2020年6月25日 第161回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和2年6月25日(木) 10:00~12:00

場所

労働委員会会館講堂(労働委員会会館7階)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、藤村委員、両角委員
労働者代表委員
 川野委員、北野委員、櫻田委員、津村委員、仁平委員、八野委員、世永委員
使用者代表委員
 池田委員、大橋委員、早乙女委員、佐久間委員、佐藤委員、鈴木委員、鳥澤委員
事務局
 坂口労働基準局長、村山安全衛生部長(併)労働条件政策、賃金部門、久知良総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、井内労働衛生課長、田村労働関係法推進官

議題

  1. (1)副業・兼業の場合の労働時間管理 の在り方 について
  2. (2)その他

議事

議事内容

○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第161回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況ですけれども、御欠席の委員として、公益代表の平野光俊委員、水島郁子委員、労働者代表の森口勲委員、使用者代表の山内一生委員と承っております。
 議事に入ります前に、分科会委員の交代について、事務局より報告をお願いいたします。
○労働条件政策課長 分科会委員の交代につきまして、御報告をさせていただきます。
 お手元に参考資料1といたしまして、労働条件分科会委員名簿を配付しております。最新の名簿はこの参考資料1にあります令和2年5月26日現在のものとなりますので、この5月26日現在の名簿の順番によりまして、新しく委員に就任された方々につきまして、御紹介をさせていただきます。
 使用者代表委員として新たに、トヨタ自動車株式会社人事部労政室長、大橋俊介委員。
 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長、鈴木重也委員。
 本日は所用で御欠席でございますが、株式会社日立製作所人財統括本部人事勤労本部エンプロイリレーション部長、山内一生委員でございます。
 以上、3名の方に御就任をいただいたところでございます。
 以上、御紹介でございます。
○荒木分会長 次に、事務局より、定足数の報告と本日の議事運営について説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。
 労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
 次に、本日の議事運営について申し上げます。新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、本日は原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、また、傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営をさせていただきます。
 会場の皆様におかれましては、会場入り口に備付けの消毒液の御利用を始め、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。
 また、本日は換気のために常時窓を開けさせていただきます。若干蒸し暑くなってございますが、御了承いただきたく存じます。
 以上でございます。
○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
(報道関係者退室)
○荒木分科会長 それでは、本日の議題に入ります。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
 議題の(1)ですけれども「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について」です。
 事務局より説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 それでは、資料の1「副業・兼業の場合の労働時間管理について」をお手元に御用意いただきたいと存じます。
 通しページの右下2ページを御覧いただきたいと存じます。この労働条件分科会におきましては、昨年9月、10月、11月と、この副業・兼業に関して御議論をいただき、また、今年の1月には医師の副業・兼業に関しての有識者からのヒアリングなどを行ったところでございます。
 この2ページについておりますのが右上にございますように、昨年11月25日の当分科会におきまして、それまで3回における公労使主な御意見を内容ごとに分類してお配りをさせていただいておりましたペーパーでございます。
 3ページでございますが、これも昨年11月25日の資料でございますが、先ほどのような御意見を踏まえまして、今後検討すべき事項のイメージとして整理をしておいたものでございます。一番上の○にございますように「労働者の健康確保に留意し、長時間労働・過重労働につながらないようにするという観点を持ちつつ、副業・兼業の場合の実効性ある労働時間管理の在り方」について検討をしていくということ。
 それから、3つ目の○のところにございますが「副業・兼業を行っている労働者の労働時間の把握、特に労働者の自己申告による労働時間の把握」について、検討をしていくということ。
 それから、下から2番目の○にございますが「月単位での労働時間の管理等、使用者の労務管理の負担軽減を図りつつ、簡便に労働時間を管理する方法」といったことに関して、今後検討すべきと整理をしていたところでございます。
 また、一番下にございますように、競業避止、情報漏洩、安全配慮義務といった検討テーマもございます。
 本日は、このうち赤枠で囲ってございます部分、労働時間の通算そのものの部分に関しまして、御議論に供したいと考えておるところでございます。
 また、この副業・兼業に関しましては、昨年の分科会でも御紹介いたしましたとおり、平成29年の働き方改革実行計画にその検討が盛り込まれておりまして、その後、毎年におけます政府の成長戦略においても位置づけられていたものでございます。そのようなことから去る6月16日に政府の未来投資会議におきまして、副業・兼業に関して議論が行われたところでございます。
 未来投資会議におきましても、ただいま3ページで御説明を申し上げましたような現在の労働基準法では通算をするとされているその枠の中で、一つとして自己申告をベースとして管理をしていくということ、それから、簡便な管理方法を整理していくこと、そのようなことが議論をされました。それによりまして、労働時間の管理方法について、ルールを明確化するという御議論がされまして、その結果、そうした会議での議論を踏まえ、労働政策審議会の審議を進め、早期に結論を得ていただきたいと、そのような流れとなったところでございます。
 以上のような経過も踏まえまして、4ページ以降に本日この赤枠で囲っております部分の議論の整理の案を提示し、御議論に供したいというものでございます。
 5ページを御覧いただきたいと思います。本日御議論いただく事項の目次的なもので、数字で1~5とございます。
 1番の「労働時間通算が必要となる場合」、そもそもどういった場合に、この労働時間を通算するルールが適用されるのか。
 2番目、そもそも労働者が副業・兼業をされていることをどのように確認をするのか。
 この1番と2番が全体の総論的な位置づけのものでございます。
 3番の「労働時間の通算」、どのように通算をするか。
 4番は通算された時間に基づく割増賃金の取扱い。
 この3番、4番がいわば原則となる基本となる通算方法及びそれに基づく処理の考え方でございます。
 本日は、5番が最後になりますが「簡便な労働時間管理の方法」です。企業、労働者双方にとって簡便な形で副業・兼業ができるようにしていく。そのような形での3番、4番の原則に対しまして、より簡便な管理の方法を整理する。これが5番でございます。
 本日は、ここまでで御議論をいただきたいと考えてございます。
 続きまして、6ページでございますが、ここは議論の前提として○でございます。今回テーマにしております「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方」は、定義として大変広く受け止められますけれども、御議論いただいておりますものは、労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合についての労働基準法第38条第1項の規定の解釈・運用について、御議論をいただいているということでございます。
 ブルーの参考情報のところに第38条の規定を掲げてございます。
 以下、このブルーの部分には現在の法律の規定、あるいは既に出されておりますガイドラインなど適宜引用をしてございますが、以降の説明におきましては、このブルーの部分の説明は省略をさせていただきたいと存じます。
 7ページからは、まず「1.労働時間通算が必要となる場合」という部分についての整理でございます。
 (1)の「労働時間が通算される場合」の1つ目の○でございます。労働者が、事業主を異にする複数の事業場において「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、先ほど申し上げました法第38条第1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算されるというものでございます。
