令和2年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和2年6月22日(月)13:30~15:07

場所

労働委員会会館7階 講堂

議題

  1. リスク評価の基本方針について
  2. リスク評価対象物質の選定について
  3. リスクコミュニケーションについて
  4. その他

議事

 

○神田有害性調査機関査察官 先生がお一人まだお着きになっておりませんが、定刻となりましたので始めさせていただきたいと思います。
 本日は、先生方におかれましては、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。これより令和2年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催させていただきたいと思います。
 本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、私、有害性調査機関査察官の神田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず出席状況についてでございます。
 本日より日本化学工業会の靍谷委員の御後任といたしまして日本化学工業会化学品質管理部兼環境安全部部長の高崎直子先生に御出席いただいております。
 高崎先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○高崎委員 高崎です。どうぞよろしくお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 本日は漆原先生以外の委員全員に御出席いただいております。
 また、本日の会議は、新型コロナウィルス感染症の状況に鑑みまして、一般の傍聴者はなしということで開催させていただいております。
 また、報道機関として1名連絡はあったのですが、まだお着きになっていないようでございます。
 さて、本年4月に事務局側に異動がございましたので、まず御紹介いたします。
 4月1日付けで化学物質対策課長に木口が着任しておりますので、一言御挨拶申し上げます。
○木口化学物質対策課長 先生方、本日は雨の中御参集いただきまして、大変ありがとうございます。
 私、4月1日付けで化学物質対策課長を拝命いたしました木口昌子と申します。前任の塚本同様、よろしくお願いしたいと思います。
 化学物質をめぐる健康障害などにつきましては、新しいタイプの疾病が発生したりして、そのためにこちらの企画検討会でも御検討いただいて規制の充実などに反映させていただいているところでございますが、現在、化学物質の管理の在り方そのものがかなり大きなテーマでございますけれども、これについて検討する検討会を昨年の秋から立ち上げておりまして、情報伝達の在り方とか中小企業への施策の浸透、それとリスク評価につきましても検討の俎上にのる予定でございます。その際には、この企画検討会でこれまで蓄積されました知見・ノウハウなども踏まえた上でまた検討ということでやっていきたいと思いますので、これからも先生方の御支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
本日はよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 改めまして、私は、4月1日から有害性調査機関査察官を拝命いたしましてリスク評価を担当することになりました神田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、以降の議事進行を座長の大前先生にお願いいたしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○大前座長 それでは、今日の議事は5つございますけれども、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 最初に事務局から資料の確認をお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 本日の会議もペーパーレスということで、皆様の席の上にタブレットを配置させていただいております。画面下の 丸いスイッチを押していただきまして、マイプライベートファイルという画面が出ると思いますので、そちらを出していただきますと資料が一覧になっております。一番上が企画検討会議事次第資料一覧ということになっております。そして、一つ一つタブレットのみに収納ということで、もしかしたら説明の中で使うかもしれない資料だけ、これはタブレットのみの収納となっております。その下は参考資料ということになっております。
資料は1から5までで、資料1-1と1-2、資料2、資料3が資料3-1、資料3-2、また資料4-1と資料4-2、そして資料5が1つということになっております。抜け等はございませんでしょうか。
 次に参考資料のほうを押していただいて開いていただきますと、参考1から参考5までございます。参考5は枝番が4つついておりまして、5-1から5-4までとなっておりますが、確認できましたでしょうか。―ありがとうございます。
 資料の確認は以上でございます。
○大前座長 机上の資料については?
○神田有害性調査機関査察官 すみません。机上配布の資料が幾つかございますので、御確認ください。
 まず資料4-1、4-2の中期発がん性の候補物質の一覧表につきまして、少し見にくいかと思い、大きなA3の紙にしておりますので、そちらを御覧ください。
 また、本日急遽配らせていただきました資料といたしまして、「リスク評価の実施状況(令和2年3月現在)〔未定稿〕」というフロー図と、もう一つ、「発がん性スクリーニングのフロー」という2つのポンチ絵といいますかフロー図を配らせていただいております。
 以上でございます。
○大前座長 このA3のは資料4ということですね。
○神田有害性調査機関査察官 はい。資料4-1と4-2になります。
○大前座長 ありがとうございました。
 一応資料はそろっていらっしゃいますか。
 それでは、本日の議題に入ります。
 まず議題1の「2019年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績」について、事務局より説明をよろしくお願いします。
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室長でございます。よろしくお願いいたします。
 まず資料1-1でございますけれども、昨年度の評価の実績ということで、いろいろな検討会あるいはワーキンググループで活動いただいておりますので、それぞれどんな活動をいただいたかということを少しお時間をとって御説明させていただきます。
 まず(1)でございますけれども、この企画検討会ということで、昨年度は2回開催させていただきまして、5月でございますけれども、中期発がん性試験の対象物質の選定、リスクコミュニケーションの進め方について御議論いただきました。
 その後、7月に有害性ばく露作業報告対象物質の選定ということで、昨年度は、今年1年間作業報告をする物質として三酸化モリブデン1物質を選定いただいたという形になってございます。
 続きまして、(2)、リスク評価検討会、合同検討会と呼んでいるものでございますけれども、昨年度は4回開催いただきまして、3物質の詳細リスク評価、それから16物質の初期リスク評価ということで、全体として19物質について報告書を作成いただきまして、公表いただきました。平成30年度が初期リスク評価で9物質、平成29年度が初期リスク評価で5物質ということですので、それと比べても昨年度はかなり多くの報告書の作成をいただいたということで、誠にありがとうございました。具体的な内容につきましては、後ほど資料1-2で御説明させていただきます。
 2ページ目に行きまして、下のほうでございますけれども、丸2ということで、合同検討会で検討した事項として、リスク評価の実施要領、それからばく露評価のガイドラインの改定に係る検討もしていただきました。
 具体的には、ここの2行目に書いてございますけれども、リスク評価を行うに当たって、二次評価値ということで、1日8時間、週40時間の時間加重平均濃度でありますTLV-TWAとか、あるいは許容濃度をもとに二次評価値を設定いただいておりますけれども、こういったものがないものが出てきたということで、それへの対応について御検討いただいたということになってございます。
 具体的には、その次の3ページ目の上に書いてございます。TWAがなくてTLV-Ceilingと書いてございますが、いわゆる天井値、作業中のどの時点においても超えてはならない値のみがあるようなものの対応について検討いただいたということで、TWAとか許容濃度に加えまして、こういうCeilingがあるものについても考慮して検討するという形で整理をいただいたところでございます。
 また、それに対応するばく露レベルといたしまして、TWAに対応するものは通常の個人ばく露測定ということで、終日サンプラーを装着して測定いただくというものに加えまして、こういったCeilingに対応する測定については、短時間ということで5分から15分間の捕集による個人ばく露測定を行っていただいて、その最大値を用いるということで整理いただいたところでございます。
