第128回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年6月19日(金)9:57~11:48

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

  1. 1.医療保険制度における新型コロナウイルス感染症への対応について(報告)
  2. 2.「健康・医療・介護情報利活用検討会」の検討状況について

議事

議事内容
○荻原推進官 それでは、定刻より少し前でございますが、委員の皆様お集まりいただいておりますので、ただいまより第128回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
なお、本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は、手を挙げるボタンをクリックし、部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言いただくようお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で賛成、親指アップのボタンをクリックいただいて、またはカメラに向かってうなずいていただくことでいわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
まず、委員の異動がございましたので御紹介させていただきます。
堀真奈美委員が退任され、新たに慶應義塾大学経済学部教授の井深陽子委員が就任されておりますので、御紹介させていただきます。
井深委員、一言御挨拶を賜ればと思います。
○井深委員 ただいま御紹介にあずかりました慶應義塾大学経済学部の井深と申します。このたび、社会保障審議会医療保険部会の委員を拝命いたしました。専門は医療経済学です。
日本を支える医療保険制度に関わる事項を審議する重責を自覚し、力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○荻原推進官 ありがとうございました。
また、御退任に当たりまして堀委員より、これまで医療保険部会で御議論いただいておりました医療保険制度改革の議題に関しまして御意見を頂戴しております。参考資料2としてお配りしておりますので、御高覧いただければと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は菊池委員、横尾委員、平井委員、一瀬委員、藤原委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、前葉委員より途中から代理出席となるとの御連絡を頂いております。
本日、記者の方には本省別室にて会議の模様を傍聴いただいています。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荻原推進官 それでは、以降の議事運営は遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 皆様、おはようございます。久しぶりの開催でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、議題に先立ちまして、欠席委員の代わりに御出席される方についてお諮りいたします。
平井委員の代理としまして谷長参考人、藤原委員の代理としまして井上参考人、前葉委員の代理としまして福田参考人の御出席につき、御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。御承認いただきました。
それでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況やそれに伴います政府部内の各審議会の開催状況等に鑑みまして、4月から6月にかけまして予定しておりました計7回の医療保険部会の開催を中止させていただきました。本日の医療保険部会は3月以来の開催ということになるわけであります。
これまで当部会では全世代型社会保障検討会議における医療の議論の動向を踏まえながら医療保険制度改革について議論を進めてまいりましたが、当部会の開催を一時中断していた間の全世代型社会保障検討会議での議論の状況について、まずは議事に入る前に事務局から説明をお願いしたいと思いますので、御報告のほど、よろしくお願いいたします。
○荻原推進官 ありがとうございます。
全世代型社会保障検討会議につきましては、2月19日以来、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況等を受けて開催が中断されてございました。ただ、その後、5月22日と6月3日に開催されまして、フリーランスや新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題、最低賃金、少子化大綱について議論が行われました。
また、5月22日の回におきまして、全世代型社会保障検討会議の今後の進め方に関して、総理のほうから、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、全世代型社会保障検討会議の最終報告は本年末とし、7月に2回目の中間報告を行っていただくこととしたいと考えているといった発言がありました。
したがいまして、医療保険部会での議論につきましても、全世代型社会保障検討会議での議論の状況も見ながら進めていくことが必要と考えてございますので、具体的なスケジュールについては部会長と御相談させていただきまして、その上で次回以降お示しさせていただきたいと考えてございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
私自身も全世代型社会保障検討会議の委員でございますので、今、説明のありましたような動向で今、動いているということでございます。したがいまして、当部会としましても、全世代型社会保障検討会議の状況も見ながら議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症への対応について(報告)」ということであります。もう一つが「『健康・医療・介護情報利活用検討会』の検討状況について」。この2つを議題とさせていただきます。
初めに「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症への対応について(報告)」を議題といたします。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○荻原推進官 ありがとうございます。それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。
資料1の1ページ目で、こちらについては新型コロナウイルス感染症に係る経緯と国内発生動向についてまとめてございます。
4月7日に7都府県で緊急事態宣言で、4月16日に全都道府県に緊急事態宣言が拡大されている局面。そして5月以降、随時、1回期限の延長がございましたが、5月14日に8都道府県に縮小し、5月21日には5都道県に縮小し、最後、5月25日に緊急事態宣言が解除されてございます。
最近の動向としましては、新規感染者数はおおむね40人台前後で推移をしている状況であるということがまとまってございます。
続きまして、2ページ目を御覧いただきたいのですけれども、新型コロナウイルス感染症に対する医療保険制度における対応について2ページ目以降でまとめてございますので、こちらを簡単に御報告させていただきたいと思います。
政府全体としまして、新型コロナウイルス感染症への対策は危機管理上重要な課題であるという認識の下で、国民の生命を守るための様々な措置を実施してきてございます。医療保険制度におきましても、医療提供体制の強化という観点、または新型コロナウイルス感染症の影響などによりまして収入が下がっている方々、事業環境が悪化している中小企業・小規模事業者などへの支援。そういった観点に基づきまして、随時、必要な対策を実施してございます。
2ページ目の「1.保険料の減免、猶予等」についてでございます。
こちらは本年2月以降実施してございますが、被用者保険に関しまして、一定の期間以上、収入に相当の減少がある場合。具体的には前年同期比でおおむね20%以上の減があった方については、保険料を無担保かつ延滞税なしで1年間の納付を猶予するという措置を講じてございます。
国民健康保険、後期高齢者医療制度につきましては、基本的に新型コロナウイルスの影響によりまして収入が減少した被保険者などに対しまして保険料の減免を実施するという形になってございます。また、その減免を実施した保険者に対しましては、その費用の全額の財政支援を実施してございます。
続きまして「2.傷病手当金の対応」についてでございます。
被用者保険に関しましては、傷病手当金の支給が円滑に行われるよう、Q&Aを3月に発出しておりまして、主に2点周知してございます。1点目は、発熱などの症状があるために自宅療養を行った期間についても労務に服することができなかった期間に該当するといった点。もう一点が、やむを得ず医療機関を受診できなかった場合、医師の意見書がなくとも、事業主の証明書によりまして、保険者が労務不能と認め、支給することが可能である。この2点を発出してございます。
国民健康保険・後期高齢者医療制度につきましては、傷病手当金に関しては条例の制定によりまして任意で支給することができるとなってございます。今回、国内の感染拡大防止の観点から、仮にこれらの保険者について、被用者のうち新型コロナウイルス感染症に感染した方、または感染が疑われる方について傷病手当金を支給する場合、手当を講じていただければ国が特例的に特別調整交付金により財政支援を実施するという措置を講じてございます。
続きまして、3ページ目に移っていきたいと思います。「3.特定健診・特定保健指導等における対応」でございます。緊急事態宣言が発令された後の期間中と解除された後の対応が2つございます。
緊急事態宣言期間中につきましては、基本的には対象地域において実施を控えていただきたいという旨。また、実施ができない場合について、例えば後期高齢者支援金の加減算の制度ですとか保険者努力支援制度といった保険者インセンティブの取扱いについて、この影響を踏まえて関係者と調整しながら検討していくことを予定しているといった旨を4月8日に通知として発出してございます。
緊急事態宣言が5月25日に全都道府県において解除されてございますが、その翌日、5月26日に解除後におきましては、随時、実施の機会を設けていただく旨の通知を発出してございます。また、その際にも感染拡大防止策を講じた上で実施していただくということで、高齢者保健事業につきましても、やはり長期間の外出自粛によりまして生活不活発などの健康影響が危惧されるといったこともございますので、感染拡大防止策や留意点に気をつけつつ、一定、実施できるような形で要請している状況です。
3ページ目の「4.PCR検査、抗原検査の保険適用」についてでございます。こちらは3月、5月、6月とそれぞれ検査について医療保険の適用をできるという形で措置を講じてございます。
3月には、PCR検査を実施した場合に医療保険を適用できるという形にしてございます。もちろん、対象としては感染症の治療を目的として入院している方などに対してということにはなります。
