第290回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(令和元年)11月20日(水)13:00~

場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館
第612会議室(6階)

出席者

公益代表委員
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵
労働者代表委員
  • 木住野 徹
  • 仁平 章
使用者代表委員
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 正木 義久
  • 森川 誠

議題

  1. (1)労働者派遣事業者団体からのヒアリング(公開)
  2. (2)派遣労働者からのヒアリング(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 皆さんおそろいのようですので、ただいまより第290回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の藤本委員、労働者代表の永井委員及び奈良委員が所用により御欠席されます。
さて、本日は労働者派遣事業者団体からのヒアリング、派遣労働者からのヒアリングを行います。このうち労働者派遣事業者団体からのヒアリングについては公開で実施いたしますが、派遣労働者からのヒアリングについては、「個人に関する情報を保護する必要がある」ことから非公開となっております。傍聴されている方につきましては、労働者派遣事業者団体からのヒアリング終了後、御退席いただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。
それでは議事に入ります。議題(1)、労働者派遣事業者団体からのヒアリングについて、資料の確認と併せて御出席いただいている方の紹介を事務局よりお願いいたします。
 
○清水補佐 労働者派遣事業者団体として、日本生産技能労務協会の青木会長にお越しいただいております。資料は資料1となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ただいま事務局から御紹介いただきました日本生産技能労務協会の青木会長におかれましては、大変御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。青木会長からは、労働者派遣事業者団体の立場から派遣制度について御意見を述べていただければと思います。まずは15分程度御説明いただき、その後質疑応答としたいと思います。それでは青木会長、よろしくお願いいたします。
 
