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- 2020年7月10日 令和2年第2回目安に関する小委員会 議事録
2020年7月10日 令和2年第2回目安に関する小委員会 議事録
日時
令和2年7月10日(金)13:00~16:00
場所
労働委員会会館講堂(7階)
出席者
- 公益代表委員
- 藤村委員長、戎野委員、鹿住委員
- 労働者代表委員
- 伊藤委員、小原委員、冨田委員、永井委員
- 使用者代表委員
- 池田委員、佐久間委員、高原委員、橋本委員
- 事務局
- 坂口労働基準局長、村山安全衛生部長、五百籏頭賃金課長、小城主任中央賃金指導官、
水島副主任中央賃金指導官、手計賃金課長補佐、松本賃金課長補佐
議題
令和2年度地域別最低賃金額改定の目安について
議事
(第1回全体会議)
○藤村委員長
ただいまから、第2回目安に関する小委員会を開催いたします。本日は、中窪委員が御欠席です。まず、お手元の資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
○手計賃金課長補佐
本日はお手元の資料のほかに、各種団体の要望書の一部を回覧しますので、適宜、御参照いただければと思います。
続いて、配布資料の説明に移らせていただきます。まず資料No.1を御覧ください。令和2年賃金改定状況調査の結果です。1ページでは、本調査における調査地域、調査産業等についてお示ししております。令和2年調査は、昨年12月の審議会において了承されたとおり、標本設計の見直しを行っており、2ページに参考としてまとめています。
これまで各産業間の割合は、「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「医療,福祉」、「その他のサービス業」の事業所数の比率をおおむね6:3:1:1:2、事業所規模については1~9人、10~29人の事業所数の比率が、おおむね製造業では2:1、その他の産業では3:1としていたところですが、産業別・事業所規模別の調査対象事業所数を、母集団事業所数に比例した配分とするように変更しました。また、地域についても各都道府県の全域を対象とするように変更しました。
1ページに戻っていただき、集計事業所数です。約4,800事業所となっており、昨年の約5,000事業所と同程度の集計数となりました。調査事項は変更なく、昨年6月と本年6月の基本給、諸手当や月間所定労働日数、1日の所定労働時間数などであり、そこから賃金の上昇率などを算出しております。
3ページは、今年1~6月までに賃金の引上げや引下げを実施した、あるいは実施しなかったという区分で、事業所単位で集計したものです。産業・ランク計を見ていただくと、1~6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合が41.2%となっています。昨年の実績では53.6%でしたので、低下しております。
また、今年1~6月までに賃金の引下げを実施した事業所の割合は1.5%となっており、昨年の1.1%から上昇しております。7月以降に賃金改定を実施する予定の事業所割合は、若干上昇しています。
産業別に見ると、1~6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合は、各産業で昨年から低下しております。なお、「学術研究,専門・技術サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」については、昨年の調査では「その他のサービス業」として合わせて集計していたため、直接の比較はできませんけれども、参考として昨年の「その他のサービス業」の数値を括弧書きで掲載しております。
次に、4ページの第2表を御覧ください。回答のあった平均賃金改定率を事業所単位で集計したものです。産業・ランク計で見ていただくと、賃金引上げを実施した事業所の平均賃金改定率は2.8%ということで、昨年と比べて拡大しています。賃金引下げを実施した事業所はマイナス12.9%、改定を実施した事業所と実施しなかった事業所を合わせて、全体を平均した平均賃金改定率は1.0%となっています。
続いて、5ページの第3表になります。賃金引上げを実施した事業所の賃金引上げ率の分布の特性値です。産業計・ランク計を見ていただくと、第1・四分位数が1.0%の上昇、中位数が2.0%の上昇と昨年と同程度ですけれども、第3・四分位数が3.0%の上昇ということで、昨年の3.6%から縮小しているため、分散係数は0.50と昨年より低下しております。
6ページ、第4表①については、産業計・男女計を見ますと、ランク計の賃金上昇率は1.2%で、昨年の1.3%から0.1%ポイント縮小しています。ランク別に見ますとAが1.4%、Bが0.4%、Cが1.5%、Dが0.9%となっており、昨年の上昇率と比較すると、Aランク、Cランクでは拡大、Bランク、Dランクでは縮小となっています。産業ごとに見ますと、「製造業」が0.9%、「卸売業,小売業」が0.8%、「学術研究,専門・技術サービス業」が1.1%、「宿泊業,飲食サービス業」が2.3%、「生活関連サービス業,娯楽業」が1.2%、「医療、福祉」が1.2%、「サービス業(他に分類されないもの)」が1.2%となっております。縦の男女別の賃金上昇率を見ますと、産業・ランク計で男性が0.9%の上昇、女性が1.6%の上昇となっており、男性は昨年より拡大しましたが、女性は昨年より縮小しています。
次に、7ページの第4表の②、一般・パート別の賃金上昇率です。産業・ランク計で、一般労働者は1.0%の上昇、パートは1.7%の上昇ということになっています。一般は同水準でしたが、パートは昨年より0.1%縮小しました。
8ページ、9ページには参考1、2の表を付けておりますので、適宜参照ください。
10ページには付表として、賃金改定状況調査における労働者構成比率と年間所定労働日数をお付けしていますので、こちらも適宜、御参照いただければと思います。資料No.1の説明は以上です。
続いて、資料No.2、生活保護と最低賃金の比較についてです。1ページは、生活保護水準と最低賃金額との関係を示したグラフで、共に平成30年度のデータに基づくものです。右上にグラフの説明があります。破線の△は生活保護水準で、実線の◇が最低賃金額で、法定労働時間働いた場合の手取額を示しております。全ての都道府県において、生活保護水準が最低賃金を上回る逆転現象は生じていないことが確認できます。
2ページは、1ページの最低賃金額のグラフを令和元年度のものに更新したものです。生活保護水準は1ページと同じで、最低賃金が1ページより引き上がったグラフになりますので、同様に逆転現象は生じておりません。
3ページは、47都道府県について、最新の乖離額を示すとともに、その乖離額の変動について要因分析したものです。列Cの額が今年度の乖離額で、列Dの額が昨年度の目安小委でお示しした乖離額です。列Eに示した額が、昨年度から今年度の乖離額の変動分です。乖離額が変動した要因としては、昨年度の最低賃金の引上げのほか、御覧のような変動があります。資料No.2の説明は以上です。
続いて資料No.3です。地域別最低賃金額、未満率及び影響率に関する資料です。第1回目の目安小委では、全国計の数値については御説明させていただきましたけれども、今回はランク別の数値を記載しております。1ページは、過去10年間の推移を「最低賃金に関する基礎調査」に基づき示したものです。一番右の列が令和元年度です。
未満率についてランク別に見ますと、Aが1.7%、Bが1.7%、Cが1.5%、Dが1.2%となっており、Bランクを除いて平成30年度からやや低下しています。影響率についてランク別に見ますと、Aが20.5%、Bが14.2%、Cが13.9%、Dが11.6%となっており、平成30年度と比較すると、Dランクを除き上昇しています。
2、3ページは、未満率と影響率の都道府県別のグラフです。2ページは、最低賃金に関する基礎調査に基づく未満率と影響率の都道府県別のグラフです。上のグラフの影響率では、神奈川、北海道、大阪が高くなっており、香川、福島、佐賀が一番低くなっています。下のグラフの未満率では、岐阜が一番高く、鳥取が一番低くなっています。3ページは、2ページと同様のグラフを賃金構造基本統計調査に基づいて示したものです。影響率では大阪が、未満率では埼玉が高くなっております。資料No.3の説明は以上です。
続いて資料No.4は、各都道府県別の賃金分布です。令和元年の賃金構造基本統計調査を基にした賃金分布です。一般・短時間労働者の計、一般、短時間の順でそれぞれAランクからDランクまで、総合指数の順に都道府県を並べております。最頻値と最低賃金額との関係、張り付き具合については、影響率や未満率と同様に、同一ランク内でも異なった傾向が見られるところです。個別の御紹介は割愛させていただきますけれども、適宜、御参照いただければと思います。
続いて資料No.5です。こちらは最新の経済指標の動向で、昨年と同様に、本年も内閣府の月例経済報告の主要経済指標として提出しております。主立った指標については、第1回の目安小委で主要統計資料の中でも御説明したところですので、個別の御説明は割愛させていただきますけれども、適宜、御参照いただければと思います。
続いて資料No.6です。先日の中央最低賃金審議会においてお求めのありました、新型コロナウイルス感染症関係の資料です。大きく3つの項目に分けております。まず1つ目は、感染症の発生状況です。3ページについては国内の発生状況で、感染者数は、4月上旬をピークに落ち着いてきたところですけれども、足下では少しずつ増加してきています。4、5ページは海外の発生状況で、感染者数は増加しています。特に東南アジア地域、アフリカ地域で増加しているということが分かります。
大きな2番目が経済・雇用指標等です。7ページは令和2年6月の月例経済報告の基調判断です。「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」とされ、「先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待される。ただし、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」とされております。8~14ページは各論になりますので、御説明は割愛させていただきます。
15、16ページを御覧ください。直近の世界経済の見通しを公表している公的機関のうち、日本の成長率の見込みを公表しているOECDと世界銀行の資料を抜粋しております。15ページのOECDの資料によりますと、2020年の日本の成長率は、第二波が襲来する場合は7.3%の下落、第二波を避けられた場合は6%の下落と見込まれております。16ページの世界銀行の資料によりますと、2020年の日本の成長率は6.1%の減少と見込まれています。
17ページは、日銀短観の最新の結果です。第1回目安小委では、令和2年3月調査までのものでしたけれども、これは直近の6月の調査結果です。上段が業況判断です。6月調査では、3月調査に比べてマイナス幅が拡大しております。先行きについても、大企業を除いてマイナス幅が拡大しております。左下が経常利益の増減です。令和元年の実績は、3月調査の計画と比べて下方修正されている所が多くあります。また、令和2年度の計画においても、3月調査の計画に比べて下方修正されております。右下の売上高経常利益率については、令和2年度の計画において、3月調査の計画に比べて下方修正されております。
18、19ページは、内閣府の「景気ウォッチャー調査」による地域別景気の現状判断、先行き判断のグラフです。18ページは3か月前と比較しての景気の現状判断です。今年2月以降低下していたところですが、5月、6月と上昇しています。ただ、地域によっては異なっている状況が確認できます。19ページは2、3か月先の景気の先行き判断です。こちらも今年2月以降低下しておりましたけれども、5月、6月と上昇しています。ただ、こちらについても地域によってばらつきがあり、異なっている状況です。
20ページは、足下の雇用情勢です。5月の有効求人倍率は1.20倍となっており、低下傾向ですけれども、1倍は超えているという状況です。5月の完全失業率は2.9%と上昇傾向ではありますけれども、過去の悪かった時期に比べれば、まだ低い水準となっています。
21ページは、都道府県別の新規求人数(季節調整値)の令和元年12月から令和2年5月の減少率です。昨年12月を起点としているのは、新型コロナウイルス感染症の影響がないと考えられるためです。減少率を見ていただきますと、Aランクでは減少幅のランク内の差が小さいのに対し、それ以外のランクでは、減少幅のランク内の差が大きくなっており、地域によって状況が異なっているということが確認できます。
22ページは、産業別の新規求人数の動向です。「製造業」「宿泊業,飲食サービス業」などで減少幅が大きくなっております。
23ページは、産業別に見た雇用者数の動向です。「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」などで減少しています。一方で、「情報通信業」「運輸業,郵便業」「医療,福祉」などでは増加しています。
