第87回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第87回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和2年6月1日(月) 14:00~15:30
 
2.場所 労働基準局第一会議室(オンライン会議)
           (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2  中央合同庁舎5号館16階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授     大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授  中野 妙子
○大阪大学大学院高等司法研究科教授  水島 郁子
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授   森戸 英幸
○読売新聞東京本社編集委員  宮智 泉


(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○ 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巖
○UAゼンセン政策・労働条件局部長  髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 総務・労働専任部長 北 隆司
○セコム株式会社人事部主務 久保田 祥子
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木 重也
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長  山内 幸治


4.議題
(1)政令改正等(諮問)案件について
(2)特別加入制度の見直しについて(今後の議論の進め方)
(3)その他

 
5.議 事

○荒木部会長 お待たせいたしました。定刻を過ぎましたので、ただいまより第87回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。本日も前回と同様オンラインで実施いたします。御参集いただきありがとうございます。本日は御欠席の委員はなく、全員18名の参加が予定されておりますが、今、もう1名参加を試みておられるところで17名の出席の確認をしております。定足数は満たされております。初めてのオンライン形式での参加の委員もおられますので、開催に当たって事務局より説明がありますのでよろしくお願いいたします。
○労災管理課 労災管理課の小林です。改めまして、オンラインで参加される方もいらっしゃいますので、操作方法等を説明させていただきます。
各議題に関して事務方より、資料等の説明をさせていただきました後、発言がある委員の方におかれましては、その旨をチャットから「誰々発言します」という形で入力をしていただきますようお願いいたします。その後部会長からそのチャットを確認後、御指名をさせていただきますので、ミュートを解除してから御発言のほうをよろしくお願いいたします。本日、使用させていただく資料については事前にデータ及び紙で送付しておりますので、そちらを御参照いただければ幸いです。もし音声や映像等の不具合等が生じましたら、チャットからその旨を御連絡いただければ幸いです。事務方よりその対応させていただきたいと思います。以上です。
○荒木部会長 ただいま18名全員の参加が確認されております。今、アナウンスがあったように、発言を希望される方はチャットのほうで「発言希望」と、入力していただければと思います。第1の議題に入ります。第1の議題は、「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案要綱について(諮問)」「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱について(諮問)」及び「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱について(諮問)」というものです。事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長の田中です。よろしくお願いいたします。私のほうからは、資料に基づいて説明をしたいと思います。資料1-1は、施行期日を定める政令案要綱についてということです。施行日を定める件については、前回の部会でも御議論を頂いたということですが、この中にあるように、今回の改正法の施行日は、令和2年9月1日とするということで諮問させていただいております。これは施行日の関係の方針案です。
続きまして、資料1-2、参考1-2を御覧ください。これは政令案の要綱の諮問ということです。これは関係政令の整備に関する政令案というもので、基本的には技術的な修正を行うというものですが、参考1-2を御覧ください。
これは改正法によりまして、複数事業労働者に係る2以上の事業が要因とした疾病、いわゆる複数業務要因災害に関する保険給付が新設されたということです。これによりまして、技術的な修正を政令の中に行うということを考えております。
1点目が労災保険法の施行令の一部の改正ということですが、労災保険給付のうち、同一の事由により厚生年金保険法等に基づく年金たる給付も支給されると。これは労災の遺族年金、あるいは障害年金というものですが、それについては併給調整が行われることになっております。今回の改正法によりまして、複数業務要因災害に係る保険給付が新設されましたが、同じように併給調整を行うための技術的な修正を行うというのが(1)です。
(2)徴収法の施行令の改正については、徴収法の施行令の中には労災保険率の算定に当たり、留意すべき事項、考慮すべき事項が列挙されているということですが、その中に複数業務要因災害に係る保険給付等についても業務災害に係る給付や、通勤災害の給付、これと同じように保険率の算定に当たって考慮すべき事項ということで列挙させていただくという技術的な改正を行おうと思っております。これらの改正については、先ほどの施行日政令と同じ施行期日ということになりますが、9月1日施行ということで考えております。以上が、諮問の2点目です。
続きまして、資料でいきますと3点目の諮問事項です。これについては、省令関係の諮問事項ということです。内容については、参考1-3を御覧ください。雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱については、労災保険部分について改正するという省令案です。改正の概要に書いてありますが、これは改正法によって労災保険制度のどこが変わったかということが書いてあります。3点ありまして、1点目は、先ほどから申し上げておりますが、複数業務要因災害に係る保険給付が新設されたというのが1点目です。2点目は、いわゆる額の合算です。複数事業労働者に関する保険給付については、複数の就業先の賃金に基づいて給付基礎日額の算定を行うというものです。3点目は、今回の改正法による給付ですが、例えば、額の合算の場合は今までよりも上乗せになった給付であるとか、あるいは複数業務要因災害に係る保険給付、こういったものについては徴収法に規定しておりますが、いわゆるメリット制には影響させないという趣旨の改正がなされております。これらを踏まえて、今回省令改正を行うということです。(1)の部分については、前回の部会で御議論いただいた事項の4つの項目です。