○青木会長 御紹介いただきました日本生産技能労務協会の青木です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。資料に沿って説明をさせていただきたいと思います。まず、私どもの業界団体ですが、平成元年に製造請負の事業者による初の共同組織として設立されまして、現在は製造の派遣請負の業界団体として活動しております。創立30周年を迎えたところとなっております。
2ページ目に行かせていただきます。まず始めに、私どもの業界が果たしている機能ですが、見逃されがちな機能が2つありまして、それをちょっと御紹介したいと思っております。1つ目が業種の枠を超えた製造業全体での雇用の場の確保・提供として、個々のメーカーでは対応できない業種の枠を超えた製造業全体で雇用の場を確保・提供する機能になることを意識していること。そして2つ目、製造業や派遣の現場には無技能・未経験、そして社会経験のない方でも就業可能な業務はありますので、そのような方々に雇用機会を提供している、こういったことも業界の果たしている大切な機能として考えております。
3ページ目に入らせていただきます。それぞれの項目ごとに実態、課題及びニーズについて当団体の意見を述べさせていただきます。主な意見として2つ、その後その他の意見として5つございます。主な意見の1つ目になります。日雇派遣の原則禁止について、これに関しましては日雇派遣による就業を希望する者は非常に多いのですが、現在「年収500万円以上」という所得要件によって働くことができない人がとても多くいます。さらに、所得証明書を派遣事業者に提出することに抵抗感を持っている人は多く、所得要件を満たしているのに働くことができない人も多いというような状況になります。ですので、所得要件の撤廃を含め、日雇派遣で就労を希望する人が働くようにできるようにすることが必要だと考えております。
日雇派遣の抱えている課題については、個別に具体的に検証して対処することが適当だと思っておりまして、雇用管理の問題があるのであれば、派遣元に日雇派遣のための特別の雇用管理体制を整備させることを許可の条件としたり、安全衛生上の問題があるのであれば、危険・有害業務など不適切な業務をネガティブリスト化し、禁止してはどうかと考えております。
そのための理由が6つございまして、一つ一つ説明させていただきます。まず1番目、日雇派遣で働きたいという人は多いですが、日雇派遣は原則禁止とされているため、働けない人が多く存在します。具体的に日雇派遣で働きたいという希望を持っている人の例なのですが、例えば、ほかに仕事を持っているが追加的収入を得たい人、世帯として追加的収入を得たい人、家族の介護等のため、あらかじめ定められた時間に働くことができない人、他の活動、趣味とか学習等になりますが、そういったものとの両立を図りながら働きたい人、こういった方々がいらっしゃいます。ただ、これらの人々は、現在所得要件等を満たさなければ日雇派遣で就業することができないため、ツイッター等で数多くの不満が、おかしいのではないかということで表明されております。制度の抜本的な見直しを是非お願いしたいと思っております。
2つ目、年収500万円以上という所得要件を下げて、働ける人を増やすことも考えられると思うのですが、年収を派遣会社に開示すること自体に抵抗感を持っている人が多く、この仕組みをやめない限り、働きたい人が働けない状況に変わりはないと思っています。例えばなのですが、私の息子や娘から、「お父さん、500万円の年収、うちはあるの」と。「派遣で働きたいんだけど、源泉徴収とか所得証明書を派遣会社に持っていかないと、私、働けないんだ」と言われて、それを貸してくれと言われた場合に、私だったらやはりちょっと躊躇します。皆様方がどう思われるかというのもあるかと思いますが、私は恐らく息子や娘には開示することはないのではないかと思っています。
実際ここにも書かせてもらいましたが、所得額はセンシティブな情報であり、家族であっても開示しないこともあります。日雇派遣の仕事をするために、親や家族に所得証明書の提示の協力を依頼しても承諾してもらえないという事例が多数あって、その結果、日雇派遣を諦めざるを得ないケースも多い。ですので、本人の適性や能力に関係のない年収要件は廃止されるべきであると考えております。
3つ目、介護など様々な理由で、あらかじめ就業する曜日や時間が定められた働き方では働きにくい人にとって、日雇派遣という働き方は継続的な就業を目指す上で非常に有効な選択肢であるということです。一言で言えば「融通が利く働き方だ」ということになります。現行の所得要件は、このような形の就業の可能性を摘み取るものであると考えております。
4つ目、日雇派遣の原則禁止という仕組みは労働力人口の減少の下で、労働力を確保、増大させようという国策の流れを考えても、これは逆行しているのではないかと思わざるを得ないと思っております。働きたい人が働くことができる仕組みに見直すべきだと考えております。現在、国は、女性や高齢者の就労促進、外国人労働者の受入れ拡大を進めており、日雇派遣の原則禁止は、働く意思と能力のある人の就業を妨げるものであるので、これは速やかに見直すべきであると考えております。その際に、直ちに法改正を行うことが困難であるとすれば、日雇派遣の問題点の解決は所得制限ではなく、これはやめていただいて、別の手法により対応することとし、例えば、他の就業機会を有する労働者が副業として働く場合を例外としたり、離職者が新たな安定した就業機会を確保するまでの間、生活費を確保するために臨時的、短期的に働く場合などを、上の(3)の事例とともに、日雇派遣の原則禁止の例外として、働きたい人が働くことができる仕組みにしていただきたいと思っております。
5つ目、日雇派遣の問題点を個別に検証し、「原則禁止」ではなく、対処が必要な問題点については個別に対応すべきであると考えております。例えば当時、「日雇派遣は労働災害防止の観点から問題がある」という指摘がなされました。私たちは日雇派遣だから労災が多いとは思っておりませんが、日雇派遣の業務の中には特段の危険性を伴わないものも多いので、原則禁止という手法ではなく、例えばネガティブリスト化して禁止にするなどの手法を講じることも考えられるのではないかと思っております。そこに日雇派遣でよく依頼されるような業務を並べておきました。こういったものは特段の危険を伴わないと思っております。
6番目、急な人材需要が生じた場合、企業は直接雇用では対応が困難ということです。企業は生産工程のトラブルを始め、種々の要因から突発的に大規模で一時的な人材需要が生じることがよくあります。例えば、2日後に30人の人員が必要になった場合、企業が直接雇用で対応としたときどうなるか、そこで実情を書かせていただきましたが、まずは求人会社の担当者を呼んでという行為が入りますが、求人広告内容を検討して求人情報誌若しくはウェブに掲載いただいて、自社で応募の申込みを一人一人受け付けて、面接日時を一人一人調整して、実際面接を行って合否を判断して結果を連絡して、採用の場合、仕事内容と雇用条件を説明して、一人一人雇用契約を書面で締結して、銀行振込口座の確認、通勤経路の確認等々、迅速に対処しづらい実情にあります。これに対して派遣事業者には独自のノウハウがありますので、必要人員を迅速に確保することができます。日雇派遣に対する企業のニーズは高いということになります。以上、まず日雇派遣は原則禁止にするのではなく、所得要件の撤廃を含め日雇派遣で就労を希望する人が働くことができるようにしていただきたいと思っております。
主な意見の2つ目、離職後1年以内の労働者派遣の禁止について、これは常用代替のおそれが全くないにもかかわらず、禁止規定によって就業できないケースが見受けられるため、本禁止規定は削除すべきと考えております。仮に常用代替の防止の観点から、この規定を削除することが困難であるのであれば、常用代替のおそれがない場合や合理的な理由がある場合については、禁止の例外とすべきではないでしょうか。例えばどんな方が困っているかというと、正社員ではなく、これは(1)に書かせておりますが、パート・アルバイトで働いていた方や日雇紹介で1日でも働いたことがあるだけで、離職後1年以内の労働者派遣の禁止の対象となってしまいますので、他より労働条件の良い派遣の募集であるにもかかわらず、応募できないというような状況もあります。
(2)例えば介護で辞めたが派遣で戻りたいとか、(3)結婚で退職したのだけれども転居した地域で、その企業の支店等で派遣就業しようとしたが働けないといったことがあります。離職後1年以内の労働者派遣の禁止規定は見直すべきであると考えておりまして、仮に常用代替防止の観点から削除することが困難であるならば、上記のような常用代替のおそれがない場合は禁止の例外とすべきだと考えております。
続いて6ページ目、その他の意見として4つ書かせていただきました。まず3、派遣先の団体交渉応諾義務、こちらに関しましては労働者派遣に特有の話ではないので、今後とも労働組合法の枠組みの中で対応していくべきであると思っております。そして4番、いわゆるマージン率等の情報提供、これはあらゆる業種の中で派遣事業だけがマージン率等の公開を定められておりますので、公平性の観点からも廃止すべきであると考えております。5番、審議会への派遣元事業主代表の参加について、やはり当事者であり制度の実態をよく知る派遣元事業主代表も参加させていただきたいと考えております。6番、3年後の更なる見直しですが、これは再度、3年後の更なる見直しをしていただきたいという意見になります。
7ページ目に移ります。7番、雇用安定措置、教育訓練・キャリアコンサルティング等について、こちらに関しましては、派遣事業者として種々の工夫をしながら対応しておりますので、特段の見直しは必要ないと思っております。それ以降、参考として幾つかの事例を付けさせていただきました。時間の関係で割愛させていただきますが、是非御覧いただきたいと思っております。
最後の8ページ目になります。これだけちょっと御紹介させていただきたいのですが、国税庁の「民間給与実態統計調査」結果によると、平成30年度の平均年収というのは男女計が441万円ということになっております。女性は293万円となっておりまして、日雇派遣の所得要件というのは女性の平均年収の約1.7倍の水準でありまして、女性にとっては極めて高いハードルとなっておりますので、所得要件による日雇派遣の制限は見直しが不可欠であると考えております。以上、技能協の意見を述べさせていただきました。御清聴ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御感想があれば、何でも結構ですので御意見をよろしくお願いします。
 
