2020年7月16日第9回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 

1.日時 令和2年7月16日(木)14:00~17:00

2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)

3.出席者
石津アドバイザー、井出アドバイザー、岩崎アドバイザー、小船アドバイザー、佐藤アドバイザー、野澤アドバイザー、橋本アドバイザー、田村アドバイザー、平野アドバイザー、橋本障害保健福祉部長、野村企画課長、源河障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、本後障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国身体障害者施設協議会、社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国社会就労センター協議会、障害者自立支援法違憲訴訟団、一般財団法人 全日本ろうあ連盟、特定非営利活動法人 全国就業支援ネットワーク、社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合、全国肢体不自由児施設運営協議会、全国就労移行支援事業所連絡協議会、特定非営利活動法人 就労継続支援A型事業所全国協議会、社会福祉法人 全国盲ろう者協会
 
4.議題
(1)関係団体ヒアリング2
(2)その他
 
5.議事
○源河障害福祉課長 ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第9回会合を開催いたします。
関係団体及びアドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
なお、アドバイザーの皆様にはオンライン会議にて御参加いただいております。
本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、小川アドバイザーにつきましては、所用により欠席です。
なお、岩崎アドバイザー、井出アドバイザー、平野アドバイザー、佐藤アドバイザーは、途中から御参加予定です。
また、構成員の橋本障害保健福祉部長については、遅れて出席予定です。
本日はヒアリングを行うため、関係団体の方々にはオンライン会議での御参加、または会場にお越しいただいております。
ヒアリングは1団体ごとに行いますので、団体名及び御出席者につきましては、各団体からヒアリングを行う際に御紹介させていただきます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認と、オンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認です。本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
本日の資料ですが、議事次第に続きまして、ヒアリング資料の1から10として、本日ヒアリングを行う各団体より事前に御提出いただいております「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等」の資料を用意しております。
資料の不足等ございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの対応をお願いいたします。
次に、ヒアリングの進め方について確認させていただきます。ヒアリングは1団体ごとに行い、まず意見陳述を8分間行っていただきます。4分を経過した時点でベルを1回鳴らします。8分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめていただきますようお願いします。
意見陳述が終了しましたら、アドバイザーの皆様方からの質疑応答を行います。質疑応答の時間は7分間です。御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名に基づき発言を頂くようお願いいたします。挙手しているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合には、オンライン会議システムのチャット機能で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。
なお、御説明については、こちらから事前にお伝えさせていただいております次の4つの視点を踏まえて行っていただきたいと思います。1つ目の視点、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法。2つ目の視点、地域において利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策。3つ目の視点、障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年10%弱の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策。最後に4つ目の視点、新型コロナウイルス感染症による影響。以上の4つの視点を踏まえて御説明をお願いします。
各団体における冒頭の撮影につきましては、会議の進行に支障のない範囲でお願いいたします。
それでは、早速ですが、関係団体の皆様から順次御意見を賜りたいと思います。
初めに、オンラインで参加いただきます全国身体障害者施設協議会より、眞下宗司様、三浦貴子様、よろしくお願いいたします。
○全国身体障害者施設協議会 よろしくお願いいたします。全国身体障害者施設協議会の三浦でございます。今日は、協議会の眞下副会長と制度・予算対策委員長の三浦のほうで提案をさせていただきます。会長は福岡県の日野博愛でございます。
私たちの会は516施設でありまして、定員が2万7138名、そして2万7000人の利用者の方々を2万4191名で支えております。ただいま2ページを御説明しております。新型コロナウイルス感染症の防止対策といたしましては、今年の1月から全施設が総力を挙げて標準予防策の徹底と利用者の人権に配慮しながら危機管理に取り組んでまいりました。
このヒアリング資料を上げる7月10日までは、利用者・職員を合わせまして1例も発症させずにここまで来られていたのですけれども、昨日、入院先の病院のほうで感染をして、それが退院後に判明したというケースが上がりました。ただ、発見が早かったので、他者への感染は見られていないということでございます。大変緊張感を持って業務に当たっております。
資料の3ページ目をお願いいたします。こちらのほうで私たちは今回報酬改定に関しての重点要望を上げさせていただきました。まず、要望の1つ目、感染症対策のさらなる強化といたしまして、医療的ケアを伴う利用者が大変たくさんいらっしゃる会員施設でございます。専門的な人員の加配、看護師の加配が必須である実態を報酬に反映していただきたいと要望いたします。
2番目、最重度身体障害者、私たちの会員施設の利用者の区分6の方々が約67%おられます。そして、ダブル、トリプルの重複障害者の方々が約42%おられる施設でございます。1.7:1ではとても利用者の方々を支え切れない現状にあり、今、平均1.44:1で支えております。なぜそのような実態があるのかということの根拠は、資料5ページから7ページに記載して、後ほど説明をさせていただきます。それから、これらは全て視点1から4まで含んだところで私たちは提案をさせていただきます。直接処遇職員の利用者数を1.7で除した数を超える人員を配置した場合の区分を新設いただきたいという要望です。
利用者の重度化・高齢化に伴う業務量の増加、そして昼夜を問わず支援量に大きな差異がない実態。私どものタイムスタディ調査では、生活介護、昼間の時間帯と夜の施設入所支援では、夜の施設入所支援が昼間の83%のケア量がありました。しかし、報酬に関しましては、施設入所支援が日中の生活介護の3分の1の報酬でありますので、そこのバランスを変えていただきたいというのが狙いでございます。
3番目の医療的ケア提供体制のさらなる充実といたしましては、常勤看護職員等配置加算の充実をお願いしたいと要望します。看護職員を3人以上配置して、医療的ケアが必要な複数の利用者に対応している場合には、さらなる加算による評価、例えば児童発達支援における看護職員加配加算や、短期入所における重度障害児者対応支援加算の要件の適用なども検討していただき、3年前の報酬改定のときの課題でありました医療的ケアに関する簡易な判定スコアについては、重度の身体障害者の実態も把握していただきたいという要望です。
なお、平成31年の厚生労働科学研究で、田村委員長の下で医療的ケアの新しい判定スコアの案が出ております。こちらのほうもぜひ本年度の報酬改定には反映していただきたいという願いがございます。
その他の要望といたしまして、(1)の1.通院対応を評価する加算の新設をお願いしたいです。これは根拠資料を6ページと13ページに記載しております。
2.介護職員等による医療的ケアの実施に係る環境整備をお願いしたいです。喀痰吸引等を行う職員の配置を手厚くしております。しかし、このことに関して、研修に出す日数も相当数あるのですけれども、配置に関しては何ら評価がございません。この辺りも環境整備としてお願いしたいというところです。
3番目の生活介護事業等の支給決定日数と報酬の見直し。これは制度創設の平成18年から言い続けておりますが、土日も生命維持支援を必要とする人のために、支給日数の上限の見直しをお願いしたいところです。具体的には上限が22日ですが、30.6日にしていただきたい方々、特に土日も生命維持支援を必要とする人工呼吸器使用者の方々が47名会員施設におられます。それから医療的ケア等を必要とされる方も相当数いらっしゃるのですけれども、少なくとも常時吸引を必要とするような方々には、療養介護には認められていて、また、在宅の利用者も事情があれば認められる30.6日の支給をお願いしたいところです。
(2)送迎加算の要件の拡充を希望します。これは根拠資料16ページに載せております。
(3)グループホームでの重度の身体障害者等の支援体制強化をお願いします。資料は17ページに詳細をつけております。個人単位で居宅介護が利用できる制度の経過措置であった部分の恒久化を願います。昨年研究事業にも参加いたしまして、これが障害者権利条約の第19条、地域で生活をする権利、ここにつながる重要な要素だと考えております。よろしくお願いいたします。
4番目、ケアの質を確保し、高めるための人材確保・育成・定着支援をお願いいたします。
あと、時間もあまりないのですけれども、かいつまんで根拠資料のほうをお示しいたします。資料4ページ目は、コロナウイルス対策に関する研究調査で、今、実態を把握した資料です。
5ページ目は、平均1.44:1で人員を把握している実態調査です。なお、数字は全会員施設の91%が答えている基礎調査からの出典となります。
6ページ目は、通院対応が平均160分掛ける2名の介助を必要としているということの表です。6ページの上のほうは、通院がこれだけ必要だという実態があるということの資料で、下のほうの計算式の部分は、通院対応と働き方改革法の施行等によって、職員配置の現状はこうなのですということをお示ししております。なぜ1.44:1が平均配置なのかといいますと、1.7:1の体制では夜勤を伴うことと、休日の保障、通院対応によりまして、日中の人員は、生活介護と施設入所支援を行っているところでは、70人定員の施設で3.49:1となります。利用者が3.49人なので、1人のスタッフが2~3名の利用者の食事介助を行い、大体3~4名の方々の車椅子を1人が移動支援していると。だから、何往復もしながら例えば食堂へ御案内する場合にはケアを続けているという実態がございますので、生活介護の1.7:1、日中、通所系であれば、比較的豊かな人員配置なのですが、夜勤を伴うとこういうことになるということを、数字をお示ししてお伝えして、1.7:1以上をお認めいただきたいというお願いでございます。
鐘が鳴らないのですけれども、まだ続けてもよろしいのでしょうか。
○源河障害福祉課長 すみません。鐘は2回既に鳴っております。
○全国身体障害者施設協議会 すみません。鐘が完全に聞こえなくて、大変失礼いたしました。
それでは、中の細かい部分は見ていただきまして、以上、説明といたします。
○源河障害福祉課長 申し訳ありませんでした。どうもありがとうございました。
ただいまの御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質間等ありましたら、お願いいたします。橋本アドバイザー。
○橋本アドバイザー どうもありがとうございました。
共同生活援助、グループホームのことでお伺いしたいのですが、重度の身体障害者を受け入れてくださるグループホームは、まだまだ数が少ないのではないかと思うのですが、現在受け入れてくれているグループホームでは、個人単位でのホームヘルプが利用されているところが実際多いのでしょうか。個人単位でのホームヘルプを利用すれば、今後重度の身体障害者を受け入れられるグループホームも増えていくと思われますか。教えてください。
○全国身体障害者施設協議会 御質問ありがとうございます。
私どもの会員施設でも徐々に重度の身体障害の方々の受入れが進み始めているのですけれども、2つネックがありまして、本来グループホームの制度は、知的と精神の方々を受け入れる形で制度化されたので、基準のスペースでは身体障害の方、車椅子の方を受け入れられるスペースではないので、相当持ち出しをして建設をしなければならないということ。それから、外に資源がたくさんある場所であれば、個人利用しながらできるのですが、施設がホームヘルプも起こしてということになると、人員が足りないので、本来は個人利用のホームヘルプを使いながら運営したいのだけれども、包括型で、ある程度の障害レベルの方々まで受け入れるという形のところも多いです。