5月には、抗原検査を実施した場合に医療保険を適用するという形になっておりまして、6月については、唾液からの検体を用いてPCR検査を実施した場合も医療保険を適用できるという形で、その対象が拡大してございます。
続きまして、4ページ目で、まず「5.診療報酬上の対応」でございます。こちらはいずれも中央社会保険医療協議会のほうで了承いただいた対応という形になります。
大きく2つございまして、一つは新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例的な対応という流れになります。こちらも3度にわたりまして特例的な対応の中身を充実してきてございます。
本年4月8日におきましては、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で実施される外来診療を評価しまして、院内トリアージ実施料を算定できるという形にしてございます。もう一点、入院を要する新型コロナウイルス感染症患者の方に対しまして、やはり必要な感染予防策を講じた上で実施する診療を評価しまして、救急医療管理加算及び二類感染症入院診療加算を算定可能という形にしてございます。
4月18日以降で、まず、重症の新型コロナウイルス感染症患者につきまして、ICUなどに入院している場合の評価を2倍に引き上げてございます。また、中等症の新型コロナウイルス感染症患者について、救急医療管理加算の2倍相当の加算を算定できるといった形にしてございます。それ以外にも、感染リスクを伴う診療を評価しまして、⼈員配置に応じまして二類感染症患者入院診療加算に相当する加算を2~4倍算定できる形にしてございます。
そして、5月26日につきましては、4月18日で2倍としてきた評価をさらに3倍に引き上げてございます。また、中等症患者のうち、継続的な診療が必要な場合には、一定の期間以上、15日目以降も加算の算定ができる形にしてございます。
大きく2点目でございますが、初診から電話や情報通信機器を用いた、いわゆるオンライン診療と言われるものですが、こちらの実施についてでございます。4月10日以降、時限的・特例的な対応としまして、初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合、初診料214点を算定できる形にしてございます。また、医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合、調剤料、処方料、処方箋料などを算定できる形にしてございます。そういった措置を講じてきている状況でございます。
下の最後で「6.診療報酬の概算前払い」についてでございます。
こちらは6月に措置を講じておりますが、医療機関などへの福祉医療機構などの融資が実施されるまでの間の対策としまして、本来5月診療分の診療報酬につきましては7月に支払われるものでございますが、その一部につきまして6月に受け取ることを希望する医療機関等に対しまして、審査支払機関が概算前払いを実施するという措置を講じてございます。ただし、こちらは7月の支払いの際に事後的に精算するという形で措置を講じてございます。
5ページ目以降は参考資料ですので、適宜、御覧いただければと思います。
それでは、事務局からの御説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ただいま、新型コロナウイルス感染症対策に関する厚労省の対応について、当部会と関連する事柄についてまとめて御報告を頂きました。
御質問、御意見等があれば承りたいと思います。いかがでございましょう。
では、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
「5.診療報酬上の対応」というところの最後の②で「保険薬局において」ということから始まる2行で、患者の家庭から電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行う場合について、それに対して薬剤料とか技術指導料を算定することとしたとございますけれども、これは大賛成です。
私どものNPOでは、2年前にたまたまポリファーマシーについての検討会が別の局でできまして、そのとき、私どもの会も参加させていただき約5,000人の高齢者の服薬実態調査をいたしました。ほとんどが自己管理していらっしゃるのですが、もしもできなくなったときどうするかという質問に対して「誰もいない」が一位、つぎが「ヘルパー」でした。ということは600~700万人の独り暮らしの高齢者がとりあえず健康で、しかし医療機関にはかかりながら、病みながら、薬を飲みながら、とにかく自立して生きている実態が明らかになりました。
今の制度ではヘルパーさんができる服薬に関する支援というものは御自身がそろえてきた、あるいは御家族などがそろえてきた薬を飲むのをむせないように助けたりするということは許されておりますが、家の四方八方に置いてある薬を1つにまとめて、そして提供することはたしか認められていないと思います。
そうなったときに、では、誰に頼むかといってヘルパーといっても、実は制度上は認められていないとすると、日本の在宅医療は本人の服薬能力というか、やはり自己管理という一定の能力を必要とするので、何らかの対応をしていただきたい。また、かかりつけ薬局に指導してもらいたいという声も非常に多うございました。
こういうふうに書いてくださったことは大賛成でございまして、こういう服薬を支援することに対しての点数の算入とか、それから、できれば私は、これは別の審議会だと思いますが、ヘルパーさんに一定の教育を施して、どこまでやるかは別として、服薬の一包化とか、そういうことを手伝えるとか、その辺りもぜひ、特にコロナになりまして、ちょっと離れて住んでいる家族などもなかなか訪問しづらいという話を聞いておりますので、その辺、どうぞよろしくお願いいたします。
この項目に関する応援演説でございました。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
服薬指導に関して、今回は電話や情報機器を使ったということを算定の対象にしたということですが、今のお話ということは、これはむしろ恒常的な制度としてやってほしいという御意見ですね。
○樋口委員 はい。
○遠藤部会長 いかがでございましょうか。ただいまの御意見についての御意見でも構いませんし、あるいは違うところでも構いませんけれども、何かあれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
機械の関係で、発言の意思が機械では確認できないそうなので、手を挙げてほしいという話なので、では、森委員、どうぞ。
○森委員 日本薬剤師会の森でございます。
今のお話なのですけれども、2つありまして、1つはぜひかかりつけの薬剤師を持っていただいて、何かあったら気軽に御相談いただければと思います。かかりつけがある方、また、ない方に関しても、何かあった時には、薬袋に調剤した薬局、薬剤師の連絡先が書いてありますので、ぜひ御連絡いただければと思います。電話での対応でも解決しないときには直接行って服薬管理をさせていただくことなどもありますので、ご相談いただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、ほかは。
先ほど佐野委員が手を挙げておられましたね。では、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。それでは、コメントします。
まず、議題外であったのですが、全世代型の関係で少しだけコメントさせてください。昨今の状況を見た場合、今夏の取りまとめを先送りにするのはやむを得ないと思われます。一方で、コロナの感染が収束しても、やはり景気の先行きも不透明ですし、医療保険財政についてもより厳しい状況になることは予想されます。そういう中で、特にこうした医療費の負担増が賃金低下も懸念されている現役世代に重くのしかかってくると思いますので、やはり従来から言っているところの後期高齢者の2割負担導入を含めて、給付と負担の見直しは必ず実施しなければいけないと思いますし、現役世代の生活を守るためにも、見直しをこれ以上先送りすることはないようにしっかり議論していただきたいと思います。
それと、コロナ関係のほうですが、やはりコロナの影響で医療機関でも当然、大変な影響を受けておられると思いますが、一方で健保組合においても相当大きな影響を受けております。賃金や賞与が低下して保険料収入の減少も予想されます。既に先ほど御説明がありましたように、納付猶予ということも導入いただいておりますが、この実例も拡大しているところでございますので、こうした厳しい状況の中で健保組合に対する財政支援策について、より具体的に検討をお願いしたいと思います。
それから、あと2点ほど申し上げます。
1点は特定健診・特定保健指導のところでございまして、この特定健診・特定保健指導も新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まってからで、ほぼ実施できない状況が続いております。加算減算の制度を含めて、インセンティブの取扱いについても、こうした実態を踏まえて速やかに御検討いただいて、健保組合に不利益が生じないような形で御配慮をお願いしたいと思います。
最後に診療報酬関係でございますが、今回、特例的な対応が相当実施されておりまして、そういった中でやはり中医協においては、これまでの特例的な対応の効果を検証して、その結果を踏まえて、内容について見直すべき事項、解除すべき事項の整理を進めていただきたい。また、第2波、第3波に備えて検査体制の充実強化も当然重要になってくると思いますが、予防的なものについてはぜひ公費によって対応していただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
初めに、新型コロナウイルス感染症に罹患された方やその御家族に心よりお見舞いを申し上げますとともに、その間、医療現場を支えていただいた医療関係者の方々に心より御礼を申し上げます。
まず議題外のところで、全世代型社会保障検討会議について説明がありました。最終報告が年末に先送りになるということにつきましては、2022年には団塊の世代が後期高齢者になり始めるなど、医療保険制度改革のために残された時間はほとんどないと認識しております。医療保険部会においては、全世代型社会保障検討会議等の議論を待つのではなく、専門家集団として必要な議論を粛々と積み上げていくべきであると考えております。
次に議題に対してですが、2ページ目の「2.傷病手当金の対応」についてお伺いしたいと思います。通常、療養のため就業ができなかった期間の確認は事業主の証明書と医師の意見書により行いますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、やむを得ず医療機関を受診できなかった場合、医師の意見書がなくても支給することとされました。協会けんぽにおける現時点までの支給状況を見ますと、医師の意見書がなく、かつ支給期間が長期にわたるケースも見られ、中には40日を超えるようなケースも見受けられます。これだけの期間、医師の診察を受けられないのは違和感がございますし、適正支給の観点から少々問題ではないのかと思っております。
