2020年7月15日 第25回社会保障審議会福祉部会

1.日時

令和2年7月15日(水)15:00~16:30

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール16D

3.出席者(五十音順)

4.議題

  1. (1)地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について
  2. (2)社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)について
  3. (3)その他

5.議事

(以下、各委員等発言内容)

○田中部会長 定刻になりましたので、ただ今より「第25回社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては御多忙の折、オンラインで出席いただきありがとうございます。
福祉部会としては初めてのオンライン会議となりますので、事務局より会議での発言方法、また新たに就任された委員の御紹介、本日の委員の出席状況の説明をお願いします。
○高橋総務課長 総務課長の高橋でございます。よろしくお願いします。
福祉部会では初めてのオンライン会議となりますので、発言方法について確認をさせていただきます。
事前に案内させていただいておりますとおり、御発言される場合には通常の会議のように挙手をお願いいたします。オンライン画面で田中部会長に御確認いただき指名していただきますので、指名があったら御発言をいただきますようお願いいたします。御発言の際には、Zoomのマイクのミュートを解除して御発言していただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。
次に、新たに就任された委員の御紹介をさせていただきます。
本日付で、和気純子委員の後任として、白澤政和委員に新たに当部会委員に御就任いただいております。
白澤委員におかれましては、一言、御挨拶をお願いいたします。
○白澤委員 白澤でございます。
日本ソーシャルワーク教育学校連盟から今回、参加させていただくことになりました。
どうかよろしくお願いいたします。
○高橋総務課長 ありがとうございました。
続きまして、本日の委員の出欠状況について、御報告申し上げます。
本日は井上委員より御欠席の連絡をいただいております。
また、石本委員の代理として日本介護福祉士会副会長の今村参考人に、黒岩委員の代理として神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長の水町参考人に御出席をいただいております。
そのほか、新保委員、保井委員は途中で退席される予定です。
なお、谷内局長は公務の都合により途中で退席させていただきます。
また、吉田生活困窮者自立支援室長は遅れての出席とさせていただきます。
○田中部会長 ありがとうございました。
カメラの方々はこれにて退出ください。
続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。
事務局から説明をお願いいたします。
○高橋総務課長 事前に資料を掲載している厚生労働省ホームページのURLを御案内しておりますので、そちらのURLから資料を御覧いただければと思います。
まず、議事次第と委員名簿がございます。
次に、事務局からの提出資料として、
資料1「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の概要」、
資料2「介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置の延長」、
資料3「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)について」、
資料4「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)本文」、
参考資料1「合併・事業譲渡等マニュアル」、
参考資料2「社会福祉法人の事業拡大等に関する調査研究事業アンケート調査結果」、
また、平田委員の御提出資料としまして、「『社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン』について」。
以上が資料の一式となっております。
○田中部会長 ありがとうございました。
では、ここから議事に入ります。
まず、事務局から説明をお願いします。
○高橋総務課長 大変申し訳ないのですが、議事次第の議事の「(1)地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」と「(2)社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)について」の順番を入れ替えさせていただきたいと思っております。
まず、議事の「(2)社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)について」から、御議論いただければと思います。
○宇野福祉基盤課長 議題2の社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)につきまして、福祉基盤課長の宇野が説明させていただきます。
まず、このガイドラインの説明順といたしまして、ガイドラインの策定の経緯、今後の予定、その後、内容の順に説明させていただければと思っております。
では、資料3を御覧いただければと思っております。
1ページにございますとおり、昨年の成長戦略フォローアップや、昨年開催されました社会福祉法人の事業展開等に関する検討会の報告書におきまして、希望する法人向けの合併ですとか事業譲渡等のガイドラインの策定を進めるべきだと盛り込まれているところでございます。
こうした動きを受けまして、昨年度に社会福祉推進事業という調査研究事業におきまして、社会福祉法人の事業拡大等に関する調査研究事業を実施させていただきました。
その検討会の委員の一覧は、同じ資料3の1ページの左下にございます。本日、御出席いただいています福祉部会の委員でおられます早稲田大学准教授の松原由美先生に座長をお願いして、団体の代表の方々、また、専門家といたしまして弁護士の先生ですとか、公認会計士の先生、また、社会福祉法人の認可等を担当しております所轄庁の方々に御参加いただいて、この調査研究事業を進めさせていただきました。
5回にわたりまして活発な御議論をいただきまして、社会福祉法人の経営者向けのガイドラインの案ですとか、実務担当者向けマニュアル案を作成していただいたところでございます。
本日、議題とさせていただいているガイドライン案につきましては、この調査研究事業の成果を踏まえまして策定したものでございます。
内容は後ほど御説明させていただきますけれども、本日、御了解をいただきましたらパブリックコメントをかけさせていただいた上で、所轄庁に対しまして福祉基盤課長通知として発出し、所轄庁を通じて管内の社会福祉法人に周知したいと考えているところでございます。
また本日、参考資料1につけております、先ほど御紹介いたしました調査研究事業で策定していただきましたマニュアルでございますけれども、このマニュアルも通知と併せまして参考として所轄庁に送付したいと考えております。
続きまして、内容を御説明させていただきます。
同じ資料3の2ページ目を御覧いただければと思います。
2ページ目は概要になっております。まず基本的な考え方を記載しております。
これにございますとおり、「社会福祉法人が行う事業展開は、公益性・非営利性を十分に発揮し、社会福祉法人に寄せられている期待に応える非営利法人として、経営基盤を強化し良質かつ適切な福祉サービスの提供が実現しうる観点から行われるべき」と整理しているところでございます。
その後、事業展開の種類といたしまして法人間連携、合併、事業譲渡等の3種類を整理しまして、この3つのそれぞれのメリット、効果を整理しております。なお、その事業譲渡等の「等」は、事業の譲渡しのほか、事業の譲受けも入っている表現でございます。
事業展開全体の効果といたしましては新たな福祉サービスが複雑化、多様化した福祉課題への対応ですとか、1法人では対応が難しい課題への対応を挙げているところでございます。
法人間連携の効果につきましては、合併、事業譲渡等の手続に比べ容易で意思決定から実行までが短時間で済むということを挙げさせていただいております。
一方、合併、事業譲渡等はその裏返しとして、時間はかかるものの、ここに挙げさせていただいておりますけれども、経営基盤の強化、事業効率化として法人が一体となり本部機能や財務基盤が強化され、事業安定性や継続性が向上するとか、スケールメリットによる資材調達によるコスト削減を書かせていただいています。
また、サービスの質の状況、組織活性化といたしましては、相手方法人の人材、ノウハウ、設備等資源の活用により、サービスの質の向上などを挙げさせていただいております。
さらに、人材育成といたしまして、新たな領域の知識・技能・経験の交流により、スキル拡大・向上などを挙げているところでございます。
事業譲渡等の効果といたしましては、合併の効果に加えまして、譲渡しでは事業継続が困難になっている社会福祉事業を事業譲渡により継続が可能になるといったメリット。また、譲受けといたしましては即戦力資源の活用とか迅速な事業展開などを挙げさせていただいているところでございます。
続きまして、「合併、事業譲渡等の主な手続きと留意点」を挙げさせていただいています。
合併、事業譲渡等に共通する留意点といたしましては、法人所轄庁等への事前相談や、利用者、職員に対する十分な説明と理解の促進。寄附財産や国庫補助を受けている財産についての税務署、行政庁への相談を挙げさせていただいているところでございます。
続いて、合併の手続と留意点についてまとめさせていただいております。
手続につきましては、平成28年社会福祉法改正により新設合併、吸収合併につきまして、法定化されておりますので、それに沿った手続を記載しているところでございます。
また、留意点の1つ目といたしまして、当事者法人の十分な協議、当事者間の適切な合意形成。2つ目といたしまして、消滅法人の退職役員に対する報酬につきまして、社会福祉法に基づく手続により基準を定めることになっておりますので、その厳守を明記しているところでございます。
さらに、租税の取扱いとして、租税特別措置法第40条の適用を継続する場合の申請を挙げさせていただいているところでございます。
最後に、事業譲渡等の手続と留意点でございます。
事業譲渡等の際には、事業を譲り受ける法人であれば、譲り受ける事業について新規の許認可等の手続。事業を譲渡する法人であれば、事業廃止などの各種手続が必要であることを明記しております。
また、合併と異なり、包括承継はされないため、利用者、職員、調理、清掃などの委託業務等、土地、建物など事業に関連するものについては改めて契約行為が必要だと明記しております。
留意事項につきましては、事業の譲渡しについて利用者へのサービス提供継続に資するために実施するものであり、この譲渡先法人は事業自体が実施可能かどうか、ということも含めて、当該事業の事業所管行政庁へ事前協議を実施するべきだと記述しております。
次に、事業譲渡等の相手方法人の関係者が、特別な利益供与の禁止対象者となる場合は、社会福祉法の規定に沿った形で抵触しないように留意することを求めていることを記述しております。
さらに、資産の譲渡や譲受け、それぞれにおきまして社会福祉法人自体が「持分がない」ですとか、解散時には最終的には国庫に帰属するなど、財産の考え方に留意いたしまして、法人外流出に当たらないように適切な評価を行った上で価格を検討するよう求めております。