1つ目が、複数事業労働者に類する者の範囲ということです。前回御議論いただいたように、負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者ということで規定をしていきたいということです。②、これはいわゆる額の合算のやり方です。これも前回御議論いただいたように、各事業場の給付基礎日額の相当額を合算して得た額、これがいわゆる最低保障額であるところの自動変更対象額や、あるいは年金等の場合であれば、年齢階層別の最低・最高限度額がありますので、このゾーンに収まっているようにするという改正です。
③、これも御議論いただきましたが、複数事業労働者が保険給付の請求を行う場合ですが、多くの記載事項は告示事項になっております。様式の関係になっておりますが、必須記載事項と呼ばれますが、省令上、これは書いてくださいね、こういう事項があるのですが、その中に複数事業労働者かどうかと、複数事業労働者である旨を追加するということを考えております。
④、これも前回御議論いただきましたが、複数事業労働者の療養給付の支給事由について、疾病について範囲が省令に応じているという状況です。それについては脳・心臓疾患、精神障害を例示で載せてあります。あとはバスケットクローズ的な文言として、その他、2以上の事業の業務を要因とすることが明らかな疾病ということで掲げさせていただきたいと思います。以上が、労災保険法の施行規則の改正部分です。
(2)は徴収法の施行規則の改正内容です。これは建議でも御指摘を頂いておりますし、改正内容等は同一ですが、改正により新たに給付されるものについては、メリット制に影響させないと。そのための技術的な修正を行うというものです。
(3)は、特別支給金支給規則という省令があります。本体給付にプラスオンになっている特別支給金については、特別支給金支給規則で規定をしておりますが、これは保険料の中にありましたが、本体の給付と同様の改正を行うということが建議の中に書かれておりますので、先ほどの保険給付の最低・最高限度額の適用の仕方であるとか、その他の保険給付と同様の改正を行うということを技術的に修正しているという内容です。以上が3点目の省令案の改正事項です。施行日が2ページ目にありますが、これは先ほどの施行日政令と同じですが、9月1日施行を考えております。ちなみに公布日は、今のところ9月中旬には間に合うように準備したいと考えております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいま諮問があった件について、何か御質問、御意見等があればお願いいたします。発言希望という旨、チャット欄に書き込んでいただければと存じます。
○仁平委員 御説明いただいた政省令改正の諮問案件について、妥当なものだと考えております。その上で、一言だけ申し上げます。連合としては、政府が副業・兼業を推奨すべきではないというスタンスでありますが、ただ現在も生計維持のため副業・兼業で働いている人がおりますし、その方々が被災した場合の保護は非常に重要であり、今回意義ある改正だと思っております。これまでも発言させていただきましたが、今回の改正の内容について、広く周知をお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○荒木部会長 ありがとうございました。
○鈴木委員 経団連としては、副業・兼業を行いたい企業が、いろいろな支障がある中でできないということで、その環境を整えていくことが大切だということです。今回の法改正については。
○荒木部会長 聞こえなくなってしまったので再度お願いします。
○鈴木委員 今回の法改正は、まったく新しい内容であり、企業側としてもしっかり理解する必要がありますので、9月1日の施行の前、施行の後におきまして、丁寧な周知をお願いできればと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかに発言希望の方はおられますか。ほかに特段御発言がないということでしたら、お二人の発言も賛成ということでしたので、諮問のあった件について、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいですか。御異議のある方は、その旨をチャットに書いていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  それでは、特段異議はないと承りましたので、そのように進めさせていただきます。労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。
また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。したがいまして、当部会の議決が審議会の議決ということになります。それでは、事務局に答申案を用意してもらっておりますので読み上げてもらうことといたします。お願いいたします。
○労災管理課長 それでは、3点、答申案について読み上げさせていただきます。
 まず、施行日政令の関係です。雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令案要綱について。令和2年6月1日付け厚生労働省発基0601第5号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。
2番目の整備政令の関係です。雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案要綱について。令和2年6月1日付け、厚生労働省発基0601第4号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。
3点目の省令案です。雇用保険法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱について。令和2年6月1日付け、厚生労働省発基0601第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、当部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。以上です。
○荒木部会長 ただいま読み上げられた内容で部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会会長宛てに報告し、この報告のとおり、厚生労働大臣宛てに答申を行うこととしたいと思います。なお、答申は後ほど皆様に送付させていただきます。議題1は以上となります。続いて、第2の議題に移ります。第2の議題は、「特別加入制度の見直しについて(今後の議論の進め方)」です。事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 お手元の資料2を御覧いただければと思います。特別加入制度の見直しについて(今後の議論の進め方)(案)となっております。特別加入制度の在り方については、先の労働政策審議会の建議により、ここに書かせていただいておりますように、社会経済情勢の変化も踏まえ、特別加入の対象範囲や運用方法等について適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要があるということで、昨年12月に御提言を頂いているという状況です。
