薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事要旨及びWeb会議議事録

日時

令和2年4月22日(水)17:00~
 

出席者

出席委員(18名)五十音順
 


欠席委員(3名)

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人4名


行政機関出席者
 
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱・執行役員(新薬審査等部門担当)事務取扱)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。

 この度、医薬品部会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、審議の方法を書面での持ち回りを基本とさせていただき、一部の議題につきましては、直接的な意見交換を行う場としてWeb会議を併せて行うこととしております。なお、本日のWeb会議の議論につきましては、本日御参加いただけなかった先生方にもフィードバックをさせていただきます。また、事前に各委員からの御質問・御意見を書面にて受け付けておりましたが、事前に頂いた御質問・御意見につきましては、後ほど、この場で御紹介をさせていただきます。Web会議後でも御質問・御意見を受け付けることとしておりますので、本日以降に改めてお気付きの点等ございましたら事務局宛てにお送りいただき、個別に回答をさせていただきます。意見の受付期間としましては、本日より1週間程度を考えておりますけれども、頂く御意見のボリュームなどによっては期間が変わり得ることを申し添えたいと思います。意見の受付が終了した後、質疑応答のとりまとめを全委員に配布いたしますので、これらのことを踏まえまして後日、最終的に全委員から書面での議決を頂くといったような形式を取らせていただきます。

 本日のWeb会議でございますが、議題1「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」及び議題5「生物学的製剤基準の一部改正」について取り上げさせていただきます。

○事務局 続きまして、事務局でございます。本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がございますので、審議の進行方法について御説明をさせていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いたただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際はマイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言いただきまして、御発言後はマイクをミュートに戻していただきますようお願いいたします。

 なお、発言者が多くなりまして、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、こちらのスカイプのメッセージに記入していただくよう、事務局又は部会長からお願いをさせていただく場合がございます。その場合には記入されたメッセージに応じまして、部会長より発言者を御指名させていただきます。それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 部会長の清田です。ここにおります。よろしくお願いいたします。これまでの御説明につきまして、御質問・御意見はございますか。御意見があれば御連絡いただければと思います。大丈夫でしょうか。ありがとうございます。それでは、引き続き御説明を事務局のほうからお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。本日のWeb会議におけます委員の出席状況についてですが、半田委員、山本委員、川崎委員より御欠席との御連絡を頂いております。山口委員は遅れての御参加かと思われます。したがって、本日は現在のところ当部会委員数21名のうち、現時点で17名の委員がこのWeb会議に御出席いただいているということですので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 なお、本日ですが、審議事項議題1に関しまして、国立大学法人九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学の加藤聖子先生、国立大学法人徳島大学大学院医歯薬学研究部の苛原稔先生、島田療育センターの久保田雅也先生、福岡看護大学基礎・基礎看護部門 基礎・専門基礎分野の岡田賢司先生、この4名を参考人としてお呼びしてございます。

 それから、事務局のほうでございますが、人事異動がございましたので御報告させていただきます。前任の樽見の後任としまして、医薬・生活衛生局長に鎌田が着任してございます。ただ、本日は公務によりまして失礼をさせていただいております。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認につきまして御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それから、本日のWeb会議ですけれども、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただくことになりますが、御了承いただければと思います。それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきまして報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 事務局でございます。それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」及び資料No.5「生物学的製剤基準の一部改正」を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。その他、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を事前に郵送でお送りさせていただいておりまして、資料13として、各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」、資料14としまして「競合品目・競合企業リスト」を事前にメールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。

 続きまして、本日のWeb開催における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」でございますが、本品目は「9価HPV型の感染に起因する疾患の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定させていただいております。以上でございます。

○清田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしいですか。それでは、本Web開催の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申し出状況につきまして御報告をお願いします。

○事務局 事務局でございます。薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況につきましては、次のとおりでございます。議題1「シルガード9」につきましては、退室委員なし、本日議決を行う予定はございませんが、議決に参加しない委員として南委員となっております。また、議題5につきましても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上でございます。

○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。それでは、審議事項の議題に移ります。議題1及び議題5につきまして、医薬品機構及び事務局から概要の御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品シルガード9水性懸濁筋注シリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。紙資料を御確認の方は、資料No.1の「審査報告書」を御準備ください。タブレットを御覧になられる方は、資料No.1のフォルダを開き「審査報告書」のファイルをお開きください。

 審査報告書の冒頭に本申請の概略を記載させていただいております。本剤は、遺伝子組換えした酵母により発現させた、ヒトパピローマウイルスHPVの9種類の型のL1タンパク質で構成されたウイルス様粒子VLPを有効成分として含む、HPV感染に関連する子宮頸癌等の疾患の予防を目的とするワクチンです。アジュバントとして、アルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩が含まれています。

 国内で既承認のHPVワクチンとして、グラクソ・スミスクライン株式会社が製造販売する2価ワクチンのサーバリックス、MSD株式会社が製造販売する4価ワクチンのガーダシルが存在しますが、本剤はガーダシルに含まれる4種類のHPV型に、新たな5種類のHPV型のL1タンパク質VLPが追加されており、HPV関連の疾患の予防において、ガーダシルよりも多くのHPV型をカバーするワクチンとなります。

 本剤は、2014年に米国、2015年に欧州でそれぞれ承認され、2019年7月時点で79の国又は地域において承認されております。

 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.13の専門委員リストにお示しした14名の方々です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。これ以降の説明におきましては、ガーダシルに含まれる4種類のHPV型については「4共通HPV型」、新たに追加する5種類の血清型については「5追加HPV型」と呼ばせていただきます。また、お示しする審査報告書のページ数は、ページ下部に青色で「57分の何々」と表記されているページ数とさせていただきます。

 まずは、本剤の有効性について説明させていただきます。審査報告書の青い数字の15ページをお開きください。15/57と書かれているページになります。国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験001試験におきましては、16歳から26歳の女性を対象に本剤又は既承認のガーダシルを接種し、4共通HPV型に関しては血清抗体価、5追加HPV型に対しては、該当するHPV型に関連する疾患イベントの発症例数がそれぞれ比較されました。

 最初に、4共通HPV型の有効性について御説明します。先ほど開いていただきました青い数字の15ページの一番下にあります表18を御覧ください。この表は、4共通HPV型に対しての血清抗体価を比較した結果です。本剤はこの表においてはM剤と表記されております。4共通HPV型につきましては、いずれのHPV型についても事前に設定された非劣性限界値を上回ったことから、本剤群のガーダシル群に対しての血清抗体価の非劣性が検証されました。また副次的ではありますが、4共通HPV型に関連する疾患のイベントの発生例数も確認されております。審査報告書23ページ、23/57と書かれているページを開いていただきまして、真ん中ほどにあります表27を御覧ください。この表は、4共通HPV型に関連する疾患イベントの発生例数の比較結果を示しており、本剤群とガーダシル群でこれらの疾患の発生例数は同程度でした。したがいまして、4共通HPV型に関連する疾患につきましては、ガーダシルと同等の発症予防効果が期待できると判断いたしました。

 続きまして、5追加HPV型の有効性について御説明いたします。審査報告書15ページ、15/57ページを開いていただきまして、真ん中にあります表17を御覧ください。この表は、5追加HPV型に関連する疾患イベントの発症例数を比較した結果を示しております。ガーダシル群における5追加HPV型に関連する疾患イベントの発症例数が30であったのに対し、本剤群における疾患イベントの発症例数は1であり、本剤群のガーダシル群に対する優越性が確認されました。疾患イベントの内訳につきましては、審査報告書22ページ、22/57ページを開いていただきまして、上にあります表24を御覧ください。この表は、5追加HPV型に関連する疾患イベントについて、疾患イベントごとの発症例数を示しております。全体の下の所に書かれていますCIN2/3に着目してください。CIN2/3というのは、子宮頸部の扁平上皮に由来する異形成であり、子宮頸癌へ移行するとされています。このCIN2/3に対する本剤の発症予防効果が96.3%であったことから、5追加HPV型に関連したCIN2/3についての発症予防効果は期待できると判断いたしました。また、本001試験では被験者保護の観点から、癌に進行する前に治療介入が行われておりました。したがいまして、001試験において子宮頸癌のイベントを確認することはできず、本試験において子宮頸癌の発症予防効果を直接評価することはできておりませんが、子宮頸癌の前駆病変であるCIN2/3の発症予防の結果から、5追加HPV型に関連した子宮頸癌に対する本剤の発症予防効果は期待できると判断いたしました。

