第1回 事務所衛生基準のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和2年8月25日(火)14:00~16:00

場所

中央労働委員会 2階 201会議室
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館)

議題

  1. (1)開会
  2. (2)検討会開催の趣旨
  3. (3)事務所衛生基準に関する事業場調査結果の概要
  4. (4)労働者の休養、清潔保持等に関する調査結果
  5. (5)主な論点

議事

○矢吹有害作業環境指導係長 それでは、定刻よりは少し早いのですが、ただいまより第1回「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」を開会いたします。私は厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課の矢吹でございます。座長選出までの間、議事進行を務めさせていただきます。それでは、本検討会の開催に当たりまして、田中安全衛生部長から御挨拶を申し上げます。
○田中安全衛生部長 皆様、今日はお集まりいただきまして大変ありがとうございます。それから、本検討会の委員をお引受けいただきまして誠にありがとうございます。
 この検討会は、事務所衛生基準規則、衛生基準の関係を御議論いただくわけですが、思いますに、多くの人が働いて、生活の長い時間を職場で過ごすことになりますので、機械が危ないとか有害物質を使っているなど、そういうことだけにかかわらず、やはり働きやすい環境をつくっていく、安全な快適な職場をつくっていくことは非常に重要になっております。
 御議論いただく衛生基準ですが、かなり古い時期に制定されたものでございまして、そのときと比べると、やはり環境についての考え方も変わってきていますし、いろいろな技術も変わってきているということで、やはり働きやすい安全な環境をつくっていくという観点から、できるものについてはアップデートしていかなければいけないということで入れております。特に、働き方改革関連法案の審議の中で御説明もさせていただいてるかと思うのですが、女性の一層の活躍という観点から、やはり清潔や休養についての見直しの指摘も頂いているところでございます。
 最近の状況を考えますと、特にコロナの感染症で、職場の中でも感染を出してはいけないということもありますし、また、直接どういうふうにどうするかというのはありますけれども、テレワークで働くということの環境や、それを超えてフリーランスで働いている人の職場環境をどうしていくのかといったような、いろいろな問題がありますが、できることから着実に、データをもって議論をして進めていくことが大事かと思っております。
 検討会は、冬にかけて5回程度の開催ということで予定をしております。事務所衛生基準の規則関連事項の見直しを念頭に置いて御議論いただいて、取りまとめにつなげていただければと思っております。皆さん、労働衛生分野の専門家の立場からの御議論をお願いをしてございますので、忌憚のない御意見を聞かせていただきまして、着実に前に進めることができるようになればいいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 続きまして、検討会に御参集いただいた皆様の御紹介をさせていただきます。資料1の別添、参集者名簿の順に御紹介させていただきます。
 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹の明石様です。公益財団法人日本建築衛生管理教育センター調査研究部長の齋藤様です。独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所環境計測研究グループ部長の柴田様です。アサヒグループホールディングス株式会社日本統括本部人事部保健師の住徳様です。聖マリアンナ医科大学予防医学教室教授の高田様です。日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局長の冨高様です。北海道大学大学院工学研究院建築都市部門空間デザイン分野環境空間デザイン学研究室教授の林様におかれましては、本日御都合により欠席となっております。芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科教授の吉武様です。
 また、本日は研究の御説明者として、独立行政法人労働政策研究・研修機構調査部主任調査員補佐の遠藤様にも御参加いただいております。さらに、オブザーバーとして、医薬生活衛生局生活衛生課の北村課長補佐にも御参加いただいております。
 続きまして、事務局の紹介をいたします。先ほど御挨拶申し上げましたが、安全衛生部長の田中です。安全衛生部労働衛生課長の高倉です。労働衛生課主任中央労働衛生専門官の搆です。化学物質対策課環境改善室長の成毛です。
 本検討会には、座長を置くこととなっております。事前に委員の皆様にお諮りしたところ、高田先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○矢吹有害作業環境指導係長 それでは、以降の議事進行を高田座長にお願いいたします。
○高田座長 ただいま御指名いただきました高田でございます。先ほど、安全衛生部長からもお話がありましたとおり、この事務所衛生基準規則については、制定されてから約50年近くたっているということで、その間にいろいろな社会状況の変化、作業環境の変化もありまして、いろいろな見直しが必要な時期に入っているということでございます。今回については、その中でも清潔、休養に関する事項を中心にということで、昨年度から実態調査を行っておりまして、その結果を踏まえまして、また必要に応じて専門家の方の御意見を踏まえながら、衛生基準のあり方、見直しの方向性について是非まとめていきたいと思いますので、委員の皆様方の御意見を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。時間が限られておりますので、円滑な進行に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。傍聴の皆様におかれましては、カメラ撮影等ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。
 最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 それでは、本日の資料を確認させていただきます。資料1「開催要綱、参集者名簿」、資料2「検討会の公開の取扱いについて(案)」、資料3「事務所衛生基準のあり方の検討について」、資料4「事務所衛生基準に関する事業場調査結果の概要」、資料5「事業所における労働者の休養、清潔保持等に関する調査結果の概要(速報版)」、資料6「調査結果等から導き出される論点(事務局案)」、また、参考資料1として、「事務所作業に係る労働衛生管理及び快適な職場環境整備に関する検討会報告書」、参考資料2として、「事務所衛生基準規則ほか関係条文等」を御用意しております。お手元の資料に不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。
○高田座長 よろしいでしょうか。それでは、議事に入る前に検討会の公開の取扱いについて、事務局から資料2を用いて説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 資料2は、本検討会の公開の取扱いについて御提案する資料です。検討会は、原則公開としますが、個人の情報を保護する必要、それから率直な意見の交換や意思決定の中立性に関わる場合、それから市場への影響のおそれ、さらに特定の者に不当な利益又は不利益を及ぼすおそれがある場合などについては、座長の判断により非公開とするというもので、厚生労働省が定める指針に準拠したものです。
 現時点で想定する事案として、次回以降、企業や団体から事例の説明を受け、あるいは運用基準について情報提供を受ける場合の審議のためだけに使用し、資料の公表は差し控えるといったようなことが考えられます。資料2については以上です。
○高田座長 ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、よろしければ、今御説明いただいたとおりの取扱いとしたいと思いますが、何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、今御説明いただきましたとおりとさせていただきたいと思います。
 続きまして、議事(2)「検討会開催の趣旨」について、事務局から説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 資料3に基づきまして、事務所衛生基準規則と関連事項の概要を御説明した上で、本検討会の開催趣旨を述べさせていただきます。
 資料3の2ページを御覧ください。事務所衛生基準規則は、事務作業に従事する労働者が使用する事務所を対象として衛生基準を定めたもので、事務所に特化した衛生基準が適用になる事業場については、労働安全衛生規則に規定する一般の衛生基準が適用されないということになっています。事務所の基準は、大きく事務所の環境管理、休養、清潔などに分かれます。2ページの左上から、空気環境、空調設備の基準測定、明るさ、照度ということですが、このようなことなどが規定されています。また左下ですが、休養として休憩設備、仮眠設備、休養室、いすなどの規定がございます。右側の囲みに移りますと、給水、排水、清掃、便所、洗面設備、右下ですが、救急用具の規定などが定められております。これらは事業者に対して、事務所として備えるべき衛生基準ということで定められています。
