令和2年6月1日 第177回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年6月1日(月) 9:30~12:00

場所

オンライン会議
TKP新橋カンファレンスセンター

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和元年度調査)の結果について
  2. 2.令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)
  3. 3.福祉用具貸与価格の上限設定について
  4. 4.介護保険における新型コロナウイルス感染症に関する主な対応(報告)
  5. 5.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第177回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 今般の新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応につきまして、各自治体や関係団体の皆様には、各方面において多大な御尽力をいただいており、感謝申し上げます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、従来の審議方式ではなく、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきました。
 また、傍聴席等は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、大西委員、亀井委員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、井上隆委員に代わり間利子晃一参考人に、河村文夫委員に代わり小出太朗参考人に御出席いただいております。
 なお、黒岩委員につきましては、遅れて御出席いただく旨御連絡をいただいております。
 以上により、本日は21名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 続きまして、事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。
 介護保険指導室長の稲葉好晴です。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料を、ホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に、資料1「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和元年度調査)の結果について(案)」がございます。
 その後、資料1-1から1-7まで、各調査の結果概要案をつけさせていただいております。
 資料2-1「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和元年度調査)の評価シートについて」。
 資料2-2「令和2年度調査のスケジュールについて(案)」。
 資料3「令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)」。
 資料4「福祉用具貸与価格の上限設定について」。
 資料5「介護保険における新型コロナウイルス感染症に関する主な対応(報告)」。
 資料6「地域区分について(報告)」。
 それから、参考1-1から1-4までがございます。
 それから、参考資料2-1から2-3までがございます。
 また、大部になりますが、それぞれの報告書の案を資料としてつけさせていただいております。
 さらに、委員提出資料としまして、伊藤委員、今井委員、大西委員、鎌田委員、黒岩委員、小泉委員からの資料。
 それから、机上配布資料といたしまして、堀田委員から資料が提出されております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、オンライン会議における発言方法等について確認をさせていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議のように挙手をお願いいたします。オンライン画面で田中分科会長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては、挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、オンラインの画面に表示されますので、御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様を含め、ここで御退室いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。御退室のほうよろしくお願いいたします。
 (報道関係者退室)
○栗原企画官 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。お久しぶりです。
 この間、大変な御苦労をなさっている現場の方に私からも敬意を表します。
 本日は、慣れないオンライン会議ですので、皆さんが手を挙げたことを画面でできるだけ見つけるようにしますが、しっかり挙げてくださいね。そうしないと見えないことがありますので、お願いいたします。
 本日は、平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査の結果、令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)のパートなどについて議論を行います。
 また、介護保険における新型コロナウイルス感染症に関する主な対応などについて、事務局から報告を受けます。
 先ほど言いましたが、本日はオンライン会議初めてですので、時間に余裕もありません。事務局においても資料説明を簡潔に行ってください。   
 また、各委員におかれても、発言は論点に沿って簡潔に行っていただくよう協力をお願いいたします。
 なお、本日は、議題1について説明を行った後、質疑を行います。次に、議題2から4については、事務局から一通り説明を受けた後、まとめて 質疑の時間を取ることといたします。その旨御了承ください。
 まず、平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和元年度調査)の結果について、議論を行います。
 事務局より説明を受けた後、委員会における議論を踏まえ、松田委員長から概要の説明をお願いいたします。
 では、老人保健課長、よろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 おはようございます。老人保健課長でございます。
 それでは、議題1につきまして、御説明を開始させていただきます。先ほどの分科会長の御指示どおり、時間に余裕がないこともあり、なるべくポイントを絞った簡潔な説明とさせていただく予定でございます。
 資料は、資料1、1-1から1-7まで、資料2-1、資料2-2になります。また、参考資料1-1から1-4も関連した資料でございます。
 それでは、資料1でございますけれども、こちらが平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査でございますが、今回御報告いたしますのは、資料1にございます(1)から(7)までの調査の内容になります。
 その次の資料といたしまして、資料1-1から1-7までございますけれども、順次御説明をさせていただきます。
 資料1-1、サービスの質の評価に関する調査研究事業でございます。
 1ページ目、本調査は、主に「ADL維持等加算」を算定するまでのプロセス、課題を整理しつつ、その効果を検証すること。ADL評価及び報告というプロセスにおきまして、今後のサービスの質の評価方法を検討するため、各事業所における評価項目の収集状況等について調査を行うことを目的としてございます。
 2ページ目にお移りください。ADL維持等加算を算定している事業所は、通所介護事業所で578事業所、地域密着型で57事業所でございました。占める割合は、それぞれ2.6%、0.3%ということでございました。
 1つ飛ばさせていただきまして、4ページ目でございます。ADL維持等加算の各算定要件のうち、どの要件が算定における課題となり得るかを分析いたしたものでございます。全ての算定要件を満たす事業所は、通所介護事業所では63.9%、地域密着型は12.4%となってございます。このスライドの中で赤く丸で囲んでいるところでございます。地域密着型事業所では、利用者数に係る要件が制約となっているということが見てとれるわけでございます。
 9ページ目でございますけれども、ADL維持等加算の算定要件がございまして、上の四角囲みの中にマル1、マル2、マル3という要件がございます。マル1が5時間以上の通所介護費の算定回数が短いものよりも多い利用者を特定し、マル2は初回の要介護認定・要支援から12か月以内の方の割合が15%以下、マル3は要介護3から5の利用者の割合が全体の15%以上と、3点ごとにBarthel Index、ADLを図る指標でございますが、こちらの変化に違いがあるかを分析いたしました。
 マル2について見ますと、初回の要介護認定・要支援認定から12か月以内の利用者は6か月後に24.1%改善、12か月を超えた利用者は16か月後に19.6%改善してございまして、ADLの変化に違いが見られたところでございます。
 12ページを御覧いただけますでしょうか。こちらはADL維持等加算の効果について、届出に向けて変化した取組や内容、その利用者の行動といたしまして、例を示させていただいておりますけれども、例えば「ADL維持・改善のため、サービス内容を変更した利用者がいた」は6.9%、「ADL維持・改善のサービス提供のため、職員体制を変更した」と回答した事業所が2.7%見られたところでございます。
 14ページ目でございます。通所介護サービスにおきまして、介護の質につながる各加算の算定状況別で、ADL維持等加算の算定割合を比較してございます。通所介護事業所においては、その他の加算でございますが、栄養スクリーニング加算や栄養改善加算など、こういった各加算を算定している事業所のほうが、ADL維持等加算を算定している事業所の割合が高かったところでございます。
 1つ目の調査は以上でございます。
 2つ目に移らせていただきます。こちらは、機能訓練の状況等に係る調査研究でございます。
 1ページ目を御覧ください。本調査でございますけれども、こちらは前回改定におきまして、計9つのサービスにて生活機能向上連携加算の見直し・拡充、計5つのサービスにて機能訓練指導員の対象資格に一定の実務経験を有するはり師、きゅう師の追加が行われたということでございます。そういった改定の影響を見ることを目的とするものでございます。
 2こま目から3こま目、生活機能向上連携加算の算定状況でございますけれども、全事業所・施設ベースでありますが、多少細かい字になって大変恐縮でございますけれども、3.1%ということでございまして、2こま目の上の表の真ん中から右のところに3.1%という数がございます。サービス別に見ますと、認知症対応型共同生活介護の7.6%が最も高かったということでございます。
 5ページ目に行かせていただきます。生活機能向上連携加算の算定に係る阻害要件とか障害になっている要因につきまして調査を行ったものでございますけれども、「外部のリハ事業所との連携が難しいため」という理由が最も多く、通所介護を含む6つのサービスにおきまして、それぞれ4割から5割程度の回答があったところでございます。
 6ページ目に移らせていただきます。外部との連携状況につきまして、連携する理由といたしましては、「専門的な視点を踏まえて個別機能訓練計画等を作成できるため」ということが全サービスにおいて最も高かったところでございます。
 また、その中で連携先は「同一法人」、連携先の事業所・施設の種別については「病院」、7こま目でございますけれども、連携する職種は「理学療法士」の割合が高かったところでございます。
 次に、10ページまで飛ばさせていただきまして、10から11ページで、生活機能向上連携加算の算定による効果につきまして、利用者やリハ事業所等側では、「専門的な視点を踏まえ質の高い個別機能訓練計画を作成できた」などの回答が多かったところでございます。
 14ページに飛ばさせていただきます。こちらは利用者への効果についてを見たところでございます。全体的に「利用者の身体機能の維持・向上につながったこと」という回答が多うございました。また、短期入所生活介護や介護老人福祉施設では、利用者の重度化防止につながったことという回答も多かったところでございます。
 次に、17こま目に進ませていただきまして、利用者の課題ごとでのADL、IADLの変化の状況につきまして、算定事業所・施設では、全サービス、ほぼ全ての課題におきまして、ADL、IADLが改善または維持した割合が、それぞれ非算定事業所・施設を上回ったところでございます。
18こま目から19こま目は、リハ事業所等やケアマネジャーさんから見た利用者への効果についてでございますけれども、リハ事業所等からは「利用者の身体機能の維持・向上につながったこと」という回答が最も多かった。連携したサービスごとに5から9割程度の回答があった。ケアマネジャーさんからは、訪問介護では、「リハ専門職等が携わるため利用者・家族が安心したこと」という回答が多かったところでございます。
 22ページまで飛ばさせていただきます。こちらは連携先でありますリハ事業所との関係につきまして、通所介護を含む6つのサービスにおきましては、同一法人であるとの回答が過半数を占めております。
 次に、25ページに行かせていただきます。こちらはリハ事業所等から見た調査対象事業所・施設の職員について、専門性が向上したと回答したリハ事業所等が、ほとんどのサービスで7割から9割程度であったということでございます。
 最後に28ページ目、29ページ目は、機能訓練指導員へのはり師、きゅう師の追加による影響でございますけれども、個別機能訓練計画を作成したことがある職種でございますが、報酬改定前と後の2点を比べておりますけれども、大きな違いは見られていないということでございます。
 以上、2つ目の調査の御報告でございます。
 3つ目は、介護ロボットの効果実証に関する調査研究事業ということでございます。
 1こま目でありますけれども、本事業でございますが、介護ロボットの活用内容の把握ですとか評価指標を用いた具体的な効果の検証・把握を行うことを目的としてございます。
 1こま目の一番下にございますように、アンケート調査、実証調査ということでタイムスタディーも行ったものでございます。
 2こま目、見守り機器、どのタイプを導入しているかということでございますが、図表1のとおり、導入している割合が円グラフの大宗を占めている73.5%でございまして、図表2にタイプ別がございます。センサータイプ、バイタルタイプ、カメラタイプというものがございます。
 3こま目、見守り機器の設置割合でありますけれども、図表5のとおり、全体で5%未満が最も多かったところでございます。次いで、20%以上が24.2%ということでございました。
 図表6を見ましても、機器を導入しているところはより導入したい、していないところは今後もするつもりがないという形で、いわゆる二極化が進んでいるのかなと見てとれるところでございます。
 それでは、5こま目、見守り機器の活用場面を機器のタイプ別に見たものでございます。いずれも「転倒・転落の予防、早期発見」が最も多かったということでございますけれども、図表9のバイタルタイプでは「睡眠状態の把握」、図表10のカメラタイプでは「訪室の必要性の判断」、図表11のセンサータイプでは「利用者の行動パターンの把握」が多かったところでございます。
 6こま目、見守り機器の導入効果の把握状況を見ますと、図表12のとおり、導入時の効果を「把握している」と回答した割合が87.8%と高かったところでございます。
 次に、8こま目、見守り機器の導入による夜間職員配置加算の届出状況でございます。図表19がございますけれども、見守り機器を導入する施設のうち、夜間職員の配置加算の届出を行っている施設が7.1%でございます。その届出を行っていない、加算を算定していないという理由に関しましては、図表21のとおり、「見守り機器の導入による0.1人分の要件緩和がなくとも人員基準を満たしている」という回答が多かったところでございます。
 次に、10こま目以降はタイムスタディー調査の結果でございます。
 10こま目でございますが、見守り機器を導入する施設の夜勤職員を対象に、同一施設による台数を増加した前後の比較、そして、同一施設内のフロア間による見守り機器の有無別の比較など、5つのパターンに分けたタイムスタディーを行ってございます。