 なお、(注)に書いてございますが、ばく露評価のガイドラインにつきましては1月に改定を行いましたけれども、実施要領につきましては有害性評価検討会でまだ検討いただいていないということでございますので、そこで検討いただいた後にセットさせていただきたいと考えてございます。
丸3といたしましてばく露実態調査の実施に課題がある物質の取扱いということで、これは後ほど議題3で説明させていただきたいと思っております。
 次に有害性評価小検討会でございますけれども、こちらにつきましても4回開催していただきまして、丸1でございますが、有害性評価・評価値の検討ということで、17物質について検討いただいています。
 丸2といたしまして長期発がん性試験候補物質の選定ということで、2年間のがん原性試験の対象物質でございますけれども、塩化ベンゾイル1物質を選定いただいたという形になってございます。
 また、「リスク評価の手法」という文書がございますけれども、その改定ということで、前年度に御指摘のあったNOAELとか一次評価値の取扱い等について検討を行って、この文書について改定を行ったということになってございます。
 それから、この有害性評価検討会の下にございます発がん性評価ワーキンググループでございますけれども、3回開催いたしました。次の4ページ目になりますけれども、3月の開催につきましては、コロナの情勢を踏まえまして持ち回りの開催ということでやらせていただきました。
 検討事項といたしましては、丸1中期発がん性試験候補物質の選定ということで、肝中期発がん性試験については6物質、遺伝子改変動物を用いた発がん性試験については同じく6物質を選定いただいたという形になってございます。
 それから、中期発がん性試験の評価ということで、2019年度に実施した6物質はいずれも陰性という評価をいただいたところでございます。
 イでございますが、遺伝子改変動物を用いた発がん性試験結果の評価ということで、2物質、2-ブロモプロパンと酸化チタンについて、rasH2マウスを用いた吸入による中期発がん性試験を実施したものについて評価いただきました。ここに書いてある結果でございましたけれども、これらの物質については、併せて長期発がん性試験、ラットを用いた試験も実施してございます。その結果も出てきたところでございますので、今年度、有害性評価小検討会でその長期発がん性試験の結果も含めて改めて評価いただくという形になってございます。
 丸3でございますけれども、遺伝子改変動物を用いた発がん性試験の試験期間の可変化ということで、現行は26週でやっているものを9カ月まで延長してはどうかというお話がございましたけれども、最終的にはスクリーニングを行う上で延長せず、現行の26週で実施するのが適当だということで結論を得たところでございます。
 5ページ目でございます。バイオテクノロジー応用医薬品に係る有害性調査ということで、新規化学物質の有害性調査につきましてはこれまで変異原性試験を中心に実施していただいているという状況でございますけれども、製薬関係の団体から、バイオテクノロジー応用医薬品に関しては生体内のたんぱく質で構成される高分子化合物ということで、生物の遺伝子に直接作用しないので変異原性試験は不適ではないかという要請が以前にございまして、それらを踏まえて検討してきたところでございます。結論的には、バイオテクノロジー応用医薬品に関して医薬サイドで文書が出てございますけれども、そこにありますがん原性評価というものを参考にするということで、対象のバイオ医薬品のがん原性に関して変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験が実施されている場合にはそれらの結果を出すということで、別途変異原性試験等は実施しなくてもいいという整理になったところでございます。
 それから丸5、リスク評価の対象物質の選定に当たって、いろいろな発がん性情報を参考にしてございますけれども、IARCとかそういったものに加えて最近はドイツのDFGの情報も使うというようなこともございますので、そういったものも検討の判断材料に加えるということで、発がん性評価基準骨子というものを改定したところでございます。
 続きまして遺伝毒性評価ワーキンググループでございますけれども、こちらにつきましては2回開催していただきました。
 アでございますが、変異原性試験の評価ということで、2019年度に行いました17物質について評価いただきまして、5物質については強い遺伝毒性があるという結論となってございます。
 また、非遺伝毒性物質の発がん性スクリーニングということで、Bhas42細胞を用いる形質転換試験についても昨年度実施いたしました20物質について評価いただきまして、7物質については陽性であるとの判断をいただいたところでございます。
 これらについては、発がん性スクリーニングということで、別途机上にこういう資料をお配りさせていただいておりますけれども、リスク評価とか長期発がん性試験を行うに当たって、各種試験を事前にやって、それらの中から陽性となったものを選んでこういうがん原性試験なりリスク評価の対象にしていくということで、これらのステップに係るいろいろな試験について実施していただいたものをここで評価いただいたという流れになってございます。
 元に戻りまして、6ページ目でございます。同じく変異原性試験とか形質転換試験、今年度やるものについての選定ということで、それぞれウとエに書いてございますけれども、今年度分につきましては19物質を選定いただいたという形になってございます。
 オでございますけれども、変異原性試験を実施する手法に関して、いろいろと試験の結果を評価する委員からも御指摘いただいたということで、それらを踏まえて評価方法などについて見直しを行ったということでございます。併せまして、ここでの検討を踏まえて今年の4月に、変異原性試験に用いるプレート数を告示で決めておりましたけれども、その改定も行ったということでございます。
 続きまして、ばく露評価小検討会でございます。こちらについても4回御検討いただきました。
 アでございますが、ばく露実態調査結果の検討ということで、23物質について御検討いただいたところでございます。このうち、リスク評価報告書を取りまとめた19物質以外の4物質につきましては、先ほど少し話をいたしましたCeilingに対応したばく露調査の追加実施が必要であるということで、ここでの御指摘を踏まえ、それらについては引き続き調査を行うという整理になってございます。
 7ページ目でございます。イの測定分析法の検討ということで、5物質について検討を行っていただきました。
 また、ウは、先ほどお話しいたしました実施要領とかばく露評価ガイドラインの改定。
 エにつきましても、後ほど御説明いたしますばく露実態調査の実施に課題がある物質の取扱いについて御検討いただいたという形になってございます。
 2といたしまして「リスク評価にかかる情報提供等の推進」ということで、例年意見交換会(リスクコミュニケーション)を実施していただいてございます。
 昨年度におきましても、12月~1月にかけて3回、東京で2回、大阪で1回実施していただきました。3回とも堀口先生にコーディネーターとして参加いただいたということでございますけれども、第1回、12月に東京で開催したものにつきましては、従来どおり、リスク評価の結果等に関する意見交換会ということで、名古屋先生に御出席いただいて進めさせていただいたところでございます。次のページになりますけれども、参加人数としては55人に参加いただいたという形になってございます。
 2回目、3回目につきましては例年とは少し違って、冒頭に課長から話がありましたけれども、現在、化学物質の管理の在り方に関する検討会ということで検討を進めてございまして、そうした中でいろいろと検討を進めている内容について、まだ途中段階ではございますけれども、それらをもとにいろいろと意見交換をさせていただいたということで、特に民間企業の方も講演あるいはパネリストとして参加いただいて意見交換をさせていただいたところでございます。
 1月17日の大阪につきましては、宮川先生に御出席いただきまして、全体としての参加人数は34名となってございます。
 1月24日、これは東京開催でございますけれども、こちらにつきましては大前先生に御出席いただいたところで、次のページになりますけれども、参加人数としては68名という結果でございました。
 (2)パブリックコメントでございますけれども、リスク評価候補物質に関する意見募集とか、あるいはばく露作業報告対象物質に関する意見募集といったものを行いました。
 リーフレットの関係につきましても、有害物ばく露作業報告書に関するパンフレットの作成等について対応したということでございます。
 全体の活動としてはこういったことで、特に昨年はリスク評価に関する数多くの物質について評価いただいたということと、いろいろと文書というか決まり事がございますけれども、それらの改定についても精力的に取り組んでいただいたということで、この場をお借りいたして御礼申し上げます。
 なお、リスコミに関しては、後ほど議題5で議論いただくという形になってございます。
 続きまして、資料1-2でございます。
 令和2年度の化学物質のリスク評価の結果でございますけれども、全体で19物質ということで、うち、初期リスク評価につきましては16物質評価いただきました。