実数といたしましては、現在49事業所を私たちの関連施設は行っておりまして、その場合、その中で約半数が個人単位のヘルパー利用で運営をしているところです。よろしいでしょうか。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー 人手不足が福祉の業界もどこも大変で、厚労省は主にAIとかロボットを使って省力化に対処していくのだというのを前から打ち出しているのですが、こういう重度の身体障害の方の場合、その可能性というか、そういう考え方に対しての見解というか、実際工夫されていることとか、もしあったらいろいろ教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○全国身体障害者施設協議会 ありがとうございます。
協議会の施設はノーリフティングポリシーをかなり重視しておりまして、今、加速度的に導入を始めています。移乗用のリフトがメインです。それはベッドから車椅子等、浴室で使う移乗用のリフト。ロボットといいましょうか、職員採用もしやすくなって、例えば60歳以上の方の雇用であるとか、そういうものにはつながっています。あと、高齢のほうでメジャーになってきている見守りセンサーであるとか、そういうものも今、研究をされているところで、スライディングシートとかスライディングボードというもの、それはロボットまではいかないのですが、使っているところは50%以上を超えていて、導入を検討しているというところを合わせると100%になります。ただ、助成や補助は予算の中でそう大きくないので、ぜひこの部分は推進していただきたいと思う部分です。
以上です。
○野澤アドバイザー そうすると、1.44:1というのは、例えば今後もう少し人手をかけなくてもよくなる可能性はありますか。
○全国身体障害者施設協議会 いわゆる機器でやれる部分とやれない部分とあるのですけれども、私たちの会員施設で人員の加配を押し上げているのは医療的ケア等々の人でないとできない部分なので、あとは、例えば通院がかなり負担があるのだと申し上げましたが、それに外部サービスを使えるような仕組みができれば、大分形としては変わってくると思います。
○源河障害福祉課長 眞下様、どうぞ。
○全国身体障害者施設協議会 今回のコロナのことで、5月にコロナウイルスに感染したという想定の下で1日勤務をやってみたのです。すごく大変で、今の人数で万が一あったときに、もうちょっと人がいると助かるなと。ただ、これはデータ的には出ていないので何とも言えないのですが、勤務が数名でやってみたのですけれども、非常に大変な状況だったので、もう少し多くの人がいると。1.7。うちも1.5を切っていますので、1.44というのは当然かなと思っています。よろしくお願いします。
○源河障害福祉課長 石津アドバイザー、どうぞ。
○石津アドバイザー 御説明ありがとうございました。
すごく大変な中で御苦労されていることはとてもよく分かったところですが、今日この会議の冒頭で御説明に当たっての4つの視点という御紹介があったと思います。3つ目のところで、予算額が法制定から毎年10%ぐらいずつ多くなってしまっているので、持続可能な制度とするためのお考えをというところが含まれていたかなと思うのですけれども、御苦労なさっている中でお伺いするのも大変恐縮なのですが、もしそういった方面のお考えがおありでしたら、教えていただけますか。
○全国身体障害者施設協議会 ありがとうございます。
無駄遣いをしてはいけない、効率化しなければならないということは重々思っておりまして、ただ、平成18年度、自立支援法が施行された頃に、日本国の障害関係予算というのは、OECDの各国の中で下のほうだったのですね。その当時の目標は、OECD加盟国の中でせめて真ん中辺りの障害福祉関係予算をという制度改革期の目標があったと思います。現状として、世界各国を比較した場合にどこまで来ているのかというのは、私のほうで把握していないのですけれども、ただ、私たちはその当時の予算からどうかということを把握しますが、グローバルスタンダードで見た場合に、今の障害福祉関係費というのは物すごい高額なのかということも1点見ていただきたいなと思う部分と、それから節約していく部分に関しては、事業所の認可要件が緩くなってきていて、膨大に増えている。障害福祉関係の事業所が相当数増えているという実態はありますので、そこはぜひ把握いただきたいなと思います。
ただ、最重度障害者への支援というのは、行動障害のある利用者さんであれ、常時介護を必要とする人工呼吸器使用者であれ、これは重点化して予算を配分していただきたいとうのが、コロナ危機が続くわけで、介護崩壊が本当に起こしかねない状況ですので、そこは重点化していただきたいと願うところです。
以上です。
○源河障害福祉課長 お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきたいと思います。全国身体障害者施設協議会の皆様、どうもありがとうございました。ベルがうまく聞こえなかったようで、三浦様、本当に申し訳ございませんでした。
○全国身体障害者施設協議会 すみません。本当に聞こえなくて、失礼いたしました。
○源河障害福祉課長 続きまして、オンラインで御参加いただきます全国社会就労センター協議会より、叶義文様、桑原隆俊様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国社会就労センター協議会 こんにちは。全国社会就労センター協議会、通称「セルプ協」と言いますけれども、副会長をしております叶と申します。
セルプ協は、1977年、今から43年前に結成されて、現在各都道府県に都道府県セルプ協が設置されて、活動しているのですが、目的としては、障害のある人たちの働くこと、そして暮らすことの充実に向けて取り組んでいる組織です。
本日は、制度・政策・予算対策委員長の桑原委員長のほうから報酬改定に関する意見を述べさせていただきますので、よろしくお願いします。
○全国社会就労センター協議会 まず、3ページを御覧ください。1つ目の要望の意見になります。感染症予防のための衛生管理体制の充実に伴う基本報酬の見直しということで、視点4に基づかせていただいています。コロナウイルスの感染を受けて、就労系の事業所でも従来以上の衛生管理体制を充実させています。さらに、今後も長く続くと思われますので、今以上の管理体制の維持が必要だと思います。そういったこともありますので、基本報酬でぜひとも評価していただきたいと思います。詳細については、5ページを御覧ください。
続きまして、B型の事業所の意見になります。セルプ協としての基本的な考え方ですが、将来的な報酬体系については、従前の仕組み、人員配置と定員としていただきたいというのが大前提になります。
以下は現状の制度に合わせた要望になります。この後、詳細版のほうで説明させていただきます。6ページを御覧ください。1つ目が平均工賃月額算出方法の見直しです。これは視点1と2と3に基づきます。平均工賃が低い事業所の中には、障害特性などで利用日数とか作業時間が少なくならざるを得ない方を多く受け入れている事業所があります。このような事業所が報酬算定上不利になることがないよう、現行の算定式の除外要件に加えて、サービス等利用計画で利用日数の制限や短時間の作業時間が妥当とされ、かつ作業時間が事業所の時間の50%未満になるような利用者を算定式から除外できるようにしていただければと思います。背景については、その下に書かれていますので、お読みください。この3点は、特に精神の方を多く受け入れている事業所の課題になります。
次のページについては、種別ごとの平均を比較しています。やはり精神のほうが低いボリュームゾーンに集中しているのが分かると思います。
次のページについては、セルプ協の案でシミュレーションした計算に基づいた試算になります。下の表にあるように、精神以外の知的とか身体の障害のところについては変化がありませんので、財政上の大きな負担増にはならないと考えています。
次のページをお願いします。2点目です。さらに手厚い就労支援体制の評価ということで、視点1に基づいています。B型事業所では多様な利用者への支援のため、手厚い就労支援体制(7.5:1)を超える人員を独自に加配している実態があります。利用者支援の質の向上のため、さらに手厚い支援体制6:1を新設いただくとともに、報酬上の評価を行っていただきたい。なお、目標工賃達成指導員配置加算については存続してもらい、最大で5:1の人員配置ができるようにしていただきたいというのが要望になります。
左下の表を御覧ください。セルプ協の調査ですが、困難事例の調査を行いました。やはり困難事例をたくさん出している施設というのが、現状でも職員配置を厚くしているという実態が見られます。
基本報酬が平均工賃で決まるようになりましたが、工賃に反映されない多様な支援が必要な利用者が多くいます。そういった部分も人員体制の拡充でカバーできると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
次のページは、現状でもこれだけの職員配置をしているというデータになります。
次のページです。3番目です。高工賃達成事業所の評価の拡充ということで、これも視点1になります。B型の事業所の中では、報酬体系の上限区分(4万5000円以上)を超える工賃を支払っている事業所があります。また、本会では、地域での自立生活を可能にするため、最低賃金の2分の1以上、6万円以上というのを目標にしています。そういうことがありますので、新たに6万円以上の区分を設けて、利用者の地域での自立生活を保障する事業所を評価していただきたい。
また、前回の報酬改定の際に、基本報酬に反映されないまま廃止された目標工賃達成加算を2万円から2万5000円以上のところの基本報酬に反映していただきたいというのがこの意見になります。
下の表では、前回の報酬改定で全体的に工賃が上がったという部分の表になります。この点については、この現状の制度にセルプ協としても一定の評価はできると考えております。
次のページもセルプ協のほうの実態になります。平均工賃5万円以上のところが2.4%存在しています。
次のページは、前回の改定で廃止された目標工賃達成加算が基本報酬に反映されなかったことによって、工賃の高い事業所が減収になりました。その表になります。前回の改定の際、セルプ協については、目標工賃達成加算が、工賃が高くても低くても同じ。工賃が低くても1円でも上がれば加算がつく。工賃が高くても1円でも下がれば加算がつかないといった矛盾があったため、この加算に代わる仕組みとして、高工賃事業所への加算を提案しました。しかし、結果的には工賃の高い低いに合わせた基本報酬になりましたが、目標工賃達成加算が外されたという経過があります。
次のページは、前回の外された加算を加えたシミュレーションですので、高い工賃を出している事業所への正当な評価をできればお願いしたいと思います。
次のページは、就労移行の支援の関係です。高い実績を上げている事業所の評価ということで、視点1になります。これも以前から言っていますが、就職実績が高ければ高いほどなかなか定員が埋まらないという実態がありますので、報酬の定員払化や就職後の一定期間の給付の加算を検討いただきたいということです。
次のページについては、就労移行の利用期間の延長ということで、コロナの関係で企業のほうの実習の受入れとか求人が非常に厳しくなっています。そういったことがありますので、今、臨時的な取扱いをしていただいているのですが、できれば通常のそれを取扱いにしていただいて、4年目以降も利用できるような柔軟な取組をお願いしたいというのがこのお願いになります。
これ以降は食事提供体制加算とか、通所、送迎の関係、その他いろいろとありますが、もう時間がありませんので、23ページの部分がセルプ協が提案している将来に向けた事業の体系図になります。一番下の部分があるべき姿ということで、セルプ協で考えている部分です。ただ、そこに行くまでにはいろいろな条件をクリアしていかなければならないかなというのがありますが、一応これを参考につけさせていただきましたので、後で御覧いただければと思います。
以上です。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質間等があれば、挙手をお願いいたします。橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
就労移行と就労継続B型について御質問したいのですが、就労移行支援事業における利用期間、コロナの影響による延長についてということで、今後もこの期限が4年延びるということ、延長していただければというお話でございましたが、障害特性によって状態が不安定で欠席しがちな方とか、そういう方は2年ないし3年ということで、なかなか就労に結びつかないという現状がある。その中で、2年、3年では移行で就労に結びつくのは実際に難しい方々がたくさんいるという捉え方でよろしいのでしょうか。
あと、B型事業所の平均工賃月額についてですが、B型事業所で精神の方などで作業時間が少なくならざるを得ない方がいらっしゃるということですが、そういう方々が多いと、どうしても平均工賃月額が今の算出方法ではなかなか難しいので、工賃が高い方は就労に結びつくとか、A型やそういうところへ行くということが結びつきにくくなってしまっている現状が続いているということが、こういうことからあるのかどうかということをお伺いさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございます。
最初の就労移行の関係ですけれども、利用期間については、コロナがはやる前から2年ではなかなか厳しいという方がたくさんおられました。そういった部分も含めて、今回コロナの関係で、企業が実習を受け入れてくれないとか、就職も、この資料にあるように、企業の求人のほうが厳しくなるのが来年、再来年、長期化しそうだという部分があるので、そういった部分を柔軟に対応できないかなというのがこのお願いになります。
B型の平均工賃については、精神の方たちが短い時間しか来られないという部分。ただ、あしきB型のような、それをうまく抜け道のようにするところも多少ありまして、我々の提案ではサービス等利用計画だとか、そういったアセスメントの部分で、この人はちょっと長時間は厳しいのではないかとかいうものを経た上で、短い方については計算式から除いていただくというような提案をしているのです。それで、これは仕事のできるか云々のA型への移行という部分とは別問題かなということで、あまり関係はないかなと思っています。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
