第130回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

 令和2年6月10日(水)10:00~12:00

場所

中央労働委員会講堂(7階)

出席者

【公益代表委員】
    熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、三柴丈典、山口直人
【労働者代表委員】
    漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
【使用者代表委員】
    鈴木重也、砂原和仁、中澤善美、増田将史、最川隆由、矢内美雪
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、安達栄(安全課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、
           和田訓(産業保健支援室長)、中村宇一(化学物質対策課長補佐)、
    高村亜紀子(副主任中央労働衛生専門官)、黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

(1)石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)石綿障害予防規則の改正に係る告示について
(3)副業・兼業の場合の健康確保措置について


 

議事

 
○城内分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第130回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。コロナ感染対策ということでマスクもしております。熱中症の季節になりました。特に長く発言される方、御質問の方は、息切れしないように、ゆっくり御発言をお願いいたします。
 本日は公益代表委員の砂金委員、水島委員及び使用者代表委員の中村委員が欠席しております。なお、使用者代表委員の中村委員の代理として、日本商工会議所の清田様が御着席されております。
 本日は感染症対策のため一般傍聴は募集せず、報道関係者のみの傍聴を受け入れておりますので、御承知おきください。
 使用者代表に新たに就任いただいた委員の方を紹介いたします。5月8日付けで輪島委員が退任され、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長の鈴木重也委員が就任されました。矢内委員は、少し遅れるという連絡がきておりますので、御承知おきください。
 それでは、4月1日付けで事務局に異動があったということですので、御紹介をお願いします。
 