 3つに区分してございますが、一番左の8物質につきましては経気道ばく露によるリスクが高いということで、詳細リスク評価を今後実施していくということでございますし、※印のついたものについては経皮吸収があるということで、詳細リスク評価の中で経皮ばく露の評価も含めて検討いただくという形になってございます。
 真ん中の1物質でございますけれども、こちらにつきましては経気道ばく露によるリスクは低いけれども経皮吸収があるということで、今後経皮ばく露を評価していくという形になってございます。
一番右の7物質でございますが、こちらにつきましては経気道ばく露によるリスクは低い、なおかつ経皮吸収もないということで、とりあえずこれでリスク評価は終了という位置づけのものでございます。
その次のページでございますが、詳細リスク評価ということで、3物質。
 このうち、塩化アリル、アセトニトリルにつきましては、経気道ばく露によるリスクが高く健康障害防止措置の検討を行うべきということで、今後、措置検討会で健康障害防止措置の検討を行っていくということ。併せまして、経皮についてはこれから詳細リスク評価を実施していく必要があるということになってございます。
 右のクロロメタンでございますけれども、経気道ばく露について、作業工程に共通してリスクが認められるものではないということでございますけれども、揮発性が高いことに注意が必要であるということ、それから経皮吸収があるということで、今後経皮に関する詳細リスク評価を実施していくという形になってございます。
 こういったことで報告書を公表させていただいたということと、リスク評価結果に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底を要請ということで、3月に約500団体、それからばく露作業報告を行った事業場等に対してこれらの情報をお伝えして、対策を徹底していただくよう要請したという形になってございます。
 最後でございますけれども、机上に配布してございます「リスク評価の実施状況(令和2年3月現在)〔未定稿〕」というものがございます。今御説明した昨年度の結果を踏まえまして、現状としてリスク評価全体がどうなっているかということでございます。
 昨年度のばく露作業報告分まで、全体として212物質ございます。このうちばく露作業報告がないなどでリスク評価を打ち切ったものが32物質、その残り、初期リスク評価については180物質ございます。リスク評価を行って、リスクが高いとか一部作業のリスクが高いというのが48物質、リスクが低いというものが58物質、残り、まだ初期リスク評価を終えていないものが74物質ほどございます。その後詳細リスク評価に移行して、それぞれ書いてあるような状況でございまして、まだこれはきちんと確定したものではないので未定稿という形にさせていただいてございます。いずれにいたしましても、昨年度は20物質ぐらい評価いただいたところでございますが、180物質のうち74物質がまだ評価を終えていない、特にばく露実態調査がなかなか進まないケースもあるといったことで、今後これら残っているものを引き続きしっかり取り組んでいかなければいけないと事務局としては考えているところでございます。
 長くなりましたが、以上でございます。
○大前座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの資料1-1、1-2の説明について何か御意見あるいは御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。
 1点、資料1-1の4ページの「中期発がん性試験の評価等」のイの「遺伝子改変動物を用いた発がん性試験結果の評価」という部分ですが、丸2つ、2-ブロモプロパンと酸化チタンについては遺伝子改変動物ではないですよね。これは通常のラットではなかったでしたっけ。
○内田化学物質評価室長 もともと昔は長期発がん性試験ということでラットとマウスを2年間やっていただく手はずになっていたのですけれども、それを途中段階で変更して、ラットは2年間、遺伝子改変動物マウスを用いた試験を26週でやっていただく、それを組み合わせてやっていただくという形になっています。
○大前座長 それは存じ上げていますけれども、ここに書いてある2-ブロモプロパンと酸化チタンについては遺伝子改変動物ではないのではないですか。通常の2年間のラットの発がん実験ではなかったですか。
○内田化学物質評価室長 ここのものは遺伝子改変動物で、それを発がんワーキンググループで去年評価いただいて、先生がおっしゃられるラットの通常のものについては今回結果が上がってきたので、これから有害性検討会で評価いただくという形になってございます。分かりづらくて申しわけありません。
○大前座長 分かりました。
そのほかはいかがでしょうか。
 もう一点、今のところのバイオテクノロジー応用医薬品についてですけれども、労働者ばく露はこれを作る場所での労働者ばく露という観点でここに書いてあるということでよろしいですか。
○内田化学物質評価室長 そうです。
○大前座長 そのほかにいかがですか。よろしいですか。
 特に御質問等々なければ次の議題に入りたいと思いますけれども、よろしいですか。
 それでは、議題2「令和2年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針」について、説明をお願いいたします。
○内田化学物質評価室長 資料2でございます。「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(令和2年度)」でございます。
 基本的に昨年度のものと内容的には変えていないという状況でございます。
 簡単に御説明させていただきますと、企画検討会におきましては、丸1の今年のリスク評価に係る方針、それから丸2といたしましてリスク評価対象物質の選定、丸3といたしまして中期発がん性試験の候補物質の選定、丸4といたしましてリスクコミュニケーションの推進等について取り組んでいただくという形になってございます。なお、丸5通知対象物質の検討ということで、これはラベルとかSDSの交付義務対象物質の検討でございますけれども、こちらについては、平成28年度に検討いただいて以降、その後は検討していただいていないという状況でございますけれども、必要に応じて検討いただくという形になってございます。
 それから、(2)、合同検討会につきましては、リスク評価の検討会報告書として評価いただいて取りまとめをいただくということで、現在のところ、今年については10物質ぐらいが候補として挙がっているという状況でございます。
 次のページ、有害性評価小検討会についてでございますが、こちらも同じく有害性評価を実施していただいて評価値について検討を行っていただくということ、さらにがん原性試験ということで、2年間の吸入試験の結果について評価いただくということを主にやっていただくという形になってございます。また、この検討会の下に発がん性ワーキンググループ、遺伝毒性評価ワーキンググループがございますけれども、それぞれ既存の情報に基づく発がん性の評価を行っていただく、あるいは、(イ)にございますけれども、各種発がん性スクリーニング試験の対象物質の選定、それから試験結果の評価を行っていただくというところでございます。
 丸2ばく露評価小検討会におきましては、昨年度までにばく露実態調査を終了したものの中から評価を実施していただくということ、それからリスク評価を行う物質の測定分析法について検討いただくという形になってございます。
 それから、(3)化学物質の健康障害防止措置に係る検討会ということで、健康障害発生のリスクが高い化学物質、作業等について、関係事業者、保護具メーカー等からもヒアリングを行うなどして健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行い、それを踏まえて最終的には報告書としてまとめていただくということで、特に昨年度は詳細リスク評価で2物質リスクが高いものがございましたので、これら2物質について、これからはこの措置検討会で防止措置を検討いただくという形になってございます。あとはがん原性指針に関する検討とか、そういったものも実施していただくという形になってございます。
 2でございますが、リスクコミュニケーションの推進ということで、規制措置の導入に際してパブリックコメント等を実施する、それから意見交換会を実施していただく、さらにはパンフレットの作成、あるいはホームページへの掲載などを通じて国民に分かりやすい情報提供に努めるということで進めていきたいと考えております。
 簡単ではございますが、以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
 基本的には令和元年と同じようなことを今年度も実施するという方針ですが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。特に御意見はございませんか。
 それでは、議題3になります「令和2年度リスク評価対象物質・案件選定の考え方」につきまして、事務局より説明をお願いします。
