2020年7月30日第11回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 

1.日時 令和2年7月30日(木)14:00~17:00

2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)

3.出席者
井出アドバイザー、小川アドバイザー、佐藤アドバイザー、野澤アドバイザー、橋本アドバイザー、田村アドバイザー、橋本障害保健福祉部長、野村企画課長、源河障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、本後障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、公益社団法人 日本医師会、一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会、独立行政法人 国立病院機構、公益社団法人 日本精神科病院協会、一般社団法人 全国重症児者デイサービス・ネットワーク、特定非営利活動法人 全国精神障害者地域生活支援協議会、特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会、一般社団法人 日本精神保健福祉事業連合、認定特定非営利活動法人 DPI日本会議、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク
 
4.議題
(1)関係団体ヒアリング4
(2)その他
 
5.議事
○源河障害福祉課長 定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第11回会合を開催いたします。
関係団体及びアドバイザーの皆様におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
なお、アドバイザーの皆様にはオンライン会議にて御参加いただいております。
本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、石津アドバイザー、小船アドバイザーにつきましては所用により欠席です。
なお、岩崎アドバイザー、井出アドバイザーは途中から御参加予定です。
また、本日はヒアリングを行うため、関係団体の方々にはオンライン会議での御参加、または会場にお越しいただいております。
ヒアリングは1団体ごとに行いますので、団体名及び御出席者につきましては各団体からヒアリングを行う際に御紹介させていただきます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認と、オンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認です。
本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
本日の資料ですが、議事次第に続きまして、ヒアリング資料の1から10として、本日ヒアリングを行う各団体より事前に御提出いただいております「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等」の資料を用意してございます。
資料の不足等ございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの対応をお願いします。
次に、ヒアリングの進め方についてです。
ヒアリングは1団体ごとに行い、まず意見陳述を8分間行っていただきます。4分を経過した時点でベルを1回鳴らします。8分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめていただきますよう、お願いいたします。
意見陳述が終了しましたら、アドバイザーの皆様からの質疑応答を行います。質疑応答の時間は7分間です。
御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いします。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名に基づき発言いただくようお願いします。挙手しているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手で意思表示をお願いします。
なお、御説明については、こちらから事前にお伝えさせていただいております次の4つの視点を踏まえて行っていただきたいと思います。1つ目の視点、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法。2つ目の視点、地域において利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策。3つ目の視点、障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年10%弱の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策。最後に4つ目の視点、新型コロナウイルス感染症による影響です。以上の4つの視点を踏まえて御説明をお願いします。
各団体における冒頭の撮影につきましては、会議の進行に支障のない範囲でお願いいたします。
それでは、早速ですが、関係団体の皆様から順次御意見を賜りたいと思います。
初めに、オンラインで御参加いただきます公益社団法人日本医師会より、松本吉郎様、江澤和彦様、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本医師会 日本医師会常任理事の江澤と申します。まず、制度の持続性の観点から一言だけ申し上げます。
各サービス類型において収支差のばらつきも多く、最近取組が始まった経営調査をより精緻に行っていただきたいと思っております。併せまして、サービスの質あるいは従業員の確保。この辺りについても引き続き検討が必要であると思っております。
今回、日本医師会としましては、医療的ケア児への支援について要望いたします。
詳細については、松本常任理事より説明いたします。よろしくお願いいたします。
○日本医師会 常任理事の松本でございます。3ページの概要ページを用いて説明いたします。
まず、Ⅰの(1)ですけれども、障害児通所支援につきましては、平成30年度改定において看護職員加配加算が新設されましたが、看護職員の配置数と医療的ケア児の判定スコアの要件が実態と合っておらず、看護職員の配置につながっておりません。例えば経管栄養だけの子供をたくさん受け入れても高い点数の要件に該当しなかったり、医療依存度が高い子供を受け入れても1人だと高いほうの加算が取れない状況です。そこで、令和元年度の厚生労働科学研究で専門家の方々が新しい医療的ケア判定スコアを作成していますので、新スコアを採用し、医療的ケアの依存度を考慮した単位数を設定することを提案いたします。また、動ける医療的ケア児を受け入れるには、看護職員だけではなく見守りの人員やスペースの確保も必要となりますので、その評価もお願いします。
(2)医療型短期入所の整備促進ですが、医療的ケア児が家庭で過ごすためには、家族のレスパイトや緊急時の預かりとしての短期入所は欠かせないサービスです。まず、市町村がいわゆる大島分類で判定している場合には、動ける医療的ケア児は対象から外れてしまいます。医療的ケア児を医療型短期入所の対象として明確に位置づけてくださるようお願いします。また、医療型短期入所施設自体が少ない状況にあり、その理由として報酬単価が医療保険による報酬に比べて低いことが挙げられます。厚生労働省の障害児入所施設の在り方に関する検討会報告書でも、医療型短期入所を必要とする障害児のニーズは多様化しており、健康面や生活面で個々に応じた適切な対応が望まれるため、体制を整備する上でも報酬の見直しが必要とされているところでございます。
(3)医療的ケア児者の計画相談に関する評価ですが、平成30年度改定で医療的ケア児コーディネーター養成研修を修了した相談支援専門員がいる相談支援事業所には、要医療児者支援体制加算35単位がつくようになりましたが、医療的ケア児の多様で複雑な計画策定の評価としては十分ではありません。また、介護保険では初回や更新手続の際には主治医意見書が必要となっていますけれども、障害福祉のほうではそうした仕組みがないため、かかりつけ医の関与なしで計画が作成され、体調の悪化や装具の不調が進行している場合もあります。そこでかかりつけ医やその指示を受けた看護師と協議して医療的ケア児に係る計画を作成した場合の評価を新設していただくようお願いします。
(4)重度訪問介護の障害児への拡大ですが、現在、重度訪問介護は障害者のみが対象で、障害児は利用できておりません。しかしながら、障害児の家庭にも比較的長時間にわたるヘルパー利用のニーズはあり、きょうだい児の学校参観であったり、きょうだい児の予防接種などにもなかなか行けない状態です。保護者が医療的ケア児にかかりっきりにならざるを得ない状況で、きょうだい児はたくさん我慢しています。18ページにはきょうだい児の思いを載せていますので、ぜひ後で見ていただくようにお願いいたします。きょうだい児のケアのためにも重度訪問介護が利用できるようにしていただきたいと思います。
(5)保育園、学校等における医療的ケア児の受入拡大ですが、保育園における医療的ケア児の受入れは子ども家庭局保育課のほうでも頑張ってモデル事業等をしていただいていますけれども、まだまだ一部でございます。学校についても、文科省のほうで予算をつけて看護師の配置を進めているところですが、看護師の確保はなかなか困難です。そこで、保育園や学校に医療機関や訪問看護ステーションの看護師が出向いてケアができるようにすることを提案いたします。保護者の付添いをやめて看護師がケアすることで、医療的ケア児の自立心の向上やクラスの他の児童も優しい心・態度が生まれるといった教育効果があったという研究結果もあります。
(6)医療的ケアの災害対策ですが、地震や豪雨など災害が頻発する中で、医療的ケア児の災害の備えが求められております。医療的ケア児はいろいろな機器を使用していますので、もし停電が起きた場合には電源の確保が命に関わります。また、豪雨災害であれば自宅待機ではなく避難所への避難が必要になると思いますが、一般の避難所あるいは福祉避難所には医療機器を使うような電源やスペースが確保できません。さらに新型コロナウイルスとの関連では医療的ケア児は重症化のおそれがありますので、避難には特別な配慮が必要です。もちろん、各家庭で自助としての備えは行っていただく必要はありますし、報酬改定に関わらないものもありますが、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
(7)新型コロナウイルス感染症に伴う支援としては、既に厚生労働省として医療的ケア児家庭への消毒液やアルコール綿等の優先供給に御尽力いただいていることには感謝申し上げます。そのほかの要望として、福祉施設へのマスクやガウン等の感染防護物資の優先供給をお願いしたいと思います。
Ⅱの(1)ですが、障害福祉サービスの支給には障害固定が前提となっているため、医療的ケア児は退院直後から福祉サービスが利用できていません。訪問看護はもちろん入りますが、福祉サービスも入って支えていく必要があります。医療的ケア児は退院時には状態が決まっていますので、先ほど述べた新たな判定スコアを用いて、退院直後からサービスを利用できるようにしていただきたいと思います。また、その際には入院中から医療的ケア児等コーディネーターが地域の保健師や相談支援専門員を伴って訪問し、保護者と顔合わせを行って相談に乗り不安を和らげることも必要であり、そのためには少なくとも圏域ごとの専任配置が必要であり、そのための財源確保をお願いいたします。
(2)につきましては、サービスの支給が市町村の担当者次第というところがあって、必要なサービスでも利用できないケースがあります。相談支援専門員が策定する計画案を基に決定することが原則になっていますので、国として改めてその旨を市区町村に周知していただきますよう、お願い申し上げます。また、医療的ケア児は毎月モニタリングの対象とするよう、併せてお願いいたします。
(3)訪問介護についてですが、介護報酬に比べると報酬単価が低いため、なかなか医療的ケアに対応できる事業所・ヘルパーが見つからない状況になっております。介護報酬と同水準としていただくよう、ここにお願いいたします。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質間等あれば、挙手をお願いいたします。
田村先生、どうぞ。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明、ありがとうございました。
私は長年、周産期医療に関わっていますので、NICUからたくさんの高度な医療的ケアが必要なお子さんを在宅に押し出さないとNICUが有効利用できない。そういう状況で小児の在宅医療をお手伝いさせていただくこともあるのですが、やはり介護保険が適用されない小児の場合、高度な医療的ケアを必要としたまま在宅に移行するとお母さんが本当に大変で、そういうお母さんを見て、私たち、本当に申し訳ないことをしているなと思いながらもNICUからそういうお子さんを在宅に移行している日々でございます。
医師会の先生方が、本当に多種多様な患者さんを診ておられる中で、この医療的ケア児について特に焦点を絞って今回御発表いただいたこと、本当に感謝申し上げたいと思うのですが、それについて医師会として、基本的に小児の在宅医療を支援するという方針を取られていることについて、何か御説明いただけると嬉しいです。
○日本医師会 ありがとうございます。
やはりNICUあるいはPICUから小児在宅医療に移行することによって、ある一面ですけれども、例えば保険医療費が大幅に節約できるといった報告書を読んだこともございます。障害福祉予算が多少増えても国家予算全体としては増えない効果も期待できるのではないかと思いますし、また、本来のNICUがある意味余裕を持って有効活用できればという願いもございます。
また、この医療的ケア児は確かに全人口に比べれば非常に少ない方々であるとは思いますが、やはり我々医療人がこういった方々に、あるいは御家庭の方も含めて非常に御苦労なさっていますので、しっかりと手を差し伸べていく姿勢は大事ではないかと思いますし、在宅医だけではなくて小児科の先生、また訪問看護ステーションやいろいろな関係する職種の方々と力を合わせて、障害児者あるいはその御家族の保護者の方々を支えていくのは非常に大切なことであると考えております。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
小川アドバイザー、どうぞ。
○小川アドバイザー 重症心身障害児者の定義について、ちょっと御質問させてください。現在、重症心身障害児者、いわゆる重心の定義は大島分類で行われているかと思うのですが、いわゆる動ける医療的ケア児のような大島分類で定義できない方については、御意見の中にもあったように、重心並みの支援が必要なのにもかかわらず必要な支援が行われていない実情があることは私も現場の人間として理解しているところでございます。
そういった方に必要な支援を行うためには、重心の定義の見直しであるとか、あるいは加算の見直し等が必要であると思っております。しかしながら、そのためには今回のヒアリングの視点3の観点も含めた財源の確保とかも必要かと思うのですが、例えばですけれども、重心に係る総予算を組み替えて、動ける医療的ケア児等の支援に配分できるかなど、何かよい方法があるかなど、その考えとか、あるいは今後の見通しとかがございましたら、お聞かせください。お願いいたします。
○日本医師会 ありがとうございます。
大島分類の抱えている問題点、つまり動けるし、あるいはしゃべれるけれども医療的ケアを必要とする子供、大島分類では捉え切れないような医療的ケア児の方がたくさんいらっしゃることは御指摘のとおりかと思っております。そこで、大島分類にとらわれないような評価の仕組みは必要かと思っております。
予算の話ですが、もともと日本の障害者関係の公的支出、対GDP比を考えますと、OECD諸国の中では非常に低水準になっているのではないかと思います。したがって、もう少しこれが増えてもOECDの平均レベルぐらいになるのではないかと思いますけれども、むしろこの辺りは専門の方々にお聞きしたいところでもございます。
我々が要望しているのは主に医療的ケアが必要になる子供と家庭に対する支援ですし、成人の障害者に比べて十分な支援が受けられていない部分もありますので、この日本の状況を少しでも良くしていく必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