 一方で、それ以外の5追加HPV型に関連した疾患であるAIS、VIN2/3、VaIN2/3、外陰癌、腟癌、及び尖圭コンジローマにつきましては、本剤群、ガーダシル群ともに発症例数は極めて少なく、これらの疾患に対する個別の発症予防効果は評価できていませんが、5追加HPV型に関連した疾患イベント全体の結果を否定する結果ではないことから、ガーダシルと同様に効能・効果に含めることとし、継続した情報収集を行うことが適切と判断いたしました。

 以上の結果から、本剤は、5追加HPV型に関連した疾患イベントに対する発症予防効果が示され、また、4共通HPV型に関連した疾患イベントに対しては、ガーダシルと同程度の発症予防効果が期待できると判断いたしました。

 次に、安全性について説明させていただきます。臨床試験及び海外における製造販売後の本剤の安全性については、審査報告書24ページ、24/57ページの下のほうにあります7.R.4.1の安全性についてというところから31ページまでの間に記載されております。提出された資料から、本剤に起因した臨床上問題となるような副反応は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。

 しかしながら、既承認のHPVワクチンにつきましては、本邦において、因果関係が否定できない持続的な疼痛等が報告されたことから、2013年6月より定期接種の積極的な勧奨は差し控えられております。機構は、本剤の審査に当たりまして、本剤に限らずHPVワクチン全体としての臨床的意義を議論するために、HPVワクチン接種者で報告された、いわゆる「多様な症状」を含めた国内外の有効性及び安全性に係る情報をまとめました。当該内容につきましては審査報告書39ページから48ページ、39/57ページから始まる別添資料にまとめさせていただいております。

 1枚めくっていただきまして、40/57ページをお開きください。40/57ページの一番上に「2.HPVワクチンの有効性について」という項を記載させていただきました。海外におきましては、HPVワクチン接種による子宮頸癌を含むHPV関連の癌の減少が報告されており、また、HPVの感染率やHPV関連の癌の前駆病変の発生率についても、国内外から、HPVワクチン接種により減少するという複数の報告があります。したがいまして、機構は、HPVワクチンの有効性は確立しているものと考えております。続きまして同ページ、40/57ページの下に行っていただき、「3.HPVワクチンの安全性について」という項を御覧ください。このページより46/57ページまでの間に、ガーダシルにおける製造販売後の情報、HPVワクチンの安全性に関する世界の公的機関の見解、民間組織の見解、本邦の副反応検討部会における議論をそれぞれ記載させていただいております。また、これらの情報に加えまして、機構自身もHPVワクチンの安全性に関連する文献を網羅的に確認した結果、HPVワクチンの接種によって「多様な症状」のリスクが上昇すると言える状況にはなく、本剤の海外での使用状況を踏まえると、本剤の有用性に係る評価に影響はないと判断いたしました。

 一方で、本邦における既承認のHPVワクチン導入後の経過を踏まえますと、本剤の製造販売後において「多様な症状」の情報を慎重に収集することが必要であると判断いたしました。審査報告書52ページ、52/57ページを開いていただきまして一番下にあります表44を御覧ください。この表は、本剤の医薬品リスク管理計画における追加の医薬品安全性監視活動、及び追加のリスク最小化活動の概要を示しております。追加の医薬品安全性監視活動においては、市販直後調査、一般使用成績調査に加え、全例登録による強化安全監視活動が計画されております。1ページめくっていただきまして、審査報告書53ページ、53/57ページの一番上にある表45を御覧ください。この表は一般使用成績調査の骨子を示しております。本調査では、5,000例を目標例数として、全ての有害事象が収集され、重症度にかかわらず「多様な症状」の発現に着目した評価が行われる予定です。引き続き、同じページの表46を御覧ください。この表は強化安全監視活動の骨子を示しております。強化安全監視活動では、本剤が接種された全ての方を登録することにより、「多様な症状」を発現した場合の症例の特定や、「多様な症状」の発現状況の把握に利用できるようにする計画になっております。機構は、これらの計画は「多様な症状」の情報の実態の把握、及び本剤接種後に「多様な症状」が発現した方の救済において重要な情報となることが期待されると判断いたしました。

 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。

 既に御連絡はさせていただいておりますが、1か所誤記がございました。審査報告書の30/57ページを開いていただきまして、失神、過敏症、ギラン・バレー、起立性頻脈症候群と4つ並んでいると思います。その一番下の4.、PSURにおいての次の文章に誤記がございました。現状の記載では「20171210日から」になっておりますが、ここは誤記であり、本剤の販売開始日である「20141210日から」の間違いでございます。申し訳ございませんでした。説明は以上です。

○事務局 続きまして、議題5、生物学的製剤基準の一部を改正する件について御説明させていただきます。薬機法第42条第1項に基づきまして、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができることとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めています。

 今般、生物学的製剤基準における医薬品各条に、「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)」の条を、別紙の新旧対照表のとおり追加いたします。内容といたしましては、別紙の後に参考で付けております、既存の「組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)」の内容と同様のものでありまして、4価ワクチンに含まれるHPV型に加えて、9価ワクチンのみに含まれるHPV型にも対応したものとなっております。なお、改正を「可」とされた場合には、本基準についてパブリックコメントの募集を行うことを予定しております。

○事務局 続きまして、事務局ですけれども、遅れておりました山口委員が御参加されましたので御報告させていただきます。山口委員におかれましては、音声が聞こえない等の不具合がございましたら事務局にお申し付けください。

 本議題ですけれども、冒頭に御紹介させていただいたとおり4名の参考人の方にご参加いただいております。加藤参考人、苛原参考人、久保田参考人、岡田参考人にご参加いただいているところです。

○清田部会長 まず、事前に、参考人の御説明の前に。

○事務局 そうですね。参考人からの御説明の前に、事前に委員のほうから質問、意見を頂いておりましたので、最初にそれを御紹介させていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、事前の御質問に関しまして機構のほうから説明させていただきます。

 渡辺委員より御質問です。予防接種者向けの資材の中に、効果は100%ではありませんという文が2回出てきます。シルガード9の効果として90%の子宮頸癌予防効果があると期待されていますので、この数値を一般向けの資料に記載してはいけないのでしょうか。効果を正しく記載する。因果関係が検証されていない副反応を過剰に強調しているようで適切とは思えません。効果を告げないという姿勢は、かえってこの姿勢が攻撃されるのではないでしょうか。サイエンスに基づいて伝えるべきことは伝える姿勢が大事だと思います。

 先生の御意見につきまして、機構もごもっともだと思いますので修正の指示をさせていただきたいと思います。なお、先生の御質問について補足させていただきます。資材につきましては、効果は100%ではありませんという文言が2回出てきます。最初の文言は、ワクチンのカバー率の話として、100%カバーしていないというニュアンスで使われています。2つ目は、子宮癌検診の受診を勧めるというところの文脈で、ワクチンの効果は100%ではないので検診を勧めるという文脈で使われております。それぞれの目的が異なっておりますので、文脈に応じた修正を指示させていただきたいと思います。特に前半部のワクチンのカバー率の話につきましては、客観的な情報を記載可能と考えております。

 もう1点、渡辺委員より御質問を預かっております。シルガード9が承認された場合、既存のガーダシルは販売終了となるのでしょうか。

 機構よりお答えさせていただきます。ガーダシルを接種された方は、基本的には最後までガーダシルを接種するべきであるという点などから、少なくとも一定期間の併売が必要となります。また、申請者はガーダシルで男性の適応拡大に向けた国内開発を行っており、その点からもガーダシルは当面、販売を続けることを想定していると考えられます。機構からの説明は以上になります。

○清田部会長 私から1つ確認ですが、最初の修正する箇所はこの資料のどこなのか、もう1回教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 先生方には、別途お送りさせていただいております情報提供資材がございまして。

○清田部会長 これですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。シルガード9を接種された方へという情報提供資材、絵の付いた情報提供資材になります。

○清田部会長 これのどこですか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらの4ページを開いていただきまして、4ページの下の所に黄色い枠組みのエリアがあるかと思いますが、そこにシルガード9は子宮頸癌を100%予防できるわけではありませんという文言がございます。これがワクチンのカバー率について説明している所です。

