令和2年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室/環境改善室

日時

令和2年7月28日(木)13:28~15:07

場所

経済産業省 別館 301会議室

議題

  • PCB塗膜除去作業等でのばく露実態調査について
  • 健康障害防止措置の検討について
  • 塩化アリル
  • アセトニトリル
  • その他

議事

議事内容
○神田有害性調査機関査察官 それでは、定刻より少し早くはありますが、皆様おそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。これより令和2年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまでの間司会を務めさせていただきます、有害性調査機関査察官の神田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議は大変狭い場所になってしまいまして、大変申し訳ございませんでした。新型コロナウィルス感染症の状況に鑑みて、今回は一般傍聴は設けずに、またマスク着用での開催とさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。
まず委員の出席状況について御報告申し上げます。
本日は上野委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、本日は環境省から環境再生・資源循環局廃棄物規制課PCB廃棄物処理推進室、廃棄物適正処理推進課併任の主査、松岡様においでいただいております。
また、中央労働災害防止協会労働衛生調査分析サービスセンターから、副所長の山室堅治様、化学物質分析課技術専門役、東久保様、化学物質調査分析課長補佐の島田真美様に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
さて、4月に事務局側に異動がございましたので、御紹介いたします。
まず、4月1日付で化学物質対策課長に木口が着任しておりますので、一言御挨拶申し上げます。
○木口化学物質対策課長 先生方、本日は大変お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
この4月1日付で化学物質対策課長に着任いたしました木口と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
化学物質をめぐる健康障害の問題に関しましては、いろいろと規制などしているのですけれども、新たなタイプの健康障害などが発生したり、あるいは管理濃度を初めとした規制値が新しい知見に伴って引き下げられたりということで、そういう状況に応じて化学物質の対策を強化してまいったところでございますけれども、その政策決定をするに際しましてこの措置検討会における議論をよりどころにしているわけでございまして、本当に先生方にはお忙しいところを大変お力添えいただいておりまして、感謝申し上げます。
本日はPCBの問題と健康障害防止措置の検討ということで2物質の御議論をいただくことになっております。暑い中ではございますけれども、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
○神田有害性調査機関査察官 また、環境改善室長補佐の綿貫でございます。
○綿貫環境改善室長補佐 綿貫と申します。よろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 また、改めまして、私、有害性調査機関査察官の神田でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、以降の進行を座長の小野先生にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○小野座長 本年度もよろしくお願いいたします。労働安全衛生総合研究所の小野と申します。では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取組を推進しておりますので、本日の検討会につきましてもペーパーレスで実施させていただきます。
お手元にはタブレットを配付させていただいております。タブレットのボタンを押していただきまして、ファイルブラウザというアイコンを押していただきますと、マイプライベートファイルというものが出てくるかと思います。そちらに本日の資料一式を格納してございます。00といたしまして一番上に議事次第プラス資料一覧、参考資料として1から6までの6つ、また本日の資料といたしまして資料1から資料8まで御用意させていただいております。確認できない方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫でございましょうか。―よろしいでしょうか。
では、資料の確認は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入ります。
議題1「PCB塗膜除去作業等でのばく露実態調査について」になります。
まず、資料1につきまして、環境省から御説明をお願いいたします。
○松岡主査 環境省廃棄物対策課の松岡と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私からは、PCB塗膜を含むPCB廃棄物の処理がどのように行われているかということについて御説明させていただければと思います。
御説明する内容は、まずPCB廃棄物の処理についてどういう制度的な枠組みでやっているかというのが1点目。2点目が、塗膜は低濃度PCB廃棄物というものに分類されまして、その処理をどのように行っているか。3点目としまして、私ども環境省でPCB含有塗膜の原料の調査を行っておりますので、その結果について御説明させていただければと思います。
まず、3枚目から、PCB廃棄物処理の全体像について御説明させていただきます。
私から御説明さし上げるのもおこがましいのですけれども、昭和43年にカネミ油症事件が発生して、それを受けて47年に通産省からの通達でPCB使用製品について製造中止や回収の指示が出ております。それから2年後ぐらいに化審法が制定されまして、正式にPCBが使われた製品は製造とか輸入が今はされていないという状況になっています。
しかしながら、その後もPCBを使った製品はに巷にありまして、その処理のために、この紫の枠組みのところですけれども、30年間民間主導で廃棄物処理施設の設置が試みられましたけれども、うまくいかずに、その間もPCBが使われている高圧変圧器やコンデンサーといったものが環境中に流出してしまったという経緯がございます。
そうしたことを受けまして、平成13年にPCB特措法が制定されました。この法律ですけれども、下の赤枠囲みの変圧器・コンデンサーと言われるものや安定器・汚染物等と言われる、こういった高濃度PCB廃棄物と呼ばれるものとか、今回議題になっているPCBに汚染された塗膜の処理について、それぞれ処分期間を定めて処理を期していくという構成になっています。
右側の日本地図にその全体像をお示ししていまして、吹き出しで何年までに処理するというのがそれぞれ書かれております。今回議題になるPCB含有塗膜については、一番下の水色のPCB廃棄物の処分期間が令和9年3月31日までと書いておりますけれども、これが処分期間になっておりまして、ここに向けて国内で処理を進めていく必要があるというのが現状でございます。
こうしたPCBの処理については、先ほど申し上げましたとおり、PCB特措法というものが制定されています。ここに御紹介しているのは高濃度PCB廃棄物についてのものなのですけれども、主な規制内容は、たびたび申し上げておりますように、期間内に処分をしましょうという話とか、保管している方は届けをしてくださいと。あと、譲り渡しとか譲り受けのときは、特段の事情がない限りはそれが制限されるという枠組みになっております。
次のスライドですけれども、今回議題になっているPCB含有塗膜については特にどのように規制がかかるかということを御説明しているのが4ページ目のスライドになります。
先ほど申し上げましたとおり、処分期限は平成39年3月末までということになっております。それを達成するための方法として届出をお願いしていたり、必要な場合は行政から命令を打って処理をすることをお願いできるような体制にしております。
先ほどから高濃度と低濃度と申し上げておりますけれども、そのそれぞれについてどのように処理をしているかというのが次の5枚目のスライドになります。
まず高濃度PCB廃棄物と呼ばれるものですけれども、変圧器やコンデンサーや安定器と呼ばれるものでして、そういったものはJESCOという日本に5か所ある処理施設において処理が進められています。
