2020年5月7日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年5月7日(木)18:00~
 

出席者

出席委員(20名)五十音順

欠席委員(1名)

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱・執行役員(新薬審査等部門担当)事務取扱) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。今回の医薬品部会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の防止の観点と緊急開催の必要性から、審議の方法をWeb会議にて行うこととしております。また、緊急性の観点から、本日のWeb会議において議決を頂く形式を取らせていただきます。本日のWeb会議では議題1、ベクルリー点滴静注液100mg及び同点滴静注用100mgについて取り上げます。

○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員は、まず自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を指名させていただきます。御発言を頂く際には、マイクがミュートになっていないかを御確認の上御発言ください。また、発言後はマイクをミュートに戻していただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはメッセージに記入していただくよう、事務局又は部会長からお願いする場合があります。その場合には記入されたメッセージに応じて、部会長より発言者を指名させていただきます。

○清田部会長 これまでのことに御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、引き続き御説明をお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 それでは、本日のWeb会議における委員の出席についてです。山本委員より御欠席、川上委員、大曲委員より遅れて御参加との御連絡を頂いております。本日は現在のところ、当部会委員21名のうち、18名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、本日の審議事項の議題1に関しては、自衛隊中央病院総合診療科・感染症内科の田村格先生を参考人としてお呼びしております。

 審議を開始する前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜れますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。それでは清田部会長より、今日の進行をお願いいたします。

○清田部会長 では、本日の審議に入ります。まず事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いただきます。

○事務局 それでは、本日のWeb会議にかかる資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りした資料のうち、資料1、ベクルリー点滴静注液100mg及び同点滴静注用100mg、及び資料5の特例承認制度の御説明をさせていただけたらと思いますので、お手元に御用意いただければと思います。このほか、資料2として審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を、資料3として競合品目・競合企業リスト、資料4として諮問書を事前に電子メールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。

 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。本日、審議させていただくベクルリー点滴静注液100mg及び同点滴静注用100mgは、SARS-CoV-2による感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないとして、競合品目なしとさせていただいております。以上です。

○清田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。よろしいでしょうか。では、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。

○事務局 薬事分科会審議参加規程第5条及び第11条に基づく各委員からの申出状況については、次のとおりです。本日御議論いただく議題1、ベクルリー点滴静注液他1規格ですが、退室委員として大曲委員、議決に参加しない委員はいらっしゃらないという状況です。なお、薬事分科会審議参加規程第5条において、「申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」とされており、今回、大曲委員が退室委員となっております。ただし、同条のただし書において、「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」とあります。

○清田部会長 今回、現時点で提出されている臨床データには限りがありますので、レムデシビルの投与経験のある大曲委員の意見は、参考になるのではないかと思われます。当部会としては大曲委員に御出席いただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので御了解いただいたものとし、大曲先生には御出席、御意見を頂くことにいたします。なお本日、20時以降退席される先生が多くいらっしゃると伺っております。効率的な審議運営に御協力いただければと思います。

 それでは審議事項の議題に移ります。まず議題1について事務局から、特例承認の制度についての御説明をお願いいたします。

○事務局 お手元に資料5の「特例承認とは」という資料を御準備いただけますか。今回御審議いただく特例承認制度ですが、いつも議論いただいている通常の承認とは制度が異なりますので、まずは特例承認について、事務局より御説明をさせていただければと思います。

 薬機法第14条に、医薬品などの承認に関する法律の規定があります。その第14条の3に特例承認という規定があります。適応の条件のうち一つ目の条件は、生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延等の拡大防止をするために、緊急に使用が必要な医薬品。2つ目として、当該医薬品以外に適当な方法がない、3つ目として、海外で販売等が認められている医薬品という3つの条件となっております。今般、5月1日にアメリカでEUAという緊急の使用許可がされたことに伴い、特例承認の適応について御審議を頂きます。

 特例承認が通常の承認と異なる内容としては、真ん中のカラムにありますとおり、普段は必要とされている製造販売業の許可とか、製造業の許可又はGMP、GCP、信頼性の調査の規定にかかわらず承認が可能となっているほか、3つ目のポツのとおり、一部の承認申請資料、いつも見ていただいている品質の資料や非臨床試験の成績等の提出が猶予されることになっております。そのため今回、主に出てきている資料としては、アメリカで緊急使用許可がされた際に提出されてきた資料等の臨床試験成績の提出をもって今回、薬事・食品衛生審議会の意見を聴取させていただくところです。なお、政令での指定も必要になります。こちらは5月2日付けでアメリカという国の指定と、新型コロナウイルス感染症の治療薬というところで、政令で指定させていただいているところです。

○清田部会長 委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。

○長島委員 長島です。アメリカのFDAは今回、緊急使用許可で通常の承認とは違いますが、その場合でも特例承認条件を満たしているということでしょうか。

○医薬品審査管理課長 そういう理解で結構です。海外において、販売・授与等がなされているという状況になっていると考えておりますので、この適応条件を満たしているという判断です。

○長島委員 分かりました。

○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。

○南委員 南です。今の点と関係するのですが、この制度のコンセプトは、海外で通常承認されている薬剤を念頭に置いているのではないでしょうか。もし、それが前提だとすると、今回の審議・承認の法的根拠が大丈夫かどうかという点をもう一度確認したいのです。FDAは「アプルーブ」という言葉ではなくて、「オーソライズ」という言葉を使っていたと思うのです。それでもこの特例承認という制度を適用して法的に問題がないということだけ、もう一度確認させてください。

○医薬品審査管理課長 今回、政令の改正は既に行われております。その際にもこの条件が適用できるかについて、御指摘の点は確認しております。海外で販売・授与されているという状況の際に、1つは海外でも一定の評価がなされていて、その上で販売・授与等がなされているということであれば、この条件を満たしているというように考えられます。アメリカのいわゆるEUAにおいても、フルの承認ではないかもしれませんが、一定の評価がなされた上での許可になっていると考えられますので、今回の適用については問題ないと考えているところです。

○南委員 分かりました。

○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。それでは機構より、品目の概要について御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 資料1、ベクルリー点滴静注液100mg及び同点滴静注用100mgについて、機構より御説明いたします。3/19ページ、「特例承認に係る報告」を御覧ください。本申請ではこちらの特記事項に記載のとおり、臨床試験等の試験成績に関する限られた資料のみが提出されており、通常の申請のように詳細な評価資料等、記載の根拠となる資料は提出されておらず、本報告書は審査の結果を取りまとめた審査報告書とは異なるものであるという点を御留意いただければと思います。

 IIの中ほどですが、本申請に際して提出された資料は、米国FDAに対するEmergency Use Authorization(EUA)に係る申請時の提出資料、EUAを受けた際に作成されたFACT SHEET FOR HEALTH CARE PROVIDERS、こちらは米国の添付文書に相当するものです。それから、人道的見地から行われた本剤の投与に関する中間報告書、治験薬概要書、添付文書案です。

 6/19ページを御覧ください。枠囲みの下にありますように、本薬レムデシビルは、生体内で加水分解等の代謝を経て生成するアデノシン三リン酸類似体が、RNAウイルスの複製に必要なRNAポリメラーゼを阻害することで抗ウイルス活性を示すもので、in vitro試験においては、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性が示されており、国内外において新型コロナウイルス感染症に対する複数の臨床試験が実施中です。

 その下の2.主な臨床試験等の試験成績として、臨床試験2試験の速報値と、人道的見地から行われた本剤の投与経験に関する情報が提出されております。速報値であること、また、企業が主導した試験でないものもあることから、提出されるデータが限定されていることをご了承ください。

 概要を御説明いたします。2.1の国際共同第III相試験は、National Institute of Allergy and Infectious Diseases(NIAID)が主体となって行っている試験です。18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されており、日本の施設も参加しております。本試験の主な選択・除外基準は、次のページの表1にお示ししております。用法・用量は初日に200mg、2~10日目に100mg、1日1回を静脈内投与し、退院した場合には投与を中止することとされております。有効性についてですが、主要評価項目は無作為化後28日目までにおける回復までの時間とされ、606例の回復例が得られた時点で実施された、主要評価項目等に関する予備的解析の結果は表2のとおり、回復までの時間は本剤群11日、プラセボ群15日、死亡割合は本剤群8.0%、プラセボ群11.6%でした。なお、提出された資料には安全性に関する情報は記載されていません。

