令和2年6月25日 第178回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年6月25日(木) 15:00~18:00

場所

オンライン会議
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて
  2. (1)自立支援・重度化防止の推進
  3. (2)介護人材の確保・介護現場の革新
    (3)制度の安定性・持続可能性の確保
  4. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第178回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は、前回同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 会の開催にあたりまして、まず、前回会議から委員の交代がありましたので、新任の委員を御紹介いたします。
 全国町村会副会長で、山口県周防大島町長の椎木巧委員です。
○椎木委員 山口県周防大島町長の椎木でございます。
 河村奥多摩町長の後任として、今回からこの分科会に参加することになりました。よろしくお願いいたします。
○栗原企画官 ありがとうございます。
 次に、本日の委員の出席状況ですが、正立委員より御欠席の連絡を頂いております。
 以上により、本日は24名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 また、本日は議題の関係で、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の川端裕之が出席することになっております。少し遅れておりますが、追って参ります。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に、令和3年度介護報酬改定に向けての資料として、資料1「自立支援・重度化防止の推進」。
 資料2「介護人材の確保・介護現場の革新」。
 資料3「制度の安定性・持続可能性の確保」。
 また、資料4としまして「令和3年度介護報酬改定に関する関係団体ヒアリング・実施要領について(案)」を付けさせていただいております。
 それから、参考資料1、参考資料2、参考資料3、以前の分科会の資料の関係を掲載しております。
 また、委員提出資料として、堀田委員と黒岩委員から資料が提出されております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、オンライン会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認を頂き、指名していただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容につきましては、オンラインの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
 (報道関係者退室)
○栗原企画官 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 オンライン参加の皆さん、こんにちは。
 本日は、まず、令和3年度介護報酬改定に向けた横断的な事項として、前回御議論いただいた「地域包括ケアシステムの推進」に続いて「自立支援・重度化防止の推進」「介護人材の確保・介護現場の革新」、そして「制度の安定性・持続可能性の確保」について議論を行います。
 次に、令和3年度の介護報酬改定に向けた団体ヒアリングの方向性についても議論いたします。
 なお、集中を持続するには3時間は長過ぎるので、途中で10分間程度休憩を入れることにいたします。御承知おきください。
 事務局においては資料説明を簡潔に行っていただくとともに、委員の皆様におかれても発言は論点に沿って簡潔に行ってくださるよう、御協力をお願いいたします。
 なお、本日は、資料1から資料3について事務局から一通り伺った後、質疑の時間を取ります。この途中で休憩を入れることになるはずです。その後、資料4について説明、質疑を行う順番といたしますので、御了承ください。
 早速ですが「令和3年度介護報酬改定に向けて」の3つの横断事項について議論を行います。
 事務局から説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料1から資料3につきまして、御説明をさせていただきます。大部でございますが、簡潔に、コンパクトに御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1からであります。「自立支援・重度化防止の推進」でございます。
 1こま目で、4つの柱のうちの2つ目となります。
 3こま目でございます。「今後の介護保険をとりまく状況」の中で、こちらのグラフは要介護認定率が、年齢が上がるとともに上昇すること。また、一人当たり給付費も上昇することをお示ししております。
 4こま目で、こちらは2015年と2019年の各年齢階級別の認定率でございますけれども、要介護1~5、要介護3~5につきましても若干後ろ倒しになってきているということが見て取れます。
 5こま目で、こちらは平成22年、平成25年、平成28年の健康寿命をお示ししたもので、健康寿命、平均寿命、ともに延伸しているということをお示しさせていただいているものでございます。
 6こま目、7こま目で、6こま目は「介護が必要となった主な原因」で、脳血管疾患、心疾患、認知症が主な原因を占めているということでございます。
 7こま目で、こちらは「リハビリテーションが必要となった原因の疾病」で、脳卒中、あるいは骨折、関節症・骨粗鬆症などが多いということをお示しさせていただいているところでございます。
 次に、自立支援・重度化防止の推進の観点から御説明をさせていただきます。
 10こま目に飛ばさせていただきます。10こま目は介護保険法の抜粋でございます。この第1条に目的がございます。その2行目に、要介護者に対しまして、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようということがございます。そして、第2条の2項でありますが、保険給付は、要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するよう行われるということ。そして、医療との連携に十分配慮されることということが記載されております。また、第2条の4項でありますけれども、そちらの後段には、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならないという記載がございます。第4条で、これは国民の努力及び義務で、自ら要介護状態となることを予防するためとございますが、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとするとされているところでございます。
 それでは、12こま目でございます。介護保険計画に関しまして、介護保険事業は3年ごとに介護保険事業計画、都道府県においては支援計画を作成するとなってございます。
 そして、その計画の基本指針を、13こま目でありますが、こちらは今年の2月に社会保障審議会介護保険部会の資料から抜粋してございますが、来年度から始まる第8期の計画において、どのようなことを柱としていくかということでお示ししたもので、その3番目の柱に「介護予防・健康づくり施策の充実・推進」というものがあるところで、四角で囲ってございます。
 14こま目がここからしばらくのスライドでお示しするもので、14こま目は保険給付の体系として、介護給付、予防給付、そしてそれ以外に、保険給付と並行して地域支援事業があるというところでございまして、その地域支援事業に関しまして、これから数枚のスライドで御説明させていただきます。
 15こま目が全体像でございます。
 16こま目で「地域支援事業の概要」で、この地域支援事業には「(1)介護予防・日常生活支援総合事業」「(2)包括的支援事業・任意事業」がございます。また、財源構成なども右下に書かせていただいているところでございます。
 17こま目が「総合事業を構成する各事業の内容及び対象者」で「(1)介護予防・生活支援サービス事業」。それには訪問、通所、そして、その他の生活支援サービスなどがございます。あと、ほかにも「(2)一般介護予防事業」というものがございます。
 18こま目で、こちらは短期集中予防サービス、サービスCという類型のサービスで、こちらに関しまして、各市町村でやっていただいているということで、実施している割合が43.8%であったということをお示ししております。
 19こま目は、一般介護予防事業の中の通いの場に関するスライドでございまして、例年、アンケートを取りまして、通いの場が増えてきていること。そして、参加率も上がってきているということがこの19こま目のスライドの左下のグラフに記載しているところでございます。
 20こま目は、これは昨年の通常国会で成立いたしました法律において可能になることでございますけれども、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施が今年度から開始が可能になっているということで、後期高齢者の保健事業と介護予防の事業を現場でも一体的にやっていくということで、双方いいところ取りをして高齢者の健康増進につなげていくということ。また、データベースを整備していきましょうという事業でございます。
 そして、介入をしたことでいいエビデンスが出てきているということで21こま目にお示ししております。
 22こま目が昨年、令和元年12月にまとめたもので、一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会の取りまとめの概要のポンチ絵でございます。
 23こま目、24こま目になりますが、こちらは保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金の概要でございます。いわゆる通称インセンティブ交付金としておりますけれども、令和2年度に関しましては予算が倍増するようなことになっております。
 そして、この予算が増える中身に関しましては、この介護予防に取り組んでいるというところを評価した。そういった指標が多くつくられてございまして、それを24こま目にお示ししているところでございます。
 26こま目で、要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会というものが開催されているところでございます。こちらもオンラインでの開催が主でありまして、先日オンラインで開催させていただいたところで、今後リハビリテーションのニーズが増えていくことに鑑み、市町村において、その体制整備に活用していただきたい。そういうことも含めて、リハビリテーションの定義ですとか、あるいは指標についての御議論を頂いているもので、今月中に取りまとめを行う。そして、介護保険事業(支援)計画に反映させていくということを予定するものでございます。
 それでは、27こま目、保険給付の議論に移らせていただきます。
 保険給付は介護給付、予防給付があるわけでございますけれども、28こま目であります。介護保険サービスにおける質の評価の在り方に関しましては、これまで累次行われてきました介護報酬改定で議論が積み重ねられてきてございます。平成18年からの審議報告を抜粋しておりますが、全ては御説明申し上げませんが、例えば平成24年度の介護報酬改定に関する審議報告では、その末尾の行でありますけれども、要介護認定データと介護報酬明細書、いわゆるレセプトデータを突合させたデータベースの構築を図るということで、この辺りからデータベースに関する議論が始まっているかなと思います。また、前回改定では、下線を引いておりますが、2020年度の本格運用開始を目指すこととされているデータベースの構築により、介護の取組とそのアウトカムの関連の分析等を加速し云々ということを書かせていただいているところでございます。
 そして、その取組を29こま目、30こま目にこれまでの取組をお示ししておりますけれども、指標としてはストラクチャー、プロセス、アウトカムなどがあり、そして、導入の経緯を書いているところでございます。
 31こま目が介護の質の評価に関する基本的な考え方とこれまでの取組でございます。「これまでの指摘を踏まえた質の評価に係る視点(例)」ということですが、マル1として質の定義ということではサービスの法令上の目的ということで、先ほど御紹介したような法令上の目的がございまして、その評価されるべき「質」の位置づけなど。マル2として評価指標についてですけれども、視点としてはストラクチャー、プロセス、アウトカム等があるでしょう。そして、項目、評価指標の普遍性などが視点となるでしょうということでございます。マル3といたしまして、質の評価の仕組みについてということで、質の向上に効果的かどうか、あるいはクリームスキミング、いわゆる改善しやすい人を対象としやすくなるような、そういうインセンティブが起こらないかどうかということでございます。
 32こま目、33こま目は現在の報酬上の評価項目で、それに該当するものを一覧でお示ししております。
 34こま目は、その続きでございます。
 次に、データベースの話に移ります。35こま目以降、こちらは科学的介護という通称でデータベースを整備してきておるもので、35こま目が全体像でございます。
 経緯といたしましては、36こま目に「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」というものがございまして、これは前回改定の前から、2017年10月に第1回、また、改定時に中間取りまとめが行われまして、そして、2019年7月16日に最終取りまとめが行われております。
 その中で今後、これはCHASEと言われるデータベースを今後つくっていくための検討会になったわけでございますけれども、それに沿って、今、事務局において準備を進め、今年度からCHASEはスタートしております。
 37こま目でありますが、これは「科学的裏付けに基づく介護」についてであります。EBMと対比させて記載させていただいております。
 38こま目、39こま目が、この取りまとめ経過であります。
 40こま目がデータベースの全体像で、一番上に要介護認定情報・介護レセプト等情報。これは毎月、市町村等から御報告いただくものでございます。その下に通所・訪問リハビリ事業、VISIT情報。いわゆるリハビリ情報です。次が高齢者の状態やケアの内容等の情報でございまして、これはCHASEというふうに通称しておりますが、その情報。そして最後が、一番下が地域支援事業の利用者に関する情報で、例えば基本チェックリストのような情報も入れられるようにつくっていくということでございます。
 それでは、次に進ませていただきまして、42こま目で、こちらは昨年の通常国会で成立いたしました法律で、赤で囲ってございますが、3.で、NDB、介護DB等の連結解析等を行っていくというもので、それが43こま目にどのように進めるかということを書いております。
 NDBは医療のレセプトデータですけれども、それと介護のレセプトデータ、要介護認定を連結して分析ができるようになるといいですねということで、それを進めていくものでございます。総合的に、それを第三者提供もしていくということで進めているところでございます。
 それでは、進ませていただきます。48こま目に飛ばさせていただきまして「高齢者リハビリテーションのイメージ」でございます。ICF等の考え方にも基づきまして、心身機能へのアプローチ、活動へのアプローチ、参加へのアプローチということで概念を整理しているところでございます。そして、左側から急性期・回復期、生活期というふうに時間的な移行をしていくというものでございます。
 そして、通所リハビリテーションと通所介護の要件等の比較をしたものが49こま目。
 50こま目は「リハビリテーション・機能訓練に関する基準」。それぞれ若干違うところはございますので、それを比較でお示ししております。
 51こま目が「リハビリテーション専門職と機能訓練指導員について」でありますけれども、やはりこのグラフの中で言語聴覚士さん、作業療法士さん、理学療法士さんは通所リハというところに多く勤めていらっしゃるということが分かります。
 進ませていただきます。54こま目が今回新しくお示ししているような、事務局でまとめたもので「自立支援・重度化防止を効果的に行うための取組の連携」で、この真ん中に絵がございます。リハビリテーション・機能訓練、そして、左下に栄養、右下に口腔とあります。これまで個別に語られることが多く、口腔、栄養は一体的に語られることがございましたが、それぞれ、例えばリハビリテーションで口腔機能をアップする。また、リハビリテーションを行えば栄養も非常に通常のものよりは、例えばたんぱく質を補充するなどのことは必要。配慮が必要ということで、このリハビリテーションと栄養と口腔というものは三位一体といいますか、それぞれ連携して一体的に考えられて提供されていかなければならないということであると思います。また、当然ながら、このリハビリテーション、栄養、口腔を行うためには全身状態の評価ということで、医師による評価ですとか、それを可能とする、全身状態を維持するための投薬ですとか、服薬の評価も必要になってくるとは考えているところでございます。
 そして、それに係るエビデンスを55こま目にお示ししてございます。
 次に56こま目でありますけれども、こちらは認知症施策推進大綱の抜粋を掲載させていただいてございます。そこの「第2.具体的な施策」の3.の(4)の2つ目の○で、認知症の人に対するリハビリテーションということで、ここにも実際に生活する場面を念頭に置きつつ、各人が有する認知機能等の能力を見極めということが書いてございます。