現時点では、緊急事態宣言も解除され、病院にかかれないケースもあまりないと思いますし、PCR検査や抗原検査など検査体制の整備もかなり進んでまいりました。こうした状況を踏まえますと、医師の意見書がなくても良いという今回の特例は、その役割を十分に果たしたと考えられ、終了する時期に来ているのではないかと思いますので、御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどお手を挙げておられた前葉委員、お願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
まず、3ページの3.で、特定保健指導あるいは特定健診で全国的にどういうことであったのかということでありますが、特にやはり緊急事態宣言が出ていた期間あるいは地域ということもそうなのですけれども、現在までのところ、4月から6月まで、ほぼできていないのが現状かと思います。対面での指導はほとんどできておりません。したがいまして、今後、保険者努力支援制度の評価指標をお考えいただく、あるいは保険者インセンティブをどういうふうに決めるかの御検討の際にぜひ、この4月から6月までは相当厳しかったことを前提にまた御判断を頂ければと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
私から1つ、先ほど安藤委員のコメントの中で、傷病手当金の特例についての御意見だったと承ったのですが、事務局に何かコメントを求める御意思があったのかどうか、ちょっと判断できなかったのですが、安藤委員、いかがでございましょう。
○安藤委員 コメントをお願いします。
○遠藤部会長 では、事務局、つまり、こういう特例措置について、今のような状態が起きているので、今後どういう対応をしていくのかということを、まだ決まっていないのかもしれませんけれども、もし何かあればお答えいただきたいと思います。
お願いします。
○姫野課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
傷病手当金の対応につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、円滑に支給事務を行っていただきまして、大変感謝しているところでございます。
その上で、3月に出しましたQ&Aの件で、ここの資料では少し簡単に書いてしまっておりまして、少し誤解を招くかもしれませんが、正確にもとの文章を読み上げますと、医師の意見書を添付できない場合についてですけれども、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとすることにしておりまして、ここは必ずしも事業主の証明書があれば機械的に全て支給していただきたいということでもございませんので、そういった意味では、疑義が生じるようなケースについては個別に保険者において判断いただければと思っているところでございます。
御対応のほど、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。了解いたしました。
○遠藤部会長 それでは、ほかに御意見はございますか。
松原委員、お願いいたします。
○松原委員 先ほど樋口委員のおっしゃったことは当然の話でございます。在宅で、1人しかいなくて、薬が飲めなくなることは大変なことでございます。ただ、それに対してはやはり薬剤師さんが一包化してくださって、その日付と飲む時というものを書いてくだされば恐らくヘルパーさんで判断できると思いますが、種々の薬を集めてヘルパーさんに投薬していただくのはかなり危険な話だと私は思います。一包化を速やかに推進していくことがこの対応であると思っています。
また、今回のコロナの対応というものは国民の一大事でありますので、議論を棚に上げてでも対応しなければならない。私ども医療界、一生懸命やっておりますが、これはコロナ対策のために行っているのであります。これが何とか片づいたときにはやはりあるべき姿に戻るべきだと思います。そこのところだけは、私どもは強く申し上げたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、池端委員、先ほどお手をお挙げになっておられました。よろしくお願いします。
○池端委員 4ページについて質問が1つと意見が1つです。
様々なコロナ対策でいろんな診療報酬上の対応をしていただいたこと、本当にありがたいと思います。ただ、これは1つ質問なのは、時間差で4月8日付、4月18日付、5月26日付、特にコロナを診た場合の診療報酬上の加算が2倍から3倍というふうに引き上げられているのですけれども、全国でコロナの患者発生が、これもかなりタイムラグがあると思います。これを遡って、例えば3月から診ていた患者さんに対しても適用できるのかどうかということをちょっと確認させていただきたい。といいますのは、(地元の)福井県で今、全数調査で医療機関の経営実態調査をさせていただきましたが、コロナの患者を診れば診るほど赤字になっているというデータが出ています。特に感染症指定病院がかなり経営的に厳しい結果となっており、対前年比で30%以上のダウンというデータが出ていますので、この辺ができれば、特に福井県などでいいますと、3月の段階からかなり感染が増えていましたので、この段階からの患者がさらに(診療報酬の)追加請求でできるとありがたいかなと思いました。
もう一点、今ほど言いましたように、日本医師会からも経営実態調査がされていますが、コロナを診ている医療機関だけではなくて、診ていない医療機関、非コロナの診療所も含めて大変厳しい状況にあります。医療保険でできることは限られていると思いますけれども、この診療報酬の概算払いについても、これは2か月後にまた(差額分は)返還しなければいけないという状況になるかと思います。実態は診療所では、特に眼科、小児科、耳鼻科等は対前年同月比で平均で3割以上の減という結果が福井県のデータで出ております。この辺は、保険対応ではできないかもしれませんけれども、何らかの助成金なり、あるいは概算請求、つまり概算を払うという制度等も抱き合わせで考えていただかないと、このコロナ禍だけではなくて、経営状況が厳しくて医療崩壊が起きかねない地域も出てくるかと思います。その辺について御意見があればよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 それでは、事務局に2つのコメントが求められております。一つは加算の算定要件についてどう考えるかということと、あとは概算払いについての対応ということですが、何かコメントはございますか。
では、医療課長、お願いします。
○森光課長 御指摘いただきました4ページ目の診療報酬上の対応ですが、診療報酬につきましては中医協にて御議論いただき、ご承認いただいた日から適用となります。基本的には契約に基づいて診療いただくという形になりますので、遡ってというのはできない状況にあります。ただ、おっしゃるとおり、医療機関の休業、経営状態は非常に厳しいという話もございまして、これは医政局などで今回の1次補正、2次補正において、コロナの対応をするにあたって、どうしても様々な病棟を閉め、看護師さんを集めるような形でご対応されております。そのようなところに対しての手厚い休床補償や空床補償などの仕組みを導入させていただき、しっかり支えていきたいということで進んでいる状況でございます。
○池端委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 では、池端委員、よろしいですか。
○池端委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、ほかはいかがでしょう。
森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
4ページの「6.診療報酬の概算前払い」のところなのですけれども、このような対応をしていただき、ありがとうございました。日本薬剤師会でも今回の新型コロナウイルスの影響調査ということで、薬局への経営影響調査を緊急に実施しました。3月、4月、5月と処方箋の受付回数が対前年と比べて大きく減少しています。5月の数字では約25%、処方箋の受付回数が減少し、非常に厳しい経営状態が続いており、6月以降もコロナウイルスの影響が続くと思います。今後も経営の影響を見ながら、またこのような制度を含めて検討していただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、秋山委員、先ほどお手を挙げておられました。どうぞ。
○秋山委員 ありがとうございます。
病院経営につきましては、病院や診療所と同様、訪問看護ステーションにおきましても、やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響で減収・減益が起きている状況です。地域の医療提供体制の中で訪問看護ステーションが果たす役割は非常に大きいため、看護職の雇用を維持して事業所が存続できるよう、病院・診療所だけではなく、訪問看護ステーションについても何らかの方法で財政支援を実施することを御検討いただきたいと思っております。
もう一点、厚労省の事務連絡でも診療報酬引上げは危険手当の支給を念頭に行っているというふうに説明されていますけれども、実際には患者の減少、それから、感染対策コスト等によって医療機関の経営が非常に厳しい状況になっていますので、危険手当の支給には至っていない。そういう状況も多いと聞いております。また、そもそも職員の減給とか、あるいは賞与減額といったことが計画されている施設もあると伺っておりますので、看護職の離職、地域での医療崩壊につながることが危惧されております。本来の趣旨に沿って危険手当を支給することが可能となるよう、そして、そもそも看護職をはじめとする医療従事者の処遇の悪化を防ぎ、雇用が継続できるよう、診療報酬での対応に限らず、何らかの方法で医療機関に対するさらなる財政支援を実施することをぜひとも御検討いただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
ほかに。
それでは、井上参考人、お願いします。
○井上参考人 ありがとうございます。産業界の立場から幾つかの意見を申し上げたいと思います。
今回の新型コロナウイルス感染症の一連の対応につきましては、本当に医療・福祉関係者の皆様の御尽力に心から感謝をいたします。経済界も緊急事態宣言の下で活動をほぼ停止したという状況で、一丸となって何とか第1波は乗り切ったところでございますけれども、これから経済活動を再開するにあたって、まだウィズコロナの時代は続きますので、医療と経済の連携という視点が重要になってくると思います。また、今回の緊急事態宣言の下で得られた知見・教訓を活かし、第2波に備えて、緊急事態宣言で経済活動が止まることのないように十分な準備をしておく必要があると思います。
1点目は、緊急時の医療提供体制につきまして、今回の反省を踏まえて、しっかりとあらかじめ医療機関間の役割や調整の方法を定めておく、あるいは自治体を超えた病床などの医療情報の把握・連携をして調整を行っていく。そういった対応をあらかじめ考えておくことが必要ではないかと思いました。
もう一つは、PCR等検査の体制の充実でございます。今後、海外も含めて人の移動が必須となってまいります。ここに関しまして、PCR等検査の抜本的な拡充というものが必要となってくると経済界としては感じております。