○小宅計画課長 4月1日付けで、安全課長に安達が着任しております。化学物質対策課長の木口です。産業保健支援室長の和田です。以上です。
 
○城内分科会長 次に、傍聴の方へのお願いです。カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 では、議事に入ります。議題1「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱について」及び議題2「石綿障害予防規則の改正に係る告示について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○木口化学物質対策課長 議題1と議題2について、化学物質対策課長より御説明をいたします。まず、議題1「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」です。資料1-1と資料1-2を御用意しております。こちらは諮問案件です。改正の内容については、資料1-2で御説明いたします。議題2「石綿障害予防規則の改正に係る告示について」ですが、こちらは省令案要綱に関連する事項ですので、一緒に御説明させていただきます。こちらは資料2で御説明いたします。よろしくお願いいたします。
 まず、資料1-2の1ページ目を御覧ください。建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策について、平成30年7月に建築物の解体・改修工事に関する有識者、関係事業者団体代表者などからなる検討会を設置しまして、技術的事項に関してはワーキンググループを設置して、検討を行いました。参集者と開催状況については、1ページ目の後段と2ページ目にお示ししています。
 この検討会については、1月の分科会で中間取りまとめを報告しましたが、本年4月に最終報告書を公表いたしました。報告書で提言された石綿障害予防規則等の改正のポイントについては、3ページ目を御覧ください。左半分が現在の規制で、右半分が改正案ということになっています。詳細については順次御説明しますが、まず1点目は、現在実施が義務付けられている事前調査の結果のうち、一定規模以上の工事、この一定規模以上の工事というのは、欄外の※の1番に書いてありますが、解体部分の床面積が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額が100万円以上の建築物の改修工事、特定の工作物の解体・改修工事といったものに係る事前調査の結果については、労働基準監督署に届出をさせることが、新たに追加されております。この中では、一戸建ての住宅の解体・改修工事なども含まれることとなります。
 2つ目です。現在、レベル1の工事については、14日前までに計画届を労働基準監督署に提出する、レベル2については、工事開始前までに作業届を提出していただくことになっておりますが、こちらはレベル1、レベル2ともに、計画届を提出していただくということにしております。それから、事前調査ですが、これは現在も義務付けられているのですが、この調査方法を明確化するということです。作業計画というものも立てていただいていますが、作業計画に基づいて作業が実施されているかどうかについて、写真などによって記録をきちんとしていくということも新たに付け加えております。
 レベル1、レベル2に義務付けられている負圧隔離ですが、集じん・排気装置などについては設置したときに点検が義務付けられていますが、これを途中段階でも行うということを付け加えております。負圧の点検も作業開始前だけではなくて、作業を中断したときの点検も付け加えております。それから、工事が終わって隔離を解除する前に、石綿の取り残しがないかどうかの確認をするということも入っております。
 一番下のほうですが、レベル3の建材のうち、ほかのレベル3建材よりも飛散性が高いものについては、隔離措置を求めるといったものです。こういった内容になっております。
 4ページ目を御覧ください。報告の提言を踏まえた石綿障害予防規則等の主な改正内容ということで、こちらに示す7項目が改正の内容となっております。これについて、順次御説明いたします。
 5ページ目を御覧ください。まず、事前調査の方法の明確化です。現在、建築物・工作物・船舶の解体・改修工事に義務付けられている石綿含有の有無の事前調査について、全ての材料について、設計図書等の文書を確認するとともに、目視により確認しなければならないとしております。ただし、このページの中程に表が入っておりますが、例えば表の1段目と2段目に書いているように、既に石綿の有無について調査が行われている場合は、その旨を設計図書などの文書で、当該調査の結果の記録を確認すればよいとしておりますし、3段目と4段目にあるとおり、石綿の使用が禁止された後に着工されたもの、あるいは設置されたものについては、当該着工日又は設置日を設計図書などで確認するということで足りるとしております。それから、事前調査で石綿等の使用の有無が明らかにならなかった場合は、分析調査を行う必要がありますが、こういうときに石綿などが使用されているものとして法令に基づく措置を講ずるのであれば、分析調査を不要としております。これまで、この適用が除外されていた吹付け材についても、同様の取扱い、みなしの扱いができるとしております。
 6ページ目を御覧ください。事前調査を行う者の要件です。これは新設です。建築物の事前調査については、適切に事前調査を実施するために必要な知識を有する者として、告示で定めることとしております。この告示の内容については、資料2の1ページ目に書いています。(1)の本文を御覧ください。この資格者については、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程、これは厚生労働省、国土交通省、環境省の3省共管の告示ですが、これに規定する一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者を、資格者と定めることとしております。それから、先ほど一戸建ても、この事前調査届出の対象になるということを申し上げましたが、一戸建てについては、調査対象となる材料の種類などが限定されるということも踏まえまして、一戸建て等石綿含有建材調査者でも、調査が可能ということにしています。
 資料1-2にお戻りください。6ページ目に参考として、3省告示に示されている講習のカリキュラムを書いております。一般建築物石綿含有建材調査者講習は、石綿の作業主任者などの資格を持った方が、こちらに書いている合計11時間の講習を修了して、修了考査に合格することで資格が得られます。特定建築物のほうには、これに加えて実地研修の受講と修了考査の合格が必要とされております。(2)に一戸建ての調査者の講習のカリキュラムが書いてあります。これは、7時間の講習を受講して、修了考査に合格することで資格が得られることとなっております。
 7ページ目を御覧ください。こちらは分析調査を行う者の要件の新設ということで、こちらも告示で定めることとしております。資料2の2ページ目と同じことが書いてありますが、①から③に示している科目、合計7時間弱の学科講習を受けていただくことと、分析の実施方法に係る実技講習を受講して、修了考査に合格することが必要です。
 次の項目ですが、事前調査及び分析調査の結果の記録です。事前調査、分析調査を行ったときには結果を記録して、作業者がその情報を共有できるように、写しを作業場に備え付けなければならないとしております。また、現場作業の終了後も記録が活用できるように、調査終了から3年間は記録を保存しなければならないとしております。記録の項目については6項目を定めていて、事業者の名称、調査終了日、事前調査を行った部分、調査の実施方法、石綿使用の有無などについて、記録を残すということにしています。
 8ページ目を御覧ください。こちらのみ、労働安全衛生規則の改正事項となっています。計画届の対象拡大ということですが、現在は、耐火建築物又は準耐火建築物における吹付石綿の除去作業だけが計画届の対象となっておりますが、これを吹付石綿については除去だけではなくて、封じ込め、囲い込みまで、石綿含有保温材、これはレベル2の材ですが、これも除去、封じ込め、囲い込みとしています。建築物の種類についても、耐火建築物、準耐火建築物だけではなく、建築物、工作物、船舶、こちらの全体について、計画届の対象にするという改正です。
 9ページ目を御覧ください。こちらは、解体・改修工事に係る事前調査結果等の届出制度の新設に係る事項です。届出が必要な工事として、①から③までありまして、解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額が100万円以上である特定工作物の解体工事、請負金額が100万円以上である建築物又は特定の工作物の改修工事。こういった工事を行おうとするときには、あらかじめスマホなどからの電子届によって、事前調査の結果等を労働基準監督署に届け出なければならないこととしています。②の特定工作物については、別途告示で定めることとしていまして、この告示については、資料2の3ページ目を御覧ください。反応槽から、鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板まで、ポジティブリストの形で示すということにしております。
 資料1-2の9ページ目にお戻りください。届出事項については囲みの下にございますが、工事の名称、工事の実施者の名称、工事の実施期間、工事の規模、床面積とか請負代金の額、どのような所で事前調査をやって、石綿があったかなかったかという概要、調査を行った方の氏名、石綿作業主任者の氏名などについて、届出をしていただくということになります。電子届を基本としておりますが、紙で届けるという場合には、10ページ目にございますが、このような内容の届けにするということにしております。これについて、事業者が無理なく電子届が行えるように、できるだけ簡単に入力できるようなシステムを構築していきたいと思っています。
 11ページ目を御覧ください。負圧隔離を要する作業に係る措置の強化ということです。現在、負圧隔離を要するレベル1、レベル2の作業に関する措置として、集じん装置、排気装置を設置したときに点検を行うとしていますが、この設置場所を変更したとき、その他集じん・排気装置に変更を加えたときにも、排気口からの石綿粉じんの漏えいの有無を点検しなければならないということを追加しております。それから、負圧の点検についても現在は作業開始時に点検するということにしておりますが、作業を中断したとき、例えばお昼休みでお昼を食べに作業員の方が出入りするということもあろうかと思いますが、そういったタイミングについても、負圧が保たれていることを点検することを求めております。
 それから、隔離除去の際の確認ですが、作業が終了して隔離を解く前に、石綿に係る知識を持っている人が、石綿などの除去が完了したことを確認した後でなければ、隔離を解いてはならないということで、取り残しがあったまま隔離を解いてしまうと、そこから石綿が飛散してしまいますので、必ず確認をするということを定めることとしております。
 次は、負圧が不要な隔離を要する作業ということで、これはレベル3の作業のうち、特定のものに関するものです。石綿含有成形品のうち、特に石綿などの粉じんが発散しやすいものを切断などの方法により除去する作業を行うときには、作業場所をビニルシートなどで隔離して、常時湿潤な状態に保たなければならないこととするとしております。この作業に関しては、ビニルシートで隔離することで足りまして、負圧まではする必要はありません。該当する石綿含有成形品を定める告示というのが、資料2の4ページ目の告示ですが、告示の中で、けい酸カルシウム板第一種というものが、これに該当するということで指定することとしております。
 資料1-2の11ページ目にお戻りください。仕上げ塗材を電動工具を用いて除去する場合の措置の新設ということです。石綿を含有する仕上げ塗材を電動工具で除去する作業を行うときについても、作業場所をビニルシートなどで隔離して、また常時湿潤な状態に保たなければならないということにしております。
 12ページ目を御覧ください。石綿含有成形品に係る措置の強化ということです。石綿含有成形品を除去する作業については、技術上困難なときを除いて、切断等以外の方法により作業を実施しなければならないという形で、できるだけ石綿等を含む粉じんが飛ばないような方法を取るようにということにしております。それから、石綿等を湿潤な状態にすることが著しく困難な場合については、除じん性能を有する電動工具を用いる、切った端から粉じんをどんどん吸い込んでいくような機械を使うことなどによって、石綿の発散を抑制する措置を講じるように努めなければならないとしております。
 次は作業の記録です。現在の石綿則では、石綿などの取扱い作業に従事する労働者について、従事した作業の概要や従事期間などの記録を、作業に従事しないこととなった日から40年間保存するとしておりますが、この記録項目として、事前調査の結果の概要、作業の実施状況の記録の概要を加えることとしております。
 次が、作業計画に基づく作業の実施状況等の写真等による記録・保存の義務化です。石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体・改修工事を行ったときは、作業計画に基づいてきちんと作業が実施されているかどうかについて、写真などによって記録をするとともに、その作業に従事した労働者の氏名、従事期間等を記録して、3年間保存しなければならないことといたします。
 最後の項目は発注者による配慮ということです。解体・改修工事等の仕事の請負人が、事前調査あるいは作業の実施記録などを適切に行えるように、発注者の方に配慮をお願いするということです。むやみに、こういう記録などを止めるということのないように、御配慮いただきたいということです。
 最後のページを御覧ください。施行日について御説明いたします。石綿障害予防規則等の改正については、本年7月の公布を予定しております。施行日については令和3年の4月を基本としますが、幾つかの項目について、別途施行日を設けています。
 まず、上から3段目の事前調査、分析調査を行う者の要件の新設ですが、今回の改正に伴って、建設業を営む全ての事業者に資格者を確保するために、30万人、40万人ほどの資格者を育成する必要があるということで、この育成に必要な期間を考慮しまして、こちらの施行は令和5年の10月としております。その3段下ですが、これは解体・改修工事に係る事前調査結果の届出制度で、電子届と申し上げていました制度です。こちらについて、電子届のシステムの開発に要する時間を考慮しまして、施行を令和4年4月としております。令和4年4月に電子届のシステムがスタートして、資格者の部分が令和5年の10月から施行ということですが、この間の期間については、いわゆる資格者の方以外による事前調査結果の届出でも大丈夫です。もちろん、事前調査をどなたが実施したかというお名前は届け出ていただくことになります。その2段下のけい酸カルシウム板第一種の切断、これはレベル3ですが、粉じんが飛びやすいので、ビニルシートで隔離していただくという部分ですが、これについては、ビニルシート等による隔離と常時湿潤化ということで、余り大々的な対策ということではありませんので、できるだけ早期に対策を講ずるという趣旨で、施行はほかのものよりも半年早い令和2年の10月ということにしております。御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた内容について、質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○最川委員 事前調査の件ですが、事前調査をする資格が一般建築物石綿含有建材調査者と特定建築物石綿含有建材調査者で、今度新たに一戸建て等石綿含有建材調査者というのができたと思います。今現在、持っている方は何名ぐらいいるのでしょうか。あと、最終的に30万人から40万人が必要だという話で、私もそれぐらいは必要だと思っているのですが、3年間の猶予を取っていただいている中で、30万人をやろうとすると年間10万人、月に換算しても1万人程度に講習を受けさせるとなると、今、私が認識している講習機関というのは、日本環境衛生センター、環境科学対策センターというのがあるのですが、そこだけだととてもいかないのではないかということがあります。講習機関をどのぐらい予定しているのか、月に1万人というのをどれぐらいから確保できるのかということについて、見通しがあれば教えていただきたいと思います。
 