他方で、今回議題になっているPCB含有塗膜は低濃度PCB廃棄物ですけれども、それらについては、可燃性PCB廃棄物で濃度が10%以下のものということで低濃度PCB廃棄物に分類されているのですけれども、具体的な処理方法としては、環境大臣が無害化処理認定施設というものを大臣認定で認定することになっておりまして、そういった施設で無害化処理をしていただくとか、都道府県が廃棄物処理法という法律に基づいて廃棄物処理施設の設置の許可を行っておりますので、そういった許可を受けた施設で処理をしていただくという体制を組んでおります。右のほうにどういったものが処理されているかという写真がございまして、今回議題の塗膜とか、銀行さんとかで使われていた感圧複写紙が可燃性PCB廃棄物の範疇に入ります。
次のスライドは補足になるのですけれども、もともとPCB含有塗膜は高濃度PCB廃棄物という概念として整理されていたのですけれども、塗膜の処理の需要が近年非常に拡大してきたこともありまして、私どものほうで昨年実証試験を行いました。その結果、1,100℃以上で焼却処理することによって環境上有害な物質を出さずに処理できるということが知見として得られましたので、今年の冒頭に低濃度と高濃度の基準の改正を行っております。これによりまして、本年度から環境大臣が認定した無害化処理施設でPCB含有塗膜の処理が随時進められていくという体制を構築したところです。
次のスライドですけれども、ここからはその無害化処理認定による廃棄物処理をどのような体制で行っているかということを御説明させていただきます。
次のスライド、9枚目ですけれども、現状、無害化処理認定施設は33の事業者さんに認定しております。大きく焼却方式と洗浄方式がございまして、PCB塗膜は可燃性PCB廃棄物になりますので、焼却方式によって処理していくこととなっております。
それとは別に、都道府県が許可を出されることによって処理を行うことができる事業者さんも3事業者さんいらっしゃるというのが全体の規模感でございます。
次のスライド、10枚目に、そういった事業者さんが国内にどのように配置されているかという説明があるのですけれども、PCB含有塗膜は、各吹き出しの中の汚染物というカテゴリーになります。ですので、ここで汚染物と書かれている業者さんによってPCB廃棄物の処理がされていくということになります。
1枚めくっていただきまして、こちらは参考なのですけれども、PCB塗膜以外にも無害化認定施設で処理しているものがございまして、そちらについても同様に日本各地の事業者さんによって処理されているという説明でございます。
12枚目からは、PCB含有塗膜の調査を環境省において行っておりますので、その状況について御説明させていただければと思います。
めくっていただいて、背景になりますけれども、PCBは一部塗料の可塑剤として添加されていたことが知られております。特に海岸沿いとかの腐食環境下において使用されている事例が多いようでして、そういったものが当時塗装された道路橋とかから現状検出されています。
冒頭に申し上げましたとおり、PCB廃棄物はPCB特措法という法律に基づいて令和9年までの処分が義務付けられておりますので、国内において現状どの程度PCB含有塗膜が存在するかということを環境省において調査いたしました。
次のスライドをめくっていただいて、その調査対象施設になります。
ここに写真のあるような施設が現状の実績からPCB含有塗膜が使われていることが判明していたり、当時の塗装の仕様書上PCB含有塗膜が使われている可能性があるとされたものがここに挙げられておりまして、これらを調査対象として調査が行われました。
めくっていただきますと、15枚目ですけれども、どのように調査を行ったかの概要でございます。
本当は今年度の6月末時点の結果を取りまとめる予定だったのですけれども、コロナウィルスの関係等ございましてまだそちらの情報が取りまとまっておりませんので、古い情報で恐縮ですけれども、平成31年3月末時点の状況を本日は御紹介させていただきます。
各自治体さんとか国の省庁とか民間事業さんに情報をいただいたのがこの丸1~丸3に掲げている事項ですが、そもそも調査対象施設がどのぐらいあるのか。具体的には前のスライドで御説明したような各橋梁等の施設のうち、昭和41年~昭和49年に建設・塗装されたものを対象にしておりますので、その数がどのぐらいあるかということが1点目。
2点目としまして、そういった施設の中でも、当時の仕様書を見るとPCBが使われていないことが明確化できるものがございますので、そういったものを除いた後、まだPCBが含まれる可能性があるものとしてサンプル調査を行う必要があるものの数量を御報告いただいています。
それと別途、事業者さんが既に塗膜を除去されて、バックヤードで塗膜を保管されていらっしゃるような事例もございますので、その数が幾らあるかというのを3点目として確認いたしました。
次のスライドですけれども、結果として調査対象施設がどのぐらいの規模感なのかということの説明がこちらです。
各省庁とか地公体とか民間事業者さんを全て合わせまして、512の機関・事業者において2万5,200の調査対象施設が存在し、その中で最もパーセンテージが高かったのは地方自治体さんで、63%という結果でした。
施設の種類別に見てみますと、全体の79%が橋梁で、そのほかの施設が続くという状況でした。
次のスライドですけれども、そういった対象施設の中でも、先ほど申し上げましたとおり、実際にサンプリングを行うべき施設は限られてきます。そういった施設が幾つあったかというのがここに書いてあるお話でして、全体で8,510ございまして、全体に占める割合は34%という結果でした。
めくっていただきますと、先ほどの結果は、関係省庁とか地公体とか民間事業者別のものでしたけれども、こちらは各施設ごとにどのような内訳だったかを説明したものになります。
さらにめくっていただきまして、先ほど3点目として、既に廃棄物になった塗膜を保管している事例がどのぐらいあるかということも確認したと申し上げましたけれども、その結果でございます。207施設で966tを保管しているという結果でした。ですので、これらについて、今から先ほどの無害化処理施設において処理していくということになります。
今申し上げた話の施設ごとのものが次のスライドになります。
最後に御参考としておつけしているのが、ここまで申し上げたPCB含有塗膜の処理までの工程でどのようなことをしているのかというのをイメージ図でおつけしております。
橋梁等に塗布されている塗膜は、まず一番左の塗膜除去工事で剥がされていきます。その剥がされてきたものを各事業者さんのバックヤードとか、倉庫を借りられている方もいますけれども、そういったところで大体このような金属製のドラム缶にビニール袋に詰めた上で保管されているという状況がございます。
いざこれを処理するとなるとどうするかと申しますと、無害化処理施設は焼却処理をしている関係上、大体プラスチック製の容器に移し替えるということがされておりまして、一番右のように、ビニール袋に入ったものをプラスチック製の容器に移し替えています。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○小野座長 ありがとうございました。
今御説明いただきました資料1につきまして御質問がおありでしたら、お願いいたします。
○松村委員 最後のスライドにある除去工事ですけれども、これは塗膜を機械的に剥離しているのでしょうか、あるいはさらに溶剤のようなものを使って剥離しているのでしょうか。
○松岡主査 この写真がどちらに該当するかというのは存じ上げていないのですけれども、おっしゃるとおり、剥離の方法としては2種類ございまして、機械的に削り取ってしまう方法と溶剤で処理する方法がございます。どちらでやるにしろ、真ん中のドラム缶に詰めていただいて、そして処理をするという流れで処理を行っています。
○松村委員 このときに作業者がつけているマスクですけれども、これは粉じん用なのか、蒸気用なのか、どちらでしょう。
○松岡主査 私のところでは詳しいことは存じ上げておりません。申し訳ございません。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
この後もPCBの件が続きますので、そちらでもう少し詳しいお話があるかもしれません。
ほかにはよろしいでしょうか。―ありがとうございます。
では、環境省さん、ありがとうございました。
続きまして、資料2と3について、事務局から御説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、私から、まず資料2を御説明させていただきます。
まず概要につきましては、先ほど環境省さんから御説明があったとおりですので、省略いたしますが、PCB含有塗膜の除去作業と10万mg/kg以下のPCB廃棄物を扱う処分場の労働者のばく露状況と健康影響について関係文献をレビューしたということでございます。
