2020年2月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和2年2月28日(金)16:00~

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(3名)

行政機関出席者
 

 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 山本史(大臣官房審議官)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 中井清人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他
 


 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、石川委員、佐藤委員、代田委員より御欠席との御連絡を頂いております。そのほか、大森委員と森委員は遅れて御出席になるかと思います。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち、16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 続いて、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告をいたします。薬事分科会第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されています。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合する旨を御申告いただいておりますので、報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 また、本日の部会開催に際して、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、先生方にも御協力をお願いしていたかと存じます。マスクなどを着用されたまま御発言いただいても構いませんので、最大限の御注意を払っていただきますよう、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。また、当方の説明者においても、マスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、その点も御了承いただければと存じます。併せて、部会参加者の人数を制限するため、出席者の途中入退室があることも御了承いただければと思っております。

 それでは、杉部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○杉部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。

○事務局 それでは配布資料の確認を順番にいたします。本日、机上には、議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配布しております。あらかじめ、議事次第に記載されております資料1~16をお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の部会では、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。そのほか資料17として、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を机上に配付し、またタブレットのほうに資料18として、各審議品目に係る専門協議の専門委員リストを、資料19として競合品目・競合企業リストを格納しております。なお、タブレットの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告いたします。タブレットの資料19の1ページからになります。最初の品目は、「ステラーラ点滴静注130mg他1規格」です。本品目は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法及び維持療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 2ページは、「ロケルマ懸濁用散分包5g他1規格」です。本品目は「高カリウム血症」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 3ページは、「ルムジェブ注カート他3規格」です。本品目は「インスリン療法が適応となる糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 4ページは、「ソリクア配合注ソロスター」です。本品目は「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を予定効能・効果としており、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 5ページは、「メラトベル顆粒小児用0.2%」です。本品目は「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 6ページは、「ラツーダ錠20mg他3規格」です。本品目は「統合失調症及び双極性障害におけるうつ症状の改善」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 7ページは、「ビルテプソ点滴静注250mg」です。本品目は「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 8ページは、「オキシコンチンTR錠5mg他3規格」です。本品目は「非オピオイド鎮痛薬又は他のオピオイド鎮痛薬で治療困難な中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 9ページは、「アイラミド配合懸濁性点眼液」です。こちらは、「他の緑内障治療薬が効果不十分な緑内障、高眼圧症」を予定効能・効果としており、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 10ページは、「アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他1規格」です。本品目は「血管新生緑内障」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。

 11ページは、「キャブピリン配合錠」です。本品目は「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者における、狭心症等の疾患又は冠動脈バイパス術等の術後における血栓・塞栓形成の抑制」を予定効能・効果としており、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 12ページは、「オファツムマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらの3品目を競合品目として選定しております。

 13ページは、「Vestronidase alfa」です。本品目は「ムコ多糖症VII型」を予定効能・効果としており、競合品目は無しとさせていただいております。

 最後に14ページは、「イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)脳室内投与用製剤」です。本品目は「ムコ多糖症II型」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから、競合品目は無しとさせていただいております。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明に、何か格段の御意見はありますか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「ステラーラ」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、大森委員、武田委員、平石委員。議題2「ロケルマ」については、退室委員、議決には参加しない委員、ともにおりません。議題3「ルムジェブ」も同様に、退室委員、議決には参加しない委員、ともにおりません。議題4「ソリクア」についても、退室委員、議決には参加しない委員、ともにおりません。議題5「メラトベル」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、川上委員、武田委員。議題6「ラツーダ」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、大森委員、平石委員、山田委員。議題7「ビルテプソ」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、武田委員。議題8「オキシコンチン」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、飯島委員、大森委員、平石委員。議題9「アイラミド」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、大森委員。議題10「アイリーア」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、武田委員。議題11「キャブピリン」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、大賀委員、大森委員、川上委員、武田委員。議題12「オファツムマブ」については、退室委員なし、議決には参加しない委員として、大森委員、平石委員。議題13Vestronidase alfa」、議題14「イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)」については、どちらも退室委員、議決には参加しない委員はいらっしゃいません。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。今の事務局からの説明について、先生方から何か御意見はありますか。よろしければ、皆様の御承認を得たものといたします。本日は今お聞きのように、審議事項が14議題、報告事項が1議題、その他事項が1議題となっております。

 それでは、審議事項の議題1に移ります。機構から、概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ステラーラ点滴静注130mg、同皮下注45mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際は、資料1のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 潰瘍性大腸炎の薬物治療としては、活動期では、軽症から中等症にはメサラジン製剤が広く用いられ、効果のみられない場合や重症にはステロイドなどが、ステロイド抵抗例ではタクロリムスや抗TNFα抗体などの生物学的製剤が使用されています。また、維持期では、主にメサラジン製剤が用いられますが、ステロイド依存例ではアザチオプリンなどの免疫抑制剤が、抗TNFα抗体で改善した場合には、引き続き抗TNFα抗体が用いられます。

 本薬は、ヒトインターロイキン-12/23に対するヒト免疫グロブリンモノクローナル抗体です。今般、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした日本を含む国際共同第III相試験により、当該患者に対する有効性及び安全性が確認されたとして、静注製剤と皮下製剤の承認申請がなされました。なお、本薬は201910月時点で、欧米を含む90か国以上で承認されており、潰瘍性大腸炎の適応は2019年9月に欧州で、201910月に米国で承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料18に示します専門委員を指名しております。

 以下、本薬の有効性・安全性について、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした国際共同第III相試験成績を中心に説明いたします。有効性について、まず点滴静注製剤による導入期の有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号19ページの表19を御覧ください。主要評価項目である「8週目の臨床的寛解率」は、本薬各群のいずれも、プラセボ群に対する優越性が検証されました。日本人集団についても、全集団と矛盾する傾向は認められませんでした。

 次に、皮下注製剤による維持期の有効性について説明いたします。審査報告書の通し番号21ページの表24を御覧ください。導入期に本薬の投与に対する臨床反応が認められた患者を対象に、主要評価項目である「44週目の臨床的寛解率」の本薬各群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。日本人集団についても全集団と比較し、劣る傾向は認められませんでした。以上より、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者に対する本薬の導入効果及び維持効果は示され、日本人潰瘍性大腸炎患者においても本薬の有効性が期待できると考えました。

 続いて、安全性について説明いたします。審査報告書の通し番号23ページの表27及び表28を御覧ください。導入期及び維持期ともに、有害事象の発現状況に、本薬群はプラセボ群に比べて問題となる傾向は認められませんでした。国際共同第III相試験で認められた事象は、いずれも、本薬の現在の添付文書で注意喚起されており、既承認の効能・効果と同様に留意して対応することで、安全性は許容可能と考えました。

 以上の審査の結果、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する本薬の有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本申請は、新効能医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果の再審査期間は4年間と設定することが適切と判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、何か御質問、御意見はありますか。特によろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。では、潰瘍性大腸炎の薬ということで、お願いいたします。

 それでは議決に入ります。大森委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題2に移ります。機構から、概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題2、資料2、医薬品ロケルマ懸濁用散分包5g、同懸濁用散分包10gの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットを御覧になる際には、資料2のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 高カリウム血症は、慢性腎不全患者等で認められることが多く、重度の高カリウム血症では致死的な不整脈に至ることがあります。本薬は、微細孔構造を有する非ポリマー無機結晶の陽イオン交換化合物で、主に腸管内でカリウムイオンを捕捉して体外に排出することで血清カリウム値を低下させることが期待され、開発に至りました。今般、高カリウム血症患者を対象とした臨床試験により、当該患者に対する本薬の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請が出されました。なお、201911月時点において、本薬は欧米を含む30か国以上で承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料18に示す専門委員を指名しております。

 以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性に関しては、審査報告書通し番号19ページ、表14を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II/III相試験において、主要評価項目である投与48時間後までの血清カリウム値の変化を示すexponential rate of changeについて、プラセボ群と比較して本薬5g1日3回投与群及び本薬10g1日3回投与群で統計学的な有意差が認められました。

 続いて、審査報告書通し番号21ページ、表18を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国際共同第III相試験において、主要評価項目である維持期投与8~29日目の血清カリウム値について、プラセボ群と比較して本薬5g1日1回投与群及び本薬10g1日1回投与群で統計学的な有意差が認められました。さらに、審査報告書通し番号26ページ、表27を御覧ください。血液透析患者を対象とした国際共同第III相試験において、主要評価項目である最大透析間隔後の血清カリウム値の奏効割合について、プラセボ群と比較して本薬群で統計学的な有意差が認められました。

 以上を踏まえ、機構は、高カリウム血症患者に対する本薬の有効性は示されたと判断しました。安全性に関しては、審査報告書通し番号40ページ、表43を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国内第II/III相試験において、本薬群はプラセボ群と比べ有害事象の発現割合が高かったものの、いずれの事象も軽度でした。

 続いて、審査報告書通し番号43ページ、表46を御覧ください。高カリウム血症患者を対象とした国際共同第III相試験において、本薬群はプラセボ群と比べ有害事象の発現割合が高かったものの、ほとんどの事象は軽度又は中等度でした。さらに、審査報告書通し番号45ページ、表48を御覧ください。血液透析患者を対象とした国際共同第III相試験において、本薬群とプラセボ群の有害事象の発現割合は同程度でした。

 次に、審査報告書通し番号46ページ、7.R.2.5.1項を御覧ください。本薬で注意を要する有害事象の1つである低カリウム血症の発現状況について検討しました。臨床試験において、臨床的に問題となるような重度の低カリウム血症は認められませんでしたが、本薬の作用機序を踏まえると、製造販売後において、重度の低カリウム血症が生じる懸念もあることから、本薬投与中は定期的に血清カリウム値を確認し、血清カリウム値等の患者の状態に応じて本薬の減量、休薬等の適切な処置を行うよう添付文書で注意喚起する必要があると考えました。

 次に、審査報告書通し番号49ページ、表53を御覧ください。本薬で注意を要するもう一つの有害事象である心不全の発現状況についても検討しました。本薬投与時における心不全関連事象の発現割合は低いものの、心不全の発現は本薬に含まれるナトリウムイオンとの関連が否定できないこと、心不全はプラセボ群では認められず本薬群のみで認められていること、重篤な副作用としてうっ血性心不全が複数の症例で認められ、投与中止に至った症例も認められていること等も踏まえますと、心不全について添付文書で注意喚起する必要があると考えました。