 次に、2.2の国際共同第III相試験です。こちらは申請者が主体となって実施している試験で、12歳以上18歳未満、かつ体重が40kg以上及び18歳以上のSARS-CoV-2による重症感染症患者を対象に、無作為化非盲検並行群間比較パート(パートA)及び非盲検パート(パートB)からなる臨床試験が実施中であり、現在パートAの速報値のみが得られております。また、パートAには日本人は含まれていないと申請者は説明しています。

 主な選択・除外基準は、次のページの表3にお示ししたとおりです。用法・用量は、5日間投与群では投与初日に200mg、2~5日目に100mgを1日1回、10日間投与群では投与初日に200mg、2~10日目に100mgを1日1回静注投与することとされ、退院した場合は投与を中止することとされました。有効性についてですが、主要評価項目は表4にお示しした7点順序尺度で評価した無作為化後14日目の臨床状態とされ、臨床状態の改善について、5日間投与群に対する10日間投与群のオッズ比は0.76でした。有害事象は5日間投与群で71%、10日間投与群で74%に認められています。

 次のページを御覧ください。2.3、人道的見地から行われた本剤の投与経験について御説明いたします。少なくとも本剤が1回以上投与されたSARS-CoV-2による感染症患者163例のデータが取りまとめられています。用法・用量は投与初日に200mg、2~10日目に100mgを1日1回静脈内投与することとされました。主な選択・除外基準は表5のとおりでした。

 次のページ、有効性については表6に、本剤投与前後における酸素療法の状態をお示ししています。47.2%の患者において、酸素療法の状態の1段階以上の改善が認められており、死亡は20%に認められております。本邦において本剤が投与されたのは9例、○○○○例、○○○○例、○○○例で、改善が6例認められております。有害事象は50%、重篤な有害事象は23.3%に認められており、主な事象名は次のページの表7、表8にお示ししております。

 13/19ページを御覧ください。3.2、有効性の項です。先ほど御説明したプラセボを対象とした国際共同第III相試験、ACTT試験の速報値において、回復までの時間が本剤群で11日、プラセボ群で15日、死亡割合は本剤群で8%、プラセボ群で11.6%であったことを踏まえれば、本剤の有効性が示唆されていると考えます。一方で、中国で行われたプラセボ対照試験では、症例数等の評価に限界があることを考慮しなければなりませんが、プラセボとの差が示されなかったとの報告もあります。したがって、本剤の有効性について現時点で明確に結論付けることは困難であり、今後得られる情報も踏まえて改めて評価すること、新たな情報については、適切に医療現場に提供することが必要と考えます。

 14/19ページを御覧ください。3.3、安全性の概要について御説明いたします。3.3.1にお示ししているように、健康成人やSARS-CoV-2による感染症患者に本剤を投与した場合に、肝機能検査値異常が認められていることから、本剤による肝機能障害については注意喚起が必要と考えます。また、15/19ページの3.3.2にお示ししているように、非臨床試験やSARS-CoV-2による感染症患者に本剤を投与した場合に、腎機能障害に関する所見や有害事象が認められていることから、本剤による腎障害についても注意喚起が必要と考えます。なお、これらの事象だけでなく、米国EUAの際に作成されたファクトシートに記載されている使用上の留意点が守られるとともに、製造販売後に新たに得られた情報についても考慮した上で、本剤が使用される必要があると考えます。

 少し戻って12/19ページを御覧ください。3に資料のまとめをお示ししております。提出された資料から現時点において得られている情報は限定的であり、本剤の品質、有効性及び安全性について明確に結論付けることは困難であり、現在、臨床試験が実施中であることから、当該臨床試験成績を含め、本申請において提出が猶予された資料が提出され次第、改めて本剤の品質、有効性及び安全性について検討する必要があると考えます。

 しかしながら、本邦においてSARS-CoV-2による感染症に関する状況が緊迫しており、以下に箇条書きでお示ししている点、非臨床試験においてSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性が示されていること、患者を対象としたプラセボ対照試験において治療効果が示唆されていること、健康成人及びエボラウイルスによる感染症患者を含めた投与経験により、一定の忍容性が示唆されていること、米国FDAにおいてEUAが得られていること、これらを踏まえますと、米国EUAの際に作成された、米国の添付文書に相当する文書であるファクトシートに記載されている使用上の留意点が守られること等を前提として、本剤を本邦において特例承認により使用可能な状況にすることは、一定の意義があると考えております。

 なお、本剤の臨床における投与経験は非常に限られていること、今後、本剤の有効性及び安全性に係る知見が増えることが想定されることから、本剤の投与を検討する場合には、その時点で得られている最新の情報も踏まえ、本剤投与によるベネフィットリスクバランスを慎重に判断していただく必要があると考えております。申請者はこれらの情報について、医療従事者が容易に把握可能となるよう、必要な措置を講ずる必要があると考えます。

 16/19ページを御覧ください。3.4の製造販売後の対応についてを御覧ください。本剤に関する情報は非常に限られており、特に日本人における有効性及び安全性に関する情報は限られていることから、製造販売後においては、箇条書きでお示ししているような対応を取る必要があると考えております。

 次の17/19ページを御覧ください。3.5の効能・効果、用法・用量については、米国FDAのEUAの際に作成されたファクトシートの内容に準じ、3.5の中段の記載のように設定することが妥当ではないかと考えております。なお、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会へは報告を予定しております。御説明は以上です。

○清田部会長 それでは、引き続き事務局からお願いします。

○事務局 事務局より追加で御紹介させていただきます。本議題では、自衛隊中央病院の田村参考人に御参加いただいております。

○清田部会長 それでは、参考人の先生から先に、本議題について御発言をお願いすることといたします。田村先生からお願いいたします。

○田村参考人 私のほうからは参考人として、COVID-19はどういう病気かというところを簡単にかい摘んで説明させていただきます。

 皆様御承知おきかと思いますが、COVID-19はSARS、コロナウイルス、そしてCoV-2というウイルスが起こす病気です。症状には幾つか特徴があります。特徴の1つ目は、無症状、軽症、重症、あるいは命を落とされる方まで非常に幅広い症状を取るというのが特徴です。また、一般的には高齢の方、あるいは基礎疾患をお持ちの方が悪くなりやすいと言われていますが、当院では、これまで250症例ぐらい診ていますけれども、中には40代、50代という壮年の方、比較的若い方で特にリスク、基礎疾患等がない方でも、重篤な症状を来す方がいます。誰が重症化するのか分からないというところが特徴かと思います。今までのところ、その方向付けは、全体の80%ぐらいの人が軽症で終わって、20%の人がやや重症です。また、全体の6%ぐらいの人が非常に重篤な症状に至ると報告がされております。

 また、他の特徴としては、これもよく言われていますけれども、初めはいわゆる普通の風邪のような症状から始まり、1週間から10日ほどして、そのまま風邪の症状で治ってしまうような軽症で終わるような人と、そこから重症化してくるというような人に分かれていくという特徴があります。

 また、他方で症状が出にくいという特徴があります。肺炎が悪くなってきても、なかなか自覚症状として気付きにくいというところも、この疾患の特徴の1つかと思います。全体としては、とにかく悪くなるのもゆっくりで、ピークを乗り越えて良くなってきたとしても、良くなるのもゆっくりです。特に重症まで行った方は、治療に非常に時間がかかるというようなところが特徴かと思います。

 COVID-19に対する医療体制の現状というところになりますが、皆さん御承知かと思いますけれども、自粛等の効果もあって、ここ数日、東京においてはちょっとピークは越えたのかというような印象があります。特に世田谷区ですけれども、世田谷区の発生症例もちょっと落ち着きつつあるのかなという印象を持っています。

 あとは、また次の流行が来るかもしれませんので、次の備えをどうするかというようなところが今後のポイントになってくるのかと思います。どうしても時間がかかると言いましたけれども、当院でも重症化した患者さんは当初からずっと長く入院加療が必要になっています。やはり、中等症・重症受入れのベッドが圧迫されているというような状態です。今正に話し合われているところですけれども、特に重症の患者さんですが、いろいろな薬の名前が出て、効くのか、ちょっと表現があれですけれども、現状のところははっきり効くというエビデンスがあるような治療法が、ウイルスを駆逐するような治療法がない中で、各病院では試行錯誤しながら治療しているというようなところが現状かと思います。私のほうからは以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。次に、大曲先生から御発言いただきます。