 3ページを御覧ください。快適な職場環境の形成のための措置に関する指針です。労働安全衛生法第71条の2に、快適な職場環境の形成のための措置が定められています。この資料は国が定めることとしている指針の概要です。この指針の適用は事務所に限るものではありませんが、作業環境、作業方法、疲労回復支援施設、職場生活支援施設などについて、設備上、運用上の望ましいあり方を規定しております。事務所衛生基準規則の条文、快適な職場環境形成のための指針の全文は参考資料2に入れております。
 こうした事務所衛生基準の概要につきまして、4ページを御覧いただきたいのですが、こちらにありますとおり、平成30年6月に、参議院厚生労働委員会において働き方改革推進法案に対する附帯決議が出されています。この内容を簡単に説明しますと、事務所その他の作業場における労働者の休養、清潔保持等のため事業者が講ずるべき必要な措置について、関係省令の必要な見直しを検討することとされています。働き方改革を実現するために、職場環境も良くしていかなければならず、女性の活躍を含め、法令で必要な措置が担保されているかどうかについて見直しをということでした。
 このような附帯決議がなされたわけですが、背景となる事情については、5ページの1にありますとおり、先ほど座長からも50年近くということでしたが、事務所衛生基準規則の制定は、現在の原型ができたのが昭和46年で、これは労働基準法に基づく省令ということでしたが、その後、労働安全衛生法の体系下に移って、昭和47年以降運用されています。その間、内容的、技術的な見直しについては、平成16年の改正で、空気環境基準が追加されたり、作業環境測定の頻度について変更がされまして、5ページの2にありますとおり、昭和47年以降1回の見直しということです。その間、女性活躍の話であるとか、高年齢労働者に対する対応、障害のある労働者への配慮、作業環境の変化等への対応といった技術上、社会的な状況の変化がありますので、よく確認をする必要があるという指摘であろうと思われます。
 このため、6ページにありますとおり、令和元年度は事務所衛生基準に対する実態調査を行ってまいりました。具体的には、事務所を持つ事業場に対する郵送での実態調査を行い、また労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が実施した10事業所に対する空気環境の実測調査や、労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施した、労働者のニーズを把握するための事業所に対するWEBモニターアンケート調査なども行われています。本日はそれらの状況を御説明した上で、御審議いただきたいと考えております。説明は以上です。
○高田座長 ありがとうございます。ただいまの資料3の御説明につきまして、現時点で確認しておきたいこと、御意見、御質問等ございましたら発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。そうしましたら、次の議事に移りたいと思います。議題(3)「事務所衛生基準に関する事業場調査結果の概要等」について事務局から説明をお願いいたします。なお、御質問につきましては、この後議題(4)まで進めた後にまとめて時間を取りたいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。
○搆主任中央労働衛生専門官 それでは、事務所衛生基準に関する事業場調査結果について、資料4に基づいて御説明します。なお、元の報告書は参考資料の1にあり、資料4はそこからのピックアップとなります。
 2ページを御覧ください。調査の概要です。こちらは事務所に関する清潔、休養を中心に、今年1月に業種規模を考慮して無作為に抽出した、最終的に9,999となりましたが、約1万の事業場に対して調査票を郵送いたしました。FAX等も含めて回収して、その取りまとめをしたものです。集まった有効回答は、右側にありますが1,217ということで、これを再び業種規模で重みづけをし直して割合を集計しています。結果的には、ほとんど数字は変わっていませんが、当初の手順に基づいて補正作業を行いました。そのようにしたものについては、ここで引用している図には補正と書いてあります。一部については、重みづけがしづらいものがありましたので、そのものについては事業場数そのまま集計と記載しています。
 3ページを御覧ください。3ページは照明の状況についてです。事務所衛生基準規則では、作業面での照度として、作業の区分により、精密な作業で300ルクス以上、普通の作業で150ルクス以上、粗な作業で70ルクス以上と定めています。事務所衛生基準規則で、照度そのものを測定するというような定めはありません。当初は、部屋の広さやランプの数など把握した上で、事務所の明るさに関する指標を得ようと調査票をデザインしたものですが、ランプの数などはなかなか思ったような回答が得られていませんので、取りまとめ方法として、まず照明の種類を分けて整理することとしました。
 3ページの左の図を御覧いただきたいのですが、こちらではLEDを導入している所、この中には従来型の蛍光灯に併用してLEDを導入している所も含まれますが、LEDを使用している所が53%になっています。蛍光灯のみを使用している46%よりも多いという結果になりました。
 次に、調査の中で照度を明確に回答してくれた所があります。これは左の図が1,217に対して、照度を回答してくれたのは右の図の115にとどまっていますが、貴重なデータではありますので、整理しました。照度計で測定していないと数字は出ませんので、自ら測定している事務所という制約はあります。85.2%は300ルクス以上でして、精密な作業の基準を満たしているという回答になります。右側のグラフでは、累計の形で表しています。したがいまして、真ん中の300の棒グラフが80%を少し超えた所にありますが、これは300を超える、500を超える、750を超える、1,000を超えるといったものを全部足し上げたものです。ですから、例えば普通の作業の150ルクスですと、もっと多くが超えることになりますし、あるいは70ルクスの粗な作業ということで見ると、これを満たす事業場は9割を超えるというデータになっております。
 4ページを御覧ください。トイレ設備の充足状況についてです。事務所衛生基準規則では、トイレを男性用、女性用に区別すること、清潔に保つことなどが定められています。それから、便房すなわち仕切り個室の数についても、同時に就業するそれぞれ男性労働者、女性労働者の数に応じて定めがあります。調査結果からは、男女別の仕切り個室がありと回答したのは80.5%にとどまりました。4ページの右側は労働者50人以上、一定規模以上の事業場で見たものですが、95%が男女別個室ありとなっております。
 次に5ページです。車いすでの使用や、人工肛門、人工膀胱を使用するオストメイトの方々に対応した多機能トイレの状況についてまとめました。事務所衛生基準規則には、こういった多機能トイレの定めはありませんが、別の法令、バリアフリー法で公共施設への設置が義務付けられていますので、調査の対象としております。結果として、左の図を御覧いただきたいのですが、32.6%の事務所で多機能トイレを設置していると回答しています。回答内訳ですが、右側に複数回答があります。多機能トイレありとした398の場合について、複数回答でどのような設備が備えてあるかということを聞いてみたところでは、車いすで利用できる広さ、手すりなど、車いす対応用が多く、オストメイトの対応が一部あるということでした。
 6ページです。更衣室、シャワー設備の状況です。事務所衛生基準規則では、被服を汚染したり濡らしたりする労働者に対し、更衣設備、乾燥設備のどちらかを設けるということになっております。シャワー設備について、事務所衛生基準規則では規定はありません。国会の附帯決議に関する議論の中で、こういった点についても、しっかり把握して見直したほうがよいということで指摘がありましたので、調査項目に含めています。
 更衣設備については、6ページの左側ですが、男女別の設置が57.9%、男女共用を含めますと73%があるということでした。右側のシャワー設備についてですが、男女別の設置で7.4%、男女共用を含めて足し上げて21.8%ということでした。
 7ページです。休憩設備や休養室等の状況についてです。事務所衛生基準規則では、休憩の設備については、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるよう努めることとされています。また、休養室については、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者が横になれる、法令の表現では臥床ができる休養室、休養所を男女別に設けることとされています。休憩設備については、80.8%があるという回答でしたが、一方横になれるという休養室については、男女別で15.6%、男女共用を合わせて38.4%という結果になっています。報告書の本体のほうにしかありませんが、休養室について労働者数50人以上ということで、限定して集計した結果についても、男女別は16.4%にとどまっています。事務所に対する郵送調査結果はここまでになります。
 8ページは事務所における空気環境の状況についてです。こちらは労働安全衛生総合研究所が行った調査などになります。事務所衛生基準規則では、室温、外気温、相対湿度、一酸化炭素、二酸化炭素の含有率を定期的に測定することとされています。特に、二酸化炭素は人からの呼気、すなわち労働者が呼吸で吐き出すことで、室の中の二酸化炭素の濃度が上がるということがあります。事務所衛生基準規則では、中央管理方式の空調設備を持つ事務所に対して、2か月ごとの作業環境測定とその測定結果の記録を義務付けています。厚生労働省への報告は求めていませんので、労働行政として集計しているわけではありません。したがいまして、他の法令、建築物衛生法に基づく報告徴収、立入検査の結果を参考として見ることとしました。上の図を御覧いただきたいのですが、全国の主要都道府県における二酸化炭素濃度の不適率の推移ということです。不適率といいますのは、基準の1,000ppmを超えているのが何パーセントかということになります。不適率が、全国を示す太い折れ線グラフを見ても25%を超える状況になって、更に上昇を続けているという状況でして、これは事務所の換気が良くないということを示す指標でもあります。