 以上を踏まえ、機構は、低カリウム血症及び心不全の発現に十分注意しながら使用することで、本薬の安全性は許容可能と判断しました。

 以上、機構での審査の結果、高カリウム血症に対する本薬の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本薬を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。

 機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御質問、御意見はありますか。堀委員どうぞ。

○堀委員 服用の仕方についてお尋ねいたします。添付文書の2ページの適用上の注意で、14.1.1で、約45mLの水に懸濁すること、14.1.2で、本剤は溶解しないため、十分に混ぜて沈殿する前に服用すること、沈殿した場合は、再びかき混ぜて服用すること、服用後に容器に本剤が残っていないことを確認することと書いてあります。

 こうやって水に溶かして飲む薬の場合は、すごく溶けやすいものであれば、混濁してコップに残ることはないと思いますが、やはり、たった2、3日間の服用期間でも1日に3回服用する際に、もし、飲み終わって見たときに、薬が底にいっぱい残っていた場合は、ここですでに約45mLの水に溶かして服用していた場合でも、ほかにもっと水を入れて、残薬をかき混ぜて飲んでもいいものなのでしょうか。素朴な質問で申し訳ありません。

○医薬品医療機器総合機構 懸濁した際にすぐ沈殿するわけではないため、ある程度懸濁後すぐ飲べば問題ないと考えます。また、沈殿していたとしても、水を足していただいて飲むことで問題ないと考えます。

○堀委員 では、その45mLというものに、すごくこだわらなくてもいいということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○堀委員 分かりました。あともう一つお聞きしていいですか。やはり、水に薬を溶かして飲む場合、一般市民は味を気にすると思うのですが、飲みやすいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤は無味です。

○堀委員 無味なのですね。ありがとうございました。以上です。

○平石委員 注目すべき副作用として、低カリウム血症と心不全ということです。その心不全については、ナトリウム摂取量が増えるだろうという解釈ですが、本薬の通常用量に含まれるナトリウム量は1日用量換算でどれぐらいなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 5g製剤中には0.4g、10g製剤中には0.8gのナトリウムがそれぞれ含まれております。なお、当該内容は添付文書の組成のところに記載されています。

○平石委員 そうすると、1g以下ということですので、極端に多いというわけではないと理解してよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○平石委員 ありがとうございます。

○杉部会長 そのほか、いかがですか。

○山田委員 すみません、このロケルマの直接の包装用紙についてお伺いしたいのですが、これになるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そちらは海外流通品のものであり、日本で流通するものについては印刷物をご確認ください。

○山田委員 日本語が書いていなかったので心配したのですが、実際には日本語で書かれたものが入るということですね。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○山田委員 はい、了解しました。

○杉部会長 そのほか、先生方から何かありますか。赤羽委員どうぞ。

○赤羽委員 添付文書の注意喚起のところで十分指摘されているので問題ないかとは思ったのですが、やはり問題になる低カリウム血症と心室性期外収縮との関係ということで確認したいのですが、審査報告書通し番号43ページ、表46を拝見しますと、心室性期外収縮の出現頻度が99例中1例、99例中2例など、1%、2%という出現頻度は決して低いものではないと思うのですが、これはやはり血清カリウム値の低下と関係のある心室性期外収縮なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 審査で確認したのですが、低カリウム血症との関連はみられなかったということです。

○赤羽委員 分かりました。ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 また、申請者としても、低カリウム血症が起きるとそのような事象が起きやすいのだろうという考察がされており、低カリウム血症については、十分注意喚起し、製造販売後調査の調査項目とされています。

○杉部会長 そのほか、いかがでしょうか。最後に私から1つだけ。心不全とあるので、高カリウム血症を来す人は、腎不全も多いのですが、心不全の副作用はもともと心機能が悪い人がなりやすいのではないかと思うのです。そのような心機能の縛りというのは何かあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 心機能に関する縛りは設定していないのですが、心機能が悪い患者さんに対しては慎重に投与していただければと思います。

○杉部会長 はい、分かりました。そのほかいかがでしょうか。それでは、これから議決に入りたいと思いますがよろしいでしょうか。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題3に移りたいと思います。議題3について機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料3、医薬品ルムジェブ注カート他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレット資料3のフォルダを開き、「審査報告書」のファイルをお開きください。

 本剤は、既に承認されているインスリン リスプロ(遺伝子組換え)を有効成分とする新規のBolusインスリン製剤です。本剤は添加剤としてトレプロスチニルナトリウム及びクエン酸ナトリウムを処方に加えることで、同一有効成分を含有するインスリン製剤であるヒューマログと比較して、皮下投与後初期の吸収を速め、インスリン作用の発現を速めた薬剤です。インスリン作用の発現がより速くなることにより、本剤は食事開始後でも投与可能となる製剤として期待され、申請者より開発が行われました。

 なお、本剤は2020年2月現在、米国及び欧州において審査中です。本邦では、食事開始後でも投与可能なBolusインスリン製剤で、昨年8月に御審議いただきましたフィアスプ注に続き、本剤は2剤目となります。本品目の専門協議では、資料18に示す先生方を専門委員として指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性については、審査報告書27ページ、表22を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者を対象に、本剤の食事開始前の2分以内に投与とする食前投与、若しくは、食事開始後20分時に投与とする食後投与、又はヒューマログの食前投与をする国際共同試験が実施されました。その結果、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、本剤食前投与群及び本剤食後投与群のいずれもヒューマログ群に対する非劣性が示されました。ただし、ベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量等について、本剤食後投与群と比較して本剤食前投与群で良好な結果が認められています。また、審査報告書33ページ、表30を御覧ください。Basal-Bolus療法を実施中の2型糖尿病患者を対象に、本剤又はヒューマログの食前投与をする国際共同試験が実施されました。その結果、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、本剤食前投与群のヒューマログ群に対する非劣性が示されました。以上から本剤の有効性は示されていると判断しました。

 安全性については、審査報告書43ページ中段の「機構は」から始まる段落を御覧ください。本剤の安全性について、各国際共同試験において、注射部位反応の発現割合はヒューマログ群と比較して本剤群で高い傾向が認められましたが、臨床的に問題となるような安全性上の違いはないことを確認しました。また、発現している主な事象はヒューマログで既知の事象であり、低血糖や注射部位反応等の個別の事象について検討した結果から、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 本剤の用法・用量については、審査報告書51ページ、上段の「一方、」から始まる段落を御覧ください。1型糖尿病を対象とした国際共同試験でのHbA1c変化量、食後1時間又は2時間の血糖上昇幅の変化量等の結果を踏まえると、本剤食後投与群に比べて本剤食前投与群で良好な血糖コントロールが得られていること等から、本剤の推奨する投与タイミングとして、通常は食事開始時(即ち、食事開始前の2分以内)の投与とするが、必要な場合は、食事開始後の投与とすることもできる旨の用法とすることが適切と判断しました。

 以上のとおり、機構での審査の結果、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。新剤形医薬品である本剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問、御意見ありますか。

○長島委員 添付文書の2ページ、7.1の用法及び用量に関連する注意で、本剤はヒューマログ注という形で、具体的な製品名で記載してありますが、添付文書の場合は一般名での記載のほうが適切ではないかと思いますがいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構より御説明いたします。今回、有効成分が同じインスリン リスプロであり、一般名で記載するとルムジェブ注とヒューマログ注の区別がつかなかったため、販売名で記載しております。

○長島委員 そうすると、そこが分かるような説明を付けた書き方のほうがいいかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。以前、御審議いただきましたフィアスプ注の添付文書においても同様で、同じ有効成分を含有するフィアスプ注とノボラピッド注を販売名で記載しておりますため、今回、ルムジェブ注では現行の記載とさせていただきたいと思いますが、今後の品目においては、その辺りも分かりやすくなるように検討したいと思います。

○長島委員 お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。

○杉部会長 そのほか何かいかがでしょうか。森委員どうぞ。

○森委員 今回はヒューマログとして発売されているインスリン リスプロの皮下吸収を促進するために、従来、インスリン等を含めた注射製剤には添加されていない添加物を加えて、血管拡張、血行促進をして速くすることが知られているようです。今回、添加されている薬剤は、現在、肺高血圧症で治療に使われている薬剤と同効薬であるようにお見受けしましたが、そちらの添付文書には、妊婦への注意喚起や授乳婦への注意喚起が明記されています。

 今回のルムジェブの添加量は、肺高血圧症に使用する量と比べて、決して同等ではありませんが、インスリンも持続皮下注射することがありますし、肺高血圧症の治療の場合も持続皮下注射が適応で認められているので、投与経路は類似している可能性もあります。今回のこのインスリン製剤で、その点の注意喚起が不要である根拠はどうなのでしょうか。教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。機構より御説明いたします。御指摘のとおり、今回、添加剤として含まれるトレプロスチニルは肺動脈性肺高血圧症の治療薬として承認されております。その用法・用量の1日最小用量と比較して、今回のルムジェブ注を仮に100単位投与した場合は大体2%以下に相当します。本剤に含まれるトレプロスチニルナトリウムの薬理作用について、非臨床試験では、局所での血流量の増加は認められますが、投与部位からその少し離れたところでは血流量の増加は認められておりません。また、臨床薬理試験において、本剤30単位を投与したとき、血漿中トレプロスチニル濃度は概ね定量限界未満であったことも踏まえて、全身性の薬理作用を有する可能性は非常に低いと考えております。そのため、ご指摘いただいたトレプロス注での注意喚起を反映させるような判断はしていないところになります。

○杉部会長 森委員。

○森委員 肺高血圧症に使われていますトレプロストの添付文書を私も確認していますが、授乳婦に関する注意喚起のところでは、類薬の動物試験で乳汁中に移行することが報告されているということに加えて、治療上の有益性、母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討することと明記されていますが、今回はその使用量が少ないために、その注意喚起が不要という判断でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。先ほど御説明いたしましたとおり、全身性の薬理作用は期待されないことを踏まえて、今回、本剤においては、トレプロスチニルナトリウムを添加剤として位置付けておりますので、ご指摘の注意喚起の内容は今回のルムジェブ注の添付文書には反映していないところになります。