 11こま目、右側のグラフでございますけれども、横軸が見守り機器の導入割合、縦軸が業務時間に占める直接介護及び巡回・移動の時間割合となってございます。見ていただきますと、左上から右下まで変わっているということが多いと見られますけれども、導入割合が高いと、直接介護するか巡回・移動の時間割合が下がっているということが見てとれるかと思います。
 12こま目は、タイムスタディー調査の個別の事例といたしまして、同一施設内で見守り機器の未導入フロアと入所者に対しまして、45%導入しているフロアの業務時間を比較いたしますと、直接介護にかかる時間に関しましては、未導入フロアでは260分、見守り機器を45%導入しているフロアでは182分ということでありました。
 以上、3つ目の調査でございます。
 それでは、4つ目の調査の御報告に移らせていただきます。こちらは訪問介護サービス及び看護小規模多機能型居宅介護サービス、ここでは看多機と略称させていただきますけれども、こちらにかかる調査研究の事業でございます。
 1ページ目でございますけれども、今申し上げました訪問看護、看多機の30年度改定の影響を見るというものでございます。調査方法は、その下にあるとおりでございます。
 2ページ目から3ページ目は、訪問看護、看多機の基本情報をまとめているところでございますが、ここは割愛させていただきまして、4ページ目まで飛ばさせていただきます。
 こちらは訪問看護の利用者数や訪問回数を示したものでございます。図表9でございますが、訪問看護ステーションの利用実人員は、介護保険で平均55.1人、医療保険で24.2人となっているところでございます。病院・診療所から行う訪問看護では、介護保険で12.6人、医療保険で4人ということでございました。
 5こま目は、訪問看護の看護体制強化加算の届出を行っている事業所を調査した結果でございます。図表11、加算の届出状況で、2から5%程度の届出状況でございました。
 加算算定ができない理由は表12に書いてございまして、ステーションでは特別管理加算の対象となる利用者が少ないなど、こういった理由が挙げられております。
 6ページ目に移らせていただきます。こちらは加算の届出を行っていた訪問看護ステーションが1年を通して加算の要件を満たすことができるかということを分析したものでございまして、多くの割合で加算を維持できていることが分かるところでございます。
 9ページ目、看多機の加算やサービス提供状況を示したものでございます。図表18、19とございますけれども、要介護3、4、5の方が多く、3、 4、5を足しますと63.1%となります。また、認知症高齢者の日常生活自立度II以上ですと87.8%となります。図表21では、加算・減算の算定状況がございまして、前回改定で、このうち訪問体制強化加算、小さい字で恐縮でございますが、上から3つ目です。そして、若年性認知症利生者受入加算、こちらは下から3つ目になりますけれども、それぞれこういった算定割合になっているということでございます。
 11こま目に飛ばさせていただきます。こちらは理学療法士等による訪問看護について調査した結果でございます。中に図表24がございますけれども、看護職員とリハビリ職員の連携や共同状況につきまして、前回改定によりまして「とても進んだ」と「やや進んだ」という回答をいただいているところでございます。
 12こま目に進ませていただきます。最後のこまでございますけれども、訪問看護、看多機のそれぞれのサービスの利用者ですが、死亡した利用者につきまして調査を行いました結果、図表26、27、死亡場所について結果が出てございます。訪問看護ステーションでは「自宅」という方が多かったということでございます。また、看多機利用者では「事業所」という方の割合が高かったということでございます。
 以上、4つ目の調査でございます。
 それでは、5つ目、こちらは本日の後半の議題に出てまいりますけれども、福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業でございます。
 1こま目でございますけれども、こちらは毎年調査をしてございますが、平成30年10月に施行された福祉用具貸与価格の上限設定の影響を把握することを目的としてございます。そこにありますように、データベースを用いた分析、事業所調査、ヒアリング調査を行いました。
 3こま目に移らせていただきます。こちらがまず介護保険制度上の財政効果について、貸与価格の上限を超えたもの、超えていないものを含めて、商品、これは比較できるものを固定した上で削減額を見たものでございます。詳しい説明は省かせていただきますが、一番右側に実額が出ておりますけれども、全体で約4.9億円の削減となっていることが明らかとなったところでございます。
 4ページ目は、貸与価格の実態につきまして、制度施行後、既存の利用者に対しまして貸与価格の見直しを行われているかどうかを見たものでございます。貸与価格に変化がないというレセプトのレコードが99.1%だったということでございます。心配されておりました、上限価格まで引き上げるような動きは見られなかったということで評価をしてございます。
 5ページ目、6ページ目でありますけれども、こちらは今後の制度改正に伴う影響につきまして、図表4から6で一定の条件を付した上でシミュレーションしたものでございます。5ページが「車いす 商品A」というものでございますけれども、こちらをシミュレーションしてみますと、また同じような上限設定を行いますと、下に細かい字で赤い四角で囲っておりますけれども、上限を超える割合は15.2%となりまして、これが影響を受けるということになります。
 同じようなシミュレーションが6ページ、7ページに続いております。
 次に8ページ目は、福祉用具貸与事業所の経営面の評価を見たものでありますけれども、費用面におきましては、人件費等が前年度と比べて増加をしているということが見られてございます。これは貸与価格の見直しによりまして、周知ですとか案内文作成とかに手間を要したということでございます。
 9こま目でございます。事業所が貸与する福祉用具を仕入れる際の価格につきまして、いわゆるレンタル卸を利用している事業者でありますけれども、図表10のとおり、34.5%が値下げ交渉を実施したというふうにございます。一方で、図表11のとおり、それによる仕入れ価格の変化はほとんど変わらないと回答した事業所が最も多くなっているということでございました。
 10こま目、11こま目は、利用者への影響について、図表12から14について、貸与価格が下がった中でもアセスメント、モニタリング、メンテナンス等、利用者へのサービス提供内容はほとんど変更ないということが示されたかと思っております。
 以上、5つ目の調査の結果報告でございます。
 それでは、6つ目でありますけれども、こちらは定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス提供状況に関する調査研究事業でございます。
 1こま目は、調査の目的にございますように、前回改定で生活機能向上連携加算の創設ですとかオペレーター要件の緩和等を行ったものでございます。また、ほかにも介護・医療連携推進会議の開催方法・頻度の緩和などを行いました。その影響を見るというものでございます。
 3こま目に移らせていただきますけれども、1事業所当たりの平均利用者数は、全ての要介護度におきまして増加をしている。この中で2.0人増加と上の四角に書いてございますけれども、図表2の中で回答者数、平均24.1と平均26.1と、この差が2.0でございまして、合計では2.0人増加をしていたというものでございます。
 4ページ目に移らせていただきます。1か月のサービス提供回数を見ますと、定期巡回・随時訪問ともに同一建物原産対象者への提供回数のほうが多いという状況でございました。
 5こま目に移らせていただきます。平成30年度の報酬改定で可能となりました日中のオペレーターの兼務につきまして、随時訪問介護員と兼務している割合は86.4%、同一敷地内建物等の職員との兼務は19.2%の事業所が実施していたということでございます。
また、調査に回答のあった全ての事業所におきまして、オペレーターの配置変更前と変わらない質のサービスを提供できているという回答があったところでございます。
 次に、8こま目に移らせていただきます。平成30年度の介護・医療連携推進会議の平均回数ですけれども、こちらは30年度で少し減少していたということでございます。また、30年度改定により可能となりました介護・医療連携推進会議の合同開催を実施している事業所の割合は35.2%ということでございます。
 10こま目に行かせていただきます。集合住宅への移動方法でございますけれども、同一建物減算対象の場合は92.0%が徒歩であるのに対しまして、同一建物減算対象外の場合には自動車の割合が56.7%と高いということが示されております。
 13こま目でありますけれども、退院・退所時の在宅復帰となる利用者に対しては、56.9%の事業所が通常時よりも定期巡回サービスの提供を増やしているというものでございました。
 14こま目は、平成31年3月に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用を開始して3か月後も利用を継続している者の栄養・排せつ・服薬の状態の変化を見ますと、「維持」が最も多く、また次に「改善」が多かったということでございます。
 以上、6つ目の調査の御報告でございます。
 それでは、最後、医療提供を目的とした介護保険施設、具体的に申し上げますと老健施設、介護医療院に関する調査でございます。
 1こま目にありますように、介護老人保健施設として介護医療院を対象とするもの、そして、介護医療院に関しましては、自治体の取組状況もお聞きしているものでございます。
 2こま目でございますが、介護老人保健施設の基本情報について調査をしたものでございます。医療法人による主体が多いというものでございます。
 3ページ目に行かせていただきまして、報酬上の区分でございます。前回改定で、それまで3段階だったものを5段階にしたわけでございますけれども、その中で「基本型」と「加算型」の合計が60.1%、「在宅強化型」と「超強化型」の合計が35.3%ということでございます。
 4こま目に行かせていただきまして、在宅復帰・在宅療養等指標について調査したものでございます。図表11の在宅復帰率は超強化型で平均60.2%ということでございました。
 5ページ目に移らせていただきまして、上位類型を算定困難な要件と、そして、6ページ目はかかりつけ医との連携などの結果をお示ししているところでございます。
 次に、7こま目をお示ししたいと思います。こちらは昨今、新型コロナウイルスによる肺炎等もありますけれども、もともとそういう状況でなくても発症した人の施設の割合は「肺炎」が45%ということでございまして、日常もあり得る疾患の状態であるということが示されているところでございます。また、「尿路感染症」が56.8%であったということでございました。
 次に、10こま目からが介護医療院に関する調査になります。図表35というものがございますけれども、基本サービス費、何を算定しているか。これは最もベーシックなI型介護医療院サービス費(I)が多く、55.6%がそれを算定しているということでございます。
 15ページまで飛ばさせていただきます。こちらは入所者本人または家族による介護医療院の評価について調査したものでございますけれども、図表62は施設の環境の満足度でございまして、「満足している」が6割、「どちらかと言えば満足している」が32.7%ということが出ております。
 16ページ目から18ページ目が自治体への調査の結果でございます。
 16ページでございますけれども、自治体が移行促進のために実施している取組は、都道府県では定期的に意向調査を実施しているという結果が6割程度ございました。
 以上、御報告を申し上げます。
 これが調査結果の概要でございまして、その後、この評価結果の評価シート、そしてまた、資料2-2は今年度、令和2年度調査のスケジュールについて、これも御提案申し上げるものでございますけれども、今年度行う調査に関しましては、来月、7月上中旬頃に調査票を委員の皆様に御覧いただこうと思っておりまして、調査実施は7月、8月、そして、10月頃には中間的な速報をいただきまして、改定の議論に生かすということで、これも例年どおりのスケジュールと思っております。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 松田委員長、お願いいたします。
○松田委員 令和元年度の調査結果につきましては、3月26日の介護報酬改定検証・研究委員会において最終版として承認いたしましたので、 最終報告としてここでは御報告申し上げたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問のある方はお願いいたします。
 今井委員、お願いします。
○今井委員 ありがとうございます。民間介護事業推進委員会の今井でございます。
 私は、本日、意見書を出させていただいておりますので、そちらに基づいて何点か質問をさせていただければと思っています。
 まず3点ほど、資料1-1と1-2について、今回、質問と意見という形で述べさせていただいております。あらかじめ資料を提出させていただいていますので、要旨だけ申し上げますと、資料1-1、8ページの図表15の件でございます。ADL、IADLの評価指標別の評価の実施状況を見て、それからBarthel Indexの評価の事業所の割合、この辺から、国は評価指標に関する標準化を考えているのかどうかという質問でございます。それから、共通の物差しも必要ではないかという意見を持っていますので、この辺について意見をさせていただく、これが1点目でございます。
 2点目は同じく資料1-1、8ページの図表16について、これについては意見でございます。というか、お願いを含めて書かせていただいております。今回の図表16を見させていただきますと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士というような機能訓練指導員の事業所、この評価を実施している中で、平成30年度の介護保険部会の中では機能訓練指導員を基礎資格の職種ごとに分けて資料が出されている。今回も、今後は職種ごとに資料を出していただければというお願いでございます。
 3点目、資料1-2について、生活機能向上連携加算を算定する事業所に関して、全事業所・施設ベースで3.1%と非常に低いということが記載されておりますけれども、これは、広く地域のリハ職を活用する方向での誘導策を検討されてはどうかということです。以上この3点について質問と意見でございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 老人保健課長、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 提出資料に沿いまして御回答させていただきます。
 まず、評価指標に関してでございますけれども、私どもとしても、何らか標準化されたものがあることが望ましいと思っております。一方で、それが、例えば学術的にどうなのか、あるいは現場でどのような割合で使われているのか、普及度合いということも勘案しなければならないと思ってございます。ここはどちらかというと行政主体で勝手に決めてしまうというよりは、学術団体、そしてまた現場の取組の中で、自然にこれがいいのだろうということで、そういう標準的なものが出てくるととてもありがたいと思っておりますし、それを支援させていただきたいと思ってございます。
 また、その2、こちらは機能訓練指導員の資格要件、職種ごとにということでございまして、こちらは今後の調査設計、また検討委員会のほうでも御議論いただくということでございまして、そちらで検討させていただきたいと思います。
 最後の生活機能向上連携加算でございますが、先ほど私も御説明した中で3.1%と申し上げたところでございます。こういった結果を受けまして、次の介護報酬改定の御議論の参考にさせていただきたいと思っているところでございます。
 以上です。
○田中分科会長 濱田委員、お願いします。
○濱田委員 ありがとうございます。
 資料1-2と1-4につきまして、意見を申し上げます。
 まず、1-2の介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究につきましてですが、18ページから21ページ、特に21ページにございますように、利用者のADLの維持や生活機能向上に関しましては、介護サービス事業所や介護保険施設とリハビリテーション専門職及び居宅介護支援事業所、介護保険施設の介護支援専門員との連携、特に事前関与が効果的であるという結果が出ておりますので、事前に関与できる方策の推進が重要と考えます。
 次に、資料1-4の訪問看護及び看護小規模多機能型居宅サービスの在り方についてでございますが、8ページに業務改善に関する意向で、訪問看護、看多機と病院・診療所、居宅介護支援事業所、介護支援専門員等との情報連携の効率化が相互に最も多い結果が出ております。それぞれICT導入が最も多いということでございますので、引き続きICT導入支援と、補助制度も整えていただいておりますが、各場面でICT機器の導入を想定した基準症例や報酬加算算定要件等の見直しが必要ではないかと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 私も、資料1-2の機能訓練の連携のところについて、御意見申し上げたいと思います。