 全体としてはそのような状況ですが、一方で二酸化炭素濃度などを自動制御、すなわちセンサーで濃度を検出して、高いようであれば外気を多く入れるという設備を導入している所があります。こういった所で実測をしている状況は、下の資料になりますが、AからJまでがその事業所となります。AとFについては1つの事業所で2か所で測定しているということなので、10事業所12の測定ポイントで得られています。このように自動制御されている所で実測を6か月間にわたって測ってみたということですが、自動制御がされていると、おおむね1,000ppm以下に抑制されるという結果が得られております。資料4の説明は以上です。
○高田座長 今、事業場の調査結果について御説明いただきましたが、引き続きまして、議題(4)「労働者の休養、清潔保持等に関する調査結果」について、調査を実施しました独立行政法人労働政策研究・研修機構調査部主任調査員補佐の遠藤様から、資料5に基づいて御説明をお願いいたします。
○遠藤主任調査員補佐 労働政策研究・研修機構でございます。本日は、調査結果の速報版を御報告させていただく機会を頂きまして、誠にありがとうございます。
 それでは、事業所における労働者の休養、清潔保持等調査の結果の速報版を御紹介させていただきます。2ページの調査の概要です。最初に調査の趣旨です。働き方改革関連法案の附帯決議において、休養・清潔保持等の実態把握、労働者のニーズを把握するということで、事業所の照度、室温、トイレ、休憩室、更衣室、シャワー、休養室の利用の実態、満足度、不満点などについて、WEBのモニター調査を行いました。調査の対象は男女15歳以上、16大産業で働く正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣労働者です。実施期間は1月28日から2月13日までの約2週間です。就業構造基本調査の、性、年齢、産業のプロポーションに合わせて7,000件を回収しました。
 まず、3ページの事務作業の照度についてご説明いたします。集計結果は図表1-1のとおりでございます。全体という欄を右に見ていきますと、「十分である」というのが80.5%で8割を占めています。一方、「十分でないと感じることもある」と「十分ではない」の回答割合を合わせた「十分でない・計」は19.4%、2割弱となっております。
 同じく3ページの右側は、照度不足の作業面への影響の集計結果です。具体的な影響としては、「目や肩が疲れて小休止が必要」が27.8%で、3割弱と最も高くなっております。次いで「作業に時間がかかる」「作業を間違えることがある」が、それぞれ1割ほどとなっております。また、少数回答ではございますが、「ルーペなどの補助器具が必要」が5.4%となっております。一方で、「特に作業効率は変わらない」が6割ほどとなっております。
 次に、4ページ、室温についてです。図表2-1を御覧ください。室温については、夏冬とも5段階尺度で聞いております。夏場については、「暑い」と感じているのは1割ほどとなっております。性別で見ますと、男性のほうが「暑い・計」が高くなっておりまして、女性のほうは逆に「寒い・計」が高くなっております。一方、同じ図表2-1の冬場の室温ですが、「寒い」という回答は1割となっております。その下の図表2-2の満足度を御覧ください。「満足・計」はちょうど7割となっております。
 5ページ、トイレです。最初に男女別トイレの整備状況、図表3-1を御覧ください。男女別トイレの整備状況を聞いたところ、「男女別」が78.4%、「男女共用」が21.6%となっており、回答者の2割ほどが、勤務先のトイレが「男女共用」と回答しております。表側の事業所規模というところで見ていきますと、「男女共用」は29人以下が39.5%、4割ほどと高く出ております。次に、3-2のトイレの付属設備については、図表を省略しておりまして結果だけの御紹介ですが、「温水洗浄器」が7割ほどで最も多く、次いで「石鹸、ハンドソープ」、「暖房便座」、「鏡、姿見」、「ごみ箱、サニタリーボックス」が、それぞれ6割ほどとなっております。
 次に、図表3-2のトイレの利用目的です。「排泄、用足し」が最も多く、次いで「手先い、洗面」「歯磨き、うがい」「身だしなみを整える、化粧」などとなっております。性年齢別にみると、特に女性の20代以下に網掛けの項目が並んでおります。手洗いや洗面などの基本的なものに加えまして、「息抜き、休憩、仮眠」「携帯電話、タブレット端末等の操作」という回答割合も、女性の20代以下では高くなっております。女性の20代以下は幅広い目的でトイレを利用しているという結果が出ております。
 6ページを御覧ください。トイレの個室、便房の混雑状況です。図表3-3を御覧ください。「混雑・計」は37.4%ということで、3割ほどとなっております。性別で見ていきますと、顕著な差はありませんが、事業所規模別で見ていくと、おおむね規模が大きくなるほど「混雑・計」の回答割合が高くなっています。一方男性のほうはどうかということで、同じ図表3-3の下の「男性小便器」という所です。「混雑・計」ですが、回答割合は2割ほどとなっております。おおむね規模が大きくなるほど「混雑・計」の回答割合が高くなっております。
 図表3-4のトイレの満足度を御覧ください。「満足・計」が70.5%、7割となっております。次に、7ページの男女別トイレの必要性を御覧ください。こちらについては、トイレが「男女共用」と回答した人に聞いております。図表3-5ですが、「思う・計」が61.5%で、勤務先のトイレが男女共用と回答した者の6割ほどが、男女別トイレの必要性を感じているという結果が出ました。性別で見ていきますと、「思う・計」は、女性のほうが64.9%、6割超と高くなっております。
 図表3-6のトイレの不満点を御覧ください。具体的にどういったことが不満なのかということで、最も多いのが「トイレ内の個室(便房)が少ない」が18.4%、次いで「トイレが狭い」「トイレの設置箇所が少ない」「出入りが他人の目に触れる」「不潔である」「男女共用である」などとなっております。その一方で、「特に不満はない」の回答割合も39.2%、4割ほどとなっております。
 8ページ、多機能トイレの設置状況についてです。勤務先に多機能トイレがあるかを聞いた結果が図表3-7です。「ある」は30.2%、3割となっております。事業所規模別に見ていくと、多機能トイレが「ある」の回答割合は、500人以上、1,000人以上の所は5割超と高くなっております。一方で、「ない」は29人以下が8割と高くなっております。
 3-10の多機能トイレの利用目的については、図表を省略しておりまして、結果だけを読み上げますと、「車いすでの利用」が7割で最も多くなっておりまして、次いで「脚の具合が悪いとき」「男女別トイレの混雑時」「腕や手の具合が悪いとき」「乳児のおむつ交換」「オストメイト」などとなっております。
 図表3-8の多機能トイレの必要性を御覧ください。「思う・計」の回答割合は44.1%ということで、回答者の4割ほどが多機能トイレの必要性を感じているという結果が出ております。性年齢別に見ますと、男女とも20代以下が5割ほどと高くなっております。また、事業所規模別に見ましても、多機能トイレの必要についての「思う・計」という所ですが、1,000人以上の所は6割と高くなっております。
 次は、9ページの休憩室です。設置状況については図表4-1を御覧ください。勤務先に休憩室が「ある」の回答は6割ほどとなっております。事業所規模で見ていきますと、休憩室が「ある」は1,000人以上の所では7割と高くなっております。一方、休憩室が「ない」は、29人以下は50.1%、5割となっております。また、図表は省略してありますが、4-2の休憩室の備品については、「机、テーブル」が最も多くて、「電子レンジ」「いす、ソファー」「冷蔵庫」「自動販売機」「テレビ」などとなっております。座って飲食できる設備を備えている休憩室が多いようです。
 図表4-2の休憩室の利用状況を御覧ください。「利用する・計」ですが、こちらは61.4%となり、6割ほどが休憩室を利用しているという結果となっております。性別で見ますと、女性のほうが休憩室をよく利用している結果となっております。
 図表4-3の休憩室の利用目的を御覧ください。「休憩・休息」が最も多くて、次いで「飲食」「気分転換、リフレッシュ」「雑談、コミュニケーション」「仕事に関する意見交換、情報交換」「仮眠、睡眠」などとなっております。網掛けの所を見ますと、男性は「気分転換、リフレッシュ」に、女性は「飲食」に網が掛かっていて、回答割合が高いという結果が出ております。
 10ページの図表4-4の休憩室の混雑状況を御覧ください。「混雑・計」では50.2%、半数ほどが休憩室に混雑を感じていると回答しています。図表4-5の休憩室の満足度を御覧ください。「満足・計」の所です。66.9%で、6割が満足感を得ている結果になっております。一方で、休憩室は利用する人と利用しない人がいるということで、表側の「利用状況」という所を見ていきますと、「よく利用する」と回答した人では「満足・計」が70.5%、「ときどき利用する」と回答した者では「満足・計」は74.2%ということで、実際に休憩室を利用している、利用者ベースで見ても7割近くが満足感を得ているという結果が出てきました。
 次は、11ページの図表4-6の休憩室の不満点を御覧ください。どういった点が不満なのかということで、一番多いのが「スペースが狭い」で33.1%となっております。次いで、「テーブル、いす、飲料水などの設備に不備がある」「窓がなく閉塞感がある」「整理整頓されていない」などとなっております。一方で、「特に不満はない」といった回答も4割を占めております。
 図表4-7の休憩室の必要性を御覧ください。休憩室の必要性について「思う・計」は61.0%ということで、休憩室が「ない」と回答した者の6割ほどが休憩室の必要性を感じているという結果が出ております。