24ページは、雇用形態別にみた雇用者の動向です。女性のパート・アルバイトを中心に、非正規雇用労働者が大きく減少しております。
25ページは、産業別にみた休業者の動向です。5月の休業者数は4月に比べれば減少していますけれども、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などでは引き続き休業者割合が高くなっています。また、雇用者数の前年同月差を見ますと、5月は73万人の減少でしたが、4月の36万人の減少より減少幅が拡大しております。特に「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などで減少幅が大きくなっております。一方、一番右側の休業者数の前年同月差を見ますと、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」「卸売業,小売業」などで前年同月差の増加幅が大きくなっております。
26ページは、雇用形態別に見た休業者の動向です。右下を御覧いただくと、女性のパート・アルバイトを中心とした非正規の職員・従業員のところで、休業者数の前年同月差が大きく増加しております。
27ページは、非労働力人口の動向です。令和2年5月は、4月と比較すると増加幅は縮小したものの、性別でみますと男性が増加しています。右側の年齢階級別にみますと、15~24歳、65歳以上の層で増加しております。
28ページは、産業別にみた給与、労働時間の動向です。現金給与総額、総実労働時間の4月、5月速報の前年同月比について、プラスは青色、マイナスは赤色で示しております。産業の塗りつぶしは、4月のプラス・マイナスの状況によって着色しています。上段の就業形態計で見ますと、5月の労働時間は掲載している産業全てでマイナスとなっている一方で、給与の方はプラスとなっている産業もあります。ただ、4月に比べればプラスの産業が減っています。一番下のパートタイム労働者でみますと、労働時間の方は就業形態計と同じく、全ての産業でマイナスとなっておりますけれども、給与の方はプラスが続いている産業もあります。一方で、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などでは労働時間が大きく減少する中、給与も減少しているという状況です。
29、30ページは、JILPTと連合総研の共同研究の調査結果です。29ページは、新型コロナウイルス感染症に関連した影響です。勤務日数や労働時間の減少とか、収入の減少等で影響があったとする割合が、5月は4月に比べて上昇しています。30ページは、仕事面で不安に感じたことです。解雇や雇止めに不安を感じている割合は非正社員や、昨年1年間の世帯収入が300万円未満で高くなっております。また収入の減少についても、昨年1年間の世帯収入が300万円未満で不安を感じている割合が高くなっております。
大きな3つ目は、「政府の対策と実施状況」です。32ページには、政府の緊急経済対策の概要を示しております。33ページは各種支援策の一覧です。
34~37ページには、第一次補正予算、第二次補正予算の概要を付けております。
38ページには、一連の経済財政政策の経済効果ということで、内閣府が公表しているものです。全体で6.4%程度の実質GDPを下支え・押上げする効果があるとされております。
39ページは、主な支援策の実施状況です。雇用調整助成金をはじめ、御覧のような数値となっております。資料No.6の説明は以上です。
最後に、お手元の参考資料は、第1回目安小委で委員の皆様から御要望のあった資料をまとめたものです。2ページは、高卒初任給の関係です。第1回目安小委の資料では、労務行政研究所がまとめている今年度の速報値を、前年度からの上昇率の形でお示ししたところですけれども、実額を把握できる資料の御要望がありましたので、実額を記載したものです。令和2年度は事務・技術について、基幹職と事務職で差がない場合は17万1,454円、現業においては17万413円となっております。
3ページは、地域別最低賃金の最高額と最低額の推移を、時間額に統一された平成14年以降のデータを載せております。
4、5ページはパートタイム労働者の募集賃金の関係です。ハローワークの求人票データから算出したものですけれども、求人票の募集賃金の欄は上限額と下限額を記載する形式になっているため、上下限の平均額を募集賃金とし、都道府県別に平均値を算出したものが4ページ、下限額を募集賃金として都道府県別に平均値を算出したものが5ページです。令和元年平均のほか、直近については昨年と同様に4、5月のデータを掲載しております。また、人手不足の影響もあろうかと思いますけれども、最低賃金額の水準よりは高い水準となっております。また、都道府県によって動きに違いはあるものの、全国平均は上昇しているという状況にあります。
6ページは、消費者物価指数の前年同月比の推移です。第1回目安小委では主要統計資料の中で、令和元年の年平均、令和2年の月次の推移を説明しましたけれども、令和元年の月次の推移をお示ししております。
7ページは、過去の消費税率引上げ前後における消費支出の推移を示したものです。消費税を導入した際や、3%から5%に引き上げた際は引き上げ後、おおむね3か月以降には消費が持ち直しているところですけれども、昨年8%から10%へ引き上げた際は、1月時点までで持直しの動きが見られないといった状況です。
8、9ページは、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境整備のため、今後、政府において効果的かつ思い切った支援策を講じるとされたことを踏まえた、その状況が分かる資料についての御要望がありましたので、最低賃金の引上げに特化したものではありませんけれども、中小企業の生産性向上等に係る支援策の一覧を8ページに、そのうち主な補助金・助成金の実績を9ページにお示ししております。
10ページは、労働者の総収入と世帯の消費支出の状況が分かる資料についての御要望がありましたので、総務省の家計調査より、勤労者世帯における収支の対前年同月実質増減率の推移を示しております。実収入は1月以降、プラスが続いておりますけれども、消費支出は足元の4、5月で大きく減少しております。
11ページは、春季賃上げ妥結状況の関係です。連合のデータについて、第1回目安小委の後に取りまとまった最終集計結果を掲載しております。
12ページは、従業者規模別に見た休業者の動向です。令和2年4、5月のいずれも、規模1~4人で休業者割合が高くなっております。
13~17ページは、産業別、都道府県別に見た倒産件数の動向です。13ページは、東京商工リサーチによる産業別の倒産件数で、下は新型コロナ関連倒産の推移をお示ししています。14ページでは、同じく都道府県別の倒産件数をお示ししております。15ページは帝国データバンクによる産業別の倒産件数で、下は新型コロナウイルス関連倒産の累積数の推移のグラフです。16ページでは、同じく都道府県別の倒産件数をお示ししております。どちらも同様の傾向を示しております。
17~19ページは、新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報です。この数値は都道府県労働局の聞き取りなどによる情報等を基に把握した数値で、網羅的なものではないことに留意が必要です。その中で7月3日現在の集計分で、解雇等見込み労働者数が3万2,348人になっています。右下の業種別で見ますと、宿泊業、製造業、飲食業で多くなっております。18ページは都道府県別の数値で、19ページはその推移をお示ししたものです。4月後半から増加幅が拡大傾向にあります。
20ページは、産業別の未満率、影響率の資料について御要望がありましたので、平成30年の賃金構造基本統計調査の特別集計の結果をお示ししております。「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」「生活関連サービス業,娯楽業」などで影響率が高くなっております。
21ページは、企業規模別に見たものです。未満率、影響率ともにおおむね規模が小さくなるほど高くなっております。
22ページ以降は、「政府から経済界への雇用維持等に関する要請書」です。今年の3月以降、数回にわたり各団体へ雇用維持等に関する要請が行われております。23ページ以降にその内容を添付しておりますので、適宜、御参照ください。
駆け足になりましたけれども、事務局からの資料の説明は以上です。
○藤村委員長
どうもありがとうございました。今御説明いただきました資料について、御質問がありましたらどうぞお出しいただきたいと思います、いかがでしょうか。事務局に相当無理をさせたような感じがいたしますが、とても詳細な資料をお作りいただいております。よろしいですか、御質問はございませんか。では、配布資料に関する議論は以上にしたいと思います。
次に、前回委員の皆さまにお願いしたとおり、目安について基本的な考え方を表明していただきたいと思います。初めに労働者側委員からお願いいたします。
○永井委員
すみません、先に失礼いたします。私のほうから、今回のコロナ禍でも働き続けてきた労働者の存在について最初に触れさせていただきたいと思います。今回のコロナ禍では、どの業種、どの業態においても、働く者の暮らし・生活に不安というものを与えたと思っておりますが、業種、業態によって休業そして業績などの影響の度合いが相当程度異なると認識をしております。事実、社会機能を維持するため欠かせない仕事を担う、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる労働者は、この緊急事態宣言下でも日々感染の不安、恐怖と闘いながら仕事を続けてきたということは誰もが知るところだと思っております。
私が所属しますUAゼンセンにおきましては、繊維、化学、医薬といった製造業、そして百貨店、総合スーパー、スーパーマーケット、ドラッグストアといった小売、そして物流、介護、医療といった現場で働く労働者が加盟していただいておりまして、この間たくさんの仲間が働き続けてまいりました。どの業種でもそういった最前線を支えてきたのは、パートタイマー、契約社員、又は派遣社員といった、時給や日給で働く労働者で、そして家族的責任を負った生活者でございます。日々感染しないか不安を抱えながら通勤、出勤し、そしてこれもコロナ禍の影響でストレスを抱えた苛立つ顧客の方から、心ない言葉や態度をぶつけられたりという話も現場から多く聞いたところでございます。
また、派遣で働く人などからは、同じ職場で働きながらも、雇用主が違うことでマスクなどの必要な物資が支給されないといったような話も聞いているところでございます。特にスーパーマーケットのレジ、品出しといった担当の方や介護現場の訪問介護員、そして清掃などを担うスタッフの皆さんの多くは短時間有期雇用で働いている方々で、もともとそういう方の賃金は、地域事情に、地域相場に影響を受ける傾向があることから、最低賃金近傍で働く方も少なくありません。文字通り命をかけて懸命に仕事を続けてきた労働者のこの間の努力に報いるためにも最低賃金を引き上げる必要があると考えておりますし、それが社会的要請ではないかと思います。
もう1つ別の視点ですが、連合の春季生活闘争の結果からも最賃引上げに触れておきたいと思います。今年の連合の最終回答集計では、有期・短時間・契約等労働者の時給は7年連続で引き上げられており、加重平均で27円強となっております。コロナ禍が広がる中での労使の真摯な交渉を経た結果だと認識しております。この間、働き続けた労働者の努力に対して、特別手当を支給する企業も少なくないと聞いております。こうした労使の判断を、最低賃金の改定によって労使関係のない労働者にも波及すべきと考えております。繰り返しになりますが、今回のコロナ禍は企業も大変だった、そして同時に仕事への正義感、家族的責任の中でつらい思いをしながら働いてきた労働者も多くおり、労働者のほうも大変だったということです。是非この点を、最初に発言させていただきました。以上です。
○藤村委員長
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
御指名ありがとうございます。私からは、コロナ禍においても最低賃金の抱える課題は全然変わってない、なくなってないということを改めて主張させていただきたいと思っております。
まず、労側としましても、今回の新型コロナウイルス感染症の関係で雇用あるいは企業経営に大きな影響を与えておりまして、また使用者の皆様方が雇用の維持、それから事業継続に向けて懸命に御努力いただいていること、ここについては十分認識させていただいております。
一方、日本の最低賃金が抱える課題というのは、このコロナ禍においてなくなったわけではなくて、むしろ顕在化したものと考えております。まず1つ目の主張ですが、日本の最低賃金につきましては、皆さん御承知のとおり最低額790円、最高額1,013円でありますけれども、最高額の1,013円、これをもってしても、2,000時間働いても年収200万円程度に過ぎません。このことは憲法第25条、それから労基法第1条、最賃法第1条、こうした法の求める健康で文化的な最低限度の生活を営む、これに足る水準としては決して十分なものとは言えないと思います。こうした状況と言いますのは、より今日、短時間労働者あるいは子供の見守りの負担が増しているようなひとり親世帯、こうした方々にとってはより深刻でありまして、生存権確保、こうした観点からも最低限生活可能な賃金、これを最低賃金で担保すべきではないかと考えております。