○大曲委員 委員として関わっているわけですけれども、今回はこのお薬、一連の患者と関わった立場での発言となりますことを御了承ください。病気そのものの過程に関しては、田村先生がおっしゃったとおりです。私自身の立場としては、コンパッショネートユースに関わったというところと、NIHとの国際共同の、日本において医師主導治験というものに関わっています。現在も進行中です。

 データセットとしてはお示しされたとおりです。やはり、と言っても、新しいお薬でまだ評価がきちんと定まっていないというのが現実かなと思って私は見ています。少なくとも、コンパッショネートユースで使っていた際には、かなり重症の方を代表として治療して行ったわけで、その事実としての結果が今回報告されているわけです。

 ここまで言っていいのか分からないのですけれども、使うとすれば、まずはこうした重症の事例に慎重に使っていくというのが筋ではないかと思います。コンパッショネートユースの際も、効能がはっきりしない中で倫理性というものを非常によく考えましたけれども、結果として選ばれたのが今回投与された事例ということでありました。そういう立場でやっていくということと、やはり得られたデータに関しては、当然のことでありますが、慎重に判断する。これから分かることもありますので、慎重に判断することが私としては大事だと思っております。すみません、的を外れた発言でしたら申し訳ありません。

○清田部会長 大曲委員から御発言のありました投与対象患者の考え方は事務局としてどう考えておりますでしょうか。

○事務局 ただいま大曲先生から、コンパッショネートユースのときに用いられた関係で、そういった重症の患者さんから使っていくべきではないかとの御指摘がありました。こういった内容については、薬事の承認をする際に、留意事項通知というものを発出させていただいています。今回も通知でコンパッショネートユースで使われておりました基準等をお示しをさせていただければと考えております。

○清田部会長 委員の皆さんからの御質問を承ります。長島先生どうぞ。

○長島委員 今お話がありましたけれども、これをどのような患者に投与するかというのが分からないと、現場が極めて混乱すると思います。そこで、添付文書には具体的なことは書いてなくて、現時点では原則として重症者を対象ということで、その前に1つの例として酸素飽和度94%と書いてあります。この辺をもう少し厳密に、添付文書に書くのが無理であれば、学会等と相談してしっかりとしたガイドラインなり指針というのを作るべきではないでしょうか。

 もう1つは薬事の承認とは別に、供給量が限定されるために、国が管理して流通させるという話もあります。そこでも縛りが加わると思いますが、この薬事の縛りと、そちらの供給の場合の縛りというのをきちんと整合性を取らないといけないと思いますが、そこはどうお考えでしょうか。

○清田部会長 事務局、どうでしょうか。

○医薬品審査管理課長 まず、薬事のほうの縛りについては、現在は先生が御指摘のように添付文書の5.2、効能・効果に関連する注意という所で、特にアメリカのファクトシートを参考にしておりますけれども、ここにあるような酸素飽和度、あるいはECMO、あるいは人工呼吸器といったような重症患者ということで、重症例の範囲を示させていただいていると認識しております。

 一方で供給のほうですが、これはまた別の部局で対応するという形になっています。詳細は今回の薬事の内容を踏まえつつ対応するという形になると思います。薬事の内容を見つつ、健康局のサイドで調整がされているという状況ということで御理解いただければと思います。

○長島委員 有用性と安全性が分からない状態で使うので、そこはある程度しっかり標準的な利用法を提示してやらないと、後から情報を集める場合は大変困ると思うので、ここは是非しっかりやっていただきたいと思います。

○医薬品審査管理課長 はい。

○長島委員 それから、市販後の情報収集は極めて重要なので、情報収集と、その情報を医療関係者なり国民に提供するというのは、企業だけではなくて国も一体となってやらないといけないと思います。そこの情報収集に関して国はどのような形で関わることになっていますか。

○清田部会長 お答えになりますか。

○医薬品審査管理課長 基本的には、今回の承認条件の中で、しっかりと企業のほうからその情報を報告するようにという形にはなっております。まずは、それをしっかりと現場のほうにもフィードバックしたいと思っております。

 一方で先ほど来ありますけれども、当初は健康局サイドでも、供給に当たり関与するという形になりますので、そちらのほうを通じても情報があれば、それは合わせて管理、あるいは提供するということもまた検討させていただければと思います。更に学会のほうとも連携しながら対応するのだろうと思っております。その辺りは感染症学会等々と連携しながら対応していければと思っております。

○長島委員 これは普通の薬と違って、安全性が極めて重要なので、情報収集が企業を一回通してその後になると、遅くなったりバイアスがかかる心配があるので、これは国がほとんど同時に情報共有できるような仕組みを考えるべきだと思います。

 それから、全例登録が必須だと思いますが、これは可能な限りではなくて、必ず全例登録するためには、例えば添付文書のところで、この薬剤を投与する場合は必ず登録することというような厳重な縛りを掛けるべきではないかと思います。いかがでしょうか。

○医薬品審査管理課長 ここは、気持ちは可能な限りという形になると思います。あとは、先ほど来申し上げていますように、当初は国のほうで供給等々を管理いたしますので、そういった意味では供給の過程で国のほうで、投与対象についての管理も一応きいている形になりますので、そういうものと合わせて対応をさせていただければと思います。

○長島委員 これは、極めて異常な状態なので、通常の薬と同じ管理体制では駄目だと思います。したがって、しっかりと国が管理できるシステム、それから、いろいろな情報が集まったら、すぐに検討するような作業班なり、検討会などをあらかじめ設置して、タイムリーにいろいろな修正をしたり、情報提供ができるような組織を作るべきだと思います。そういう組織を作る予定はありますか。

○医薬品審査管理課長 現時点で、私ども薬事担当部局だけではなかなかそこまでお答えをするのは難しいです。厚生労働省全体としては、医療を提供するこの対策本部の中に、そのような班もありますので、その辺りとよく連携し、どういうことができるのかを考えさせていただければと思います。

○長島委員 それと、投与をやめるタイミングですけれども、二重盲検試験等では退院となっていますが、日本の場合は症状が良くなってもすぐに退院にはならないで、陰性に2回ならないとということで、退院というのがやめるタイミングにはなりません。日本の場合、このやめるタイミングをどうしますか。

○医薬品医療機器総合機構 米国FDAのEUAにおいて、総投与期間は10日まで、今回提出されている臨床試験等においても、退院又は総投与期間は10日までとなっておりますので、10日を超えた投与は想定しておりません。

○長島委員 例えば、5日間でも10日間と同等の有効性という企業側のものがあるのですが、5日でやめるとすると、なぜ5日でやめるのかというのは、基準がないとやめようがないのですが、その辺りはどう考えていますか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書案の7.2を御覧ください。そちらに、米国FDAのファクトシートの記載と同じものを記載しております。目安として侵襲的人工呼吸器管理又はECMOが導入されている患者では、総投与期間は10日間までとし、侵襲的人工呼吸器管理又はECMOが導入されていない患者では5日まで、症状の改善が認められない場合には10日まで投与するというような記載をさせていただいております。基本的にはこちらのこの内容に従って、先生の御判断で投与期間が決められるものというふうに認識をしております。

○長島委員 先ほどから言っているのですけれども、余り現場の判断に任せすぎるとばらばらになってしまって、有効性と安全性の確認ができない。きちんと標準的な利用法というようなものをガイドライン等しっかりと作って、それを守っていただくというのが安全性を保つためには非常に重要だと思うのです。そこで考えていただきたいと思います。

○清田部会長 長島先生の件については、後で示されると思いますので御了解いただきたいと思います。

○医薬品審査管理課長 ただいまの件ですけれども、現在、先生も御案内のとおり、新型コロナの治療の指針というのは、学会の手引きとして感染症学会が作っているものがあります。まだ承認されたものはありませんので、いろいろな情報から、標準的な使い方等々想定されるものを盛り込んだ指針、手引きという形になっていると思います。今般、レムデシビルについて承認された暁には、その辺のところは学会の手引きの中においても、使用に当たっての指針的なものも合わせて共に整理していけるように連携しながら対応させていただければと思っております。その辺りも御理解いただければと思います。

