医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第1回)の議事録

日時

令和2年3月27日(金)16:00~18:00

場所

TKP 新橋カンファレンスセンター 「ホール16D」
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング16階)

議題

(1)会議の趣旨等について
(2)これまでの経緯等について
(3)議論のポイント(例)について
(4)その他

議事

 
○田中ベンチャー等支援戦略室長 定刻を過ぎまして申し訳ございません。ただいまから第1回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催させていただければと思います。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
座長選任までの間、進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局経済課の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
この会議は、厚生労働省医政局長の意見聴取の場として、医薬品の製造・流通に関するステークホルダーや有識者の先生から構成される会議を開催し、抗菌薬等を初めとする医療用医薬品の安定確保策について議論することを目的として開催しております。
医政局長につきましては、大変申し訳ございませんが、新型コロナウイルス感染症への対応のため急遽参加することができなくなりました。大変恐縮ではございますが、御了承いただければと存じます。
それでは、開催に当たりまして、鎌田医薬・生活衛生局長より御挨拶申し上げます。
○鎌田医薬・生活衛生局長 皆さん、こんにちは。御紹介賜りました鎌田でございます。
本日は、本当に御多忙の折、またいろいろと御制約のある中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
冒頭まず2つ申し上げなければいけないのですが、今、事務局からございましたように、医政局長が皆様の御意見をお伺いする場と申しておきながら、諸般の事情により参加が叶いません。本当に申し訳ございません。また、代わりにというわけではありませんが私が参りましたけれども、実は私も火曜日に異動を告げられまして水曜日に着任したばかりでございまして、正直、医薬品のことはまだよく頭に入ってございませんので、とにかく皆さんのお話を聞くことに徹しますので、お許しいただければと思います。
長く申し上げませんが、医薬品の安定確保は、製薬企業の皆様はじめ関係者の皆様の御努力により、日本では大きな問題なく来ているところでございますけれども、この会議のきっかけになりました抗菌薬をはじめとする供給不安もございます。さらに、それこそ新型コロナ関係で安定確保についても大きな課題になっていると認識しているところでございます。このため、医療現場あるいは様々な立場で安定確保に御尽力いただいている皆様方の御意見を直接お伺いして、一定程度まとまるものがあればまとまっていくことになるのだろうとは存じますが、安定確保を目指して、皆様の御意見・お知恵を伺いたいと思っているところでございます。
したがいまして、忌憚のない御意見をいただけますようお願いいたしまして、簡単ではございますが挨拶に代えさせていただきます。本日はありがとうございます。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございました。
本来であれば、構成員の皆様お一人ずつ御紹介させていただくところではございますけれども、時間の制約もございますので、お手元の座席表をもって御紹介に代えさせていただければと存じます。
まだ、本日の構成員の出席状況でございますけれども、日本精神科病院協会の平川構成員から御欠席の御連絡を頂戴しております。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、本会議の座長の選任についてでございますけれども、事務局としては清田構成員に座長をお願いしたいと考えておりますが、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中ベンチャー等支援戦略室長 それでは、本会議の座長は清田構成員にお願いしたいと思います。以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたしたいと思います。
(清田構成員 座長席へ移動)
○清田座長 慈恵医大の清田でございます。ただいま日本化学療法学会の理事長をやっておりまして、昨年のセファゾリンの供給停止問題に絡んで、抗菌薬の安定供給の提言を提出させていただきました。その関係での御指名だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の趣旨は既に皆様に伝わっているのではないかと思います。今日は資料をよくそろえていただきましたので、この資料を中心に進めたいと思いますので、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 資料の確認をさせていただきます。
本日は、タブレットによるペーパーレスの会議としております。机の上にタブレットと操作説明書を配付させていただいております。現在、マイプライベートファイルの画面が開かれていると思いますが、その中に入っている各資料が本日の資料となります。
本日は資料としては、議事次第、座席表、資料1~3、参考資料1、参考資料2-1、2-2-1、2-2-2、2-2-3、2-2-4、参考資料2-3、参考資料2-4、参考資料3でございます。
不備・御不明な点などございましたら、事務局にお声がけいただければと存じます。
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日の議題は、1番目が「会議の趣旨等について」、2番目が「これまでの経緯等について」、3番目が「議論のポイント(例)について」、4番目が「その他」でございます。
議題1「会議の趣旨等について」、事務局から資料1の御説明をお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 御説明させていただきます。資料1をお開きいただければと存じます。この会議の背景と趣旨を御説明させていただければと思います。
「問題の背景」でございますけれども、現在、抗菌薬等が比較的安価な医療用医薬品の構造的な課題を幾つか挙げさせていただいております。
まず、採算性等の関係では、世界的に見て中国あるいはインド等の数社に医薬品の原料物質あるいは原薬の製造が集中している状況でございます。一国だけではなく複数の国にサプライチェーン、製造のラインがまたがっているという状況でございまして、さらに言うと、現地の環境規制の対策といったことで生産のコストが上昇しているという一方で、市場実勢価格に基づく薬価改定によって採算性が悪化してきているという状況でございます。さらには、品質基準に対する対応あるいは追加のコストが発生するといったことで、安定供給に関する構造的なリスクが存在していると認識しております。
実際に抗菌薬のセファゾリンについては中国とイタリアでございましたけれども、中国等での製造上のトラブルに起因しまして、長期にわたって安定的な供給が滞ったという状況が昨年発生した次第でございます。
このほかのものにつきましても、様々な要因で供給不安に陥るという事案が発生してございまして、化学療法学会様ほか4学会から昨年8月、安定的な医薬品の供給を求める要請を頂戴してございます。
政府の動きとしては、昨年12月に全世代型社会保障検討会議の中間報告において、医療提供体制の改革として「必要不可欠な医薬品の安定供給の確保」という項目が盛り込まれている状況でございます。
こういった背景を受けまして、医薬品の製造あるいは流通のステークホルダーの方及び有識者を集めた関係者会議を開催して、具体的な医薬品の安定確保策について議論したいと考えている状況です。これが会議の設置の趣旨でございます。
同じ内容を参考資料の設置要綱に記載させていただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
ただいまの御説明に対しまして、御質問・御意見ございますか。これから本題に入っていくわけでございますので、御質問がなければ次の議題2「これまでの経緯等について」、議題3「議論のポイント(例)について」を、事務局より資料2、3を使って御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 まず、資料2「これまでの経緯等」ということで、幾つか事項に分けていろいろ分析も含めて事務局で資料をまとめましたので、その資料を御説明させていただければと思います。
1ページ、目次として、医薬品の供給の現状、安定確保を図るための現在の取組と諸外国の状況についてもお調べしてまとめましたので、この3つについて御説明させていただければと思います。
2ページ、医薬品の供給の状況でございます。