○内田化学物質評価室長 資料3でございます。「令和2年度リスク評価対象物質・案件の選定の考え方(案)」ということでございますけれども、例年、リスク評価の対象物質につきましては、この時期にこうした考え方をお諮りいたしまして、それを踏まえ、この後、対象物質としてふさわしいものがあるかということで、パブリックコメントを行います。他方、私どものほうで発がん性とか化審法のスクリーニングなどを踏まえた候補となるものの情報、それからパブコメの結果等を踏まえまして、次回、恐らく9月目途になるかと思いますけれども、そこで第2回のこの検討会を開いていただいて、最終的に対象物質をお決めいただくという流れになってございます。
 考え方につきましては、これも基本的に昨年と同じということで、1~2回でございますが、IARCの発がん性指標の高いグループ、1~2Bの物質を選定するということ、さらには生殖毒性とか神経毒性も範疇に入ってございますけれども、特に最近は発がん性を優先的に選ぶということで進めてきたところでございます。
 また、下から4行目にございますけれども、過年度選定した物質については、測定手法の確立が困難なこと、ばく露実態調査対象事業場の確保ができないこと、必要な有害性情報が不足していることのため、リスク評価が進まない物質がかなり見られるということで、先ほどの議題の中でもまだ74物質が評価未了ということになってございます。
 そういったことを踏まえて以下のように進めるということで、2に書いてございますが、優先順位としては、発がん性についてはIARCグループの1、2A、2Bの順とし、発がん性の次に生殖毒性その他の毒性の高い物質を優先する。
 (2)といたしまして、測定手法の開発について、(1)の優先度の高い物質順に委託事業等であらかじめ実施して、開発が困難な物質については選定を猶予するということ。
 (3)、再告示してもばく露作業報告対象事業場がなく打ち切りとなったものがかなりの頻度で見られるということで、全体として今までに32ございますけれども、(1)のリストの同じグループの中では、一定程度の数量、それから広い用途があるものを優先するということで、数量を重視していくということでこれまで整理してきているところでございます。
 (4)は、昨年の議論を踏まえて修正したところでございます。昨年、この会議の中でも幾つか根本的な課題として議論いただいたところでございます。その1つとして、SDSの関係でございますけれども、昨年の議論の中では、もともとこの(4)もモデルSDSがない場合は選定を猶予するということで、モデルSDSがあるかどうかが1つのメルクマールとなっていましたけれども、議論の中で事務局から、対象物質を取り扱っている事業場はばく露作業報告をしなければいけないので、SDSの交付義務対象でなければまずいのではないか、いわゆる別表第9に掲げる物質でないとまずいのではないかというような話をさせていただいて、それであればしっかりそのことを記載すべきだという御指摘をいただいたところでございます。そういったことを踏まえて(4)を直しまして、「ただし、リスク評価対象物質について実施される有害性ばく露作業報告は、労働安全衛生法に基づき事業者に提出の義務を課するものである」ということで、SDSによって事業者が譲渡・提供を受ける際に名称を知ることができることが必要であるということから、労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる物質、いわゆるSDS交付義務対象の物質とするということで、この文章自体は、実は平成28年のときにこういう議論をしていただいた際にもともと書いてあった文章でございまして、その後いろいろと私ども事務局の考え方も振れていたような経緯はあるかと思いますけれども、昨年の議論を踏まえまして、こういう形でまずはSDS交付義務対象の物質を対象にさせていただきたいと思っております。
 ただし、冒頭に課長からもありましたけれども、化学物質管理の在り方の検討会の中での検討事項の1つとして化学物質の危険有害性の情報伝達というものが検討事項になってございまして、その中でラベル表示とかSDS交付による情報伝達をいかに徹底・充実させるかというような議論もしていただいているところでございます。この中で、SDS交付義務対象、673物質が現状ございますけれども、これも増やすべきではないか、拡大していくべきではないかといった議論もされておりますので、この(4)の取扱いについては、今回はこういう形で整理させていただきますけれども、その在り方検討会の議論とかも踏まえながら、今後必要に応じて整理させていただければと考えているところでございます。また後ほど御意見いただければと思います。
 それから、去年の御指摘で幾つかあったもので、文章に書いていなくて口頭で申し訳ないですけれども、少し補足させていただきます。
もう一つの論点といたしまして、選定に際して数量を重視するという話をいたしましたけれども、昨年選定の際に出した資料について、特に化審法の届出情報をもとに数量を記載しているのですが、数量が不明とか、あるいは製造が2社以下となった場合には秘匿ということで×印がついて数量が公表されていないというものが多くあって、選定できる数が限られているといった状況がございました。ただ、そういう不明というか、特に×印で、公表されていないけれども多く使われているもの、製造が少ないけれども実際はユーザー段階に行くと多く利用されているようなケースもあるのではないか、そういうのもよく考える必要があるのではないかというような御指摘もいただいたところでございます。実は、これにつきましては、あり方検討会でも化審法の届出情報をうまく共有して労働災害防止対策に活用できないかといった御指摘もいただいているところでございます。
 そういったことで、冒頭に課長からも話しましたけれども、今後、あり方検討会でもリスク評価の在り方とかそういったことも議題として入ってきます。そういった中で言うと、昨年ここで御議論いただいたこと、今のような話もございますし、加えまして、対象とする有害性、何に着目するかといった御議論もあったと聞いております。そういったことも含めて、本来であれば今年解決しなければいけなかったかもしれませんけれども、私ども事務局といたしましては、そういうあり方検討会の議論も踏まえながら今後整理させていただければと考えているところでございます。
 もう一個、資料3-2がございます。
 リスク評価の対象物質を選定いただく、これは次回具体的な物質を検討いただく形になりますけれども、その検討に際してということで、昨年度ばく露評価小検討会、リスク評価検討会で御議論いただいた内容がございます。それが「ばく露実態調査の実施に課題がある物質」というものでございまして、資料3-2でございます。
 先ほど来、御説明の中で打ち切りをした物質が幾つかあるということで御説明いたしましたけれども、現状、これまでばく露作業報告とかを進めていく中で、なかなかばく露実態調査の実施が難しいのではないかと思われる物質がまた幾つか出てきたという状況でございます。
具体的にはここに書いてございます物質でございますが、このうち上から3つにつきましては、ばく露作業報告について、初回、それから初回で出てこなかったようなものについては改めて再告示ということで、2回告示、ばく露作業報告の対象として進めてきたところでございます。しかしながら、報告のあった数は少ないですし、中身的にも誤報告とかその後取扱い中止になったといったものが多くございまして、これらにつきましては、ばく露評価検討会あるいはリスク評価検討会の中では、打ち切りにして有害性の評価報告書だけ取りまとめて公表すべきではないかというような御意見をいただいているところでございます。
 それから、その下、107番から6つございますけれども、これらの物質については、初回ばく露作業報告の告示をして、報告があったのが1なり2で、なおかつ、備考に書いてございますけれども、数量はごくわずかとか、取扱い中止になっているといったものでございます。こちらにつきましては、これまでの同様なものの取扱いを踏まえますと、再告示をするということで取り扱ってはどうかと考えているところでございます。
 ただし、下から2つ目、エリオナイトでございますけれども、これにつきましては、「測定分析手法について標準物質の調達が困難」と書いてございます。具体的には、これは石綿のような繊維状の鉱物ということで、トルコのカッパドキアで悪性の中皮腫の被害が出ている物質ということで、例えば顕微鏡とかで標準物質と比べながら本数を測るというようなことでやっているところでございますけれども、実はその標準物質が国内には出回っていない、入手できないといった状況がございます。加えまして、もともとこれを対象にすると決めた平成26年の議論におきましても、国内ではエリオナイトを含むゼオライトは使われているけれども、エリオナイト単体の利用の情報はないということで、恐らくばく露作業報告は出てこないけれども、念のために今は入れておくべきではないかというような形で入ったという経過がございます。カッパドキアのエリオナイト鉱山も既に閉鎖されているといった状況もあるようでございまして、なかなか世の中に出回っていない状況になっているものでございますけれども、そういったものを今回ほかのものと同じような扱いで再告示するか、あるいはもうこれでいいと整理するか、そこら辺について御検討いただければと思っておりますが、特に名古屋先生から何か併せて情報がもしございましたら、お願いできればと思います。