○長島委員 最後の質問です。7/19の表2に死亡割合が、有意差はないけれどもやや低い傾向にあったというところをどう評価しているのか。これは、今後1,063例全部解析されると変わる可能性があるのか、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回提出されている資料は、あくまで速報値ですので、最終的には変わる可能性はあると考えております。

○長島委員 これを国民に対してどう伝えるかというところで、今の時点だと、改善の期間が少し短くなるというので有意差が出たということしか言えないのですが、マスコミ上では極めて特効薬的な扱いをされてしまう可能性があるので、この辺の国民に対する説明はどうしますか。

○清田部会長 長島先生、具体的に分からないところはたくさんあります。まず承認しないと使えないわけです。使っていただいて、再評価は当然受けると思います。その時点で、例えばこのお薬は有効性がないからやめにしようということは大いにあると思います。ただし、この承認をしないと話が始まらないという状況です。マスコミにはバラ色のようなアナウンスはできないのではないかと思います。

○長島委員 それは分かります。これで本当に最後にしますけれども、特例承認の場合は9か月までに様々猶予された資料を提出するということになっています。これは9か月を待たずに、適宜できるだけ早めにここのところを提出していただいて審査をして、それに応じてどんどん内容を変えていくということでよろしいでしょうか。

○清田部会長 そのとおりだと思います。リアルタイムの報告はしていただくというふうに私も伺っております。そこは御理解いただければと思います。

○長島委員 はい、以上です。

○清田部会長 あと6名御質問のある方がいらっしゃいます。中野先生、南先生、亀田先生、山口先生、浦野先生、宗林先生の順です。中野先生お願いいたします。

○中野委員 御説明いただいた資料1の星印の付いた資料の15/19ページの3.3.3の小児への投与についての記載で教えていただきたいことがあります。本薬剤が使用される対象から考えれば、小児への使用というのは当然慎重であるべきことは私も全く同意します。「非臨床試験において小児に特有の懸念されるような所見は認められていない」という一文で示していただいている内容です。もう少し何か情報提供を、もし情報共有いただけるものがあれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現時点で、非臨床安全性の毒性試験を評価した結果、お子さんに対して非常に注意をしなければいけないような毒性所見は認められておりません。現時点で非臨床安全性の面から、例えば幼若の毒性試験を実施しなければいけないというような状況にはありませんので、このような記載ぶりにさせていただいております。

○中野委員 かしこまりました。

○清田部会長 次に、南委員から御質問を頂きます。

○南委員 私は、幾つかお伺いしたいことがあります。まず、今回の特例承認で免除をされているGLPの調査などは、アメリカでのEUAでのオーソライゼーションの過程で、、FDAは実施しているのでしょうか、していないのでしょうか。

○医薬品審査管理課長 FDAにおいても、GLP的な調査等は行われていないと認識しております。

○南委員 分かりました。それではやはり慎重であるべきだと思うのです。添加剤ですけれども、これは腎機能障害を起こすことがあるというような記載があったかと思うのです。この添加剤の承認の用量についてです。今回の100mgという承認の用量は、日本の基準内に収まっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤に含まれるSBECDの1日最大投与量は12,000mgであり、本邦において、抗真菌薬として承認されているノクサフィル点滴静注300mgの1日最大使用量である13,360mgの範囲内となっております。

 また、毒性試験の成績から、ヒトで投与可能な量が欧州EMAより示されており、本剤の使用量はその投与可能な範囲内です。なお、ヒトの使用量を規定した評価中では、人種差等の影響は示されておらず、本添加剤の腎毒性は尿細管への単純な蓄積に伴うものと考えられ、人種差の影響は低いと考えられます。

○南委員 分かりました。日本の基準の中であれば問題ないと思います。それから、先ほど来の御説明で、ファクトシートの注意事項を日本でも設定すれば大丈夫だろうという説明がありました。そのファクトシートの書きぶりと、添付文書案の書きぶりとが随分違う印象を受ける箇所が幾つかあります。例えば、腎障害の投与に関して、ファクトシートのほうでは、eGFRが30未満はノット・リコメンデッド、推奨しないという書き方になっていますが、日本の添付文書案では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合は使ってもよいという書き方になっています。ファクトシートの書きぶりと、日本の添付文書案での書きぶりが随分違う印象を受けるのですが、それを少し懸念します。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的には、ファクトシートと添付文書は同じような表現にしているところなのですけれども。

○南委員 ただ、私が先ほど指摘した所は、米国ではノット・リコメンデッドなのです。日本では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断されたら投与することになります。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、ファクトシートの何項かを教えていただけますか。

○南委員 私は先ほど「30」で検索して、そういう表現になっているのに気づきました。

○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。ファクトシートの11.5Renal Impairmentの所かと思います。

○南委員 はい。

○医薬品医療機器総合機構 ファクトシートの11.5のことを御指摘かと思います。ファクトシートにも有益性投与の記載がされておりますので、同じ記載になっていると認識しております。

○南委員 はい、同じ記載であれば結構です。私の見たところでは、ノット・リコメンデッドと書いてあったものですから、なので確認しました。なるべくそろえるようにしておいていただければと思います。それから、「同意文書で同意を得ること」という記載がどこかにあったかと思うのです。この同意文書は現場任せになってしまうのでしょうか。それとも機構がチェックをするのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の申請者であるギリアド・サイエンシズ社が、同意文書に使えるようなものを準備しているというように聞いております。

○南委員 それを、機構がチェックするのでしょうか。

○清田部会長 しないのだそうです。

○南委員 やはり、先ほど来の議論を聞いていると、チェックしたほうがいいのではないでしょうか。例えば、ACTT1の医師主導の臨床試験の安全性データは得られていないわけですよね。その安全性データはまだ得られていないことが患者さんに伝わるような形の同意文書にしておかないといけないと思いますので、それは是非機構がチェックしたほうがいいかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 患者さんの同意を頂くときに使えるような、患者さん向けの資材については、きちんと必要な情報が含まれているかというのを、機構でも確認いたしますので、そちらを使っていただいて、御説明していただければと考えております。

○南委員 すべての医療機関でその資材を使えばいいのですが、製薬企業が作った資材はあるのだけれども、同意文書だけで説明するような場合も現場でおこり得ると思いますので、これを是非同意文書に盛り込んだほうがいいと思います。機構がチェックするのであれば、しっかりと企業に申し伝えて、盛り込むようにしていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○南委員 最後に、長島先生が指摘した点でもあるのですが、「可能な限り全例調査」という表現は、やはり今回に限ってはよろしくないのではないかと思います。「全例調査」とはっきり言い切っていいのではないかと思いますが、御検討よろしくお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 できるだけ努力をしていただくということで、企業のほうは指導させていただければと思っております。承認条件になってまいりますので、なかなか当初の時点で国の関与等での供給ということもありますので、表現上は「可能な限り」という形にはなりますけれども、企業のほうには全例調査をすべきということで、また指導はさせていただければと思います。

○南委員 やはり、誰に投与したかが分かっても、そのデータが上がってこないと意味がないわけですよ。全例調査は企業に課せられていることであって、やはり現場では緩く考えてしまう人間もいると思いますので、やはり「可能な限り」という言葉は、今回に関してはなくてもいいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構執行役員 「可能な限り」になった背景ですが、おっしゃるとおり全て情報を取るべきだと考えております。ただし、全例調査ということになると、医療機関との契約とか、いろいろな行為が発生してまいります。そうすると、今待っていらっしゃる本当に必要な患者さんに、その契約とかの手続のために投与ができない可能性もあります。そういうこともあって、言葉上は「可能な限り」ということで置きましたけれども、契約前の情報についても遡って取るように企業には指導しております。

 そのような形で可能な限りほぼ全例を取れるような形で対応していきたいと思います。やはり、医療現場の先生方のことを考えると、全て契約とかをしっかりとした上でとなると、現状で治療に困っていらっしゃることもあります。全例ということで我々も企業を指導していますけれども、やはり契約など実務上のところでなかなか難しいところがあったということで、「可能な限り」という言葉が入っているということです。繰り返しになりますが、契約前であっても情報は取れる所は全て取っていくということで企業は指導していきたいと思います。