2番にございますのはPCB含有塗膜等のPCB濃度ということでございまして、1960年代に製造及び使用された塗料にはPCBが可塑剤として積極的に使用されていたということが分かっておりまして、塗膜というのは、複数の塗料を重ねて塗りますので、下地、塗装(表面)に分類されておりまして、さび止めにも使われていたということでございます。
また、塗膜の剥ぎ取りには剥離剤を使用するものがございまして、剥離剤には塩素系の溶剤のジクロロメタンなど、あるいは有機酸を使うものもあるということで、剥離した塗膜片も固体からゲル状まで様々でございます。
(2)でございますが、これは岩田らが2019年に調べたもので、橋梁塗膜中のPCB濃度につきましては、数万mg/kg、数%から0.01 mg/kgまで、非常に広範囲の濃度が測定されておりまして、5,000 mg/kg、0.5%を超えるものは全体の18%であったという報告がございます。特にその中で1966年~1974年に建設された橋梁については5,000 mg/kigを超えるものは27%と非常に高いということで、図2に描いてございますけれども、年代別に濃度が異なっているということでございます。
(3)は先ほど御説明いただきました環境省の調査でございまして、PCB濃度が把握されているのは719施設、8%でございますけれども、そのうちの6.8%が5,000mg/kgを超えていたということでございます。
それから、海外の文献ですけれども、国連環境計画のガイドラインなどには、塗膜以外にもコーキング(シーリング)剤、塗膜・ブラスター剤、床材・壁等被覆剤、耐腐食被覆材、接着剤、ケーブル被覆材等があると書いてございます。
3番でございますが、PCBの有害性及びばく露限度でございます。
御案内のとおり、ACGIHは、2001年のものですけれども、塩素化の度合いに応じて1.0 mg/m3と0.05 mg/m3を勧告しております。発がん性につきましてはA3ということでございます。
それから、日本産業衛生学会につきましては、総PCBに対する許容濃度として0.01 mg/m3を勧告しております。こちらは血中総PCB濃度の生物学的許容値を25µg/Lと決めまして、そこから血漿中PCB濃度を35µg/L、脂肪組織中総PCB濃度を5.3µg/gということで算出しておりまして、それをモデルで濃度に変えておりまして、それぞれ塩素化別ですけれども、0.012 mg/m3と0.004 mg/m3ということで、ここから総PCBの許容濃度0.01 mg/m3を導き出しているということでございます。
こちらの値につきましては、発がん性は考慮していないということでございまして、幾つかの調査では有意な過剰死亡が見られている調査がございますが、見られないという調査もございますので、こちらにつきましては考慮していないということでございます。
それから、(4)でございますが、生物学的許容値25µg/Lにつきましては、臨床所見と生化学検査の結果を用いて決めたということでございまして、(5)に書いてある臨床所見につきましては50µg/Lを超えると皮膚所見の有症率が高くなるということ、それから、(6)にございますが、生化学的検査につきましても50µg/Lを超えると血清トリグリセライドの異常率が上昇するということでございまして、こちらから、50µg/Lを半分にして25µg/Lを作られたということでございます。
それから、PCB塗膜除去作業でのばく露濃度につきましては土木研究所の剥離剤ガイドラインというのがございまして、その中に記載されているのが、まずブラスト法というか、ディスクサンダー、ワイヤホイル等の動力工具を使用するものと、剥離剤を使用する方法とこれらを併用する場合もあるということでございます。
それから、剥離剤につきましては、分類の仕方はいろいろございますけれども、一般的には溶剤系と水溶液系に分けられて、水溶液系にはアルカリ系、酸系、高級アルコール系がある。それから、溶剤系についてはジクロロメタンが含まれているということでございますが、こちらにつきましては特化物第2類を含んでいるということで、土木工事における使用頻度は非常に少ないと聞いております。
次のページの(2)でございますけれども、西崎らが2013年に調査したばく露の結果でございます。
まず剥離剤工法、ブラスト工法、動力工法について、同じ条件下で総粉じん濃度を測定しております。その結果、図-5に出ておりますようにブラストが非常に高いわけでございますが、それを除くと、高級アルコール系が0.0268 mg/m3、縦回転式工具が13.1 mg/m3、カップワイヤーが28 mg/m3、ディスクサンダーが100 mg/m3、オープンブラストが638~870 mg/m3といった形でございます。こちらは粉じん量でございますが、西崎らは鉛の濃度も分析しておりまして、こちらにつきましても、ブラストを除くと基本的には総粉じん量とおおむね相関しているということでございます。オープンブラストの鉛濃度が総粉じん量に比べて低いのは粉じんにブラスト剤が含まれていると考えられますので、粉じん中のPCB濃度についても同じ傾向を示すのではないかと推定されます。ただ、剥離剤を使用した場合はガス状のPCBが出る可能性もございますので、その辺の違いはあるかもしれません。
それから、UNEPのガイドラインも調べたのですけれども、実際にどれぐらいの濃度が海外で出ているのかという文献は現時点では見つけておりません。
次のページの5番でございますけれども、PCB廃棄物処理作業におけるPCBばく露ということでございまして、こちらは環境省で実測された結果でございます。こちらは、塗膜くずの処理のときはいずれも基準値を下回った。それから、郵貯銀行廃棄感圧紙の場合につきましては、PCB、ダイオキシン類、いずれも基準値を超えております。それから、PCB含有シーリング材の詰め替え作業におきましても基準値を上回った。あと、PCB含有製紙汚泥につきましては基準値を下回ったということでございまして、作業環境測定の状況等にもよりますけれども、高濃度のものを扱うときには作業環境もかなり厳しい状況にあるということでございます。
6番の考察でございますけれども、産衛学会にもございますように、許容濃度は、我々の管理濃度も同じですけれども、全てPCB油を使用した製造業の労働者に発生した健康障害を前提にしておりますし、動物実験の報告もPCBのエアロゾルを使っておりますので、代謝としてはエアロゾルでは肺・消化器から吸収されて、消化器については胆汁によって分解されて吸収されるということになりますが、塗膜につきましては乾燥した塗料の個体に閉じ込められた状態でございますので、エアロゾルとは吸収の度合いが違うだろうということは見込まれます。ただ、これにつきましては文献がございませんので、個人ばく露濃度測定を実施するとともに、血中のPCB濃度についてばく露実態調査で調査したいと考えてございます。
7番の考察でございますが、これは剥離作業中のPCBばく露濃度ということで、PCB濃度が5%を超える塗膜を有する施設がそれなりの数ございます。さらに、先ほど申し上げましたが、それを剥離する作業の方法によって作業時のPCBばく露濃度は大きく異なる可能性がございますので、工法別、具体的には乾式工法、ショットブラストあるいはサンダーを使うような工法と、湿式工法、剥離剤工法、それぞれにつきまして、個人ばく露測定と血中濃度測定が必要になると考えてございます。
8つ目、廃棄物処理作業の対策につきましては、従来、PCB対策要綱というのがございまして、こちらは作業の種類別に管理レベルを設定してございまして、それぞれの保護レベルをそちらで決定してございます。ただ、今回取り扱うPCB廃棄物の濃度が引き上げられたということがございますので、現状のレベル分けが妥当であるかどうかの検証も必要でございますので、廃棄物処理施設内のPCBの空気中濃度―これは大気環境測定ですね―と個人ばく露測定を行って、必要に応じて血中PCBを測った上でこの検討を行いたいと考えてございます。
続きまして、資料3でございますけれども、こちらは具体的に実施しようと考えているばく露実態調査の内容でございます。今日はどちらかというとこちらに御意見をいただければと考えてございます。
1番の目的は省略いたしまして、2番の調査対象でございますが、PCB含有塗膜の除去作業につきましては、湿式と乾式それぞれ2~3事業場を選定して測定を行いたい。
それから、PCB含有廃棄物、これは10万 mg/kg以下の処分作業につきましては、無害化処理認定制度の処分場で既に5,000 mg/kgを超えているものを処理しているのが4事業場ございまして、こちらにつきましては御紹介いただいておりますので既に選定しているところでございます。
調査の内容でございますが、調査実施につきましては中災防の労働衛生調査分析センターに委託して行う予定でございます。