 そして、それに沿った改定などが行われていることを57こま目でお示ししております。
 58こま目以降は平成30年度介護報酬改定、前回改定の概要でございます。今日御議論いただいているこの資料でございますが、前回改定でも「II 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」ということで御議論いただいておりました。
 あとはおさらいになりますけれども、59こま目、60こま目でありますが、リハビリテーションに関しまして、医療から介護への円滑移行を図るため、面積・人員等の要件を緩和するほか、リハビリテーション計画書の様式等を見直したということでございます。
 61こま目でありますけれども、こちらは医師の関与を強化していくということでありまして、リハビリテーションのマネジメント加算を拡充してございます。
 そのような考え方で、62こま目も続いております。
 それから、63こま目でありますが、こちらはアウトカム評価を拡充していくということで、そのスライドが63こま目、64こま目というふうに続いてございます。生活行為向上リハビリテーションなどを新設したということでございます。
 そして、65こま目は「リハビリテーションにおけるアウトカム評価の明確化」で、社会参加支援加算の要件などを明確化したということでございます。また、体制も広げたということでございます。
 次に進ませていただきまして、67こま目でありますけれども、こちらは訪問介護の身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化するということ。それから、身体介護に重点を置くなど、身体介護・生活援助の報酬にめり張りをつけたところでございます。
 68こま目が、通所介護事業所等に導入されたADL維持等加算でございます。それぞれ月に3単位、6単位という類型の単位数で、単位数自体は高くないという御指摘があるところでございます。
 これに関しまして、検証調査の結果が69こま目、70こま目、71こま目にございます。69こま目でありますれば、通所介護事業所のうち、例えば3つの要件がございますが、パターンAで算定可能となっている事業所が63.9%あるということをお示しさせていただきました。これは6月1日の分科会でも御報告させていただいたところでございます。
 70こま目、71こま目も同じ検証調査で、70こま目で申し上げますと、今回、ADL維持等加算におきまして、取組で申し上げますと、定期的な評価の実施が開始されたりとか、Barthel Indexを用いたADLの評価が実施されたということがあります。それから、変化した取組内容や利用者の行動で申し上げれば、ADL評価を定期的に行うようになったなどが多いですが、その下、赤で囲っておりますけれども、サービス内容を変更したこともあったというものでございます。
 71こま目でありますが、このADL維持等加算を算定している通所介護事業所ですけれども、介護支援専門員にお聞きしたところ、こちらは変化があった、あるいはADL維持・向上のためのプログラムが増えたという回答があったところでございます。
 72こま目は、その他、アウトカムにつながるということで、褥瘡マネジメント加算、あるいは排せつ支援加算というものが創設された。
 73こま目は、リハビリテーションマネジメント加算(IV)といたしまして、これは先ほどコメントいたしましたリハビリのデータベース、VISITに関してデータを出していただくことについて、インセンティブということで設定させていただいた加算でございます。
 74こま目がそれぞれの加算の設定状況であります。
 75こま目がそれぞれの算定状況でございます。見ていただきますと、リハビリテーションマネジメント加算(I)は比較的算定率が高いかなと思っておりますが、例えば訪問リハビリテーションの社会参加支援加算では18.54%などという算定率になってございます。また、生活機能向上連携加算に関しましては総じて算定率は低いということになっております。
 76こま目であります。こちらは「口腔衛生管理の充実と栄養改善の取組の推進」という文脈で、前回改定、例えば口腔衛生管理体制加算というものを新設したり、あるいは栄養スクリーニング加算の評価を新設したということでございます。また、低栄養リスク改善加算を設けた。
 それを体系的にお示ししたものが77こま目で、上が施設サービス、下が居宅・介護予防サービスで、どのような点数があるか、単位数があるかということでございます。
 78こま目は老健事業でありますけれども「介護保険施設等における歯科専門職の口腔衛生管理等への関与」ということでございます。カンファレンス等に参加していただくことが今後増えていけばいいなということを示す資料でありました。
 81こま目に行かせていただきます。「介護報酬における栄養関連の加算等について」ですが、先ほどは口腔衛生であったわけでございますけれども、こちらは栄養に関する単位数にこのまま介護報酬項目について体系的にお示ししているものでございます。その中で、赤字で平成30年新設というものが前回改定で新設されたものでございます。
 82こま目、83こま目は入所者について、栄養について課題がある方もいらっしゃいますということをお示しするものでございます。
 84こま目でありますが、これは施設サービスにおける各加算の算定状況。
 そして、85こま目が居宅サービスにおける各加算の算定状況でございますが、例えば居宅サービスで申し上げれば、栄養スクリーニング加算は総じてそんなに高くはないということかと見ております。
 86こま目以降で、こちらは参考情報でございますけれども「令和2年度診療報酬改定の概要」であります。診療報酬改定も4本の柱で今回改定を行ったと承知しておりまして「II 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」というところでございます。ここが私ども、今回のこのテーマに関連するということで幾つかお示しさせていただきます。
 87こま目が「リハビリテーションに係る見直し」で、この上の図はよく使うものでございますが、急性期から右側に行くに従いまして生活期というふうになっていきますが、急性期、回復期は主に医療保険で給付され、また、維持期・生活期になってまいりますと、主に介護保険で給付される。これが円滑に接続できるといいですねと。適時適切なリハビリが提供されるといいということであると承知しております。
 ここは割愛させていただきまして、次に91こま目以降は、既に何回か御覧になったことがあるかと思いますけれども、昨年12月末に介護保険部会で取りまとめられました介護保険制度の見直しに関する意見の抜粋でございます。
 その中で、93こま目には本日この資料で申し上げます介護予防・健康づくりの推進に関する部分を抜粋しているところであります。
 その後、96こま目以降は成長戦略ですとか、あるいは100こま目以降はいわゆる「骨太の方針」の抜粋。また、改革工程表の抜粋でございます。
 104こま目でありますが、こちらは前回改定の審議報告で「今後の課題」とされたところの抜粋で、介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブということでございます。
 これまでの分科会の主な意見を105こま目に書かせていただいております。<自立支援・重度化防止の考え方>の中では、制度の持続可能性の観点からも重要である。あるいは何を目指すものかについて、共通認識を持つべき。そしてアウトカム評価の検討の中では、クリームスキミングによる利用者のサービス利用への影響を検証した上で検討する必要がある。そして最後の○ですが、これはインセンティブを考える必要があるのではないか。<評価の観点>ですが、サービスの質の評価指標に関する標準化について、共通の物差しが必要ではないか。科学的介護、アウトカム評価が重点課題となる中、CHASEやBarthel Indexを活用することが必要ではないか。それから<データ活用>ですけれども、これも通いの場等でも把握できるように情報共有するべきではないか。
 106こま目に行かせていただきまして、続きでございますが<専門職間の連携等>に関しまして、1つ目の○で、ADLの維持や生活機能向上ですが、事業所・施設とリハビリテーション専門職、介護支援専門員の連携、特に事前関与が効果的であるということで、それの方策の推進が重要ということが書かれております。また<個々の加算等>で、ADL維持等加算について、Barthel Indexを評価指標として使っていくことは、介護現場における使用率等からも適当なのかどうか。また、認知症の評価が入っていないということで、これも検討が必要ではないかという御指摘もあったところでございます。また、そこの一番下の○ですが、BPSDへの対応も非薬物療法を原則としており、本人の不安などを取り除くための、様々な角度からのアプローチが必要ではないかということでございます。
 そういうことで、今までのような資料を用いまして、108こま目以降、こちらは論点としてお示しさせていただきますが、108こま目、109こま目、110こま目はこれまでのスライドをまとめたもので、割愛させていただきます。
 111こま目の<論点>でございます。
 今後、高齢化が進展していく中で、介護保険制度の趣旨を踏まえ、高齢者の尊厳を保持しつつ、自立支援・重度化防止に向けた取組をさらに進めていくことが求められる。
 今後、各サービスの法令上の目的や認知症の人を含めた利用者のニーズ、価値判断等を踏まえつつ、介護サービスの質に関する評価をはじめ、自立支援・重度化防止に向けた取組を進めていく上で、どのような方策が考えられるか。
 自立支援・重度化防止等を進めるためには、介護関連データを活用しながら取組を進めていくことが重要となるが、エビデンスに基づいた介護を実践しつつ、科学的に妥当性のある指標等を現場から収集・蓄積、分析し、分析の成果を現場にフィードバックしてさらなるエビデンスに基づいた介護の実践につなげていく循環を創出し、現場・アカデミア等が一体となって科学的裏づけに基づく介護を推進する仕組みを形成していくことが重要であると考えられる。介護の場は高齢者等の生活の場でもあることから、生活の視点を重視し、社会参加の状況など生活の中での本人の状態や日中の過ごし方などの情報についても、データの収集・活用を検討することが重要であるとの指摘もあるが、どのような方策が考えられるか。
 最後の112こま目でございます。
 介護の質の評価に関して、各介護サービスや加算の特性、測定項目の信頼性等を踏まえつつ、リハビリテーション、口腔・栄養等をはじめ、各介護サービスの評価について、妥当性のある評価指標の在り方をどのように考えるか。
 プロセスの評価について、これまでリハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養等の分野で進められてきているが、これらを含め、各介護サービスは、データ解析により得られるエビデンス等を利活用しながら、PDCAサイクルを回しつつ推進していくことでより効果的に実施することができると考えられるが、どのような方策が考えられるか。
 アウトカムの評価について、平成30年度介護報酬改定において通所介護にADL維持等加算を設けているが、平成30年度介護報酬改定の検証も踏まえながら、クリームスキミングにも留意しつつ、さらなる取組としてどのような方策が考えられるか。
 リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養について、より効果的な自立支援・重度化防止に向けた取組としていくためには、各職種の役割分担の明確化を図りつつ、医療と介護、さらには介護サービス間の連携により、適時適切でより効果の高いサービス提供を実現するとともに、生活の視点も重視しながら、各分野が連携して取り組んでいくことが重要であると考えるが、どのような方策が考えられるか。
 これが資料1でございます。
 続きまして、資料2に行かせていただきます。
 1こま目でありますけれども、4つの柱のうちの3つ目で「介護人材の確保・介護現場の革新」という観点でございます。
 3こま目に行かせていただきまして「今後の介護保険をとりまく状況」の中で、今後「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に直面していくということ。
 4こま目は「介護職員数の推移」で、棒グラフが職員数でございます。そして、折れ線グラフが要介護あるいは要支援認定者の数でございます。それぞれパラレルと言ってもいいかもしれませんが、増えてきているということでございます。
 5こま目は有効求人倍率で、介護職員、介護関係職種は全産業職種よりも高い水準で推移しております。
 6こま目でありますけれども、都道府県ごとによっても、その倍率にはかなり差があるということでございます。
 7こま目は年齢と勤続年数の相関を見たもので、介護関係職種に関しましては、35歳以上は勤続年数がパラレルに上がっていかないということが示されているものでございます。
 8こま目が賃金構造基本統計調査で、勤続年数が短いということと、賞与込みの給与も低くなっているということが示されているものでございます。
 9こま目は老健事業の調査結果で、こちらは勤続年数10年以上の介護職員に対してのアンケートがここから幾つか続きます。この中で勤務継続にあたり、重要と思うもの。赤で囲ったものは5つありますが、職員さんに3つ選んでいただいたものを足し上げまして、そして、上から5つを赤で囲ってございます。1つ目が、仕事へのやりがいがあること。2つ目が、能力や業務内容を反映した給与体系であること。次に、上司や同僚等を含めた職場全体の雰囲気が良いこと。また、ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務体制/仕事と家庭生活との両立が可能であること。あとは、休暇取得のしやすさなどが挙げられているところでございます。
 10こま目でありますけれども、これは続きで、勤務継続にあたり、重要と思うものを年代別に見たものでございます。10年以上の勤続のある方で、20代は非常に数が少なくなってございます。また、70代以上も数が少なくなってございますが、30代、40代、50代、60代を御覧いただきますと、年代が上がるにつれて、仕事へのやりがいがあることという方の割合が増えていくということが見て取れるかと思います。
 そして、11こま目でありますけれども、同様にアンケートでございまして「勤務継続にあたり、有効と考える取組」。この表自体は現在の処遇改善加算の3つの分野の取組を表にしたもので、それぞれ赤で囲ったものが割合としてはアンケートで高い回答を得たということでございます。
 12こま目が「前職の仕事をやめた理由」で、1番が職場の人間関係、2つ目が結婚・出産・妊娠・育児、ほかに良い仕事・職場があったためというふうに並んでおります。また、収入が少なかったためというものは5つ目となっております。
 それでは、次のテーマに行かせていただきます。「2.介護人材の確保・介護現場の革新」で、こちらは今回の通常国会で成立しました地域共生社会の実現のための法律改正で、その柱が4.で、こちらに介護人材確保及び業務効率化の取組の強化ということも柱として掲げられていたところでございます。
 16こま目が「2025年に向けた介護人材ニーズ」で、このように指摘をされています。
 17こま目は、先ほどでもありました第8期介護保険事業計画にどのように書いていくかの中で記載を充実する事項といたしまして、赤で囲ってございますけれども「6 地域包括ケアシステムを支える介護人材確保及び業務効率化の取組の強化」ということが掲げられているところでございます。
 18こま目が「総合的な介護人材確保対策」で、こちらは19こま目に地域医療介護総合確保基金(介護人材分)で新しくしたり拡充したりということがございます。
 そのメニューを20こま目以降にお示ししております。例えば20こま目の<参入促進>でいえば、マル1にありますが、元気高齢者等参入促進セミナー事業ですとか、次に<労働環境等の改善>であれば、マル4になりますけれども、介護職員に対する悩み相談窓口設置事業。
 それから、21こま目に行かせていただきまして、マル9で申し上げますと、ICT導入支援事業などでございます。ほかにも<資質の向上><離島、中山間地域等支援><基盤事業(市区町村支援)>がございます。
 次に、22こま目であります。これ以降は介護現場革新会議におきまして「パイロット事業」として位置づけられた7つの事業の取組で、22こま目がその一覧でございます。宮城県から始まりまして、福島県、神奈川県、三重県、熊本県、横浜市、そして、北九州市で取り組んでいただいているところでございます。
 それぞれの総括がその下にありますが、24こま目以降がそれぞれの自治体による取組でございます。一つ一つの説明は、申し訳ありませんが、割愛させていただきます。
 31こま目以降に飛ばさせていただきまして、こちらは介護ロボットの説明でございます。「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム構築イメージ」で、その下にマル1相談窓口の設置、マル2リビングラボのネットワーク、そして、マル3介護現場における実証フィールドということでございます。
 それぞれの相談窓口、リビングラボネットワークの概要を32こま目、33こま目にお示ししております。
 そして、34こま目が「介護現場革新の取組について」でございます。それが総括的にされてございます。
 検討の場としまして、35こま目であります。こちらは介護現場革新会議というものを設置しておりまして、分科会でも数名の委員の先生にはこちらの介護現場革新会議の委員にもなっていただいているところで、こういう3つの柱で会議を進めたところでございます。
