第5回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和2年7月16日(木)13:00~15:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A
(東京都港区赤坂2-14-27 国際新赤坂ビル東館13階)
 

議題

(1) 開会
(2) 循環器病対策推進基本計画案について
(3) その他
 

議事

○桑原課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の桑原と申します。
まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、安藤美帆委員、堀場千秋委員から欠席の御連絡を頂いております。なお、熊谷雅美委員が途中退席される予定となっております。
本日は委員20名のうち18名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。
なお、事務局の宮嵜健康局長は公務のため欠席しております。また、事務局の文部科学省佐藤課長補佐も急な公務のため欠席しております。御了承ください。
厚生労働省では審議会などでのペーパーレス化を推進しており、本協議会もペーパーレスで実施いたします。お手元には、タブレット、スタンド、操作説明書を配付しております。御不明な点がございましたら、お近くの職員に御質問ください。
続いて、スタンドマイクの使用方法を説明いたします。
発言の際には、本スタンドマイク下のプッシュボタンを押して、緑色のランプがついたところでお話ししてください。お話が終了しましたら、再度プッシュボタンを押して、ライトが消えているのを御確認ください。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。タブレットの中に入っております、1が議事次第、2が座席表、3が循環器病対策推進協議会の委員名簿、4が資料1、5が参考資料1、6が参考資料2、7が参考資料3、8番に机上資料として磯部委員から頂きました、かかりつけ医のための心不全診療ガイドブックが入っております。
以上でございます。
資料が御覧いただけない場合は、事務局までお申し出ください。
また、前回協議会以降に事務局側の人事異動がございました。恐縮ながら、お時間の関係で、座席表をもって御紹介に代えさせていただきます。
以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力のほど、お願いいたします。
これからの進行は、永井会長にお願いいたします。
○永井会長 それでは、議事を進めさせていただきます。
前回、3月19日に開催された第4回の協議会では、循環器病対策推進基本計画骨子(案)について議論を行いました。
本日は、骨子案での議論を踏まえた循環器病対策推進基本計画(案)について、事務局から説明を頂いた後に議論を行い、案を取りまとめたいと思います。
では、議題2「循環器病対策推進基本計画案について」、資料1「循環器病対策推進基本計画(案)」の説明を事務局からお願いいたします。
○森課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料1を御覧ください。こちらは、第4回循環器病対策推進協議会におきまして提示いたしました骨子案を基になされた議論を踏まえ、循環器病対策推進基本計画(案)として作成した資料です。逐次的な説明となりますことを御了承ください。
ページをおめくりいただき、目次の部分を御覧ください。
全体の構成といたしまして「1.はじめに」「2.循環器病の特徴並びに循環器病対策に係るこれまでの取組及び課題」「3.全体目標」「4.個別施策」「5.その他の事項」としております。
初めの1、2のところで、循環器病とはどのような病気かということを説明しております。
続いて、3の全体目標として、本計画の3本の柱を記載しております。
4の個別施策のところでは、上記の3本の柱の基盤となるものとして情報収集について記載し、その後、項目ごとの説明を加えさせていただきます。
まず、1ページ目「1.はじめに」では、政府統計に基づき、循環器病が国民の生命や健康に重大な影響を及ぼす疾患であること、社会全体に大きな影響を与える疾患であることを記載し、循環器病が重要な問題であることから、予防や医療及び福祉に関わるサービスまで幅広い循環器病対策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、循環器病対策基本法が成立し、施行されたことを記載しています。
2ページ目5行目からですけれども、この目的を達成するために、基本計画を作成し、国の循環器病対策の基本的な方向について明らかにすることを記載し、25行目から基本計画に基づき、国・地方公共団体・医療保険者が連携し、国民一体となって取組を進めていくことが必要であると記載しております。
3ページの「2.循環器病の特徴並びに循環器病対策に係るこれまでの取組及び課題」です。循環器病の特徴について、いずれの世代でも発症するものであることを示し、循環器病の特徴を適切に理解することが肝要と記載しています。そして、循環器病の多くが運動、食生活、喫煙の生活習慣や肥満等の健康状態に端を発すること、いずれの段階でも生活習慣の改善によって、予防・進行抑制が可能である側面もあると記載しています。
また、21行目以降、循環器病は急激に発症し、突然死に至ることがあること、早急に適切な治療を行うことで予後を改善できる可能性があること、再発・増悪を来しやすいこと、病状が多様に変化することを記載しています。
4ページ目から5ページにかけて、これまでに取り組んできた循環器病予防や、循環器病に関する知識の普及啓発の推進、保健・医療及び福祉に関わるサービス、循環器病の研究について記載しています。
5ページ目では今後の課題として指摘されている様々な具体例を示し、6ページ目15行目において、これらの課題を踏まえて、国の循環器病対策の基本的な方向性を明らかにすると記載しています。
次に、7ページ目の「3.全体目標」で基本計画の柱となる循環器病の予防や正しい知識の普及啓発、保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実及び循環器病の研究推進の3つの目標の達成を通じ、2040年までに3年以上の健康寿命の延伸、循環器病の年齢調整死亡率の減少を目指すと記載しております。
8ページ目からは、3に掲げる全体目標の達成を目指すべく「4.個別施策」を記載しています。個別施策を実施するにあたり、循環器病対策全体の基盤として、診療情報の収集・提供体制を整備し、循環器病の実態解明を目指すと記載しています。循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備では、データを収集し、データによって評価することは、根拠に基づく政策を推進する点からも重要であると述べ、取り組むべき施策を記載しております。
10ページ目は「(1)循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」です。こちらの34行目のところからになりますが「国民に対する、循環器病の前兆及び症状並びに、発症時の対処法並びに早期受診の重要性に関する知識の啓発が重要であるといえる。」と記載し、取り組むべき施策として、子どもの頃からの国民への生活習慣病の予防や循環器病に関する知識の普及啓発を推進すると記載。科学的知見に基づき、分かりやすく効果的に伝わるような取組を行うことを記載しています。
また、19行目からは喫煙率の減少と受動喫煙防止を図る施策を着実に進めると記載しています。
12ページの「(2)保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実」として、多職種が連携して、循環器病の予防、早期発見、再発予防や重症化予防、相談・生活支援等の総合的な取組を進めると記載しています。
9行目から【循環器病を予防する健診の普及や取組の推進】では、健康診査等の受診や保健指導の重要性について記載し、取り組むべき施策として、その実施率向上につながる効果的な方策等を検討すること、評価指標の見直し、予防・健康づくりを推進すると記載しています。
13ページの【救急搬送体制の整備】です。循環器病の急性期には早急に適切な診療を開始する必要があると記載し、取り組むべき施策として地域の実情に応じた傷病者の搬送及び受入れの実施が継続的に行われるよう促していくと記載しています。
14ページの【救急医療の確保をはじめとした循環器病に係る医療提供体制の構築】の現状では、地域ごとにバランスの取れた医療提供体制を構築すること、質の担保された循環器病の診療体制を構築することが求められていると記載し、15ページ目28行目では、かかりつけ医等と専門的医療を行う施設の医療従事者との連携が適切に行われるよう、取組を進めると記載しています。
16ページの【社会連携に基づく循環器病対策・循環器病患者支援】ですが、循環器病患者は、生活の支援や介護が必要な状態に至る場合があると記載し、それに対し、多職種連携による相談・生活支援等に取り組むと記載しています。
16ページ26行目【リハビリテーション等の取組】ですが、ここでは早期からの継続的なリハビリテーションの実施が必要となることもあると記載し、17ページ目に状態に応じたリハビリテーション提供等の取組を進めると記載しています。
17ページ34行目【循環器病に関する適切な情報提供・相談支援】ですが、患者と家族がその地域において必要な情報にアクセスできるように取組を進めることが求められていると記載し、18ページ18行目、科学的根拠に基づき情報を国民に提供すると記載しています。
18ページ27行目【循環器病の緩和ケア】です。19ページにかけて循環器病患者の状態に応じた適切な緩和ケアを推進することを記載しています。
19ページ17行目【循環器病の後遺症を有する者に対する支援】ですが、後遺症を有する者に対する必要な福祉サービスの提供を引き続き推進すると記載しています。
20ページ【治療と仕事の両立支援・就労支援】ですが、病気の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整えることや、病を患った方々が生きがいを感じながら働ける社会を目指すことと記載し、23行目に疾患と付き合いながら就業できるよう、状況に応じた治療と仕事の両立支援・就労支援等に取り組むと記載しています。