では、ほかにないようでしたので、ここで終わりとさせていただきたいと思います。全国社会就労センター協議会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国社会就労センター協議会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、オンラインで御参加いただきます障害者自立支援法違憲訴訟団より、藤岡毅様、家平悟様、どうぞよろしくお願いいたします。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 藤岡からお話をさせていただきます。
このような機会を与えていただき、ありがとうございます。障害者自立支援法違憲訴訟団からは、原告の家平悟、私、弁護士藤岡毅からお話をさせていただきます。
我々団体の概要ですが、2008年に裁判を起こして、14の地裁で2010年1月7日の国との基本合意を確認する訴訟上の和解を行って、訴訟を終結し、その後、国との10回の定期協議を行って、基本合意の実現を目標としております。三本柱としては、権利条約と骨格提言、基本合意の実現というものを目的としております。
次です。私たちの意見の概要を5つ。利用者負担については、障害に伴う必要な支援は原則無償とすべきと考えます。その中の(1)として、障害児の利用者負担の収入認定は、保護者の収入を除外すべきです。(2)として、就労支援の利用者負担の無償化を実施すべきです。(3)として、自立支援医療の低所得者無償措置を実行すべきです。
2として、障害福祉と介護保険の関係において、(1)として、介護保険優先原則の廃止をし、選択制を採用するべきです。(2)として、国庫負担基準における介護保険対象者減額措置を廃止すべきです。
3として、報酬の支払い方式は、骨格提言が示す報酬支払い方式を採用すべきです。
4として、就労時ヘルパー利用を可能とするべきです。
5として、新型コロナによって福祉的就労の給与や工賃が減った場合の減収保障制度を創設すべきと考えます。
詳細版1頁以降は、家平さんのほうからお願いします。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 それでは、私のほうから。4ページの利用者負担では、そもそも骨格提言は、「利用者負担は、障害に伴う必要な支援は、原則無償とすべき」としています。現行の総合支援法の仕組みは、依然として支援報酬と利用料が連動しており、報酬を引き上げれば負担が増します。それゆえに、私たちは障害児支援、就労支援、自立支援医療の3つをまずは無償化するという具体的な意見を出しています。とりわけ障害児は、保護者の収入で負担が決まります。
これについては資料5ページの事例を見ていただきたいのですが、報酬と負担が連動する仕組みには、本来共同して障害児の支援を考え合う利用者家族と事業者を分断します。また、障害のない子供の学童保育には利用料がかからないのに、障害児だけが放課後デイなどを利用すると利用料を払うのは差別であり、権利条約が求める他の者との平等にも相入れず、見直しが必要です。
次に、就労支援の問題では、働く者の尊厳を傷つける利用者負担は一刻も早く見直すべきであり、あわせて、前回報酬改定で導入されたB型事業の平均工賃7段階評価は、稼得能力の高くない重度障害者の排除につながりかねず、廃止すべきです。
また、食事提供加算や送迎加算などは、今以上に障害者の生活を苦しめるものになるので、廃止ではなく、恒久的な制度とすることを強く求めます。
次に、自立支援医療の問題では、低所得者の無償化というのは、基本合意で重大な課題として国、厚労省が取り組むことを約束した国約です。基本合意締結から10年たっています。放置し続けることは許されず、この報酬改定チームの報告書にも必ず実行するよう意見を上げていただきたいと思います。
次に、3の報酬支払い方式についてですが、コロナ禍や自然災害時にも安定運営ができるよう、基本報酬を大幅に引き上げる必要があります。そのためにも、支払方式を見直し、骨格提言が示す人件費等、事業運営報酬部分は月払いとすることを求めます。
4つ目の就労時(通勤・通学)のヘルパー利用では、第一歩としてやるべきことは、重度訪問介護等の厚労省の告示にある経済的活動とか通年活動、長期にわたる支援ということについて、支給しないとなっていますが、この規定は撤廃することがまず必要です。
また、現在、国、厚労省が検討している地域活動支援センター、地域生活支援事業の移動支援の支給については、地域格差を生み出します。働く権利は全国一律で保障されるべきであり、障害福祉サービスの重度訪問介護や同行援護等で行うことが必要です。そもそも地域生活支援事業は、年間、障害福祉の全体予算の2%にすぎず、これでは国が本気で障害者の就労中の支援を実施する気があるのかと疑われます。2018年に発覚した行政機関による障害者雇用水増し問題の根本的な反省を踏まえるならば、今こそ就労時のヘルパー利用を国の責任で行うべきです。
最後に5のコロナ対策では、コロナ禍の影響等で福祉的就労の給与や工賃が減っています。その減収分を保障してほしいという切実な声は強くあります。その際には就労支援B型に限定することなく、生活介護や地域活動支援センターなど、働く場として通常より工賃を支払っているところについては賃金補填の対象とすべきと考えます。支援報酬を賃金補填に回すという対応では事業者と利用者の対立を招きかねません。そうした場当たり的な対応ではなくて、積むようにきちんとした賃金保障制度を創設するよう求めます。
私のほうからは以上です。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 藤岡から引き続きですが、そのページをめくっていただいて、参考資料1.に行っていただきます。高齢障害者問題については、注目すべきは浅田訴訟の判決があります。2018年3月に一審、岡山地裁。同じ年の12月に広島高裁岡山支部から判決が出ており、注目すべきは、当事者の選択に委ねるべきであるということを裁判所が強調していることです。
次のページをお願いします。判決を読んだことがある人は少ないでしょうから、下から2行目、介護保険給付を受けることができる障害者に対しては、一律に自立支援給付を不支給とするのではなく、要介護状態以前の障害によりどのようなサービスが必要か、自立支援給付を選択することが相当である場合があることということで、介護保険と障害福祉の併用可能な障害者については、個別事情によっては、障害福祉を選択するのは相当な場合があるということを強調しているということがあります。
また詳細版に戻っていただいて、今の内容は詳細版6頁にあります。今の内容というのは、基本合意文書に即していると言えると思いますので、基本合意文書の介護保険優先原則を廃止し、障害特性を配慮した選択制の導入を図ることということが実現されるべきです。
なぜこのように介護保険を供用しようと自治体がするのかということで、次のページ、詳細7頁。訪問系の報酬において、介護保険対象者は減額されているわけです。実際上、約7割減ぐらいしか障害福祉報酬が出ないという仕組みを採用している。これでは自治体はどうしたって介護保険のほうに誘導せざるを得ないという意味では、浅田訴訟で100万円の慰謝料を自治体に対して裁判所は命じたわけです。及び意に反して強いられた介護保険の自己負担分の返還も裁判所は命じているということで、そのようなことの原因というのは、国庫負担基準の報酬体系にあると言わざるを得ないということになります。
時間もあれでしょうから、取りあえずは以上にしておきます。
○源河障害福祉課長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御意見に対しまして、御意見・御質間のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。御意見・御質問のあるアドバイザーの方はいらっしゃいませんでしょうか。小船アドバイザー、お願いします。
○小船アドバイザー 御説明ありがとうございました。
私どもは市町村という立場で支給決定をさせていただいているわけですけれども、介護保険の優先の原則と併用については、厚労省のほうからも一定の基準をお示しいただいて、それに基づき支給決定をさせていただいております。今のお話やここの検討会以外の場所からも聞こえてくる情報を基にすると、つまりは利用者負担、介護保険は1割から3割の御負担が生じるわけですが、そこにどちらが優先なのかという問題があるのかどうか、その辺の御意見を頂ければありがたいのですが。
○源河障害福祉課長 どうぞ。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 藤岡です。
おっしゃるとおり、利用者負担の問題というのも大きいのですが、そもそもの仕組みとして、介護保険で対応可能な支援内容と障害福祉です。特に重度訪問介護等がそうなのですが、そもそもの目的が違うということと、ヘルパーがやる支援の内容が実態としてはかなり大きく違うということもあって、長いこと障害福祉を基に生活を営んでいた方にとっては、介護保険というのは非常に使い勝手が悪くて、そもそも長時間の見守り介護とか外出支援等の総合的な支援、典型的に言えば、重度訪問介護等とはかなり違っているということもありますので、単に利用者負担だけの問題ではなく、やはり障害福祉を使って生活をしていきたいという方の声というのも非常に大きいと。そこら辺の声も尊重すべきだなと思っています。
○源河障害福祉課長 ほかに御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
それでは、ここで終了とさせていただきます。障害者自立支援法違憲訴訟団の皆様、どうもありがとうございました。
○障害者自立支援法違憲訴訟団 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、オンラインで御参加いただきます一般財団法人全日本ろうあ連盟より、松本正志様、村松充様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全日本ろうあ連盟 当団体のことを以後「連盟」と発言をさせていただきます。
本日、私以外に2人が参加しておりますので、紹介いたします。まず、連盟内の福祉基本政策検討プロジェクトメンバー、全国ろう重複障害者施設連絡協議会の代表として入っている村松充です。2人目は、この作成に関わったということで同席をしていきます。前プロジェクトメンバーの木村公之です。
発言の順番ですが、まず大まかな内容を話します。次に詳細、そして質疑、最後にまとめという順番で発言をいたします。
資料の2枚目です。連盟の組織が書いてありますけれども、それにつきましては、事前に資料をお渡ししておりますので、そちらのほうをお読みいただきたいと思います。
まず、視点-1のところからお話をいたします。視点-1です。ろう重複障害者が豊かな生活を送るために、コミュニケーション保障と学習機会の保障などの理解支援が重要です。その支援を向上するために、視覚聴覚言語障害者支援体制加算を拡充する必要があります。
障害児通所施設にも聴覚障害児の発達に応じて支援することが重要であります。
そういう意味で、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算を適用する必要があります。
また、栄養管理ができない障害当事者に対して、健康の重要性を理解してもらうために、コミュニケーション保障と学習機会の保障などの理解支援が重要です。
視点-2です。全国的に見て、ろう重複障害者や聴覚障害児者の専門的な支援体制が非常に乏しいです。各地域においてサービス提供できるように、基点として拠点をつくり、その基盤をつくっていただきたいと思います。
視点-3です。持続可能な制度としていくための課題及び対処方法策のことですが、障害当事者の願いと予算を照らし合わせ確保して、解決方策を見出すような場をつくる必要があります。その中で評価基準もつくる必要があると考えます。
視点-4です。思いがけない状況の中で現場の声などを聞いていただきたいと思います。
それぞれについての詳細は村松のほうからいたします。よろしくお願いいたします。
○全日本ろうあ連盟 改めまして、よろしくお願いいたします。全日本ろうあ連盟のプロジェクトチームに参加しております全国ろう重複施設連絡協議会の副会長の村松と、前副会長の木村でございます。よろしくお願いいたします。
5ページ、視点-1のところです。厚労省の格別な御支援によりまして、視聴覚障害者の職員の支援体制加算を、1人について41単位支援を頂いております。非常にありがたく思っております。ただ、今回のコロナの影響でもはっきりしたのですけれども、新しい生活様式とかそういうことを考えますと、一人一人に支援、それの振り分け、病気のことや予防のこと、いろんなことの理解の支援をする必要があります。利用者の人たちの多くが重複障害を重ねておりまして、その中でも知的障害を併せ持つ方が60%以上いらっしゃいます。
知的障害というのは、療育手帳をお持ちの方だけでもそれだけいらっしゃるのですが、実際には聴覚障害者の手帳をお持ちの方で、知的の障害があるのだけれども、経過的に知的障害の手帳を、きちんと支援をして取得されている方が割合として少なくても、実際には知的障害の重複をしていらっしゃる方がもっとたくさんいらっしゃいます。実態を見ますと、大体5歳、6歳の幼児期以下の段階の方の割合が非常に高いです。
皆さんも想像していただけると分かるのですけれども、4歳、5歳、6歳というのは、御飯は食べられます。おトイレも1人で行けます。お風呂も入れますけれども、細かいところや、何か起こったときに対処ができなかったり、一人一人に丁寧な理解の支援や行動の支援が必要な方がたくさんいらっしゃいまして、実際今の施設の状況を見ますと、ほかに行く施設がないものですから、どんどん高齢化が進み、お風呂や排せつの支援など介護が必要な方の割合が増える中で、そういうコミュニケーションだけではなくて、理解の支援や付き添い支援をする体制が非常に大事になっていますので、そこの視聴覚体制加算の拡充をぜひともお願いしたいということです。
あわせまして、食事の提供加算についても適宜継続をお願いしたいと思います。1人にお任せすると、コンビニのお弁当だけではとても生活を維持できないという現状があります。