また、最後といたしまして、租税の取扱いですとか、国庫補助金の返還について触れているところでございます。
以上が、概要でございますけれども、本文は資料4になります。概要の方は内容の主だったところを書かせていただきましたけれども、実際のこのガイドラインを御覧いただきますと分かりますとおり、資料4の1ページ目から4ページ目にかけましては、この事業展開の前提といたします社会福祉法人の取り巻く現状とか課題を説明させていただいております。
例えば、連携法人と共通ではございましたけれども、人口減少の加速化ですとか、地域共生社会の実現の中で地域のサービスの複雑化、多様化といったところも触れておりますし、あとは最近の災害対応ですとか、感染症、コロナの関係も触れさせていただいているところでございます。
また、7ページ以降に合併事業譲渡の手続、留意点を書かせていただいていますけれども、その概要では項目を羅列しているように見えていますけれども、実際には特に8ページ、9ページを御覧いただきますと、適切と考えられる実例を紹介させていただいております。
また、11ページを御覧いただきますと、最後に実例ではないのですが不適切と考えられる想定例も明記させていただいているところでございます。
以上、ガイドラインの説明でございますけれども、資料3に戻りまして、資料3の3ページ、4ページを御覧いただければと思います。
参考といたしまして、合併、事業譲渡等に係ります会計処理の明確化につきまして御報告したいと思っております。
この明確化につきましては、公認会計士の先生方で構成されます社会福祉法人会計基準検討会で、昨年度議論をしていただきました。その結論が、3ページ目の2ポツのところにございます。まず、会計基準の省令です。社会福祉法人会計基準のところで、結論といたしましては、会計基準の注記に合併ですとか事業の譲渡し、譲受けが行われたことを明記するというのを義務付ける予定でございます。
また、実際の運用上の取扱いについて明記しています局長通知におきまして、組織の結合の判定が、合併は「統合」、事業の譲受けは原則として「取得」と整理をされています。
この結合の判定が会計基準の世界では重要でして、この結合の判定に沿って統合と判断される場合には、資産をいわゆる簿価として考える。取得と判断される場合には時価になるというところでございます。
今回、この事業の譲受けの部分につきましては、合併と異なりまして「原則として」という言葉が入っております。これは、原則として取得なので、取得と判断される場合は時価ですが、必ずしも取得とは判断されないケースがあるために、ここは原則としてという言葉が入ったところでございます。
また、いわゆる営利法人でいうところの、「のれん」という考え方につきましても検討会で議論がありましたが、結論といたしましては今回、明記しないということで結論が出ているところでございます。
こちらにつきましても、ガイドラインと同じようにパブリックコメントをかけまして、8月中に公布で、来年の4月に施行に向けて進めていきたいと思っております。
私の説明は以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
早速、資料3及び資料4について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
松原委員、お願いします。
○松原委員 ありがとうございます。
本事業の座長を務めさせていただいた立場の者として、当ガイドラインについて、また社会福祉法人の合併と事業譲渡について一言述べさせていただきたいと存じます。
まず、コロナ騒動の中、ガイドライン策定に当たりましては、委員会委員、事務局にはいろいろと御協力いただきましたことを改めて深くお礼申し上げます。
本ガイドライン策定に当たりまして、委員の間で共有した点は、地域福祉を第一に考えるべきだということです。
一方で、ガイドラインの留意点としまして、本ガイドライン策定委員会は現在の法を前提とした委員会であるという限界がありました。従来は合併も事業譲渡等も、社会福祉法人同士の取引が暗黙の前提としてございました。しかし、事業譲渡については近年の状況は異なってきております。
また、社会福祉法では合併については触れられておりますけれども、事業譲渡については何の規定もございません。そのために、委員の半分を占めておりました社会福祉法人の業界団体からの委員全員が、一様に持分あり法人への事業譲渡については、社会福祉法人の非営利性を侵食しないかという懸念をお示しになっておりました。
しかし、地域福祉の継続こそ重要である、それを第一に考えるべきという全員一致の共通認識でガイドラインを策定いたしました。
また、事業譲渡に関しまして、何ら法的規制が存在しないことから、非営利性の浸食に懸念があったとしても、幾ら議論をしても福祉部会ではない一委員会で規制はできないということからグレー部分、これは主観が入るかもしれませんので、グレー部分については記載せずに明らかな不適切事例を掲載することにとどめております。
さて、株式会社におきましても、事業譲渡について法の規定はございませんけれども、手続規定が存在します。そこでは重要な一部譲渡、全部譲渡及び他の会社の事業の全部の譲受けに関しては、株主総会にかけることになっております。銀行法や保険業法では、国民に影響を与えることから事業譲渡に関し国の監督官庁による認可を求めています。
社会福祉法人の自治尊重の流れを考えれば、監督官庁による許認可は規制が強すぎる恐れが考えられる一方で、現行のままでは法の規制どころか手続規定さえございません。社会福祉法人制度改革では評議員会の設置が義務化されました。そして、重要事項の議決権が付与されましたけれども、現状のままではこの事業譲渡に関し評議員会に諮る義務はございません。基本財産に関われば評議委員会を通すのですけれども、例えば第2種社会福祉事業に基本財産を使用しない賃貸借のケースなどでは、評議員会を通さずに事業譲渡することが可能となります。
さらに現状では、事業譲渡などの決定に理事会決議が必要か否かについても、実は解釈の余地がございます。法律上は、重要な財産の処分及び譲受けや重要な業務執行の決定は理事会で決議しなければならないために、多くの法人ではこの「重要な」に該当すると考えられるのですけれども、現在の指導監査では監査するものの主観が入らないように線引きがあるか否かをチェックするのであって、法人が決めたその線引きには口出ししないという立てつけを取っております。
そのために、法人の決めとして事業譲渡が「重要な」に該当しないとして、理事会の決議ではなくて理事長決裁で決めたとしても、そのことをもって主導監査では現状では注意できないという状態になります。
一方、評議員会決議を必要とすれば、その前段階として必ず理事会でも議決が必要になります。その観点からも、評議員会議決を必要とすることには意味があると思われます。社会福祉法人制度改革の趣旨に則れば、事業譲渡についてはどのケースでも必ず評議委員会を通すことが求められるはずです。
繰り返しますが、現状ではそのような規定はございません。
また、合併や事業譲渡及び譲受けに関しまして地域住民に公開すること。これは、社会福祉法人制度改革の透明性の向上という趣旨に沿うと考えます。
以上2点、事業譲渡等に関する評議員会の議決事項の追加と情報公開、これは前回の社会福祉法人制度改革の趣旨にのっとれば当然、規定されるべきものと言えます。
さらに、社会福祉充実財産を用いて地域公益事業を実施する際に地域に諮るように、この合併や事業譲渡等に関しても地域の意見を聴く機会を設けることが、法人自治を地域福祉向上へつなげるための一案と考えます。
地域福祉を支える福祉従事者にしっかり報いるためにも、前回の社会福祉法人制度改革の趣旨に沿うためにも、何よりもこの社会福祉法人の合併や事業譲渡等を真に地域福祉の維持向上につなげていくため、事業譲渡等に関する評議員会の議決事項の追加と情報公開、事前の地域の意見を聴く会の設置を提案させていただきます。
以上です。
○田中部会長 検討会委員長として、このガイドラインの位置付けを大変分かりやすく説明していただきました。ありがとうございました。また、残る課題、懸念も表明していただきました。我々もそれを踏まえて議論しなくてはなりません。感謝いたします。
ほかの委員からどうぞ。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 全国社会福祉法人経営者協議会の平田でございます。
私の方で、資料を提出しておりますので、それを御覧いただければと思います。
まず、1ページ目です。
最初に松原委員がおっしゃられましたように、ガイドラインの案を作成していただいたことに関しては本当に感謝をいたします。
一方、ガイドライン案に示されているとおりですけれども、社会福祉法人の事業展開は、個々の法人において、自主的・自立的に行われるべきものであります。従いまして、法人間連携、あるいは事業譲渡、合併といった事業展開の手法に関しても平成28年社会福祉法改正の趣旨に沿い、ガバナンスの強化、透明性の確保、財務規律の強化による適切かつ公正な支出管理に基づき、社会福祉法人制度の公益性・非営利性を損ねることなく、進められることが極めて重要だと思います。
2ページ目をお願いいたします。この事業譲渡については、先ほど松原委員もおっしゃられましたけれども、社会福祉事業及びその用に供する財産は極めて公益性が高いものであります。
従って、一般の事業会社等に適用される一般法に準拠したルールではやはり不十分であると思いますし、一般の私有財産と同様に譲渡、あるいは譲受されることについては、一定の規制が必要であるべきものと思います。
また、解散・合併と同様に事業譲渡に関しても、社会福祉法人制度改革の趣旨を踏まえた上で法令上のルールを今後、明確にするべきであろうと思います。先ほど指摘がございましたけれども、現行、社会福祉法においては定款変更、あるいは基本財産の処分に該当しない場合、評議員会の議決、あるいは承認事項とはなっておりませんので、公的な法令上のルールを望むところであります。
次に、3ページ目をお願いいたします。経営協として重視する視点として3点挙げています。
事業譲渡の目的が本当に社会福祉法人の使命に合致しているのかという「目的の正当性」。
また、適切な公的ルールに基づいたガバナンスが明確に担保されているのかという「手続の適正性」。
3点目が、目的、プロセス、譲渡の後適切に事業継続されて地域の方々等に公開され、透明性が確保されているかという「プロセスと結果の公開性」の視点をしっかり担保する。また、重視する必要があります。
4ページ目は、次の議事の法改正の関連でもありますが、一応ガイドラインに出てまいりますので、社会福祉連携推進法人について3点申し上げたいと思います。
社会福祉連携推進法人については、法律に定められた社員の過半数要件に加え、議決権についても社会福祉法人を過半数とするべきであろうと考えております。
また、地域住民の方々の意向をしっかり反映させるためには、設置される評議員会の実効性を高める具体的な施策が必要であると思います。
また、参画法人間の資金貸付に関しても、社会福祉法人の公益性・非営利性を損なわない設計とするべきであると思います。
最後に、今後の対応として全国社会福祉法人経営者協議会では、このガイドラインに則って地域社会の実情に応じた事業を効果的かつ継続的に展開することを目的として、「社会福祉法人における事業展開の指針」、これは仮称でございますけれども、合併・事業譲渡・連携法人制度を含む事業展開の推進方策を示すとともに、我々の業界団体がガバナンス・コードの性格を併せ持った指針とすべく現在検討を進めているところでございます。
