるかというのが分かりにくくて、例えば医師向けの別紙4の医療従事者の方への所の2ページ目、ここの一番上にHPVワクチンの導入のインパクトの所に、例えば77.9%減少しという所の横に文献が書かれていると、専門家などはここにいってすぐ分かると思うのですが、一般の人のものにそれがないのですが、HPのどこを見ればそういう根拠が分かるのかということが、わかるといいかなというのが1点です。
もう1点は、いろいろな絵やカットがあるのですが、全体を柔らかく見せるという点ではいいと思うのですけれども、先ほど多屋先生も言われたのですが、詳細の所にはグラフだとか、「子宮けいがんの進行」の所には分かりやすい絵があって、もう少しそういうものを概要版にも入れたほうがいいのではないかなと思います。例えば概要版の3ページのHPVワクチンの効果の所の家族の絵は、どうしてこういうのがここにあるのかがよく分からない。もう少し50%から70%防ぐのであればそれに関連するようなものが、むしろあったほうがいいのかなと思いました。以上です。
○森尾委員 ありがとうございました。山縣委員、HPで情報集みたいなものを作ったほうがいいという、そのような考えでよろしいですか。
○山縣委員 一応あって、飛んでいけるのですが、それと結び付きにくいということです。
○森尾委員 なるほど、分かりました。伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 今までに出た意見とすごく似ているところではあるのですけれども、2つのリーフレットを見て、このワクチンを受けようかなと思った患者さんが受けたあとに、このオレンジのリーフレットを受け取って、その裏側の注意事項の書き方なのですけれども、何となく強調の仕方といいますか、この真ん中の「まれですが、重い症状が出ることがあります」という辺りが、何となくその前に読む2つのリーフレットと比べて、何か強調されてる気がします。
あとはギラン・バレーとかADEMという表現が他の2つのリーフレットには見当たらないのですが、初めてここでそれを目にしたときに、「あれ?」ということにもしなるとまずいかなと思うので、例えば字体の問題もあるかもしれませんけれども、強調の度合が違うような気がして、受けてから「こんなはずじゃなかった」みたいなことにならないような工夫が必要かなと思いました。以上です。
○森尾委員 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。大分たくさん注文をいただきました。はい、どうぞよろしくお願いいたします。
○舟越委員 質問なのですが、5月22日に9価のHPVワクチンが承認を可とするものが出ていたと思うのですけれども、この状態でまずブラッシュアップして資材として個別で自治体に配った後に、またすぐ公知で9価が認められた場合、また全部これを見直すというタイミングを気にしているということが1つです。
もう1つ気になったのは添付文書を見ますと、予防効果の持続期間は、確立されていないというのが一番前面に出てくるのですけれども、もちろん海外の臨床試験の中では9.4年とか小さく書いてあります。医療用添付文書のほうには。この9.4年というのが、医療従事者側の別紙4のほうでは海外の臨床試験と書いてあって、一般向けの別紙1、2のほうには少しざっくりと書いてあるのですが、ここの9.4年というのが気になったことです。
3つ目は、2回目でもやめることができます、でもやめた場合の逆に子宮頸がんの発症リスクというのは個別ですという話に、現場の診察室はそうなると思うのですけれども、その辺がやめることができますということだけ強調されているので、やめた場合どうなるのかと普通に思ってしまうかなと思いました。どこまで書くかなので、見たときの意見です。以上です。
○森尾委員 舟越委員、ありがとうございました。シルガード9についてはまたいろいろと情報が集まってきたときに、時期を見てだろうと思うのですが、事務局何かありますでしょうか。
○事務局 9価のワクチンについては、まだ承認をされていませんし、承認をされたとしても発売されるまでには時間がかかりますので、実際に世の中に出てくるというまでは時間がかかると思います。また定期接種化するかどうかの議論というのはこれから承認後に検討することになると思いますので、変更が生じればその時点で見直していく形にさせていただきたいと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。大分御意見いただきました。恐らく事務局のほうに別途御意見を頂けると思いますので、この時点で今日頂いた御意見をまとめさせていただこうと思います。
一つは内容についての書き振りですけれども、小学校6年生とかですと内容が難しいところがあると。そして図を多くすると共に、入れるのであれば図は情報を含んだような図にすることも考えていただいたらどうかと。あとは行の切れ方とか、レイアウトとか、強調の仕方のようなことを考えてていただければいいのではないかという点がありました。
加えてリーフレット間で少し頻度とか語句の統一をもう少ししていただいたほうがいいかと。これは恐らくブラッシュアップのところではないかなと思います。
あと情報としてHPの情報集、リンクをうまくいきやすいように、そういう工夫もしていただいたらいいのではないかということがありました。少し細かい所で9.4年というところとかも含めて2回目の方はどうなるのか、もし配慮ができるようであれば何かあるといいかと。これは恐らく詳しさとのバランスかなと思っております。
あと大きなところですけれども、協力医療機関についての情報、これは五十嵐委員からQRコードという話がありましたけれども、整備されているというメッセージを是非付けてほしいと。そして患者さんのほうについても、実際に健康被害があったときにどうするかというのは、QRコードを分かりやすい所に載せていただくという形がいいのかなということです。
そして医師向けの所では、協力機関への紹介という所を、具体的にどうしたらいいのかというところを、分かりやすくしていただけたらいいのではないかということがあったのではないかと思います。そして副反応が起きた場合、起きても対応する体制ができていることを強調していただいたらということでした。細かいところですけれども、重要な2種類のウイルスという記載があります。この辺の工夫をしていただけたらということです。
最後がメッセージでありまして、おすすめするお知らせをするものとしてお送りしたのではありませんという、最終的なメッセージの所での書き振りをもう少し御検討いただけるのであれば、そのようにしてはどうかという御意見を頂戴いたしました。
私が頭の中でつたなく整理をしたのは以上ですが、何か抜けているところはありますか。よろしいでしょうか。事務局におかれましては、今日の御意見を踏まえつつ、読みやすさとか分かりやすさ、今回は非常に重要なポイントとしていただいていますので、いろいろなメッセージを十分に伝えられるように、恐らく全て入れ込むということは難しいと思いますけれども、エッセンスのところ、重要な所を入れていただき、必要な修正を行っていただけたらと思っております。そのほかお気付きになられたことがありましたら、事務局のほうに会議後でも結構ですのでお伝えいただけたらよろしいかと思っております。事務局どうでしょうか、その御意見を頂く期間について何かありましたらお願いいたします。
○事務局 そうですね、修正の準備をしたいと思っておりますので、もし追加で御意見があれば、あるいは今日分かりやすくと言ったけど、こう書くと分かりやすくなるよという例を示していただければ、そういうこともあれば可能であれば2週間ぐらいのうちに、7月中をめどにお寄せいただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 どうもありがとうございました。司会の不手際で長くなりましたけれども、本日の議事は以上です。そのほか事務局から何かありましたらお願いいたします。
○事務局 本日は長時間にわたり、活発に御議論を頂きましてありがとうございました。机上に配布しております、添付文書集の黄色いファイルは再利用させていただきたいと思いますので、机上に置いておいていただければと思います。もし書き込み等されておりましたら、お名前を書いていただければ、次回以降も同じ資料をお配りいたします。
次回の開催については日程調整の上、日時について御連絡を差し上げます。また傍聴者の皆様へお願いです。審議会委員が退出いたしますので、退出が終わりますまでそのままお待ちください。事務局からは以上です。それでは本日の会議はこれで終了いたします。活発な御議論ありがとうございました。

(了)