○中村化学物質対策課長補佐 まず、現状で何名ぐらいいるのかという御質問についてです。今、大体1,500名ほどで、委員が御指摘のように、今現在、登録講習機関というのは2機関しかないという状況です。
 課長から説明しましたように、30万人から40万人規模の育成をしていかなければいけないということだと思いますので、今、労働災害防止団体に御協力いただく準備をしておりまして、全国的に数百箇所ぐらいでの講習の実施をして、毎年10万人から20万人規模での養成をしていく体制を、正に今作る準備を進めているというところです。
 
○最川委員 建設業でいけば、建災防に講習をやっていただいているのですが、今回、この講習はまだやられていないですよね。そのテキストを作ったり、講師を養成したりするのに、1年ぐらいの期間はかかると思うので、それをなるべく早くやっていただいて、早く月1万人体制を整えていただくというのが重要かなと思いますので、よろしくお願いします。
 
○城内分科会長 そのほかはございますでしょうか。
 
○勝野委員 今、最川委員から出された件ですが、実質2年半の間に30万人から40万人の資格者を養成するというのは、相当の数だというように理解しています。
 そういった点で、通常の「受講してください」ということだけでは、到底追い付かない数だと思っていますので、講習機関の件も含めて、しっかりとした周知と言うか、そういう手立てが必要だと思っております。その点について、是非御検討を引き続きお願いしたいと思います。
 もう1つは、講習会の受講要件の中に、それぞれ11時間講習、7時間講習とあるわけですが、現行で言いますと、例えば実務経験が11年以上必要だということになっているわけですが、例えば建設業などの実務経験で言いますと、10年以上というのが多いのです。そこで、この件について11年以上となっているのは、何か特別な理由があるのでしょうか。あと、実務経験を証明する際に、法人なり個人で、例えば事業主の方であれば、許可を持っていれば分かると思いますけれども、労働者の方は事業主が証明するという形になると思いますが、雇用されていない、1人で仕事をされている方については、実務経験を証明する手立てが、現在ではないというのが現状です。そうした点で、例えば建設業の一人親方の場合でも、実務経験を証明する他の手段を、是非御検討いただきたいなと思います。例えば民間資格でありますが、増改築相談員とか、マンションリフォームマネジャー等は、実務経験10年以上というのが要件に入っていますので、こうした資格も要受講者の資格の中に入れ込んでいただければ、有り難いと思っていますので、よろしく御検討をお願いいたします。
 
○中村化学物質対策課長補佐 初めに御指摘いただきました周知ですが、今回、実は大気汚染防止法が先日可決成立しましたが、そちらも同様に、この資格の制度を導入するということで、両省で協力して進めていこうということにしていまして、当然私どもも周知に万全を期したいと思いますが、環境省のほうも都道府県への周知の指示などをされると思いますので、よく連携して周知には万全を期していきたいと思っております。
 もう1つ、受講資格についての御指摘ですが、まず、11年という年限についてですが、この事前調査者の資格の制度というのは、もともと国土交通省のほうで、通常使用時の建築物の石綿の調査をするという資格がありまして、これをこの解体・改修のときの調査にも使えるのではないかということで、平成30年度に国交省単独から、我が厚生労働省と環境省、国交省の3省共管の告示に見直したという経緯がありまして、従前の制度からの仕組みを引き継いでおりますので、今この場で、なぜ11年かということをお答えするのは確認が必要なのですが、そういう流れを酌んだ制度であるということは御理解いただければと思います。
 それから、一人親方の事業者証明が難しいような方についての実務経験については、詳細はまた別途整理してお示ししたいと思いますが、当然、既存の資格などの活用というのは考えていきたいと思っております。
 