国においてもこういう業界団体の取組を後押ししていただき、適切なルールづくりに向けて今後、ぜひ検討を継続していただきたいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
松原委員と同様、社会福祉法人制度の公益性・非営利性を担保するために業界としても努力するけれども、役所においては今後、これがルール化されるようしてほしいという極めてはっきりとした意見でした。
ありがとうございます。
このガイドラインをめぐって、ほかに御意見はいかがでしょうか。
荒井委員、お願いします。
○荒井委員 先ほど、御説明を頂きましたけれども、いろいろと制約がある中で取りまとめになられたということで、その御苦労だとしたいと思っております。
社会福祉法人の経営の仕方というか、これが正直よくあまり分からないので、企業の合併とか事業譲渡のときと比べてどうなのかというのが、実は若干気になったことがありまして、通常、会社の合併とか事業譲渡ですと、やはり当事者間の意思の一致というのをどうやって図るのかということが一番大事になってきていまして、そうすると経営者というか社会福祉法人の理事長さんになるのですか、そこの役割みたいなものが非常に合併とかのときには大きくなってくるということであります。
事業展開はもともと公益性が高いのだと思いますけれども、合併した後の地域での事業をどういう展開していくのかとか、あるいは従業員の雇用の関係とかもありますので、そこは合併なり事業譲渡する両方の当事者が、経営の理念を共有できるかどうかというのが成功するかどうかというところの大きなポイントかなと思っていまして、そういう意味では経営者同士が、理事長さん同士が直接会って話をするような相互の信頼感の醸成みたいなものというのが、組織をいじるときには非常に大事になってくるのかなということがあると思っています。
それから、秘密保持も非常に大事で、やはり組織の存続に関することになるので、非常にセンシティブな話ですから、通常は必要最低限の人間だけで関与して進めるということなので、そういったハウツーと言っていいのか分かりませんけれども、そういったことを合併したいという当事者の方々にお知らせするといいのかなと思っています。
もう1点、事業譲渡の方が多分、多いのだと思います。調査のデータを見ても事業譲渡の方が多かった感じですけれども、当然、評価の問題、どうやって評価をするかという話になってきます。
これは御参考までですけれども、企業の場合ですと通常、売手側が会社の純資産を時価評価をしてプラス何年分かの利益を上乗せして売ります。買う人はいませんかということになって、それに対して、では買いましょうかということになるのですけれども、そこで一旦、基本契約みたいな形で結んで、その後、買手側がデューデリをするのです。ここはもうプロの世界で、弁護士さんだとか会計士さんなどの方々にデューデリをしていただくということになるので、そういうプロセスを、今回、マニュアルの方も少し中身を拝見して、そちらの方には少し書いてあるのですが、マニュアルの方は担当者向けという位置付けになっていますので、本当は多分、経営者というか理事長、役員の方々にも見ていただいた方がいいのかなと思っています。
これからこういう組織の再編のニーズが増えてくると思いますので、そのニーズの増大に合わせてより中身が進化していくようなことを期待したいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
特にプロセスについての御説明がありました。
藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 藤井でございます。よろしくお願いいたします。
松原委員の方でおっしゃっていただいたように、今回、御検討いただいたのが現行法を前提として置かれて、手続規定しかないという状況の中で、一般法で規定されているものは不十分であると平田委員もおっしゃいましたけれども、そういう中で評議員会の議決事項に追加するであるとか、情報公開、あるいは地域の意見を聞く機会を設けるということをガイドラインで設定していただいたことは、非常に大きな進歩だと思います。
私も、この部会の方で事業譲渡の方が現実性があるので、ぜひ検討を進めてほしいと発言をいたしましたけれども、松原委員をはじめ参加された方によって一歩進んだと思っております。
ただ、今、荒井委員がおっしゃったような、現実にはノウハウといいますか、専門性といいますか、そういったものが高まっていかないと必要な事業譲渡が行われないのだろうと思います。
そのときに、社会福祉法人の事業を譲渡していくというのは、1つはこの検討会の前提にあります生産性の向上、人口減少社会で効果的な事業展開をどうやっていくか。分かりやすい例で言いますと、子供がほとんどいなくなってくるような地域の保育園をどうするかみたいな課題もあると思います。片一方で、地域福祉の展開、透明性や地域住民の参加ということも含みます。さらに言えば法人経営の自主性、自立性というものがある。こういう中で、企業がこれまで培ってきたような事業譲渡のやり方というものを、いかにうまく使っていくかということを考えますと、ここが提案なのですけれども、引き続き法制度の検討をしていかないといけないのではないかと思います。
その際には、実際に今後、事業譲渡というものが起こってきたときに、どういったことが課題になるかということに今回の資料3のガイドライン案の概要で、2ページ目の事業譲渡等のところの留意点において、事業所管行政庁への事前協議の実施ということで、これは事業譲渡というものが前提になるということで書かれているわけです。
現には、先ほど申し上げましたが子供がいなくなった保育園のようなところでかなり事業を減らしていかなければいけない。あるいは、事業所そのものを閉鎖しなければいけないというケースがあるようなことを考えますと、事業継続そのものというのも広く考えなければいけないだろうということもあり、そういった単に事業継続という面で、事業所管行政庁へ事前協議をしていただくよりは、やはり社会福祉法人の所轄庁が積極的に関与していただいて、それをしっかり都道府県、国の方まで吸い上げていただく仕組みをつくっていただいて、積極的にやるとともにどういった問題が起きるか、どうやれば推進できるかということも含めて、しかる後に法制度というものもきちんとつくっていくということが必要なのではないかと思っております。これが1点です。
もう1点ですけれども、適正な評価ということが、どうしていくかというのが非常に悩ましいことだと思います。
企業同士のことを考えますと、単純に資産価値というものを適正に評価するだけではなくして事業性ということで、いわゆるのれんというものをプラスマイナスにどう評価するかが重要なわけですけれども、これは私、福祉部会で申し上げましたように、のれんというものが入ることによって社会福祉法人の公益性というものが棄損される可能性がある。
これも、松原委員を中心にまとめられた中に、きちんと書いておられるわけでございますけれども、ただし、恐らく議論がいろいろあった中でまとめにくかったといいますか、結論を出しにくかったということで、例えば事業性の評価をするかどうするか。先ほどお話があったような、デューデリみたいなものをどうするかといったような、実際の合併をする上で非常に重要なことに一歩踏み込んで書ききれていないという部分があるかと思います。
さらに言えば、この社会福祉法人の公益性というものを考えたときに、どの程度まで資産を評価していくかといったようなことはまだまだ議論が尽くされていないように思います。
法制度、法を変えていくことと並行して、適切な評価をすることについても、所轄庁や地域住民等に情報公開されるにしても、やはりある程度、専門性や社会正義、あるいは社会福祉法人の役割といった観点から理解していく必要がありますので、その辺りをきちんと情報を踏まえつつ、適正な評価とは何かというナレッジがきちんと積み上がっていって最終的には制度改革に結びついていくようなものにしないと、適正な評価ということをして、やはり事業性が高いものに対しては高い値段をつけるということをしないと事業譲渡が進みにくいという理屈が片方にあり、片方でそれをやりすぎてしまうと社会福祉法人の非営利性というのが棄損されるということがあると思いますので、これは一般論で語り切れない。やはり各論ということでやっていかなければいけない問題ではないかと思いますので、引き続き適正な評価ということも御苦労なさって例が書かれていて非常に分かりやすいのは承知しているのですけれども、今後、このガイドラインが出ますと事業譲渡は活発化するのではないか私は思っておりますので、その辺り今後のフォローという点を充実させていただきたいなと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
今後のデータ収集や監督を通じて、いずれ法改正につなげようという御意見でした。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
1つ、私の言い方がもしかしたら誤解を与えたかもしれませんので、確認申し上げますと、私が先ほど申し上げた提案3点については、このガイドラインの中では触れられておりません。その理由は、先ほど申し上げた今回のガイドラインはあくまで現行法を前提にしているので、現行法の中では評議員会でちゃんと議決するべきだということを事業譲渡については書かれておりませんので、今回のガイドラインには含めていない。その理由は、現行法の中で行うという限界があったため。ここの場は福祉部会という場なので、改めて先ほどの3点を提案させていただきたいという位置付けです。
よろしくお願いいたします。
○田中部会長 ガイドラインを超えて福祉部会の委員としての、将来に向かっての意見ですね。
ありがとうございます。
三好委員、お願いいたします。
○三好委員 三好でございます。
これから人口減少、少子高齢化が進み年齢構成と共に地域も変わるわけでございますので、社会福祉施設等を含めて今後、進化をしていかなければならない。社会情勢に合わせて変化していかなければならないと考えますと、合併、事業譲渡は今後進むものと思っております。
以前に申し上げておりましたけれども、その際に法人所轄庁への事前相談というところを入れていただきました。さらには、利用者や職員に対する十分な説明と理解の促進ということも入れていただきました。これも大変ありがたいと思っております。
しかしながらとなりますが、やはり市町村は地域福祉計画をつくり、または高齢者福祉計画をつくり、児童についても障がいについても計画をつくってそれで対応してまいりました。地域住民のためにとのことで進めてまいりました計画です。それが合併、さらには事業譲渡という形で計画をつくった所管の市町村からひょっとすると施設等がなくなる。または、その規模が縮小するという懸念がございます。
今回のガイドラインの中で、これは資料4の8ページでございますけれども、所管についての「早期に事前相談に行くことが望ましい」という、「望ましい」という言葉になっております。また、これは行政庁の事前相談も同じく「望ましい」ということでございますし、さらには職員に対する十分な説明と理解の促進についても「職員の定着という観点からも重要である」という形になっております。
そこが気になる点でございます。少しの期間ガイドラインによる対応状況を見据える必要があると思いますが、対応が十分でないとしますと、明確に表現することができないかなという思いが1つございます。
もう1つは、これは行政庁、法人所轄庁の件であります。例えば法人所轄庁が都道府県の場合でしたら、施設は市町村に所在をいたします。これは行政庁同士の連携という形になるかもしれませんが、これまでの例から申し上げますと、これは行政の対応の問題かもしれませんが、法人所轄庁が都道府県であれば、都道府県で終わってしまうという形がこれまで数多くございました。