○南委員 ここで議論することではないと思うのですが、これが全例調査の限界だと思いますので、全例調査の制度そのものを根本から見直すべきではないかと私は思っています。今回はそれについての議論をするつもりはありません。以上です。

○清田部会長 お待たせしました、亀田委員はお電話をしていただくようです。

○亀田委員 東邦大学の亀田です。1点だけです。例えば星印の付いている13/19に挙げられている、中国で行われたLancetの試験では差がなかったということです。これはN数のせいになっていますけれども、やはりエフェクトサイズの問題が大きいと思うのです。237例という数ですので。そういうことから考えると、この薬は長島先生もおっしゃっていたように、特効薬という位置付けではないということをきちんと伝えることは大事ではないかと思います。ですので、この薬が通ったということで、安心してしまうようなメッセージではなく、この薬が通ったのだけれども、次の薬、例えばアビガンをはじめとしたものをどんどん急いでいかなくてはいけないということを、きっちりとメッセージが伝わるようにやっていただきたいと思います。私のコメントは以上です。

○清田部会長 そのことは、当然留意していただけると思います。安倍総理にも、それを伝えるようにできればと思っております。続いて山口委員お願いいたします。

○山口委員 2点ほどお願いいたします。1点目は、星印の報告書の8/19の2つ目の臨床試験の成績に関してです。プライマリ・エンドポイント、臨床状態の改善で、5日投与と10日投与で変わらなかったということです。これの定義をまず教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 臨床症状の改善の定義でよろしいでしょうか。

○山口委員 はい。

○医薬品医療機器総合機構 こちらの表4でお示ししている7点順序尺度で、ベースラインから2点以上の改善があった場合に改善というように定義されております。

○医薬品医療機器総合機構 統計担当の者です。主要評価項目の臨床状態の改善ですけれども、この臨床状態というのは、表4の7点順序尺度のことです。この症状の改善についてのオッズ比の意味が多分混乱を招いているのかと理解しているのですが、そういうことでしょうか。

○山口委員 2段階改善だと下に出ていますよね。これだとオッズ比が0.65ぐらいになって、これはモデルでやっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 実は、提出していただいている資料の中で、このオッズ比の計算方法については提示されてはおりませんでした。しかしながら、申請者から得ている情報から、恐らくこの解析は比例オッズモデルを用いているものだと思われます。

○山口委員 そういうことですね、分かりました。そうすると、下の2段階改善ということではなくて、1段階改善するのにはどれぐらいリスクが違うのだというような、多分そんな解釈になるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりだと思います。

○山口委員 多分、これだと素人には分からないと思います。これがこのまま世の中に出たときに、少し誤解が生ずるのかと思いますので、御留意いただければと思います。これだと、この0.76という数字なのですけれども、これをもって同じと言っていいのかどうか、その辺の臨床的な議論というのはいかがでしょうか。

有意差はないので同じと考えてしまうのか、それともオッズ比がこの場合だと、まあ10日のほうがちょっとという感じなのでしょうか。この値だけ見ると。

○医薬品医療機器総合機構 詳しい資料は提出されていないのですけれども、申請者からは、5日間投与と10日間投与で、10日間投与群のほうが重症度が高かったというような話も聞いております。その辺りを踏まえて、最終的な結果がきちんと出たときに解釈をする必要があるのではないかと考えています。

○山口委員 それから、もう1点、安全性に関しては先ほどから何人かの先生方も御議論されていました。最終的にこれはRMPを作られるというような理解でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。

○山口委員 多分今作成中で、今回は資料になっていなくて、今回の審議対象外になってしまうのかもしれませんけれども、どういう内容になりそうだというところと、今後我々が見せていただける可能性はありますか。

○医薬品医療機器総合機構 申請されたばかりであり、RMPは現在作成中です。基本的にはファクトシートをベースに日本のRMPに落とし込んでいくという形になると思います。また、先ほど来御指摘いただいている安全性監視活動については、可能な限り全例を集める調査ですとか、リスク最小化活動については患者向け資材等を考えているところです。

○山口委員 分かりました。

○清田部会長 次に浦野委員から、御質問、御意見を頂きます。

○浦野委員 メールで問い合わせたのですけれども、最終的に回答が頂けないので。添付文書の5.2の、対象とする患者さんの条件の意味が分からなかったので、メールで聞きました。ここに書いてあるSpO294%以下、あるいは酸素吸入を要する、あるいはECMO、あるいは侵襲的人工呼吸器管理という、その4つが並列だというふうなお話だったと思うのです。これは、FDAのドキュメントとはちょっと意味が違うのではないかというのが私が思っていることであります。英文がちょっと微妙な書き方なので、読みづらい部分はあるのですけれども、やはりネイティブスピーカーから見ると、94%以下であって、かつ他の3つのどれかを必要としているものということが普通だというように判断しているようなのです。

 これに対して、もしこの4つを並列にすると、SpO294%以下である人は、基本的に使っても大丈夫ですということを添付文書で言ってしまうと、かなり多くの事例に使われてしまう危険があるのではないか。もちろん、効能・効果の資料を通すことに関して私は全く異論はないですが、多くの人に出すということはちょっと怖すぎる。ケミストの目から見て、この構造で副作用が出ない理由がない構造をしているので、これを多くの人に与えてしまうというのは、どうにかして止めるべきではないかと私は思うのです。

 ですから、FDAのドキュメントの書いていること、あるいはリクルートされている患者さんの情報まで戻って、本当にこの4つ並記でいいのかというのはしっかり確認して、更に長島先生からも御指摘があったように、そんなにたくさんの数は入ってこないはずなので、94%以下程度でいいとなってしまうと、濫用が起きてしまうのではないか。それで使える人というのは、言葉は悪いですけれども、上級国民にしか使えないのではないかみたいなことを言われてしまうというのは、それは最悪の事態だと思うのです。やはり重症患者さんの定義をFDAの基準にしっかりと合わせた上で、日本に入ってくる量というのを考えて整理したほうがいいのではないかと思うのですが、これに対してはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 先生御指摘の点ですけれども、FDAの記載は、今回お示ししております臨床試験成績等での患者の選択・除外基準から来ているものと認識しております。そちらでは、SpO294%以下ということも、単独の条件の1つとして入っていると認識しております。また、実際に、例えば今回御説明した企業が主体となって行っている試験において、SpO294%以下という基準のみを満たした患者さんが14%含まれていたというような説明も受けておりますので、FDAのファクトシートと、それから添付文書の記載については齟齬がないのではないかと考えております。

○浦野委員 今のお話だと、国際共同試験が走っていますが、1つはSpO294%以下だけの人はあれだったのですけれども、他の2つは必ず肺炎の肺浸潤影が認められるというようなことが入っています。ですので、これに関して日本の場合は完全に4つ並記というような形でやってしまって本当にいいのかどうかというところがあります。実際に副作用がすごく出てくる可能性が高いと思うのです。これに関して、なぜ少し厳しめに縛らなかったのかというのが私には理解できなかったのです。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、大変失礼しました。先ほどの説明が不十分でした。先ほど、企業主体の試験での患者の組入れ状態を御説明いたしました。申請者からは、NIH主導でやっていた試験でも、10%程度、それから人道的見地から行われた投与においても2%程度、SpO2の基準のみを満たした患者さんが含まれていたという説明を受けていることを補足いたします。

○浦野委員 分かりました。もう1つです。そうしたときに、もし比較的そこまで重症ではない、今の世間の流れというのは、重症化する前に薬を使いたいという流れが非常に強いと思うのです。ですので、今この基準でやると、多分、本当に使う人が増えてしまうと思うのです。そうなった場合に、その副作用というものが想定されるわけです。どのタイミングで副作用というものをしっかりと判断して、今回の緊急の承認というものを一回取りやめるというふうな判断に持っていくことができるのか。いつぐらいを考えていらっしゃいますか。

○医薬品審査管理課長 情報については随時報告がなされてくるということになりますので、その情報を基に判断するということになるのだと思います。したがって、いつというのはあれですけれども、先ほど来ありますように、有効性・安全性の情報は随時集めたものについては報告させるということを求めておりますので、その結果に応じて適切に判断し、対応していくという形になるのだろうと思っています。