21ページ目【小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策】ですが、小児期から配慮が必要な疾患があると記載し、移行医療支援の体制整備、療養生活に係わる相談支援及び疾病にかかっている児童の自立支援を推進すると記載しています。
22ページ目から23ページ目にかけて「(3)循環器病の研究推進」として、現状には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)通じて、基礎的研究から実用化のための研究開発までの各研究段階において、その推進が図られていると記載し、また、厚生労働省においては、科学的根拠に基づいた行政政策を行うため、健康寿命の延伸に資する施策の根拠となるエビデンスの創出や生活習慣病の治療の均てん化を目指した研究等を推進すると記載。
23ページ目からは、取り組むべき施策を記載しております。
25ページ目からは「5.その他の事項」として「(1)関係者等の有機的連携・協力の更なる強化」を、9行目からは「(2)都道府県計画の策定」を、30行目からは「(3)必要な財政措置の実施及び予算の効率化・重点化」を、26ページの9行目からは「(4)基本計画の見直し」について記載しております。
○桑原課長補佐 続きまして、参考資料を御覧ください。
1ページ前に戻っていただきまして、まず、参考資料1は循環器病対策基本法の全文です。
続きまして、参考資料2はこれまでの協議会において使用していた各省庁提出資料に加えて、最後の3ページに、前回の協議会で頂いたご意見に関する資料として、がん対策推進基本計画との比較、循環器病の研究費についてのまとめがございます。
続いて、参考資料3ですが、川勝委員から提出していただきました「脳卒中を経験した当事者の声」となります。
また、机上配付資料として、磯部委員から提出していただいた「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全診療ガイドブック」の未定稿を入れております。
また、本日欠席の堀場千秋委員から御意見を頂いております。御本人からの御希望により、書面資料ではなく、頂いたメールを事務局からの代読とさせていただきます。
いつもお世話になります。堀場です。
循環器病に関する適切な情報提供・相談支援につきまして、以前、私から話させていただきました内容を反映いただき、ありがとうございます。
内容につきまして、おおむね思っていたことを文面にしていただいておりますが、可能でありましたら、1点、追加、御検討いただきたい点がございます。
18ページ20行目、取り組むべき施策の中の「患者やその家族が必要な情報に確実にアクセスできるよう」とありますが、必要な情報に「急性期から確実にアクセスできるよう」という時間的な文言を入れていただけないでしょうか。文言としては細かいところですが、私の体験として、急性期の最初のサポートが一番必要だと感じていたことから提案させていただきました。
計画の内容は了承いたしました。お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、資料1について、御意見を頂きたいと思います。時間は80分ございますが、区切って御議論いただきます。
それでは、最初の15分間で「1.はじめに」から「3.全体目標」までについて、御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
この基本計画ができた後、具体的な施行計画みたいなものはさらにつくり込んでいくのかどうかということが1点。要するに、具体的に何をするか、もうちょっと書き込んでもらわないといけないのではないかということが1つ。
それから、3ページ15行目の「循環器病の多くは運動不足、不適切な食生活、喫煙」ということですけれども、今回のコロナ下で、現場で診療していると、本当にみるみる患者さんの健康状態が悪くなっていく。外出して運動もできずに部屋の中にずっといなければいけない、糖尿病など生活習慣病の方は運動不足で悪くなっている方も多いということで、それをもう少し支援する具体的な言葉があってもいいかなということ。
あとは、どうしても現場の先生方にとっては、診療報酬の加点につながることでないとなかなか動けないということもあると思います。日本医師会でも健康スポーツ医の制度をつくっていますけれども、なかなか多くの先生が取り組んでくれない。それに対して、産業医のほうは多くの先生が取り組んでいる。両方とも大事であることは理解されていますが、やはり金銭的なバックアップがきちんとある。こういうことをすると、こういう診療報酬の点数が取れるということがある。
糖尿病学会の先生とお話ししましたけれども、入院中は脳卒中でも心臓病でも心不全でも糖尿病でも診療報酬の点数は加点されるのですけれども、外来に行くと運動療法については加点がないということがあるので、何らかのバックアップをしてもらえないか。健康局からも動いてほしいなと思うところであります。
あとは、また次のときにお願いします。どうもありがとうございます。
○永井会長 今の具体的な進め方というのはいかがなのでしょうか。
どうぞ。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
この計画を踏まえた今後の進め方という、スケジュールも含めてでございますが、協議会でこの計画をつくっていただきますと、この後、パブリックコメントという形で広く国民にこの計画について御意見を求めるフェーズがございます。これは最終的に閣議決定、政府として決定するものでございますので、その後、政府内で閣議決定に向けた諸手続をさせていただくという段取りを経て、なるべく早く計画案として仕上げていきたい。このプロセスの中で、いただいた国民の御意見につきましては、委員の皆様にきちんと情報共有し御意見を賜りたいと思っております。
また、計画の中身について、羽鳥委員から御指摘を頂きましたが、がんの基本計画も横目で皆さん御覧いただいて、前回も含め御意見を頂いたと理解しております。こういった基本計画において、取り組むべき施策の中身については、例えば個別施策の議論になろうかと思いますが、その中でこういったことについて検討を進めるとか、こういった内容について充実を図るということを、書かせていただいております。具体的な手法については、さらに事務局の中で精査をさせていただき、本協議会で先生方に御発言を頂いた内容を踏まえて設計をさせていただきたいと思っております。
○永井会長 ありがとうございます。
診療報酬のことはここに書けるのでしょうか。
○丸山課長補佐 再び失礼いたします。事務局でございます。
診療報酬については、御承知の先生もいらっしゃるかと思いますが、別に法律で定まった中央社会保険医療協議会というところがございます。報酬設定、どういった行為について点数設定をするかというのは、そちらの所管となっておりますので、私ども健康局がん・疾病対策課が取りまとめ課として、今の羽鳥先生の御意見について承らせていただきたいと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
横田委員、どうぞ。それから、山本委員、次にお願いします。
○横田委員 横田でございます。
私が不勉強でよく理解できないせいだと思うのですが、5ページの19行目から21行目の文章が分かりにくいと思います。循環器疾患では、予防から発症後の急性期、回復期、慢性期の後に再発するのではないと思います。発症後比較的短い時間内でも再発があり、重症化予防が重要です。ここの考えは非常に大切だと思うのですが、円環状の対策という表現が私はぴんと来なかったので御解説いただきたいと思います。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
この部分につきましては、以前の協議会で、がんとは若干異なって循環器病の特徴的なものとして、発症で急性期、回復期、慢性期で終わるのではなくて、また再発があるというようにぐるぐる回って患者さんが体験なさっていくということがございます。循環器病は1回通ったら終わりという意味ではなくて、その一環とした対策が必要なのだという意味で「円環状」という表現を用いたわけでございます。そういったことを踏まえた対策という趣旨でここは書かせていただいております。
○横田委員 いや、円環状というと、維持期、慢性期まで来て、また再発というイメージを取られてしまうのですけれども、急性期にでも回復期にでも再発するという意味で円環状という言葉が適切なのかどうかという意味の質問です。
○永井会長 サイクルを描くということだと思います。今までの考え方がリニアモデルで立てられてきたので、それに対する考え方として、特に循環器病は終わりがないのだということを意味するために円環という言葉が使われたのだと思います。何か表現を考えてみたいと思います。
○横田委員 私だけかもしれませんが。
○永井会長 これは基礎研究に戻るという意味もあるのですね。
ほかにいかがでしょうか。
山本委員。
○山本委員 3ページの循環器病の特徴のところで、15行目から「循環器病の多くは」というところがあるのですけれども、経過が予備群から生活習慣病を発症し、重症化して、生活機能が低下し、要介護状態が進行していくと書いてあって、それはそうなのですけれども、実際の予防が非常に難しい一つの特徴は、かなりの部分まで潜在的には進んでいるけれども、症状が出ないので、本来患者さんであるはずの人が自分は患者ではないと思っていることが多いということです。
それがある日突然、急性期というか、顕在化して、顕在化したときには非常に悪い状況に一気に進む。見た目健康そうだった人が急に病気になるというところで、なかなか予防の啓発が難しいということが一つあるので、それを書き込んでいただけるといいなと思います。
あと、21行目からの3行のところが、突然死に至ることがあるという、確かに突然死に至ることがあるのですが、実際、脳卒中になった患者さんに再発予防の指導をしているときに結構おっしゃるのが、次になっても私は死んでも構わないのですと。つまり、太く短い人生でいいのですとおっしゃる方が結構いらっしゃるのですが、それは実際には死亡率は非常に低くて、ほとんど死なずに、ただし再発するともっと機能予後が悪くなるということをこちらとしてはお伝えして、理解していただいて、どれだけ再発予防が重要かということを説明するというのが結構多くの患者さんと医者の間で繰り返されるのです。