したがいまして、所轄庁と言いましても、施設が所在する市町村もありますし、法人を所管している所轄庁もございます。その辺を含めますと、やはり施設も含めた全体の所轄庁、関係する行政庁に何らかの形でも相談または連絡を明示する方法の検討をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
これは、今回のガイドラインに入れるべきとの御意見ですか。それとも、今回まずはこれを提出して、実態はさっき藤井委員が言われたように事業譲渡が進むと思うのですが、またしかるべき時期に次のバージョンに進んだ方がいいという御意見でしょうか。
○三好委員 現状でのガイドラインは了承させていただきたいと思います。
しかしながら、そういう懸念がありますので実態を含めて、これはガイドラインの案でございますので、このガイドラインを変えるようなことも含めて今後の検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 そうですね。これを実行して早期の、必要ならば改訂もあり得る。
ありがとうございます。
ほかに、よろしゅうございますか。
課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 御意見いただきましてありがとうございました。
松原委員、平田委員の御指摘、平田委員にはペーパーも出していただきました。経営協の団体の方で、新たにガイドラインをつくっていただくというのは本当に敬意を表したいと思いますし、我々もできるだけの支援、協力というものはさせていただきたいと思っております。
その上で、松原委員、平田委員も御案内のことで、御発言の中にはもう十分反映されていたので繰り返すことはないのですが、一応、社会福祉法の社会福祉法人の事業譲渡自体は、事業譲渡という言葉は明記はされておりませんけれども、基本財産ですとか、それに類するもの、定款変更に類するものについては、むしろ所轄庁の承認が必要だということになっております。こういったものは、評議員会の決議事項にもなっております。
御案内のとおり、中には基本財産に当たらない部分の事業譲渡についての御懸念ということは、おっしゃるとおりだと思っております。
今回、前回平成28年改正は、いわゆる公益法人改革につきましてほかの非営利法人との比較を見させていただいていますけれども、非営利法人の中でも公益社団、財団法人は確かに事業譲渡は届出という形式になっておりますけれども、これ自体は合併も含めて届出でございまして、合併の認可ですとか、基本財産等で認可という部分につきましても、むしろ社会福祉法人は厳しい部分もございます。
いずれにしても、藤井委員からもお話がありましたけれども、今回、このガイドラインはまず希望する法人の方々がどういうふうにやったらいいかということを示すために、手続部分も含めて、マニュアルも含めて整理していただきました。
かつ、座長であった松原委員のおっしゃったとおり、現行法を前提としてまとめたものでございます。合併、事業譲渡はおつけした参考資料2のデータにありますとおり、まだまだ数が多くありません。合併、事業譲渡を行ったことがあるというのは3%ないし9%ということで、87%は行ったことがないということになっています。
そういう意味では、まさに藤井委員に御指摘いただきましたとおり、実際にこのガイドラインを出してどういうふうに合併が進むのか、事業譲渡が進むのか、そこをまず把握していく必要があると我々は思っています。
把握した上で、例えば、他の非営利法人制度の制度改正ですとか、あとはそもそも把握した結果の立法事実等は十分検討しまして、対応というのは必要だと思っています。
そういう意味では、このガイドラインで終わったわけではございませんので、このガイドラインを進めさせていただいて、その上で実態をよく把握したい。その中で、所轄庁の方の状況も我々としては把握していく方向で考えていきたいと思っております。
これが、総括的なお答えでございます。
あと、荒井委員からお話がありました。相互の信頼感という、理事長同士の信頼感につきましては、概要等はガイドラインでも示させていただいていますけれども、やはり営利法人と違いまして、どうしてもこの事業自体は公益性がございますので、一般の株式会社とは若干異なる部分があると思います。そこは今回のガイドラインで示させていただいたと認識しております。
あと、藤井委員と荒井委員からお話がありました評価の問題。ここは実際、評価としましては法人外流出には当たらないような形で整理すると書いてありますけれども、実際どうしていくのかという部分については、かなり藤井委員に御指摘いただきましたとおり、個々の事例によるところがございます。ここはきちんと実態を把握していきながら、対応が必要かどうかを含めて検討していきたいと思っております。
三好委員から御指摘いただいた点でございます。8ページのところの事前相談の「望ましい」というのは、すみません。これは、合併、事業譲渡をトータルで表現してございます。
特に、合併もあるのでしょうけれども、よりその事業の存廃が関わるのが事業譲渡のところでございますので、そこは10ページの方の留意すべき事項のイの(ア)のところです。「事前に事業所管行政庁と協議を終えておく必要がある」と、ここはかなり強く書かせていただきました。
そういう形で、まさに三好委員が御懸念されたとおり、法人所轄庁だけで相談するのではなく、むしろ施設所轄の行政の方々がきちんとチェックする。ここが、ほかの例えば非営利法人とか株式会社と違って、そこがまた行政が所轄庁以外のところもチェックするというのが社会福祉法人の特徴であると思いますので、ここのところは十分整理はさせていただいたと思いますけれども、いずれにしてもまずはこれを進めさせていただいた上で、実態をよくよく把握して、さらに必要な対応を取っていきたいと思っております。
以上です。
○田中部会長 丁寧な説明、ありがとうございました。
今回、第一歩ですので、現行法を前提にこういうガイドラインですが、これを元に次のステップに進むという決意が伝わってきました。
また、委員の方々、発言をありがとうございます。
ほかに、もう1点ですか。どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 大変失礼しました。
1点だけ、平田委員からお話がありました連携法人制度の部分についてだけ、補足させてください。
連携法人につきましては、後ほどの次の議題にもかかりますけれども、2年以内の政令で定める日で施行となっております。この際には、十分皆様と御相談しながらこの施行の準備をしたいと思います。
その中で、平田委員から御指摘いただきました連携法人3点は、いずれも去年まとめていただきました検討会報告書に明記されておりますので、その検討会報告書に沿った形で施行の準備をしたいと思っております。
また、ガイドラインも今回、連携法人自体は施行の前なので入っておりませんけれども、当然これが施行されましたらこのガイドラインの中には連携法人も明記するような形で変えていきたいと思っております。
すみません。以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
本件については、ほかによろしゅうございますか。
それでは、将来の展望まで含めて議論をいただきありがとうございました。
ガイドラインそのものについては、様々な意見があり、そもそも委員長から将来に向かってのコメントもありました。それらは議事録にとどめる形にとどめ、ガイドラインそのものは今回の提案でよいということでよろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田中部会長 皆さん、うなずいていただいたと画面を見て判断いたします。
ありがとうございました。
次の議題に移ります。
続いて、資料1及び資料2について、事務局から説明をお願いします。
○高橋総務課長 総務課長でございます。
私の方からは社会福祉法等の改正法についての報告でございます。
昨年末の前回の福祉部会以降、私どもにおいては制度改正の立法作業を行いまして改正法案を国会に提出し国会での御審議を経まして、先月法案が成立いたしました。
この場をお借りしまして、福祉部会それから検討会において、御検討いただきました委員の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
では、資料1の表紙をおめくりいただきまして、これが法律の全体像ということになります。
法律の題名はスライドの一番上にありますように、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」という法律名になっております。このように、法律名にも地域共生社会の実現という目的を明確にした上で、社会福祉法それから介護保険法、老人福祉法その他の法律を一括して改正する法律という構成になっております。
この法律の中身、改正の概要というところでございますけれども、改正項目1ポツから5ポツまで5つの改正項目として整理させていただいております。
このうち、福祉部会に関係する部分が赤い線で枠囲みした部分でございます。それ以外の事項につきましては、介護保険法等の改正内容でございますので、説明は省略させていただければと思います。
では、1枚おめくりいただきまして、まず改正項目1でございます。
スライドの真ん中辺りにありますように、「社会福祉法に基づく新たな事業の創設」ということでございます。相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援、この3つの支援について分野別、あるいは縦割りではなくて包括的、重層的に支援する体制というものを市町村で整備する事業ということで法律上、位置付けております。
真ん中のところに書いてありますように、事業実施の際にはこの3つのⅠからⅢの事業は全て必須とした上で、新たな事業は実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意の事業ということにしております。
下の方の「新たな事業の全体像」というところで、イメージを書かせていただいております。
右下の方に、財政面の話ですけれども、現行ですと高齢分野の相談、障害分野の相談、子ども分野の相談、生活困窮分野の相談、それぞれの補助金というのが制度ごとに交付されているわけでございますけれども、これにつきまして一体的な執行を行うことができるようにしまして、市町村の事務手続等の負担の軽減が図られるようにしております。
施行時期につきましては、来年4月からということにしておりまして、現在、私どもの方では来年4月の施行に向けた作業を進めているところでございます。施行に当たりましては、市町村との意見交換等も重ねながら来年4月に円滑に施行できるよう努めてまいりたいと考えております。
それから、2つ目の改正事項が、改正項目4ポツの介護人材確保の関係になります。
スライドの下半分にありますように、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の延長であります。
平成28年の社会福祉士及び介護福祉士法の改正におきまして、令和3年度の養成施設の卒業者までは経過措置が適用されるということになっておりましたが、今回の法律改正により令和8年度の卒業者まで経過措置を延長するということになっております。
最後の改正項目が「5.社会福祉連携推進法人制度の創設」であります。
社会福祉法人間の連携方策としまして、新たな選択肢の1つとして、非営利連携法人としての社会福祉連携推進法人制度を法律上位置付けております。社会福祉法に規定を設けております。