○杉部会長 森委員。

○森委員 母体に全身的な影響が出ないと、今、お話されましたが、それは授乳婦が使用した場合に乳児にも影響がないということと同義でしょうか。それを担保しているという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御説明いたします。基本的には、母体の血中のところでほとんど検出されてこないということなので、御指摘のとおり、乳汁移行のところについて本剤での検討はありませんが、基本的には乳児に影響があるような量で移行していかないであろうと考えております。

○杉部会長 森委員。

○森委員 基本的に移行していかない根拠を教えていただきたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。基本的に投与された母体の血中濃度で検出が認められないというところがありますので、そこを根拠にして御説明しております。

○杉部会長 森委員。

○森委員 一日100単位使用した場合でも全く検出されないということが確認されているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。現時点で本剤で検討されているところでは、1回の投与量が30単位となります。一度の投与量で100単位のときに検出されないかどうかという具体的なデータは持ち合わせてはおりません。

○杉部会長 よろしいでしょうか。森委員どうぞ。

○森委員 今回、吸収を促進するために添加されている添加物であるトレプロスチニルはインスリンには初めて添加されている添加物になりますが、その他、日本、海外を含めて何らかの注射薬に添加されていて使用されている実績はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御説明いたします。海外の情報は持ち合わせていないのですが、本邦においては、注射剤に添加剤が含まれるのは、この剤が初めてになります。

○杉部会長 そうすると、今後も注意が必要ということでしょうか。森委員どうでしょうか。

○森委員 今、機構から御説明いただいている内容は理解いたしましたが、それが今回のこのインスリン製剤の授乳婦や妊婦への使用の安全性を明確に担保している内容とは、私は認識できませんでした。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) 血中動態でお話しましたが、血中動態とその安全性との関係は明確にはなっていないという点、先生のご指摘のとおりだと思います。この無毒性量がどの程度になるのか、そういう情報も確認して、その上で本当に記載する必要があるのか、ないのかということも確認し、また先生に御相談したいと思います。

○杉部会長 そのほかの先生は何か御意見はありますか。

○森委員 肺高血圧症に一時的に使用される薬剤ではなく、インスリンは年余にわたって長期間使われる薬剤ですので、医療者向けの注意喚起も含めて、この添加剤の安全性については再検討されるべきであると私は考えます。以上です。

○杉部会長 機構、お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。非臨床試験にはなるのですが、胚・胎児発生等に関する毒性試験が実施されており、その成績から所見は認められておらず、安全性マージンもあるというところからの御説明しかできないのですが、その辺りを踏まえて添付文書で注意喚起の必要があるか検討させていただきたいと思います。

○杉部会長 よろしいでしょうか。やはり重要なことですから、どうぞ明確にされるとよろしいかと思います。森委員どうぞ。

○森委員 現在、海外でこの薬剤は申請中であると伺っていますが、審議の状況はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御説明いたします。欧州では承認勧告が出ており、近々承認される見込みと聞いております。米国については審査中と聞いております。

○杉部会長 そのほかの先生はいかがでしょうか。○森委員 今、機構の方からお答えいただいたことは、薬理の御専門の方としては特に異議がない点でしょうか。確認したいのですが。

○杉部会長 どうでしょう、薬理の先生方として、代表でどなたかよろしいですか。

○大谷委員 薬理ではないのですが、薬物動態の専門として、大谷です。乳汁移行性というのは、定量的に示されていないところに私も少し疑問を感じます。乳汁移行性のデータは、例えば、M/P比等のデータがあるのであれば、それが示されておりますと、母体の血中濃度がある程度分かれば、それに対してばく露の予想ができますので、そのリスクを少なくとも医療者が判断できるような十分なデータが分かりやすい形で何か提供されることが、より望ましいのではないかと個人的には考えております。

○森委員 もう一つ教えてください。トレプロストの添付文書では、妊婦に関する注意喚起についても、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること(動物実験において骨格変異を有する胎仔の出現率の増加がヒトでの推定最高全身曝露量の0.1倍で認められている」という記載があります。これに関しても、今回のこのインスリンに添加しているというレベルの量では問題はないと判断してよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構より御説明いたします。今回の申請に際して申請者としてもトレプロスチニルの毒性試験を実施しており、その成績から、本剤の臨床使用時においてご指摘の懸念はないと判断しております。

○杉部会長 それでは、よろしいでしょうか。議決に入りたいと思います。本議題について、今のことも踏まえて、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。注意喚起をよろしくお願いいたします。

 それでは、議題4に移りたいと思います。議題4について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題4、資料4、医薬品ソリクア配合注ソロスターの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。タブレットの資料4のフォルダをお開きいただき、「審査報告書」のファイルをお開きください。

 本剤は、持効型インスリンであるインスリン グラルギン(遺伝子組換え)とGLP-1受容体作動薬であるリキシセナチドの2つの有効成分がそれぞれ1単位対1μgの固定比率で配合された注射剤です。インスリン グラルギン及びリキシセナチドは共に本邦において2型糖尿病に関する承認がなされており、また、持効型インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用療法は、2型糖尿病患者における薬物治療の一つとして行われています。インスリン グラルギンは主に空腹時血糖を、リキシセナチドは主に食後血糖をコントロールすることから、本剤は、1回の注射で、空腹時及び食後血糖のいずれも改善することが期待されます。海外においては、本剤と配合比が異なる製剤が米国及び欧州を含む世界60か国以上で承認されています。本品目の専門協議では、資料18に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。

 それでは、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については、審査報告書14ページの表12を御覧ください。経口血糖降下薬により十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者を対象に、本剤又はリキシセナチドを投与した国内第III相試験が実施されました。その結果、主要評価項目であるベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、リキシセナチド群に対する本剤群の優越性が示されました。また、審査報告書15ページの図1に示すとおり、投与52週までHbA1cの低下が持続することが確認されています。

 次に、審査報告書18ページの表16を御覧ください。先ほどと同様の患者を対象に本剤又はインスリン グラルギンを投与した国内試験が実施されました。その結果、ベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、インスリン グラルギン群に対する本剤群の優越性が示されました。

 また、審査報告書20ページの表19を御覧ください。経口血糖降下薬及び基礎インスリン製剤により、十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病患者を対象に、本剤又はインスリン グラルギンを投与した国内試験が実施されました。その結果、ベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量について、インスリン グラルギン群に対する本剤群の優越性が示されました。

 安全性については、審査報告書22ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本項に記載していますとおり、既に承認されている各単剤で特徴的に認められる低血糖や胃腸障害等も含めて検討した結果、本剤投与時の有害事象の発現状況はリキシセナチド又はインスリン グラルギン投与時と大きく異なるものではなく、本剤投与時の安全性プロファイルは各単剤の安全性プロファイルから想定されるものであり、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、安全性は許容可能と判断しました。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 本剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。

 薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。森先生、よろしいですか。

○森委員 本薬剤の臨床試験は大変慎重に行われていますし、添付文書の記載も十分に配慮されているものであると考えています。ゾルトファイの添付文書もこれに見習っていただきたいと思いますが、以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。それでは、特にそのほかの先生からないようでしたら議決に入りたいと思います。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可といたしまして薬事分科会に報告させていただきます。

 議題5に移りたいと思います。機構から、議題5につきまして概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品メラトベル顆粒小児用0.2%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。紙資料は資料5の審査報告書を御覧ください。タブレットは、資料5のフォルダを開き、★のついている「審査報告書」のファイルをお開きください。

 神経発達症は、注意欠如・多動症や自閉スペクトラム症等を含む発達の障害を特徴とする疾患であり、睡眠障害の合併がよく認められます。神経発達症に伴う睡眠障害は多様であり、不眠障害では、入眠、睡眠維持、睡眠時間又は睡眠の質等の問題が生じ、自閉スペクトラム症で多くみられる概日リズム睡眠-覚醒障害群の睡眠相後退型では、社会生活リズムに適した睡眠状況に近づけようとすると入眠困難が生じます。本剤の有効成分は生体内ホルモンであるメラトニンです。神経発達症では血中のメラトニン濃度の低下が報告されており、神経発達症患者でみられる睡眠障害の原因のひとつに、夜間におけるメラトニン分泌の低下が関与していると考えられています。今般、神経発達症に伴う入眠困難に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請がなされました。なお、海外では本剤の開発は行われておりませんが、欧州においては2018年にメラトニン含有製剤が「自閉スペクトラム症及びスミス・マゲニス症候群に伴う不眠症」を効能・効果として承認されております。本申請の専門委員として、資料18に記載されている8名の委員を指名しております。

 それでは、審査の内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず有効性ですが、審査報告書の一番下、全60ページの通し番号で29ページの表22を御覧ください。第II/III相試験であるNPC-15-5試験が実施され、電子睡眠日誌による入眠潜時のベースラインからの変化量において、本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。また、審査報告書の通し番号38ページの表28を御覧ください。第III相試験であるNPC-15-6試験が実施され、入眠潜時のベースラインからの変化量は、各神経発達症において大きな差異は認められませんでした。

 次に安全性ですが、審査報告書の通し番号39ページの表29を御覧ください。第II/III相試験であるNPC-15-5試験の無作為化期における有害事象の発現状況に、プラセボ群と本剤群で大きな差異は認められませんでした。重篤な有害事象は第III相試験であるNPC15-6試験で1例に顔面骨骨折が認められましたが、本剤との因果関係は否定されております。また、主な有害事象として、同じページの表30に中枢神経系の有害事象、審査報告書の通し番号40ページの表31に持ち越し効果関連の有害事象、審査報告書の通し番号42ページの表32に離脱症状関連の有害事象の発現状況を記載しております。これらの有害事象等について個別に検討した結果、適切な注意喚起を行うことを前提とすれば、安全性は許容と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御意見がございますか。まず大谷先生、先に。

○大谷委員 薬物動態の所で、フルボキサミンの併用によりまして血中濃度が17倍上昇するということになっていまして、これに対して禁忌の扱いをしないという機構側の御判断がございました。一方で、最大の投与量は4mgで打ち切るということで、17倍に上がっても禁忌としないというのは本当に安全なのでしょうか。特に17倍というのは平均値ですから、この臨床試験において一番上がった人は何倍まで上がったのか。一般に高用量を投与して安全だと言うときと、相互作用で例えば平均17倍であったから、17倍投与したときと安全性が同じだというのは間違いであり、平均17倍上がっているときには50倍ぐらい上がっている人も中にはいるわけです。そうすると、比較は50倍上がったときに本当に安全かというところと比較しなければいけない。