6ページのほうは、そうやって厚労省の格別な御支援によってできました視聴覚体制加算が子供の施設には適用されていません。同じような状態がございますので、成人の施設に認められている視聴覚体制加算を子供の施設に対してもぜひ適用をお願いしたいということでございます。
7ページは、先ほど言いました食事の提供加算のことです。
8ページは、全国的には点在して私たちのような施設がありますが、その地域の中でも、聾、聞こえなくて重複障害を持っている人たちは、一般の施設ではコミュニケーションがすれ違ったりして、なかなかうまく利用ができなくて、結局、家に閉じこもっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃったのです。そういう人たちが集まって施設ができていったのですけれども、どうしても広域で営業することになってしまいますので、そこに運営上の困難、財政的にも困難がありますので、ぜひ事業所の拡充が必要ですので、そこの部分についての支援をお願いしたいということです。
10ページです。そういう全国的な施設について、同じように今後各地域で、聞こえなくて、重複障害者のいる施設の中身を充実したり、質を上げていくために、地域の中でそういう声を広げていかなければならないという課題があります。そこを拡充していきたいと考えております。
11ページです。先ほど視点-1のところで申し上げたとおり、コロナで今後新しい生活様式とかそういうことを考えていったときに、理解支援の拡充がどうしても必要ですので、急いでこの支援体制の加算をお願いしたいということが1つ。
それから、聞こえなくて重複障害者の人が入院したときに、病院ではなかなかお世話ができないので、付き添いをしてくださいということを求められたり、あるいは入院そのものが、ここでは入院の生活ができないのでお断りをされてしまう場合があります。今の体制ではそれに付き添うときの体制が非常に弱くて、特に通所施設などでは、昼間の施設の人がボランティアで入院の支援に当たっているようなケースもたくさんありますので、そういう入院したときや医療に関わるところの支援の御配慮、支援体制の報酬についても柔軟な取扱いをしていただいて、今の報酬請求に反映していただけるようにお願いしたいと思っています。
最後に、今、コロナで、どこの医療機関に行ってもマスクをしておられて、聞こえない人にとっては、口元や表情が見えなくて、特に入院すると面会も制限されたりして、非常に孤立した状態になってしまいます。何を説明されているのか、話しかけられていることさえも気がつかない場合があります。今日、私もしていますが、透明なマスクはいろんなところで少しずつ広まっておりますが、まだまだ不十分で、聞こえない人、特に重複障害の人にとっては、コミュニケーション上の支障になっております。透明のマスクを全国に普及していただけるように、厚労省としてもぜひ御支援をお願いしたいと思っております。
13ページ、参考資料1は、先ほど申し上げた重複障害といってもなかなか分かりにくいので、昨年度に調査しましたものの表です。先ほど申し上げましたように、ろう重複障害のうち知的障害を持っている人の割合が数字上でも64%。これ以外にも知的障害をお持ちだけれども手帳を持っていない人、あるいは発達障害の人はもっとたくさんいらっしゃると思っております。
○猪狩障害福祉課長補佐 すみません。説明の時間が参っておりますので、よろしゅうございますか。
○全日本ろうあ連盟 はい。では、あとは御覧いただいたらと思います。
以上です。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見等あるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。野澤アドバイザー、どうぞ。
○小船アドバイザー 視点-3のところで、児童発達支援とか放課後デイサービス等について、サービスの質の向上が課題と書いてあったと思うのですけれども、これは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。品質があまりよくないというふうに読み取れるのですが、その辺の見解をお話しいただけるとありがたいと思います。
○全日本ろうあ連盟 ありがとうございます。
各地域で放課後デイサービスが始まってまだ日が浅いですけれども、集団での保障というか、コミュニケーションの保障が、一般の聞こえる人の学校に通っておられる子供さん、聾学校に通っておられる子供さんが集まってするときに、支援員さんがそれぞれにいらっしゃって、その人たちが一生懸命支援をしていますが、特別な養成とか、そういう制度がありませんので、もっと中身を充実していきたいと。それぞれの地域でいろいろ工夫をしておられますけれども、やはり専門家の人に入っていただいたりして、ますます中身を充実したいと考えておるということでございます。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。佐藤アドバイザー、どうぞ。
○佐藤アドバイザー 2点ございます。1つは、食事提供加算の継続が必要ということでしたが、これは継続されない見込みがあるということでしょうか。もう一つは透明マスクですけれども、この透明マスクというのは、恐らく障害のある方たちの周囲の方、家族や支援する人にも必要になると思うのですが、大体どのくらいの数があれば、障害を持つ方たちが安心して暮らせる体制を築けるようになるのか。どのように見込みを持っていらっしゃるのかをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○全日本ろうあ連盟 1点目の食事提供加算については、以前、食事提供加算というのはもしかしたらあと何年かで終わるかもしれないというお話を聞いておりまして、3年前のときもぜひこれをなくさないでくださいというお願いをさせていただいた経過がありまして、どういうふうに検討が進んでいるのか分かりませんけれども、ぜひこれは外さないでいただきたいというお願いでございます。
もう一点、マスクの数が具体的に幾つというのは、聞こえない人、家族だけではなくて、医療関係者、行政の窓口の方、幅広い方が必要ですので、今、テレビの手話通訳に出ておられる、記者会見でインタビューを受けている人でつけておられる方もいらっしゃいますし、手話通訳者、隣にいらっしゃる方はフェースシールドをしたり、透明マスクをしたりということが広がりつつありますが、まだまだ普及が進んでいないという状況ですので、数そのものが幾つかというのはちょっとお答えができませんが、そのような状況です。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきます。一般財団法人全日本ろうあ連盟の皆様、どうもありがとうございました。
○全日本ろうあ連盟 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人全国就業支援ネットワークより、酒井京子様、野路和之様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国就業支援ネットワーク 全国就業支援ネットワークの酒井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私ども全国就業支援ネットワークという団体は、障害者就業・生活支援センター、通称ナカポツセンターと、就労移行支援事業所、障害者職業能力開発施設、主にこの3類型の施設で構成されている団体でございまして、就業支援を活動の母体にしておりますので、今日は就労支援系のサービスについて述べさせていただきたいと思います。
視点として、サービスの質、ニーズに応じた体制、持続性、コロナ感染症による影響と4つのくくりが示されておりましたので、資料のほうはその4つに分けて記載をしているのですけれども、最初の3つについては相互に関連していますので、明確に分かれるものではないかなということを最初にお伝えをしておきます。
まず、1番のより質の高いサービスについてというところです。就労移行支援事業ができて以降、一般就労への移行率が年々上がってきて、一定の効果を上げてきておりますが、とはいえ、10年ぐらい3分の1近くの事業所は移行率がゼロという状況が続いています。サービスの質ということを考えたら、ゼロの事業所というのは、そのままの状態としては質が高いとは言えないということで、ゼロである理由を精査する必要があるかとは思うのですけれども、就労移行の役割としては、きっちりとアセスメントを最初にして、就労準備性を高める支援をして、適正なマッチングをして、就職し、定着支援をするという流れが一般的にあるのですが、この一連のプロセスが、ゼロの事業所については十分に理解されていない。プロセスについての理解、あるいは就労のノウハウそのものがなかなか蓄積されていないという事業所が、実際は就職者をなかなか出せていないように思います。
このプロセスをきっちり理解するためにも、やはり研修というものはすごく大切であると考えますので、現行では研修を受けたら加算という形になってはいるのですが、就労支援またはサビ管については研修を必須要件にしてはどうかということ。
あるいは既に企業における就労支援の経験のある人を配置した場合には、障害のある人が会社で働くイメージを既に十分持って、経験も豊富という意味合いで、そういう方を配置した場合には加算ということを新設してはどうかということをそこで述べています。
人材育成という点では、福祉サイドの福祉サービスだけではなくて、やはり労働サイドのナカポツであるとかジョブコーチなどの就労支援を担う人材とセットでその役割を考えたり、研修を行うということも非常に大事であると考えております。
2番目の事業所指定なのですが、先ほどノウハウがないまま事業がなされているのではないかと申し上げましたけれども、最初の事業所指定のところのハードルをもう少し上げる必要があるのではないかと考えております。最初にアセスメントシートであるとか就労支援、どんな準備プログラムを用意しているのかとか、実習先が確保できているかどうかなどの指標を設けて、そういったことを申請のときに申請してもらって、あと、指定後の実地指導は、自治体の事情もあって様々にばらつきがあるとは思うのですが、2年を目安にその事業所の現状把握に努めていただきたいと思っております。
3番を飛ばしまして、4番の就労移行支援事業です。就労移行支援事業の単価については、基本報酬の標準単価。今は単年度、昨年度の就職率等で単価が算定されますが、単年度というのは、経営する側からしたら、乱高下が激しくて経営の見通しが立たない事業所もたくさんありますので、不安定な中での経営状態ということになっております。就労移行の利用年限が2年ということから考えても、評価基準を単年度から2年間の実績に変更することを求めたいと思います。
あと、ガイドライン等は見ていただいて。
残り4分ですので、飛ばします。
5ページは就労定着支援事業について書いております。就労定着支援事業は、生活面での課題にアプローチをして、企業の支援力とか雇用管理力を高めて、福祉サービス側をフェードアウトする、ナチュラルサポートを形成するということを目的としてスタートした事業ですが、現実はなかなかそうはなっていないというところで、ナカポツセンターの定着支援とのすみ分けであるとか、現実的なところでは就労移行支援事業を終了して6か月間空白期間が生じて、6か月後に就労定着支援事業がスタートします。新たに就労定着支援事業を利用しようと思ったら、働いている方が休みを取って役所に手続に行かないといけないというところで、そこでハードルが高くなったり、支援が必要であっても希望されないというケースがありますので、就労移行支援事業が終わったときに、半年後の就労定着支援事業、御本人が希望する場合は半年後の支援の開始を見据えた手続が可能なように変更していただきたいということ。個別支援計画については、今、3か月ごとですけれども、3か月について大きな変化が見られるということは少ないですので、基本を6か月として、必要であればその都度見直しを行うという変更をお願いしたいと思います。
2番の地域におけるサービス提供体制ですけれども、就労アセスメント、直Bについてはずっと言われていますが、やはり適正なアセスメントがなされていないという現状がありますので、AからとかBからもっと移行の流れをつくるような、スムーズにAから移行、Bから移行というふうに流れをつくることによって、一旦はBに行った方もその都度適切な時期に移行に行けるという流れをつくれるような報酬体系にしていただきたいなと思います。これについてはまた後ほど述べたいと思います。
あと、市町村ごとの様々な基準のばらつきがあって、例えば就労移行はいまだに1回しか利用できないとか、大学生が移行を利用するのにも市町村によって差があったり、コロナ禍における在宅の利用にも市町村によってかなり差がありましたので、そこは市町村判断にはなるのですけれども、判断となる基準の明確化と徹底をお願いしたいと思います。
では、野路にバトンタッチします。
○全国就業支援ネットワーク 全国就業支援ネットワークの野路と申します。よろしくお願いします。
私のほうからB型事業について、昨年度報酬体系の見直しで、就職した方、1名出しても、2名出しても、3名出しても、1名で切り捨てられたというか、そんなふうになってしまったということで、20名定員で5名出した移行さんが1名しか見られないので、もう就職を出すのをやめようかなという意見が実際ございました。そういったところで、B型事業所の、就職を出せばいいという単純な論議ではないのですが、そこのところについては、もう一度インセンティブを見直してもいいのではないかという意見です。
それから、先ほどの定着支援事業のところで、定着支援事業をなかなか行えない財源的な裏づけみたいなところ、厳しさがあって、3年やったら、ナカポツにつなげなくて、そのままおしまいということが今後懸念されまして、地域の機関に連携して、例えばナカポツにつなげたり、ほかの福祉サービスにつなげたりすることに関する地域連携的な加算みたいなものを見直していただければいいのではないかなと思っております。
あと、施設外就労のところで、B型の施設外就労がまだ20%も行っていないという状況で、そこに関して今回の資料には書いていなかったですが、意見を頂きまして、20人定員のB型の施設でいくと、施設外就労まで職員を体制、出すというのはなかなか厳しい。そこに対して、将来工賃が一定程度上がるというものがあれば、そこに施設外就労の体制加算みたいなものがあって、誘導していくということも考えられるのではないかなと思っております。