 そして、36こま目以降がこの介護現場革新の取組の横展開をしていくイメージということで、マル1が「地域のモデル施設の育成」に係る支援、マル2が全国の介護事業所に対する支援ということでございます。主なものを申し上げますと、例えば介護ロボットの導入支援、ICTの導入支援、ロボット・センサー・ICTの導入支援、業務改善支援事業、また、元気高齢者等参入促進セミナーということが掲げられているところでございます。こういうことを横展開していくというものでございます。
 次に、38こま目が「地域医療介護総合確保基金を活用した介護事業所に対する業務改善支援」で、今、この介護現場革新会議等で取り上げられた内容をどのような形で支援していくか、基金などのメニューがありますということを紹介するものでございます。
 それでは、時間の関係で、次に進ませていただきます。43こま目に行かせていただきます。前回改定の概要でございます。前回改定の4つの柱のうち、今度は3つ目です。「多様な人材の確保と生産性の向上」。これに今回のこのテーマも該当するということで赤で囲んでおります。
 44こま目が「介護ロボットの活用の促進」でございまして、御覧いただきますとおりで、前回改定で見守りに関する機器の導入で若干の基準配置の緩和をするという改定を行ったところでございます。
 また「介護ロボットの効果実証に関する調査研究事業」で、これも6月1日の分科会で御報告申し上げましたけれども、導入した事業所における効果がどうであったかということをお示ししたものをつけております。
 端的に申し上げますと、47こま目に行きますと、右側にグラフがございますが、横軸が導入割合、縦軸が業務時間に占める「直接介護」の割合でありますが、導入していれば「直接介護」の時間は少し減る方向にあるということが現れているかと思います。
 また、48こま目も事後ヒアリングなどの結果がお示しできているところかと思います。
 次に進ませていただきます。50こま目でございます。前回改定では定期巡回型サービスのオペレーター要件を緩和するものとしております。
 また、51こま目「ICTを活用したリハビリテーション会議への参加」で、医師の参加について、例えばテレビ電話でも活用してもよいということにしているところでございます。
 52こま目でありますけれども、これも地域密着型サービスの運営推進会議等の開催方法・開催頻度を見直したということでございました。
 53こま目、またテーマが変わりまして、こちらは処遇改善に係るものでございます。53こま目は昨年10月から始まっております新しい経済政策パッケージに基づく介護職員のさらなる処遇改善、特定処遇改善加算に係るイメージでございます。
 54こま目が、そのイメージであります。従来の処遇改善加算(I)から(V)がございますが、そのうち(I)から(III)を取得していただいているところに取っていただけるということでございます。
 そして、その算定状況で、57こま目に請求状況をプロットしております。見ていただきますと特定処遇改善加算を、こちらは昨年10月から算定していただいているところでございますが(I)に合わせまして53.8%、それがだんだん増加しているかなということが分かっていただけるかと思います。ちなみに、従来の処遇改善加算(I)から(V)の計は昨年12月時点で92.3%となっているところでございます。
 それらをサービスごとに分けてみたものが58こま目、59こま目でございます。59こま目に特定処遇改善加算に関して御説明させていただきますけれども、施設系で申し上げますと、介護老人福祉施設が83.5%、介護老人保健施設が73.8%、介護療養型医療施設は27.4%、そして、介護医療院で47.0%となってございます。居宅サービス系で申し上げますと、訪問介護が45.8%、通所介護が57.4%。こういう状況でございました。
 60こま目以降4枚がハラスメントに関する取組の概要でございます。平成30年度の事業でマニュアルを作成し、そして、61こま目でありますが、これは令和元年度の事業でありますけれども、研修・相談支援の在り方に関する調査などを行ったということでございます。
 64こま目以降が前回の診療報酬改定の概要でございます。こちらは4つの柱のうちの1つ目が、一丁目一番地が「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」でございましたということをお示しするもので、ここは紹介は省かせていただきます。
 71こま目に進ませていただきます。「介護分野における文書量半減の取組」であります。
 72こま目で、この介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会がございまして、また、この委員会にも何名かの委員には御参画いただいているところで、こちらは昨年8月から年末にかけて検討いただきました。
 73こま目にその取組の概要がございまして、スケジュールとしては、簡素化、標準化、ICT等の活用ということで、これが縦軸、右側に指定申請の分野、報酬請求の分野、指導監査の分野。こういうところでそれぞれごとに簡素化できるところを進めていきましょうと。それには事業者、そして指定権者、あるいは市町村の御努力・御協力もぜひお願いしたいということで取りまとまっておりますが、色分けをしております。このピンクが昨年度内に取り組んでいくこと。また、青いところが1~2年以内に、今年度ぐらいまでですけれども、取り組んでいくこと。そして、3年以内に取り組んでいくことということで色分けをしております。
 それでは、77こま目以降が「介護保険制度の見直しに関する意見」の抜粋で、先ほどの資料と同様に、あとは成長戦略ですとか、あるいは「骨太の方針」ですとか、抜粋をさせていただいているところでございます。
 そして、前回改定の御議論を88こま目と89こま目に御紹介をさせていただいております。
 また、90こま目、91こま目でございますが、先ほど申し上げました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案。これは法律になって、先般、国会で成立したところでございますけれども、その中でも附帯決議というものですが、それぞれ衆議院、参議院で、例えば衆議院ですと5番目です。サービスに従事する者の賃金等の状況を把握するとともに、賃金、雇用管理及び勤務環境の改善等の介護・障害福祉に関するサービスに従事する者の確保などが挙げられております。
 また、参議院の附帯決議におきましても、例えば4番目になりますけれども、後段で、ハラスメント対策を含む雇用管理云々ということが記載されているところでございます。
 92こま目以降がこれまでの主な意見で<考え方>といたしまして、今後の後期高齢者の急増と生産年齢人口の急減に対応した見直しを行う必要があるのではないか。介護人材の確保が必要ではないかということです。<事業所間の連携><専門職の連携><研修等の実施>についての意見がございました。
 また、93こま目では<処遇改善>ということで、処遇改善加算が本当に介護職員の処遇等にきちんと反映されているかを検証しながら、見直しを考えていかなければならない。<ロボット、ICTの活用>も進めていかなければならないということでございます。あと、一番下には<仕事と介護の両立>で、介護を原因とした離職がない社会の実現のための施策が必要ではないかということでございます。
 では「3.論点」に行かせていただきます。
 ここの論点の97こま目までは、今、申し上げましたスライドのまとめでございますので、割愛させていただきます。
 最後、98こま目の<論点>に行かせていただきます。
 今後も高齢化の進展による介護サービス需要の増大、現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる中で、人材の確保・育成、職場への定着や、介護現場の生産性向上を図っていくことが求められる。
 介護職員のやりがいの醸成や処遇改善、雇用管理面や職場環境の改善など引き続き総合的な人材確保の取組を進めていくことが求められるが、介護報酬や人員、運営基準等において、どのような方策が考えられるか。
 介護ロボットについては、平成30年度介護報酬改定に関する審議報告において「幅広い活用に向けて、安全性の確保や介護職員の負担軽減・効率的な配置の観点も含めた効果実証や効果的な活用方法の検討を進めるべき」とされている。検証結果も踏まえつつ、その活用の推進に向けてどのような方策が考えられるか。
 平成30年度介護報酬改定や令和2年度診療報酬改定の動きを踏まえ、会議や研修等においてICT等を活用し、業務改善を図っていくことが考えられるが、どのような方策が考えられるか。
 文書量の削減による負担軽減などに向け「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」における指摘も踏まえ、報酬請求文書をはじめとする文書の簡素化、標準化、ICT化等について、サービス横断的及び各サービスごとにどのような方策が可能か検討を進めていくこととしてはどうか。
 資料3、4つ目の柱で「制度の安定性・持続可能性の確保」でございます。
 おめくりいただきまして、3こま目は介護保険制度見直しに関する意見を抜粋したものでございます。その中で、この意見の中でも「1.介護人材の確保・介護現場の革新」というテーマでここに掲げられているようなことが意見として取りまとめられてございます。
 4こま目が、前回改定の概要の4つの柱のうちの4つ目でございます。
 5こま目が、この文脈で前回行いました改定ということで、福祉用具貸与について上限価格を設けたということをお示ししております。
 6こま目が、集合住宅に関する訪問介護等の減算の対象を有料老人ホーム等以外の建物にも拡大するようなことをしております。
 また、7こま目は区分支給限度額上の計算の仕方も変えましたということ。
 8こま目でありますけれども、訪問看護ステーションからのリハビリ専門職の訪問について、看護職員との連携が確保できる仕組み等を入れた。
 9こま目でありますが、こちらは通所介護の基本報酬について、1時間ごとの設定に見直す。
 10こま目は、通所リハビリの基本報酬の見直しを行ったということでございます。
 前回改定の取りまとめで、11こま目でありますけれども、介護サービスの適正化や重点化、報酬体系の簡素化ということは引き続き御指摘を頂いているところでございます。
 12こま目以降で「2.災害や感染症への対応」でございます。
 13こま目でありますが、こちらは「非常災害対策にかかる基準における規定の例」。現在の施設サービス、通所系・居住系サービス、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型グループホームにおきまして、どのような基準上の規定があるかということを表にしたものでございます。○が義務になっていまして、●が努力義務で、例えばこの3つの類型ですけれども、非常災害に関しまして具体的な計画を策定し、関係機関への通報・連携体制の整備、従業者への周知、定期的な避難訓練等。これは義務となっているところでございます。その基準省令を下につけております。
 また、14こま目、15こま目で「災害時における介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」でございますが、例えば災害時は、一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合等も想定されるので、そのときの対応をお示ししたものであります。14こま目で申し上げますと、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合も介護報酬の減額を行わないですとか、あるいは訪問サービスに関する事項、通所サービスに関する事項などが掲げられております。
 実際にこうした取扱いをした例といたしまして、16こま目に平成30年度、令和元年度でございますけれども、それぞれこういう災害が、あるいは豪雨が、地震がありましたということをお示ししております。
 17こま目が、こちらは交付金におきましてそういった対応を支援しているものをお示ししておりまして、それがしばらく続くところでございます。
 21こま目が「特養ホーム等要配慮者施設の災害時情報共有システムの構築事業」で、こういう情報共有システムがございますということでございました。
 22こま目が感染症対策の例で、ここにございますとおり、感染症に関しましても、それぞれ施設系、居住系、訪問系につきまして、運営基準上、義務であったり、努力義務がございます。例えば施設で申し上げますと、感染症または食中毒の発生、蔓延の防止のための委員会を3か月に1回は開くということが掲げられてございます。
 その後、23こま目以降は6月1日の分科会におきましても新型コロナに対する対応の中で御説明させていただいたもので、割愛させていただきます。
 それから、26こま目以降、第一次補正予算も同じく6月1日に御説明させていただいたので、割愛させていただきます。
 37こま目以降ですが、こちらは「令和2年度第二次補正予算の概要」で、これも6月1日のときは予算案でございましたけれども、これは国会で成立しておりまして、予算となりましたので、それも内容は同じでございますので、割愛させていただきます。
 では「3.論点」に進ませていただきまして、最後のページに進ませていただきます。
 46こま目の<論点>でございます。
 介護保険制度の安定性・持続可能性を確保する観点から、平成30年度介護報酬改定の審議報告等も踏まえ、どのような方策が考えられるか。
 今後も、感染症や災害の発生時も含めサービスが安定的・継続的に提供されるようにしていくことが必要であるが、介護報酬や人員、運営基準等において、どのような対応が考えられるか。
 以上でございます。
 駆け足になって大変恐縮でございましたが、説明は以上でございます。
○田中分科会長 説明ありがとうございました。
 ただいまから16時30分をめどに第1ラウンドを行います。資料を引用する場合、資料への質問の場合には、どれに対する質問かを言っていただきます。
 では、どなたからでもどうぞ、お願いいたします。
 黒岩委員、どうぞ。
○黒岩委員 神奈川県知事の黒岩祐治です。この妥当性ある評価指標の在り方について、神奈川県から提案をさせていただきたいと思います。
 これは未病という考え方でありますけれども、この健康か、病気かと、我々はこの二分論で考えがちですが、この間にこんな明確な線があるわけではありません。未病というものは、この間はグラデーションであるという考え方です。白赤モデルからグラデーションモデルへと変えるべきである。未病の状態のどこにいても少しでも白いほうへ持ってくることが大事であるといったことであります。
 この考え方はヘルスケアの分野で訴えておりまして、これは政府の健康・医療戦略の中にも入ってはいるのですけれども、この考え方というものは介護の現場でも使えるのではないかといったことであります。
 これを最初に言ったときに、これは予防ではないかと言われたのですが、予防というものは白赤モデルです。あらかじめ防ぐということ、赤に来るなといったことですけれども、介護の現場ではこの白赤モデルではなくて、グラデーションというものが普通ではないでしょうかといったことであります。
 神奈川県がお示しした資料を御覧いただきたいと思いますけれども、1ページをお開きください。これは未病指標といったものを我々は構築いたしました。これはWHOと東京大学で2年かけてずっと行ったり来たりしながらつくり上げてきたものであります。これは健康から病気、一番いいところを健康、100としまして、病気のところが0。
 では一体、今、どこにいるのかを数値化するということです。例えば今、48というところに出てきたときに、現在のライフスタイルを継続したら、それが35になってしまいます。これを、ライフスタイルを改善したら70になりますという未来予測も入れたような形で考えております。これはWHOのほうで活力、認知能力等、人間の内在的能力を5つ入れたものを4つに整理して指標化いたしました。
 2ページをお開きいただきたいと思います。どうやって測るのかといったことでありますが、この4つ、生活習慣、認知機能、生活機能、メンタルヘルス・ストレスといったもの。本来ならば83項目ぐらい必要だろうといった中で、これを思いっきり絞り込んで15項目にいたしました。
 その場合、例えば「MIMOSYS)と書いてありますけれども、MIMOSYSというものは東京大学と神奈川県で開発したものでありますが、これは声の分析によって心の未病状態が分かるというテクノロジーであります。これをスマートフォンに入れておくだけで、声を分析することによって未病状態が分かるといったことです。それから、例えば生活機能でいいますとロコモ5といって、簡単な5つの質問であるとか、歩行速度。これはほとんど全てがスマートフォンだけで測れるようになっております。
 3ページを御覧いただきたいと思いますが、これはスマートフォンの中にこんな形の表記で入っております。神奈川県は、この「マイME-BYOカルテ」といったものをこういった形でつくっておりますけれども、その中に実装しております。神奈川県に今、127万人が登録しておりますが、こういったことで簡単に、5分ぐらいでこの数字が出てくるといったことであります。
 そして、4ページをお開きいただきたいと思いますが、これは今、スタートしたばかりであります。4月にスタートいたしましたけれども、こういったものをずっと積み重ねながら、これをさらに精緻化していこうということであります。
 こういったことを、これは実はもともとはヘルスケアの未病指標といったことでありますが、これは実はそのまま介護の現場でも使えるのではないかというのが我々の提案であります。介護の現場でこれを同じように測っていただくと未病指標が出てきます。そして、これを事業所が改善したとなった場合には、それをインセンティブとして、その事業所には多く配分できるような、そんな仕掛けをつくったらどうだろうといったことであります。