○清田部会長 これを、どういうふうに変更する予定でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 これにつきましては、客観的なデータとしてWHOの情報等から今回の9価の型によって、本邦における子宮頸癌をどれぐらいブロックできるのかという推測はできると思いますので、その客観的な情報に基づきまして、例えば、これらの型を防ぐことによって日本では80%ですとか海外では90%の子宮頸癌を防ぐことが期待されますという、前向きな文章に書き換えることができるのではないかと考えています。

○清田部会長 まだ具体的な、最終的な表現ぶりは。

○医薬品医療機器総合機構 まだそこまでは詰め切れてないですけれども、事実ベースで書けるところについては記載させていただきたいと思っております。

○清田部会長 委員の先生方には、この資料は。

○医薬品医療機器総合機構 事前にお送りさせていただいております。

○清田部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 もう1か所が12ページになります。12ページ、オレンジの色のエリアになりますが、子宮頸癌検診についてと書かれている所の真下の3行の所の1番上です。

○清田部会長 分かりました。ありがとうございます。ただいまの事務局からの回答に対しまして、何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。

○渡辺委員 渡辺ですが、よろしいでしょうか。

○清田部会長 はい。

○渡辺委員 意見はありません。御丁寧な回答をありがとうございます。私が特に申し上げたかったのは、ガーダシルとシルガード9が併記されているような状況もあって、どっちがどれぐらいいいのかとか、そういうことを選択する根拠がなくて、100%ではありませんというふうに書いてあり、では大体どれぐらいなのかということを、例えば資料ではガーダシルだと70%は抑えられるけれども、シルガード9だと90%ぐらい抑えると読み取れるデータがあるので、そういうことについても保護者あるいは接種される人たちに、よく理解してもらう必要があるのではないかなと思った次第です。以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。よろしいですか。では、こちらのほうでは了解したということにいたしますので、よろしいでしょうか。ほかに事前の御質問は。

○医薬品医療機器総合機構 以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。それでは、今日は参考人の先生方にお見えいただいていますので、4名の先生方に順番に御発言をお願いしていきたいと思います。まず、加藤参考人、つながっていますか。

○加藤参考人 はい、九州大学の加藤です。

○清田部会長 よろしくお願いいたします。

○加藤参考人 皆さんも御存じのように、今、積極的勧奨が差し控えになって、その以降、ワクチンの接種率がすごく下がっています。その下がった年代が何年からかというと、2000年生まれから接種が下がっているということが分かっているのですが、今年は2020年ですので、そういう接種率が低い世代の人たちがだんだん子宮頸癌に罹りやすい年代になってきています。2価とか4価も海外ではしっかりとしたCIN、前癌病変の状態を抑えるというデータが出ていますので、我々産婦人科医としては、じくじたる思いでこの現況を見ていたのですが、今回この9価ワクチンが認可されますと、一般の方々は国がワクチンを打つのをやめなさいと言っているみたいな誤解もあったので、本当は定期接種として存在はしていたのですが、9価ワクチンが認可されるという情報があれば、それはワクチンを打つということに対して非常に前向きな流れになるのではないかと思って、私たちは非常に期待しているところです。

 効果も、資料で示されていますようにしっかりとした効果が出ていますので、その辺は問題ないと思いますが、一番心配なのは「多様な症状」というところです。販売後、全例登録なども計画されていますので、そこでまたしっかりとした「多様な症状」の確認と、あと原因がなかなか分からないとは思いますけれど、それに対する対応がしっかり政策で組まれると非常にいいのではないかと思っております。

 先ほど、100%ではないという表現が話題になっていましたが、現実にヒトパピローマウイルスのハイリスク型は9種類だけではないので、その後の残りのこのワクチンがターゲットとしていない型による頸癌はあり得るわけです。ですので、100%ではないという表現はまた考えられるかもしれませんけれど、90何パーセントという値をしっかり書いて、しかし、子宮頸癌検診も一緒にすることが重要ですというところは、我々産婦人科医がしっかり伝えていきたいなと思っているところです。以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。それでは、続きまして苛原参考人から御発言いただきたいと思います。苛原先生、聞こえますか。

○事務局 苛原先生、ちょっと聞こえづらいようなので、もう少しマイクを口に近付けてお話いただけますでしょうか。

○苛原参考人 聞こえますか。

○事務局 聞こえます。お願いします。

○苛原参考人 基本的には加藤先生がお話になったことと同じ意見ですが、現在の世界的な考え方としては、このワクチンを打って子宮頸癌を撲滅しようという流れは確定している方向ですので、是非このワクチンを販売に乗せていただけたらと思います。癌まで抑制するかどうかというのは長期間の臨床研究が必要ですので、すぐは難しいですが、CINを抑制するということは意義があると考えております。

 それから、安全性に関しては今回の研究でも従来のガーダシル等と大きな差はないということで、このシルガード9についての安全性もほぼ問題ないと考えております。最終的には、是非このワクチンを使って、日本が唯一先進国で子宮癌で多くの方々が亡くなるような国にならないようにお願いできたらと思っております。非常に簡単ですが、以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございます。ちょっと声が聞きづらいと伝えてくださった委員がいらっしゃいます。引き続き、大きめの声でお話いただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは、3人目の久保田参考人、こちらに今お見えです。御発言をお願いいたします。

○久保田参考人 久保田です。今回、審査されたことに基本的に私のほうから異論はありません。気になるのは、ここに書いてあるいろいろな市販後調査とか安全性の検討、それから5,000人調べるというのと、あと全例というのは案にすぎないので、これでどこまでやるか、どういう体制でやるかというのは固まってないです。これ、打った先生が全部やれるとは思えない。その辺の体制を案でなくて、もうちょっと具体的にというのも僕は必要だと思います。子宮頸癌に結果的に効くとしても、効くのはもちろん効くでいいですけれども、こういう直接リンクしているかどうか分からない「多様な症状」というのは恐らく出ると思います。その因果関係をレトロスペクティブでなくプロスペクティブに見るという意味でも、こういう調査を本当にちゃんとした体制で作らないといけないのではないかと思っています。それが1つです。

 それと、直接には関係ないですけど、2回接種のことが書いてあって検討するみたいに書いてありましたけれども、それは余り具体的でないですよね。市販された後、考えましょうかということですか。それをどこまでというのは、ちょっとお聞きしたいということです。

 それと、海外の状況を踏まえて全体の安全性や有効性を決めるというのは本当にいいかというのは、僕はちょっと疑問なところがあって、神経疾患の場合、特に小児の急性脳症とか熱性痙攣とか、日本を中心とした東アジアで多い疾患というのはどうしてもあるわけです。そういう意味での海外との比較の基礎的なデータになるような、今後のこの薬のデータの蓄積というのは必要だと思いますので、この市販後の調査を本当に本格的にやっていただきたいと思います。これは本当に効く場合も有効性、みんなが使い始めるということともリンクすることだと思うので、それを是非お願いしたいと思います。僕が気付いたのはそういうことです。

○清田部会長 ありがとうございます。それでは、最後の参考人の岡田先生より御発言をお願いいたします。岡田先生、聞こえますか。

○岡田参考人 岡田です。よろしいですか。

○清田部会長 どうぞ。

○岡田参考人 3人の先生方と基本的には同じですけれども、新しい添付文書には「多様な症状」に関して書いていただいて、重要な基本的注意事項の中に入れてもらっているというのは、とても有り難いことかなと思いました。そこで先ほど御説明があったように、全例登録による強化安全監視活動などというものは、これを今からやっていくということを添付文書の中にはなかなか書けないでしょうけれども、接種医に向けてこのような強化安全活動をやっていくということを、どこかで示されたほうがいいのかなと1つ思いました。

 もう1つは、送って来ていただいたシルガード9を接種された方、保護者の方へというパンフレットですけれども、このパンフレット、接種された方というのはありますけれども、副反応検討部会に出てきたように接種を希望されている、あるいは接種をされようとしている方々に向けても同じようなパンフレットを作っていただいて、そこでリスクコミュニケーションの専門家から、このようなパンフレットでいいのかどうかということを一度確認していただくほうが、接種医あるいは保護者、御本人の安心につながるのかなというふうに思いました。以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございました。先ほど久保田先生の御発言が聞きづらいという委員の先生方がいらっしゃいましたので、すみません、もう1回、簡単に、今度は近付けてやりますので。