また日本の最低賃金、これは釈迦に説法でございますが、全国加重平均901円という状況ですが、これは国際的に見ても、依然として先進国では最低レベル、こうした水準に置き去りにされております。もちろん国によって物価も社会保障も違うために、単純計算、単純比較はできないのですが、フランスやイギリスやドイツ、こうした先進国では、日本円換算でも1,000円を超えている状況です。また最低賃金と平均賃金の中央値、こうした比較で考えてみますと、フランスが60%、イギリスやドイツ、そして韓国では50%であることに対して、我が国日本は寂しいですが40%程度にとどまっております。OECD平均は50%超えておりますので、そうしたことから見ましても日本の最低賃金は相当低位に置き去りにされているのだろうという感想を受けます。
したがって、グローバル社会における日本の位置付け、これを踏まえながら、可能な限り早期に誰もが健康で文化的な最低限度の生活、これを営むに足る十分なセーフティー機能を果たし得るナショナルミニマムにふさわしい水準に引き上げていくべきだと考えております。
加えてもう1点です。地域間格差というのも大きな課題があると考えております。これまでもこの地域間格差というのが、隣県や都市部へ働き手の流出、この一因になってきました。現在はコロナ禍によって厳しい雇用情勢にありますけれども、そもそも日本というのは超少子高齢社会、あるいは労働力人口減少社会にあり、構造的な課題を抱えております。そうした中、その進行が将来的に不可避である以上、今後の経済再生下において、地域間格差を放置しますと、地方から都市への更なる労働力の流出につながるというのが明白になっていまして、各地域の審議会でも相当意見が出されております。
さらに、今回のコロナ禍は、東京を初めとする大都市圏への労働力集中、経済の一極集中や感染リスクの増大といった弊害を明らかにしております。このことは、先日公表されました骨太方針の中でも再三再四にわたって触れられており、正にこのアフターコロナ、ウィズコロナ、これを展望する上でも、ランク間の格差縮小に向けた抜本的な対応が求められているのだと考えております。
最後になりますが、昨年のDランクの審議結果を見ても明らかのように、各地域は格差改善を求めているのではないでしょうか。それから今日もそうなのですが、第1回目安小委員会で回覧されていました要請書にもありますとおり、決して労働者側だけではなくて、地方自治体も格差改善を求めているのです。したがって、ここ数年、これはもう皆さん、政労使それぞれの努力でございますが、額、率ともに縮小傾向にある中で、この流れを決して止めてはいけないと我々考えております。私からは以上です。
○小原委員
先ほど委員長からもありましたけれども、事務局の皆様方には短期間に大変充実した資料を作って御用意いただきましたので、資料を使いながら応対をさせていただきたいと思います。私は消費増税の影響、それからコロナの影響が労働者の生活、家計にも影響があったのだということを訴えさせていただきたいと思います。
昨年の目安答申の公益委員見解に来年度以降の審議においては消費税増税の影響による物価変動などの状況を勘案するという記載を頂いていると思います。したがって、本年の審議では消費税増税の影響について論議を深めるものと考えております。
御用意いただいた参考資料の10ページに家計調査の結果をお示しいただいています。昨年9、10月の消費増税前後の駆け込み需要、反動減の後、消費支出は減少を続けており、回復の兆しは見えません。消費支出に回復の兆しが見えないということに関して、新型コロナウイルス感染症がどの時期から影響を及ぼしているのか、これは議論が必要かとは思いますけれども、別途示していただきました7ページ目にあるように、消費税導入時や過去の消費増税前後における消費支出の推移と今回の状況を比較すると、先ほど事務局からも御説明がありましたけれども、今年1月の時点で過去の消費増税後の時期よりも消費支出の戻りが悪かったことが御確認いただけると思います。そうした状況の上に、今回の新型コロナウイルス感染症の影響が加わって現在の消費支出低迷の状況があると見るのが自然かと思います。
加えて言えば、6月30日まで期間限定での政府のキャッシュレス還元事業がありましたので、これも併せて考えれば、今回の消費増税が労働者の生活に与えた影響は相当程度大きかったのではないかと思っています。なお、完全に釈迦に説法ですけれども、軽減税率が適用されているとは言え、消費税は逆進性の高い税目ですので、増税が相対的に所得の低い最低賃金近傍で働く者に、より大きな影響を与えている、こういうことも忘れてはいけないと思います。
もう1回10ページに戻っていただきますと、消費全体としては、先ほども事務局から御説明がありましたとおり減少は続いていますけれども、詳細に品目を見ますと、光熱・水道、これは5月はもともと大型連休の月ですので、6月以降の注視が必要かと考えていますけれども、光熱・水道、それからマスク、ガーゼを含む保健医療の保健用消耗品、ウエットティッシュを含む家具・家事用消耗品などに増加が見られ、新型コロナウイルス対策として実施されている在宅勤務、それからマスクの着用、手指の消毒による支出の増加が今後も恒常的に家計に影響を与えると考えます。
そのような中、これもまたお示しいただいたJILPTの「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活の影響に関する調査」によれば、自身の雇用や収入に関わる影響があったと回答した割合は、4月調査に比べ5月調査で上昇し、中でも勤務日数や労働時間の減少、収入の減少が大きく上昇して50%を超えている。こちらも注目しなければならないと思っています。
以上のように、新型コロナウイルス感染拡大は、中小企業、小規模事業者の事業活動や業績に影響を与えている、と同時に労働者の生活にも大きな影響を及ぼしている、これを考慮した審議が必要だと思います。以上です。ありがとうございました。
○冨田委員
今ほど労側の委員から本年議論すべき課題について何点か申し述べさせていただきましたが、最後に私から総括的な意見として、総論2点、各論2点述べさせていただきたいと思います。
まず初めに申し上げたいのは、これまで積み重ねてきた賃上げの流れを止めるべきではないということです。雇用の確保と企業の持続性を担保することが現下の最重要課題であることに私どもも何ら異論はございませんが、そのことと最低賃金の引上げの重要性、これは分けて考えるべきであると考えております。長らく続いたデフレ経済から脱却するために、2013、2014年の2年間において、政労使会議の中で三者で賃上げの重要性を確認し、最低賃金についてもここ数年ステップを踏んで改善を続けてきました。今ここでその流れを断ち切れば、デフレ回帰の動きを惹起し兼ねないと考えております。
それから今回のコロナ禍によって、緊急的に措置された予算も先ほど資料でお示しをいただいておりますが、その規模はリーマンショックをも超える水準であり、その財源は多額の税金と将来世代に負担を掛ける57兆円を超える国債で賄われておりますが、そのほとんどは企業の持続性と雇用を守るための予算措置となってございます。現在は予算が行き渡っておりませんので、事業者も労働者も大変苦しい状況が続いておりますが、最低賃金の改定は早くても今年10月以降ですので現状で予算措置の効果なども見通すのは難しい状況ではあるものの、計画上では6%以上のGDP押上げ効果があると見込まれておりますので、現下の厳しさだけをもって、本年の目安の示し方を議論すべきではないと労働側としては考えてございます。
加えて、今回のコロナ禍がグローバル経済の分断をも明らかにしたことを鑑みれば、今後の日本経済再生に向けては内需の拡大が必要不可欠となります。先ほど小原委員が発言しましたとおり、現在、労働者の消費マインドは大きく落ち込んでおります。労働者が生活不安や雇用不安を抱える中で、国民一丸となってコロナ禍を乗り切るためには、社会安定のセーフティネットを促進するメッセージが必要であり、最低賃金の引上げは、正にそのメッセージになり得るものと私どもは考えております。この状況下で最低賃金を改定しないことは、社会不安を増大させ、格差を是認することと同義であり、最賃法第1条に照らし合わせたこの趣旨の役割からして、あってはならないことではないかと考えてございます。
2点目は、中小企業、小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性についてです。昨年の目安答申では、この賃上げしやすい環境整備は労使共通の認識であるとし、生産性向上の支援や取引条件の改善を初めとする適正な価格転化策など、思いきった支援策を速やかに実行するよう政府に強く要望したところであります。
先ほど事務局からお示しいただいた資料は、主に予算関連の支援策でありましたが、本年5月には内閣府の「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、ここにおられる経営者団体の皆さまとともに、大企業と中小企業がともに成長できる関係構築を目指し、サプライチェーン全体で労務費の価格転嫁などをはじめとする取引適正化と強靭化、高度化を通じた生産性向上、更には付加価値向上を図ることを目的としたパートナーシップ構築宣言の取組を推進していくことを確認したところであります。
この会議の中で示された資料の中には、民間同士だけでなく、官需要など、官民の取引改善の必要性にも触れられておりますので、是非この場でもそうした状況を確認していきたいと私どもは考えており、公使の先生方の御了解が得られれば、この会議の資料も次回以降参考資料としてお示しいただけたらと考えてございます。
以上申し上げた上で、具体的な改定の方向性について2点申し上げたいと思います。まず1点目は、最低賃金の額についてです。絶対額が低いがゆえに顕在化した課題につきましては、先ほど伊藤委員が述べたとおりですので、最低賃金は、十分なセーフティ機能を果たし得るナショナルミニマムにふさわしい水準に引き上げていくべきだと考えてございます。労側はこれまでも2008年の「円卓合意」、2010年の「雇用戦略対話」を大事にし、2020年までに800円以下の地域をなくすこと、トップランナーであるAランクは1,000円に到達することを繰り返し主張してまいりました。本年においてもこの考え方を堅持してまいりたいと考えてございます。
2点目は、地域間格差の是正についてです。地域間格差が抱える課題についてはここ数年の審議の中で共通認識となり、改善に向けた歩みを続けてきたと認識しており、であるからこそ、この流れを止めてはならないと考えます。全員協議会の中での議論を経てランクを分けてきたこと、このことは尊重いたしますが、今回のコロナ禍によって明らかとなった大都市圏への労働力集中の弊害、これを改善していくためのメッセージとなる抜本的な対応を図っていくべきと考えてございます。以上が本年における労側の基本的な考え方であります。今年の目安額についても様々な現場を熟知しておられる皆さんと真摯な議論を積み重ね、誤りのない解を見出していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。労側からは以上です。
○藤村委員長
分かりました。ありがとうございました。引き続きまして、使用者側委員からお願いしたいと思います。
○池田委員
初めに、中小企業を取り巻く状況について申し上げます。新型コロナウイルス感染症拡大によって日本経済は、今、これまでに経験したことのない危機的な状況に直面しております。緊急事態宣言や地方自治体による休業要請等は大規模な需要喪失をもたらし、幅広い業種や地域の事業者に多大な影響を及ぼしました。宣言等の解除後もその爪痕が大きく残っており、未だコロナ以前の状況には戻っていません。取り分け、経営基盤の脆弱な地方の中小企業・小規模事業者に甚大な影響を与え続けております。
中小企業庁の中小企業景況調査結果によりますと、2020年4-6月期の全産業の業況判断DIは、6期連続の低下となっただけでなく、前期に比べて39.7ポイントもの急激な悪化となり、マイナス64.1まで低下いたしました。これはリーマン・ショック後の2009年1-3月期に記録したマイナス50.0を大きく下回る数値となっております。また、地域別の業況判断DIも、北海道から九州・沖縄までの全ての地域において、全産業、製造業、非製造業のいずれも低下しております。
コロナ関連の倒産も増えています。帝国データバンク調査結果(7月8日現在)によりますと、新型コロナウイルス関連で倒産した企業は全国で322社に上っており、業種別では飲食店、ホテル、旅館が突出して多くなっております。第2波への懸念から外食を控える動きが継続しており、依然として厳しい状況が続くことが見込まれます。