 今の介護報酬の一番大きな問題点は、この介護状態が良くなったら収入が減ってしまうという、この問題を何とかしなければいけないといった中で、この未病指標といったものを活用することによって、頑張って成果が出たところ、未病指標を改善した事業所は報われるというシステムになっていくのではないかといったことでありまして、未病指標はもともとヘルスケアの分野でつくったものでありますけれども、これをまさに介護保険の世界に当てはめるには、これを参考にしながら、またいろんなことを工夫しながらやってくると、これは新しい指標になるのではないかといったことで神奈川県から提案させていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○田中分科会長 御発言ありがとうございました。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。そうしましたら、今回の3項目に沿って意見と要望を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、1点目の「自立支援・重度化防止の推進」で、先ほども黒岩委員からもございましたが、現行の制度では要介護度が改善すると介護報酬が下がってしまう。自立支援を行っても経営的なメリットがない。そういう実情がある中で、やはりそれでも利用者の状態改善につながるアウトカム評価については、当然、インセンティブとして高い評価を受けられるようなメリハリの効いた報酬体系にしていくべきであると考えております。そうすることで介護職員のモチベーションの向上ですとか人材確保といった効果も期待できるのではないかと思います。また、こうした評価の原資というものは自立支援とか重度化防止とか、そういうことにつながるサービスを実施していない事業所への減算によって賄って、やはり財政中立的に行われるべきではないかと考えております。
 それから、2点目の「介護人材の確保・介護現場の革新」の関係で、処遇改善加算の本来の目的、介護職員の人材確保・職場定着ということを実現するためには、先ほど御説明のあった資料2の9ページにもございますが、仕事へのやりがいですとか、あるいは職場全体の雰囲気の良さとか、ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務体制。こういった要素は極めて重要であるということが見て取れるところだと思います。魅力ある職場環境を整備・改善していくために事業者の方の努力も必要であると思いますし、また、それに向けての後押しといったものも必要と考えております。
 また、介護職員の処遇改善について、これまでも数次の改正が行われておりますけれども、昨年の秋には特定処遇改善加算が新設されております。かなり思い切った改善が図られたと考えておりますが、まずはこの効果検証をしっかり行っていただいて、加算の在り方を議論できるようにすべきであると思います。また、ICT技術の活用はサービスの質の向上や職場環境改善の重要なツールと考えられますので、具体的な活用方法について、実際の活用例等を踏まえながら検討していただきたいと思います。
 最後は「制度の安定性・持続可能性の確保」でございます。従来も何遍も申し上げておりますけれども、今後も介護給付費は医療費を上回るスピードで伸びてまいります。2025年度には15兆円を超えると見込まれる一方で、財政の支え手である、制度の支え手である現役世代は減少してまいります。さらに言いますと、加えて足元では今回の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済状況の悪化によって支える側の現役世代・勤労世代の報酬の減少も懸念されるところでございます。こうした状況の下で制度の安定性・持続可能性を確保するためには、介護報酬の面でもこれ以上現役世代の負担が増大することのないようなメリハリをつけた評価が不可欠であると考えております。
 また、報酬改定については、事業者や保険者、サービス利用者にとって分かりやすい報酬体系。こういったことに向けて、やはり簡素化を考えるべきと思います。簡素化の具体的対応としては、一定の期間を経過して普遍化された加算は基本サービス費に含むなど、検討を進めていくべきと考えております。
 最後の感染症や災害時の対応における臨時的な取扱いでございますが、これはしっかり効果検証を行った上で、恒常的な対応が必要な事項と、それから、臨時的な対応という事項と、まずはこれをきちんと整理していただきたいと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 大西委員、どうぞ。それから順番に、今、手を挙げているのを見つけましたので、小玉委員、それから、今井委員、お願いします。まずは大西委員、どうぞ。
○大西委員 ありがとうございます。私のほうから2点についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、資料2の98ページの「介護人材の確保・介護現場の革新」の関係の論点でございます。
 介護人材の確保については、これまで介護職員の処遇改善、離職防止、定着促進、あるいは生産性向上策など、様々な総合的な人材確保対策が進められてきております。一番大事なのは、その中でもやはり介護従事者全体の賃金水準の底上げを行っていくということかと存じております。このようなことから、先ほど河本委員もお話がございましたけれども、介護職員の処遇改善加算に加えまして、昨年の秋から介護職員等の特定処遇改善加算が創設されたところでございます。
 しかしながら、資料2の57ページに表がございますが、それを見てみますと、介護職員処遇改善加算自体は全体の約9割が取得しております。それでも約1割が取得しておりませんし、また、介護職員等特定処遇改善加算はまだ6割の取得となっております。まだまだ取得していないところが約4割あるということですが、その要因といたしまして、手続が煩雑であること、それから、職員間の賃金バランスが取れなくなることが挙げられているところでございます。
 そこで、ぜひとも、この加算につきまして全事業所が取得できるように、まず手続の簡素化を進め、職員間の賃金バランスといったことにも事業所で対応できるように、柔軟な配分を可能にすることについて検討いただきたいと思っております。
 2点目で、資料3の46ページの論点の2つ目で、安定的・継続的に提供されるための対応ということでございます。
 まず、介護報酬について、今回のコロナ禍におきまして、令和2年度の第二次補正予算における、緊急包括支援交付金の中で感染症対策の徹底支援や勤務職員に対する慰労金の支給等がなされたところでございます。これによりまして、介護現場の大変な御苦労を少しでもねぎらうことになったのではないかと考えております。その一方で、御承知のとおり、現在、緊急事態宣言は解除されましたけれども、まだ収束というわけにはいかず、第2波、第3波が危惧されているところでございます。
 このようなことから、これらの支援策に加えて、これから感染防止対策を講じつつ行われるサービス提供ということで、従来にはなかった負担が事業所にかかるということでございますので、国におきまして、この負担について特例的な報酬設定といったものを検討いただいて、今後の第2波、第3波の到来に備えてほしいと思っております。
 また、これまでの感染例において、各地の介護分野でもいわゆるクラスターの発生といったものが散発されているところであり、その対応に追われてきたところでございます。そのようなときに、例えば特養とか老健のように業界団体を持っている施設におきましては、その団体内の施設同士で協力し合えるといったことが考えられるかと思っております。互いの職員派遣等の対応が可能と考えられまして、ある自治体では県が間に入って協定等を結んで、団体と連携した人材確保のためのスキームを構築しているということも聞いておるところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、介護人材の応援体制等について補正予算でそれに対する補助制度を創設していただいたところではございますけれども、このような感染症に係る臨時的な経費の補助制度につきまして、より充実を図っていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 続けて、小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。私からは「自立支援・重度化防止の推進」に向けた取組を進めていくための医療と介護の連携方策についての意見と要望を幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず、資料1の108ページの論点マル1になります。1つ目の■にございますように、フレイル対策はオーラルフレイル対策とともに、運動、口腔、栄養、社会参加等を複合的に実施する介入プログラムがとても重要でございます。このことは21ページ、54ページ等の資料にも示されているところでございます。
 また、同じく110ページの論点マル3の2つ目の■にCHASEについての情報の収集・分析とございます。この資料1の35ページからは科学的裏づけに基づく介護について記述がございますけれども、45ページの右側にCHASEの基本的な項目が示されてございます。その右の欄の上段に「口腔」で「食事の形態」「誤嚥性肺炎の既往歴等」が挙げられてございますが、栄養と関連しては口腔の清潔と口腔機能の評価も重要ですので、今後のCHASEの追加項目として今後御検討いただきたいと思っているところでございます。また、この点は具体的には歯の数、かみ合わせの状態、咀嚼・嚥下の状態といった機能についても重要かなと思っているところでございます。
 同じく110ページの3つ目の■にリハビリテーション・機能訓練等や口腔・栄養に関する取組が示されてございます。歯科関連職種が取り組む摂食嚥下機能訓練は医療保険の中でもリハビリテーションの一つとして認められてございまして、介護保険におきましても歯科関連職種がリハビリテーション職種の一つとして位置づけられることをぜひとも御検討いただきたいと思っているところでございます。
 戻りまして、79ページ、80ページです。介護保険施設に入所されている高齢者への歯科専門職による口腔衛生管理は、79ページにあるとおり、体重減少において、また、80ページにあるとおり、肺炎の予防に極めて効果的で、このことを受けていろいろな関わりが深まることを願ってございます。
 また、78ページの「介護保険施設等における歯科専門職の口腔衛生管理等への関与」にあるように、施設の口腔マネジメント体制に関する助言・指導を行う口腔衛生管理体制加算を実施する介護保険施設は既に過半数を超えてございまして、歯科専門職が関わる口腔衛生管理体制は次第に整いつつあるという認識でございます。
 ただし、右下のグラフにありますように、現場の施設の職員の皆さんからは、歯科専門職に対して、さらに口腔ケアに関する研修会の開催、医師や管理栄養士、言語聴覚士などとの多職種協働を要する摂食嚥下への支援、また、食事観察(ミールラウンド)への参加のニーズというところがございます。今後は介護保険施設における口腔衛生管理体制について、このような様々な必要な事柄についての歯科専門職との連携を評価している場合にはさらに高く評価する方向での検討をお願いしたいと思っているところでございます。
 最後になります。112ページの推進の論点マル5のところに、一番下の4つ目の■、リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養というところのより効果的な取組というところの議論がこれから深まるためには、口腔の評価、栄養の評価、また、運動の評価を多職種で協働して、通所リハ・通所介護、在宅、病院、いろいろなところでの取組を総合的に勘案して、それぞれの対応を考える仕組みづくりが非常に大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 お待たせしました。今井委員、お願いします。
○今井委員 民間介護事業推進委員会の今井でございます。発言の機会、ありがとうございます。資料1、資料2、資料3、それぞれ何点か意見と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1「自立支援・重度化防止の推進」についてでございます。2点ほど意見をさせていただきたいと思っています。
 ADL維持等加算についてなのですけれども、特に在宅の高齢者の生活というものは、やはり地域包括ケアの重要な要素である住まい、それから、住まいの仕方。こういう環境要因も様々であるということを思っております。そうした中で自立支援・重度化防止を考えるときに、ADLやIADLの評価、リハ専門職との連携に加えて、ICFの観点から、生活全般のアセスメントに基づいてマネジメントを行っているケアマネジャーとの連携、もしくは連携を図る仕掛けをつくるのも非常に重要ではないかと意見をさせていただきたいと思っております。
 それで、先ほどADL維持等加算の算定率の説明があったかと思いますが、資料1の68ページ、69ページであったと思います。事業者側から見ると算定要件は3点ほどあるかと思いますけれども、非常にハードルが高いのではないかと思っています。したがいまして、もし、これは加算の取得率を高めるのであれば、算定要件・取得要件の緩和をお願いしたいというのがまず1点目でございます。
 2点目の意見でございます。通いの場への支援、今回、通いの場をつくることが目的ではないと思っておりますが、これは行動の目的やそれに伴う行き先をつくることで、今回、この新型コロナで環境の変化が非常に大きいと思います。したがいまして、多様な場の在り方と参加の在り方について、もう一度検討いただけたらというのが一つ御意見でございます。
 それから、質問でございます。今回、自立支援・重度化防止を推進する観点から、CHASE情報、VISIT情報の収集・分析を進めていく観点、それから、ADL維持等加算の算定要件も含めて、心身機能の維持に係るアウトカム評価として共通の物差しを検討していくことが重要ではないかと私どもは考えています。したがいまして、国としてはこうした検討の場を設置していくお考えはあるのかどうか。これを一つお伺いしたいと思います。
 さらにもう一点、CHASEについては、データの入力を確保するためという観点で、これを推進していくという話の中でいきますと、事業者側へのインセンティブを始めて、どのような運用をしようとしているのかお聞かせ願いたい。
 資料2「介護人材の確保・介護現場の革新」について、意見と要望をさせていただきます。
 59ページで「介護職員等特定処遇改善加算に係る請求状況」で、全体としては算定率が57%という形になってございます。特養の83.5%と比べますと、在宅をつかさどる訪問介護は45.8%と低い状況になっている。業界としても加算算定の阻害要因の分析を進めていきたいと思っていますけれども、国としても引き続き御協力をお願いしたいという要望でございます。
 「介護人材の確保・介護現場の革新」について、2点ほど。
 これも新型コロナの関係という話にもなりますが、従来の指定基準では対面であったものが緩和されたり、ICTの活用や介護ロボットの導入など、第一次補正予算、第二次補正予算ともに支援策を講じていただいています。事業者側からの意見としては、今後とも取り組みやすい実効性のあるものとしていただきたいというのがまず1点目の御意見。
 2点目としては、事業所ごとの生産性の向上であるとか、事務の負担の軽減は重要であると思っております。しかしながら、今後の地域包括ケアの在り方や利用者、それから、事業者の利便性の向上の観点から、せっかくなので、これを機に在宅でのサービス提供において、個々の事業所がばらばらに取り組むのではなくて、利用者や保険者を中心として、より効率良く取り組めるように事業所間をつなぐプラットフォームづくりを推進していただければというのがお願いでございます。
 最後、資料3で、災害や感染症への対応ということで申し上げたいと思います。
 これは、まずは全国の医療・介護のサービス事業者、それから、施設においては常に感染リスクを抱えて、感染防止対策のための衛生備品等の不足に悩まされながらも、利用者に対して必要なサービスを継続的に提供できるよう、努力を続けてもらえることに感謝と敬意を表したいと思います。
 こうした中で、在宅系をつかさどるデイサービスは非常に大きなダメージを受けております。この第2波が来ると、事業継続すら危うい状況があるという状況も聞いております。今回、臨時的措置という形でデイサービスのスタッフが訪問介護という形を認めていただいた。これを機にということではないのですけれども、前回の分科会でも述べさせていただいたのですが、これまでの複合型サービスの提供の考え方に基づいて、在宅高齢者の支援の在り方について柔軟な対応が恒常的に行えるようにお願いしたいというのがまず1点目のお願いです。
 2点目としては、新型コロナウイルス感染症については、今後とも感染リスクの脅威を抱えながらサービス提供を続けていかなければならないという状況でございます。利用者及びその家族はもとより、現場の職員、それから、その家族の安全も確保していかなくてはいけない。介護事業所・施設における感染リスクに対する一次防御を徹底できるように、マスクや消毒液、防護服等の費用や現物支給の安定的確保をお願いしたいのと、区市町村などに経営上の相談ができる体制の構築。それと、検疫所で設置されているような非接触型の体温計の装置、簡易な抗体検査など、さらなる支援体制について検討をお願いしたい。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上、意見と要望と質問をさせていただきました。以上でございます。