この連携推進法人制度で想定される業務につきましては、スライドの四角の中の【社会福祉連携推進業務】というところに書かれておりますように、地域共生社会の実現に資する業務、災害対応に係る連携、経営支援、資金の貸付け、福祉人材不足への対応、設備、物資の共同購入ということを想定しています。
これ以外にも一番下の※に書いてありますように、社会福祉連携推進業務への支障を及ぼす恐れがない範囲で、これ以外の業務についても各連携推進法人の実情に応じて実施することが可能としております。
この連携推進法人制度の施行期日につきましては、先ほど福祉基盤課長からもありましたように、公布の日から2年以内で政令で定める日としております。
報告は以上になります。
○田中部会長 総務課長ありがとうございました。
1ポツの共生社会については、宮本先生の座長の下に熱く討議したのを思い出しました。
資料2もお願いいたします。
○川端福祉基盤課福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
続きまして、関連するものでございます。
資料2「介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置の延長」に係る、今後の対応につきまして説明申し上げます。
先ほど総務課長から説明申し上げましたとおり、介護福祉士養成施設卒業者に対して講ぜられておりました国家試験義務付けに係る5年間の経過措置の延長規定が、さらに5年間延長されております。
この部分の規定でございますけれども、改正法の公布と同時に施行されたところでございます。
先の国会では、法律案に対しまして附帯決議が付されておりまして、これを着実に実施していく必要がございます。
お手元のペーパーを御覧いただければと思いますが、具体的には衆議院厚生労働委員会におきまして、六、七、八とございますが、大きく3つございまして、この六の部分でございますが、「介護人材を確保しつつその資質の一層の向上を図るための方策に関し、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の終了に向けて、できる限り速やかに検討を行うこと。また、毎年、各養成施設ごとの国家試験の合格率など介護福祉士養成施設の養成実態を調査・把握の上、公表し、必要な対策を講ずること」とされております。
2点目でございますけれども、七の部分ですが、「今後、必要となる介護人材を着実に確保していくため、介護福祉士資格の取得を目指す日本人学生及び留学生に対する支援を更に充実させること」とされております。
3つ目の八のところでございますけれども、「准介護福祉士の国家資格については、フィリピン共和国との間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、フィリピン共和国政府との協議を早急に進め、当該協議の状況を勘案し、准介護福祉士の在り方について、介護福祉士への統一化も含めた検討を開始すること」と決議されたところでございます。
また、参議院の厚生労働委員会に置きましても、大きく3つございますが、経過措置終了に向けて直ちに検討を開始し、必要な政策を確実に実施すること。また、国家試験の合格率など養成施設の養成実態・実績を調査・把握の上公表すること。また、過去についても可能な範囲で公表し必要な対策を講ずることとされてございます。また、介護福祉士資格の取得を目指す日本人学生、留学生に対する支援を充実させること。このように決議されているところでございます。
こうした決議を踏まえて、この紙の真ん中より下の部分になりますけれども、【今後の対応】について、御説明したいと思います。
政府としましては、これを受けて今後、経過措置はあくまで暫定的なものであるという前提でその終了に向けこの間、養成施設の教育の質を上げ国家試験合格率を高めていく方策を講じていきたいと考えてございます。
具体的には養成施設ごとの国家試験合格率を公表する仕組みを新たに実施したいと考えております。各養成施設の受験者数・合格者数・合格率を新卒・既卒ごと、あるいは日本人受験者・留学生受験者ごとそれぞれについて公表し、併せて未受験者を減らすために養成施設の受験勧奨を促進する観点からも、養成施設ごとの卒業者数も公表し、受験者数と比較できるようにしていきたいと考えてございます。
また、こうした養成施設の取組を国としても後押ししていくことが必要と考えてございます。
とりわけ、合格率の低い留学生の合格率向上に向けて、留学生向けの介護福祉士試験対策教材の作成、あるいは留学生の指導方法等に関する教育の手引きの作成、また教員の異文化理解の教育・研修受講などに必要な経費、こういったことを国としても支援していきたいと考えてございます。
加えて、国会の審議では介護福祉士の果たすべき役割を明確にして、資格の価値を高めていくことが必要。また、福祉系高校についての支援の重要性についても議論がなされました。そうしたことを踏まえまして、質の高い介護人材を確保する観点、将来の介護を担う人材確保の観点は極めて重要であると考えておりまして、今後、職能団体、あるいは事業者団体の協力を得て介護福祉士のキャリアの実態調査と調査結果に基づくキャリアモデルの検討を行っていくとともに、福祉系高校につきましても将来介護を担う人材を地域に密着して育成することの重要性に鑑みまして、学生を確保していく観点からも支援の在り方を検討していきたいと考えております。
以上、この経過措置に係る今後の対応について御報告申し上げます。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
資料1、資料2を課長と室長から説明いただきましたが、これについての御質問、御意見があればお願いいたします。
西島委員、どうぞ。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
2点ございまして、まず1つは、改正の概要1番目、「地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援」というところですが、これに関しましては、新たな福祉提供ビジョン以降、継続して審議した結果やっとここまで来たのかなと感じております。
このたび、これを実現すべき法改正が行われておりますので、ぜひ全市町村において包括的支援体制が整備されていくことを切望しております。
ここで何度も議論されたのですが、段階を踏んでということもあるのでしょうが、今回は手挙げに基づく任意事業ということですので、どうしても市町村により格差というものが出てくると思います。
国民が、この体制が整備されて安心して暮らせるということが必要ですので、ぜひ国、都道府県において財政措置、助言等により支援いただきたいと思っております。
併せて、今回、参議院の附帯決議でこの包括的な支援体制構築に関しまして、重層的な支援体制整備事業を実施することに当たっては、社会福祉士や精神支援福祉士が活用されるよう努めることと附帯決議をしていただいております。私たちが提案、要望してきた内容と一致しております。私たちはしっかりと、この附帯決議に答えられるよう、現任者の知識、技術を高めるとともに、地域共生社会の実現に向けたスーパービジョンを担える人材の育成に取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、2点目ですが、先ほど説明がございました介護福祉士のところですが、こちらも附帯決議のところで示されておりますが、今回、あくまでも暫定的であって経過措置の終了に向けて取り組んでいただけるということですが、繰り返し延長されることがないように進めていただきたいと思っております。
実は今回、改正の中で介護人材確保という問題は今、現場で大きな問題になっております。その要因の1つとして、やはりその介護の仕事の魅力であったりその位置付け、そういう意味では人材確保専門員会でも示されましたが、介護福祉士の富士山型のトップマネジメントを示した図があります。あまり前回の議論を繰り返すつもりはないのですが、今後の対応の中でも示されているように、介護福祉士の果たすべき役割を明確にし、資格の価値を高めていくことが介護の仕事の魅力にもつながっていきますし、待遇も合わせて人材の確保にもつながっていくと思いますので、ぜひ、このことに全力を挙げて取り組んでいただきたいかなと思っております。
以上、2点になります。よろしくお願いいたします。
○田中部会長 ありがとうございます。
川井委員と今村参考人が手を挙げていらっしゃいます。
川井委員からお願いします。
○川井委員 よろしくお願いします。
西島委員、どうもありがとうございました。
質問が1点と意見が1点。2点お願いいたします。
まず、資料2のお話をさせていただきます。資料2にありますように、衆議院厚生労働委員会附帯決議で「介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る経過措置の終了に向けて、できる限り速やかに検討を行うこと」となっています。それから、衆議院厚生労働委員会附帯決議でも、先ほどから御説明いただいていますように、「国家試験義務付けに係る経過措置については、本来速やかに終了させるべきものであることに鑑み、その終了に向けて、直ちに検討を開始し、必要な施策を確実に実施すること」とされています。
本日の資料でこのことにつきまして、各養成施設の受験者数とか合格者数、それから合格率を公表することについては具体的に示していただいているのですけれども、附帯決議にありますように、経過措置終了のための検討についてということ。これにつきまして、具体的にどのように今後、進めていただけるのか、その点をお聞かせいただきたいというのが1点です。
それから2点目ですけれども、これは【今後の対応】のところになります。
今後の対応として示されました経過措置は、あくまで暫定的なものであって、この間、「養成施設の教育の質を上げ、国家試験合格率を高めていくことが必要」。こういった記述になっています。
ただ、養成施設の教育の質が低いから国家試験の義務化延長になったというふうに、私たちが読むと読み取れます。
その下に記載された「養成施設の教育の質の向上に係る取組について」の内容は、外国人と留学生のことだけが示されています。ですから見出しも「経過措置はあくまで暫定的なものであり、この間に、養成施設入学者の状況を踏まえた教育展開をし、外国人や留学生の国家試験合格率を高めていくことが必要。」などと外国人や留学生にフォーカスしたものにすべきではないかというのが意見です。
今回の検討で、養成施設の教育の質が低いという議論は、私はなかったと思っています。養成施設の教育の質そのものに疑念を抱かせるような記述というのは、ぜひ文言の修正をお願いしたいと思います。
以上です。
○田中部会長 では、質問のところにお答えください。
○川端福祉基盤課福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
川井委員から頂きました御質問、今後の検討をどのように行っていくのかということでございますけれども、まさにこの法律自体がもう既に改正法公布と同時に施行されているということで、直ちに検討ということでございますけれども、その上で、今、具体的に検討を進めていくわけでございますけれども、では今まず何ができるのかということで、やはりこの国会での議論もございましたし、いろいろなところで御議論いただいたこうした合格率の公表の仕組みをきちんと設けて実施していく。この実績というのがまだこれから見えてくるわけでございますけれども、この実施状況を見ながらさらなる必要な政策を打っていくということになろうかと思っております。