それでは、ここで終了とさせていただきます。公益社団法人日本医師会の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加いただきます一般社団法人日本筋ジストロフィー協会より、池上香織様、矢澤健司様、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本筋ジストロフィー協会 一般社団法人日本筋ジストロフィー協会の副理事長をしております矢澤健司です。今日は理事の池上香織と2人で説明させていただきます。
2ページ目をお願いします。
日本筋ジストロフィー協会は、昭和39年3月5日に発足しました。筋ジストロフィーとは筋肉がだんだん失われていく病気です。この病気の治療を「一日も早く」と願いながら56年間活動を続けてきました。
活動の中心は、患者・家族の生活の質、QOLの改善と、治療薬を「一日も早く」と、筋ジストロフィー研究に協力してきました。
3ページをお願いします。
今日は、国立病院機構の療養介護病棟に入院している多くの患者が人として生きるために、QOLの改善と、在宅で家族と共に毎日必死に頑張っている筋ジストロフィー患者の生活の質の改善のためにお話しさせていただきます。
この半年間、新型コロナウイルスのために多くの方が自粛生活を強いられ、大変苦労されてきました。療養介護病棟では、この自粛生活を何十年も病棟の中で強いられてきています。その中で少しでも人として尊厳を持って生活してほしいと願っております。
また、在宅では感染を心配しながら必死で生活している患者と家族がおります。そして、それを支えている医療従事者や介護従事者がおります。今日はこれらの人々を含めたお話をさせていただきます。
それでは、詳細を池上理事より申し上げます。
○日本筋ジストロフィー協会 日本筋ジストロフィー協会理事の池上香織と申します。よろしくお願いいたします。
内容の御説明の前に、日本筋ジストロフィー協会の会員について簡単に御説明をさせていただきます。
ページはそのままでも結構でございます。ありがとうございます。
筋疾患といっても様々な病型があり、症状の現れ方は様々です。症状の少ない例では大人になって、中高年になってから、腕が上がりにくい、足が上がりにくいという症状だけの方もいらっしゃいますし、症状の変化の大きい例では、一度は自分で歩くようになり、そこからつえを使うようになり、手動の車椅子を使い、電動の車椅子を使い、ストレッチャータイプの平べったいフラットになるようなタイプの車椅子を使うという変化をしていきます。
飲み込む力、息をする力にも症状が出ることも多く、チューブで栄養を取ったり、機械の力を借りてたんを取ったり息をしたりといった医療的ケアの話もこれから出てきます。理解する力、表現する力がある方もいらっしゃいます。一方で一生涯、単語を使わない方もいらっしゃいます。
このように、筋ジストロフィー協会の会員、筋疾患の皆様は病型ごとの差が大きく、個人差も大きく、また、さらに一人の一生の中でも症状が大きく変化することを御理解いただければと思います。
本日は、症状の進行後、重症になった後の生活のことを中心に御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
4ページをお願いいたします。まず、病棟で生活している患者について、お話をさせていただきます。
病棟の患者のほとんどは動かせるのが指先のみ、体の変形が大きい、栄養はチューブから取り、人工呼吸器を使うといった、症状が進行した状態の方がほとんどです。私たちは、この患者を支えるスタッフが非常に少ないと感じています。
スタッフは懸命にやってくださっています。ただ、体の変形が大きい私たちの寝返りの介助というものはとても時間がかかります。たんが引っかかった人の介助に入っていたら、次のナースコールへの対応は遅れます。体を動かせない患者が目の前の飲み物を飲む、かゆいところをかく、お風呂に入るといった当たり前の人間らしい生活を送るためにスタッフを増やしてください。
また、社会参加や外出のための御支援もぜひお願いしたいと考えています。福祉サービスの支給量の地域格差を是正し、どういう制度があるかといったことも分かりやすく御案内いただければと思います。
5ページをお願いいたします。次に、病棟から地域への移行についてです。
(2)で、セーフティーネットとして病棟を維持することを強くお願いいたします。病棟から地域へという流れがあることは承知しています。しかし、高度な医療ケアを常時必要とする方、理解する力、表現する力に課題がある方も一定数存在しますので、一律に地域移行とするのではなく、一人一人に合った支援を御検討いただければと思います。
そして(3)、本人に地域移行の希望がある場合なのですけれども、本人が介護者・看護者にきちんと指示を伝える良好な関係を築くといった、自己実現ができるようなトレーニングが必要であると考えています。また、本人に力がついても医療と介護と地域での体制が整わなければ地域生活はできません。現在は入所している病棟の指導室次第、指導者の職員、指導室の体制次第というところが大きいと聞いていますので、病棟内の様々な職種と地域の福祉・医療がチームとなってサポートできるような体制を地域移行に関しては制度としてつくっていただければと考えています。
病棟で生活する患者については以上です。
6ページをお願いいたします。次に、在宅で生活する患者についてお話しします。
(1)です。医療の進歩で筋疾患の患者の平均年齢はどんどん上がってきています。治療薬の開発も複数進められています。つまり、私もそうなのですが、親が老います。家族だけではその生活は支えられなくなっていきます。冒頭申し上げましたように、症状の進行とともに医療的ケアを利用するようになりますけれども、この医療的ケアに対応できる事業所が極めて少ない。呼吸器の利用が始まったら、今まで通っていたところに断られてしまう、行き場がなくなるといった事象も大変報告が多く上がってきている状況です。
これについてお願いしたいのは2つです。たんの吸引等、実態に即して手続については簡略化していただければと考えています。そして、事業所側が医療的ケアの利用者を受け入れても採算が取れる、やっていける制度設計を御検討いただければと思います。
(2)では、福祉サービス全般に言えることですが、居住地の自治体の財政状況ではなく、本人の症状と家族の状況で支給量を決めていただきたいということについても記載させていただきました。
7ページをお願いいたします。
(3)です。前のページでも申し上げましたけれども、患者本人の年齢も上がり、親も老い、双方に緊急事態が起こる可能性がこれからますます高くなっていきます。万が一のときの居場所をこれから確保することが課題になっていきますので、この点についてもどうぞよろしくお願いいたします。
(4)です。ここまで症状が重度の方のお話を中心にしてまいりましたが、学ぶ、働くといった意欲のある方も大変増えてきていらっしゃいます。学びも働きもしなければ使える制度が、自分らしく生きるために学ぼう、働こうとすると使えないことはやはりおかしいのではないかと考えています。
在宅の患者については以上です。
8ページをお願いいたします。すみません、急ぎます。福祉人材の確保についてです。
患者がその人らしく生活するためには福祉人材の人が不可欠です。しかし、この評価でさえ慢性的な人手不足が続いています。特に重度の必要な支援の量の多い障害者を支える事業所がやはり人手不足が深刻というふうに報告が上がってきています。体を預ける、命を預けるという分野に対してやみくもな規制緩和は望みませんけれども、福祉の業界の入り口の敷居を下げることも必要なのではないかと考えています。
そして、働き始めた人が事業所からしっかり教育を受け、現場でやりがいを感じ、正当な報酬を得て、長く働き続けられることを目的にして、ぜひ事業所に対して、制度をしっかり使いなさい、労働環境を良くしていってくださいという御指導を頂けないかと考えているところでございます。福祉業界のイメージ改善には官民挙げて全力で取り組んでいただきたいと考えています。
9ページをお願いいたします。最後に、新型コロナウイルス感染症への対応です。
在宅の患者についてなのですが、人手不足に苦しむ事業所と老いていく家族と、それでぎりぎり生活が回っているところがほとんどです。どこか1つに感染が起こる、濃厚接触者になるだけでその生活が一気に崩壊していってしまいます。具体的な提案ができなくて本当に申し訳ないのですけれども、どこかに何かがあったときに命を守る場所が確保できるといった制度をぜひよろしくお願いいたします。
また、病棟で生活している患者なのですが、この感染を食い止めるために病棟のスタッフがさらに手が取られて人手不足が深刻になっています。その中で面会が遮断され、家族にも会えない生活がこの3か月、ずっと続いてきました。今でも大変制限された中で面会が行われていますので、平常時以上の人員の配置と、あとは電話であったりとか、こういった画面であったりとかで家族と会って心を保てるようなケアをぜひよろしくお願いしたいと思っています。
以上です。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。
橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
私の夫は進行性の難病から来る身体障害者で、主に私が介護をしていますが、私に何かあれば共倒れになってしまう不安を常に持っています。家族が病気になった際に、自らの治療より患者の居場所を確保することを優先せざるを得ない状況は共倒れをさらに早めてしまうことになると思っています。
でも、もしそうなったときにどうしたいかを夫に尋ねたところ、できれば入院や施設に入所するよりも家で私の介助を待ちたいと言いました。
地域生活支援拠点では緊急時の受入れがメニューに入っていますが、筋ジストロフィーの方が実際に地域生活支援拠点で対応してもらって医療型短期入所を利用することは行われているのでしょうか。報酬上の違いもあり、施設が不足していることもあると思いますが、入院に頼らざるを得ないことが多いのでしょうか。
また、そのようなときに、本人が望むのであれば、地域での生活を継続できるようにするために何が必要だと思われますか。教えてください。
○日本筋ジストロフィー協会 ありがとうございます。
私が把握している限りでは、この地域生活の拠点を使って医療的ケアまでケアしていただいた事例はないとお聞きしています。入院が多いのも事実です。
地域生活を続ける上でということなのですけれども、筋ジストロフィーが進行しますと、かなり高度な医療的なケアが必要になります。体のケア、介護の技術についても、今日来た方がいきなりできるものではないということがございますので、通所時から重度訪問介護などを使ってケアができる人が増えている状態が常にあり、その上で医療のサポートができるといった視点が必要なのではないかと考えています。
お答えになっていますでしょうか。
○橋本アドバイザー どうもありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
佐藤アドバイザーで、次に田村アドバイザー、お願いいたします。
○佐藤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
ライフサイクルに従って病状も変化する、あるいは非常に多様な患者さんがいらっしゃることはよく分かりました。大体、発症の年齢とか、それから、例えば就学・就労の促進ということもおっしゃっていましたけれども、就学年齢にあるような方たちはどのくらいいらっしゃるのかとか年齢構成等についてお教えいただければと思います。よろしくお願いします。
○日本筋ジストロフィー協会 御質問ありがとうございます。
筋ジストロフィー協会という名前がついていますけれども、何々筋ジストロフィーという名前だけではなく、様々な神経筋疾患の患者様がいらっしゃいます。人数が多いものですとデュシェンヌ型筋ジストロフィーというものがございまして、先ほど申し上げたように、歩けるようになってからストレッチャータイプの車椅子を使うようになるまでといった症状の変遷を伴うものです。その子たちですと小学校の低学年ぐらいまでが歩いていて、そこから車椅子を使い始めという事例が多いというふうに把握しています。
私の息子は福山型筋ジストロフィーという病気なのですが、生まれてから一度も歩いたことはございません。そういったものもございます。それから、肢帯型とか顔面肩甲上腕型のように、通常の社会生活を自分の足で歩いて行っているような患者さんたちもいらっしゃいます。同じような病型でも同じ病気の名前がついている方でも、片や同じ年齢で車椅子、片や同じ年齢で歩いていらっしゃることがございますので、何歳でこうなりますというふうに申し上げられないのが現状でございます。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 田村アドバイザー、どうぞ。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明、ありがとうございます。
病棟の中でも、それから、地域に移行してもいろいろ大変だということはおぼろげながら分かったのですけれども、情報の内容が多少抽象的で、具体性に少し欠けているのではないかというのがちょっと気になります。例えば16ページの補足資料のところにありますけれども、例えばここは、現実にある地域生活支援拠点事業を推進するだけではだめなのでしょうか。
○日本筋ジストロフィー協会 ありがとうございます。
まず現状、この地域生活支援拠点の事業が医療的なケアに対応している例が非常に少ないと感じておりますので、まず、この医療的ケアに対応できるような体制を取っていただくことを、病棟から地域への移行について連携を取ってくださいということを申し上げたいのですが、その拠点になるのがここなのかなと思っているところでございます。
○田村アドバイザー 分かりました。
○源河障害福祉課長 それでは、お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきます。一般社団法人日本筋ジストロフィー協会の皆様、どうもありがとうございました。
○日本筋ジストロフィー協会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、オンラインで御参加いただきます独立行政法人国立病院機構より、得津馨様、後藤一也様、どうぞよろしくお願いいたします。
○国立病院機構 よろしくお願いします。
それでは、資料の4ページを御覧ください。
私は西別府病院院長の後藤と申します。国立重症心身障害協議会の会長を務めて、この場に説明させてもらいますけれども、国立病院機構は筋ジストロフィー、神経難病といった疾患につきましても障害福祉サービスを提供しております。そのようなことも含めて、今日は説明させていただきます。
まず、基本的な考え方です。国立病院機構は業務計画として、療養介護サービスのさらなる充実、強度行動障害を含む医療依存度の高い重症心身障害者等の積極的な受入れについて、在宅支援の視点を持ちつつ取り組むことを掲げております。ただ一方で、人口や労働人口の減少など、労働環境を含めた施設入所は年々厳しさが増しております。今日は地域から求められる医療や福祉サービスを安定的・継続的に提供し、経営との両立を図るためにも、業務の効率化に努めることを前提に、これから7つ提案させていただきます。
まず、1つ目です。療養介護、医療型障害児入所サービスについてです。
小児を中心とした重症例の新たな入所と、加齢により重症化する呼吸障害などの合併症のため、入所者の医療度・看護度は年々、重度・高度化しております。例えば呼吸障害の重症化についてですけれども、国立病院機構の重症心身障害、神経筋疾患の病棟を有する76施設の人工呼吸器稼働台数ですが、平成22年度が2,456台でしたけれども、令和元年度には3,506台と大幅に増加しております。また、スコア25点以上の超重症児が10歳未満で、過半数を超えています。これらは新生児脳障害や虐待などの重度の病態を抱える患者が年少児に多いことを示しております。
また、全年齢層での重度の運動障害例の割合が高く、運動障害では関節の動きが強度に制限される上、加齢による骨密度低下により発生する骨折が医療安全上大きな問題となっております。骨折予防を含めて体位交換、ベッド移乗、入浴等で非常に手厚いケアが求められています。1ミリのケアとも言われ、手足の位置を1ミリ単位で調整するなど、細心のケアが求められております。
