2020年7月9日第8回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 

1.日時 令和2年7月9日(木)14:00~16:30

2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)

3.出席者
井出アドバイザー、小川アドバイザー、小船アドバイザー、佐藤アドバイザー、野澤アドバイザー、橋本アドバイザー、田村アドバイザー、橋本障害保健福祉部長、野村企画課長、源河障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、本後障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、一般社団法人 全国医療的ケア児者支援協議会、日本肢体不自由児療護施設連絡協議会、きょうされん、特定非営利活動法人 日本失語症協議会、認定特定非営利活動法人 難病のこども支援全国ネットワーク、一般社団法人 全国肢体不自由児者父母の会連合会、公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会
 
4.議題
(1)関係団体ヒアリング1
(2)その他
 
5.議事
○源河障害福祉課長 時間になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第8回会合を開催いたします。
関係団体及びアドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
本日のアドバイザーの皆様方の出席状況ですが、石津アドバイザー、岩崎アドバイザー、平野アドバイザーにつきましては、所用により御欠席です。
なお、アドバイザーの皆様にはオンライン会議で参加いただいております。
また、本日はヒアリングを行うため、関係団体の方々にお越しいただいております。ヒアリングは1団体ごとに行いますので、団体名及び御出席者につきましては、各団体からヒアリングを行う際に御紹介させていただきます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認と、オンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認を行います。本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、ヒアリング資料の1から7として、本日ヒアリングを行う各団体より事前に御提出いただいております「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等」の資料を用意しております。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの対応をお願いします。
次に、ヒアリングの進め方ですが、確認させていただきます。ヒアリングは1団体ごとに行い、まず意見陳述を8分間行っていただきます。4分を経過した時点でベルを1回鳴らします。8分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめていただきますよう、お願いいたします。
意見陳述が終了しましたら、アドバイザーの皆様方からの質疑応答を行います。質疑応答の時間は7分間です。御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名に基づき御発言を頂くようお願いします。挙手しているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いします。なお、チャット機能で記載いただいた内容については、オンラインの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
なお、御説明については、こちらから事前にお伝えさせていただいております4つの視点を踏まえて行っていただきたいと思います。4つの視点として、まず1つ目の視点は、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法です。2つ目の視点は、地域において利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策です。3つ目の視点は、障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法施行時から3倍以上に増加し、毎年10%弱の伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策です。最後に、4つ目は、新型コロナウイルス感染症による影響です。以上の4つの視点を踏まえて説明をお願いします。
それでは、冒頭のカメラ撮影はないようですが、ここまでとさせていただきます。
また、各団体における冒頭の撮影につきましては、会議の進行に支障のない範囲でお願いします。
それでは、早速ですが、関係団体の皆様から順次御意見を賜りたいと思います。
初めに、オンラインで参加いただきます一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会より、前田浩利様、戸枝陽基様、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国医療的ケア児者支援協議会 それでは、私のほうから5分程度お時間を頂いて御説明させていただいた後、当法人の戸枝さんのほうから追加で3分程度御説明させていただく方針でお願いしたいと思います。
私どもの医療的ケア児者支援協議会の概要については、お配りいただいている資料の中に内容がありますので、御覧いただければと思います。
「医療的ケア児者」というのは、特殊な言葉でございますけれども、4年ほど前の法改正で法律の中に入ってきた概念で、生まれたときから日常的に気管切開、人工呼吸器、胃瘻などの医療的なケア、医療ケアです。家庭で行うので「医療的ケア」とあえて言っておりますが、必要な子供たちのことを「医療的ケア児者」と言っております。
資料に基づいてお話しさせていただきます。医療的ケア児者の判定に関して、最近の医療が生み出した子供たちであるということから、きちんとした判定基準が従来はありませんでした。特にこのような子供たちが成長に伴って動いていくと、その子供たちに対する医療的ケアのリスクや負担が高まるということは、私たちは理解するところでありましたが、それをきちんと言語化及びエビデンスを持って評価することができませんでしたが、その評価の仕組みが厚生労働省の研究班によってできてきておりますので、その判定基準をぜひ導入していただきたいということが1点であります。
そしてまた、医療的ケア児が従来の重症心身障害児を含め、身体障害、あるいは知的障害とはまた別の、違った概念の障害だということもありまして、この医療的ケアに対する報酬を新設していただきたいということが2つ目の大きな項目であります。
次の表に医療的ケア児者が知的障害、身体障害、あるいは発達障害等につながる行動援護等を含めて、幾つかの組み合わせのパターンでケアが発生する、障害が発生するということについて御説明させていただいた資料があります。
従来は医療的ケア児者の支援に関しては、児童発達支援等における看護師の配置加算という形でその支援がついていたのですけれども、その在り方だとなかなか支援がうまくいかず、うまく活用できない事業所があったり、あるいは事業所のほうで十分な報酬が受け取れなくて、閉鎖せざるを得ない事業所などもあったりして、これでは不十分だったということがあります。それで、医療的ケア児の新しい判定基準が資料の中にありますが、これをぜひ活用していただいて医療的ケア児本人に対する支援を入れていただきたいということが、私たちの非常に大きな要望であります。
詳しい意見などに関して言うと、1つは、医療的ケア児者が退院してからすぐにはいろんなサービスを受けられない事情がありまして、医療だけで抱えて面倒を見なければいけない現状がありますので、そういった子供たちが退院直後から障害福祉サービスを活用できるような体制を様々つくっていただきたいということがあります。
そしてまた、新型コロナウイルスに関しても、こういった子供たちはケアが親御さんのケアでほとんど賄われている状況がありますので、こういった子供たちの支援を充実していかないと、新型コロナウイルスに親御さんが感染した場合に、子供たちの行き場がないという大きな問題があります。
小児科学会等では病院が積極的にこういった子供たちを引き受けていこうという提案がなされておりますが、実際においてはコロナウイルスの感染期において、多くの病院が入院制限等を行わざるを得なかった状況の中で、もしそういった状況が発生しますと、現状では本当に行き場がないような状況になってしまいます。そういったことも含めて、こういった子供たちの支援を充実させていく必要があると思います。
以上で私の発表は終わらせていただきます。
戸枝さん、追加をお願いいたします。
○全国医療的ケア児者支援協議会 私たちの提出資料の11ページ、12ページを御覧いただきたいのですが、これは厚生労働省で前回の報酬改定で、もしかしたら報酬改定委員をされた方などは、医療的ケア児、医療的ケア関係は大玉というか、しっかり対策をしたではないかとお思いの方がいるかもしれませんが、全く対策がされていないというデータでございます。
見ていただくと、医療的ケア児の事業所に看護師を置くという制度をつくったというのが厚労省の説明でしたが、もらえた事業所は4%しかない。その4%はほぼ全部大規模施設で、相当数の医療的ケア児を扱っているところに看護師が4%だけついた。結果として医療的ケア児に関しての報酬改定は、前回、全くもって何の影響もないレベルでうまくいかなかったということ。これは厚労省のデータですが、御確認いただきたいと思います。
その上で、4ページの私たちが提案した医療的ケア児の6類型というのを見ていただいて、医療的ケアというのは、先ほど前田が説明したように、加算とかではだめなのではないか、これはもしかしたら知的、身体、精神、難病、発達障害に続いて新たな障害類型ができたと位置づけるべきなのではないかと私たちは考えていますし、皆さんにも御理解いただきたいと思っています。
なぜならば、例えば知的障害の人が医療的ケアの処置が要るので加算とか、身体障害の方及び重心の方が医療的ケアが要るので加算と考えてしまうと、知的障害が全くない、知的レベルに関してはクリアで、すごく定型発達に近いという子供たちもたくさんいますし、身体障害が併せて全くないと。しかし、気管切開している。場合によっては呼吸器に依存している。場合によっては、立ち上がるのだけれども胃瘻していると。医療的な依存度は高いという子供に関して、今の障害類型をベースにして加算で対応すると、そもそも障害者として認定されないという問題が残ります。そう考えたときに、医療的ケア児に関しては新たなベースの障害なのだということをきちんと定めた上で、本体報酬としてまずそこにお金をつけていただかないと、全くもって対応ができない、どの事業所も見ないということが起こりますし、実際に起こっています。
ですので、医療的ケア児が新しい障害類型なのだということをベースに、ほかの障害と併せながら処遇されるということを報酬全体の中で再点検していただきたいというのが私たちのお願いです。