こうした厳しい状況は、雇用面においても広範囲に現れております。多くの企業が雇用調整助成金等を活用した一時帰休や休業等を実施した結果、5月の休業者数は354万人を超えており、リーマン・ショック時のピーク水準の153万人を2倍以上上回っております。加えて、厚生労働省調べ(7月3日現在)によりますと、雇用調整の可能性がある事業所数は約5万7,000事業所、解雇等が見込まれている労働者は約3万2,000人に達しておりまして、今後、さらに悪化する可能性もございます。特効薬やワクチンが開発され、十分に普及するまでの当分の間、感染症拡大防止と事業活動の両立を余儀なくされることになります。第2波、第3波の到来が懸念される中、経済の先行きは極めて不透明となっており、少なくとも今年度中の力強い景気回復は期待できないとの見方が強まっております。
次に、このような厳しい状況の下で行われる、今年度の目安審議に臨みます使用者側の基本認識を申し上げたいと思います。最低賃金は法的強制力をもって引き上げられ、各企業の状況に関係なく人件費を増大させることになります。地方の中小企業・小規模事業者からは、最低賃金を引き下げてほしいとの声が多く聞こえる中、今年度、有額の引上げ目安を示すことは、事業継続と雇用維持のため雇用調整助成金や持続化給付金等の各種給付金を受けながら、辛うじて持ち堪えている多くの中小企業・小規模事業者を更なる窮地へ追い込むことになるとの懸念を強く持っております。こうした認識は、政府や労働者側とも共有できていると思っております。
今年度の諮問後の挨拶で、加藤厚生労働大臣が言及されましたように、全世代型社会保障検討会議において安倍総理は、新型コロナウイルス感染症による雇用、経済への影響が厳しい状況にあることから、今は官民を挙げて雇用を守ることが最優先課題であるとの考え方を示しました。この総理の考え方に使用者側は全面的に賛同いたします。
また、4月20日に開催した連合の神津会長と経団連の中西会長のWeb会談におきましても、事業の継続と雇用の維持・確保に全力で取り組むことの重要性を確認し合い、労使メッセージを発信いたしました。このことの意味を労使で深く認識しながら取り組んでいくことが求められています。
事業の存続を掛けて、必死の対応に迫られている中小企業・小規模事業者の雇用維持に向けた努力に、決して水をさすことのないよう、安倍総理が加藤厚生労働大臣に指示された中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進めるとの基本的な考え方を関係者一同が重く受け止め、今年度の審議に臨むべきであると考えております。
最後に、このような認識に立って今年度の目安額について申し上げます。近年の最低賃金は政府の引上げ方針という、時々の事情への配意を強く求められ、3%を超える大幅な引上げが実施されました。その結果、中小企業・小規模事業者の経営実態と乖離した引上げが続いたことにより、2019年度の全国平均の影響率は過去最高の16.3%にも達しています。最低賃金の決定に当たっては、最低賃金法で定めた労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力の3要素を考慮する必要があります。本来は、3要素を総合的に表していると考えられる、賃金改定状況実態調査の第4表を重視した審議が基本となります。しかし、雇用維持が最大の課題という正に緊急事態である今年度については、3要素のうち、通常の事業の賃金支払能力を最も重視して審議すべきです。その観点から、新型コロナウイルス感染症が、中小企業・小規模事業者の経営に及ぼしている影響を示した様々なデータを十分に踏まえて、検討する必要があると考えております。
今年度の目安においては、事業の継続と雇用の維持を最優先とするというメッセージを、公労使で各地方の最低賃金審議会に発信するために、今回と同様に100年に一度の危機と言われたリーマン・ショック後の審議において示した、現行水準の維持を基本として目安を示さずと同等以上の配慮が必要なことは明らかでございまして、具体的には、据置き、凍結とすべきことを使用者側は強く主張いたします。私からの発言は以上でございます。後は各委員より適宜、補足発言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長
橋本さん、どうぞ。
○橋本委員
池田委員の御説明に補足して、私からも一言発言させていただきたいと思います。今年度の最低賃金の審議については、例年とは全く状況が異なり、新型コロナ禍が世界的に拡大蔓延し、日本のみならず世界が不安におののいているという非常事態の中で行われていること。このことをまずは認識する必要があると考えております。実際のところ、グローバル化が進む中、都市封鎖、出入国の禁止措置等々、これまで私どもが想像だにしなかった事態が現実となっております。その結果、観光、飲食等、消費需要が一瞬にして蒸発してしまった業種、地域が相当数あり、経済的に深刻な状況に陥ってしまったことは御承知のとおりかと存じます。
私ども日本商工会議所が全国の商工会議所の職員を使って実施しておりますLOBO調査、この6月調査の結果でも新型コロナによる経営への影響について、「影響が続いている」という企業は62.9%、これに「長期化すると影響が出る懸念がある」とする企業を加えると実に93%となり、甚大な影響が出ております。また、同調査による業況DIでは、6月はマイナス62.8と、今年1月のマイナス26.8から、急速かつ大幅に悪化しております。中小企業の景況感は極めて厳しいということを示す数字になっております。とりわけサービス業では、1989年4月の調査開始以降、最悪のマイナス77.6となり、宿泊・観光等のインバウンド関連産業や、緊急事態宣言下での休業要請により甚大な影響が顕在化している飲食業等、非常に深刻な状況に陥っております。
同じ調査で新型コロナによる影響が続いている企業に対し、雇用関連の対応策を聞いたところ、「雇用調整助成金を検討・申込み」と回答した企業は40.7%に上った反面、「従業員の整理を検討・実施する」は、わずか3.9%にとどまりました。すなわち、多くの中小企業は雇用調整助成金等の支援策を活用しながら、事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けているのが実態と言えます。
最低賃金は政府方針の下、中小企業の経営実態を大幅に上回る3%台の引上げが4年連続行われてきました。その結果、日商の調査で、最低賃金引上げの直接的な影響を受けた中小企業の割合が、2015年度の20.7%から2020年度には実に41.8%に上り、年々増加の一途をたどっております。
こうした状況下、すなわち最低賃金の大幅な影響が広がる中で、突如、この新型コロナ禍の猛威に晒されたことになります。最低賃金については、かねてより全国の中小企業者から年ごとに高まる影響率を危惧し、中小企業の実態を考慮した、明確な根拠に基づく納得感のある数字の決定を求める声が強く日商に寄せられておりました。今年は全く先行きが見えない深刻な経済情勢の下で、引上げはあり得ない。今年度は、むしろ下げるべきであるとの悲痛な声が目立って増えてきております。先ほどの使側見解で、据置き、凍結すべき旨申し上げたところですが、今の中小企業の窮状を鑑みれば、今年度は引上げる状況にはない。これを改めて強く主張したいと思います。以上です。
○藤村委員長
佐久間さん、どうぞ。
○佐久間委員
私からも中小企業の景況感について、現状を申し上げたいと思っております。現在、中小企業は経済活動の停滞によって経営環境が急激に悪化し、その影響は深刻度を増しています。私ども全国中央会が毎月取りまとめております最新の中小企業景況調査では、景況、売上げ、収益の主要3指標だけではなく、資金繰りとか設備の操業度を含めた全9指標が悪化し、リーマン・ショックを下回るDI水準となってしまいました。業種を問わず多くの中小企業から、先行きの見通しが立たず不安であるといった声、大企業やサプライチェーンの生産停止による影響を大きく受けている、という声が多数聞こえています。特に製造業では印刷、繊維工業、鉄鋼・金属が、また非製造業では商店街の関係、運輸業、卸売業の落込みが極めて深刻な状況です。多くの業種において売上げが立たず、資金繰りに苦しみ、大幅な減収・減益によって商売自体の維持・存続ができない危機的状況となっています。
経済活動が徐々に再開されつつある現下の状況では、まずもって優先すべきは企業の事業継続であり、雇用の維持だと考えています。そのために中小企業の経営者は内部留保を取り崩し、あるいは国等から講じていただいた経済対策を最大限に活用して、先行きの不安と戦いながら、事業の存続と雇用の維持に懸命の努力を続けています。
しかしながら、体力に乏しい企業では雇用を維持することができず、事業をやめざるを得ないということが増えてくることも懸念されます。事業の継続と雇用の維持を何とかできている多くの中小企業者にとっては、最低賃金の引上げに耐えられる状況には全くなく、中には「引下げでも」という気持ちを有している事業者もおります。
この4月からは、中小企業においても時間外労働の上限規制が施行されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、働き方改革への対応もしなければならない状況です。現下の状況に鑑みれば、まずもって優先すべきは企業の事業継続であり、その先の雇用維持であって、最低賃金の引上げを優先できる環境には全くなく、引上げを主張することは、このような特殊な環境下においては実態にそぐわないのではないかと考えます。
これらのことを総合的に勘案しますと、特にここ数年、中小企業にとっては大きな負担増となっていた最低賃金の引上げは、本年は据置き・凍結すべきであると考えております。以上です。
○藤村委員長
高原さん。
○高原委員
ありがとうございます。企業を取り巻く状況につきましては、先ほど来から各委員が申し上げたとおりでございます。様々な指標の数値が、リーマン・ショック時を大幅に上回る下げ幅、悪化を示す、正に未曾有の状況の中で、各企業においては現在、事業の継続と雇用の維持を最優先課題として取り組んでおりますけれども、企業を取り巻く経営環境の悪化基調が鮮明になってきている今の状況下におきまして、これらの事業の継続と雇用の維持の取組が、更に厳しくなっているということを十分に踏まえた上で、この審議に臨むべきだと考えております。以上です。
○藤村委員長
分かりました。労使双方から基本的な考え方を伺いました。今の御主張を聞いておりますと相当隔たりが大きいなと思います。何かまだ言いたいことはありますか。
○冨田委員
一言だけ、私が聞き間違えたのかもしれないのですが、先ほど池田委員から、最低賃金の引上げ額について有額を示せば中小企業が窮地に陥る懸念、これは労使共通認識というような御発言があったやに私は聞こえました。もし聞き間違いだったら、それはその旨で訂正いただきたいと思いますけれども、先ほど労側の主張で申し上げたとおり、そういう懸念に私たちは立っていないので、共通認識というのは違うということだけ先に申し上げさせていただければと思います。
○藤村委員長
分かりました。使用者側がそういうふうに思っているということですね。労使の主張には相当な開きがございますので、このままここで議論を続けてもあまりいい結果にはならないかなと。そこで、公労、公使で個別に主張を伺いながら開きを詰めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、まず公労会議から始めたいと思います。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○手計賃金課長補佐
それでは、まず公労会議から行うということですので、使用者側委員の皆様は控室のほうへ御案内させていただきます。よろしくお願いします。
(第2回全体会議)
○藤村委員長
ただいまから、第2回の全体会議を開催いたします。本日は、本年度の目安の取りまとめに向けて、労使双方から基本的な考え方をお伺いし、それに基づいて議論をしていただきました。その結果、双方の主張はかなり明確になってきたと思いますが、その主張の隔たりは相当大きいなと思います。そこで、次回の目安小委員会において更なる御議論を行っていただき、目安の取りまとめに向けて努力をしていただきたいと思います。それでは、次回の日程と会場について、どうぞ。
○永井委員
すみません。もう終わりというところで失礼いたします。一言だけ申し上げたいと思います。私、労働側の主張の冒頭で、コロナ禍で働き続けた労働者のことについて触れました。使用者側の皆様の御主張を聞かせていただいた中で、労働者とか労働者の現状といった言葉が、聞き逃がしていたら申し訳ないですが、どなたからも聞かれなかったかなと思います。その中でそういった労働者、私どもは会社も非常に厳しくて、この間、本当に大変な思いをしてきたということを分かった上で発言をしてきたつもりだったのですけれども、その中で使用者側の皆さんが、労働者がこの間働いてきたということについて、どういうふうにお考えなのか、どう思われているのかと思った次第です。今、ここでお答えということではありませんで、今後の審議の中で是非、その辺りをお伝えいただければ大変有り難いと思います。すみません、以上です。
○藤村委員長