こちらの分析については、厚生労働省のほうに各製薬企業から自主的に供給不安・欠品に陥りそうな事案が報告されてくることになっておりまして、例年50~60件程度の報告が寄せられている状況でございます。平成30年度と今年度に報告があったものについて、原因別あるいは後発か先発かといった分析を経済課で行いました。その結果をまとめたのが2ページでございます。
円グラフを順に御説明したいと思いますけれども、まず、合計としては2年間で112件報告がございまして、それを原因別に円グラフにしたものが(1)でございます。まず、原因別に見ると品質問題のところが30%、需要増への対応、つまり急激に需要が高まったため、それに対応できず供給不安に陥ったという状況でございますけれども、これも約3割、GMP基準等への対応、これは環境規制の対応も含まれておりますけれども、製造ラインの移設や変更に伴うGMP基準の対応がございますが、その対応の遅れに起因したものが約21%と、これらが上位を占めている状況でございます。
右側の(2)でございますけれども、先発医薬品・後発医薬品の別ということで属性ごとに分析したところでございますが、後発医薬品の報告が半数を超えておりまして、先発医薬品は34%、その他先発・後発の別がない長期に収載されている医薬品について11%でございました。
3ページでございますけれども、(3)投与形態別ということで分析した結果でございます。内用薬で62%、次いで注射薬が30%、残りが外用薬という状況でございます。
(4)が薬価収載からの期間別にまとめたものでございまして、5年ごとに期間を区切っておりますけれども、5年以内と5年超から10年以内のものが同程度ぐらい、これを足して半分くらいになりまして、10年超15年以内のものがそれよりもやや多いという状況、35%でございました。
(5)はコストの面でも分析しておりまして、一日薬価が100円以内のものの構成が最も高く約4割を占めておりまして、500円未満のものがそれに次いで多いと。コストが低いものについて割合が高かったという状況でございます。
4ページは、冒頭御説明申し上げましたセファゾリンの事例の経緯をまとめた資料でございます。
5ページは、現在の医薬品の安定確保を図るための取組をまとめたものです。それぞれフェーズごとに対応をまとめておりまして、全ての医療用医薬品を対象にしてフェーズを3つに分けて、まず供給不安を予防するための取組として3つ、供給不安の兆候をいち早く捕捉して早期の対応につなげるための取組が2つ、最後に実際に起こってしまった場合の対応として3つ、それぞれ図にしてまとめております。
詳細については、それぞれ6ページ以降にまとめておりますので、実際に御説明したいと思います。
まず、供給不安を予防するため取組として、製造工程の把握に関する取組でございます。6ページを見ていただければと思います。個別の医薬品の製造工程については、各製薬企業で把握あるいは管理されている状況でございますけれども、今回、抗菌薬に関して4学会から、キードラッグとして重要なものとして10品目提言をいただいておりまして、それについて経済課で各社さん、あるいは各原薬メーカーに個別に聞き取りしまして、実際にサプライチェーンがどうなっているのかを品目横断的にマッピングしたものでございます。
資料としてお示ししているものは実際の例というわけではありませんで、実際には各企業の情報になりますのでお出しできていないのですけれども、こういった形で原料の製造で、各国製造ラインがどう枝分かれしてつながっているかといったところをまとめている状況でございます。原料製造、それを使って原薬製造して、それを最終的に製剤化するという3つのフェーズに分けてまとめたものでございます。
現時点でマッピングした結果の気づきは下にございますけれども、御提言いただいた10のうち1成分、ベンジルペニシリンを除いて品目横断的に見ていくと、各工程について複数のソース(ルート)が確保されている状況でございました。ただ、ベンジルペニシリンにつきましてはどうしても1ラインになっている、複数ルートが確保されていない状況でございましたので、これについては安定確保について検討が必要と考えております。
ただ、複数ルートがあるとはいえ、実際の供給量あるいは供給のキャパシティー、どれくらいの供給ができるのかといったところはまだ精査できておりませんので、その辺を今後精査していく必要があろうかと考えております。
真ん中の緑色の原薬製造については、日本国内のほか南欧あるいは東南アジア、インド、韓国などが散見されている状況でございまして、一番左の原薬の原料製造につきましては、10成分に限った話ではございますけれども、中国が大部分を占めているといったイメージでございました。
7ページに移っていただきまして、予防するための取組の2つ目でございますが、供給継続の要請と製造の複数ソース化の推進ということで、先発医薬品に対しては必ずしも明示的にお願いしていない状況でございますけれども、後発医薬品については安定供給の要件について通知により明確化しておりまして、例えば、少なくとも収載後5年間は製造販売を継続していただくと、必要な在庫もしっかり確保していただくといったところをお願いしてございます。
実際に薬価収載する場合の事前のヒアリングを実施しておりまして、ここで安定供給できるかどうかといったところを確認させていただいている状況です。
8ページに移っていただいて、後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップを作成してございまして、この中で原薬の調達経路を複数化することを推奨してございます。
現状のデータが下の表にまとまってございまして、平成25年度に比べると14%、3割弱だったところが複数化できている後発医薬品の割合として4割を超えてくるといったところまで上昇してきている状況でございます。
次に、薬価上の措置ということで9ページでございますけれども、低薬価品等の特例ということで3つ主に分けられるかと思いますが、基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価と枠組みがございます。
いずれも薬価を下支えする取組でございまして、基礎的医薬品については11ページになりますけれども、長期にわたって薬価収載されているもので、累次にわたる薬価改定を受けているもののうち、臨床上の必要性が高い医薬品については継続的な安定供給が必要ということで、幾つか要件を定めて下支えをするという取組でございます。
要件としては、収載後25年を超えている、あるいは一般的なガイドラインに記載されていて広く医療機関で使用されている、過去に不採算品再算定の品目になった、あるいは抗菌薬や医療用麻薬といったものが対象になっているという状況でございまして、平成30年度の改定時点のデータになりますけれども、合計で261成分、660品目が対象になっているものでございます。
12ページは不採算品再算定ということで、実際に薬価改定を経る中で不採算になっていくものがございまして、それを企業から製造費用のデータをいただいて、不採算のものについては薬価の引き上げを行うという対応を行っております。その実例を示してございます。
13ページは最低薬価ということで、これ以上は下がらないといったボーダーラインを示しているものでございまして、規格ごとに局方品とその他通常のものと、それぞれ最低の薬価が設定されている状況でございます。これ以上は下がらないことを原則として実施している状況でございます。
14ページは、昨年の中医協での業界団体からのヒアリングで提出されている資料でございますけれども、実際、不採算品再算定適用で薬価を引き上げるといった取組を行った後でも、また下がっていく状況が起きてしまっているといったことが説明されている資料でございます。これについて、業界のほうから下がらないような仕組みを検討してほしいという要望が寄せられていることを紹介しております。
続きまして、実際にどれくらい薬価が変わっているかを具体的にグラフにしたものが15ページ以降でございまして、4学会から提言いただいている10成分について薬価の推移を示させていただいております。青いラインが先発品、緑のラインが後発品の一例でございます。代表的なものを選んで示させていただいているものでございます。いずれも大体数パーセントずつ、毎回の改定で下がっている状況が見てとれると思います。一部、ベンジルペニシリンについては不採算品再算定を実施して、平成26~28年にわたってここで引き上げが行われている状況です。
続いて、18ページが実際の薬価算定の方式ということで、これは市場実勢価格を薬価調査で調べたものを、実勢価格に基づいて2年ごとに薬価改定を行っていることを示したものでございまして、平均的な乖離率も毎回示していて、全体としての乖離率は大体8~9%あることを示しているものでございます。
次に、早期の対応につなげるための取組として紹介しているのが19ページでございます。これもセファゾリンの事案を受けて、厚生労働省と業界団体で相談した上でつくったものでございますけれども、各社でのリスク評価ということで、去年7月からこういったチェックリストを作って、それぞれの医薬品について、安定供給のリスクがないかを定期的にチェックをお願いしているものでございまして、チェックリスト1としては、原薬の安定確保の調達に関するところで業者がしっかりしているかといった観点。チェックリスト2が、物としての代替性も含めて医療上の必要性の観点でございまして、これを各社さんに定期的にやっていただいて、欠品のリスクがないかを確認いただいて、リスクがありそうということであれば、早期に経済課に相談いただくという仕組みをとっているところでございます。