○仁平委員 青木会長、どうもありがとうございました。今後、派遣法の改正なども検討するに当たって大事なお話だと思うので、幾つかお聞かせいただきたいと思っています。まず御質問する前に1点、業界の状況がよく分からないため、教えていただけたらと思っているのですが、業界として事業をやっていく中で、どれぐらい日雇派遣のウエイトがあるのか知りたいと思っております。貴組織に加盟されている業界の中では、日雇も常用派遣も、請負もやっているというのが一般的なのでしょうか。もしかすると個社によって違いがあるのかもしれませんが、差し支えがなければ、例えば青木会長の会社ですと、日雇派遣がどれぐらいの割合を占めているか、前提としてと聞かせていただけないでしょうか。
 
○青木会長 ありがとうございます。私どもの業界のほうでは、日雇派遣をやっている企業に関しては物流部会に参加している企業がかなり多くて、20社以上ございます。その企業がどのぐらいの割合が日雇派遣なのかというのは、ちょっと統計で取ったことはないのですが、今回、厚生労働省様が発表された資料ですと、全派遣労働者のうち、6月1日時点、その日だけですが、確か日雇派遣の労働者の稼働人数は1.8%の2万5千人くらいだったかと思います。ですから全派遣労働者の中で、その人数ということになります。
ただし、これはその日だけを見ているものであって、幾つかの日雇派遣の会社とお話したときに、実際に月内で働いている稼働者数を見た場合に、給与口座にお支払いする人は何人ぐらいいるかというと、大体10倍ぐらいいます。ですので1人当たり平均すると月3日ぐらいしか働かないのです。月に1日きり働かない人もいれば20日働く人もいて、いろいろな方がいるのです。ですので実際に日雇派遣の労働者がどのぐらいいるかとなると、その日だけ見れば1.8%かもしれませんが、ただ、月で見ると、実際に働いた方というのはその10倍ぐらい、年間に直せば重複する方もいるので×12ということはないと思いますが、それでも6倍、7倍ぐらいはいてもいいのかなと思います。よろしいでしょうか。
 
○仁平委員 分かりました。その前提で連合や組合においては、日雇派遣を巡って、「時間外労働や深夜労働をしても割増賃金が払われない」、また「自分の身は自分で守るように言われた」といった安全上の問題なども、相談が寄せられており、我々としては日雇派遣については様々な問題が現状においてもあると認識しております。
ここから御質問なのですが、4ページ目に「継続的な就業を目指す上で、非常に有効な選択肢である」という記載がございますが、実際にどのように継続的な就業につながっているのでしょうか。例えばですが、日雇派遣から長期の雇用につながったという例やデータがあれば、教えていただきたいのが1点目です。
2点目は、日雇派遣を解禁しなくても、派遣元が31日以上の雇用契約を派遣労働者との間で締結して、派遣契約が短いものをあわせる形でその派遣労働者が就業を希望する日時に派遣先を確保するというのも頭の体操としてはあり得るのかなと思うのですが、そうではなくて、なぜその日雇派遣にこだわるのかという、この2点をちょっと教えてください。
 
○青木会長 ありがとうございます。一般的な日雇派遣をやっている会社で、そういったことをやっている会社があるのかと驚きましたが、そういうことはあってはならないと、まずは思っています。
常用雇用に移っていく考え方のお話なのですが、実際に短期で働き始めて、その仕事が気に入って、長期の仕事もあるような職場であれば、そのまま長期に移行して、月の単位で契約していく。日々で契約していたのが月単位で契約していって、結局は常勤になって、最終的にそこの正社員になるなどということもなくはないので、そういった形で徐々に期間を長く保っていって長期化していくというのはよくある話です。ですので、事例としてあるかと言ったら、やはりかなり頻繁にそういったことはあります。まずは簡単な入口ということで日雇で働き始めて、経験値を積んで長期化していくというのはよくある話になります。よろしいでしょうか。
 