また、今回の改正法の審議の中で附帯決議が、衆議院と参議院でいずれも付いています。その附帯決議の中でも、特別加入制度について触れられた部分がありました。ここに御紹介している衆議院の附帯決議です。附帯決議には項目が何個かあり、その中の13番目で、特別加入制度の在り方について附帯決議が付されたということです。ここに書いてありますように、特別加入制度についてはしっかり周知・広報を行うとともに、下線を引いておりますように、社会経済情勢の変化を踏まえ、その対象範囲や運用方法等について、適切かつ現代に合ったものとなるよう必要な見直しを行うことということで、建議とほぼ同内容の附帯決議を頂いているという状況です。
また、参議院の附帯決議においては同様の内容に加えて、下から2行目にありますように、特別加入制度の必要な見直しの際、今回の創業支援等措置により就業する者のうち、常態として労働者を使用しないで作業を行う者を特別加入制度の対象とすることについて検討することとなっております。今回の創業支援等措置というのは、雇用保険法等改正法案の中に入っているものですが、高年齢者雇用安定法の改正に関わる部分です。
今回、事前に送らせていただいた資料の中に、高年齢者雇用安定法に係る資料があります。参考資料2-2ということで、「高年齢者雇用安定法改正及び創業支援等措置について」を送らせていただいております。その中で1枚目に、「70歳までの就業機会確保」という表題になっているものがあり、改正の趣旨や現行制度などが書いてあります。この創業支援等措置というのは、右の下のほうになりますが、新設された努力義務規定として、高年齢者の就業確保措置というものがあります。努力義務ということで、65歳以降の働き方に係る規定ですけれども、定年の引上げ等々とともに、雇用以外の措置でも就業確保措置を図るようにというような規定になっております。この部分は、創業支援等措置により就業する方について、特別加入制度の対象とすることについてもよく検討するようにという趣旨の附帯決議を頂いています。
以上のような状況を踏まえ、特別加入制度の見直しについて今後どのように進めていくか、かなりアウトライン的なものですけれども、事務方として案を提示させていただいております。2枚目の資料、特別加入制度の見直しについて(今後の議論の進め方)(案)の②です。対象範囲とその他制度の運用に係る見直しということになっておりますので、2つに分けております。
1つ目が対象範囲の見直しです。最初の2行が特別加入制度の基本的な考え方ですけれども、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者について、特に労災保険の加入を認めるという制度なので、特別加入制度という名称になっているのです。先ほどの建議や附帯決議の中にもありましたけれども、社会経済情勢の変化をよく踏まえなければいけないということです。それらを踏まえ、対象範囲の拡大について幅広く検討すべきではないかというのを、基本的な方針として書かせていただきました。
そこで、どうやってやっていくかということです。3つ目のポツにありますように、対象範囲とすることについて、需要があるものとして把握した業務を中心に幅広くという、関係者の方々にヒアリングをするなどにより、どういう業務の実態があるか、あるいは災害発生の状況はどうなっているのかといったことをよく把握し、どういう範囲を対象範囲にするかという対象範囲の明確化とか、どのような保険料率を設定するかということを検討すべきではないかというのを、3つ目のポツに書かせていただいております。
あとは留意点です。これは従前から業務追加をするときに、対象範囲を追加するときに、留意事項として掲げているものです。見直しに当たっては民業圧迫とならないようにするとか、あるいは危害防止措置、反対に言うと安全確保措置ということになりますが、安全確保のための措置が徹底されるように留意すべきではないかということで、留意事項を書かせていただいております。以上、簡単ですけれども、対象範囲の見直しです。
その他、制度の運用に係る見直しです。こういう対象範囲の見直しを阻害するような運用方法を改めるべきではないかというのが、大きな方針です。また、より加入しやすい制度となるようにしてはどうかと。これから検討になりますけれども、まずは手始めと言いますか、私ども事務方として御提案しようと思っているのは、特別加入団体の要件(地域要件など)を見直してはどうかということを書いております。このほかにもいろいろ見直すべき点はあろうかと思います。
以上のような大きな議論の進め方に沿って、労災保険部会で御議論を頂ければと思っているところです。簡単ではございますけれども、私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ただいまの事務局からの説明について、何か御質問、御意見等があれば、「発言希望」とチャットに書き込んでいただきたいと思います。楠委員どうぞ。
○楠委員 特別加入制度の見直しについて、資料2です。建議、附帯決議の内容を踏まえ、早急に特別加入の拡充に向けた議論を進めていただきたいと思います。それに関連して、幾つかお伺いしたいと思います。まずスケジュール感について、今後の議論の進め方をお教えいただきたいと思います。
2点目は、今後の特別加入制度について、広く国民から要望を集める方法をどのようにお考えかということです。加入の要望を幅広く聞くことも重要ですが、要望した業種・業態、更に地域を含めますと、加入に必要な団体がない場合も想定されますので、特別加入団体の認定要件などをお示しいただければと思います。
3点目は、業務災害の防止に関して、現在も特別加入団体が講ずべき措置となっていますが、その実効性を高めていくことは極めて重要だと思います。実際に措置が講じられているのかどうか行政としてどう担保していくのか伺いたいと思います。また、その後チェックなりフォローアップをしているのかどうか、ということもあわせてお聞かせいただければと思います。
○荒木部会長 それでは、事務局よりお答えください。
○労災管理課長 1点目の御質問は、検討のスケジュール感ということであろうかと思います。今回、今後の進め方について御審議を頂き、このような進め方でよいということでしたら、ここに書いてありますように、需要があるものとして把握した業務を中心にヒアリング等を、労災保険部会で行っていただければというように思っています。ただ、何月というところまでは、議論の進め具合によるのかなと思っておりますが、今年のうちに何らか追加するような業務について結論を得ていただいて、我々も省令改正のための作業を進めていきたいと思っております。