20ページが、実際に供給不安に陥った際の対応の一例でございますけれども、昨年とった対応でございますが、セファゾリンの欠品に伴って一部の医療機関において手術を実際に延期したといった深刻な事案が報告されてございまして、医療機関からの直接の求めを受けて、厚労省が各社に対応をお願いして医薬品を提供したというスキームでございまして、その模式図を示しているのが21ページでございます。
前提としては、抗菌薬の適正使用を行っていただくということがございますけれども、その上で、欠品等に伴って重大なケースが起き得るという状況になった際には、厚労省に情報提供いただいて、代替薬のメーカーさんも含めて約20社に協力いただいて、医療機関に直接卸さんを通じて納入したというものでございます。
22ページ以降で、諸外国の状況についても簡単に御説明させていただければと思います。
まず、英米独仏、日本に限らず欠品が大きな問題となってございまして、後発医薬品の背景は以下のとおりということで、原薬を供給できる企業は限定されていると。企業としては幾つかあるということでございますけれども、根っこをたどると限定されてきているといったところで、採算性を理由として、企業が設備投資を絞り込んだり、市場から撤退するといった状況にあるという分析をされています。
国別の状況が下に簡単に紹介されています。
まず、アメリカでございますけれども、欠品が生じた際は、製薬企業からFDA、規制当局への報告が義務づけされてございます。そのうちアメリカにおいては欠品をリストアップして、恐らく全てではないと思いますけれども、計80の医薬品のリストが公表されている状況でございます。そうした場合に、FDAが直接各製薬企業と調整して増産を打診するといった対応が行われているという状況でございます。
イギリスについては必ずしも義務ではないのですけれども、欠品が起きるといったときには保健省に自主的に届け出を行うといったところで情報を集約している。これは平成25年度の調査の結果でございますけれども、その時点では必ずしも公表されていないという状況でございました。
23ページで、ドイツとフランスの状況についても記載させていただいています。
フランスについても、企業に対する欠品の報告が法令で義務づけされております。これについても米国と同様、ホームページに欠品リスクの情報が公表されているという状況でございます。
より最近の情報として、最後の2ページにまとめておりますけれども、米国のFDAで昨年10月に取りまとめたレポートがございますので、それを最後に紹介したいと思います。
24ページ、グラフを2つ載せておりますけれども、先ほど紹介した分析に似てございますが、FDAにおいても原因別に分析を行っていて、2013~2017年のデータでございます。163件を解析した結果、品質問題が一番多く6割、次いで重要増が12%という状況でございます。コストの面で見ても、中央値が9ドルを下回る安いものについて起きやすいという状況になっていると分析されています。
25ページは、それを受けてFDAの分析でございますが、利益が少ない医薬品を製薬企業が提供するインセンティブはなかなか不足していると。サプライチェーンで継続して品質向上するといった取組が確立されている中で、なかなか評価されていないというところも課題ではないかといったことが指摘されてございます。
資料2の残りは参考資料でございますので、適宜閲覧いただければと思います。
今日はフリーディスカッションということで、いろいろ御指摘いただきたいと思っておりますけれども、資料3として議論のポイントとして、事務局としてはこういったポイントがあるかなといったところをまとめさせていただいてございます。
1つ目、安定確保に特に配慮を要する医薬品としては、どのようなものが考えられるか。どのような観点で優先順位をつけることができるか。2つ目、それぞれのフェーズで予防するための取組として、どのようなことが考えられるか。3つ目、早期対応につなげるための取組として、どのようなことが考えられるか。4つ目、実際に供給不安に陥った際の対応として、どういったことが考えられるかといった視点で御議論いただければと考えております。
ちょっと長くなりましたけれども、説明は以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
まず、確認させていただきたいのは、抗菌薬に端を発してこういうことが出てまいりましたけれども、抗菌薬も含めてそのほかの種類の薬も含めて、供給停止がないようにするにはどうしたらいいかという一般的な大きな方向性をこの会で煮詰めておきたいというのが趣旨でございますので、もちろん個々のものも議論しても構わないと思いますけれども、大きな流れを御理解いただいて御議論に参加していただきたい。そのために各方面の先生方に御参加いただいたということでございます。ですから、それぞれの御専門の立場から、抗菌薬に限らない医薬品の供給停止の問題点を御理解いただいていると思いますけれども、先ほどの取組に関して、お一人お一人御意見を伺っていきたいと思います。
まず、手を挙げていただいて、どうぞ。
○長島構成員 日本医師会の長島です。
現在、新型コロナウイルスがパンデミックになっているということは影響が全世界的に起こるし、なおかつかなり長期間に及ぶと想定しなければいけません。そうしますと、原料、原薬、製造、全てのところが様々な国にわたって、あるいは日本国内ですら影響を受ける可能性があるということを考えますと、最悪の事態を想定した危機管理も入ると。それもできるだけ早く対応を考え始めるべきだろうと思っております。
1つは、心理的な不安を解消しなければいけない。2つ目は、実際に医薬品が不足することを予防しなければいけない。3つ目は、残念ながら不足が起こった場合の対応を考える必要があるだろうと。これには3つの観点が必要です。まず、製造、使用、流通です。
製造に関しては、現時点の全ての医薬品の在庫がどれくらいあるかだけではなくて、製造に関わる各段階における各国の問題が、例えば3カ月、6カ月と長期化した場合に、実際にどのような影響があるかの予測をしっかりしておく必要がある。それに基づいた対応が必要になります。
次に、使用ということであれば、医療機関での使用は学会等にお願いして、キードラッグについて抗菌薬に限らず、全ての医薬品に関してそれぞれの病気の治療に関するキードラッグのリストアップを始めていただく必要があるだろうし、その不足が起こった場合の代替策も同時に考えていただく必要があるだろうと。これはなるべく早く始める必要があるだろうと思っております。
3つ目が流通ですけれども、本当に不足という事態が起こるとは言っていませんで、まずはトイレットペーパーのように、不安によって過剰な在庫を確保しようという動きがあるといけないということで、さっき言った心理的不安の解消という意味では、きちんと情報を提供するとともに、しっかり対策しますということを打ち出す。あるいは、不必要な在庫の確保はお避けくださいというしっかりした働きかけが重要になります。
それでもいろいろなトラブル、問題が起こる可能性があるので、そこはしっかり監視して、それに対してしっかり調整する必要がありますけれども、これは状態が進めばアメリカのFDAのように国が一定限の強制力を持ってそこの監視をしたり、調整するということまで今のうちから想定した仕組みを考えておく必要があるだろうと。いざ起こってから仕組みをつくろうとすると時間的に間に合わないので、今現在働かせる必要はないけれども、それを想定した仕組みは準備しておいて、いざとなったらすぐ動かせる必要があるだろうと思います。これは先日立ち上がりましたコロナ対策本部としっかり連携していただく必要がありますし、全世界的な問題ですから、欧米、アジアとの情報連携も必要でしょう。それから、各企業単独でいろいろな調査や対策は無理ですので、業界団体あるいは国としてそこをしっかり支援するし、特措法を用いてもしも予算措置が必要ならしっかり予算をつけて対応することが重要かと思っております。
今回の議論のポイント1~4を踏まえて、今言った新型コロナウイルスという今そこにある危機に対するリスクマネジメントを直ちに始めるべきだと考えております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
長島先生の御意見に対して、こうしたらいいのではないかとか、あるいは私もこう思っているという御意見がございましたら、ぜひ頂戴したいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○坂巻構成員 神奈川県立保健福祉大学の坂巻でございます。
先ほど諸外国の状況について御説明がありましたけれども、平成25年の調査につきましては、実は私が委員長として実施させていただきました。今から7年前で、やや古い資料でございますけれども、当時で既に諸外国では医薬品の安定供給に関する懸念が非常に強く持たれていたということがまず第一でございます。この状況に関しましては、特に今、根本的な原因が改善しているわけではなくて、安定供給に関してはまず第一に、日本だけの問題ではなくてグローバルの構造的な問題があるということを、まず共通の理解として持つことが重要だろうと思います。もちろん、今、長島先生からお話があったように、コロナ対策も大変重要な問題ですし検討すべきですけれども、コロナが仮に終息した後でもこういった問題は継続して起こる。