 先ほどの御意見にもありましたとおり、この生活機能向上連携というのは、施設側も利用者側もそれなりに高い評価をしていると、なかなか効果があるということを言われているにもかかわらず、算定の割合が低いということになっております。その阻害要因として、先ほど来、外部のリハ事業所との連携の難しさというものが出ております。これをもう少し深掘りして、この種の算定が低いという話になると、要するに評価の充実とかそういった話も出がちだと思うのですが、この連携の難しさというのがどの辺にあって、それを解決するために、連携頻度に関する条件の調整が難しいという調査結果もございますので、例えばガイドラインを示すというようなことも含めて、もう少し深掘りして、実際の算定率の向上につなげていくということも御検討いただければと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
 質問だけです。資料1-2と1-4です。
 1-2の1ページの説明書きで「一定のロジックを使って介護サービス事業所に利用者を選定、回答してもらっている」ということなのですけれども、その点どういう考え方かというのだけ教えていただきたいと思います。回答者の選定にバイアスがかからないように配慮されているかということを聞きたいと思います。
 あと、1-4ですけれども、利用者票に基づく調査結果はどの辺に表れているのか。もしかしたら、これはサマリーだから出ていないのかもしれないと思うのですけれども、どのような結果が利用者票から得られたのかということを教えていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 御質問を2つ承りました。お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 1つ目の御質問も2つ目の御質問も今、手元にすぐ御説明できるものがございません。少しお時間いただいて、もしかしたら後日になってしまうかもしれませんけれども、御回答させていただきたいと思います。
○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○田中分科会長 間利子代理、お願いします。
○井上委員(代理 間利子参考人)
 私から、資料1-3の介護ロボットの効果実証に関わる件での意見なのですけれども、介護事業の生産性向上に向けてはこういった技術の活用が非常に重要だと思っておりまして、導入されているところではそれなりに効果が出ているように伺っておりますので、引き続き、介護報酬上の対応というのも検討していくことになろうかと思いますが、あわせて、先ほど課長からも二極化というようなお話があったかと思います。政府等でも助成を含めて様々な支援策をしておりますので、そうしたものの周知ですとか、あるいは導入されて成功した事例なども広く共有することで効果を広く知らしめて、活用を促進していくことも重要なのではないかと思っております。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 東委員、お願いします。
○東委員 全老健の東でございます。
 まず資料1-1「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業(結果概要)」でございます。スライドの2枚目のADL維持等加算の算定状況ですが、通所介護で2.6%、地域密着型通所介護で0.3%と算定割合が大変低くなっています。
 このADL維持等加算を届出していない理由がスライドの5枚目にございますが、そこの中に「Barthel Indexを用いた評価の負担が大きい」というのが43.3%を占めています。またスライドの8枚目に、この調査におけるADL、IADL評価指標別評価の実施状況がございます。Barthel Indexで評価している事業所の割合が一番多いという結果でしたが、とはいえ全体の11.2%の事業所しか評価していないわけです。このことからBarthel Indexを今後も通所介護の現場で評価指標として使っていくのが適当なのかどうか。御存じのように、Barthel Indexというのは認知症の評価が全く入っておりません。今後介護現場で様々な評価をしていく上で、ADLの評価だけで良いのか。私は認知症ということに関しても評価をしていくべきではないかと思います。
 次に、資料1-2「介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究」でございます。スライドの2枚目に生活機能向上連携加算の算定状況が掲載されております。これは先ほど来、複数の委員からも算定が3.1%と非常に低いという御指摘が出ています。私も同じ感想を持っております。この加算の考え方はいい、効果もいいというのは分かるのですが、あまりにも算定率が少ない。今日の資料にはありませんが、生活行為向上リハビリテーション実施加算というものがございます。この加算は、通所介護等で機能が落ちた方を通所リハビリ等に誘導して行うリハビリでございますので、通所リハビリ等のリハビリ専門職が通所介護等へ出向くという生活機能向上連携加算とは逆パターンでございます。実はこの生活行為向上リハビリテーション実施加算の取得率も大変低いということが問題になっています。現場では何とかリハビリテーションを入れることによって、機能が改善することは分かっています。にもかかわらず、この生活行為向上リハビリテーション実施加算にしても、生活機能向上連携加算にしましても、このように算定が低いのは、そもそもの制度の仕組みに問題があるのではないかと考えるべきです。今後、検討をお願いしたいと思います。
 最後に、資料1-7「医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業」でございます。スライドの3枚目に介護老人保健施設の状況が出ております。前回の介護報酬改定以降、超強化型、在宅強化型の割合が年々増えております。今や3割を超える状況にございます。これはレセプト上でも約3割ということで出ております。それから、リハビリ専門職の配置割合も大変増えております。超強化型では利用者100人あたりのリハビリ専門職数が「5人以上」が73.1%ということになっております。介護保険における老健施設のリハビリ機能というのは大変期待をされているわけでございますが、今回のデータをみると、これも前回の介護報酬改定以来、随分と充実してきているのではないかと考えています。
 一方、スライド6枚目にあるかかりつけ医連携薬剤調整加算でございますが、こちらも高齢者の減薬という意味では大変いい制度だと思いますが、加算自体の算定率があまり高くありません。この課題のところを見ますと、かかりつけ医との連携がなかなかうまくいかなかった。簡単に言いますと、老健施設の管理医師の先生がかかりつけの先生との間で遠慮があるというか、そういうものがうかがい知れるわけでございます。
加算の周知もそうですが、私どもの協会(全老健)としても、老健施設の管理医師に周囲の開業医の先生やかかりつけ医の先生とより一層のコンタクトを取っていただいて、連携が図れるように指導していこうと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 小玉委員、お願いします。
○小玉委員 分科会長、ありがとうございます。
 私からは、資料1-7の7ページ目なのですけれども、医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業について要望します。例えばここで施設の中で45%の肺炎の発症があるとあります。継続して治療しても、25%は治ったけれども、75%はどうなのかというところが記されてございます。施設、かかりつけの先生等々、一生懸命肺炎に対して、また、尿路感染症に対して対応されていると思うのですけれども、そこの施設を出た後にどうなのか、地域でどのような在宅での肺炎に対する対応があるのかというところで、かなりいろいろな社会資源も含めて、肺炎に対する対応は今後とも続けていただきたいと思いますので、要望としてお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 一当たりよろしゅうございますか。様々な御意見、御質問を頂戴しましたが、特段の異論はなかったので、議題1については、本日の資料を最終報告とさせていただきます。ありがとうございました。
 次に、議題2に移ります。議題2「令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)」に関する説明を事務局からお願いいたします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料3につきまして、私のほうから御説明をさせていただきます。これも資料が大部でございますけれども、なるべくポイントを絞って御説明をさせていただきます。
 まず1こま目は、前回、3月16日に開催させていただきました分科会でお示ししたものでございます。その中で、平成30年度の介護報酬改定後の状況も踏まえまして、その下にあります4つのポツ、地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の推進、介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の確保、こういった中で4本の柱でまず御議論をいただこうということで、一定の合意をいただいたものでございます。その中で、今日は地域包括ケアシステムの推進ということで資料を用意させていただきました。
おめくりいただきまして、3こま目は総人口の推移ということでございまして、今後、高齢者の占める割合が高くなるということでございます。
 次に4こま目は、今後の介護保険を取り巻く状況におきまして、高齢者数でございますが、2025年には3677万人、2042年にはピークを迎える予想となっているところでございます。その中でも認知症高齢者が増加していくことが予想されます。
 5こま目は、75歳以上の人口の推移、85歳以上の人口の推移ということで、今後、85歳以上人口が急激に伸びていくことが予想されているところでございます。
 6こま目は、年齢階級別の要介護認定率でございまして、左側のグラフにございますように、85歳以上の認定率になりますと6割を超えるという状況になっているところでございます。
 一方で、7こま目は、人口構造の推移を見ますと、2025年以降、高齢者の急増から現役世代が減っていく時代に入っていくということでございます。
 8こま目は、医療費でございます。1人当たり医療費は高齢になるにつれて増加をするということ。
 9こま目でございますけれども、今後も年間の死亡数は増加傾向を示すということでございます。
 10こま目は、死亡場所の推移ということでございます。アンケートによりますと、自宅で最期を迎えたいという希望が半分強でございますけれども、その右側に死亡場所の推移ということで、病院、医療機関での死亡が割合として若干減ってきておりますが、そこは実は老人ホームによる死亡の割合が増えてきているというところで、そういったことが見てとれるわけでございます。
 次に、12こま目の表は、多様なニーズに対応した介護の提供・整備で、今あるサービス体系を概説するものでございますけれども、上が介護給付を行うサービス、下が予防給付を行うサービスでございます。
 このようにサービスが多様化をしてございますけれども、その歴史を示したものが13こま目、14こま目でございます。平成12年に介護保険制度が施行されてスタートしたわけでございますけれども、18年から介護予防給付、地域支援事業などが入ってきてございます。
次に、14こま目でございますけれども、その後、第4期、第5期、第6期というところでどのようなサービスが入ってきたかということを表にしてまとめてございます。
 15こま目は、いわゆる介護保険施設、介護老人福祉施設、老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設のそれぞれの比較表としてお示ししたものでございます。介護老人福祉施設は生活施設であり、介護老人保健施設は在宅復帰を目指し在宅療養支援を行う施設、介護医療院は長期療養・生活施設、介護療養型医療施設は長期療養施設という性格でございます。
 16こま目は、ほかの居住系サービスの根拠ですとか、どういう基準かということをお示しするものでございます。
 17こま目は、高齢者向け住まい・施設の利用者数でございまして、これは利用者の数でございますが、最も多いのは介護老人福祉施設、伸びているのが次の有料老人ホームということでございます。そのほかにも最近急速に伸びてきているのがサービス付き高齢者住宅でございます。
 18こま目は、サービス類型別の利用者割合でございまして、年齢階級別にどんなサービスを使っているかということでございますけれども、85歳以上になりますと、介護保険サービスを使う方々の割合が高くなってきているということでございます。
 19こま目でございますが、施設サービス、上から訪問系サービス、通所系サービスと並べてございますけれども、その利用者の要介護度別の状況を見たものでございます。見ていただきますと、施設サービスにおきまして、要介護3、4、5という方々の割合が高くなっているということでございます。
 20こま目は、訪問系サービスで要介護度別に見たものでございますが、訪問入浴介護は要介護5の方が半分程度で、重い方が利用していらっしゃるということでございます。
 21こま目から25こま目は飛ばさせていただきます。
 次に、26こま目以降、介護保険制度における対応ということでございます。
 27こま目に、私どもがよく使います地域包括ケアシステムの図を入れさせていただいております。
 28こま目は、地域共生社会と地域包括ケアシステムの関係についてということでございまして、折しも今、国会で地域共生社会に関する法案を御審議いただいておりますが、これは前回の介護報酬改定で、この分科会で田中分科会長が御発言されたものをそのまま抜粋したものでございますけれども、地域共生社会と地域包括ケアの関係について端的に御発言いただいているところを抜粋しました。地域共生社会は理念ステートメントであって、分析概念というより上位の理念ですということでございます。また、地域包括ケアシステムは、例えば地域包括ケア会議とか地域マネジメントなど、具体的な中身を伴っている仕組みの話ということでございました。
 29こま目以降3こまは、介護保険法を抜粋しております。29こま目は第1条ということで、介護保険法の理念、目的でございます。尊厳の保持、そしてまた自立支援ということが書かれてございます。第2条におきましては、保険給付は要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行わなければならないということが規定されているところでございますし、4項におきましては、可能な限りその居宅において、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
 30こま目は、国民の努力及び義務ということでございますけれども、自らの健康の保持、増進に努める、そして、要介護状態となった場合においても進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用するということで、その有する能力の維持向上に努めるものとするということでございます。
 31こま目は、認知症に関する施策の総合的な推進等が規定されているものでございます。
 32こま目は、介護保険事業計画についてお示ししたものでございます。3年を1期とする介護保険事業計画が規定されてございます。
その中で、33こま目にありますような第7期のサービス量の見込みが規定されているところでございます。こちらは保険者たる市町村が作成していただいたものの積み上げということでございます。
 34こま目は、今年2月に行われました介護保険部会の資料でございますけれども、その中で第8期に向けまして、介護保険事業計画、支援計画の基本的な指針をお示ししたところでございます。
 その計画等に関しまして、35こま目が医療介護連携推進事業でございます。
 36こま目には、昨年おまとめいただきました介護保険制度の見直しに関する意見の抜粋部分をお示ししております。
ここから3枚は、人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発の在り方に関する資料でございまして、3こまでお示しさせていただいております。
 40こま目以降が地域医療介護総合確保基金の話でございます。非常に大きい額の基金でございます。令和2年度の予算で公費で2000億超となっているところでございます。