(2)でございますが、作業内容と換気装置等の概要調査ということで、作業の概要、それから作業環境、養生して囲っている場合もございますので、そういった有無、全体換気装置、局所排気装置等の使用状況、それから呼吸用保護具の使用状況ですね。先ほど御質問もございましたけれども、どういった種類のマスクを使っているのかというのを調べる、あるいはフィットテストをちゃんとしているのかというのも調べるということでございます。
それから、PCB濃度の測定(塗膜除去作業)につきましては個人ばく露測定で測定するということでございまして、試料採取方法としては個人につけたサンプラーを使うわけですけれども、固体捕集法でやる予定でございます。必要に応じてろ過捕集法も併用する予定でございます。サンプル数及び測定時間につきましては、通常のばく露実態調査の個人ばく露測定と同様の方法で行う。
分析方法につきましては、ガスクロマトグラフを使うということでございます。
次のページでございますが、総PCB濃度に加えてダイオキシン類の濃度についても測定するということでございます。こちらは管理濃度ではございませんけれども、対策要綱で決められた基準値がございますので、そちらと比較して評価するということを考えてございます。こちらにつきましてはハイボリュームサンプラーによって行う。
それから、分析につきましては、分析可能な機関に委託する予定でございます。
それから、特化則が適用になるかどうかはPCBの重量パーセントで決まりますので、こちらにつきましても情報収集するということでございます。情報がない場合は測定するということでございます。
それから、PCB濃度の測定(廃棄物処分作業)につきましては、作業環境測定の方式でやるということになりますので、試料採取方法としては、液体捕集法または固体捕集法。多分固体捕集法しか使わないと思いますけれども、粉じんにつきましては必要があればろ過捕集法を併用することも可能でございます。
分析方法につきましては、ガスクロマトグラフ分析法でございますので、通常の第1評価値、第2評価値を求めるということでございます。それからダイオキシン類の測定も行うということでございます。
あと、1単位事業場当たり1~2人程度個人ばく露測定をいたしまして、その方に血中PCB濃度測定も行う予定でございます。
それから、PCBの重量パーセントについても入手するか測定するということでございます。
それから、血中PCB濃度の測定につきましては、できるだけ勤務歴が長い方を対象にいたしまして、個人ばく露測定を受けた方からサンプルを採るということでございまして、当然、倫理委員会の審査を経て同意書を取った上で血液試料の採取を行うということでございます。
こちらにつきましても、総PCBとダイオキシン類の濃度の測定を行う予定でございます。
スケジュールにつきましては、既に始まっているところでございますが、8月上旬~10月下旬、遅くとも11月下旬ぐらいまでに試料の採取は行いたいということでございまして、その後、試料の分析及び評価を行っていただいて、12月初旬~中旬ぐらいには測定データを厚生労働省に提出していただきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
では、ただいま御説明いただきました2つの資料、資料2と3につきまして、特に3のほうとおっしゃっていましたけれども、ばく露実態調査について御質問、御意見をお願いいたします。
○保利委員 試料採取方法で、固体捕集法またはろ過捕集法ということですけれども、基本的にはガスとして出ることが多いと考えられるのですか。
○安井環境改善室長 まず廃棄物処分場の場合は固体の形になっておりますので、基本的には粉じんで出てくると考えております。
あと、塗膜を剥がす作業についても、いわゆる乾式については全部粉だと思います。
湿式についても基本的にそれほど気中濃度は出ないのではないかと思いますけれども、そちらにつきましては両方評価できるような形にしています。
○保利委員 ろ過捕集がメインではなくて、固体捕集がメインであると。
○安井環境改善室長 そうですね。あくまでグラスファイバーによる固体捕集をメインにする予定にしております。
○保利委員 分かりました。
○小野座長 今、グラスファイバーフィルターとおっしゃったのですが、それはろ過捕集ですよね。粉じんを取るということですね。粉じんからは生体への影響は少ないだろうという先ほどのレビューでは、塗膜の中に閉じ込められている形なのでそんなに生体へのアクセシビリティは高くないだろうという理解になるかと思うのですけれども、塗膜を剥がす作業のときはそれなりに熱がかかりますので、PCBのガス体が出てこないとは限らないので、当然測定法としては固体捕集になります。作業環境測定のPCBの測定は気体状のPCBを測定する、場合によってはミストがあるかもしれないけれども、という考え方の設計になっていると思います。今回は粉じんの中に含まれているPCBとガスになっているPCBを一応分けてサンプリングするという文章に見えますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○安井環境改善室長 完全にできるかどうか。ちょっと御説明を。
○中央労働災害防止協会/山室氏 定量下限の関係がありまして、個人ばく露測定と作業環境測定はフィルターとフロリジル管を一緒に分析しないと難しいのですが、1箇所でダイオキシン類をハイボリュームエアサンプラーで測ることを予定していまして、そこでPCBとダイオキシン類の比率を求めようということで併行測定を行う予定です。そこでは長時間のサンプリングをしますので、そこのサンプルについては粒子状物質と気体の物質とを分けて分析することが可能と考えています。
○小野座長 サンプリングの時間の関係もありますし、吸引流量の関係もあるでしょうから、基本的にはガス状の物質を測定すると。
○中央労働災害防止協会/山室氏 作業環境測定のガイドブックやNIOSHのメソッドを見ても、フィルターと捕集管フロリジル管の1層目とは一緒に分析しなさいと書いてあるので、その方法で行うことを考えています。
○小野座長 それは多分今考えている粉じんとは違う状況なので、捕集法が違っても同じ抽出法でほぼ同じように測定できるだろうという想定で、全部混ぜて、PCBがどのぐらいあるかをまとめて測定するという理解でよろしいですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○小野座長 あと、ガスクロの件ですけれども、作業環境測定はGC-ECDを使うことになっておりますが、今はほとんどMSで測定されていますし、環境省さんはHR、ハイレゾのMSを使うということで、かなり分析法が乖離する状態になるのですけれども、作業環境測定の方法を踏襲すると理解してよろしいですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 分析については、特に塗膜の分析ですと、ECDだとMSの方法とかなり乖離した結果が出てくるという情報がありましたので、気中も全部含めて今回はMSで分析しようと計画しています。
○小野座長 分かりました。ありがとうございます。
○名古屋委員 ちょっと聞かせてほしいのですけれども、PCBの剥離作業のときに、湿式の場合は分かるのですけれども、乾式のとき、例えばショットを使ったときにどういう測定をするのか。要するに、ショットは塗装面に投射材をぶつけますよね。そうすると塗装面からPCBが環境中に拡散するし、ショットをする部分を養生とかをしているのだったらPCBは捕集できるのだけれども、拡散するときちんとPCBを含有した塗装が採れるのかなと心配しているのですけれども、これはどんな感じですか。
○安井環境改善室長 これは個人ばく露測定で、作業環境測定はする予定はございません。屋外ということもありますので。剥離作業の場合は完全に個人ばく露測定しかやらないです。
○名古屋委員 ショットだと多分塗装面に強い気流が行きますよね。そうすると、個人ばく露測定だと、ばく露部分はショットの風の影響をほとんど受けないので、とてつもなく低い濃度になって、逆にショットの先に行くと噴射気流の影響を受けて濃度は著しく濃いというのはよく感じているのですけれども、それはそういう実態だからいいということなのかなと。ただ、作業場所の周辺は結構濃度が高くなってしまうので、それは放っておいていいのかなというのがあって、ちょっと心配しただけです。
○安井環境改善室長 屋外作業場ですと、もともと作業環境測定のような測定は現実に難しいというのがありますので、個人ばく露を測定して評価することを考えております。
○小野座長 ありがとうございます。
今、名古屋委員からブラストのお話がありましたけれども、私は鉛の剥離の現場を見たことがありまして、測れないということはないぐらいに十分な量の粉じんが飛んでおりました。従って、余りに低濃度過ぎるのではないかという御心配はないかなという感じはしております。