○田中分科会長 では、質問が2つございましたので、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず、心身機能の物差し、標準的なものを検討していくべきではないかということでございました。これは前回も同様の質問を頂いたかと思ってございます。それぞれ心身機能、例えばADL、ほかにも認知機能、あるいはもう少し細かく入っていきますと口腔機能ですとか、そういった場面において、どのような指標が適切なのかということに関して、私どもとしては、それは現場でちゃんと使われていて、なおかつ関連学会でもきちんとコンセンサスがあるものが広がっていけばいいと思っているところでございまして、そういう動きがありましたら、私どもとしてはぜひ支援もさせていただきたいと思っておりますが、国で統一的に、例えばこれはこれでなければならないというふうに、逆に言うと、それを使っていないところには逆の話にもなりますので、なかなか示すことは厳しいのかなと思っているところでございます。
 例えばCHASEにおける収集項目で、資料1の39こま目で、こんな考え方で項目を設置していることで御紹介させていただきたいのですが、1つ目の○の中で「信頼性・妥当性があり科学的測定が可能なもの」「データの収集に新たな負荷がかからないもの」「国際的に比較が可能なもの」という3つのクライテリアで、例えばCHASEでは今、30の項目を選んでいるところでございます。こういった考え方でそれぞれ各場目においての評価を進めていきたいと思っております。
 それから、CHASEの運用について、どのようにしていくのかということでございますけれども、例えば参考となるのは前回改正でVISITについてリハビリテーションマネジメント加算(IV)というものを支える加算として設定いたしました。ただ、CHASE全体として進めていく中で、どのような報酬上の評価、あるいは制度的なサポートが必要かということに関しましては、まさにこの分科会でも御議論いただくことかなと思っているところでございます。
 以上です。
○田中分科会長 荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 荻野でございます。ありがとうございます。
 私からは資料1の「自立支援・重度化防止の推進」の中で意見を申し上げさせていただきたいと思います。論点の部分ですけれども、一番最後のスライドの最後の■のところで、リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養についてという項目のところになるかと思っております。
 具体的には、54枚目のスライドでございます。リハビリテーション、栄養、口腔ケアというトライアングルの図が示されておりまして、この中で事務局からの説明の中にも薬の管理についても関係が求められるという御説明を頂いたかとお聞きしました。このリハ、栄養、口腔の取組について、一体運用の重要性が示されているということで、この中で特に明示されてはいないですが、いずれの分野においても我々としても薬との関係は切り離せるものではないと考えております。薬剤師との連携の重要性についても、どうかお忘れなきようにお願いを申し上げたいということを考えております。
 それで、それぞれのケアにおきまして、より高い効果を求める上で薬のコントロール、あるいは薬剤師の活用というものが欠かせないのではないかと我々は考えておりまして、この3つの栄養摂取、身体機能、口腔環境などにつきましては、薬学的な視点から改善し得る事例も多いと考えております。
 また昨今、社会的にポリファーマシーという問題が取り上げられていることが多くなってまいりました。特に高齢者の場合には薬剤の服用種類数が多くなってくる。多くなると、この薬に関する有害事象もパラレルに高くなってくるというエビデンスもございます中で、利用者の症状や病態、あるいは生活環境などによって薬の処方内容も変化するわけであります。特に高齢者は複数の医療機関を受診することが多うございまして、ポリファーマシーが発生しやすいということが叫ばれております。薬剤師が細やかな状態把握をすることによりまして、ポリファーマシーの回避、あるいは薬を減らす減薬などにもつながると考えております。
 そのためには、特に居宅療養の場合、ケアマネジャーと我々薬剤師等の専門職のより一層の連携推進が欠かせないものであるということを考えておりまして、ケアマネジャーと薬剤師の情報連携を推進するためには、まずその仕組みが必要となってくるということから、情報連携の仕組みの構築、あるいは体制強化に対する評価が必要ではないかと考えております。ぜひこういった観点からも、次回の改定について私どもを含めて議論を進めていただきたいということを申し上げさせていただきます。
 私からは以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、お二方、石田委員と椎木委員の発言の後に休憩を入れます。まず、石田委員からどうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。2つ申し上げたいと思います。
 まず1つ目は「自立支援・重度化防止の推進」の論点マル4のところで<論点>の一番下、3つ目の■にポツが2つありますが、2番目のポツのほうで「介護の場は高齢者等の生活の場でもあることから、生活の視点を重視し、社会参加の状況など生活の中での本人の状態や日中の過ごし方などの情報についても、データの収集・活用を検討することが重要であるとの指摘もある」。この指摘は私も大変大事だと思っておりまして、実は重要なポイントがこの社会参加というところかと思います。これまでずっと説明を聞かせていただいて、ADLであったり、それから、栄養と口腔とリハを総合的にといった取組は非常に行われてはいるのですけれども、やはりそういったところの最終目的には、その方がそういった機能を改善された上で社会にどうつながっていられるかという、そこが一番重要なのではないかと思います。
 それで、どのような方策が考えられるかというのが論点になっていますので、やはりこの場合、社会参加というものをもう少し具体的に、どういった内容が社会参加となるのか。これをもっと細かく分析していく必要があるのではないか。いきなり外へ出てボランティア活動をするだけが社会参加ではなく、例えば外出をしたりとか、買い物をするとか、回覧板を隣に持っていくことも含めて、もう少し、ここを細かくやって、社会参加ということについての内容をきちんと制度を挙げて分析する必要があるのではないかと考えております。これが一点です。
 もう一つは「介護人材の確保・介護現場の革新」の論点マル4というところで、これも<論点>の最初の■なのですけれども「現役世代の減少に伴う担い手不足が見込まれる中で、人材の確保・育成、職場への定着や、介護現場の生産性向上を図っていくことが求められる」というところが書かれてあります。この介護現場の生産性向上は非常に重要なことなのでして、今回、やはり新型コロナのことでリモートワークが格段に進んだということはあります。
 ここで、これはリモートワークを本当に10年ぐらい前から先進的に取り入れている会社の取組の中で、やはりいろんな無駄が省かれた。余分な出張がなくなったとか、文書とか書類の印刷の手間がなくなった。そういった省かれたところはあるのですが、絶対省いてはいけないことは何かというときに、メンバー同士の雑談を絶対省いてはいけないということが長年、このリモートワークを進めてきた会社では結論として出てきたところがあります。この介護現場の利用者さんとの雑談であったり介護スタッフ同士の雑談というところも、この辺のところを踏まえて今後はやはり考えていく重要なポイントなのかなということで、この生産性向上というワードとともに、そこをもう一度、現場の声も踏まえて考えていく必要があるのではないかということで、これは意見として述べたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、前半の最後に椎木委員から発言を求めます。お願いいたします。
○椎木委員 
 初めに、本日はこのアロハシャツで参加させていただいておりますが、周防大島町は、明治時代に4,000人もの島民がハワイに移民したという歴史から、現在、ハワイのカウアイ島と姉妹都市・姉妹島提携を結んでいる町でございまして、クールビズではなくアロハビズでの参加をお許しを頂きたいと思います。
 私たちの町は小さな町ですが、2つの病院と2つの介護老人保健施設を運営いたしております。現在、その介護老人保健施設の1施設につきましては、介護医療院への転換を予定しているところでございます。そのような地域の保険者としての立場、住民の生活を守る立場として議論に参加させていただければと思っております。
 それでは、本日の議題について、意見を申し上げます。
初めに介護人材の確保についてでございますが、資料にもありますように、介護分野の人手不足は日本全国共通の課題であります。全体として介護人材を確保していくためには、介護の魅力向上などによる新規人材の確保とともに、モチベーションの維持や向上、そして、負担軽減などを含めた働きやすい職場環境の整備・改善が不可欠であります。したがって、職場環境の整備・改善の取組をより適切に評価していく仕組みが必要であると考えます。
 以上が全体としての介護人材の確保についてですが、一方、地域で見たときに、離島や中山間地域など、先行して高齢化や現役世代の減少が進んでいる地域では人手不足が特に深刻な状況でありまして、一市町村、一事業所の努力だけで人材を確保することはとても容易ではありません。このような地域でも安定的・持続的に介護保険サービスが提供できるような支援体制の整備をぜひともお願いできればと思います。
 次に「制度の安定性・持続可能性の確保」についてであります。やはり離島や中山間地域においては介護人材・担い手やサービスの確保が、安定的・持続的な介護保険制度の運用において最も重要な課題であります。今般の新型コロナウイルス感染症により、私どもの病院を含めた事業所もそうですが、全国の事業所でも大変大きな影響が出ているとの報道も多くあります。休業または事業を縮小し、経営が悪化した事業所に対して事業継続のための財政支援を行っていただくとともに、今後の感染防止対策の一環として、利用人数を調整しながらサービスを提供することも想定されますが、これにより収入が減り、経営が悪化しないよう、適切な措置を講じる必要があると考えておりますので、どうぞ、御一考いただきますようによろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御発言ありがとうございました。
 ここで休憩を入れます。皆さん、オンラインだと十分に準備された発言が多いですが、後半の方々、お一方5分以内にとどめてください。
 休憩に入る前に、企画官から一言。
○栗原企画官 すみません。事務局から1つだけお願いがあります。ビデオを今、セットしていただいていますけれども、こちらのほうはオンにしたまま、停止しないでそのまま休憩に入っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 今、会場の時計で16時33分ですか。10分間取って、腰を伸ばしましょう。
 一休みいたします。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 では、再開いたします。よろしいですか。
 早速ですが、手を挙げて発言をお願いいたします。
 武久委員、どうぞ。そのほか、3人見えましたので、順番に当てていきます。武久委員、お願いします。
○武久委員 ありがとうございます。
 どんどん高齢化社会になっていきましたら、要介護者が増えるのはある程度は予測されていることでありますけれども、要介護が重い人ということもありますが、医療的に重症者であり、要介護状態が重い。そういう医療と介護の両方の度合いが悪い方がだんだん増えているように思います。
 介護保険の総合データベースは、VISITとかCHASEとかが入るようになってきておりますように、今の要介護認定の調査用紙の状況だけでは患者さんの、要介護者の全体像がなかなか見えなくなってきているのは事実であります。一方では急性期病院で、介護力が少ないために高齢者が病気になることによって要介護になるということもございますけれども、そういうことから見ると、この医療的な要素をもう少し介護保険の、認定はともかくとして、その後のフォローのためには必要ではないかと思っておりました。
 そうしたところ、ちょうど黒岩知事が提案されていました。その2ページを見ますと、生活習慣のところに「全22項目」と書いてございますように、血液検査の結果を書くようになっている。我々医師は聴診器一つで診察するなどという時代ではありませんけれども、やはり血液検査をして、その患者さんの体の状況を把握して、それで診断するということがありますので、このどこかは別として、この血液検査は今、一般的になっていますから、お医者さんに行けばまずはこれを調べるということで、非常に敏感で、表に見えること以外に非常に細かな臓器の状況が分かります。その経過によって我々も診断して治療しているわけですが、この黒岩知事のマル1~マル4ということも非常に重要ですし、これもこのCHASEの上にプラスしていくという血液データ、CHASEの中にもアルブミンなどは入っていますけれども、どうせだったらこのような項目を現実に入れていったほうがいいのではないか。そうすることによって、医療と介護が一体となった患者像というものが浮かび上がってくるのではないか。
 そうしないと、動けるか、動けないかという単純なことで要介護状態であるというふうには、今はなっていなくて、複雑になっていますけれども、介護と医療をより近づけることによって医療データと介護データとドッキングさせて管理がしやすいようにして、また判定もやりやすいようにするというお考えはまだないですか。課長、何かお考えはありますでしょうか。
○田中分科会長 では、簡潔にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 ありがとうございます。CHASEの指標に関しての御提言と受け止めました。
 医療と介護の両方とも、非常に大事なものでございます。そういったことを統合的に見ていくのは非常に大事なことであると思っております。今回、CHASEに関しましては、先ほど御紹介したような委員会で、先ほど御紹介したような観点で30の指標を選んだわけであります。これをどんなふうに発展させていくかということに関しましては、今の御提言も踏まえて、また別途、今はこれでやらせていただきたいと思っていますけれども、今までの御指摘も踏まえて、また検討の場などをつくって考えていきたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 先ほど画面で3人、横で手を挙げているのが分かったので、今、さらに挙がっていますが、まず濱田委員、井上委員、小泉委員の順にいきます。ほかの方も今、見つけましたので、次に当てます。お願いします。
○濱田委員 ありがとうございます。
 まず、資料1の「自立支援・重度化防止の推進」につきましてですが、前回の会議でも申し上げましたのですが、やはり居宅サービス事業所や介護保険施設とリハビリテーション専門職及び居宅介護支援事業所や介護保険施設の介護支援専門員との連携、特に事前関与が効果的ということで調査研究結果で指摘されておりますので、こういう方策を推進していくことが必要ではないかと考えております。これは資料1の106ページ付近の論点で示していただいております。
 続きまして、資料2の「介護人材の確保・介護現場の革新」でありますが、これも前回会議で申し上げたのですが、引き続き情報連携の効率化を相互に行うことが重要と考えております。先ほど、個々の事業所ではなくて地域全体でという御意見もあったかと思いますが、何とか地域全体で取り組んで、そこで情報連結ができるという仕組み。すなわち、ICTの導入ということになるのかも分かりませんが、ただ、これにつきましては各関係機関に様々な支援をお願いできればということでございます。
 また、住み慣れた地域、自宅で暮らす方の支援ということで、地域包括ケアの理念に照らせば、自宅に直接支援を行う、特に介護人材の中でも訪問介護の人材の確保が非常に重要ではないかと思っております。しかし、非常に確保が困難ということがありますので、引き続き多様な形での確保策を講じていく必要があると考えます。最近ですと介護福祉士有資格の外国人材の方も増えていたりしますし、あるいは今回の新型コロナウイルス関連で通所サービスの介護職員の方が急遽訪問してサービス提供を行ったりもされています。これは緊急事態の中の一時的なことでありますが、通所サービスの介護職員の方が急にお伺いしてもなかなか業務が難しいということもあります。これは適切な表現かどうか分かりませんが、予備役的な、緊急時に対応できる体制などとして養成してもよいのかなという気もいたしました。
 それから、資料3の「制度の安定性・持続可能性の確保」のところですが、これにつきましては、本日、感染症対策に係る基準の規定例というものを示していただいておりますが、やはりこの辺りで標準的な予防、蔓延防止の対応ができるような何らかの防止の仕組みをつくっていくことは必要なのではないかと考えます。実際、記載のない事業所や類型の施設でもそういう対策は行っておるわけでございますが、ただ、先ほど来も衛生用品の不足、その他、指摘がございましたので、業務負荷や財政負担というものを考えながら進めていける体制を引き続き一緒に検討していければと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。3点、それぞれ意見を申し上げます。
 まず、第1点「自立支援・重度化防止の推進」について、介護給付はこれから大きく増加する中で、制度の持続可能性を高める観点からも自立支援・重度化防止につながるサービスは極めて重要であると思います。その観点から、介護の質の評価全体をストラクチャーやプロセス評価からアウトカム評価、すなわち利用者にとって介護保険法の目的に資する結果につながっているのかどうかという評価にシフトしていくことが重要ではないかと思います。