○名古屋委員 エリオナイトに関しては、早稲田大学の山崎先生がエリオナイトの定量分析に関する報告書の中で、きちんと報告されています。健康被害が報告されたカッパドキア産のエリオナイト鉱山がすでに閉鎖されており、在庫製品も基本的に管理処分され、日本へ搬入された記録も見当たらないということです。それから、山崎先生が標準試料のないエリオナイトを定量するために、山崎先生は鉱物のプロですから、詳細な場所は言えませんけれども、九州のある場所へ行って、天然のエリオナイトをやっと見つけて、採取し、そこで得られたエリオナイトを用いて総エリオナイト質量としては十分な微量質量領域について検量線を描いている。でも、それはプロだからできるので、一般の作業環境測定士の人でもできないし、そもそも検量線作成に用いたエリオナイトは繊維状形態をしていません。国内産地から得られるエリオナイトは、一般に繊維状形態を呈さず、他のゼオライト鉱物(レビナイトなど)と共生して産出するのです。一般的によく使われている工業的に合成されたエリオナイトは当然微粒子で繊維状形態をしてないのです。ということは、エリオナイトの繊維状形態のものは日本にはほぼ存在しないので、あえてこれを再度行っても情報は出てこないだろうから外したらどうでしょうかというのがリスク評価検討会での意味でした。
○内田化学物質評価室長 ありがとうございます。
 説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
 私はてっきりエリオナイトは繊維状のものかと思っていたのですが、繊維状ではないエリオナイトもあるというのは、要するに成分で決まっているということですか。
○名古屋委員 製鉄のときに天然の蛇紋岩を使っています。天然の蛇紋岩を使っているのは蛇紋岩中のマグネシウムが欲しくて使っているのです。では、蛇紋岩に変わってマグネシウムを含むドロマイトを使ってやったらどうかというと、ドロマイトのマグネシウムではどうも駄目な様で、蛇紋岩がいいということになりました。多分このエリオナイトも組成分で使っているだけだと思うので、球状だろうが何だろうが形状は関係ないと思います。要するに合成したエリオナイトの成分で使うので、当然日本には、繊維状のエリオナイトはないということになります。
○大前座長 そうすると、もしばく露作業報告を求めるとしたら、「繊維状以外のエリオナイト」みたいに書かないと回答が返ってこない。
○名古屋委員 そうですね。
 あと厄介なのは、ゼオライトの鉱物を掘ったとき繊維状のエリオナイトがあるのかどうか。でも、今のところ国内産地から繊維状形態を示すエリオナイトは産出されないので、カッパドキアの様な症例はないでしょう。極まれに砕石場などで出てくる疾病は、アスベストの角閃石系のものが原因のアスベストに関連した疾病で、エリオナイトに起因した疾病は出てきてないと思います。ということは、ほとんどゼオライトの中に不純物として少し入っているぐらいだろうということと、それもどちらかというと繊維ではなくて微粒子で、カッパドキアと同じ形のものは日本にほとんど存在しないだろうと。要するに、実際に扱ったとしてもそれによって疾病が起こるほどのものではないのではないかというのが山崎先生の報告書とそれを受けたリスク評価検討会での意見です。
○大前座長 いかがでしょうか。繊維状のエリオナイトは石綿とほとんど同じぐらいの発がん性がある、ひょっとしたら強いかもしれないと言われている物質なので。でも、現実的にはそういう繊維状のものは日本にはないだろうし、標準物質もないから測定のしようもないというお話ですが。
 そのほかの6物質に関しては御意見いかがですか。要するに再告示をしなくてもいいのではないか、する必要があるかどうかということですが。
○吉田委員 全てではないのですけれども、140番の1,1,1-トリクロロエタンは化管法の第一種指定化学物質ですので、環境省のPRTRインフォメーション広場というホームページに行けば個別の事業所の排出データが出ています。化管法は取扱いが年1t以上ですから、必ず引っかかるものです。なおかつ、ぱらぱら見ていたら、大気に500 kg出していたり、公共用水域に1t以上排出しているような事業所もあったりしますので、全ての物質には適用できないですけれども、化管法の指定化学物質のようなものでしたらそういう方向からの攻め方もあるのかなとは思いました。
○内田化学物質評価室長 分かりました。どこまでいただけるか分からないですけれども、そこら辺の情報も踏まえながら対応していきたいと思います。ありがとうございました。
○大前座長 この物質はオゾン層破壊の問題でもう使用禁止、製造禁止になっている物質なのですけれども、まだ出ていると。
○吉田委員 数で言うと3,000を超える事業所から出ていまして、ほとんどが下水道業とか一般廃棄物処理業とか産業廃棄物処分業ですけれども、40ぐらいの事業所が化学工業とかパルプとか非鉄金属とか、そういう業種の事業所もあるみたいですので、ここの結果とどうつながるのかなというのが気になったところです。
○石井委員 この6物質の中のもう一つ、パラ-ターシャリーブチルトルエンに関してももう少し報告件数が出るのではないかと思っていたところです。用途については恐らく香料だと思うのですが、こちらは日本でも既存点検で動物試験も行われていて、少し古いですけれども、10年ぐらい前には日本でOECDのSIDSの評価書を作ろうということで情報収集で手を挙げていたようですので、恐らくその頃に関しては少なくとも産業界で何かしら製造されているのではないかということで、産業界の団体にも確認したほうがいいのではないかと思います。
○内田化学物質評価室長 ありがとうございます。関係する団体、日化協さんも今回いらっしゃいますけれども、もう少し情報を収集してみたいと思います。
○名古屋委員 よくあるのですけれども、作られていても報告するのは年間500 kg以上なのです。そうすると、200 kgとか300 kgの人があったとしても、それは報告に上がってこない。そこがあるので、もし有害性が高かったら、それは取り上げればいい。報告義務は500 kgですので、そうするとナノ関係もだめだと。結構そういう物質もありますので、それで出てこないのかもしれない。
○石井委員 そうですね。
○大前座長 そのほかはいかがですか。
 ワルファリンは医薬として使っていると思うのですけれども、これは実際に使っているのですが、量の問題ですかね。どうしましょうか。今は500 kgという制限があるから出てこない可能性が大きいということなのですけれども。例えば今回に限って500 kgを100 kgにするとか、そういうわけにもいかないかもしれませんけれども、この500 kgという基準はどこかで考える必要があるでしょうね。本当に500 kgでいいのかどうか。特に医薬関係は当然エフェクトがあるから使っているので、にもかかわらず量が少ないから出てこないという可能性ももちろんあるわけですから。
 今のお話ですと、パラ-ターシャリーブチルトルエンと1,1,1-トリクロロエタンはひょっとして再告示したほうがいいのではないかというようなお話に受け止めました。再告示しても、先ほど名古屋先生がおっしゃったように500 kgでまた出てこないかもしれませんけれども、吉田先生のお話ですと絶対にそうだと。
○吉田委員 500 kg大気に排出しているということだと、それで労働者のばく露がないというのは何となく考えにくいなという感じがするのですけれども。
○大前座長 いかがでしょう。この委員会としてはこの2物質に関しては再告示をやってみるという方向でよろしいですか。
では、事務局はそれでよろしくお願いします。
○内田化学物質評価室長 では、確認ですけれども、117番と140番の2物質について再告示を行うということで進めさせていただければと思います。ありがとうございました。
 あと、資料3の対象物質の考え方につきまして何か。
○大前座長 資料3の考え方につきましては何か御意見いかがでしょうか。
 先ほどのとりあえずSDSの対象物質に限ろうという話は理解できましたけれども、その下の段、国際機関で発がん性の評価の変更もしくはがん等の重篤な健康障害が生じた場合については優先順位を適時変更するということで、要するにSDSの中に入っていなければやらない。例えばこの間の水溶性のアクリルポリマーなんていうのはSDSの中に入っていなかったと思うのですけれども、もしああいうものが出てきた場合は、法律では縛れないのだけれどもやるのか、やらないのか、そこら辺はどのように。
○内田化学物質評価室長 昨年の整理を踏まえると、(4)に書いてあるSDSの対象でなければやらないというのが基本的な考え方かなと思っています。
 あとは、そういう必要なものについてはSDSの対象に加えていくということを積極的にやっていくことが必要かなと思っていまして、それはまた在り方検討会の議論なども踏まえなければいけないと思っていますけれども、そこは拡大の方向で検討していく必要があるのではないかと思っているところでございます。
○大前座長 ということは、令和2年度に関してはこの方針でいくと。在り方検討会の結果でどうなるか分かりませんけれども、場合によっては、将来的には、SDS対象物質でなくても、新たに出てくればやる可能性はあるということで、2年度はこの方向で行くということですが、よろしゅうございますか。
 そのほかに何か御意見はいかがでしょう。
 特になければ、次の議題4に行きたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、次の議題4「令和2年度肝中期発がん性試験の対象物質の選定」につきまして、説明をよろしくお願いします。