○仁平委員 日雇ではなくて、派遣契約をあわせる形でもうちょっと長期で結んで、派遣するというのは実態に合わないのですか。
 
○青木会長 お客様によります。やはり短期の仕事で人が必要だということであれば短期で派遣させていただくことになりますが、その企業様でもコアなほうの人材ということで長期の仕事の依頼があれば、そこにどうですかということで移動してもらうということになります。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。正木委員、どうぞ。
 
○正木委員 今日はどうもありがとうございます。今の話は経団連でも就職氷河期対策に取り組んでいまして、私も一生懸命勉強しているのですが、2ページ目の所に無技能・未経験者など就労が困難な方たちの就職支援と書いてあり、今の3ページ目の仁平委員が御質問になった部分で、日雇派遣を希望する人の例として、(7)に「就業経験があまりなかったが、短時間の仕事に就くことにより継続的な就業に結び付けたい」とあります。そういう「ひきこもり」状態など、いろいろな事情で年齢を重ねても無技能・未経験というような方が、短期就労を通じて働くことのきっかけになったというような事例があれば教えていただきたいというのが1つです。
それからもう1点、事例を追ってみれば、5ページの所に離職後1年以内の労働者派遣の禁止の1項目の○の所に、「離職後1年以内の労働者派遣の禁止規定により就業することができないケースが見受けられる」とありますが、具体的なケースや頻度について、もし何か感覚的にお答えいただける内容があれば教えてください。
 
○青木会長 ありがとうございます。まず、どんな方がというところで、先ほど引籠りという話がちょっと出ましたが、実際になかなか普通に正社員で入社するにはハードルが高くて、やはりまずは派遣でちょっと働いて、仕事を慣らしてみたいという方は正直いらっしゃいます。具体的に精神疾患の方とか引籠りの方に遭遇したことがあるかといったら、実際にございます。本人からの申出があって、実は精神疾患でなどということを告白される方もいらっしゃいます。あとは引き籠もりの例として、登録に来る際に親御さんと一緒に来られて、最後まで付き添おうとしているのですが、登録なのでちょっと1人にしていただいてということで、なかなか働くきっかけがない中で、どうにか働いてもらいたいということで親御さんが付いてきて、中には面接のときに外で心配そうにずっと待っている親御さんなどがいるケースもありました。
そういった方たちと面談して、全ての方を受け入れることができるかというと、これは残念ながらなかなか難しいところもあるのですが、やはりそこまでして働きたい、働くきっかけとして来ていただいているということもありますので、本人と面談の上、本人の意欲とかコミュニケーション能力なども見ながら、これだったらどうにかなるなと、働いてもらえるのではないかという人であれば、お客さんに迷惑が掛からないような職場で働くお願いをすることはあります。
具体的に言うとイベントスタッフなど簡単で楽しそうな仕事や、対人関係がちょっと難しいなと判断するのであれば、倉庫内作業でかなり多くの人数が必要な所で、欠勤する可能性もありますので、お客様に迷惑が掛からない範囲で、きちんと本人にそういったことを説明した上で働いてもらうことはあります。その際には、弊社の面倒見のいいリーダーなどに預けて、仲間と打ち解けて働く喜びを感じてもらって、実際に就業につなげていってもらうことはあります。長期の仕事を急にお願いするというのはなかなか難しいのですが、短期の仕事であればという人であれば、まずは短期の仕事をつないで長期化していく、そういった方はいらっしゃいます。
ただ今回、短期ですと昔と違って、やはり年収要件などもありますから、そういった方に「家族で500万円の年収ありますか」とか「こういう証明書を持ってこれますか」というのは、正直、聞くこちら側もかなり困るというか、ちょっとつらいところではあるのですが、現状はそういった規制になっていますので、そういったことも確認しながら、まずは短期の仕事で働いてもらってということはあります。もちろんできる限りお客さんに迷惑が掛からないように、ちょっと短めの仕事で紹介することになるのですが、基本的に短期の日雇のほうが、多分そういった方は入りやすいのだと思います。
2つ目の質問ですが、離職後1年以内の労働者派遣の禁止に関して、どんなケースが見受けられるかということなのですが、この5ページ目の(1)、(2)、(3)で、今まで経験したものを並べさせていただきました。ただ、こういった事例で困っている人というのは、ある一定数いるのですが、それがどのぐらいいるかというのは、なかなか私たちも把握しづらいところがあって、またこれは表に出てこないのです。
と言うのは、派遣労働者になろうとした方が登録に来られた際に、その方が過去にどういう企業で働いて、どんな仕事をしていたかというのは、やはり記録として残しますので、お客さんから依頼があった際に、以前そのお客さんで働いていて、まだ離職後1年以内の方には御紹介しても働けないので、初めからご紹介をしないことになります。他に例えば本人が銀行の自分の経験値から、銀行の求人業務があるので、その仕事に応募がしたいということで派遣登録に来られたのであれば「実は以前に他の支店で働いていて、家族の転居でこちらに来て」ということの中で、本人と話をした中で、「いやいや、実は昔働いたこの職場に関しては、離職後1年以内の労働者派遣の禁止もあって、申し訳ないのですが、あなたは働けないのですよ」という説明をしながらお断りするということになります。ですので、対象者であれば最初からご紹介しないこともあるし、他にもコーディネーターの方はいろいろな所で経験していることだと思うのですが、なかなか表に出てきづらく、数字にはちょっとしづらいものになるかと思います。以上です。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。では、佐久間委員どうぞ。
 