分かりました。いいですか。では、次回の日程と会場についてお願いします。
○手計賃金課長補佐
次回の第3回目安小委員会は、7月15日(水)、13時から、労働委員会会館講堂、この場所になりますけれども、開催いたします。
○藤村委員長
ありがとうございます。それでは、本日の小委員会、これをもちまして終了といたします。議事録の署名につきましては、伊藤委員と佐久間委員にお願いいたします。お疲れさまでございました。
○藤村委員長
ただいまから、第2回目安に関する小委員会を開催いたします。本日は、中窪委員が御欠席です。まず、お手元の資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
○手計賃金課長補佐
本日はお手元の資料のほかに、各種団体の要望書の一部を回覧しますので、適宜、御参照いただければと思います。
続いて、配布資料の説明に移らせていただきます。まず資料No.1を御覧ください。令和2年賃金改定状況調査の結果です。1ページでは、本調査における調査地域、調査産業等についてお示ししております。令和2年調査は、昨年12月の審議会において了承されたとおり、標本設計の見直しを行っており、2ページに参考としてまとめています。
これまで各産業間の割合は、「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「医療,福祉」、「その他のサービス業」の事業所数の比率をおおむね6:3:1:1:2、事業所規模については1~9人、10~29人の事業所数の比率が、おおむね製造業では2:1、その他の産業では3:1としていたところですが、産業別・事業所規模別の調査対象事業所数を、母集団事業所数に比例した配分とするように変更しました。また、地域についても各都道府県の全域を対象とするように変更しました。
1ページに戻っていただき、集計事業所数です。約4,800事業所となっており、昨年の約5,000事業所と同程度の集計数となりました。調査事項は変更なく、昨年6月と本年6月の基本給、諸手当や月間所定労働日数、1日の所定労働時間数などであり、そこから賃金の上昇率などを算出しております。
3ページは、今年1~6月までに賃金の引上げや引下げを実施した、あるいは実施しなかったという区分で、事業所単位で集計したものです。産業・ランク計を見ていただくと、1~6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合が41.2%となっています。昨年の実績では53.6%でしたので、低下しております。
また、今年1~6月までに賃金の引下げを実施した事業所の割合は1.5%となっており、昨年の1.1%から上昇しております。7月以降に賃金改定を実施する予定の事業所割合は、若干上昇しています。
産業別に見ると、1~6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合は、各産業で昨年から低下しております。なお、「学術研究,専門・技術サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」については、昨年の調査では「その他のサービス業」として合わせて集計していたため、直接の比較はできませんけれども、参考として昨年の「その他のサービス業」の数値を括弧書きで掲載しております。
次に、4ページの第2表を御覧ください。回答のあった平均賃金改定率を事業所単位で集計したものです。産業・ランク計で見ていただくと、賃金引上げを実施した事業所の平均賃金改定率は2.8%ということで、昨年と比べて拡大しています。賃金引下げを実施した事業所はマイナス12.9%、改定を実施した事業所と実施しなかった事業所を合わせて、全体を平均した平均賃金改定率は1.0%となっています。
続いて、5ページの第3表になります。賃金引上げを実施した事業所の賃金引上げ率の分布の特性値です。産業計・ランク計を見ていただくと、第1・四分位数が1.0%の上昇、中位数が2.0%の上昇と昨年と同程度ですけれども、第3・四分位数が3.0%の上昇ということで、昨年の3.6%から縮小しているため、分散係数は0.50と昨年より低下しております。
6ページ、第4表①については、産業計・男女計を見ますと、ランク計の賃金上昇率は1.2%で、昨年の1.3%から0.1%ポイント縮小しています。ランク別に見ますとAが1.4%、Bが0.4%、Cが1.5%、Dが0.9%となっており、昨年の上昇率と比較すると、Aランク、Cランクでは拡大、Bランク、Dランクでは縮小となっています。産業ごとに見ますと、「製造業」が0.9%、「卸売業,小売業」が0.8%、「学術研究,専門・技術サービス業」が1.1%、「宿泊業,飲食サービス業」が2.3%、「生活関連サービス業,娯楽業」が1.2%、「医療、福祉」が1.2%、「サービス業(他に分類されないもの)」が1.2%となっております。縦の男女別の賃金上昇率を見ますと、産業・ランク計で男性が0.9%の上昇、女性が1.6%の上昇となっており、男性は昨年より拡大しましたが、女性は昨年より縮小しています。
次に、7ページの第4表の②、一般・パート別の賃金上昇率です。産業・ランク計で、一般労働者は1.0%の上昇、パートは1.7%の上昇ということになっています。一般は同水準でしたが、パートは昨年より0.1%縮小しました。
8ページ、9ページには参考1、2の表を付けておりますので、適宜参照ください。
10ページには付表として、賃金改定状況調査における労働者構成比率と年間所定労働日数をお付けしていますので、こちらも適宜、御参照いただければと思います。資料No.1の説明は以上です。
続いて、資料No.2、生活保護と最低賃金の比較についてです。1ページは、生活保護水準と最低賃金額との関係を示したグラフで、共に平成30年度のデータに基づくものです。右上にグラフの説明があります。破線の△は生活保護水準で、実線の◇が最低賃金額で、法定労働時間働いた場合の手取額を示しております。全ての都道府県において、生活保護水準が最低賃金を上回る逆転現象は生じていないことが確認できます。
2ページは、1ページの最低賃金額のグラフを令和元年度のものに更新したものです。生活保護水準は1ページと同じで、最低賃金が1ページより引き上がったグラフになりますので、同様に逆転現象は生じておりません。
3ページは、47都道府県について、最新の乖離額を示すとともに、その乖離額の変動について要因分析したものです。列Cの額が今年度の乖離額で、列Dの額が昨年度の目安小委でお示しした乖離額です。列Eに示した額が、昨年度から今年度の乖離額の変動分です。乖離額が変動した要因としては、昨年度の最低賃金の引上げのほか、御覧のような変動があります。資料No.2の説明は以上です。
続いて資料No.3です。地域別最低賃金額、未満率及び影響率に関する資料です。第1回目の目安小委では、全国計の数値については御説明させていただきましたけれども、今回はランク別の数値を記載しております。1ページは、過去10年間の推移を「最低賃金に関する基礎調査」に基づき示したものです。一番右の列が令和元年度です。
未満率についてランク別に見ますと、Aが1.7%、Bが1.7%、Cが1.5%、Dが1.2%となっており、Bランクを除いて平成30年度からやや低下しています。影響率についてランク別に見ますと、Aが20.5%、Bが14.2%、Cが13.9%、Dが11.6%となっており、平成30年度と比較すると、Dランクを除き上昇しています。
2、3ページは、未満率と影響率の都道府県別のグラフです。2ページは、最低賃金に関する基礎調査に基づく未満率と影響率の都道府県別のグラフです。上のグラフの影響率では、神奈川、北海道、大阪が高くなっており、香川、福島、佐賀が一番低くなっています。下のグラフの未満率では、岐阜が一番高く、鳥取が一番低くなっています。3ページは、2ページと同様のグラフを賃金構造基本統計調査に基づいて示したものです。影響率では大阪が、未満率では埼玉が高くなっております。資料No.3の説明は以上です。
続いて資料No.4は、各都道府県別の賃金分布です。令和元年の賃金構造基本統計調査を基にした賃金分布です。一般・短時間労働者の計、一般、短時間の順でそれぞれAランクからDランクまで、総合指数の順に都道府県を並べております。最頻値と最低賃金額との関係、張り付き具合については、影響率や未満率と同様に、同一ランク内でも異なった傾向が見られるところです。個別の御紹介は割愛させていただきますけれども、適宜、御参照いただければと思います。
続いて資料No.5です。こちらは最新の経済指標の動向で、昨年と同様に、本年も内閣府の月例経済報告の主要経済指標として提出しております。主立った指標については、第1回の目安小委で主要統計資料の中でも御説明したところですので、個別の御説明は割愛させていただきますけれども、適宜、御参照いただければと思います。
続いて資料No.6です。先日の中央最低賃金審議会においてお求めのありました、新型コロナウイルス感染症関係の資料です。大きく3つの項目に分けております。まず1つ目は、感染症の発生状況です。3ページについては国内の発生状況で、感染者数は、4月上旬をピークに落ち着いてきたところですけれども、足下では少しずつ増加してきています。4、5ページは海外の発生状況で、感染者数は増加しています。特に東南アジア地域、アフリカ地域で増加しているということが分かります。
大きな2番目が経済・雇用指標等です。7ページは令和2年6月の月例経済報告の基調判断です。「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」とされ、「先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待される。ただし、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」とされております。8~14ページは各論になりますので、御説明は割愛させていただきます。
15、16ページを御覧ください。直近の世界経済の見通しを公表している公的機関のうち、日本の成長率の見込みを公表しているOECDと世界銀行の資料を抜粋しております。15ページのOECDの資料によりますと、2020年の日本の成長率は、第二波が襲来する場合は7.3%の下落、第二波を避けられた場合は6%の下落と見込まれております。16ページの世界銀行の資料によりますと、2020年の日本の成長率は6.1%の減少と見込まれています。
17ページは、日銀短観の最新の結果です。第1回目安小委では、令和2年3月調査までのものでしたけれども、これは直近の6月の調査結果です。上段が業況判断です。6月調査では、3月調査に比べてマイナス幅が拡大しております。先行きについても、大企業を除いてマイナス幅が拡大しております。左下が経常利益の増減です。令和元年の実績は、3月調査の計画と比べて下方修正されている所が多くあります。また、令和2年度の計画においても、3月調査の計画に比べて下方修正されております。右下の売上高経常利益率については、令和2年度の計画において、3月調査の計画に比べて下方修正されております。
18、19ページは、内閣府の「景気ウォッチャー調査」による地域別景気の現状判断、先行き判断のグラフです。18ページは3か月前と比較しての景気の現状判断です。今年2月以降低下していたところですが、5月、6月と上昇しています。ただ、地域によっては異なっている状況が確認できます。19ページは2、3か月先の景気の先行き判断です。こちらも今年2月以降低下しておりましたけれども、5月、6月と上昇しています。ただ、こちらについても地域によってばらつきがあり、異なっている状況です。
20ページは、足下の雇用情勢です。5月の有効求人倍率は1.20倍となっており、低下傾向ですけれども、1倍は超えているという状況です。5月の完全失業率は2.9%と上昇傾向ではありますけれども、過去の悪かった時期に比べれば、まだ低い水準となっています。
21ページは、都道府県別の新規求人数(季節調整値)の令和元年12月から令和2年5月の減少率です。昨年12月を起点としているのは、新型コロナウイルス感染症の影響がないと考えられるためです。減少率を見ていただきますと、Aランクでは減少幅のランク内の差が小さいのに対し、それ以外のランクでは、減少幅のランク内の差が大きくなっており、地域によって状況が異なっているということが確認できます。
22ページは、産業別の新規求人数の動向です。「製造業」「宿泊業,飲食サービス業」などで減少幅が大きくなっております。
23ページは、産業別に見た雇用者数の動向です。「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」などで減少しています。一方で、「情報通信業」「運輸業,郵便業」「医療,福祉」などでは増加しています。
24ページは、雇用形態別にみた雇用者の動向です。女性のパート・アルバイトを中心に、非正規雇用労働者が大きく減少しております。