 したがいまして、次の○にございますように、次のいずれかに該当する場合は、労働時間の通算ということは起きないことになります。
 1つ目の黒ポツといたしまして、労働基準法が適用されない形態で就労をされている場合、例えば事業主として独立した、起業したといったような場合でありますとか、外部でのアドバイザーのような形で運営に協力をするような場合などでございます。
 また、2番目の黒ポツにございますが、労働基準法自体は適用されても労働時間規制が適用されない形態の方に関しましては、労働時間通算といったことが起きないことになります。掲げられているとおりのところでございます。
 続きまして、この「通算して適用される規定」といったものはどのようなものかというところが8ページの(2)でございます。
 まず、一つとしまして、法定労働時間を定めております法第32条の適用におきまして、自らの事業場における労働時間、それから、他の使用者の事業場における労働時間が通算をされるというものでございます。
 通算をした結果、法定労働時間を超える部分が時間外労働という評価がされることになりますが、次の2番目の○でございます。時間外労働に関して規定をしております法第36条のうち、先般の働き方改革関連法によって導入をされました時間外労働、休日労働の合計で単月100時間未満、かつ複数月平均80時間以内とするという上限の規制について通算をして適用をされるというものでございます。
 逆に(3)の「通算されない規定」のところでございますが、ただいま申し上げました法第36条のうち、36協定で定めます延長できる時間の限度、例えば1か月45時間といったもの、あるいは1年間についての延長時間の上限、例えば年間で360時間といったもの、これは個々のそれぞれの事業場における36協定でございますので、この定めるものに関しましては、先ほどのような異なる事業場での通算といったものの対象にはなってこないというものでございます。
 以上が、まず総論的な「1.労働時間通算が必要となる場合」に関しましての確認、整理でございます。
 続きまして、9ページからは「2.副業・兼業の確認」についてでございます。
 (1)で「副業・兼業の確認方法」とございますが、先ほども言及いたしました「使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認する」というものでございます。申告等としておりますのは、届出その他、いずれにいたしましても労働者を通じて確認をするということでございます。
 2番目の○で、その方法といたしましては、就業規則、労働契約などで届出制を定めておき、既に雇い入れている労働者が新たに副業を開始する場合の届出、あるいは新たに労働者を雇い入れる場合についての届出、そういったものに基づいて副業・兼業の有無・内容を確認するというものが考えられるところでございます。
 続きまして10ページでございます。(2)で労働者から副業・兼業の内容として、どのようなことを確認するかということとして考えられる事項を整理してございます。
 1つ目の黒ポツとして、他の使用者の事業場の事業内容。
 2つ目の黒ポツとして、他の使用者の事業場で労働者が従事する業務内容。
 この2つに関しましては、労働時間通算を議論するそもそもその前の部分の問題といたしまして、どういった副業をされているのかという基本的な事項ということになります。
 以下、3つ目の黒ポツ以降が特に労働時間との関係で確認をすることが考えられる事項として整理をしてございます。
 1つとして、他の使用者との労働契約の締結日、期間。
 2つとして、他の使用者におけます労働日、労働時間、時刻。
 最後に、他の使用者におけます所定外労働の有無や見込みの時間数などといったものでございます。
 以上のこの1番2番が副業・兼業に関しての基本的な入り口での整理というところでございます。
 続きまして、11ページからでございますが「3.労働時間の通算」でございます。3番からが原則となる考え方でございます。
 まず(1)で「基本的事項」といたしまして「マル1労働時間を通算管理する使用者」は、複数の事業場で働いている労働者を使用しております全ての使用者が、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間を通算して管理をするというものでございます。
 「マル2通算される労働時間」でございます。法第38条第1項の規定による労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間、これは当然自らの事業場の労働時間を把握する責務は使用者にございます。その労働時間と労働者からの申告等により把握をした他の使用者の事業場における労働時間を通算する。通算というのは、要するに足し算をすることでございますが、通算することによって行うということでございます。
 「マル3基礎となる労働時間制度」とございますが、現在、労働時間制度は様々ございまして、労働者に適用しております労働時間制度も各社において様々ございますが、この第38条第1項によります労働時間の通算、これは自らの事業場における労働時間制度、それはそのままといたしまして、それを基に労働者からの申告等によって把握した他の使用者の事業場における労働時間を通算していく、足し算を乗せていくということでございます。
 これは次の12ページのマル4の部分と関連する部分でもございますが、労働時間制度によりまして、法定労働時間のラインが制度によって少しずつ変わってくる部分がございますが、先ほどのように基礎となる労働時間制度としては自らの事業場におけるこの労働時間制度で通算をいたしますので、通算した結果、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分、これが時間外労働になるという整理でございます。
 続きまして13ページでございます。先ほどのことを前提といたしまして、まず副業・兼業を開始する段階、ここは労務管理を意識しまして時間軸で整理してございますが、まず副業・兼業の確認を先ほどのようにしまして、では、始まる前の段階でやっていただくこととして所定労働時間の通算というところでございます。
 「マル1所定労働時間の通算」とございますが、副業・兼業の開始前に、自らの事業場における所定労働時間と他の使用者の事業場における所定労働時間とを通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分があるかどうかを確認する。すなわち所定労働時間というのは、いわば固定値としましてあらかじめ分かる時間数でございますので、まずここの通算をして法定を超える部分があるかどうか御確認をいただくということ。
 その結果、マル2として、そのような通算をした結果、法定労働時間を超える部分がある場合には、時間的に後から労働契約を締結した使用者における法定労働時間を超える部分が時間外労働になるということでございます。したがいまして、時間外労働となる部分に関しましては、後から労働契約を締結した使用者における36協定によって労働を行うということとなります。
 続きまして、15ページからは所定外労働がある場合でございます。所定外労働がない場合は、ただいま御説明を申し上げたところで全て終わりというところでございますが(3)で所定外労働がある場合の通算でございます。
 まず「マル1所定外労働時間の通算」ということで、先ほどの所定労働時間の通算に加えまして、副業・兼業が開始された後に、自らの事業場における所定外労働時間と他の使用者の事業場における所定外労働時間とを所定外労働が行われる順番に通算をいたしまして、法定労働時間を超える部分が発生をしているかどうかを確認するというものでございます。
 マル2でございますが、そのように所定外労働に関しては、発生順に通算をいたしまして、それによって法定労働時間を超える部分がある場合につきましては、その超える部分が時間外労働と評価をされるというものでございます。
 続きまして、16ページでマル3ということで、ただいま申し上げました所定外労働時間の把握の方法でございます。こちらに関しましても、基本として労働者を通じた把握がベースとなるわけでございますが、把握の仕方といたしましては、法を遵守するために把握をする必要がございますので、逆に申し上げれば時間外労働の上限規制を遵守するといったような、この法を遵守するために必要な頻度で把握をしていただくというような労務管理上の工夫も考えられるのではないかと整理をしてございます。
 例えば一定の日数分に関してまとめて申告をしていただく。あるいはあらかじめ本人から確認がされている所定労働時間どおりの場合については申告を求めずに、実際が所定労働時間どおりではなかった場合に改めて申告をさせる。あるいは時間外労働の上限規制の水準に近づいてきた場合に申告させるといったような簡便な管理上の工夫も考えられるのではないかとしてございます。
 最後に16ページの(4)で「その他」でございますが、副業・兼業をしている場合に、3つ以上の事業場で労働をしている場合でございます。これも考え方は同様でございます。つまりA社、B社があって、仮にC社があった場合については、まずA社、B社の所定労働時間を前提に、さらにC社の所定労働時間をまず契約順に通算をする。その後に、仮にA社、B社、C社全てで所定外労働があるとしますと、それぞれ実際に発生した順番に積み上げていって、法定労働時間を超えた部分が時間外労働として評価をされるということでございます。
 以上、16ページまでが労働時間の通算の方向の原則としての整理でございまして、次の18ページでございますが、その後の割増賃金の取扱いについてでございます。