○安井環境改善室長 そうですね。かなり跳ね返ってきますので。
○小野座長 あと気になっているのは溶剤系のところが危険物になっていないかどうかということで、ポンプの持ち込みについて防爆仕様が求められないかということについて確認していただいてから測定の計画を立てていただけるとよいかと思います。
○中央労働災害防止協会/山室氏 はい。
○小西委員 今のことと関連して質問しようと思ったのですけれども、先ほど資料2で説明があった溶剤系のところで、ジクロロメタンを剥離剤として使っているということだったのですけれども、現状でもジクロロメタン含有のものを使っているのですか。というのは、通常の建物の外壁なんかの場合はジクロロメタンそのものを使うのは大変危険だということで、ジクロロメタンを含まないものに替わっているのです。今でもこういうところの剥離剤はジクロロメタン系のものを使っているのかどうかなのです。実際に外壁なんかの場合に作業者が吸い込んでしまってひっくり返ったりすることがあるのです。PCBのところではなくてね。そういうことが出てくるので、ジクロロメタンは今でも市場で使われているのか、それとも溶剤系はもう替わりつつあるのかというのも併せて調べておかれたほうがいいのではないかと思うのです。
○安井環境改善室長 先ほど御説明した資料の中にもございましたけれども、土木研究所が作った剥離剤ガイドラインというのがございまして、その中で基本的に特化物を含むものは使わないようにしてくださいという記載がございますので、少なくとも橋梁とかの土木現場において溶剤系が使われていることはほぼないと聞いております。実際に使われているのは高級アルコール系が多いと。先ほどの文献も高級アルコール系になっていましたけれども、それが多いと聞いております。
○小西委員 わかりました。
○小野座長 特化物は入っていないけれども何が入っているかは分からないというのがリスクアセスメントでありがちな話なのですけれども。
あと、ジクロロメタン系を使わなくなったせいで、逆に火災の心配ですね。夜の作業で電灯の熱で火がついた例があり、火災が出ていたと思いますので、測定対象ではないですけれども、溶剤についても十分御注意ければと思います。
○安井環境改善室長 土木研究所のガイドラインで耐火性についても一応評価はしておりますが、御指摘のとおり実際に火災が発生しておりますので、条件によっては可燃の状態になるというのはあるということで、換気を、全体換気になるのですけれども、きちんとやるということにはなってございます。
○小野座長 ほかにはいかがしょうか。
なかなか大変な調査だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
では、このPCBの件については終わりとさせていただきます。
続きまして、次の議題に移ります。
議題の(2)「健康障害防止措置の検討について」です。
昨年のリスク評価におきましてリスクが高いと分類されました塩化アリル及びアセトニトリルの2物質に関する健康障害防止措置について検討をお願いいたします。
まずは健康障害防止対策の検討手順について確認させていただきます。
事務局から御説明をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
それでは、まず検討手順を、これは変わってはおりませんが、久しぶりの検討に入るということですので、確認させていただきたいと思います。
資料は参考資料3となりますので、御用意いただければと思います。
参考資料3は健康障害防止対策の検討手順ということで、基本的な流れというところからざっと説明させていただきます。
リスク評価を行った物質で、その後、レビューから健康障害防止対策導入の方針の決定までの流れはこのとおりになっております。
それぞれの流れについて、それぞれの考え方とか留意点などを説明していきたいと思います。
2の検討内容及び手順のところです。
リスク評価結果のレビューでございますが、リスク評価結果について、今回2つのリスク評価書をつけさせていただいております。その内容を分析していただいて今後の導入の必要性等を検討していくということになります。
(2)のリスク作業実態の調査ということでございますが、詳細リスク評価の結果、リスクが高いと判断された作業については、実態がどのような状況なのかということを事業者団体等からヒアリングを行って確認していくという手順を行うということになります。
めくっていただきまして、2ページでございます。(3)の健康障害防止対策の検討でございますが、防止対策の検討について大きく3つの内容で検討を行うことになっております。
1つ目がアの健康障害防止対策案の検討ということで、具体的な対策案の検討ということになります。検討に当たっては、例えば個々の規制措置の要否を検討する方法であったり、あるいは、現行の規制によって定められているセットを前提として検討する、例えば、この物質とこの物質の使われ方が似ているので同様のやり方で現行のやり方を持ってくるといったやり方も考えながら効率的に検討していきたいと思っております。このように既存の措置だけでなくて、もしほかに新たな措置があるとかいうことがあれば、そういったものも取り入れて考えていきたいと思います。
イの技術的課題の検討ということですが、具体的な健康障害防止措置を導入する上で技術的な課題が認められる場合にあっては、例えば発散抑制装置や保護具のメーカー等からヒアリングを行って、その辺の技術的な問題がないかどうかといったところを検討していくということになります。
3つ目のウでございますが、規制化の必要性の検討ということでございます。考えられた健康障害防止措置について規制化の要否を検討していくということになります。規制化の要否を検討する際の整理といたしましては、規制することでそういった措置が進むという期待もできます。一方で、自主的な対応に任せていては措置の導入が進まないと考えられるものに対しても規制をかけていくことで促進を促していくといったことも考えながら、措置の規制化に係る検討を行っていきたいと思います。
(4)、最適な健康障害防止対策の検討ということでございますが、先ほどの(3)で具体的な措置を考えた場合に、それをどういう形で出していくのか、きちんとした規制という形で出していくのか、それとも行政措置で守っていただくような形で出していくのか、それとも自主的な技術的検討に任せても大丈夫なのかといったところで3つのオプションを作りまして、それを提案していくという形になります。
次の4ページですけれども、今提示した3つのオプションについて比較検討していって、どれが最適なものか検討していくということになります。
その際は、ウのところですが、規制影響分析ということで、規制をかけた場合にどういった影響が考えられるのか、規制化した場合のいい影響と悪い影響にはどういったものがあるのかといったところを勘案しながら検討していくということになります。
そして、留意事項ということですが、まずはばく露の危険性が高い作業を中心に考えていきますので、ほかのばく露のおそれが低い作業とかはどうするのか、適用除外とするのかといったことも留意事項として併せて検討していくということになります。
最後に(5)ということですが、最終的な対策の導入方針を検討していくということで、取りまとめられた最適な健康障害防止対策について導入の方針をこちらで作成いたしまして、検討会に提案させていただくということにさせていただきまして、その導入方針について検討していただき、具体的な方針とスケジュールを決めていくといった流れで健康障害防止対策の検討手順を進めていくということになっております。
参考資料3の説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、御質問あるいは御意見はございますでしょうか。
特にございませんようですので、先に進めさせていただきます。
では、今回健康障害防止措置の検討を行います物質、まず塩化アリルについて、リスク評価結果を中心に事務局から御説明をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 今回は2物質、塩化アリルとアセトニトリルでございますが、まず塩化アリルのリスク評価書から確認していただきたいと思います。資料としては4を確認してください。
では、資料4の塩化アリルのリスク評価書でございます。
今回、こちらのリスク評価書は、「詳細;経気道に係る中間報告」という形で、まだ中間報告の段階でございます。この塩化アリルについては経皮吸収の可能性があると指摘されておりますので、現在も経皮吸収に関するばく露実態調査は継続して行っている状況でございます。しかしながら、経気道に係るこれまでの実態調査の結果からリスクが高いと判断されましたので、中間報告という形ながら今回措置検討会に提出させていただいたといった状況でございます。