なので、突然死に至ることもあるけれども、むしろ多くの場合、その後、生活にも支障を来すような予後不良とか後遺症とかというものを残すことがあるということを強調していただくほうが予防しなければならないという意欲をかき立てるのではないかと思いますので、その辺をお願いしたいと思います。
○永井会長 これは17行目、18行目辺りで要介護状態へ移行していく方がいること、突然死は、重症化、合併症、生活機能の低下、要介護状態になる大きな変動になることの一環として読み取っていただければと思うのですが、もう少しこの辺も強調するとよいと思います。
○山本委員 そうですね。何か分かれていて、急性期のところの一番の心配は突然死であるという感じに読めるのですけれども、実際には、特に脳卒中はほとんど死にませんので、突然死を予防しているのではなくて、機能予後を改善させるために急性期治療をしているという目的のほうが強いので、そこも少し入れていただけるといいなと思いました。
○永井会長 どうぞ。
○峰松委員
4ページの頭に新型コロナウイルスに関する記載が4行ほど書いてあるのですが、これ以外にも新型コロナウイルス絡みの記載が8ページの20行目ぐらいに1か所、15ページの8行目、そのページの最後の35行目、合計4か所に少しずつ記載がされています。書いてある内容自体は正しいのですが、これは今までのこの協議会で全然議論してきませんでした。新型コロナは刻々と状況が変わっていて、多分、この基本計画が閣議決定された段階でこれらの文言が通用するかどうかも疑問です。
ただ、この御時世ですし、実際に新型コロナウイルスの循環器病に対する直接の影響、診療体制が壊れた時の悪影響というのは甚大です。今、受診抑制がされているので、生活習慣病、高血圧や糖尿病などの患者の診療がおろそかになって、後々、悪影響が出るのではないかと心配しています。
それから健康診断も抑制がかかっているので、いろいろな意味で循環器疾患に影響があるのは間違いない。しかし、今回のようにばらばらに書いていいものか疑問です。まだオンゴーイングの問題はあるという形で、一つの項目にまとめて書いておいたほうが理解しやすいのではないでしょうか。
○永井会長 ありがとうございます。
どういたしましょうか。これは少し様子を見て、パブコメの直前の状況でまとめるか、分散するか。できるだけ似たような記載はまとめたほうがよろしいと思いますが。
○峰松委員 情報を集めるほうとしてはまとめて書いてあったほうが分かりやすいと思います。非常に大事な項目なので、これを基本計画に入れていただくのは大賛成です。
○永井会長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 それに絡むのですけれども、私も新型コロナウイルス感染症の関係は基本的には別立てでまとめていただくほうが、何か変わりがあったときにも対処しやすいと思いますので、そちらのほうがよいのではないかと思います。
もう一つは、4ページの新型コロナウイルスのところに血栓症を合併する可能性があると書いてあるのですけれども、実際には、例えばがんの患者さんでも血栓症が多いと言われていますし、あと、若年発症の患者さんで、少ないですけれども、特異な原因で血栓症が起こるということも、特に若年者、20代から40代ぐらいのところでそういうものもあるのです。でも、それはここには実際には書かれていないのです。
なので、例えば4ページのところを、新型コロナウイルス感染症もそうなのですけれども、そのほか、がんとかほかの疾患から血栓症リスクが高まることがあるということも包括的に書いていただけるといいかなと思っておりまして、特に小児ではない若年の患者さんで血栓症を起こす方というのは大抵かなり珍しいというか、ほかの病気があって血栓症を起こされるということが多いので、今はほとんどそういうことが書かれていないので、ちょっとだけでもここに書いていただけるとありがたいかなと思いました。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
では、そちらから。その後、早坂委員。
○横山委員 3ページ目の16行目、17行目で生活習慣病の予備群、生活習慣病発症、重症化等と書いてあるのですが、この表現は生活習慣病対策でよく使われる表現で、脳卒中なども生活習慣病なのですけれども、ここで言う生活習慣病というのは高血圧等のリスク因子を普通は指すと思うのですが、これはそういう趣旨でよいでしょうか。
それと、この表現でそれがちゃんと正しく伝わるかということがちょっと気になるので、例えばそこに書くのも大変なので、出典、参考となるものを引用するという形にしてはどうかと思います。
○永井会長 これはなかなか難しい問題ですね。循環器病の動脈硬化とか脳卒中、心不全、虚血性心疾患も生活習慣病と言うこともあれば、糖尿病、メタボを中心に言う場合もあります。なかなか区分けは難しく、多少曖昧でも読み取れるようにというつもりで書いていると思うのですが、いかがですか。
○桑原課長補佐 10ページ目の現状のところに生活習慣病の定義として、高血圧、脂質異常症、糖尿病などという形で書かせていただいております。そちらを生活習慣病の中身として考えております。ありがとうございます。
○永井会長 虚血性心疾患と脳卒中は生活習慣病ではないという理解でしょうか。
○桑原課長補佐 生活習慣病の中に大きな枠で考えると循環器病も入ってくるのですけれども、本計画の中で生活習慣病という言葉については、前述の内容を主に考えています。○永井会長 そうしたら、この定義を前に持っていかないといけないですね。
○横山委員 最初のところに。
○桑原課長補佐 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 どうぞ。
○森課長補佐 追加のご説明をさせていただきたいと思います。今、事務局からの説明がありました10ページ目のところの個別的な内容と、永井先生から御指摘いただきましたもうちょっと大きな概念としての生活習慣病というところで、個別具体のことを書き込むのは10ページ目で書かせていただいて、それ以上の概念的なところを前のところで表現したという意図がございましたので、念のため申し添えさせていただきたいと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○早坂委員 7ページの22行目なのですが、地域包括ケアシステムの構築を推進することでと書いてあるのですが、地域包括ケアシステムは4ページの19行目の説明だと「高齢者が」ということで、高齢者に特化しているので、3ページの6行目からも書いてあるように、もう少し全世代的な包括ケアシステムということを入れたほうがいいと思います。
例えば全世代を含むとか世代を超えてとか、何か形容詞的なものをつけて、若年層に対するシステムが構築されることという文章がここに入ったほうが幅が広く、いいのではないかと思います。ただ、どうしても言葉の定義があるので、どう入れるかが難しいかとは思いますが、1点、そこです。
○永井会長 今の点、事務局、いかがでしょうか。
○峰松委員
今のは私も発言しようかと思っていました。ここに書いてある地域包括ケアシステムの響きは非常にいいのですが、介護保険法を法的根拠にして作られたシステムなので、40歳以上の被保険者が対象です。より若い人たちが抜けて社会問題になっています。その視点をきちんとしておかないと不満が出てくると思います。ここは本当に全世代をカバーできるように、大きな枠組みとして地域包括ケアシステムを利用しつつ、さらに世代を広げていくのがよいやり方かなと思うので、その視点はぜひ入れていただきたい。
○永井会長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○丸山課長補佐 まさに今、申し上げようと思ったことを峰松委員におっしゃっていただいたのですが、御趣旨を踏まえて、関係部局と表現ぶりについて相談させていただきます。
○永井会長 また戻ることもあると思いますが、次に「4.個別目標」、冒頭の循環器病の診療情報の収集・提供体制。
○峰松委員 川勝委員から意見があるようです。
○永井会長 どうぞ。
○川勝委員 今日は参考資料としてお出しさせてもらったのですけれども、私どもの脳卒中協会で当事者の声をまとめました。かなり大量なものですから、これは全てお話をするつもりはありません。
今回、私どもがまとめたのは、患者の声もしくは御家族の声で、何が困っているのか、これまで国として調査がなされていないので、助ける意味で脳卒中協会がさせていただいたということで、昨年以来調査をして、360名ぐらいの方の御回答を頂戴している。その生の声がここに入っておりますので、また見ていただければと思います。
集約をいたしまして、その中で感じたことで、今のテーマで言いますと、全体目標の「(1)循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」。ここを私はとても重要視しておりまして、とても大事だと思っていますけれども、この計画の中にぜひとも追記してほしいのが「後遺症や障害」という言葉です。これは非常に困っているわけですね。だから、困っていることは何かというのが気づいていただける計画にしていただきたい。
ですから、例えば7ページの7行目にあります「循環器病の予防や正しい」の間に「予防や疾患に関する」ということで、疾患全体を捉えていただいて、13行目の後に「循環器病がもたらし得る多様な後遺症や障害に関する知識も普及させることで、患者が自分らしい生活を送れるような環境整備に努める」などと入れていただくとよいかなと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。
では、ちょっと時間が押していますので、次の「4.個別目標」から4の【循環器病を予防する健診の普及や取組の推進】までの間について御議論いただきたいと思います。
羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 12ページ目18行目の生活習慣病の予防及び早期発見で、いわゆる特定健診・保健指導の話が出ておりますが、特定健診というのは、例えば心電図は必須ではないのですが、特定の被験者の90%で心電図の検査は行われています。心電図の検査をもっと有効に役立てると循環器対策に役立ちます。