以上です。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、今の御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見・御質間等があれば、挙手をお願いいたします。田村アドバイザー、どうぞ。
○田村アドバイザー 埼玉医大の田村でございます。
私は新生児医療に長らく携わっておりましたので、資料の6ページのところにある、在宅医療に移行するような医療的ケア児は、出生後NICUから退院し、在宅生活が始まった時点から現行の全ての障害福祉サービスを使用できるようにすることが望ましいという御意見に関して、私も日頃からこういうことを感じておりました。特に今のコロナの騒ぎがありまして、PCRでコロナであった方と濃厚接触のあった妊婦さんなどは、私が勤めておりました総合周産期センターなどに入院することになりますから、そうすると、そこで生まれるかもしれない赤ちゃんのために、医学的に見ると比較的状態が落ち着いている医療的ケア児は、気管切開とか人工呼吸器などをつけていても、3:1看護で看護師さんが見ているNICUから早く在宅に移行させなければいけない。ところが、そういうお子さんを在宅に移行されると、それまでそういうお子さんを全てNICUの看護師さんに任せておられたお母さんが、全てそのお子さんのケアをしなければいけないということで、それに対して障害福祉サービスをできるだけ早くからサポートしてあげるということが非常に大事なことだと思います。
前田先生に質問ですけれども、私も人工呼吸器をつけているお子さんの場合に、できるだけ早く障害福祉サービスを使用できるようにするということは全く同感なのですが、「スコア点数が『3点以上』の児を『医療的ケア児』と定義し、対象となる児は」ということで書いてあります。その後のページのスコアの点数のところを見ますと、3点といいますと、経管栄養の児も3点になります。経管栄養の児でもできるだけ早くお母さんのサポートを在宅でしてあげることが必要だということの根拠については、どのようなものをお持ちでしょうか。お教えいただけますでしょうか。
○源河障害福祉課長 前田先生、どうぞ。
○全国医療的ケア児者支援協議会 私のほうから説明させていただきます。これも厚労省の研究事業で、先ほど基準をつくる研究班でやらせていただいて、経管栄養等に御家族がどのぐらい時間を使用しているのかということなどを、全国の1,100の医療的ケア児を持つ御家族に自記式アンケートで調べました。その結果のエビデンスとして、私たちが想像している以上にかなりの時間をその御家族が、経管栄養であろうとも医療的ケアに使っていて、現状では睡眠時間を含めて、特にNICUから退院した直後の子は、1日6回とか7回の薬やミルクの注入が必要になるということがありますので、負担が強いということが確かなエビデンスとして分かってまいりました。ですから、そういったお子さんたちにも退院直後からいろんなサポートが必要だということを私たちは感じております。以上をもってそういったことを言いました。
現状の仕組みでは様々御配慮いただいているところもあるのですけれども、いろんな医療的ケア児コーディネーターなどの仕組みをつくりつつも、退院直後からいろんなサービスが入れない現状には、戸枝さんのほうから追加でコメントを頂けたらと思いますが。
○全国医療的ケア児者支援協議会 現状認識ですけれども、今、医療的ケア児が退院をするとなったときに、重症心身障害児認定を受けなければいけないのです。重症心身障害児は、知的障害と身体障害が併せて重くあるという認定を受けるということになりますが、知的障害の認定となったときに、4歳にならないとなかなか認定できないよねとなってしまって、結果として4歳まで放置される。それが医療的ケア児の全国的なスタンダードになってしまっているのです。
今回、前田先生たちの研究の中で医療的ケア児の判定基準というのを出したのは、客観的な医療依存度という状態像でジャッジをする判定基準をもって障害者の総合支援法を使えるサービス対象者に認めていただきたいと。そうすると、主治医がその判定基準に基づいて客観評価をすれば、退院前に福祉サービス対象者にジャッジすることができますから、そこからサービス対象にしていただきたい。
あわせて、今は退院するに当たって、メディカル・ソーシャルワーカーさんが相談支援のときに対応しますが、役割としては退院までなので、退院した後に今、言った障害サービスの認定を受けないと、そのままになってしまうのです。そういう意味では、医療的ケア児者のコーディネーターという仕組みを厚労省がつくってくれましたから、さらに医療的ケア児者の相談支援センターみたいなものが制度化されないと、退院のところで親子だけで放置されるという状態は止められないのではないかと思っていますので、医療的ケアが分かる相談支援の増加ということに対してもぜひ配慮いただきたいと思います。
○全国医療的ケア児者支援協議会 田村先生の御質問への我々の回答は以上になります。
○源河障害福祉課長 ほかに御意見のあるアドバイザーの方はいらっしゃいますでしょうか。野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 御説明ありがとうございました。
私からお聞きしたいのは、医療的ケア児の概念が表に出てくるような、まだそんなに日にちがたっていないと思うのですが、数のボリューム感、どのぐらいの推移で増えてきているのか。今後の見通しが分かると、どのぐらいの予算とかサービスの量が必要なのかというのが皆さん、大体分かると思うのです。
それから、先ほど6類型示していただきましたけれども、その中の割合、類型の中でも特にどういうところが多いのかとか、ざっくりでいいので教えていただきたいというのがもう一つ。
もう一つは、どういう専門性のある支援が必要なのかというのを知りたいのです。つまり、看護師の配置。医療的な支援が必要だということで、例えば看護師さんをもっとたくさん配置できるようになればいいのか。そうでなくて、どういう専門性があればいいのかということを少し解説していただけるとありがたいなと思います。
○全国医療的ケア児者支援協議会 今、野澤委員からいただいた質問に答えてもよろしいですか。
○源河障害福祉課 どうぞよろしくお願いします。
○全国医療的ケア児者支援協議会 まず、数ですが、これも厚生労働省の研究班で調べさせていただいていて、今、全国に医療的ケア児者と言われている19歳以下の子供たちがざっと1万9000。2万人弱いることが分かっております。その中で、田村先生が先ほどお話ししたような人工呼吸器を装着しているような最重症の医療的ケアの子供たちが約4,000人おります。全体のボリューム感はそんな感じでございます。
どんな支援が必要かということに関しては、これも後で戸枝さんにコメントを追加でいただきたいところですけれども、看護師さんというのはもちろんあったらいいのですが、看護師さんをなかなかそろえることができないのですが、実際に家に帰したところで言うと、訪問ヘルパーさんが入っていただけるだけで御家族は大分助かります。特に吸引であったり、注入ができるようなホームヘルパーさんが、現時点では制度的にあるのですけれども、地域では物すごく数が少なくて、そういう方たちがそういうことを支援するにおいてもインセンティブがあまりついていないこともあり、そういった方たちがある程度豊富な数でいれば相当な支援になります。
ですから、現時点で言うと、医療的ケアができるヘルパーさんがある程度の数いて、初期から関わっていただけると相当助けになります。
ただ、現在ヘルパーさんができる医療的ケアというのが注入と気管切開、口から、鼻からの吸引だけということになりますので、将来的には本質的にはそういったケアができるものを見直していただいて、お母さんたちが家でやっているケアが医療の進歩に伴ってどんどん複雑化、幅が広がっておりますので、その現状に合わせてヘルパーさんができる医療的ケアの幅を広げていくということも一方ではやっていく必要があるかと思います。
戸枝さん、追加をお願いします。
○全国医療的ケア児者支援協議会 4ページの6類型を見ていただいたときに、医療的ケアということではドクターからかなり頻繁な指示を頂きながら、医療行為は看護師しかできないので、看護師が対応するということをしていて、さらに身体障害に関してはリハビリテーションがすごく大事で、理学療法士や作業療法士が、場合によってはスピーチのセラピストみたいなものが関わる必要があって、知的障害に関しては、自閉症とか発達障害に関してもかなり専門性のある養育者が学習をした上で、見立てとかアプローチをする必要があって、さらに行動障害を持つような状態になっている子たちが多くて、特に様々な医療的な処置を幼児からされるので、人間に対しての不信感を持つ子供たちが多くて、結果的に行動障害が強く出るという子が多いというのは分かってきているのです。
うちの事業所でいけば、8年やりましたが、4割ぐらいの子供が大体5歳ぐらいでは立つと。預かったときは0歳ですから寝たきりですけれども、そのうちの4割ぐらいが立つ。ということは、結構知的発達もいいということですね。そうなっていきますので、多職種の専門家がチームアプローチをしないといけないというのが医療的ケア児の特徴であるというのが分かってきたということ。
あわせて、報酬改定委員会ということで、お願いとしては、医療的ケアに当たる介護職に対しての評価は一切ないのです。相当なリスクをしょって相当学習をして、3号研修の範囲内でかなり突っ込んだ医療的ケアを全国の事業所の職員がやっています。そこに対しては何らかの評価を頂かないと、みんな頑張れないかなという気がしています。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
お時間が参りましたので、ここで終了とさせていただきます。一般社団法人全国医療的ケア児者支援協議会の皆様、どうもありがとうございました。
○全国医療的ケア児者支援協議会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、日本肢体不自由児療護施設連絡協議会より市川進治様です。
最初に、ヒアリングの進め方ですが、最初に8分間意見陳述をしていただきます。4分たった時点で1回ベルを鳴らします。8分たった時点で二度目のベルを鳴らしますので、この時点で意見をまとめてくださいますよう、お願いいたします。意見陳述の後、アドバイザーの方から御質問・御意見等を頂きます。この時間が7分間です。
では、どうぞよろしくお願いいたします。
○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会 日本肢体不自由児療護施設連絡協議会の市川と申します。今日はよろしくお願いいたします。
では、資料に沿って説明をさせていただきます。
まず、協議会の説明を簡単にさせていただきます。平成8年に発足しまして、24年目ということになります。児童福祉法の旧種別である肢体不自由児療護施設というところが集まり、この会を設立しました。全国的には加盟団体数が非常に少なく、現在6団体。非常に小規模な団体でございます。
現代の福祉型障害児入所施設で言いますと、主たる障害種別を肢体不自由としている施設が集まっていると御理解いただければと思います。主な活動は、資料にあるとおりということになります。