○城内分科会長 そのほか、何かございますでしょうか。
 
○村山安全衛生部長 最川委員、勝野委員から、大変貴重な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。これは、検討会の中間報告の内容を御報告申し上げたときも、両委員から御指摘を賜わった点かと思います。
 ただいま中村補佐から御説明差し上げましたが、本日の参考資料1-3、参考資料1-4を御覧ください。衆参の環境委員会における大気汚染防止法の一部改正法案の御審議の中でも、今、両委員から御指摘いただいた点、この法律及び改正石綿則の円滑な施行の観点から大変重要なポイントだということで、衆参ともに附帯決議の2つ目の項目ですが、その講習等により専門性を有する人材を十分に確保するように、関係省庁や都道府県が連携してしっかり努めよという内容を、立法府のほうからも附帯決議事項として頂いているところです。
 過去を振り返りますと、平成17年、平成18年の石綿の規制の強化に際しても、これは作業主任者の講習でしたが、災害防止団体等と総力を挙げて全国的な体制を構築することによって、年間で10数万人の作業主任者の修了者の育成・確保に努めたというような例もございます。
 先ほど、最川委員からも具体的なお話も頂きました。また、勝野委員からも、さらに一人親方の方々への対応と丁寧な運用面での配慮を求めるという御意見を頂きましたので、今後とも労使の皆様方へよく御相談を差し上げながら、迅速、的確に、この規則の施行に向けて取り組んでいきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 そのほか、御質問、御発言等はございますか。
 
○鈴木委員 事前調査結果の届出制度について、一言申し上げたいと思います。同様の届出制度というものが改正大気汚染防止法にも措置されていると理解しております。そうしますと、同じ調査結果を複数の所に届出をすることになろうかと思います。
 スマホ等で、簡便な方法で届出ができるということをお考えだということは、先ほど事務局から御説明があったところですが、是非、同じ画面で、同じシステムで複数の届出ができるように御配慮いただくとともに、重ねて、分かりやすい仕組み、システムというものの構築をお願いできればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 事務局からお願いします。
 
○中村化学物質対策課長補佐 現状を御説明させていただきますと、今、鈴木委員からも御指摘いただきましたように、環境省と同様の届出制度を作ろうということにしておりますので、御懸念のように、事業者側に二度手間とか負担を掛けないようにということで、実は、今、届出システムを環境省と共同開発しておりまして、届出事項も一致させようということで調整をしております。
 実際に、その届出をするときにもワンストップの届出で済むようにということで、同じ中身にしますので、別々のシステムにそれぞれ届け出ていただく必要はないように、これから準備をしていきたいと思っております。
 
○城内分科会長 そのほか、御意見等はございますか。
 
○中澤委員 1点だけ御質問いたします。資料1-2の9ページで、解体・改修工事に係る事前調査結果等の届出制度の新設ということですが、届出が必要な工事ということで①から③まで掲げられています。
 一方で、床面積を基準にしたものと請負金額を基準にしたものが混在しているわけですが、この辺に落ち着いた経緯みたいなものがあれば、お教えいただきたいと思います。請負金額自体というのは、そのときどきで金額的なものは変わってくるわけですし、一方で、これ以下のものについては届出が要らないということですので、その場合は健康被害とか、そういったような観点を加味した上での御決定だとは思うのですが、経緯みたいなものが分かればお教えいただきたいと思います。
 
○城内分科会長 事務局からお願いします。
 
○中村化学物質対策課長補佐 実は、ここの届出の基準については、検討会の中でも大分議論があった部分です。もともとの発想というのは、いわゆる戸建ての解体工事はほぼ全てカバーできるようにしようという発想がございまして、1つ目の80m2以上の建築物の解体工事というのは、そういう議論から出てきているものです。
 改修工事をどうするかという議論もございまして、実は、改修工事の場合は、例えば壁だけを改修するという場合は床面積では換算できないのではないかという御議論もありました。もう1つ、工作物についても、例えば配管の場合は床面積はどのように計算するのだというような御議論もありました。
 この80m2以上の解体工事と同じ規模ぐらい、これは検討会の中でも専門の団体の方に算出いただいたのですが、大体100万円相当の工事だという情報もありまして、それで請負金額の100万円という基準ができてきたという経緯がございます。
 もう1つ、工作物の工事で課題になったのは、特に水廻りの工事については、石綿が使われている可能性が高いという御指摘もございまして、その工事も小規模なものも含めてカバーできるようにする基準にするべきだという御議論がございまして、最終的にこういう基準として結論が得られたということです。
 
○城内分科会長 それでは、増田委員。
 
○増田委員 1点確認させてください。資料1-2の12ページの作業の記録の所です。40年間の保存が義務付けられる記録の項目が追加となっていますが、具体的に何を残したらいいかを確認させてください。
 
○中村化学物質対策課長補佐 今後、通知などで具体的にお示ししようと考えているのですが、事前調査の結果の概要でイメージしていただくのは、10ページにあるような、いわゆる事前調査結果の簡易な届出と同程度の内容を残していただくことを想定しております。
 
○増田委員 作業の実施状況の記録のほうはどうですか。
 
○中村化学物質対策課長補佐 こちらは、おおもとの記録は写真などでということになっているのですが、それを40年保存するというのは、かなり負担が重いだろうということもありますので、これは例えばきちんとマスクを着用していたかなどについて、簡単な記述を残しておいていただければいいという方向で、今後お示ししていく予定にしております。
 
○増田委員 具体的に記録をする項目を指定したり、書式を定めたりという御予定はおありでしょうか。
 
○中村化学物質対策課長補佐 書式を定める予定は今のところはなくて、具体的な項目、どういうことを記録していただく必要があるかということについては、明確にお示しするようにしたいと思います。
 
○増田委員 分かりました。ありがとうございました。
 
○城内分科会長 ほかに御質問等はございますか。
 
○山口委員 今の増田委員の質問の続きなのですが、この40年間というのは、いかにも長いと思うのです。大企業なら多分できるけれども、こういうことを担当するような事業所が40年間の保存というのはなかなか難しいと思うのですが、これを担保するような仕組みというのは何かあるのでしょうか。これが1点目です。
 2番目のほうは3年ということで、これは逆に随分短いなという気がしたので、3年に決まった根拠、理由があったら教えていただけたらと思います。
 