医学的知識を有する生活支援員としての看護師の役割は重要となります。看護師を含めた生活支援員を1.7:1や2.5:1と、より手厚く配置しております。一方で、入所者の日常生活支援や相談は多岐にわたり、専門性を持った介護職員などの配置も充足させる必要があります。併せて、労働環境の整備や人材育成に努めなければなりません。
当機構は平成27年度に非公務員化され、少なくとも運転資金は自収自弁が求められています。しかし、他の事業所と同様のサービスを提供していても福祉・介護職員処遇改善加算が算定できる事業所からは当機構は除外されています。求められる役割を果たしていくためには、業務を継続できる財政基盤の確立と併せて、より優秀な人材を確保し、継続的に勤務してもらう環境を整備する必要があります。
以上から、療養介護サービス費と医療型障害児入所施設給付費の増額を検討していただきたいことと、人員体制加算について今後も継続するとともに充実していただきたいこと、福祉・介護職員処遇改善加算についても当機構を対象にしていただきたいと考えております。
2つ目の、地域生活を送る上での環境確保について説明します。
(1)の短期入所です。当機構は今後も積極的に短期入所に取り組んでいきます。医療ニーズの高い利用者支援や緊急時支援に対する評価を継続するとともに、充実をお願いしたいと考えております。
次に(2)の外出・外泊支援の促進です。医療・看護度の高度・重度化が進み、人工呼吸器装着、頻回の喀痰吸引など、様々な医療的ケアを受けている利用者が増加しております。利用者の外出希望のニーズが非常に高く、生活支援の一環として意義があります。医療度が高く、外出・外泊に看護師の付添いが必要である場合を評価するため、外出支援の加算を新設していただきたいと考えます。
次に(3)の地域移行の促進です。医療度の高い重症心身障害児者が地域生活を過ごすには、複数機関や多職種との連携が必要です。また、療養介護を利用している方が地域での生活を希望する場合、在宅ではなく社会福祉施設等を選択されることもあります。以上の連携の中心となる医療的ケア児等のコーディネーター配置について評価する加算を新設していただきたいことと、他の社会福祉施設等への入所も地域移行加算の対象にしていただきたいと思います。
3つ目です。資料の5ページを御覧ください。
強度行動障害を持つ障害児者の中には、年齢にかかわらず精神科的薬物療法や行動療法などの医学的な管理下での入所支援が必要な場合があります。強度行動障害を持つ障害児者が一時的に在宅支援が困難になった場合、短期入所が必要となります。その受入れは行動障害等に対応できる専門医療施設しか対応できない場合があります。
しかし、現行では福祉型短期入所の報酬での対応となり、医療施設としての採算が合いません。今後も療養介護による支援が必要と判断される場合には引き続き、地域の実情や自治体の判断に応じて支援が受けられるようにしていただきたいと思います。強度行動障害を有し、社会福祉施設で対応できない方々の短期受入については医療型短期入所の対象としていただきたいと思います。
4つ目です。
現行の通所送迎加算は医療的ケアを考慮しておりません。また、多人数の巡回送迎を想定しております。看護師が同乗する場合など、送迎を維持するには採算が取れません。また、重症心身障害児者は自宅の浴室構造、介助の人手等で通所事業での入浴サービスの要望は高いですが、看護師も含め人手がかかり、採算が取れません。
したがいまして、送迎に看護師が同乗した場合の「重症児者加算」と、医療度の高い利用者に対する入浴サービスを提供する場合の「入浴加算」を新設していただきたいと考えます。
5つ目です。新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
院内感染防止対策の一環として、面会や外出制限に伴う本人や家族への支援としてオンライン面会が勧められておりますが、人手を要します。また、感染流行時、生活支援員が感染罹患した場合には、人員配置が困難な場合が考えられます。
そのため、まず、オンライン面会の機器整備や人員配置を評価し、加算を新設していただきたいと思います。職員が感染罹患した場合など、人員配置の要件緩和を継続するとともに、その内容も感染の進展など、状況に応じて検証していただきたいと考えます。
6つ目です。
通所事業の欠席への対応については、利用対象は状態が安定しないため、一定比率で欠席が出ることが避けられませんが、全員参加の場合の体制を整えざるを得ません。報酬の包括化の検討をしていただきたいと思います。
最後になります。
小規模グループケア加算は現在、指定医療型障害児入所施設にのみ適用されていますが、機構施設の指定である指定発達支援医療機関にも認めていただきたいと思います。
以上です。ご清聴、誠にありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質問等があれば、挙手をお願いいたします。
野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
2点御質問させていただきたいのですけれども、送迎とか外出支援で、やはり看護師さんでないと駄目なのでしょうか。医療的なケアのできる福祉スタッフとかができるようになるともっと人材確保の面で幅が広がるような気がするのです。
もう一つ、行動障害のある方で福祉施設では対応できない方がいる。それで医療施設でということなのですが、福祉施設ではなくて医療施設で対応できることとはどういうことなのでしょうか。具体的に教えていただければと思います。
○国立病院機構 最初ですけれども、例えば人工呼吸管理とかチューブ類の管理をしているのに、やはり看護スタッフでないと医療安全上、非常にリスクは高いと思われますので、ぜひ、この場合には看護師の付添いが必要だと思います。
それと、短期入所になるような場合は一時的に行動障害が悪化している可能性があります。そのためには精神科医師による評価に基づいた薬物療法も必要になる場合があります。そういったことを考えますと、やはり医療の対応が求められる対象者の方々でないかと思います。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
田村アドバイザー、どうぞ。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明、どうもありがとうございました。
13ページのところなのですけれども、これは今日、実はほかのところでもいろいろと出てくるのですが、欠席への対応。いわゆるキャンセルのあったときに、それに対して、今のところ、キャンセルを補償するシステムというものがほとんど障害福祉サービスとしてもないですし、それから、自治体でもそういったことに対して補償している話はほとんど聞かないので、それは非常に大事なことだと思うのですが、報酬の包括化というものは具体的にはどういうことを意味しておられるのでしょうか。
○国立病院機構 重症心身障害児者で、非常に医療度の高い人等は、受診等の関係で欠席しやすい。もちろん、今でも欠席時対応加算というものはありますけれども、その加算額や月の上限の算定回数も4回までという限定的な補償になっています。そのために、限定的な補償の対応というよりも、総合的に評価する視点で、包括的な報酬構造として、ある程度の欠席を前提に受入枠の一定の人員分の補償をいただくということになるのではないかと思います。
以上です。
○田村アドバイザー 高度な医療的なケアを必要とする患者さんの場合、確かに突然のキャンセルというものはリスクが非常に高いと思いますから、それに対して何らかの取組が必要だということで理解いたしました。どうもありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ほかによろしいでしょうか。
それでは、ここで終了とさせていただきます。独立行政法人国立病院機構の皆様、どうもありがとうございました。
○国立病院機構 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、オンラインで御参加いただきます公益社団法人日本精神科病院協会より、櫻木章司様、前沢孝通様、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本精神科病院協会 よろしくお願いします。日本精神科病院協会の櫻木です。今日は前沢と2名で説明させていただきます。
まず、2ページのところで、概要でございます。
我々の会員病院数は、令和元年7月時点で1,196病院ございます。うち、障害者総合支援法関連施設数は2,986施設。これを有しております。
次の3ページをお願いします。我々が考えております、特に精神障害者を中心とする障害福祉サービスについてでございます。
精神障害者の特性として、疾病と障害が併存しておるということがございます。病状の悪化が障害のいわゆる増悪に強く影響している。そういうことで、常に障害者の皆さんが地域生活を安定して続けていく。このためには精神科医療の関わりが非常に重要であるということを強調したいと思います。
したがいまして、精神障害者が障害福祉サービス等を利用するにあたっては、例えば身体障害あるいは知的障害といった障害とは異なり、福祉の視点、あるいは福祉からの意見のみならず医療の視点・意見が十分に反映される必要があると考えております。
そういった基本的なところに沿って、各論的に御説明を申し上げたいと思います。
では、前沢先生、よろしくお願いします。
○日本精神科病院協会 日本精神科病院協会の前沢と申します。4ページ目以降、私のほうから御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
4ページをお願いいたします。「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書」において、精神障害者の地域生活支援に向け、社会基盤の整備を進めるべく「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」の必要性が示されました。また、次期障害福祉計画の成果目標としても「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が明記されております。
社会基盤の整備には「精神障害者が心身の健康を維持・促進するための支援体制の整備」「緊急時の支援体制の整備」「就労を含む社会参加に向けた支援体制の整備」が含まれます。さらに精神障害者の大半は精神疾患を併存していることから、その支援にあたっては精神科医療の視点と関与が不可欠です。
以上の観点から、日本精神科病院協会として次期障害福祉サービス等報酬改定において、こちらにお示しする4項目について要望いたします。
次のページをお願いいたします。1つ目の項目です。「食事提供体制加算」の適用期限の延長についてです。
精神疾患・精神障害とリスク因子としての生活習慣病をはじめとする慢性身体疾患との関係性については、多くの調査研究等により報告されております。特に代表疾患である統合失調症と鬱病では、その疾患特性等から生活習慣病合併のリスクが高く、このことは障害者の生活の質に影響を与えるだけでなく、生命予後の観点からも大きな問題であることが多数報告されており、精神症状のコントロールだけでなく、日々の栄養管理も重要な課題と言えます。
これらの裏づけとして、障害者総合支援法における障害支援区分認定調査項目をはじめ、各種公的書類等の記載項目に食事や栄養管理が取り入れられています。
以上より、障害福祉サービス事業所における適切な食事提供は障害者の健康と健全な日常生活維持の観点から重要な役割を果たしていると言えます。
また、平成30年度障害者総合福祉推進事業「食事提供体制加算等に関する実態調査報告書」によれば、障害福祉サービス事業所において、食事の提供にあたり多くの配慮に加え、様々な困難に直面していることが明らかになっています。
以上より「食事提供体制加算」は障害福祉サービス事業所の運営面のみならず、サービス利用者である障害者の健康維持・生活支援の観点からも不可欠と考えられ、加算適用期限の延長を要望いたします。
次のページをお願いいたします。こちらは精神疾患と生活習慣病の関係についての研究論文からの抜粋資料です。
上段の表は統合失調症と生活習慣病の関係を示したもので、一般人口や入院患者と比べて障害福祉サービスの利用者となる外来患者でその罹患率が高いことが分かります。
下段は鬱病と生活習慣病の関係を示したもので、鬱病でも各疾患の罹患率が高いことが判明しております。
次のページをお願いいたします。こちらは厚生労働省障害者総合福祉推進事業報告書からの抜粋資料となります。
タイトな資料で申し訳ないのですが、左のグラフから、利用者への食事提供に際して、サービス事業所として栄養バランスや環境づくり、調理方法など及び食事制限やアレルギーの把握、別メニューの用意などについて事業所ごとに様々な配慮をしていることが分かります。
右のグラフから、栄養や食事面で事業所として日頃、数多くの点で不安や困難さを感じていることが分かります。詳細は各グラフの内容を御覧ください。
次のページをお願いいたします。2つ目の項目になります。地域生活支援拠点に参画する共同生活援助における「緊急短期入所受入加算」「定員超過特例加算」の新設についてです。
地域生活支援拠点の整備及び機能強化については、引き続き次期障害福祉計画の成果目標として明記されていますが、令和元年度障害者総合福祉推進事業「地域生活支援拠点等の整備に関する実態調査報告書」によれば、全国の整備状況はなお極めて不十分な状況と言えます。
さらに、昨年10月1日時点で「備えるのが特に困難な拠点機能」への未整備市町村の回答としては「緊急時の受け入れ・対応」が最多でした。
短期入所では「緊急短期入所受入加算」と「定員超過特例加算」の算定が可能ですが、共同生活援助では地域生活支援拠点に参画する場合でも、短期入所におけるこの2つの加算に相当する報酬設定はなされておりません。
障害福祉計画において体制整備が重点項目とされている地域生活支援拠点の確保・整備を着実に進めるためにも、夜間休日を含む緊急時の受入れ・対応に共同生活援助も積極的に関与することが重要であると思われます。加えて、配置職員が精神障害者を熟知している共同生活援助が地域生活支援拠点に積極的に関与することで、意見書にお示ししたような様々な面での波及効果も期待できるものと考えます。
これらを勘案して、地域生活支援拠点に参画する共同生活援助については短期入所と同様に「緊急短期入所受入加算」と「定員超過特例加算」を新設してくださるよう要望いたします。
次のページをお願いいたします。こちらは厚生労働省障害者総合福祉推進事業報告書からの抜粋資料となります。
令和元年10月1日時点で拠点整備済みの市町村はわずか20.4%にとどまっており、未整備の市町村からは「備えるのが特に困難な機能」への回答として緊急時の受入れ・対応が最も多く挙げられております。
次のページをお願いいたします。3つ目の項目となります。就労継続支援A型・就労継続支援B型における「福祉専門職配置等加算」の拡充についてです。
前回の報酬改定において、作業療法士の配置と一般就労への移行実績・職場定着実績との相関性により、就労移行支援については「福祉専門職配置等加算」の対象専門職として作業療法士が認可されました。
「就労率の向上」の視点においては、多職種による医療・生活・就労支援や認知機能リハビリテーションの優位性が報告されております。
就労継続支援においても、作業療法士は意見書にお示しした様々な専門性に基づく支援の提供が期待できるばかりでなく、リハビリテーション専門職として就労率の向上に優位性があるとされる多職種協働による医療・生活・就労支援や認知機能リハビリテーションに関しても中核として果たす役割は大きいと思われます。
現状、就労継続支援A型・B型とも作業療法士の配置と一般就労への移行は低調のまま推移しております。
これらより、就労継続支援事業所においても作業療法士を積極的に配置することにより、就労継続支援事業所からの障害者の利用中断を防ぎ、一般就労への移行に向けた、事業所の機能と支援の質の向上を目指す必要があると考えます。
これらを勘案して、就労継続支援A型・就労継続支援B型においても作業療法士の配置に対する評価として「福祉専門職配置等加算」の対象専門職に作業療法士を加えてくださるよう要望いたします。
次のページをお願いいたします。こちらは前回の報酬改定検証調査資料の抜粋となります。
就労移行支援事業において、作業療法士の配置により、就職者と就労継続者の平均人数が多くなることが示されております。
次のページをお願いいたします。
左のグラフは、認知訓練プログラムによる就労支援と雇用率の関係を示したものです。認知訓練プログラムによる就労支援と一般の就労支援の間で就労率において有意差があることが報告されております。リハビリ専門職として、作業療法士には認知機能プログラムによるリハビリにおいて中核としての役割が期待できます。