 18ページの(1)にございますが、各々の使用者におきましては、ただいま申し上げましたように、労働者からの申告等によりまして、1つ目のポツで、まず労働契約の締結の先後の順に固定値である所定労働時間を通算する。次に所定外労働の発生順に、いわばその後の変数であります所定外労働時間を通算する。これによりまして、それぞれの事業場での所定労働時間・所定外労働時間を通算した労働時間が把握されます。
 その上で、その把握された全体の労働時間について、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合には、そのうち自ら労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要があるということでございます。
 すなわち割増賃金の支払い義務に当たりましても、労働時間は通算して適用されるという考え方でございます。
 (2)で「割増賃金率」でございますが、これは自らの事業場における就業規則などで定められた率でございまして、2割5分以上ということになりますし、大企業の場合は1か月について60時間を超えた場合には5割以上の率となります。これに関しましてもただいま申し上げましたように所定労働時間は契約の締結の先後の順、その後の所定外労働は、実際の発生順に通算をして当てはめて取り扱うというものでございます。
 この18ページの3番4番の部分までが原則となる通算の方法でございます。
 次に19ページからでございますが、本日御議論いただく最後の5番の項目でございますが「簡便な労働時間管理の方法」というものを整理させていただいてございます。
 「趣旨」のところにございますが、副業・兼業の場合の労働時間管理のあり方、原則はただいま申し上げてきたとおりでございますが、例えば副業・兼業に従事する日数が多い場合、あるいは自らの事業場、他の使用者の事業場双方で頻繁に所定外労働が発生するような形態でありますと、労働時間を労働者が申告をする、あるいはそれを使用者が受ける、そして、通算管理をするということに関して、労使双方に手続上の負担が伴う恐れも考えられるところでございます。
 2番目の○にありますように、このため、副業・兼業の労働時間管理のあり方につきましては、先ほどのように積み上げていくやり方のほかに、労働時間の申告や通算管理におけます労使双方の負担を軽減するということだけではなく、それによって最低労働時間が遵守されやすくなるといった観点も踏まえた簡便な労働時間管理の方法、以下「管理モデル」と略しますが、以下に述べることが考えられるのではないかということで、整理をしてございます。
 以下、文章で書いてございますが、恐縮ですが一旦22ページを御覧いただきたいと思います。22ページにこの副業・兼業の場合の管理のイメージを書いてございます。棒が横に3本ありますが、まず一番上の部分、これは先ほど来基本として申し上げている部分でございますが、まずA社における所定労働時間があり、その人がさらにB社でも労働する場合でございますが、Aの所定労働時間がまず先にあり、その後にBの労働時間が来るわけでございます。それがこの赤いラインの法定労働時間を超えないのであれば、時間外労働ということもございませんというところでございます。
 一方、Aの所定労働時間の後にBの労働時間を足したときに、この赤いラインを超えることがある場合には、超える部分に関しましては、Bにおきまして時間外労働ということになりますので、超える部分に関しては36協定に基づいて行う。そして、割増賃金の支払いが必要となるということでございます。
 これから御説明してまいりますのが、一番下にある横棒でございます。すなわち上の2本のように所定外労働が一方でないような場合であれば、管理が煩雑ということも考えにくいところでございますが、下にありますように、Aの所定労働時間があり、さらにAに所定外労働時間もあって、法定労働時間を超えていくような場合でございます。そのような管理の方法をこれから御説明申し上げるところでございます。したがいまして、この22ページの図を御覧いただきながら説明を聞いていただくのも分かりやすいかと存じます。
 私の説明はまず19ページの(2)の「管理モデルの枠組み」というところから、一番下の3本目の図のイメージに関して御説明を申し上げます。この管理モデルは副業・兼業を開始する前の段階におきまして、先に契約を締結していた使用者A、それから、後から契約を締結する使用者Bのそれぞれの労働時間、すなわちそれぞれにおける所定労働時間及び所定外労働時間を合計した時間数、これが先ほどの通算して適用されます上限規制、単月100時間未満かつ複数月平均80時間以内となる範囲内におきまして、副業・兼業を開始する段階で各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ枠を設定するという法式でございます。したがって、その設定された範囲内で労働をさせるということでございます。
 その場合におきまして、この図にございますように、使用者Aにおきましては、自らの事業場において法定労働時間を超える部分、これは時間外労働ということになりますし、割増賃金の対象ともなります。使用者Bは管理モデルにおきましては、全ての労働時間につきまして割増賃金の対象とするというものでございます。
 これによりまして、使用者A及び使用者Bはこの初期設定をした後に、実際に副業・兼業が始まった後におきましては、それぞれこのあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限りは、他の使用者の事業場の実労働時間を日々把握する必要なく、法が遵守されることになるというものでございます。いわば入り口の整理によりまして、法の枠も超えず、かつ、その後の管理の簡便も図ろうというようなものでございます。
 なお、この22ページの図は先般の未来投資会議において議論されていたこと、その内容を図にイメージいたしますと、このような図にもなるわけでございます。
 次の説明は20ページになりますが、この一番下の管理モデルを実施する場合の実際に考えられる導入手順でございます。実はこういったあらかじめ労働時間の枠を設定しておいて、一定の時間数を超えないようにしておくといったもの、これは既に副業・兼業を認めている企業におきまして、労務管理上の便宜、あるいは労働者の健康確保などのために、実際にこのように副業・兼業を開始される前に、あらかじめ他の使用者の事業場における労働時間、あるいは自社と他社を通算した労働時間について一定の上限を設定し、その枠内で副業・兼業を行っていただく。そのような労務管理を実施している企業が既にございます。
 このような今般の管理モデルにつきましても、したがいまして一般的には副業・兼業を行おうとする労働者に対しまして、先に契約を結んでおります使用者Aの側で、この管理モデルによって副業・兼業を行うことを労働者に求めまして、その労働者を通じて、その範囲で労働者が、このBにおいて副業・兼業をしていくといった流れが想定をされるところでございます。
 続きまして、20ページのマル2でございますが「労働時間の上限の設定」といたしましては、先ほども申し上げた部分と重複いたしますが、使用者Aの事業場における1か月の法定外の労働時間、それから、使用者Bの事業場における1か月の労働時間を合計した時間数が単月100時間未満かつ複数月平均80時間以内となる範囲内におきまして、副業・兼業を始める時点において、各々この上限の枠を設定していただくというものでございます。
 続きまして、21ページになりますが、その場合の時間外労働の割増賃金の取扱いでございます。使用者Aにおきましては、自らの事業場における法定外労働時間の労働、使用者Bにおきましては、自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ割増賃金を支払うこととなります。
 なお、使用者Aにおきまして、法定労働時間に加えて所定外の労働時間についても割増賃金を支払うこととしている場合、例えば週の労働時間が35時間であったり38時間であったりと、法定から隙間がある場合に任意に割増賃金を支払われていることもございますが、そういった場合におきましてはそのルールで、所定外の部分で支払われていくというところでございます。
 21ページの3つ目の○、割増賃金の率でございますが、これは先ほどと基本は同じでございますが、それぞれの就業規則などで定められた率ということになります。1点異なりますのが、大企業の場合、この60時間を超える時間外労働については5割以上ということになりますが、この管理モデルの場合につきましては、この判断は労働契約の締結の先後によって判断をするということでございます。すなわち逐一の発生順の積み上げというものは避けまして、後からの契約のほうで60時間の判断をしていくというような考え方でございます。
 次に23ページの部分でございますけれども「その他」ということで、管理モデルのこういった導入をした後に、もしもこの使用者Aにおきまして、あらかじめ設定した時間を変更する必要があるといった場合におきましては、あらかじめ労働者を通じて使用者Bに通知をしていただいた上で変更をすることが考えられるところでございます。なお、そういった変更の可能性がある場合には、あらかじめ変更があり得る旨を明らかにしておいていただくことが望ましいものと考えております。
 2番目の○でございますけれども、3社以上で労働者が働いている場合でございますが、これも基本は同じでございます。A社があってB社があって、そうすると、通算した残りの範囲内でC社の労働が出てくるということで考え方は同様でございます。
 なお、最後、管理モデルを導入した場合に、仮にあらかじめ設定をした枠を超えて労働をさせるような事態が発生した場合には、その枠を超えて労働させた使用者の側によって、場合によっては法違反といったものが問われることがあり得るということでございます。
 以上、1~5まで御説明を申し上げてまいりましたが、これが本日御議論をいただきたいと考えております第38条第1項の考え方の整理の案でございます。