○佐久間委員 詳細な資料を用意していただきまして、本当にありがとうございます。3ページの1、日雇派遣の原則禁止の所で、所得証明書の開示とか、派遣労働者が働きやすい、融通の利く働き方とかが議論の焦点になっていると思います。アルバイトより正社員になれば本当はよろしいのですけれども、先ほど仁平委員が言われましたように、派遣という形態が過酷な労働というものに就きかねないということで、こういう日雇派遣の原則禁止ができてきたというのも、青木会長もご承知だと思うのですけれども、結局は、日数よりは所得の制限、こちらを改定をしたほうがいいというお考えだと思います。現在は、500万以上だとなかなか派遣事業者としても派遣先から派遣労働者の依頼があっても、対象となる人がいない状況なのか、それとも何とかやりくりをして適格な人を派遣していただいているのか、それも実際に派遣元の需要と供給の関係もあると思うので、その辺の状況を教えていただきたいと思っています。
 
○青木会長 最後のことに対する回答でよろしいですね。
 
○佐久間委員 そうですね。
 
○青木会長 正直、お客様のオーダーに対しては、できる限り対応しようということで、ほとんどの日雇派遣をやっている会社は、何とかやりくりをしようと努力していると思います。ただ、以前に比べて、これは間違いなくお断りするケースは出てきていると思います。以前でしたらかなり自由に登録していただいて、お声掛けする人がたくさんいたのですが、なかなかお声掛けする派遣労働者もいなくなっている関係もあって、お断りするケースは出てきています。それが実際に何%だとか、そういう話はなかなか難しいのですが、繁忙期と閑散期の差もありますので、ただ、業務が集中する時期に関しては、お断りするケースはほとんどの会社があると思います。
 
○佐久間委員 それはやはり求人の数に比べて、求職のほうはあるのだけれども、その年収要件がやはり引っ掛かってしまって、もうちょっと年収要件とか、派遣事業者に登録されている派遣候補者の人数等のパイを広げればいけるのになということはあるのですか。人数的なパイというのは、かなり収入によって、収入は日雇派遣を当初から希望していれば分かるのでしょうが、人数を増加させる要素はかなりあるということですよね。
 
○青木会長 働く人のパイと言うか、登録者数がかなり限られているので受けられないということが1つです。そして、これにも書かせてもらいましたが、年収を下げればいいという問題ではなくて、実際に年収がある世帯やある人であっても、やはりこの年収要件で証明を持ってくるという行為が、開示するという行為に抵抗感を持って、それで働けない人のほうが多いのです。ですからそこを修正しない限り、働く人がきちんと増えるかというと、やはり増えないと思います。年収を見直すことで若干は違うかもしれませんが、働きたいという希望を持っている人がきちんと働けるようになるかというと、それは違うと思います。
 
○佐久間委員 わかりました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。では、仁平委員どうぞ。
 
○仁平委員 今の佐久間委員のご発言とも関係するものです。正に、3ページの日雇の原則禁止の要件緩和の件です。改めていうまでもないのですが、日雇派遣というのは、雇用も収入も不安定なので、その日暮らしにならないように、本人の年収要件等も設定されたと私どもは承知しているわけです。そのような背景を考えたときに、この要件を改めて緩和するとすれば、生活基盤の弱い日雇雇用のウエイトの方が社会全体として増えてくる可能性があるのではないかと思います。そういったときに、また、大きな景気後退の局面がきたとして、日雇派遣労働者の生活がより不安定になることはないのかどうか、日雇派遣を原則禁止とした当時とこういうことが変わって例外要件を設定するのだから、そのようなことは起こらないという確信があるのか、もし、お考えをお持ちだったら理由も含めてお聞かせいただきたいのが1点です。
要件緩和の1つに、「雇用管理の問題があるのであれば、特別の雇用管理体制を整備させることを許可の条件としてはどうか」と書いてありますが、特別な雇用管理体制とは具体的にどのようなイメージをされているか、お伺いしたいと思います。以上2点です。
 
○青木会長 確信をもってということで、かなり深く、そこまで話ができるかというと、やはり、それはきちんといろいろなデータを基に議論というのが重要だとは思っております。また、なぜ日雇雇用や紹介ではなく日雇派遣だけが雇用も収入も不安定として禁止なのかの理由も整理する必要があると思っています。私の過去の経験で働いている人を見るときに、本当に望まずにこの日雇派遣のみで生計を立てている人はどのぐらいいるのだろうと、正直、余り遭遇した経験がないというところです。
それと、特別の雇用管理体制を整備させる、これが具体的に何かという話ですが、例えば、派遣元責任者の日雇派遣の専属の配置、この日雇派遣をきちんと見られるような体制を取ることも1つの方法ではないかということで書かせていただきました。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。木住野委員どうぞ。
 