○中村化学物質対策課長補佐 まず、40年の保存というのは、長期の保存をどうするかという議論はいろいろな所でございますが、現状、この石綿則で40年間の保存の義務付けをしている仕組みの中では、事業者のほうに保存していただくという仕組みになっております。
 仮に会社をたたむとか廃業した場合については、御承知かもしれませんが、安衛法の中で、基準監督署のほうに移管して、行政のほうで保存するという仕組みもございますので、それが現状どのぐらい活用されているかという課題もあるかと思いますが、今の仕組みとしては、そういう形になっております。
 それから、3年の記録とした理由ですが、40年の保存のほうは、労働者の健康への影響に重要な情報ということで、長期の保存ということをお願いしているわけですが、下のほうの写真等による記録、調査結果の記録については、実際にその作業が適切に行われていたかどうかというのを事後に確認できるようにする必要があるのではないかと。例えば労働基準監督署が実際に確認に行ったときに、過去に行った作業が適切だったかどうかということを確認する必要があるのではないかという御議論もあって、例えば今、安衛法の中で定期自主検査の記録なども3年ということになっておりますが、そういった既存の制度も参考にして、3年ということで結論が得られたものです。
 
○山口委員 40年のほうは、石綿に限らず、いろいろな所で私は発言をした記憶があるのですが、もうデジタルの時代ですので、どこかにデジタル化したデータとして保存ができて、それは事業所が潰れようと継続していようと、40年間ちゃんと保存されていて、いざ何か問題が起きたときには、データがあればすぐに疫学調査ができるわけです。どのぐらい肺がんの方が出ているとか。そういう仕組みを是非行政の力で、これに限らず、特定化学物質とかいろいろあると思うのですが、いろいろなもので、本当に重要度の高いものについては、しっかり40年間保存するだけではなくて、いざというときに迅速に活用できるような、そういう仕組みを是非作ってほしいなと思います。2番目の3年間については了解いたしました。ありがとうございました。
 
○城内分科会長 そのほか、御意見などはございますか。
 
○砂原委員 今のに関してですが、ちょうど電子申請のシステムを作られるということですので、その中に最低限の長期保存が必要な報告記録みたいなものも、併せて入れられるようにすることで解決するものであれば、そういう選択肢もあるのではないかと思いました。実際、企業もペーパーレスを推進していることから、こういう面で行政と連携を取りながら、長期保存が必要なデータを保存できるような仕組みができると、いいのかなと思いましたので、意見として申し上げます。以上です。
 