 以上で説明を終わります。
○荒木分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
 仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 丁寧に御説明いただきましてありがとうございます。
 久々な議論のものですから、前に示していただいた、副業・兼業をしている人たちの背景や実態を踏まえて申し上げたいと思います。示された統計によると、半分以上の人は年収も低く、生活のために複数の仕事をしている方が多いなど、様々な実態があると思っております。そういう実態も踏まえますと、本来のあり方としては、副業・兼業を普及促進するということではなくて、ひとつの仕事で生活できるようにすることが必要なのではないかと考えております。
 もうひとつは、複数の仕事をするということは長時間労働になる可能性があると考えますので、労働時間規制に関する議論については、長時間労働の抑制と健康確保など、労働者の保護の視点から考えるべきだということを、従来の繰り返しになりますが、冒頭申し上げたいと思っております。
 その上で、本日説明していただいた資料の7ページでございます。労働時間通算が必要となる場合ということで、範囲について記載がございます。上の○でございますが、記載のとおり、労働時間の通算が行われるのは、事業主を異にする複数の事業場において、労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者の場合に限定されているところでございます。本日の議論は労働基準法の38条を明確にするという意味では、こういう議論の組み立ても理解できると思っております。
 ただ、その下の○にポツが2つございまして、労働基準法が適用されない場合と、労働基準法が適用されるが労働時間規制が適用されない場合のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されないという記載があります。これらの場合についても健康確保の観点ということは、議論として大事な観点ではないかと思っております。
 参考情報の欄にガイドラインを記載していただいており、3の「企業の対応」の※1に記載されているような就業時間の把握が、まさに今されているわけですが、実はこれには続きがありまして、何と書いてあるかというと、通算の対象とならない場合であっても、自己申告等で就業時間を把握して、労働時間が長時間にならないように把握することが望ましいのだということが書いてございます。労働者の保護がぜひこのガイドラインから現状より後退することがないように、議論を進めていくべきではないかなと考えている次第でございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 北野委員、どうぞ。
○北野委員 北野でございます。
 資料で言いますと9ページの「副業・兼業の確認方法」の項について意見を申し上げたいと思います。労働者からの申告がなければ、使用者が副業・兼業の実態を把握することが当然できませんし、使用者同士で相当連携がとれていないと、なかなか日々の労働時間など分からない。これは相当現実的ではないし困難なのだろうという点からしますと、労働者の申告に基づいて労働時間の通算の実務を行うということはやむを得ないだろうと思っております。しかしそうであっても、やはり使用者が、労働時間の管理、さらには通算の把握、そして、健康確保の責任というものは一義的に負うべきものであって、労働者に自己申告の義務を課して、その責任を労働者に全面的に押しつけるべきではないと思っております。
 また、労働者が他社で副業・兼業をしていること、さらにはその申告をしなかったことを理由に労働者に不利益が生じることはあってはならないと思っているところでございます。さらに、使用者は副業・兼業の事実を知っていれば、長時間労働の抑制や健康障害の防止について配慮しつつ仕事をさせるということは当然大切だろうと思っていますし、仕事の進め方に自由な裁量を持つ労働者は、やはり少ないのだろうと思っておりますので、時間や健康の管理の責任を労働者だけに負わせるのは適当ではないと考えております。
 加えて、労働者の中にはやはり副業・兼業を知られたくないという事情をお持ちの方が少なからずいらっしゃると我々は思っております。その場合においても申告をしないことを認める、もしくは申告等が強制されることがないように、ここは労働者のプライバシーをきちんと保護されるべきではないかと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 早乙女委員、どうぞ。
○早乙女委員 ありがとうございます。
 私からも資料9~10ページの「副業・兼業の確認」について意見を述べさせていただきます。今、北野委員からのお話もありましたけれども、やはり副業・兼業を行う場合、第1に企業間で一社員の労働実態を共有することは実務上かなり困難であること。第2に副業・兼業は労働者自身の自由な時間に行うものであり、企業が積極的に詮索して管理することは、プライバシーの観点からも難しいと考えますので、労働者からの申告に基づいて副業の実態を把握することは現実的な方法だと考えております。
 その申告の確認方法として、9ページに「その方法としては、就業規則、労働契約等に副業・兼業に関する届出制を定め」とありますが、申告をした、しないで、労働者と使用者の間で後々トラブルが生じるというようなこともあろうかと思います。そういったトラブルが生じないようにするためには、申告をした事実を書面で残しておくことが重要であり、このことを強く促していくことが大切ではないかと考えます。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 私からは労働者からの申告について一言申し上げたいと思います。
 企業として労働者からの申告が正しいかどうかについて、あまり突き詰めますと企業が労働者の副業の実態を詮索することになって、何らかの紛争が生じかねず、心配するところでございます。
 また今後、企業の中で副業・兼業を行う労働者が増えてくる可能性がある中で、申告をした内容が正しいことを裏づけるような資料を求められることになりますと、企業としてはかなり負担がかかり、対応が難しいと思われる経営者も出てくるのではないかと思っている次第でございます。
 したがいまして、企業は労働者からの申告ベースで対応して良いということを明確にしていただきまして、例えば労働者から申告された労働時間が仮に違っていたとしても、それを信じた企業側が何か責任を問われるようなことはないようにしていただきたいと思います。
 もう一つは、副業先の就労形態が雇用なのか、あるいは非雇用なのかということにつきましても、企業としてはなかなか把握ができないところでございますので、労働者からの申告を信じた企業がその点でも同様に責任が問われるようなことがないようにしていただければと思うところでございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
 大橋委員、お願いします。
○大橋委員 大橋でございます。
 事務局の皆様に質問をさせていただきたいのですけれども、お示しいただいた簡便な労働時間管理方法ということで、A社、B社がそれぞれ労働時間の枠をあらかじめ設定しましょうということでございますが、このやり方が幾つかあるのではないかなということを想定しております。
 3つほど考えられますが、例えば一つは大変シンプルに1年を通じて月何時間と固定的に定めておくという方法。それから、2つ目は通常の月は何時間、忙しい何月と何月はそれより多い何時間みたいなそういう枠の設定の仕方。3つ目は月々、来月はこうしましょうということを前月に定めるようなやり方。幾つか考えられるかなと思いますけれども、この設定の仕方は基本的には各社の判断といいますか、基本的にA社ということだと思いますが、A社の判断でやってよいという、このような理解でよろしいでしょうか。
○荒木分科会長 それでは、質問もありましたので、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
 まず冒頭、仁平委員の1つの仕事で生活できるべきという御指摘もございました。今回この副業・兼業を促進するということにしてございますが、これは当然ながら副業・兼業を希望される方が副業・兼業をしやすくなっていくようにということでございますので、あくまで希望される方についての副業・兼業が円滑に行われていくようにという考え方でございます。したがいまして、長時間労働にならないようという考え方もまさにこの場でも共有されている認識であると思いますし、今回、このようにきちんと通算をして保護していくというのは、まさにそういった考え方に基づいて整理をさせていただいていると考えているところでございます。
 また、健康確保の観点に関しても御指摘がございました。現在、健康確保のあり方に関しまして、並行して安全衛生分科会のほうでも御議論をいただいておりますので、そちらの議論の進捗状況に合わせまして、今後必要に応じまして、労働条件分科会の場でも御紹介できるようにしてまいりたいと考えてございます。
 次に、北野委員からございました一義的に労働時間を把握管理する責任は使用者にあるべきというところでございまして、もちろんこの労働基準法は、そういった使用者に一定の義務を課しまして、労働者の保護を図っていただくというようなものでございます。