 そのためにデータを収集・分析して、エビデンスベースで科学的な評価を行うことが重要ですけれども、これを後押しするために報酬上の誘導を検討することも初期の段階ではインセンティブとして考えられるかもしれませんが、むしろこれは介護保険制度全体の質を高めるというものでございますので、制度を支える基盤データでありますので、これは当然の基本的な業務として考えていくべきものではないかと考えます。
 2番目の「介護人材の確保・介護現場の革新」でございますけれども、今回のコロナショックによりましてテレワークあるいは働き方改革ということで産業界でもデジタルでできること、できないこと、本当に対面でやらなければできないこと、こういうことを非常に多く学び、今後の生産性の向上に結びつけるべく、いろいろ取り組んでいるところです。これは介護現場も同様と思います。センサーとか、ICT技術を使って、真に人手をかけるべき事項に職員の方を集中させていくことが重要と思います。その際、導入支援につきましては各種の助成とか基金を有効に活用していくことが重要と思います。
 人材確保につきましては、これまで数度にわたりまして処遇改善を行っておりますので、まずはこの効果検証が必要ではないかと思います。また、この介護職の魅力を高めるという観点から言いますと、保険外のサービスを組み合わせて新しいビジネスをつくっていくという観点も重要ではないかと考えているところでございます。
 3点目「制度の安定性・持続可能性の確保」に関してで、やはりここは限られた資源の中で重点化・適正化という観点を重視していただきたいと思います。視点は様々ございますけれども、例えば居宅介護支援も含めました集合住宅等へのサービス提供の在り方でありますとか、生活援助中心型のサービスの在り方等々、また、中重度者の方、あるいは多様なニーズに応じてということであれば軽度の方へのサービス提供を適正化していくこともやはり論点になるのではないかと考えます。いずれの場合にありましても、利用者の方の意見と同時に、負担者の納得というものを得る努力も同時にお願いしたいと思います。
 最後に感染症・災害対応でございますが、これは今回の新型コロナ感染症拡大の際の例えば休業補償のように誰がどういう財源で払うべきかという、これは非常に難しい様々な論点がございます。本当に保険制度で賄うべきものなのか、あるいは公費、補助金等々で払うものなのかということをよく議論した上で対応していくべきと考えます。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。小泉委員、どうぞ。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会の小泉でございます。
 まず、1番の「自立支援・重度化防止の推進」についてですけれども、CHASE等のデータ提供による評価ということで、サービスの質の可視化及びその評価につきましては積極的に推進していくべきであると考えます。介護保険施設等におけるCHASEや通所介護におけるBarthel Indexについては、前提として情報の確度を高め、かつ多数の情報量を収集する必要があるという観点から、第1弾のステップとして、事業所には詳細な要件は求めず、データの提供に対して加算として評価することや取組を実施していることに対して評価を検討するべきであると考えております。
 そして、自立支援にはあらゆる角度からの支援が必要かと思います。利用者の自立支援、QOL維持向上の観点からも、事業所が行っている取組に対する実態に即した評価を頂きたいと思います。現場からは、手間がかかる割に評価が低いという加算もございます。自立支援の基本は食事であり、リハビリであり、そして、健康・疾病の管理であると考えておりますけれども、特に栄養ケアマネジメントについては、多くの評価数値等により食形態の維持・改善の検討及び専門職の意見収集によるリスク把握などがそれなりの効果を上げていると思っておるところでございます。
 先ほど小玉委員からも御意見がありましたけれども、栄養状態の改善については口腔衛生や口腔機能の状況も重要でありまして、今回の資料にもいろいろと記載されておりますが、口腔衛生管理加算の実績による肺炎予防や摂食嚥下機能障害の改善の効果について挙げられております。このような評価についても、現場にとって分かりやすい指標をアウトカム評価として考えることができるのではないかと考えております。
 附帯する事項といたしまして、歯科への通院や訪問歯科などを活用することは口腔機能の大きな改善につながることが多い反面、付き添い等の苦労もあるため、その評価なども考慮いただければありがたく感じます。
 また、経口維持加算につきましては算定の上限が原則最大6か月となっており、口から摂取できることは本人にとっては望ましいことですし、多くの関係者が関わり続けることにより継続が可能となります。経口摂取の支援に対して評価の前向きな見直し、在り方を御検討いただきたく思います。
 次の「介護人材の確保・介護現場の革新」ということでありますけれども、職員の専従要件の見直し・緩和という面についてお考えを頂きたいと思っておりますが、令和2年度診療報酬改定におきましては、医療従事者のタスクシフティング・タスクシェアリングにより業務負担軽減が図られました。人材確保難の状況や今後の生産年齢人口の減少を踏まえ、同一拠点内において複数事業所を展開している場合において、職員の専従要件については職務の負担に留意しつつ見直しを検討いただきたいと考えております。
 具体的に申しますと、基準上の要件の見直しであったり、加算要件の緩和であったり、基準の緩和、ローカルルールの扱いの統一化などでございますが、この辺りは当協議会としても改めて整理をし、お示しをさせていただきたいと思いますが、地域において各職員の専門性をより発揮できるように、柔軟な取扱いが進むように検討を頂きたいと考えております。
 そして「制度の安定性・持続可能性の確保」でございますが、介護保険制度は制度だけあっても機能いたしません。このたび、事業者の持続可能性は重要な視点であると思っております。まず、災害や感染症の対応について基準でも記されているところではございますが、BCPの策定や感染症対策に係る研修等の体制について、より充実させていく方向で位置づけ、本体報酬として評価するべきと考えております。
 また、新型コロナウイルス感染症に伴い様々な分野のICT活用が進んでいるところでございますが、各種の研修については基本的にオンラインを中心とすることや、各種の加算要件となっている会議体や連携の在り方についてもウェブ会議によって可能とすることを前提に要件を見直していただければと思っております。
 以上でございます。全て意見でございました。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 安藤委員、東委員、伊藤委員、岡島委員の順でお願いします。安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。私のほうからは2点、意見を申し上げさせていただきます。
 まず1点目ですが、総論的な意見でございます。自立支援・重度化防止等の取組を推進するにあたりましては、実施状況の検証を行い、取組内容の改善を行うことなど、PDCAサイクルを適切に回しながら実施することが重要であると考えております。また、平成30年度の介護報酬改定におきまして、成果報酬型の支払い方式としてADL維持等加算が設けられました。今後も介護DB、VISIT、CHASEにデータを蓄積して、そして、介護の質を評価して、結果を介護報酬に反映するなど、アウトカム評価に基づく報酬体系へと見直しを図っていただきたいと思います。
 2点目ですが、資料3の7ページにつきましてです。平成30年度の介護報酬改定におきまして、保険給付の公平性を確保する観点から、集合住宅居住者への訪問介護等に関する減算及び区分支給限度基準額の加算方法の見直しが行われました。訪問介護以外にも減算ルールのあるサービスがあると思いますが、訪問介護のような不公平なことが起きていないかどうか。そういった事例があるかどうかということをチェックされたのでしょうかというのが質問でございます。それで、もしチェックされていないようでしたら、今回の改定で改めて調査をして、今後の見直しの必要性を検討していただければと思います。
 以上です。
○田中分科会長 質問が1つ含まれておりました。お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 この訪問介護の適正化に関しては、これは既に御案内だと思います。会計検査院の指摘を受けて前回改定で対応したというものでございます。現行、そういった指摘は外部からございませんが、3年に1回のこの見直しのタイミングでございますので、そこは現場の御意見、また、この分科会での御意見を丁寧に拾って対応していきたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 では、東委員、お願いします。
○東委員 全老健の東でございます。よろしくお願いします。
 まず、資料1の「自立支援・重度化防止の推進」について意見を申し上げます。75枚目の資料で、リハビリテーション等関連の主な加算の算定率がございます。ここを見ましたときに、通所リハビリ、介護予防通所リハビリにおける生活行為向上リハビリテーション実施加算ですが、この加算はできてから5年が経過しております。それにもかかわらず算定率が0.61%と0.54%、つまり1%にも満たない算定率でございます。考え方はいいのかもしれませんが、このように5年もたって1%も算定されない加算は制度的・構造的に何か問題があると考えるべきではないかと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。同様に2年前にできました生活機能向上連携加算も、考え方はいいと思うのですが、これについても算定率は残念ながら3%とかなり低いと言わざるを得ません。従ってこの加算についても、今回の介護報酬改定におきまして適切な制度の見直しを考えていただきたいと思います。
 それから、112ページの論点の最初の■について1つ申し上げます。今回、この自立支援・重度化防止について、介護の質の評価、それから、プロセスの評価について、リハビリテーション、口腔・栄養等といずれも述べられておりますが、私は認知症というものに関してもきちんと評価をして、エビデンスを基にプロセス評価もして、PDCAサイクルを回していくべきであると考えます。この自立支援・重度化防止の論点について、認知症に関しての記載が少ないのは残念であると考えております。
 次に、資料2でございます。「介護人材の確保・介護現場の革新」について意見を申し上げます。35枚目に介護現場革新会議の基本方針があります。これを見て分かりますように、まずはいわゆる介護業務の仕分、介護助手等の活用というものが1番目の柱。2番目がロボットでございます。3番目がICTというもの。この大きな3本柱があると私は理解しております。今後、この介護現場革新を横展開したうえで、この介護助手、ロボット、それから、ICTに関しては、それぞれきちんとエビデンスを検証した上で、どのように横展開をするのが効果的かつ効率的なのかを考えながら横展開をしていただきたいと思います。プロジェクト事業が行われました全国7か所の取組の結果も出ていると思います。それらをもう少しきちんと精査をして、どのようなエビデンスが出ているのかを検証していただきたいと思います。
 最後に、資料3「制度の安定性・持続可能性の確保」の論点で、46枚目で「平成30年度介護報酬改定の審議報告等も踏まえ」と書いてございます。それから、感染症、今回のコロナウイルス等も含め、今後どのように議論をしていくかということで、前回の審議報告の今後の課題の中で、「介護保険施設のリスクマネジメントについては、施設でどのようなリスクが発生しており、そのリスクにどのように対応しているかなどを把握した上で、運営基準・介護報酬上、どのような対応を図ることが適当なのかを検討すべきである」ということが述べられてあります。まさしく今回の新型コロナウイルス感染症においても大変なリスクが発生したわけでございます。この感染症対策も含めてリスクマネジメントというものを報酬上、どのように評価していくかが大変重要な議題になるかと思いますので、よろしく御検討のほどをお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
 時間がないようですので、資料2「介護人材の確保・介護現場の革新」のみについて質問と意見をさせていただきます。まず質問をさせていただいて、厚労省の見解をお聞きした上で意見を言わせていただければと思います。
 16ページの「2025年に向けた介護人材ニーズ」というグラフで、これが第7期に必要な人材数ということで出ているわけですが、先般の改正社会福祉法の国会議論を聞いていても、介護人材確保の現状はどうなっているのかという質問があったのに対して状況は分からないという答弁だったと思います。その点、分からないですけれども、結局、今、需要見込みは変わらないのか、供給はどういう状況にあるのかということが非常に重要だと思っています。
 4ページの「介護職員数の推移」の資料と照らし合わせると、2017年度の職員数は195万1000人ということであると思いますので、2016年度から5万2000人増加しています。そうすると、2020年度まであと4年度でこの増加数を4倍していくと、2020年度の必要となる介護人材数の216万人というものにちょっと欠けると思っていますが、これに対して厚労省としてはどういう見通しを持っているか。2020年度にこの216万人という数字を何とか達成できそうだと思っているのか、それとも難しい状況にあるからより強力な人材確保対策を進めていかないといけないという認識で資料を出されているのかということをお聞きしたいと思います。
○田中分科会長 回答をお願いします。
○川端福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
 資料2の16ページの推計のことで、これは足元、第7期の計画をつくる際の推計をしたもので、2016年度は実績値190万人で、これが実際に供給人材としてどれぐらい必要になってくるのかということで当時推計したものでございます。
 最新の数値ですと、この190万人が今、委員からお話がございましたように、195.1万人が2017年度で、この推計でいきますと年間6万人ずつ増やしていかないといけないところでございますけれども、5.1万人ということで、一層てこ入れが必要な状況にあると認識しております。
 また、今回の新型コロナの影響もございますが、外国人の方々がなかなか入ってこられていないという状況も踏まえまして、今後、外国人の方も含めまして、さらなる一層の介護人材の確保の対策は打っていかないといけないというふうに認識しているところでございます。
○伊藤委員 では、それを踏まえて意見を言わせていただきたいのですけれども、資料2の90ページのところに国会の衆議院厚生労働委員会の附帯決議が出ていますが、4項で「介護サービス提供体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講ずるに当たっては、介護人材の確保及び資質の向上の重要性に十分に留意すること」と書かれていて、提供体制の確保には介護人材が重要で、効率化など様々なことを進める必要はあるのでしょうけれども、今後の検討にあたっては、とにかく人材の確保が重要なのだ書かれているところを改めて確認しておかないといけないと思っています。
 その上でさらに言いたいのは、今回の資料がこれから人材の確保について検討するにあたってやや適切でないかなという気がしている点がありますので、指摘をさせていただきたいと思います。
 2ページに「1.高齢者をとりまく状況について」と書いてありますが、次ページ以降の内容は高齢者をとりまく状況というよりは介護人材を取り巻く状況といいますか、介護人材に関することが書いてあると思いますので、今後の見直しをしていただきたいと思います。
 あと、いつも厚労省から出される資料が大体そうなのですけれども、9ページの「勤務継続にあたり、重要なもの」という調査結果では「仕事へのやりがいがあること」が、12ページの「前職の仕事を辞めた理由」という調査結果では「職場の人間関係に問題があったため」が、それぞれ一番に挙げられています。こういうデータもあるとは思うのですが、私どもの加盟組合である日本介護クラフトユニオンが行った調査によりますと、「働く上で不満がある」と回答した者が月給制で80%、時給制で62%でした。では、何に不満があるか、不満に感じる理由を挙げてもらったところ、1位は「賃金が安い」が断トツで、月給制、時給制ともに50%前後でした。
 これは組合員調査ですからそのような結果が出ていると思われるかもしれませんが、人材サービス会社なども調査を実施していまして、コーディアリティケアやリクルートジョブズといったところが行った調査でも、介護職を辞めた理由はいずれも給与・報酬が低いからということなど、賃金が理由になっています。こういったデータが複数あることを認識した上で、新たな人材に来てもらうためにどうするべきか検討すべきです。資料のつくりを見ると大体、雇用の継続や、辞めないでもらうための話が多いのですけれども、介護分野に新たに来てもらうために、魅力ある処遇が重要であるという調査結果がはっきり出ているわけですので、こういうデータから目をそらさないでいただきたいと思っています。
 ですので、98ページの論点の2つ目の■のところに、事前に送られてきた資料と変わり、「介護職員のやりがいの醸成」ということが最初に記載されていますが、そういった精神的な支援でなく、きちんと処遇ということの重要性を認識して処遇改善を継続的に進めていくことを今回の報酬改定でも議論させていただきたいと思います。