また、当医療保険部会でございますけれども、今般のコロナの問題で公的医療保険制度の重要性が改めて認識されたと思います。一方で、その持続可能性をどのように維持していくのかもまた片や明らかになったということで、引き続きこの部会でも議論を続けていくべきであると思いました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、林委員、お待たせいたしました。どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
歯科医療機関に関しましても、本当に受診者の減少というものが顕著になってきておりまして、今後も継続し、歯科医療機関の経営自体が大きな影響が出るということも懸念されております。
先ほどから出ておりますけれども、4ページの「6.診療報酬の概算前払い」でございますが、これは1回限りということで聞いておりますが、実情に応じて今後も検討していただきたいところでございます。
加えて、災害時と同様に、前年度の診療報酬の支払いの概算請求という形のものも引き続き検討していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますか。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
4ページについて2点ございます。まず、オンライン診療に関する記載でございますが、オンライン診療は感染症の拡大防止や医師の偏在解消の観点からも有効な手段で、今般、新型コロナへの対応として実施促進策が講じられたことは大変評価できることであると思っております。つきましては、コロナ収束後もオンライン診療を進めていくためにも、今般の実施促進策の効果をしっかりと分析・検証していただきたいと思います。これが一点でございます。
もう一点、これは質問ですが、今回、特例的に手当てしている診療報酬の点数を記載していただいていますが、これは金額ベースで全体としてどのぐらいになるかということを教えていただければと思います。今、分かれば結構ですし、分からなければまた後日でも結構でございます。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、質問で、特例に関する費用についての質問がありました。医療課長、お願いします。
○森光課長 特例的な対応でどれぐらい財政的な規模になっているのかということでございますけれども、現在のところ、まだ全体的な全容としては分かっていないというのが一つです。
一つは、新型コロナの患者さんに関してはおおよそ、本日から第1波の収束になった、解除されたというところでございますが、まだこれについて、今後、まだ発生する可能性があるという点と、それから、オンラインですとか、そういうものについては、今、恐らく数か月後には、一定の規模のどのような形で広がったのかというところについてはNDB等で分かってくると思いますので、またそのときに必要であれば御報告させていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
藤井委員、よろしゅうございますか。
○藤井委員 はい。
○遠藤部会長 ほかに何かございますか。
兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 先ほどから4ページの診療報酬に関連した御発言が多かったわけですけれども、このコロナウイルス、第2波、第3波等も予測される。あるいはコロナにかかわらず、最近こういうウイルス感染症、新しいウイルス感染症の懸念も出ておりますので、今後のこういう対応について、今の保険のこういう診療報酬の加算とか引上げ。こういう対応だけではなくて、補正予算の中で医療機関に対して、たしか1兆円を超える財政支援がされるということですが、これを補正ということではなくて、やはり今後のことを考えますと、公的年金、医療全体の下支えをするような仕組みを考えていく必要があるのではないかと思っております。
それから、先ほど感染者の検査の問題で御発言がありましたけれども、私たちは市民の立場から言いますと、感染の実態がよく分からない。それで、症状が現れなくても感染する。そういう方たちもいるというふうに言われますと、やはり今回の検査体制ではこれからさらに懸念される事態に対応する上ではまずいのではないか。市民の立場では非常に不安になるわけです。どうしても様々な報道機関等の情報で判断する、あるいは身近な医療機関の方たちからの学習会等でこういったことを学習しながらですが、やはりこういう検査体制がもう少し、例えば熱があった場合でも4日間ぐらい自宅で待機してくださいということですけれども、こういったことでは非常に不安になりますので、熱があって医師に電話で相談した場合、すぐ検査が受けられるとか、そういった拡充をぜひやっていただきたい。こんなふうに思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
積極的な御発言、どうもありがとうございました。それでは、この議題につきましては、このぐらいにさせていただきたいと思います。
次に、2番目の議題でございます。「『健康・医療・介護情報利活用検討会』の検討状況について」ということで、事務局から関連の資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。健康・医療・介護情報利活用検討会の検討状況につきまして説明を差し上げたいと思います。
まず、説明に移る前に、お手元の参考資料1-1を御覧いただきたいと思います。健康・医療・介護情報利活用検討会がどういうものかということでございますけれども、開催要綱があります。
議論としましては、保健医療情報について、全国の医療機関等で確認できる仕組みや本人が電子的に把握する仕組みの在り方に関する事項について検討していただきたいということでありまして、おめくりいただきますと、別紙というところで検討会の構成員の方々のお名前が書いてありますが、こういう方々が参加して議論しています。
そして、実際に議論の内容につきまして資料2を御説明しますが、その前に、この利活用をするためのインフラとして、もともとオンライン資格確認等システムというものがあるのですけれども、このシステムがどんなものかをまず説明した上で、そのインフラに基づいてどんな議論をしているのかということでの順番で説明をさせていただきたいと思いますので、今度は参考資料1-2を御覧いただきたいと思います。
1枚おめくりいただきまして、1ページ目のところで「オンライン資格確認の導入」ということでございます。これもかねてより医療保険部会の皆様方の御審議を頂いて、おかげさまで昨年、健康保険法が改正されまして、これに基づいて今年度末、令和3年3月に向けて実施できるよう進めているところなのですが、一応おさらいをさせていただきます。健康保険証ですが、マイナンバーカードを使って健康保険証としても使えるということにしていこうと思っています。
下の図を見ていただきたいのですけれども、患者さん、加入者さんがマイナンバーカードを持って医療機関に行っていただく。ところが、マイナンバーカードには健康保険の保険者の名前が書いてありませんので、どこに照会していいか分からない。資格が分からないということがありますので、医療機関のほうでマイナンバーカードをカードリーダーで読み取った上で、さらにそれで本人確認をされれば、この電子証明書を支払基金・国保中央会のほうに送ることによって、電子証明書が送られた方がどの保険者に加入しているのか、資格情報とともに、この方の被保険者番号が瞬時に判明し、保険医療機関のほうで、この方が加入している医療保険、また、保険者番号が分かるというものでございます。
これに伴って、医療情報化支援基金を通じて全医療機関・全保険薬局にはカードリーダーを無償で配るということを今後予定しております。併せて、各保険者の皆様、全保険者の皆様には、持っている被保険者番号の情報と資格情報を支払基金・国保中央会のほうに委託をしていただいて、ここで一元的に管理される。そういうシステムでございます。
続きまして、その次のページをめくっていただきまして、では、そういうシステムによって何ができるのかというところが2ページ目の資料でございまして、患者本人や医療機関等において、薬剤情報や特定健診情報等について、今後たまっていく経年データについて閲覧ができるようになるということでございます。
一人一人のレセプトのデータが一人一人で管理されることに伴いまして、また、各保険者のほうで行っている特定健診の情報、これも一人一人の個人単位の被保険者番号とくっつけて支払基金・国保中央会のデータベースに格納されることを通じて、どうなるかといいますと、一人一人の加入者が自分のマイナンバーカードから生成されるマイナポータルのほうに医療費情報とともに薬剤情報、また、特定健診の情報が見ることができるということでございます。
それとともに、マイナンバーカードで受診した場合、医療機関には、自分が同意することによって、主治医に対して、自分がこれまで受けてきたレセプト情報を基にしてつくられた薬剤情報、さらに特定健診の情報を医療機関に見せることでより良い診療をしていただくことができる。
さらに薬局では、薬剤情報を診ていただくことによって、自分がどういう投薬をされてきたのかということを、レセプト情報ですが、お伝えすることができる。こういう仕組みをつくろうということを考えております。実際にその仕組みをつくるべく動いているということでございます。
これを前提にした上で、では、この仕組みをうまく使って、さらなるデータヘルスの改革ができないかということで、また恐縮なのですけれども、資料2のほうで議論の内容を紹介させていただきたいと思います。
1ページ目は「1.総論(基本的な考え方)」としまして、前回の利活用検討会ではこういう議論をしているということで紹介をさせていただきたいと思います。
まず四角の中身で、事務局から提案したのは、例えば②で、先ほど説明しましたオンライン資格確認システムやマイナンバー制度といった既存のインフラをうまく活用することで質の高い医療を受けてもらうことができるのではないかということ。また④で、新型コロナウイルス感染症のような感染症が拡大している状況とか、例えば大きな地震等の災害があった場合であっても、患者・国民、さらには医療関係者がこれまでの蓄積されたレセプト情報をうまく使うことによって診療を引き続き受けてもらうということをどう考えるのか。さらに⑤で、これらのシステムが実は医療関係者にとってみても、適切な医療等サービスが提供でき、さらに働き方にもより良い影響があるのではないか。そういったためにも利活用をどうするかということをどう考えるのか。次に⑥なのですけれども、とはいえ、やはり国民一人一人の健康の情報、医療の情報でございますので、セキュリティーについてどう考えるのかということでございます。
こういった提案に対して頂いた意見が真ん中なのですけれども、やはり感染症の拡大等も念頭に情報の利活用が必要である。さらに、救急時とか災害時でもこういったデータが使えるようなことが患者・国民等の支援に役立つのではないか。なので、平時や平時以外のそれぞれにおいての「利便性」と「安心・安全」のバランスを考慮する。併せて、こういったシステムをつくるということであれば、やはり費用対効果や費用負担。そういったことも考えないといけない。さらに、セキュリティーレベルについてもやはり検討しておくべきという意見を頂きました。