○浦野委員 有害事象が上がってきたとしても、基本的にはその情報を、使用している病院に流すだけであって、我々として止めることはしないということなのですか。

○医薬品審査管理課長 その情報の程度にもよるのだろうと思います。もちろん緊急的な対応が必要なものがあれば、即時というのも当然あるのだと思います。ただ、安全性等は一定の評価は必要なのだろうと思いますので、然るべく評価をし、しかも対応すべき情報が上がってくれば、それは随時対応をしていくのだろうと思います。その際に承認をどうするのか、あるいは添付文書等での情報提供で対応するのかについては、個別に上がってくる安全性情報に基づいて判断すると。適切に判断させていただくということになるのだろうと思います。

○浦野委員 分かりました。はい、結構です。

○清田部会長 それでは、宗林先生、お願いいたします。

○宗林委員 今回の承認に当たっては、7/19ページにおける表2の結果が最終的な根拠に見受けられるのですが、二重盲検法でやっているということで、ただ、二重盲検法に掛けている母集団を分析したものが何もないです。例えば、年齢構成であったり、重症度、先ほどのお話にも出ていましたけれども、選択基準の中でサチュレーションが94%以下だけの人等の有無について、それがプラセボ群と投与群にどのように分配されているのかというようなことが全く分からないという状況です。いずれこの表2が正しいというようなことをきちんと確認するためには、そのデータ解析が公表されるべきであると私は思っています。

 また、回復例606例というのがあります。これについても、投与群とプラセボ群の割合が分からない。P値誤差の、0.001以下ということで、99%以上の統計の有意差だということだけはこれで分かりますけれども、母集団に関する、それぞれ投与群とプラセボ群に当てられた情報を見ないと、なかなか難しいと思ってこのデータを見ていました。

 それからもう1点です。先ほどから先生方もおっしゃっているように、この選択基準の中でも、それから、取扱説明書ではない、この中でも、このSpO294以下も入ってますが現時点では原則として重症患者等を対象に投与を行うというふうになっています。実際は、重症患者の定義から外れる者が、この試験の中にも母集団で入っているような感じがいたします。その辺をどのように使っていくのか。重症患者ということで挿管をし、あるいはECMOを付け、というような人が対象にされるという意味なのかを確認したい。この2点をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 1つ目の御質問ですけれども、表2に示した結果の詳細、背景といったところがないのではないかという御指摘でした。今回提出されている資料には、この速報値のみしか提出されておりません。患者背景等も含めた解析については、今後最終結果が出たときに行われるものというふうに考えております。また、試験が終了した際には資料を提出するように申請者には伝えておりますので、そのときに確認ができるものと考えております。

○宗林委員 それがこの会議の場で見せていただくこと、そういう機会があるということでしょうか。それは、いつ頃なのでしょうか。背景が全く分からないところで、回復までの期間が15日が11日になったというデータだけで判断するような機会が余りなかったものですから、大変気になっております。

○医薬品審査管理課長 御指摘どうもありがとうございます。今回は特例承認という、これまでのものとは違う手続で審査、評価いただいておりますので、若干違和感があると思います。我々もこの辺はこれまでにないやり方をやっておりますので、説明が不十分なところもあり申し訳ございません。いずれにしても、特例承認については必要な資料、あるいは必要な調査を猶予できるというのが特例承認の基本的な立て付けですので、企業のほうからは、後日、先ほど言いました9か月以内にいろいろな情報、あるいは調査したものが出てくるわけです。それを、この場で評価して御確認いただくというような形をとるということにしたいと思っております。その際にはまた御説明をさせていただきます。

○宗林委員 よろしくお願いいたします。2点目のことはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 2点目に御質問いただいた重症患者の件です。現在は、SARS-CoV-2による感染症の重症の定義ですとか、そういうところはまだまだこれからなのではないかと認識しております。少なくともFDAのファクトシートでは、重症患者をこのように定義していますので、それにならって添付文書も記載しているという状況です。

○宗林委員 先ほど浦野先生も御心配されておりましたが、酸素飽和度94%以下というのが単独で症状としてあって、これは重症患者ではないと思いますが、この辺はどのように理解するのでしょうか。

○医薬品審査管理課長 今回先生が御覧いただいている国際共同第III相試験は、御指摘のとおり重症だけではなくて、中等症の患者さんも入った形での結果だと認識しています。ただ、アメリカのEUA、あるいはそれを受けた私どもの今回のその承認に当たっては、重症の患者という形に絞って、限定して承認をするという形にしてはどうかということになると考えています。ですので、ここに出ているものは重症ではない、中等症の患者さんもこの試験の中には入っているということだと思っています。

○宗林委員 先ほどどなたかの先生も御指摘されておられましたけれども、5.2の所に同じ文言が並んでいるので、その辺はどう整理されるのかということです。重症患者とありますが。

○医薬品審査管理課長 すみません、もう1回お願いします。

○清田部会長 どこを指していますか。

○宗林委員 5.2の所の、説明書のほうです。

○清田部会長 星印のほうですか。

○宗林委員 違います。

○医薬品審査管理課長 添付文書の5.2ですね。

○宗林委員 そうです。ここにも、結局星印のほうの選択基準と同じ文言が並列で並んでいるので、先ほどの先生の御指摘がありましたけれども、これでいいのか、あるいは現時点では原則として重症患者を対象にという言葉であるのであれば、並列で一部、中等症とか、そういったものに該当するものを省いたほうがいいのか再度お聞きしています。

○医薬品審査管理課長 ここに並列で書いている内容が、正に重症患者という定義だと、少なくともアメリカのファクトシートではそのようになっていますので、それを引用した形で具体的に書くとここにあるような条件で、こういった重症患者を対象に投与するということをここの5.2で書いているという理解です。

○宗林委員 酸素飽和度94%以下という1つの症状であっても、それは「かつ」ですか。

○医薬品審査管理課長 「又は」です。

○宗林委員 「又は」ですよね。

○清田部会長 それは、ここに書いてあるのが重症の定義ということになっているようです。選択基準の所です。

○宗林委員 はい。

○清田部会長 私も今回初めてこれを見ますが下のほうに除外基準があります。

○宗林委員 はい。

○清田部会長 除外基準はもっとひどくなってしまって、肝機能が悪かったり、腎機能が悪くなったりという多臓器不全になってしまっている最重症ですよね。

○宗林委員 はい。

○清田部会長 そういう人にはちょっと使えないように、この除外基準にはなっているというような理解を私はしていたのですけれども。

○宗林委員 それは分かります。

○清田部会長 よろしいですよね。

○宗林委員 はい。それでは、この並列で並んでいること一つ一つの要素を含んでいる者が原則として重症患者というふうに定義付けられていて、それに投与するということですね。

○清田部会長 そのようです。

○宗林委員 そうですか、分かりました。

○清田部会長 菊池先生お願いいたします。

○菊池委員 今回は特例承認制度なのですから、この際厳しい添付文書にするというふうに変えてしまってはいかがでしょうか。つまり、4.効能又は効果がSARS-CoV-2による感染症となっていますけれども、特例承認制度であるのだったら、ここはもう、以下の条件を満たすコロナの感染症だというふうな形でしっかり書くように決めてしまってはいかがでしょうか。

 それから、いつもは最適使用推進ガイドラインと添付文書とどちらがどうであるか、最適使用推進ガイドライン不要論的な発言をしていますけれども、今こそこの薬にはそういうものが必要であって、やはり、そういうのを今回は整理されたほうがいいのではないかと思っています。これは特例承認制度なのだから、今後そういう形で、このような形で添付文書をしっかり変えると。他のものとは違うのだという立ち位置にするのでいいかと思います。やはりRMP・添付文書もしっかり、そこは最低限書いて準備しておく必要があるかと思います。

○医薬品審査管理課長 効能・効果での書きぶり、それからここにあるような5.2での注意事項として、条件として縛っているという、こういうやり方に対しての御指摘だと思います。今回は特例的な手続での承認にはなりますが、ただ、法的な形としては一応通常の第14条の承認という形になります。その承認を与える際の整理と言いましょうか、扱いについては他のものとの扱い、並びも考える必要があるのだろうと思っています。

 そうすると、効能・効果はこういう形、それから5.2にあるような注意事項と合わせて、トータルでこのものの承認内容だと。承認と言いますか、適用だという扱いでこれまでもやってきておりますので、ここについては、こういったような扱いの効能・効果の書き方、それから5.2に書く注意事項と合わせての適用だという扱いにさせていただければと思っています。