右の図表は、就労系障害福祉サービスから一般就労への移行状況を示したものです。就労継続支援事業から一般就労への移行は十分に進んでいないことが分かります。
次のページをお願いいたします。4点目の事項です。障害福祉サービスにおける「医師意見書」の活用方法と評価の見直しについてです。
次期障害福祉計画に係る新たな成果目標として「精神障害者の精神病床から退院後1年以内の地域での平均生活日数」が示されました。
さきに述べたとおり、精神障害者の特性として、その大半で疾病と障害が併存しており、症状が障害の程度に強く影響し、経過の動揺性が高く不安定であることが挙げられ、この新たな成果目標の実効性が確保されるためには、疾病の安定維持と再発予防が欠かせず、障害福祉制度の運用にあたっては、本来、現状以上に精神科医療の視点と関与が必要になると考えます。
しかし、現行の障害福祉制度において「医師意見書」の活用は原則的に介護給付サービス受給の場合に限られ、共同生活援助や就労系サービスをはじめとする訓練等給付サービス受給及び地域相談支援・計画相談支援を利用する場合にはほとんど活用されておりません。また記載内容の質にもバラツキがあり「医師意見書」活用については、現状、多くの課題があるものと考えております。
特に共同生活援助、就労系サービス及び相談支援事業については精神科医療との連続性の観点から、福祉の視点・意見のみならず、医療の視点・意見が十分に反映される制度設計とされる必要があります。この点は精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進める上でも重要なポイントであると我々は考えております。
また、ただいま御説明した意見1.~3.につきましても「医師意見書」により、医療・医学的視点からの意見を各サービス・支援に十分反映させることが適正な障害福祉制度の運用にも資するものと強く確信しております。
我々として、医療従事者への教育・啓発を進める一方で「医師意見書」は現行の活用方法と評価の再検討を中心に、その在り方について大幅な見直しが必要であると考えております。
具体的には、精神科主治医がいる場合には、サービス利用計画作成時及びモニタリングに当たる計画相談支援において、主治医による「医師意見書」作成を義務化し、その作成費用について障害福祉制度上、新たな評価の対象とされるよう強く要望いたします。
次のページをお願いいたします。
こちらの左の表の青の網かけ部分が、訓練等給付及び相談支援事業における精神障害者の利用者数となります。こちらもタイトなスライドで申し訳ありません。いずれのサービスも数多くの精神障害者が利用しております。これらの精神障害者がサービス利用にあたり精神科医療の関わりを必要としております。
右の図は、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業で必要とされている最新の事業内容です。4.の精神障害者の住まいの確保支援に係る事業は訓練等給付の共同生活援助と、11.の精神障害者の地域移行定着関連事業は相談支援事業と密接に関係しています。また、14.のその他の事業には就労系サービスが含まれます。
以上より、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進に関しても、数多くの精神障害者が利用している訓練等給付と相談支援事業は密接不可分であり、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進の観点からも障害福祉サービスにおいて医療の視点を十分に反映させる体制の構築が必要であることがお分かりいただけると思います。
最後のページをお願いいたします。こちらは日本精神科病院協会の会員病院が全国で保有する障害福祉サービス等の施設数です。障害福祉サービス等は精神障害者の地域生活にとって必要不可欠な社会資源となっており、多くの当協会会員病院が医療との連携を模索しながら、障害福祉制度を通しても精神障害者の地域生活に鋭意取り組んでいることがお分かりいただけると思います。
これら障害福祉サービス等を必要とする多くの精神障害者のためにも、医療の視点と意見が十分反映される障害福祉制度となることを強く願っております。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。
小川アドバイザー、どうぞ。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。5ページの食事提供加算について質問させてください。
就労系事業所においても食育支援は重要で、そのための食事提供加算による事業所の食育支援の必要性は十分認識しているところでございます。しかし一方では、実地指導におきましてみそ汁だけしか作らずに加算を請求するなど、これを食育と言ってよいのか、疑問になるような事業所があることも報告されているところでございます。
実地指導では、このような事例が報告されても現在の基準では違反とまでは言えないのですが、こういった状況を踏まえまして食事提供加算が真に食育に寄与するような方法論についてはどのようにお考えか、お聞かせください。
○日本精神科病院協会 今回もこの調査研究事業が行われておりますけれども、こういったところから課題を抽出して、また制度づくりに反映させていくことも必要なものではないかと思っております。
○日本精神科病院協会 では、私から追加で。
先ほど前沢先生からも説明がありましたけれども、精神障害者、特に統合失調症の患者さんに関しては生活習慣病ということがかなり重要な合併症として指摘されておりますので、入院中、あるいは通所をやっておられる患者さんに関してはそういった栄養指導が十分にできているわけですが、いわゆる入所サービス。この方には十分にできていない状況もあろうかと思います。ですから、食事提供体制加算の適用を延長していただく中でそういったことについても取り組んでいきたいと考えております。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
佐藤アドバイザー、どうぞ。
○佐藤アドバイザー 4点目の「医師意見書」の活用方法についての御提案について伺います。
この「医師意見書」が十分に活用されることが医療と福祉をつなぐ重要な役割を果たすと思いますけれども、今までそれが実現しなかったところにどのような問題点があったとお考えか、伺わせてください。
○日本精神科病院協会 ありがとうございます。
こちらの意見書にも書かせていただいているのですけれども、書く側の我々の努力も足りなかったことがまず挙げられると思うのですが、こちらにも書かせていただきましたとおり、やはり活用のされ方として極めて活用される場が限定されておる。介護給付における支援区分の確定においてのみ活用されているといいますか、訓練等給付や相談支援事業関連については、制度上、ほとんど活用される枠組みになっておりませんので、その辺りがやはり連携とはいうものの、その連携の手段が初めからかなり制限されてしまっている制度であることが非常に我々としては改善していただかなければいけない点かなと考えておりまして、今回、このような意見を出させていただいたところであります。
○佐藤アドバイザー それでは、制度の再構築も必要になってくるということでよろしいでしょうか。
○日本精神科病院協会 それももちろんあるのですけれども、今、こういう「医師意見書」というものが公式にありまして、ですから、これを活用する中で何とかこういう医療と福祉の連携を図れるのではないかということで、こういったことを訓練等給付等については、主治医がいる場合には作成をちゃんと位置づけていただけないかということで申し上げております。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ほかによろしいでしょうか。
それでは、ここで終了とさせていただきます。公益社団法人日本精神科病院協会の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加いただきます一般社団法人全国重症児者デイサービス・ネットワークより、鈴木由夫様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 一般社団法人全国重症児者デイサービス・ネットワークといいます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、2ページ目を開いてください。
私たちは重症児といって、重症心身障害児と医療的ケア児を対象にした、わずか定員5名という非常に小規模なデイサービスの団体です。加盟事業者は北海道から沖縄まで約300の事業所が加盟しており、800弱しかないと言われる重症児対象の放課後等デイサービスの約40%が加盟する団体です。
活動内容としては、重症児デイの新規設立支援及び経営運営支援、全国大会の実施や各地方での交流会の開催、全国的な重症児に対する実践的研修や広報、出版、行政への提言などを行っています。
3ページ目は全体概要なので、省略し、順次御説明させていただきます。
4ページ目を開いてください。視点-1、より質の高いサービスを提供していく視点という点では、人材育成の「しくみづくり」の導入と既存の研修参加資格の緩和を提案しております。
重症児者は人工呼吸器などの医療的ケアが必要で、その人数と重症度は広がるばかりです。対する従業員・スタッフは重症児支援の経験が少ない人が多く、育成と実践的な研修が求められています。私たち全国重症児者デイサービス・ネットワークは一昨年から民間助成金を活用して実践的な研修を全国各地で行い、多数の方に参加していただき、研修の継続を求められていますが、こういった研修は多額の予算がかかり、民間が単独で行い継続していくことは困難です。研修への助成をお願いいたします。
また、既存の研修として医療的ケア児コーディネーター研修がありますが、資格認定要件が厳しく、なかなか資格取得に至っていません。この要件を緩和し、管理者や児童発達支援管理責任者などが幅広く人材の受講を認めることを求めております。
続いて、5ページ目となります。1-2.として、重症児者に対応できる短期入所施設の拡充をお願いいたします。
重症児者は入所ではなく、地域生活を送っていくためには家族の負担を軽減する医療型の短期入所が不可欠ですが、現在の単価では参入事業者が増えるのは困難です。基本報酬の引上げをお願いいたします。
続きまして、6ページ目。視点-2です。看護職員加配加算の見直しと前年度実績の撤廃です。
これほど医療的ケア児が増え、医療的ケアの内容が重度化している現在、デイにおける看護師の役割と確保は非常に重要となります。そのため、前回の報酬改定で看護師加配加算がつくられましたが、現実は70%のデイで看護師加配加算を取ることができていないのです。
その理由として2つあります。7ページ目、8ページ目を御覧ください。1つは契約児童数の問題です。
非常に重い医療的ケアのある子供が契約上5名以上いなければならないということですが、人工呼吸器などの重い医療的ケアの子供だけを対象に考えていることは現場を見れば困難だと分かります。看護師加配スコアの見直しをお願いいたします。
2つ目は実績問題です。定員5名の事業所に毎日5名の医療的ケア児が利用しなければ加算が取れないのです。重症化すれば重症な子ほど毎日来ることは困難で、平均の欠席率は20%に達しています。この前年度実績の撤廃を強くお願いいたします。
次に10ページ目、欠席時対応加算の見直しです。
欠席時対応加算は現在94単位です。ただでさえ欠席率の高い重症児で、これで運営・経営ができるかどうかは明らかです。これも見直しをぜひお願いしたいと思っております。
続きまして、11ページに移ります。視点-3、我々は重症者と呼ぶのですけれども、つまり重症心身障害児、重症児者は、重症児は子供ですが、重症者は大人の方で、そちらを対象にした生活介護の新設をお願いしたいと思っております。
先ほどから何度も言っているように、人工呼吸器などの重い医療的ケア児は増えています。しかも、ますます重症化しています。その子供たちは当然、大人になるわけです。学校卒業後の行き場は生活介護となるわけです。しかし、現在の生活介護は看護師の常勤配置すら義務ではないのです。生活介護でありながら常勤配置の看護師を置いているのは全国でわずか1,000か所余りなのです。この状況ではますます増える人工呼吸器などの重い医療的ケアのある子の対応はできないばかりか、事故の可能性すらあります。現在の重症児、子供のデイと同じように、大人の重症者対応の生活介護の新設を強く求めます。
その新設生活介護には、看護師の配置義務を子供のデイと同じように1対5以上とし、それに見合った報酬も併せてお願いいたします。
次の視点は、12ページの新型コロナウイルス問題です。
既に重症事例の中では、今年の学校休業を経て、各種の予防策・施策を講じてきました。さらなる徹底のためには、各種の施策とともに現在義務化している個別支援計画策定のための面談。これもオンラインで可能とすることを提案いたします。
その後、13ページ以降は私たちネットワーク加盟事業者約300事業者にアンケートを行い、94事業者から意見を頂きました。資料として添付してありますので、お目をお通しいただければ幸いです。
最後に44ページ、裏表紙を御覧ください。
全員、呼吸器などをつけています。この子たちは間違いなく大人になります。この子たちが笑顔で、どんなに重い障害を持っていても住み慣れた地域で当たり前に暮らせる社会を私たちは目指しています。
以上で全国重症児者デイサービス・ネットワークの意見とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御意見・御質問のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。
田村アドバイザー、どうぞ。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明、どうもありがとうございました。
先ほども言いましたけれども、私、周産期医療に関わっているものですから、NICUから、先ほどの最後の写真でお見せいただいたような、障害を持ったまま高度医療的ケアを必要として在宅に移行するお子さんをたくさんつくり出している責任者の一人でもあります。
今のデイサービス、もしくは障害児通所支援のスコアの看護職員加配加算に関しては、最初のヒアリング団体のところでも出ましたが、なかなか今のままではそういう高度医療的ケアを必要とするようなお子さんは受け入れてくださらないのが現実で、我々も非常に困っております。
それで、ここで挙げたような加配加算のスコアリングの見直しとか、あとは短期入所の重症心身障害児施設の拡充とか、この辺りは非常に大事なことであると思います。ですから、この辺については全く異存はないのですが、ただ1点だけ、資料の9ページのところでございますけれども、ここで今の看護職員加配加算の見直しと前年度実績の撤廃のところで1)から11)まで要望が上がっておられます。その中の10)のところに呼吸器、気切カニューレ、エアウェイ、酸素、経管栄養、中心静脈、持続皮下注射ポンプなどの、基本的に体に挿入されたり附属しているものに関しては、利用時間中の使用の有無にかかわらずスコア判定に入れてほしいということを要望の中に入れておられます。
しかし、これは私の理解が間違っているのかもしれませんが、これは現在の時点においてもこういうデバイスを必要とするお子さんの場合は、たとえお預かりしているときにそのデバイスを使うことがなくてもスコアリングの中には入っていると理解しておるのですけれども、これはむしろ鈴木様よりも厚労省の担当官に本当は聞けばいいのかもしれませんが、その辺のことを鈴木様のほうでも御確認をお願いしたいと思います。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク ありがとうございます。
現在のスコアは前回報酬改定のときに導入していただいたのですけれども、現実に看護師のスコアを運営しているのは私たち重症児で結構運営させていただいております。その中でいろいろな問題が出てきています。今回、このような形で、先生がおっしゃったように、このような利用期間中の使用の有無にかかわらずスコア判定というものは、現実問題、看護師がこういういわゆる医療的ケアがあるものに対しての管理がやはりスコア上必要になってくるのではないかと私ども、あえて入れさせていただいた次第でございます。