それを踏まえて、6月15日に実は利活用検討会が直近でございましたが、事務局から提案させていただきました今後の方向性で、○のほうに書いてありますけれども、情報の利活用は、やはり国民にとって有用で、安心・安全で、利便性の高いものでなければいけない。さらに、情報の利活用は、通常時だけではなくて、感染症の拡大期・流行期、さらに災害時や救急などの医療現場等で通常時と異なるような場面でも使っていかないといけないのではないか。加えて、オンライン資格確認等システムやマイナンバー制度などの既存のインフラをできる限り活用することで、費用対効果にも十分配慮しつつ考えなければいけないというふうに提案させていただいているところでございます。
これが総論なのですが、おめくりいただきまして、次に「2.各論」で、各論が3つございます。
その3つのうちの一つが、健診・検診情報を本人が電子的に確認・利活用できる仕組みをどう考えるのかということでございます。
実は健診・検診情報、保険局のほうでは40歳以上のいわゆるメタボ健診ということで、40歳以上の健診を保険者の方々にやっていただいております。そのデータが先ほど図で申したとおり、オンライン資格確認等システムで個々人にも見ることができるようになるとともに、診療の現場に役立てておるのですけれども、その健診については、実は生涯で考えると、例えば乳幼児健診、学校健診、さらに働いてからの場合でいいますと、事業主が行う健診ということで、それぞれ健診をやっている。健診を行う方たちが異なっている、様々いらっしゃいます。一方で、一人一人が生涯を通じていろんな健診を受けておりますけれども、生涯にわたってみると、そういった健診結果がずっとつながっているということができると思いますが、それをどのようにしていくのかを考えていきましょうという議論をしております。一方で、先ほど私、オンライン資格確認等システムでお伝えしましたが、40歳以上の特定健診の情報であれば、実は一人一人の情報を一人一人が自分で見ることができるとともに、お医者さんに見せる、主治医に見せることによって診療に役立てているけれども、その仕組みをうまく活用できないかということを議論しているところでございます。
その上で、出てきた意見につきましては、やはりセキュリティーが大事である。さらに、事業主健診結果をうまく活用するためにも、保険者にデータが集まる方策を検討してほしいという意見を頂きました。さらに、学校健診の情報も重要であるという意見。また、薬剤情報なども含めて検討してほしいという意見を頂きました。
それを踏まえて、下のほうにありますが、事務局から出させていただきました今後の方向性なのですけれども、健診・検診については、実施者がそれぞれ保険者であったり、自治体であったり、また、事業者であったり、学校であったりというふうに異なることになりますが、それは情報の管理主体が異なるということでございます。それでも一人一人が、自分が受けた、いろんなところで受けたかもしれませんけれども、自分が受けたデータについてアクセスすることによって、一人一人の目で見ると、生涯を通じてできるという仕組みをつくっていこうではないかということを提案させていただいております。併せて、オンライン資格確認等システムで40歳以上の健診情報は特定健診情報としてありますし、また、40歳以上の事業主健診情報を保険者に頂くことで特定健診の情報として提供されていますが、加えて、40歳未満の事業主健診情報についても有効な活用を図るために、本来、事業主や働いている人にある情報なのですけれども、それを保険者に集めるために法制上の対応を講ずることをしてはどうかというふうに提案しております。
次の3ページになりますが、また、こうした取組に加えて、自治体で行っている健診、また、学校健診等につきましても一体的に進めようということを提案させていただいております。
これが1つ目の内容でございます。
続いて4ページになりますけれども、医療の情報につきまして、本人や全国の医療機関等において確認・利活用できる仕組みの在り方ということでございます。
先ほど図でお伝えしたとおり、レセプト情報の中から薬剤情報を一人一人格納することによって一人一人見ることができるとともに、マイナンバーカードを通じて本人同意を取った上で自分の主治医に見せることができるという仕組みを構築していますということをお伝えしたと思います。その仕組みの応用ということで、例えば四角の中の②なのですが、レセプトに基づく情報については、薬剤情報に限らず、手術をしたということ、検査をしたということ、例えば治療をしたという、実際になされたことが情報としてあります。しかも、それが全国一律に統一された様式で一元的に集約されている。
そうすると、例えばこの例を読み上げますけれども、高齢者や意識障害などの救急患者等本人や家族から情報が得られない場合であっても、薬剤情報だけに限らず、過去の手術とか、例えば移植を受けているとか、透析をしているとか、そういう情報を把握することで、救急医療等に有用ではないか。また、高齢者をはじめとして複数の医療機関等を受診する患者さんは、やはりほかの医療機関でどうしているのかというのは自院では分からない場合がありますが、集約された薬剤情報がレセプトではありますので、そういった重複や併用禁忌の確認、さらに、ほかの医療機関で行っていることについて分かることで、より、かかりつけ医に期待される総合的な診療にも有用ではないかということ。また、高齢者や認知症等の患者が増えることで、本人が覚えていない、また、自分が受けた治療の内容をうまくお伝えできないことが多い一方で、レセプトでは過去にどういうことで手術を受けたのか、また、どこで受けたのかということの情報が正確に分かりますので、これは必要な医療情報を例えばその医療機関に照会することができれば、医療従事者による確認の負担軽減にも有用ではないかということ。また、地震などの災害時の場合には、今まで受けていたかかりつけのお医者さんにかかれないような状況が起きた場合であっても、ほかの医療機関からこういった情報を入手できるのではないか。それが有用ではないかということを書いております。
こうした提案に対して、関係する意見としましては、レセプト情報は項目が決まっておりまして、全国一律に、全国の保険医療機関が提供しているので、非常に有用である。さらに、もし検査結果の一部も分かるのであれば公衆衛生上非常に有用な情報になるのではないか。一方で、レセプトというものはタイムラグがありますので、最新の情報を確認できる仕組みも検討すべきではないか。また、個々の地域では地域医療情報連携ネットワークが病院・診療所、薬局、歯科の診療所、介護施設も参加してやっているところもありますので、今、全国のレセプト情報の活用との役割分担も整理すべきではないかということの御意見を頂いています。また、さらに災害時の身元確認にも資するような口腔診査情報標準コード仕様を導入することによって、通常時だけではなくて災害時にも有用ではないかという御意見も頂いております。
5ページ目なのですけれども、そういった御意見を踏まえて、今後の方向性として事務局として提案させていただいたものとしましては、まずは、全国一律に統一されて集約されておりますオンライン資格確認等システムにある薬剤情報に加え、そういったオンライン資格確認等システムにはレセプトの情報が今後たまっていきますので、その中から手術情報などの情報を活用してはどうかということを考えています。また、そういった情報は実は現在でも、患者さんの診療後、3割の自己負担を窓口でお支払いする際に診療明細書を各医療機関のほうで交付している、患者さんにお渡ししておりますが、そのときにはどこの医療機関で行ったのか。また、どんな内容の治療を行ったのかということを伝えておりますので、そうした項目をうまく見せていくことをしてはどうかということを考えております。さらに、既に任意で行っています地域医療情報連携ネットワークともうまく運用できるようにしていくべきではないかと提案させていただいています。そのほか、今後の技術動向を踏まえて電子カルテの標準化を進めつつ、例えばレセプト情報、オンライン資格確認等システムにないような退院時サマリーとか検査結果とか、そういった情報の項目を拡大していくこと。また、できる限りリアルタイムの情報を共有できる方策について考えて、これからも検討していくということを提案させていただいております。
これが2つ目の内容です。
最後の3つ目なのですけれども、6ページになりまして、電子処方箋の実現に向けた環境整備ということでございます。
まず、四角の中の①なのですが、これまでお医者さんから紙の処方箋を頂いて、そして、患者さんがその紙の処方箋を薬局に持っていって、見せて、調剤を受けていたということなのですけれども、これを電子的に共有していく。つまり、お医者さんと薬剤師さんが薬局で電子的に共有して処方箋情報を見にいける仕組みについてどう考えるのかということでございます。そのときに、オンライン資格確認等システムでは、先ほど私が図でお伝えしたとおり、レセプトの情報でたまってきた薬剤情報をマイナンバーカードで薬局に見せることができるという仕組みをお伝えしたと思いますが、その仕組みをうまく活用することによってできるのではないかということでございます。そのためにもリアルタイムで、処方した診療所のほうでその処方した情報をどこかに格納する。そして、格納された情報を、本人のマイナンバーカードを通じて薬局で提示することによって見るという仕組みはどうかということを提案させていただきました。
それに対して、頂いた意見なのですけれども、電子処方箋という電子的に処方情報を共有できる。そういったことを全国で利用できることが必要であるということ。また、頂いた情報として、そういったことをする場合には電子処方箋の真正性の確保も考えないといけないという御意見を頂きました。
そういった御意見を頂いた上で、今後の方向性としまして、電子処方箋については、全国で利用できるものとして、患者の利便性向上とともに、重複投薬の回避、医療機関・薬局の負担軽減にも資するような仕組みをつくっていかないといけないということを提案しています。併せて、リアルタイムで情報が共有できないといけませんので、全国的に医療機関と薬局を結ぶオンライン資格確認等システムでできるネットワークの活用を検討していってはどうかということで提案をさせております。さらに、処方箋の真正性確保の在り方について検討するということで提案しております。
長く説明をさせていただきましたが、全てにおいて参考情報で先ほど図を使ってお伝えさせていただきましたオンライン資格確認等システム。今、皆様の御協力を頂きながらつくらせていただいている、そのインフラを活用することによって、今、言った3つ、健診・検診の話、医療情報の共有の話、さらに電子処方箋の話。こういったことが技術的にもできるのではないかという議論をしていることを皆様方に御紹介をし、御議論を頂ければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 丁寧な御説明、ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告に関しまして、御意見、御質問等を頂きたいと思います。いかがでございましょう。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
大きな流れとして、情報の利活用を進めることについては必要なことであると認識していますが、意見と質問を1点ずつ申し上げたいと思います。