あとはどのようにして需要を把握するかということです。例えばということで、まだ我々のほうでも詰め切ってはいませんが、ホームページなどを通じて、業務の対象についてどう追加すべきか、どういう意見があるかというのを把握していきたいと思っております。ただしそれを踏まえた後で、当然どういう業務内容になっているのか、業務実態にあるのか、災害の発生状況はどうなっているか、例えば特別加入団体になり得るような団体があるのかといったことなども含め、しっかりと調べていきたいと考えています。
それから3点目です。災害防止努力を特別加入団体に出していただいているというのは、現在もそうですが、我々が特別加入団体を認定する際に、災害防止のための内部の規程をしっかり定めているかどうかについては、チェックをさせていただいているという状況です。これはどのようにフォローアップしているかということで、定期的にということではないのですが、しっかり災害防止努力を果たしているかどうかについてはチェックをさせていただいているという状況です。この災害防止関係の措置も今後、どのような在り方が必要かということについて、また御議論を頂ければと思っているところです。
○荒木部会長 楠委員、よろしいでしょうか。
○楠委員 はい。ありがとうございます。
○荒木部会長 それでは、続いて髙橋委員より発言の希望が出ております。
○髙橋委員 今の楠委員と同じく、早急に特別加入の拡充に向けた議論を進めていただきたいと思うのですが、1点お願いと、1点質問があります。まず意見のほうです。附帯決議にもあるとおり、雇用環境というのは社会情勢によって非常にドラスティックに、しかも時々刻々と変化していると思います。一方で労働者は、常に職場で働いている環境にあるということを考えますと、例えば特別加入制度の改正を検討している間に災害が起こってしまうと、特別加入の対象者とされない者が出てくることも想定されます。被災した者の生活を確保するという意味においても、これは幅広くだけでなく、タイムリーに議論を進めていく必要があると思います。是非、そういった御対応をお願いします。
もう1点は質問です。制度の運用に係る見直しで、阻害するような運用方法を改め、より加入しやすい制度となるようにと書いてあります。この点については異論はありません。そこで、具体的に阻害していて改めようとしているもの、ここでは地域要件というものが挙がっておりますけれども、それ以外にどのようなものが考えられるのですか。今、考えられるものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○荒木部会長 では、事務局よりお願いします。
○労災管理課長 1点目の御意見については、我々もしっかり肝に命じてこれから検討していきたいと思います。それから質問事項のほうですけれども、その他の運用方法の見直しについては、地域要件の見直しがあるのではないかということを掲げております。そのほかにどういうものがあるかということについては、事務局のほうで、これがありますよというものを御提示できるような段階には、まだなっていません。また今後、御議論を頂ければと考えているところです。
○荒木部会長 それでは鈴木委員、どうぞ御発言ください。
○鈴木委員 私からは2点、質問をさせていただきたいと思います。資料2の2ページです。労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者について、加入を認めるということですが、分科会で既に議論されていれば申し訳ないのですけれども、改めて保護するにふさわしい者について、具体的なイメージがあれば事務局にお伺いしたいと思います。
もう1点は、先ほどの楠委員からの御質問にも関わる質問です。見直しの手順として、資料では需要があるものとして把握した業務を中心に、関係者にヒアリングを行うという記述があります。その中で改正高齢法で導入される創業支援等措置により就業する方々というのは、中小企業事業主に当たらないような気がいたしますし、もしかしたら職種も様々ではないかという印象を持っています。この創業支援等措置により就業する方に対してヒアリングを行う際、どのような方から行う御予定があるのでしょうか。この2点についてお伺いさせていただきたいと思います。○荒木部会長 それでは事務局よりお願いします。
○労災管理課長 2点の質問を頂いております。1点目ですけれども、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者について、労災保険の加入を認めるというのが特別加入制度ということで、従前から大きな方針として申し上げています。しかし、保護するにふさわしいというのをきっちり定義するというのは、なかなか難しいところがあります。イメージとして申し上げると、ある程度は雇用と似ていると言いますか、ある意味雇用類似というような言い方でもいいかもしれません。我々としては労働者ではないけれども、労働者に近い方というイメージで捉えております。
2点目が、改正高齢法の就業等支援措置の対象になる方の業務についてということです。これは改正高年齢者雇用安定法の施行が来年4月からですので、実際にどういうものがあるかというのは、実態として今はないということです。今後、どういうものが考えられるかということについては、労働組合の皆様方のみならず、使用者の皆様方も含めて、正に幅広くお聞きしていこうかと思っておりますが、詳細にどういった所からどのようにヒアリングするかについては、事務局としてまだ案を持ち合わせていないという状況です。
○荒木部会長 それでは続いて田久委員、どうぞ御発言ください。
○田久委員 私から要望も含めて幾つかあります。1つ目は、楠委員や髙橋委員からも出されたように、業務災害の防止対策の担保に関しては、現時点でもかなり不明な点があるのではないかと思っています。特に私たち全建総連のほうでも強く要求している、ネットを利用した団体等でそういった対策をきちんと取れているのかどうか、こういったところも含め、きちんと分析をしながら制度改革を進めていかなくてはならないのではないかと思っています。それは今の制度の運用に関しても、加入団体の要件で地域要件を外すということを言っていますが、地域要件を外すことによって、そういった対策業務である災害防止対策や本人確認、いわゆる不正受給や不正加入につながらないような対策をしっかり講じて、制度を変えていかなくてはならないのではないかと思います。その辺について、どうお考えになっているかというのが1点です。私たち全建総連の仲間も含めて今、国交省で一人親方なども問題になっていますが、こういった本来保護されるべき労働者が、こういう拡大によって保護されないような状況にならないような議論を、やはりきっちりと取っていく必要があるのではないかと思いますので、そういったところも是非お伺いしたいと思います。
あと、この案の関係でいきますと、対象の見直しとか運用の見直しとあるのですが、補償の関係の見直しなども是非検討していただきたいと思います。特に第一種の特別加入の補償の関係でいきますと、どうも今の働き方改革に矛盾しているような支給要件も含めてありますので、是非その辺の検討もお願いしたいと思います。