例えば心房細動という項目を特出しして、心房細動がどのぐらいあるかという調査でもいいと思います。心房細動に特化して症例調査をするのも有効です。特定健診をされるなら、項目の見直し、統計をしっかり取るということ。今、身長、体重、腹囲とか、脂質のこと、糖尿のことはあるのですけれども、循環器の特定健診のデータの取り方が圧倒的に不足していると思うので、そこに特化したことをやっていただけたらと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
特定健診は結局、循環器病を減少させるというのが大きな目的になっているということなのです。そこをよく踏まえた計画にしておいたほうがいいと思います。
磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 今の羽鳥委員、永井先生のご意見の追加です。同じところで、12ページの取り組むべき施策のところを見てみますと、この特定健診の実施率を向上させることが目標のように書いてありますけれども、生活習慣病なり、循環器病を予防する、早期発見するという観点からは、心電図もそうですし、血液のBMP等、健診で早期発見できるツールというのは幾らもありますので、実施率だけではなくて、内容についても言及していただいたほうがいいのかなと思いました。
もう一点、戻りますけれども、啓発のところで11ページの取り組むべき施策のところですが、この会議の議論でも学校教育なり義務教育の中で啓発をするという議論があったかと思います。9行目に子どもの頃からの普及啓発とございますが、もう一歩進んで、学校教育の中にこういうものを組み込むという視点が入れられないものかなと思いましたので、御検討いただければと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
羽鳥委員。
○羽鳥委員 それに関して、僕も磯部先生と全く同じ考えです。例えばそれこそがん対策のときにはがん対策基本法の中にがん教育というものがあって、今、がん患者さんとか地域のがんの専門の先生が各学校を回って教育を行っていますね。1時間でも2時間でも触れるということもとても大事ですけれども、やはりちょっとがんに特化しているので、循環器についても同じようなことを教育の面でやるべきではないかと思います。それはぜひ特出ししていただきたいと思います。
○永井会長 美原委員、どうぞ。
○美原委員 美原です。
12ページの31行目から32行目のナッジ理論というのは、僕はよく分からないので、説明を入れていただければと思いました。
○永井会長 いかがですか。
○丸山課長補佐 これに限らず、専門的な用語に関して、きちんと国民が分かりやすいように脚注等々を入れるようにという御意見を他の委員からも既に頂いておりますので、対応させていただきたいと思います。
○永井会長 山本委員。
○山本委員 10ページの18行目から心房細動のことがあって、その次に「さらに下肢末梢動脈疾患のように」というところがあるのですけれども、私の思っている理解だと、どちらかというと、下肢末梢動脈疾患のほうは動脈硬化が進展して起こることのほうが多いのかなと思って、心房細動とこれを並べる意味がよく分からなかったのです。どちらかというと、ここは予防に特化した話ではないのかなと思いましたので、下肢末梢動脈疾患を治療すると何かが予防されるということではないと思いますので、確認して、もう少し場所を考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
○永井会長 そうですね。これはちょっとバランスが悪いですね。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○木幡委員 木幡です。普及啓発について少し申し上げたいと思っています。
先日も、うちの社員が突然、循環器病の疾患で亡くなるということがございました。やはりそのときにみんな、こういうことが起きるのだと初めて知る。普段、全く症状もなく、健康に番組制作をしていた人間なのですけれども、ですから、改めてそこで私も気づかされたのですが、誰もが発症するリスクがある。一方で、みんな自分事と全く思っていないので、やはり普及啓発の部分に、自分も予備群、あるいは既にもしかしたら発症しているかもしれないということも含めた普及啓発。そういう文言も少し盛り込んだほうがいいのかなと思います。症状がない人、今、健康に不安を感じていない人も対象にした普及啓発というものもすごく大事になってくるのではないかと思います。
ですので、戻りますけれども、7ページのところに全体目標の1として書かれている正しい知識の普及啓発という部分は、この文章を私も読んでみたのですが、分かりやすく書かれているとはちょっと思えない。すごく難しい漢字も多いので、パブリックコメントなどにかける場合でも分かりやすいように、今、私が申し上げたようなことも少し盛り込んで、本当に誰もがもしかしたらリスクを抱えているということが伝わるような分かりやすい情報発信をしていただきたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○安保委員 リハビリテーション医学会の安保です。
17ページ18行目の脳卒中患者においては、地域連携クリティカルパスを活用とあるのですけれども、実際のところ脳卒中パスは、最初の頃は非常によく使われていたのですが、診療報酬がつかなくなったことから、最近は使われていない。ただ、リハビリテーション医療というのは急性期からずっと持続するというものですから、これを機に、こういうパスを使ったほうがいいというものを提示していただくようなコメントも入れていただければ非常にありがたく思います。
というのは、評価としては、急性期から維持期までずっと同じようなスコアでつけたものはないのです。なので、NIHSSはじめ、ずっとつけるべきだというものを示していただければ非常にありがたいと思います。それで、データを活用するということもうたっていますので、ぜひともクリティカルパスをうまく利用できるように、もう少し詳しく書いていただければと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
川勝委員。
○川勝委員 今のリハビリに関して、私どもの調べた患者の声を見て感じていることですけれども、そもそも急性期、回復期、維持期と途切れてしまっているというか、すごく壁があるのです。だから、患者の情報はつながって伝えられていないのです。それで、急性期が終わって、次に回復期。では、患者さんは、後は好きにして、うちの病院はここまでという流れになり、患者情報が途切れてしまっている。だから、シームレスになっていないわけです。
それも現状で指摘すべきだと思うのです。そういう現状にあることを認めて、今のパスの活用だとかということも踏まえた結論にしたほうがいいかなと感じます。
○永井会長 磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 パスの話題が出ましたけれども、確かに連携パスは随分つくられていて、心不全もそうだし、脳卒中もそうだと思うのですが、なかなか現場で使われません。その理由の一つは、恐らくパスは単に診療情報提供書みたいな概念で使われていることがあるのですけれども、実際にはこれはシステムであって、それを評価するような地域の連携をするために、地域の医師会あるいは協議体のようなものをつくって管理をしていかないと、連携パスは単に紙をつくっただけでは進まないのです。
ですから、15ページの最後のかかりつけ医との連携が適切に行われるようにというものが27行目からあると思いますけれども、もう少し一歩踏み込んで、地域の連携の協議体あるいは協議するような場、システムをつくっていただかないと、ツール等の活用だけではないと思います。それを生かすようなシステムづくりまで含めないと、結局たくさんパスはできるのですけれども、診療報酬がつかないこともありますが、進んでいきませんので、そこにそういった概念を少し入れていただけないかなと思います。
私はかかりつけ医のためのガイドブックを厚労省の研究班で作成中で、資料として出させていただきましたけれども、そこにも今後のかかりつけ医と医療連携ということで、パスというものにはそういうシステムが必要だということを盛り込ませていただきましたが、その辺を御検討いただけないかなと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。また、あと全体の議論に戻りたいと思います。
○峰松委員 今、議論していたのはどこまでなのか。前半だけのつもりだったのが後半の話になってしまって。
○永井会長 循環器病予防の普及・取組の推進までです。4の(2)までです。
○峰松委員 12ページですね。だから、今、それ以降の話をされていたので。
○永井会長 その次について、今度は【救急搬送体制の整備】から【リハビリテーション等の取組】までについて御意見を頂きたいと思います。4の(2)の中です。
横田委員、どうぞ。
○横田委員 横田でございます。
ここに書いてあるとおりなのですけれども、特に13ページの15行目、地域においてより広域のネットワーク体制ということで、消防組織あるいは救急隊組織だと道路一本隔てると行政区域が違うということで、直近の適切な医療機関ではなくて、行政の中の範囲で救急搬送が考えられるということがあります。ここはもう少し踏み込んだ表現として、例えば都道府県の枠を超えてだとかという表現が使えないかどうか。市町村の行政の境界を超えてとか、そんな意味合いが出せると非常に適切な医療機関へ適切な時間内に患者さんを搬送できるという意味が伝わってくるのかなと思うのですが、その辺、お考えいただければと思います。
○永井会長 今の点、非常に根本的な問題ですが、いかがですか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
まさに今、横田委員がおっしゃっていただいたとおり、現存の提供体制というものがございます。医療について基本的に都道府県単位というものがある中で、より広域の連携ができないかという御趣旨だと思いましたので、そこについては救急を所管する課と相談をさせていただきたく存じます。