 12ページの更衣室、更衣設備を御覧ください。最初に汚染湿潤作業の有無ということで、図表5-1です。全体の4割弱が、勤務先において洋服が汚れたり濡れたりする作業が「ある」と回答しております。また、着替えの有無については図表5-2です。全体の4割近くが「着替えを行っている」という回答をしております。性別で見ますと、着替えが「ある」という回答割合は女性で49.4%ということで、女性のほうが高くなっております。
 次に、図表5-3の更衣室の整備状況を御覧ください。男女別で「ある」というのが半数ほどで、男女共用を合わせて全体の6割ほどが勤務先に更衣室が「ある」と回答しております。事業所規模別に見ていきますと、更衣室が「ある・計」という所ですが、30人以上では7割ほどと高くなっています。一方で更衣室が「ない」という所は、29人以下が52.4%、5割超と高くなっております。
 13ページは、更衣室の利用状況についてです。図表5-4を御覧ください。「よく利用する」が半数超で、「ときどき利用する」と合わせて、「利用・計」は71.1%で、7割以上が更衣室を「利用する」と回答しています。性別に見ていきますと、女性のほうが「よく利用する」が61.1%ということで、回答割合が高くなっております。図表5-5は更衣室の混雑状況です。「混雑・計」を見ますと、46.1%で4割ほどという結果になっております。
 14ページは、更衣室の満足度についてです。図表5-6を御覧ください。「満足・計」は65.4%で、約6割が満足感を得ていると回答しております。表側の「着替え」を見ていきますと、着替えが「ある」と回答した者の「満足・計」は61.8%で6割ほどとなっております。その下の「更衣室」という所を見ていきますと、更衣室が「男女共用」と回答した者では、不満計が4割ほどと高くなっております。
 次に、更衣室の不満点については、図表5-7を御覧ください。具体的にどのような不満点があるかということです。「スペースが狭い」が4割ほどで最も高くなっておりまして、次いで回答割合は1割ほどですが、「極端に暑い/寒い」というものです。一方、「特に不満はない」も3割ほどございました。
 15ページ、男女別更衣室の必要性についてです。図表5-8を御覧ください。「思う・計」は35.4%、3割ほどとなっております。表側の一番下の「更衣室の整備状況」で見ていきますと、更衣室が「男女共用」と回答した者では、男女別更衣室の必要性についての「思う・計」は59.7%と高くなっております。更衣室はあるけれども男女共用と回答した者の6割ほどは、男女別にしてほしいという結果が出ております。
 16ページ、シャワー設備についてです。図表6-1のシャワー設備の設置状況を御覧ください。勤務先にシャワー設備が「ある」と回答した割合は2割弱となっております。利用状況については図表6-2を御覧ください。「利用・計」が2割ほどとなっておりまして、性別で見ると男性のほうが「利用・計」の回答割合が高くなっております。シャワー設備の過不足状況の図表は省略しておりますが、「不足」というのは1割ほどとなっております。
 17ページ、シャワー設備の満足度についてです。図表6-3を御覧ください。「満足・計」は67.7%、6割ほどとなっております。また、「利用状況」の「利用・計」を見ると、「満足・計」は73.7%ということで、利用者の7割超はシャワー設備に満足感を得ているという回答となっております。
 図表6-4のシャワー設備の不満点を御覧ください。具体的な不満点としては、「シャワーの数が少ない」が最も多く、次いで「不潔である」「薄暗くて使いにくい」「給湯が安定しない/湯が出ないことがある」などとなっております。一方で、「特に不満はない」が半分ほどを占めております。
 18ページ、男女別シャワーの必要性についてです。図表6-5を御覧ください。「思う・計」は20.2%、2割となっております。一方で、「設置状況」の勤務先のシャワーが「男女共用」であると回答した者で見ますと、「思う・計」の回答割合が42.3%、4割超と高くなっております。
 次は、19ページの休養室について、図表7-1の休養室の設置状況を御覧ください。3割弱が勤務先に休養室が「ある」と回答しております。事業所規模別に見ると、休養室の「ある・計」は、1,000人以上が49.9%、5割ほどと高くなっております。一方で、「ない」は29人以下が80.7%と高くなっています。
 休養室の備品は、図表を省略しておりますが、いす、ソファー、ベッド、布団、枕、冷暖房器具などとなっております。
 休養室の利用状況は、図表7-2を御覧ください。「利用・計」が2割ほどとなっております。
 20ページです。休養室の混雑状況についても図表を省略しておりますが、「混雑・計」は20%となっております。図表7-3の休養室の満足度についてですが、「満足・計」が72.6%、7割超という結果となっております。
 一方、図表7-4の休養室の不満点を御覧ください。どういった点に不満があるのかということで、「スペースが狭い」が最も多くなっております。その次に、回答割合は1割未満ですが、「常に使える状態でない」が8.7%、「男女共用である」が7.6%、「遠くにあり不便である」が6.2%、「薄暗くて使いにくい」が5.9%など、使いたいときに使えない、あるいは使いにくいといった回答も一定数ございます。その一方で、「特に不満はない」が3割ほどとなっております。
 図表7-5の男女別休養室の必要性についてです。「思う・計」が41.8%、4割ほどが男女別の休養室の必要性を感じております。「設置状況」を見ていきますと、休養室が「男女共用」と回答した者では、男女別の休養室の「思う・計」は52.2%ということで、5割超と高い結果となっております。大変長くなりましたが、報告は以上です。
○高田座長 御説明ありがとうございました。それでは、今御説明いただいた資料4と資料5について、御質問、御意見等がありましたら発言をお願いいたします。資料の量が多かったこともあるかと思いますけれども、どうしましょうか、少し個別にいきましょうか。それでは資料の順番で、吉武先生、申し訳ありませんが、照明のことについて、何か御意見とかありますでしょうか。
○吉武委員 今の調査結果に関してということでしょうか。
○高田座長 調査結果のところです。
○吉武委員 分かりました。確認させてください。参考資料1というのが資料4の本体になるのですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 はい。
○吉武委員 まず、ここでは実態が書かれていると、挙げられていると思いますが、現在の基準にある70ルクス、150ルクス、300ルクスの所を見ていただいて、300ルクス以上が80%ということですが。
○搆主任中央労働衛生専門官 照度の回答のあった115の内訳ということで。
○吉武委員 その回答があった所というのは、照度計で測ったということなのでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 照度が答えられるところについては、照度をそのまま書いてくださいという設問をしており、測定の裏付けまでは求めていないです。
○吉武委員 ということですね。分かりました。こちらの資料を見ていたのですが、下のほうに机上の電気スタンド等の話があったと思いますが、その辺も何か聞いているのですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 参考資料1の35ページの一番上に、電気スタンドについての設問の集計があります。事務所の全員に、あるいは全員にではないけれども電気スタンドはあるという回答を合わせると15%になります。
 なお、参考資料1の32ページからは、照明に関する回答の生データですが、蛍光灯やLEDの本数などを尋ねています。作業場の広さを尋ねたところとはうまくリンクせず、割り込んで明るさを推計することはできなかったため、34ページにあるとおり照明の整備状況をごく簡単に再整理したものです。
○吉武委員 分かりました。全体が暗くても、手元に例えば電気スタンドがあれば、それで作業はできるわけなので、その辺の関係もあるのかなと、例えば暗い所であれば、そういったものを補助的な、補助照明というのが非常に重要ですので、全体は少し暗くしていても、電気スタンドを使うとか局所照明を使うというような考え方というのは非常にありますので、そういうことでお聞きしました。
 今、これを私が拝見した感じでは、逆に70ルクス以下の所が幾つか報告があるのですけれども、ここがどういう作業だったのかというのがちょっと気になるぐらいで、ほとんどの所が70ルクス以上ですし、70ルクスどころか、多分、現状を考えると150ルクスや300ルクスない所というのは余り考えにくいと思っているのですね。ですので、逆に言うと、ここで非常に低い値が出ている所が、もし調査できるのであれば、それがどういう作業をそこでやっているのか、実を言うと、それほど粗な作業も余りやっていないのではないかなという予測もしていて、実態がそのぐらい暗いとすると、何かそういったものがもしできれば、この後に確認できればと思いました。
 もう1つは、資料5、今御説明いただいた労働者のニーズ調査ですが、ここで照度が足りないと回答があった所が幾つかありましたけれども、これは実態は分からないのですよね。どういう作業をしている方とか、その辺に関しては。
○遠藤主任調査員補佐 3ページの所ですが、事務作業の照度ということで聞いております。事務作業を行っているという人に尋ねた結果がこちらです。吉武先生がおっしゃるように、実際に、どういった作業をしているかということまでは把握しておりません。
○吉武委員 なるほど。その中で、やはり全体として照度不足を感じている人もいるということですね。これに関しても、いらっしゃるだろうなという気はしていて、ただ照度不足を感じるというのは、単に本当に照度が低いのか、あるいは作業のときの文字が小さいとか、ほかの要因でこういったことが起こることは、往々にしてよくあることですので。