 その中で、41こま目は施設整備分ということで、1、2、3のようなことをメニューとして入れてあります。地域密着型サービス施設等の整備への助成、介護施設の開設準備経費等への支援、特養多床室のプライバシー保護のための改修等による介護サービスの改善などでございます。
4に行かせていただきます。43こま目以降、看取り等の状況ということでございますけれども、44こま目が入所・退所の状況でございまして、いわゆる3施設に関しまして、それぞれどのような転帰をたどっていらっしゃるか、その対象はどのようなところかと。介護老人福祉施設では、例えば67.5%がお亡くなりになって退所になっている。介護老人保健施設は12.0%がお亡くなりになって退所になっているということでございました。
 次のスライドは飛ばさせていただきまして、46こま目が介護老人福祉施設における看取りということでございます。その右側にありますように、施設の看取りの方針として、希望があれば施設で看取るというところが大宗を占めているということでございました。
 47こま目は老健の状況でございます。こちらは在宅復帰率と施設内看取りの関係を示したものであります。
 48こま目は、高齢者向け住まいにおける看取りの状況でありました。
 次に、49こま目は飛ばさせていただきまして、先ほどの調査研究事業の中にもありましたけれども、看多機では事業所でお亡くなりになる方が多いということでございます。
 51こま目は、老健事業でも各種調査をしておりますという御報告であります。
 52こま目以降は、認知症の人への対応強化ということでございます。
 53こま目の上の四角の下側の○でございますけれども、昨年、令和元年6月18日に認知症施策推進大綱が取りまとめられてございます。これは認知症施策推進関係閣僚会議による決定事項ということでございます。
その下の基本的考え方という青い線で囲まれた中にございますとおりで、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していくと。右下にあるように、マル1からマル5を行っていくということが柱となっているところでございます。
 その大綱の要点の抜粋を54こま目、55こま目につけさせていただいておりまして、そのほか認知症カフェの取組、56こま目でございます。市町村における認知症サポーター活動促進・地域づくり推進事業の創設も行っております。
 58こま目、59こま目でございますけれども、認知症の方の就労的活動の普及に向けて、そしてまた、対応力を向上するための取組を推進、こういったことをやらせていただいております。
 また、後ほど松田委員から御発言をいただければと思いますけれども、認知症患者へのケアにおける現状・課題ということでありまして、例えば61こま目でありますが、認知症の方は手すりを利用する方の割合が低くなっているというデータもあるということでございました。
 次に、62こま目以降で「5.平成30年度介護報酬改定等における対応」、どのようなことをやったかということでございます。
 63こま目は、4つの柱で行いましたということを書いております。
 その中で、64こま目以降、各施設、サービスにつきまして、改定を行った内容が書かれております。例えば、64こま目でしたら、ターミナルの評価を行いましたということでございます。
 66こま目は居宅介護支援、67こま目は介護老人福祉施設におきまして、医師との連携ですとか、あるいはターミナルの推進というような評価を行っているということでございます。
 68こま目は、老人保健施設の報酬体系でございますけれども、従来3段階のものを5段階にして、在宅強化型、超強化型と、在宅復帰に着目した高い評価を創設したというものでございます。
 69こま目は、医療機関との連携により、より積極的に取り組むケアマネ事業所について評価をするものでございます。
 次に、71こま目でありますけれども、リハビリテーションに関しましては、医療から介護への円滑な移行を図るということで、例えば、その計画書の様式を互換性を持ったものにするということがなされております。
72こま目は、これまで申し上げたようなもの、そしてまた、前回改定で医療と介護と連携したということでございますけれども、真ん中の病院を挟むような形でケアマネさんから情報提供が行き、また、退院された後も介護サービスの利用に円滑につながるようにということを1枚の絵にしたものでございます。
 73こま目以降、中重度者への対応やみとりに関する主な加算、そして、その算定状況でございます。
 76、77こま目は、介護医療院に関するものでございまして、これを公表してございますが、77こま目には、今年3月末時点の介護医療院の開設数が343施設、2万1738療養所であったということでございます。
 78こま目、79こま目は、居宅介護支援専門員、こちらはケアマネ事業所の主任ケアマネジャーであることを要件とした回答を行ったということでございますけれども、79こま目は、昨年12月に審議報告いただきましたが、その経過措置を6年延ばすということでお決めいただいたものでございます。
 80こま目が認知症の人への対応の強化、そして、81こま目がその方々に応じた適時適切な医療・介護等の提供に関する幾つかの介護報酬上の対応を行いましたということでお示しするものでございます。
 82こま目以降が、認知症関連加算の算定状況でございます。
 85こま目は、口腔衛生管理の充実と栄養関係の報酬でございます。ここにございますとおり、各介護サービスにおける口腔衛生管理充実、そして、栄養改善の取組推進を図るような単位数が設定をされてございます。
 少し飛ばさせていただきまして、87こま目は、共生型サービスの推進ということでございまして、例えば、療養通所介護事業所におきまして、障害福祉サービス等である重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等を実施している事業所が多いことを踏まえて定員数を引き上げる。こういったことをしてございます。
 また、対象サービスとしては、88ページにあるようなサービスが対象となっているところでございまして、実際に請求事業所数は、89こま目にありますような請求事業所数となってございます。
 次に、90こま目、91こま目は診療報酬の話でございます。91こま目は今年度からスタートしております新しい診療報酬ですが、今回の診療報酬改定は、ローマ数字のI、IIがございまして、I、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革が一丁目一番地に来た改定となりました。そして、右側にIIIとありますが、ここに医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進ということが掲げられているところでございます。
 その中でも、92ページ、93ページにありますように、認知症対策の充実が図られたということを御紹介させていただきます。
 その後、関連の指摘を94こま目以降、掲載させていただいております。
 95こま目がいわゆる骨太の方針でございまして、昨年6月に閣議決定されました骨太の方針で下線を引いておりますが、病床の転換、介護医療院への移行等が着実に進むようということが書かれております。
 96こま目は、成長戦略のフォローアップでございますけれども、こちらは認知症に係る記載もございまして、共生と予防を柱とした総合的な認知症施策を進めていくということでございます。
 その後は工程表がついてございます。
 その後、100ページ以降は前回の審議報告から今後の課題を抜粋してございますが、ここは割愛させていただきます。
 102こま目以降は、昨年の介護保険部会でおまとめいただきました見直しに関する意見の概要でございます。3こまほどつけさせていただいておりまして、その関係部分を105こま目以降、順次掲載させていただいております。
 駆け足ですが、最後のほうに行かせていただきます。111こま目は、3月の分科会でいただいた主な意見を御紹介するものでございます。例えば、地域包括ケアシステムの推進であれば、尊厳の保持と自立支援という介護保険の原点に立ち、利用者視点の議論が必要。加算の在り方についても、加算の算定を目的とするのではなく、本人の自立や尊厳の保持にどのようにつながっているかという視点で検討が必要ではないか。   
 以下、ここに掲げてあるような意見がございました。
 次に、112ページ、自立支援・重度化防止では、科学的介護、アウトカム評価が重点課題となる中、CHASEやBarthel Indexを活用し、これをいかに推進するか、踏み込んだ加算の創設が必要ではないかをはじめ、以下にあるような御意見をいただいてございます。
 113ページは、介護人材の確保・介護現場の革新ということでございまして、今後の後期高齢者の急増と生産年齢人口の急減に対応した見直しを行う必要があるのではないかということでございます。また、一番下の○でございますけれども、施設における感染症対策についてということで、日頃から感染防止対策に関する取組が重要であり、看護職を活用しながら、体制整備や研修等に事業所や施設が取り組むことができるよう報酬体系の整理が必要ではないかという意見もいただいております。
 114こま目に行かせていただきます。それの続きでございました。
 115こま目でありますけれども、制度の安定性・持続可能性の確保ということでございまして、1つ目の○でございますが、介護サービスの適正化、重点化を図る前提として、サービスの質に影響が出てこないかを確認する必要があるのではないかという意見もあったところでございます。
 論点でございます。117ページ、118ページに2つにまとまってございますけれども、この■はこれまで申し上げてきたことをそのまま要点をまとめたものでございますが、論点に進めさせていただきまして、118ページの下の2つの■でございます。今後、生産年齢人口が減少する中にあっても、中重度の高齢者や医療・介護双方のニーズがある高齢者に対し、尊厳の保持や自立支援等の介護保険制度の趣旨も踏まえ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、地域の医療・介護関係者が連携を進め、取組を進めていくことが求められるが、在宅で生活する者の在宅限界を高めるための在宅サービス等の在り方、これまでも取組を進めてきた介護保険施設での対応の在り方に加え、高齢者向け住まいにおけるさらなる対応の在り方、人生の最終段階においても本人の意思に沿ったケアが行われること等の観点も踏まえ、どのような方策が考えられるか。
 また、昨年6月に、共生と予防を車の両輪として施策を推進する認知症施策推進大綱が取りまとめられ、その柱として、医療・ケア・介護サービス・介護者への支援が盛り込まれていることを踏まえ、在宅の中重度の要介護者を含め、認知症への対応力を向上するための取組等について、どのような方策が考えられるかというような論点とさせていただいております。
 資料3の説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 続いて、議題3「福祉用具貸与価格の上限設定について」、高齢者支援課長から説明をお願いします。
○齋藤高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。
 では、資料4に沿って御説明いたします。
 2ページを御覧ください。福祉用具貸与価格の上限設定についてということですが、これまでの取組といたしましては、貸与価格の適正化を図る観点から、30年10月から商品ごとに全国平均貸与価格の公表、貸与価格の上限の設定をするとともに、施行後の実態を踏まえて、おおむね1年に1度の頻度で見直しを行うこととなりました。
 一昨年度、平成30年度の介護報酬の検証・研究事業の中で、施行後の実態把握をいたしましたところ、そこにありますとおり、見直し前の上限の超過額が3.4億円だった一方で、当然のことながら、上限を超える貸与額は今度はゼロになったというところ。その一方で、貸与価格総額に占める削減率の割合のシミュレーションを行ったところ、見直し初年度については2%マイナスという計算が出ましたけれども、それをもう一度やると、翌年度以降のシミュレーションの結果ではマイナス0.7%の削減にとどまるという計算になりました。
 また、福祉用具貸与事業所の74%がその収益が減少した、あるいは減少する見込みという回答があり、その商品カタログの価格の修正だとか再印刷、こういったものの事務・経費の負担が一定数見込まれるということでございました。
 こういったことを踏まえて、令和元年度、昨年度におきましては、新規商品のみ上限設定を行うとし、継続的に貸与価格の実態や経営の影響、こういった実態把握を行い、必要な検討を行うこととされたところでございます。
 ここで、今回の論点でございますけれども、昨年度の調査結果において、そのような結果になりましたところを踏まえて、見直しの頻度をどのように考えるかというところでございます。
 次のページ以降、6ページ目までは、先ほど申し上げたデータについてでございます。
 7ページを御覧いただければと思います。これが昨年度、令和元年度の調査結果でございますけれども、まずは貸与額の総額、これの削減がどの程度あったかというところでございます。図表2にございますとおり、全体としては4.9億円の減少ということになっておりまして、図表2の左のほうから貸与価格の上限を超える貸与の減少分やその貸与の終了分、ここが大きく効いていて、貸与価格の上限を超えない範囲での増加、減少というところ、真ん中の2つのところですけれども、ここは大した差がなくて相殺されているというような状況でございます。
 8ページ目を御覧ください。同一商品の中で利用者の分析をしたところ、貸与価格に変化がないというところは99.1%でありますので、上限価格に吸い付くような価格の変更はなく、既存の利用者については貸与価格の変更は見られなかったところでございます。
 9ページ目、福祉用具事業所とレンタル卸との関係でございますけれども、レンタル卸を多く活用されておりまして、レンタル卸の利用は90%であるというところと、種目ごとに見ましたところ、ほとんどのもので貸与商品の中に占めるレンタル卸商品の割合が6割を超えているという状況でありました。
 そういったレンタル卸との関係でございますけれども、今回の改定に伴って値下げ交渉を行ったところは34.5%ございますが、結果としてレンタル卸の価格に変化があったかというと、ほとんどないということでございました。卸に価格を転嫁することはほとんどなく、福祉事業所の負担となっているというところが現状でございます。
 また、サービスの質につきましては、11ページでございますけれども、アセスメントの実施の方法、モニタリングの頻度、メンテナンスの頻度についてはほとんど変わっていないということで、サービスの質としては維持されているのかなと思っております。
 13ページ目を御覧いただければと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、上限設定後の影響でございますが、上限設定の貸与額については4.9億円減少で、全体で見ると適正化しているというところと、貸与価格に変化がないのが99.1%で、不当な値上げというようなものは見られなかったところでございます。
 一方で、経営面で見ますと、先ほど申し上げたとおり、小規模の事業者が多いというようなことが背景にあろうかと思いますけれども、そういったところに価格転嫁がされていないというところ。
 あと、マル2にありますけれども、商品カタログの修正にかかる経費であるとかシステム経費、システム改修の経費というようなところのその他費用の割合が高くなっておりまして、上限設定によりコストが増加しているということが考えられます。他方、先ほど申し上げたとおりのことで、サービスの質というものについてはきちんと維持されているというようなところが大宗を占めているところでございます。
これを基に対応案でございますけれども、全国の平均貸与価格の公表・貸与価格の上限設定については、一定の適性化効果が見られることから、これを継続しつつも、毎年度見直しても十分な適正化効果が得られないというところ。一方で、その事務所の負担も大きいというところから、他サービスと同様に、3年に1度の見直しにしてはどうかと考えております。
 その際、貸与事業所等のシステム改修等の準備期間を考慮いたしまして、令和3年度からの見直しといたしまして、令和2年度は令和元年度と同様に、新商品に係る全国平均貸与価格の公表・上限設定のみを行うこととしてはどうかと考えます。
なお、価格を下げることの努力という点につきましては、福祉用具貸与事業所に対して共同購入などの効率的な事業運営を行うと、こういったものの先進事例を収集して、経営努力を促していくというような対応をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 説明ありがとうございました。
 質疑はもう一つ説明を伺ってから行います。
 議題4の「介護保険における新型コロナウイルス感染症に対する主な対応について」、説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 資料5を用いまして、新型コロナウイルス感染症に関する主な対応について御報告をさせていただきます。