○永井会長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 今、横田委員が御指摘されたことは、たしか、この循環器病対策推進基本法ができる一つのモチベーションが、やはり厚生労働省だけではなくて、救急医療をつかさどっている総務省とか、その辺りにも係るような法律が必要だということでこれが制定されたと思います。そこに関わることですので、やはり基本計画の中にはその趣旨は入れていただければと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○峰松委員 ちょっと飛びますけれども、16ページの社会連携に基づく云々というものがあります。実はこの社会の問題は最初のはじめとか今後の課題のところで触れられていなかったので、この社会的支援については、戻りますけれども、5ページの33行目辺りに疾病と共生していくための云々と書いてあるのですが、この共生というものが全然説明もなく書かれていて、しかもそれが深掘りされていなくて、実はこの共生というのは社会復帰とか就労支援とかといったところを指すものだろうと思うのですが、それに関する記載を数行書き込んでいただいた上で、今、私が触れた16ページの社会連携に持っていくという形にしていただければ非常にありがたいと思います。
共生というのは、例えばがん対策基本法でもすごく大事なキーワードとして使われています。当然、循環器病も病気になった人たちが社会で生きていくというのは非常に大事な視点なので、そこは最初に触れた上でこの16ページで展開していただきたいです。
その16ページの中身ですけれども、先ほどちょっと触れましたけれども、既存のいろいろな法律があるのですが、それのはざまにある人たちが結構いらっしゃって、それをカバーする方法が必要です。例えば具体的には介護保険、障害者総合支援法による施策等が行われています。しかし、若くて介護保険の対象外、重症ではないので障害者認定を取れていないが障害はちゃんとあるとか、それから、失語症の問題などは本当に障害認定が取りにくいので、そういう人たちが何をよりどころにしていいのか分からない。それを何かカバーするような方策をこの法律の中で具体的なものとして取り扱ってほしい。16ページの7行目以降にそういった内容を入れ込むスペースがあるのではないかと思います。
これは先ほど川勝委員が触れられた患者さんの声、言葉の中で物すごくたくさんあったのです。実際に困っていらっしゃる方がいて、この法律はそれを救済し得る、既存の法律にないものを総合的にやっていける余地があるので、具体的にそういう内容のものを書いていただければありがたいです。
○永井会長 ありがとうございます。
事務局、今の点、よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
早坂委員、どうぞ。
○早坂委員 文言なのですが、17ページの4行目のところで、リハビリテーションのことなのですが「再発予防や重症化予防等を目的とした」とあるのですが、重症化予防の後に「生活再建等」と入れていただければと思います。やはりリハビリテーションは病気の悪化を予防するだけでなく、生活を立て直すというニュアンスがあるので、その言葉を入れていただくほうがいいかと思います。
それと、17ページの31行目に「地域の医療資源を効率的に用いて」とあるのですが、介護保険とか障害福祉のサービスとかもあるので、ここは医療資源ではなくて「社会資源」としていただくほうが幅が広がるのではないかと思います。
この2点です。
○永井会長 今のは何行目でしたでしょうか。
○早坂委員 下のほうは31行目です。
○永井会長 地域の医療資源ではなくて。
○早坂委員 地域の社会資源。
○永井会長 社会資源ですね。
○峰松委員 医療から社会のほうに発展していく。そこを一緒にやるようになった。
○早坂委員 そうです。そういう意味です。
その2点です。
○永井会長 それでよろしいですね。
磯部委員。
○磯部委員 17ページの今のリハビリの最後の28行目からのところになりますが、リハビリテーションは効率的にという文言があって、多職種が連携する体制と書いてあって、これは大変結構なので、このとおりなのですけれども、私どもAMEDの研究班で心臓のリハビリテーションが特に心不全の後、いかに進んでいないかということを調査させていただいたのですけれども、その中のデータで結局、人的資源が足りないということがございました。リハビリの指導士とか慢性心不全認定ナースの活用とかといった職種の有無によって、その施設の心臓リハビリテーションの普及度が全然違ってくるという発表をさせていただいています。
こういった資源を効率的に用いて多職種が連携するのは当然なのですが、そういった人的資源を有効に活用する、あるいは量的に増やしていくという方向性が必要だと思います。それから、施設についても、心臓リハビリテーションは今、病院に来ていただいてやっているわけですけれども、今の施設数では特に高齢の心不全の患者さんのリハビリテーションを行っていくことは、施設数的にもキャパシティー的にも到底足りないというのが現状だと思うのです。ですから、量的あるいは人的資源の有効活用あるいは数を増やしていくといった概念も入れていただけないかなと思います。
○永井会長 そうすると、社会資源の強化というのが、何かボリューム感を少し増すという文言が欲しいということですね。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、続いて、4の(2)のうちの【循環器病に関する適切な情報提供・相談支援】から4の(3)循環器病の研究推進までお願いいたします。
山本委員。
○山本委員 文言の問題なのですけれども、19ページの24行目のところ「手足の麻痺、失語症、摂食嚥下障害、てんかん、高次脳機能障害等の後遺症」という言葉、それから、29行目、30行目の「失語症者に対する意思疎通支援、高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援」となっているのですけれども、失語症が特出しされていることがいけないわけではないのですが、失語症は高次脳機能障害の一種なので、例えば「失語症をはじめとする高次脳機能障害等の」と書いていただく。それから、その下のところは、例えば高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援で、例えば括弧して「失語症に対する意思疎通支援をはじめとする」みたいな感じで、一応カテゴリーとしては同じものだというふうに書いていただけるとありがたいと思います。
あと、失語症を含む高次脳機能障害者に対する専門的な相談なのですけれども、ここは物すごく一律ではなくて、一人一人、症状がかなり違っていて、いわゆる手足の機能麻痺とかよりもさらにバラエティーが多いところではあるので、専門的なというか、ニーズに合わせたというような、きめ細やかな対応ができるような文言を少し入れていただけると、今、こういう症状を持っていらっしゃる患者さんは本当にいろいろなことで困っているというか、通常、我々が分からないところで困るというのがあるので、そういうきめ細やかさを出せるような形で書いていただけるとありがたいと思います。
○永井会長 峰松委員。
○峰松委員 今の失語症の話ですが、これは法律の附則に、この法律ができる段階でいろいろもめたために付け加えられたものとして、第3条の中に「てんかん、失語症等の脳卒中の後遺症を有する者が適切な診断」ということで、実はてんかんという言葉と失語症というのは特定のキーワードとして法律にあるので、それが生かされていると思うのです。
ただ、実際はてんかん、失語症だけではなくて「等の後遺症」ということなので、さっき言われたようにもっと広い範囲で、単に手足の麻痺だけではなくて、そういうものもありますよという意味での書き方だと思うので、文言の書き方を工夫していただければ十分、今の話も通用するのではないかと思います。
よろしくお願いします。
○永井会長 よろしいでしょうか。
小室委員、どうぞ。
○小室委員 研究のところで、23ページの取り組むべき施策のところに追加していただきたいことをお話しします。
循環器の研究を大きく発展させるためにはゲノム研究というものが一つあるかと思いますけれども、もう一つはやはりオミックス研究をするべきかと思います。オミックス研究をするためには組織、つまり心臓や血管が必要です。そこで詳細な診療情報を併せ持った生体試料、血液サンプル、ゲノムサンプル等を体系的に収集・集積するバイオバンクの拡充をぜひ推進していただきたいと思います。
今、国立循環器病研究センターでもバイオバンクが立ち上がっていると思うのですけれども、なかなかまだそれほど大きなものになっていないので、そこに生体試料が集まれば研究は一気に進むと思いますので、ぜひバイオバンクについて入れていただけたらと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかに。
磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 21ページの小児から若年期のところはよく書き込んでいただいて大変ありがたく思っています。その前の項には、子供に限らず一般的な就業支援の話があります。小児のところは非常に踏み込んで書いてはありますけれども、これは基本的に医療や福祉に関することが中心です。先天性心疾患で手術をして、成人して、就業できなくて困っている患者さんはすごく多いのです。
小児からの移行医療という言葉も使っていただいたので、医療については大変重きが置かれていますけれども、一歩踏み込んで、就業につきましても就業支援とか、職業訓練とか、その患者さんの病態、身体に合った就業形態の研究を進めるとか、そういったことを少し入れていただくと、医療に加えて社会生活をさらに豊かなものにしていかなければいけないということが分かっていただけると思うので、御検討をお願いしたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
早坂委員。
○早坂委員
18ページから19ページにかけてなのですが、まず18ページの3行目に「精神的・心理社会的な悩み等に対応していくこと」と書いてあるのですが、これだとちょっと言葉が似ているので、精神的というより、患者さんの相談内容で多い経済的問題を入れていただくといいかなと思うのが1点です。
2点目は、7行目の「多岐にわたる視点がある」という終わり方なのですが、これは「相談支援については」という始まりなので、これは「多岐にわたる」で止めていただいて「視点がある」はなくていいかなと思います。