また、繰り返しになってしまうのですけれども、この公表の仕組みを単に設けるだけではなくて、国としてもしっかり支援をしていくということで、この経過措置の間、まさに繰り返し延長にならないように、終了に向けて不断の検討を行っていくというふうに考えてございます。
また2点目、御意見いただいたところでございますけれども、ちょっと読み方によってはそういう委員の御懸念の形があろうかと思いますが、ここで申し上げているのはやはり合格率を高めていく。まさに外国人の方々が中心で議論があったわけでございますけれども、こういった方々の今後、外国人の方が増えてくる中で、新たに教育をしっかりしていく、そういった意味での質の向上もありますけれども、やはり日本人の方々も含めて、これから多様な働き方ですね。介護助手の方々が入ってきたりですとか、いろいろチームケアの重要性というものも出てきますものですから、そういったことももろもろ踏まえて一層、引き続き教育の、外国人の方も含めて質を上げていきたいという趣旨でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
今村参考人、お願いいたします。
次に、奥山委員、お願いいたします。
○今村参考人 ありがとうございます。
日本介護福祉士会の今村です。
西島委員、川井委員に続いて、介護福祉士の件について発言をさせていただきます。
本会としましては、前会長の石本もこの部会で都度発言をさせていただき、厚生労働省に提出した要望書でも資格取得一元化は速やかに行うべき、また、確実に行うべきと一貫して申し上げてまいりました。改めて、延期決定は遺憾であります。
先の国会でさらに5年の延期が決まったわけでございますが、残された期間、いわゆる暫定的な経過措置期間の中で、衆参両院の附帯決議を踏まえつつ介護福祉士の資格、そのものの価値を高めることが必須であろうというふうに考えております。
今回の延期の議論についてですけれども、先ほどから出ておりますように外国人留学生に関する課題を中心に議論されてきた結果と理解はしておりますが、本来的には日本人、外国人を問わず、介護福祉士を目指す機運が高まることが重要であり、そのためには先ほど室長からの御説明にもありましたように、介護福祉士の資格そのものの価値や制度上の役割、位置付けが明確になっていくことが必要であろうかと思われます。
そのためには、関係団体をはじめとする本日お集まりの皆様の御協力を得ながら、介護福祉士という資格そのものの価値を一層高めるよう努めてまいりたいと思っております。
国におかれましては、その本質的な議論が継続的に行われるための力強い御支援をお願いいたします。
以上でございます。
○田中部会長 業界団体としての決意も含まれていました。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員 全国福祉高等学校長会の奥山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、第23回、第24回の部会では、全国福祉高等学校長会として介護福祉士国家試験の受験義務付け延長に反対の意見を述べてまいりました。
しかし、再び5年延長を余儀なくされたこと、また衆議院厚生労働委員会において厚生労働大臣にその議事録をお読みいただけていなかったことが明らかになりました。大変、残念に思うところでございます。
そのような中ではございましたが、全国福祉高等学校長会は、高校で福祉を学び介護福祉士を目指している生徒やその保護者の方々、既に卒業して介護の現場で日々尽力されていらっしゃる介護福祉士の方々、高校福祉教育に携わる先生方の署名を提出させていただくことができました。
介護福祉士資格取得の一元化に向けた熱く強い気持ちをお受け取りいただけたこと、感謝申し上げたいと思います。
福祉高等学校は、平成19年の改正において養成施設ルートと同等の条件を満たすことを求められ、大変な努力を重ねてまいりましたが、232校あった福祉系高等学校は107校に激減し、介護福祉士国家試験受験者も9,000人台から3,000人台となりました。
このような厳しい状況の中ではありましたが、合格率も現在80%台後半にまで維持できるようになりました。
地元の福祉、介護を担う貴重な存在となっていることは今までにもお伝えしてきたとおりでございます。
その際に、前回の法律改正に当たっては衆議院、参議院の厚生労働委員会において介護職員の社会的地位向上のため介護福祉士の養成施設ルートの国家試験受験義務付けを確実に進めるとの附帯決議が行われており、国は養成施設ルートの国家試験受験義務付けを遵守することが求められていたことを述べさせていただいております。
しかしながら、今回も延長という結果になり、参議院、衆議院の厚生労働委員会において附帯決議が行われ、今後の対応が示されています。
資料2を御覧いただいた通りでございますが、衆議院厚生労働委員会、令和2年5月22日においては、国家試験の義務付けに係る経過措置の終了に向けて、できる限り速やかに検討を行うこと。毎年、各施設ごとの国家試験の合格率を公表すること。介護福祉士資格の取得を目指す日本人学生及び留学生に対する支援をさらに充実させることとございます。
参議院厚生労働委員会、令和2年6月4日においては、国家試験義務付けに係る経過措置については、その終了に向けて直ちに検討を開始すること。各養成施設ごとの国家試験の合格率など、可能な範囲で過去に遡って公表し、必要な対策を取ること、また、介護福祉士資格の取得を目指す日本人学生及び留学生に対する支援を充実することとございます。
併せて今後の対応では、経過措置はあくまで暫定的なものであり、養成施設ごとの国家試験合格率を公表すること。福祉系高校について将来の介護を担う時代を地域に密着して育成することの重要性に鑑み、学生を確保していく観点から育成の在り方を検討することとございます。
そこで、全国福祉高等学校長会として、次のとおり意見を述べさせていただきます。
まず、この部会の意義について御確認をお願いします。衆議院厚生労働委員会において、厚生労働大臣が第23回、第24回の議事録をお読みいただいていないということでした。法改正に関わる部会の議事録ですから、必ずお目通しいただき御理解いただいた上で御審議をお願いしたいと思います。
次に、衆議院、参議院の両厚生労働委員会における附帯決議を確実に実施していただくことをお願いいたします。
1点目です。介護福祉士資格取得の一元化の再度延長は断じて行わず、5年延長後には決定どおり介護福祉士資格取得の一元化を実施すること。再度と申し上げましたが、本来は速やかに終了させるべきものが5年延長により四半世紀近く延びてまいります。実際は再度どころではございません。確実に実施をお願いいたします。
2点目です。各養成施設ごとの国家試験の受験権者数・合格者数・合格率を可能な限り遡って速やかに公表するようお願いいたします。それぞれの事柄については既に終了しているところでございますので、データを収集して公表が可能であると存じ上げます。
3点目です。今後の対応にございますとおり、福祉系高校について将来の介護を担う人材を地域に密着して育成することの重要性に鑑み、学生の確保の観点から支援の在り方を検討するとございますとおり、迅速な御検討と御支援をお願い申し上げます。
実は福祉系高校では現在、喫緊の課題として新型コロナウイルス感染拡大防止のために、その対応のために郊外での介護施設等における実習を中止または延期して、校内実習に切り替えている学校が多数ございます。高校の施設設備には限りがございます。また、新たな予算も厳しい現状に各学校が苦慮しております。高校の介護福祉士養成が行き詰まることがなく進められ、高校生が介護福祉士国家試験を確実に受験できるよう御支援くださるようお願いいたします。
そこで、国会の附帯決議及び今後の対応にございますとおりに、迅速かつ確実に実施を進めて、いつまでに何をどこまで実施して推し進め5年後には確実に介護福祉士国家試験の受験を一元させていくのか、対応スケジュールをお示しくださるようにお願いいたします。
全国福祉高等学校長会からは以上でございます。
ありがとうございました。
○田中部会長 大変強い御要望をいただいたと存じます。
今、今日お答えを求めているわけではないですよね。
○奥山委員 はい。
○田中部会長 御意見として承りました。事務局もしっかり聞いたと思います。
井手之上委員、お願いします。それから白澤委員の順でお願いします。
○井手之上委員 井手之上です。
機械が調子悪くしばらく切れていました。その間の議論が聞けていないので、的外れな話になるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
1つ目の地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括支援体制の構築の件でございますけれども、これにつきましては国会の附帯決議でもより多くの市町村で重層的な支援体制整備事業が円滑に実施される予算の確保が掲げられております。
この事業ですが、地域共生社会を実現するため必要であり、重要な事業だと私どもは認識しております。全ての市町村で速やかな取組がなされることが必要であると思います。
それから、具体的な相談窓口ですけれど、できるだけ自分の身近なところで設置されるのが望ましいかなと思っております。
実施主体が市町村ということになっておりますけれども、各市町村がちゅうちょすることなく取り組めるように、十分な予算措置をぜひお願いしたいと思います。
具体的な実施に当たりましては、市町村社協がこの事業の受託を含めて大きな役割を果たすのかなと私は思っております。
ただ、社協の体制のことを申し上げると非常に脆弱でございまして、正規職員4割にとどまっている状況です。いろいろな事業を展開するには非常に厳しいものがあるということがございますので、この予算の措置について十分な対応をお願いしたいと思っております。
それからこの事業が円滑に実施されますように、都道府県におきます支援体制の強化も図られるよう対応をお願いしたいと思います。
事業の実施に当たりましては、それを担うマンパワーの確保が非常に重要であると思います。豊富な知識と経験を積んだ人材。この確保が何より大切であると思います。附帯決議を見ますと、社会福祉士や精神保健福祉士の活用ということも提言されているところでございます。加えまして、正規職員が対応できる予算措置、これをぜひともお願いしたいということと、資質確保を図るということが大切ですので、適切な研修の実施についてもお願いしたいと思っております。
これまでの相談と言いますと、相談者とせっかくつながりができても切れてしまうということが多々ございました。相談者が元の生活に戻ってしまうということがあったわけでございますけれども、そういったことが大きな課題であると私は思います。そういった意味で、継続的につながり続けられる伴走機能、そのための仕組みを打ち出しておられています。これについては非常に期待したいと思います。
以上です。
○田中部会長 御要望含め御意見ありがとうございました。
では、白澤委員、お願いします。
○白澤委員 白澤でございます。2点ございます。
1点目は、重層的支援体制整備事業についてでございますが、私はまず、こういう複合的な問題を持っている家庭に対応していく仕組みをつくっていただいたことにまず敬意を表したいと思います。
ただ、気になっているのは、2ページに「現行の仕組み」で高齢分野の相談から生活困窮者分野の相談までございますが、どこまでが拾える、そういう8050みたいな問題を拾えるような仕組みにしていくのか。これは市町村によるとなっているわけですが、その辺りが各市町村でうまく全体的な相談体制を取り込んだものにできるのかどうか。そこら辺にもう少し国としてのサポートが要るのではないかと思っております。