○田村アドバイザー それから、またスコアリングの改定のところで、これは岡山の末光先生などがよく主張されていることですけれども、先ほどお話しされたように、1人、人工呼吸器をつけていて、非常に重症なお子さんを診ているにもかかわらず、その子は実は点数でいくと16点とか24点とか非常に高い点数になるようなデバイスを持っているお子さんでもたった1人としてしかカウントされないので、それで加配の対象にならない。
そういうことに対して、末光先生などは8点以上であったら1人、16点以上であったら2人、24点以上であれば3人というふうにカウントすることによって、そういう非常に高度な医療的ケアが必要なお子さんの場合はたった1人でも3人分として加配の対象になるということを提案されておられますが、この辺についてはいかがお考えですか。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 私たちも基本的には同じでして、まず8点以上は1人としてカウントし、16点が2人としてカウントしているのは現在の体制の中でもされております。ただ、先ほどおっしゃったように、24点とか30点以上の人たちもどんどん増えていますので、ここをやはり3人とカウントするのは私たちもぜひお願いできればお願いしたいと思っております。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
○源河障害福祉課長 橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
このコロナ禍で、家族としては療育をしたい反面、感染への恐怖が拭えない中で、オンラインで療育を継続してもらえたことは安心につながった方も多いのではないかと思います。
コロナの影響のところに書かれていますが、オンラインでも通常に近い療育は可能とのことですが、時間的にはどのくらい、何名で、どのような手法でこれはなされたのでしょうか。また、重症児は欠席率が高いようですが、オンラインを導入することで欠席率が減ったのでしょうか。教えてください。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク 最後のお答えのほうからさせていただきます。もともと重症児の方は欠席率が高いのです。施設にもよりますけれども、平均20%は確実に欠席される状況です。
オンライン療育に関しては、本当に今回のコロナにおいては、やはりコロナに万が一かかってしまえば、非常にリスクの高い子供たちであることに鑑み、お母さん方がかなり利用を控えている状況でした。厚労省のほうもそこに御配慮いただいて、そういうコロナを心配して利用を控えるお母様方に対してできる限りの支援をしたら算定してもいいということを頂いたので、我々は最初は多くの事業所が電話とか訪問などをしていたのですけれども、やはりなるべくデイの活動を御自宅に届けたいということでオンラインを提供していました。
ただ、オンラインでの提供になると、一日ずっとやるわけにはいきませんので、例えば1日1時間ないしは2時間とか、午前の活動、午後の活動ということで提供していたケースが結構聞いております。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかによろしいでしょうか。
それでは、ここで終了とさせていただきます。一般社団法人全国重症児者デイサービス・ネットワークの皆様、どうもありがとうございました。
○全国重症児者デイサービス・ネットワーク ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会より、戸高洋充様、近藤淳様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会、略称「あみ」の代表をしております戸高です。
我々の団体は、1997年にその当時の作業所の安定化・法定化、制度の地域格差の是正、地域生活支援の全国ネットワークの推進を3つの柱として、精神障害を持つ方の地域で支援する体制の充実を図るために研修、情報提供、提言・要望活動を継続して行ってきました。
前回の2018年度の報酬改正の中でB型の工賃に関する改定がされたのですが、我々はやはり生活支援の意味が大事であるということで、そのエビデンスの調査を昨年度行いまして、その結果も含めて事務局長の近藤より説明させていただきます。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 事務局長をさせていただいております近藤です。よろしくお願いいたします。
資料のほうですけれども、2ページ進んでいただきまして、詳細版1というところをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
すみません。時間もありませんので、短めに、ちょっと駆け足になりますけれども、よろしくお願いいたします。
視点1のところから御説明させていただきます。
質の高いサービスの提供というところですが、やはり私ども、事業所の団体です。そういった事業所の職員の質というものが、当たり前ですが、そこが一番問題であろう。そこの質が低ければ提供できるサービスは低いに決まっているということです。そのために、職員の質を上げるためにどうするかというところは、やはり経験から得られるもの、体験から得られるもの、関係性の問題がありますので、職員がやめないで続けられる。それが結局、質につながると思っておりますので、そういう意味ではやはり給与体系とかが脆弱であったりする部分がございますし、安心して希望を持って働けるような体系で報酬をお願いできればと思っております。
職員や法人の中で、そうは言っても、やはりどうなのだろう、この職員が苦手だとか、そういう声は前回の報酬改定の検討チームの前の、平成30年度のものを決めるときにも野澤さんとかからもお話があったかと思います。職員であったり、内部の透明性を考えますと、やはり第三者評価を入れていって、利用者の声も確認しながら透明性を持てるということが質の担保にもつながると思います。
あと(2)のところが飛びましたが、支援法になってから三障害一元化が進んで、そのことによって障害特性が薄まってしまったのは現場からも非常に声として上がっていますので、こちらについて、やはりもうちょっとそれぞれの特性をしっかり考えていく。そういうものが必要であろうと考えております。
次をお願いいたします。視点2になります。サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策というところです。
まず、体制の確保は大切なのですけれども、提供するサービス自体に、本当に大切なものなのか、いいものなのかということがとても重要かと思っております。後ほど説明しますが、私どもで調査研究をさせていただいた際に、やはりいろいろ振り返らなくてはいけない場面をこのたびいろいろ感じております。まずは内容がどうかを精査することが前提であるということです。
具体的に1.と2.というふうに、サービスごとにお話をさせていただきます。
共同生活援助ですけれども、こちらに3つありますが、まずグループホームというものは入所施設ではないということです。家庭的な場で、地域に点在することがとても大切で、そういう意味では小規模の運営がしっかり確保されることがニーズにも即しますし、地域性としてもとても当たり前のことであると思っております。それと併せて、大規模の減算です。大規模化することによってサービスが、質が下がることがあったり、場合によっては、ちょっと前に問題になりましたが、病棟転換型居住系施設。そういうものが安易に建てられてしまうこともそこの抑止力にもなるのではないかと思います。
グループホームは正直、運営は大変でして、ここに「初日から算定できるように」と書いてある、そのぐらい、やはり運営は、地方とかは特に大変ですので、前回、収支差率で9.何%だからカットしましたという御説明もありましたけれども、そういうところよりは本当にもっと現場のところで見ていただければとお願いしたい次第です。
次にB型のほうですが、ページが変わります。
先ほどお伝えしましたように、私どもは工賃でというふうに前回の報酬改定で案が出たときに厚労省の方とお話しさせていただきまして、B型の機能はいろいろな多機能にわたっている。その中で工賃だけで評価するのはいかがなものかということを御説明させていただいたのですが、生活支援などのエビデンスが厚労省のほうで資料としてないというお話がそのときにありました。そこで、では私どもで調査をしてみようということで、今日この後、御説明があるかと思いますが、日精連さんと全精福祉ネットさんと3つの全国団体で共同で調査をさせていただきました。
その結果なのですけれども、工賃が高い低いで利用者の満足度が相関しなかったというのが出たのが調査結果です。1つの事業所に対して3人の利用者の方にアンケートを取っています。その3人の方に対して、それぞれ職員が基礎調査などのアンケートを返す。プラス、その3人が2週間、どんな支援を必要として、どんなことをしたかという職員の時間数とかも5分単位で全部調べていただくという、かなりまめな調査なのですが、そういうことをやることによって利用者の満足度と支援がどのように相関していくかというところを調べた結果なのですけれども、結果的には利用者が必要としているものはもちろん、工賃という方もいらっしゃいます。ただ、もうちょっと自分自身が認められている場所が欲しいとか、相談できる場所が欲しい、安心して通える居場所が欲しいなどという機能、あとはリカバリーです。回復していく感覚を求めている。そういうところがB型の機能としてとても強いことが調査結果で分かりました。
ですので、事業所のほうは報酬を下げてはいけないということで、作業というふうに結構動いていたようです。結果的に相談する時間を減らして、作業する時間を増やすということが起きてしまったこともありますし、そうしますと、本人のニーズに対して結果的に国が立てた見立てが、申し訳ないですが、違っていたのだと私どもは思っています。それで、事業所もそれに乗っかってしまったという、ある意味でこれは非常によくない循環が起きてしまったのではないか。
ですから、私どもとしましては、平成29年までの規模によってやっていた報酬にまず戻すべきですし、あと、工賃が高いことに対しては評価すべきであると思いますので、別途加算でやっていくべきであろうということです。
次をお願いします。
B型ですけれども、あとはアルバイトの件です。ちょっとでもアルバイトをすると、朝、新聞配達をやりました、喫茶店で1時間働きましたというと、支給決定を下ろさない自治体が数多くあります。これは、本人は20時間働けないからB型で頑張って、働ける範囲で働いて、そこで例えば覚えたことを地域のお店で試してみたい、生活圏を広げたい、社会参加のほうも増やしていきたいと思っているのですが、アルバイトを使うとB型は使えませんということで、週3~4日、何もできない日が今度は出てしまうという、すごく不思議な現象といいますか、よくないことが起きていると思っておりますので、やはりこの辺り、柔軟に利用ができるようなことを自治体の方々に御指導いただければと思っております。
あと、計画相談のほうに入りますけれども、これは支援内容と報酬のバランスがやはり合っていない。それで、特定事業者加算などもできましたが、やはりまだハードルは高いのが現場の声ですので、そこの増額。あとはモニタリングの頻度などを増やすこともできないかということがお願いであります。
次のスライドをお願いします。
あとは地域の基本相談です。これは給付事業では入っていないのですけれども、地域生活支援事業などで自治体から委託や補助事業で出ているものです。これが多分、サービスを提供する上ではとても大切な機能だと思うのですが、ここをしっかりさせることが重要ではないか。これを相談支援事業所に給付として落としていくことによって強化されていく。そういうものがあるのではないかということを提案させていただきたいと思います。
あと、セルフプランです。ここについては、こういう言い方は変ですけれども、あしきセルフプランといいますか、事業所の職員に聞きながらつくって出しているセルフプランが結構あると聞きます。そのことで本人の意向というよりは事業所の意向でサービスが入っていくという、そこについて支給決定の部分とかを検討されたらいかがということを入れさせていただきます。
地域移行ですが、やはり長期、10年、20年、30年にわたって入院されている方が地域に戻ろうとするのは、当たり前ですけれども、すごく時間がかかります。その時間がかかることなのですが、有期限のサービスということで、期間が終わってしまうことが往々にしてあるといいますか、時間が短い場合があります。それで、期間が終わったらサービスも終わるのだというわけではない。支援が終わることはあってはならないことですので、やはり柔軟にお考えいただきたいということ。
あと、地域移行の促進ですけれども、今は病院のほうから送り出してサービスにつなげていく。それで地域が受け取るという形が主になってきますが、地域のほうから病院に迎えに行くという形。支援者であったり、あとはピアサポーターですね。そういう方が迎えに行くという仕組みがもっとあっていいのではないかということになります。
次のスライドをお願いします。
次に視点2の地域定着、あと、生活訓練などですけれども、地域定着につきましては、やはりもうちょっと中身を精査するといいますか、もっと詰めていくと、もっと地域で活用されるのではないかという、すみません、ちょっと漠然としたお伝えで申し訳ないのですが、そういうものがあるのではないか。
生活訓練については、先ほどの地域移行と同じです。やはり利用期限が足かせになってしまって支援が途切れたりしないようにしていただきたいということ。
7.で、これは直接の給付事業ではありませんけれども、地域生活支援拠点、もともとの設置は3年前であったのが延びてしまった。それで今度、包括ケアシステムが出てくる中で正直、自治体がどうやっていいかが分からない部分もありますが、財源的なものの下支えがないので、やはり勧めないといいますか、事業者も手を挙げないということも自治体ごとでいろいろあるのではないかと思います。ここについては、こういう言い方は悪いですけれども、やはり自治体や民間に丸投げみたいになってしまうことは格差であったり質という部分では全然欠けてしまうところがあるかもしれませんので、財源的なものをしっかりつけていただきたいというものが一つあります。
それから、スライドが変わりまして、視点3です。持続可能な制度というところです。
私どもとしましては、もともとOECD諸国の中でも障害福祉にかける予算が我が国はとても少ないところからスタートしていた。そこでまた削ろうといっても、やはり正直、ニーズがこれだけあるものをどう削っていくかというのはちょっと着眼点を変えていくほうがいいのではないかということです。
ですので(2)(3)とかにありますが、前、私どものお話をしたところ、医療の財源から福祉のほうに回したらどうかという提案に対して、財布が違うからそういう議論はなかなか難しいといいますか、考えてもしようがないという御意見を頂いたりもしたのですけれども、財布が違うといいますか、分ける前の段階でもうちょっと考えていくということでも何かしらつくれるものがあるのではないかと思っております。
(4)のところにつきましては、やはり就労などは雇用政策のほうで障害者枠で考えないで一般のところで併せて考えていくことのほうが当事者にとって必要な権利がちゃんと保たれるのではないかとも思いますし、別枠で考えていくことが一つあるのではないかということになります。
最後、視点4になります。コロナです。
こちらについては、三密防止というところ、飲食店が席を1つずつ空けて、そこで営業する。それで、お客さんが来ない、お店が潰れていく。今、事業所も同じです。今まで20人定員で18人来ていた事業所が18人入れられない状態になっています。それで半分にする、利用時間を制限するとかということで、だけれども、事業所としては運営があるから、多く人を呼びたいという、同じようなことがやはり起きているというふうにも思っております。その辺りのことをもうちょっと、この時期だけ報酬単価をちょっと上げる、加算をつけるなどの検討が必要かと思っております。
有期限のサービスについては、やはり厳格な検討で、来年の3月末までに終了するサービスが1年間延びるということで御配慮いただいていると思うのですが、必要なものはどんどんやっていけばいいと思うのですが、無駄にサービスの期間を延ばすことはすべきではないと思っております。
ただ、就労移行などは今、実習先がなくなっているとか、受入側企業がすごく手を挙げなくなってきたという実態を耳にします。こういうところに関しては、ちゃんとそういう中でも数字を出したところに対しては評価して、何かしらの加算をつけるなどのことがあってもいいのではないかということです。