次のページに行きます。まず、基本的に福祉型障害児入所施設のような考え方、我々の協議会の考え方をお伝えしたいと思います。子供のライフサイクルである乳児期から青年期にわたる非常に大切な時期に虐待、保護者の養育能力欠如や疾患、様々な理由によって御家族との生活が困難になり、御自宅などから入所しています。一番低い年齢は2歳から、18歳まで。原則高校を卒業するまでの最低16年間に寄り添っているということになります。本当に一人一人の障害は幅広くありますので、それぞれに合わせて発達や自立を促して、社会に出ていくための準備を行っているということです。
一番大切にしていることは、一人一人の心を育むことということです。心が育たなければ社会への適応が困難になります。職員との信頼関係を深めて、家族同様に安心して暮らせる生活の場にしていくこと。本当に一人一人の障害の特性を理解して、多職種が連携して成長に寄り添った療育を行う。また、高校卒業後の生活を見据えた支援を行って、本人らしさが発揮できるよう段階的に支援を行っていく。そんなところに非常に専門性の部分、及び心のケアを大事にしております。
同時に、離れている家族との関わりも非常に大切でありますので、日頃から子供の様子や成長、様々なことをお伝えしながら、家族の抱えている悩みや相談なども受けて、一緒に子供の成長を支えています。当然学校、児童相談所、様々な社会、生活の中で支え合えることも重要だと思っています。
施設の機能については、18歳までの期間に一人一人の障害に合わせた療育を行うことで、その子自身が社会に出ていくための準備ができ、様々なサービスの選択ができたり、自立につながったり、適応力や可能性を広げていくということになります。これが一番大事なところかなと思っています。
次のページです。今回の提案は、昨年度行われました障害児入所施設の在り方に関する検討会の最終報告を基本ベースとして載せております。発達支援機能、自立支援機能、社会的養護機能、地域支援機能、その他、こういった形で検討会の報告がされています。こちらの資料は巻末に載せておりますので、参考にしていただければと思います。
では、具体的に説明に入っていきたいと思います。次のページです。障害児入所施設の在り方についてはあまり深く検討されてこなかった経過もございますので、昨年度検討会が行われて、様々な論議がされてきたという経過がございます。発達支援機能の部分では、障害児の療育の特質に鑑みれば、障害に対する正確な理解と障害特性に応じた環境の提供、できる限り家庭的な環境の中で特定の大人を中心とした継続的で安定した愛着関係の下で行われるべきであるというような意見がまとまっています。
この中では、ケア単位を小規模化していくためのユニット化であるとか、今はないのですけれども、グループホームという形が導入できることがよりいいのではないかなと思います。ただし、小規模化になると、職員一人一人の専門性の向上等も必要になってきます。配置の問題もございます。こういったところでは、今、保育士の採用も大変困難なところがあるのですが、さらに質を上げていくべき部分でございます。
また、里親の導入も大変重要だなと思っています。ただし、障害児の里親は大変難しくて、現状何名かはいるのですけれども、まずは家庭を知らない子供たちに週末里親をできるような方を増やしていく、こんなことが必要かと思っています。
次のページです。自立支援機能です。福祉型の施設は、経過施設がございますので、高校を卒業すると、次のステップに向かわなければならないということです。早い段階から移行を目指すために、様々なカンファレンスを行ったり、見学、体験、その子自身が本当にしっかりと適応できるための準備が必要になります。同時に、複数の子供たちがそれでやっていくということになりますので、ソーシャルワーカーというものの配置が今はありませんので、こういった職種が専門にいて関係機関をまとめていく力が必要かなと思っています。
同時に、社会に出ていくためには様々な経験が必要になります。施設の中で生活するだけ、学校に行くだけでは足りませんので、そういったところも人員配置の中で実現できるようにしていく必要があるかなと思っています。
3点目です。被虐待児が大変増えています。今、福祉型の施設の中では3~5割ぐらいいるというふうにデータが出ております。愛着形成の課題というのもすごく大きくありまして、受けた心の傷というものが大変後々に残ってくるということがございます。そういったところでは、児相との連携の中で心理的機能を活用したり、保護者との調整などもしておりますけれども、現状でも加算項目でありますが、より心理的なケアを行う体制を深めていくべきである。また、障害の種別によっては、心理だけではなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職も一緒になっています。それらの拡充を図っていきたいと思います。
4点目、地域支援機能です。入所だけではなく、地域に住んでいる障害児の相談、調整等も行っていく部分がございます。家族のニーズ、学校やいろいろな事業所からの情報をキャッチして、ケースカンファレンスに職員を出してくるということも非常に多くありますので、そういったところにもソーシャルワーカーの存在があると、非常に有効的に関われるのかなと思っています。
また、今後の部分としては、地域だけではなく、児童養護施設、様々な事業所等との連携もさらに図っていくべき部分があると思っています。
その他の部分です。職員配置基準の引き上げというのを今回大きなテーマにしています。現状、昭和51年以来見直されていないということもございます。それ以降被虐待児が非常に多くおりますので、ぜひともこの部分では実現できるといいのかなと思っています。
報告書のほうでは、児童養護施設と同等の4:1ということもありますけれども、実際福祉型の中ではより重い障害の子、児童養護施設は見られない子供たちが非常に多くおりますので、3.5から2.5、知的障害のような4.3から3.1、このような引き上げがあるといいのではないかなと思っています。
また、幼児とか重症心身障害、こういった辺りも大変必要な部分でありますので、加算の拡大というのがあればいいと思っています。
次のページに詳細、現状の加算項目と今後あるべき案というものを載せております。
時間がなくなりましたので、以上で終わります。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御意見・御質間のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。野澤アドバイザー。
○野澤アドバイザー 障害のない一般の社会的養護の必要な子供たちの場合は、施設から家庭的な環境のほうで支援するのがいいのではないかということで、養子とか里親とかファミリーホームの充実が言われているところですが、障害のある子についても、理想から言えば家庭的な環境で養育を進めていくべきではないのかなと思うのですが、どういうところに難しさがあるのか、それを進めていくために何が必要なのか、何があればできるのかということを少しお話しいただければと思うのですが。
○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会 ありがとうございます。
一番は、人とどう結びついて子供が育っていくかということが大事になってくるかなとは思っています。その部分であると、50人規模の大きな施設でありますと、1人の職員が同じ時間帯に見る子供の数が非常に多いというところで、一人一人の介護、ケアというものが順番順番になってしまって、じっくり関わり切れないということがございます。小規模化のメリットは、職員の数も少ないですけれども、子供の数も少ないというところで、より子供に対する目というものが深くいける部分があるのではないかなと思っています。
では、大規模な施設はそれが必ずできないかというと、決してそんなことはなく、一人一人の職員のアプローチの仕方、チームの連携の仕方でフォローできる部分は確かにあるかなと思っています。ただ、子供たちが自分の部屋で家庭的に過ごすというのは、大規模的な施設ではなかなか難しいところがありますので、小さい規模の中で適切にできる子供たちもいると思います。ただ、一方、重症心身障害とか重複障害、重い障害のお子さんに対しては、逆に小規模化というのがデメリットになる可能性もあるかなと思っています。というのは、例えば1人で抱え上げられないような重い体重の方とか、現実的に80キロ台のお子さんも中にはいたりします。そういったときは、もちろん機械の活用もそうですが、複数でケアしなければ大変難しいような方たちも多くいらっしゃいます。看護師がきめ細かく関わらなければならないような医療ケアの方もいらっしゃいますので、そうなった場合、小規模化のデメリットにもなってくるかなというのは思うところでございます。
簡単ですけれども、以上です。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 5ページのところで、今の野澤委員の関係もあるのですが、障害児グループホームというのがあるのですけれども、家庭的に近い形でということは賛同できるところであるのですが、5ページの部分と、併せて6ページのところに専属のソーシャルワーカーという話があるのですが、福祉人材が限られている中で人材確保の問題があるかと思うのです。例えば小規模になると職員の確保が当然大変になってくるだろうし、場合によっては虐待等の温床にならないかとか、職員の質の向上だったり、あるいは専属のソーシャルワーカーというのを新たにつくったりすると、現在、実際にサービス管理責任者だったり、相談支援専門員だったり、学校の先生とのすみ分けだったり、そういった役割の整理も必要な中で、こういった新たな専属のソーシャルワーカーだったり、こういう小規模化ということで、人材の確保といったことに対応できるような考えが現場の立場からあれば、お示しいただけたらと思うのですが。よろしくお願いいたします。
○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会 小規模化になった場合の職員配置の難しさは確かにあるのかなと思います。ある程度の定員の中であれば、看護師配置、ソーシャルワーカーの配置等がうまくできますけれども、小規模化になると、その中での配置というのが費用的な負担も含めて大変大きくなって、難しくなる部分はあるのかなと思っています。そうした場合に、1か所だけでそれをうまく運営するということが大変難しくなってくるので、法人の中でバランスよく配置をしていくとか、兼務も含めてやっていくように工夫しなければならない部分。あるいは小規模化であれば、それを複数束ねて運営していく部分。様々な工夫をしていかないと、それぞれの専門職を含めて、うまく配置するということが難しいところはあるのかなと思います。
○源河障害福祉課長 ほかによろしいでしょうか。
それでは、お時間も参りましたので、ここで終了とさせていただきます。日本肢体不自由児療護施設連絡協議会の市川様、どうもありがとうございました。
○日本肢体不自由児療護施設連絡協議会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、きょうされんより小野浩様、多田薫様でございます。