○神田有害性調査機関査察官 では、議題4につきましては私から説明させていただきます。
 御案内のとおり、厚生労働省では、化学物質の発がん性スクリーニングということでラット肝中期発がん性試験を実施しているところでございます。
 対象物質の選定手順については、本来であればこの企画検討会において候補物質の絞り込みを行った上で発がん性ワーキンググループで決定という形になっているものでございますけれども、今年度は、申し訳ございません、スケジュールの都合で発がん性ワーキンググループを先に開催させていただくことになってしまいました。このため、先に発がん性ワーキンググループで候補物質の選定を行っていただいた上で、その結果をこちらの企画検討会に御報告させていただくという形をとらせていただきたいと思います。先生方にはその確認をいただいて、何か御意見があればいただくという形にさせていただきたいと思います。
 資料は4-1と4-2ということになります。タブレットで見ていただいても結構でございますし、紙で配らせていただいておりますので、そちらをごらんになっていただいても結構でございます。
 まず資料4-1でございますけれども、こちらはいわゆる対象物質、対象となり得る候補の物質の一覧となってございます。
どういう物質が選ばれているか、どういう物質を選んでいただくかということについて簡単に説明させていただきますと、机上に紙でお配りさせていただきました発がん性スクリーニングのフローを見ていただいてもよいかと思いますけれども、まず、左上にありますとおり、IARCなどの情報からある程度発がん性が判明している物質についてはそのままリスク評価の対象となっていくわけでございますが、一方、そういう情報だけでは発がん性の有無が判断できない物質が数多くありますので、その中から各スクリーニングをかけていくということになります。
 まずは遺伝毒性の有無によって3つに分類するということでございまして、以前から既に遺伝毒性があると認められている物質であったり、文献ベースなどの検討で遺伝毒性が認められる物質につきましては特に試験などを置かず、そのまま中期試験の対象になっていくということです。
 一方、文献ベースで遺伝毒性が判断できない物質につきましては、まず変異原性試験、Ames試験を実施いたしまして、その結果陽性と判断された物質で液体や固体の物質については中期発がん性試験の対象になっていくということです。
 一方、遺伝毒性がない物質につきましては形質転換試験を実施しまして、その結果陽性と判断された物質で液体であったり固体であったりというものについては中期発がん性試験の対象になっていくといった簡単な流れとなっております。
 先ほど見ていただきました4-1の表でございますけれども、物質名のところに色をつけてございます。ピンクで色をつけているものが形質転換試験で陽性になったもの、緑になっているものが文献ベースや変異原性試験の結果陽性になったものとなります。めくっていただきまして、最後に少しだけ水色のついているものは以前から行政指導とかの対象になっていたものということで、以前から遺伝毒性が分かっていた物質というような流れになっております。
 この中から対象を絞っていくのですけれども、主に製造・輸入量の多い順にソートをかけまして、その中から製造・輸入量のデータがないものや公表されていないもの、あるいは1,000t未満のものを除外して、多いものだけをピックアップした何らかのものが資料4-2のリストになります。
この4-2になっているのが今年度の中期発がん性試験の候補物質ということになりますけれども、そこからさらに絞り込むために、あらかじめ日本バイオアッセイ研究センターにお願いして試験の可否を検討していただきました。
 その結果が、この表の右のほうに「ラット肝中期発がん性試験」という欄がありますけれども、こちらに○、△、×をつけていただいております。バイオアッセイセンターの検討の結果、分析可能と判断で来たものについては○。△については、試験の実施または分析法の確立が必要など、すぐに分析の可否が判断できないものとなります。また、×がついているのは試薬の入手や分析が非常に困難で試験の実施が難しいといったものになります。なお、灰色がつけられたセルの物質は昨年度の検討物質になりまして、昨年度の検討の結果試験は難しいと判断されたものについては灰色で×をつけているところでございます。
 以上から、6月11日の発がん性ワーキンググループにおきまして、○をつけたのが8物質あるのですけれども、この〇をつけた8物質の中から本年度の中期試験の対象となる6物質の選定をお願いいたしました。
 その結果を御報告いたしますと、上から2番目のベンジジン=トリクロリド、これはIARCの情報があるということで除外されまして、これを除きまして、上から3番目、852のメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、その下、543のチモール、少し飛びまして199のノナン酸、339の3,5,5-トリメチルヘキサン酸、その下、344の炭酸ジフェニル、その下、345の2-sec-ブチルフェノール、以上の6物質、2番目のものを除いた上から6物質について今年度の中期発がん性試験の対象ということで御承認いただきました。
 もう一つ、340の別名セバシン酸、1,8-オクタン-ジ-カルボン酸というものに〇がついているのですけれども、これは一応予備ということで位置づけていただいております。
 なお、参考資料の参考4に日本バイオアッセイセンターの検討結果について詳細に示したものをつけておりますので、必要に応じて御覧いただければと思います。
 資料4の説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
 中期発がん性試験の候補の物質が資料4-2ということで挙がっております。今お示しになられました6物質を今年度の候補にしたらどうかという御提案ですが、いかがでしょうか。遺伝毒性が強い、もしくは形質転換試験が陽性であるというのですけれども、これはよろしいですか。
○吉田委員 これを見ていて思ったのですが、例えばノナン酸で、資料4-1の細かいほうを見ると、上から3つ目の13番のオクタン酸とか、下のほうにn-ヘプタン酸があって、真ん中あたりに143番でヘキサン酸がありますけれども、アルカン酸でC=4~30となっていることを考えると、構造的にノナン酸は同じように中期発がん試験をしてもネガティブではないかと予想できそうな気がしました。実際にやってみないと分からないのであれですけれども。
 私が言いたいのはそこではなくて、同じリソースをかけるのであれば、資料4-2にある△の分析法の確立とか分析法の検討が必要という部分にお金をかけて大事な物質をやっていくようにされたほうがいいのかなと思いました。
別にノナン酸をやってはいけないという意味では全然ないです。
○神田有害性調査機関査察官 おっしゃるとおり、その辺の分析法の検討とか開発は必要かと思いますが、今の御意見も今後の検討の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○大前座長 今のノナン酸ですが、吉田先生としてはノナン酸よりも先ほどのセバシン酸のほうがベターではないかというお考えをお持ちですか。
○吉田委員 いえ、それは特になくて、今回は6物質が一応決まりましたが、今後やるときに、分析法が難しいからといって後回しにしないで、何とか取り組んでいただきたいというつもりでお願いしたいと思います。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
○大前座長 ちなみに、分析法の開発というのは、バイオアッセイではなくてどこかほかのところでやられるということになるのですか。あるいは、もともとバイオアッセイは分析法の開発をやるところではないですか。
○内田化学物質評価室長 今は制度的にそういうことをやるところがない形になっているので、どのようにやるべきかというのは整理させていただければと思っています。
 付け加えて言いますと、参考5-2という資料がございますけれども、肝中期発がん性試験の実施状況ということで、これまで38物質やって陽性が1つという状況でございまして、2月に遺伝毒性ワーキンググループに諮ったときも今後どうしていくかよく考えたほうがいいというような御指摘をいただいたところでございまして、先日開催しました発がんワーキンググループでもそういう話がありましたけれども、そういうことなので、ここら辺でスクリーニングをどうしていくべきかというのはよく考えなければいけないと思っています。
 併せまして、先ほども話しましたけれども、この資料の中にも×印の数がひょっとしたら多いのかもしれないというところで、左から2つ目に「METI」となっていて、「区分」のところで、数量が分かっているところは数量を書いていますけれども、×となっているのは製造しているところが2社以下ということで、公表できないということになってございます。こういったものも、先ほどのリスク評価の対象物質の選定に関して昨年議論をいただきましたけれども、それと同じように、今回ここに選んだリストについては数値が分かっているものだけ掲げて、その中から選ばせていただいたという形になっていますけれども、こういったものの×の取扱いも含めてよく検討しなければいけないかなと思っているところでございます。