この原因の一つは何かといいますと、やはり価格の問題です。様々な安定供給や欠品の問題の理由がありますが、価格全体が今世界的に、特に特許切れ製品に関しては大きく下がってきているということがございます。これはもちろん一面では、バイオ医薬品や再生医療等の高額な医薬品が出てくることによって、薬剤費全体をコントロールするために特許切れ医薬品の価格を下げなければいけない、このプレッシャーが物すごく今強くなっているということがございます。
一方で、特許切れ医薬品に関しても、コスト部分の高騰が非常に大きな問題になっている。1つは、中国の環境に対して原薬を作るための原材料、スターティングマテリアルという言葉を使いますけれども、スターティングマテリアルのコストが変わってきている。その調達のためのサプライチェーンのコストが変わってきている。それから、医薬品全体がGMP対応、このGMPが非常に進歩する中で、特許切れ医薬品といえどもGMP対応のコストが上昇しているといった、コストの増加が片方であって一方では薬価が下がるというのは、日本だけの問題ではなくてグローバルで起きていることです。
こういう中で、原薬を供給する企業も数も減少してきている中で、単純にそのソースを複数化すればいいという議論ではなくて、そもそもソース自体が限定された会社からしか提供できない、あるいはある国において、その国の制度の中で魅力がある市場であれば原体を優先的に出すけれども、例えば、日本で薬価がどんどん下がって原体を供給するための魅力的な国ではないという判断をされれば欠品のリスクが高まるし、実際に供給不足が起こってくると思います。
ということで、第一に先ほど座長がおっしゃったように、この問題に関しては、日本特有の問題ではない、あるいはジェネリック医薬品が経営的にリスク管理を怠っていたから起きている問題ではないということを共通理解として議論を進めることが重要だろうと思います。
あと、諸外国の事例に関しては、直近の取組としてフランスあるいはオーストラリアが昨年5月に新しいガイドラインを提示しております。こういったものも参考にしながら、今後議論していただければと考えております。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
とても重要なポイントだと思います。とにかく、何がなくなったら困るのかというのははっきりさせておきたいところですね。セファゾリンで本当に困ったわけですけれども、各領域の薬剤でキードラッグ、エッセンシャルなものを把握する、これは各学会にこれから厚労省から問いかけていただくことになろうかと思いますし、コストがどんどん安くなると、医療もコストを下げていこうというのは大原則になっていますので、その中でどうすくっていくのかというのがあろうかと思います。
先ほどの御意見に対しまして、ほかにございますか。どうぞ。
○藤川構成員 日本薬業貿易協会の藤川と申します。
今、坂巻先生から細かい御説明がありましたけれども、まさに生産のコストとか管理のコストが上がっていることについて目が向いているのは非常にいいことだと思っています。サプライチェーンというと、どうしても物の供給に目が向きがちなのですけれども、サプライチェーンは実は全部売り買いでつながっているので、売る人と買う人ということでつながっていて一方的に供給を受けているわけではないので、全部ビジネスなんですね。なので、売る人と買う人両方にメリットがないとビジネスとしては続いていかないというビジネスライクな部分もありますし、原薬を扱っている我々も最終的にはこれは患者さんの体に入るものだからという意識で仕事をしていますけれども、サプライチェーンの上に行けば行くほど、患者さんから離れれば離れるほどそういう意識は薄くなってどんどんビジネスライクみたいな形になっていきますし、先ほどおっしゃったように、上流に行くにしたがって逆に産業的には集約されていって、たくさん作っている人が多くの顧客に販売していて、スターティングマテリアルの一部分を我々が買ってきて最終的に薬になっている。下手すると、上流の方は薬になっていることも知らないというようなことも起きていると思います。なので、我々下流のほうからいくと、医薬品なのだからちゃんと供給してくれなければ困るという思いはあるのですけれども、上流はビジネスで多分つながっているというところは忘れないで対策を打たないといけないなと思っています。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○関構成員 日本医療法人協会の関でございます。
三村先生が座長をなさっている流通に関する会議があるのですが、それに出ていますと、メーカー、問屋、医療機関という医薬品の流れはある程度追えるというか、だから現実に長島先生がおっしゃったように、ある医療機関がたくさんの薬を買い込むということは把握できるのではないかと思います。それを同じ経済課がちゃんとどういう流通になっているかを調べれば、ある程度追えるのではないかと。一つ一つの医薬品がきちんとコード化されているので、それがどんな流通になっているかは追えるのではないかと思いますが、三村先生いかがですか。
○清田座長 どうぞ。
○三村構成員 御指名ありがとうございます。今これにつきましては少し整理する必要があると思っております。今、パンデミックをどうするかという非常に大きな問題があるのですが、それはちょっと置いておきまして、流通の世界において、従来の流通のやり方や方法論で十分なところと、今回のような事例やあるいは非常に高コスト、ハイリスクであるという薬剤が相当入ってきて、そこでいろいろな供給上のミスマッチが起こり得る可能性がある。つまり、全体として流通においても一種のハイリスクが起こってきているという感じを少し受けております。
先ほどキードラッグという言葉があったり、あるいは印象としては特別注意品品目という言葉が必要になるかもしれないのですけれども、私が非常に興味を持ちましたのは、ここでリスク評価をされている。このリスク評価は非常に重要だと思います。従来のような欠品が起こりそうという意味でのリスク評価も当然必要ですけれども、本当に減益の問題から来るような本質的なリスクが抱え込んだ問題などを踏まえましたときに、ハイリスクのものに関して特別な供給体制をつくっていく必要があるかもしれないと思います。
おっしゃるとおり、メーカーさん、卸さん、医療機関の取引関係におきましては、どの薬剤がいつどのくらいどこに納入されたかという情報は確かに大丈夫なのですけれども、先ほどセファゾリンの事例でありましたように、偏在あるいは供給が滞ってそこにおいて偏りが起こったときにどうするかという大きな問題があります。それは今の仕組みの中においては、どうしても起こってしまうという感じがいたしますので、こういった非常にハイリスクの評価が出された品目あるいは厚労省側で欠品が起こる可能性があると判断された品目につきましては、資料2の21ページですけれども、メーカーと卸と医療機関全体として情報共有の形をできるだけさせていただくような仕組みがあるだけでも違ってきます。
それから、在庫につきましても特定のところに偏らないようにとなりましたら、卸さんはどうしても取引の状況の中で特定の医療機関に約束したものを届けなければいけないという約束の中で動いていらっしゃるのですけれども、特別品目に関してはそれを外していただいて、全体として融通できるような形がもし、例えばここでルール化できればとか、調整できる形があるだけでも随分話が違ってくるかなという感じがいたしますので、従来のものであればちゃんと追えるのですけれども、こういう緊急事態や緊急に偏在が起こったときには、それなりのルール化や仕組みは必要ではないかと考えております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。とても参考になる御意見だと思います。
ほかに。川上先生どうぞ。
○川上構成員 浜松医科大学で薬剤部長をしております川上と申します。
資料2の最初のところで、供給不安・欠品に陥った事案の製品について、先発・後発別とか一日薬価別など、色々と分析していただいてどうもありがとうございます。こういったデータを見ていて思ったのですけれども、例えば、代替薬があるのかないのか。補充療法のように使っているものが無くなった場合、患者さんの病状や場合によっては生命に重大な影響がある薬なのか。市場占有率が極端に高い薬であれば、販売企業さんにとっては有利なのかもしれませんけれども、急に供給できなくなった場合の現場へのインパクトはどうなのか、などのように、個々の医薬品の位置づけによっても、供給不安や欠品に陥った事案が、現場から見たときに重大なことなのか、それとも他でも補えるものなのかで変わってくるかなと思います。できましたら、そういった重大な事案がどういう理由で起こったのかという背景も分析していただくと、今後の対応を考える一つの方策になるのかと思います。
例えば、セファゾリンやセファゾリンを製造しているメーカーが悪いわけではないと思いますけれども、セファゾリンの供給不安が諸外国でも同時に起こったのか、諸外国はどう対応したのは参考になるかなと思います。逆に、諸外国では同じことが起こっていないのであれば、原薬や原料の供給源は海外であったとしても、グローバルではない日本固有の問題がそこにあるのかもれしないと思いました。