 1こま目以降が介護報酬における対応でございます。
 おめくりいただきまして、2こま目、まず1つ目の○にございますけれども、今回の対応では、一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合等が想定されるため、この場合について、介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準などについては、柔軟な取扱いを可能としておるということでございます。具体的には、その下にございます。
 「1.基本的な事項」といたしまして、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合の介護報酬の減額を行わない柔軟な対応。そしてまた、訪問介護の特定事業所加算の算定要件等であります定期的な会議に関しましては、電話、文書、メール、テレビ会議などで柔軟に対応可能とするものでございます。
 その後、個別具体の緩和事項ということでございますけれども、訪問介護に関しましては、複数回の訪問を行う場合については、間隔に関しまして、おおむね2時間未満となる場合であっても、それぞれの所要時間を合算せずに各回の報酬を算定可能であるとすることなど、幾つかの緩和事項がございます。
 また、訪問入浴介護に関しましては、清拭を行う場合でも算定可能であると。
 訪問看護に関しましても、訪問介護に倣ったような緩和を行ってございます。
 3こま目が通所系サービスでございます。休業となった事業所と異なる場所でサービスを行った場合でも算定が可能である。あるいはその形態を維持しつつ、時間が最も短い時間の報酬区分で定められた時間を下回ったときは、最も短い時間の報酬で算定可能であると。そして、事業所が休業している場合に居宅を訪問した場合でも算定が可能としているところでございます。
 4が居宅介護支援、5が施設サービス、6が地域密着型、介護職員(等特定)処遇改善、これもテクニカルなものも含めて幾つかの臨時的な取扱いを示しているものでございました。
 5ページ目以降が第一次補正予算における対応でございます。
 まず、6こま目でありますけれども、介護施設等に布製のマスクを配布させていただきました。
 7こま目、8こま目は、既存経費の対応でございますけれども、都道府県が介護施設へ配布する消毒液と、卸・販者からの一括購入などを補助するものでございます。
 8こま目は、多床室の個室化を支援するものでございます。
 9こま目は、社会福祉施設等の介護職員等の確保支援ということでございます。
 10こま目でございますけれども、これも第二次補正の中にございますが、こちらは事業所等のサービス継続支援事業ということでございます。実際にコロナウイルス感染症あるいは濃厚接触者等が出た場合、そのかかり増しの経費について支援をするというものでございます。また、そういったところを支援したところに対しても、例えばかかり増し経費に該当とするものであれば、それを支援するということが書かれているところでございます。
 11こま目は、緊急危機対応融資の拡充を行ったところでございます。
 12こま目は、介護支援専門員の研修をオンライン化する事業を支援していると。
 13こま目は、通いの場の活動自粛下における介護予防のための広報・ICT化を支援するものでございます。
 14こま目、15こま目、それぞれ介護事業所におけるICT導入の加速化支援、そして、介護ロボットの導入支援などを行ったものでございます。これは第一次補正関係でございます。
 第二次補正でございますが、こちらは第一次補正と比べまして金額的にも非常に大きな補正になってございます。16こま目以降でございますけれども、17こま目にありますとおり、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金というものを創設いたしまして、事業費としましては非常に大きな額ということでございます。
 その中で、事業内容に1、2、3とございますけれども、1は感染症対策の徹底支援、2は介護施設・事業所に勤務する職員に対する慰労金の支給ということでございます。新型コロナウイルス感染症が発生または濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し、利用者と接する職員に対し、慰労金を支給(20万円)となってございます。
 それ以外の施設・事業所に勤務し、利用者と接する職員に対しても5万円を支給するというものでございます。医療においても同様の慰労金が設定されていると承知をしてございます。
 あとはサービス再開に向けた支援ということも盛り込ませていただいております。
 次のページは、感染防止の取組支援事業ということでございまして、こちらは各事業所が適切に感染管理できるようにマニュアルを再整備する、あるいはBCPをつくっていただく、相談窓口をつくる、そしてまた、メンタルケアなども配慮する。こういったようなことを支援させていただくものでございます。
 その次のこまが、認知症サポーター養成講座のオンライン化の実施。
 最後のこまが、医療・福祉事業に対する無利子・無担保融資の危機的対応融資の拡充ということで、先ほど拡充しておくというものを、さらに拡充するものでございます。
 駆け足でございましたが、以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 それでは、質疑に移ります。御意見がおありの方はお願いいたします。
 岡島委員、お願いします。
○岡島委員 ありがとうございます。
 まず、意見を申し上げる前に、今回の新型コロナウイルス感染症の対応における看護職の活用と、それから介護サービス、看護サービスの提供に御配慮いただきまして、ありがとうございました。いまだに訪問看護ステーションでは防護具の不足がございますので、今後とも必要物資の供給などに御協力いただきますようにお願いします。看護職が健康かつ安全に介護現場で働けるように一層の処遇改善をお願いしたいと思っております。
 本日の論点の地域包括ケアの推進についてでございますけれども、施設または在宅における療養生活の限界点を上げるための機能強化が必要だと思っております。また、そのための多職種連携も重要になってまいります。一方で、今日の資料にもございましたが、生産年齢人口が減ってまいりますので、その中で質の高いサービスを提供するためには、サービス提供の在り方、連携の在り方についても見直しが必要ではないかと考えております。
 例えば、所属機関や組織を超えて専門職人材が活用できる仕組みをもっと促進する。またはICTを活用した多職種連携を進めていくということが必要かと考えておりますので、次回改定に向けて検討をよろしくお願いいたします。
 また、看護の視点から少し簡潔に意見を申し上げますと、まず、訪問看護ステーションにつきましては、資料1-4は全体の1割の数字だということに配慮が必要でありますけれども、看多機と同様に、在宅の限界を高めるためのサービスの在り方としては非常に必要な社会資源だと思います。特に独居の方や高齢夫婦、あるいは集合住宅ではない自宅への戸別訪問、これは訪問看護ステーションや看多機が重要な役割を果たしていると思います。今後は中重度の医療ニーズや看取りの対応、それから認知症の方やその方の家族への支援、そして自立支援や重度化予防、こういった意味での訪問看護、看多機の重要性が高いと考えておりますので、事業所の維持・確保ということに一層の御協力をお願いしたいと思います。
 また、このようなサービスが安定的に提供されるための加算の在り方についても、ぜひ見直しをお願いしたいと思います。
 また、看多機について特化して申し上げますと、本日の資料にもありましたように、看取りの実施のうち、62.8%が事業所内での看取りです。今後は独居の方や老々世帯などで家族の介護力が弱い方々でも、自宅に近い環境の中で最期のときを迎えられるように、事業所での看取りができるというのは看多機の強みです。したがって、今後も看多機の整備について一層の促進が必要でありますのと、人材確保の困難や、あるいは土地や物件の確保が困難な地域もございますので、こういった制約がある地域でも看多機が展開しやすいように、人員基準やサテライトの設置基準などについても見直しの検討が必要だと考えております。
 最後に、介護施設についてですが、今回の感染症対策のように施設内での対応、マニュアルの策定がとても重要になってまいります。また、施設での医療的ケア、看取りの促進もとても重要になりますので、既に看護職を加配して取り組んでおられる施設も多数ありますけれども、ここへの評価の充実というものもぜひお願いをしたい。それから、施設の規模や地域性によって看護職が確保困難という地域もございます。こういった地域・施設におきましては、冒頭にも申し上げましたとおり、所属機関や組織の枠を超えて看護職人材を活用できるようにしていただきまして、利用者が居住施設を変えることなく最後まで同じ場所で支援が受けられるような体制を整備していく必要があると思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 小泉委員、鎌田委員の順でお願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会でございます。
 まず、令和3年度介護報酬改定に向けてということで、地域包括ケアシステムの推進につきましては、当協議会の意見として別紙1に記載させていただいております。その中でも特にお願いしたい点について、4点意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、感染予防体制の確立とその評価ということで、新型コロナウイルス等の感染の予防、蔓延拡大防止を視野に入れた地域包括ケアシステムの推進が必要であるかと思います。高齢者福祉施設及び居住系施設がこれまで行っている取組を充実させて、質を高めていく観点から、基本報酬において評価していただきたいと思っているところでございます。
 2点目でございますが、ICT等の導入推進に係る体制整備とその評価ということでございます。生産性向上の本質は、今後、生産年齢人口が減少する状況下となっても利用者のケアを維持・向上していくことにあり、そのためにはICTの導入が不可欠でございます。現状そうした目的を意識せずにICTを導入する事例も結構ございます。そのため、目標設定とPDCAを確立させた計画性のある導入が必要と考えております。
具体的には、介護サービス生産性向上ガイドラインを基本とした体制を整備して、業務改善のためのチーム構築、業務の重要性の検討、業務手順書の作成を行う、こういった一連の体制とプロセスを基準上設けることなどによって、その体制を評価できることと考えております。また、在宅サービス及び入居系サービスにおけるウェブ診断や相談、そういったものが促進される仕組みの検討が必要と考えております。
先ほども説明にございましたが、事業継続計画、BCPの構築に係る体制整備とその評価もぜひ推進をしていただきたいと考えているところでございます。
 4点目でございますが、複合的なサービス展開を可能とする専従要件の見直しの御検討をお願いしたいと思います。人材確保難の状況や今後の生産年齢人口の減少を踏まえ、同一拠点において複数事業所を展開している場合における職員の専従要件につきましては、職務負荷に留意しつつ、見直しを検討していただきたいと存じます。
 議題の3番目の福祉用具貸与の価格の上限設定についてでございますが、意見でございます。結果概要の8ページ、ヒアリングの調査にも記載されていますように、貸与価格の見直しに当たっては、価格再設定等の検討や利用者や介護支援専門員への案内文の作成、説明等に係る人件費、カタログ更新費用、システム改修費用等の費用が発生していること。そして、短期間での価格見直しは福祉用具貸与事業者にとっては大きな負担となると思います。上記の理由によりまして、31年4月10日には31年度中の見直しは行わないこととしてはどうかという方向性が承認されたこと。このような背景によりまして、上限設定はたびたび行う必要もなく、短期間で行う必要もないと思われますので、福祉用具貸与価格の上限設定は原則として1商品1度限りとしてはどうかと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 お待たせしました。鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 ありがとうございます。認知症の人と家族の会の鎌田です。
 地域包括ケアシステムの中の地域支援事業について、意見とか御検討をお願いしたいというところです。今回、コロナで介護予防、日常生活支援事業のところでは、今まで共助のほうが進められていましたけれども、これが今度は制度設計に無理があったことが明らかになったのではないかと思っています。公的な施設は閉鎖され、担い手である地域のボランティアさんや民生の方々は外出の自粛によって事業が行われず、そこに通っておられた予防の方や要支援1、2の方々は、家の中に引きこもっていって、ADLの低下や認知機能の低下を地域の方々も大変心配しておりますし、包括以下、ケアマネもそうですけれども、皆さん心配している状況があります。やはり共助というのが進められた結果だと考えております。共助のところにもう一つ公的な支援、サービスがきちんと中に組み込まれた形があると、今回のようなことにはならなかったのではないかと考えていますので、もう一度制度設計を考えていただけたらと思います。
 もう一点は、資料5の18ページですが、岡島委員からもお話がありましたけれども、施設・事業所への感染の知識の普及です。特に訪問系のところは専門的な医療者もいない中で、やはりヘルパーさんとか家族さんから、危ないからやめておきなさいとか、自身も感染源になるのではないかと休職をされたりということで、人材不足に拍車をかけております。
 それとか、事業所のほうもどのような感染対策を行えばいいのか、有効なものは何かということが、やはり看護職の中には、学習をしっかりやった者もあれば、まだまだのところもあって、知識というものに非常に差があると思っています。そのときに、地域の中にいらっしゃる感染の専門の認定看護師さんが、病院の感染対策ではなく、施設に応じた感染対策というものをそれぞれの現場に赴いてやっていただければ、非常に有効な感染対策が取れますし、事業所の休所とかいうことにもならないのではないかと考えます。
 それとともに、今回、御本人はデイサービスに行きたいと言っても、家族が危ないからやめておきなさい、病気になったらどうするというようなことを言われて、デイサービスの利用ができないとか、サービスの利用ができないということがありました。それはやはり正しい知識というものがきちんと届いていない結果だと考えます。だから、リスクばかりが強調されてしまうといけませんし、また、じゃあ大丈夫といってサービスに行ってしまって、そこの感染対策が十分でないと感染を起こしてしまう、命を落としてしまう場合もありますので、そこを専門的な知識が入った中で、事業所なり、それから私たち利用者にもきちんとした情報を伝えていただければと考えています。そうすることで、貴重な介護人材も継続的に働き続けられると思います。
 以上です。
○田中分科会長 感染症対策についても御意見をありがとうございました。
 安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 地域包括ケアシステムの推進について、今まで様々な委員の方からも御意見がありましたけれども、人口構造の変化を考えますと、自立支援や重度化防止を推進しつつ、在宅での介護医療サービスを中心に過不足なく効率的な介護・医療提供体制を整備していくことが求められると考えております。このため、介護サービスの整備を進めるに当たりましては、2025年や2040年以降の介護需要も見据えつつ、地域医療構想による医療提供体制の改革と一体的に議論が行われることが必要となると考えております。
 資料3の111ページにも記載いただいておりますが、限られた人材や財源で十分な介護サービスを提供するためには、特に地方等におきまして分散しているサービスを集約し、利用者のニーズを十分に踏まえた上で、重点的な体制整備を行うなど、介護サービスの集約化・重点化に向けた具体的な検討が必要であると考えます。
 そして、何よりも重要な課題は介護人材の確保であると考えます。人材はすぐには育てることができません。有効な対策をいち早く立て、実行に移さない限り、幾ら立派な施策を考えても、実際に働く方たちが不足していては、意味がなくなってしまうと考えております。これらのことを迅速にやることと、現場の革新、感染症に配慮した改革、そして、安全で働きやすい職場づくりというものを、確実に実行できるような対策をつくっていく必要があると思います。このためには、報酬だけではなく、働きやすい職場というところが重要になってくると思います。
もう一点、福祉用具貸与価格の上限設定についてですが、資料4の13ページに示されている対応案につきましては、特段の異論はございません。