ヒアリングの進め方でございますが、最初に意見陳述を8分間行っていただきます。4分たった時点でベルを1回鳴らします。8分たった時点で2回ベルを鳴らしますので、その時点で意見をまとめてくださいますようお願いします。その後、アドバイザーの方からの質問・意見を7分間設けております。
では、どうぞよろしくお願いいたします。
○きょうされん よろしくお願いします。きょうされんの政策・調査を担当しております小野と申します。
○きょうされん 事務局長の多田です。よろしくお願いします。
○きょうされん それでは、私のほうから御説明をさせていただきます。
まず、資料に入る前に、昨年の年末、それから年明けに2021年の報酬改定に向けて、様々な団体に協力を仰いで団体署名に取り組みました。既にその署名は厚生労働省のほうに提出させていただきましたが、二次に分けて、総数3,702法人、団体の署名を提出していることを紹介させていただきます。
それでは、提出させていただいた資料に基づいて私たちの意見を述べさせていただきます。4ページの基本的な視点について、3つ挙げさせていただきました。まず、障害福祉の予算が増勢する中で、それをどう考えるのかという点については、確かに障害福祉の支援・サービスの量とその財政は増勢してきましたが、障害年金等所得状況や、そうした実態は、個々の障害のある人たちの暮らしの水準でいえば、極めて厳しい現状にあります。11ページの参考資料にきょうされんの調査を添付しておきました。
また、国際水準で見ても、これはいつも出る話ですが、OECD平均の1.9%(2019年度水準)を下回り、35か国中30番目。この間もずっと30位推移で、横ばいをしてきています。ですから、世界水準に照らしてもそもそも少ないというのが現状だと思います。
2つ目に、必要十分な支援の量や質を確保するためには、加算で実績主義や、あるいはオプション的な加算ではなく、基本報酬の引き上げが基本であるべきだと考えます。
12ページにある参考資料2ですが、これはアドバイザーの皆さんは御存じだと思うのですが、2018年10月31日の第2回障害福祉サービス報酬改定検討チームに厚労省が提出した資料です。産業別の賃金水準のグラフです。常に福祉は医療・介護の中に含まれて、それでも平均を下回っているのですが、このときの資料では、障害福祉関係分野だけを抽出して出していただきました。そうすると、最低ラインの宿泊業、飲食サービスを下回る年収約230万円という水準。これは、現場に身を置く自分としてはとても実感できた数字でした。それが悲しいのですけれども。これが最大の人材確保の困難さであります。
3つ目に、今回の新型コロナウイルスに伴っても大変際立った日額払い、そして応益負担に伴う利用者負担の問題です。平時においてもこの日額払いや利用者負担の問題というのは常に生じます。けれども、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴っては、日額払いと利用者負担がより際立った形で利用者や事業者を苦しめました。代替サービスはありますが、利用者負担や日額払いによって報酬が非常に厳しいという現状が浮き彫りになりました。
5ページに移ります。まず、日中活動についてですが、前回の報酬改定でめり張りのある報酬水準をということで、就労継続のB型に平均工賃の報酬単価が盛り込まれました。けれども、これを2019年3月と5月に調査をしたのですが、約1,000か所のB型と移行から回答を得たところ、減収が6割を占めた。めり張りといっても、右側のグラフにあるように、工賃が高くても減っているところもあるし、逆に工賃が低くても増えたところがあった。ただ、その総数は減っているわけです。
年度末に減収を見込んで、そもそも実員等を増やしたということで乗り切った、それで増収になったというところを考えると、平均工賃で刻む報酬制度は実態に見合わない制度だと評価できます。
6ページです。生活介護事業についても次期改定に向けて様々な調査が行われましたが、多様な活動を保障・支援する事業として報酬水準を引き上げてください。
3つ目に、地域活動支援センターです。常に置いてきぼりを食ってしまう実態にあるのですが、表にあるように、厚労省の調査でも、箇所数においてもその定員規模においても現実的な資源になっています。これは国の制度として何らかの手当てを講じるべきだと考えます。
日中の最後ですが、子供の放課後等デイサービスについてです。前回の報酬改定で「利潤を追求し支援の質が低い事業所が増えている。障害児の発達にそぐわない利用が見られる」という財務省の指摘から、引き下げと基準の見直しが行われました。14ページにそのときの財務省の予算執行調査のスライドを入れておきましたが、これによって、その利潤追求をもうけ本位な事業者が削減されるというよりは、むしろそこが影響を免れる。真面目な一生懸命やっている放課後等デイサービスが影響を受けてしまった。今年度も予算執行調査が財務省では行われています。公正な評価をしていただきたい。
7ページ、8ページは、食事提供体制加算と送迎加算についてであります。アドバイザーの皆さんは既に御存じだと思うのですが、これが厚生労働省が委託調査を行った、コンサルティング会社が行った食事提供体制加算と送迎についての調査結果です。7ページ、8ページを同時に見ていただければ分かるのですが、いずれも食事提供をしていない、あるいは送迎を実施していない事業所も含めてその加算の算定割合を調査しています。そうすると、送迎を必要としていないところも、あるいは給食を提供していないところも対象に含まれている。新型コロナウイルスの感染率の算定においても、PCR検査を行った人数を母数に算定するはずです。そう考えても、この割合の出し方というのは極めて実態を反映していないと考えます。
きょうされんの調査では、算定あり。食事提供においても送迎においても実施しているところは算定しているところが大半を占めていました。また、それで十分な給付になっているということではなかったということもはっきりしましたので、ぜひ検討チームにおかれましては、この厚労省の調査を踏まえての検討というよりも、実態に照らした検討をお願いし、食事と送迎加算の継続をお願いしたいと思います。
最後に9ページ、地域・居住生活支援についてですが、特にグループホームについては、外部ヘルパーの利用の特例をぜひ恒久的な制度として評価をしていただきたい。
それから、多くのグループホームで通院同行、あるいは重度の障害のある方の支援をしているグループホームがあります。そういったところが十分な支援ができるよう、給付の見直し、報酬の見直しをお願いしたいと思います。
10ページに居宅支援を入れておきましたが、軽度者にとっての生活援助の必要性、重度訪問介護の充実、利用者負担についても併せて意見を書かせていただきました。よろしくお願いいたします。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、質問・意見のあるアドバイザーは挙手をお願いいたします。佐藤アドバイザー、どうぞ。
○佐藤アドバイザー 御報告ありがとうございました。
恐らく今、述べられたことが一覧性があるのは3ページだと思うのですが、概要のところで、もちろん全てができれば、それは最高だとは思うのですけれども、限りのある資源でございますし、きょうされん様としては、優先順位として一番高いのはどの項目でしょうか。そして、それにはどれぐらいの予算の増額が見込まれるのでしょうか。その対象者、優先順位等について少し述べていただければと思います。
○きょうされん ありがとうございます。
今回述べさせていただいている日中支援、あるいは居住支援、そして横断的なところの制度としての送迎や食事を述べさせていただいています。あと利用者負担ですね。ですので、優先順位がどこかという点では、甲乙はつけがたいです。例えば予算評価で言うと、自立支援給付の25%、20%ぐらいを生活介護が占めている。就労3事業が18%とか20%ぐらいだったと思います。入所支援施設の予算が少ないという円グラフがよくあります。でも、入所支援施設の昼間の部分の給付費というのは、生活介護がほとんどなのです。利用者数で言うと、入所の利用者数と生活介護の利用者数というのは、それほど差異はないのです。つまり、生活介護が30%ぐらいを占めているからといって、全てが通所ということではないのです。そのうち入所支援施設がどれぐらいを占めているのかというのは、いまだ明らかにされたことはないのです。社会福祉施設実態調査においても、不定期ですが、厚労省の国保連データに基づいて出される資料においても、そこを説明したものはないのです。
ですから、入所から地域へというふうに言っていながら、入所施設が一向に減らない。確かに数字は横ばいかもしれないですけれども、生活介護の6時間以上の給付のほとんどを取っているのは入所施設ですから、そういう意味では、その配分の在り方にもきちんとメスを入れていくべき点があると思います。ただ、総額のパイとしては、限られた資源とおっしゃられたのですが、世界水準で見ても、現物給付と現金給付を合わせてこの水準なのです。そこはもっと構造的な問題の見直しが必要な点はあるかと思います。ただ、障害福祉の限られた自立支援給付の中で見てもそういう矛盾をはらんでいます。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
今、お話の中で就労継続支援B型の平均工賃に基づく報酬基準が実態に合っていないという話を頂きましたが、以前の目標工賃達成加算のほうが実態に合っているという印象があるということでしょうか。教えてください。
○きょうされん この調査のときに、2019年3月と2019年5月、ほぼ日数が一緒だったので、その比較をしました。そこで多く出されたのは、平均工賃で基本給付が下がったのと同時に、今おっしゃられた目標工賃達成加算の廃止の影響は大きかったです。けれども、目標工賃達成加算が理にかなっているのかというと、そうではなくて、今日資料には添付していないのですが、前回のめり張りのある報酬の見直しというときに、これも財務省の予算執行調査で出されたものですが、運営費が黒字で、就労支援会計が赤字というところが3割あると。そこの3割は報酬を工賃に充てていると考えられるという推測的な表現がされている資料が出されたのです。それが財政方針の建議にもそのまま文章として出されているのですが、そんな実態はないのですよ。その調査票を見ても、その工賃に報酬をどれだけ充てているかなんて聞いていないのです。
そう考えると、B型にどういう報酬の在り方が適切なのかというのは、今すぐには言えないのですけれども、もっと突っ込んで言えば、今の生活介護、就労A型、B型、移行、定着支援、この事業体系の在り方の区分けに欠陥があるのだろうなと思います。B型、A型というくくり方も。B型というのは非常に幅が広いですし、では、就労移行に着実につながっているのかというと、なかなかそうはいっていない実態がありますので、もう一度報酬、Bにとってどういう最適なものがあるのか、生活介護にとって最適なものがあるのかということも当面は考えなければいけませんけれども、もう一度事業体系の見直しというのも視野に入れる必要があるかなと思います。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 小川アドバイザー、どうぞ。
○小川アドバイザー 今の5ページの就労継続支援B型の定額基準に関することですが、実際にB型でも商品の価値化を高めて工賃を上げようということで、私どものほうでもそういった事業所を集めた研修とかをやって、成果を上げたところもあるので、そういったことを考えると、必ずしも定額がいいのか、努力を求める施策もあってもいいのかなとは思っております。