また、意見交換をしていると、どうしてもメーカーが何をすべきかと行政がどういう対応をすべきか、といった大きな2つの視点で資料がまとめられている印象があるのですけれども、一方で現場サイドとしては、こういった供給不安や出荷調整がされるかもしれないなど、いろいろな情報が入った時には、医療機関の中で薬剤部門は様々な対応をしています。実際には、メーカー、契約卸業者、場合によっては契約していない卸業者からも、どういう現状で、いつ頃からそうなのか、いつ再開できるのか、実際に在庫はあるのか、自病院には納品していただけるのかを伺い、医療機関の中では使用中の患者がどのくらいいるのか、いつどのくらいの使用予定があるのかを各診療科の先生方全てにお聞きして、実際の使用予測に応じて確保できるのかなど、相当な対応をしています。場合によっては、院内文書を発出するのか、処方や注射オーダーのマスターを停止しなければいけないのかなど、供給不安や出荷調整という情報が入っただけで、中のスタッフが様々な対応をしています。だから、ぜひそういった労力にも目を向けていただいて、メーカーや行政として医療現場をどうサポートしていただけるかという辺りも、できましたら御議論いただけるとありがたいと思っている次第です。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
先にどうぞ。
○安部構成員 日本薬剤師会の安部でございます。
私は街の薬局の薬剤師ですので、今回一つの問題になっているセファゾリン、オペや入院中に使う薬剤については薬局では取り扱わなかったわけですけれども、大変大きな問題だと認識してございます。薬局の立場で、このような供給が不足して大変困った記憶があるのは、東日本大震災の時にいわきの工場が閉鎖されて、レボチロキシンナトリウムが供給されなくなった。これも甲状腺の病気を持っている患者さんにとっては命に関わる問題でございましたので、大変困った記憶があるのですが、たしかその当時はサンド社のレボチロキシンを緊急輸入して供給して難を逃れたという記憶があります。
今日の資料を2日前にいただいて読んでいるうちにそれを思い出したわけですけれども、そういった意味では、レボチロキシンがどうなっているのか、もちろん今は供給は十分されているわけですが、今日の資料の中にも基礎的医薬品というものがありまして、基礎的医薬品と薬価の関係も資料としてありますが、実は私も今うろ覚えで十分調べていないのですが、レボチロキシンは基礎的医薬品になっていて局方品になっている。たしか値段が25μg、50μgで9.8円なんです。そうすると最低薬価以下になっているという状況も、今はどうなっていたかは後でもう少し調べてみたいなと思っております。
それから、今日の資料の中で開局薬局から意見を言わせていただきますと、2ページに供給できなかった原因の中に、需要増が29%示されております。これは薬局の仕事をしていると非常にイメージができるのですが、後発医薬品が販売されて、過去には2年も3年もかかって後発医薬品に切り替わったものが、非常に速いスピードで切り替わる。そうすると、後発医薬品メーカーが予測しているような在庫量・流通量では十分に足りなくなって供給できなくなる。これは1社だけが供給する場合も全然供給されなくなる問題がありますし、他社がたくさんの後発医薬品を一遍に作った場合には、一企業の持っている在庫が当然少なくなるわけですから供給減が多くなる。こういったものが新たな後発品の使用促進に際して起きるような供給不足ということですので、これを新しい問題として分析しなければいけないかなと考えています。
それから、今日の資料でセファゾリンの問題ですが、6ページに製造工程の把握の関係でマッピングして調べていただいた非常に分かりやすい資料をいただいているわけですが、たしかセファゾリンについては、中国で原薬の原料のテトラゾール酢酸がほぼ1カ所でしか供給されなかったという問題があるのですが、それが既に片付いているのか。ここではベンジルペニシリンだけが重層化されていないという記載があるので、それは解決されているのかなというのが、知識として疑問なところがございます。
それから、関連して15ページには4学会さんが提言して、抗菌薬成分の薬価の推移を調べたデータがありまして、(4)にはベンジルペニシリンの薬価を引き上げているというデータが出ておりますけれども、一方で、薬価の引き上げをしたのにベンジルペニシリンだけが重層化の対応ができていないというところが、薬価の問題とどういう関係を考えればいいのかというのが少し疑問になっているところです。
もう一つ、先ほど申し上げたレボチロキシンの問題も思い起こした上で、31ページの資料を見せていただきますと、原料がどこから供給されているかということで、外国からの供給が今回のセファゾリンのようなリスクがあるイメージですが、一方で、国内1カ所で製造していて安定していても、10年前には震災で供給されなかったという事実もありますので、そういった意味で、どういう重層化が必要なのかというところは分析していく必要があるのではないかと思っております。
それから、長島先生がおっしゃったコロナの問題は大変重要な問題で、これと一緒に混ぜて議論してしまうといけないと思います。コロナはより重要な早急な問題かと思いますので、そこは整理して考える必要があるかと思っています。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
ただいまポイントが幾つかありましたね。中国での製造の問題は解決されているのか、ベンジルペニシリンに関しては、薬価が上がっているにもかかわらずこういう動きをしているのはどうなのかというのは、田中さんから御説明いただければと思います。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 まず、セファゾリンの件でございますけれども、テトラゾール酢酸の問題については、日医工さんに確認させていただいたところ、その件については現在は解決されていると伺っております。
もう一つの御質問、不採算で上げているのにソースが複数になっていないのではないかという御指摘については、複数ソース化を前提にコストを頂戴しているわけでは必ずしもないので、その当時、不採算の状況にあって、その当時の製造コストを踏まえて薬価を引き上げたものと思いますので、必ずしも複数ソース化を前提とした薬価にはなっていないというところは、そうかなと思います。
○安部構成員 理解しました。
もう一つお願いというか、今は忙しいので次回にかかってもよろしいのですが、15ページに薬価の推移が出ているのですが、薬価の推移を見るときに、後発医薬品と先発医薬品のシェアが分からないとどのくらいの影響があるのかのイメージもつきませんので、できればシェアなども教えていただければと思います。これはお願いでございますし、急ぎませんので、よろしくお願いします。
○清田座長 では、これは次回に間に合えば資料として提出させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ほかに御質問・御意見ございますか。どうぞ。
○長島構成員 先ほど御指摘がありましたけれども、ここの会議は本来は、根本的な構造的な問題をしっかり議論するということで、これは時間をかけてしっかりする必要があると思いますが、一方、コロナの問題はじっくり時間をかけていると間に合わないし、構造的な問題も解決できない問題なので、ここの会議体にはなじまないかもしれないので、また実務的な話でもありますので、厚労省の中にこれに関係するような部署なり担当者なりをしっかり決めていただいて、そこで迅速に対応していただければと思います。先ほど言った製造面、実際に利用する医療現場の面、流通の面から、しっかり実務的な話を進めていただければと思います。
○清田座長 それは、また情勢がどんどん変わると思いますけれども。
○林医政局経済課長 おっしゃるとおりなので、喫緊の課題としてコロナ対策、衛生材料あるいは医薬品と。
○清田座長 コロナは本当に余計で困ってしまっているのですけれども、コロナを含めてしっかり危機管理をやっていかなければいけないと思います。
私から、先ほど藤川先生がおっしゃっていた上流の問題。たしか上流の企業が絞られてくると、足元を見てコストを上げてくるという感じなのでしょうか。そうすると、こっちは薬価が下がっているから困ってしまうと。
○藤川構成員 上に行けば行くほど、よりケミカルというか化学品ですので、大量に同じものを作ってたくさんのところに供給して、そのうちの一部が医薬品になったりしているという状況なので、向こうにしたらたくさんあるお客さんのうちのちょっとだけ買ってくれる人というような位置づけになっているケースもあって、なまじっか例えば医薬品などでちゃんと供給してくださいと言うと、じゃあ買わざるを得ないのだなという話になって足元を見られるときもありますし、そこは難しいところなのですけれども、いずれにしても上流に行けば行くほどビジネス、例えば、多く買ってくれれば安くなるとか、余り無理ばかり言っていると、いざというときに分けてくれないといったことは割と起こりがちです。
○清田座長 上流をダブルソースなり、日本で上流を育てるというか、そういうような作業は行われないのですか。