○清田部会長 まず、聞こえるかどうか確認しましょうか。

○久保田参考人 久保田ですけれども、聞こえますか。

○清田部会長 先ほど聞きづらいという先生方、聞こえていますか。大丈夫ですか。

○清田部会長 では先生、お願いします。

○久保田参考人 僕が言ったのは、1つは、「多様な症状」がそれに該当するかどうかまだ分からないですけれども、小児神経の疾患の中には東アジアに多いという、欧米に比べると極端に多いというものがたくさんあるのです。急性脳症とか熱性痙攣とか欧米の2、3倍以上です。急性脳症自体は、10年以上前に論文を書いても、アジアの風土病だろうと言われるような言い方をされるくらい、日本、韓国、東アジアに多いのです。ですから、僕が気にしているのは、こういう「多様な症状」というのがバックグラウンドに何かそういう人種差と言いますか、そうしたものがあるのではないかというのは誰も証明できませんけれども、そういうのを含めて単純に欧米との比較でというのが本当にいいのかどうかというのは、僕はちょっと疑問に思っています。

 もう1つは市販後の調査です。5,000人を目処にしたり全例登録したりというのは、しっかりした体制を作ってやるべきだろうと思います。プロスペクティブに見ることもできますし、効果ももちろん見なければいけないですけど、効果プラスいろいろな副作用、まだリンクしているかどうか分かっていないような「多様な症状」というのが、どういう位置付けなのかというのを知るためにも、そういう体制をしっかりしなければいけないし、自分が患者さんに投与している薬で市販後調査というのがあって、すごい大変なので、だから、打っているドクターに全部それを預けていたら、多分あまりできないでしょうから、その体制をしっかり作ってもらうというのは必要だと思います。さっき言ったのはそれぐらいだと思います。

○清田部会長 ありがとうございます。聞こえていましたか。大丈夫ですか。ここまで参考人の先生方の御発言がありまして、委員の先生方から御質問のある方がいらっしゃいますけれども、先に参考人の先生方の御発言の中で、まず久保田先生が危惧されていた市販後調査のあり方とか国の取組ですね、それについて何か計画があれば御説明いただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、使用成績調査と全例登録による強化安全監視活動がきちんとできるのかというところにつきましては、RMPの中にも実施する旨を規定させていただいていますので、その計画に基づいて適切に実施されると考えています。全例登録の強化安全監視活動につきましては、本剤が納入される医療機関に対して依頼をして行うということになりますので、情報収集が適切に実施できるようなシステムは構築していく予定になっております。

○清田部会長 もう1つ、欧米のデータはそのまま日本に当てはまらないのではないかという御発言がありました。市販後調査のデータを解析するようなシステム、専門家の先生方が解析されるのか、そういう計画はあるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 まず企業にデータを集めていただきまして、そのデータに基づいて何ができるかというところについては、また検討させていただきたいと思っております。現時点で、具体的にどういったものができるかというところまでは、まだ検討できていないです。

○清田部会長 ありがとうございます。そうしましたら、岡田参考人からの御意見がございましたけれども、添付文書に追加の説明を盛り込んだほうがいいのではないかとか、あるいは追加の資料を作ったらいいのではないかという御意見がございましたが、これに関しましていかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 例えば情報提供資材という形の中で、その内容を記載させていただくことについて検討させていただきます。添付文書の中では、使用成績調査について記載するというのは難しいところがあるのかもしれないですが、何かしらの資材の中で全例登録や使用成績調査の内容などについては周知するような工夫をさせていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 全例登録につきましては、接種医のほうに適正な接種の方法についても教育する、となっておりまして、そこの時点で同時に、使用成績調査が行われているので接種者に登録してもらうように、というところを、企業にきっちりやってもらうように伝達をしようと思います。

○清田部会長 岡田先生、よろしいでしょうか。添付文書は基本的に変更できないですね。基本的にはそれでよろしいですね。

○医薬品医療機器総合機構 記載内容が、通常入れるものと書かないものがあるので、添付文書に書いていないものでも適切にきちっと接種医の方に情報が伝わるように、企業のほうに伝えていきたいと思います。

○清田部会長 聞こえましたか。よろしいでしょうか。

○岡田参考人 岡田です。よろしいですか。

○清田部会長 はい。

○岡田参考人 承知しました。添付文書になかなかこういうことを書き込めないのはよく分かっていますけれども、接種医に何らかの安心できるような情報提供をしていただくと、接種する側は少し安心かなというふうに思った次第です。ありがとうございました。

○清田部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の先生方からの御発言、それから御質問はよろしいかと思いますけれども、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。まず、順番で菊池委員から御質問を承りたいと思います。菊池先生、聞こえますか。

○菊池委員 はい、聞こえます。いいですか。

○清田部会長 よろしくお願いします。

○菊池委員 001試験は日本人の部分集団でGMTで見ていて、008は陽性化で評価していますけども、008試験のときの抗体価は実際どれぐらいの値で陽転と判断したのですか。お答えください。

○清田部会長 菊池先生、すみません、審査報告書のどこの所を指しておられるのか教えていただけますか。

○菊池委員 PMDAの人がいるのですか、そこに。

○清田部会長 はい。

○菊池委員 ですから、001試験と008試験は日本人の部分集団で、001127名にやっていて、008は単独で日本人だけにやっているのです。そこの評価の仕方が、008のほうは抗体価の陽性化率だけで見ていますけど、抗体価は実際にどの程度上がっているのですかというのが、まず最初の質問です。意味、分かりますか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。機構からお答えいたします。

○清田部会長 何ページか言ってください。

○医薬品医療機器総合機構 ページ数は18/57ページになります。表21があると思います。表21が陽転率のデータとなります。この表21の上の段落を見ていただきたいのですが、委員からの御質問、まず閾値はどうなのかというところだと思いますので、その上の段落の3行目の所に8mMU/mL未満から、それ以上に上がったというのを陽転と見ているという記載をさせていただいています。次に、実際にどれぐらい上がったのかということですけれども、そちらのほうは審査報告書には載せていないのですが、データとしては出ておりまして、大体GMTの数にして成人女性に比べて倍以上の数字になっております。以上です。

○清田部会長 菊池先生、よろしいですか。

○菊池委員 それでいいと思いますけど、これ、子供のほうで高かったのですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。

○菊池委員 そうすると、もう1つの質問は、3回打つ必要があるかという検証をしているのかということであって、それはどうなんでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 接種回数につきましては専門協議のほうでも議論になりまして、欧米のほうでは、年齢層の若い場合につきましては2回接種でも認められている状況です。それにつきましては専門協議後に申請者のほうに、2回接種の開発はどうするのかというところを確認しておりまして、今後開発を検討するという回答を頂いております。

○清田部会長 いかがでしょう。

○菊池委員 分かりました。そうすると、あと副反応が出ているというのは、初回が多いのか、2回目なのか、3回目なのか、そういう評価はしていますか。

○医薬品医療機器総合機構 回数には依存しないという結果が得られております。

○菊池委員 回数には関係なく、毎回それだけ出ているのですか。同じ程度に出るのですか。

○医薬品医療機器総合機構 程度としては同じ程度です。

○菊池委員 分かりました。あと、それはそれでいいのでしょうけど、ただ、この中の少なくとも200人にやるということで、打つ場所の推奨部位というのは、資材には大腿部の所と上腕に打っていくような感じですけど、どちらのほうが出やすいとかそういう検討がすごく大事で、一番痛い部分の所の検討とかしているのでしょうか。

○清田部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、そこまでのデータは持ち合わせてございません。

○清田部会長 それは後で確認させていただいて、委員の先生方に御報告するということでよろしいでしょうか、菊池先生。

○菊池委員 はい、構いません。結構です。もし回数によって変化があるとか、あと、抗体価のほうも3回目は測っていなくて、途中でそういうデータがあるのだったら、若い方には2回で済むということが分かれば、もっと打ちやすくなるかと思った次第です。

○清田部会長 ありがとうございます。では、それは後で皆様に御報告していただくということにいたします。

○医薬品医療機器総合機構 2回接種について1点だけ補足させていただきます。海外では2回接種が認められてはいるのですが、接種スケジュールは異なっておりまして、3回接種だと0、2、6か月目という打ち方になりますが、2回接種の場合は0、6か月目ということで真ん中を抜かすという形の打ち方になっています。最初2回打って止めるというのではなく、最初と最後打って真ん中を抜くというスケジュールになっておりますので、そのまま3回接種のときの臨床データを流用できるというわけではないということは、御理解いただきたいと思います。