ざっとリスク評価書の中身を確認していきたいと思います。
2ページの1番の物理化学的性質の欄でございます。基本情報は以上のような状況でございます。安衛法の規制の状況でございますが、労働安全衛生法施行令別表9のSDS交付対象物質となっております。また、こちらは化学物質による健康障害防止指針、いわゆるがん原性指針の対象物質ともなってございます。
(2)の物理的化学的性状ですが、外観としましては刺激臭のある無色の液体となっております。
(3)、物理的化学的危険性でございますが、引火性、爆発性が認められております。また、燃焼すると有毒な腐食性のヒュームを生成するとされております。
次のページに参りまして、(4)番、製造・輸入量、用途でございます。製造・輸入量ですが、2017年で2,580tということになっております。用途としては、多くがエポキシ樹脂の原料であるエピクロロヒドリンの原料として使われているということでございます。そのほか、アリルエーテル、アリルアミン、ジアリルフタレートなどのアリル誘導体化合物、また除草剤、殺虫剤などの農薬原料、こういったものに使われているということになっております。
2番の有害性評価の結果でございます。
(1)番の発がん性です。ヒトに対する発がん性が疑われるということになっております。
各評価区分では、IARCはグループ3、ACGIHもA3ということになっておりますが、動物実験の結果、がん原性を示唆する証拠があると考えられるというところもありまして、ヒトに対する発がん性が疑われるという区分にしております。
少し飛ばしまして、めくっていただきまして4ページです。発がん性以外の有害性ですが、皮膚刺激性/腐食性についてはあり、眼に対する重篤な損傷性/刺激性についてはありとなっております。
一方、皮膚感作性や呼吸器感作性については報告が認められておりません。
反復投与毒性についてです。ラットを用いた吸入ばく露試験で尿細管に障害があるといったところで、NOAEL、無毒性量が100 ppmということで求められております。
次のページに参りまして、生殖毒性ですが、ありとされております。
また、遺伝毒性についてもありとなっております。
生殖細胞変異原性もありとなっております。
神経毒性についてもありとなっているところです。
許容濃度等でございますが、ACGIHでTWA 1 ppmが、ちょっと古いですが、勧告されております。また、ここに経皮吸収の可能性が指摘されておりまして、Skinがついているという状況です。そのほかのところではNIOSHやOSHAにおいてもTWA 1 ppmが出されているといった状況です。
以上のような状況から、評価値については、一次評価値については0.056 ppm、二次評価値についてはACGIHのTLV-TWAを採用して1 ppmとしております。
6ページの3のばく露実態評価についてでございます。
有害物ばく露作業報告につきましては2012年の報告となっておりますので、使用実態としては2011年の使用実態ということになります。提出状況といたしましては、21事業場から34件の報告がありました。主な用途としましては、他の製剤等の原料としての使用だったり、対象物の製造であったりということでございます。また、主な作業の種類としましては、計量、配合、注入、投入または小分けの作業及びサンプリング、分析、試験または研究業務といったところでございました。
(2)の初期リスク評価の調査結果でございます。
ばく露作業報告のあった21事業場のうち、調査の同意が得られた6事業場に対して初期リスク評価のばく露実態調査を行ったということでございます。対象となった作業者の方は11名ということになっております。
その測定結果についてでございますが、個人ばく露測定結果のところで、8時間TWAの最大値は、ストレーナー洗浄作業中に測定された2.2 ppm。また、ガイドラインに従って対数変換データで区間推定上側限界値については2.3 ppmと求められました。
めくっていただきまして、8ページに測定結果の詳細なデータが入っております。初期リスク評価ではストレーナー洗浄作業と塩化アリルの計量作業の2つで二次評価値を超えるばく露実態が認められたところです。
以上の結果から、次のページですが、初期リスク評価の結果、詳細リスク評価の必要性が指摘されたところです。
5番の詳細リスク評価に係る追加調査の結果でございますが、詳細リスク評価につきましては、初期リスク評価の結果を踏まえ、5つの事業場で11名の作業者を対象に実施されております。
めくっていただきまして、10ページでございます。測定結果でございますが、個人ばく露測定の結果から、8時間TWAの最大値はドラム缶への充填の作業で測定された9.1 ppmということになっておりました。これをガイドラインに従いまして対数変換データで区間推定上側限界値を算出しますと6.0 ppmとなっておりますので、高いほうを取りまして8時間TWAの最大値は9.1 ppmとされております。
また、スポット測定の実測値の最大値については、ドラム缶から反応槽への塩化アリルの仕込み作業で測定されました13.691 ppmとなっております。
以上の詳細リスク評価における追加調査の結果、経気道からのばく露のリスクが高く、健康障害防止措置を検討する必要があるといったところで、今回措置検討会に諮らせていただくことになりました。
また、資料5におきましては、今後措置内容を検討していくに当たり使用していきます検討シートをおつけしております。まだこのリスク評価で分かる範囲でしか記入しておりませんが、今後いろいろな業界団体等へのヒアリングなどを行いながらこの表を埋めていくといったようなことになっております。
塩化アリルのリスク評価書に関する説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
では、ただいま御説明のありました塩化アリルについて皆様から御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。
○松村委員 塩化アリルは、私自身は経験がないのですけれども、非常に沸点が低くて蒸気圧が高くなるものです。このようなものに対する呼吸用保護具としては、一応、液状の有機化合物として使われるということで、有機用の防毒マスクが選ばれやすいのですけれども、NIOSHの呼吸保護具の選択のハンドブックを見ますと、全然防毒マスクを使ってよいとは書いてありませんで、送気マスクまたは自給式呼吸器を使えと書いてあります。今、環境濃度を見ますと、非常に低いので、その範囲でしたら防毒マスクでも短時間なら有効なのかもしれませんけれども、高濃度にばく露する可能性のある作業についてはやはり送気マスクを使うようにしていただきたいと思います。メタノールとかアセトンも混合有機溶剤なんかの成分として入っているのですけれども、非常に短時間で抜けてしまいます。活性炭の吸着力が非常に弱く、そういうものに対しては有機ガス用活性炭の吸収缶はあまり有効ではありませんので、その辺は注意して選んでいただきたいと思います。
○小野座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
○藤間委員 がん原性指針について、この塩化アリルはいつ頃からがん原性指針の中に含まれているのでしょうか。
○内田化学物質評価室長 平成23年度にがん原性指針の対象にしておりまして、今ちょうど松村先生からもお話がありましたけれども、がん原性指針の中でも使用すべき保護具ということで送気マスク等を位置付けて推奨しているといった状況になってございます。
○田中委員 今、保護具が出ていたので、もう一つ。経皮吸収がある物質だという記載があって、化学防護手袋の塩化アリルに対する透過時間を調べますと、ほとんど公表されていない。メーカーも1社だけがやっていて、その素材としてはEVOHというエチレンビニル物の共重合体の多くの化学物質に対して透過時間が長い素材しか報告されていないというのが現状ということで、先ほどのマスクも、有機ガス用吸収缶をつけているからいいんだというわけではないぞと。昔の古いデータでネルソンという人が多くの物質をやったときに塩化アリルの試験をやっていて、そのときのシクロヘキサンとの比較では、0.5ぐらいの係数、0.5ぐらいで破過してしまうということで、そういう意味では、松村先生がおっしゃったように、有機ガス用の活性炭では、よほど交換時期の管理をきちんとやらないとばく露するということを示唆しているということです。手袋もデータがないということを踏まえた形でどう指導するかということが必要ではないかと思います。
○小野座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