 そのような中で、今回は副業・兼業先での労働時間ということで、当然自社の側では分からない部分でございますので、申告ということで、労働者を介して把握をするような手法で整理をさせていただいているところでございますが、やはりそういった把握がきちんと行われますように、各企業におかれましては今後そういった副業のあり方など、自社のルールを労使の中でも話し合っていただいた上で、そういう申告・届出といった確認の枠組みといったものが整理されていくことが望ましいのではないかと考えてございます。
 また、申告を強制されるべきではないというところも、まさにそのとおりでございまして、本人のプライバシーなどの問題などもございます。様々な事情がございますので、あくまでもそういった必要な範囲での把握であり、御本人の自己決定といったものも含めての申告であると考えているところでございます。
 早乙女委員からございました書面で残しておくことが重要というところでございます。申告のさせ方に関しましては、今申し上げましたように、各社におきまして具体化されていくものであると思っておりますので、そういった中で使用者、労働者双方において、こういったルールの意義も御理解をいただいた上で、混乱のない円滑かつ実務上にも負担にならないといったことも総合的に勘案いただきながら、各社においてルールといったものが導入されていくことが望ましいものと考えておるところでございます。
 それから、鈴木委員からございました申告を信じた企業が責任を問われることがないようにということでございます。先ほど申し上げましたように他社での働き方に関しましては、なかなか他方の会社で直接分かるものではございませんので、労働者を通じてということになりますので、それは確かにこの申告を通じて分からなかったことに関して責任を負うことはないものと考えております。申告をしていただくやり方、確認の方法に関しましても、よく労使の中で共有の認識といったものが図られていくことが、まずは重要なのではないかと考えております。
 最後、大橋委員からございましたこの簡便な管理モデルの場合は御指摘のとおりに様々な枠の設定の仕方といったものはあるものでございます。そういった場合におきましても、先ほど一旦設定した後に変更があり得る場合には、そういったことをあらかじめ留保しておいていただくというようなことも御説明を申し上げたところでございますが、そういったやり方も含めまして、労働者本人にもきちんと本業のほうでの労務の提供に支障がない形で副業をやっていただくという意味も含めまして、この枠組みの設定のあり方に関しては、本人との納得・理解の下に進めていただくというものであると考えてございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 今、管理モデルの実施についての説明がありましたので、私からは事務局に確認ということで伺わせていただきたいと思います。
 この管理モデルを実施するのか、あるいはその前段でご説明があった原則的な労働者管理であったりとか、割増賃金の把握の仕方で取扱いをするのか、そのどちらを取るのかということを誰が決めるのかということなのですが、根本的な理解としましては、20ページの(3)の「マル1導入手順」の2つ目の○でしょうか。1行目の終わりのところから「使用者Aが管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め」とありますので、企業がこの管理モデルの実施について、管理モデルを取るのかどうかを、選択的に決めることができるという理解でいいかどうかということ。
 あと、労働者は複数おるわけですが、その労働者の個々の状況によって管理モデルを導入する方、原則的な取扱いをする方、そういったことを企業が状況等によりまして決めることができる。そういったような理解でよろしいかというところと、管理モデルを導入する際に、例えば就業規則にその旨を書くとか、そういった導入する要件等がありましたら、併せて考え方等を教えていただければと思います。
○荒木分科会長 それでは、質問ですので事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
 佐藤委員の質問でございます。まず、この管理モデルの導入に関しましては、御指摘のとおり20ページの2番目の○にあるとおりでございまして、現実的なものとしては、まず現在雇われております使用者Aのほうにおきまして、いわば御自分の時間の残余の時間のところでどのように労働者に副業・兼業を認める、していただく、そのような考え方で導入をされていくということであると思います。
 この労働者によってというのは当然出てまいりますと思います。もちろん労働者本人との納得・合意の下にやっていくという大前提ではございますが、この管理モデルと原則の管理といったものを見た場合に、例えばこの管理モデルは、恐らくはこのA社においてそれなりの長時間の労働もされた上で、さらに例えば週末などに副業をしていく場合などが主に念頭に置かれるのであろうと思っております。
 一方、この原則となる管理、例えば先ほども仁平委員からもございました生活のために副業をされているような場合、パートで掛け持ちをされているような場合ですと、様々な御事情もあって1日の労働時間もそんなに長くなく、かつシフトで変わることはあっても所定外労働がそう頻繁に起きるものでもない、そういうようなことでありますと、原則どおりに積み上げていっても何か不規則な管理が出てくるということもあまりなく、かつ積み上げたところで先ほどのような長時間労働になる蓋然性も低い。あるいはもう契約の内容からそもそもそういったことになり得ないことが明らかな場合もあろうと思います。
 したがいまして、いわばこの成長戦略のようなものをイメージいたしまして、高度な人材がさらに御活躍をいただく、それを促進していく、やりやすくする、そういった人材がさらに活躍をできる、そういう観点から、まずはこのような管理モデルを導入していき、既にそういった人材を雇っていらっしゃるA社の側においても、その能力をさらに活用いただくような方向で認めていただくということではないかと考えております。
 一方、この原則のほうに関しましては、今申し上げましたそういった長時間にならないような方に関しては、原則どおりであっても何ら問題が生じないこともあろうと思います。
 ちょっと長くなりましたが、以上のような観点を踏まえまして、各社におきまして人材の活用のあり方、あるいは副業・兼業をしていただくあり方といったものは、多様なことが考えられると思っているところでございます。
 最後、この就業規則というところでございますが、このやり方は必ずしも全員に該当するルールではございませんので、就業規則に書くことが義務づけられるものではないと理解をしてございます。
 一方で、しかしながら、やはり社内のルールとしてきちんとしておくということ、つまりルールがありませんと申告したい労働者も申告する契機が分からなくなってしまいますので、手法は様々あると思いますけれども、やはり社内のルールとしては、労使の間の合意の下に設定をしていただいて、申告をする可能性のある労働者御本人に周知をされていくことは、必要なことであると考えてございます。
○荒木分科会長 それでは、川野委員、お願いします。
○川野委員 ありがとうございます。
 9ページのところでございます。「副業・兼業の確認方法」に関してでございますが、まずは1点確認をさせていただきたいと思います。
 資料には、申告等について、就業規則等に届出制を定め、雇い入れや副業・兼業を開始するときに労働者に届出を求めることが考えられるとされているところでございます。労働者が申告等をしなかったとしても、ただちに就業規則違反となって、例えば解雇等の懲戒処分を受けることがないという理解でよいのかということです。
 副業・兼業による情報漏えいが競業避止義務や秘密保持義務に反するものとして契約上の義務違反になることは理解をしておりますけれども、裁判例を踏まえると、労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由とされている以上は、就業規則に記載されている「副業・兼業が禁止される場合」に該当せず、会社に損害を与えていない場合まで、不申告を理由に懲戒の対象となるものではないということを、まずは確認させていただきたいと思います。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 川野委員の御質問でございます。
 労働者が申告をしなかったといったことが、就業規則の懲戒事由に該当する場合には、今御指摘ございましたように、使用者による懲戒が有効なのかどうかといったことは問題になり得るところでございます。
 一般的な考え方といたしまして、使用者による懲戒は無制約に許容されるわけではございません。一般的には権利の濫用となる場合も御指摘のようにございます。この間の副業・兼業に関しますこれまでの裁判例などを見ましても、一般的には就業規則に形式的に違反をした場合でありましても、本業の労務の提供に影響を与えたのか、あるいは職場秩序に悪影響が及んだのかといったような実質的な要素の有無が考慮された上で懲戒が有効かどうかといったことが判断をされているものと承知をしてございます。そういった考え方につきましては、今回のこの明確化によりましても、変更をもたらすものではないと考えてございます。
○川野委員 その上で、モデル就業規則の68条、副業・兼業のところの解説部分に先ほど来出ていますように、トラブルの未然防止に向けて、副業・兼業の導入の際には、導入を認める場合も含めて労使間で十分な検討が必要であるというような解説であったりとか、今ほど説明いただいたとおり、裁判例では労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的に労働者の自由であると示されているようなことを付記いただけるようなことを検討いただけないかと思います。
○荒木分科会長 事務局より、お願いします。