○菊池委員 承知しました。

○清田部会長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、次に長島委員から御質問があるようです。長島先生、聞こえますか。

○長島委員 はい、私の声、聞こえますでしょうか。

○清田部会長 聞こえています。

○長島委員 それでは質問いたします。日本では積極的な勧奨の差控えにより、世界でも珍しく極めて低い接種率になっております。そこには国民の不安とか不信というものがありますので、それを解消するためには、特に本部会で安全性についてしっかり検討することが極めて国民に対して重要だろうと思っております。その中では、特に日本人に何か特有なものがあったのか、なかったのか。日本人集団と他の集団と比べて副反応、有害事象等に違いがあるのか。なければないということも非常にデータになると思うので、そこをきちんとする必要があるかと思います。

 そこに関係することで、機能性身体障害を惹起するきっかけになり得るものとして、あるいは否定できないものとして、接種後の局所の疼痛や不安というものも言われていますけれども、審査報告書24ページ下から4行目の所の有害事象の発現状況を見ると、本ワクチンが抗原量及びアジュバント量が多いためか、注射部位疼痛が表28を見ると本剤が4.3、ガーダシルが2.6と疼痛の発現が多いのは心配されるところです。ここのところをきちんと検討する必要があると思いますが、まず、これは日本人集団において特に高いというデータがあるのか、ないのか。そして、この疼痛が出た方々がその後、何かの副反応、副作用につながっているのか、そのとき一時的なもので終わっているのか、ここはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。副反応の発現状況でございますけれども、通常のレベルの副反応に関しましては、審査報告書25/57の表29を御確認ください。この表は、全集団と日本人部分集団の副反応の発現を比較しているものになります。特に、「多様な症状」との関連が疑われる疼痛につきましては、注射部位の所の一番上の所で記載させていただいております。全集団が89.9%、疼痛、有害事象として出ているのに対し、日本人部分集団においては81.9%となっております。報告書上では記載はしておりませんが、それ以外の人種差等も実は確認したのですけれども、日本人の部分集団が疼痛に関しては一番発現率は低かったという結果が得られております。

 次に、重症の疼痛の場合はどうなのかというところですけれども、審査報告書には記載はしていないのですが、こちらにつきましては重度の疼痛は7名の方で出て5.5%になっております。全体集団のほうは、今、開いていただいているページの上の表28を見ていただきますと4.3%ということで、日本人集団のほうはn数が少ないのでどれぐらい評価できるか分からないのですが、そこまで大きな差はないということになります。

 次に、回復性ですけれども、本治験に参加されました1例の追跡不能になった方を除きまして、全ての局所反応につきましては回復性が見られており、特にそれによって「多様な症状」が発現した等の情報は得られておりません。以上です。

○清田部会長 長島先生、よろしいでしょうか。

○長島委員 ただし、2価、4価のもの、既に承認済みのワクチンのときも、恐らく審査のときにはこういうような問題点がなかったはずなのですが、それが実際に接種された後で日本において特に問題が起こっているということを考えますと、疼痛に関しては日本においては十分な配慮が必要ではないかと思っております。あるいは不安の解消に関して。それを実現するために注射の方法や説明に関しては、きちんと医学的な根拠に基づいた標準化をしたほうがいいのではないか。注射の部位とかやり方、事前あるいは事後にどのような説明をすればいいのかというのを心理学的、精神科的、あるいは小児科の先生方にきちんと検討していただいて、実際の例えば注射のビデオを作るとか、説明のための書式を作るとかして、ここのところをしっかり標準化する。そうしないと、その後に何か起こったときに何が原因か分からないということで、ここのところの標準化、それにつながるような資材作成を是非お願いしたいと思います。

 また、添付文書にこの注射部位の疼痛の発現頻度はガーダシルよりも高いことは、きちんと書いて注意喚起したほうがいいだろうと思っておりますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりだと思います。確かに忍容性という観点で機構は「ある」と判断しているのですが、痛みが多いということは説明が必要であると考えております。今回の資材ですが、ガーダシルの資材と比較いたしまして、情報提供資材に内容が追加される予定となっております。1つ目は、接種前の確認事項として血管迷走神経反射による失神及び注射部位に限局しない激しい疼痛の情報というものが足されることになっております。また、接種後の注意事項として、HPVワクチン接種後に認められた「多様な症状」に関する情報、冊子が加えられます。

 また、冊子に加えまして、2種類のデジタル資材を用いた情報提供が行われる予定になっております。1つ目が、ワクチン接種の痛みについての説明のデジタル資材です。これについては、痛みがなぜ起こるのか、痛みの原因、ワクチン接種の痛みや不安を和らげるための手段などが載っているデジタル資材となります。専門協議でもあったのですが、情報自体は必要ですけれども、過剰な恐怖心を与えることには問題があるということで、当該資材につきましては中立的に痛みに関する情報提供や痛みや不安軽減のための方法、説明、声掛け、処置等の内容が記載されております。もう1つのデジタル資材ですけれども、これにつきましては筋肉内接種の手技につきまして動画が作成されております。

 あと、添付文書ですけれども、添付文書のほうも先生のおっしゃるとおりだと思いますので、どのような記載にするかというのは考えさせていただきたいのですけれども、添付文書を読むことによって、ガーダシルと比べて疼痛が強いというところは分かるような記載を検討したいと考えております。以上です。

○長島委員 ありがとうございました。国民の不安を解消するためには適切な接種の仕方とか説明の仕方、その後の経過観察の仕方、副反応が起こった場合の報告の仕方について、きちんと研修を受けた医師が接種を行うという体制、これをしっかり作ることが安心につながると思いますので、こちらのほうも是非お願いしたいと思います。

○清田部会長 ありがとうございます。私から確認させていただきたいのですが、疼痛が強いというのと、疼痛の発現する頻度が多いというのとがごちゃごちゃになっているような気がします。これは表現に気を付けたほうがいいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。

○清田部会長 それから、菊池先生の御質問とも絡むと思いますが、長島先生の御提案は、注射部位の頻度の発現が低い部位を選んで統一したほうが後で説明しやすいのではないかという御提案でしたけど、今のところどこを打ってもいいというスタンスなのですか。長島先生、それでよろしいですね。

○長島委員 それですと、例えばその後、何かの有害事象なり反応が起こった場合に何が原因なのかという理由が分散してしまう。あるいは、やり方がみんな違うとなると国民の不安があるので、接種を受ける方の体の状況もあると思いますから1か所に限定しないにしても、一番望ましい場所とか次に望ましい場所とか、こういう部位にこういうような角度で、これぐらい入れましょうというように、きちっとしたものを作らないと、なかなかその後のフォローも調査しにくいし国民の不安も解消しにくいと思うので、こちらは学会と是非御検討いただければと思います。

○清田部会長 これはよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。

○清田部会長 では、その方向で努力してくださるようですので、よろしいでしょうか。

○長島委員 はい。次ですけれども、日本人に関係する有害事象として接種後の起立性頻脈症候群、それから複合性局所疼痛症候群の報告が日本からあったと書いてあります。審査報告書28ページの上から2行目、3行目です。一方、その28ページの下から6行目からは、EMAによると発現割合に大きな違いはなかったと書いてありますが、ここの所を少し詳しく説明していただけますか。

○清田部会長 場所は分かりますか。

○長島委員 日本人において、これらの起立性頻脈症候群とか複合性局所疼痛症候群が起こりやすいのかどうか、割合が多いのかどうか。あるいは、それに関しては特に問題がないのかということです。

○清田部会長 何ページか教えてください。

○長島委員 28ページです。

○清田部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 現状におきましては、機構としても幾つかの論文を確認はさせていただいているところです。確認した論文の検索キーワードにつきましては、48/57ページの下の注釈の所に、機構がどのようなキーワードで文献を検索したかを記載しています。体位性起立性頻脈症候群及び複合性局所疼痛症候群とワクチンの関係ということで論文は検索しましたが、現状におきましてHPVワクチン接種によってこれらの症状が多くに出る、若しくは日本人でこれらの症状が多いというところに関してのエビデンスは得られていないという状況になります。