 それから、介護ロボットについてですけれども、介護ロボットの活用についても、先ほどの日本介護クラフトユニオンの調査では、賛成が50%くらいとなっているのですが、反対とする理由として断トツで挙げられているのが、「利用者の体調や感情の変化に気づけない」ということが7割です。介護現場で働く者の負担の軽減という意味では介護ロボットの活用は非常によいことであると思っておりますけれども、導入や推進にあたってはこういった利用者の体調や感情の変化に気づけないという課題があることを踏まえて検討していくことが必要であると思います。
 以上にします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 お待たせしました。岡島委員、どうぞ。
○岡島委員 ありがとうございます。論点に沿ってお話をさせていただきます。
 まず、資料1の109~110ページに書いてある論点についてですけれども、自立支援・重度化防止に関しては、利用者の側に立って重症化予防や状態の改善に資するサービスなのかどうかという視点と、それから、働く職員の側に立って処遇をきちんと確保していけるかという観点も重要であると思います。この両方の観点から質の良いサービスの提供を維持していくことが大事であると思います。
 現在の報酬体系なのですが、このサービスを導入したら多分、このような効果があるであろうという仮説の下に加算による誘導策を講じていますが、実際にこの仮説が真に実現されているかどうかという評価方法がまだ確立されていません。前回の改定ではリハビリテーションの領域でアウトカム評価の導入もされたところでございますけれども、ほかのサービスについてもアウトカム評価、それから、プロセス評価について、きちんとサービスの質が可視化できるような指標の開発と、それに伴う報酬体系というものが必要かと思いますので、引き続き検討をお願いしたいと思います。
 また、指標についてなのですが、要介護度の維持・改善という意味での効果のほかに、御本人の尊厳の保持であるとか、あるいはQOLの向上、生活満足度、それから、社会とのつながりですとか、あとは利用者自身が御自分の選択と意思決定に基づいて生活を維持しておられるかどうかということも重要な視点であると思います。
 もう一つですが、医療と介護のニーズを併せ持っている中重度の方々にとっては、病気・疾患の重症化防止というものも重要であると思います。ですので、ADL、IADLが低下する前のできるだけ早い段階で訪問看護などを導入していただいて、医療的な視点で慢性疾患をしっかりコントロールすることによって在宅の限界点を上げることと、これによって御本人の意欲とかQOL向上を図っていくことも大事であると思います。したがいまして、評価の指標の中には疾患の重症化防止と症状の緩和という視点もぜひ必要ではないかと思っています。
 具体的な要望を1点申し上げますと、看多機についてなのですが、看多機は医療ニーズや看取りの対応ができるサービスとして中重度の方々のために活動していますけれども、看取りなどのほかに食事や排せつの自立支援とか、あるいは褥瘡の予防・改善などについてもケアを提供しています。実際に平成30年度の老健事業の調査研究事業においても、利用者の褥瘡の改善、排せつの自立、経口摂取の回復などについて改善の効果が見られました。
 前回の改定では、介護施設などにおいて、これらのプロセス評価として褥瘡マネジメントなどの加算が設けられたのですが、ぜひ看多機についてもこれらの同様の取組と成果があることを踏まえまして報酬上の評価をお願いしたいと思います。これからの効果評価にあたっては、今後、NDBと介護データベースの連結が可能となりますので、量的なデータの分析とケーススタディー、ぜひ実践者によるケーススタディーを関連づけてエビデンスの構築をしていく必要があると考えております。
 次に、資料2の97ページと資料3の45ページ。この論点について申し上げさせていただきます。
 まず、人材確保についてなのですけれども、これから従事者も減っていくということで、効率化が必要になってくると思います。業務の効率化と質の維持は両立が大変難しい課題であると思うのですが、これは実現していかなければならないと思います。中小規模の事業所では多様な専門職をたくさん確保することはできませんので、前回も申し上げましたけれども、今回の新型コロナウイルスの対応のように、感染管理、あるいは認知症ケアですとか、専門的なケアが必要な方々への専門職による支援は組織の垣根を超えて外部から支援が受けられる仕組みが必要であると思います。特に感染管理の専門性の高い看護師は多くが医療機関に従事していますので、そこから派遣してもらえるような仕組みが必要で、今回、第二次補正予算の中でも御配慮いただいたところではありますが、臨時的対応ではなくて恒常的な仕組みとして、介護報酬の中で感染対策の研修やマニュアル作成、演習実技などが実現できるような体制をお願いしたいと思います。
 最後に1点ですけれども、ICTの導入も今後は非常に重要だと思います。先ほどもほかの委員から御意見が出ていましたが、直接会わなくてもビデオ会議ですとか、ICTを活用した情報連携というものをさらに推し進めていく必要があると思っています。そして、単一のサービスを、小規模事業所をたくさん整備するよりは、これからは医療ニーズにも介護ニーズにも応えられるような、1つの事業所の多機能化も推し進めていく必要があると思っています。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。
 最初に、今回の感染症の支援策として、介護従事者に対する慰労金をはじめとする支援が行われることに感謝申し上げます。
 意見を述べさせていただきます。
 初めに「自立支援・重度化防止の推進」についてです。自立支援・重度化防止に取り組む際に、高齢者の尊厳を保持しつつ、自分らしい暮らしを続けることができるように支援する必要があります。もし利用者が機能訓練やリハビリを望まない場合に、事業所が機能訓練やリハビリ以外のやり方でQOLの向上へのアプローチを行った場合にもそれが評価されるような多様性が担保された仕組みが必要と考えます。
 もう一点、栄養に関してです。低栄養の予防が自立支援につながることのエビデンスが出ており、施設では比較的、栄養改善の取組が進んでいると思います。しかし、住み慣れた地域で人生の最後まで過ごすためには在宅系サービスでの取組をより進める必要があると考えます。
 次に「介護人材の確保・介護現場の革新」についてです。人材不足への対応については、業務の効率化は重要ですけれども、今回のコロナ禍においても実感したところですが、本質的にはやはりマンパワーをいかに増やすかに尽きると考えています。その中で今回の特定処遇改善加算に関してですが、より多くの事業所において適切な配分がなされるような取組が必要と考えます。
 もう一点です。さきの国会で介護福祉士の資格取得一元化が、折からの人手不足や外国人材のことなどを鑑みて5年間延長されました。我々としては、介護福祉士という介護の国家資格の価値そのものが揺るぎないものにならなければ本質的な介護人材の訴求力は高まらないと以前から訴えているところです。また、去年まとめられました介護保険部会の意見書にも、介護福祉士が果たすべき役割や機能の明確化が必要とあるように、例えば今回の資料に挙がっていたハラスメント対策やICT化の推進、チームマネジメントにおいても、役割や機能が明確化されることで介護福祉士がリーダーシップを取り、進めることができると考えます。そのためには、同時にその役割や責任を果たすための資質を高めるための養成、研修や教育の体系が肝要と考えています。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。資料1で3点、資料2と資料3で1点ずつ、簡略に申し上げます。
 まず、資料1の6ページに「介護が必要となった主な原因」の円グラフが出ております。これは従前からお示しのものでございますけれども、この中の大半は生活習慣病に起因するものであったり、あるいは骨粗鬆症等に起因するもので、いかに基礎疾患のコントロールや再燃防止が介護必要度に密接に関連しているかどうかということでございます。武久委員も岡島委員もおっしゃられましたように、介護と医療は表裏一体で、この辺りは総合的にコントロールする視点が必要ではないかと思っております。そのためには、ぜひ中高年世代の早い段階からかかりつけ医を持つことの重要性をちゃんと国民により一層周知していく必要があるのではないかと思っております。
 続きまして、資料1の29ページでございます。ここに介護サービスの質の評価等がございますが、ここにアウトカムのところに(在宅復帰等)と記載がありますけれども、真のアウトカムは尊厳の保障でありますし、自立支援に直結するのかどうかということでございます。そして、介護の質に関連するものとして、今、CHASEの導入がなされつつあるところで、科学的介護の科学と医療の科学はやはり大きくスタンスが異なります。医療の対象は疾患ですが、介護は対象が人や生活でありますから、特に加算部分以外のデータベースでは見えない基本報酬の部分で何をするかということが非常に重要であって、日中の過ごし方等を明記していただいていることはありがたいと思っておりますが、ちゃんとベッド離床して身の回りのことをできる限り自分で行い、そして、活動参加につなげていくことが大切です。
 特に食事、入浴、排せつといったことをできる限り自ら行えるようにすることがリハビリテーションの目的でございますし、特に入浴におきましても、機械浴に入りたい方は、当初は誰もいらっしゃらないはずですし、あるいは多床室でポータブルトイレなどは、こんなものは本当にあってはならないと思っているところでございます。特に意思決定支援というものがこれからますます重要になりますので、そういった辺りのことを踏まえた介護サービスの質、アウトカムを検討していく必要があると思っています。
 続いて3点目、52ページに通所リハビリテーションにおける訓練内容のグラフがありますけれども、これは平成27年の改定から、心身機能に偏ることなく活動と参加にバランス良くということをテーマに掲げてきて、改定を2回行っておりますが、なかなか現状、バランス良くとはなっていないのが現状であります。もちろん、ちゃんとした、しっかりとした心身機能の訓練がない限りは活動参加に結びつきませんが、やはり活動と参加について、心身機能の訓練の総量を減らすのではなくて、これに加えて活動と参加のリハをいかに高めていくかという視点が重要でございますので、そういった視点から言いますと、もう少し活動と参加のリハについては切り分けて、評価を高める等の新たな報酬誘導も含めて何か手を打たないと、恐らくこれは今回の改定でもこのまま継続するとあまり期待ができないと考えております。
 そして、リハビリテーションには生活行為向上リハビリテーションや社会参加支援加算がございますけれども、この最大のネックは、いいことではあるのですが、卒業ということで、やはり事業所の、経営的にはかなりダメージになるものでありますし、この辺りをどう考えていくのかというのは次回改定の課題ではないかと思っております。特にリハビリテーションに卒業という概念は、生活期のリハビリテーションに限ると当然あり得ないわけでございまして、継続したリハビリテーションをどう提供していくのかを検討すべきです。
 最近の改定で、福祉施設とか、あるいはデイサービスにおけるADL維持等加算においてBarthel Indexを測るケースが増えてきております。これは大変歓迎するところでございますけれども、Barthel Indexはかなり手慣れた職員が評価して、評価者のばらつきを減らすことが重要でありますし、主観が入り込む余地がございます。もう一つは、CHASEでもベースデータにBarthel Indexを採用することが決まっておりますので、データベースのデータの精緻化というものが非常に評価においては重要なことになります。その辺りを、例えば医療系施設から社会福祉系施設等に手慣れた職員を派遣してちゃんとしたデータを取ることも重要ではないかと思っております。
 先ほど東委員もおっしゃりました生活機能向上連携加算。これも極めて算定が低調でございまして、いかに2職種で同時訪問とか、2職種で同時に何かをするのが難しいのが我が国の現状で、これについてはICTを共有する等で可能なのかどうかというのは検討課題と思っております。また、曖昧になっている相対契約。これは非常に曖昧でございますので、ちゃんと公的保険方式として評価すべきものはきちんとそれぞれ評価すべき必要があるのではないかと思っております。
 最後に、リハビリテーションの中で特に栄養で、もう少し栄養スクリーニング加算も算定が低調でございますし、栄養に着目して、特にリハビリテーションと栄養の評価はセットであってもいいのかなと思っております。それから、口腔に関しては、施設ではかなり口腔ケアは積極的に行われている一方で、在宅に戻るとなかなか口腔ケアが手がつかない。あるいはそれを担う職員がいないのが現状でございますので、その辺りはぜひ、また今後検討していただきたいと思います。
 続きまして、資料2について、9ページ、10ページに「勤務継続にあたり、重要と思うもの」が示されておりまして、辞める理由ばかりを今までいろんなデータを取っていますけれども、やっと私の要望しておりました「勤務継続にあたり、重要と思うもの」ということで、働いている人がどうやって続けているのかというものが初めて出て、大変うれしく思っておりますが、やはり予想どおり、トップはやりがいでございます。特に10ページにおいても、勤続10年以上の職員においてもやりがいで、これが年代を追うごとに高くなっており、すなわち、長く勤務している人ほどやりがいを感じているということでございます。
 特に、このやりがいというものは現場職員が目の前の利用者の方に、自分たちが行ったケアによって、その方がお元気になるとか、笑顔になるとか、お家に帰れるとか、基本的にそこが最大のだいご味であり、これが介護職の魅力でございますので、ICT、ロボット、業務効率化は進めるべきでありますけれども、それだけでは決して介護職員が増えるとか人材確保につながるとは、これは現場感覚からは到底思えませんので、ぜひ、その辺りをまた一緒に検討していただければと思っております。
 最後に、資料3でございます。持続可能性ですが、特にこれからウィズコロナ・ポストコロナへの対策も喫緊の課題となっておりますので、従前は、例えば施設系においては感染対策委員会は毎月であったものが途中から緩和されて、3か月に1回以上、必要に応じてとなっておりますけれども、やはり感染対策というものは毎月継続することが重要でございますので、その辺りをぜひ考えていただきたいと思いますし、介護施設においても介護事業所においても、ぜひサージカルマスクの装着等は必要でございますから、布マスクではなくてサージカルマスクの装着ができるような対策を取っていただきたいと思います。
 そして、研修においては必ず実地研修を行うべきです。知っていることを実行できることが重要ですので、実地研修をぜひ含めていただきたい、義務化していただきたいと思っております。それから、施設系では行っていますが、在宅系、居宅系サービスでは感染対策に対する研修の実施がなかなか忙しい中で対応が難しいですけれども、ぜひ在宅サービス、居宅系サービスにおいても、こういった感染対策をぜひ導入していくことが検討課題と思っております。
 最後に、今後、新型コロナウイルス感染症に対しましては、やはりアウトカムは死亡者数でございますので、もし介護施設で入所者等が、感染が起きた場合には原則入院で行うべきであると思っております。限られた職員が感染者と非感染者をまたいでケアをする、こういった交差感染リスクは極めて高いですし、それから、今までの疾患と違って致死率が高いということに留意すべきです。それから、急性疾患であり、8割以上は命が助かるわけでございますので、その辺りも含めて、ぜひ必要な医療は受けるべきであると思っております。そして、第2波、第3波へ向けて、入院が原則ですが、感染者においては集合的にどこかでケアをする場も各自治体において、市町村において検討していく課題であると思っております。
 最後に、やはり経営の足腰を強くしておかないといけない状況と思います。今回も医療機関もそうですけれども、公定価格による報酬で運営しておりますから、かつかつで経営していて、経営体力的には我が国医療介護施設は脆弱でございますので、足腰をぜひ強くしていくことが重要ですから、次回改定においても、ほとんどが人件費で消費されている介護報酬というものをしっかり確保していただきたいと思っておりますので、以上、よろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。
○田中分科会長 包括的に感染症対策についても触れていただきまして、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。ずっと挙げ続けていて、30分以上お待ちしました。
 認知症の人と家族の会の鎌田です。資料3のところの制度の安定性について意見を申し上げます。
 資料3の23ページに新型コロナ対策として「介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のマル1がありますけれども「2.訪問サービスに関する事項」として、訪問介護員の資格がない者であっても従事可とありますが、利用者側から言いますと、国家資格を有する職員がいての資格なしの職員が配置された入所系の施設ならまだしも、在宅で1人で判断して利用者への介護をしていく在宅の訪問介護員はとても心配です。危険な行為や命に直結する介護がどんな介護かを知って現場に配置されているのか、危惧いたします。もしも事故でも起きた場合には、その介護員さんも、それから、私たち利用者・家族もとても心配であることを申し上げます。
 質問ですけれども、この事業の期限はいつまででしょうか。後でお答えいただければと思います。