それから、就労系福祉サービスの在宅利用です。これはB型とかもそうですけれども、人B型などは働くとか作業とかを家でやらないと在宅支援として認めづらいということがありますが、もともとは命を守るということで通所を避けて在宅というところですので、そこをもうちょっと柔軟に考えていただけないものかということが一つあるということです。もちろん、無駄に在宅支援で大したこともやらないのにそこにお金をつけるのは僕もいかがかと思いますが、もうちょっと細かく丁寧に考えていく必要があるのではないか。
最後になりますけれども、感染者対応ですが、やはり私どもの仕事は今、テレワークとか何だかんだとありますが、人と接することで成立する職業なのですから、ソーシャルディスタンスというものと僕らの仕事はちょっと相対する部分が正直あります。やはりどうしても、それは当たり前にやらなくてはいけない部分はありますので、そうなった場合に基礎疾患や高齢者の方とかがいらっしゃる中でどこをどうしていくかというところの、障害福祉の中でのガイドラインづくりであったりとか、あとは検査体制の整備などを充実させていただくということが、僕ら自身が関わっているかどうかも分からない中で関わりを続けていくことの危険性もございますし、御検討いただければと思います。
簡単ですが、以上となります。ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。
田村アドバイザー、次に野澤アドバイザー、お願いいたします。
○田村アドバイザー 御説明、どうもありがとうございました。
11ページの視点3に対する御意見のところですけれども(1)は妥当だと思うのですが「(2)医療から福祉へ財源の大胆な移動を」というのは、やはりこういう表現の仕方をすると今、医療と福祉の協働が叫ばれているときに、むしろ医療者を福祉者と対立させることになりかねない。
こういう表現の仕方よりは、私は、以前、厚労科研で研究させていただいたときに、「NICUに実際に入院して、複雑な心臓病があるので人工呼吸器が必要な患者さんで、当時の医療では手術の適応がないということで在宅に移行したところ、在宅に移行して5か月間にかかった医療費は、NICUに入院していれば10日間、それから、一般の小児科で人工呼吸器をつけていたら1か月に相当する医療費で済んだ。つまり、在宅に移行することによって、そのお子さんに必要とされる医療費は5分の1から15分の1まで減らすことが出来た。」という結果が得られました。
そういった観点から、この福祉を活用することによって医療費が節約できるのだというデータを集められて、そういったことを提案されれば厚労省のほうも割と納得していただきやすいのではないかと思うので、そういうデータを分析していただければと思います。
以上です。
○源河障害福祉課長 もし、可能であれば。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 ありがとうございます。
お話しいただいたとおりで、別に医療とこういうつもりもございません。先ほど日精協さんがお話しされていましたけれども、包括ケア、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムで、福祉と医療と行政と民間で地域をつくっていかなくてはいけないというところで、そこでどういうふうに財源をつくっていくかというところをもう一度、一から考え直していく必要があるのかと思っておりますので、どうもありがとうございます。
すみません。表現についてはもうちょっと検討していきたいと思います。
○田村アドバイザー お願いします。
○源河障害福祉課長 野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー 今日は医療と福祉の連携とか役割分担とか、そういうものがテーマなのかなと思って各団体のお話を聞いていたのですけれども、先ほど日精協さんですか。「医師意見書」ももっと活用すべし、あるいはいろいろな地域での福祉サービスを利用するときに医師がもっと関与したほうがいい。それに対して加算をつけてほしいという意見が幾つか出ていたのですけれども「あみ」さんはこの意見についてはどうお考えなのか、聞かせていただきたいのですが。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 やはり精神障害の方は医療と密接に結びついているのは事実です。医療がないと地域生活が送れないのは確かなものであるとは思っておりますので、お医者様の医療の意見とか、そういうものがなくてはならないのですけれども、どうなのでしょうか。御本人の意向や地域の意向というものをうまくコーディネートできるものであればいいものであるとは思います。
一方的に何かで、申し訳ないですが、御本人が嫌がっているのだけれども、強制入院などがある。精神保健福祉法というものがあることで精神の方は拘束されたりするということも精神科医療の中ではあるので、正直、そういうところで不安を持たれる利用者の方、当事者の方、患者様がいらっしゃるのは、私、仕事をしていて思うところもありますので、その辺りは一概にいいとか悪いとか、すみません、この場では言えませんが、検討していく内容はいろいろあるのかなとは思っております。
こういう答えでよろしいのでしょうか。
○野澤アドバイザー お医者さんによってすごく意見が違うのでどうなのかなと思ったのですが、例えば地域で住むとか、学ぶとか、食べるとか、働くとか、遊ぶとかということに対してあまり医療がコントロールしてしまうのはどうなのかなと。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 はい。おっしゃるとおりです。
○野澤アドバイザー ですので、絶対必要な人にしかできないことはあると思うのですけれども、それ以外のところはどうなのか。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 診察の場で見えることと地域で暮らしているときの様子はやはり全然違うところはあります。ですから、診察室の中だけでできていく意見書は本来的に地域生活を送る上で満足なものとは言えない部分はあると思いますので、そういうところも含めて考えていくことが必要なのかなとは、やはりお医者様の前ではなかなか本当のことが言えないのだという患者さんは多くいらっしゃいますし、退院をしたら元気に暮らしている利用者さんもいらっしゃるのも事実ですので、野澤さんがおっしゃられるようなことは正直あるというふうに私どもも認識しております。
○野澤アドバイザー お医者さんは医療が絶対に必要だと私も思っているのですけれども、やはり福祉と医療とをあれしたら、やはり医療の力が強いと思うのですよ。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 はい。強いです。
○野澤アドバイザー だから、それは地域で福祉を担っている皆さんが、やはりその辺は頑張って、自分たちの専門性といいますか、患者さんといいますか、地域で暮らす精神障害の方たちのそういう地域生活は自分たちに任せろぐらいな感じのことを何か言わないと誰が言うのかなと思ってあれするのですが。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 そう言っていただくと本当に心強いですし、今回、計画相談の中に医療のものも入れてみたらどうかという提案をさせていただいておりますけれども、そういう意味で地域福祉は地域の福祉が中心になりながら医療を取り込んでいくという、こちら、あちらという言い方は悪いですが、地域福祉側が中心にやっていく。そういう仕組みづくりがやはり必要とは思っております。
○源河障害福祉課長 よろしいでしょうか。
では、すみません。岩崎先生で最後にさせていただきます。岩崎先生、どうぞ。
○岩崎アドバイザー 御説明ありがとうございます。
B型の方がアルバイトをしたときになかなかB型の継続が認められないということや、B型からA型に移るときに移行期間の併用が認められないということで、私もそこはすごく残念に思っているので、柔軟な対応をお願いしたいという御意見にはとても賛成しております。
御質問したいのはちょっとそれとは違うことなのですが、就Bのことで、工賃で評価をすることについて否定的な御意見で、確かに精神障害の方たちの場合、法律が変わって移行するときに結構、就Bに集中せざるを得ないような状況があって、今、いろいろなB型があると思うので、工賃だけで判断されるのはという御意見はたくさんお聞きするのですが、では、そのサービスの質をどういうふうな形で測れば事業者の皆さんが満足されるのかということで、もし御存じのことがあったら教えてください。
○全国精神障害者地域生活支援協議会 今日、うちの団体の概要のところにうちのホームページのアドレスを載せさせていただいておりまして、ここを開いていただくと調査報告書が見られる形になっております。また今度、こちらのほうから調査報告書を皆様にも送らせていただこうと思っておりますけれども、まず利用者の声を聴くことだと思うのです。やはり国がつくったものを事業所が運用していく流れの中で、利用者の方の声が後で入ってきたり、場合によっては入らなかったりすることがある。要は弱者が余計、声を出せなくなるような可能性が今回あったのではないかと私は調査をした結果、やはり自分自身の事業所の人間としての足元をもう一度見なくてはいけないとも思いました。
まずは当事者の団体の方々のヒアリングを今回行われていらっしゃると思いますし、それも当然大切なのですが、現場で利用している一人一人の方の声をとにかく可能な限り調査していく。それを反映させていくことがまず一番なのではないかと思います。ですから、どうやって調査をすることがとか、そういうことを検討する上でも、先ほど言いました検討の場をつくっていくところが必要なのではないか。こちらのほうの視点1とかでも書かせていただいているところですけれども、三障害でそれぞれの障害特性をどういうふうに考えて、どういうサービスが必要なのかというところ、薄らいでいるものをもっと検討して、必要に応じて調査をしていく。やはり事業所はそれを断ってはいけないですし、私たちが中心になってやっていくものではなくて、利用者が中心になって考えていく。まず、そういう姿勢から正していかなくてはいけないと思っております。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ここで終了とさせていただきます。特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会より、岡部正文様、小川陽様でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○日本相談支援専門員協会 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会の理事で、岡部正文と申します。本日は政策委員長の小川陽と共に意見を述べさせていただきたいと思います。
資料の2枚目を御覧いただきたいと思います。弊法人の紹介となりますので、お目通しいただけますと幸いです。
資料の3枚目に移ります。ここでは本日述べさせていただく意見の概要を記載させていただきました。
初めに、障害者総合支援法の目的を実現するためには相談支援体制の充実が必要不可欠であることを強調したいと思います。
本ヒアリングで求められております視点1及び視点2に関しましては、意思決定支援を含む質の高い相談支援がしっかりと提供されることが個々のニーズに応じたサービスを利用することに寄与し、利用者の多様な生活の選択を保障することにつながると考えます。また、協議会を主導することも相談支援の重要な役割であることはアドバイザーの皆様も御承知のところです。
さらに今回、最も強調させていただきたいことが、日常的な相談支援体制が充実することが災害発生時や感染症流行にも有効であり、適切な支援の提供につながるということであります。これは視点4に関するところです。
私も新潟におきまして3年の間に2度の大きな震災を経験していますが、災害等緊急時においては日常取り組んできたことが全てでありました。特に平成24年度から計画相談支援の充実により、相談支援専門員が日々モニタリングで把握している一人一人の支援情報は災害や感染症の発生時において支援の必要度の見極めに役立ち、効果的なサービス提供につながります。併せて、基幹相談支援センター等を基軸として相談支援事業所同士のネットワークを面的に整備しておくことも大変重要です。
加えて、視点3の持続可能な制度としていくためには、利用者のエンパワーメントの視点を持って適切にケアマネジメントを行うことが必要以上のサービス利用を防止することにもつながると考えます。
以上のことから、相談支援専門員が障害者総合支援法の目的の達成や共生社会の実現に向け、ソーシャルワークの担い手として活動していくためには、1つ目に、個々の専門性をさらに高めること。2つ目に、基幹相談支援センターや委託相談が担う総合相談がさらに充実するとともに、3つ目に、計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援、自立生活援助が安定的に提供される相談支援体制の構築が必要であります。
資料の4枚目を御覧ください。ここからは具体的な提案をさせていただきます。
1つ目に、上段の「1.総合的・包括的な相談支援の充実について」です。
計画相談支援・障害児相談支援の実施体制が整わず、基幹相談支援センター等がそれらを補完せざるを得ず、本来の役割を果たすことができないことから、計画相談支援等の基本報酬及びモニタリング頻度、加算や算定方法について見直しを行うことを求めます。併せて、重層的支援体制整備事業を実施する場合は主任相談支援専門員の配置を必須とすることを求めます。
2つ目に、下段になりますが「2.安定的で質の高いケアマネジメントの提供体制の充実について」です。
相談支援専門員は他事業との兼務が54.4%と多く、複数人員体制による効果的・効率的な事業所運営が難しい状況にあり、収支差率はマイナス2.0%であるという結果から、特定相談支援事業には1名の常勤専従者を例外なく必置することを求めます。また、モニタリング頻度が平均して3か月に1回以上となるようにモニタリング実施標準期間の改定を求めます。
詳しくは9枚目に記載しておりますが、サービス利用期間中の頻回のモニタリングもさることながら、サービス終了後の追跡モニタリングやサービス利用開始前の関わりについても評価していただけると、未就学時期でサービスが終了する事例やひきこもりの状態にある事例、社会資源とのつながりがしにくい事例などに有効であると考えます。
また、前段申し上げましたとおり、利用者と相談支援専門員がモニタリングで出会う機会が増えることで信頼関係が深まり、ニーズの把握や適切な支援計画の作成等の質が高まるとともに、災害時・緊急時の支援にも有効だからであります。
資料の5枚目を御覧ください。関連して「(3)特定事業所加算の経過措置延長と要件の緩和」が必要であると考えます。
資料の10枚目に飛んでいただきたいのですが、右側の◆の4つ目、複数の事業者が相互の連携により、特定事業所加算の各要件を満たしている場合は、各事業所単位で特定事業所加算を算定可能とすることを提案いたします。つまり、地域生活支援拠点の面的整備型の考え方を相談支援にも導入する提案です。
資料の11枚目を御覧ください。「(4)基本報酬の増額と多機能事業所の事務の効率化」が必要であると考えます。
右側の「解決策」、◆の1つ目、現状では加算により評価を頂いている業務も含んだ形での基本報酬の増額を創設いただくことを求めます。
◆の4つ目の多機能型相談支援事業所の設置を促進する提案です。これは特定、一般、障害児、自立生活援助の多機能を持っている相談支援事業所について、地域生活支援拠点の多機能拠点型をイメージした提案です。ここにピアサポーターの配置も大変有効であると私たちは考えます。
そのほかに「(5)相談支援事業者とサービス提供事業者の連携強化」も必要と考えます。
資料の6枚目にお戻りいただきたいと思います。地域移行支援、地域定着支援と自立生活援助に関する提案です。
1つ目に、病院や施設からの地域移行を促進するために(1)にありますとおり、実績がある一般相談事業者への評価をさらに高める必要があると考えます。(2)は地域移行支援の対象を、18歳未満の障害児入所施設の入所児童や病院から退院する医療的ケア児等に拡大する必要があると考えます。