 それから、当然、代謝阻害ですから半減期が延びます。単に17倍投与したのではなく、要するに半減期が延びますので蓄積が起こるのです。こういう点でも安全性を考えなければいけないのです。本当に17倍上がったものを併用禁忌としなくて大丈夫でしょうか。

○杉部会長 機構からお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構より御説明いたします。先生、御指摘の点につきまして、審査報告書通し番号21ページ、6.2.4、薬物相互作用試験の1段落目にデータの概要を記載しております。そちらにおきましてフルボキサミンとの併用におきまして、Cmaxの平均値は1074±507%ということで、95%信頼区間ですと上限の方で15倍程度、AUCで見ますと27倍程度となるかと思います。

○大谷委員 これは普通、対数正規分布しますので、上のほうはもっと上がる可能性があると思います。

○医薬品医療機器総合機構 続きまして、通し番号24ページ、6.R.5、薬物動態学的相互作用についての項を御覧ください。「申請者は」から始まる段落の2ポツ目ですが、メラトニン70mg/日を小児の筋ジストロフィー患者さんに9カ月間経口投与した臨床試験において、安全性の懸念については報告されておりませんでした。また、さらに高用量である300mg/日を4カ月間経口投与した臨床試験の報告もございまして、そちらにつきましても特に安全性の懸念については報告されておりません。これらの点を踏まえまして、フルボキサミンとの併用に関しましては禁忌ではなく併用注意とさせていただきました。

○大谷委員 単独投与の場合とは当然違いますので、単独投与ですと半減期は延びません。当然、線形でしたら、血中濃度は投与量を5倍にすれば血中濃度は5倍になりますけれど半減期は延びません。相互作用で血中濃度が上がるときは半減期も延びますから、そういう意味では、例えば日中での持ち越しとかも十分考えられるわけで、同じ5倍、10倍だからと言っても、そこで同じようなリスクの評価はできないのではないかと思うのですが、そこは大丈夫ですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。機構より回答いたします。御指摘のとおり半減期による蓄積の可能性は否定できないと思います。先ほどお示ししましたとおり、AUCで25倍、もっと上がる場合、本剤4mgを投与したときのAUCが、本剤100mgに相当するAUCを超えるような患者ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。ただ、今回、300mg/日まで安全性が認められているというところもございまして、注意喚起は必要だと思っていますが、あくまでも併用注意として血中濃度の上昇に注意してほしいということを注意喚起させていただきました。

○大谷委員 あくまで内因性ホルモンですので、これが血中濃度として数十倍に上がって半減期が延びている可能性があるというのは、かなりリスキーなことだと思います。私の意見としては、これは禁忌として扱うべきではないかと考えている次第でございます。ほかの先生方の御意見も踏まえて、最終的な御判断はお任せしたいと思います。

○杉部会長 ありがとうございました。今の件に関しまして、どうぞ。

○柴田委員 先ほどの審査報告書の21ページ、6.2.4の所のデータの解釈についてコメントさせていただきます。先ほど95%信頼区間の上限がうんぬんというコメントがありましたが、先ほど大谷先生がおっしゃった御指摘は要約した統計量ではなく、実際に一番上がった方でどのようであったかという御質問であったと思います。それに対して95%信頼区間の上限でお答えいただくのは間違いです。95%信頼区間というのは平均値あるいは要約統計量に対する推定精度を表す指標であって、実際のデータのばらつきを表す指標ではないので、95%信頼区間の上限と、実際に投与されてどのぐらいの高い値が出ているかという話は別のものです。標準偏差と標準誤差の取り違いをしてはいけないという話と同じですので、そこはデータを確認されるべきだと思います。それに対して禁忌にすべきかどうかというのは、ほかの先生方の御判断に委ねたいと思いますが、間違ったデータの解釈をされるとまずいと思いますのでコメントさせていただきました。

○杉部会長 ありがとうございました。機構のほうから。

○医薬品医療機器総合機構 御意見、ありがとうございます。機構としましても、CYP1A2阻害剤と併用したときに高曝露になるということについて十分検討させていただいたのですが、今回の効能・効果である神経発達症に伴う入眠困難は、このメラトニン製剤が初めての薬剤でございまして、神経発達症の方で入眠困難が起こることによって睡眠障害が生じ、よく眠れなかったりして保護者の方も大変苦労されています。審査報告書にも書かせていただいていますが、本剤は、小児神経学会から早期承認についての要望書が出されています。なるべく治療機会を失わないようにするということと、メラトニンで持ち越し効果があったとしても、そこは十分注意していくことで、禁忌としなくても、患児を十分注意して観察することで対応可能なのではないかと考えまして、禁忌としなくてもよいと考えました。

○杉部会長 どうぞ。

○大谷委員 治療機会を狭めるつもりは全くございませんで、実際に、だったら最大何倍まで上がるリスクがあるのかとか、それから、持ち越し効果に関しては半減期が一番延びた人で、どれぐらいの時間まで延びたのかという情報を正確に提供しなければ、現場でそういった判断ができないと思います。禁忌にしないならしないなりに非常にその情報というのが重要になってきますから、十分な情報を添付文書とかインタビューフォームで与えていただかないと、それは非常にリスキーだと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。添付文書の薬物相互作用の項にAUCの上昇の程度は記載がありますが、そこに更にもう少し情報を追記するような形とさせていただければと思います。

○杉部会長 今のことにつきまして、よろしいでしょうか。どうぞ。

○大森委員 別の立場から、精神科の臨床側からですけれども、確かにフルボキサミンを不安や強迫に使うことはありますけれども、ほかのSSRIも今はございますので、あえてこの薬と併用しなくても治療できる道はあります。不安や強迫に対するSSRIはフルボキサミン以外にもございますから、不安や強迫の治療をしながら睡眠薬も使うということはありますけれども、それを回避する方法もあるので、非常に厳しい条件の記載があったほうが、むしろいいのではないかと思います。

○杉部会長 よろしいでしょうか。飯島先生、小児のほうから大丈夫ですか。特に専門とは違うかもしれませんが。

○飯島委員 リスクは是非、回避していただきたいというのは、子供を診る立場としてはそういうふうに思っています。

○杉部会長 ありがとうございます。では、これは是非、添付文書にも記載していただくことと、指導フォームのほうもよろしくお願いします。各先生方に指導して判断を委ねるということだろうと思います。よろしいですか。長島先生。

○長島委員 本薬では、小児に用いるので、御家族、保護者が十分にこの毒性を理解し、注意深く観察することが必要になると思いますので、いつも堀委員がおっしゃるように、家族向けの丁寧で分かりやすい情報提供と資材というのを、是非、お願いしたいと思います。

 もう1点、報告書の31ページの真ん中辺で、小児の睡眠障害の治療では睡眠衛生指導が最も重要だけれども、これで改善を認めない場合には行動療法的治療が考慮される。あるいは5、6行飛んで、薬物療法は、小児で行動療法的治療があまり効果のない場合や行動療法的治療の補助として行われると書いてある。一方、それに関して添付文書の、5.効能又は効果に関連する注意で、5.2の所では「入床を一定の時間帯にするなどの睡眠衛生指導」ということで、行動療法的治療というのが入っていないのですが、先ほどの報告書の所を見ると、ここにも行動療法的治療というのを入れて、それでも効果がない場合とすべきではないかと思います。御考慮ください。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。小児の睡眠障害に対します行動療法に関しましては、全ての治療施設で一律に実施できるような体制が、実際、国内の場合は整っていないという現状がありまして、行動療法を必ず行ってから薬物療法を行うというのが難しい現状もあります。お子さんの睡眠障害のガイドラインというのはないのですが、大人向けの睡眠障害のガイドラインには、睡眠衛生指導は必ず最初に行うべきと記載されていますけれども、その次に関しては行動療法若しくは薬物療法という形で選択肢が示されている状況です。そのため、行動療法に関しては添付文書にまでは記載しないという形で対応させていただきました。

○長島委員 であれば、「可能であれば行動療法を行い」というふうな表現にすればいいのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えします。先ほど臨床担当からもお伝えしましたように、まず睡眠衛生指導は必ずやっていただくということ、行動療法は様々な医療機関の中で必ずしも実施できない場合もあるということを考えると、医療関係者向け資材のほうで衛生指導や行動療法の内容を記載させていただきたいと思っていますけれども、添付文書につきましては、今の「睡眠衛生指導を実施し」とさせていただく、若しくは「睡眠衛生指導等を実施し」という形とさせていただければと思います。

○長島委員 今の説明を受けて、「睡眠衛生指導や、可能であれば」と入れれば、今の問題はクリアできるのではないですかという提案をしたのですが。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書になりますので、市販後の安全性の部門とも相談いたしまして検討させていただきます。ありがとうございます。

○杉部会長 まず、先に堀先生のほうから。

○堀委員 よろしいでしょうか。今の長島委員の関連になります。私どもは一般市民ですけど保護者の立場から、入眠困難の改善ということで薬というのは非常に気を付けなければならないという感覚でおります。実際に投与するのが小児期ということですから、ちょうど思春期で成長ホルモンとの兼合いを私どもは重視するところで、内容を読ませていただくと、成長にはあまり影響はないという結果報告と私は判断しました。ただ、ちょうどその頃は思春期でダイエットで食事を摂っていない子とか、サプリメントで食事をフォローしている子が結構見受けられます。今回、この投与の時期が、お腹が空いているときということで寝る前に投与すると書いてありますけれども、例えば食事を摂っていない子がこの薬を飲んだときの副作用について、今、ここではお分かりになりますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。本剤の用法・用量に関してですが、食事の影響が認められていますので、基本的には食事直後の投与は避けるように添付文書に注意喚起させていただいており、就寝前に服用するようにしています。審査報告書では、臨床試験で就寝前投与された結果として、有害事象の発現状況が記載されております。