○名古屋委員 経気ばく露のリスクのほうはこれでいいと思うのですけれども、今、経皮吸収のリスク評価はどこまで進んでいるのかというのを聞きたかったのです。要するに、現場に行って測られているときにどういう状況なのか、あるいはまだ行っていないのか。そこだけ聞かせてほしかったのですが。
○中央労働災害防止協会/山室氏 今、経皮吸収のばく露調査は、生物学的モニタリングを行ってBEIで評価できるような物質から取りかかりましょうということで取り組んでいるところです。この物質についてはそういったものがないので、まだそこにはたどり着いていないということです。
○名古屋委員 やり方はあるけれども決まっていない。要するに、今中災防に設置されている経皮吸収のワーキングで検討していますよね。どういう測定をしましょうかと。そこのところを受けて現場に持っていって実施しているのか、まだその検討結果が上がってきてないから手探りでそこまで行っていないのか、その段階というのはどの辺の段階なのですか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 まだ調査には行っていないという状況です。
○名古屋委員 ありがとうございます。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
私からお尋ねしたいのですけれども、塩化アリルは刺激性が強い物質だと思うのです。マスクについては調べることになっているのですけれども、ゴーグルとか目の保護についても状況の調査とかをしていますか。今出ている表にはそれは出ていないのですけれども。先ほどお話しいただいた作業時間では、30分とか1時間ぐらいで高濃度が出ています。高濃度といってもせいぜい10 ppmですが、高濃度のところではそういう作業が多いようですね。
○松村委員 今、ゴーグルという話が出たので、コメントです。産業用のゴーグルは粉じんが目に入らないようにということは意識して設計されているようですけれども、蒸気が侵入しないようにはなっていないので、どうしても目を守りたいときには全面形面体をつけるよりほかはないということです。
○小野座長 すみません、細かいことばかり言っているのですけれども、塩化アリルの分析法のところで脱着にベンゼンを使うという方法が載っているのですけれども、今どきベンゼンはどうでしょうというのと、反応性が高い塩化アリルをヤシガラ炭で大丈夫でしょうか。粒状炭などのより安定なものに変えなくてよろしいでしょうか。塩化アリルの測定法は多分7~8年前に中災防さんの委託の委員会で御検討なさっていると思うのですけれども、ベンゼンにばく露することのないように御検討いただけるとよろしいかと思います。
○松村委員 活性炭からの脱着には二硫化炭素もいまだに使っていますよね。
○小野座長 そうですよね。カラムも普通の充填カラムを使っていますし、多分このとおりにはおやりにならないかと思うのですが、こういうところに載せてしまうと、これが公定法として受け取られる場合がありますので、注意が必要ではないかと思います。すみません、細かくなりまして。
ほかにはよろしいでしょうか。
○名古屋委員 でも、この段階で分析方法が出てくるときは中災防の分析方法のWG委員会で決められた分析方法に従って実施しているから、そのWGの所で変えないと。上のばく露小検討会に上がってきたときは、そこのところの検討はあまりやっていないのです。だから、そこのWGでやらないときついかなと。
○小野座長 これではない方法も提案されていたような気もするのですけれども。
○名古屋委員 先ほど言った手袋とかマスクに関してはばく露小検討会の報告書のところには細かく書いてあるのです。これはかなり省いているので、そういうデータが載っていないのだと思うのです。
○小野座長 リスク評価書が今までと雰囲気が違う感じがします。リスク評価というよりはハザード評価に中心があるような気もします。塩化アリルについては、皆様からはこのまま進めていただきたいという御意見だと思いますので―櫻井委員、お願いいたします。
○櫻井委員 発がん性がIARCではグループ3で、ヒトに対する発がん性については分類できないとされていますが、がん原性指針に加えられた理由は、2003年に報告されたバイオアッセイ研究センターのデータですね。
○内田化学物質評価室長 はい。がん原性試験の結果で明らかな証拠が示されたということを踏まえてがん原性指針に入れています。
○櫻井委員 そのデータを見ますと、100 ppmでラットの雄で、50匹中5匹に膀胱がんが出てきて、25 ppmでも50匹中1匹出ているのです。比較的低い濃度での発がんが疑われますね。25 ppmはたった1匹ですけれども、何か怪しいなという感じがいたします。
○小野座長 ありがとうございます。
その点についてこのリスク評価書に含める御予定とかは?
○櫻井委員 ここに書いてありますね。
○小野座長 入っていますか。
○内田化学物質評価室長 3ページ目の発がん性の根拠のところにがん原性試験の結果について書いてあります。ただ、今言われた25 ppmで1匹の話については記載していませんけれども。
○櫻井委員 それは書かなくていいと思います。有意にはならないので。ただ、直感的には怪しいと思います。
○小野座長 ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
では、塩化アリルについてはこれで終了とさせていただきます。
続きまして、アセトニトリルについて、リスク評価結果を中心に事務局から御説明をお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、次にアセトニトリルです。資料番号は6になります。資料番号6のリスク評価書です。
こちらにつきましても経皮吸収の可能性があるとされておりますが、経気道に係る実態調査でばく露限界を超えるばく露実態が認められたということで、今回措置検討会に出させていただいております。
リスク評価書の中身を確認していきます。
2ページ目でございます。物理化学的性質のところです。
(1)、基本情報ですが、以上のとおりで、現在の安衛法上の規制としましては、別表9、いわゆるSDS交付対象物質になっているところでございます。
(2)の物理的化学的性状ですが、こちらは特徴的な臭気のある無色の液体となっております。
(3)番、物理的化学的危険性については、引火性が高く、爆発性があるということです。加熱されると塩化水素や窒素酸化物を含む有害なヒュームが生じるとなっております。
(4)番、製造・輸入量、用途です。製造・輸入量につきましては、2017年で5,776 t。用途といたしましては、殺虫剤等の農薬やビタミンB1とかの医薬、香料、有機合成用の原料等々に使われているといった状況でございます。
3ページに行きまして、有害性評価の結果でございます。
(1)の発がん性でございますが、ヒトに対する発がん性については判断できないとなっております。動物実験の結果でも有意差が認められているわけではないということ。また、各評価区分についても設定なしといったところが多くなっているということでございます。
(2)の発がん性以外の有害性でございますが、次のページに行きまして4ページでございますが、皮膚刺激性/腐食性についてはありということになっております。
また、眼に対する重篤な損傷性/刺激性についてもありとなっております。
また、次のページに参りまして、皮膚感作性については判断できない。
呼吸器感作性については、調査した範囲では報告がなかったとなっております。
反復毒性でございますが、こちらはマウスを用いて反復吸入ばく露した試験でありまして、この中で肝臓や胃に病変等が認められたということで、NOAELとしては100 ppmが求められております。
生殖毒性でございますが、判断できないとなっております。
めくっていただきまして、6ページ、遺伝毒性でございますが、こちらも判断できないということで、生殖細胞変異原性についても判断できないとしております。
神経毒性ですが、こちらについてはありということで、ヒトに対するいろいろな症状が認められているといった状況でございます。
次に許容濃度等でございますが、ACGIHでTWA 20 ppmが出されております。また、Skin、経皮吸収の可能性ありと指摘されております。同じく7ページですが、DFG MAKで20 ppm、また経皮吸収の危険性ありということで出されているといった状況でございます。めくっていただきまして、8ページですが、NIOSHやOSHAといったところもTWAが出されているという状況でございます。
以上から評価値を求めますと、二次評価値ですが、ACGIHのTWAが出ておりますので、こちらの20 ppmを採用しております。一次評価値につきましては、動物実験により導き出される評価レベルが二次評価値の1/10以下のため、なしとなっております。
次にばく露実態評価でございます。