あと、相談支援に関してなのですけれども、20行目になるのですが、アクセスするというだけではなくて、アクセスした後にこういう一文を入れていただけたらと思います。「情報にアクセスしたら、その情報を活用しながら問題解決に向けられるよう」とか「問題解決に向けられる体制をつくる」とかということで、情報にアクセスした後にどのようにできるかという一文を入れていただいたほうがいいかと思います。原文のほうを取ると「生活の質が維持・向上できる」という言葉はあるのですが、それだとちょっと概念が大き過ぎるかと思うので、問題解決に向けられるよう、につなげていただくといいかと思います。
続けて申し訳ないのですけれども、19ページの【循環器病の後遺症を有する者に対する支援】の現状のところなのですが、22行、23行のところに「必要な福祉サービスを受けることができることとなっている」と書いてあるのですが、ここは必ずしも多くの方は受けられるのですが、受けられていない方もいらっしゃるので「十分とは言えない」とか「若年層については課題が残る」とか、現状で受けることができない場合があるというニュアンスをここに残していただけたらと思います。
それと、さっきのところとつながるのですが、取り組むべき施策は、失語症とか高次脳機能障害に限らず、やはり専門的な知識のある相談窓口が欲しいという声があるので、できれば19ページの29行目の「失語症者に」という前の段階に専門的な知識のある相談窓口の設置ということを、さっき先生がおっしゃったようなニーズに合わせた個別的な支援とかというものを入れていただけるといいかと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかに。
川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 今のお話と関連するかもしれません。17ページの最終行【循環器病に関する適切な情報提供・相談支援】の項目ですけれども、現状分析が私どもの把握した現状からすると、この分析では足らないと思っています。結論から言うと、生活費の相談窓口がない、もしくは十分な情報が提供されていないことで患者・家族が行き場に迷っているという実情があることが分かりました。ですから、現実に医療機関とか地域包括支援センターで相談支援が実施されているのですけれども、そういう必要な情報を患者・家族が把握できていないという実情がどうもあるようです。
そのために、取り組むべき施策の20行から25の辺りを全部カットしていただいて、例えば市町村、地方公共団体、地域の医療機関・福祉機関、地域包括支援センター等が連携・協力をしながら、情報を収集し、提供していく体制を整えるとか、その表現で強く書いていただければありがたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 循環器病の研究推進のところで、ゲノムとか再生医療とかAIとか書いてあるのですけれども、今はやりのビッグデータのことは何も書いていないなと思いまして、循環器病の研究で、コモンディジーズ(common disease)ですので、やはり非常に大規模データの解析が多分、一番なじむ領域の一つだと思いますので、そこは書くのが自然ではないかと思いましたので、一つ入れておいていただけるとどうかなと思います。
○永井会長 羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 僕も同感です。小室先生も山本先生もおっしゃっていましたけれども、今回、医療基盤法が成立しましたね。医療基盤法は今、京大の千年カルテとか、日本医師会も先週通過したのだと思いますけれども、また他にも出てくると思うのですが、この医療基盤法のデータを使えば診療データ、レセプトデータ、デジカルテのデータとゲノムとかバイオバンクのことも使えるようになると思うので、ここの中で一言も出てこないので、それについてもう少しきちんと調査して、まさにこの循環器の疾患が一番ふさわしいところだと思うので、最初のトライとしてぜひここを取り上げていただけたらと思います。
以上です。
○永井会長 小室委員。
○小室委員 私も同じことなのですけれども、23ページの2行目にAIによる画像診断などと書いてあるので、この「など」に全て含まれているかなと思ったのですけれども、やはりここははっきりと、今おっしゃったように、循環器患者ほど一患者の情報が豊富な疾患はないと思うので、そこにビッグデータやエンドフェノタイプがあるので、それをAIによって診断したり解析する。さらに、ここに「ゲノム解析や」と書いてありますが、ゲノムのビッグデータと臨床情報のビッグデータを統合することによって爆発的に研究が進むので、そのような書きぶりにしていただけたらと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、続いて、その他の事項について御議論いただきたいと思います。
中谷委員、どうぞ。
○中谷委員 岡山県の中谷です。都道府県の立場から発言をさせていただきます。
この国の計画が策定された後、都道府県のほうで計画を策定していくことになるのですが、皆さん御承知のように、今年度はコロナの対策をそれぞれの自治体でもやっておりまして、また、その関係する医療機関の方や関係機関の方はお集まりいただくこともなかなか難しい状況で、実際、地域医療構想の調整会議も思うように開けていないという状況でございます。
また、保健医療計画の中間見直しを今年度やる予定になっているのですが、それがコロナの関係で1年猶予をされているという状況でございますので、今回の国の計画策定後に都道府県の計画策定について、また期限などが示されると思うのですが、その策定のいつまでにというところについては少し御配慮を頂ければと思います。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 今のことに関してですけれども、僕も神奈川県医師会理事で公衆衛生担当だったときに生活習慣病の統計などの調査はがん対策と一緒に30分ぐらいしか提示されないのですよ。でも、これだけ立派な法案が通ったら、これはやはりもうちょっと大々的にやってほしいと思います。
25ページの21行目ぐらいにありますけれども、きちんと3年間かけて見直しをかけながらやっていこうということだと思います。がん対策基本法が10年で1回大きな見直しをする、5年で1回中間評価をするというのはあったと思います。
ここはしっかり都道府県にやってほしいこと、郡市区にやってほしいこと、個別のことは後でやるということだったので信じていますけれども、書き込んでいただきたいと思います。見直しをしっかりやるということ、5年おきの中間評価、10年おきの見直しということをぜひお願いしたいと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
横田委員、どうぞ。
○横田委員 それとも少し関係するのですが、25ページの27行目の「進捗管理を行う」なのですが、この進捗というのは3年とか6年で見直すのではなくて途中の進捗管理という趣旨かと思うのですが、そういう理解でよいかということと、それを強調するために、例えば毎年度の進捗管理みたいな言葉を入れてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○永井会長 では、事務局。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
ここの、言わば都道府県がどのように対策の管理をしているかということですけれども、がんの計画でもそうなのですが、毎年取れるような指標もあれば、一定期間をかけて調査をしていただいて、3年に1回ないし2年に1回といったデータもございますので、具体的な内容については今後詰めていきたいと思っております。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。全体を通してでも結構でございます。少し遡って。
美原委員、どうぞ。
○美原委員 全然本質的な話ではないのですが、読んでいてちょっと気になったのが、例えば3ページの上のほうを見てみますと、高いことが知られているが、何々のことにも留意が必要である。ことからことが求められる。ことがことことと、すごく文章の中に多くて非常に気になったのです。3ページもそうですし、7ページもそうです。一般的にことがあるから、何々のことという、ことことがつながる。僕は多少気にかかったので、文章として検討していただいてもいいかなと思いました。
それから、もう一つ、先ほど少し触れましたけれども、言葉の問題で、橋渡し研究みたいに直っていたものもありまして、その前のシーズ研究とかというものもなかなか一般には分かりにくいかもしれないので、分かりやすい言葉にしていただければと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
そのほかに。
木幡委員、どうぞ。
○木幡委員 そもそも、この計画が何のためにあるのかというところで、5ページに書かれております「誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」という言葉がございますけれども、これは分かりやすくてイメージしやすい言葉なのではないかと思いますので、この5ページの26行目に書かれている言葉などを、例えば「はじめに」のところの27行目「こうした状況に鑑み、健康寿命の延伸等を図り」と書いてあるのですけれども、こういう健康寿命の延伸等という言葉よりも、ここにぜひ、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指してこういうことをやっているということをもっと最初のほうに持ってきたほうが非常に分かりやすいのではないかと思いました。
それから、全体目標として、健康寿命を2040年までに3年以上延ばそうという目標が書かれていますね。私が不勉強で申し訳ないのですけれども、これはちなみに今から20年前から今までの間でどのぐらい延びていて、この3年という目標は果たしてどのぐらいの実現性があるのかというか、3年も延ばそうと思っているのか、すごいな、できるかなというものなのか。それとも、3年はいけるのではないかというものなのか。その辺が全然、私は分からないので、この目標の目安という点と、要するに平均寿命にこの健康寿命を近づけたいということですね。もっと健康で長く生きようということですね。だとしたら、日本の平均寿命は今、このぐらいで、その間にギャップがざっくり言ってしまうと10年ぐらいあるので、それをより縮めようということも書いたほうが、平均寿命ということをどこかに書いて、そこを縮めたいのだというニュアンスもあったほうがいいのではないかなと思いました。