○堀委員 そこは分かっていますけれども、例えば思春期の子は11回だけ、お菓子だけの食事しかとらないとか、それもそれを食べる時間も夜中の12時、2時ぐらいにという子も実際にいます。この病気を持っている方が全員そうとは思わないですが、ダイエットによる体重調整と食事との兼合いということも重視することは必要かと思います。中に書いてあったと思いますが、食事と薬というのは私たち一般市民にとってみたら外せないものだなと思うので、そういうことも含めた上で、さっき長島委員がおっしゃっていたようにインフォームド・コンセント、ここがすごく大切になると私は思います。特にメラトニンは、例えばメラトニンと思春期というワードで検索しますとダイエットサプリ、あとは睡眠時サプリというのが出てきます。実際に思春期の年代を対象とした雑誌にも、メラトニンはダイエットに効くと出ておりました。私は医者ではないのでメラトニンがダイエットに効くのかどうか定かではないのですが、この薬の副作用には体重減というのは書いていないので、この薬を飲んだからといって体重が減るということはないと判断してよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。今あるデータからは体重が減少するような報告は認められておりません。本剤は内因性のホルモンになるため、内分泌系への影響は懸念されますので、体重、身長も含めた成長への影響につきましては、市販後調査の中で調査するように指示はしています。また、患者向け資材において、先ほどの質問にも関連しますが、まずは睡眠衛生指導等、きちんと生活リズムを整えた上でも入眠が困難な患者が本剤の対象になりますので、御飯をしっかり食べるとか、朝、しっかり起きましょうとか、そういう基本的なことから始めましょうということを、患者向け資材の中で情報提供させていただいています。

○堀委員 ありがとうございます。実際、サプリメントで、思春期の方たちは野菜を食べなくてもビタミン剤を飲めば、それで食事になると判断する方が非常に多くなっていますので、是非、インフォームド・コンセントで、資材でもそうですが、サプリとの併用や食事の摂取を確実に医師が患者に訊いて、そこで、それをどういうふうに判断し説明をするかということも、是非、入れていただきたいです。

 1つ気になったのが、7.R.3.7に成長への影響という所で、この臨床試験が26週間であったと書いてあります。要するに26週間しかない期間では今、判断されていない副作用もあるのではないかと、どうしても親の立場からだと不安に思ってしまうので、もし御説明なさる際に、この薬は今のところ26週間でこういう結果になっていますということを、是非、入れていただけると非常に有り難いと思います。以上です。お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。以降は説明の際に気を付けたいと思います。ありがとうございました。

○杉部会長 森先生、いかがですか。

○森委員 先ほど、フルボキサミンなどとの併用と血中濃度のことを伺いまして、常日頃、添付文書の併用注意の欄は目を皿のように注意して読んでいる者としては、血中濃度が10倍、AUCが10倍以上上がるというので、正直、大変驚いています。そのような場合、併用しても特に禁忌に当たらないという場合は、いずれかの薬剤が、より少量使用できるような環境が整えられていなければいけないのではないかと私は思いました。そういった点について御配慮、いかがでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 機構より答えさせていただきます。まず、本剤につきましては通常用量は1日1回1mgで、最大量は4mgとなりますので、もし本剤4mgを使用している場合は1mgまで減量することができます。フルボキサミンの用法・用量についてはちょっと資料を持ち合わせておりませんが、先ほどもお伝えしましたとおり、まず本剤投与時の患児の状態を十分保護者の方に見ていただくこととさせていただき、市販後に持ち越し効果が懸念となるような場合には何らかの注意喚起の強化を考えていきたいと考えております。

○杉部会長 山田先生、どうぞ。

○山田委員 私も、相互作用でAUCが10倍以上に増えるという大谷先生の御指摘とか、大森先生が御指摘なさった、フルボキサミン以外のSSRIで治療可能であるということを考えると、少し不安ですけれども、この審査報告書の9ページ、3.R.2の本薬の安全性についての所に、本薬は睡眠覚醒の制御作用以外に、心血管系に対する作用とかいろいろな作用があると。ただし、これは睡眠覚醒の制御作用よりは高用量、臨床用量よりは高い用量で認められると書いてございます。先ほどから持ち越し効果だけ何かコメントされていますけれども、持ち越し効果以外の心血管系の作用が高用量では認められているということを読みますと、やはり禁忌等の措置をしたほうが、安全性が確保できるのではないかと思います。

○杉部会長 長島先生。

○長島委員 現在、インターネットでメラトニンが極めて簡単に入手できるという状況において、このメラトニンが医薬品として認められたということが独り歩きしてしまうと、例えばこれに悩んでいる保護者がそちらのネットのほうに飛び付いてしまうとか、ネットの業者がこれを宣伝に使うことが十分心配されますので、その辺りの対応というのを今のうちから考えておいていただければと思います。

○杉部会長 この点について、機構としてはどうでしょうか。どうぞ。

○医薬品審査管理課長 御指摘どうもありがとうございます。健康食品とかサプリとか、そういったものについて、いかにも効能があるかのような間違った情報というのは薬事法違反になる可能性がございますので、その辺りについては監視部局ともよく相談し、その辺りの注意喚起、その方法については、この薬剤が承認される際に今一度、徹底できるように相談させていただきたいと思います。

○杉部会長 先生、どうぞ。

○奥田委員(部会長代理) 今、フルボキサミンのお話が出ていますけれども、実際にはCYP1A2の阻害剤ということで、例えばキノロン系の抗菌薬などが例示としてここに挙がっています。これを一律に禁忌にすると、恐らくいろいろな所で使い勝手が悪いのかもしれないのですが、ただ、ほかのSSRIがあるようなものについては、もう少し禁忌にできるのかもしれない。もう少しここの所のきめの細かな書きぶりというのがないのかなと思う次第なのですが、いかがでしょうか。

○執行役員(新医薬審査等部門担当) おっしゃるとおりなので、添付文書に記載されている例えばAUCがどれぐらい延びるかを考えて、それに対してどう調整したらいいのか。それは本薬を調整するのか、他剤を調整するのか。そういう細かいところを検討させていただきます。

○奥田委員(部会長代理) 幸い顆粒剤なので調整というのも、多分、データがないから難しいのかもしれないですが、理論的には可能です。

○杉部会長 どうぞ。

○大谷委員 相互作用の大小、個人差がありますので、平均で17倍だから17分の1投与すればいいという単純な計算ではありません。それは絶対危ないです。フルボキサミンは特に1A2に対して強力な阻害剤であると同時に、一部の代謝を担っている、一部の代謝が2C19だと書いてあるのですが、2C19も非常に強力に阻害するのです。だからニューキノロンであればまだ大丈夫かもしれないのですが、フルボキサミンは両方阻害しますから本当に危ないと思います。キノロンは禁忌にしなくても私はいいと思いますが、フルボキサミンは禁忌にしたほうがいいと個人的には思っています。

○杉部会長 機構のほうから、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御意見の趣旨は理解しましたので、少しきめ細かい注意喚起ができるように検討させていただければと思います。ありがとうございます。

○杉部会長 今、非常に多くのことを御指摘いただきましたので、この添付文書を兼ねて検討事項ということにしても、よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 先生の御趣旨としましては、先ほどのフルボキサミンについては、かなり懸念があるため禁忌としたほうがいいけれども、他のCYP1A2阻害薬を一律に禁忌にする必要はないという御趣旨だと理解しておりますので、市販後の安全性の部門とも検討いたしまして、そのような趣旨に沿うように対応させていただければと思います。

○杉部会長 奥田先生、どうぞ。

○奥田委員(部会長代理) そうすると、そういったことが確認できれば、このものについては承認ということなのか。それとも先生方、そこは最終的にもう一回ということなのかというのは、ここで確認しておいたほうがいいと思いますが、今のお話を聞くと、一度、そういうことを条件にして先に進んでいいということでしょうか。そこだけは決めておいたほうがいいようにも思うのですが、いかがなのでしょうか。

○杉部会長 必ずしもこの場で、すぐ議決ということは難しいと思います。今、非常に多くの御質問と御意見を頂きましたから、このことについて再検討はもちろん必要だと思いますが、今の御意見を十分懸案するということで、この議決は通すということにしてもよろしいですか。もし反対であれば、また審議ということにいたしますが、いかがでしょうか。森先生、どうぞ。

○森委員 禁忌に指定されるということですか。

○杉部会長 まだ、全て禁忌ということではなくて、その添付文書にも書きようがあると思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 可能な限り、先ほどの懸念の御意見の趣旨を踏まえますと、フルボキサミンについては禁忌とする方向で検討したいと思います。そういう検討のもとで今回、御審議いただくという趣旨と理解しましたけれども、それでよろしいでしょうか。

○杉部会長 大谷先生、それでよろしいですか。先生方もそれでよろしいですか。添付文書も改訂するということで、この議案を可とするということで、先生方、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りますが、今の議決の中で川上委員と武田委員におかれましては、利益相反の申出がありましたので、議決への参加は御遠慮いただくことにさせていただきました。本議題につきまして承認を可として、今の点を踏まえて、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。

 それでは、議題6に移りたいと思います。議題6につきまして機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ラツーダ錠20mg他の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。タブレットの資料6のフォルダの★の付いている「審査報告書」のファイルをお開きください。

 本剤の有効成分であるルラシドン塩酸塩は、ドパミンD及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用等を有する非定型抗精神病薬です。今般、「統合失調症」及び「双極性障害におけるうつ症状の改善」について、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外では、201910月現在、統合失調症に係る効能・効果では欧米を含む45の国又は地域で、双極性障害に係る効能・効果では米国を含む6つの国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料18に記載されている8名の委員を指名しております。臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。

 まず、有効性について、統合失調症から説明させていただきます。審査報告書の一番下、全111ページの通し番号で59ページの表54を御覧ください。統合失調症患者を対象とした国際共同第III相試験(以下、「P3-J056試験」と略させていただきます)において、主要評価項目であるmodified ITT集団における投与6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量について、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められませんでした。一方、審査報告書の通し番号75ページの表70に示したように、同試験において、盲検解除後に設定されたITT集団の解析では、本剤40mg/日群、及び80mg/日群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。

 P3-J056試験の主要評価項目において、期待される成績が得られなかったことを踏まえ、本剤の有効性が検証された海外第III相試験を参考に、選択基準において、主に陽性症状の悪化が認められる者とすることや、除外基準において、治療抵抗性の基準として、抗精神病薬を3剤以上から、2剤以上で連続28日間以上使用しても精神症状が改善しなかった場合とすることなどの変更を行い、国際共同第III相試験(以下、「P3-J066試験」と略させていただきます)が実施されました。審査報告書の通し番号60ページの表55を御覧ください。主要評価項目であるITT集団における投与6週時のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量について、本剤40mg/日群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。なお、当該試験のエフェクトサイズ(群間差/標準偏差)は、本剤の有効性が検証された海外第III相試験と同程度でした。以上の試験成績を踏まえ、機構は本剤40mg/日の有効性が示されており、本剤80mg/日の有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、双極性障害のうつ症状に対する有効性を説明させていただきます。審査報告書の通し番号で63ページの表59を御覧ください。双極I型障害患者を対象とした国際共同第III相試験(以下、「BP-P3-J001」と略させていただきます)において、主要評価項目であるITT集団における投与6週時のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量について、本剤2060mg/日群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。