自立生活援助や地域定着支援については、退院後1年以上経過した場合であっても、頻回な訪問対応など相当量の支援が必要な場合がありますが、実態に即した報酬体系となっていないため、基本報酬額を見直す必要があります。また、そうした利用者に対して一月に複数回の同行支援を行った場合を適切に評価いただけるよう、同行支援加算や初回加算について改定する必要があります。
以上のとおり、日本相談支援専門員協会としましては、共生社会の実現のために相談支援体制を充実強化させることが最も重要であると考えており、第6期障害福祉計画の成果目標6にも掲げられていることも踏まえて、基幹相談支援センターの設置促進も併せて求めるとともに、本協会としましても相談支援専門員のさらなる質の向上と地域の相談支援体制の充実強化に努めてまいりたいと思います。
本日は意見提出の機会を頂き、誠にありがとうございました。
○野村企画課長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、アドバイザーの皆様方から御意見・御質問などがございますれば、お願いしたいと思います。挙手にてお願いいたします。
では、まず、野澤アドバイザー、お願いいたします。
○野澤アドバイザー 御説明ありがとうございます。
これまで幾つか団体のお話を聞いていて、いろいろ考えるのですけれども、医療的なケアの方がすごく増えてきていますね。これに対応しなければいけないということで、医師、看護師とか有資格者の配置を義務にしたり、あるいはそれに加算をつけてほしいという要望がかなり上がってきていると思うのです。これはこれで大事なのですが、ただ、それをやるとなかなか財源が膨らんでいって、どう手当てするのかということや資格者の確保が難しい。
では、もっと規制を緩和したほうがいいのではないか。そのほうが利用しやすいし、経営もしやすくなるのではないか。ただ、安全とかのことを考えるとちょっと難しいかもしれない。この辺が一つの論点だと思うのです。
もう一つ、私が思うのはこういうことなのです。医療や福祉で生命や健康を守ることはできるけれども、一人の利用者の孤独感とか疎外感を解消したり、生きがいや充足感をもたらしたりということはできないなと思っているのです。といいますのは、この前のALSの方の嘱託殺人のあれを見るにつけ、あの方は医療によって命を長らえているわけですし、手厚い介護体制で生活できているわけですが、あの悲痛な、死にたいという、あの方の疎外感といいますか、生きがいを喪失した苦しみみたいなものが医療や福祉は手を伸ばせていないわけですよ。
これまでの社会保障を考えると、現金の給付とか医療や福祉のサービスの給付が目的で、これだけだったのですけれども、ただ、今、本当に障害のある方、利用者の幸せのことを考えたときに、そうでない、やはり生きがいであるとか充足感であるとか、孤独や阻害をなくしていくところに手を伸ばしていかないと、足しようがなくなってきた。こういうものはこれまでは私的な領域で任されていた問題ですね。でも今、それができなくなってきた。
では一体、今、我々が議論しているこの報酬改定の、ここでこういうものに手を伸ばせるのは何なのかといったら、相談支援しかないと思うのです。相談支援もインフォーマルなサービス、あるいは地域共生に直接的に関わって何かやれるのは相談支援しかないなと思っていて、おっしゃるように、地域での相談支援体制を拡充すべきというのは本当にそのとおりだと思うのですが、では、何のために拡充するのかという、今の一番の明確的な課題に対してもっと大きなグランドデザインを見せていただかないとなかなか納得できないのではないか、納得してもらえないのではないかと思うのです。制度とか枠の中にだけはまった考えではその辺を超えられないような気がしているのですけれども、ちょっと率直な御意見を、短時間で難しいとは思うのですが、意見交換したいのですが、いかがでしょうか。
○日本相談支援専門員協会 小川と申します。御質問ありがとうございます。
今のご質問にありました内容も含めて、私どもも、まだまだ課題が多いと思っております。そうした課題解決の一つとして、先ほど説明をさせていただきましたけれども、相談支援体制の重層的な体制の整備を拡充することによって、基幹相談支援センター、あるいは委託相談等のアウトリーチも含めた潜在的なニーズへのアプローチというものが今以上に実施可能になっていくのではないかと考えております。
○日本相談支援専門員協会 岡部です。
野澤さんが御質問してくださったように、相談支援専門員の役割は命を守ることと暮らしを支えることに加えて、その人の生きがいを一緒に見出していくことにあろうかと思っています。そこができるのが相談支援専門員ではないかと言っていただきましたのは大変ありがたい檄でありまして、そこを今、サービスの中で考えるとすれば、自立生活援助の活用やピアサポーターの活用等でその人と、どうしても今回の事故等のことも踏まえますと、やはり人との接点が少ないとか人とのつながりが少ないことに関して、お金や保障ではなく人を派遣していって、つながりの中からその人の生きがいを見出すという関わりを相談支援の中でやっていかなければいけないと考えておりますことと、そのためには御本人さんからそういうSOSを出してもらうために頻回なモニタリング、必要なモニタリングは必要であろうと思います。
また、立ち戻って、医療のところのお話が冒頭にありましたけれども、今回提案していますように、地域移行支援に関しましては精神科病院とのお付き合いというものは非常に多いと思いますが、事故後の高次脳機能障害の方とか難病の方とか、かなり管を入れているような方との接点は相談支援専門員としてはかなり少ないと思います。そういった方との出会いをつくるためにも地域移行支援の対象者の拡充が必要ではないかと考えているところです。
以上です。
○野澤アドバイザー 私、エールを送っているつもりで言っているのですけれども、コロナのあれを見ても、地域でうまくいろいろな事業所や利用者をコーディネートして体制をつくっているのは基幹がしっかりしているところですね。やはりこういう危機的なときは、相談支援は本当に威力を発揮すると私は思うのです。
今、多くのところで見られる法人の出先みたいな相談支援ではなくて、本格的に利用者側に軸足を置いたような相談支援体制をつくるために、もっとこうしてほしい、ああしてほしいという、特定事業所加算とかは前回のあれでちょっと手厚くなりましたが、全然足りないわけですね。どうすれば法人の枠を超えて利用者の側に立った相談支援を構築できるのかという辺りをもっと提案していただきたいと思います。
以上です。
○野村企画課長 では、先ほど橋本アドバイザーが挙手しておられたように見えたのですけれども、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
私も障害のある娘をいろいろな形で社会と関われるようにしていきたいと思っていますが、やはりそのときに頼りにしたいのが相談支援専門員です。親身になって相談に乗ってくれる頼りになる人がいれば、1人になっても何とか地域で暮らしていけるのかもしれないと希望を持つことができます。
質問なのですが、家族が頼りになる人と家族がいなくなった後では相談支援専門員にかかる能力も違うのではないかと思うのですが、例えば今、施設やグループホームに入居されている方と在宅の方。また、家族と暮らしている方と1人暮らしをされている方では報酬上は変わりがないですが、相談支援専門員のかける労力としては差が出るものでしょうか。
また、地域移行支援の実績をさらに評価とされていますが、施設入所のモニタリングの標準期間は6か月間とされていますが、現実的にその頻度で地域移行の意思決定支援に役立っているのか、教えてください。
○日本相談支援専門員協会 御質問ありがとうございます。前段の御家族さんがいるいないの負担感のところのことに関しましては、私、岡部のほうでお話をさせていただければと思います。
言われてはっとしまして、それが当たり前のように、報酬の差がない中で当たり前にやるべきことであると思ってやってきたので、御質問いただいてはっとしたところが正直な感想です。
肌感覚としましては、やはり単身の方だから大変、御家族の方がいるから大変、いないから大変ということよりも、御家族の方がいらっしゃって暮らしていた方が急に亡くなって支援量を多くしなければいけなくなるとか、そういうところの負担感が大きい思いを持っていたり、グループホームから退所されて地域生活をされる方の暮らしの環境の変化が発生したときに負担感は非常に大きいと、現場でやっていますと感じているところであります。
ですので、私どもとしましては、今の御質問いただいたことからしますと、支援の必要度に応じて報酬に段差があるのは大変ありがたいお話だなと受け止めました。
以上です。
○日本相談支援専門員協会 御質問ありがとうございます。入所施設のモニタリング頻度について御質問いただきましたけれども、そのことについて私見も含め意見を述べたいと思います。
私は津久井やまゆり園の意思決定支援に関わっております。この間、この関わりを通して実感したことは、日常生活における意思決定については支援現場で行われている部分も多いかと思いますが、社会生活場面における意思決定、例えば地域移行等々を考えたときに、半年に一度のモニタリング頻度では、しんどいだろうという事です。
一方、頻回化することによって、私どもの資料にもありますけれども、信頼関係も含めた御本人との関係性の構築、また、御本人中心の支援チームをつくり多面的に見ていくこと。相談支援専門員が持っている情報等を活用していくこと。また、サービス管理責任者等との協働による支援展開。こうした丁寧な支援の実施が意思決定支援に効果を発揮すると痛感しております。
したがいまして、今回、私どもの提案として平均して3か月に1回以上のモニタリング頻度とお願いしておりますが、これは入所施設も含めて要望させていただいているものでございます。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○野村企画課長 それでは、時間が参りましたので、次に行きたいと思いますけれども、ほかのアドバイザーの方、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会の皆様方、どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本精神保健福祉事業連合より、新保祐宣様、大友勝様、よろしくお願いいたします。
○日本精神保健福祉事業連合 こんにちは。日精連の大友といいます。今日はこのように発言の機会を与えていただいて、ありがとうございます。
それで、お手元の資料の表紙をめくって2ページ目になりますが、一応、私たち、平成22年7月8日に設立して、活動目的及び主な活動内容は、早期相談支援からエンディングサポートまでということで、ライフステージに応じた様々な体制の整備ということを目標に掲げて、10年前ぐらいに設立したということで、これについては全国団体の不祥事の後を受けて何とかしなければいけない。そういう思いでつくったということであります。
主な活動内容としては、ここに掲げていた6点ぐらいということで、会員はこのようになっています。
次の3ページ目の「意見等の概要」ですが、共生型福祉サービス加算の範囲拡大と、2点目に就労継続支援事業(B型)について、基本報酬体系における文化・芸術型の新設と、3点目に就労継続支援事業(A型)について、利用者の処遇改善を認める加算の新設についてということで、3点について意見を述べさせていただきます。
4ページ目の「Ⅰ:新規加算について」ということで、意見・提案を行う背景なり根拠なのですが、一応、WHO2014のファクトシートにおいて「精神保健の10の事実:1.世界の児童・青年のうち約20%が精神障害・問題を抱えている」と挙げられている中で、障害福祉サービス事業所が行う支援がより地域に開かれた環境で行われることによって、障害を持つ方々の生活のしづらさに関する理解を深めることによって、地域の人々にとっても、障害の有無にかかわらず共に生きることが、当たり前の社会を構築していくための加算の新設を希望しますということです。
具体的な内容といたしましては「共生型サービス加算」の対象。現在の老人とか障害福祉だけではなくて、対象を拡大してください。現行の「障害福祉サービス→介護事業」だけではなくて、日々行われる支援に職員・利用者以外の方の関わりについて一定の基準を設けて評価していただきたい。
具体的には、日中活動系・就労系・障害児通所サービスにおいて、事業所職員を除く定員と同数以上の健常者(児)と共にプログラムや仕事を行うことを評価していただきたい。当然、日々の関わりを評価すべきことなので、ある程度の割合の活動の結果に対して翌年度加算、例えば月に10回以上・15回以上等の一定の基準を設けて評価していただければと思っています。
この加算においては、参加事業者名簿やプログラム参加に関する契約書、雇用条件通知書などで行い、同一法人の他部門・他部署職員も含まれないこととしてください。
「Ⅱ:就労継続支援事業(B型)について」。現行ではやはり就労B型の理念そのものが非常に液状化しているという認識を私どもは持っています。1つは生活活動、暮らし、生きがいを支える、就労を中心としたB型。もう一つは地域活動支援センターが全国的に縮小する中でB型に流入している経緯がありまして、昔の作業所ですけれども、そこは生産活動を通じて生きがいを支えることよりも、社会的人間関係の構築とか、あるいは暮らしとか生きがいを支えるという、必ずしも生産活動とか工賃とか関係なく、その人の地域の生活を支える。
そういう機能を仮に具体的に、このページで言いますと、現行の工賃の額をベースにした基本報酬のほかに、文化・芸術型として、文化芸術活動のほか、e-sportsやスポーツ・カードゲームなども内包することによって、ひきこもり支援等にも寄与できると考えますし、工賃5,000円未満と1万円以上の間に基本報酬を設定していただいて、利用者が「工賃が安いB型」に通所しているのではなく「文化・芸術をやるB型」に通所しているという誇りを感じながら生活できるような、そういう仕組みとしていただきたいということです。
6ページ目の「Ⅲ:就労継続支援事業(A型)について」ですが、現状、就労継続支援事業(A型)は労働時間による基本報酬となっていますが、その雇用の形態に関しては問われない現状でありますが、また、賃金の向上に関して、最低賃金が年々3%程度上がる中、現状は評価しなくても賃金が上がっています。最低賃金の上昇にかかわらずA型事業所利用者の所得向上を目指す事業所についても評価していただけることを希望しますということです。
具体的には、現行の処遇改善加算を基にA型事業所利用者にも別途加算を新設していただきたいということであります。
最後の参考資料については、新保のほうから説明させていただきます。
○日本精神保健福祉事業連合 新保と申します。
参考資料(1)と参考資料(2)、7ページと8ページのほうに出させていただいたのですが、よくこういう報酬改定にあたってサービスごとの収支差がよく数字で出てくるところであると思っております。
ただ、こちらのほうに「社会福祉法人・公的法人の割合」というところで出ているのですけれども、就労支援A型や放課後等デイサービスについては、まず法人税を払う事業所が多いところをまず見ていただいて、その左側になりますが「借入金利息の割合」で、放課後等デイサービスが非常に大きいのが見えると思います。
例えば今回の報酬改定において、たしか放課後等デイサービスが10%ぐらいの収支差率があったと思うのですが、年間利息の年利のほうが1.6%と仮定すると、20年償還で考えると、その10%というものは法人税と借入金の償還でほとんどなくなってしまう数字になります。キャッシュフローベースではほとんど現金が残っていない状態というふうに読み取れることも御理解いただくために用意した資料でございます。
以上でございます。
○野村企画課長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、アドバイザーの皆様方から御意見・御質問がありますれば、お願いいたします。
いかがでございましょうか。特に御質問・御意見等はございませんでしょうか。
では、御意見・御質問ないということで、御説明どうもありがとうございました。一般社団法人日本精神保健福祉事業連合の皆様、どうもありがとうございました。
続きましては、認定特定非営利活動法人DPI日本会議より、今村登様、白井誠一朗様、よろしくお願いいたします。
○DPI日本会議 DPI日本会議の今村と白井です。今日は発言の機会を頂き、ありがとうございます。
それでは、早速、説明させていただこうと思いますが、お手元の資料で説明していきます。
最初に、私どもの考え方、姿勢をお伝えしておこうと思うのですけれども、日本は国連障害者権利条約を2014年に批准しました。総合支援法は、この批准を高いレベルで批准するために自立支援法の問題点を改正して総合支援法につくり替えた経緯もありますので、今後はこの権利条約を完全実施していく。そのために報酬改定等の機会も含めて必要な制度改正等をしていただきたいと思っております。