○永井会長 事務局、今の点はいかがですか。3年というのはどのくらい可能なのか。長生きすればむしろ開くように思うのですけれども。
○桑原課長補佐 ありがとうございます。
参考資料2の6ページ目を御覧いただいてもよろしいでしょうか。こちらに平成22年から平成28年にかけての平均寿命と健康寿命の延伸の内容が具体的に書いてあります。具体的には平成22年から28年までに、健康寿命は男性で1.72年、女性で1.17年延びております。これは平均寿命よりも長く延びているという現状でございます。
○丸山課長補佐 事務局です。補足です。
この参考資料を御覧いただくと、わずか6年で男性では1.7年、女性では1.17年という延びを出しておるところですが、実はもう少し遡って平成13年、2001年まで戻ると、そこに書いてある平成22年までの約10年の間に大体、女性が1年、男性も同じく1年ぐらいしか延びていないということで、ここ最近、急速に健康寿命自体は延びています。そういった過去の経緯もございますので、この「2040年までの3年」というのがすごく簡単な目標なのか、実は結構大変な目標なのかというのはなかなか評価が難しいところでございます。
○永井会長 宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 25ページの先ほど羽鳥委員が言われたところは私も大変気になっていまして、都道府県計画の策定というのが総論だけしか書かれていなくて、やはり取り組むべき施策などに、少なくとも都道府県における循環器病対策推進委員会を設置するということは書き込まないと、うやむやになってしまうと思います。都道府県において対策協議会をしっかりつくって計画をつくる、PDCAサイクルを回すのだという最低限のことぐらいは書き込んでいただいたほうが私はいいように思います。
以上です。
○永井会長 いかがですか。どのくらいまで書き込めるのか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
協議会の策定や計画の策定でございますが、法律の第11条で都道府県はこういったものを策定しなければならないという義務的な内容になっております。計画の策定にあたっては、都道府県循環器病対策協議会が置かれていれば、そういったものの意見をきちんと聞いた上で策定せよとなっております。どちらかというと、基本計画でマンデートというよりは、既に法律でのマンデートだというふうに事務局としては認識しております。
○宮本委員 ですから、法律に書き込まれているのだったら、この基本計画にしっかり言葉として書いておく必要があると思います。担当者がすごく熱心な都道府県はしっかりやるだろうけれども、そうでないところは対策推進協議会が設置されなければ、みんなが何とかしてくれと言ってもディスカッションする場がないと思います。学会としてはそれをすごく心配していますので、ぜひこの基本計画に書き入れていただきたいと思います。
書き入れてさえいただければ、学会のほうは組織をつくっていますので、そこから都道府県にちゃんとやってくださいということは言えるのですけれども、何にもなかったら意見を言う場所がないわけです。よろしくお願いいたします。
○峰松委員
私も全く同じ考え方で、多分最終的に問題になるのは都道府県による格差が物すごく大きくなる可能性がある。それは、実は地域によっては本当に現場の人たちが困っていて、法律ができたから何とかしようと思っていても、行政がなかなか動けないあるいは動かないという状況があると本当に困る。基本計画が出たら各都道府県単位でいろいろな人たちが動き始めると思うので、ぜひそれに呼応してというか、協力して動けるような体制を都道府県でつくっていただく。それを書き込んでいただければいいのではないか。まず、それで足並みをそろえて、全ての都道府県がそれなりに動くということができれば最初の3年間は成功です。私はそれが最初の3年のゴールかなと思っています。
○永井会長 磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 ちょっと揚げ足なのかもしれませんけれども、先ほど事務局のほうから都道府県の推進協議会をつくることが義務化されているということをおっしゃいましたけれども、法律の21条を読みますと、都道府県は協議会を置くように努めなければならない、と書いてあります。私は法律のことはよく分からないのですけれども、これは義務ということで置き換えられるのですか。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
私の御説明が悪かったのでございますが、計画をつくること自体は11条1項により義務でございます。協議会を置くことについては、磯部委員御指摘のとおりでして、21条で置くように努めなければならないと記載されています。協議会が置かれているのであれば、きちんとその委員会の意見を聞いた上で策定しなければならないと11条の2項に書いてあるというのが法律の構成になっております。
○磯部委員 であれば、宮本委員がおっしゃられたように、この計画案の中にも、都道府県の協議会を置くことを積極的に進めるようなことを入れてもいいのではないかと私も思います。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
そういった意味では、法律に基づいてこの協議会も設置され、運営をさせていただいている次第でして、法律で求めていないこと以上のものを求めるのはなかなか難しいと考えます。法律で求めている範囲でこういったことは努めなければならないという、要は法21条の規定をこちらに掲載させていただいて都道府県に促すということはできるかと思います。
○峰松委員
実はこの法律が通ったときの最大に残された問題がこの点で、ちゃんと協議会を各都道府県でつくっていただければ、それなりに議論されただけでも相当進歩すると思うのですが、それが担保できていません。ただ、これは国の法律と自治の問題があってそこまで踏み込めないという説明を受けて非常に残念な気持ちになりました。であればこそ、全ての都道府県でこの協議会が設置されれば、非常に大きな成果になると思います。基本計画が通った暁には、日本脳卒中協会の都道府県支部から行政をプッシュして都道府県協議会を早くつくれという運動をしようと計画しています。
○永井会長 羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 まさにそのとおりで、磯部先生がおっしゃったように、これは努力義務で、義務ではないのですよ。だから、最悪やらない県は出てくるのだろうなと思うのですけれども、10年ぐらい前に、今は5疾病5事業ですけれども、4疾病5事業が法案として通ったときに、糖尿病は糖尿病対策推進協議会というものができました。がん推進とかいろいろな疾患でできましたけれども、それはできると同時に、医師会もそれに応じて医師会の中にも委員会ができるのです。そうすると、医師会と行政がタイアップして専門家を招きながら動いていくのです。それで1年に1回、2回、県民に向かって公開講座をやったりとか、そういうことがある程度オーソライズされるのですけれども、そうではないとなかなか動けないと思うので、法律は法律でも結構ですけれども、この基本計画の中には都道府県に強く求めるとか、頑張ってほしいなと思います。そうではないと本当に医師会も動けないので、ぜひお願いしたいと思います。
○永井会長 中谷委員、どうぞ。
○中谷委員 都道府県の今後の働きについて御意見がありまして、がんの基本計画をつくる際もほぼ各県ががん対策の推進協議会を県ごとでつくって協議しているという現状がございますので、自治体の立場としてこの法律及び計画を読ませていただいたときには当然、そういう循環器病の協議会を策定して意見を聴かないと、行政だけではなかなかつくれない計画の内容になっていると感じております。
ただ、おっしゃるように、この国の基本計画の中に、都道府県が都道府県計画を策定する際には協議会の意見を聞いてやっていくとか、そういった法律の内容ですが、改めて書いていただくほうが受け止める県としても分かりやすいのではないかと思っております。
以上でございます。
○永井会長 美原委員、どうぞ。
○美原委員 まさに協議会をつくるということはそのとおりだろうと思うのですが、都道府県によって格差がたくさんあるというのももちろんそうであって、例えば今、地域医療計画があって、コロナ対策があって、また脳卒中の協議会ができて、そうすると、県において縦割りになってしまうのです。そういうことがないように、それぞれの今までの法律が融合できるような形で各都道府県が進めてくれるようになってくれたらいいなと思います。
以上です。
○永井会長 ほかにございますでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 ちょっと違う話で申し訳ありません。
基本計画の9ページの7行目にわざわざ「予防(一次・二次・三次)」まで書いてあるのですけれども、これ以降、一次予防、二次予防、三次予防という言葉は全く出てこないのです。特に、急性期医療のところは分かりやすいのです。リハビリのところも分かりやすいですし、患者支援のところも分かりやすいのですが、例えば14ページの医療提供体制の構築の後ろのほうのかかりつけ医との連携とか、16ページにある社会連携に基づくというところのいろいろな関係機関が相互に連携しながらというところは、目的は再発予防だと思うのです。
結構、脳卒中でも、多分、心臓の患者さんもそうだと思いますけれども、一旦なって、その後に薬を出されてそれを飲んでいるうちに、何のためにこの薬を飲んでいるのか分からなくなるということがよくあって、これを飲んでいると麻痺が良くなるのですかと言われて、そんなことはありませんと言ったら、ではもう飲むのをやめますとなってしまうことがよくあって、そうではなくて次にならないように飲んでいるのですということを丁寧に説明しないと目的を失ってしまうことが多いのです。それを、再発予防を目指したことをやっているのだということも、特に慢性期とかの辺りが、何で各関係機関が共同しないといけないのかとか、その辺りの目的は何かというのを少し明確に書いていただくとありがたいかなと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