有害物ばく露作業報告の提出状況でございます。こちらも報告は2012年の報告となっておりますので、2011年の作業状況の報告となります。213事業場から計463件の報告が出されております。主な用途といたしましては、溶剤、希釈または溶媒として使用及び試験分析用の試薬として使用というのが多くを占めました。また、主な作業の種類としましては、サンプリング、分析、試験または研究業務、計量、配合、注入、投入または小分けの作業及びろ過、混合、攪拌、混練または加熱の作業が主だったところでございます。
次のページに参りまして、(2)の初期リスク評価の際のばく露実態調査の結果でございます。
有害物ばく露報告のあった213事業場のうち、同意が得られた5事業場を選定して調査いたしました。対象となった労働者の方は6名ということになっております。
作業の概要としましては、対象事業場における主な用途は、触媒、添加物としての使用、溶剤、希釈または溶媒としての使用及び洗浄を目的とした使用といったところでございました。
めくっていただきまして、10ページでございますが、測定結果です。測定の結果、8時間TWAの最大値は、部品洗浄作業中に測定された5.0 ppmでした。一方、ガイドラインに従いまして対数変換データで区間推定上側限界値を求めますと35 ppmとなりましたので、この2つを比較して、高いほうの35 ppmを採用しまして、こちらが二次評価値より高いTWA値を示したということになっております。
以上の初期リスク評価の結果、こちらについても詳細リスク評価を行う必要があるとされましたので、詳細リスク評価に移りました。
11ページの5の追加調査の結果でございます。
追加調査につきましては、2事業場で実施いたしまして、合わせて6名の労働者を対象に測定いたしました。
その測定結果でございますが、12ページの測定結果のところです。8時間TWAの最大値は、遠心分離機の監視及び付着する結晶のかき落とし作業で測定されました160 ppmとなりました。一方、ガイドラインに従って対数変換データで区間推定上側限界値を算出したところ、92 ppmとなりましたので、これを比較しまして、ばく露測定の結果の160 ppmが採用されまして、二次評価値より高いTWA値を示したといったところでございます。
以上から、13ページのリスクの判定及び今後の対応というところでございますが、経気道からのばく露リスクが高いと判断されたため、今回健康障害防止措置の検討会に御報告させていただいた次第でございます。
また、こちらの健康障害防止措置の検討シートについても資料7としておつけしております。
私からの説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
委員の皆様からただいまの御説明につきまして御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
○名古屋委員 これを見て分かると思いますけれども、初期リスクのときは二次評価値を超えていないのです。ただ、区間推定上限限界値をとると二次評価値を超えているので詳細リスクに行ったのです。詳細リスクの結果を見ていただくと分かるのですけれども、g1とg2がとてつもなく高いのです。だから、これをどう扱うかということと、アセトニトリルそのものに規制をかけるのではなくて、多分こういう形の場合はアセトニトリルの作業工程別に決めていくのだろうと思うのです。その規制の範囲をこのg者のような、特別な事業なのか、これはメーカーさんに聞かないと分からないのですが、あるいは、もう少し低い濃度範囲まで広げて、洗浄とか抜き出しも少し高いので、そこまで範囲まで規制を広げるかどうかということを決めていただけるのが健康障害防止措置検討会かなと思っています。ばく露評価委員会では粛々とルールにのっとって健康措置検討会に上げましたので、その辺のところを皆さんに議論していただければありがたいと思います。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
今お話のあったg1とg2で、いつもの大きい表がこの中に入っているのですけれども、それを見ると、特殊といいますか、局排がないところでかき出しの作業をさせている。遠心分離機には局排がついているのに、人が触るときには局排がないという特別な施設のようですので、逆に言うと局排とかがあればコントロールできるというデータでもあると思うのです。ほかの事業場とかを見ると。ですから、そういう面で措置でどこに網をかけるか、どこを重点的に見るかということを見ていくべき物質のように思われます。
○名古屋委員 多分これは測定を実施した中災防さんは分かるのですが、遠心分離機の結晶のかき落としという作業が結構やられているということがあって、意外とこの作業があるようなことがあったので、やはり健康措置検討会に持ってきて、この結晶のかき落とし作業の濃度が高いからこの作業だけを規制していくことでいいのかどうか、あるいは、そうは言いながら、区間推定したときにこの作業が引っかかってくるかどうか分からなかったのだけれども、要するに、もう少し他の作業を測定したら、違う作業も引っかかってくるのかなというのがあってちょっと分からないので、この辺の取り扱いはなかなか難しいので、議論してほしいなというのが感想です。
○藤間委員 今のに関連してなのですけれども、遠心分離のかき落としのときに作業者がどういう状況にあってこういうことになるのか。例えば、遠心分離の作業をやった後にドラムの中に頭を突っ込んでいろいろやったりすることがよくある。多分測定のときはそこまでやらないと思うのですけれども、何かそういう特殊なこと、通常の遠心分離作業とは違うことをやっているということはなかったのでしょうか。
○中央労働災害防止協会/山室氏 通常の遠心分離は自動でかき落としがされていて、一番最後のところでスクリーンを取り外して完全に中をきれいにするという作業があります。その一番最後の部分で非常に高濃度のばく露があったということです。
○藤間委員 分かりました。
○小野座長 一日の作業のうちの最後の20分間で、その瞬間700 ppmとかいう数字が出ています。どうしても最後までかき落としたいという作業者の気持ちから高濃度になってしまうのだと思います。
○藤間委員 私も遠心分離でやっていましたので、その状況は大体分かります。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
では、予定どおりに今後の検討を事務局で進めていただければよろしいと思います。よろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
○小野座長 以上で本日の議題が終わりますが、言い残したこととかございますでしょうか。―よろしいですか。
では、最後、「その他」ということになります。
事務局から御連絡等ございましたら、お願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 すみません、あと一つ説明を忘れていました。資料8があります。
簡単に見ていただきまして、こちらは調査票ということで、今後いろいろな団体に対して調査を行っていくのですが、この様式を使って、これにいろいろ書いていただくような形で進めていきたいと思いますので、それだけ付け加えさせていただきます。
本日皆様に御検討いただきたい内容は以上でございます。
次回でございますが、今後いろいろな団体さんとかに御協力を仰ぎながら作業を進めていくところでございまして、まだ次回がはっきりと見えない状況でございます。大変申し訳ございません。後日の予定については改めて皆様の御都合を伺いながら御案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、最後に環境改善室長の安井から一言御挨拶申し上げます。
○安井環境改善室長 私事でございますけれども、8月1日で異動することになりましたので、一言お礼を述べさせていただきます。
溶接ヒューム、塩基性酸化マンガンにつきましては、非常にタイトなスケジュールの中報告書をまとめていただきまして、ありがとうございました。その関係で、政省令の改正につきまして、7月31日に最後の告示が全部出て、一連の政省令・告示の改正が終了するということでございます。御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
後任はそちらにおります成毛になりますので、PCBの件につきましては引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○成毛環境改善室長 改めてまた御挨拶しますので、よろしくお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 以上でございます。
○小野座長 ほかはよろしいですか。
では、以上で本日の健康障害防止措置検討会を閉会させていただきます。
どうも本日はありがとうございました。