○藤川構成員 恐らく技術的にはできるのですけれども、設備などの投資ができるかというと難しいと思います。特に、上流は大きな化学工場になりますので、設備投資の金額もかなり大きくなると思います。今でも例えばよくあるのは、インドの中間体が中国のスターティングマテリアルを使ったりしているのですけれども、今回こういう問題が起きたり、その前にも中国が値段を上げてきて、インドは自分で作ろうかという話とか、ヨーロッパの原薬メーカーが自分で中間体を作ろうかという動きもここ1~2年であるのですが、例えば、ヨーロッパの医薬メーカーが昔は中間体から作っていたので、中間体を作る技術はあるのだけれども設備を今から造るのは現実的ではないよねということで、結局買わざるを得ないという状況になっているので、最初からとか途中から作るというのは、コストの面でなかなか難しいのではないかと思います。
○清田座長 なるほど。
この点に関しまして、よろしいですか。どうぞ。
○長島構成員 市場規模の点で、日本の意見はどのくらい反映させていただけるのかという点はいかがでしょうか。
○藤川構成員 もちろん物にもよるのですけれども、量が出るという意味では、アメリカなどのほうにどちらかというと目が向いているのかなという気がします。インドにしろ、中国にしろ、原薬等を輸出するメーカーという意味では、日本が決して小さいというわけでもないし、日本は非常に品質を重視しますので、日本に買ってもらっているというのは、ある意味原薬メーカーにとっては対外的に誇れることではあるのですけれども、ビジネス規模はどうかと言われると、アメリカやほかの国に比べると若干少なくて、バイイングパワーという意味では少し弱いというのは否めないです。
もう一つは、さっきのダブルソースにしてしまうとバイイングパワーが実は下がるので、何でもかんでも複数ソースにしたらいいかというと、そうでもないという事情もございます。
○清田座長 どうぞ。
○坂巻構成員 今、アメリカの話が出ましたけれども、アメリカは公定価格ではなくて企業の売値で値段を決めることができるんです。ですから、供給が少なくなってくると実際、数年前にテレビのニュースでもやっていましたけれども、いきなりジェネリックの値段が400倍に上がったとか、価格をつり上げることによって引き上げると原材料を購入することもできる、そういった特殊な国なのかなと思います。
今まで長島先生や川上先生からもあった情報提供については、恐らくこの中でも非常に重要であるというコンセンサスはあると思うのですけれども、先ほどオーストラリアが昨年5月にガイドラインを公表したというお話をしましたが、それを見ていくと、情報提供は2つあります。1つは、全ての医薬品に関して供給不足が予想される場合には、それをメーカーが情報を日本で言うPMDAに相当するところに出せと。もう一つ、ウォッチングリストというのがありまして、これは先ほどからお話があるように、日本でいうとキードラッグ。特に医療上重要なものについて情報を常にウォッチするとものと2つに分けています。ですので、ここで議論するのは、日本においては、まず重要な薬について情報提供をどうするのか。あるいはそうではなくて、全てのものについて仕組みをつくるのかという議論、この2つに分けて考えることがいいのではないかと思います。
それから、これもオーストラリアのガイドラインを見ますと、全ての医薬品についてそうなのですけれども、医療上の重要なものに関して事前に予想された場合には、例えば、12カ月前までに情報提供しろと。そうでないものは半年前でいいという記載があります。原因によって例えば、今回のコロナや自然災害については、事前に予測することは難しいわけですけれども、事前に予測することができる場合には、いかに早く情報を企業から当局に出してもらうか。こういった何か起きたとき、あるいは起きる直前に情報を提供するのではなくて、そういったことが予防できるように、いかに早く情報を提供してもらうかといった議論もしたほうがいいのかなと感じております。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○原構成員 日本保険薬局協会の原と申します。
先ほど、なかなか日本に原薬が入ってこないというお話があったのですけれども、バイイングパワーの話が出ましたが、たくさんの会社が作ると一個一個弱くなるのか、集中して買うと、それが日本の規模だとだめなのか、分散化するという意味では幾つかの会社があったほうが安心すると思うのですけれども、集中することによってコストも下げられたり、いろいろなことが機動的に動けたりするのかなというのが第1点。
もう一つは、安部先生のお話がありましたけれども、3・11のときにいろいろなことが起きまして、流通の話に関していえば、あのときに起きたことがもしかしたら一つの対策になるのかなと。あのとき起きたことではチラーヂンの問題は非常に大きくて、1カ所に物を置いていたために、そこから取り出せなくなったらどんなことが起きたかということが一つですし、エンシュアリキッドに関しては物はあるのですけれども缶がなくなったということで、入れ物がないだけで供給ができなくなったということがございましたので、そういうところも見ながら、そこは今日、東北で一番活躍された一條さんという卸さんがいらっしゃいますので、その情報がたくさんあるのかなと思っております。
それと、今回のコロナの事件で吸入薬が効くということで一気に動きましたけれども、先ほど長島先生がキードラッグのお話をされましたが、キードラッグを大事にするのですけれども、本当に足りなくなった場合の優先順位がもしかしたらあるかもしれなくて、例えば、今回の吸入薬もただのぜんそくの患者さんには、申し訳ないけれどもコントロールはいいのだけれども、ちょっと違う薬で代替できないかという考え方も踏まえて、原薬の複数ソース化も大事なのですが、治療に当たっての複数の考え方や、もしかしたら日本国中含めたフォーミュラになるのかもしれませんけれども、そういうものはぜひ学会とかでやられるといいと思いますし、薬剤師はそういうところに関して言えば、体内動態とか得意ですので、ぜひそういうところでも職能を発揮したいと思っている薬剤師がいっぱいいますので、そういうところで取り組んでいけたらいいかなと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
いろいろなところからいろいろな御意見をいただいて、皆さん大体イメージができ上がってきたのではないかと思いますけれども、ほかにございますか。どうぞ。
○長島構成員 情報提供、情報共有は極めて重要なのですが、その出し方と、そのときのサポートというか混乱が起こらないような対応をしておかないと、トイレットペーパーが品不足になるということが起こるので、当然、当局にはしっかりできるだけ正確に早く出してもらうけれども、一般に公開するときには十分な配慮が必要ですし、特に極めて異常な状態のときには、さっき申しましたけれども、FDAのように国がある程度の強制力を持って調整できるという状態も事前に準備をしておかないと、何か大きな混乱が起こると困ると。その辺を幾つかセットで考える必要があるかと思っています。
○清田座長 この点につきましてはいかがでしょうか。どうぞ。
○蛭田構成員 日本製薬団体連合会(日薬連)の蛭田と申します。よろしくお願いします。
今の議論ですけれども、まず情報提供ですが、お手元の資料の19ページにチェックリストがございますが、これは日薬連と厚労省と協力して、原薬の安定調達に関する視点と医療上の必要性に関する視点ということでチェックリストを作成して、自己点検をお願いしている経緯がございます。チェックリスト2の医療上の必要性に関するチェックリストをもう少し精査していって、本当に何が必要なのかを今後見ていく必要がある。それに関しましては学会等のご指導もいただきたいと思います。
このチェックリストに基づいてチェックいたしまして、欠品の可能性があるという場合には、その後に出てきますセファゾリンのときの調整スキームがございますけれども、それを模した形で、現在2月のコロナ以降、急遽安定調整スキームを日薬連の中でつくっております。それでもしも欠品の情報があることが分かってきました場合は、行政と厚労省と日薬連で協力して医療機関等へ情報提供していきましょうという形をつくっておりますけれども、今後これに関しては、今の御意見も入れて行政とも協力して、もっと先生方にも御安心できるようなものをこれをベースにつくっていけたらと業界では思っております。
先ほどの議論でバイイングパワーの件ですけれども、もう一つ我々が問題だと思っているのが医薬品の規格でございます。医薬品、ほとんどが欧米のバイイングパワーが強いのですけれども、日本向けの部分だけどうしても規格が厳しい部分がございまして、欧米向けの原薬とは別の規格のものを作ってくれというような発注の仕方をすることが多いんです。そうしますと、同じものを作っていて7割、8割は欧米向けで、日本向けの1割だけ別の規格で作ってくれというと、そこは欧米向けに比べて相当値段を上げられてしまうという現実があるということも付け加えさせていただきます。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか、どうぞ。
○成川構成員 先ほどの情報提供の問題は非常に重要でありまして、こういう場できちんと議論したほうがいいと思います。