25ページは、産業別にみた休業者の動向です。5月の休業者数は4月に比べれば減少していますけれども、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などでは引き続き休業者割合が高くなっています。また、雇用者数の前年同月差を見ますと、5月は73万人の減少でしたが、4月の36万人の減少より減少幅が拡大しております。特に「製造業」「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などで減少幅が大きくなっております。一方、一番右側の休業者数の前年同月差を見ますと、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」「卸売業,小売業」などで前年同月差の増加幅が大きくなっております。
26ページは、雇用形態別に見た休業者の動向です。右下を御覧いただくと、女性のパート・アルバイトを中心とした非正規の職員・従業員のところで、休業者数の前年同月差が大きく増加しております。
27ページは、非労働力人口の動向です。令和2年5月は、4月と比較すると増加幅は縮小したものの、性別でみますと男性が増加しています。右側の年齢階級別にみますと、15~24歳、65歳以上の層で増加しております。
28ページは、産業別にみた給与、労働時間の動向です。現金給与総額、総実労働時間の4月、5月速報の前年同月比について、プラスは青色、マイナスは赤色で示しております。産業の塗りつぶしは、4月のプラス・マイナスの状況によって着色しています。上段の就業形態計で見ますと、5月の労働時間は掲載している産業全てでマイナスとなっている一方で、給与の方はプラスとなっている産業もあります。ただ、4月に比べればプラスの産業が減っています。一番下のパートタイム労働者でみますと、労働時間の方は就業形態計と同じく、全ての産業でマイナスとなっておりますけれども、給与の方はプラスが続いている産業もあります。一方で、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」などでは労働時間が大きく減少する中、給与も減少しているという状況です。
29、30ページは、JILPTと連合総研の共同研究の調査結果です。29ページは、新型コロナウイルス感染症に関連した影響です。勤務日数や労働時間の減少とか、収入の減少等で影響があったとする割合が、5月は4月に比べて上昇しています。30ページは、仕事面で不安に感じたことです。解雇や雇止めに不安を感じている割合は非正社員や、昨年1年間の世帯収入が300万円未満で高くなっております。また収入の減少についても、昨年1年間の世帯収入が300万円未満で不安を感じている割合が高くなっております。
大きな3つ目は、「政府の対策と実施状況」です。32ページには、政府の緊急経済対策の概要を示しております。33ページは各種支援策の一覧です。
34~37ページには、第一次補正予算、第二次補正予算の概要を付けております。
38ページには、一連の経済財政政策の経済効果ということで、内閣府が公表しているものです。全体で6.4%程度の実質GDPを下支え・押上げする効果があるとされております。
39ページは、主な支援策の実施状況です。雇用調整助成金をはじめ、御覧のような数値となっております。資料No.6の説明は以上です。
最後に、お手元の参考資料は、第1回目安小委で委員の皆様から御要望のあった資料をまとめたものです。2ページは、高卒初任給の関係です。第1回目安小委の資料では、労務行政研究所がまとめている今年度の速報値を、前年度からの上昇率の形でお示ししたところですけれども、実額を把握できる資料の御要望がありましたので、実額を記載したものです。令和2年度は事務・技術について、基幹職と事務職で差がない場合は17万1,454円、現業においては17万413円となっております。
3ページは、地域別最低賃金の最高額と最低額の推移を、時間額に統一された平成14年以降のデータを載せております。
4、5ページはパートタイム労働者の募集賃金の関係です。ハローワークの求人票データから算出したものですけれども、求人票の募集賃金の欄は上限額と下限額を記載する形式になっているため、上下限の平均額を募集賃金とし、都道府県別に平均値を算出したものが4ページ、下限額を募集賃金として都道府県別に平均値を算出したものが5ページです。令和元年平均のほか、直近については昨年と同様に4、5月のデータを掲載しております。また、人手不足の影響もあろうかと思いますけれども、最低賃金額の水準よりは高い水準となっております。また、都道府県によって動きに違いはあるものの、全国平均は上昇しているという状況にあります。
6ページは、消費者物価指数の前年同月比の推移です。第1回目安小委では主要統計資料の中で、令和元年の年平均、令和2年の月次の推移を説明しましたけれども、令和元年の月次の推移をお示ししております。
7ページは、過去の消費税率引上げ前後における消費支出の推移を示したものです。消費税を導入した際や、3%から5%に引き上げた際は引き上げ後、おおむね3か月以降には消費が持ち直しているところですけれども、昨年8%から10%へ引き上げた際は、1月時点までで持直しの動きが見られないといった状況です。
8、9ページは、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境整備のため、今後、政府において効果的かつ思い切った支援策を講じるとされたことを踏まえた、その状況が分かる資料についての御要望がありましたので、最低賃金の引上げに特化したものではありませんけれども、中小企業の生産性向上等に係る支援策の一覧を8ページに、そのうち主な補助金・助成金の実績を9ページにお示ししております。
10ページは、労働者の総収入と世帯の消費支出の状況が分かる資料についての御要望がありましたので、総務省の家計調査より、勤労者世帯における収支の対前年同月実質増減率の推移を示しております。実収入は1月以降、プラスが続いておりますけれども、消費支出は足元の4、5月で大きく減少しております。
11ページは、春季賃上げ妥結状況の関係です。連合のデータについて、第1回目安小委の後に取りまとまった最終集計結果を掲載しております。
12ページは、従業者規模別に見た休業者の動向です。令和2年4、5月のいずれも、規模1~4人で休業者割合が高くなっております。
13~17ページは、産業別、都道府県別に見た倒産件数の動向です。13ページは、東京商工リサーチによる産業別の倒産件数で、下は新型コロナ関連倒産の推移をお示ししています。14ページでは、同じく都道府県別の倒産件数をお示ししております。15ページは帝国データバンクによる産業別の倒産件数で、下は新型コロナウイルス関連倒産の累積数の推移のグラフです。16ページでは、同じく都道府県別の倒産件数をお示ししております。どちらも同様の傾向を示しております。
17~19ページは、新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報です。この数値は都道府県労働局の聞き取りなどによる情報等を基に把握した数値で、網羅的なものではないことに留意が必要です。その中で7月3日現在の集計分で、解雇等見込み労働者数が3万2,348人になっています。右下の業種別で見ますと、宿泊業、製造業、飲食業で多くなっております。18ページは都道府県別の数値で、19ページはその推移をお示ししたものです。4月後半から増加幅が拡大傾向にあります。
20ページは、産業別の未満率、影響率の資料について御要望がありましたので、平成30年の賃金構造基本統計調査の特別集計の結果をお示ししております。「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」「生活関連サービス業,娯楽業」などで影響率が高くなっております。
21ページは、企業規模別に見たものです。未満率、影響率ともにおおむね規模が小さくなるほど高くなっております。
22ページ以降は、「政府から経済界への雇用維持等に関する要請書」です。今年の3月以降、数回にわたり各団体へ雇用維持等に関する要請が行われております。23ページ以降にその内容を添付しておりますので、適宜、御参照ください。
駆け足になりましたけれども、事務局からの資料の説明は以上です。
○藤村委員長
どうもありがとうございました。今御説明いただきました資料について、御質問がありましたらどうぞお出しいただきたいと思います、いかがでしょうか。事務局に相当無理をさせたような感じがいたしますが、とても詳細な資料をお作りいただいております。よろしいですか、御質問はございませんか。では、配布資料に関する議論は以上にしたいと思います。
次に、前回委員の皆さまにお願いしたとおり、目安について基本的な考え方を表明していただきたいと思います。初めに労働者側委員からお願いいたします。
○永井委員
すみません、先に失礼いたします。私のほうから、今回のコロナ禍でも働き続けてきた労働者の存在について最初に触れさせていただきたいと思います。今回のコロナ禍では、どの業種、どの業態においても、働く者の暮らし・生活に不安というものを与えたと思っておりますが、業種、業態によって休業そして業績などの影響の度合いが相当程度異なると認識をしております。事実、社会機能を維持するため欠かせない仕事を担う、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる労働者は、この緊急事態宣言下でも日々感染の不安、恐怖と闘いながら仕事を続けてきたということは誰もが知るところだと思っております。
私が所属しますUAゼンセンにおきましては、繊維、化学、医薬といった製造業、そして百貨店、総合スーパー、スーパーマーケット、ドラッグストアといった小売、そして物流、介護、医療といった現場で働く労働者が加盟していただいておりまして、この間たくさんの仲間が働き続けてまいりました。どの業種でもそういった最前線を支えてきたのは、パートタイマー、契約社員、又は派遣社員といった、時給や日給で働く労働者で、そして家族的責任を負った生活者でございます。日々感染しないか不安を抱えながら通勤、出勤し、そしてこれもコロナ禍の影響でストレスを抱えた苛立つ顧客の方から、心ない言葉や態度をぶつけられたりという話も現場から多く聞いたところでございます。
また、派遣で働く人などからは、同じ職場で働きながらも、雇用主が違うことでマスクなどの必要な物資が支給されないといったような話も聞いているところでございます。特にスーパーマーケットのレジ、品出しといった担当の方や介護現場の訪問介護員、そして清掃などを担うスタッフの皆さんの多くは短時間有期雇用で働いている方々で、もともとそういう方の賃金は、地域事情に、地域相場に影響を受ける傾向があることから、最低賃金近傍で働く方も少なくありません。文字通り命をかけて懸命に仕事を続けてきた労働者のこの間の努力に報いるためにも最低賃金を引き上げる必要があると考えておりますし、それが社会的要請ではないかと思います。
もう1つ別の視点ですが、連合の春季生活闘争の結果からも最賃引上げに触れておきたいと思います。今年の連合の最終回答集計では、有期・短時間・契約等労働者の時給は7年連続で引き上げられており、加重平均で27円強となっております。コロナ禍が広がる中での労使の真摯な交渉を経た結果だと認識しております。この間、働き続けた労働者の努力に対して、特別手当を支給する企業も少なくないと聞いております。こうした労使の判断を、最低賃金の改定によって労使関係のない労働者にも波及すべきと考えております。繰り返しになりますが、今回のコロナ禍は企業も大変だった、そして同時に仕事への正義感、家族的責任の中でつらい思いをしながら働いてきた労働者も多くおり、労働者のほうも大変だったということです。是非この点を、最初に発言させていただきました。以上です。
○藤村委員長
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
御指名ありがとうございます。私からは、コロナ禍においても最低賃金の抱える課題は全然変わってない、なくなってないということを改めて主張させていただきたいと思っております。
まず、労側としましても、今回の新型コロナウイルス感染症の関係で雇用あるいは企業経営に大きな影響を与えておりまして、また使用者の皆様方が雇用の維持、それから事業継続に向けて懸命に御努力いただいていること、ここについては十分認識させていただいております。
一方、日本の最低賃金が抱える課題というのは、このコロナ禍においてなくなったわけではなくて、むしろ顕在化したものと考えております。まず1つ目の主張ですが、日本の最低賃金につきましては、皆さん御承知のとおり最低額790円、最高額1,013円でありますけれども、最高額の1,013円、これをもってしても、2,000時間働いても年収200万円程度に過ぎません。このことは憲法第25条、それから労基法第1条、最賃法第1条、こうした法の求める健康で文化的な最低限度の生活を営む、これに足る水準としては決して十分なものとは言えないと思います。こうした状況と言いますのは、より今日、短時間労働者あるいは子供の見守りの負担が増しているようなひとり親世帯、こうした方々にとってはより深刻でありまして、生存権確保、こうした観点からも最低限生活可能な賃金、これを最低賃金で担保すべきではないかと考えております。