○労災管理課長 1点目の御指摘である、災害防止措置の担保をしっかりすべきだという御意見についてです。おっしゃるとおり、正に特別加入団体を設けて使用者みなしとして法律に位置付けているのですけれども、そこで求められている一番重要なところは、災害防止措置をしっかりやっていただくということだろうと思っております。我々としてもいわゆる要件緩和だけでなく、災害防止措置をしっかりやっていただくことも含めて、御議論を頂きたいと思っておりますし、本人確認もいい加減なことにならないようにというのは非常に重要なことですので、その点も踏まえて要件緩和なり、対策の評価なりを御議論いただければと思っております。
2点目は、本来労働者として保護すべき方については、しっかり労働者として保護すべきという御意見だろうと思います。おっしゃるとおり特別加入制度があるので、安易に特別加入制度で加入すればいいじゃないかということにならないように、しっかり監督部門と連携をして、本来は労働者として保護されるべき方が、そうでないような形にならないように気を付けていきたいと思っております。
それから今回、我々は対象としてあまり明確に書いておりませんけれども、いわゆる一種の加入者についても当然、特別加入制度の中に入っていらっしゃるということなので、その運用の見直しについても対象になるのではないかと考えております。いずれにしても今後の労災保険部会で、運用方法や対象範囲の見直しについて御検討いただきたいと考えているところです。
○田久委員 今、いろいろ言われたとおりに是非お願いしたいのですが、実際にネットで加入を呼び掛けている団体は、何もしなくてもいいというようなことがネット上で書かれているということであれば、それは業務災害の防止を行っていないことが明らかになっている部分があると思いますから、こういったところは今からでも、きちんと指導をしていただけたらと思っています。また要件の緩和では、要望があったとしても地域条件の関係では、全国一つでしかやれないと言う団体もあると思うのです。ですから、そういった所と地域できちんとできるところと、要件を分けて行えるように。特に建設などは、私たちの労働組合でも全ての都道府県に事務組合がありますので、そういった所で対応していけますから、こういった区別をすべきではないかと思います。それが安全対策につながると考えていますので、是非その辺も含めてお出しいただければと思います。
○荒木部会長 そのほかに発言の希望はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議題2については以上とさせていただきます。次は議題3です。これはその他となっております。事務局より説明をお願いします。
○職業病認定対策室長 補償課職業病認定対策室長の西岡と申します。本日、補償課長は所用のため欠席させていただいておりますので、恐縮ですが課長に代わり私から説明をさせていただきます。私からは、補償課関係5項目のうち、3項目について御報告いたします。資料は3-1から3-3までです。まず1点目は、精神障害の労災認定基準の改正について、資料3-1を御覧ください。これについては、労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、昨年12月から精神障害の労災認定基準の心理的負荷評価表の見直しについて、専門検討会で検討を行っていただき、5月15日に報告書を公表したところです。今般、この報告書を踏まえ、心理的負荷評価表にパワーハラスメントを追加するなどの改正を行い、5月29日付けで地方労働局に通達を発出いたしました。また、同日公表をさせていただいております。
改正の内容ですが、1枚めくっていただきポンチ絵を御覧ください。改正のポイントは2点あり、具体的出来事等にパワーハラスメントを追加したこと、2点目はパワーハラスメントに当たらない暴行やいじめなどを評価するために、これまでの「嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けた」の出来事を「同僚等から、暴行又はいじめ・嫌がらせを受けた」に修正する等の見直しを行ったということです。これにより、請求の容易化、審査の迅速化に資することができるのではないかというふうに考えております。なお、具体的な心理的負荷評価表については、本資料の3-1の最終ページのところにありますが、本日6月1日からの適用となっております。全国の労働基準監督署で適切に運用してまいりたいと考えております。
2点目です。複数事業労働者に係る労災認定基準の検討についてで、資料は3-2を御覧ください。これについては、改正労災保険法の複数事業労働者に係る脳・心臓疾患、それから精神障害の労災認定基準については、昨年12月の本部会の建議を踏まえ、それぞれの認定基準に関する専門検討会において、医学等の専門家の御意見を聴取することとしております。具体的には脳・心臓疾患については、現在日程を調整中ですが、6月上旬をめど、精神障害については6月4日にそれぞれ専門検討会を開催し、意見を聴取する予定としております。専門家の意見等を踏まえ、複数事業労働者に係る脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定基準について必要な対応を図っていくこととしております。
3点目といたしまして、新型コロナウイルス感染症に係る労災補償についてです。資料は3-3を御覧ください。新型コロナウイルス感染症に係る労災補償における取扱いについては、4月28日付けで地方労働局に対して通達を発出し、適切な対応を指示したところです。また通達の内容、ポイント等についてはQ&Aで、厚生労働省のホームページに掲載し、周知を図ったところです。1枚めくっていただくと通達があります。この中にも書いておりますが、この通達については、それまでの業務起因性の考え方を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症の特性にかんがみた取扱いを示したものです。ポイントとしては、通達の記の2の(1)のウに書いておりますが、医療従事者等以外の労働者であって、上記以外の者の取扱いということで、調査によって感染経路は特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを個々の事案に即して適切に判断することとしたところです。新型コロナウイルス感染症に係る業務上外の決定については、各労働基準監督署で行いますが、全国斉一的な処理に資するため、全件を本省協議としております。労災請求については、迅速・適正に処理することとしております。私からは以上です。
○補償課長補佐 続きまして、補償課長補佐の福井と申します。私から、資料3-4「令和2年度労災診療費の改定について」、それから、3-5「二次健康診断等給付の健診費用の額等の見直し」について説明いたします。
1つ目、労災診療費の改定について御報告いたします。労災診療費は、原則として健康保険に準拠しております。一方、いわゆる労災特掲項目として労災独自で算定する点数又は金額を定めているものがあり、2年に一度行われる健康保険の診療報酬改定に合わせて見直しを行っております。今回の改定のうち、(1)の健康保険の診療報酬に準拠させて改定する項目の所要額を算出すると、10億2,700万円。(2)の労災特掲項目の改定の所要額が、約1億9,000万円となっております。この労災特掲項目の改定、新設2項目、既存項目の拡充4項目、廃止1項目について説明いたします。