○城内分科会長 そのほか、御発言はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題3「副業・兼業の場合の健康確保措置について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○小宅計画課長 資料3で御説明します。最初に、19ページを開いていただきますと、127回にお示しした資料です。議論をするに当たって副業・兼業をめぐる実態を把握しようということで、このようなことについて把握する、2番目のものについては128回で御報告しましたが、今回、3の1つ目の○について御報告したいと。3の2つ目の○についてはまたまとまった段階でと考えています。
 資料の2ページですが、個別の企業でどのような取組がなされているか、健康確保措置についてどのような取組がなされているか、それから副業・兼業の許可の仕組み等についてどうなっているかということについて、前々回に、資料でお示ししたときの御議論をまとめたものです。その際には、ヒアリング結果を踏まえると、副業・兼業に係る現行の法の枠組みを意識して仕組みを作っているのではないかということ、他の企業との労働者の労働実態や労働時間等の情報を交換するということは難しいということが言える。3つ目ですが、社命での副業・兼業の場合には、労働時間を通算して管理し、その通算した労働時間に応じて健康確保措置を講じている、そういった例が多いということが見て取れる。そういった御議論だったかと思います。
 次のページからが、今回、副業・兼業に関して事業所にお伺いをした結果です。これをやるに当たりまして、4ページ目ですが、事業場に対する調査として参考になるものとして、平成24年の労働者健康状況調査がありましたので、これを参考にして今回の調査を行ったところです。
 どのような調査をしたかというのが6ページ目です。先ほど御紹介した平成24年の調査を参考にして、今年の2月に行いました。対象となる事業所は、できるだけ近いものということで平成30年の労働安全衛生調査(実態調査)の事業所規模と産業の事業所割合と同等となるように14,000事業所を選定して、そのうち4,700余の事業所から回答を頂きました。調査項目は業種、規模、副業・兼業の許可などの状況、定期健康診断、ストレスチェックの実施状況です。その※にありますが、許可については、令和元年12月1日時点での状況、実施状況については過去1年間についての状況をお伺いしたものです。
 7ページ目からが結果です。まず、今回お伺いをさせていただきました事業所の母集団と回答のあった事業所についてです。業種的にもそれなりに分布した形で御回答いただいているかと思います。
 回答内容は8ページ以降です。まず8ページは副業・兼業を許可しているかということです。正社員について認めているという割合が、全体では水色の所ですが4割、認めていないはエンジ色の所で約6割ということです。正社員以外については、6割強の所で認めている、26%の所で認めていないということになっています。
 9ページですが、認めているという場合にどのような形で認めているのかということです。事業所規模が大きくなるにつれて許可制、届出制という形の整った事業所の割合が高くなる傾向にあります。規模が小さくなるにつれて、規定・制度がないけれども慣習として認めているという割合が高くなっているということが見えるかと思います。
 10ページですが、副業・兼業を認めていない理由です。事業所規模が大きくなるにつれて、副業・兼業の禁止規定が明確に定まっているからということ、それから職務専念義務の規定を根拠として禁止しているという事業所の割合が高くなる。一方、事業所が小さくなるにつれて、規定に関わりなく慣習として認めていないという傾向が見られるのではないかということです。
 11ページです。就業形態別の定期健康診断の実施状況です。「正社員」、「契約社員」、「一般社員の労働時間の4分の3以上のパートタイム」、「2分の1以上、4分の3未満のパートタイム労働者」、「2分の1未満の労働者」という順に実施割合は低くなっている状況です。「2分の1以上から4分の3」というところでは5割ぐらい、「2分の1未満」では3分の1ぐらいということになっています。
 12ページが就業形態別のストレスチェックの実施状況です。これは制度的に50人以上の事業所か50人未満の事業所かというところで、そもそもの制度上の義務かどうかが分かれています。50人以上の所と未満の所では、まずそこで実施状況に大きな差があるということ。それぞれを見ますと、どちらも労働時間が短いパートタイム労働者を対象とする所は割合が低い傾向になっています。
 13ページ以降ですが、副業・兼業に関する先行する調査、研究について調べてみるということで、独法の労働者健康安全機構の研究所で行っていただいたものです。
 14ページですが、同一の日又は週で複数の仕事を持つ者の睡眠時間への影響です。結果の2ポツ目ですが、男性については複数の仕事を持つ場合は睡眠時間が短い、特に週末は40分短い。女性について、複数の仕事を持つ者か単一の仕事を持つ者かにかかわらず、10時以降の夜間の仕事が影響がある。一番下のポツですが、複数の仕事を持つ者は単一の仕事を持つ者と比較して、より長時間、より頻繁に夜遅い時間に働くことなどによって睡眠時間が短いということが分かるというものです。
 15ページは、デンマークで複数の仕事への従事の状況と長期病欠の関係を調べたものです。結果の2ポツ目を見ますと、複数の仕事を持つ労働者において長期の病欠勤が生じる可能性が増加するという証拠は見つからなかった。今後の研究について、3ポツ目にあるようなことが課題として指摘されているということです。
 16ページですが、オランダで高年齢の複数の仕事を持つ方についてグループ分けを行って、そのグループ間の健康の違いを調べたというものです。結果の1ポツ目ですが、脆弱グループとされるところは他のグループよりも身体的及び精神的健康が損なわれていた。2ポツ目、1年後の健康の変化については有意な差は見出されなかった。3ポツ目ですが、今後の研究に当たっての考慮点という形で指摘がなされています。
 17ページですが、ブラジルの初等学校の教師について長時間の労働時間と複数の仕事を持つことによる病欠勤への影響について調べたものです。結果の1ポツ目ですが、複数の仕事を行うことによる病欠勤への影響は見られる。2ポツ目ですが、労働時間が長い場合には医学的に認証された影響が見られる。一番下ですが、複数の学校で働きかつ長時間の教師については健康問題があり、病欠勤に至る可能性があるということが書かれています。
 4つ目で、アメリカでの複数の仕事への従事と災害発生の頻度についてです。結果の1ポツ目ですが、複数の仕事を持つ方のほうが単一の仕事を持つ方よりも災害発生頻度は高かった。フルタイムの労働時間に相当する時間に換算した場合でも、複数の仕事を持つ者のほうが単一の仕事を持つ者よりも災害発生頻度が高かった。一番下ですが、複数の仕事をすることによって業務上及び業務外の労働災害発生リスクの増加に結び付くことが示唆され、本分野について更なる研究が必要ということです。
 幾つか外国の調査を御紹介しましたが、なかなか一言でこうだというようなところは難しいのかなということで、こちらも調べた結果ということで御紹介をさせていただきたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○漆原委員 御説明ありがとうございます。この調査をする以前から、この分科会においては、副業・兼業における健康管理の在り方についての検討が開始されておりました。次回、労働者の調査結果がご報告いただけるのではと思いますが、調査結果のご報告以降、今後どういうスケジュール感で審議を進めていくのか。副業・兼業の労働時間の通算については、労働条件分科会でも同様に検討が行われていると伺っておりますが、安全衛生分科会での結論と労働条件分科会での結論を同じタイミングで出すのか。労働条件分科会は単に時間の通算のみの規定ということで、安全衛生分科会で検討している「健康管理」のほうがより複雑な案件であるため、労働条件分科会が先に結論を出したとしても、安全衛生分科会での検討は継続していくのかどうなのかについて、まずお聞きしたいというのが1点です。
 もう1点は、今回の調査についてです。この調査の7ページの左側の「300人以上の所の解析集団」を見ると、両方を足しても1%未満になってしまいます。また1,000人以上は0.2%であって、その母数は9社のみとなります。8ページの「正社員以外についての副業・兼業を認めている事業所の割合」のグラフの1000人以上では11.1%が「認めていない」ということなので、母数9のうちの11.1%、つまりそれは1社ということになります。そのため、10ページの「正社員以外について副業・兼業を認めていない事業所」が1000人以上で100%となっており、これは1社からの回答ということになりますが、そうすると、この1社100%という回答の調査の意義はどうなのかと。夜勤の有無や業種・業態によって、こういった「副業・兼業」を認めるか認めないかという違いも出てくるのではないかとも考えており、可能であれば、調査の分析として業種・業態なども含めたデータがあればと思います。企業規模だけの違いを見ても、その後の施策にどうつなげるかの判断は難しいと感じています。可能であれば、次回もうちょっと詳しい調査結果も併せてお示しいただければと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。事務局、お願いします。
 
○小宅計画課長 御質問の1点目ですが、この検討が始まった段階でも御質問いただきましたが、副業・兼業に関しては、労働時間・賃金の通算の問題と健康管理の問題、それから労災補償の問題と3つあるかと思います。労災補償については、法改正がなされまして、今年の10月ぐらいの新制度発足になろうかと思います。その段階でまとまるというものについては、その段階で何がしか企業、労働者の方にお示しできればなというスケジュール感を申し上げてきたところです。労働条件分科会もそういうことを意識しながらだと思いますので、一緒にできる部分については一緒に出していきたい。ただ、ここでの議論の中で、この点については引き続きもう少し議論しようということがあれば、それは引き続きここでの御議論ということになろうかと思いますが、そのようなスケジュール感で考えていくということで、この場でもお示ししてきたところかと思います。
 2点目については、業種的なものはもう少し詳しくまとめることが可能かもしれませんが、業態ということでは、どのように聞いたかというところとの問題もあって、業態という切り口ではなかなか難しい面もあるのかもしれませんが、いずれにしてももう少し詳しくということですので、そこは工夫をしてみたいと思います。
 