その前提として、きちんとした情報をどう集めるかというところも重要だと思っていて、先ほどの事務局からの御説明ですと、さっきの調査結果は自主的な報告だということがあったのですけれども、今、企業の方から供給が今後不安になるような懸念があるときに、どんなルールで、どれくらいの強制力を持って報告をしてもらっているのか詳細は知らないのですけれども、その辺をきちんと把握できるようなシステムをこの際つくっておくということも一つ重要なことかと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○松本構成員 国際医療福祉大学の松本といいます。
4学会の提言に関わらせていただいたので、セファゾリンに絡んで少しお話をさせていただきたいと思います。基本的に日医工さんとよくお話をさせていただいて、もともと薬は中国やイタリアといった外国に頼るしかない。それ以外のほかの抗菌薬も、ほぼほぼ国内で作られているものはないというような状況で、先ほどおっしゃられたように、日本はかなり製品の基準に対して厳しい条件を課しているというのもありますし、さらに薬価もどんどん下げていくということで見ると、抗菌薬を作っている企業からすると、ある意味撤退したいというくらいのところも多々あるのではないかと思われます。
ましてや、セファゾリンなどは1g108円だったということで、全然採算にも見合わないくらいの状況まで下げられてきておりますので、一部今回改定して見直していただきましたけれども、このままほかのお薬と同じようにずっと下げられていきますと、もう新しい薬もほぼほぼ出てこないような状況の中で、例えば、カルベニンはお金の問題ではないのかもしれませんが、薬として肺炎球菌にかなり有効なカルバペネムもありましたが、もう使えなくってしまいましたし、アジスロマイシンの1回の内服ももうなくなったと思います。そういうことで表に余り出てきませんけれども、抗菌薬は種類がだんだん減ってきております。そのさらに厳しい状況の中で作っていただいて頑張っておられる会社もありますけれども、企業努力にお願いし続けたままでいいのか、ある程度は特定の医薬品に関してはサポートしていただくような、今回ちょっと見直してはいただきましたけれども、キードラッグをもうちょっと厚くやっていただけるようなことを、ぜひ御検討いただければと思っております。
○清田座長 今のことに関して田中さん、いかがでしょうか。今回はある程度上げていただいて頑張っていただいたと思いますが。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 今回の4月からの薬価でございますけれども、改定のときに不採算品再算定を実施した抗菌薬は、10個のキードラッグのうち3つ対象となったものがございますので、それを紹介させていただければと思います。
まず、セファゾリンナトリウムでございますが、改定前の薬価の107円が改定後180円。セフメタゾールナトリウムについては243円だったところが449円。メロペネム水和物についても866円だったところが887円という形で、不採算品再算定で対応させていただいている状況でございます。
○清田座長 一遍にではなくて、徐々に可能なところから上げていただいているという状況だろうと思いますけれども、川上先生もそうでしたが、長島先生などはトイレットペーパーの話をなさっていて、結局足りなくなりそうだというのは早く教えてほしいと、これがまず1つあります。ですけれども、どれだけ国内に在庫があるのかというのも不安を払拭するのに大事だと思うのですけれども、スウェーデンなどでは備蓄をやっていると、日本でも今アビガンを備蓄しているのではないかと思いますけれども、国が備蓄するというのは一般的にどこまで何が可能か、基本的な考え方があるかどうかを林さんあたりに伺いたいのですが。
○林医政局経済課長 詳しくは調べていないのですが、私が承知している限りでは、新型インフルエンザが発生した際に、インフル薬が確保できるよう一定量の国備蓄はやっておりますが、それ以外については特段国が一定の薬剤を備蓄するということはやっていないと思っています。
○清田座長 どうぞ。
○長島構成員 キードラッグに関しては、国内生産でできれば理想的だと思いますが、業界の方に教えていただきたいのは、どういう状況・条件になれば国内生産にできるのか、どうお考えか教えていただければと思います。
○清田座長 いかがですか。
○蛭田構成員 とりあえず私からお答えさせていただきますけれども、基本的には価格だと思います。例えば、ペニシリン等は20年前まで国内で作っていましたけれども、今国内で作ることを試算しても、海外で作る価格の大体4~5倍くらいになってくるのではないかと試算されています。そういうことを考えますと、まずは国内で作った原薬を使っても、利益を出せるとは言いませんけれども、少なくとも赤字にならないレベルの薬価をつけていただくことが必要なのではないかと思っております。
○清田座長 どうぞ。
○藤川構成員 あと、例えば、抗生物質などですとコンタミの問題などもありますので、例えば専用棟を造らなければいけないということになると、国内で作るというのはコストの面でも非常に難しいと思います。
○清田座長 抗菌薬以外の薬剤は、ほかの生産ラインを応用したりはできるのですね。ありがとうございます。
どうぞ。
○寺島構成員 日本ジェネリック製薬協会から参りました寺島でございます。
国内生産への移行に関しては抗生剤以外でも検討したことがございます。例えば、H2ブロッカー、古い薬ですけれども、昔は日本で作っていましたが今は海外から輸入ばかりです。それを具体的に引き戻すことを試算したことがあります。10倍の値段になりました。理由は、全世界に供給している製品が何十トンもありますと。日本で生産しようと思うと、たかが1tぐらいのものの上流の原料を少量買ってくるために、その原料の値段が海外に出している製品(原薬)の値段と同じ値段から始めるという状況になりました。そこから作り始めるととんでもなく高くなりますというのが原薬メーカーからの回答でした。それに対して設備投資をするということになると、耐えられないという話がございました。それが現実の話でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○坂巻構成員 ちょっと薬価の話が出たので一言。価格が下がると安定供給に影響を及ぼすということは冒頭に申し上げましたけれども、世界的な、特にヨーロッパでは見られていることです。こういう状況に関して、ヘルシーコンペティションという言葉をヨーロッパで使っていましたけれども、健康な競争が必要であるという議論があります。先ほど甲状腺ホルモンの話が出ましたが、最低薬価を下回ってしまうようなものがどうして出てくるのだろうか。今の薬価制度をどうするかというのは恐らく医療課の議論で、ここでなじむかどうか分からないですけれども、ここの議論としてはヘルシーコンペティションが起きていない、例えばAGの問題や3価格帯の問題があると思うのですけれども、そういったヘルシーコンペティションを阻害するような要因は何かを議論していかないと、どんどん値段が下がっていって、また撤退するものが出てきてしまうのではないかと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○成川構成員 先ほどの製造の話なのですけれども、理論的には確かに国内で原体が製造できれば一番ですが、コストの問題があるということですけれども、そこはすぐに対応できる話でもないし、この委員会で議論するべき問題ではないのかもしれませんけれども、最近の技術の発展で連続生産のフロー合成といったものをきちんと日本でも前向きに取り組んで、それで低コスト化を図るというようなことは、長い目で見たら国としても取り組んでいってほしい問題だなと思っていますけれども、この辺りは伊豆津先生が御専門ですが、何かございますか。
○伊豆津構成員 私たちもそれは重要なことだと思っています。
それから、先ほど日本の規格基準が違うから、日本だけ特別高い価格で買わなければいけない、または入手できないということが発生するというお話もありましたけれども、規格や基準については、本当に医療上・価格上必要だから別に分けているものと、単に歴史的な経緯で違っているものがあると思いますので、そういったものは一つ一つ見直していくこともこれから大事になってくるのではないかと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか御意見・御質問ございますか。どうぞ。
○長島構成員 先ほどの備蓄の問題で、国・自治体ではなくてキードラッグ等に関しては業界のほうで今より少し長めに持っていただいて、それが例えば期限切れ等になってしまった場合、国が一定の補償をするという形での備蓄というのは現実的ではないでしょうか。
○蛭田構成員 即答できる状態ではございませんけれども、有効期限の問題もございますし、備蓄すると下世話な話でございますが、資産として税金も払わなければいけませんし、そこは持ち帰らせていただきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。どうぞ。
○一條構成員 日本医薬品卸売業連合会の一條です。