まず意見としては、こういう情報利活用の基盤整備を進める上においては、やはり費用対効果や、事務負担の観点を十分に踏まえて検討してみるべきであると思っております。今回、各論の中で事業主健診を含む各種の健診・検診情報、医療情報、それから、電子処方箋の3つが示されていますが、それぞれの分について、やはり費用負担の在り方ですとか事務負担への影響について、丁寧な議論が必要であると思います。また、スケジュールについても、無理のない形に整理をしていただきたいと思います。
次に、事務局に質問したいと思います。今回の御提案は、先ほども御説明がありましたように、やはりオンライン資格確認制度のシステムの活用が大前提になっていると思います。その導入については、先ほど参考資料の中に記載されているのですが、新型コロナの影響があっても予定どおりのスケジュールという形で書かれております。当然、このオンライン資格確認制度を普及させるためには全ての保険者や全ての医療機関、薬局の参加が重要であると思います。
ただ一方で、今のスケジュールを見ますと、2021年3月末のところは、保険者については本格適用なのですが、医療機関等については6割程度の導入を目指すという記載になっています。保険者10割に対して、なぜ医療機関のほうは6割しか目指さないのか。その考え方を教えていただきたいと思います。特に今般、医療情報化支援基金ということで予算対応もされた中で一体、医療機関での導入について阻害要因はどういうことがあって、また、これについて、今後どういう対応を考えておられるのか。この点、事務局としてのお考えを聞きたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、医療介護連携政策課長、お願いします。
○山下課長 御質問ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおり、私の説明を聞いていただいて、これを実現できるためには、全保険者がオンライン資格確認等システムに入っていただくとともに、保険医療に関わる全保険医療機関・保険薬局が参加していただくことが非常に必要になってくると思います。マイナンバーカードで受診をすること、また、薬剤情報をリアルタイムで見ていこうとなると、そういったことがオンライン資格確認等システムに全ての保険者、全ての保険医療機関・保険薬局の皆様方に入っていただくことがとても大切でございます。
一方で、このオンライン資格確認等システムに関する我々の説明がまだまだ一つ一つの診療所、また、病院の方々、薬局の方々に届いていないこと、まだまだ足りていないということを自覚しております。そういった要因がありますため、これまで新型コロナウイルスの影響のため講演会とかが全然できていなかったのですけれども、これからは各団体の皆様方の御協力を頂きながら、それぞれの団体の方々がぜひ各都道府県でもやってほしいとか、自分たちの病院でもやってほしいということの御意見を頂いておりますので、ぜひとも直接御説明に我々事務局としても参らせていただいて広めていきたいと思っています。
併せて、国民一人一人の方々にとっても、マイナンバーカードを通じて実は医療機関にかかれる。その医療機関にかかることを、保険証と違って、マイナンバーカードであれば、自分のレセプト上にあるような薬剤情報を自分の主治医に見せることができる。さらに特定健診の情報を見せることができるのだというメリットも感じていただくこともとても大事であると思いますので、そちら側の、つまり国民一人一人の方々にもこのオンライン資格確認等システムのメリットが伝わるように我々は今後もきちんと伝えていくことが大切であると思っています。
そういったことを丁寧にやっていくことを通じて、やはり私たちとしては全ての医療機関にこのシステムに加入していただいて、保険者の持っているデータを使って、より良い診療に役立てていただく。それが結果的には加入者にとっても医療保険の満足度がさらに高まることになり、これを目指して我々は進めてまいりたいと思います。
御指摘は、激励であるということと、厳しくちゃんとやるのだということだと思っていますので、そのような形で進めさせていただきたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
佐野委員、よろしいですか。
○佐野委員 若干コメントさせてください。
いずれにしても、現状、スケジュールでいいますと、来年3月にスタートすると考えた場合、ほとんど時間的な余裕がないと考えております。したがいまして、今、予定では全医療機関に行くのはさらに2年後という時間軸なのですが、この実効性を上げるためにはよほど具体的な推進策を強力に打っていくことが必要であると思いますので、当然、ぜひ厚労省のほうでもそういう施策を打っていただきたいと思います。
以上、お願いでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
安藤委員、林委員の順番でお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。まず、総論につきまして意見を述べさせていただきます。
総論としては、この情報を活用するということに関しましては賛成でございます。ただし、今回の御説明を聞いた中で、全体を通じてオンライン資格確認等システムの基盤を活用して実施することが前提となっているようでございます。健康・医療・介護情報利活用検討会に保険者は参加しておりませんが、この費用負担の在り方について、どのような場で、関係者の合意形成を図る御予定なのかということを現時点でお分かりになればちょっとお知らせいただきたいというのが、まず1点目でございます。
何かございますか。
○遠藤部会長 それでは、医療介護連携政策課長、お願いします。
○山下課長 安藤委員、ありがとうございます。
まさに今、健康・医療・介護情報利活用検討会のメンバーを見ていただいたことでの御質問だと思っています。そこでは誰がどのように費用を負担するのかという具体的な議論はされておりません。技術的なこと、また、利便性のことということで議論されています。
一方で、具体的な費用の議論をしていくためにも、今後そういったシステムを開発していく場合に、またそれを運用していく場合に、どれぐらいの費用がかかるのか。それだけではなくて、そういったシステムを使うことによって患者や被保険者にどのようなメリットがあるのか。また、医療をしていただいている方々にとって、どれだけの労務が緩和されるのか。さらに、それによって例えば重複投薬がどれほど削減できるのか。様々な要素を今後も調査といいますか、精査していかないといけないと思います。
併せて、今、御指摘いただいたような費用負担の話については、我々としましてはオンライン資格確認等システムの基盤を使って議論をしている以上、やはり医療保険部会において、そういった、今、私が言ったような、今後詰めていかなければいけないような議論やデータをしっかりと把握した上で皆様方に提示させていただいて、どういうふうにすればいいのか、メリットと併せてコストについても検討を、この医療保険部会の場で議論させていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 安藤委員、よろしいでしょうか。
○安藤委員 はい。ありがとうございます。そのように慎重に議論を進めていただくことを要望いたします。
続きまして、議題につきまして2点、お話をさせていただきます。
まず1点目、資料2の2ページ目の一番下のところ、2つ目の○なのですが、以前にも同様の発言をさせていただいたのですけれども、事業者から保険者への事業者健診情報の提供につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律において、保険者からの求めに応じた事業者の提供義務が規定されております。しかしながら、厚労省や関係団体の皆様とも連携しながら現在取り組んできたものの、高齢者の医療の確保に関する法律には、強制力がないこともありまして、この情報の取得率が伸び悩んでいるのが現状でございます。事業者健診の結果を踏まえて、保険者において特定保健指導や医療機関への受診勧奨を確実に実施するためにも、事業者健診情報が保険者に提供されることが重要であると考えておりますので、例えば労働安全衛生法にも高齢者の医療の確保に関する法律と同様の規定を置き、労働基準監督署の指導対象としていただくなど、法令上の実効ある仕組とすることを御検討いただくよう、重ねてお願いしたいと思っております。
そして質問ですが、この2つ目の○のところに40歳未満の事業者健診データを保険者に集めることが書かれておりますが、保険者がどのような支援をすることを事務局として想定されていらっしゃるのか。現時点での、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
○遠藤部会長 では、医療介護連携政策課長、お願いします。
○山下課長 ありがとうございます。
御質問なのですけれども、今、高齢者医療確保法上は特定健診につきましては40歳以上の方々について保険者の実施義務がかかっております。だからといって、では、40歳未満については何もしなくていいわけではなくて、やはり保険者は加入者の方々に対して、もう既に健康づくりの取組をなされているのではないかと思っています。
一方で、その取組をする際において、データがあって、その人がどんな健診情報であるのかということがもし分かっていれば、今のように40歳未満の健診情報が分からない、暗闇の中で保健事業をやるよりも、より効果的にできるのではないかと思っています。一方で、それを保険者の方々に、では、40歳未満の人たちも全て健診をしてくださいということをするよりも、もう既に事業主健診でデータがあるのであれば、それを確実にそのデータが保険者のほうに来るのであれば、よりその方々に対する、要は今まで、私は比喩的に暗闇と言いましたけれども、よりこの人にふさわしいアプローチができるのではないかと思っています。
それが結果的には40歳以降の人たちもずっと継続することによって、例えば20代にこんなリスクがあった方々が、40歳、50歳になると、こういうふうになっていくということで、徐々にそれが分かっていくのではないかという可能性を期待しています。併せて、たしか既に協会けんぽさんや健保連さんも事業所カルテとか健康スコアリングレポートということで、40歳以上の特定健診のデータを使って、各事業所で比較して、おたくの事業所はこうですね、健康づくりはこうですねということをやっていただいていると思いますが、そのデータ、40歳未満の事業主健診データも、事業主だけで持っているとほかの事業所の比較ができませんが、それが保険者で、特に非常に大きな保険者のほうで持つことになれば、事業所のそれぞれの比較、同業他社の比較、もしくは地域の中での比較ができることによって、より各事業所の健康づくりをサポートする、コラボヘルスというふうにもつながるのではないかと思っております。
○遠藤部会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
現在、保険者としましては、現行の特定健診・特定保健指導だけでも、かなりぎりぎりのマンパワーで必死に実施しているのが現状でございます。限られたマンパワーの中で、より効果的に生活習慣病リスクの低減や医療費の適正化につながる取組を実施すべきであると我々も考えております。保険者が40歳未満の方の事業者データを保有することで、これまで以上に効果的な取組が実施できるようになるということを、今後、しっかりと整備していただければと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