○長島委員 ということは、ないというのは極めて重要な情報ですので、そこもきちんとお願いします。それから、「多様な症状」に関しましては29ページの7.R.4.2で海外における販売後の安全性情報の所に、ずらっといろいろな症状が並んでいて、その中には「多様な症状」に合うようなものもありますけれども、これらのものは特に問題がないという判断でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 これらの上がってきたもののうちで、少なくとも、本剤接種と起立性頻脈症候群又は複合性局所疼痛症候群との関連を示唆する症例というのは見付けられておりません。「多様な症状」というのは定義がまだ曖昧なところがございまして、どこまで集めるのかということについては議論はあると理解しております。ですので、今回の使用成績調査において広く情報を集めていただいて、それをもって「多様な症状」の状況を把握できるように、本邦で一定数取ることにより、「多様な症状」の実態とは何なのかというところをクリアにする目的で使用成績調査のほうを組ませていただいているという経緯がございます。

○長島委員 これは販売後で○○○万ドーズのデータですから、かなり信頼性が高く役に立つ情報かと思います。そこで「多様な症状」に合致するものは極めて少ないということがきちんと言えれば国民は非常に安心すると思いますので、そういう観点での検討をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。

○清田部会長 ありがとうございます。

○長島委員 それから、販売後調査で5,000例、2か月となっていますが、その5,000例というものの根拠は何でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。まず症例数設定の根拠から御説明させていただきます。審査報告書52/57ページの所に文章で根拠について書かれていますが、これだけでは少し分かりにくいかと存じますので、少し噛み砕いて御説明させていただきたいと思います。

 まず、「多様な症状」は先ほども申しましたが、まだ定義がクリアではないところがあります。しかしながら、使用成績調査を行うに当たりましては一定数の例数を決定しないといけないので、どのようなものを根拠に算出するのかというところはかなり議論になりました。そこで用いましたのが「全国疫学調査」、厚生労働省行政推進調査事業補助金新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業、子宮頸癌ワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究、祖父江先生が行った研究のデータを基本とさせていただきました。本報告におきまして、ワクチン接種歴のない女子における期間有訴率は10万人中46.2名でした。そこから算出して、90%の信頼度で1例の対象症例を検出可能なものとして5,000例というものが算出されました。

 続きまして、祖父江先生の報告では、3か月以上持続かつ就学・就労に影響というのがクライテリアとして入っていましたので、比較的重度な症例のみがピックアップされているのであろうと判断しました。ですので、当該1例というのは「多様な症状」の中でも重症例と想定されます。

 そうすると、重症例ではないのがどれだけ捕まえられるのかというところを推定するために、次に名古屋市が行いました調査、「名古屋スタディ」も参考とさせていただきました。名古屋スタディにおける「多様な症状」が疑われる症例のうち、どの程度の割合が就学や就労に影響するのかというのを算出いたしまして、その結果、5,000例の調査を行うことによって重症度に関わらない「多様な症状」ということですと、10数例以上は検出可能であると算出されました。したがいまして、この5,000例という設定により、その重症度にかかわらず、一定数の「多様な症状」が疑われる症例というのがピックアップ可能であるというところで、それによって「多様な症状」の実態を把握するための重要な情報になり得ると判断しました。

 続きまして、観察期間の根拠についてお話させていただきます。観察期間に関しましては当初の申請における期間は2週間でした。もちろん、2週間は通常のワクチンであれば通常の期間なのですが、本剤のことを考えますと、これは短いだろうという意見が出ました。ですので、可能な限り長くするというのが重要であるという意見が出ておりました。しかしながら、本剤は健康な人に接種するワクチンであって、通常の治療薬のように定期的に来院されるというわけではございません。ですので、医師も申請者も被験者の来院というのはコントロールが不可能であるということで、現実的に接種医が接種された方にコンタクトを取り切れる範囲で、観察期間をぎりぎりまで延ばしましょうというところで頑張った結果、最終的には2か月というのが現実的に可能な観察期間ではないかと判断いたしました。

 最後に、調査項目についてですけれども、「多様な症状」の定義というのは明確ではございませんので、本調査では有害事象をまず広く収集することをいたします。その一方で、何が「多様な症状」と予測されるのかに関しましては、例数設計の参考とさせていただきました祖父江先生若しくは名古屋スタディの調査項目で、「多様な症状」ではないかと考えられた項目に焦点を当てることとしました。項目数が多いので全て読み上げるのは避けますが、具体的には疼痛及び聴覚の障害、疼痛であったり感覚鈍麻であったり光過敏のようなもの、自律神経症状、倦怠感、疲労感、視野の異常、耳鳴りというようなもの、認知機能障害、記銘力の低下、集中力の低下、簡単な計算ができなくなったりなど、そして運動障害、体が自分の意思に反して動く、歩行障害、握力の低下、これらの項目に広く収集した有害事象で当てはまるものをピックアップし実態を把握する。そういう計画になっています。説明は以上です。

○長島委員 ありがとうございます。この使用成績調査をしっかり行うというのが国民の安心につながりますので、しっかり根拠に基づいて十分必要なものを行うという説明もしていただくと有り難いと思います。制度を作っても、接種した医師が正しく協力していただかないと実際の役に立たないので、そこのところもしっかり、医師が協力しやすいようなシステムにしていただくことが重要かと思います。

○清田部会長 ありがとうございます。

○長島委員 最後の質問ですけれども、本ワクチンの臨床的な位置付けとして、これは今までの2価、4価のものと完全に置き換わるものなのか。あるいは使い分けをするとするとどのような使い分けになるのか、ここはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。まず当面、申請者ですけれども、ガーダシル側につきまして男性の適応の開発を現在行っております。したがいまして、少なくとも当面の間、男性の適応についてはガーダシル、そして女性についてはシルガード9を使う計画ではないかと推定されます。将来的に全て置き換わるかどうかについては、現状では情報を持ち合わせてございません。

○長島委員 その辺り、もし参考人の先生方で何かお考えがありましたら、お聞かせ願えればと思います。

○清田部会長 先生、いかがですか。

○加藤参考人 加藤ですけれども、いいですか。

○清田部会長 どうぞ。

○加藤参考人 今の御意見は大変重要で、今は特に性交歴を持つ前の女子という感じでワクチン接種されているのですが、もちろん20歳以上も打てるのですけど、一番大事なのは男性も打つことではないかと思っております。それで将来的には、ちょっと男性が何でガーダシルになるかはよく分からないですけど、この9価ワクチンも男女ともに打つというようなことを目指すのが一番いいのではないかなと思っております。実際に男性も肛門癌とか喉頭癌とか、いろいろなりやすい癌もありますので、HPV関連癌というのは男女問わずありますから、それは目指すべきかなと思っております。

○清田部会長 ありがとうございます。長島先生、よろしいですか。

○長島委員 はい。

○岡田参考人 岡田ですけれども、よろしいですか。

○清田部会長 はい、どうぞ。岡田先生、どうぞ。

○岡田参考人 今後、承認された後は、今の制度では部局は違いますがワクチン評価の小委員会で、これをどのようにして使っていくか、とくに定期にするかしないかも含めての評価が行われると思います。承認後にワクチン評価の小委員会で議論が始まると思います。

○清田部会長 ありがとうございます。それでよろしいですか。外国はどんな感じなのか伺っておきたいですけど。外国の例を御紹介いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 海外の事例ですけれども、米国につきましては既に全て9価に置き換わっておりまして。

○清田部会長 男女ともですか。

○医薬品医療機器総合機構 男女ともに9価が接種されるという状況です。欧州はまだ両方使える状況になっております。以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。あと、メッセージで御質問する旨を頂いております3名の委員からです。宗林先生、大隈先生、中野先生の順番で御質問を承っておりますので、まず宗林先生から御質問いただきたいと思います。聞こえますか。

○宗林委員 はい、宗林です。3点、御質問等をさせていただきます。聞こえますか。

○清田部会長 聞こえます。

○宗林委員 まず1点目は、先ほどからも少し関係のことが出ておりますけれども、既承認のHPVのワクチンについては、その後「多様な症状」等が出て積極的な接種を差し控えているという経緯が、もちろん皆さん御存じのとおりあると思います。ですから今回、この新しいものを承認するに当たって、今の内容ですと「多様な症状」はどれも因果関係がないというようになっていますけれども、実際には積極的な接種を差し控えているというような現状ですので、先ほど長島先生もおっしゃっていましたが、今度のシルガード9について安全性の観点から、今で言えば市販後の5,000人の結果、あるいは接種の仕方などによって違いがあって、国民にとって安心して接種ができるというような御説明がないと、積極的な接種の推奨ということには至らない、あるいは至っても国民のほうは不安が残るのではないかと思うのです。ですから、せめて5,000人の市販後調査が終わってから、その結果を解析し、大丈夫だということの後に、そういう広範囲での接種ということを始められたらと思いますか、いかがでしょうか。

