第6回 日独高齢化シンポジウム

2020年2月6日(木)から7日(金)にかけて、第6回日独高齢化シンポジウムをドイツ(ベルリン)にて開催しました。

1 事業開始の経緯

 2007年7月、ドイツ連邦保健省より、日独間で介護保険制度に係る情報を交換することについて提案がありました。これを受けて2008年度から交流を始めることについて両国が合意し現在に至っています。

2 これまでの実績

 両国政府の代表が、社会保障分野全般について、経験の情報交換及び政策対話を日独交互に定期的に開催しています。テーマは、開催毎に両国間で協議して決定しています。

第1回 2009年2月 日本開催(日独仏三か国共同)
・認知症高齢者ケア、介護制度等
第2回 2011年8月 ドイツ開催
・住居と介護、地域包括ケアセンター等
第3回 2013年4月 日本開催
・医療IT、地域医療等
第4回 2015年5月 ドイツ開催
・高齢社会における予防、健康増進等
第5回 2017年1月 日本開催
・認知症施策について、介護保険制度一般、高齢者の社会参加のための支援

3 第6回日独高齢化シンポジウムの概要

(1)プログラム

○会合(2月6日(木))
 「高齢者ケアの新機軸と介護職の役割」をテーマとし、セッションごとに日独双方で発表及び討議を行いました。
 ・セッション1「看護・介護サービスにおける多職種連携(資格、組織、人員ミックス)」
 ・セッション2「医療保健・看護・介護サービスにおける看護・介護専門職の役割」
 

○視察(2月7日(金))
 ・シャリテ医科大学病院

(2)出席者

・日本側:渡辺 厚生労働省大臣官房国際課国際労働・協力室長、石田 老健局老人保健課長補佐、佐々木 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長補佐、中川 大臣官房国際課長補佐 他

・ドイツ側:ザビーネ・ヴァイス ドイツ連邦保健省政務次官、ビルギット・ナーゼ 第四局総局長、清田 とき子 ベルリン日独センター副事務総長、ロートガング ブレーメン大学不平等・社会政策研究センター教授、マイアー ベルリン工科大学研究員 他

(3)内容

<会合>
○基調講演
 ドイツ連邦保健省政務次官から、ドイツでは介護人材の不足対策として、教育訓練の改善や看護・介護職の処遇改善(最低賃金の引き上げ等)、外国人材の受け入れ拡大を行っていると話がありました。
 厚生労働省大臣官房国際課国際労働・協力室長からは、2040年に向けた高齢化に関するビジョンとして、医療・福祉現場の維持のために、「健康寿命の延伸」、「多様な就労・社会参加の推進」、「医療・福祉サービスの生産性の向上」に取り組むこと等について発表しました。
 
○セッション1「看護・介護サービスにおける多職種連携(資格、組織、人員ミックス)」
 ドイツ連邦保健省から、看護・介護職の数を増やすことを目的に、ワークライフバランスの改善や賃金の上昇、看護・介護職のイメージアップ、多職種連携が重要と発表がありました。また、ドイツ有識者からは、人員配置基準の改善について調査研究を行い、「看護・介護助手」が足りないという結論に至ったとの発表が行われました。
 日本からは、医療と介護をまたいだ領域で高齢者に対するリハビリテーションを行っていることや、リハビリテーションの役割や課題、今後の質の向上に向けたデータベースの構築を進めていることについて発表を行いました。
 
○セッション2「医療保健・看護・介護サービスにおける看護・介護専門職の役割」
 日本側からは、介護人材確保の取組として、専門性の高い介護福祉士を頂点とする機能分化によって「富士山型」の人材体系とすることを目指し、処遇改善や、高齢者や外国人材といった多様な人材の確保・育成、離職防止や定着の促進などを行っていることを紹介しました。
 ドイツ有識者からは、看護・介護職の処遇改善、地位向上のために、看護師の高学歴化を進め、高いステータスの看護職にタスクシフトさせる仕組み等を考えていくべきと話がありました。

<視察>
○シャリテ医科大学病院
 国籍が100以上の看護・介護職が約4600名在籍しており、外国人材の受け入れの好事例として、当病院を視察しました。看護・介護人材の不足に対応するため、2016年から連邦雇用庁と協力して外国人材の受け入れを強化していること、職場の研修や語学研修だけでなく在留に当たっての諸手続を支援しているほか、異文化交流の指導も行っていることについて説明を受けました。

(4)会合・視察の様子

<会合の様子>
会合の様子の写真(1) 会合の様子の写真(2) 会合の様子の写真(3)

会合の様子の写真(4)

<視察の様子>
視察の様子の写真