○城内分科会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見、御発言等はありませんか。
 
○佐々木委員 先ほどの漆原委員の発言のスケジュール感に関連をしますが、意見としてお聞きいただければと思います。副業・兼業の問題というのは、その形が雇用か非雇用かを問わず、やはり副業・兼業をしない場合と比較して多くの場合は労働時間が長くなるという認識を持っています。労働者側としては、かねてから労働者が健康をしっかり確保して働き続けられるため、健康確保の観点から、しっかり時間を掛けて十分審議をした上で、一番に、現場が混乱を来すことがないような明確なものを示していく必要があると考えております。そのことについて改めて重ねて申し上げておきたいと思います。以上です。
 
○中村委員(清田氏代理)  本日、代理出席ですが、意見という形で申し上げさせていただきたいと思います。今、佐々木委員からもお話がありましたが、昨今、働き方改革を推進されており、また、時間外労働の上限規制などの法制度がある中で、副業・兼業の導入は長時間労働を助長する懸念があるということに、まず留意をする必要があると思います。一方で、副業・兼業を行う労働者の労務管理について、過度の負担が掛かるようであれば、人手不足が深刻な中小企業においては、導入がちゅうちょされるものと考えています。ですので、副業・兼業のニーズや実態をしっかりと把握して検証し、また好事例の横展開などを図りながら、労働者の健康確保に加えて、労務管理の在り方を十分に検証して制度設計をしていただけたらと思っています。意見として述べさせていただきました、以上です。
 
○鈴木委員 1点目は、文献調査を見せていただいた感想です。一番最後の調査だったと思いますが、副業・兼業をされている方のほうが災害発生頻度も高いというような指摘でした。これは先ほど事務局からも御指摘がありましたが、これをもって何かを決め打ちでこうだという結論を出すことはなかなかな難しいということはおっしゃるとおりです。幅を持って見ないといけないとは思いますが、その際、ただいま御指摘もいただいたように、上限規制が入って、なるべく長時間労働にならないように、過重労働にならないようにという気持ちを新たに、各社取り組んでいるような状況です。その際に、副業・兼業を許可する際の要件がやはり重要になってくるのではないかと思っています。今、副業・兼業を許可されている企業でも、本業の労働時間と副業先の労働時間、時間外で月30時間を超えなければ許可をする、超えてしまうとやはり過重労働等いろいろとあるので、許可をしないという企業があるという実態があります。このように健康確保の観点から、場合によっては労使の中でこれ以上は許可をしないという取組をされている企業もありますので、そういった企業の工夫を引き続き尊重いただけると有り難いと思っています。
 もう1点は、先ほど労働側の漆原委員からスケジュール感について御指摘がありましたが、この副業・兼業に関する見直しの検討は、労災補償の問題と労働時間の通算の問題、それから健康確保の問題の大きく3つあるかと思います。この問題というのは、最終的には副業・兼業の方々が健康を維持し、なおかつ企業側としても労務管理がやりやすいような形を考えていくことが大切です。ある意味、それぞれの分科会で議論をしていくことは大変重要だと思いますが、トータルのパッケージで考えないといけない側面があるのではないかという思いもしていますので、これは意見として申し上げたいと思います。
 
○門﨑委員 文献調査のことについてです。14ページに睡眠時間への影響の調査、18ページに鈴木委員から発言があった災害発生頻度の調査があります。これを見ますと、複数の仕事を持つ者が、仕事が1つの者よりも有意に高い。複数の仕事を持つ者のほうが、睡眠時間が短い、災害発生頻度が高い、要は健康に悪影響が出ていると読めるのですが、この調査をもって睡眠時間が短いことや災害発生頻度が高いこととの関係が明確に位置付けられているわけでは当然ないですが、睡眠時間が短くなることについては、副業・兼業の働き方が雇用だから非雇用だからという違いはないわけです。睡眠に悪影響があるとするのであれば、対策が必要かなと考えていますので、意見として述べさせていただきます。
 
○三柴委員 ちょっと意見を申し上げさせていただきます。この件は、恐らく健康を進めるという政策で考えると、難しい面もあると思っています。単にデータを取って平均を出すというようにすると、要は副業・兼業をしていると健康が悪化するというような結論になってくるかもしれません。実は質的な面も考えなくてはいけない。最終的には、組織と個人の自己決定という考え方も尊重していかないといけない課題だろうと思います。
 例えばJILPTでこのテーマについて詳細な調査をされていますが、海外の例を見ても、正直言うと制度か運用かどちらかに漏れがある、いい加減とまでは言いませんが、そういう例が多い。施策の項目はいろいろありますが、要するに逃げ場を残さないような管理の仕組みが取られている国というのは見当たらない、労働時間を取っても、健康管理を取っても見当たらないということです。例えばドイツでも、賃金税のカードを使って副業・兼業の管理などをしているようですが、やはり逃げ場は残る。休息時間の確保は重視されているけれども、要するに勤務時間以外の部分の確保は重視されているけれども、最終的には使用者間の相互調整や本人による自己申告など、どうしてもそういった逃げ場を残す方法によらざるを得ない。更に言うと、社会心理学的なデータを見ると、自営業者の就業時間は労働者や被用者より長いのだけれども、幸福度は高いというデータも出ていたりするので、一律に平均を取って、長時間労働になるから悪である、まずいというような結論付けを導いてしまうと、議論の幅が狭くなってしまうのではないかということは懸念しています。以上です。
 
○山口委員 文献調査を拝見して感じたことなのですが、最終的に5つの論文のレビューをしてくださった。それはそれですごく価値のあるものなのですが、この5つの論文がどのようなプロセスで選ばれたかということが分からないと、今はそんなことはないのですが、昔は臨床医学の世界でも、自分が好きな薬が効くという結果が出た論文だけを集めたということを結構平気でやられていましたので、多分、これはキーワードで論文を選ぶと何百も出てきて、そこからいろいろなものをあるルールで除外して最終的にこの5つの論文になったと思います。行政要請研究と書いてありますから、その研究のレポートにはそういうことが書かれていると思うので、むしろそっちのほうが分からないと、この5つの論文の値打ちは正直言ってよく分からないということがありますので、よろしくお願いいたします。
 もう1つは、労働者の調査で、副業・兼業を行っている理由がやはり大事だというのは、皆コンセンサスを持っていると思うのです。この文献を見ても、何でやっているのだろうと、許可しているからなどいろいろなことがあると思うのですが、その理由が分かってこないと、この論文を正しくは評価できないと思います。ですから、そういう意味でも、せっかくやってくださったので非常に貴重なものだと思うので、是非、もっと深掘りしていかしていただけたらなと思います。以上です。
 