○大前座長 今の参考5-2を見ますと、本当に似たような物質はみんな陰性が出ているので、ノナン酸も陰性かなという吉田先生の推測は正しいかなという気がします。
 ワーキンググループで測定法の問題で△、×が当然ついているのですけれども、この中で特にワーキンググループが注目してこれは測定法を開発してでもやったほうがいいというものがあれば、またワーキンググループで意見をいただいてほしいと思います。今は測定法がないからできないというのは仕方がないですけれども、将来的にこれは絶対に測定法を開発してやったほうがいいというような提案をしていただけるとありがたいですね。
○名古屋委員 リスク評価のための物質の測定に関しては、吉田先生が委員長をされている中災防のばく露委員会の下の測定手法等検討分科会のところで分析法を開発及び検討しています。ただ、この分析法の開発はリスク評価対象物質に選定された物質のための開発で、今回の様にリスク対象物質にするかどうかの物質に対する分析法の開発ではないのです。この前も、分析法が必要な化学物質の分析法が無いため、新たに開発して欲しい化学物質の分析法の開発のために厚生労働省は厚生科研で応募していましたけれども、どこからも応募がありませんでした。やはり1つの研究機関や測定機関等で実施するのはなかなか難しいとの思いがあって、多分応募がなかったと思うのです。というのは何かというと、この分析法を開発した先には必ずリスク評価のところにまで持っていくことになります。そうするとこの分析法は公定分析法になるくらい物すごくレベルが高い分析法が要求されることになってしまう。要するに大学のいち研究室や一般の測定機関がやっているのとはとてつもなく違うのです。リスク評価対象物質のリスク評価が、初期リスク評価で終わるぐらいだったらいいのだけれども、詳細リスク評価に行ったときに、ばく露濃度測定のほかに、作業環境測定のこと等まで考えて全てのことをやらなくてはいけなくなるから、、かなり荷が重くてなかなか誰も取り組んでくれないという部分があると思うので、やはり化学メーカーさんとか国の研究機関といったところで対応してくれるとありがたいかなと。要するに、現状として結構ハードルが高い精度が要求される分析方法になってしまうので、簡単に研究室でやってできるというものとは違うと思います。背負う荷物が重いというのがあって、なかなか取り組んでくれないのではないかと感じています。
○大前座長 今回の場合は発がん実験の濃度なので、そんなに低いところまで行かないと思うのです。本当に現場でやるのだったら先生がおっしゃるようなことは確実に出てくるのですけれども、発がん実験レベルだったらそんなに低い濃度ではどうせやらないからというのはあります。
○名古屋委員 その辺を付加してやるとチャレンジしてくれる研究機関があるかもしれないですね。ハードルを高いところに設定するとしんどいかなと思ってしまいます。将来を考えてしまうので。
○大前座長 そのほかに御意見、御質問はいかがですか。事務局の提案は、今年度は先ほどの6物質をやりましょうということですが、この6物質でよろしゅうございますか。そのほかに測定法とかいろいろな御意見が出ましたけれども、物質に関してはこれでいくということでよろしゅうございますか。―ありがとうございました。
 それでは、5番目の議題でございますけれども、「令和2年度リスクコミュニケーションの進め方」につきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○神田有害性調査機関査察官 では、資料は5になります。資料5を御覧になっていただきたいと思います。「令和2年度のリスクコミュニケーションの進め方」ということで、改めてではございますけれども、リスクコミュニケーションにつきましては、単に国が決めたリスク低減措置について一方的に説明を行って理解を求めるというものではなくて、いろいろな段階において双方向の情報交換や対話を通じて相互理解を促進していくといったものでございます。このことから本年度も引き続き実施していきたいということでございます。
 リスクコミュニケーションの取組みといたしましては、本年度も大きな柱が4つということで、パブリックコメント、意見交換会、パンフレットによる周知、ホームページによる周知といったことに取り組んでいきたいと思っております。
 まず1番目の「パブリックコメント」についてでございますが、こちらは例年どおり、リスク評価の対象物質の決定の過程におきまして意見募集を行うこととしたいと思ってございます。
 2番の「意見交換会」についてですけれども、テーマについては(1)の丸1~丸3の3つです。リスク評価について、健康障害防止措置の検討結果について、また職場における化学物質管理の在り方についてということで、先ほど室長からの説明にもありましたけれども、現在、在り方について検討が進められておりますので、そういったものの検討の過程を報告したり、そこでの御意見を賜ったりといったことをテーマに考えているところでございます。
 ここで昨年のテーマや工夫した事項について簡単に振り返りますと、2ページに行っていただきまして、上から9行目あたりに、1行あけて「平成30年度は」という書き出しで少し段落を落として書いてあるところがございます。ここにありますとおり、まずテーマを絞って深くといったところでございます。丸1のところですね。要は少なくして内容をもっと深くしてほしいということです。あとは質問の時間をもっととってほしいとか、あらかじめ意見を求めたい事項について公表してはどうかといったところ、また資料を事前にアップしておいてほしいといった意見を一昨年度の結果から受けまして、昨年度については、テーマを2つに絞ってあらかじめ開催案内などで具体的に内容を示した上で、また講演資料や質問様式を事前にホームページでアップするなどの取組みを行った結果、アンケートによると大変好評でありました。しかしながら、一方で、講演時間が短い、あるいは講演者の方からも時間設定がタイトで説明が駆け足になったというような意見もいただいたところでございます。
 そういったものを受けまして、(3)の令和2年度の開催要領のところでございますけれども、今年度留意すべき点ということで幾つか挙げてございます。
 まずアの参加者の募集のところでございますけれども、参加者の募集に当たっては、そのテーマに関心を持ちそうな方のもとに確実に届くように幅広な情報提供を行うことが必要であろうといったところ。
 そして、イの開催地及びテーマの設定ということですけれども、開催地についてはテーマごとの参加者の利便性を考慮したところで、例年東京2回、大阪1回で考えておりますけれども、そういったことで開催地の選定はいいのかどうかといったところ。
 また、地方でやるといった場合も考えていこうかということです。例年どおり地方は大阪1回でいいのかといったところですね。
 次に参りまして、参集しやすい場所、機会に開催することということですが、場所としては交通の便を考えたところであったり、時期的なものについても例えば年度末ぎりぎりの開催は避けるといったことを考えて開催日を設定していきたいといったところでございます。
 あとはウの会合の持ち方ということでございますけれども、前年の反省を踏まえたテーマとか、基調講演者の数を絞ることとか、あるいは意見募集に当たっては、本年度についてもあらかじめホームページ等で配布する形を維持したいと思っているところでございます。
 会合の持ち方で今回の検討会でぜひ御意見を賜りたいと思っているのが、この会合の持ち方の欄の一番下にあるところでございますが、新型コロナウィルス感染症の発生状況等を踏まえた持ち方ということでございます。とりわけ、状況は分からないところもございますけれども、例年どおり実際に皆さんに集まっていただいて1カ所で開催するといった会合形式が困難になった場合にどういった形をとるのかといったところ。例えば議論の様子だけをネット中継するといったものも考えられるところですけれども、そうすると双方向性をどう担保するかといったところが大きな課題になってこようかと思います。技術的な問題もあろうかとは思いますけれども、このあたりについてぜひこの後先生方の御意見をいただきたいと思ってございます。
 あとはその他というところで、リスコミの普及といった観点の取組みであったり、あとは3番の「パンフレット」や4番の「ホームページ」による試行的な周知に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
 資料の説明としては以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
リスコミのやり方に関してですけれども、いかがでしょうか。
○堀口委員 コロナウィルスの発生状況を踏まえて、最悪皆さんが参集できない場合はウェビナーみたいな形でやるとかが考えられると思っているのですが、当初から東京だけの開催だと地方の人がという話があり、大阪で開催しても、大阪は大阪で人を集めるのが大変だったり、いろいろあったと思います。それは、リスクコミュニケーションのテーマが物質によった場合、その物質を扱っていなければ当然参加しないわけで、みんなが参集しても地方からでもそれが聞けるような形になるきっかけが今回のコロナかなと思っています。なので、意見は出せなかったとしても、例えばフロアからどのような質問が出たとか、そういうのを後日ホームページから確認するというよりは、そのときのライブの雰囲気を共有するほうが地方の企業にとっては必要なのかなと思っていますので、この流行が収まったとしても、地方の人がそういう形で聞けるような配慮を今回のコロナをきっかけに考えていただければと思います。