 もう1つは、最近の事務所作業というのは、ほとんどがVDTというか、情報機器を使うことになりますので、作業の内容によってこの辺の回答というのは変わってくるのかなと思います。ですので、これで見る限り、特に気になることは余りなくて、多分そこのもう少し、そのやられている作業の、もう1つのと同じように不満があるところが、何で不満があったのかというのが、もし追試できるようであれば、そこを確認できるといいかなと感じたところぐらいです。取りあえずは以上です。
○高田座長 ありがとうございます。今の御指摘ですと、実際にその現場での実態ということ、作業の面も含めて、もう少し調べられればという御指摘だったと思います。ほかに照度のほうはよろしいですか。そうしましたら、トイレのほうについての御意見はありますでしょうか。特に、調査結果についての御質問はないということでよろしいでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 事務局から補足いたします。できるだけ個票を平らにまとめることに徹しておりますが、まとめる中で、男女どちらの個室もないなど気になる回答については、個票の範囲で回答の確認などしてみました。結論から申しますと、回答がアンケート調査の形式という制約があって、対面で行った調査と異なり、その場で質問や確認をせずに記入しないといけないために生じた限界もあると考えられます。
 具体的には、男女別トイレの有無についての設問で、どの範囲のトイレを対象とするかということです。例えば、この会議室の建物のように、この階には女性トイレしかないが、3階には男性用トイレがあるという場合、利用可能な設備は別の階も含めて数える必要がありますが、調査票を記入する総務担当者が、別の階は含めずに数えたというケースが想定されます。別の階に他の会社が入居していても、法令上の観点からは、アクセスでき、有効に利用できれば数にカウントすべきなのですが、そうなっていないと思われるケースが集計していて幾つかありました。調査の限界があるという点でご承知おきください。
○高田座長 ありがとうございます。多機能トイレに関して、何か御意見とかありませんか。
○住徳委員 多機能トイレについての資料4の5ページの所を拝見していますが、恐らく調査の限界もあると思いますが、この右側の棒グラフはオストメイトが一番少ないといった結果ですけれども、恐らくオストメイト対応をしている設備だったら、ほかのものも全部対応しているのかなという気がするのですが、全てが整っているという多機能トイレと、例えば車いすが利用できる広さの多機能トイレと、それに手すりまで付いていますという、この割合を見ていくと、大体そういう感じで分かれるのかなという感じがするのです。ですので、上2つは付いているトイレが比較的多い、次に付いているのが手洗い器と非常用ブザーで、その4つを兼ね備えたトイレが2つ目に多い。そして、一番少ないのが、オストメイトの機能まで付けたものという、1個1個が別々に付いた多機能トイレというのは多分ないと思いますので、そういう結果なのかなと感じました。
○搆主任中央労働衛生専門官 はい。おっしゃるとおりです。
○住徳委員 そうなってくると、やはりオストメイトまで付けたトイレというのは、恐らく自社ビルとかではなくて、賃貸の物件なのかなという感じもしますけれども、やはり雇っている障害者の方とか、そういう方たちに合わせて、自社ビルですと設備投資するという方向性になって、新しい物件を賃貸すれば、こういった多機能トイレが建物の中に既に備わっているというのが実態なのかなと、これからは読み取りました。そのような感じでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 事務局として調査結果から言えることはないのですが、住徳委員が言われたように、この機能からの分類からですと、そのとおり車いすがほとんど整っていて、次に手洗い器、オストメイトというような感じで、機能には重なりがあると推測されます。
 また、オストメイト対応トイレにつき事務局としていろいろ調べものをしてましたら、バリアフリー法で整備された経緯として、当初は車いす対応が優先され、その後にオストメイト対応が追加されたということのようですので、比較的新しい建物でオストメイト対応が多いのかもしれません。
○住徳委員 10年ぐらい前からオストメイト対応トイレが増えてきましたので。
○搆主任中央労働衛生専門官 そうですね、ということもあって、オストメイト対応の割合が今の段階ではまだ少ないのかと。一方で、設備設置の負担という点では、オストメイト対応は必ずしも大きくはありません。車いす対応のほうがスペースは必要ですしオストメイト対応だけを優先して入れようと思えば、既存設備にオストメイト対応部分だけを追加するほうが容易な場合もあると聞いておりますが、数としてはより少ない現状にあるということです。
○住徳委員 分かりました。ありがとうございます。ベビーチェア・ベビーベッドというと、比較的ビルの中でベビーベッドがあるトイレは余りイメージが湧かないというか、例えば保育園や保育所のような所が付設してあるとか、そういう所であれば使うことはあると思いますが、こういったベビーベッドを設置してある事業場というのはどういったタイプの事業場になるのでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 これも調査結果に含まれないため推測になりますが、事務所がある建物が、例えば商用施設とか公共施設と共用の場所にある場合は、公共施設の要件あるいは保育園が近くにあるとということでベビーチェアなどが付されることがあると思われます。調査票を作成する段階で、実態把握のため念のため選択肢に入れた次第です。
○住徳委員 分かりました。ありがとうございます。
○高田座長 ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、更衣室関係は何か御質問はありますか、更衣室、シャワー設備等についてはいかがですか。こちらは特によろしいでしょうか。次は、休養室等ということで、休憩設備について何かありますか。よろしいでしょうか。休養室についても何か御意見、御質問等ありましたら併せてお願いできればと思います。よろしいでしょうか。
 次は、資料4の事務所における空気環境の状況について、何か御意見や御質問はありますでしょうか。今日は関係されているのは、齋藤委員になりますけれども。
○齋藤委員 8ページにありますように、上のデータは林委員からの御提出だと思いますけれども、下の事務所調査の結果では、二酸化炭素濃度の超過はほとんどなく十分な気積が確保されていれば問題ないという報告書のコメントです。一方、ビル管法の対象建物で測定するときには、二酸化炭素が超過することも多い状況にあり、また、冬場の低湿度も同様に問題で相対湿度が40%を切ることが多い状況にあります。しかし、参考資料1の後ろのほうのデータの推移を見ると、相対湿度が冬場でも40%を切っているようなものが余りないことが気になります。稼動がいつから始まって、いつ空調が切れるのか分からないのですが、見ていただくと、9時の始業だと、比較的8時とか7時半とかに空調が入って、5、6時が終わりだと7時ぐらいには切れてしまうのですけれども、参考資料の10ページの図の(b)を見ていただくと、これはお休みの日も入っているのかもしれませんが、相対湿度が45から60%でかなり平衡状態にあり、空調の稼動があるなしにかかわらず同じような推移をしているので、面白いなというか、そんなようなことがあったりするのです。確かに、二酸化炭素はこのデータの、かなり詳細な図の(a)から(d)までの中では、1,000ppmを超えているものがほとんどないような条件なのですけれども。
○高田座長 では、実際に調査を行った柴田委員から発言していただけますか。
○柴田委員 最初に10ページの(b)に当たる中間期、余り湿度の変化がないという言葉の部分ですが、これは中間期ですので、基本は空調は外気導入をしているだけなので、外気のほうが建物の内部の温度よりも低い状態なので、外気を取り入れることで自然冷房ができているという状態です。ですので、実質は外気の湿度に引っ張られていく感じになっています、この時期は。
○齋藤委員 そうですね。ただ、外気導入というお話ですけれども、日によって自然に、結局加湿していないというお話でした。45%から60%、プラスマイナス15%ぐらいでしょうか、あるのですけれども、室温を見ると大体26、27℃で、1℃ぐらいしか変わらないのですが。
○柴田委員 そうですね。
○齋藤委員 これは外気温ではないから分からないところもあるのですが。
○柴田委員 これはオフィスによって人の出入りの変動の非常に激しい所と、あるいは完全に間接部門系ですと、一度朝来たら夕方までほぼ同じ人数でいらっしゃるとか、そういった建物内での熱負荷の日変動が大きい所、小さい所の違いによってもかなり違いますので、そういう意味でいくと、この事務所Jという所は、熱付加の日変動が非常に少ないオフィスである現場というように御理解いただければと思います。
 相対湿度については、報告書自体が70ページぐらいになるものなので本日はお見せしていませんが、例えば相対湿度とかですと、やはり冬場になると、かなり乾燥して、下限値を下回っている所は結構ありました。
○齋藤委員 これを見させていただくと、今回出ている5施設でしょうか、問題のなさそうな施設ですけれども、それを見ると、湿度が冬場で暖房をかけているときでも、30%以上クリアできていますので、結構良いビルというか、ちゃんと管理もできている。
○柴田委員 そうですね、今回データを取らせていただいた所というのは、比較的良好なビルであったというものが1つと、我々が測定していることを意識して運転制御されていたと思われる所が、やはりあるのです。
○齋藤委員 コメントにも書いてありますね。
○柴田委員 はい。実際にそういうことも想定されましたから、調査の際に、過去何年間かの作業環境測定のデータも提供してくれるよう要請しました。同じフロアのデータも頂けることができた場所が半数ぐらいあるのですが、実測値を過去の作業環境測定データと照らし合わせたところ、矛盾がみられた事務所もありました。測定しているから良好な環境となるよう機器設定を変えたというのはあくまで推測です。