あと、今後の課題ではあるのですが、みなし雇用とかそういった意見も。
あ、終わりですね。巻いてくださいということなので。
では、以上でございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、アドバイザーの皆様から御質問・御意見、お願いします。野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー 御苦労さまでした。2つお聞きしたいと思います。1つは就労移行です。まだ3分の1近くのところが移行率0ということで、これは就労移行のプロセスを理解していないからではないかというお話があったのですけれども、2年という期間を延長してほしいという意見も一方であるのですね。いろんなプロセスを理解していないところをいくら延長しても効果がないのではないかという気もするのですが、それについてどうお考えでしょうか。まず、1点お聞きしたいと思います。
○全国就業支援ネットワーク 就労移行2年と期間が定められていますが、最初のアセスメントの段階でそこがきっちりとしていれば、例えば一般就労まで5年ぐらいかかりそうな方は、最初Bで例えば生活リズムをつけるとか、就労準備性のさらに前段階の準備を整えてから移行に来て、2年間できっちり一般就労に向かうという流れがつくれるかなと思うのです。ですから、最初のアセスメントのところのアセスメント力を移行がきっちりと上げるということがすごく大事なのと、移行だけではなくて、その前段の相談支援も、就労相談できる相談支援専門員をもっともっと増やしていく必要があるかと思いますので、相談支援事業との連携ということも大事になってくるかなと考えています。
○野澤アドバイザー もう一点いいでしょうか。定着というのはすごく大事だと思うのですけれども、支援機関による定着支援はどのぐらい効果があるのでしょうか。実際定着しているのは誰のおかげで定着しているのかと考えたときに、企業で働いている障害者本人が頑張っている、あるいは家族が頑張っている、工夫している。あるいは企業がいろんな工夫をしている。毎日毎日本人と接触している企業の側も配慮とか工夫が定着に効果があるのではないかなと思うのですが、たまに訪れたり、いろいろ支援する支援機関による定着というのは、果たして効果があるのかどうか。エビデンスがあったら教えていただければと思います。
○全国就業支援ネットワーク 古い統計ではありますけれども、障害のある方の会社の中と外部に支援機関がある方ですと7割以上の方。かなり古い資料ですが、7割ぐらい定着するというエビデンスはございます。ただ、これが3年、4年たっていきますと離職者が増えていく。特に精神、発達の方が減っていくという統計もありますので、継続的なサポート、特に精神、発達、知的の方も含めてですが、それは絶対必要かなとは思います。特に3年、4年で精神の方の離職率がぐっと高くなるのは、私も現場でそのようなことは感じていますので、継続的なサポートというのは必ず必要だと思っております。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
参考資料のアンケートなどを見ても、新型コロナの影響による雇用の厳しさや、平常時と比べて生活面での支援がより必要となっているということが見て取れるのですけれども、就労に関わっているところは、ナカポツさんとか移行ですとか、就労系サービスというのがたくさんあるわけですが、「就労定着支援事業について」というところに「支援の整理を行い」と書かれているのですけれども、より生活面での課題にアプローチした活動を進めていくというところは、定着支援事業に求められているのか、ナカポツさんに求められているのかというところを教えていただけたらと思います。
○全国就業支援ネットワーク コロナの中で生活支援、特に自宅待機されている方がいらっしゃいまして、私もナカポツの人間なのですが、かなり不安を言われる方が増えております。私どもの場合は、ICTを使ってSPISという定着支援システムを使ったり、そこの人数を増やしたりということで、ICTの中で自分の生きづらさということをセルフチェックして、それをネットでやりとりしているということを最近始めています。
定着支援事業にしてもナカポツも足で稼ぐ事業だったので、コロナの中でそれができなくなってきているという中で、新しいツールを身につけていくということも必要ではないのかなと思っております。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
あともう一つよろしいでしょうか。すみません。就労定着支援事業にスムーズに移行するというところで、半年空いてしまうといろいろ難しいというところで、それも就労移行に行っている間から相談支援専門員や移行の担当者、また、定着に結びつく、定着の事業所が替わるようになるとか、そういうところと、移行をやっている間からスムーズに移行していく必要があるというお考えでよろしいでしょうか。
○全国就業支援ネットワーク そうですね。半年間仕事をしてみて、すごく順調で、もしかしたら支援が全く必要ないですということも想定されるかもしれませんけれども、現実的にはなじみの関係ということで、送り出した就労移行支援事業所がその方を安定して、安心して仕事ができる期間までずっとサポートするという前提ですので、現在は例えば3,000か所ぐらいの移行があって、就労定着支援事業は1,000か所ぐらいで、なかなかスムーズな連携ができていないのではないかと思うことと、先ほど申し上げたように、利用者の方も手続で結構ちゅうちょされてしまうのです。仕事が忙しいのに休みを取っていかないといけないのかというところがありますので、就労移行支援事業所の終了のときに、半年後の就労定着支援事業を見据えた手続ができないかという意味合いで書かせていただきました。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 それでは、お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきます。特定非営利活動法人全国就業支援ネットワークの皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合より、橋井正喜様、三宅隆様でございます。よろしくお願いいたします。
○日本視覚障害者団体連合 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合の橋井でございます。本日はお時間を頂きまして、ありがとうございます。日視連としての意見を述べさせていただきたいと思います。
今回は、同行援護、自立訓練、その他、大きく柱は3つにさせていただきました。今回、新型コロナウイルスにより、感染拡大予防ということで、私どもが一番被害を被ったという言い方はよくないのですが、大変だったのは、同行援護で今まで社会生活、日常生活を送ろうとしたときに、ヘルパーさんが混雑したところはちょっと避けたいとか、買い物も少しやめたいとか言いながら、稼働するヘルパーが減ってしまいました。日視連としましては、3月の下旬にコロナに対するホットラインというのをつくりました。電話で皆さんのお話をお聞きしましたら、同行援護が一番困っていました。それと、視覚障害者の皆さんは鍼灸マッサージに多く携わっております。そんな中でお客さんが激減したから何とかしてほしいとか、あるいは消毒液とかマスクを買いに行きたいのだが買いに行けないし、どこで売っているか分からないということで、3月、4月の頃はそういった悩みの方が多くいました。
また、同行援護を受けて移動する方もいますが、中には歩行訓練などを受けて自立して動いている方もいます。ただ、これが全国というか、都道府県によっては歩行訓練士がいないところもあるということを聞いております。こういったものを制度の中にきちんと取り入れていただいて、全国的に一人で歩ける方が増えるといいなと思っております。
3点目に関しましては、ほかの団体からもいろいろな意見が出てくると思いますので、後ほど簡単に述べたいと思います。私は中途失明の人間でございますので、点字を早く読みながら皆様に御説明できませんので、事務局の木村が資料を使いながら説明をさせていただきますので、お願いいたします。
○日本視覚障害者団体連合 事務局です。資料に従って説明を申し上げたいと思います。
今、開いている4ページから同行援護の説明が始まります。(2)同行援護事業所では、新型コロナウイルスの影響で昨年の4月と比べて売上げが63.1%に落ちております。これで同行援護制度を使えなくなってしまうのではないかという危機感がありまして、何としても報酬などを上げていただいて、改善に結びつけられたらと考えております。
5ページは課題の整理です。支給時間のこととか、車両の利用です。地方の方から車を使いたいという要望が上がっています。宿泊を伴う利用も課題です。
6ページは多様な利用方法、長時間とか短時間の利用を求めています。(5)事業所の運営状況、(6)資質向上、人材確保。これはヘルパーさんのことです。こういった課題がありまして、私たちとしては同行援護の制度を改善していただきたいと考えております。
7ページから、視覚障害者、事業所、ヘルパーの3つに分けて提案をしております。視覚障害者については、利用者のニーズに見合った制度・報酬に改めるべきではないかと考えておりまして、支給時間とか車の利用ですとか、宿泊を伴う利用について、何としても制度を直していただきたいと考えております。
8ページは事業所に関することです。事業所が安定的に運営できる制度・報酬に改めるべきではないかと考えております。例えば1番の長時間の利用の報酬です。3時間以上になると報酬単価が下がってしまう仕組みになっております。ですので、長時間の利用は報酬を上げるようにしていただきたいと考えております。一方で、短時間の利用。地域によっては短時間の利用が請求できない場合があったりすると聞いております。利用者のニーズとして短時間の利用はありますので、ぜひこういった報酬も考えていただきたいと思います。
9ページはヘルパーに関することです。ヘルパーの雇用を確保するための施策を実施すべきではないかと考えておりまして、生活を安定させることでヘルパーさんがしっかりと同行援護の仕事をしていただけるのではないかと考えております。そのためには、カリキュラムの改正などを通して資質の向上を図ることが必要です。また、今、新たな障害福祉サービスといったものが始まろうとしておりますので、こういったものと連携することも必要です。同行援護のヘルパーさんは、代筆・代読ですとか移動の支援に長けておりますので、ほかのサービスの仕事もできると思うのです。そういった仕事を増やすことでヘルパーさんの収入を増やして、ヘルパーさんの数を増やして、担い手不足の解消ができるのではないかと考えております。こういった提案を通して同行援護をぜひ安定させていただきたいというのが私たちの意見です。
10ページ目からが自立訓練です。私どもとしては歩行訓練を中心に要望を申し上げたいと思います。まず、私たち視覚障害者としては、全国でいつでも誰でもどこでも同じような質の高い歩行訓練を受けさせてほしいという要望をかねがね申し上げてまいりました。そして、(2)の平成30年度の報酬改定では、自立訓練の中で、今まで生活訓練では歩行訓練ができなかったのですけれども、それができるようになったという制度改正がありました。これがあったことで、私たちも自宅の近くで訓練が受けられるのではないか、もっと歩行訓練が受けられるのではないかという希望を抱いておりました。
11ページ目です。その報酬改定から3年たったのですけれども、私たちが確認している範囲では、生活訓練で歩行訓練がほとんど実施されていないという実情があります。何が原因かというのは、私たちもまだ整理ができていないのですが、何らかの理由があるのだろうと考えております。
一方で、新たなニーズ・課題です。視覚障害者の中には、社会進出、就職されて歩行訓練を受けたいという方もおられますし、同行援護を受けている方も歩行訓練が必要ではないかといったことで、様々なニーズ・課題が生まれております。そのため、歩行訓練を行う自立訓練も改めて視覚障害者のニーズに立ち返って、そのニーズを支えるための制度・報酬に改めることが必要ではないかと考えております。
12ページ目が自立訓練に関わる課題の整理です。視覚障害者のニーズに立脚して考えると、視覚障害者の方のニーズは多様になっています。いろんなニーズがあります。ただ、現状の自立訓練の機能訓練では、現場ではしっかりと対応したいのだけれども、なかなか制度面のところがかみ合わず対応できないとか、あと、実際それができないので、地域の自治体の予算で歩行訓練が行われているのですが、それも自治体の予算なので対応ができないとか、さらに、先ほど説明した生活訓練も実態が分からないということで、視覚障害者のニーズが満たされていないという状況が続いております。
13ページ目です。ここが提案になりまして、まず視覚障害者のニーズに見合った歩行訓練を実施するためには、制度と報酬を改めるべきではないかと考えております。やはり視覚障害者の訓練は、ほかの障害者の訓練と大きく異なっていますので、それに見合った内容にすべきではないかと考えております。例えば1.の人員配置と報酬です。機能訓練であれば、1:6の割合で行っているのですけれども、現状を見ると1:2.5以下の人員配置が必要ではないかと思っております。
その他には、訪問訓練ですとか、訓練の通所手段で同行援護を利用するなど、ニーズに合った制度改正が必要ではないかと思っております。
その上で、将来的にはそういったほかの障害者の方の訓練と違うところに関して、自立訓練の中で視覚障害者に特化したものが必要ではないかと考えております。
14ページ目も提案になります。視覚障害者向け歩行訓練等に関する総合的な調査が必要ではないかと考えております。先ほど御説明した生活訓練は、実情が分かりません。また、自治体の予算も実情が分からないところがあります。理想的な歩行訓練を目指すためにも、一度こういった視覚障害者向けの訓練に関する総合的な調査が必要ではないかと考えております。