○大前座長 ありがとうございました。
 今の地方についてはいかがですか。今は東京2回、大阪1回というパターンでやっていますけれども、もう少し場所を分散させる、あるいは年ごとに場所を変えるとか、いろいろな手があると思うのですが。多分、開催回数3回というのはリミットがあると思うのです。恐らく開催回数を増やすわけにはいかないという条件の下で地方をどうするか。
○名古屋委員 思うのは、結果的にはテーマではあるのですけれども、やはり交通の便を考えると、圧倒的に東京が便利なんです。私も公害防止の講習会を毎年全国5箇所で行っていますが、参加者は東京に集中します。九州でやるからといって鹿児島に来るかというと、来ないのですね、頑張って福岡です。みんな東京なのです。結局東京か大阪が一番交通の便がいいし、旅費もそのほうが割安になるので、変に地方でやるよりは東京での方がいいと思います。ただ、テーマがどうしても地方で開催したほうが良いのだったら、それとは違った形で地方に発信していける方法を考えたほうがよくて、集まるのはやはり首都圏のほうがいいのかなと私は思っています。
 あとは、この前感じたのは、第1回目のときに、がん原性の指針というのはどのぐらい関心があるのだろうと、少し悲観的に考えていたのだけれども、物すごく盛り上がったのです。ということは、私が考えていたのと来てくださった人たちの意識が全然違って、圧倒的にがん原性の質問が多かったのです。こういうことを考えていらっしゃるのだなということを知らなかった部分があって、リスク評価結果の報告に関しては今回簡単でしたけれども、がん原性の指針で本当にびっくりするぐらい盛り上がったので、やはりテーマというのはあるのかなと思いました。
○大前座長 そのほかはいかがでしょうか。
 ある意味一般的なテーマ、がん原性とか生殖毒性というタイプのテーマが1つと、当然リスク評価の結果、これは入れざるを得ないと思うのだけれども、そのような形で考える。
 そのほかに御意見はいかがですか。
○宮川委員 新型コロナということで考えますと、そうならないことを期待はするのですけれども、大都市のほうが患者の発生が多くて厳しい状況になるようなこともあり得ますよね。そうすると、今年に限ってはあえてそうでない地方でやってみるというのを考えてもいいような気がします。コロナの状況によると思うのですけれども。確かにリスク評価結果を報告するということを考えると、その物質を使っている会社の方々が来る。地方ではなかなか難しいという意見もあると思うのですけれども、もう少し広い範囲で国がやっている化学物質のリスク管理とかリスク評価について世の中に知っていただくという意味では、今年に限って、あるいはあとしばらくに限っては、いつもと少し違う、大都市でないところでやるというのを新型コロナの状況を見ながら考えておいても、そのときの状況によって違ってくると思うのですが、いいような気がします。
○大前座長 時期的には毎年12月・1月・2月ぐらいですよね。これから半年先にどうなっているかということになりますけれども。
そのほかに御意見はいかがですか。これはなかなか1つにまとまる話ではないと思うので、いろいろな意見をここで申し上げて、その中で一番妥当なといいますか、できそうなもの、あるいは、時期的にこれがだめだったら地方とか、これが大丈夫だったら東京とか、そういう判断もまだ先だと思うので、御意見だけここで頂きたいと思います。
○清水委員 コロナの問題もあると思いますし、今後どのように収束していくか分かりませんけれども、やはり化学物質を扱っている企業の多い地域でやったほうが利便性あるいは交通の便から言って集まりやすく、聴衆も多いのではないかと思うのです。もちろんコロナの対策を十分にした上でやるということで、やはり大都市が集まりやすいのではないかと私は思います。
○大前座長 現実的にコロナが収まっていないときですと、例えばネットを使ってやるというのは双方向にはなかなかならないですよね。そんなに大きな双方向ができるようなタイプのソフトウェアは多分まだないと思うので、そうなってしまったら、一方的にビデオを撮ってとか、そういうパターンで、後で質問を受けるとか、あるいは事前に話す中身をパワーポイントなり何なりで上げておいて、それに対しての質問には答えるとか、そんな形でしかやりようがないですよね。収まっていれば集めればいいだけの話ですけれども、収まっていないとどうしてもその場での双方向というのは難しいですよね。
○神田有害性調査機関査察官 今おっしゃっていただいたように、あらかじめ御意見をいただいたものに対してとか、あるいは会場の人数を絞って、そこだけのやり取りといったものも一つ考えられるかなと思うところです。
○堀口委員 幾つかやってみた感想なのですけれども、会場の人数に限りがあるので、会場プラスSkypeとかで見る人、また別会場にいるというパターンとやっていたのですけれども、やはり質疑応答が最初は同じ部屋にいる人たちだけで、後半に少し時間をとって別部屋の人というのはやりました。いつも(このリスクコミュニケーションは)割と皆さんしっかりと質問事項を書いていただけるので、書いていただくのであれば別部屋にいてというのは可能かなと思います。チャットの機能で書かれると、同時にいろいろな質問がぶわーっと入ってきてしまって整理整頓があまりできないので、できれば第2会場みたいな形の別部屋で、(5号館では)省議室と会見室とか、そういう形でやっていたので、それができれば。例えば企業の謝罪会見とかでたくさん人が訪れるときは第2会場を作っていらっしゃると思うので。それで第2会場は同時に聞けるというところですね。今は休みの時間に質問を書いてもらって、集めて、それでやり取りをしているので、別部屋にいればできるのではないかなとは思います。どうせSkypeとかで別部屋を考えるのであれば、質問はできないかもしれないけれども地方からも入れるというのをしてあげられたら。3段階ですね。同じ部屋にいる、別部屋にいて質問できる、地方から聞いている、その3つがあれば十分かなと思います。
○大前座長 それを先生は最近経験されたのですね。
○堀口委員 例のクラスターのやつです。あそこはメディアとのやり取りだったので、(記者クラブの)幹事社の人のパソコン上で見える形で、しゃべっている側に見えなかったのです。それがちょっとやりづらいなというのと、ああいうクライシスのときなので、何でもかんでも聞きたいというところがあるから、幹事社の方が整理整頓がなかなかつかなかった部分があると思うのですけれども、このリスクコミュニケーションでは割ときちんと書いて出してもらう時間があるので、そのような混乱にはならないと思っています。
○大前座長 何かありますか。
○内田化学物質評価室長 いろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございました。
いただいた意見を踏まえまして、どのような対応が可能か、特に技術的な面でできるのかどうかというところもありますので、事務局の中でよく相談いたしまして、また次回の会議のときに、考えられるものとしてこんな手法があり得るのではないかということを改めてお諮りさせていただいて、その上でまた御意見を賜れればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○大前座長 そうですね。実際にやるほうの機能も当然変えなくてはいけないわけですから。もう一回この企画検討会はあるので、多分そのときにどうするかという具体的な話が出てくると思いますけれども。
 そのほかの先生方、リスコミに関しましていかがですか。
 特にないようでしたら、このリスコミの議題はこれで終了したいと思いますが、よろしいですか。―ありがとうございました。
 それでは、最後に「その他」ということですけれども、事務局から何かございますか。
○神田有害性調査機関査察官 ありがとうございました。検討をお願いしたい案件は以上でございます。
 本日いただきました御意見を踏まえまして、修正が必要なものにつきましては修正させていただいた上で皆様に送付させていただきたいと思います。
 また、次回の日程についてでございますけれども、9月上旬頃を予定しております。別途テクノヒルより調整の連絡があるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、次回の検討会では、有害物ばく露報告の対象物質について御検討いただく予定になっております。また、今お話にありましたリスコミの持ち方についても具体的な御検討をお願いしたいと思いますけれども、有害物ばく露報告の対象物質につきましては、この後、広く一般から対象物質とすべき物質がないかといったところのパブリックコメントを実施させていただきたいと思っておりますので、あらかじめ御紹介させていただきます。
 以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
 以上で本日の企画検討会を閉会させていただきたいと思います。
 どうも今日は御協力ありがとうございました。

午後3時07分 閉会