まず、新設項目の(1)社会復帰支援指導料、(2)コンピュータ断層診断の特例の新設についてです。社会復帰支援指導料は、傷病労働者が早期に社会復帰の促進を図るためのものであり、具体的には3か月以上の長期療養者に対し、治癒が見込まれる時期、治癒後における注意事項について、医師が所定の様式に基づいて指導を行った場合に算定できるものとしたものです。算定件数は130点で、所要額は1億1,000万円を見込んでいるところです。
次に、(2)コンピュータ断層診断の特例です。コンピュータ断層診断、これ自体は健康保険で認められているもので、MRIやCTのフィルムを見て診断した場合に算定できるものです。また、他院で撮影したフィルムについて初診料を算定できる日、初診時のみ算定できることとなっております。一方で近年、高齢労働者の労働災害の発生が増加傾向にあるところ、高齢労働者は様々な基礎疾患を抱えている場合が多く、基礎疾患に対する治療を区分して、適切な治療を行う必要があること。また、労災は出張中や現場等から直接医療機関を受診することも多いと考えられ、労災の初診時に他院撮影のフィルムを提出することは困難なことも想定されるところです。このために、労災の独自の取扱いとして、再診時であっても他院で撮影したフィルムを診断した場合に算定できるようにするものです。算定点数は225点で、所要額は300万円を見込んでおります。
次に、既存項目の拡充・廃止について説明いたします。(1)救急医療管理加算(入院)の引上げです。初診時に救急医療を行った場合に加算できるものですが、医療機関が傷病労働者を緊急に収容可能な体制を確保していること等を更に評価して金額を引き上げたものです。
(2)職場復帰支援・療養指導料の拡充です。医師等が①傷病労働者に文書を交付して、職場復帰のための指導をした場合、②事業主と面談の上職場復帰のための指導をした場合、③産業医に対して情報提供をした場合、それぞれに算定できるものであり、現行それぞれ3回を上限としているところ、更なる充実を図るという観点から、上限回数を4回に引き上げたものです。
(3)病衣貸与料の引上げ。医療機関が患者に病衣を貸与した場合に算定できるものですが、1日につき9点のところ10点に引き上げたものです。
(4)術中透視装置使用加算の対象部位の拡大。骨の外科的手術を行う際に、X線透視装置を使用し行った場合には、1回の手術につき220点を手術料に加算できることとしておりますが、その対象となる部位として、これまで大腿骨を含め6種類でしたが、今般膝蓋骨、膝の皿も対象に加えたものです。
(5)労災治療計画加算の廃止です。医師等が入院から7日以内に労災治療計画書、又はこれに準ずる文書を交付して説明を行った場合に、労災独自で100点を加算できるものですが、会計検査院が実地検査したところ、本件の運用は準ずる文書として健康保険の入院診療計画書を作成している例が大多数で、労災特有の記載内容がほとんど見られないという実態が明らかとなりました。この検査結果を踏まえ、会計検査院から廃止を含め、抜本的な見直しをするよう意見表示されたもので、検討の結果廃止することとしたものです。改定の時期については、新設項目は6月診療分から改定し、既存項目については7月診療分からとしております。労災診療費の改定については以上です。
続きまして、資料3-5、二次健康診断等給付の健診費用の額等の見直しについてです。二次健康診断等給付は、労働安全衛生法に基づいて行われる定期健康診断において、脳・心臓疾患に関連する一定の項目に異常があると診断された場合に、労働者の請求により二次健康診断等給付として二次健康診断及び特定保健指導を給付するもので、平成13年度から制度を運用しております。本制度については、費用や実施方法を定めている労働基準局長通達の給付担当規程により運用しておりますが、制度発足以来、費用の見直しが行われていないということで、昨年10月、会計検査院から指摘を受けたものです。具体的な指摘は、2点あります。
1つ目、二次健康診断における適切な検査方法の設定及び費用の見直し。2つ目、特定保健指導の実施基準の策定及び費用の見直しの2点について指摘を受けたところです。このため、有識者による検討会を立ち上げ、改善に向けた検討を行っていただき、このほど検討会報告書がまとまったところです。厚生労働省はこの報告を基に見直しを進めることとしており、概要は、この資料のとおりとなっておりますが、緑色で記載をした二次健康診断については、①負荷心電図検査、胸部超音波検査については、実態を踏まえた検査方法とする。②健診項目の費用全般については、最新の診療報酬点数表に基づき算定する。
また、オレンジ色で記載した特定保健指導につきましては、①特定保健指導の具体的な内容、実施方法、実施時間の目安などを定めた新たな実施基準を策定する。②策定する実施基準に基づき、費用を算定するとしております。二次健康診断については、具体的にはページをめくっていただいた裏側の「二次健康診断における検査の算定に用いる診療報酬点数表等」の右側の改定後の欄の下線部が変更点となっていますが、このように改めることとしております。
また、特定保健指導については、次のページの指導の際に活用する質問票、次のページの指導の際に活用する様式、更に次のページの受診結果に所見を記載する視点及び記載例、これらを盛り込んだ特定保健指導の実施基準を策定することとしております。説明は以上です。
○労災管理課長 報告事項の最後の資料3-6です。新型コロナウイルス感染症対策関係の第2次補正予算案です。前回の部会では、補正予算で報告しましたが、それに続く第2弾、第2次補正予算案です。これは、先週、閣議決定を行い、まだ国会で御審議していただいていない状況ですので、案ということで示しております。このうち、社会復帰促進等事業関係のもの、それから労災関係の事務費関係ということで、それぞれ4点、2点で掲げております。まず、社会復帰促進等事業関係ですが、増額を案として国会に提出しているものが4点あります。1点目は、第1次補正でもありました、働き方改革支援助成金の中の職場意識改善特例コースについて、増額を図ることと考えております。2点目も第1次補正でもありましたが、同じく働き方改革支援助成金のテレワークコースです。これについては、非常に申請件数も多いことから大幅な増額を考えているところです。それから、外国人労働者対策についても強化を図る。4点目の障害者職業能力開発校のオンラインのための経費について、必要な整備を行うということで、3.3億円計上しているところです。
事務費の関係ですが、先ほどのテレワークコースの申請が増えていることもありますので、新規の定員を配置するようなことを考えております。それから、事務費関係の最後ですが、これは前回説明した労働保険料の猶予や、あるいは年度更新の関係で、今回特例的な取扱いをすることになっております。そのために、臨時の相談員の増員をしようと考えております。これは、雇用勘定との折半でということで考えているところです。簡単ではありますが、以上で報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。資料3-1から3-6まで御説明いただきました。何か御質問、御意見があれば、またチャットに発言希望と入力をお願いいたします。黒島委員、どうぞ御発言ください。