15ページ目はその他の部分です。ここは各サービスに共通することで、視覚障害者の支援をしている事業所の声を聞くと、やはり運営が厳しいという声が大きいです。そのため、障害支援区分に考慮した報酬単価、加算を改めるべきではないかとか、申請方法を改善すべきではないかという意見を聞いたので、提案したいと思います。
16ページは、サービス別に分けているのですけれども、これら障害福祉サービス全般に言えるのが、視覚障害者の特性を考慮した制度・報酬になっていないのではないかと感じております。先ほどの自立訓練の中の歩行訓練も見合っていないところがあるのかもしれないので、サービス全般でこういった制度・報酬を改めていただければと考えております。
資料の説明は以上です。
○日本視覚障害者団体連合 三宅でございます。手短にお話をさせていただきます。
今まで事務局の木村のほうから資料について述べさせていただきましたけれども、何もこれは今のコロナ禍における困難さによって出てきたものではなくて、これまで私たちが要望してきた内容を十分盛り込んだ上での内容と思っております。特に歩行訓練におきましては、全国的・総合的な調査をぜひお願いしたいところですし、視覚障害者のニーズに合った訓練体制、あるいは同行援護のサービス提供が行われることを強く願っておりますので、ぜひ要望の点を御検討いただけばと思っております。よろしくお願いいたします。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。平野アドバイザー、どうぞ。
○平野アドバイザー 厳しいという状況は分かったのですが、これは地域差がありますでしょうか。都市部が厳しいとか、この辺の地域が厳しいとか、そういう地域格差みたいなものはありますか。
○日本視覚障害者団体連合 今回のコロナに関しましては、特定警戒地域がかなり厳しくなっていました。普段でいくと、中山間部とか地方のところは、同行援護の利用というのは、ヘルパーさんが見つからないとか、事業所がないとか、そういったことでかなりの視覚障害者が困っておられます。
以上です。
○平野アドバイザー ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
それでは、ほかにないようですので、ここで終了とさせていただきます。日本視覚障害者団体連合の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、全国肢体不自由児施設運営協議会より、小崎慶介様でございます。よろしくお願いいたします。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 よろしくお願いいたします。全国肢体不自由児施設運営協議会の小崎でございます。早速始めさせていただきます。
資料2ページに我々の団体の概要がございます。今、全国で57施設が加盟しております。
まず初めに、3ページの概要に示します5点について、私どもから意見表明をさせていただきます。大きいところでは、肢体不自由児と重症心身障害児、以下「重心」といたしますが、基本給付費の大きな格差が続いているということを是正していただきたいということです。一度には難しいということであれば、いわゆる重心周辺児への療育支援を強化して、彼らの地域社会への参加拡大を進めるために、従来の肢体不自由と重心の中間に当たる「重心周辺」という基本給付費のカテゴリーを設定していただきたいということです。
資料4ページ、療育サービス関係として、私どもの施設では被虐待児や家族支援の大きな力になっている医療ソーシャルワーカーについて、専任的な配置に対する給付費を創設していただきたいということです。
2番目としましては、入所児がスムーズに在宅生活に戻る際には外泊をして、環境の変化に対する調整を主として保育士、指導員が行いますが、医療型障害児入所施設では、この点について全く評価されてきておりません。入所から在宅への移行支援としての外泊に対する給付費の加算というものを認めていただきたいと思います。
3番目としまして、被虐待や家族養育困難な障害児を入所させる際に、今、加算をつけていただいておりますが、これはお子さん1人で全経過について1回しか認められておりませんが、現実には複数の施設が連携して受け入れに至る場合というのがございまして、これについては一定期間以上受け入れた施設においても算定可能となるように適用範囲を拡大していただきたいと思います。
最後に、新型コロナウイルス関連で言いますと、施設内拡大の防止のために、現在入所施設以外のサービスは提供を一時中止しているような施設がございますが、この場合には、中止している施設を一時的に例えば短期入所等で流用する、転用するということを認めていただいて、施設内の感染拡大予防と地域支援というものを両立していただけるようにしていただきたいということで、5点になります。
この後、詳しく述べていきたいと思います。まず、4ページから5ページにかけての基本給付費に関してです。
資料の順番がいろいろ飛びますが、10ページの参考資料3を御覧いただきたいと思います。これは重心児の判定に用いられる大島の分類でありますが、肢体不自由児という言葉を聞きますと、この分類で左上の四角に示したように、手足に障害があるのみで、それ以外には何の問題もない子供というのをイメージしがちですが、現代においてはそのようなお子さんの多くは、家庭から地域の学校に通学して、定型発達児とともに生活することが可能になってきています。施設を利用している、特に長期で被虐待など養護性の高いお子さん、しかも重心児には相当せず、肢体不自由児と認定された子供というのが、中ほどの赤い四角で囲んだ領域に属するような、軽度から中等度の知的障害や発達障害を併せ持っているお子さんというのがほとんどになります。重複加算の対象にもならないお子さんも多くいます。
ちょっと戻りまして、8ページから9ページ、参考資料1、2に基本的なADLに介助が必要なお子さん、それから最重度知的障害を合併しているお子さんの入所率が年々増加していることを示しています。合併障害の程度や組合せというのは様々で、こういったものを支援するために、13ページの資料6にありますように、いろいろな専門性を持つ職員が求められており、人員も時間も重心の場合と同じか、あるいは場合によってはそれ以上の負担がかかっているというのが現状であります。
比較的軽度の障害と聞きますと、手がかからないと考えがちですが、本当にそうでしょうか。例えば定型発達児の子育てにおいても、1歳前後の子供の食事動作は基本的に全介助で、養育者にはそれなりに負担がかかります。しかし、3~4歳になって手の機能や知的能力が向上した場合、養育者は手づかみで食事可能なのか、あるいはスプーンなどの道具を使えるのかなど本人の能力状況を判断して、半分ぐらいまでは独力で食べさせるとか、達成可能な目標を設定し、失敗したら目標を再設定するといった根気よい課題を繰り返すという対応が必要になります。同じように、比較的軽度の障害のお子さんでもできそうでできないことをできるようにするということが我々には求められているかと思いますが、この手がかかる程度というのは、介護に伴う肉体的な負担と同じような直線的な尺度で評価できるものかどうかというと、そうではないと考えています。
我々旧肢体不自由児施設は、国の掲げた大きな方針である施設から地域へという施策を先取りして、サービス内容も臨機応変に変革してきました。また、利用児の原因疾患や障害対応の大きな変化に対して、障害の軽度な肢体不自由単独の児から重度行動障害を合併した重心児まで幅広く受け入れ、結果として国が示している障害種別によらないサービス提供を以前から行ってまいりました。
我々は、この子たちによりよいサービスを提供するために、施設基準以上の指導員や保育士を配置し、さらに様々な専門性を有した職員を障害特性に応じて支援を行ってきました。15ページの資料8はタイムスタディによる業務分析の結果ですが、時には遂行業務量の総和が60分を超えるような時間帯がございますが、こういったときには職員は同時並行的な業務の遂行を強いられているということになり、重大な事故発生のリスクにさらされていると言えます。
結果として、現状では必要に迫られる形で、14ページ、参考資料7に示しますように、重心施設とほぼ同等の職員基準で支援をしていますが、もともとこれを可能にしていたのは、措置制度による給付費が原資でした。しかし、契約制度に変わり、利用した分のみが支払われるということになって、給付費が相対的に減額されたために、運営が一気に厳しくなっているというのが現状であります。
障害が重い子供さんたちへの支援というのは充実してきていますが、その一方で、隙間に入ってしまっている子供たちというのが置き去りにされてきているような感じがします。隙間にいる子供たちを適切に支援するということで、16ページの参考資料9に示しますように、能力の向上を期待するということもできます。そして、その子供たちが将来支援する側になるという可能性も大いにあります。
障害種別をなくすという理念を掲げているものの、実際には施設基準や給付費の格差は、11ページの参考資料4とか19ページの参考資料12に示すようにほとんど変わらず、厳然たる障害種別が存在するというのは果たして合理的と言えるでしょうか。
施設基準と給付費の均一化。せめて20ページの参考資料13にありますような「重心周辺児」というカテゴリーを創設して、格差の縮小を望みたいと考えます。それが福祉職員を充実する根拠になると思われます。この格差が解消されるのであれば、2の1から3でお願いした加算の必要性というのもなくなってくるのではないかなと思っております。
コロナウイルスの影響に関しましては、27ページの資料19に示しますように、地域・在宅へ退所させることができない重心の長期入所者への感染拡大防止を最大限の目標としておりました結果、有期有目的入所や短期入所など地域療育支援機能を制限する結果となりましたので、さらに肢体不自由児入所部分の実績は下がっているということになります。
時間の関係で資料全部については説明できませんでしたが、以上とさせていただきます。ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御意見に対しまして、御意見・御質間のあるアドバイザーの方は挙手をお願いします。田村先生、お願いします。
○田村アドバイザー どうも御丁寧な御説明ありがとうございました。
3つほど質問させていただければと思います。資料の4ページのところに書いてございます肢体不自由児と重症心身障害児の給付費の格差を縮めるということについてですが、これは参考資料1とか7から見ても、ああ、なるほどとうなずけると思うのですが、こういった多様化している肢体不自由児が増えているということは、この子たちの中には医療的ケアを必要とする児が増えてきているという理解でよろしいでしょうか。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 もちろん、先生お考えのように医療的なケア、例えば胃瘻による注入とか、場合によると気管切開のお子さんも受け入れてはおります。ただ、それだけではなくて、医療的ケアはそれほど多くはないけれども、非常に多動傾向があって、逆に医療的ケアを要するようなお子さんたちに対する危険認識がないようなお子さんも、同じようなユニットの中で過ごさざるを得ないということはございます。
○田村アドバイザー 今おっしゃったことにも関係するのですが、先生のおっしゃる重心周辺児を見させていただきますと、寝たきりでなくて、歩行障害、座れる、寝返りを打てる、そういったお子さんも含まれているということですけれども、そういうお子さんの場合には、医療的ケアだけでなくて、見守りが必要で、余計に人手がかかるという理解でよろしいですか。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 私は見守りだけではないと考えています。ある程度の知的な能力のあるお子さんに関しては、当然その能力を伸ばすという観点も必要でして、安全確保ということだけではなくて、知的な能力を伸ばすというのは、例えば学校に通っていればいいのかというと、健常発達のお子さんの場合は、当然家庭教育という面がございますが、長期で入所されている方の場合には、その部分はどうしても不足するというか、結果としては施設の職員が家庭教育面、あるいは生活習慣面といったことも含めて対応しているというのが実情だと思います。
○田村アドバイザー 最後の質問ですが、6ページのところで外泊を在宅移行の支援ということで加算、今のように医療費を85%減収、そういう状態ではなくて、評価加算をすべきだという御意見ですけれども、確かに外泊というのは、我々一般病院におきましても、在宅医療に移行するというときに、おうちでのハードがちゃんと整っているのかどうか、それから御家族の精神的、心理的な準備が整っているのかどうかということをチェックするためにも非常に大事なステップだと思うのですが、ただ、外泊をしていても全ての報酬を支払うということに対しては、やはり抵抗がある部分もあるかと思います。
一般の病院の場合は、診療報酬で退院時共同指導料というのがありまして、これは退院するときに在宅に移行するということをはっきりさせるために、訪問看護師さんとか在宅診のドクターとかを集めてカンファレンスをするとつくものですが、これは診療報酬の問題ですけれども、障害福祉におきましてもそれに相当するような、在宅に移行するときに、きちんとそれに対してそういうカンファレンスを開くということを前提に、これらの外泊は在宅移行の準備だったということを証明する、そういう条件つきでつけるということに対してはいかがでしょうか。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 ある程度見込みがついているお子さんは、もちろんそういうスキームを使うことができるかなと思うのですが、かなり深刻な虐待、あるいは養育困難とか、御家庭の状況によってなかなか。恐らく先生が想定されているのは、退園前の一定期間前からの準備で入ってその評価をしていくという形になるのかなと思いますが、必要とされる準備期間は、実はその家庭状況によってかなり差が出てくるのではないかという実感を持っています。なので、どこから引くかというのは難しいところであるのですけれども、先生の御提案も一理あるとは思います。
○田村アドバイザー どうもありがとうございました。