○労働条件政策課長 ただいまの川野委員の御指摘に関しまして、御検討させていただきたいと思います。やはり副業・兼業が安心して行われていくためにも、現実にトラブルが起きない形で進めていくという観点が重要であると思いますので、そのような観点・意図の下に記載ぶりを検討させていただきます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、八野委員、どうぞ。
○八野委員 ありがとうございます。
 先ほどから仁平委員からもありましたし、今、事務局のほうからもコメントであったのですが、例えば未来投資会議の中では、副業・兼業は、若いうちから将来を見据えて自らの希望する働き方を選べるということで、未来に輝くような形で言われている。
 ただし、今まで行われてきた検討会、分科会の資料の中では、いわゆる正規の職員よりも非正規の職員のほうが副業・兼業をやっている割合が高い。また、本業の所得が299万以下の者が約7割を占めているというデータも出ている。さらに、副業・兼業を行う理由は、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないからというのが最も高いということも出ている。したがって、分科会で議論していくときに、いわゆる正社員だけではなく、もう実態として進んでいる短時間で働く有期契約労働者等も含めて見ていかなくてはいけない。これを前提としていかなくてはいけないのではないかと考えます。
 今後、雇用状況が、ウィズコロナ、アフターコロナの状況によってどう変わっていくかは分かりません。ただ、今失業し、自分から進んではやりたくないけれども、副業をせざるを得ないというような人も出てきている実態があるのではないか。そういうことを見ていったときに、そういう労働者を全部含めて見ていくのだということが重要なのではないかと思います。
 私からの意見は、13ページの「副業・兼業の開始前」の記載に関することですが、所定労働時間を合計すると、法定労働時間を超えるような労働契約でも締結が認められるという記載になっています。これについては、過去の分科会においても、労働者側から、労働基準法36条に基づく時間外労働は一時的、または臨時的な場合に限って認められるものであり、あくまでも例外的に許容されると解すべきであると申し上げてきました。
 所定労働時間を通算したら法定労働時間を超える労働契約を認めるということについて、やはり慎重にやるべきだということを労働側からは主張してきたところだと思います。これは非常に難しいのですが、非常に重要なところだと主張しています。
 以前、企業の事例をまとめた分科会資料の中で、本業と副業・兼業の実労働時間が合計で週40時間以下となる者のみ副業・兼業を可能としている事例も紹介されたところでございます。やはり労働者保護という観点から労働時間規制があるわけで、そこを見ていけば、法制度として所定労働時間を通算した時間が法定労働時間に収まる場合のみ、労働契約が締結できるというのが本来的な姿なのではないかなと思います。
 仮に36協定があれば法定労働時間を超える副業・兼業の労働契約を締結することが可能という従来の行政解釈が法理論の見地から妥当とされるとしても、通算の所定労働時間は原則として法定労働時間に収まるようにすべきということや、仮に法定労働時間を超える場合でも、時間数をできるだけ短くするようにすべきことを明確に示していく必要があるのではないかと考えます。
 36協定の指針では、時間外労働は必要最低限にとどめるべきことや、臨時的な特別の事情がなければ限度時間、すなわち月40時間・年間360時間を超えることはできず、法令で定められた限度時間にできる限り近づけるように努めるべきことが明記されています。また、労働契約法の中でも使用者の安全配慮義務が規定されている。これらを踏まえて、契約の締結時に労働時間を抑制していくことが非常に重要ではないかと考えていますが、これについて事務局としての見解等があれば、聞かせていただきたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
 八野委員の御指摘でございます。法定労働時間という仕組みが法律上ございまして、できる限りそれに近づいていくほうが望ましいということ、これは確かに36協定の指針などにおいてもあるところでございます。
 一方で、今回、例えば上限規制に関しましても、通算をして適用していくような仕組みが導入をされている。すなわち、労働時間といったものは本人の健康、あるいは生活時間といった観点からも、できる限り法定労働時間が守られて短いほうがよいのだという点に関しましては、まさにおっしゃるとおりの一般的な考え方であると思っております。
 そのように、副業・兼業だからといってもちろん長時間労働が問題にならないわけでは決してございませんので、そういったことからも今般通算をしてきちんとはかっていく。そこを大前提としてのルールの明確化というような考え方でいるわけでございます。もちろん健康管理の方策としてもそういった視点がまた必要になってまいりますと思いますし、何か長時間労働を助長するといった意味合いにおいて、副業・兼業を促進するという趣旨ではないということに関しては、誤解のないような周知といったものを心がけてまいりたいと考えております。
○荒木分科会長 鳥澤委員、お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
 このテーマについて、おそらく過去3回程度議論してきたと思います。正直に申しますと、中小企業として、副業・兼業は必要なのだろうかという思いがありました。中小企業は、ここ数年、従業員の労働時間を管理し、過重労働にならないように努力してきました。しかし、自社の労働時間を減らしても他社で働いたら、総労働時間は一緒ではないかと思いました。しかし、コロナ禍を経て、副業・兼業に対するイメージが少し変化しました。
 新型コロナウイルス感染症の影響はいまだ収束しておりませんが、継続困難となった事業も非常に多くあります。そうした際に、他業種を経験している社員が多い企業は、事業転換がスムーズにいっているという印象があります。
 本業だけをずっとやってきた社員だけでは、事業を変えるときに難しいものがあります。コロナ禍において、副業・兼業や転職してきた社員がいるところは、そのような事態に比較的柔軟に対応にできるということを知りました。このことが副業・兼業によって得たスキルや経験を本業に寄与することなのだと改めて思い、認識が変わりました。そのような意味で、ポストコロナを見据えた多様な働き方の中では、副業・兼業は今後非常に重要になるのではないかと私は思います。
 事務局からご説明いただいたとおり、副業・兼業の促進に向けた対応案が未来投資会議で示されました。未来投資会議において、副業・兼業先の労働時間の把握については、労働者からの自己申告制とするとあり、その自己申告に申告漏れや虚偽申告があった場合には、副業・兼業先での超過労働によって上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないということが提示されました。上限規制に対するルールがある程度明確になってきたことで、企業にとっても実態に即したものであることから、この方向性に関しては、私は概ね妥当と考えます。
 一方で、労働時間の管理等、依然として検討するべきことが多いのは事実です。特に労務管理は、非常に煩雑であるという印象を受けます。したがって、副業・兼業の促進に当たっては、月60時間超の残業に対する割増賃金率の適用に関して、政府案をベースとした極力シンプルなものを今後提示していただきたいと思います。
 また、本日の論点外ではありますが、プライバシー保護等は非常に重要ではありますが、企業としては情報漏えいが心配です。プライバシーの保護と情報漏えいに関しては、バランスを取っていただき、方針をしっかり検討していただきたいと考えます。
 そして、新たなルールについては、労使双方がしっかり把握する必要があります。先ほど佐藤委員がおっしゃられたように、社員の数だけ管理モデルは変わります。Aの企業として方針があったとしても、Bの企業との調整によってモデルが変わってくるため、労使双方が兼業・副業の基本的なルールを把握することが大切です。本件について、広く丁寧に周知していただきたいと思います。
 私の会社は埼玉なのですが、埼玉都民という言葉がありますように、非常に多くの埼玉県民が都内で働いています。コロナ禍において、テレワークにより通勤がなくなったことで、通勤の時間で、別の仕事ができるようになりました。そのような方が、大企業等のノウハウやスキルを持って、中小企業で働くことも非常に重要なことだと思います。以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
 佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 私も労働側の委員の皆様、また、事務局が先ほどからお答えいただいているとおり、まずは国の施策として副業・兼業を推進していこうという流れはもちろん分かるのですけれども、やはりこれは労使双方が、労働者の健康・安全のために、休憩を取ってもらうということが前提にあるというのは、一致しているところだと思います。
 その中で、22ページで簡易なモデルということでお示しをいただいたわけでございますけれども、これはあくまでモデルということで、各人に合わせた、また、企業の実態に応じたことができるのではないかなと考えています。そこで、まずお伺いしたいのは、ご提案されましたモデルや、副業・兼業において労働時間を通算するということは今までの流れと基本的には変わらないのはわかるのですけれども、例えばこのモデルにより実施すると、すぐB社が時間外労働となることから、B社の給与明細などで「時間外労働」として、ちゃんと記載しておかないと、後で疑義も出てくると思います。