 その上で、対応案の「なお書き」につきまして、小規模の事業者が非常に多い中で、共同購入や共同利用により、効率化を図ることは重要な取組であると思いますが、どの程度実行可能であるのかが疑問にあります。また、平成30年10月貸与分では、価格の上限を超える貸与は0%とのことですが、平成29年10月貸与分におきましては、利用者数が少ない事業所ほど貸与価格の上限を超える傾向であったことを踏まえますと、利用者数が少ない事業所ほど上限価格に張り付いているケースが多いのではないかと思われます。
 そこで、もし把握されているようでしたら、利用者数の規模と価格の関係がどのような傾向にあるのか、教えていただきたいと思います。
加入者の視点からしますと、どの事業者でも適正な価格で貸与を受けられることが重要であると考えますので、利用者数が少ないほど価格が高い傾向にあるということであれば、業界全体として事業所の再編・統合も視野に経営改革に取り組んでいただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 質問が1つ含まれていましたので、お答えください。
○齋藤高齢者支援課長 すみません。福祉用具事務所の規模と価格との関係につきましては、私どものほうでデータを持ち合わせておりません。   
 どのような分析ができるかというのは、今後検討していきたいと思います。
 以上です。
○安藤委員 かしこまりました。ありがとうございます。
○田中分科会長 たくさん手が挙がっています。順番に参りますけれども、まずは伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 まず、議題2ですけれども、地域包括ケアシステムの推進というのは、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにするという一番基本的な考え方で、これは絶対に失うべきではないと思っております。現在、要介護認定者のうちの施設入所者は14%ぐらいだと思いますけれども、それ以外の方はまず在宅サービスから利用しているということになるわけで、在宅のサービスがきちんと利用し続けられるような報酬を考えていかないといけないと思っています。
 あと、ケアマネジメントの充実が当然必要だと思います。さらに公正中立性の確保ということが78ページに出ていますけれども、これも前から言っていますが、ケアマネ事業所の収益がなかなか出ない中で、併設のサービスで何とか事業を行っているという実態があるわけです。そこで公正中立性がきちんと保たれるのかという課題がずっと残っていますので、この点をきちんと担保していかないといけないと思っています。
それから、1つ質問なのですけれども、共生型サービスの請求事業所数というのが資料の89ページにあり、86の事業所で算定しているということですが、地域的に特徴があるかということを教えていただきたいと思います。
 次に、議題3、福祉用具貸与については、この間議論してきた中で、当初のおおむね1年に1度の頻度で見直していくということが、今回、経営に影響があるということが理由になって、見直すことになるようですけれども、そのような経営への影響は当然見込まれた中で、ここになって見直し、これまでの考え方をやめていくことについては、きちんと明確にしていただきたいと思います。
 資料の13ページに「不適切に価格を値上げした状況は見られず」と書いてあって、一方で7ページには、上限の範囲で引き上げたところがあることが見られます。これで不適切ではないということがどこで言えるのか。上限設定によるコストがかかってきているというアンケート結果が出ていますが、そのコストをのみ込んでいるところとのみ込めなかったところがあったのかもしれないですが、それが不適切でないということは、この資料でどうやって読み取ることができるのかということが分かりませんので、その点については確認させていただきたいと思います。
 最後に、議題4の新型コロナウイルス感染症対応のところであります。現場では皆さん本当に苦労されている中で最大限の取組をされていることに敬意を表したいと思います。防護具の不足という点について、先ほども指摘がありましたが、施設においてはクラスターが発生しかねませんので大切ですが、やはり在宅サービスや小規模事業所でガウンなどが必要になった場合に確保できるのかという点は非常に心配ですので、きちんと政府の責任で供給をしていただきたいと思っております。
 それから、10ページの継続支援ということで、自主休業を含めて対応されているというのはいいことだと思うのですけれども、逆に自主休業を促進しないようにしていただきたいと思います。
 それから、12ページの第一次補正予算のところで、介護支援専門員研修オンライン化事業について、全国一律に行っていくというのは悪いことではないと思っているのですけれども、きちんと受講できるような体制を確保していただきたいと思います。研修はディスク配布なのかオンラインなのか分かりませんが、こういうものがきちんと活用できるような体制の確保を併せてお願いしたいと思います。
 17ページに第二次補正予算に盛り込まれた慰労金のことが出てまいります。これについては、金額が十分かという課題はありますけれども、とにかく迅速に行っていただく必要があると思っています。
 ここで質問です。「新型コロナウイルス感染症が発生又は濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し利用者と接する職員」と書いてあるのですけれども、給付される職員の範囲と、それがどのように労働者に給付されるのかという給付方法について質問させていただきたいと思います。
 最後です。19ページ、認知症サポート養成講座のところに「カフェ」という言葉が出てまいります。なかなか実施体制づくりが難しい中で、国はカフェとかボランティアの取組を進めてきているわけで、こうした取組をなるべく再開していかないといけないと思うのですけれども、その際には、こうした自主的な取組に対する衛生管理に関する支援をきちんと行っていただかないと、なかなか再開できないと思いますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 質問が3つございましたので、お願いします。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
 まず最初の御質問、共生型サービスの算定の関係でございます。令和元年10月審査分で86の事業所が請求しているということですが、この地域差について分析があるかということでございます。手元に数字がございませんので、追って分析については考えさせていただこうと思いますが、全体としてまだ86ということでかなり数も少ないものですので、どれだけ分析に耐えられるか、こういうものも含めて数字のほうを見させていただければと思います。それが1点目でございます。
 2点目で、補正予算の関係で御質問いただいてございます。資料5の17ページ、慰労金の関係でございます。2つ御質問いただいたと思ってございまして、対象となる職員の範囲はどのようなものになるのかということでございます。詳細は今後の検討という形にならざるを得ない部分がございますが、現状では、例えば職種によって限定をするとかそういうことは考えてございませんで、広く介護の事業所に勤務されていて、利用者と接する職員、こういう方々に職種限定しないで幅広く配れればと思ってございます。
 また、配り方についても詳細を詰める必要がございますが、基本的には事業所を経由してお配りさせていただくという方向で、今、検討を進めているところでございます。
 こちらは以上になります。
○齋藤高齢者支援課長 福祉用具の関係で御質問をいただきました。不適切なコストアップ、価格上昇であるのかどうかというところにつきまして、我々としてもミクロで一つ一つの価格上昇の事象を見て判断できればいいのですけれども、なかなかミクロで見ることができないというような中で、マクロ的に状況を見た中で、例えば8ページでありますとおり、価格の変化がないということでありますとか、価格の上昇、減少というところは、地域の状況とかを見ながら価格を上昇させるとか下げるということは、当然ながら民間事業者としてあると思いますが、その上げるところと下げるところの差がほとんどないというようなところ、マクロ的に見て判断いたしまして、そういった不当な価格上昇がどっと起こるようなことがないのだなというところで確認し、3年に1度で構わないのかなと考えた次第でございます。
 さらなる価格変化の要因分析につきまして、また引き続き、調査をさせていただければと思います。
○田中分科会長 では、簡潔に、伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほどの慰労金のことですけれども、事業所経由という配り方の点については、くれぐれも職員に対してきちんと確実に給付された額が届くように対応をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 黒岩委員、お願いします。
○黒岩委員 神奈川県知事の黒岩祐治です。
 介護現場というのは3密を避けられないという中で、一生懸命現場で頑張っている皆さんに心から感謝と敬意を申し上げたいと思います。
 そんな中で、この介護現場、これからもしっかり守っていかなければいけない。そういう中で、全国知事会としても介護従事者への危険手当の支給といったことを要望してまいりました。それは今度の二次補正予算案に慰労金の支給という形で盛り込まれたといったこと、ここは感謝申し上げたいと思います。これは、ぜひ一刻も早く慰労金を届けるということが重要でありますから、迅速な支給に向けてできるだけ簡素な制度にしていただくとともに、都道府県など自治体の事務負担の軽減にも御配慮いただきたいと考えております。
 一方で、介護事業所でありますけれども、新型コロナウイルス感染症対策は大変な労力と手間がかかっていると思います。これまでにない様々な感染防止対策を講じた上で、サービス提供に当たっている事業所に対して、例えば事業所体制加算として基本報酬に一定の割合、20%とかそういった加算をすることを提案したいと考えています。
 感染症対策にかかる経費が基本報酬に含まれているといったことは認識していますけれども、しっかりとそういったことに取り組んでいる事業所に対しては、インセンティブを与えて評価していく仕組みを構築することが大事でありまして、この分科会でぜひ御検討いただきたいと思っております。
 なお、これは新型コロナウイルス対策の緊急的な制度のお願いでありますけれども、こういった感染症対策というのは非常に重要でありますから、恒久的な仕組みとしても構築していただきたいと思う次第であります。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○田中分科会長 黒岩委員、ありがとうございました。
 小玉委員、お願いします。
○小玉委員 ありがとうございます。
 私からは、議題3の地域包括ケアシステムの推進の論点について3つ、それから、新型コロナウイルス感染症について1つ、意見を述べさせていただきたいと思います。
 平成30年度の改定で医療・介護の連携強化から訪問介護事業所、また、ケアマネジャーさん自身の利用者の状況等について、主治の医師・歯科医師や薬剤師さんに情報提供を行うことが義務づけられたところでございます。その実態を令和元年度老人保健健康増進等事業「利用者の口腔に関する問題や服薬状況に係る介護支援専門員と薬剤師や歯科医師等との連携のあり方に関する調査研究事業」で、医師会の先生や栄養管理ステーションからの大きな協力を得て、また、ケアマネさんからの高い回答率で多様な具体的な事例、いろいろな好事例がありまして、これを早急にまとめていただいて、地域ごとの情報共有、情報提供の在り方を集約して、制度に結び付けていただきたいと思っているところでございます。
 なぜなら、現状の課題として、介護保険の認定時において口腔衛生や口腔機能の評価が十分でないために、その時々の介護職種の方たちが口の中の問題に気づいたり、また、経験がないとなかなか歯科医療職につながらないという課題がございます。この調査によっても、管理栄養士さんとの連携があまり十分ではないということ、また、訪問介護の現場からいろいろな口腔の問題の気づきが十分でないというところが出てきてございますので、通所介護や通所リハも含めた口腔状態のスクリーニングと情報共有の仕組みづくりをぜひ進めていただきたいなと思っているところでございます。
 また、先ほど口腔衛生についても、この資料の85ページのところに示していただいて解説をいただきましたけれども、口腔衛生管理も6割以上が施設で算定していただいているところでありますが、さらにミールラウンド等、質の高い取組を充実させるための仕組みをつくったりとか、また、せっかく施設でサービスが提供されていても、在宅に移行すると口腔に関する情報が次の介護サービス提供者に伝達されないで、口腔ケアが3割ほどしか継続されないという報告がありますので、このために場所がいろいろ移っても途切れない介護サービスの充実を図る情報共有のシステムが非常に重要ということもございますので、このシステムの中で口腔に関する項目も整理して追加していただきたいと思っているところでございます。
 あと、認知症に対応する事柄でございますけれども、認知症の対応力向上研修会というのがございますが、このブラッシュアップを早急にしていただいて、内容の充実、また、研修会の対象者を歯科医師だけでなく院内スタッフにも広げていただきたいなと思っているところでございます。
 また、市町村の認知症初期集中支援チーム等に歯科医療職の参画がほとんどないということでありますので、一体的な地域、多職種の活動というところに、そういった充実を希望するところでございます。
 様々な調査研究がございます。また、認知症の予防や重症化防止のためのそしゃくや歯周病との関連についての研究も、基本法ができたときにもそういったところを盛り込んでいただきたいと思っているところでございます。
 最後、新型コロナウイルス感染症対策についてでございますけれども、現時点では歯科診療所からの新型コロナウイルス感染症の発症や拡大はないと認識しているところでございます。厚生労働省のホームページにもございますように、新型コロナウイルス感染症の基本的な対策として、栄養、運動、口腔清潔ということは非常に重要であり、特に施設入所者や在宅療養者の歯科専門職を含めた口腔健康管理の継続は、誤嚥性肺炎だけではなく新型コロナウイルス感染症の予防や重症化防止に極めて重要と考えているところでございます。
 ところが、その反面、特に国の緊急事態宣言以降、介護施設での家族の面会と同様に、訪問歯科診療が制限されてしまったということを憂慮しているところでございます。
 訪問診療は制限に当たらないというQ&Aを厚労省から出していただいて、誤解が解けつつあるところは感謝申し上げるところでございますけれども、日本歯科医師会では、さらに口腔衛生管理、口腔ケア、オーラルフレイル対策のさらなる国民への周知が必要と考えてございますので、正しい情報提供の在り方をお願いしたいところでございます。
 具体的には、歯・歯肉のブラッシングはもちろん、舌磨きですね。それから、しっかりとしたぶくぶくうがい、また、唾液腺マッサージによる口腔乾燥の防止が非常に重要と考えてございますので、ぜひ介護保険に関わる皆様にもその旨、充実を図っていただくようにお願いしたいところでございます。
 また、歯科に関わる将来の介護報酬などにつきましても、情報通信機器の活用が非常に重要と考えておりますので、その点の付与化をよろしくお願いしたいと思います。
 長くなってすみません。以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 武久委員、お願いします。
○武久委員 ありがとうございます。
 新コロナがどんどんはやっていますけれども、80歳以上になると20%以上が亡くなるということなのですね。だけれども、逆に言うと80%の人が助かるということです。しかし、1か月以上入院しているとほとんど要介護者になるのではないですか。要するに、保険というのは、保険者と被保険者とあって、保険事故が起こったときにその保険が使われる。基本的に火災保険にしろ、自動車保険にしろ、保険事故が起こらないようにみんな必死になってプロパガンダをやったりいろいろやっています。医療保険に関しては、医療事故が起こらないためには検診をやったりいろいろなことをやっています。介護保険に関しましては、どうして要介護になるかというと、やはり一番は病気になって病院へ入院した結果として要介護者になる方が非常に多いわけです。基本的に介護保険という保険制度を議論する上では、まずは保険事故を起こさないようにするにはどうしたらいいかという視点での議論も必要かと思います。
 今回、新コロナがはやりまして、やはり高齢者の患者さんも非常に多いわけですから、また何千人かの要介護者が増えてくるかも分かりません。しかし、新コロナに関して言うと、命を助けることが一番ですから、寝たきりになって要介護者になることまで防ぐような余裕は医療現場にはありません。しかし、全般的には、いろいろな病気になってもできるだけ要介護にならないような医療、治療を行うということも重要です。