○黒島委員 資料3-1にありました精神障害の労災認定基準の改定に関して、要望を述べさせていただきます。御説明にありましたように、本日、ハラスメントの防止に向けた法律が施行されました。パワハラに関わる認定基準の見直しについては、労働組合としても歓迎しております。今回の法律の実効性を高めていくためには、改定内容の周知、それに向けた広報が極めて重要であり、その徹底をまずはお願いしたいと思っております。もちろん労働組合としましても、改めて周知について協力していく所存でありますが、改定内容をより分かりやすく説明・解説するパンフレットなどを是非御用意いただければ、よりスムーズに行えると考えておりますので、御検討、御対応のほうをよろしくお願いいたします。発言は以上です。
○荒木部会長 事務局から何かありますか。お願いします。
○職業病認定対策室長 職業病認定対策室長の西岡です。先ほど周知・広報の徹底ということで御意見を頂きました。現在、リーフレットの作成しており、それからホームページへの掲載等の準備をしてございます。また、後ほど労使団体の皆様方にも周知をお願いしたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、これから労働局、監督署でも、今回の改定について周知していきたいと考えております。
○荒木部会長 それでは続いて髙橋委員、どうぞ御発言ください。
○髙橋委員 資料3-1の件ですけれども、今回、認定基準が改定をされたということで、労働組合としても歓迎したいと思います。資料3-1の2枚目にありますとおり、報告内容のポイントとして、行為者を具体的に上司等あるいは同僚等という書き方をされているのですが、仕事上で精神的な負荷を受けるという意味でいきますと、顧客ですとか第三者からのハラスメントもあり得るのではないかと思っております。ということで、是非お願いしたいと思っているのは、顧客、第三者からのハラスメントについても分かりやすく伝え、こちらについてもしっかりと追記いただきたいというのが1点です。
それからもう1点、これは質問ですが、今回、法改定によりまして、「パワハラ」が明文化されたということですが、現在、個別労働紛争ではいじめ・嫌がらせの相談が増加傾向にございます。今回の法改定を受け、更にこれが増加するのではないかと思っているところです。そういった意味で懸念されるのが、認定業務がこれに追い着いていけるかどうかということです。つきましては、事務局のほうで現在の認識と見通し、見解についてお伺いできればと思います。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。事務局からお願いします。
○職業病認定対策室長 ただ今2点、御意見と御質問を頂きました。1点目の顧客に関してですが、これは今般、パワーハラスメントの具体的出来事を追加してございますが、顧客等からの迷惑行為は労働施策総合推進法・指針におきましても、職場におけるパワーハラスメントに含まれておりませんけれども、これについては従前から定めております「いじめ・嫌がらせ」、これも今般の見直しでは残しておりますので、こうした出来事で対応するということになるかと思います。そういうことも含めて、今後、できるだけ分かりやすく、周知する等の対応も考えていきたいと思っています。
それから、2点目のパワハラの新設をしたということの関連ですけれども、「いじめ・嫌がらせ」に係る相談が増える中での労災申請の像か、それらへの対応についてのお尋ねですが、現在のところは、この精神障害に係る処理については、これまでは、おおむね標準処理期間の8か月以内で処理をしてきているという状況にありますが、最近、請求も増加してきているという状況もございますので、請求事案に対しましては、様々な方策を講じながら可能な限り迅速に対応していくようにしていきたいと考えております。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。それでは続いて鈴木委員、どうぞ御発言ください。
○鈴木委員 ありがとうございます。2点ほど、意見を申し上げたいと思います。1点目は2次補正についてです。資料3-6の後ろから2ページ目の所に、今回の2次補正によりまして、社会復帰促進等事業費の限度額に対する所要額の割合が97.84%ということで、100%に近付いている状況があろうかと思います。新型コロナウイルスの感染は一旦は収まっておりますけれども、2波3波ということで、感染の拡大が進み経済の落ち込みが激しくなりますと、今後助成金の増額、あるいは未払賃金等の立替払制度の充実といったことで、第3次補正の編成も考えられるような局面にあるのではないかなと思っております。このような場合に、この限度額の枠内にどのように収めるのか、現時点での事務局の御見解があればお伺いしたいというのが1点目です。
それからもう1点は、資料3-5の二次健診について意見を述べさせていただきたいと思います。この問題を検討した有識者の検討会の報告書を拝見させていただきました。報告書の中に、今後の検討課題として、二次健診結果を事業主に確実に届けるための手法について将来的な課題ということが挙げられておりました。私自身、この意味するところをはっきりと理解しているわけではないのですけれども、健診結果というのは、御案内のとおりセンシティブなものですので、今後検討される場合におきましても、本人同意に基づいて、事業主に結果を提出する基本的な考え方を堅持いただきたいと思っている次第です。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、2点御質問がございましたので、事務局よりお願いします。
○労災管理課長 1点目の社会復帰事業事務費、これの限度額の考え方ということです。御案内のように、先ほど鈴木委員からもお話がありましたように、今、限度額に対する所要額が、第2次補正予算案が仮にこれで国会で通った場合、97.84%ということですので、額にすると約40億円ほどの差になった、このような状況になっております。3次補正があるかどうかというのはまだ分からないところもございますけれども、いずれにいたしましても、これから補正予算、3次補正があるかどうかというところもありますけれども、あとはこの計算をするときに、分母の部分が実は保険料の収入ということになっています。これは保険料の猶予措置というものをこれから講じるということになるわけですけれども、これがどれぐらい影響があるかも考えなければいけないのではないかなと思っております。いずれにしましても限度額の算定式なり考え方ですけれども、今まで例えば立替払事業が非常にたくさん出そうだというときには、その立替払事業については、限度額の算定から外したとか、そういう前例もあるわけですけれども、いずれにしましても今後の状況をよく踏まえて、当然その限度額の計算の仕方であるとか、あるいはどれぐらいの所まで、今後指数が増えてきたときに、どのように対処していくか。これについてはしっかり労災保険部会で御議論していただきたいと考えております。今のところはとりあえず限度額に収まっていると、間も幾らかあるという状況になっているということでありまして、今後すぐに何かを変えていこうとか、そういうことは今のところはないのですけれども、しっかり状況を踏まえて検討していかなければいけないかなというところです。1点目は以上です。