○齋藤委員 分かりました。
○搆主任中央労働衛生専門官 これは行政要請研究ですので補足させていただくと、2つのデータは別の意味を持ちます。建築物衛生法の林委員から出していただいたデータは、二酸化炭素濃度に関する状況は、事業場全体では決して良くないということを示しており、これは齋藤委員のご指摘のとおり。一方、それが設備能力によるのか運転管理によるのかという問題があり、行政要請研究では、設備を整えて自動制御している事務所は、正しく運転管理をすれば二酸化炭素濃度を抑制できるかということを調べていただき、下のデータを得たということです。二酸化炭素濃度の計測と外気導入の制御を行える空調設備を備えているところで、かつ、著しく規模が小さく人の出入りで不安定なデータが出るようなところは外して実測をお願いしました。
 特に、二酸化炭素濃度を改善するために外気を導入しても、外気自体に400ppm程度は含まれているため、薄まるだけで室内環境が一向に改善しないのではと。昨年度の状況ですと、省エネの観点から、できるだけ外気導入も控えたいという状況の中で運転されていたものですから、実際のところ設備の能力はどうなのかというのは分からなかったのです。そこを確認しようということでお願いした次第です。
○高田座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、資料4、資料5について質疑が終わったということで、ほかに事務局の追加説明は大丈夫ですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 はい、ありません。
○高田座長 そうしましたら、次の議題5に移ります。ただいま御説明いただいて質疑応答しましたこの調査結果などを踏まえて、今後検討すべき論点について整理しておきたいと思います。まず、事務局から論点案について資料6で説明をお願いします。
○搆主任中央労働衛生専門官 御説明します。今の議論の中で出てきました資料4と資料5を踏まえて、事務局でまとめた論点案が資料6です。事務所における照明、トイレ設備の要件、更衣設備等、休養室等、空気環境、この5つから成り立っております。
 1番目、事務所における照明についてです。事務所の作業面での照度基準は、事務所衛生基準規則の第10条で、粗な作業70ルクス以上、普通の作業150ルクス以上、精密な作業300ルクス以上となっています。調査結果から見る限り、取れているデータの中では、実態は基準に照らして良いということですので、現行の照度基準が妥当なものか、特に他の例えばJISなどの参考とする基準と比べて違いがある状況もありますので、作業状況やこのような他の基準にも照らして検討するべきものの1つに入るかと考えております。
 2番目のトイレ設備の要件について御説明します。現行の要件が事務所の衛生基準として妥当なのかどうかということの検討が必要だと考えます。その際に、先ほどありましたが、小規模の事務所を中心に男女別トイレの設置が十分でないと見られる結果もありまして、このような面も留意しつつ、また多機能トイレについては、事務所に対しても設置が進んでいるということですが、事務所衛生基準規則では多機能トイレを想定した書きぶりをしていませんので、法令上どのように取り扱うべきかも含めて検討すべきと考えます。
 3番目の更衣設備等、シャワー設備についてです。現在の事務所衛生基準規則では、更衣設備は一律に必要となっているわけではありません。また、シャワー設備は、この事務所の規則では規定がありません。労働者のニーズも念頭に置いて、事務所において必要かどうかも含めて検討が必要と考えます。
 4番目の休憩設備、休養室についてです。こちらは、事務所衛生基準規則でそれぞれ定めがあります。労働衛生上の観点からの必要性、それから労働者が必要としているニーズがあるのかどうかということも含めて、事務所でどのように扱っていくべきかといった検討が必要と考えます。
 5番目の空気環境については、先ほども議論がありましたが、特に換気の状況に直結する二酸化炭素濃度といった点を取り上げてどのように管理を行っていくべきか、それから平均的な値と自動制御を行う新しい設備とで開きができているということもありますので、どういった管理を行うのが妥当かの検討が必要と考えます。
 調査結果から導き出される論点案としては、このようなものが候補になると考えます。あるいは、ほかに検討が必要な点がないかといったことも含めて、委員の皆様に審議をお願いしたいと思います。
○高田座長 御説明ありがとうございます。そうしましたら、資料6の内容について各委員から御意見等ありましたらお願いしたいと思います。明石委員、お願いします。
○明石委員 1点質問なのです。休憩と休養の定義の違いは、臥床できる以外に何かあるのですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 休養室については、体調の悪い人に対して横になって休めるということで目的を明確に規定しています。休憩設備については、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならないと法令で規定されており、労働者が使えるようにしている設備があればということです。広さや備えるべき設備については、何ら定めがありません。
○明石委員 休憩設備を休養室に転用するなどということは可能なのですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 法令上というよりは現場の問題で、現在ある会社で休憩設備として使っているものが休養室になるかということですと、横になることができるかどうか、それを男女別に仕切りを付けることができるかということによるのではないでしょうか。前日まで休憩設備で人が出入り自由になっていた所が、ある日から体調の悪い人が休むということになると、休憩したい人が入ってきてしまい休養ができませんので、そういった整理は必要であります。休憩設備がある日なくなることは、法令上問題でないとしても、使えなくなることに対する不満が出てくる可能性はあります。詳細な要件は、法令そのものには規定がありません。ベッドがいいのか畳敷きがいいのか、折り畳みのでその場で用意ができればいいのかといったことは、弾力的な運用の余地はあると考えます。
○明石委員 すみません、もう1点。今、男女別とおっしゃって、トイレの男女別は分かるのですが、休養室で体調が悪くて横になるのに、男女別である必要まであるのですか。それとも、そうした点もこの場で検討することでよいのでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 休養室の男女別については、男性用と女性用に区別して設けるとなっています。混同して使うことは望ましくないということですが、例えば時間で割ったらいけないのか、そういった規定は特にありません。
 この検討会では、例えば実態としてこのように使うべきだけれども、法令に細かく書いてないので、あるいは通達で解釈を示していないために、そのような弾力的で合理的な運用ができないということであれば、この検討会で正に議論すべき話であろうと思います。男女別の規定を廃止することについては、議論としてはあるとしても、例えば労働安全衛生法第23条に規定する風紀の維持に抵触しないかどうかというような点も含めた検討が必要となります。
○明石委員 分かりました。
○高田座長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。では、住徳委員どうぞ。
○住徳委員 今の男女別というのも、昨年度のときも、性の多様性というか、LGBTにも配慮した議論をということだったと思います。休養室に関しては、休憩室とは違って、義務付けという扱いですよね。
○搆主任中央労働衛生専門官 義務付けがされているということです。
○住徳委員 ですよね。ただ、実態調査としては非常に設置が低いという結果があったということを考えると、法律が求めていることと現状がどうも乖離が大きいのではないかというところがあります。それを男女別、大企業ですと2つの個室を男女別ですよという体で休養室を設置している企業が多いのですが、それがやはりどうも現実的ではないという御指摘だったのかなと少し感じたのと、性差をきちんと分けて表現していくと、またこれから50年この法律が改正されないとなると、いろいろな影響が出てくる可能性があるので、一度議論してもいいのではないのかという気はします。全ての男女別と書いているものに対して、どう表現していくのかについてですね。トイレなどについても基本的に同じ意見です。
 また、その他の所で是非検討が必要と思われるのが、第15条の清掃等の実施のところです。ねずみとか昆虫といった前時代的な言葉、大掃除をしましょうという表現には違和感をもちます。現代の若い労働者は特にそう感じる部分だと思うので、ここも一度御検討いただけないかとは思っています。
○高田座長 何か事務局からありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。明石委員、住徳委員からのご指摘は、法令の規定で実態に合っていないところがあるのではということです。事務所衛生基準規則は、正に古い法令でして、今の時代に照らして、実態に合っているもの、いないものがあろうと思います。今回は、実態に合っているかどうか、現状に照らしていいのかどうかを改めて考えるべきタイミングです。一方で、法令は、衛生基準としてあるべき姿を定めるものとして、現状は達していないけれども衛生上必要だという場合もありますので、そこを含めた議論をしたいと思います。