一方では、今、事業体系の在り方、B型の幅が広いという課題について意見があったと思うのですが、そこは私もちょっと感じているところで、実際事業所のほうを見ていると、B型でも生活介護に近いような、要は、工賃がなかなか上がらないような事業所もありますので、そうすると、軽度の方の使えるような生活介護。名前が適当かどうか分からないですけれども、生活介護の要件の緩和みたいなものがあってもいいのかなというのは、現場を見ている中での意見であります。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 コメントがもしあれば、どうぞ。
○きょうされん おっしゃるとおりだと思います。ただ、B型も幅が広いですし、生活介護も幅が広い実態にあって、あるところではC型という議論があると伺っておりますが、現行の生活介護、A型、B型、移行、定着支援、あるいは自立訓練、この延長線上で事業体系の見直しをするというのは、あまりいい手だてとは考えていません。むしろ総合福祉部会で示した骨格提言の中で3つの事業体系への移行ということを提案した時期があったのですが、そこに立ち返っての議論が必要かなと思います。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
お時間になりましたので、ここで終わりとさせていただきます。きょうされんの皆様、どうもありがとうございました。
○きょうされん ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、特定非営利活動法人日本失語症協議会より園田尚美様でございます。
ヒアリングの進め方でございますが、最初に8分間意見陳述をしていただきます。4分たった時点でベルを1回、8分たった時点でベルを2回鳴らします。その後、質疑応答・意見交換の時間を7分間設けております。よろしくお願いいたします。
○日本失語症協議会 NPO法人日本失語症協議会、園田と申します。今回は発言の機会を頂き、ありがとうございます。
団体概要はともかくとして、次に移ります。
失語症について。失語症は、話す、聞いて理解する、読んで理解する、文字を書く、計算するなど人間のコミュニケーション能力全般の障害を負う脳卒中や脳外傷の後遺症で、脳の中枢神経、言語野の損傷によって生じる障害です。その障害特性から、医療、福祉、保健、社会的認知などあらゆる分野で対策が遅れてきた疾患です。発症は40代から50代にも多く、全国に約50万人いるとされます。
機能訓練の確保。失語症は、2年から3年、あるいは疾患状態により長期の機能訓練により改善が見込めることを多くの専門家が報告しています。回復期病院でのリハビリは180日が限度です。また、失語症の回復は、退院後地域で生活しながらの機能訓練のほうがより効果的であると指摘されています。そのリハビリ環境は、障害福祉サービス、介護保険サービスともにゼロに等しい状態になっています。そのため、多くの失語症者が他の福祉サービスの前提とも言うべき機能訓練ができず、家庭復帰、職場・社会復帰が大きく阻まれ、ひきこもりの状態を強いられ、人間としての尊厳が確保され得ない状況に置かれています。
循環器病対策推進基本法の第14条及び第16条などでは、機能訓練を含めた福祉サービスを居住する地域に関わらず等しく、継続的かつ総合的に提供するための施策等を講ずることが明記され、特に附則第3条では「失語症」の文言を明記した上で、リハビリ提供機関の整備などが定められています。法制定後初めての報酬改定に際しましては、これらの問題の解決に必要な、各地域における機能訓練の整備を実現していくための改定をお願いします。
障害福祉サービスの確保。失語症は身体障害に含まれ、また、精神障害の中の高次脳機能障害者の中にも多く見られる障害ですが、他の障害と比しても支援が遅れている現状です。失語症はコミュニケーション障害ですが、その支援も主として聴覚障害者向けであり、失語症者が利用できる内容とは程遠くなっております。就労支援、生活訓練等々の各サービスにおいて、失語症の特性に配慮したサービスの確保が必要です。
また、その際には、失語症者が各地域で個々の症状、ニーズに応じたサービスの提供を受けられるような体制を実現する必要があります。さらに、失語症の評価体制につきましては、ADLの不自由さだけの判断ではなく、IADLを取り入れた評価方法を確立していくことが必要と考えます。
これらの事項については、循環器病対策推進基本法の第15条「患者の社会的活動への参加の促進などの生活の質の向上」、附則第3条に失語症の対策として明記された「社会生活を円滑に営むための必要な支援措置」の一環として、このたびの改定で必要な措置をお願いいたします。
機能訓練の確保について。現在の回復期病院での失語症機能訓練は、初期の失語症の回復という点のみの機能訓練であり、生活に根差した機能訓練ではありません。社会生活を送る人間として、言語機能を回復する地域に根差した、当事者の生活圏での機能訓練こそが、真のリハビリテーションです。地域のリハビリテーションの環境と質を担保し、利用者が個々のニーズに応じたサービスを受ける体制を整備することが必要と考えます。
医療機関のリハビリは180日が上限。言語聴覚士(ST)は7割以上が医療機関に在籍し、福祉の現場で機能訓練に従事するSTはごく少数です。STの偏在を大きく是正し、失語症の機能訓練サービスを提供する事業所を各地域で整備していくためには、抜本的な報酬改定が必要と思います。
1.機能訓練施設におけるリハ専門職(ST)の配置の義務づけが必要です。STの配置に関しましては、事業所加算を設けることが必要です。STによる機能訓練に特化した事業所運営の確保が必要です。機能訓練は職場復帰等の前提となるものであり、厚労省の資料によれば、平成30年度の自立訓練(機能訓練)の総費用及び構成割合は28億円及び0.1%であり、特段の配慮をお願いしたいと思います。
障害福祉サービスの確保。若年の失語症者らの経済的自立度を高めるためにも就労支援の充実が必要です。訪問系のサービスは、家庭内だけではなく、実生活への橋渡しとなる生活の現場における生きたサービスの確保が必要です。生活訓練は、知的障害者、精神障害者が主な利用者となっていると承知しておりますが、若年の失語症者らについては、失語症に対する理解が不十分であること、機能訓練との連携といった視点が乏しいことなど、受け皿として機能していない状態にあります。
障害福祉サービスの加算の算定届出書の中に「手話通訳」がございますが、失語症者向け意思疎通支援者につきましても、届出書内に明記し、算定の対象とすることが必要と思われます。
事業所の評価については、失語症者の特性に配慮したコミュニケーション、社会参加、QOL、IADLを支援するサービスが提供されているかの視点での加算が必要です。
必要かつ適切なサービスが適切な頻度で持続的に提供されるには、失語症者の家族の思いを十分に酌み取るスキルを持った相談支援専門員の養成・確保が必要であり、その上で、段階的な訓練プランの見直しが確保されることが必要です。
各地域において失語症に関するサービスを整備していくに際し、「共生型」の活用が有効な場合もあると考えますが、その推進のためには、保険点数の低さや適切な加算体制がないといった問題を解決していくことが必要です。
現在、失語症者は、労災裁判、民事・刑事手続、交通事故などにおける証言の支援や、選挙権・被選挙権の行使の支援を欠くために、これらの基本的人権が保障されていない状況にあり、早急の改善が必要であり、各地域における相談支援体制の整備も必要です。
コロナウイルスの影響。失語症者と医師・看護師との面談で、症状の説明のときに支援者が同行できず、困難があるという報告がありました。失語症者は外部からの情報収集に大きな障壁があります。コロナにより障害福祉サービスの提供が停止・停滞することで、より一層社会から孤立し、社会の情報から遮断されます。また、事業所運営としましては、感染者が発生した場合、あるいは感染拡大による営業停止は最大のリスクであり、企業努力だけでは成り立ちません。
コロナ禍に当たっては、失語症者との電話訓練は難しく、ビデオ通話によるサービスが有効ですが、失語症者一人では対応も難しく、支援者や会話パートナーを派遣し、その支援の下に、ビデオ通話による失語症者への支援を行う必要があり、困難を来します。
また、失語症者の会話支援アプリなど、各市町村によって日常生活支援用具として申請できない自治体が多くあり、失語症者の社会参加を阻んでいる状態であります。
意見。行政の失語症の特性を踏まえたきめ細やかな支援が必要です。
失語症者の意思疎通支援アプリの日常生活支援用具として幅広く認めていただくことが必要です。
以上です。ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー どうもありがとうございます。
基本的なことですが、失語症の方の数はどのぐらいなのか教えていただきたいのと、あと、失語症者向け意思疎通支援者と出てくるのですが、これはどういう役割をする人なのか。STとは違うのでしょうか。それと、手話通訳とか要約筆記と比べて具体的にどんなふうに違うのか、どういう専門性が必要なのかというのを教えていただけますか。
○日本失語症協議会 ありがとうございます。
まず、失語症者の人数ですが、正確な報告はいまだにございませんが、2018年度に厚労省が委託しまして失語症の介護保険を利用している人の人数だけを発表しましたが、約30万人という発表がございました。ただ、これは介護保険を利用している方だけの話であり、その他の利用できない高次脳機能障害者や若年の方とか、介護保険の対象にならない方もいっぱいいますので、私どもとしては、脳卒中等で病気を持って、退院した方で失語症の残存している方の統計から推定しまして、50万人ぐらいと思っております。
失語症意思疎通支援者の事業ですが、2017年に調査研究が始まりまして、2018年度から地域生活支援事業として、失語症者にも社会参加をするために手話通訳者のような方が必要だという私どもの訴えがありまして、国が地域支援事業といたしまして失語症の意思疎通支援者養成を始めました。全国47都道府県で養成している県は20を超えたのですが、派遣までしている県はまだ3~4県しかございませんで、通常に実施しているとは思いません。ただ、失語症意思疎通支援者というのは、失語症の方の裁判とまではいかないのですけれども、病院の手伝い、あるいは役所などの窓口に行く、そういう個人的なパーソナルな手伝いをできるということで、手話通訳者、あるいは要約筆記者と同じような役割として失語症者向けに養成していただいているものでございます。
以上です。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。佐藤アドバイザー、お願いいたします。
○佐藤アドバイザー ST、言語聴覚士さんが医療機関に在籍していて、福祉の現場ではあまりいらっしゃらないという御指摘がありましたけれども、言語聴覚士さんの福祉機関への配置が望ましいということでしょうか。
○日本失語症協議会 ありがとうございます。