○木住野委員 ありがとうございました。幾つか質問があります。まず、離職後1年以内の労働者派遣の原則禁止を削除してほしいというお話がありました。こちらにいろいろと事例があり、お話の趣旨は、大体、理解できますが、これは本当に派遣という雇用形態でないと対応できないのかどうかということがまずありまして、直接雇用など別な方法で対処する方法はあるのではないでしょうか。派遣という雇用形態で採用するメリットなど、何かお考えがあるならば、その部分についてお聞かせいただきたいというのが1つです。
2点目は、団交の応諾義務についてです。資料でコメントされていますが、具体的に事例がこれまで幾つかあって、そのときに、もし、団交が申し込まれたという、把握されている事例がありましたら、分かる範囲で、可能な範囲でお聞かせいただければと思います。
マージン率等の情報提供も廃止すべきという御指摘ですが、これは実際にマージン率を開示することによって、何か不都合があるといいますか、派遣元にとって具体的にどのような不都合があるのでしょうか。例えば、公開することによって、健全な競争の阻害要因になる可能性があると書いてありますが、もう少し、やはり、そこは規制されたくないという実害に近いようなイメージはどのようなことがあるのかお聞きかせいただけたらと思います。以上です。
 
○青木会長 3つあったかと思いますが、先に、2つ目と3つ目のお話をさせていただきます。まず、2つ目の団体交渉応諾義務の話ですが、過去から今までも問題がなかったので、今までどおり労働組合法の枠組みの中で対応していくべきだと思っているということで意見を述べさせていただきました。
それと、マージン率の情報提供の件ですが、ここにも書きましたが、マージン率が低いから適正、良心的な事業者である、高いから悪質な事業者であると一概に判断することはできないものでもありますし、誤解を受けかねないので、そういったことも含め、これを廃止すべきだという考えであります。
そして、1つ目ですが、この離職後1年以内の労働者派遣の禁止に関しては、派遣でなければならないのかという話に関して、これは実際に判断されるのは派遣会社ではなく、やはり派遣先の企業側の判断になりますので、実際に人事施策上の判断として派遣のほうが、という判断をしたというところで、私たちで具体的にというのは難しいのですが、ただ、すぐに人を配置したい、又は期間があるものなのでとか、実際にお給料の支払などの処理も含め、迅速に対応しなければいけないなど、いろいろな問題の中で、派遣労働者という依頼だと思っています。ですので、必ずどうだということはお話はできないのですが、私どもは、そういったお話の中で派遣の手配をさせていただいているということです。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。森川委員どうぞ。
 
○森川委員 今日はありがとうございました。この日雇派遣の原則禁止の話について、分りやすい主張をしていただいているかと思います。よく分かりました。この日雇派遣は、かなり働きたい人が多いとありますが、これはどのぐらいかというのは、感覚的なもので結構ですが、派遣者の中で比率がどれぐらいなのか、もし、分かれば教えていただきたいです。
 
○青木会長 お答えしたいのですが正直分かりません。働きたいと思っている多くの方をまずは求人募集のホームページなどでフィルターをかけて、そういった年収制限などがあるとお伝えをしたり、登録に来る前にもお伝えしながら、それでも、来ていただいた人に対して再度詳細説明して要件を満たさない場合はお断りする。要件を満たした人であっても後に、今度は証明を持ってこられないなどの事情の中で、かなり、泣く泣く働けないという人もいます。
しかも、実際に働いている人の中でも、翌年、年収がそこまで達していないので働けなくなるという不安を抱えている方たちもいらっしゃいますので、そう考えると、ある一定数は、働きたいけど働けない人というのは間違いなくいるのだろうと、今日も書かせていただきましたが、Twitter上でかなり不満の声も上がっていますので、これつぶやきで上がっていますから、そういったことを考えると、ある一定数は働きたいけど働けないという方がいらっしゃるのだろうと思っております。
 
○森川委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 いいですか。どうぞ仁平委員。
 
○仁平委員 もう一回だけ質問させてください。4ページにお書きになっている(3)の所ですが、「日雇派遣は大変利用しやすく働きやすい働き方で、派遣元もその人の状況をよく理解することにより、適切なマッチングも可能となる」とお書きになっていますが、どのように適切にマッチングが行われているのか、教えていただきたいです。
もう1点は、マージン率の所で、私も少し気になっており、これは世の中全体の話なのでしょうけど、ネット上に公開するということが今も原則なっているかと思いますが、必ずしも、今でさえ、そんなに多くの所が公開していないのではないかという気がします。まず、公開を徹底した上で、その効果を見るべきではと思っていますが、お考えなどあればお伺いしたいと思います。
 