いろいろ御意見を頂きましたが、どうでしょうか。まだおっしゃり足りないところがおありかと思いますが。
川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 20ページの【治療と仕事の両立支援・就労支援】について、とても大事だと思うので発言させてください。
現状、4行から9行まで書いてあるのです。それで、7、8、9行目に、就労世代などの若い患者においては、7割がほぼ介助をしない状態まで回復するため、脳卒中の発症直後のリハビリを含む適切な治療により職場復帰することが可能な場合も少なくないと。でも、復職を希望してもかなわない患者も少なくないのです。この現状分析は若い世代だけすごく甘い分析をされているのではないかという気がします。ここで甘いことを言うと駄目なのです。だから、今の予防につながる話ですけれども、そこはきっちり現状をもう少し厳しい見方をしたほうがいいのではないかと思います。
それと、その対応策として、18、19行目の辺りです。社会を目指すこととされている。それはいいのですけれども、例えば職業訓練とか職安所のサービス利用者は実際に多くないのです。就業支援が十分に活用されているとは言えない実情がありますから、それもちょっと触れておいていただければありがたいです。
以上です。
○永井会長 この現状分析はどちらかというとポジティブなことが書いてありますが、実際はそうでない面がたくさんあるということですね。そこを指摘してほしいと。
どうぞ。
○峰松委員 同じ事実でも書き方によって全然違うし、これはやはり問題があるからこれをやるのだという観点で、同じ内容であればそういう書き方を書き換えてほしい。7割が回復するのであれば、残りの3割はどうなっているのだという、必ずそういう言い方にしてほしいと思います。
○永井会長 大橋委員、どうぞ。
○大橋委員 今、川勝委員がおっしゃいましたけれども、社会復帰できたとしても、18行目にありますような「生きがいを感じながら」というところに行くまでには少し道のりは遠いのかなと思います。といいますのは、やはり循環器疾病というのは命に関わるということで、社会復帰したとしても周りの人たちが異様に気にしてしまって、以前と同じような大きな仕事を任せてもらえないですとか、以前と同じように働くということが制度的にも皆さんの意識的にもかなわないことがあるのですよ。なので、ここの生きがいを感じながら働ける社会というところは言葉がとてもポジティブ過ぎて、確かに違和感を覚える部分がありました。社会の病気に対する意識改革を促すということもどこかに入れていただけたらうれしいなと思います。
○永井会長 いかがでしょうか。
羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 前もちょっとお話ししたと思うのですけれども、例えば日本健康会議のようなところで、会社を評価する、ホワイト企業であることを評価するときに、このリハビリにどれだけ真剣に取り組んでいるかという指標をつくってあげて、これをクリアしていれば点数を1点つけるとか、若い人たちがその職場を選ぶときの参考になるような、ホワイト企業を評価するとか、事業主に対してそういうことを評価していかないとできないと思います。
個人個人は健康スコアリングということでできると思いますけれども、事業主が前向きに取り組んでもらうためには、一度倒れた人たちをどれだけ社会復帰するために、会社で活躍してもらうために努力しているかということを国民全体が評価することが必要ではないかと思いますので、ぜひここの中でも取り上げていただきたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
小川委員、どうぞ。
○小川委員 特に追加ということではないのですけれども、診療情報の収集・整備のところで、お願いしたところは大体書かれているのですが、8ページの22行目、23行目のところで、言葉としてはなかなか自分で思い浮かばないので発言しにくかったのですけれども、診療情報をはじめとしたビッグデータを活用した研究が求められるという、これに関しては結構、今、ビッグデータもたくさんそろっていますので、そういう既存のデータも含めたということも一言書いていただいたほうがいいのではないかと思いましたので、追加させていただきます。
これからビッグデータを収集するというのももちろん大事なのですけれども、既にあるビッグデータも活用するということも、そういう意味も含まれていると思うのですが、そこら辺はちょっと考えていなかったので、言葉として入れていただければと思っています。
○永井会長 よろしいでしょうか。
そういたしましたら、あと言い足りなかったところはメール等で事務局にお寄せいただけますでしょうか。最終的には会長預かりとさせていただいて、事務局と相談して整理し、循環器病対策推進基本計画(案)として取りまとめるということを前提に、今回の基本計画案を御了承いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○峰松委員 先ほどのメールで送るというのは、具体的に期限とか決めていただけるわけですね。
○永井会長 はい。
○峰松委員 本当は皆さん、まだ言い足りないこととかあると思うのですが、短い時間で、しかもまとめなければいけない。ただ、これは次回に持ち越すと多分、すごくプロセスが遅れてしまうので、できれば整理していただいて、ちゃんとパブコメを求めていただいて、それで取りまとめるという形かなと思うのですが、そういう形でやっていただけるのか。
○永井会長 パブコメの前に委員の先生方からの追加意見を頂きたいということでございます。
よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、本日の議事は以上でございます。委員の皆様方にはお忙しいところ、精力的に御議論いただきまして、ありがとうございます。
これで終わりになりますが、おかげさまで5回の協議会で計画案を取りまとめることができました。いろいろな御議論を拝聴しまして、この循環器病対策というのはがんとは随分違う、非常に複雑なシステムであるし、また、大きな社会システムである。また、病気自体も、人は血管とともに老いるという有名な言葉がありますけれども、誰もがある意味避けられないところがあるわけです。しかしながら、そうはいっても予防したいし、再発しないようにする、重症化しないようにする。そして、社会のなかで循環器病と共生していくという非常に多彩な面があります。一度で全て達成するのはなかなか難しいかもしれませんけれども、お聞きするところ、3年後にはもう2期の計画の議論に入るのだそうです。とりあえず3年間をどういう目標にするか、その後、どういう計画を立てていくかということで、委員の皆様方の御意見、また、御協力を頂いて、さらによりよいものにしていきたいと思います。
先ほど、木幡委員がおっしゃっていた、要するに検査値が良くなるとか、そういうことではなくて、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現、ある意味では特定健診もそういうことをきっちり明確にしたほうがよろしいと思うのですけれども、最終的にはがんと循環器病対策というのは全ての人にとって非常に大きな自分の問題である。そういう認識が浸透していけばよろしいのではないかと思います。
委員の皆様の熱心な御議論に感謝申し上げまして、会長の挨拶といたします。本当にありがとうございました。
それでは、最後に事務局から御挨拶をお願いいたします。
○江浪がん・疾病対策課長 厚生労働省健康局がん・疾病対策課長の江浪でございます。事務局を代表いたしまして、私のほうから議論のひとまずの区切りを迎えるにあたっての御挨拶を申し上げたいと思います。
健康寿命の延伸を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法。この法律でございますが、平成30年12月に成立いたしまして、昨年12月に施行となりました。本協議会はその法律に基づく協議会として今年の1月以降、この循環器病対策推進基本計画について御議論を賜りました。毎回非常に活発に御意見を頂きまして、本日も非常に幅広い御意見を頂いたと思っております。
本日、おおむねの取りまとめを迎えることができました。永井会長をはじめ、委員の皆様には大変御尽力いただきましたことに心から御礼を申し上げたいと思います。
また、永井会長からお話しいただきましたとおり、本日頂きました御意見も踏まえ、また、追加で御提出いただく御意見もしっかりと検討させていただきながら、最終的なこの協議会としての案を会長と御相談させていただきまして、パブリックコメントなどの手続を行った上で最終的な閣議決定まで進めていきたいと考えているところでございます。
委員の皆様やヒアリングに御協力いただきました関係学会、団体の皆様から頂きました患者の立場からの御意見、現場の医療関係者の立場からの御意見、循環器病対策に携わる方々などの立場からの御意見は、私ども行政に携わる者にとって大変貴重なものでございました。心から感謝を申し上げたいと思っております。
また、永井会長におかれましても、非常に闊達な議論が行われる本協議会を議事運営いただきましたことに厚く御礼を申し上げたいと思っております。
結びに、本日お集まりの委員の皆様方におかれましては、今後とも循環器病対策の一層の推進のために御指導、御支援賜りますようお願い申し上げまして、事務局を代表して私からの御挨拶とさせていただきます。
本来であれば、局長が出席をいたしまして、局長から御挨拶を申し上げるべきところでございますが、公務により私のほうから御礼を申し上げさせていただきます。
本当にありがとうございました。
○永井会長 それでは、これで終了いたしますが、先ほどの追加意見はどのくらいですか。1週間とか2週間以内ということで。
○丸山課長補佐 事務局でございます。
追って期限は明示させていただきますが、会長がおっしゃっていただいたように、おおむね1週間を予定したいと思います。
○永井会長 そういうことでよろしいでしょうか。
それでは、長時間ありがとうございました。これで終了いたします。