私の質問は以上です。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。佐藤アドバイザー、どうぞ。
○佐藤アドバイザー 重心周辺児という方たちの増加で、肢体不自由児といっても多様化が進んでいるということを御説明いただきましたが、これはどこの地域でも同じ傾向にあるのでしょうか。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 1つは、割と地域的な差は少ないのではないかという印象は持っています。きちっとした調査ができているわけではない部分はございますが、脳性麻痺のお子さん、特に低体重出生のお子さんなどの場合に、発達障害的な傾向を在宅のお子さんでもお持ちということはよく経験しますし、あとは肢体不自由があるがゆえに経験が限られる、あるいは偏るということが、結果として社会性の凸凹といいますか、そういった現象を起こしているという実感は持っております。だから、単純に手足の動きが悪いということだけの一軸ではなかなか捉えにくいのではないかと考えております。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 お時間でございますので、ここで終了とさせていただきます。全国肢体不自由児施設運営協議会、小崎様、どうもありがとうございました。
○全国肢体不自由児施設運営協議会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、全国就労移行支援事業所連絡協議会より、酒井大介様でございます。よろしくお願いいたします。
○全国就労移行支援事業所連絡協議会 よろしくお願いいたします。全国就労移行支援事業所連絡協議会の会長をしております酒井です。今回は私と事務局長の松本で説明と質問に関するお答えをさせていただこうと思います。
まずは、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。我々は就労移行支援事業所の事業所団体でありまして、お手元の資料につきましては、就労移行支援、それから就労移行支援に密接に関係のある就労定着支援を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。
早速ですが、3ページの意見の概要に沿って、それぞれ関連ページを御紹介させていただきたいと思います。まずは、より質の高いサービスを提供していく上での課題等といたしまして、関連しているのが4ページでございますが、就労支援においてアセスメントはとても重要であるわけですけれども、質の担保の観点から、例えば一定の基準を示すとか、専門的なアセスメントを自らの事業所で行う場合には、アセスメントに関する加算等で評価する仕組みを検討いただけないかという提案です。
引き続き、質の担保の観点から、関連資料として5ページ、情報公表制度が前回の報酬改定のタイミングで創設されたわけですが、内容を見ますと、記載内容が不十分な事業所が散見されます。この際、管理の徹底、具体的にサービス内容が分かる項目の追加、それから利用希望者や相談支援事業者など、たくさんの人に閲覧してもらえるように、例えば事業と地域を検索エンジンに入れると上位に上がってくるようなサイトになってほしいなと思っています。
それから、当協議会で就労支援の質を考える一環としましてセルフチェックシートというのを作成してみました。例えばこのような項目を示すことで質の担保の一環としてつながるのではないかと考えておりますので、御参考いただければ幸いです。
次に人材育成・確保についてです。関連資料は6ページ、7ページです。就労支援は労働福祉にまたがる政策ですから、そこを横断的に担える人材の在り方、その養成の在り方。また、人材確保につきましては、昨年創設されました特定処遇改善の課題について記載をさせていただいておりますので、詳細はそちらのほうを御確認いただければ幸いです。
次に、サービス体制の確保に向けた課題ということで、今、就労移行支援の課題の一つとして、地方においてこの事業が減少傾向にあります。関連資料は8ページ、9ページですが、身近な地域で就労支援を受けられる仕組みとして創設されたこの事業が、地方でなくなっていくということに非常に危機感を持っています。この減少を食い止められる劇的な効果の上がる処方箋というのはなかなか考えつかなかったのですが、例えば人員基準や定員の緩和、在宅による訓練も充実してきていることから、これらについても容易に提供できるように緩和等、再検討いただければなと思っています。
それから、基本報酬についてです。10ページ、11ページですが、前回の報酬改定から就労実績によって基本報酬が定められる仕組みに変更されましたが、就職や有期限のサービスということもあって、入退所が多いという事業の性質であるということを踏まえて、1年での評価は振り幅が激しくなっておりますので、2年とか複数年で評価して報酬を定めていただけないかと考えております。
定着支援における基本報酬のほうでは、施設サービスと違って、人数が多ければ多いほどスケールメリットがあるというサービスではそもそもございませんので、定員区分があることで利用者抑制の懸念も生じているということもあって、この際、定員区分を撤廃してはどうかと考えています。
また、こちらの事業も定着率で評価される仕組みになっているわけですが、精神障害者を中心に受け入れている事業所ではどうしても定着率が下がる傾向にありますので、上位の評価レンジの若干の見直しも検討いただけないかと考えております。
13ページから17ページですが、就労定着支援事業は、事業者数、利用者ともにまだまだ低調な状況にあります。この低調な課題に対応するために、例えば契約時期の見直しであるとか、2年目、3年目の利用者の方におきましては自己負担の問題が発生しますので、サービスの受益者は本当に本人だけなのか、この辺りの整理、移行支援、職員等定着支援の継続支援が、一体的に支援を提供できるよう、人員要件の緩和などを提案させていただいております。
持続可能な制度としていくための課題等々としまして、17ページから19ページです。前回の報酬改定からの積み残しの課題であると認識しておりますが、何をもって就労実現なのか。就労の定義ということです。この間、超短時間就労の実践が評価されていますし、今後も障害者雇用促進制度の動向も踏まえてこれは考える必要があるのではないかと思っています。当面は労働時間数による定義ではなくて、雇用関係にあるものを位置づけてはどうかと考えています。
次に、地域によって異なる自治体判断を是正するために、引き続き国におきます周知と考えを示すガイドライン、基準の提示をお願いしたいと思います。特にリワーク支援、それから在学中の学生への支援、利用延長などについて、それぞれ自治体で考えにばらつきがありますので、一定の基準なり考えを示していただきたいと思います。
加えて、利益供与の規定について。前回の報酬改定時に設けられたところですが、いまだ昼食の無料提供や資格取得費用の負担などをうたって利用者勧誘を行っている、公金でサービスを提供しているという意識の低い事業所が存在しているというのも現実です。こちらについてももう少し踏み込んだ規定が必要ではないかと考えております。
関連資料19ページです。ここも強調しておきたいところですけれども、自立支援法によってその就労移行支援が創設されましたが、当時のスローガンでありました「福祉から就労へ」ということですが、本当に実現ができてきたのか再検証が必要であると思っております。確かに福祉サービスからの就職者は年々増えておりますし、その要因として精神障害者、発達障害など、新たな対象者に対応してきたことは評価いただきたいと思います。ですが、まだまだ一般就労が可能な方に一般就労の選択肢や情報提供が行き届いていないように思います。就労系サービスは、一般就労に軸足を置いて、福祉から一般就労の再構築が必要であると考えています。そのために、相談支援、モニタリングの強化、就労アセスメントの拡充を提案させていただいております。
最後に、新型コロナウイルスの対応ですけれども、就労支援はまさに大きく影響を受けています。現在多くの企業実習が止まっているという報告も受けていますので、状況を分析した上で、実績の評価について何らかの措置をお願いしたいと思います。
この資料ですけれども、報酬のことだけではなく、地方の問題、就労定着支援の低調の問題、多岐にわたる説明資料とさせていただいております。当協議会としましても、これらの課題について引き続き向き合って考えていきたいと思っておりますし、今後も一般就労へ送り出し、それを支えていくサービスが福祉サービス、障害福祉サービスの中で重要な役割であり続けることを願いまして、意見書の説明を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対しまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー 御説明ありがとうございます。
地方で事業所がなくなっているという御説明だったのですが、どのぐらい減っているのか、分かるものがあったら教えてください。なくなっている原因は何ですか。分析をされていますか。ちゃんとした分析がないと、人員基準を緩和するだけでは効果があるのかなという気がするのですが、その辺、いかがでしょうか。
○全国就労移行支援事業所連絡協議会 関連資料の9ページ、厚生労働省が示していただいている資料、平成29年3月と令和元年6月で比較をしたものです。その原因というのは、我々もこれから分析をしていかないといけないのですけれども、要は、地方では20人の単機能で事業所を実施しているところは少ないわけですが、多機能型でも6人、10人の定員を埋めることができないという状況にもあるのかなと。そういう中で、常勤を少なくとも2名配置しないといけないという今の基準があるのですけれども、その辺りもハードルになっているのかなと考えているところです。
○野澤アドバイザー 移行の実績がなかなか伴わない事業所がまだ3分の1近くあると。これとの関係はありますか。
○全国就労移行支援事業所連絡協議会 僕は、今、専門性がないから3分の1、実績が上がっていないということだけでもないのかなと。実際利用者が埋まっていなかったり、そういうことも実績が出せない要因の一つではないのかなというふうにも考えています。あと、地方ではA型事業所にそういう就労可能な人も流れていっているということもよく聞いています。
○野澤アドバイザー そういうことを考えられるだろうなという気はしますけれども、そこら辺のデータがないと、政策というか、そういうところにつながっていかないのではないかなという気もするので、その辺りを見せていただきたいなと思います。今後の課題で結構だと思います。
○全国就労移行支援事業所連絡協議会 分かりました。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
それでは、ほかにないようですので、ここで終了とさせていただきたいと思います。全国就労移行支援事業所連絡協議会の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人就労継続支援A型事業所全国協議会より、久保寺一男様、近藤友克様でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○就労継続支援A型事業所全国協議会 貴重な時間を頂き、ありがとうございます。
それでは、時間もありませんので、早速説明させていただきたいと思います。今回の意見は2つに分けました。まず、加算等の考え方と、もう一つは新しい加算、増額ということでございます。両方とも4項目用意させていただきました。
まず、加算等の考え方でございます。(1)精神障害者の短時間利用及び労働についてということでございます。精神障害者にとって、特に利用開始において、短時間で働く環境に慣れ、徐々に時間を延ばすことが有効と考えます。また、短時間で働き続けることを望む障害者も多くいます。労働者として処遇されることができるA型事業の働く環境は貴重であると考えております。
アセスメントに医師の診断や自立支援協議会の意見を添えることを条件に、短時間利用が適当であると思われるものについては、利用者を平均労働時間の計算から除外できるようにしていただきたいということでございます。参考資料につきましては、時間と精神障害者の比率について用意させていただきました。
(2)福祉・介護職員等特定処遇改善加算についてでございます。A型事業所の職員給与レベルは低く、就労継続支援A型事業所における人材育成は喫緊の課題だと考えています。しかし、新しく設けられた福祉・介護職員等特定処遇改善加算に関しては、全事業の中で一番低く、加算Ⅰ・Ⅱともに0.4%と著しく低い加算率です。基本である福祉専門職員配置等加算のA型事業所の取得状況を加味してのことですが、配置した該当職員が少なく、結果として個々のA型事業所が加算を受けられないというならば合理性がありますが、しかし、福祉人材を配置し努力している事業所にとって、初めからA型事業所ゆえに加算が低く設定されているというのは合理性に欠けると考えています。ぜひ見直しをお願いしたいと思います。参考資料は平成29年度障害福祉サービス等経営実態調査結果。厚労省のデータでございます。
(3)施設外就労について。こちらについては2つございます。1つ目、定員と施設外就労の関係についてでございます。施設外就労先に定員の人数まで可能であり、また、本体事業所にもその分受入れが可能です。したがって、計算上は定員の2倍まで受け入れることが可能となります。しかし、自立支援法以来、サービスの基本は定員であり、分場や従たる事業所は定員内でのサービス提供が基本です。確かに施設外就労が事業所の生産活動収入を増やす有力な手段であり、一般就労への手段としても有効であることは認めますが、定員の報酬単価で定員の2倍の利用者の報酬が可能であるということは、よくないA型事業所の温床になる可能性が大きいと考えております。早急に実態調査をして、適正な運営をしているかどうかの確認をしていただきたいと思います。