同時に、そういう属性や世代を問わない相談みたいなものは大変難しい支援でもあります。あるいはそれを合わせて地域づくりまでするということでございますから、人材というのは大変重要かと思います。
今回は財源の議論がメインでございますが、その人材をどうつくるのかということにつきましては、先ほどいろいろな先生方の御意見がございましたが、ぜひその辺りを焦点に当てて、各市町村でやっていただく仕組みをつくっていただきたいというのが1点目でございます。
2点目ですが、これは介護福祉士の問題でございますが、経過措置の延長というのは今回でもう終わるということについて、皆さん方からいろいろな御意見がございましたが、そのとおりだろうと思います。
しかし、私はこの経過措置の今後の対応ということを実行すれば本当にそれが全部うまくいくのかなという気がしないでもならないわけです。それはいろいろな問題が背景に延長したわけであります。
1つは、外国人留学生の問題。あるいは、介護人材が足らないという問題にどう対応していくのか。そのようなことを考えると衆議院の附帯決議の中で、これはフィリピンに限っての議論をされているのですが、社会福祉士及び介護福祉士法には准介護福祉士というものが位置付けられているわけです。これをきちんとどういうものなのかを位置付けて、そしてやはり介護福祉士という国家資格をきちんと守っていきながら外国人の方々も働けるような仕組みをぜひ考えていただきたいと思います。
これは2点とも意見ということで結構でございます。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
大切な点ですね。
堀田委員、佐保委員の順でお願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
資料1の包括的支援体制構築に関連させつつ、地域共生に関連して大きく3点申し上げたいと思います。
1つ目は何人かの委員から既に御指摘がありましたが、これから手挙げで始まっていくということで、特にその先進的な自治体、あるいはその後の波でもいいのかもしれないのですけれども、それぞれの市町村がどのようなプロセスでこれに取り組んでいかれようとしているのかということのプロセスをしっかりと見える化して、それで効果的な都道府県支援につなげていく必要があるのではないかということです。
とりわけ、この見える化を行っていく上で、3つ気をつけるといいかなと思っています。最初の2つは特に、それぞれの町内でどういうふうにやっていくかということです。
1つ目は、まずこの包括的支援体制の構築ということを考えていきますと、その設計プロセスの中で対人支援の領域でも今回の介護、障害、子ども、生活困窮とか福祉施策だけではなくて、母子保健とか教育行政とか、それから、権利擁護とか更生支援とか様々な施策でそれぞれの地域でどういう事業が展開されているのかということを棚卸をして把握しながら既存のリソースを生かした形で効果的に展開するということになると思いますので、まずはその対人支援に関わる事業の棚卸と効果的な機能の発揮という視点でどのような整理が行われているのかという視点。
2つ目は、さらにこの対人支援ということを超えて、昨年度の社会福祉推進事業の中で、神野先生の御指導をいただきながらやっていったことなのですけれども、この3つの機能に関連して、これは厚生労働省で今日議論をしていますけれども、ほかの省庁でも地方創生とか都市計画交通とか住宅とか地域循環共生圏とか自治とか教育とか、いろいろな視点から共生に通ずるような議論ということが行われていて、御存知のようにいろいろな政策が展開されているということです。
先ほどもどなたかの委員がおっしゃっていましたが、比較的まだチャレンジが残されていると考えられるだろう3つの機能の中でも、この地域づくりのところに関わる支援というのは、結構、対人支援領域以外の既存の施策で幅広くいろいろなアプローチが行われているということもあって、つまり庁内で部局を超えてどうやって地域共生ということに関わる共有する倫理みたいなものを持ちながら、この一体的な、そして、未対応の支援ということにつなげていくかという、対人支援領域での棚卸、さらに部局を超えて対人支援だけではない形での棚卸と、そこでの倫理をつくりながらというところの視点が2つ目。
3つ目は、今回とりわけ地域福祉というものが制度の中でも展開されている福祉と、それからまちづくりをどうやって媒介するかというようなところも試されているときだと思うので、そういった視点からプロセスの見える化が必要なのではないかということが1点目です。
2点目、3点目はすぐさまということではないのですけれども、2つ目は改めてこの共生ということを考えてみると昨年度の事業では共生ということを「コンヴィヴィアリティ」というコンセプトというか、いろいろな共生に関わる言葉って実は存在していて、自立共生、人同士、人と環境の自立的で創造的な交わりということで捉えてみたのですけれども、そのときに共生をもたらす土台みたいなものってどういうふうに考えればいいのだろうかということなのです。その共同性の回復みたいなものを、昨年度、私たちは2つ整理をしてみたのですけれども、改めてこの共生をもたらす土台という視点から、何か応援できることはないか。あるいは邪魔しているものを取り払うということはできないのかを並行して考えていく余地が残されているのではないかと思っています。
我々は、ケアの思想と共感に基づく共同ということと、相互扶助と地域資源、経済循環ということでひもといたのですが、そういう発想も必要かなと思いました。
最後3点目なのですけれども、これは資料1の1のみならずという感じなのですが、この地域共生ということを考えていくときに、改めてサービス供給の原則というのが、一応、普遍主義の理念を打ち出しながらこれまでも進められてきていると思うのですけれども、改めてこの包摂とか共生ということを考えると、これを原則をどう考えるのか。あるいはその中での国家の役割はどうあるべきなのかみたいな議論を避けて通れないと思っていて、もしかするとその辺りの実証的な研究も必要なのではないかと思うのですが、議論を詰めていく必要があるのではないかと思っています。
2点目、3点目は少し中長期的な課題ですけれども、意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○田中部会長 課題の提起、アドバイスありがとうございました。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 連合の佐保です。ありがとうございます。
私からは簡潔に2点申し上げたいと思います。
1点目は衆参附帯決議でも挙がっていますし、今まで皆さんからも御意見があった介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置の延長についてというところになりますが、本来、速やかに終了するべきであることに鑑み、終了に向けて直ちに検討を開始して必要な施策を着実に実施していただきたいと考えております。
そのほかにも、衆参附帯決議の中にいろいろ適切な措置を講じるべきとされた部分がありますので、そういったものについてきちんと措置を講じていただきたいというのが1点目です。
2点目は、包括的な支援体制の構築について、これから先、財源の確保というのが必要ではないか。これは附帯決議でも挙げております。来年度の予算編成、概算要求が8月だったかと思いますが、これから年末に向かって来年度予算が編成されていくなかで、それに向かってしっかりと財源をつけていくこと。それから、既存のほかの事業に影響を及ぼさないような財源付けが必要ではないかと思っておりますので、こうした点を求めたいと思っております。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 2点、市町村の包括的な支援体制の構築と介護人材についてですが、介護福祉士は本当に各委員の方がおっしゃったように、繰り返し延長されたのは大変残念で、二度と延長しないようにということだと思うのですけれども、この資料にはないですが川井委員、白澤委員から出ましたように外国人に我が国の介護人材が依存していくという中で、介護人材確保、それから介護人材確保のために養成校というインフラをどう維持していくかという上で、外国人の方の比率が増えている中で国家試験を課すということが非常に難しいという背景があったと思うのです。
そうしますと、今後、繰り返さないようにするためには、外国人の方への教育といったものがどうあるかというビジョンが必要なのではないかと思います。
1点は、部会でも申し上げましたけれども、昨年度より特定技能というものが生まれておりますので、介護福祉士の試験に受からなかったとしても、特定技能という形で5年間滞在することができる。特定技能で5年間いる中で、介護福祉士にきちんと受かっていただく。介護の現場で介護をきちんと学び、知識もつけていただく。あるいは日本語も覚えていただくという中で、きちんと受かっていただくという支援が必要なのではないかと思います。
そういう意味では、いろいろ重要なことが書いてあると思うのですけれども、養成校に卒後の支援をきちんとやっていただくようなことをサポートすることが必要なのではないかと思います。
位置付けとすれば、卒業してインターンシップでいらっしゃって、国家資格を取ってから本格的に専門職として働いていただく。今後も、外国人の介護人材に頼るといったときに、養成校に入っていただいて介護福祉士を取っていただいて日本で働いていただくというのは、私は一番重要な道だと思いますので、それをきちんと生かすためにも養成校の方々に今、努力していただくのはもちろん合格率を日本人外国人別に出すということにもなっていくのだろうと思います。
一方で、どういった支援を卒後もやっていくか。これは特定技能が将来使えるようになるという前提で話しておりますが、今の段階からでも国家資格を受けていただくというのが、卒業後にとどまるだけではなくて卒業後にも受けていただいて、それが受かるような支援をしていただくといったようなことができないのかということを検討していただければと思います。
この外国人人材を受け入れるというのは、特に地方部においては外国人人材が参加する地域づくりという側面もあると思いますので、そういった面も含めた上で扱っていただければと思います。
これは意見です。
それから、市町村の包括的な支援体制の構築についてということなのですが、断らない相談ということがついておりまして、断らないというのはやはり少なくとも日本の福祉では非常に重要な概念だと思うのですが、それが今のように多様な参加があり多様な専門性があるという中で、あらゆることを抱え込んでしまうということにつながっていると、これは問題なのだろうと思います。
専門性というものを考えたときには、やはり多様な専門職、あるいは堀田委員がおっしゃったような対人支援セクターであるとかそれを超えるような部局の棚卸ということも必要なのだろうと思います。
それを考えるときに、これは市町村手挙げ方式ということで結構だと思うのですけれども、日本型の地方分権というのは市町村にかなりの分野をお任せしつつ、それに国がしっかり関与していくというところもあると思いますので。その部分をどうしていくかといった際に、モデル等を示すというのもあると思うのですけれども、実はこういった制度ができますよという話を現場の方々と話すと御存じでない方の方が圧倒的に多くて、今後こういうのができるのだけれどという話をしますと、それは大変いいことだと。しかし、うちの市町村ではやらないだろうといったところで止まってしまうことが多いのです。