 ですから、今まで行ってきた方法だと、パンフレットを作る、ホームページで周知するということももちろん分かるのですけれども、従来からの周知方法では浸透と理解に限界があるのではないかと思います。私たち支援機関にとっても、例えばB社において、A社の労働時間を通算することから、約束した時間数を超えれば、すぐに超過勤務手当が発生してしまうなど、一つ一つの事例を具体的に示しながら行っていくことは、非常に難しい周知の方法だと考えています。何か厚生労働省事務局で新たな周知というか、理解させる方法を考えているのであれば、それを教えていただきたいと思います。
もう一点ですが、22ページのモデルにおいて、例えの話で申し訳ないのですけれども、A社がB社になるべく迷惑をかけずにすむように、自分のところで決めた所定の労働時間数に、残業が発生しそうだな、でもやらないかもしれないといったときに、36協定に明記された時間数や毎日3時間程度の超過勤務を見込んだ時間数としておくことが可能なのでしょうか。勤務時間を20時ぐらいまでにしておいて、それで残業をやるかどうか分からないけれども、一応そこで枠を取っておこうということになってしまうと、先ほどのお話で必要最低限度というのがありましたけれども、予想外の業務に備えて時間を少し多目に取っておくことがあり得るのではないか。そういうのが多々出てくるようだと実態も分からなくなってしまいます。
 例えばA社において、そういう例も出てきてしまうのではないかなと思うのですけれども、その辺の見解を教えていただきたいと思います。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
 まず、鳥澤委員からポストコロナも見据えてのお話がございました。この副業・兼業に関する議論、これはこういったコロナといった事象が起きる前からの課題でありましたが、この間大変大きな変化があって、これは私が申し上げるまでもないことであると思っております。まだ、コロナ自体が収束をしているわけではございませんので、まだまだ動いている部分はあると思いますが、鳥澤委員からもお話がございましたように、やはり多様な働き方といったものがどんどん進んでいくと考えております。
 そういった中で、この副業・兼業、これは八野委員、あるいは仁平委員からもございましたように、生活のためにやむを得ず働かれていらっしゃる方もいらっしゃいますので、そこへの配慮は当然に必要なことでございます。それを前提としまして、しかし、また新たにより積極的な働き方として柔軟な働き方が増えてくる。これはあると思います。
 これはもちろん労働者本人にとってよいこともありますし、また、それによって会社のほうでよいこともあると思います。したがって、この法律の最低基準はきちんと守った中で、いかに円滑に活用できるのか、そういったルールを示すことが重要であり、そういった思いもある中で原則的な形のみの整理にとどめず、このようなモデルのようなものも今回御提示させていただいているというところでございます。今回のこういった副業・兼業の整理がポストコロナにおける多様で柔軟な働き方をサポートしていく役割を果たすことができれば、そういったことでは大変ありがたいと思っているところでございます。
 それから、佐久間委員からございました、一つはそういった中小企業に対しての周知の方法でございます。まず、分かりやすい周知を進めてまいりたいと思ってございます。もとより、私どもはこの間、働き方改革を進める中におきましても、中小企業の皆様に寄り添って丁寧な御支援を申し上げる、そういう姿勢で取り組んでおります。この副業・兼業に関しましても、分かりやすい形で取り組んでまいりたいと思っております。
 また、方法としては、先ほど早乙女委員から、例えば書面で残しておくことも考えられるというようなこともございましたが、そういった管理・把握のために何か使えるような参考となる書式のようなものも何か考えていきたいなと思った次第でございます。
 それから、このモデルの場合におきまして、A社のほうが自分の枠を多く取るという問題でございます。実際にこのような管理を導入されている実例を見ますと、やはり一つは健康管理の観点などから短く抑える場合もあれば、あるいは本人が特に副業をやりたいという場合、積極的にそれを認めている企業さんですと、逆にA社の側で自分の時間を少なくして、副業の時間を増やしてあげる。そんなようなことに取り組んでいらっしゃる企業さんもございます。
 A社におきまして必要な労働時間を確保するという観点から、例えば36協定の上限まで枠を取るといったこと自体はあり得るものであると考えてございます。ただ一方、先ほど来御議論がございますように、労働時間はできる限り短くしていただくというような観点、あるいは労働者の健康確保、さらには今、企業の事例を申し上げました労働者が副業によって活躍する機会を与えていただく。そして、それが本業にとってメリットになることもあるという積極的な位置づけ、そういったことも踏まえまして、今回の議論もまた一つの機としていただきまして、各企業の労使におかれまして、こういった副業・兼業のあり方、認め方、行い方、そういったことに関してのルールといったものが、納得の下に進んでいくということが望ましいものではないのかなと考えた次第でございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
 それでは、池田委員、お願いします。
○池田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、実際の企業実務を想定した中での意見、感想を申し上げます。
副業・兼業の労働時間管理に関しまして、今回の例で言うと、仮に自分がB社側の人事労務担当者であったとして、採用時に労働者の方が兼業はないとの申告もしくはA社での就労状況について過少に虚偽の申告をされた場合で、後に正しくA社での就労状況とか、実際に兼業になっているということを当該労働者が申告してきた場合には、実質的に追加的な割増賃金であるとか、就労時間の短縮とかということが惹起してくると想像できまして、それについては会社として納得のいかない事態が生じるのではないかと考えました。ですので、先ほどお話に上がっている申告の手法であるとか、責任のあり方などについては、きちんと整理をしていきたいなと考えたところであります。
 以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。
 私は労働時間管理の管理モデルについて申し上げたいのですけれども、今、労働時間の管理ということで、現状として労働者の現場の実感ということで言いますと、通算した労働時間に基づいた上限規制の適用ですとか、割増賃金の支払いがしっかり行われていないということも少なくないのではないかと認識をしているところであります。
 その原因としまして、そもそも通算の規定自体がしっかりと周知されていないのではないかということがありますのと、知っていたとしても現在示されていますガイドライン、Q&Aがございますけれども、実際に実務に当てはめたときにどのように具体的に行っていけばいいのか分からないようなところもあるのではないかと考えているところです。そういったことがありますので、現状を改善して副業・兼業を行う労働者がしっかりと通算した労働時間に基づいて保護されるようにすることが大事であると考えているところです。
 その観点から、分かりやすくて実務的に実行可能な管理モデルを示して労働時間の通算を浸透させることについては、実態としてこれまで労働者保護が及んでいなかったところの徹底にも資するものと考えています。ただし、通算の法定内の労働時間が単月100時間未満、複数月平均で80時間以内に収まれば、どれだけ働かせてもよいというものではないと考えております。先ほど八野委員のほうからもありましたし、これまでも労働者側の委員としては述べてまいりましたけれども、労働時間としては、副業・兼業をしてもしなくても週40時間、1日8時間という原則が守られるべきであると思いますし、時間外労働を行うとしましても、それは必要最小限にとどめるべきであるということは、重ねて申し上げたいと思います。
 36協定の指針には、臨時的な特別の事情がなければ限度時間を超えることができない、超えるとしても限度時間にできる限り近づけるよう努めるべきといった内容もございますので、こういったところを踏まえつつ、やはり長時間労働を抑制すべきということは明示していただいて、対応を求めていくということが必要ではないかと考えているところでございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 先ほど八野委員、仁平委員から本来論のお話がございました。副業・兼業については有期の労働者も含めて議論しなければならないという点は、そのとおりだと思っております。一方で、鳥澤委員からも御指摘がございました通り、例えば大企業で培ったノウハウを活かして中小企業で働くことにより、さらなるイノベーションを生み出すことが期待されますし、大企業のある人事担当者いわく、若い社員の中で副業・兼業をしたいというニーズがあり、現在は禁止しているものの今後解禁を検討したいという声も聞いております。先ほど副業・兼業を認めている企業の中で、1週間を通算して40時間以内に収める運用をされている企業の紹介がございました。様々な解釈があろうかとは思いますが、現行の労働時間通算のルールが不明確であるがゆえに、企業としてはかなり謙抑的な運用をしている面が強いととらえるのが自然だと考えております。健康確保の観点が重要という点は、私も同感でございます。例えば両社を通算して月80時間近傍まで設定をするのではなく、既に企業の事例としてございますとおり、通算して40時間あるいは60時間以内に収める取組もございますので、そうした長時間労働につながらない各社の工夫を引き続き尊重いただきたいと思っている次第でございます。