議論されておりますマイナンバー制度のインフラ活用ということで、当然、セキュリティーのことがクリアされていることが大前提でございますが、内容に関しましては医療の生産性の向上ということで、それに資するということで理解はしております。
その上で、先ほどから議論されておりますが、全ての医療機関、全ての保険者、全ての国民ということが大前提となっておりまして、それが利用できるまでの間でございますが、その間、利用できるか、できないかによりましてのデジタルディバイドといいますか、そういった格差問題が生じてくると思います。その辺りを事務局としては何か御対応のほうを考えておられるかどうか教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 では、医療介護連携政策課長、どうぞ。
○山下課長 御指摘ありがとうございます。
もしよろしければ、参考資料1-2の6ページを御覧いただきたいと思っております。顔認証つきカードリーダーというものです。名称で言うと何か仰々しいものだと思われるかもしれませんけれども、そうではなくて、本人確認を非常にスムーズにするための仕組みである。そういうシステムであるとお考えください。
マイナンバーカードというものは、その保有者が、自分がちゃんと保有しているために、本人確認が必要です。例えば簡単に言えばクレジットカード、持っているだけで勝手にお金が引き落とされてはいけませんので、当然、クレジットカードの暗証番号を入れることによって自分で使うということになっています。その暗証番号なのですが、マイナンバーカードも実は暗証番号がちゃんと設定されていて、持っている人、もしくは御本人がちゃんと分かっている番号があるのですけれども、ややもするとお忘れになっている。また、医療機関に行くということはそれなりに、ちょっと気分が悪いとか、結構大変な状況な中で4桁の暗証番号を押さないと受診できないのはきつかろうと思っていまして、顔認証ということで、マイナンバーカードにある写真と本人の顔がちゃんと合うようにということを通じて手軽に本人確認ができるような仕組みをつくっております。
そういうことで、デジタルディバイドということでそういうものが分からないことがないような形でスムーズに、医療機関のほうで受け付けて渋滞ということが起きないような形で進めてまいりたいと思います。
顔認証付きカードリーダーにつきましては、おかげさまで、今国会で支払基金のほうが一括して購入して、全医療機関に配るという形になることができました。夏以降、実際に申し出に基づいて各医療機関のほうで選んでいただいて、その商品を皆様の手元にお届けするということをしてまいりますので、ぜひとも各診療所においても、例えば、患者の並び方が変わるとか、受付の方法がちょっと変わるとかということも実際にございますので、医療機関のほうでもいろいろと工夫をしていただくとともに、また御不明な点があれば我々事務方が御説明に伺うという形で周知をしてまいりたいと思いますので、ぜひ御協力をお願いいたします。
○遠藤部会長 林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
質問がもう一点ございまして、それを利用できる医療機関、利用できない医療機関、それから、国民にとってもマイナンバーカードを使用している人、使用していないという、そこの差異が、100%になるまでの間、情報の格差が必ず出てくると思いますので、その辺りのフォローアップをどのようにお考えになっているかということをよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 医療介護連携政策課長。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
失礼いたしました。同じ参考資料1-2の1ページを御覧いただきたいと思います。説明を省略して大変申し訳ございませんでした。1ページの左下のほうにありますけれども、私はマイナンバーカードだけしか言っていませんでしたが、そういった全国の医療機関で全て行き渡るまでの間は、マイナンバーカードまたは保険証ということで、保険証でもできるということでございます。けれども、なるべく良い医療を提供していただきたい、またはそれを受けるためにもマイナンバーカードのほうがより有効だということも併せて御理解を頂きたいと思っています。医療機関のほうで、デジタルディバイドで受けられないということもないようにしてまいりますが、なるべく速やかにこのシステムに入っていただくように一緒に周知をさせていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 林委員、いかがでしょう。
○林委員 その差が、タイムラグが長くならないように、皆様がきちんと利用できるような状況をつくっていただきたいということで、情報格差のないようによろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
それでは、藤井委員、池端委員の順番でお願いします。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
先ほど御説明をお聞きしまして、私ども中小企業の経営者あるいは従業員にとっても、予防接種や健診も含めて、過去どういう医療を受けてきたかをちゃんと把握しておくことは、今後、新たなリスクも発生している中、安心して事業を行う上で不可欠かなと強く感じておりまして、ぜひ積極的に進めていただけたらと思っております。
単にこれは薬剤の過剰投与とか重複投与ということだけではなくて、今後、例えば新たな治療法が出てきたときに、普段飲んでいる、例えばOTC医薬品なども相互作用があるのか、ないのかということも含めまして、やはり自分の体にどういう影響があったかということを経営者も従業員もちゃんと把握することが、今後、事業を行う上で不可欠な時代になるのかなということを強く感じますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
それから、オンライン資格確認等システムの活用について、今のところ、本人の同意が前提条件としてついているようでございますが、明らかに重複投与という場合もございますので、そういう場合はアラートを発するとか、スイッチOTCなども含め医師が患者の投薬歴をすぐ把握できるような仕組みをぜひ入れていただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。
では、池端委員、お待たせいたしました。どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。以前もこの会でもお話ししたことですが、再度少しお話しさせていただきたいと思います。
まず、このICTを利用した情報システムの利活用に関して、総論、各論とも特に反対意見はありません。どれも利用できればいいと思っています。
ただ、これが成功する秘訣としては、やはりセキュリティーの問題と、今ほど何人かの委員の先生からもありましたように、普及率。この2点だと思います。セキュリティーは専門家にお願いするとして、普及率が圧倒的に少なければ対費用対効果も出てきませんし、医療機関が6割というお話がありましたけれども、利用者が、患者さんが全員持っていれば当然、事業者は100%になると思うので、この辺が非常に重要ではないかと思います。こういう利活用のいろんないい点を議論するのも大事ですが、既にオンライン資格確認等システムが来年に控えている段階で、やはりその普及に対してどういう手を打っているか、まだ見えてきていないのが私の印象です。
まず質問の一つは、国民に対して、このマイナンバーカードを持っていただくことに対する普及に対して、何か現在進行形の対策等がありましたらお伺いしたい。もう一点あるので、まず1点お伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 では、医療介護連携政策課長、お願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。池端委員、ありがとうございます。
まず、国民への普及なのですけれども、現在動いているものとしては10万円の給付のこともあります。もちろん、それで若干混乱をさせていることもありますが、おかげさまで、その周知で今まで以上にマイナンバーカードの交付の申請が非常に多くなっているというのは総務省のほうからも情報を頂いております。
加えて、本年の9月から、実際の受け付けは来月、7月からと聞いておりますけれども、マイナポイントといいまして、私どもは所管ではないので簡単に言いますと、例えば自分の使っている非接触型のICカード、商品名で言いますと、例えばSuicaとかPASMOとか、そういうところの情報と自分のマイナンバーカードとリンケージさせると、例えば毎回チャージをするときに、1万円、5,000円、1,000円をチャージするというのですが、一応換算でいいますと、2万円チャージすると2万5000ポイントになる。つまり、2万5000円分が使えるということを9月から始める。そのための予算が既に昨年、今年度予算として用意されておりまして、受け付けが7月1日から始まるということを聞いておりますので、そういったことを通じて、それはマイナンバーカードとリンクさせないと、単にSuicaやPASMOを持っているだけではできませんので、そうすると、やはりマイナンバーカードを取得して、その手続をしてということもまた増えていくことを期待しているということでございます。
ですから、マイナンバーカードの普及につきましては、単に健康保険証の利用を進めていくだけではなくて、政府全体で広げていくということをしておりますので、それと併せてマイナンバーカードによる健康保険証利用も進めてまいりたいと思います。
○遠藤部会長 どうぞ。
○池端委員 ありがとうございました。
ただ、やはりまだまだ国民に対して普及というものは対策が少ないと思っています。実は先日、支払基金でこのマイナンバーカードのことを、役員会で話がありましたけれども、その支払基金のメンバーですら、まだマイナンバーカードを持っていない方がたくさんいらっしゃる。こういう現実がありますので、ぜひ、これはこの対策というよりも、今からでもどんどん進めていかなければいけないことではないかと思っています。
一方で、今回のコロナでも分かったように、スマートフォンというものは非常に普及率が日本でもかなり高くなって、高齢者の方でも持っていらっしゃる方が大変多くなってきています。これは極論といいますか、とっぴな意見かもしれませんが、例えば今、クレジットカードがスマートフォンに入れられる時代です。このマイナンバーカードの情報がもしスマートフォンに入れられたら、本当に一気に普及率が上がって、スマートフォンから暗証番号を打ち込んで、それでカードリーダーに読み込むことによってそれができるようになれば一気に利用が増えるような気がするのですけれども、その辺について、私、技術的なところは分かりませんので、何かもし可能性があるかどうか、お分かりだったら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤部会長 医療介護連携政策課長。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