○事務局 事務局から御説明させていただきます。定期接種については、先ほど岡田先生からもありましたような形で、他部局での検討になっているというのが現状でございます。積極的勧奨については、医薬・生活衛生局と健康局の2つの部局での別の会議において検討がされると思いますので、本部会で議論するというのは一定程度の限界があるとは思いますけれど、そういった検討の中で本剤が承認された後に十分に検討がなされることなのかなと思います。

○宗林委員 それでは、既承認のものについても「多様な症状」について因果関係がないということが書かれていますので、そういう意味では同じような状況で新しいものについて、今、承認が出ているという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。機構は、別添のほうでまとめさせていただいていますけれども、HPVワクチンが「多様な症状」のリスクを増大させるエビデンスは認められていないと評価しております。

○宗林委員 分かりました。それでは、他部会ということなのでこれ以上はお話しませんけれども、やはり国民が男性も含めて自分が接種をしていくということで広がっていかないと、子宮頸がん撲滅につながりませんので、是非その辺を、今度の9価のものについて広まるようなデータを出した上で、慎重な取扱いをお願いしたいと思います。

○清田部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 機構より補足します。この使用成績調査の5,000例ですけれども、使用成績調査という形なので協力の得られた医療機関でのみ接種された結果を詳細に集めるという計画になっております。現実問題として既に承認されている2価、4価では積極的な勧奨が差し控えられている状況の中で、この1,000例単位での情報を集めることが実際に難しい状況で再審査を進めています。この9価についても今の状況で販売を始めたとしても、この5,000例を集めるのは予定では6年間の予定ですが、このままの状況ですとかなり難しいと企業のほうでは考えていて、予防接種のほうである程度進められる状況でないと、この症例を集めていくのは難しいのではないかとも考えている状況です。したがいまして、例えば宗林委員からお話があった、この5,000例の結果が出てから広くというのは現実的には少し難しいかなと考えております。以上です。

○宗林委員 分かりました。それから2つ目でございます。30/57の所にもありますし、海外の安全性のいろいろな症状について書いてある所の失神についてという所に、接種後15分程度、被接種者は状態を観察する必要があるため、医院の中にとどまりなさいという感じのイメージが考えられます。そして、今日御説明頂いた被接種者宛てのシルガード9の接種された方へとの記載がありますが、添付文書の中にはそういう表現がないように見えます。これは是非、医師側も含めて接種された後、アナフィラキシーもそうですが、比較的短時間ですけれども院内にとどまるということについて、15分とか30分とか、そういったことを追記されたほうがよろしいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構から説明させていただきます。シルガード9の添付文書に接種上の注意という所がございまして、2の重要な基本的注意というところに、接種後30分程度は座わらせるなどした上で。

○宗林委員 そうですか、添付文書の何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 2ページになります。2ページの左側の左下の所です。重要な基本的注意の()です。

○宗林委員 分かりました。承知しました。それから3点目、これは質問ですが、海外でも承認されてからの年数がそれほどたっていないので、正しくは分かっていないのかもしれませんが、これの抗体価の維持は何年ということについてのある程度データがあるのでしょうか。というのは、先ほど参考人の先生からも、これで100%ではないという中に、20歳からまた子宮頸癌の定期検診を受けてくださいという言葉もありました。この定期検診を今までのように受けるということは、この9種類では全部カバーしきれていないから、20歳ぐらいから癌を意識した人が受けてくださいという意味なのか、抗体価を意識してこういう言葉が書かれているのかということもお聞きしたいし、普通の癌年齢、50歳ぐらいとか4050になりますと、再度接種しなければいけないということが前提になっているのかどうかも伺いたいと思います。

○加藤参考人 加藤ですけど、いいですか。

○清田部会長 どうぞ。

○加藤参考人 先ほど私も意見を言いました。やはり検診と併用という意見は、抗体価の長期的な流れというのは私もよく分からないのですが、宗林先生が言われたように、このワクチン9価だけでは補えない、ヒトパピローマウイルスのハイリスク型があるということが、一番のメインの原因というか理由です。

○宗林委員 ありがとうございます。

○清田部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。

○宗林委員 事務局がもし分かれば、抗体価は何年ぐらいというのは、これは分かっているものなのでしょうか、ある程度前に許可されて使っている国があると思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。まず先行品のガーダシルでございますが、これは14年までの抗体価維持が確認されております。本剤につきましても同様にフォローアップの試験が行われておりまして最長7.6年間まで、まだ今後も続きますけれども、現状では7.6年まで新たな病変が見られていないというところは確認されております。

○宗林委員 サーバリックスは、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 ちょっとお待ちください。

○宗林委員 結構です。サーバリックスが一番古いと思ったので、観察期間が長いかなと思ってお聞きしたまでです。

○清田部会長 今、ちょっと調べています。部会長の清田です。私の記憶によりますとサーバリックスも長い間効果があると記憶していますけど、手元に資料がございませんので後ほど先生に届けていただくように、あるいは委員の先生方にお知らせするようにさせてください。よろしいでしょうか。

○宗林委員 はい。抗体価の切れる頃には、もう1回、再接種ということが後々は出てくるということですね。

○清田部会長 そうですね。

○医薬品医療機器総合機構 現状ではまだ分からないところですけれども、可能性はあると思います。

○清田部会長 と思います。

○宗林委員 分かりました。

○加藤参考人 よろしいですか、加藤ですけど。その点なんですけれど、このワクチンは治療ワクチンではなく予防ワクチンなので、結局ヒトパピローマウイルスにナイーブな方の効率と、もう既に性交を重ねているというのはおかしい言葉ですけど、結構40代ぐらいになってから打つとワクチンの効率というのが、また違った解釈になるのではないかなと思っております。

○医薬品医療機器総合機構 機構より、サーバリックスのほうですけれども、抗体価の維持の情報が確認できました。9.4年維持されるということまで分かっています。

○清田部会長 宗林先生、よろしいでしょうか。

○宗林委員 はい、分かりました。ありがとうございました。

○清田部会長 ありがとうございます。それでは、次に大隈委員から御質問があるようです。大隈委員、よろしいですか。聞こえますか。

○大隈委員 大隈です。聞こえますか。

○清田部会長 聞こえています。

○大隈委員 よろしくお願いします。2つ質問させてください。1つ目は、本剤はガーダシルと比較しまして抗原量とアジュバント量が多いわけですけれども、海外の試験におきましては抗原量を検討する試験が行われております。アジュバント量は資料から見えないですが、この量を設定するための検討や設定根拠というのはありますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。この9価の開発の前に、少ない価数の開発が行われていたときに、アジュバント量についても検討されていたようで、今回の9価の申請に当たってはそこの細かいデータはこちらも入手はしておりません。開発経緯の中で抗原量を増やすのに合わせてアジュバント量を増やして、この量が決定されたということは確認しております。

○大隈委員 分かりました。2つ目ですが、添付文書案の1ページ目に効能・効果に関連した接種上の注意というのと、用法・用量に関して接種上の注意というのがあります。点線で囲んであったので非常に見やすいかと思いますけれども、一方で、2ページ目にまた接種上の注意というのがあります。これは同じ接種上の注意でも特に重要なので、そこから特に選んで1ページに記載されているということで、よろしいでしょうか。

○清田部会長 分かりますか。重複している。

○医薬品医療機器総合機構 こちらの記載につきましては、ガーダシルもサーバリックスも、効能・効果に関する接種上の注意と用法・用量に関連する接種上の注意については、このような形で記載をさせていただいております。特に用法・用量とか効能・効果に直結するような注意ということで、このような記載にさせていただいております。

○大隈委員 あえて分けて記載されているということで、よろしいですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。

○大隈委員 承知しました。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの1点目の質問に関連しまして、アジュバントの量の検討につきましては、開発の過程で少ないアジュバント量での8価ワクチンが作られたのですけれども、そのワクチンですと、ガーダシルに含まれる4価に対する抗体価のデータが上がりにくかったということで、アジュバントが増やされたという開発の経緯になっております。