 以上です。
○荒木分科会長 世永委員、お願いいたします。
○世永委員 ありがとうございます。
 資料の19ページにあります管理モデルの関係について、既に一部御回答いただいているところもありますけれども、確認をさせていただきます。
 既に発言が出ていますけれども、管理モデルを導入する場合、使用者が、自社の労働時間が制約されることを避けたいということで、上限の枠をあらかじめ長く確保しておこうとすることが、やはり考えられるのだろうと思っています。そうなってきますと、上限の枠はそれぞれの事業場における36協定の範囲内に設定されることになるということで、通算の労働時間を踏まえて労働時間を抑える歯止めというのは、単月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限規制以外にないと言えるだろうと思っています。
 ガイドラインには、就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要であると書かれておりますけれども、多くの人は、この間、労働者側からも発言させていただいておりますように、1つの仕事では十分な収入が得られていないということから、生活するために必要に迫られて副業・兼業を行っている状態にあります。そうした人こそしっかりと保護するべきであり、労働者の自己責任を前面に押し出すのは適切ではないと考えております。
 行政からも、労使が副業・兼業の状況を踏まえて就業時間が長時間にならないように取組をするように強く促すことが必要であり、参考になる効果的な対応方法ということについても、きちんと情報共有を図っていただきたいということを申し上げさせていただきます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今、世永委員から指摘があったところは非常に重要だと思うのですが、今日の議論を聞いていて、先ほど使用者側の委員からもあったように、我々は事務局から示された管理モデルを見ていると、A社側の立場に立って全部考えてしまうところがあるのではないか。
 そうすると、B社の立場から見た、契約をするときの自己申告のあり方、例えばA社で8時間働いていたら、B社の契約をするときは、このモデルで言えば、B社は割増賃金を払わなくてはいけない。そのようになったB社の立場から見たら、そのような労働者を本当に採用する状況とか、その人と面接をして雇用しようといったときに、労働者が本当にA社の実態をちゃんと話をできるよう、私は割増賃金の支払いが必要になりますよということが言える状況をつくっておかないと、これはペーパーだけになってしまうのです。
 実態のところをどうしていくのか。働く者もちゃんと、自分はA社のほうで何時間の契約をしています、私はこういう副業・兼業を認めてくれるB社のほうへ来ました、そこで私はこういう労働契約を結びたいのですが、それはもう割増賃金になってしまいますというようなことが言える自己申告や申出ができるようにすること。これは非常に難しいと思うのですが、企業のほうも採用する責任があるわけで、B社としての雇用管理、労務管理、労働時間の把握や時間外労働の上限の管理、それらをどうしていけばいいのか。
結論がなくて申し訳ないのですが、B社の立場に立った考え方を少し見ておかないと、どうも話の中心がA社中心で考えてしまう。先に雇用契約を結んだところを中心に考えてしまう。いま指摘した点についても簡易的な方法の中で触れていくとか、ガイドラインの中でも触れていくようにしていただかないと、やはり難しいなというのを今日の皆様の議論を聞いていて思いましたので、意見として述べさせていただきます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、いろいろと御意見、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
 まず、池田委員からございました当初申告がなされておらず、途中で申告をされたという場合でございます。もちろんその場合、申告はされておらず、把握していなかったことに関して、企業側に後から責任が問われることは発生しないわけでございますけれども、一方、申告があった後に関しては、まさにここでこの申告があった後のこのルールにのっとりまして、では、どのような相手方での働きぶりなのか、あるいはそれがどれぐらいの時間なのか、そういったことを確認していただいた上で、その後は自社においても問題のない形で働いていただくようなルールを話し合って取り組んでいっていただくということであると考えております。
 それから、櫻田委員、鈴木委員、世永委員から、長時間労働にならないような取組とございました。これはまさに本人の活用の仕方もあれば、さらには健康管理もありまして、各社さん様々あり得ると思います。私どもも先ほど申し上げましたように、長時間労働を助長していくという趣旨では決してなく、かつ様々な企業の取組なども、これからも情報を集めて取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 最後、八野委員からございましたB社の立場に立ってというところでございます。やはり副業・兼業といった場合に、人材を送り出す一方で、そういった人材を必要としている側の会社がまさにB社ということになるのだと思います。必要とする程度としては、もちろん高度な人材に関して、非常に高い賃金も払っている上になるのだと思いますけれども、雇い入れてそのノウハウを生かしていきたいという活用のされ方もあるでしょうし、一方で、そうではなくやはり掛け持ちで複数働いている場合におけるB社、C社というお立場といったものもあると思います。
 この管理モデルという観点でいきますと、先ほど途中で申し上げましたように、基本的にはかなり長く働いている方がさらに追加的にというようなイメージになりますので、もちろん短い時間でやっている場合については原則どおりの管理でいって問題にならない場合もあると思います。ただ一方で、八野委員のおっしゃっておられますのは、申告といったこの制度が仕組み上はこうであったとしても、それがきちんと機能するようにという、それもそれぞれのいろいろな立場から見たときにちゃんと機能するように分かりやすくという御指摘だと思っておりますので、こういったルールでやっていく場合におきまして、その辺りについて、また頭を使って考えてまいりたいと考えてございます。
○荒木分科会長 それでは、次の議題もございますので、今日の労働時間の管理のあり方については、引き続き議論するということで、次回以降、さらに議論を深めていただきたいと思います。
 次に移りまして「その他」ということになっておりますけれども「科学技術基本法等の一部を改正する法律」について、事務局より説明をお願いいたします・
○労働関係法推進官 では、私のほうから資料2-1以下につきまして、御説明させていただきます。
 こちらにつきましては、3月の本分科会において報告をさせていただきました事案でございますけれども「科学技術基本法等の一部を改正する法律」が成立をしましたということで御報告させていただきます。
 本法律の中で資料2-1の2番目、赤い囲みで囲っておりますけれども「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」が改正されております。この法律の中では、労働契約法の無期転換ルールに関する特例が定められておりますけれども、今回の改正によりまして、法の対象に「人文科学のみに係る科学技術」が追加されるとともに、それに伴いまして、3つの独立行政法人が研究開発法人に追加されたというものでございます。こちらの法律につきましては6月2日に衆議院で、6月17日に参議院で可決され、成立をしております。
 資料2-2と2-3に附帯決議をおつけしております。
 2-2が衆議院の附帯決議、2-3が参議院の附帯決議でございます。
 附帯決議の中身につきまして、科学技術の振興に関する項目が主となっておりますけれども、2-2の衆議院のほうでございますと4項目目に雇用の安定に関する項目がございます。最後の2行目ですが「我が国における科学技術の水準の長期的な向上を図るため、研究者等の雇用の安定を確保するとともに、若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境を整備するよう努めること」というような内容が盛り込まれてございます。
 同じく資料2-3でございますけれども、こちらは参議院の附帯決議になっておりますが、項目数は衆議院より多くなっておりますけれども、同じく4項目目に「研究者等の雇用の安定を確保するとともに、ポストドクターを含む若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境を整備するよう努めること」というような項目が盛り込まれております。
 こちらにつきましては、関係省庁におきまして、必要な事業等を実施していくことになっております
 私からの報告は以上でございます。
○荒木分科会長 ただいまの説明につきまして、何か御質問等があればお願いいたします。特によろしいでしょうか。
 それでは、本日予定した議題は以上ということになります。
 最後に、次回の日程等について事務局よりお願いします。
○労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせ申し上げます。
○荒木分科会長 それでは、本日は以上となりますけれども、本日の議事録の署名は、労働者代表の櫻田委員、使用者代表の大橋委員にお願いをいたします。
 どうもありがとうございました。