○青木会長 まず、派遣元もその人の状況をよく理解することにより、適切なマッチングも可能となるということですが、やはり、希望通り頻繁に仕事をしていただきたいので、登録の際にどのような働く環境の中でどういった形で働きたいか、若しくは、こういう仕事がしたいという要望などをたくさん聞いたりしますので、本人が働きやすい曜日や働きたい仕事、経験したい仕事、そういったものを確認した上で、御相談しながらマッチングしているという意味合いで書かせていただきました。
マージン率の公開に関して、公開していない企業うんぬんということですが、私はその公開していない企業があることを知らなかったのですが、もちろん、適正な対応ができていない所があるのならば、それはきちんと対応しなければいけないものだと思っております。よろしいでしょうか。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。小野委員どうぞ。
 
○小野委員 今日は分かりやすく意見をまとめていただいて、ありがとうございます。2点あります。私のこれまでやった調査などで考えると、日雇派遣はどちらかといえば軽作業であったり、そのような所に多いイメージです。技能協さんは製造業務だと思うのですが、製造業務でどのぐらい日雇のニーズがあるかというところを知りたいですね。この製造業務はフレキシブルに働くというイメージというよりも、朝早く決められた時間にきちんと来て、きちんと働いてくれるという人材が必要だというイメージを私は持っています。
日々というより30日以上など、ある一定の期間でのスパンでの派遣のほうがあっているのではないかというイメージもあります。ですので、その製造業務と日雇派遣というものの整合性というか、マッチングというか、その辺をどのように考えていらっしゃるかというのが1点です。
それと、先ほど特別の雇用管理体制を整備させることで、許可の条件となるのではないかとおっしゃって、どのようなものがあるかという御質問があったときに、専属管理者の配置等というものがあったらいいのではないかとおっしゃったとのですが、「など」とおっしゃったと思うのですが、何かアイデアがあれば言っていただけたらと思います。
 
○青木会長 ありがとうございます。まず、日雇派遣の仕事はどのようなものがあるかいうと、やはり、軽作業が多いと思います。特に、うちの会員でいうと、物流部会のメンバーというのは、そういった仕事がたくさんあります。
製造との関係性ですが、先生のおっしゃるとおり、基本的には製造は1か月以上、数か月や長期なども含め契約することがほとんどです。ですが、製造現場で日雇派遣がないかというと、そんなことはなくて、やはり、あってはならないのですがリワーク、緊急に作ったものが本当に間違いないかを確認しなければいけない。例えば、作った製品の印字が薄くなってしまっているので、その印字がきちんとされているかを全部開梱して確認しなければいけない。異物が入っているかを目視検査で確認しなければいけない。なので、先ほどの話ではないですが、明後日、30人、数日間用意できませんかなど、そういったオーダーはあります。
もちろん、製造現場としてあってはならないし、ないほうがいいのですが、どうにか人海戦術で対応しなければいけないということで、オーダーをいただくことはあります。なので、日雇派遣が全く製造に関係ないかというと、そういったところで関係もしているといえます。また、どこのどんな仕事であっても、日雇の仕事は何かしら発生する可能性はあるということかと思います。
それと、先ほどの特別の雇用管理体制を整備させるということの中で、日雇派遣専属の派遣元責任者の配置などと言いましたが、では、具体的にほかにといいますと、まだそこまではまだ深く考えられていないところもありますので、可能性も含め、再度、私たちとしても考えたいと思いますが、現時点では先ほどお話したレベルということになります。
 
○小野委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか、ほかに。どうぞ。
 
○木住野委員 資料の7ページですが、雇用安定措置、教育訓練・キャリアコンサルティングに関してということで、様々な支援活動を展開されているというお話がありました。そのようなことを通じてということになるのですが、公的なバックアップといいますか、支援策を進めるに当たり、このような公的支援があったらいいというものがあれば、要望も含めてお話を伺いたいと思います。
 
○青木会長 今、すぐに何かあるかというと、今現時点で何かお話するアイデアがあるかというと、なかなか、すぐにお話するものはないのですが、ただ、御提案いただいたように、私どもも公的なサポートがあると充実した支援ができますので、その辺は引続き考え、御提案をさせていただければと思っております。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。中西委員どうぞ。
 
○中西委員 資料1における7ページの参考で、4つ挙げられている中の1の求職者の反応についてですが、非常に具体的な事例であると一読して思いました。この点において、その相談者の方々は、年収500万円以上という年収要件がある一方で、もしこのような金額であれば就労可能であるという提案のようなものはあるのでしょうか。
 
○青木会長 はい、年収に関しては、本人が幾らだったらという提案を受けたことは、私の経験上はないです。現場で実際そのような話がもしかしたらあるのかもしれませんが、何度かお話しておりますが、これは年収制限を設けていること自体に私は問題があると思っており、先ほどからお話していますとおり、それを証明するものを持ってこなければいけないという行為自体が、例えば、それが数100万円下がったとしても、その行為がある時点で働きたくても働けない人は、かなりの人数がいると思います。ですので、そこのほうが重要だと思っております。
 
○中西委員 ありがとうございます。ただ、この500万円という金額については、合理性があるということではないかと、その背景にあるものは私も分かりませんが、合理性があっての500万円だと思っておりましたが、実態は、かなり異なるということで理解してよろしいですね。
 