 次に、用法・用量について説明させていただきます。統合失調症患者について、審査報告書の通し番号99ページの中段の「機構は」から始まる段落を御覧ください。本剤40mg/日の有効性が検証されていることから、開始用量及び維持用量を40mg/日と設定することが適切と考えております。また、本剤80mg/日について、有効性は検証されていないものの、先に有効性について述べましたとおり、本剤80mg/日の有効性は期待できると考えていること、また統合失調症の診療ガイドラインでは、多剤併用療法は望ましくないとされており、十分な効果が得られなかった場合、最大限増量し十分な期間観察することを推奨していることを踏まえて、最大用量として、80mg/日を用法・用量に含めることは可能と判断しました。なお、忍容性が確認され、効果不十分の場合にのみ増量を検討すること、及び、本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察することを注意喚起することが適切と判断いたしました。

 双極性障害の用量・用法について、審査報告書の通し番号101ページ中段の「BP-P3-J001試験及びBP-P3-J002試験は可変用量で実施され」から始まる段落を御覧ください。BP-P3-J001試験では、本剤20mg/日を開始用量とし、本剤2060mg/日の可変用量での投与において、プラセボ群に対する優越性が示されたことなどを踏まえて、開始用量は20mg/日、維持用量は2060mg/日の間で特に設定せず、60mg/日を最高用量と設定することが適切と判断いたしました。

 最後に安全性について、主な有害事象として、審査報告書の通し番号81ページの表74に錐体外路症状関連の有害事象、審査報告書83ページの表77に鎮静関連の有害事象、審査報告書87ページの表82に糖代謝異常関連の有害事象の発現状況を記載しております。これらの有害事象等について、個別に検討した結果、他の非定型抗精神病薬と同様の注意喚起をすることが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、審査報告書に誤記がありましたので訂正させていただきます。審査報告書の通し番号58ページ、下から10行目、「平行群間」の記載について、「ヘイ」の漢字が誤りのため、訂正いたします。本変更に関しては、正誤表をタブレットの当日配布のフォルダに保存しております。申し訳ございませんでした。

 説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御意見はありますか。特に大森先生いかがですか。

○大森委員 80mg/日への増量で期待ができるかなと思うのですが、そこの根拠のところが御説明でも少し弱いような気がしたのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。審査報告書の通し番号75ページの表70をまず御覧ください。P3-J056試験、国際共同第III相試験マル2の審査報告でも記載しております。事後的な解析ではあるのですが、ITT集団を対象とした解析では、プラセボ群と比較して、本剤40mg群、80mg群ともに、改善を示しておりまして、こちらの解析でも一定の傾向が確認できているのではないかと考えております。P3-J056試験でITT集団とMITT集団を対象とした解析で異なる傾向が得られ、頑健な結果が得られなかった理由として、評価に適した集団を組み入れることができなかったことが説明され、海外試験成績なども参考にして、国際共同第III相試験(P3-J066試験)においては、より評価に適したと考えられる対象集団を組み入れました。その結果として、本剤40mgの有効性が示されて、エフェクトサイズとしても海外第III相試験と異ならない結果が得られました。以上の結果を踏まえますと、本剤80mgの有効性は期待できるのではないかと考えております。

 その上で、海外では、本剤160mgまで承認用量にされているということ、参考データになるのですが、長期投与試験では、本剤40mgで有効性がみえなかった患者が、80mgに増量して有効性がみえた患者も存在するということと、先ほども申し上げたガイドラインの記載などから、80mgを用量に含めることは可能ではないかと考えております。

○大森委員 使う側から言いますと、確かに80mgを使えたほうが助かるので、結論には反対ではないのですが、用量依存的な改善も、数値上は80mg40mgに比べて有効だというデータも現時点でははっきりしたものはないので、何か少し説明が苦しいなという印象を持っています。やむを得ないですかね。

○杉部会長 機構のほうはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。比較可能性が担保されたデータではないので、限界があることは十分に承知はしております。審査報告書の99ページの表93を御覧ください。先ほどの最後に実施したP3-J066試験、40mgの有効性が検証された第III相試験の後に、継続長期投与試験を実施して、その中で、40mgで十分に改善が得られなかった患者のうち、継続投与試験で最頻投与量が40mgだった患者と80mgだった患者を比べますと、80mgのほうが数値としては良い傾向が得られているということで、このデータも参考にしながら、40mgで十分な効果が得られない患者に対しては80mgに増量する意義がある患者も存在するのではないかと考えております。

○大森委員 一応、説明は分かりました。

○杉部会長 よろしいですね。そのほかにありますか。

○大谷委員 こちらは非定型ということで、いわゆる糖代謝、高血糖に関するところがちょっと気になります。クエチアピンやオランザピンはご存じのように、もう添付文書の頭の所に赤枠ででかでかと警告が書かれていて、糖尿病の患者さんには禁忌ということになっているかと思います。それに対して、今回の薬はかなり薬理作用が類似してかぶってくるということ、それから、臨床試験の段階でも、糖代謝異常が10%ぐらい出ていたような記憶があるのですが、このような添付文書は、もちろん注意してくださいとは書いてあるのですが、この程度のやわらかい注意喚起で大丈夫なのか。例えば、臨床試験における糖代謝異常等の発現率が、過去のクエチアピンやオランザピンの発現率と比較して、明らかに低いとか、そういったような安心材料はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。データを確認させていただきますので、少しお時間を頂けますか。

○杉部会長 そのほか、この間、何か御意見はありますか。

○堀委員 これは通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与すると書いてありまして、この成人というのは、年齢によって適宜その量が増えたり減ったりすると書いてあります。この成人というのは、大体何歳ぐらいからの方たちを対象とするのか教えていただいてよろしいですか。と言いますのは、双極性障害におけるうつ症状の改善の所の8.8で、24歳以下の患者で自殺などのリスクが増加するという報告があったので、そうなりますと、大体24歳以下で成人と考えると、例えば17歳とか18歳というのは該当するのかどうか教えていただいてよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。添付文書において「通常成人には」と記載したときには、一般的に特に規定がない場合には15歳以上を指しています。ですので、この24歳以下の患者も対象には含まれます。

○堀委員 ありがとうございます。それでしたら、やはり、先ほどの関連ではないのですが、8.7の所で、「家族等に自殺念慮や」ということで、やはり家族との関連がすごく大切になるかと思います。やはり1516歳以上ですと、それぞれで副作用自体がどういうものなのか判断できないかと思いますので、そこでは説明の重要性、あと資材の充実化を是非お願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。今回は精神疾患ですので、もちろん15歳、16歳辺りの患者も重要になるのですが、成人患者においても家族への情報提供は重要になりますので、情報提供を十分に行うように申請者に指示させていただきます。

○杉部会長 ありがとうございます。機構のほうでは、先ほどの大谷先生の糖代謝についてはいかがですか。

○長島委員 それまでに。双極性障害におけるうつ症状の改善には、80mgは絶対に投与されることはないと考えていいでしょうか。これは60mgを超えないこととなっているので。

○医薬品医療機器総合機構 用法・用量上、80mgは対象範囲ではないので、投与されないものと我々としては考えております。

○長島委員 そうすると、80mgというのは統合失調症にしかないということが、もう少し分かりやすい説明があったほうがいいのではないかと思いますので、その辺りは御検討お願いできればと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。複数適応を持っていて、適応により用法・用量や最大用量が異なる薬剤はほかにもございます。重要なご指摘だとは考えておりますが、どのような対応ができるのか検討させていただければと思います。

 先ほど大谷委員から御指摘いただいた糖代謝異常に関して回答させていただきます。御指摘いただいたうち、クエチアピンに関しては、添付文書の重大な副作用の項において、高血糖の発現割合が1~5%未満として記載されておりますが、本剤に関しては、1%未満の発現割合として記載されています。ただ、機構として懸念がないと考えているわけではなく、製造販売後に糖代謝異常に対する影響を検討するような調査を予定しておりまして、そこで類薬等と比較しながら、注意喚起の適切性は今後更に検討させていただければと考えております。

○大谷委員 87ページの所で見ますと、日本人を含む長期投与試験において糖代謝異常が長期試験で合計で10%以上という値が出ておりまして、先ほどどちらの値で1%未満とおっしゃられたのか分からないのですが、リスペリドンとかそういったクエチアピンやオランザピンとかと同じぐらいのレベルなのであれば、添付文書の改訂で、いわゆる原則禁忌みたいな書き方はなくなったのですが、昔だと、類薬で同様の重大な事象がある場合は原則禁忌みたいな書き方がされていて、それに近いようなリスクの喚起というのは事前にしておかないと、そういった血糖異常等で重篤な副作用が生じてからでは遅い。やはり、そういうのを防ぐことが、我々、ここでの役目ではないかと思いますので、様子を見て、出たら変えましょうというのは余り良い考えではなくて、同じようなリスク、少なくとも今の他剤よりもリスクが少ないということが安心できないのであれば、ほぼ同じレベルの注意喚起をしていったほうがいいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より状況を御説明させていただきます。クエチアピン、オランザピンは承認がかなり古い薬剤で、確かに警告や禁忌に糖代謝異常患者に対する投与に関する注意喚起が記載されているのですが、近年承認されている非定型抗精神病薬では、警告や禁忌に記載はなく、本剤と同様に、重要な基本的注意や重大な副作用に記載し、注意喚起しています。今回のデータから、少なくとも近年承認された非定型抗精神病薬と比較してリスクが高いというデータは得られておりません。

 もう1点、先ほどご質問のあった10%以上等の発現割合のデータに関して、審査報告書では報告された有害事象の発現割合を記載しておりまして、添付文書の副作用の項では、因果関係が否定されていない副作用の情報を記載しているので、割合の数値が異なっております。