言語聴覚士さんの福祉の現場への配置は、今、嚥下障害の御高齢の方のための配置が多くて、失語症の方の機能訓練の施設というのが実際に日本にあまりないものですから、そこに配置されない。奇特な言語聴覚士さんがいらして、そういう現場にいても、加算がないものでありますから、なかなかお給料がお支払いできなくて、その環境が悪いということもあると思います。つまり、そういう機能訓練の事業所がないということも一つの問題です。
ありがとうございます。
○佐藤アドバイザー ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 よろしいでしょうか。それでは、ここで終了とさせていただきます。日本失語症協議会の園田様、どうもありがとうございました。
○日本失語症協議会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、認定特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワークより福島慎吾様でございます。
ヒアリングの進め方ですが、最初に8分間意見陳述をしていただきます。4分たった時点でベルを1回、8分たった時点でベルを2回鳴らします。その後、7分間の意見交換、質問の時間を設けております。
では、よろしくお願いいたします。
○難病のこども支援全国ネットワーク 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。このたびはこのような機会を頂きましてありがとうございます。
私どもの会の概要につきましては、2ページ目の資料を御覧ください。
意見ですが、4ページの詳細版のほうを御覧いただければと思います。三本柱で意見をまとめさせていただきました。
1点目は、医療的ケアのある子供への支援についてであります。いわゆる医療的ケアの必要な子供たちが医療機関を退院して、在宅へ移行するケースが増えているわけですが、現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスには、医療に分類されている行為を必要としている子供が使いやすいサービスが制度上なくて、これは日常生活において介護者たる家族の大きな負担になっているという現状がございます。
医療的ケアがあるがゆえに、幼稚園、保育所、学校への受入れに制約が生じたり、集団活動や学習活動から排除されたりするような例が今でも多数聞こえてまいります。
難病や慢性疾病を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることが難しく、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間をつくらない制度の構築が必要だと考えております。
現在、子供に対する訪問看護は、医療保険制度の一つとして実施されておりますけれども、診療報酬上の制約が多くございまして、長時間あるいは頻回の利用というのが難しいという現状がございます。
意見につきましては、障害福祉サービスにおいて訪問看護を新たに位置づけていただいて、現在、必要な障害福祉制度の利用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を確保していただく必要があると考えます。
また、いわゆる歩ける医療的ケア児への障害福祉サービスの利用促進を図る観点、あるいは有効かつきめ細やかな加算などが必要だと考えております。
医療的ケアの子供については、一番最後のページに資料がございます。田村先生の研究の報告ということで、全国で2万人の医療的ケア児がいると言われておりまして、毎年1,000人前後数が増えているということが言われております。
意見のほうに戻りまして、2つ目です。通常の学級に在籍する子供たちへの支援であります。特別支援学校における基礎的環境整備との差を埋めるために、合理的な配慮の提供が不可欠なわけですが、この部分が学校教育においては進んでいないという実感を強く持っております。特に通常の学級においては、親の付き添いを強要されたり、修学旅行に連れていってもらえないなどの差別事例がいまだに聞こえてまいります。
学校というのは、言うまでもなく子供たちにとって将来の自律を見据えて、社会性を身につけるという重要な場であると考えております。
意見ですけれども、学校の介助員制度だけでは、多様な子供のニーズや校外学習などに対応し切れないこともしばしばございます。いわゆる「居宅しばり」というものをなくして、学校の中、宿泊を伴う修学旅行や林間学校なども含む校外学習時においても、補完的に障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護、医療保険による訪問看護などを利用できるようにしていただきたいと思っております。
それから、通学や移動が保証されなければ、実質的には教育機会を保証していることにはなりません。学校への登下校時において、重度訪問介護を利用できるように、あるいは移動支援が利用できるようにすべきだと考えています。
ヘルパー自身が運転する車による通学支援も必要だと考えております。
皆様の御案内のとおり、成育基本法というものが成立しておりまして、医療、保健、教育、福祉などを切れ目なく提供する施策を総合的に推進するということもうたわれておりますので、ぜひこういった視点を生かしていただきたいと思っています。
3つ目は家族支援の必要性とその充実についてです。難病や慢性疾病、障害のある子供の子育てにおいては、保育や学校教育、就労という子供の成長・発達・自立のライフステージにおいて、親による体験的な知識だけでは解決することが難しいことに直面するわけです。こういったケースにおいては、家族のライフスタイルの大幅な変更、あるいは自己実現を諦めなければいけないなど家族全体に大きな影響を及ぼすということがございます。
また、家族による丸抱えの生活は、子供の発達や成長にも大きな影響を与えるため、その自律や社会参加の制約要因となっているという点にも目を向けていただく必要があると思っております。
そのため、難病や慢性疾病、障害のある子供本人への支援に加えて、その親や兄弟をも含めた包括的な家族支援が必要だと思います。今般のコロナ禍におきましては、特に医療的ケア児のケアを全般的に担っていらっしゃる御家族から、自身が感染症に罹患した場合、あるいは災害になった場合、一体自分の子供をどこに預けたらいいのだという大変大きな不安が多数寄せられているという現状がございます。
言うまでもなく、緊急時においては、専門性よりも利用者と支援のふだんの関係性が物を言うという側面もございますので、ぜひこういった部分を進めていただきたいと思います。
意見につきましては、ピアサポートや親の会など当事者による体験的な知識を生かした相談支援に重点化した報酬の改定が必要だと思いますし、レスパイトとかショートステイのサービスの拠点、医療型短期入所サービス、そういった拠点を増やしていく、あるいはその報酬を引き上げる必要があると思っております。そのためには、医療的ケア児とその家族を対象とした有効的、きめ細やかな加算というものが必要だと考えております。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見・御質問のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。田村アドバイザー、どうぞ。
○田村アドバイザー 御発表どうもありがとうございました。私たちが全国調査した結果も参考資料に入れていただいて、御礼を申し上げたいと思います。
4ページのところで、障害福祉サービスを、訪問看護を新たに位置づけるということを御提案しておられまして、その一方で、5ページのところで、特別支援教育制度だけでなくて、通常の学校でも医療的ケアを必要とするような子供たちがサポートされるような仕組みということを提案されておられますが、特別支援学校でも人工呼吸器をつけているようなお子さんの場合には、親御さん、特にお母さんがずっとつくということを要求されている特別支援学校がむしろ多いので、ここのところは一般の学校だけに限らないほうがいいのではないかと思うのですけれども、それについてはいかがお考えでしょうか。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
先生のおっしゃられるとおり、特に呼吸器をつけているお子さんの御家族は本当に常時付き添いを求められていて、付き添えない場合は学校を休むというケースも多々あると聞いております。もちろん、特別支援学校においてそういった介助者、看護の方などが手当てできない場合については、訪問看護等も含めて利用できればと思っております。どうもありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかにありますでしょうか。小船アドバイザー、どうぞ。
○小船アドバイザー 私からは6ページ、家族支援のところですが、ピアサポートや当事者の体験的な知識を生かすというところは、大変有効ではないかと私も考えるところですが、それを相談支援の体系にどのよう用いるのか。相談支援専門員との関係性などについて、もし御提案があれば教えていただきたいと思います。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
ピアサポートとか親の会による体験的知識を生かした相談ということですので、プランを立てるとかいう短期的なことよりも、中長期的な親の不安を解消するような相談を想定しているわけですけれども、小児慢性特定疾病という制度があるのですが、5年ほど前に自立支援事業というのができまして、その一部として病院の中に拠点を設けて、そこにピアサポーター、つまり難病や障害、慢性疾病のある子供を育てた経験を持っている親たちがそこにいて、それで相談を受けるということをしているのですが、そういったやり方も一つあるのかなと考えております。ただ、今、コロナの関係で医療機関の中での活動はかなり制約を受けていますけれども、それがどういった形で地域でできるのかというのは、地域の状況にもよると思いますが、いわゆる専門家だけではなくて、こういったピアサポート的な支援というものをぜひ生かしていただきたい。そういった趣旨でございます。
○源河障害福祉課長 野澤アドバイザー、どうぞ。
○野澤アドバイザー ありがとうございます。
コロナとかを考えると、レスパイト、ショートステイというのは、とっさのときには絶対必要だと思うのですけれども、医療ケアの必要な子供を受け入れているレスパイトとかショートステイというのはどのぐらいあるものなのかお聞きしたい。皆さんが求めているのは、医療ケアの必要な子を受け入れる専門のレスパイトやショートステイに加算をつけるのか、それとも医療ケア児を受け入れたときにその加算をつけるのか。どうでしょうか。先ほどのあれだと、訪問ヘルパーで医療的ケアができればいいのではないかという意見もあったのですが、やはり看護師の配置とかが必要だとお思いですか。その辺りを具体的にイメージしたいのですけれども、どうでしょうか。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございます。
どのくらい施設があるのか、数については、存じ上げません。例えば都内でしたら、世田谷の成育にもみじの家がりますが、そこも利用者が大変殺到していて、受付をするだけでも何年待ちという状況ということですので、潜在的な需要は非常に高いのではないかなと考えております。