 そのためには、この介護保険というものが今の説明や今までずっと行われてきたことを見ておりますと、要介護者を減らそうと、介護保険に入ってくる人をできるだけ減らそうという視点がちょっと少ないように思いますので、新コロナのことを考えていますと、それも含めまして、今後、介護保険がどんどん膨らんでいってどうしようもなくなるということがないように、できるだけ要介護にならないための、その前の段階での予防ということをよく考えていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 将来の方向についても御意見をありがとうございました。
 東委員、お願いします。それから、次に今井委員、お願いします。
○東委員 ありがとうございます。
 まず、資料3「令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)」のスライド118枚目に、論点として「在宅で生活する者の在宅限界を高めるための在宅サービス等の在り方」と書いてございます。そして御存じのように、老健施設の主な役割は在宅支援でございます。  
 短期入所や通所リハビリ、訪問リハビリといったサービスも提供して在宅を支えているわけでございます。また、入所という考え方で在宅を支援することもできるのは老健施設だけでございます。そういう意味では、在宅サービス等と書いてございますが、今後、老健施設がそういう入所サービスも駆使して、在宅限界を高めるための支援をしていきたいと思います。
 一方、在宅限界を高めるためにはリハビリという考え方がやはり重要でございます。先程、老健施設のリハビリ機能も高くなってきたと申し上げましたけれども、例えば短期入所において個別リハビリができるのは老健施設だけでございます。そういう意味でも、老健施設がさらにリハビリ機能を高めて、在宅限界を高めるための役割を担いたいと思っております。
 それから、在宅限界を高めるためには認知症のことを差し置いてはできません。どのように認知症の支援をするかということが非常に重要になってきます。全老健で開発しました非薬物療法である認知症のリハビリテーション、こういうものをもっと積極的に使っていく。それから、先ほど申しました老健施設の入所を使って、1~2か月の入所で認知症の在宅介護で疲弊しているご家族をサポートするとか、こういうことも今後は老健施設が頑張っていかなければいけないと考えております。
 次に資料5「介護保険における新型コロナウイルス感染症に関する主な対応」についてです。まだ現在進行形でございますので、今、申し上げることは早いかもしれませんが、今回、高齢者施設が果たした貢献というのは大変大きいと思っています。欧米と比較した場合に、我が国においては高齢者施設の死亡者数が圧倒的に少ないというのは事実でございます。これは各施設、特養や老健施設や様々な高齢者施設が感染症対策の教育、研修、そういうものに今まできちんと努めた結果が、このような結果になっているのではないかと思います。
 そういう意味では、現場の全ての職員のコロナ予防に対する努力を評価すべきだと思いますし、第二次補正においてその現場の貢献について慰労金がついたのは、大変感謝をいたしたいと思います。今後、第2波、第3波も言われております。高齢者施設においてより一層コロナの感染を予防するために、現場もまだ頑張っていかなければいけないと思いますので、今後とも気を引き締めてやっていきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 今井委員、お願いします。
○今井委員 ありがとうございます。民間介護事業推進委員会の今井でございます。
 私のほうから2点ほど、要望という形で簡潔に述べさせていただきます。
 まず1点目は、令和3年度の介護報酬に向けての論点についてですが、これまで介護保険の給付費分科会、それから介護保険部会等で地域 包括ケアシステム、地域共生社会の構築に向けて、医療・介護機能との連携強化、制度の持続可能性を確保するための効果的・効率的なサービスの提供、こういうものが議論されてきた。今回は、とりあえず在宅生活の限界値を上げるためにも、ICFの考え方にのっとりというのが基本でしょうけれども、心身機能のみならず、生活機能の維持、この辺の環境整備、健康寿命の延伸が目指されてきた経過があります。今回の審議に当たっても、新たな課題だと認識しており、そのキーワードは「社会参加」だと思っておりますけれども、これまでの審議の経緯を踏まえながら、さらに進化をさせていけるような論点整理をお願いしたいというのが1点。
 加えて、特に後期高齢者の状態の変化、この辺のきめ細かい生活支援がますます重要になってくると思われます。現状の在宅サービスのような単独の形態は限界があるのではないかと思っております。したがいまして、地域密着型サービスのような利用者の立場に立った複合型で包括報酬のサービスの拡大を議論すべきというのがもう1点ございます。
 以上、要望として述べさせていただきます。
 それから、新型コロナ関連について3点ほど述べさせていただきたいと思います。
 先ほど来、介護事業所というようなところで、成果として多くの施設・事業所においては、厚労省から提供されています国の感染症マニュアルに基づいた感染管理、感染経路の外部からの遮断、こういうものが事業所での対策として行われた結果、一部では発生していますけれども、クラスター感染の発生状況も抑えられているのではないかと思っております。これは一つの介護事業所での自主取組の成果と言っても過言ではないと思ってますが、まだ終わっていないという状況の中で今後の第2波3波に備えるという、私ども民間事業推進委員会からの要望といたしましては、民間事業者の金融支援策の手続簡素化、周知の徹底、これをまず1点お願いしたいと思っています。とりわけ民間企業の営利法人については、融資の内容の情報がほとんど届いていない状況も聞かれております。この辺は喫緊の課題でございますので、徹底をお願いしたいなというのが1点でございます。
 もう一点は、マスク等については、先ほど確保策の提示がございますけれども、訪問介護が最前線で必要とする感染症対策の中心となる手袋だとか防御シールド・ガウン等の防護対策関係、この辺の感染予防対策キットについては至急配置をお願いしたいなというのが2点目の要望でございます。
 3点目といたしましては、外部からの感染経路の遮断を徹底して行うという中で言うと、少ない人員でも管理が行える空港で行われている検疫体制で使用されているような非接触型のスクリーニング装置、こういうものを全施設・事業所へ設置することの助成等をお願いします。 ちょっと長くなりましたけれども、以上3点の要望をさせていただきました。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 論点と新型コロナウイルス感染症の対策に関しまして、意見を申し上げたいと思います。
まず論点につきまして、在宅サービスについて、訪問、通所、ショートステイの3本柱をバランスよく、ニーズに応じてタイムリーに組み合わせて活用することが重要であります。現実は、必ずしも効果的に組み合わされておらず、尊厳の保持と自立支援に向けた対応をより一層高めていく必要があります。また、施設サービスと在宅サービスは密接かつ不可分な関係にあり、相互に補完し合うものであることから、施設サービスと在宅サービスを適時適切に活用する視点も高めていく必要があると考えます。重要なことは、在宅至上主義でもなく、施設偏重主義でもなく、本人の意思が尊重されているかどうかであり、本人の願いを実現するためにどうすべきかを支える側でしっかりと考えて行動することであると思います。
 一方、今後、労働人口が減少し、働き方改革に取り組む中で、特に人口過疎部においては限られた社会資源をいかに有効活用するかが課題であるため、まずは既存の社会資源を地域づくりの拠点として弾力的に活用できるシステムを検討すべきであります。
 その中で、単に数値からはじかれた将来の必要なサービス量の推計を参考とするのみでなく、各地域の住民が培ってきた介護サービスの利用の仕方といった風習を尊重し、地域の特性を活かした方策が必要であると考えております。
事業所においては、日々取り組んでいることが尊厳の保持と自立支援に資するかどうかの視点を高めていく必要性が重要であると考えております。制度設計の視点からは、基本報酬部分でどういうサービス提供を行っているのか、また、多数存在する各種加算についての効果検証によるきめ細かい施策の対応が必要と思っております。
 さらに、在宅サービスを継続するためには、在宅医療の提供が不可欠であり、継続的な訪問診療、訪問看護に加え、在宅医療の継続を支える訪問介護が必要に応じて導入されるとともに、生活機能の維持・向上を図るリハビリテーションの視点を高めるべきと考えています。
 高齢者向け住まいにおいては、多くの要介護者が住まわれており、地域との交流を活発にするとともに、地域に開かれた住まいとして地域の中で透明性を高めていく運営が推奨されます。また、ニーズに応じたターミナルケアや看取りも、今後さらに増えていくことが想定されるため、例えば特定施設入居者生活介護において、介護保険の訪問看護や訪問リハビリテーションの提供ができる仕組みと見直し、人生の最終段階を支えていく体制を強化すべきと考えます。
 人生の最終段階におけるケアにおいては、「ACP」や「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の違いも踏まえつつ、現場職員がしっかりと理解し、誰もが本人の意思が尊重されることが重要となります。人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインにおける意思決定を行う上で、倫理的な規範から見た根拠は、「自立尊重の原則」、「与益最大化の原則」、「不加害原則」、「正義・公正原則」の4つの倫理原則に基づいております。したがいまして、これらの原則に基づく意思決定支援のあり方は、最善の選択を行う重要な根拠となりますので、こういったことを重要視していくことが必要であります。
 論点の最後に、認知症につきましては、高血圧、脂質異常症、糖尿病と並んで、一般かかりつけ医が専門医との連携の下、日常的な医学管理を行う疾患と位置づけられております。認知症が他の生活習慣病と異なる点は、効果的な治療薬がない反面、良質なケアや環境づくりによって生活の質の向上ができることであります。BPSDの対応も非薬物療法を原則としており、その原因となる本人の不安や葛藤を取り除くために、本人の生活、周囲の関わり方や落ち着く環境、日常生活での役割等の視点からアプローチすることにより改善が可能であり、本人の心が安定した、落ち着いた穏やかな時間をできる限り保つケアの提供が重要となります。さらには、住民の認知症への理解は不可欠であり、例えば介護事業所等が住民主体あるいは住民を巻き込んだ地域での取組を活性化することの仕組みも方策として考えられると思っています。
 最後に、新型コロナウイルス感染症に対して意見を申し上げます。今後、2年あるいは3年間は新型コロナウイル感染症との闘いあるいは共存が続きます。特に今年の秋冬は次の大きな波が懸念されるところであります。感染対策のアウトカムは死亡者数でございますので、特に介護施設や障害者施設での今後のクラスター発生をいかに抑えるかが非常に重要であります。無症候性病原体保有者がいる以上、施設内感染をゼロにすることはできませんが、限りなくゼロにすることは可能であります。併せまして、先ほど御意見もございましたが、PPE、特に介護施設においてもサージカルマスクの装着は全職員必須であると思っております。
 それと、事業所で取り組むものとして、感染対策の事業所の自助努力の強化、いろいろな委員会とか研修を行っておりますが、ここをいま一度強化する必要がありますし、特に実技を伴う実践研修の導入を義務化すべきと思っております。知識として知っていることをちゃんと振る舞えるかどうかには、必ず人間には乖離がありますので、このあたりをぜひ検討していただきたいと思います。
 併せまして、今、面会の謝絶とか制限が行われている中で高齢者が孤立化しておりますので、今後、ADL、フレイル、認知機能低下への対応も必要となります。
 感染の研修におきましては、飛沫感染、接触感染は皆さん当たり前のことですけれども、それだけでは説明できないクラスター発生が起きております。したがいまして、エアロゾル感染等についても研修の内容に含めるべきだと思います。
 最後に、発症した場合に、今回、非常に悲惨な事例が全国で複数散見されております。ぜひ施設内で要介護者の感染が発症した場合には、原則速やかに病院へ入院、あるいはもし病床がいっぱいで入院できないときも、今からこの秋冬までの数か月の間に、例えば要介護者の方を集団的に診るような施設をどうしていくかを検討すべきであると思います。特に夜勤者は、介護施設においては感染者と非感染者をそれぞれ専従で職員を分けることは不可能でありまして、要は交差して介護します。したがって、交差感染が起きるリスクが極めて高くなりますし、それから、何よりも今回は我が国においても80歳代以上の致死率が1割を超えておりますので、そういったことも含めて、ぜひ御検討いただければと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 極めて包括的な意見をありがとうございました。
 藤野委員、お願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。
 4月末に厚生労働大臣宛てに本会より要望書を提出させていただきまして、厳しい現状の実情はお伝えしたところです。全国の現場従事者からも多くの切実な声が寄せられております。今般の介護現場への支援策は、その声に応えていただいたものと感じております。それらも踏まえまして、改めて次の2点について述べさせていただきたいと思います。
 1点目です。今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延によりまして、生活を支えることの重要性、そして、それを支える最前線の従事者の存在の重要性が改めて認識されたと思っております。生活の場が支えられなければ地域社会が崩れてしまいます。特に在宅生活者の在宅限界を高めるためには、医療と介護がさらに密接な連携を図りながら支えることが重要であり、とりわけ生活そのものを支える訪問介護などのサービス基盤が十分に機能することが求められます。
 しかし、現状では、人材確保や経営難などの課題を抱えておりまして、さらに新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、事業継続の困難さが増していると聞き及んでおります。利用者本人の人生を最後まで地域社会で尊厳を持って支えるためには、介護サービスの事業や従事者が適切に評価され、安定したサービス提供基盤を構築することが不可欠と考えます。
 2点目です。医療、介護、福祉の各関係団体で行っている認知症に関する研修を、その資格を有する者たちの必須研修に位置づけるなど、オフィシャルな取扱いにしてはどうかと考えます。また、現状、民間資格も含めまして、認知症に関する研修が多種多様に存在しております。現場においてもどれを受講するべきか、またさせるべきか、困惑する場面もあります。人手不足であっても質を向上させるためには、学びやすい環境を整えることが重要であり、多様な研修を一度精査し、重なる学びの部分はほかの研修と読み替え可能にするなどの整理が必要ではないかと考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 河本委員、お願いします。
○河本委員 1点だけ意見を申し上げたいと思います。
 在宅限界を高めるという意味で、先ほどもございましたように、リハビリとか社会参加といった観点が重要になると思います。今後、具体的な事例とか取組、あるいは課題を整理、検証していただきながら、介護報酬上の対応について検討していくことになると考えております。冒頭にもございましたとおり、生産年齢人口が減少する中で、制度の安定性・持続可能性、これは財政面でも人材面でも両方でございますが、これを担保するということが地域包括ケアシステムを推進する上でも極めて重要だと考えております。
 地域包括ケアシステム推進に当たっても、サービスの適正化あるいは効率化、それから、もちろん質の確保というのがございますが、そういった観点もぜひ含めた上で検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 間利子代理、お願いします。
○井上委員(代理 間利子参考人) ありがとうございます。
 まず議題2に関連してですけれども、論点にある在宅限界というところで、この対応には、先ほども御意見がありましたけれども、介護保険給付だけではなくて、民間サービスですとか、他の手段の活用をまず検討すべきです。その上で、介護保険の給付上どういうことができるのかを考えるべきです。その際、例えばここの論点にも明記があるとおり、在宅か施設かという形だけではなくて、高齢者向けの住まいなどを活用していくことがあり得るのではないかと思っております。それが1点目です。