正直分かりませんということではあるのですけれども、まさにスマートフォンをみんな一人一人が持っていることを考えると、利便性のためにもそういったことをしていかなければいけませんし、また、マイナンバーカードを保有することが前提なのですが、そのマイナンバーカードを通じて自分で管理できるマイナポータルという情報がスマートフォンで見られるようにもなっていますので、自分の資格情報もスマートフォンで見られるということにもなりますので、そういったことを通じて、今はカードになってしまっていますけれども、徐々に技術の進歩と併せて進んでいくのかなと考えております。
○池端委員 ぜひ大胆な普及を御検討いただければと思います。
ありがとうございました。
○遠藤部会長 ほかにいかがでございましょう。
では、松原委員、森委員、それから、井深委員の順番でお願いします。松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
先ほど、ある委員から企業にもデータをというお話でございましたが、よく考えてみると、国民の皆さんが自分の予防接種歴や病歴などを、今、勤めている会社に知られたいとはとても思えないのです。やはりそういった個人の情報は大事にしなければならない。そこから、マイナンバーカードではなく、健康保険証を医療等IDとして使うということでいろいろな個人の情報が自分で管理できることをきちんと行うために、この仕組みを導入したのだと思っています。
そういった面で、まず第1点目は、これは私の持論でございますが、働いているところの健診、それから、保険者さんがやっておられる健診も、どこかで一元管理するとすれば、それは市町村ではないかと思います。住民票を移すときに、そのデータを持って動けるような仕組みをつくれば、生まれてからずっとのデータがそこに蓄積され、それを自分で利活用できるようになると思います。健診の費用については働いているところ、あるいは保険者さんが払っていただけばよいと思いますけれども、一番大事な集約された個人情報については市町村にお任せするのが一番良いのではないかと思っています。
そういったことの中でマイナンバーカード、それから、デジタルの利用を推進しなければならないのですが、ただ、時代はどんどん進歩しております。先ほどお話がありましたように、iPhone1つあればいろいろなことができるようになっています。データを集めて、自分で市町村にあるデータを、自分のiPhoneに移して、持って歩けるようにすれば、どの医療機関においてもそれを見せて対応できると思います。マイナンバーカードにこだわらず、時代の進歩に合わせてさらに進めていくことが必要と思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
では、お待たせしました。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
資料2の4ページ、5ページの医療情報等の利活用のところなのですけれども、先ほどからお話がありましたが、長期にわたる集約された薬剤情報等を把握し活用することは医療安全の確保、それから、質の向上に非常に有効だと思います。
ただし、レセプト情報なのでタイムラグがあり、リアルタイムの情報をどう把握するかということが必要で、そのためにはお薬手帳の使用というものが非常に有効ではないかと思っています。
また、患者さんの中には、先ほど藤井委員から話がありましたけれども、市販薬をお飲みになっている患者さんもいます。医療機関の薬との相互作用、重複投与だけが問題となるのではありません。市販薬の情報もお薬手帳に記入しているので、お薬手帳を活用することによって医療機関の医師も把握できます。
比較的安全で安心に使えると言われているアセトアミノフェンというお薬があります。このお薬は医療用のアセトアミノフェンの添付文書の最初の警告欄に、アセトアミノフェンを含む他の薬剤と併用しないこととなっています。ですから、市販薬の情報も含めてリアルタイムのデータをきちんと把握して、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師が管理していくことが必要だと思います。
もう一点、6ページ目の電子処方箋のところを御覧いただければと思います。電子処方箋に関してはこの検討会で議論が行われていると思いますが、最後の処方箋の真正性の在り方についてということなのですけれども、単にオンライン資格確認等システムのネットワークにつながっているだけでは真正性の確保はできないのではないと思います。電子処方箋そのものの真正性が確保できているのか、また、内容が改ざんされたものではないのか等を含めて、どのように真正性を確保するのかということを検討していっていただきたいと思います。
また、HPKIは電子処方箋には必須であると思います。そのことも含めてしっかりと検討会の中で検討していっていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。井深委員、どうぞ。
○井深委員 私からは1点、質問がございまして、介護情報に関してちょっとお聞かせいただければと思います。もちろん、この場は医療保険部会ですけれども、もともとの今回の件の目的が患者・国民にとっての有益であるということと利便性が目的とされておりますので、その観点から介護情報も非常に重要なのではないかと考えておりまして、その点について、介護情報についての利活用についてお聞かせいただければと思います。
○遠藤部会長 それでは、医療介護連携政策課長、コメントをお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
まさにおっしゃるとおり、介護情報の活用もとても大事だと思います。もちろん、介護の現場で医療を受けていた情報が必要とされる場面もありますし、また、介護の現場で行われている情報が医療の現場で必要になるということもございます。今回はこういった提案にとどまっておりますけれども、この健康・医療・介護情報利活用検討会というものは今のこの3つにとどまらず、介護も含めて今後も検討してまいりますので、どんなものができるのかということをまたいろいろとこれからも検討していこうと思っています。
その際には、やはり介護の情報のインフラ、どのように集めていくのかというインフラも一緒に考えていかないといけないこともお伝えしたいと思います。おかげさまで、オンライン資格確認等システムというものがあるため、医療分野ではこういった議論も発展しています。このため、介護の情報を集めるためのインフラもまた別途考えた上で老健局において検討が始まるのではないかと思っております。
○遠藤部会長 井深委員、よろしいでしょうか。
○井深委員 はい。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。これは先ほど御指摘もありましたけれども、検討会の中には保険者を代表される委員がおりませんということで、具体的な制度設計をするプロセスでは本部会できちんと議論をするということでございますので、引き続き検討していきたいと思います。事務局としてもよろしくお願いします。
それでは、特段、第2番目の議題について御意見がなければ、用意した議題は以上のとおりでございます。
ほかに、全体を通じて何かございますか。
菅原委員、それから、藤井委員の順番で、菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 すみません。全体として示されたICTとかデータの利活用に関する方向性については、大きな異論はございません。
1つだけ意見なのですが、資料2の2ページの各論、方向性で示された健診データの利活用、先ほども多少議論になりましたけれども、社会疫学など、学術的にいっても青年期などのより早期の介入が生活習慣病の予防に有効性を持つことが、ある程度、学術的にもエビデンスとして示されておりますし、平成29年には日本学術会議より、働く世代の生活習慣病予防をより効果的に進める上で、小児期並びに青年期からの生活習慣病予防対策の重要性を提言として強調したい旨、かなり強いメッセージが既に提言されております。効果的な疾病予防対策を考慮する上で、より幅広い年齢層のデータの蓄積には社会的に非常に重要な意義があると考えられますので、保険者の業務負担には十分配慮しつつも、より幅広い年齢層まで健診データ等の蓄積・利活用を進めていく方向性が良いのではないかと個人的には意見を申し上げたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それは御意見として承るということでよろしゅうございますか。
○菅原委員 はい。
○遠藤部会長 では、御意見として承りました。
何か事務局、コメントはありますか。これはよろしいですね。
○山下課長 はい。
○遠藤部会長 それでは、全体を通じて御意見ということで、藤井委員がお手を挙げておられましたか。どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
本日、私どもから資料を提出させていただいております。そちらを御覧いただければと思いますが、私ども商工会議所には全国で約124万者の会員がいらっしゃって、そのほとんどが中小・小規模事業者でございます。こうした会員の総意として、私ども日本商工会議所では本年4月にこちらの意見を取りまとめ、安倍総理をはじめ政府・与党、全世代型社会保障検討会議のメンバー、また、本部会の委員の皆様など関係各所に送付させていただきました。
中身はかねて私から申し上げていることもございますので、改めて説明はいたしませんが、保険料を負担しているこうした中小・小規模事業者の意見を十分踏まえ、引き続き、改革に向けた議論を進めていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
それでは、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 先ほど、高齢者の2割負担について触れた方がいらっしゃいましたけれども、私は高齢になられた方々、いつまで収入が続くか分からない方々が病気を心配するのは当たり前のことだと思っています。そこを踏まえて、やはり原則1割をきちんと守っていくことが高齢者の方々の安心につながることだと思います。費用を心配して受診せずに重症化したら、結局は費用が多くかかってしまいます。この事は非常に大事なことであります。
企業の方からすれば、お年を召してからは自分で負担をしていただくのが当然だという主張もありますけれども、しかし、国民の安心と幸福のためには国の在り方を考え、御高齢の方に負担を強いるのではなく、ほかの財源を手当てすることによって対応すべきだと思います。
安心がなければ国民は幸せに暮らせません。ぜひ重々考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。高齢者の自己負担につきましては当部会で議論することになっておりますので、引き続き、その議論のあるときに御意見を承りたいと思います。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきたいと思います。長時間にわたりまして、御協力ありがとうございました。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡をいたします。
本日は御多忙の中、御参加を頂きまして、本当にありがとうございました。