 性的少数者への対応についてですが、49年前に事務所衛生基準規則が制定された時点では想定がなかったものと思います。それ以降、積極的な議論をする機会がないまま過ぎてきたわけですから、今回は正面から取り上げるべきだと思います。そのときに、性的少数者も1つの選択肢ですが、一方でその他の男性、女性の立場からの意見も尊重しなければいけないので、多様性は十分考慮しつつ、他の人に対して与える影響も含めて、幅広く前向きに検討していくということだと思います。例えば、現行の選択肢を排除する方向ではなく選択肢として増やしますというようなほうが望ましいです。これまでは議論するチャンスがなかったが、できるだけ、考えられる選択肢を増やしましょうというようなこととすると、この法令が、他の集団に対して圧迫を与えないような形となり、あとは社会の中で実態に応じてルールを定めたり選択したりするという余地が生まれると思います。
 第15条の清掃の規定については、残念ながら行政側では情報として余り持っていません。調査票の中でねずみ、昆虫について尋ねることもしませんでしたが、何らかの形で実態を把握したりあるべき姿について議論をする余地はあるかもしれません。
○北村生活衛生課課長補佐 清掃等については、建築物衛生法においては同じ規定があります。建築物衛生法は事務所だけではなくて、商業施設、飲食店を含めた店舗にも適用されますので、ねずみや昆虫等の防除は非常に重要なポイントです。事務所衛生基準規則は事務所に特化した規則ですので、そういった観点から清掃等の規定の可否の議論はあり得るのかなと思います。ただし、事務所といっても、ビル一棟全部が事務所ではなくて、飲食店も含まれる複合ビルの中に事務所があるといった場合は、ねずみ等のリスクはそれなりにあると思われますし、複合ビルの場合はビル全体統一的な清掃・防除は行われていると思うので、事務所衛生基準規則での規定が変わっても、結果的にやることは同じなのかという気もします。
○住徳委員 ありがとうございます。
○高田座長 よろしいですか。ありがとうございます。そうしましたら、冨高委員どうぞ。
○冨高委員 今の件につながるかもしれませんが、やはりニーズと実態と、あるべき正しい衛生基準とのバランスも見て検討しなければいけないと思います。また、この調査の中では、先ほどの性自認の件は調査されていないので分からないですが、そういう部分も見ていかないといけないと思います。そうなると、性別で分けるのがいいのかどうかというのはありますが、この調査では、男女共用への不満は高いという結果も出ているので、そこは見ていくべきだと思います。例えば、女性活躍推進法ができて、女性が様々な、今まで男性職場と言われていた所にも今後進出していくことを考えると、男女別の設備があるという選択肢は、産業の発展にもつながっていく、そういったことも考えたほうがいいと思っています。
 性自認については、昨年度の検討会報告では、結果的にあまり触れられていないと思っています。事務所衛生基準規則そのものを変えるかどうか、という議論はもちろんあると思うのですが、一方で、性自認に基づく施設利用の制限は違法との地裁判決なども踏まえれば、やはり正面から考えるべきであり、論点として入れるべきではないかと思います。結果的に、事務所衛生基準規則の改正につながらなかったとしても、今後の論点として残るでしょうし、例えばリーフレットに書き加えることなどにもつながっていくと思うので、まずはそうした視点を入れることが重要だと思っています。以上です。
○高田座長 ありがとうございます。何か追加は特によろしいですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 事務局からコメントいたします。性自認の話は、事務所衛生基準規則の中に男女別規定が入っている部分、入っていない部分がありますが、それらの中で、男女別が必要か、あるいは妥当かということを含めた形で検討することは可能だと思います。冨高委員が言われたように、この検討会での議論は事務所衛生基準規則の見直しを中心に置いた議論ではありますが、そこのアウトプットが必ずしも法令改正のみでなくても、法令の周知の中で詳しく解説をするとか、ガイドラインとして広くお知らせする形でやっていく、あるいはほかの法令との関連でも配慮していくというようなものになることもいいのかと思います。
○高田座長 ありがとうございます。そのほかいかがですか。吉武委員、どうぞ。
○吉武委員 まず、先ほどちょっとコメントさせていただいた1番の事務所衛生基準規則における照明についてです。ここは、やはり現状は非常に気になっているところではありますので、論点としては是非この後に議論させていただければと、今日ではなくて、是非論点として挙げていただきたいと思います。ただ、ここを考えるに当たって、今も幾つか話が出ていましたが、全体的に書かれている用語がやはり古いと思うのです。その辺の検討を、ここには入っていないのですが、何か検討される予定があるのですか。
 具体的に申し上げると、特に出だしの所で、事務作業に「カードせん孔機、タイプライターその他の事務用機器」というのから始まっているのですが、タイプライターとかではなく、今はパソコンのような情報機器を用いる作業がほとんどですよね。実態に合わせた形の作業ということでこれまで調査されているので、もし含まれていれば是非教えていただきたいですし、そこになければ、今の事務所の作業というと、ほとんどが皆さんパソコンとかを持ってやっているわけです。それ以外の作業ももちろんあるのですが、どういう作業が今、事務所の作業になっているのかということを想定されてというところで、その用語に合わせて、短期的なものではなくて、やはり将来のことも見据えたほうがいいと思いますので、もっと一般的な用語でいいと思うのですが、是非そこを、論点というよりも全体として検討いただけるといいかなと思います。
 それによって、照度だけ特定して決めるのはなかなか難しいのですが、やらざるを得ないのでやるべきだと思うのですが、照明よりも、全体としての管理が実は非常に重要なので、目安として照度はやはりあったほうがいいとは思うのですが、その辺の書きぶりを少し変えたほうがいいのかなという印象を持っていますので、その辺も論点として少し、このまま照度を幾つにすればいいのかという議論だけではなくて、どんな作業にとってどんな照度が必要かということだと思います。
 実は、一昨年なのですが、情報機器の、御存じのとおりVDT新ガイドラインというのが、一昨年検討して改定されましたよね。労働衛生管理のためのガイドラインというのを去年出したのですが、そのときも、画面照度だとかディスプレー上の照度だとかというのも結構検討はしましたので、その辺も含めて、例えば事務所の作業の8割ぐらいがこういうことをやっているのであれば、その辺を主体に置かないと、照度を決めるだけではなくて、その辺の作業の実態に合わせた形での表現にしていければいいかなと思いました。
 あと、OA何とかという言葉も出てきているのと、最後のほうに、例えば第22条ですが、立業のためのいすというのがあって、昨日ざっと全体に目を通したのですが、もちろん立位の作業のときには座るようないすをというのもあるのですが、今は、逆にこういう作業は立って作業ができるように、立ったり座ったりできるような、高さが変えられる机とかも結構あって、今は自由度が非常に重要なのです。オフィスというのは、やはり固定の拘束された作業というのが一番まずいので、何かそういったような、ここの立位の座れることも大事なのですが、もう少し自由に姿勢が変えられるとか、拘束しないとかというような表現も含めたような、現状に合わせたオフィス作業、今の実態を何らかの形で、用語もそうですし、もう少し働きやすい、今いろいろなオフィス作業の指針がたくさんありますので、多分これは基本となるものなので全部は入れられないので、大枠のところだけを何か入れられればということで、論点という意味では、もう少し全体の用語と、あと現状の実態に合わせて、あるいは少し先を見据えた、実態に合わせたものに少し検討していただけないかというのがコメントです。
○高田座長 貴重な御意見ありがとうございます。情報機器作業の想定されていない時代のものですので、その辺り、事務所作業の中での作業の区分とかで、ある程度何か言えるのかとかいうところも含めて、検討が必要なのではないかという御指摘だと思いますので、検討をお願いします。今のことに関連して何かありますか。
○住徳委員 働き方というように考えると、弊社もほかの同業他社とか大企業も含めて、自社で持っているオフィスを処分して、一定数の割合をテレワークにするという方針を出してきていますので、恐らく弊社ですと100人ぐらいのフロアに今20人ぐらいしか出社していない状況なのです。そうすると、もったいないねということと、あと新型コロナの影響が思ったよりも長期化するということで、テレワークの自由度をかなり上げてきていますし、リモート会議も当たり前になってきているような状況で、そうなってくると、人がいない事務所を持っているのが、会社にとってはすごい大きな損失になるということで、今そこの再整備が行われつつあるようです。
 そうなってきたときに、常時50人使用するという定義をどういう定義にするのかということです。在籍している人が1,000人いるのだけれども、出社しているのは100人しかいないのですというときに、それぞれのオフィスが常時何人働いているのかという定義が、どうも難しくなってくる時代が来ているので、その辺を今の吉武委員の御提案と一緒に検討していくべきかとは思います。
○高田座長 ありがとうございます。テレワーク関係のこともありますが、事務局から何かありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 テレワークについては、別途、厚生労働省として、テレワークを念頭に置いた検討会を先週立ち上げて議論を始めたところでして、テレワークのあり方そのものは、そちらを中心にするのだとは思います。ただ、事務作業は、テレワークの多くを占めるわけで、事務所での作業から派生したテレワークが多いのだろうと思うのです。
○住徳委員 もっと変わると思います。恐らく、サテライトオフィスのような所、中継点がポツポツ入ってきて、そういう状況でどこでどう働く、会議も多分本社でやらないとか、貸しオフィスでやるとか、そういうのになってきて、できるだけ物件を持たずに、効率的に空間を使いながら仕事をしていこうという方向に今なっているようなので、そうなってきたときに、私はどこに所属しているのでしょうという感じなのです。