これはルールとして正しいのかどうか分かりませんけれども、例えば医療機関とか主治医の先生の御好意によるレスパイト入院という形で、何日か医療機関に入院させていただけるようなケースもあるのですが、そういったケースにおいては、報酬で言うと、1日当たり4万5000円とか5万円ぐらいの報酬になるということです。一方、医療型短期入所は、現状かなり低く、多くても3万円ぐらいだと認識しておりますけれども、そういった違いもあるということを伺っておりますので、ぜひそういった部分の報酬を厚くしていただいて、数もそれにつれて増やしていくという形が望ましいのではないかなと思います。
○源河障害福祉課長 小川アドバイザー、どうぞ。
○小川アドバイザー 5ページの一番下「ヘルパー自身が運転する車による通学支援も必要」という点についてでございますが、安全性に十分配慮するというのは重要な視点だと思うのですが、ヘルパーが運転した場合、利用者のサポートは誰が行うとか、そういった問題があると思いますので、むしろ加算などで例えば運転手配置加算とか、そういった形で対応すべきかなと思うのですけれども、安全性といった点についてはどのようにお考えか、お示しいただけたらと思います。お願いいたします。
○難病のこども支援全国ネットワーク この部分については、これがあれば全て解決するということで申し上げているわけではなくて、ヘルパーが運転して、要するに、家族が付き添わなくても通学できるという観点が必要だという意味で申し上げております。例えば医療的ケアで痰の吸引などがある子供の場合、当然1人で送迎するということは不可能でございますので、そういった場合は、また別の切り口が必要なのではないかなと思います。
○源河障害福祉課長 よろしいでしょうか。
それでは、お時間ですので、これで終わりとさせていただきます。難病のこども支援全国ネットワークの福島様、どうもありがとうございました。
○難病のこども支援全国ネットワーク ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会より石橋吉章様でございます。
ヒアリングの進め方ですが、最初に8分間意見陳述をしていただきます。4分たった時点でベルを1回、8分たった時点でベルを2回鳴らします。意見陳述の後、7分間の意見交換、質疑応答の時間を用意しております。
では、よろしくお願いいたします。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 こんにちは。本日はどうもありがとうございます。本来ですと清水会長が当会の状況を説明すべきところですが、副会長の私からお話しさせていただきたいと思います。
当会は、名前のとおり、当事者を持つ親の集合体で、活動内容については、概要に示したとおりであります。障害者福祉サービスを利用する立場にあります。
まず最初に、重度障害及び医療的ケアを擁する児者に対する支援の充実について、お話をさせていただきたいと思います。医療的ケア児を含めての障害福祉計画の策定が市町村に義務化されたが、地域の資源、ハード・ソフト不足は、言うまでもなく重度障害児者への支援充実のため、障害福祉サービス・制度全般、障害の特性・多様化に配慮したものとなるよう求めます。
まず、第5期障害福祉計画の総括が必要です。この計画には成果目標が設定され、施設入所者の地域生活への移行が数値化されていますが、地域移行が実現したとしても、生活そのものが充実したものとならなければなりません。親が高齢となり、同居生活が難しい状況となったとき、グループホーム、シェアハウスなど、地域の生活を送るには安定化施策がなければ計画は達成できず、絵に描いた餅となってしまうのではないかと危惧しております。
1番目の意見のところです。地域で受け入れる住居(共同生活援助)・日中活動事業所のハード面、サービス等利用計画の立案及び専門的な人材(介助)の確保・養成などソフト面の両方が、特に身体障害者においては不足しているのが現状です。グループホームなどの新設・改修ついては国の制度はありますが、都道府県・市町村の制度に差があり、応分に負担する制度(義務的負担化)となるよう求めます。人材確保のためには、ヘルパー等の所得が保障できる報酬にしなければ、確保が難しいです。
市町村の障害児・者の福祉計画で重度障害及び医療的ケア児者への施策は具体的な形で盛り込まれていない状況にあります。
入院中は、居宅等で継続的に利用している区分6でなければ重度訪問介護を受けることができません。区分4であっても、ふだんから訪問介護で介助に慣れた方が必要で、改正を求めます。
国庫負担基準についてですが、上限が設定されているため、基準(合算額)を超えるケースでは市町村の財政負担が高額となるため、居宅サービスの利用が抑制されています。国庫負担基準の上限設定を外し、地域事情で選別されるような格差をなくすよう求めます。
障害福祉サービスの支給決定でありますが、利用者の意向を聴取し、障害支援区分に基づき決定することになっています。標準支給量(訪問系)のガイドライン、標準的な時間数で決定されていますが、居宅介護は区分6でさえ月に最大92時間です。92時間を30日で割ると、1日3時間のヘルパー介助で、重度訪問介護を利用する障害者にとってどれだけの支援が受けられるのでしょうか。重度訪問介護では区分6で月に186時間で、186時間を30日で割ると、1日6時間のヘルパー介助が認められても、1日24時間の残り18時間をどう生活することになるのでしょうか。この標準的時間はどのようなシミュレーションで算出されたのか。生活実態からかけ離れた支給時間であることから、改正を求めます。
例えば居宅介護・訪問介護区分6の方を示しましたが、人として普通に生きていける区分となるよう、支援時間に改正していただくことを強くお願いします。
視点2の地域生活を支援するためにサービス内容の充実についてですが、今後の検討課題といたしまして、サービス利用計画の作成と、それの着実な実行、そして重度な方が障害福祉サービスを十分に使える。使えるためには、やはり、その一因に支援区分、特に範囲の幅が広い区分6の見直しが必要ではないかと考えます。
相談支援につきましては、基幹相談支援センターが各自治体にあるのですが、半数以上が設置していない状況であり、指定相談事業所が単独で運営できるよう、相談支援員の処遇を含めて制度の改善が必要ではないかと思います。
次に、重度障害者の生活拠点として重度障害者対応共同生活援助サービス、外部サービスの提供を受けることができていますが、これが恒久的な制度となることを求めます。
添付しました参考資料2の数字でございますが、平成30年度の資料を使いましたので、その後で令和元年に改定されるということを後で知りました。ということなので、数字は平成30年度で、その後改定されるということですけれども、少しは見直されているのですが、なぜそういうふうになったのかということが分からないという声があります。また、平成30年度以降も特例扱い。現在も特例扱いということになっていることに関して、それを特例なしとしていただきたいということです。
次の持続可能な制度としていくための課題、対応です。確かに障害福祉予算額が平成18年度から3倍となっておりますけれども、そもそもの話ですが、平成15年以来、一度も実態に沿った必要額を試算していません。障害福祉に係る障害福祉サービス量、療育・生活に係る費用の総量を算出して、中長期的に反映させて決定することを求めます。金額は確かになっていますが、そのベースが何もはっきりしていないということに危惧を感じております。
新型コロナウイルスに関してでございますが、私ども全肢連は5月1日に厚生労働大臣と文部科学大臣に要望書を提出しておりますが、特に重症患者の治療に対して、医療崩壊の危険が迫り、誰に人工呼吸器を配分するべきか。医療衛生材料が手に入らず、障害児者並びにそれを支える家族は大変な危機感を抱き、障害を理由とした命の選別があってはならないということを、この新型コロナウイルスで教訓として受け止めております。
また、休業時間中に頂いた要望につきましては、そこに列記したとおりでございますが、重度障害児者・医療的ケアを必要とする者の「医療器材・衛生材料の備蓄」、また、その提供を速やかに配分できるようなシステム構築をお願いしたいと思います。
それから、こういうことに対応するため、障害福祉サービスへ対応するというガイドラインの作成が必要ではないかなと思います。
また、人工呼吸器を使っておられる方は、ほとんどメーカーが海外で、修理をするとき必要部品がないという事例が今回ありました。そういうことから、必要部品も含めて確保をお願いしたいと思います。
なお、現在全肢連では、支援学校の休校、事業所の休業時における生活実態と今後の対応、そういうことについての緊急調査、並びに重度障害者対応の共同生活援助の支援体制の在り方に関わる調査、在宅での排せつ介助に関する生活実態のアンケート調査を実施しております。これは各都道府県肢連と特別支援学校のPTAにも御協力いただいて行っております。取りまとめ次第、またお届けしますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見のあるアドバイザーの方は挙手をお願いいたします。橋本アドバイザー、どうぞ。
○橋本アドバイザー ありがとうございました。
6ページ目に障害児者の災害時の対策として、まさに今、災害がいろいろ起きているところですけれども、「現状のサービス等利用計画作成と同様に災害時個別支援計画の策定を」と提案されていますが、これは相談支援事業所が作成する計画に併せてつくるというような想定でしょうか。また、どのようなところまで災害時の個別支援計画を盛り込むと生きた計画になってくると思われるかを、よろしければ教えていただきたいと思います。お願いします。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 ありがとうございます。
この件は、災害対策基本法の改正で、震災時は障害者の名簿は全部開示すると。その名簿につきましては市町村が作成するということが義務化されました。各人が私の名前は平時においてもオープンにしてよろしいという方については、個別支援計画を立てて、避難に関する支援計画を立てるということになっているのですが、これは義務ではなくて、「努める」になっております。そのために、支援計画の作成というのは遅々として進まないという現状から、そこを補完するために、サービス等利用計画とリンクさせてしまったほうがいいのではないかということです。ですから、その状態をよく知っておられる相談員の方々と家族が一緒になって作成するという趣旨で書きました。
以上です。
○橋本アドバイザー ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。佐藤アドバイザー、お願いします。
○佐藤アドバイザー 時期も時期なので、私も災害時個別支援計画が非常に大事ではないかなと思って伺っておりました。恐らく避難計画が含まれると思うのですけれども、避難訓練みたいなものも一緒に計画に入れる必要があるのではないかと思いました。
コロナ禍での大変な状況についても伺わせていただきましたが、この後、第二波、第三波みたいなことが言われておりますので、コロナのような感染症の拡大についても災害時としてみなして、個別の計画をもしできたらサービス利用の計画として、サービス提供者と障害者の皆さんが力を合わせてどうやって生き延びていくのかという計画を立てる必要があるのではないかと思って伺っておりましたが、コロナの感染症と災害時、同時に考えるということについて、どのようにお考えでしょうか。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 ありがとうございます。