○大谷委員 一般的に、よく分かっている人はいいのですが、類薬を並べたときに、糖尿病の患者さんに対して使用できる、できないという考え方をするのです。禁忌になっていれば危なくて、禁忌になっていないほうが安全な薬だと考える方が、医療従事者には非常に多いです。そういう考えで良いのかということです。禁忌にしろとは言わないのですが、もう少しリスクがあることが分かるような書き方にしておかないと、オランザピンやクエチアピンは投与できないけれども、これならいけるのだという判断が果たして正しいのかどうかということについて疑問が感じられるということです。

○杉部会長 森先生、いかがですか。

○森委員 今データを拝見していましたが、もともと血糖値に問題がない正常耐糖能の方がこの薬剤を服用した場合の糖尿病発症率、増悪率という観点と、現在、糖尿病を治療されている方がこの薬剤を使った場合の増悪率や増悪の程度はかなり違う概念です。もちろんオランザピンの場合は、どちらも駄目で、糖尿病のない方が使っても糖尿病にどんどんなりましたし、糖尿病の方が使いますと、HbA1c値は10%をすぐ超えてしまいますし、ケトアシドーシスが実際起こって学会報告が相次いだという実態でした。

 したがって、平均的に見ると差は少ないというのと、糖尿病の有り無しでは、大分注意喚起のレベルが違いますので、私どもが実際に患者さんに、「このお薬を使っていいのですか」と専門外来で聞かれたときに欲しいデータは、糖尿病の患者さんに使った場合の悪化の具合や率ということを知りたいので、そこについては詳細にディスクローズしていただくことが大事だと思います。添付文書を見たときにも、その点が分かりやすく、かなり上のほうに書いていただくと、実臨床上トラブルを未然に防げるということだと思います。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。機構のほうとしても、いかがですか。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) 海外でかなりの実績がある薬で、米国の添付文書だと、Boxed warningになっていないところです。ただ、どういう状況なのかデータを確認して、類薬との違いがあるのかどうか、そこも整理させていただいて、大谷先生に確認をいただくようにします。

○杉部会長 今の糖代謝の点についても、検討を頂くということでよろしいですね。重要なことですので。

○大森委員 もう1つお伺いします。添付文書の双極性障害におけるうつ症状の改善、8.5とか8.6、いずれも自殺の問題ですし、8.7も自殺の問題で、これは当然あっていいと思いますが、この後の8.8が非常に曖昧で、「大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与に当たっては、リスクとベネフィットを考慮すること」とあるのですが、これが本剤は抗うつ薬ではないわけですよね。これは逆の意味で、根拠のない項目ではないかと思ったのですが。ただ、双極性障害の抑うつエピソードに適応のあるオランザピンやクエチアピンにも同様な文章が入っているから、それでここも入ってしまったのかなと思うのですが。実際には他の種類の薬に関するデータを転用して、ここに入れ込んでいるという点では、何か根拠のない項目のような気がいたしますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいたとおり、この根拠のデータというのは、いわゆるSNRIやSSRIなどの抗うつ薬のデータを基に記載している内容となります。一方で、これが記載している背景も、御指摘のとおり、オランザピンに双極性障害関連の適応を追加するときに最初に議論した結果、それ以降は関連する抗精神病薬にうつに関連する効能、適応を与えるときには、同じような注意喚起をしている状況です。他剤に記載があり、この剤にこの記載がないというのも、不自然かなというところもありますので、類薬も含めて検討する必要があるかと考えておりますので、他の剤も含めて、一度、この記載の取扱いをどうするのか検討させていただければと思います。

○大森委員 正しく、そのとおりだと思います。類薬のほうで間違ったから、同じ間違いを踏襲するというのもおかしいことになると思いますので、いろいろ検討していただくのがいいと思います。

○杉部会長 森先生、どうぞ。

○森委員 基本的な確認をさせてください。今回、まとめられている臨床試験では、耐糖能障害の方はどの程度含まれていたか、事前に情報はありましたか。若しくは除外基準には入っていませんでしたか。患者の平均的血糖値やHbA1cは非常に正常値に収まっているので、大半の方が正常耐糖能の枠域に収まるのですが、一部、糖尿病の方が含まれていた上でのデータなのか、若しくは除外されているか確認していいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 少し確認させていただきますのでお待ちください。今の間に御説明させていただくと、先ほど大森委員から御質問のあった小児や若年成人患者での自殺念慮に関する注意喚起について、先ほど耐糖能異常関連の注意喚起の議論の際に執行役員から説明がありましたように、本剤は海外で承認されて長い期間がたっております。本剤の米国の添付文書において、抗うつ剤を小児や若年成人患者に投与した場合の自殺リスクについて、Boxed warningで注意喚起されているということもありまして、今回、仮に投与されてしまった場合のリスクを考えますと、この剤についても記載しておくのが適切ではないかと考えております。ただ、御指摘いただいたように、関連する注意喚起の内容をどの程度記載すべきなのかという点は、今後の検討課題とさせていただければと思います。

○大森委員 説明を理解できなかったのですが。FDAの。

○医薬品医療機器総合機構 本剤の米国の添付文書にも記載されている内容です。

○大森委員 このルラシドンについて記載されるということですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。

○大森委員 それは知りませんでした。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの森委員からの御質問に回答をさせていただきます。日本人を含む第Ⅲ相試験のうち、P3-J056試験及びBP-P3-J001試験に関しては、HbA1cで8.4%以上の患者を除外して実施されております。

○森委員 実際に参加された患者さんの分布、データ等はありますか。

○医薬品医療機器総合機構 少しお待ちください。

○医薬品医療機器総合機構 時間を要しておりますので、後ほど御報告させていただくことでもよろしいですか。

○杉部会長 それでは、先生、どうですか。

○森委員 その臨床試験が行われていた集団のHbA1cの基準が、8.4%未満であったということなどの情報提供は今後出されるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今後、糖代謝異常への影響や試験の対象患者も含めて、情報提供資材を作成して、それで医療現場に情報提供することを、申請者にお伝えさせていただければと思います。

○杉部会長 森先生、それでよろしいですか。

○森委員 はい。と言いますのは、統合失調症の方はやはり糖尿病の方が多いのです。食行動異常も起こりやすく、統合失調症の治療とともに増悪することがしばしばありまして、実際に使用する前のHbA1cの規定がある場合には、その旨をきちんと注意喚起していただくことは重要ですし、それ以上の試験がされていないのであれば、そういうふうに情報提供すべきだと私は思いました。以上です。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。対応させていただきます。

○杉部会長 ありがとうございました。それでは、議題の議決に移りたいと思いますが、よろしいですか。この議決に関しては、大森委員、平石委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、今の注意喚起の記載ができるということで、この議題を承認してよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのような形で承認させていただきまして、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題7に移りたいと思います。議題7について、機構から説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品ビルテプソ点滴静注250mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットの資料7のフォルダを開き★の付いている「審査報告書」のファイルをお開きください。

 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、「DMD」と略させていただきます)は、X染色体上に存在するジストロフィン遺伝子の変異により、機能的なジストロフィンタンパクが欠損することで発症するX連鎖性劣性遺伝性疾患です。全身の骨格筋の筋力低下に、関節拘縮や心肺機能の低下などを併発する進行性の筋疾患であり、10歳頃に歩行不能となり、平均寿命は約30歳とされています。

 本剤の有効成分であるビルトラルセンは、モルフォリノ骨格を有する合成オリゴヌクレオチドであり、ジストロフィン遺伝子のmRNA前駆体のエクソン53に結合することで、

スプライシングを制御し、エクソン53をスキップすることで、正常より短鎖の機能するジストロフィンタンパクの発現を増加させると考えられています。

 今般、DMDに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦におけるDMDの患者数は約5,000人、本剤の投与対象となる変異を有する患者は約400人と推計されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。また、本剤は医薬品の条件付き早期承認制度の適用、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されています。海外について、201912月に米国にて承認申請が行われ、現在審査中です。本申請の専門委員として、資料18に記載されている11名の委員を指名しています。

 臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。まず、有効性について、審査報告書の一番下、全68ページの通し番号32ページの表28を御覧ください。DMD患者を対象とした国内第I/II相試験において、筋生検によるジストロフィンタンパクの発現について、本剤80mg/kg投与により、本剤投与前と比較して統計学的に有意な増加が認められました。また、本剤40mg/kg及び80mg/kg投与により、エクソン53スキッピッング効率についても、投与前と比較して統計学的に有意な増加が認められました。次に、審査報告書の通し番号33ページの表29を御覧ください。海外第II相試験においても、主要評価項目である筋生検によるジストロフィンタンパク発現について、本剤40mg/kg投与及び80mg/kg投与により、本剤投与前と比較して統計学的に有意に増加しました。さらに、審査報告書の通し番号34ページの表30を御覧ください。海外第II相試験の副次評価項目である時間機能検査の変化量について、10メートル歩行/走行時間(速度、秒)、立ち上がり時間()及び6分間歩行距離において、本剤群は同様の手順で時間機能検査が行われた自然歴集団と比較して、改善が認められました。

 安全性について、審査報告書の通し番号48ページの表44を御覧ください。腎機能障害関連の有害事象について、非臨床安全性試験において腎臓への影響が認められること、本剤は主に未変化体として腎排泄されることなどを踏まえ、腎機能障害を有する患者では本剤の排泄が遅延する恐れがあること及び腎機能に関するモニタリングについて、添付文書において注意喚起することが適切と考えています。

 また、がん原性について、審査報告書の通し番号60ページの最後の行、「1.2がん原性評価について」を御覧ください。本薬の対象疾患は難治性かつ進行性の予後不良の疾患であることから、ICH M3及びS1ガイドラインを踏まえ、本薬のがん原性試験成績は製造販売承認後に提出するとされていましたが、審査中に提出されたrasH2マウスの26週間がん原性試験の速報において、尿管に移行上皮癌が認められた旨が報告されました。この所見について、申請者は、尿路において不溶化した本薬が尿管壁の移行上皮細胞を継続的に刺激したことが原因と考察しています。その上で、申請者は、がん原性試験と臨床用量における推定最高尿中薬物濃度の比較、げっ歯類とヒトにおける尿中カリウム濃度や尿管径の種差、げっ歯類及びヒト尿を用いたin vitro尿中溶解性の検討結果などから、rasH2マウスで認められた尿管の移行上皮癌について、ヒトへの外挿性は低いと考えると説明しています。以上の作用機序及びヒトへの外挿性に加え、臨床試験において泌尿器系への影響も含めた腎機能障害関連の明らかな影響は確認されていないことを踏まえ、疾患の重篤性及び治療薬も極めて限られることを考慮し、専門委員と協議を行いました。その上で、患者に十分に情報提供を行い、本剤投与中は定期的に尿沈査、尿細胞診、腎尿路系のエコー検査を実施し、モニタリングを行うことで、臨床使用は可能と機構は判断しました。なお、現在実施中のラットを用いた2年間のがん原性試験の成績も踏まえ、改めて尿管移行上皮癌の発生機序及びヒトへの外挿性について検討する必要があると考えています。