 2点目ですけれども、中重度者ですとか認知症の方々の多様なニーズに対応していくことは重要な課題であります。他方で先ほど河本委員からも御発言がありましたように、財源や人材にも限りがありますので、報酬体系全体の中で重点化あるいは効率的な提供というところを意識しながら議論していく必要があると思っております。
 例えば、中重度の方々に対する取組を重視していくのであれば、他方で軽度の方々の報酬をどう適正化していくかというような給付全体の中でバランスを取るような視点で、特に軽度者というところで言えば、昨年の介護保険部会の議論の中でも地域支援事業への移行を促進していこうという議論もあったかと思いますので、そういったところとの関連も含めながら、報酬上どういう対応ができるのか検討していくということもあると思います。それから、効率的なサービス提供という観点からいえば、安藤委員から御指摘があった集約化ですとか、あるいは提供の事業所の規模が大きいところのメリットを発揮できるような報酬体系という視点もあろうかと思っております。
 いずれにしろ、議論する際は、評価すべきところと適正化すべきところの両方を見ながらめり張りのある対応をしていくことが重要なのではないかと思っております。そこが議題2に関わるところです。
 それから、福祉用具のところですけれども、3年に1度ということではありますが、おしなべて全てのサービスが3年に1度という形でいいのかどうか。例えば、特に貸与価格が高かったものなどを限定的に抽出して、中間年に状況を見るという対応も考えられるのではないかと思っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 濱田委員、お願いします。
○濱田委員 ありがとうございます。
 まず、この間、コロナウイルス感染対応に関しまして、各種の対応、介護保険情報等で適時に通知等を出していただきまして、誠にありがとうございます。
 私からは3点申し上げます。
 1点目が、資料3の69ページにもございますが、30年改定の医療介護連携に対応した各種加算等でございます。御承知のとおり、情報連携の効率化等も求められておりますが、昨今、このコロナウイルス感染予防の関係で、医療機関ないしは各事業所から接触回避を求められるということもございますので、引き続き、ファクスも含めましたICT等の活用に関する加算要件や基準等の見直しの御検討をお願いできればということでございます。
 2つ目が、緊急事態宣言もございましたが、思いのほか利用者の皆様、この前後で介護サービス、特に通所やショートステイ、医療機関への受診も含めた自粛をされる傾向が非常に高いなという現場からの意見も出ております。それで、先ほどの医療介護連携、昨年来から少し申し上げておりますが、利用者が受診される際に介護支援専門員が同伴してかかりつけ医の先生と直接その場で情報のやりとりをするというような、いわゆる受診の際の同伴などもこの医療介護連携の一つの形ということで、御検討を引き続きお願いできればということでございます。特に、独り暮らし、認知症のある利用者、御家族も高齢というような場合には、的確に受診機会を確保するという意味でも一定効果があり、重要ではないかと考えております。
 3つ目でございますが、資料5の12ページにあります、今、介護支援専門員、我々は法定研修が受けられない、開催ができないということで非常に困っているところでございまして、先ほど伊藤委員からも御意見ございましたけれども、引き続き受講機会の確保の支援をお願いしたいということと、オンライン化事業も企画されておりますけれども、例えばこの中身の問題で、教材等につきましては各都道府県ごとに採用されている状況でございますけれども、全国的に標準的な質を担保することが必要と考えますので、例えば教材等の使用状況など、全国的な実績も踏まえた中身等の採用につきまして、御検討いただければと思っております。また、修了時の評価につきましても、当分科会でも御指摘ございましたので、修了評価システムの御検討などもいただければ幸いかと存じます。
 以上、意見でございます。
○田中分科会長 意見をありがとうございました。
 石田委員、お願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは1点だけです。要望です。先ほどからコロナの関係の補正予算のことについて詳しく御説明いただいて、できる限り、本当に現場で一番大変な思いをしていらっしゃる方々のところにいち早くお金を届けていただけるようにということを願ってやみません。ただ、これも一時的なもののみならず、やはりこれから継続的な費用というのがきっと必要になってくるのではないかと思います。そうしますと、財源のところで、どこをどのように削っていくかが非常に重要なことになってくるのではないかなと思います。
 今回、本当にこの会議がリモートで行われるというのも、これは一つの大きな決断だったのではないかなと思うのですけれども、やればできるところは、このような形でできる限り効率よく、そして、経費も削減してできるということが実証されたのではないかと感じてもおります。そうであれば、これまでなかなかやれなかった、難しいと考えられていたような部分も、今回のようにドラスチックな転換ができるのではないかという期待をしております。こうしたリモートの方式を取り入れた会議が導入されることで削減される経費もあるのではないかと思っております。
たびたび申し上げておりますけれども、例えば現在も40日ほどかかる要介護認定のプログラムなどについて、こういった形のものをもう少しうまく取り入れて、もっと効率よく、経費も削減できるような、そういったことを今後はぜひ考えていただきたいなということで、これは要望として申し上げたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 小出代理、お願いします。
○河村委員(代理 小出参考人) 地域包括ケアシステムの推進については、「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」の「今後の課題」として、「都市部や中山間地域等のいかんにかかわらず、本人の希望する場所で、その状態に応じたサービスを受けることができるようにする観点から、どのような対応を図ることが適当なのか、引き続き検討していくべきである」と明記をしていただきました。これは条件不利地域にある町村にとって最も重要な視点でございます。しかしながら、3月16日の分科会等の資料にはこの記載がございませんでしたので、本会が指摘いたしましたところ、本日の資料には、その部分を追加していただいたところでございます。
 当初の資料にこのことが記載されなかった経緯についてもお教えていただければと思いますが、何より私どもが強調したいのは、条件不利地域などに住むお年寄りが置き去りにならないよう、いかなる地域においても、人材確保を含め、必要なサービスを継続的に受けることができる施策の展開でございます。この点につきましては、今回の報酬改定に向けた検討においてもしっかりと議論していただきますようお願いいたします。
 また、資料3の111ページの2つ目の○に、「限られた人材や財源の中で、地方等で分散しているサービスを集約し、重点的な体制整備を行う」とございますが、この結果として、先ほど申し上げました、「都市部や中山間地域等のいかんにかかわらず、本人の希望する場所で、その状態に応じたサービスを受けることができる」という趣旨が損なわれることがないよう、お願いをするものでございます。
 以上でございます。
 
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
 1つ目は議題2についてです。118ページの論点の2つ目、認知症のある方へのケアですけれども、これについては御本人同士の出会い、そして御本人へのケアと、御家族同士の出会いと御家族への支援というものを組み合わせた形での支援が世界的にも効果があるということが言われているところであります。昨年度、老健事業でも調査が始まったところでもありまして、こういった組み合わせということも検討の余地があるのではないかなと思っています。
 議題4に関連して、机上配布資料の御紹介と、それから3点です。
 机上配布ですけれども、チャットのほうでも流させていただきますが、この新型コロナの影響ということに関しまして、介護高齢者支援にどんな影響があるのか、そして、現場でどんな取組、工夫が行われているのかということに関して緊急調査を、介護報酬改定検証・研究委員会の委員でいらっしゃる川越さん中心とする有志で企画いたしました。ケアマネジャー協会の皆さん、地域包括支援センターの協議会の方々、多くの事業者団体を中心とする合計17団体の方々の御協力をいただきまして、ケアマネジャー調査、地域包括支援センター調査、介護保険サービス事業所調査、法人調査ということで、5月の連休明けにオンラインで調査をさせていただきました。今日の夕方5時以降に、御覧いただいている人とまちづくり研究所のウェブサイトで順次結果を公表していきたいと思っております。多大な御協力を皆さんにいただきましたことに、まずお礼申し上げたいと思っています。
 その調査から、詳しくは機会があれば次回以降と思いますけれども、3点申し上げたいと思います。
 1つ目は、これまでもお話が幾つか出ていましたけれども、利用者さん、高齢者御本人への影響というところです。4つの調査をやっているわけですが、まず鎌田委員の御質問にも関連するかもしれないのですが、地域包括支援センター調査では、これまでよりも増えた相談の内容として、御家族から寄せられた御相談の中で一番多かったのは、やはり認知症の発症や症状の進行等に関する御相談ということになっていました。  
 これは地域によっても随分差がありまして、一番最初に緊急事態宣言が出たところなのか、4月16日なのか、それ以外のなのかによっても大きな差が見られています。
 ただ、ほかの調査、ケアマネジャー調査や、あるいは事業所の方々から見て御担当の利用者さん、あるいは事業所の利用者さんにどんな影響があるというふうに見ていらっしゃるかということでお伺いしますと、今のところは目立った機能の低下、認知機能もですけれども、それが多く見られているというよりも、現段階では外出や交流の機会が減ったであるとか、集いの場あるいは通いの場に行けなくなったとか、通院ができなくなったといったようなお声が挙げられています。このことは、しかし、皆さんよく御存じのように、この先時間差を持って機能低下につながり得るようなリスクがこの数か月の間に急速に広がった可能性も示唆するものだと思います。既に介護サービスを使っていらっしゃる方々について、今回主に伺っているわけですけれども、そうではない方々、先ほどの武久委員の御意見もありましたが、この間の外出・交流機会、集いの場、通いの場、随分閉まっているところもあるという中での、この先出てくる影響にどのように対応するかということは、検討の余地があるのではないかと思います。
 それに関連して、先ほどの資料の御説明で、サービスの再開に当たっての様々な助言をということが介護保険サービスの再開に関して書かれていたと思うのですが、見落としているかもしれないのですが、今、閉まっていたところも多い通いの場、あるいは様々な体操の教室とか認知症カフェといったものが、この先、コロナとともにある時代にどうやってその期待される機能を発揮していくのかということは、検討の余地があるのではないかなと思っています。
 そして2つ目、事業所への影響というところでいきますと、やはり知識、技術の点、物資の点、発生時のバックアップという点、それから経営基盤という点、あらゆる意味でまだまだ不安が大きく広がっているというのが、4月末段階ということで調査いたしましたけれども、感じ取れるところです。今回、補正予算で本当に様々な施策が行われているわけですけれども、この先、地域の中で知識、技術、情報、物資といったものを、各事業所単位で備蓄するということはなかなか難しいと思いますので、物の点でも、それから、先ほど最初に岡島委員の御意見もありましたが、知識、技術、バックアップというところでは、後方支援ができる専門職の機能ということも期待されるのでしょうし、今回、どこの事業所がやっていて、どこが休んでいるのかが分からないというような御意見もありまして、そういった知識、技術、情報、物というものを、地域の中でしっかりと本当の意味で連携を取るということが、今、いろいろな地域支援事業であるとか地域包括ケアシステムに係る仕組みの中で本来期待されていることだと思いますので、第8期の計画の中でも、あるいは介護報酬改定の中でも、もし考えられるところがあれば、そういった視点も重要ではないかなと思っています。
 それに加えて、特に介護職員の教育というところに関して言うと、現在のところ、専門職の資格教育の中に感染症予防・制御が十分に含まれているわけではありませんので、中期的にそこをどうするのかという観点も必要だと思います。
 最後です。事業所や法人への影響ということを見ておりましても、それから、先ほど申し上げた地域包括支援センターあるいはケアマネさんの御意見を見ていましても、この影響というものが、地域での感染の警戒状況ですね。それから、実際に事業所の中で陽性や濃厚接触の方がいらしたのか、感染疑いの方がいらしたのかといったことによっても違いますし、事業所における運営にどういう影響があったのか、縮小したのか休業したのかどうだったのかといったことによっても随分違うなと思っています。ですので、これから報酬改定に向けて、経営実調とか処遇状況調査といったことが行われていくと思いますけれども、より詳細に、コロナの影響ということも加味するのであれば、そういったところをきっちりと検討していく余地が大きいのではないかなと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 調査公表について説明をありがとうございました。ぜひ皆さん、参考にしてください。
 松田委員、お願いします。
○松田委員 ありがとうございました。
 今の堀田委員の御説明に関連してなのですけれども、コロナの関連でどこがどうなっているかという情報を集めなければいけないという話があったのですが、既に災害時にそれを集める仕組みを厚生労働省は準備されていると思います。そういう意味で、今回のコロナに関連して新しい情報システムを立ち上げるというよりも、災害とも大体関係してくることですので、災害系に関連して既に立ち上げているシステムを今回のコロナのほうにも応用できるような、多分、コロナだけではなくてこれからいろいろな感染症が出てくると思うのですけれども、それに対応できるようなシステムとして拡張していただけるといいのではないかなと思います。これは意見でございます。
○田中分科会長 情報をありがとうございます。
 時間を超過しましたが、もう少しお付き合いください。
 今の議論をまとめます。福祉用具貸与価格の上限設定については、今後、事務局において必要な対応を進めてください。
また、今回、介護保険における新型コロナウイルス感染症に対する対応も報告を受けました。現場の皆様は大変な御負担をなさりつつ対応しておられることに、私ども一同そろって感謝いたします。
 本日の御意見も踏まえて、こうした現場の状況を適切に反映できるよう、令和3年度介護報酬改定に向け、引き続き議論を進めてまいりましょう。よろしくお願いいたします。
 あと1つだけ報告事項がありますので、お付き合いください。事務局より、地域区分に関する資料が出されております。説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 資料6に基づきまして、簡潔に御報告をさせていただきたいと思います。
 介護報酬に関しまして、1ページ目でございますけれども、地域区分が設定されておりまして、1単位の単価を変えているところでございます。
 この地域区分に関しまして、2こま目でございますけれども、令和3年度改定における地域区分の対応につきましては、昨年12月に以下のように内容を取りまとめられまして、自治体に対しまして意向を調査したところでございます。その中で、若干意見がございましたけれども、このように取りまとまりましたという御報告でございますが、そのページの下、級地設定の3こま目でございますけれども、令和3年度改定で設定する特例の適用が見込まれる地域として、マル1、マル2のように、44、7という数になる見込みということで御報告をさせていただくものでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 本日はオンライン会議初めてで、うまくいくかどうか心配しておりましたが、皆様方の御意見を伺うと、いつもにも増して、それぞれ思いのこもった良い意見を頂戴いたしました。心より感謝いたします。
 本日の議論はここまでといたします。皆様、御参加ありがとうございました。
 最後に、次回の分科会の日程等について、事務局より説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 では、御議論ありがとうございました。