それは非常に難しいのではないかなと私自身は思っております。避難につきましても、震災の避難と風水害、今般のような台風とか低気圧による水害の避難とは意味合いが違うと思うのです。だから、そういうところをどう切り離しながらつくるかということ。関東の方々は台風19号で、今までですと九州から徐々に上がってくる台風をじかに経験したわけですね。そういうときに自分自身がどう対応するかということ。会員の中には早めにホテルに避難、親戚宅に避難。小学校・中学校への避難というのは、そのときからないというふうに会員の中では感じていますから、避難については、それぞれがまず考えなければなりませんけれども、個別支援計画をサービス等利用計画と一緒に考えられたらどうかと思っております。
感染症については全く別の話ではないかと思います。厚労省から出る通達の中に軽度の方がやむを得ない場合は自宅という文言がありますが、自宅では医療が全然ありません。そういうことも含めた避難というもの。避難ではないのですね。感染症の場合、軽度であろうが、隔離なのです。重症になりますと、間違いなく病院ですが、障害を持っている子供たちですから、軽度であっても重症化するのは目に見えていますから、私は自宅というのはあり得ないと思っております。よろしいでしょうか。
○佐藤アドバイザー 分かりました。ありがとうございます。
○源河障害福祉課長 よろしいでしょうか。
それでは、時間になりましたので、ここで終了とさせていただきます。全国肢体不自由児者父母の会連合会の石橋様、どうもありがとうございました。
○全国肢体不自由児者父母の会連合会 ありがとうございました。
○源河障害福祉課長 続きまして、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会様につきましては、資料提出のみとなっておりますので、事務局で代読させていただきます。
○猪狩障害福祉課長補佐 それでは、事務局より代読させていただきたいと思います。詳細版が4ページからになっておりますので、4ページから代読させていただきたいと思います。
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等
視点-1 より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法。1.平均工賃月額と福祉サービスの提供の質は比例しない
・前回の報酬改定で、厚労省は就労継続支援B型事業所の在り方を工賃向上のほうへ大きく舵を切りました。工賃確保も大切なことであると思いますが、実際就労継続支援B型事業の利用者の多くは、日中活動の場所としての利用が多いことが現状です。前回の報酬改定で、目標工賃達成加算を廃止して平均工賃月額で報酬単価を決めていくことは、理想と現実のギャップではないかと思います。
・平均工賃月額の「支払い工賃総額を支払い対象延べ人数で割る」という評価では、精神障害特性から低い金額になってしまいます。1.週1~3日の利用 2.午前中・午後のみの利用(短時間)3.休憩に入るための作業時間が短い 4.早退・遅刻が多い、という方がいらっしゃる。自分のペースで短時間の利用で安定される方もいれば、精神的不安定のため急遽休憩や早退となる場合もあるが、この評価では短時間の方の受入れを拒むことにつながります。精神の特性上、短時間での利用はやむを得ないと施設では受入れている現状だが、今後報酬の減による不安と隣り合わせです。
・工賃額によって報酬が変わる報酬体系は、休息が必要な人が多い精神障害者にとって単純に居心地が悪くなった部分があります。工賃と報酬を連動させるべきではないし、就労支援機能と居場所機能の双方が評価されることが必要です。食事提供加算の継続も求めます。
2.マンパワーの確保
・現状の報酬体系の中ではスタッフに対し十分な報酬を支払うことが難しい。現在求人しているが常勤で終身雇用の保証が難しく、契約社員としての募集であるため、職員確保の困難さを助長している。福祉に従事する者の処遇を改善できなければ、より専門性のある質の高い職員を配置することはできず、利用者へのサービスの質の向上にはつながらない。
・各障害福祉サービス事業所において提供される支援の中で、より専門性が高く、利用者の生活の質の向上にも寄与すると考えられるものについては、加算の充実が必要と考える。その内容については現場の実態をよく考慮する必要があります。(加算内容が実践的にマッチングしているのか、必要な支援であるにもかかわらず加算が算定できない現状ではないか等)。
3.介護保険優先原則の見直しと訪問支援及び食事提供加算の継続
65歳になった障害者が従来のサービスを受けられなくなる問題が散見されます。同法第7条に規定された介護保険優先原則を撤廃することが必要です。同法は、障害者の自立生活のための法律であり、介護保険とは本質的に異なるものです。よって、同法のサービスを介護保険のサービスに相当するとみなすべきではありません。現状ではまず、精神障害やその支援の独自性が介護保険事業所に理解されるよう、事業所やヘルパーに対して精神障害に関する研修を義務づけるなどの仕組みが必要です。
また、訪問支援が重要です。1.メリデン版訪問家族支援2.オープンダイアローグなどを取り入れてください。訪問支援をするマンパワー(医師、PSW、認定心理師等)が不足しています。また、訪問支援をする組織がないか、または組織体制が貧弱です。
精神保健福祉の先進国を調査し、それに学び、政策に取り入れていただきたい。
5ページに行きます。視点-2でございます。
1.障害者当事者・家族のヒアリング 相談支援における精神障害者家族加算
・福祉サービスを利用している方へは、事業所や相談支援専門員を通じてケース対応がなされています。ただし、福祉サービスに乗らない方々も地域でたくさんいます。現在各地で様々な取組が行われていますが、まだまだ自治体で格差があることが課題だと思います。
・地域でのサービス確保として、各自治体で各小学校区に地域ソーシャルワーカーを配置し、スクールソーシャルワーカーや民生委員、自治会と連携して地域で完結できるように構築していくことが理想だと思います。
・精神科病院長期入院者の地域移行が十分に進んでいません。入院中においても重度訪問介護を申請して利用できるようにすることが必要です。長時間見守りニーズがある精神障害者に対する重度訪問介護の障害支援区分3以下への適用が必要です。
・重度訪問介護の障害支援区分4に対する行動障害10点以上要件を撤廃するべきです。
・通院等介助の自宅発着要件を撤廃するべきです。(特に職場から通院先の介助はニーズがあるのに区分3以下の者には利用できるサービスがないことは問題です。)
・重度訪問介護は、通勤、勤務中、通学、修学中の利用を認めるべきです。重度訪問介護の移動制限である「通年かつ長期にわたる外出」を削除すべきです。
・利用者の通所手段について、例えば北海道の例で言えば、地域性を考えると、札幌以外の地方では、交通機関が充実していないため、障害者は交通弱者となっています。郡部ではバスの本数も少なく、料金も高いのです。事業所に通い、工賃を受け取っても、その大半が交通費で消えてしまうという現状も見受けられます。そのため送迎サービスが必要となってくるが、送迎にはマンパワーのほか、車両費等のコストもかかる。また、地方では職員の高齢化も進んでおり、北海道特有の長距離の送迎に伴う職員の負担増、冬道を運転しなければならない負担等もあります。送迎加算の充実が特に地方においては必要です。
・国庫負担基準以上の支給がなされないこともあり、支給決定量を実際の利用量が下回ると、支給量を下げる傾向にあり、精神疾患のように活動の変動が生じやすい場合には、必要なサービスが行き届かない状況になりやすい。
・精神障害者当事者の団体が対象に入っていないため、今後は精神障害者の本人の団体を対象に含めるべきです。
視点-3についてです。
1.マンパワー確保のための財源とパーソナルアシスタンスの検討
・まずは、事業所を継続させていくための人材の確保が急務であると考えます。
・国庫を財源としながら必要な人に必要な支援が行き届くようにしていく必要があります。これまでの検討過程と実績を踏襲して、引き続き現行の財源体制を持続させていくことが求められています。
・居宅介護等一部のサービスに関しては、サービス事業所を通さず本人が介護者を直接雇用する仕組みの創設を検討してもよいのではないか。その場合の報酬単価については、事業所を通さないので一定程度引き下げることが可能と考える。
続きまして、6ページ目、視点-4についてでございます。
1.自粛に伴うサービスの利用の減少に伴うフォローと対策費の確保
・コロナの蔓延により、不安を持つ利用者は多い。当法人が運営するB型事業所においても利用者の1割以上の方が不安から外出を自粛し、通所ができなくなっていた。
・必然的に給付費の総額も減少し、経営面に影響が出ている。また、利用者の作業にも影響はあり、今までの請け負ってきた定番の仕事がなくなる等、授産費にも影響はあります。企業が委託等を一旦中止した後に作業が予定どおり入らないようです。経済活動が縮小したので、企業が事業所へお願いする委託品がないので、事業所の作業も少ないという現象になっています。今回の件で作業内容を変更した事業所もあります。
・また、コロナ対策によるシールドや消毒用アルコールの購入等、消耗品費で予定外の支出があるために、事業所としての予算確保に影響が出始めています。
・精神科病院は、清潔不潔の区域の仕分けが不十分な建造物が多く、さらに閉鎖性密室性が高い精神科病院は新型コロナウイルス感染に極めて脆弱であると言わざるを得ません。意にそぐわない精神科病院への入院を回避できるよう病院及び地方公共団体等に相談窓口を設置することと、現に入院している精神障害者が精神科病院から避難できるように病院及び地方公共団体等に相談窓口を設置することが必要です。
障害者総合支援法における昨年度からのB型に関する給付金について、B型の評価が利用者に対する月額平均によって行われています。この政策が継続されれば、地域包括ケアシステムが進んでも、1か月間の利用日数が少ない人や、重度の適応障害を持つ利用者を受け入れる事業所が激減すると思われます。事業所の効果で考えると、利用日数を増やすことができなくても、引きこもらず、少しでも社会とつながることを維持したい希望者へのサービス提供がより大切であり、重要だと考えます。ぜひ御理解いただき、報酬改定に反映してください。あわせて、施設利用に至らない場合などは積極的にパーソナルアシスタンスの利用でも報酬がつくようにしてください。
以上でございます。
○源河障害福祉課長 ただいま代読しました御意見に対しまして、アドバイザーの皆様から御意見があれば挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、ここで終了とさせていただきます。
本日予定している議事は以上で終了となります。
次回の検討チームは、ちょうど1週間後の7月16日(木)14時より、本日と同様のオンライン会議にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。