 今後も在宅サービスの利用者が増えていくことを考えると、ホームヘルパーの確保は大変重要です。介護のある暮らしの安定性を図るためにもホームヘルパーを増やしていただいて、定着率を高めるための見直しをしていただきたいと思います。特にヘルパーさんは今、70代、80代というびっくりするような年齢の方もいらっしゃって、やはりここの分野に若い方が来ていただくためには、継続するためには能力に対する給与ということを求められておりますので、これまで加算という形で報酬体系が積み上げられてきましたけれども、ここでもう一度、基本報酬というところの部分でヘルパー事業所が安定したものになるように考えた報酬体系にしていただければと思います。
 次に補正予算関係ですが、31ページに「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所等に対するサービス継続支援事業」、38ページに「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」と、介護保険のサービス提供事業所・介護労働者を支えるための事業が紹介されています。この6月の初めに「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」というものが発出されていますけれども、この中で家族の会の数日前の電話相談にもこの件での相談がありました。内容は、デイサービスの都合で3時間しかデイサービスを利用していないのに6時間の利用料を取られるのに納得ができないとの怒りのお電話でした。
 通所事業所には本当にコロナ禍で大変な中で事業継続をしていただき感謝でいっぱいなのですけれども、しかし、利用者にその感謝の分、安全や健康を守るための恩恵を利用者が受けているということからでしょうか、その分を負担するように、また限度額を超えた分は全額自己負担というものになっております。それとともに、同意が取れた利用者にだけ負担増ですから、同意をしない方との不公平も生じています。感染の第2波が来たときには実際の利用料よりも多く時間、3時間しか利用しなくても6時間分を支払わなければいけなくなるということであれば、3で除するというふうに書いてありましたので、月当たり3回以下のデイサービスの利用を自粛しなければならなくなってきます。それでなくても外出の自粛、コロナ怖い、デイサービスの利用自粛で要介護者・要支援者、私の周りの方々もADLの低下や認知機能の低下となってきています。
 それとともに、説明なのですけれども、この算定への事業所の説明は電話でも可能となっております。利用者・家族の混乱はさらに大きくなっております。何のことを言われているのか分からない。説明の文書も、お聞きしますと、国の通知文書が転用されたりして、利用者側・家族側には大変理解しにくい内容となっています。支給限度額を管理するケアマネも、それから、減収分は補いたいけれども、説明のしようが難しいということで事業所のほうも困っているということをお聞きしております。事業者が閉鎖されずにサービス提供をしていかれるための努力への評価を利用者がしなさいなのでしょうか。処遇改善加算は実際に職員さんから介護を受けているので納得ですが、在宅生活の要である通所事業所の存続のためには、これこそ国が公費を投入して事業所の減収分を補い、支えていくべきと考えます。事業所の支援と利用者負担を一体的にすべきではなく、別にすべきであると思います。
 この現状に関して、御担当で把握されている現状などがあれば、お聞かせを願いたいと思います。
 最後に、先ほど藤野委員もおっしゃいましたけれども、緊急包括的支援交付金で介護現場で働く職員の皆さんに苦労や疲労に報いるための慰労金が準備されています。それは私たち家族や本人にとっても大変うれしく思っています。ただ、処遇改善加算もそうですが、やはり手続の手間とか、ただでさえお忙しい介護事業所ですので、申請が簡単にできるよう、それから、こういうふうに5万円いただけるのだという広報とか手続のマニュアルを十分に、いい制度であるので、広報や周知をしていただければと思います。
 以上です。
○田中分科会長 鎌田委員、指名まで時間がかかりまして失礼いたしました。
 質問が2つ含まれていましたので、お答えください。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
 まず、最初の御質問です。新型コロナの関係の特例で、ヘルパーさんの関係で、必ずしも資格を持っていない人間が介護に当たることができる。それで、こちらの終わりがいつなのかということでございます。これはほかの新型コロナの報酬の特例も同じで、現状、新型コロナがいつ収束するか、まだ見えないところもございますので、現時点でいつまでとお答えするのはなかなか難しいのが実情でございます。
 2点目の関係で、こちらはデイサービスの関係で、報酬の特例を6月から設けさせていただいていまして、それに関する御質問と思っています。今回の特例は感染症対策をするために、デイサービス事業所の方々が通常よりいろんな手間をかけながらデイサービスを提供いただいていると思っています。そのデイサービスにかかる手間を適切に評価する観点から、一定のルールの下に、実際に利用者に対応した時間より少し長い時間の点数を取ることができる。こういうルールを入れさせていただいたものでございます。
 こちらにつきましては、事業者の方々がいつもより手間をかけておりますので、それをしっかり評価しなければいけない観点で設けさせていただいたもので、その分、点数が上がれば利用者負担も上がるということでございますので、利用者にしっかりと御説明いただいて、御納得いただいた方にはそういった特例を適用してかまわない。そういったルールを入れさせていただいたところでございます。
 こちらについては、今、委員御指摘があったように、説明をするのがなかなか難しいとか、利用者の合意が得られないとかという声も国にも届いてございますが、国としましては、ただいま説明したような趣旨で設けられたものであるということと、そのほかにも様々な事業者に対する支援策を設けさせていただいていますので、そういったものを組み合わせていただきながら、活用できるものを活用いただきたい。このようにお願いをしているところでございます。
 また、3点目に、慰労金の関係で少し御指摘がございました。我々としても、せっかくの慰労金ですので、対象となる方に早く確実に届くようにしたいと思ってございますので、広報にも努めてまいりたいと思いますし、申請の手続についても、できるだけ簡単なものに、あまり手間がかからないようなものにすべく調整をさせていただきたいと思っていますので、御承知おきを頂ければと思います。
 以上になります。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 ありがとうございます。今日は委員提出資料として「新型コロナウイルス感染症が介護・高齢者支援に及ぼす影響と現場での取組み・工夫に関する緊急調査」の結果のポイントというものを出させていただいています。簡単にこの調査の御紹介をした上で、調査結果を今日の議題の3点に結びつけながら少し御紹介させていただきたいと思います。
 まず、これは前回の分科会でも御紹介させていただきましたが、5月の連休明けなのですが、17の団体に御協力を頂きまして、全国で事業を通じて多角的に、この新型コロナの介護・高齢者支援に及ぼす影響を把握することと、そういう中で様々な取組や工夫が行われていることの手がかりを把握することを目的に行いました。
 御覧いただきますとお分かりかと思いますが、事業所調査、法人調査、ケアマネジャー調査、地域包括/在宅介護支援センター調査から成りまして、合計すると1万近くの御回答を頂きました。改めてお礼申し上げます。
 この調査そのものは実地調査として始めているものなのですが、継続的にやはりフェーズとともに事業所の方々のお困り事、あるいは利用者さんや御家族、地域の方々への懸念も変わっていくと思いますので、この後、継続的にどういった御不安があるのか、困っていることがあるのか、あるいは事業所・地域での取組などを収集して公表することにつなげていきたいと思っています。
 今日の議題にひもづけながら中身を御紹介していきたいと思います。
 まず、今日の議題の1つ目の「自立支援・重度化防止の推進」のところですが、これに関連しては改めて、この感染症がまだまだ影響が無視できない状況の中で、どうやって状態のモニタリングをしていくのか。そして、御本人や御家族の中に広がっている不安というものに対して、どのように対応するのか。それを超えた上で、特に重視したい参加というものをしっかりと進める上ではどうしたらいいのかということに結びつけたいと思います。
 なぜ、そういうことを申し上げているかということなのですけれども、提出資料を御覧いただければと思いますが、事業所側からしますと、2.のところで、利用者・御家族希望による利用控えとかキャンセルというものを経験している事業所が過半数です。
 そして、ケアマネさんの側から見ますと、7.なのですけれども、75%ぐらいが現状把握が難しくなったとお答えで、7割近くが利用者さんが訪問・モニタリングを拒否したということを経験しておられます。ケアマネさんは受診控えなども、通いの場に行けなくなっているということとともに懸念をしておられます。
 他方で地域包括支援センターの調査を見ますと、8.なのですが、訪問を中止(全てないし一部)しているところが半数以上ということで、極めて御本人の状態あるいは御家族との関係性みたいなことをしっかりと把握することが難しい状況になっていて、かつそのことは御本人や御家族側の御不安、人と接したくないというところへの御不安からも生じてきていることが分かります。
 こういった中で、世の中が動き始めているけれども、まだ不安が払拭しにくいというところで、どうやってモニタリングを進めていくのか、あるいはそもそも事業所側がどういう体制をとるのかということもなのですが、一般市民の方々、利用する方、虚弱な方々が不安を軽減していくための努力が欠かせないと思います。最初に申し上げましたけれども、最初の自立支援のところでも確実に状態像を、その変化を把握しながら支援につなげることが期待される中で、この工夫が一つ重要ではないか。
 さらに活動参加、参加の支援をできる限りと思いますが、特に事業所側の調査でいきますと、9.ですけれども、外出や交流機会の減少というものはどの事業所でも言われているのですが、とりわけ施設系で外出や交流機会の減少が一番多かったりということで、なかなか施設側・事業所側も外との関係性、活動参加をと思ってもそれが難しいというところもあるので、これは何らか後押しができるような、あるいは安心を担保できるような仕掛けが重要ではないかと思っています。
 それから、2つ目の人材に関してなのですけれども、今日も前回のICTに関しての話題があったと思います。そして、いろいろな手当ても行われてきているところだと思うのですが、改めて今回はコミュニケーション手段ということを聞いていまして、提出資料の12.のところで見ますと、事業所内とか利用者・御家族との間のコミュニケーション手段ということも御覧のとおりなのですが、ほかの事業所等との連絡・コミュニケーション手段というところで、まだまだ電話・ファクス社会なのですよ。そして、メールですら半数以下というところで、こうしたところで結果としてケアマネジャーの方々が一番苦労されたのは会議の日程調整であったりとか、地域包括支援センターの方々もリモートワークを進めたいのだけれども、その環境がなかったり、あるいは個人情報の観点から難しいといったことを挙げておられます。
 他方で、オンライン面会などがよく知られていっているところですし、様々、取組・工夫の中ではオンラインの活用の努力が多く見られました。改めて、このICTを活用するときに、高度なロボットとかなんとかのこともそれはそれで重要であると思っているのですが、何がICTの活用を阻んでいるのか。基礎的な環境の整備のためにまだ欠けていること。随分拡充されて、Wi-Fiとかも対象になっていると思うのですけれども、何が欠けているのか。さらに、今まで全然、十分にはオンラインが活用されてきていないところでの活用のリテラシーをどう高めるのかといったことの検討も必要なのではないかと思っています。
 最後に、持続可能性を高めるという3つ目の論点に関してなのですが、今回のこの緊急調査を通じて感じられたことは、やはり単一の事業所とか法人でできることに限界があるのではないかということです。今日も話題に出ていましたけれども、特に経営という観点でいきますと、私の資料でいきますと「3.事業収入・事業支出と新型コロナの影響」の2つ目のポツですが、とりわけ通所系で、最初に緊急事態宣言が出た7都府県ですと、全体の7割以上、事業活動収入が前年比で減少を経験していて、6月に入ってから小規模のところが特にこの後、閉鎖を検討するというところも多く出てきているのではないかと思います。
 この経営の面もなのですが、物資に関していきますと、ないということに加えて、増えた業務の中でも物資を調達することにすごく時間がかかっているとか、費用、支出の面でも物資に係る支出が書かれています。
 それから、人繰りという観点でも、これも幾つか対応が取られていると思うのですが「5.新型コロナの職員の就業状況への影響」というところを見ますと、子供の世話とか介護、家事等に伴う就業調整・休職を経験した事業所が4割以上となっています。もともと介護職の方々が十分には知識・技術もないところで、非常に大きな不安の中で単体の事業所・法人ではやっていかざるを得ないというところになっていたのだと思います。
 こうした中で、今日も何人かの委員の方々がおっしゃっていたところに共通すると思いますが、1つの事業所で物も人も知識・技術も何とかしようということではなくて、地域全体として物資の需給管理、それから、職員の応援、医療からということも含めた知識・技術の移転とか応援の体制、そして、先ほどのICTとも関連しますが、リアルな感染状況、それに伴う事業所の状況が分からないということになっていると思うので、この物資、職員、知識・技術、情報のプラットフォームをどう構築していくのか。
 ですので、逆に事業所単位で見るべきところと地域全体の今までの、前回も松田委員から御指摘がありましたが、災害対応であったり、あるいは地域包括ケアに関連する様々な連携の構築がなされてきていると思いますので、地域内のネットワークへの参画みたいなものをきっちりと促す、あるいは地域全体としてのBCPを構築するといったことへの配慮あるいは応援ということも検討されていいのではないかと思います。
 以上です。
○田中分科会長 大がかりな研究調査の報告、ありがとうございました。
 亀井委員、お願いいたします。
○亀井委員 大変御無沙汰をいたしておりまして、申し訳ございません。
 3月以降、この新型コロナ対策に追われていたわけで、このたびの新型コロナウイルス感染症、新型コロナウイルスが我々人類に、そして日本国に何を伝えようとしているのかを読み取って学んでいかなければいかぬと思っているのですが、いっぱいありますけれども、その中の一つが医療と介護の提供体制。そのキャパ以上の人口が都市部において張りついている。そんな中で、いみじくも総理が6月18日の記者会見の際に、これからそういうことを踏まえて集中型社会から分散型社会への転換を図るのだと。まさにパラダイスの大転換を図っていく。その決意のほどを強く述べられたわけでございます。
 我々、自治体、保険者はこれまでも5年前、地方創生の取組の中で日本版CCRCの取組をしてきたわけですが、頓挫してしまったわけですが、これをやはりいま一度、政策の組替えを図って進めていかなければならない。こんなふうに思っているところでございまして、まだこれからそんな提案とかもさせていただきたいと思っておりますので、どうか委員の先生方の引き続きの御指導もよろしくお願いいたしたいと存じます。
 以上です。
○田中分科会長 大きい政策の流れに触れていただきまして、ありがとうございます。
 時間になってまいりましたが、よろしゅうございますか。
 では、今日の御意見を踏まえて、今後も引き続き、この報酬改定については議論を進めてまいります。
 もう一つだけ議題がございますので、お付き合いください。
 団体ヒアリングの実施要領(案)の資料が出されております。事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。資料4について御説明をさせていただきます。「令和3年度介護報酬改定に関する関係団体ヒアリング・実施要領について(案)」でございます。
 趣旨で、これは改定ごとに関係団体等からヒアリングを行っている、その一環でございます。
 項目は、令和3年度介護報酬改定に関する意見。
 実施方法は、そこに3つポツがありますけれども、意見陳述要旨を資料配付していただき、これらに沿ってヒアリングを行う。そして、意見陳述は書面のみでも可とする。そういうときには、当日配付資料につきまして事務局から御紹介を申し上げます。そして、意見陳述が一通り終了した後、必要に応じて委員の先生方から陳述内容に関する質問を行っていただきます。ただし、議論は行わないということでやらせていただいているところでございます。
 実施団体で、次のページになっていると思いますが(別紙)といたしまして、これらの団体に御照会を申し上げようと思っているところでございます。
 時期についてはまだ調整中でございますけれども、このような形で進めさせていただきたいというものでございます。
 以上です。
○田中分科会長 ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問のある方はおありでしょうか。
 ないようですね。
 それでは、団体ヒアリングについては、事務局案のとおり、今後、実施に向けた準備を進めてください。
 以上をもちまして、本日の議論を終了いたします。皆様、活発な御意見、あるいは御要望、御質問等をありがとうございました。
 最後に、次回の分科会の日程等について、事務局から説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。