○清田部会長 いかがでしょう、菊池先生どうですか。

○菊池委員 守りの姿勢は分かりますけれども、特例承認なのだからそこのところはやはり違うのだということをはっきりしてもいいのではないかというふうに感じていたところです。ですから、普段は否定していますけれども、最適使用推進ガイドライン的な書類を準備するべきで、リスク管理計画や製造販売後の報告も他の委員が絶対にしなければいけないというふうにおっしゃっているのと同じ意見です。

○清田部会長 それでは、長島先生が御意見があるということで、どうぞ。

○長島委員 先ほど宗林先生の御指摘にあったように、添付文書の重症のところは、今回の議論を聞かなくても分かるような形できちんと数などもはっきり分かるように訂正すべきです。ここは絶対に必要だと思います。

 次に、まず全例調査は必ず必要なので、これは、「だけは」として、「可能な限り」というのを、原則として全例調査が必要だという形にしてください。まず、全例調査が原則であるという形に是非してほしい。これがないと駄目だと思っています。

 3つ目ですけれども、今回は緊急事態なので、この治療で承認するのもやむを得ないと思いますが、もう少し時間がたつと、606例の国際共同試験に関してもきちんとしたデータが出てくると思いますので、まずその時点で、これだけの重大な案件は薬食審の本部会でしっかりと検討すべきだと思いますので、そこの時点で、9か月待つのではなくて、ちゃんとしたデータがそろったその時点でしっかり本部会で検討すべきです。あるいは、そのとき同時に本薬食審でも検討すべきと。データがそろった時点で、9か月待たずに、しっかりした検討を本部会でやるべきと思います。以上は絶対に必要だと思っています。

○清田部会長 今の先生の御意見は、こちらのほうでも理解されているようですので、よろしいですね。

○医薬品審査管理課長 全例調査の関係ですけれども、事情については先ほど機構のほうから説明があったとおりです。加えて、このものについては先ほど来申し上げておりますとおり、当面は配布先については国のほうで関与すると言いましょうか、把握するという形になります。そういうものと合わせて対応することをもって、実質的に全例調査という形をとらせていただければと思います。一刻も早く患者さんにこのものを届けるということと、その必要な全例調査とを合わせる形で企業がやること、それから国のほうでの対応と合わせた形で、先生が御指摘のような原則全例調査が担保されるというような体制にさせていただければと思います。この部分の表現については、この形で御理解いただければと思います。したがって、実質的な意味での全例調査は、国のほうの関与も含めて、合わせてそれを担保するという形で考えさせていただければと思います。

○長島委員 データがそろったところで、早めにしっかり本薬食審及び本部会のほうで検討するというのは約束できますでしょうか。

○医薬品審査管理課長 それは、約束させていただきます。データがそろい次第、またこの部会において改めて御評価いただければと思います。

○長島委員 本部会のほうで薬食審に代えてしっかり検討する必要があると思います。そちらはいかがでしょうか。

○医薬品審査管理課長 規程上、この場ですぐにそこでの審議という形が確約できるというのはちょっと難しいかと思います。そこは規程の問題がありますので、ちょっと検討させていただきます。

○長島委員 少なくとも報告はしますか。

○医薬品審査管理課長 もちろん報告は後ほどさせていただきます。

○長島委員 最初に言った添付文書で、宗林先生が示されたように、きちんと誰が見ても分かるような表現に書き換えるということはされますか。

○清田部会長 添付文書ですか。

○長島委員 重症患者のところで、「かつ」なのか「又は」なのか。重症患者のところに表現がかかっているのが、あの書き方では分からない。今回の議論を聞いていない一般の医師には全然分からないので、そこはきちんと分かるように書き換えるべきだと思います。

○清田部会長 いいですね。

○医薬品審査管理課長 はい。

○清田部会長 了解しました。そのようになると思います。

○長島委員 そこは是非お願いします。

○清田部会長 次は半田先生ですね。半田先生どうぞ。ちょっと半田先生は繋がらないようですので、先に田島先生どうぞ。

○田島委員 説明同意についてですけれども、添付文書案の1ページの黒枠囲いの所で、「原則としてあらかじめ患者又は代諾者に、情報を十分に説明し、文書による同意を得てから投与すること」とありますけれども、例外としてはどういうケースを考えておられるのでしょうか。

○清田部会長 恐らく、身寄りがなくて、御本人は意識がなくてという場合は承諾が取れないです。そういうことも考えられるのではないかと思っています。

○田島委員 このような安全性・有効性が検証されていない薬剤を患者さんに投与するということは、実質的には臨床試験に参加させることと同義になると思います。臨床研究の場合には、きちんと説明同意を取ることになっています。また、その倫理審査委員会で説明文書の内容の審査を受けるということがありますので、原則としてというのではなくて、全件説明同意が必要というようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 実際の臨床現場では、緊急時に患者さんの同意が取れないまま投与して、後から患者さんに御説明して同意を取るというようなこともやられているのではないかと認識しています。その辺りについて、先生方いかがでしょうか。

○田島委員 私としては、こういった安全性も十分に検証されていないようなものを患者さんに投与して、様々な事故が起きる、副作用が出るか何が起きるか分かりません。そういうものについては、必ず事前に説明をして、同意を得るべきであると考えております。

○清田部会長 他の先生方はいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 FDAのファクトシートにおいても、患者さんの生命に危険があるような場合の状況においては、本剤の情報については、可能になったらすぐに患者さんに提供すべきというような記載があります。そういう場面が臨床ではあるのではないかと思うのですけれども。

○清田部会長 田島先生、お分かりになりますか。

○田島委員 はい。私としては受け入れ難いと思っています。安全性・有効性が検証されている薬剤であればそういう投与の仕方もあるのかと思いますけれども、このケースについては全くその辺は確証を持てない状況ですので、同意なく投与するのは問題があろうと思います。

○清田部会長 御意見としては承っておきますけれども、有効性・安全性はまだ確立されていないですから、これが確立されてからというのも、今回の緊急の承認の感じとは外れるような気もします。

○田島委員 それと、この添付文書のような、「原則として」というような表記の仕方だと、例外が広がっていくおそれがあります。もし例外を認めるのであれば、きちんと限定して書いておかないといけないと思います。

○清田部会長 今の点について、参考人の田村先生から御意見がありますか。

○田村参考人 おっしゃられているとおり、身寄りのない方で、意識のない方とかに治療を実施しなければいけないというようなときは、実際に臨床の場ではあります。一般的には田島先生がおっしゃられたみたいに、その有効性・安全性が確立されている治療・投薬に限るというような認識です。今回のレムデシビルのような特別な場合というのはちょっと別です。例えば今、我々はCOVID-19の患者さんを診ていますけれども、現状いわゆる抗ウイルス治療として確立された、確実に効果があると言える治療はないです。それでは、今我々は病棟でどうやっているかというと、やはり患者さん本人、あるいは御家族に同意が取れない場合には、有効性の不確かな投与は原則しないというような形で運用しています。

○清田部会長 ありがとうございます。この点についてはどうですか。同意が取れない場合は投与しないということですね。

○医薬品審査管理課長 身寄りがないような場合もあるかもしれませんが、基本的には同意を取るということでよろしいということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 もし可能であれば、田村先生にお伺いしたいのですけれども、今回は感染症ということでの文書による同意というところで問題はないのでしょうか。

○田村参考人 感染管理の上で文書で同意を取っているかどうかという話ですね。

○医薬品医療機器総合機構 今、先生にお聞きしたかったのは、現場で本剤を使ってほしいという意思のある患者さんから、必ず文書による同意が取れるかどうか。代諾者が恐らく家族になる可能性が高いのではないかと考えています。家族も同時に発病していて、同じように隔離されていたり、治療を受けていたり、そのような場合もあろうかと思います。そのような状況で、口頭では説明をして、本剤を使う意思が確認されていたとしても、文書による同意がなかなか難しいというような状況もあり得るのではないかということを懸念して、先生の御意見を頂ければと思っております。