 実際、私も4か月ぐらいほとんど出社していないので、名刺も作れない状況なのです。そういう状況がかなり定着してきていて、それをどう整備し直すのかというのが、私たちも分からないですし、企業も模索しているところなので、そうなったときに、通常こういった労働が慣例に使われている常時何人使用という常時の労働者という定義が、今後使えるのかというのが難しく、解釈をどうしていくのだろうというのが疑問としてはあります。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘はよく分かりました。申し上げようと思ったのは、テレワークというのは、もともとは、事務所で行われていた作業が、どこか別の場所、在宅なりサテライトオフィスで行われる場合が多いということです。
 ただし、テレワークが一時的なものでない、5年後にはもっといろいろな形のテレワークが広がるということであれば、その元となる事務所の基準はこのままでいいかという議論の中に、常時働く労働者の数というのはあり得ます。
 現状について申しますと、事務所衛生基準規則では、2種類の書き分けがあります。便所の箇所数の規定では、常時同時に就業する男性労働者何人ごとと書かれていますが、三交替で20人、20人、20人であれば合計で60人ですが、トイレ設備の基準としては20人としてよいわけです。
 一方で、常時労働者数何人という、事業場の規模そのものを表す書きぶりもあります。基本的にこの設備は必要だけれども、小規模事業場にまで設備を用意するのは余りにも負担が大きいということで、裾切りされているケースもあります。テレワークを本格運用することで事務所に滞在する労働者が減り、合計の滞在時間が少なくなるということであれば、空気環境とかトイレとかには直接影響する問題はあるかもしれませんが、安全衛生管理体制のように事業場規模ごとに規定しているものについては、テレワークにより事業場の規模が変わるわけではないと思うのです。
○住徳委員 それは分っています。勤務地がどこかと、拠点となる勤務地は、労働者はみんな持っておかなければいけないわけですから、それについては十分分かります。それで、オフィスをコンパクトにしていこうという方針が出てきているのかと思いますので、そのときに柔軟に対応できるようなものにしておいたほうがいいのかと思います。
○搆主任中央労働衛生専門官 分かりました。特に人数割で、設備が滞在人数に対応しているというところは、この中で議論できると思います。
○高田座長 重要な御指摘をありがとうございます。ほかにはありますか。
○吉武委員 正に、今おっしゃったとおりでして、これは事務所の話ですが、私は人間工学会のほうで、実はVDT作業が最も多いですが、オフィス作業に関わる人間工学的な規格を、ISOとかJISとかをずっと作っているのです。そこの中に事務所の話が、オフィスの話が出てくるのです。
 基本的にはオフィスというのは、そこで何か作業があるわけなのです。今、おっしゃったのは、事務所の作業ですよね。事務所作業、オフィス作業というのは、実は今もうサテライトでもできるし、家でもできるし、公園でもできるしという話になってきているわけです。ですので、オフィス作業という考え方とオフィスという考え方があるので、オフィス作業をやるためのオフィス、事務所衛生基準規則があるということなのです。
 これはすごく大事なのですが、そのオフィス作業というのは、実はいろいろな所でやるように、今のテレワークの話もそうですが、なってきているので、その中でここで取り込んだほうがいいものは取り込んだほうがいいかと思います。オフィス作業という概念ですね。オフィスということだけではなくて、オフィスとオフィス作業という2つのものを見ながら、そのときにここを改定すべきものと、オフィス作業そのものを考える場合は、また別の所でやらなくてはいけないかもしれません。ここではなくてです。なので、そこを少し切り分けて考えると分かりやすいのかなということで、今コメントをさせていただきました。
 オフィスを考える。オフィス作業を考える。両方は密接に関係しているのですが、そこを少し切り分けてやると、今後の議論はしやすいかと思います。
○搆主任中央労働衛生専門官 よく分かりました。従来の考え方は、オフィスすなわちオフィス作業ということでしたし、テレワークもあったとしても、ごく僅かであって余り注目されていなかったということですね。したがって、この検討においては、大部分が事務所における作業だとしても、事務作業という概念を念頭に置いた上で議論しなければいけないということですね。
○吉武委員 そうです。そう念頭に置いてということになります。そうすると、テレワークのこととかも、結局は家庭でも、ここに書いてあるようなことを、事業者としては、テレワークをやるのであれば、家庭環境も何らかの形で支援しなくてはいけないとかという話が多分今後出てくると思いますので、そのときの参考程度だと思うのです。だから、家をそうしなさいということではないと思うのですが、その考え方を少し取り入れてその後進めていくといいかなと思います。
○高田座長 ありがとうございます。ほかにはありますか。今、根本的な議論が結構なされていますが、あとは空気環境のほうとかで何かありますか。
○齋藤委員 二酸化炭素の基準1,000ppmもビル管法で制定当時以来変わっていません。人によっては、日本ではこの基準を維持したからこそ、以前アメリカで起こったシックビル症候群のような災害を免れたのではないかといわれています。二酸化炭素の基準1,000ppmについて、なぜ昭和45年のビル管法制定当時、1,000ppmしたかという多少の文献はありますので、もし必要であれば先生方に御提供させていただくことは可能です。ビル管法の立場からすると、1,000ppmを例えば2,000ppmにした場合の健康影響とか、はっきりエビデンスがない限りは、上げるのはいかがかという気持ちもあります。今の地球環境でも二酸化炭素が400ppm、あるいは東京だと500ppmぐらいになる所が多いので、建築系の先生は1,000ppmではきついので上げてくれという方が多いことは確かです。
 あと、二酸化炭素もそうですが、冬場の低湿というのは、東京都ですと、対象全体の80%ぐらいは冬場40%を超えることができないと言われていますので、二酸化炭素の御議論もいいのですが、冬場の低湿についても少し御議論いただければと思っています。
○高田座長 ありがとうございます。今、湿度のこと等を含めて話が出ましたが、何か事務局からありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。論点案の書き方が粗いために誤解を招いたかもしれませんが、この検討会の中で1,000ppmの基準が妥当かどうかを議論する予定はないと思っております。二酸化炭素の基準1,000ppmを前提として、適切な管理をどのようにやっていくかということだと思います。
 相対湿度の問題は、冬場40%を割り込むことが多いという空気環境の問題ですね。ビル管法のデータも、相対湿度も含め提示頂きながら視野に入れていくのもいいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤委員 それは大丈夫です。何年かで科研費でいろいろなデータはありますので、事務所に特化した形で前回の検討会と同様に、林先生から御提供いただけるものと思っています。
○高田座長 ありがとうございます。柴田委員、何かありますか。
○柴田委員 事務所衛生基準規則の第3条2項で、一酸化炭素は50ppm、二酸化炭素は5,000ppm以下としなければならないとあるのですが、空気調和設備の有無にかかわらず、まずはこれをクリアしないさいと。それで、第5条では、空気調和設備を有している事務所の場合には、10ppm、1,000ppmでという形で、2段階の設定になっていますよね。どういうことでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 この規定は、事務所で家庭用エアコンなど空気の出入りがない設備を設置した場合は、空気調和設備の規定は該当せず、第3条に規定する二酸化炭素5,000ppmなり、一酸化炭素50ppmという規定が適用になるということです。ビル管法とは関連しません。
○柴田委員 二酸化炭素が5,000ppmを超えるなどという場合には、燃焼機関で動いているような装置が併設の工場にあって、その隣若しくはその2階に事務所があるような所ですと、排気が流れ込んできたりとかでというようなのは、可能性としてはありますが、そういう特殊な構造でない限りはなかなか超えないですよね。
○搆主任中央労働衛生専門官 第3条の規定は、空気調和設備などによる換気を念頭に置いたものではなく、二酸化炭素、一酸化炭素の許容濃度から算出した単なる上限値だということです。だから、第3条に規定する値は、決して超えてはいけない、健康障害を予防するための数値です。それに対して、第5条の規定で空気調和設備、機械設備がある場合に適用される二酸化炭素の基準1,000ppm、一酸化炭素の基準10ppmは、空調設備でコントロールをするための目標値、あるべき水準ということです。対象も違いますが、趣旨が全く違うので、第3条の規定5,000ppmを3,000ppmに下げるとかという議論にはなりません。
○高田座長 今の所でほかはいかがですか。では、大体お話は出尽くしたかと思いますが、ほかに付け足す点とかはありますか。よろしいですか。そのほかにも御意見がないということでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 次回は、本日の議論を踏まえて御意見に対する回答、それから整理された論点を事務局に準備していただき、引き続き議論を進めてまいりたいと思います。それでは、事務局にお返しします。
○矢吹有害作業環境指導係長 次回、第2回の検討会については、後日また日程を調整させていただき、改めて日時を御連絡させていただきます。以上をもちまして、第1回事務所衛生基準のあり方に関する検討会を終了いたします。ありがとうございました。