その観点で、今回お示しいただいた視点1から視点4に分けて項目をまとめさせていただきました。
すみません。まず、11ページの参考資料のほうから御説明したいのですが、ここには昨年の秋に国連の権利委員会から出されました事前質問事項の第19条のことを載せさせていただきました。といいますのは、本来では今年の8月に日本の審査が行われて、その後、日本への勧告というものが出てくる予定であったのですけれども、これはコロナの関係で来年度以降に延期になりましたが、昨年、権利委員会から、その審査に先立って、次のような質問が出されています。
19条に関するところで「1.以下についての情報を提供願いたい」ということで「(a)いまだ施設にいる障害者、施設から退所した障害者と彼らの現状について、とりわけ性別、年齢、居住地、支援提供の有無によって分類した数値」「(b)障害者の施設からの退所についての短期及び長期戦略及びリソースの配分」という、この情報提供をしてくださいというのが出ています。この点からすると、ここに書かれたようなことが今後の課題かなと思っています。
それで、具体的な提案のほう、5ページまで戻っていただきますけれども、視点1の対処方策のほうからお話ししていきます。
「【視点1】より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法」ですが、現場の問題として、支援量等の最終決定を行う市町村において、なかなか支給決定の在り方、それから、ガイドラインの作成を見ていても、とても権利条約の理念をちゃんと反映しているとか、総合支援法でいう社会的障壁の除去に資するということをあまり理解されていないなということが現場でよく起きます。全国でいろいろな声を聞きますが、その後、そういったことがずっと繰り返される背景として、やはり市町村の担当部署において権利条約や総合支援法の理念等をちゃんと理解されていないのではないのかなと思います。
まずは自治体への、そういった担当部署の研修を制度化できないだろうかというのがあります。そのために、厚労省や当事者団体と一緒になって、テキストをつくるなり、実際の研修は当事者が入ってということができないかなと思っております。また、ガイドライン等に社会的障壁が含まれていないか。そういったことをチェックする機関も必要かなと思っています。あと、介護保険の対象年齢になった人たちへの国庫負担基準並びに障害児、特に医療的ケアの必要のある障害児の国庫負担基準、児童については一律ということもあるので、非常にその辺のニーズに応えられていない問題があるので、この見直しが必要かなと思っています。
次に7ページ、視点2についてですけれども、こちらについては、基本的な報酬が全体期にやはり低いかなと思っていますので、基本報酬自体を上げることを考えていただきたい。とりわけ、訪問系サービスにおいては、処遇改善等の比率変更を行う場合については、基本報酬と合わせた形でも引き下がってしまうことがないようにお願いしたいと思います。それから、サービス区分が非常に複雑で細かくなっていますので、もっとシンプルにするべきだと思います。これは先ほどの国連の勧告が出るだろうということを踏まえると、地域移行について、まだまだ弱いかなと思っていますので、ここに書いてあるようないろいろな新しい仕組みや今の既存の制度のバージョンアップを図っていただきたいと思っています。
それから、通勤通学、就労就学については、特に通勤等については10月から新しい制度が始まりますが、なかなか内容的にはこれによってぐっと進むとはちょっと考えにくい内容で、もう少しばっちりといいますか、欲しいなと思いますので、やはり基本的に重度訪問等の見直しで使えるようにしていっていただきたいなと思っています。それから、グループホームの在り方ですけれども、ここでグループホーム入居者のホームヘルプ利用等を恒久化していただきたい。そこに併せてサテライト型も増やすという形で、実質グループホームなのですが、独居型が実現できて、なおかつホームヘルプも使えるというふうにしていくことが一つ大きな仕組みであると思っています。
視点3につきまして、9ページなのですけれども、限られた予算というのは確かにそうなのですが、まず介護等の福祉サービスという仕事が成長産業になるように変えていくべきではないかと思います。ここに従事している人たちが結婚し子育てをしても十分に生活できるぐらいの産業にしていくことは、介護は人間が生きている以上ずっと続くものなので、持続可能で成長産業としていくべきではないかと思っています。そのためには、在宅でというだけではなくて、特に社会参加を充実させた外出支援というものを膨らませていって、それをどんどん進めることが、それを通じて内需拡大につながるというようにしていけるといいかなと思っています。
また、インクルージョン、インクルーシブの社会という視点からすると、放課後等デイの在り方は一つ、障害児にインクルーシブではないということからして、そこの見直しが必要ではないか。それから、やはり地域移行を進める意味合いでは入所系、このデイサービス等にかかっている費用の配分を訪問系や地域移行の新設する制度等に振り分けていく。そういう配分が必要ではないかなと思っています。それで、重度訪問、行動援護等のシームレス化、もしくはもともと拡大のときに言われていた10点未満の行動障害の人たちのニーズに応えるような改革・改正も必要かと思います。
視点4につきまして、新型コロナ関係につきましては、特に介護従事者のPCR検査の優先的な検査をできるようにしていただきたいなと思っています。あとは強度行動障害がある方が感染した場合の対応は非常に、まだ具体的な事例は出ておりませんけれども、発生した場合について、いろいろな事業所で、私どももそうですが、悩ましいところでもありますので、そういった検討をするような場も欲しいなと思っています。
以上です。
○野村企画課長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、アドバイザーの皆様方から御意見・御質問などがございますれば、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
御意見・御質問おありのアドバイザーの方がいらっしゃれば、挙手にてお知らせいただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、すみません。認定特定非営利活動法人DPI日本会議の皆様方、御説明いただきまして、どうもありがとうございました。
続きまして、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク様。こちらにつきましては資料提出のみということになっておりますので、僭越ではございますけれども、事務局のほうで代読をさせていただきたいと思います。
○猪狩障害福祉課長補佐 それでは、事務局より代読させていただきたいと思います。資料は詳細版が4ページ、5ページ、6ページとありますので、そちらのほうを代読させていただきたいと思います。
まず、4ページです。「1.相談支援事業に対する支援の課題及び対処方策について」。
「(1)『計画相談支援』について」。
前回の報酬改定では、計画相談の報酬が実質的に下がったことで多くの相談支援事業所は厳しい経営状況になっている。地域で生活する障害者に対する相談支援の業務は、生活場面で直接対応する業務である。この業務は、障害者の病状や体調変化や日常的な不安に対する即時の対応など、入所施設や通所施設での当事者の関わりとは異なる急な対応を迫られる場合も少なくない。とりわけ、精神障害者に対しては、病状把握やその対応、医療機関との連携など専門性が求められる場面も多い。こうした業務を担う相談支援専門員を安定的に確保するためには報酬上の評価が必要であり、計画相談の業務に処遇改善加算を加えるとともに、専門職として相談支援業務に携わる相談支援専門員に対して、業務に見合った評価が十分に反映されるよう業務報酬の充実を図っていただきたい。
地域で展開される相談支援は、当事者の状況に応じて様々な対応が求められ、関係機関との連携や家族との調整など、福祉サービスにつなげるまでの業務が地域生活支援の要とも言える。しかしながら、関わるケースによっては、開始間際に死亡や入院などにより支援が中断するようなことが起こり得る。現行制度では、その場合の報酬は評価されていないことから、支援プロセスの途中であっても、支援の内容に見合った報酬の在り方について検討いただきたい。
「2.就労支援(移行、継続B)の課題及び対処方策について」。
「(1)就労移行支援事業について」。
1つ目の○です。毎年の「就職後6か月以上定着した者」の割合に応じて、次年度の報酬単価が設定される現在の仕組みは、年度ごとのばらつきが大きく経営的には事業運営が難しく継続が困難になる事業所も出てくる。特に本年度は「新型コロナウイルス感染症」の影響により一般就労を支援する就職者が激減することが予想され、次年度の事業運営に大きな影響が出てくるものと思われるため、特別な措置を講じていただきたい。
2つ目の○です。精神障害者が「トライアル雇用助成金制度」を活用して一般企業へ就職しようとした場合、試行雇用の期間が原則6か月となっている。この期間を就労移行支援事業所の在籍者として定着支援を受けた場合、次年度の単価設定の算定基礎となる期間が、この施行期間後の6か月間となり実質1年間になる。一方、試行雇用期間を就労移行支援事業所の在籍期間としない場合は、就労移行支援事業所はこの6か月間の定着支援活動を算定外で行うことになる。「就職後6か月」の条件にトライアル雇用の6か月を含めるか、期間の短縮を行うなどの制度の見直しをお願いしたい。
就労定着支援の移行準備支援体制加算の支援期間は1か月となっているが、就職直後は集中的な支援を行うことが多いため、1か月間の支援期間では短くて効果が十分でないことが実践をしていく中で分かってきた。また、延長後の3年目は見守り程度で済むことから、支援量に合わせた報酬の調整も可能と思われる。
現在、複数の地方都市において、障害者を一般企業に紹介してその企業に雇用させ、紹介会社が所有する水耕栽培等のハウスを企業にレンタルしてもらい、そこで一般就労者として就業させる障害者雇用に係る外注ビジネスが拡大している動きが見られる。
5ページへ行っていただきまして、この仕組みを利用することにより、企業にとっては自社に障害者を迎えず法定雇用率が達成でき、当事者にとっては軽作業で最低賃金が保障され、地方自治体にとっては社会保障費の削減につながり、仲介業者は農園設備の賃料やサポート料、人材紹介料で利益を得るなど、関係者にとっては歓迎する向きもあるが、一方では、企業が法定雇用率を達成するための囲い込みではないか、本来の障害者雇用のあるべき姿なのかといった批判もある。「全ての国民が障害の有無に関わらず、個人として尊重され、障害の有無により分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生社会を実現する」とした障害者雇用促進法の理念を念頭に置きながら、こうした雇用の在り方について検証していただきたい。
続きまして「(2)就労継続支援B型事業について」。
精神保健福祉事業団体連絡会による別紙「参考資料1:(1)精神障がい者支援事業所の利用状況に係る緊急調査」から、就労継続支援B型事業所によるそれぞれの平均は、定員21名、登録利用者数29.4名、登録者平均利用率59.6%、定員平均利用率が80.5%となっているが、精神障害者の障害特性や通院等の理由から実質的な平均利用率は6割にとどまっている。新体系事業によって三障害一元化とはなったが、障害による格差が運営面からも顕在化しており、現在の欠席時対応加算月4日は8割程度の利用率を基準にしたものと思われることから、利用率6割を基準とした月8日に見直していただきたい。
同資料1の「(2)精神障がい者支援事業所の利用状況に係る緊急調査(就労継続支援B型事業)」では、定員の規模は20名が最も多く半数以上を占めるが、平均の登録者は定員の1.4倍と、他の障害と比べて実際に支援している利用者が多い実情がある。特に重度の利用者については生活支援を含めて月22日を超えて支援する場合もあることから、現行の日中活動支援の月マイナス8日の原則の見直しをお願いしたい。
前回の報酬改定後の就労継続支援B型事業所については、平均工賃の高低によって報酬の基準が定められたが、主として精神障害者が利用する事業所においては、参考資料2から分かるように、利用者ニーズは必ずしも高い工賃のみを求めて利用していない。B型事業所においても高い工賃を目指すことに異論はないが、それ以外にも利用者が求めているのは生活支援の質であることが明らかになっている。B型事業の利用者は決して工賃の高低のみで利用するわけではなく、必ずしも工賃の差が利用者の満足度につながっていないことから、B型事業の報酬の考え方については、工賃実績のみではない基準を設けるなど、制度の充実を図っていただきたい。
続いて「3.日中活動(生活訓練等)の課題及び対処方策について」。
「(1)自立訓練(生活訓練)について」。
生活訓練の基本設計が通所による集団支援となっており、通所型を設置しなければ訪問型が実施できないことになっている。また、訪問による個別支援の報酬単価は著しく低額となっている。今後については訪問型のみの事業も認めるようにしていただきたい。精神障害者の地域生活を維持するための支援は、認知機能の障害という特性を考えると、生活の場を活用した個別支援が効果的であり、このことはリハビリテーション実践においても実証されていることから、訪問による生活訓練の報酬単価を通所と同様の額にしていただきたい。
続けて、6ページ目でございます。「4.共同生活援助事業等の住まいの場に対する支援の課題及び対処方策について」。
「(1)宿泊型自立訓練事業について」。
宿泊型生活訓練の利用希望者については事前の体験利用を希望する人が多いが、現行の仕組みではそれができないため、算定外であっても実際には受け入れざるを得ない。一方では、市町村が「地域生活支援拠点事業」の整備を進めている中で、宿泊型生活訓練は「体験の場」としての社会資源の役割も期待されている。また、現在検討が進められている「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を推進する上で、地域内の有効な社会資源とするためにも同様の役割が求められることからも、宿泊型生活訓練の体験利用が生かせるよう報酬を設定し、諸事業の有効な活用を進めていただきたい。
精神障害者を地域で支援するには医療と福祉が両輪のごとく機能して支える必要があるが、制度としてはそれぞれが独自のものであるため、利用期間が重複する場合にはそれぞれを切り離してサービスが受けられるように整理する必要がある。具体的には、宿泊型生活訓練を利用中に病状が悪化して医療機関に入院となった場合、その期間も契約した訓練期間に算入されてしまうことにより、退院後に生活訓練を再開した際に利用期間が短くなることが生じる。本来、治療とリハビリテーションは分けて考えられるべきとの観点から、治療で入院した期間は福祉サービスの利用期間から除外していただきたい。
「(2)共同生活援助事業について」。
グループホームに火災報知器が義務づけられたことにより、アパートの一部借り上げ型のグループホームの設置が困難となった事例がある。一軒家タイプで共用スペースの多いグループホームでの居住が苦手な人が多い精神障害者にとっては、一部借り上げ型のアパートをグループホームとして活用することがニーズに合ったものとなるが、一般の人が入居している居室まで火災報知器を設置する必要があるため、負担軽減策として費用の助成を検討していただきたい。
資料のほうは以上でございます。
○野村企画課長 全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク様の御意見は以上のとおりでございますけれども、今の点につきまして、アドバイザーの皆様方から何か御意見があれば、よろしくお願いいたします。
特によろしゅうございますか。
それでは、ここまでとしたいと思います。
本日予定しておりました議事は以上をもちまして終了となります。
次回の検討チームでございますけれども、8月7日(金)14時から、本日と同様にオンライン会議にて開催したいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、長時間にわたりまして御参加いただきまして誠にありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。