また日本の最低賃金、これは釈迦に説法でございますが、全国加重平均901円という状況ですが、これは国際的に見ても、依然として先進国では最低レベル、こうした水準に置き去りにされております。もちろん国によって物価も社会保障も違うために、単純計算、単純比較はできないのですが、フランスやイギリスやドイツ、こうした先進国では、日本円換算でも1,000円を超えている状況です。また最低賃金と平均賃金の中央値、こうした比較で考えてみますと、フランスが60%、イギリスやドイツ、そして韓国では50%であることに対して、我が国日本は寂しいですが40%程度にとどまっております。OECD平均は50%超えておりますので、そうしたことから見ましても日本の最低賃金は相当低位に置き去りにされているのだろうという感想を受けます。
したがって、グローバル社会における日本の位置付け、これを踏まえながら、可能な限り早期に誰もが健康で文化的な最低限度の生活、これを営むに足る十分なセーフティー機能を果たし得るナショナルミニマムにふさわしい水準に引き上げていくべきだと考えております。
加えてもう1点です。地域間格差というのも大きな課題があると考えております。これまでもこの地域間格差というのが、隣県や都市部へ働き手の流出、この一因になってきました。現在はコロナ禍によって厳しい雇用情勢にありますけれども、そもそも日本というのは超少子高齢社会、あるいは労働力人口減少社会にあり、構造的な課題を抱えております。そうした中、その進行が将来的に不可避である以上、今後の経済再生下において、地域間格差を放置しますと、地方から都市への更なる労働力の流出につながるというのが明白になっていまして、各地域の審議会でも相当意見が出されております。
さらに、今回のコロナ禍は、東京を初めとする大都市圏への労働力集中、経済の一極集中や感染リスクの増大といった弊害を明らかにしております。このことは、先日公表されました骨太方針の中でも再三再四にわたって触れられており、正にこのアフターコロナ、ウィズコロナ、これを展望する上でも、ランク間の格差縮小に向けた抜本的な対応が求められているのだと考えております。
最後になりますが、昨年のDランクの審議結果を見ても明らかのように、各地域は格差改善を求めているのではないでしょうか。それから今日もそうなのですが、第1回目安小委員会で回覧されていました要請書にもありますとおり、決して労働者側だけではなくて、地方自治体も格差改善を求めているのです。したがって、ここ数年、これはもう皆さん、政労使それぞれの努力でございますが、額、率ともに縮小傾向にある中で、この流れを決して止めてはいけないと我々考えております。私からは以上です。
○小原委員
先ほど委員長からもありましたけれども、事務局の皆様方には短期間に大変充実した資料を作って御用意いただきましたので、資料を使いながら応対をさせていただきたいと思います。私は消費増税の影響、それからコロナの影響が労働者の生活、家計にも影響があったのだということを訴えさせていただきたいと思います。
昨年の目安答申の公益委員見解に来年度以降の審議においては消費税増税の影響による物価変動などの状況を勘案するという記載を頂いていると思います。したがって、本年の審議では消費税増税の影響について論議を深めるものと考えております。
御用意いただいた参考資料の10ページに家計調査の結果をお示しいただいています。昨年9、10月の消費増税前後の駆け込み需要、反動減の後、消費支出は減少を続けており、回復の兆しは見えません。消費支出に回復の兆しが見えないということに関して、新型コロナウイルス感染症がどの時期から影響を及ぼしているのか、これは議論が必要かとは思いますけれども、別途示していただきました7ページ目にあるように、消費税導入時や過去の消費増税前後における消費支出の推移と今回の状況を比較すると、先ほど事務局からも御説明がありましたけれども、今年1月の時点で過去の消費増税後の時期よりも消費支出の戻りが悪かったことが御確認いただけると思います。そうした状況の上に、今回の新型コロナウイルス感染症の影響が加わって現在の消費支出低迷の状況があると見るのが自然かと思います。
加えて言えば、6月30日まで期間限定での政府のキャッシュレス還元事業がありましたので、これも併せて考えれば、今回の消費増税が労働者の生活に与えた影響は相当程度大きかったのではないかと思っています。なお、完全に釈迦に説法ですけれども、軽減税率が適用されているとは言え、消費税は逆進性の高い税目ですので、増税が相対的に所得の低い最低賃金近傍で働く者に、より大きな影響を与えている、こういうことも忘れてはいけないと思います。
もう1回10ページに戻っていただきますと、消費全体としては、先ほども事務局から御説明がありましたとおり減少は続いていますけれども、詳細に品目を見ますと、光熱・水道、これは5月はもともと大型連休の月ですので、6月以降の注視が必要かと考えていますけれども、光熱・水道、それからマスク、ガーゼを含む保健医療の保健用消耗品、ウエットティッシュを含む家具・家事用消耗品などに増加が見られ、新型コロナウイルス対策として実施されている在宅勤務、それからマスクの着用、手指の消毒による支出の増加が今後も恒常的に家計に影響を与えると考えます。
そのような中、これもまたお示しいただいたJILPTの「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活の影響に関する調査」によれば、自身の雇用や収入に関わる影響があったと回答した割合は、4月調査に比べ5月調査で上昇し、中でも勤務日数や労働時間の減少、収入の減少が大きく上昇して50%を超えている。こちらも注目しなければならないと思っています。
以上のように、新型コロナウイルス感染拡大は、中小企業、小規模事業者の事業活動や業績に影響を与えている、と同時に労働者の生活にも大きな影響を及ぼしている、これを考慮した審議が必要だと思います。以上です。ありがとうございました。
○冨田委員
今ほど労側の委員から本年議論すべき課題について何点か申し述べさせていただきましたが、最後に私から総括的な意見として、総論2点、各論2点述べさせていただきたいと思います。
まず初めに申し上げたいのは、これまで積み重ねてきた賃上げの流れを止めるべきではないということです。雇用の確保と企業の持続性を担保することが現下の最重要課題であることに私どもも何ら異論はございませんが、そのことと最低賃金の引上げの重要性、これは分けて考えるべきであると考えております。長らく続いたデフレ経済から脱却するために、2013、2014年の2年間において、政労使会議の中で三者で賃上げの重要性を確認し、最低賃金についてもここ数年ステップを踏んで改善を続けてきました。今ここでその流れを断ち切れば、デフレ回帰の動きを惹起し兼ねないと考えております。
それから今回のコロナ禍によって、緊急的に措置された予算も先ほど資料でお示しをいただいておりますが、その規模はリーマンショックをも超える水準であり、その財源は多額の税金と将来世代に負担を掛ける57兆円を超える国債で賄われておりますが、そのほとんどは企業の持続性と雇用を守るための予算措置となってございます。現在は予算が行き渡っておりませんので、事業者も労働者も大変苦しい状況が続いておりますが、最低賃金の改定は早くても今年10月以降ですので現状で予算措置の効果なども見通すのは難しい状況ではあるものの、計画上では6%以上のGDP押上げ効果があると見込まれておりますので、現下の厳しさだけをもって、本年の目安の示し方を議論すべきではないと労働側としては考えてございます。
加えて、今回のコロナ禍がグローバル経済の分断をも明らかにしたことを鑑みれば、今後の日本経済再生に向けては内需の拡大が必要不可欠となります。先ほど小原委員が発言しましたとおり、現在、労働者の消費マインドは大きく落ち込んでおります。労働者が生活不安や雇用不安を抱える中で、国民一丸となってコロナ禍を乗り切るためには、社会安定のセーフティネットを促進するメッセージが必要であり、最低賃金の引上げは、正にそのメッセージになり得るものと私どもは考えております。この状況下で最低賃金を改定しないことは、社会不安を増大させ、格差を是認することと同義であり、最賃法第1条に照らし合わせたこの趣旨の役割からして、あってはならないことではないかと考えてございます。
2点目は、中小企業、小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性についてです。昨年の目安答申では、この賃上げしやすい環境整備は労使共通の認識であるとし、生産性向上の支援や取引条件の改善を初めとする適正な価格転化策など、思いきった支援策を速やかに実行するよう政府に強く要望したところであります。
先ほど事務局からお示しいただいた資料は、主に予算関連の支援策でありましたが、本年5月には内閣府の「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、ここにおられる経営者団体の皆さまとともに、大企業と中小企業がともに成長できる関係構築を目指し、サプライチェーン全体で労務費の価格転嫁などをはじめとする取引適正化と強靭化、高度化を通じた生産性向上、更には付加価値向上を図ることを目的としたパートナーシップ構築宣言の取組を推進していくことを確認したところであります。
この会議の中で示された資料の中には、民間同士だけでなく、官需要など、官民の取引改善の必要性にも触れられておりますので、是非この場でもそうした状況を確認していきたいと私どもは考えており、公使の先生方の御了解が得られれば、この会議の資料も次回以降参考資料としてお示しいただけたらと考えてございます。
以上申し上げた上で、具体的な改定の方向性について2点申し上げたいと思います。まず1点目は、最低賃金の額についてです。絶対額が低いがゆえに顕在化した課題につきましては、先ほど伊藤委員が述べたとおりですので、最低賃金は、十分なセーフティ機能を果たし得るナショナルミニマムにふさわしい水準に引き上げていくべきだと考えてございます。労側はこれまでも2008年の「円卓合意」、2010年の「雇用戦略対話」を大事にし、2020年までに800円以下の地域をなくすこと、トップランナーであるAランクは1,000円に到達することを繰り返し主張してまいりました。本年においてもこの考え方を堅持してまいりたいと考えてございます。
2点目は、地域間格差の是正についてです。地域間格差が抱える課題についてはここ数年の審議の中で共通認識となり、改善に向けた歩みを続けてきたと認識しており、であるからこそ、この流れを止めてはならないと考えます。全員協議会の中での議論を経てランクを分けてきたこと、このことは尊重いたしますが、今回のコロナ禍によって明らかとなった大都市圏への労働力集中の弊害、これを改善していくためのメッセージとなる抜本的な対応を図っていくべきと考えてございます。以上が本年における労側の基本的な考え方であります。今年の目安額についても様々な現場を熟知しておられる皆さんと真摯な議論を積み重ね、誤りのない解を見出していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。労側からは以上です。
○藤村委員長
分かりました。ありがとうございました。引き続きまして、使用者側委員からお願いしたいと思います。
○池田委員
初めに、中小企業を取り巻く状況について申し上げます。新型コロナウイルス感染症拡大によって日本経済は、今、これまでに経験したことのない危機的な状況に直面しております。緊急事態宣言や地方自治体による休業要請等は大規模な需要喪失をもたらし、幅広い業種や地域の事業者に多大な影響を及ぼしました。宣言等の解除後もその爪痕が大きく残っており、未だコロナ以前の状況には戻っていません。取り分け、経営基盤の脆弱な地方の中小企業・小規模事業者に甚大な影響を与え続けております。
中小企業庁の中小企業景況調査結果によりますと、2020年4-6月期の全産業の業況判断DIは、6期連続の低下となっただけでなく、前期に比べて39.7ポイントもの急激な悪化となり、マイナス64.1まで低下いたしました。これはリーマン・ショック後の2009年1-3月期に記録したマイナス50.0を大きく下回る数値となっております。また、地域別の業況判断DIも、北海道から九州・沖縄までの全ての地域において、全産業、製造業、非製造業のいずれも低下しております。
コロナ関連の倒産も増えています。帝国データバンク調査結果(7月8日現在)によりますと、新型コロナウイルス関連で倒産した企業は全国で322社に上っており、業種別では飲食店、ホテル、旅館が突出して多くなっております。第2波への懸念から外食を控える動きが継続しており、依然として厳しい状況が続くことが見込まれます。
こうした厳しい状況は、雇用面においても広範囲に現れております。多くの企業が雇用調整助成金等を活用した一時帰休や休業等を実施した結果、5月の休業者数は354万人を超えており、リーマン・ショック時のピーク水準の153万人を2倍以上上回っております。加えて、厚生労働省調べ(7月3日現在)によりますと、雇用調整の可能性がある事業所数は約5万7,000事業所、解雇等が見込まれている労働者は約3万2,000人に達しておりまして、今後、さらに悪化する可能性もございます。特効薬やワクチンが開発され、十分に普及するまでの当分の間、感染症拡大防止と事業活動の両立を余儀なくされることになります。第2波、第3波の到来が懸念される中、経済の先行きは極めて不透明となっており、少なくとも今年度中の力強い景気回復は期待できないとの見方が強まっております。