○青木会長 そうですね、はい。
 
○中西委員 ありがとうございました。
 
○青木会長 年収に関しては、先ほども最後にお話しましたとおり、女性の方に関してはかなり高いハードルでもあります。女性活躍をこれだけ推進していながら、また副業の推進もしていながら、そういった状況もあるので、まずは、年収で考えるということであれば、実際にこれが本当に合理性のある何かの基準で500万円になったのかというところは、なかなか、この数字を見る限り難しいのではないかと思っております。
あとは、先ほどお話したとおり、年収要件、年収の証明書を持って来るという行為が、多分、法律を作った際には、そこまでは考えなかったのではないかと思うのですが、実際には、それを持って来るという行為がかなりハードルが高く、なかなか、それがあるからこそ働けない人がいるという、実際、運用を始めたら、そういったことが出てきたということかと思います。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。どうぞ。
 
○松浦委員 御説明いただき、ありがとうございました。2点確認させていただきたいと思います。年収要件のことが、先ほどから議論になっていますので、まずそちらから確認させていただきます。年収要件自体を撤廃すべきだという御意見なのかと理解いたしましたが、一方で、やはり日雇派遣が課題になった、そしてこのような規制が入ったというところからして、それをもし撤廃することになると、相応の条件や理由が必要になってくると思います。
つまり、この年収要件は、それに合意されるかどうかは別として、ある程度の所得水準があれば貧困の連鎖に陥りにくいのではないかという意図で、設定されたという経緯があろうかと思います。そこで、ある程度の所得水準があり、弱い立場で貧困に陥っていくことを回避するための要件として、例えば先程副業であればというお話があったと思いますので、正社員としての本業など年収500万円に代わる何か代替案をお持ちであれば、議論を深めるために教えていただきたいというのが1つです。
もう1つは、少し細かい話ですが、大切な話なので確認しておきたいのですが、最初の仁平委員との御議論のやり取りの中で、青木会長は31日以上の契約で数日雇うというやり方があってはならないとおっしゃったかと思いますが、その意図は、私の理解が間違っていたら御指摘いただきたいのですが、実際は日雇派遣と変わらない実態であるにもかかわらず、形式上、31日以上の雇用契約を結んで日雇派遣ではないこととし、極端な場合には日雇派遣が禁止されている業務にも派遣できるようなことにもなりかねないという御懸念から、あってはならないとおっしゃったという理解でよろしいですか。

○青木会長 まず、2つ目の31日以上うんぬんという話に関しては、誤解のないように御説明をいただき、ありがとうございます。正に、そのとおりです。実態は日雇だけれども、日雇でないように31日以上の契約を結ぶということに関して、あってはならないという意味合いでお伝えいたしました。ありがとうございます。
それと先の御質問で、年収要件500万円以上をやめた際にという所で、何か代替案があればということですが、今日、4ページの(4)の所で数行落とした所の左から、「直ちに派遣法改正を行うことが困難であるとすれば」という所からです。「日雇派遣の問題点の解決は、所得制限ではなく、別の手法により対応することとし」ということで、最初の点が、これが副業として働く場合、本業がほかにあって、副業として働くのであれば、まずは許可してもいいのではないか。
もう1つ、これは失業者が転職活動中に働く場合も、許可していいのではないかということです。3つ目の(3)のことに関しては、メインの収入が十分でない場合、これもいいのではないかということで、この3つに関しては例外として、そのようなことによって、働きたい人が働くことができる仕組みになるのではないかということで、今回、ここで御提案させていただきました。主に、下の2つプラス、上の(3)ということで、3つを例外とするのはどうでしょうかという私たちからの提案になります。
 
○松浦委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。もう大分、予定時間を過ぎているので、私から1点だけ、実態として、事前キャンセルのことをお聞きしたいのです。裁判例などを見ますと、前日のお昼頃に、翌日の9時からどこどこでこういう仕事が入りますがあなたやりますか。分かりましたと言って、そして、例えば深夜にメールでキャンセルになりましたということが出ています。そのようなことが実態としてあるのかないのか、青木さん、あるいは技能協として、そのようなものをどう考えているのか。もちろん、キャンセルだけでお金のものは一切ないという状態に裁判例ではなっています。そのようなことについて、技能協、あるいは青木さんはどう思われるかをお聞きしたいです。
 
○青木会長 実際に、お客様から私どもにキャンセルが入るということはあります。その際に、契約上、直前のキャンセルに関しては、補償してもらうことを前提に、契約をしている会社がほとんどだと思います。ですから、派遣労働者に前日の深夜に連絡でメールでキャンセル、それは、基本的に補償することが前提になっているかと思います。
 
○鎌田部会長 分かりました。ありがとうございます。
 
○青木会長 よろしいでしょうか。
 
○鎌田部会長 はい。よろしいですか。大変、長々とありがとうございます。参考にさせていただきます。青木会長、ありがとうございました。
 
○青木会長 ありがとうございました。失礼します。
 
○鎌田部会長 それでは、続いて派遣労働者からのヒアリングを行います。公開の議題については、ここまでとさせていただきます。議事録の御署名は木住野委員と正木委員にお願いいたします。冒頭に申し上げたとおり、傍聴の方々についてはここで御退席いただきますようお願いいたします。
 
(傍聴者退席)