○福井補償課長補佐 二次健康診断等給付の関係で御意見を頂きました。ありがとうございました。具体的な検討時期については、まだ決まっておりませんけれども、検討する際には御意見を踏まえた検討をするということをお約束させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
○鈴木委員 1点補足をさせていただければと思います。現在、各社とも需要がどんと落ち込んでいるような状況で、経営が大変苦しい。苦しいながらも何とか黒字にしようと頑張っておられる経営者は多いと思います。そうした中で保険料が上がるということになると、更なる経営悪化をまねくことにもつながりかねませんので、そういった事情にも勘案して頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは続いて安原委員、お願いいたします。
○安原委員 資料3-2のほうに少し戻らせていただきます。ちょっと細かいことですけれども、確認させていただきたいと思います。労災認定基準の検討について、脳・心臓疾患と精神障害の労災の認定基準の検討会は、昨年末に議論があったときには、複数事業就業者に限らずに、医学的知見が蓄積されているということで、設置されたと記憶しております。ここにある複数事業労働者に係る検討は、複数事業労働者についてを先に早めに行うといった時間軸で進んでいるのか、という確認が1点です。
また、これら2つの労災認定基準についての検討会ですが、5回、6回という形の検討のスケジュールが資料にあったのですけれども、全体的なスケジュール感について、最終的にいつ頃終了予定かといった辺りをお伺いしてよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 では、事務局よりお願いいたします。
○職業病認定対策室長 先ほど、検討会の件について御質問を頂きました。まず、脳心・精神の複数事業労働者に係る検討ということで、先ほど御説明させていただいたとおり、これについては6月に、このテーマを中心にやらせていただくという予定で、法施行までに必要な対応を行っていくこととしております。全体の今後の予定ですけれども、脳心の認定基準に関しては、昨年度、その前年度の2か年にわたり医学的知見を収集したところでございまして、現在その内容の分析等も行っているというところで、準備ができ次第、本年度中には認定基準全般の検討にも着手したいと考えております。
それから精神障害の認定基準の方は、こちらも、今年度から医学的な知見を収集することとしておりまして、それを踏まえてということで、認定基準全般の検討は、来年度検討を再開と言いますか、スタートしたいと考えております。終了の目途については検討次第ですが、この2つについては全般的な見直しの関係もございまして、現時点では期限のほうは示していないというところです。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
○安原委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 ありがとうございます。それでは仁平委員、どうぞ御発言ください。
○仁平委員 ありがとうございます。資料3-3、新型コロナウイルス感染症に係る労災補償について質問させていただきたいと思います。感染のリスクと背中合わせで働かざるを得ない労働者がいるわけですが、今回の新型コロナウイルスの感染症に関して、この労災補償の解釈の幅を広げていただいたことについては歓迎したいと思っております。その上で3点ほど質問がございます。1つは、現在の申請件数と認定された件数、また申請の多い業種はどういう所か、ということを教えていただきたいと思います。
2点目は通勤災害の関係ですが、新型コロナウイルス感染症について、通勤起因性に関する解釈はどうなっているのか、業務災害同様に本省協議とされるのかどうかも含め、教えていただきたいと思います。
それと、新型コロナウイルスは、無症状の感染者も一定程度存在していて、無症状でも感染させるリスクがあるとも言われているわけです。公共交通機関を利用して通勤する労働者にとっては、この通勤時の感染リスクも否定できない中、通勤災害の認定に当たって、例えば今後、政府が導入しようとしている濃厚接触者の通知アプリなどを利用すると、労災認定の可能性が高まるということがあったりするのかどうか教えていただきたいと思います。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは3点、全て事務局よりお願いいたします。
○職業病認定対策室長 3点御質問いただきましたので、お答えさせていただきたいと思います。まず1点目として新型コロナウイルス感染症に係る労災請求等の状況ということですが、先週木曜日、これは5月28日時点ですけれども、請求件数は59件、それから支給決定、認定した件数は7件という状況です。請求の中で多い業種といたしましては、医療業が29件、それから社会福祉・介護等の事業が11件ということで、医療従事者等が59件のうち41件ということで、一番多いという状況になってございます。
それから2点目、通勤災害の関係で御質問がございました。通勤災害についても、通勤に起因して発症したものであると認められる場合については、労災保険給付の対象とするとしているところでございまして、これも本省の協議としているところです。
それから最後、新型コロナウイルスの感染リスクの関係ということの御質問ですが、通勤災害については、これは通勤の手段ですとか態様が様々という状況もございますけれども、いずれにしましても個別の事案ごとに調査の上、通勤との関連性を判断していくということになるかと思います。アプリのお話を頂いておりますけれども、それが調査においても、どのように活用できるのかどうかという点は、現時点では不明ではございますけれども、様々な情報を活用しながら通勤、それから業務災害についても起因性のところを適切に判断していきたいと考えているところでございます。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
○仁平委員 ありがとうございます。
○荒木部会長 それでは、予定した時間を超過しておりますけれども、何かこの際、特に御発言、御希望があれば承りますがよろしいでしょうか。それでは、特にないということでありますので、本日の議題については以上ということにいたします。次回の日程についてですが、事務局より追って連絡をさせていただくということにしておりますので、よろしくお願いいたします。本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表の安原委員、使用者代表の久保田委員にお願いをいたします。それでは、本日は以上といたします。お忙しい中御参加いただき、ありがとうございました。