○中村(恭)委員 今回の調査の内容で少しイメージが湧かないところがあるので、事務局で把握している部分があれば教えていただきたいと思います。「正社員以外」の労働者についても副業の許可や禁止といった規定を設けている企業があるとなっています。そもそも「正社員以外」の所では、どういった考え方、要件で、本業と副業の区別をしているのか、個々の企業によって違うとは思うのですが、例えば労働時間で区別しているのか、それとも最初に雇用されたということで区別しているのか、もし全体的な傾向について事務局で把握されているものがありましたら、教えていただきたいと思います。
 もう1点は意見になります。この健康管理の在り方を検討するに当たっては、本業と副業の区別の仕方や、どういった業務が健康管理の対象とすべき副業なのかといった、議論するにあたって、一定程度の定義というか、ものの整理がないと、なかなか議論が進んでいかないのではないかと思っています。これは意見として申し上げたいと思います。以上です。
 
○中澤委員 6ページからの調査概要の所です。1つ質問したいのは、調査項目の中でうたわれている副業・兼業の許可等の状況の副業・兼業というのは、基本的には雇用と非雇用を区別したような調査にはなっていないという理解をしてよろしいのかというのが質問です。もし仮にここに雇用、非雇用を区別していないとするのであれば、逆に非雇用を除いたところでの雇用の兼業・副業を許可しているかしていないかというような深掘りした調査が必要なのではないかと思っています。以上です。
 
○城内分科会長 事務局から。
 
○小宅計画課長 幾つか御意見と御質問があったかと思います。鈴木委員からだったと思いますが、例えば足して30時間までは許可するけれども、それ以外はというような企業もあるだろうけれども、そういうところを一律に何か決めてしまうということではなく、そこは労使で話し合って、自治という言い方をされたかと思いますが、というようなのが大事ではないかというお話があったかと思います。これは労働分野において、強行規定は別ですが、どのようにしたらうまくいくのかというのは、現場をよく御存じの労使で話し合っていただくというのが基本だと思います。そういった御意見があったということを十分心に留めて検討していきたいと思っています。
 それから、三柴委員が言われたところもそれにつながるのかと思いますが、ある程度柔軟なところがという趣旨でおっしゃったかと思いますが、鈴木委員と同じようなことかと思いますので留意していきたいと思います。
 それから、この調査においての正社員以外ということについて、どのような聞き方をしたかということですが、正社員についてはフルタイム勤務で期間を定めずに雇われている方というように質問票上は定義をしています。正社員以外の方というのは、それ以外の契約社員やパートタイムの方ということでお聞きをしています。
 それから労働時間だけでは災害にダイレクトにつながるのかというのが、調査でもなかなか分からない。一方で、やはりそういった傾向もあるという御意見もありました。そういった点も留意すべきだという御意見でしたので、先ほど漆原委員からもデータについてもう少し掘り下げていく必要がということもありましたので、その辺も分かるように工夫のできるところは工夫をしてお出しできればと思っています。 
 
○和田産業保健支援室長 先ほど、この事業所調査のほうで非雇用まで深掘りして聞いているのかという御質問がありましたが、この事業所調査では、事業所にそういった副業・兼業を認める制度があるかどうか、認めているかどうかを聞いているだけですので、非雇用まで深掘りして聞いていません。
 
○中澤委員 雇用の形での副業・兼業を許すかということで聞いているわけですか。
 
○和田産業保健支援室長 例えば事業所調査票では、社員に副業・兼業を認めていますかという聞き方だけですので、その社員の副業先が雇用なのか非雇用なのか、そこまで区別して聞いてはいない状況です。
 
○中澤委員 そうすると、ほかで働いてもいいですとするとしたら、そこのニュアンスとしては他の会社でパートで働くということだけではなくて、いわゆるフリーランスと言うか個人事業者として、御自宅で働くということも含めたニュアンスでの回答が入り込む余地があるという理解でよろしいですか。
 
○和田産業保健支援室長 そういったものも含んでいる可能性はあります。非雇用も含めて調査すべきという御意見は第127回の分科会で頂いていますので、こういったことについては、今、労働者調査について実施をしています。そちらでこういった御意見は反映させていただきたいと考えています。
 
○城内分科会長 そのほかにありますか。
 
○佐藤委員 16ページ、オランダの文献調査結果に関連して申し上げたいと思います。①~④のグループ分けがなされています。①の「仕事は1つのほうがよいと考えているが実際には複数の仕事をしている」グループは、他のグループよりも身体的及び精神的健康が損なわれていたということでした。結果の一番下にも書いてありますとおり、「複数の仕事を持つ人たちが同質ではないことを考慮する必要がある」ということで、副業・兼業をされる方は、複数の仕事を持つことに満足されている方から、止むを得ず副業・兼業をしなければならない、複数の仕事を掛け持ちせざるを得ない人もいるということなのだろうと思っています。今申し上げた、特に後者の「副業・兼業をせざるを得ない方々」については、やはり就業形態にかかわらず過重労働を防止する観点、また、更には過重労働による悲劇をこれ以上繰り返さない観点から、何らかの措置が必要ではないかと、労働側としては考えていますので、意見として申し上げたいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかにいかがですか。よろしいでしょうか。私のほうからのお願いですが、今、委員の皆様の御意見の中では、やはり副業・兼業については、個人の都合がかなり反映するだろうということで、そこが浮かび上がってこないと、特に健康管理についてはこの先どのように進めていけばいいかが明らかにならないだろうという印象を持ちました。労働者個人の調査については、これからということなので、そういうことも浮かび上がらせるような質問項目を入れていただければと思います。御検討なさっていると思いますが、よろしくお願いいたします。この議題はこれでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 これで全ての議題を終了しました。本日も長時間にわたり熱心に御議論いただきありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
 
○小宅計画課長 次回の日程ですが、改めて調整の上、御連絡させていただきたいと思います。
 
○城内分科会長 それでは本日の分科会はこれで終了します。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は勝野委員、使用者代表委員は中澤委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。