次に、このような厳しい状況の下で行われる、今年度の目安審議に臨みます使用者側の基本認識を申し上げたいと思います。最低賃金は法的強制力をもって引き上げられ、各企業の状況に関係なく人件費を増大させることになります。地方の中小企業・小規模事業者からは、最低賃金を引き下げてほしいとの声が多く聞こえる中、今年度、有額の引上げ目安を示すことは、事業継続と雇用維持のため雇用調整助成金や持続化給付金等の各種給付金を受けながら、辛うじて持ち堪えている多くの中小企業・小規模事業者を更なる窮地へ追い込むことになるとの懸念を強く持っております。こうした認識は、政府や労働者側とも共有できていると思っております。
今年度の諮問後の挨拶で、加藤厚生労働大臣が言及されましたように、全世代型社会保障検討会議において安倍総理は、新型コロナウイルス感染症による雇用、経済への影響が厳しい状況にあることから、今は官民を挙げて雇用を守ることが最優先課題であるとの考え方を示しました。この総理の考え方に使用者側は全面的に賛同いたします。
また、4月20日に開催した連合の神津会長と経団連の中西会長のWeb会談におきましても、事業の継続と雇用の維持・確保に全力で取り組むことの重要性を確認し合い、労使メッセージを発信いたしました。このことの意味を労使で深く認識しながら取り組んでいくことが求められています。
事業の存続を掛けて、必死の対応に迫られている中小企業・小規模事業者の雇用維持に向けた努力に、決して水をさすことのないよう、安倍総理が加藤厚生労働大臣に指示された中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進めるとの基本的な考え方を関係者一同が重く受け止め、今年度の審議に臨むべきであると考えております。
最後に、このような認識に立って今年度の目安額について申し上げます。近年の最低賃金は政府の引上げ方針という、時々の事情への配意を強く求められ、3%を超える大幅な引上げが実施されました。その結果、中小企業・小規模事業者の経営実態と乖離した引上げが続いたことにより、2019年度の全国平均の影響率は過去最高の16.3%にも達しています。最低賃金の決定に当たっては、最低賃金法で定めた労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力の3要素を考慮する必要があります。本来は、3要素を総合的に表していると考えられる、賃金改定状況実態調査の第4表を重視した審議が基本となります。しかし、雇用維持が最大の課題という正に緊急事態である今年度については、3要素のうち、通常の事業の賃金支払能力を最も重視して審議すべきです。その観点から、新型コロナウイルス感染症が、中小企業・小規模事業者の経営に及ぼしている影響を示した様々なデータを十分に踏まえて、検討する必要があると考えております。
今年度の目安においては、事業の継続と雇用の維持を最優先とするというメッセージを、公労使で各地方の最低賃金審議会に発信するために、今回と同様に100年に一度の危機と言われたリーマン・ショック後の審議において示した、現行水準の維持を基本として目安を示さずと同等以上の配慮が必要なことは明らかでございまして、具体的には、据置き、凍結とすべきことを使用者側は強く主張いたします。私からの発言は以上でございます。後は各委員より適宜、補足発言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長
橋本さん、どうぞ。
○橋本委員
池田委員の御説明に補足して、私からも一言発言させていただきたいと思います。今年度の最低賃金の審議については、例年とは全く状況が異なり、新型コロナ禍が世界的に拡大蔓延し、日本のみならず世界が不安におののいているという非常事態の中で行われていること。このことをまずは認識する必要があると考えております。実際のところ、グローバル化が進む中、都市封鎖、出入国の禁止措置等々、これまで私どもが想像だにしなかった事態が現実となっております。その結果、観光、飲食等、消費需要が一瞬にして蒸発してしまった業種、地域が相当数あり、経済的に深刻な状況に陥ってしまったことは御承知のとおりかと存じます。
私ども日本商工会議所が全国の商工会議所の職員を使って実施しておりますLOBO調査、この6月調査の結果でも新型コロナによる経営への影響について、「影響が続いている」という企業は62.9%、これに「長期化すると影響が出る懸念がある」とする企業を加えると実に93%となり、甚大な影響が出ております。また、同調査による業況DIでは、6月はマイナス62.8と、今年1月のマイナス26.8から、急速かつ大幅に悪化しております。中小企業の景況感は極めて厳しいということを示す数字になっております。とりわけサービス業では、1989年4月の調査開始以降、最悪のマイナス77.6となり、宿泊・観光等のインバウンド関連産業や、緊急事態宣言下での休業要請により甚大な影響が顕在化している飲食業等、非常に深刻な状況に陥っております。
同じ調査で新型コロナによる影響が続いている企業に対し、雇用関連の対応策を聞いたところ、「雇用調整助成金を検討・申込み」と回答した企業は40.7%に上った反面、「従業員の整理を検討・実施する」は、わずか3.9%にとどまりました。すなわち、多くの中小企業は雇用調整助成金等の支援策を活用しながら、事業の存続と雇用の維持にぎりぎりの努力を続けているのが実態と言えます。
最低賃金は政府方針の下、中小企業の経営実態を大幅に上回る3%台の引上げが4年連続行われてきました。その結果、日商の調査で、最低賃金引上げの直接的な影響を受けた中小企業の割合が、2015年度の20.7%から2020年度には実に41.8%に上り、年々増加の一途をたどっております。
こうした状況下、すなわち最低賃金の大幅な影響が広がる中で、突如、この新型コロナ禍の猛威に晒されたことになります。最低賃金については、かねてより全国の中小企業者から年ごとに高まる影響率を危惧し、中小企業の実態を考慮した、明確な根拠に基づく納得感のある数字の決定を求める声が強く日商に寄せられておりました。今年は全く先行きが見えない深刻な経済情勢の下で、引上げはあり得ない。今年度は、むしろ下げるべきであるとの悲痛な声が目立って増えてきております。先ほどの使側見解で、据置き、凍結すべき旨申し上げたところですが、今の中小企業の窮状を鑑みれば、今年度は引上げる状況にはない。これを改めて強く主張したいと思います。以上です。
○藤村委員長
佐久間さん、どうぞ。
○佐久間委員
私からも中小企業の景況感について、現状を申し上げたいと思っております。現在、中小企業は経済活動の停滞によって経営環境が急激に悪化し、その影響は深刻度を増しています。私ども全国中央会が毎月取りまとめております最新の中小企業景況調査では、景況、売上げ、収益の主要3指標だけではなく、資金繰りとか設備の操業度を含めた全9指標が悪化し、リーマン・ショックを下回るDI水準となってしまいました。業種を問わず多くの中小企業から、先行きの見通しが立たず不安であるといった声、大企業やサプライチェーンの生産停止による影響を大きく受けている、という声が多数聞こえています。特に製造業では印刷、繊維工業、鉄鋼・金属が、また非製造業では商店街の関係、運輸業、卸売業の落込みが極めて深刻な状況です。多くの業種において売上げが立たず、資金繰りに苦しみ、大幅な減収・減益によって商売自体の維持・存続ができない危機的状況となっています。
経済活動が徐々に再開されつつある現下の状況では、まずもって優先すべきは企業の事業継続であり、雇用の維持だと考えています。そのために中小企業の経営者は内部留保を取り崩し、あるいは国等から講じていただいた経済対策を最大限に活用して、先行きの不安と戦いながら、事業の存続と雇用の維持に懸命の努力を続けています。
しかしながら、体力に乏しい企業では雇用を維持することができず、事業をやめざるを得ないということが増えてくることも懸念されます。事業の継続と雇用の維持を何とかできている多くの中小企業者にとっては、最低賃金の引上げに耐えられる状況には全くなく、中には「引下げでも」という気持ちを有している事業者もおります。
この4月からは、中小企業においても時間外労働の上限規制が施行されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、働き方改革への対応もしなければならない状況です。現下の状況に鑑みれば、まずもって優先すべきは企業の事業継続であり、その先の雇用維持であって、最低賃金の引上げを優先できる環境には全くなく、引上げを主張することは、このような特殊な環境下においては実態にそぐわないのではないかと考えます。
これらのことを総合的に勘案しますと、特にここ数年、中小企業にとっては大きな負担増となっていた最低賃金の引上げは、本年は据置き・凍結すべきであると考えております。以上です。
○藤村委員長
高原さん。
○高原委員
ありがとうございます。企業を取り巻く状況につきましては、先ほど来から各委員が申し上げたとおりでございます。様々な指標の数値が、リーマン・ショック時を大幅に上回る下げ幅、悪化を示す、正に未曾有の状況の中で、各企業においては現在、事業の継続と雇用の維持を最優先課題として取り組んでおりますけれども、企業を取り巻く経営環境の悪化基調が鮮明になってきている今の状況下におきまして、これらの事業の継続と雇用の維持の取組が、更に厳しくなっているということを十分に踏まえた上で、この審議に臨むべきだと考えております。以上です。
○藤村委員長
分かりました。労使双方から基本的な考え方を伺いました。今の御主張を聞いておりますと相当隔たりが大きいなと思います。何かまだ言いたいことはありますか。
○冨田委員
一言だけ、私が聞き間違えたのかもしれないのですが、先ほど池田委員から、最低賃金の引上げ額について有額を示せば中小企業が窮地に陥る懸念、これは労使共通認識というような御発言があったやに私は聞こえました。もし聞き間違いだったら、それはその旨で訂正いただきたいと思いますけれども、先ほど労側の主張で申し上げたとおり、そういう懸念に私たちは立っていないので、共通認識というのは違うということだけ先に申し上げさせていただければと思います。
○藤村委員長
分かりました。使用者側がそういうふうに思っているということですね。労使の主張には相当な開きがございますので、このままここで議論を続けてもあまりいい結果にはならないかなと。そこで、公労、公使で個別に主張を伺いながら開きを詰めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、まず公労会議から始めたいと思います。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○手計賃金課長補佐
それでは、まず公労会議から行うということですので、使用者側委員の皆様は控室のほうへ御案内させていただきます。よろしくお願いします。
(第2回全体会議)
○藤村委員長
ただいまから、第2回の全体会議を開催いたします。本日は、本年度の目安の取りまとめに向けて、労使双方から基本的な考え方をお伺いし、それに基づいて議論をしていただきました。その結果、双方の主張はかなり明確になってきたと思いますが、その主張の隔たりは相当大きいなと思います。そこで、次回の目安小委員会において更なる御議論を行っていただき、目安の取りまとめに向けて努力をしていただきたいと思います。それでは、次回の日程と会場について、どうぞ。
○永井委員
すみません。もう終わりというところで失礼いたします。一言だけ申し上げたいと思います。私、労働側の主張の冒頭で、コロナ禍で働き続けた労働者のことについて触れました。使用者側の皆様の御主張を聞かせていただいた中で、労働者とか労働者の現状といった言葉が、聞き逃がしていたら申し訳ないですが、どなたからも聞かれなかったかなと思います。その中でそういった労働者、私どもは会社も非常に厳しくて、この間、本当に大変な思いをしてきたということを分かった上で発言をしてきたつもりだったのですけれども、その中で使用者側の皆さんが、労働者がこの間働いてきたということについて、どういうふうにお考えなのか、どう思われているのかと思った次第です。今、ここでお答えということではありませんで、今後の審議の中で是非、その辺りをお伝えいただければ大変有り難いと思います。すみません、以上です。
○藤村委員長
分かりました。いいですか。では、次回の日程と会場についてお願いします。
○手計賃金課長補佐
次回の第3回目安小委員会は、7月15日(水)、13時から、労働委員会会館講堂、この場所になりますけれども、開催いたします。
○藤村委員長
ありがとうございます。それでは、本日の小委員会、これをもちまして終了といたします。議事録の署名につきましては、伊藤委員と佐久間委員にお願いいたします。お疲れさまでございました。