○田村参考人 当院での運用ということで申し上げますと、例えば、文書での同意は取れないけれども、口頭等で同意が取れるというような状況というのは実際にあります。基本、取れる限り文書での同意を取るということを原則にしますけれども、何らかの理由で口頭でしか同意を取れない場合には、それを確認して、我々でどういう理由で口頭同意になったかというところと、口頭で同意を得たというところを診療録に記録して、その上で投与するということはやっています。

○清田部会長 ありがとうございます。田島先生、いかがですか。

○田島委員 文書による同意についても、田村先生がおっしゃいましたように、同意が明記された形で代筆ということも可能ですので、病院がとにかく取っていただく。文書も取っていただくということであるべきだろうと思います。

○清田部会長 どうですかね。

○医薬品審査管理課長 基本は同意をしっかり取っていただくということにはなるのだろうと思います。ここにある文書等々でない場合も、先ほどのお話だとあり得るという意味において、この表現としては「原則として」という扱いでいかがでしょうか。基本、同意は必ず取ってもらうということになります。ここにあるような、先ほどの田村先生のお話だと、口頭で取って、それを何らかの診療録を残すということもあり得るということであれば、ここの表現ぶりとしては、「原則として」という形になります。もちろん同意を取るようにやってもらうのは当然ですけれども、いろいろな環境から、ここにあるとおりのことができないことも現場ではあり得るだろうということを踏まえると、この添付文書の表現ぶりとしてはこういう形が限界ではないのかというのが、この案を提案している趣旨だと理解しております。

○田島委員 この「原則として」というのが、「説明し同意を得る」というふうに両方へかかっていく記載ぶりですので、やはり「原則として」というのを削除していただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 そうしましたら、「同意」ということに関しては「原則」を取り、「文書による」という所にのみ「原則」がかかるような表現ぶりにするということでいかがでしょうか。

○田島委員 文書で代筆ということもできる形になっておりますので、文書は何らかの形で作成していただく必要があると思います。文書なしで良いということにはならないと思います。

○宗林委員 割り込んですみません、宗林です。この件について田島先生にも、それから専門の先生にも御質問がありますけれども、よろしいでしょうか。

○清田部会長 どうぞ。

○宗林委員 文書による同意というのは、感染症の患者さんが文書に触れて同意をするというケースは、場合によっては余りないのではないかというふうに、患者さんから聞いたお声では思っていました。紙自体が汚染されているということです。そういう意味で言えば、口頭で同意を取り、それを家族なりに電話でお伝えするとか、どこかの看護録とか医療録に残しておくというのが実際は多いのではないかと思っていました。その辺の実態はいかがでしょうか。感染症の先生にもお聞きしたいと思います。

○清田部会長 ちょっと話が外れましたが、田村先生どうでしょうか。

○田村参考人 当院では、基本的には可能な限り文書での同意を得るというところを追求しています。今回の新型コロナの患者さんは、確かにおっしゃられるとおり、患者さんがその紙を触ると、紙が汚染された状態になります。文書で同意を、書面にサインを頂いて、その紙をビニール袋に入れるとか、一定の期間は安全になるまで別の場所で保管してから取り出して、別の方が保管し直すというような形を取っています。少し工夫をして、極力文書での同意を取るように努力をしています。

 ただ、先ほども話がありましたけれども、御本人さんが例えば書面にサインできないような状況であって、かつ御家族の方が遠方にいる。物理的に文書にサインを頂けないというのはあります。そういうときには、先ほども申し上げましたが、口頭で同意を確認して記録するというような形で対応しております。

○清田部会長 ありがとうございます。ちょっと話がまとまらなくなってしまいましたけれども。

○宗林委員 そしたら、原則ではなくて文書で同意を得るということが、感染症の同意を取る中で可能だというお話でしたので、私もそこを確認させていただいて、やはり異論はありません。文書でということで。

○清田部会長 田島先生の御意見は承っておきますけれども、こちらでちょっとお時間を頂くということでよろしいでしょうか。

○田島委員 はい、結構です。

○清田部会長 それでは、続いて半田先生の御意見を伺います。

○半田委員 安全性という意味では、大変な危惧があるということは当然のことです。これは当然、薬機法上の縛りの中の薬剤ということだと思います。それで多分、治験と市販後調査は並行する。もちろん適用は若干違うところはあります。それで、医薬品の副作用については被害救済制度があります。その適用というのはどのように考えればいいのか。要するに、適正使用の縛りがあるわけです。ですから、その辺のところはきちんと整理していただくということです。それで、これは当然同意文書の中にも入ってくるということなので、その辺の整理というのも非常に緊急で必要があると思うのです。この辺はどのように考えるのでしょうか。

○医薬品審査管理課長 もちろん承認された暁には、ここにあるような用法・用量に従って使っていただければ、もし何かあっても救済の対象になるという形になるのだろうと思いますので、そういう扱いになるのだろうと思います。

○清田部会長 おっしゃるとおりだそうです。

○半田委員 分かりました。いずれにしろそういうことであれば、尚更のこと治験と市販後調査は並行しているわけなので、その辺の交通整理というのは非常に必要になると思いますので、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 はい、了解です。それでは、濱委員お願いいたします。

○濱委員 今まで臨床成績であるとか添付文書の話が議論されていましたが、視点を変えさせていただきます。薬を適正に使うときには、もう1つ、物としての品質評価が重要だと思っています。今回の特例承認では、GMPにのっとった物の評価がされていないという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品審査管理課長 GMPについては、まだ確認はできておりません。後日確認という形になります。

○濱委員 それでは、今まで行われた臨床試験で使われた物と、例えば原料及び製法は、今後国内に入ってくる物は同じという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品審査管理課長 詳しくは確認していませんが、基本的にはそういう理解でおります。

○濱委員 それも特例なので、その辺のデータがなくても使うということでよろしいということですね。

○医薬品審査管理課長 そうですね。特例承認の趣旨は、そういう必要な調査についても、緊急性を要する場合には事後的な調査でも構わないという趣旨です。御指摘のとおりの理解で結構です。

○濵委員 分かりました。

○清田部会長 南先生、御質問をどうぞ。

○南委員 私は質問ではなくて、先ほどのノット・リコメンデッド、腎障害の所で、やはりFDAのファクトシートではノット・リコメンデッドになっていますということを伝えたくてメッセージを入れただけですので、それを配慮して記載していただければ結構です。

○清田部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 今御指摘いただいた所ですけれども、FDAのファクトシートの御指摘を頂いた文章の一番最後の所に、unless the potential benefit outweighs the potential riskというふうに記載されております。有益性投与の記載になっているというように理解しているのですけれども、いかがでしょうか。

○南委員 そしたら、日本も推奨されないということをまずうたって、ただしというふうに繋げたほうが恐らく無難だと思います。今の書きぶりだと、「使ってください、先生方の判断でね」、というふうに聞こえてしまいます。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。基本的には推奨されないという文言を加えさせていただきます。

○南委員 ありがとうございます。

○清田部会長 最後に、先ほどの田島先生の同意文書の件に関してお願いいたします。

○事務局 同意文書の件なのですけれども、皆さん、こちらの「原則として」を外すというところで御異論はないということでよろしいでしょうか。皆さんが、こちらは外すということであれば、削除をさせていただこうと思います。

○清田部会長 御異論のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、「原則として」は外させていただくということで、田島先生よろしいですか。

○田島委員 はい、ありがとうございます。

○清田部会長 それでは、一通り御意見、御質問を頂きました。特例ということで、いろいろ問題はありますけれども、非常に本剤の有効性・安全性の情報が限られておりますので、現在実施されている治験による有効性・安全性の検証が待たれるところです。これは、分かり次第アナウンスされると思います。そのために、安全に使用するための方策を徹底することは必要です。

 一方、日本においても本剤における治療の機会を速やかに確保していくことは重要であるということは皆さん認識されていると思います。一応これで議決に入りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。大曲先生につきましては、退室委員として議決への参加は御遠慮いただくことにいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。反対の方は御発言をお願いいたします。ありがとうございます。御異議はないようですので、特例承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 今後の手続ですけれども、本日の結果を厚生労働大臣に報告をし、早ければ本日中に承認をさせていただければと考えております。また、その場合には本日中にもその旨を公表させていただく予定です。また、次回の部会ですけれども、日程調整をさせていただいて、5月28日の午後4時半から開催させていただく予定です。状況に応じて部会の開催方法については、また追って御連絡をさせていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○清田部会長 本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)