○大隈委員 承知しました。

○清田部会長 ありがとうございます。それでは、最後に中野委員からの御質問です。中野先生、よろしいですか。

○中野委員 ありがとうございます。時間も押していますので手短にまいりたいと思います。その前に、宗林委員がおっしゃった抗体価の持続に関してですけれども、このワクチン、抗体価は非常に長く持続しているようで良いワクチンだと思います。ワクチン学の一般からいきますと、例えばB型肝炎ワクチンなどは抗体価は早期に低下いたしますけれども、諸外国のデータとして非常に長きにわたって肝臓癌を予防できているわけです。このHPVワクチンとして抗体価が長く持続するというのは、癌も長く予防できるのではないか、疾病も長く予防できるのではないかと一般的には期待ができると思います。ただ、それを確認するためには抗体価だけでなく、抗体価を何年も見ていくというのはすごく大変な作業だと思うので、接種した方からの発病がないかなど、今後、長期のデータが集まってくると臨床的な有用性がもっと分かるのではないかと、私としては考えております。

 私からの質問は2点ございます。1つは、多くの委員の先生方が触れておられるシルガード9とガーダシルを比べて、抗原量とアジュバント量が多いということに関してでございます。きっとアジュバント量を多くしなければならなかった理由、あるいは抗原量に関しても、それぞれのタイプのHPVの成分を多くしなければならなかった理由というのは、一般的に抗原成分の種類をたくさん増やしますと、それぞれの抗原成分に関する免疫原性は落ちる、低下するケースが多いというのがワクチン全般に関することなので、これはきっとアジュバントの各抗原成分も増やさざるを得なかったのではないか、有効性を期待するためには増やさざるを得なかったのではないかと私自身は考えております。

 長島委員も御質問されたように、では安全性はどうなのかということはしっかり検証しておかなければならないことであるわけです。24ページから25ページに書いてございますが、長島委員は疼痛のことを取り上げて、その後のいろいろな症状とも関係するのではないかということで疼痛のことを取り上げていただきましたけれども、疼痛以外に腫脹とか発赤にもシルガード9のほうが高い傾向にあるわけです。これは抗原量とかアジュバント量がこの程度増えていることを考えると、多分、他のワクチンでもこれは起こり得ることかなと思っています。

 そこで機構に確認させていただきたいことは、2つのワクチンの添付文書を比べますと、異なっている成分は抗原量と抗原の種類とアジュバントの量だけで、ほかには異なる成分はないわけです。ないということを確認したいのです。と申しますのは、国民の皆さんに対する的確な情報を医師は正しく発信するということが大事で、局所反応は増えるけれども、それは恐らく抗原の種類と量、それとアジュバントが増えたことによる局所反応であって、しかもその局所反応はtolerableな、忍容性のあるものであったという情報もきちんと流していただきたいと思うので、そこを今一度確認させていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。委員のおっしゃるとおり変更されているのは抗原量とアジュバント量だけであり、それ以外の構成成分は変わっておりません。

○中野委員 ありがとうございました。2つ目、もう1回手短に言います。53ページ、これも何人かの委員の先生方が、非常に注目しておられた全例登録による強化安全監視活動の骨子、これは大変良い試みで私もこれは良いなと思っているのですが、確認させていただきたいことは、これはあくまで有害事象が報告された症例、恐らく自発報告のケースが多いのではないかと思います。きっと打った方全例を2年間にわたって、例えば半年ごと、1年ごとに何もイベントがなかったかというのがもし確認できれば、それはすばらしいことなのですが、それは途方もない作業になるので、私はこの調査を拝見して、恐らく有害事象があった方に関して詳細に背景も含めて調査と理解したのですが、その理解で間違っていないでしょうか。そこを確認させていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。中野委員が御質問されたのは、表46に当たる全例登録のほうでよろしかったでしょうか。

○中野委員 左様でございます。

○医薬品医療機器総合機構 こちらのほうは、2年間は接種された全ての方に登録をしていただく計画で考えております。その後、何かが起こったときの話ですけれども、一般的な副作用報告の形でその情報は収集する計画にとなっております。これまでの2価、4価が承認された後の対応におきまして、いろいろな症状が出た患者さんが複数の医療機関にかかってしまっていて、それらの副作用報告が1人の患者さんの報告なのか、複数の患者さんの報告なのか把握しにくかったということがありました。そのため今回は、できるだけ紐付けができるように接種された方全てを登録する形でやってみて、何か症状が出てどこかの医療機関にかかられたという情報が入ったときに、その方が接種されたどの方に当たるのかという紐付けができるようにするための計画として、このような全例登録の形を計画していただいております。

○中野委員 かしこまりました。症状が出た方を全て紐付けできるようにというのが一番の目的ということでございますね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。それはあくまでも事後的に別に行うもので、まずは登録をしていくだけの計画になっています。

○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。

○清田部会長 ありがとうございます。これで御質問の全てを承ったわけですけれども、長い間本当にありがとうございます。今日は発言していないそのほかの先生は御発言がございますでしょうか、お知らせください。よろしいでしょうか。様々な角度から御意見・御質問を頂きまして、有効性については大体皆さんに御理解いただいたものと理解しています。それから安全性につきましても、その周知の仕方や今後の調査の方法、これにつきまして十分国民の皆さんに、あるいは接種者に周知をしてというようなニュアンスであったかと思います。したがいまして、全体の方向性としては、おおむね肯定的な御理解でよろしいかというふうに。

○加藤参考人 すみません、加藤ですけど、いいですか、最後に。

○清田部会長 どうぞ。

○加藤参考人 先ほどから委員の先生のお話を伺っていて、我々は産婦人科医でどちらかというと打つほうですけれど、安全性、国民に安心を与えるというところで先ほど貴重な意見を長島先生から頂いたと思いますが、打つほうの教育ですね。何かそういう学会が、打つのは多分、産婦人科医と小児科医ぐらいになると思いますが、そういうeラーニングか何かを受けた人が打てるみたいな、そういうシステムを学会としても考えたほうがいいかどうかというところを、先ほど御意見を聞いていて思ったのですけれど、どう頑張っていくのか。分かりました。それは、いつこれを公表していいか分からないですけれど、公表していい時期になったら学会のほうに持ち帰りまして、そういう教育システムを作るということも考えさせていただきたいと思います。

○清田部会長 是非、御検討ください。ありがとうございます。それでは、冒頭にも申し上げたとおり、この医薬品部会におきましては書面での持ち回り開催を基本として、直接的な意見交換の場としてWeb会議を行っておりますので、本日以降、一定期間は御質問・御意見を受け付けるということにいたします。したがいまして、追加で御質問・御意見がございましたら、事務局までお送りください。最終的な議決につきましては後日、全委員から書面での議決を頂くことにいたします。

 続きまして、議題5につきましては、やはり同じような立場から追加で御質問・御意見がありましたら事務局までお送りください。これも最終的な議決につきましては後日、全委員から書面での議決を頂くことにいたします。なお、議題5につきまして議決後にパブリックコメントを実施した後、再度審議が必要かどうかにつきましては部会長と相談の上、決めさせていただきます。

 それから、今日は加藤参考人、苛原参考人、久保田参考人、そして岡田参考人、本当にありがとうございました。本日の議題は以上でございますが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 事務局でございます。先ほど部会長からも御発言がございましたけれども、本日御議論いただいた内容につきましては、本日お越しになれなかった委員の方にもフィードバックをさせていただいた上で、後日改めて全ての委員から書面で承認の可否についての議決を取らせていただきまして、その結果をもって最終的な議決とさせていただきます。また、繰り返しとなってしまいますが、本日のWeb会議後でも御質問・御意見を受け付けることとしております。こちら、本日の議論で口頭でいろいろと御説明をさせていただいたりした数字などもございますので、そういったところ、もし御不明点等がございましたら頂ければと思いますので、事務局宛てにお送りいただき個別に回答をさせていただければと思います。

 次回の部会でございますが、5月28日に今のところ予定させていただいているところですけれども、このような状況下でございますから、また部会日程等々いろいろと逐次御連絡をさせていただきますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。本当にお疲れさまでした。ありがとうございます。

( 了 )

【議事要旨・別紙】
 

議事要旨
 

別紙

 

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)