施設外就労の2つ目ですが、近隣のビル等の清掃業務を行っているA型事業所の場合、1か所当たりの就労は数人であり、職員は複数の就労場所を短時間で巡回指導を実施しているケースが考えられます。それぞれの箇所に職員を配置することは現実的に無理があり、包括的なケースとして、以下の条件を満たす場合に認めていただきたい。なお、清掃は一般的に請負契約として認められており、派遣就労の問題は生じません。条件の1.就労の前後、また就労中に指導者による指示・確認が行われていること。2.定期的に巡回が行われていること。3.携帯電話等で指示を仰ぐ体制が整えられていること。4.緊急時に一定時間(30分程度)以内に駆けつける体制が整っていること。5.複数の現場を合計すると、指導員の配置基準が満たされていることでございます。
次に、新しい加算及び増額についての項目でございます。同じように4つあります。1つ目、就労移行支援体制加算の増額についてでございます。一般就労への移行促進は、同時に生産性の低下を意味します。それでも促進の努力をしている事業所においては、障害者のインクルーシブな視点での真摯な取組と考えています。就労移行支援事業所と比較しても同程度の実績を上げている事業所も多くあります。しかし、加算額はより低く、あわせて移行準備支援体制加算及び就労支援関係研修終了加算もありません。したがって、より一般就労への促進が図られている就労移行の実績のある事業所については、就労移行支援体制加算の増額をお願いしたいと思っております。参考資料を見ていただければと思います。
2つ目、社会保険加入者割合に関する加算の創設についてでございます。A型事業は最賃をクリアすることが目標です。しかし、週30時間以上の労働時間を提供することは、賃金増と社会保険の事業所負担分は、運営上大変な努力が必要です。したがって、利用者の処遇向上に努力している事業所に対しては、社会保険加入者割合に関する加算をお願いしたいと思っております。これも参考資料を用意しました。
3つ目、障害者のキャリアアップに関する評価加算についてです。A型事業所の働くレベルを上げることは、賃金のアップやディーセントワーク(働きがいのある仕事)の観点から大切です。職員の処遇改善制度に倣って、障害者のキャリアアップに関する評価加算の検討をお願いしたいと思います。
(4)ピアサポートの導入ということでございます。就労移行支援事業所では、就労支援員が配置されています。A型の場合、就労支援員の配置はございません。一方、地域生活支援事業の地域移行・地域定着促進事業において、ピアサポーター育成及びピアサポーターの活用を推進する体制整備がなされています。したがって、上記就労支援員に精神障害者のピアサポートの配置の検討をお願いしたいということでございます。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。佐藤アドバイザー、どうぞ。
○佐藤アドバイザー 3ページに施設外就労についての指摘がありましたが、AにしてもBにしても適切ではない使い方がされている事業所と考えることができますが、こうした事業所が存在する可能性はかなり高いのですか。御質問です。
○就労継続支援A型事業所全国協議会 調査をしたわけではございませんので、聞くところによるとという情報しかございませんが、恐らく施設外就労だけをやっているような事業所というのは前からあったのですね。本体が空っぽになってしまうという事業所がありましたので、そこに新しく利用者を受け入れるという可能性は十分にあります。情報は少し聞いております。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー ありがとうございます。
精神とか発達の方で短時間なら働けるという人は結構いるし、こういう方たちの働く場所としてそういう働き方を認めるというのはとても大事なことだと思うのです。その一方で、かつて「悪しき」とか言われて、要するに、経営者側の事情とか思惑で短時間しかやらないところもあったりした。この見分け方というか、線引きですね。利用者側の特性に応じた働き方を満たしてやっている事業所なのかというのは、どういう条件があれば認定できるのか。その辺はどうですか。中でやっている人は分かるかもしれませんけれども、外で見ている人は分かりにくいと思うのですが、その辺りをうまく打ち出せると本当に必要なところを守っていけると思うのです。そのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○就労継続支援A型事業所全国協議会 ありがとうございます。
実は支給決定プロセスというものは、事業所の意向というものがかなり影響してしまうというのが今のこの制度なのです。したがって、アセスメント、サービス等利用計画等々の下に支給決定がなされて、一人一人の利用者に沿った。人生スパンでサービスが決定されるというシステムがちゃんとできていれば、事業所の意向が左右されるということはないと思うのですけれども、いかんせん今はそうなっていませんので、今の制度でいけば、地方行政がちゃんとした監査等々をしっかりしてもらうという以外にないように思います。
以上です。
○源河障害福祉課長 ほかによろしいでしょうか。橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
ピアサポートの導入についてお聞きしたいのですが、A型の事業所に精神障害者のピアサポートを配置すると、どのような利点があると思われるか教えてください。
○就労継続支援A型事業所全国協議会 精神障害者の利用が大分増えてきました。彼らは確かに日数が少なかったり、時間が短かったりするのですけれども、労働の質はかなり高いものがございます。特にピアサポートに関しては、私たちがここで言う問題ではなくて、かなりピアサポートの効力が認められていますので、就労支援においても、もしピアサポートが何らかの形で活躍できるというふうになれば、A型事業所には今、就労支援員がございませんので、そういう活用がなされれば、我々としては大変ありがたいなと思っております。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 よろしいでしょうか。
お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきます。特定非営利活動法人就労継続支援A型事業所全国協議会の皆様、どうもありがとうございました。
続きまして、社会福祉法人全国盲ろう者協会より、福島智様、山下正知様でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○全国盲ろう者協会 全国盲ろう者協会の福島と言います。
マイクを手で持つと点字が読めないのですよ。こういうささいなことを含めて、世の中は盲聾者の存在などは想定していなくて。
私、ふだんは大学で教員をしていますが、盲聾者の当事者でもあります。重度の障害者で、同時に研究者という人間はあまりいないので、いろいろメディアの皆さんが紹介してくれるのですが、野澤アドバイザーはどこにいるのですか。Zoomの中ですか。
○野澤アドバイザー います。
○全国盲ろう者協会 どうも。
例えば今月だけでも野澤さんが卒業なさった毎日新聞が取材してくださって、2回出ます。そうなると、テーマはコロナだったり、やまゆり園だったり、とても大事なことですが、盲聾者のことも少しは話すのですけれども、とても読者がイメージできるような長さは記事にないですから、私のイメージだけが出てしまって、すごく申し訳ないなと思っています。
今、住所が分かっている人だけで1,000人ぐらいの盲聾者がいて、手帳を持っている人で1万4000人ぐらいはいる。だけど、みんなすごい大変な状況で生活していますので、例えば連絡を取ろうと思っても、ネットが使えなかったら電話もできないし、結局、どうするかというと、私たちの協会が九州でも四国でも出張に行って実際にパソコンを直したりするしかない。そういう感じなのです。
こういう特殊なニーズを抱えている盲聾者がどうやって生きていくか。これは通訳・介助というサービスをしていただいています。このサービスは、私が知る限り、世界的に見て、北欧のスカンジナビア諸国と日本が最も進んでいて、とてもありがたいことではあるのですが、だけど、スウェーデンの人も言っていたのですが、ありがたいのだけど、時間が少ないから年末になると苦しいのだと。
同じことが日本でもあって、資料で言いますと、例えば概要の部分に国庫補助基準の話が出てきます。2番、同行援護の報酬に係る国庫補助基準額の見直しについてというところで、ここが比較的象徴的な話ですが、まずありがたいお話の部分で、盲聾者が同行援護の支援を受けた場合に、いろいろ支援する人も大変だから、単価をアップして、盲聾者のために加算しましょうと担当の方々も考えてくださって、それがアップされたのです。アップされたのはいいのですが、実際に制度が始まってみると、おかしなことが出てきて、単価はアップされたけれども、予算が同じだから、結局、時間が少ないということになって、それは盲聾者にとってはすごく困る話で、市区町村や都道府県に話をしても、大本の国庫補助基準が変わらないのだから仕方がないですよと言われて、今、困っているところです。
なぜこういうことが起きているかというと、視覚障害者を基準につくられていますので、盲聾者のための別枠の基準にはなっていないのです。単価を上げると時間が減るのは当然のことで、ありがたいけれども、同時に困るなという状況になっていて、今後何とか御検討いただけないか。そんなに人数が多い盲聾者でもないので、何とか御検討いただけないかと思っています。
ほかにも幾つかございますが、資料を見ていただければ大体分かると思いますので、一旦ここで終わります。質問などあれば。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー どうも御説明ありがとうございました。お元気そうな御様子なので、ちょっとほっとしました。
お聞きしたいのはこういうことなのです。盲聾といっても本当にタイプがばらばらで、盲から始まっている人もいれば、聾から始まっている人もいて、コミュニケーションの方法は人によってかなり違うなといろんな場面で感じるところなのです。要望の中にあったように、こういう研修をすればいいのだということで研修のハードルを上げてしまうと、なかなか現実にフィットしないし、増えていかない可能性があって、今の時期は免除の科目を設定して、研修のハードルを低くして、同行援護ができる人、そういうヘルパーを増やしていく時期なのだなというのを私も実感しているところです。
今の盲聾の通訳の方とか同行援護をやる方というのは、どういう方たちがそういう同行援護の職に就いたり、盲聾の通訳さんになったりしているのかというのをお聞きしたいのです。どうすれば増やしていけるのかを考えていきたいなと思っているのですが、いかがでしょうか。
○全国盲ろう者協会 最初に私が少しお話をして、続いて盲ろう者協会の山下事務局長から補足いただこうと思います。
今の同行援護の事業は、まさに盲聾者のいろんなニーズを把握した人をどうやって新しい制度である同行援護に入れられるかということが課題となって、今は過渡期、移り変わっていく時期でもあって、盲聾者向けの研修が42時間、プラス42時間で、最高84時間あるのですが、そこではおっしゃっていたような聾ベース、聾から盲になった人や、小さいときから盲聾になった人とか、いろんな人の支援について一通り研修しますので、そういった人たちが同行援護のほうに自動的に入れるようにしていただいているのですが、だけど、すごくたくさんのバリエーションがあるので、今後それをどうしていくのかという課題はあると思います。
山下さん、補足があったらお願いします。
○全国盲ろう者協会 全国盲ろう者協会の山下です。
まず最初に、直接御質問がありました内容で、今、現実に盲聾者の支援に当たっている通訳・介助員の方は、どういう方が多いのかということが一つあったと思います。これは、残念ながら通訳・介助員をもって自分の仕事とする、要するに、それで飯を食えるという方はほとんどいないのが実態でございます。よく言われますが、家庭の主婦などで少し時間に余裕のある方が研修を受けて、通訳・介助員になるとか、時間のある時に通訳・介助を行う。あるいは学生さんだったり。要するに、それを専業にしている人はあまりまだいないということです。決してこれはいいこととは思いませんので、今後これを専業にしていく、いわゆるプロの通訳・介助員が増えていくことは望ましい方向だと思います。
現在の養成の考え方についてですが、今、福島のほうからも話があったように、通訳・介助員としての通訳の技法などは大変複雑で、多岐にわたっております。これを学ぶにはかなり時間がかかる。一方で、人数を増やさなければいけないという問題もございますので、できるだけ低いハードルでまず通訳・介助員としての最低限の仕事ができることを身につけていただいて、それ以上の問題についてはスキルアップ、いわゆる現任研修とか、そういうところで図っていければと思っております。
なお、同行援護と盲聾者向けの通訳・介助員の仕事は、かなりオーバーラップする部分があるので、現在、制度上は一応別々の資格なので、別々の独立した資格ということで、研修をおのおの受けなければいけないわけですが、数を増やしていくということを考えますと、オーバーラップしている部分は免除勧告ということで、受けなくても済むような形にした上で、数を増やしていく。
もう一点、資料にも書きましたように、一応3年間の猶予措置といいましょうか、2021年までは、通訳・介助員の業務経験のある方であれば、取りあえずは同行援護の従事資格があるということになっておりますが、この経過措置が切れてしまうと、今、通訳・介助をやっている人は同行援護では働けないということになってしまいます。そこのところはもうしばらく時間的余裕をいただきたいということでございます。
以上です。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。
それでは、ほかにないようですので、これで終了とさせていただきます。社会福祉法人全国盲ろう者協会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国盲ろう者協会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 本日予定しております議事は以上で終了となります。
次回の検討チームは、7月21日(火)14時より、本日と同様のオンライン会議にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、どうもありがとうございました。