備蓄のお話ですけれども、卸も大体在庫は月0.6カ月ぐらい今持っています。特にコロナウイルスの関係や期末になりますと在庫量を上げています。流通しながらの在庫として見ています。それから、メーカーさんも卸も前年のデータを元に在庫して回すと。ですから、どこかで1つ問題が起きると、前年のデータを元にやるものですから、ちょっと足りなくなる。でも、その中で回していかなければいけない。そうしますと、どうするかというと、そういうものが出るときには1品目ずつ担当者を決めて、一医療施設ごとにお話をしにいきます。それによって、どういうスケジュールで治療をなさるのかということを聞きながら、一件一件、一品一品全部やらざるを得ないと。物すごいコストがかかってきています。
それから情報ですけれども、もちろんメーカーさんと医療施設の間に我々卸が入りますから、メーカーさんから聞いて、本当に分単位で情報をお伝えします。それから、医師会や薬剤師会の先生方に協力していただいております。現実的に、3・11のときに医師会の先生に言いまして、卸には0.6カ月分の物がある、病院さんにはどのくらいあるのだろうかというと、ある程度の在庫はありますので、シェアをしてくださいという話をしました。1週間の処方にしてもらえれば、次のメーカーさんの物流が再開できるまでもつと思いますので、1週間の処方にしてくださいということで医師会から流してもらいました。そうしたら1週間しかもらえないので薬がないという報道もあったのですが、実際には切らすことはなく、5日で物流を戻しましたので、その後は長期投与どうぞという話をしました。そういう意味では、医療に関する我々は医師会、薬剤師会、メーカーさん、卸、医療施設、全てがチームとして一丸となって情報をやりとりして乗り越えていったら、あのときは薬を切らさなかった。
それから、九州の震災のときもそうでした。すぐに連絡を取りまして情報を流し続けたということです。そして、厚労省の経済課の方にも常に連絡をして、我々がどう動いているかは報告しております。
ですので、今回のコロナに関してもいろいろな情報が出ていますけれども、常に連絡を密に取って、とにかく一件一件、一品一品やっていかなければいけないというようにして細かくやっていますので、そういう意味ではコストがかかって大変になってきておりますので、ジェネリックの薬価が下がっていくと、我々卸も一緒に大変だということでございます。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○蛭田構成員 先ほどの備蓄ということでお答えできなかったかもしれないですけれども、在庫という観点で申しますと、医薬品メーカーも大体2カ月ないし3カ月の在庫は持っております。それに加えて、最近原薬の安定供給という観点から原薬の在庫も増やしておりまして、平均で6カ月分ぐらいの在庫は持っているのではないかと言われております。合計ですと原薬6カ月、製剤で2カ月、合計8カ月ぐらいの在庫はあるのではないかと思われます。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○藤川構成員 原薬のほうも当然、原薬メーカーで原薬の在庫は持っていますし、中間体とか出発物質で在庫を持っていて、いってみれば原薬も工業製品ですので、原薬メーカーというのはお客さん、つまり製販さんから我々を通じて情報を例えば2021年にこれだけ買います、買う予定ですというフォーキャストを出して、1年の生産計画を立ててもらって、原料も買っておいてもらって作ってもらうという、普通のほかの工業製品と同じような作り方をしています。
医薬品がいつも難しいなと思うのは、結局、需要が読めないじゃないですか。誰がどういう病気になるかというのは全く分からないので、どれくらいの注文が来るかは、フォーキャストはいただいてもそのとおりになることはまずないんですよね。なるべく多めに持っておきたいし、先ほど何で需要増に対応できないのだという話がありましたけれども、キャパシティーはもちろん確認していて、ここまでいけるとかは確認しているのですけれども、例えば、もっと大きな設備を造っておいていいのかというと、それは別にお金がかかる話で、実際にそこまで作れなかったら設備が遊んでしまうということもあるので、需要増に対応できるだけ準備しておけというのはなかなか難しいことで、余りやり過ぎるとコスト増の要因になると。もしかすると、備蓄はそういう需要をならすという効果がちょっとあるのかなという気はしますけれども、それはそれで在庫のお金やコストがかかるのかなとは思います。
○清田座長 どうぞ。
○寺島構成員 原薬の備蓄に関しては、皆さんが使われる薬の量が多い場合、とにかく年中ガンガン使うようなものに関して6カ月の原薬を持つということはありません。というのは、毎日毎日作らないといけないので、そんなに大量のものを備蓄することはできないので備蓄量は少なくなります。使用量が少ないものについては製造ロット単位が大きくなったりしますので備蓄量が結構大きくなり、6カ月というのは十分あり得ると思います。恐らく毎日作るようなものは3カ月がいいところだと思います。これは感覚で申し訳ないですけれども、それくらいの感じです。
○清田座長 ありがとうございます。
いろいろな角度からいろいろな御意見をいただきまして、そろそろお時間も迫ってきましたので、今日の時点で結論を出す必要は全然ないので、皆様のいろいろな各方面からの御意見をいただいて、各委員の先生方が一応状況を御理解いただいてということで終わりますが、大体どういう方向に向かっていくのかという話が一つあります。資料2の5ページのスライドを御覧いただきたいのですけれども、「医薬品の安定供給を図るための取組(イメージ)」というのは、これをもうちょっと具現化していく作業で、この会は8月ぐらいをめどに一定の方針を提示するというのを目的としていると伺っておりますので、この5ページのイメージをもう一度お持ち帰りいただいてお考えいただくと。こちらは次までに話題を絞っておきますので、それに対して各委員の先生方から御意見を考えてきていただく形が効率がいいかなと思います。
いろいろな角度から問題点がいっぱいあると思いますけれども、どこからが可能なのかというのも大事だと思いますから、各委員の先生方におかれましては、その辺にポイントを置いて次回に御意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
○川上構成員 資料2の5ページの(1)(2)(3)は、資料3の議論のポイントの2、3、4に相当しているので、資料3の1、安定確保に特に配慮を要する医薬品をどう考えるとか、優先順位をどうつけるかという点が、今おっしゃったもの以外の議論のポイントがあるかと思いますので、そこについてはどんな形で我々は意見交換を進めていくのでしょうか。
○清田座長 田中さん、どうでしょうか。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 今御指摘のとおり、この5ページの資料というのは全ての医療用医薬品が対象になっていて、今日御指摘があったように重要なもの、特に留意を要するようなものといった視点があるのではないかという御指摘を伺いましたので、今後の議論になるとは思いますけれども、どういう視点でそういったものを選んでいけばいいのか。具体的には、恐らく各学会に考え方をお伺いしながら実際に出していただくといったイメージになるのではないかと思いますが、どういった視点で選んでいけばいいのかについて、今日でもよいですし、次回以降御指摘いただければやりやすいかなと思います。
○清田座長 いろいろな薬がありますので、チラーヂンの件も一つの例だったのだと思いますけれども、個々の薬によっていろいろな対策が違ってくるのは承知の上で集まっていただいていますので、原則論ですが、どうやったらリスクヘッジができるのかというのが一番大事なポイントだろうと思っています。ですから、様々な領域の方から御意見を伺って優先順位、個々の薬剤については今後学会に問いかけていただくのではないかと思います。ここはそういった会議です、それを御理解いただければ。
○川上構成員 考え方を整理することが大事かと思ったのは、例えば抗インフルエンザ薬でも、以前のオセルタミビルしか治療薬がなかった時は、備蓄して医療機関も在庫量を報告・確認していた時代もあるのですが、今のようにいろいろな治療薬が出てくると他のものでも代替が可能となります。そうなると個別品目の議論ではなくなってくる場合もあるかと思いますので、考え方が大事なのかと思って伺っておりました。
○清田座長 どうぞ。
○長島構成員 今の点で最初に申し上げましたが、医療の現場からの優先順位と提供側・製造側で、例えばシングルソースなのか、使用率が高いとか、ここの工場はそこにかかっているからリスクをしっかり評価する、この両面からやらなければいけないだろうと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、今日の会はそろそろまとめたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。次回以降の開催予定につきまして御報告いただきたいと思います。
○田中ベンチャー等支援戦略室長 次回の開催の日程と中身については、今後調整の上、改めて連絡させていただきたいと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
コロナは読めない状況でございますので、無事開けるかどうか分かりませんけれども、状況を見つつ御案内があると思います。よろしいでしょうか。
今日は、この辺で会議を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。