市町村の側も、やはり社協に頼るというのが1つの、社協が重要なプレーヤーであることには変わらないと思うのですけれども、白澤先生おっしゃったような埋もれたニーズに対応するとか、あるいは多様なニーズに対応する事自体が難しいわけですから、多様な参加とかと言ったときに、社会福祉士、精神保健福祉士の専門職だけではなくて、あるいは保健師とか保育士も入ってくるかもしれませんけれども、一般の社会福祉法人やNPO事業所の側からぜひやってほしいと、こういうことをやりましょうよという提案を市町村の側にしていってもらう。
市町村側はそれをきちんと聞くといったようなことを国の方から受け身に回るのではなくて、自分たちがやりたいようにやるというだけではなくて、きちんと地域のそういう専門職とか2000年以降多様なプレーヤーが生まれておりますので、堀田委員のおっしゃったような町内の教育委員とか保健センター、保健所だけではなく、それを超えた様々な部署からの棚卸というか、耳をきちんと傾けるということを国の方に方向性としてお示しいただいて、市町村がリーダーシップを取るということはあると思いますけれども、そのリーダーシップは全て市町村が頑張ってやれるものでもなければ、やるべきことでもないと思いますので、いかに地域の資源というものに主体的になっていただくかという進め方を今後、いろいろなツールをつくっていかれると思いますので、そういった際にはよろしく御検討いただければと思います。
以上です。
○田中部会長 国の役割にも触れていただきました。ありがとうございます。
鴻江委員、お願いします。
○鴻江委員 私は2番目の養成施設の経過措置についてですけれども、全国老施協としてはこの経過措置をお願いした経緯がございまして、これは大変感謝申し上げたいと思います。ただ、多くの方々がおっしゃっていたように、特に藤井委員からございましたけれども、我々としても施設で勤務する際もしっかりとした質を担保していく、育成に努めていかなければならないということを会員の施設の方々にもお伝えしていきたいと思っています。
これから先、将来的にはこの国家資格というのは一本化されていくのでしょうけれども、ただ私は、随分と議論されてきたことではありますけれども、養成高校の学生さんも何十年と実習で受けてきております。ただやはり、最近においても介護を目指しながら他の職業を目指す方々が非常に多いということが、いろいろな会議等でも聞いている部分で、やはり介護の魅力というものを伝えきれていないということを我々施設の現場でも感じているところでありますので、国家資格ももちろん1つでしょうけれども、そういったところを改めて強く醸成していかなければならないと感じておりますので、そういったところはまたよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 すみません。もう時間も押していると思うので、手短に一言だけ、地域共生社会のことについて申し上げたいと思います。
こうした制度が新しく整えられたことによって、縦割りを超えた新たな共生社会の支援体制を構築するという考え方にむけて、具体的に取り組める。それはすごく望ましいことだと思います。
ただ、1点だけ気になっているのが、こういう形での支援体制ができて、財政支援が出たとして、1つはもちろん人材の問題もあるのですけれども、もう1つ、情報の取扱いというところが自治体では悩ましいのではないかと思っています。
それぞれの分野ごとに例えば支援が必要な人に対する個人情報というのは持っているわけですけれども、なかなかそれが自治体の中で課を超えて取り扱うということが難しいようなところもある。まして、民間との連携共同というのを考えたときに、どこまでその情報を出すのかといったようなところの取扱いについても課題があるのかなと思っています。
今回の法改正の中では、本日は取り上げらておりませんが、医療介護のデータ基盤のところでのレセプトとか診療報酬の話というのは出てきているのですけれども、むしろ自治体が本当に地域共生社会構築に向けた体制整備を行おうとしたときに、1つ大きな壁になっているのは、それぞれの相談支援に来られた方たちの情報の管理とか取扱いの問題で、そこがうまく乗り越えられるともう少し民間との連携とか庁内の情報共有とか連携というのもやりやすくなるのかなと。
ぜひ、今後そういった観点からどのように体制を考えていくのかといった視点も取り入れていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 情報は大切な点ですね。ありがとうございます。
小林委員、手を挙げていらっしゃいますか。
○小林委員 介養協の小林です。
いろいろな委員の先生方からの意見を伺いまして、介養協としてもやはり介護福祉士の養成については本当に質の向上と、それから国家試験の合格率ということを目指して各養成校、全国の養成校で力を合わせて合格率のアップを目指していきたいなと思っています。
そのためには、先生方の意見をやはり介養協の中できちんと消化して、そして、それから先に進めていきたいなと思っておりますので、本当に貴重な御意見をありがとうございました。
○田中部会長 これから頑張っていただかなくてはなりません。
時間になってまいりましたが、松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
最後に、先ほどのガイドラインの件、一言だけよろしいでしょうか。
○田中部会長 手短にお願いします。
○松原委員 はい。
先ほど、3点提案させていただきました。事業譲渡等に関する評議員会の議決事項の追加、情報公開、事前の地域の意見を聴く会の設置。この3点について、ぜひ事務局のお考えをお伺いできればと思っております。
事業譲渡に関する評議員会の議決事項の追加につきましては、基本財産のことで事業譲渡であれば評議員会にのるというお話だったのですけれども、先ほど申し上げましたように例外がございます。第2種社会福祉事業で賃貸など。その例外は拾わなくてよいのか。例えば100のうち1、2件問題があったとしても、もしそれが問題であれば、新聞等に報道されるようなことになってしまっては社福全体に傷がつきますので、すべからく評議委員会の目を通す。この体制をつくることがガバナンスの在り方ではないかと思っております。
2つ目、情報公開について、これも今回の会計の方で財務諸表の注記に入ることになりましたけれども、それを個別の社福の注記をわざわざ見るということはないと思うのです。そうではなくて、一般市民が広くアクセスするような体制をつくるべきではないか。
3つ目、事前の地域の意見を聴く会の設置。以上3点についての事務局のお考えをお伺いしたいと思います。
○田中部会長 課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
先ほど、私も説明が不十分で大変申し訳ございませんでした。
松原委員からのお話で、1点目に関しましては先ほど御説明申し上げましたとおり、基本財産に係る部分についてはほかの法人と比べて厳しい部分があるという点。ただ、御指摘のとおり基本財産のない事業に係る財産では、必ずしも所轄庁の承認が必要でない部分がございます。ただ、基本財産でない事業に係る財産においても、事業自体の重要性に応じまして、事業実施に係る行政庁の許認可等が必要になっているケースが多いと思っております。
例えば、実施事業の部分につきましても、届出、許認可等いろいろ、行政庁の承認の方の関与というのもあると思います。そういう意味では、なかなか社会福祉法人の実施する事業の中で行政が全く関与しないケースが多いとは考えておりません。
また、情報公開の関係でも、先ほど松原委員がおっしゃったとおり、今回、注記という形で財務諸表、これは99%ぐらい財務諸表自体がWAM NETを通じて公開しておりますので、そういったもので公開する仕組みも今回つくろうとしております。
ということで、3点目の点も含めまして、まずはガイドラインの施行状況を踏まえまして、今日の御意見をいただいた3点のところについて、実際にどういったような立法事実等があるかどうか含めまして、ほかの制度も含めまして規定の必要性について必要に応じて検討してまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
時間になってまいりましたので、今日はこれでよろしゅうございますか。
部会長代理は何かございますか。よろしいですか。
○宮本部会長代理 委員の皆様の御議論でほぼ出尽くしているとは思うのですけれども、いずれにせよ、この地域共生社会をめぐる法律が皆さんの御尽力、御努力で出来上がったということは本当に感謝申し上げたいと思います。
簡単に2点だけです。
まず1つは、これも委員の皆さんから御指摘あったことなのですけれども、地域共生社会の理念をめぐっては、今度は法律全体として見るならばいろいろ議論も分かれたところもございますけれども、地域共生社会の理念に関しては皆さんその重要性に強く確信を持っておられるということだと思います。
ただ、日本社会全体としてみると、この理念をめぐって3つの空間で温度差が生まれているのかなとも思ってございます。
1つはこういった福祉部会であるとか事務局の皆さんだとか、こうした方向に確信を持っているところが1つあると思います。
他方で、相談支援の現場などがこれはいやが応にも、特にこのコロナ禍の下で包括的な支援を迫られている。本当にそこに押しかけている人は、縦割りでは片がつかないようなそうした緊急の事態であって、包括的な相談というのはまさに焦眉の急になっているということであります。
他方で自治体は、これも御指摘があったように、なかなかこうした新しい事業に乗り出す余裕もないし、また理解も必ずしも行き届いていないということで、ここの理念レベルで非常に核心を持っている国及びこうした部会のレベル、それから本当に現実に迫られている現場のレベルと自治体、ここはちょっと温度差があるのではないかと思います。
ここをどう埋めていくのかということが本当に重要になってくるところであると思いますので、ぜひそれぞれの分野で非常に影響力をお持ちの委員の皆さんの御指導、引き続きお願いしたいと思います。
それから2点目に、断らない相談支援、総合的な包括的な支援というのは、これも皆さん御承知のとおり、決して究極のワンストップをつくっていくということではないのだろうと思います。
実は社会福祉連携推進法人、あるいは連携、合併、事業譲渡等の議論というのは、この地域共生社会づくりとまさにメダルの表裏の関係にあるのだろうと思っております。地域で、もちろん社協等が中心になって市町村がバックアップして包括的な相談支援の場ができる。同時に、地域でいろいろな場面で活躍しておられる社会福祉法人がまた総合的な相談の入り口になっていく。あるいは日常生活圏で、様々な入り口ができていく。そうやって地域に多元的に入り口ができていくのが、まさにこの地域共生社会なのだろうと思います。
社会福祉法人の連携、合併、事業譲渡については、これもまた皆さんの専門的な観点からいろいろな提言があったと思いますけれども、これもあくまで地域共生社会をつくっていくという基本的な方向を踏み外さなければ大きな逸脱はないのだろうと思います。そこを逸脱しないことが非常に重要なのではないかなと思います。
以上、2点でございます。
○田中部会長 最後に御発言ありがとうございました。
発言できなかった委員には申し訳ありませんが、本日の審議はここまでといたします。
最後に、事務局から次回の日程について報告をお願いします。
○高橋総務課長 ありがとうございました。
次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきます。
よろしくお願いいたします。
○田中部会長
本日は御多忙のところ活発に御議論いただきました。
どうもありがとうございます。