 本剤の承認条件として、プラセボ群を対象とした国際共同第III相試験及び国内レジストリを用いた調査が実施され、製造販売後に結果が提出される予定です。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。

 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か今の報告に御質問、御意見等はありませんか。

○長島委員 本剤投与の条件となる遺伝子検査というのは、コンパニオン診断とか遺伝子パネル検査のような特殊な遺伝子テストではなくて、本疾患の診断の過程で行われるような比較的一般的な遺伝子検査のことを示すということでよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。御指摘いただいたとおり、通常の診療の中で使用している遺伝子検査で、保険適用もされていますので、問題なく実施できると考えています。

○赤羽委員 1点教えていただきたいのですが、先ほどの御説明にはなかったのですが、例えば通し番号39ページの表の32では、ジストロフィンのタンパク発現の変化量が少し国内の試験と海外の試験で値が違うようです。同じように42ページの表37や表38のデータも、若干、海外のデータに比べて国内のデータのほうが発現量などの値がかなり低いように見受けられるのですが、説明の中ではエクソンの欠失部位のタイプの別によって、有効性の差があるかもしれない、そのポピュレーションの違いによって、日本と海外のデータの違いがあるかもしれないという御説明だったのですが、表の35を見ると例数が少なくて非常にばらつきが大きいのですが、必ずしもそれだけでは説明できないのではないかと思いまして、それで国内の有効性に関わるデータが、海外の試験よりも少し値が低いので、ベネフィットとリスクのバランスという観点から、若干不安を覚えているのですが、この点について御説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。まず国内と海外で、発現量が違う傾向なのではないかというところに関しては、明確な説明は難しいところですが、まず、審査報告書の通し番号38ページの表31を御覧いただければと思います。国内と海外で、ジストロフィンタンパク測定法のうち、ローディングコントロールとするタンパクや、標準化の有無、標準曲線をどのように取るかなどが異なっており、測定法の差異による可能性はあると考えております。

 次に、国内第I/II相試験と海外第II相試験で対象患者の選択・除外基準が異なっております。国内第I/II相試験では審査報告書の31ページになるのですが、5歳以上18歳未満の患者さんを対象として、また歩行の可否は問わず、歩行不能の患者も含まれております。一方で海外第II相試験に関しては、審査報告書の32ページですが、4歳以上10歳未満で、歩行が可能な患者を組み入れております。そういう観点で、海外第II相試験では疾患がまだ少し進行していない患者も組み入れられた可能性があるのではないかと考えていますが、明確な説明は困難な状況です。ただし、ベネフィットとリスクのバランスという観点に関しては、この疾患は今、治療薬がほとんどない状況で、タンパクが僅かに増えることで症状が改善する可能性は期待できる状況であり、日本人においても、ベネフィットとリスクのバランスは取れているのではないかと判断しています。

○杉部会長 よろしいでしょうか。それでは、ほかの先生はいかがですか、特になければ議決に入りたいと思います。本議題に関しまして、武田委員におかれましては、利益相反に基づきまして議決は御遠慮いただくということにいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 議題8に移りたいと思います。議題の8について、機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、オキシコンチンTR錠5mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。紙資料は、資料8の審査報告書を御覧ください。タブレットは、資料8のフォルダを開いていただき、★印の付いている審査報告書ファイルをお開きください。

 審査報告書通し番号4/45ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤の有効成分であるオキシコドン塩酸塩水和物は、μオピオイド受容体作動性の麻薬性鎮痛薬です。本邦では、本薬を有効成分として含有する製剤として、本剤とは異なる経口徐放錠であるオキシコンチン錠(以下、本剤と区別するために「CR錠」と略させていただきます)2003年4月に癌性疼痛に対して承認され、その後、散剤、注射剤も同様に承認されています。その後、製剤の改変を防止することを目的に開発された徐放錠である本剤が、癌性疼痛に対して2017年8月に承認されています。

 海外において本剤は、201812月時点で中等度から高度の疼痛に関する効能・効果で米国等20以上の国又は地域で承認されています。

 本邦では、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受けて、中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛に関する本薬の経口剤の開発が要請されました。今般、中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛を効能追加するための本剤の製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本品目の審査に関して、専門委員として、資料19に記載されている5名の委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書通し番号7/45ページ、「7..1 慢性腰痛症患者を対象にした国内第III相比較試験」の項を御覧ください。CR錠を用いて、非オピオイド鎮痛薬又は他のオピオイド鎮痛薬により十分な鎮痛効果が得られない慢性腰痛症患者を対象とした、プラセボ対照二重盲検無作為化治療中止試験が実施されました。

 有効性の結果については、審査報告書通し番号9/45ページ、表7及び図1を御覧ください。主要評価項目である鎮痛効果不十分と判定されるまでの期間について、CR錠群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上の試験成績に加え、慢性腰痛症以外の疾患も対象とした国内長期投与試験において、慢性腰痛症以外の原疾患による慢性疼痛に対しても有効性を示すことが示唆されたこと、CR錠から本剤への切替え試験により、CR錠と本剤は治療学的に同等であることが確認されていることなどを踏まえ、慢性疼痛全般に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、審査報告書通し番号23/45ページの表23を御覧ください。表23には、慢性疼痛を対象とした臨床試験における有害事象の発現状況を示していますが、癌性疼痛と比較し慢性疼痛で新たな安全性上のリスクは示唆されませんでした。一方、慢性腰痛患者では癌性疼痛患者と比較して、乱用及び依存性のリスクが高まる潜在的なリスクがあるため、本剤の適応拡大にあたっては、乱用及び依存性のリスクに十分注意する必要があると判断しました。

 最後に適正使用推進のための方策について、審査報告書通し番号39/45ページ「1.3 適正使用推進のための方策について」の項を御覧ください。本剤と同様の強オピオイド鎮痛薬であるフェンタニルを含有する貼付剤について、慢性疼痛に使用するにあたって厳格な流通管理が実施されています。本剤においても乱用及び依存性リスク並びにこれに伴う不適正使用のリスクを考慮し、フェンタニル貼付剤と同様に、本剤の処方を希望する医師に講習の受講を義務付けるとともに、薬剤師により処方医の講習受講等が確認された場合にのみ調剤がなされる等の厳格な流通管理を実施した上で、安易な使用及び漫然とした投与並びに不適正使用がなされないよう、資材等を用いて、医療従事者及び患者に対して十分な教育又は指導を行うことが適切と判断しました。また、本剤の流通管理が適切に実施されるよう、審査報告書通し番号43/45ページに記載したとおりの必要な承認条件を付すことが適切と判断しました。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本申請は新効能・新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。

 以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。今の御説明に関して何か先生方から、御質問、御意見はありませんか。

○長島委員 慢性腰痛あるいは変形性関節症などの長く持続する痛みに対しては、単に鎮痛剤の薬物療法だけが治療ではなくて、ほかにも生活習慣の指導なり、運動療法なり、心理的なアプローチなり、様々なものがあるので、それを十分に行った後で、どうしてもそれの効果がないときに初めて本剤は考慮されるべきものだと思います。単に通常のNSAIDsとかみたいなもので効果がないから本剤を使うというのは極めてよくないと思っています。そこのところは、特に医師に対する十分な教育で適切な施設で、適切な医師によって、適切な対象患者に投与されるということをしっかり担保する必要があると思うので、そこのところをしっかりやっていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。先生の御指摘のとおりと我々としても思っていますので、医師が本剤を処方する前に受けなければならないe-learning等の内容について、適切な投与対象の選択については重点的に入れ込んでいただくよう申請者のほうに指示します。また、医療従事者向けの資材等についても、こういった慢性疼痛に対するオピオイドを使用する際の注意点については、かなり細かく記載させていただく予定です。

○杉部会長 ありがとうございました。どうぞ。

○山田委員 米国で問題になっているオピオイドクライシスに関連することになるかと思いますが、処方医や患者教育のための資材ももちろんですが、ドクターショッピングを防ぐような何か対策は講じられるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。今考えているドクターショッピング等に対する対策としては、先生が今おっしゃられた患者向けの資材があります。また、本剤を処方する際には、医療用麻薬としての注意事項等が細かく記載された確認書を医師が発行して、それに対して医師と患者様に署名していただきます。それを薬局に持っていって提示することで初めて調剤を受けることができるという体制になるのですが、その確認書の中にも、複数の医療機関でオピオイドの処方を受けないということを明記した上で、患者様にも御署名を頂きます。一部限界があるところは理解していますが、そういった形でかなり慎重に医療従事者あるいは患者様に注意喚起させていただく予定です。

○杉部会長 山田先生、それでよろしいですね。かなり処方は難しいということだと。

○長島委員 今の点で問題になるのは、調剤薬局側が、きちんとほかの所から処方されていないかということの確認ができるかが最大の問題点ですが、そこのところは何か担保するような対策は考えているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。確かに御指摘いただいた点は非常に重要な点だと思っていますので、薬剤師にも医療従事者向けの資材等が提供されるのですが、そちらの中で複数の医療機関では処方されていないことを確認するというところについて、盛り込んでいただくよう申請者に伝えたいと思います。

○長島委員 そこのところは、システムをある程度整備をしないと実現不可能だと思いますので、ほかの覚醒剤の原料になり得るような薬物の場合はかなりその辺はしっかりしたシステムを構築してやったというのが参考になるとは思いますので、その点も含めて、ここはしっかり体制づくりをお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。実際のフロー等を説明する資料の中で、そういったものを盛り込んでいただけるかどうか、その辺のところについて申請者と協議させていただきます。

○森委員 今回の添付文書を拝見しますと、追加された適応症は中等度から高度の慢性疼痛になっていますが、どのような疼痛がこれに該当するかという目安を特には書かれていないのですが、ここは各医師の裁量範囲内、若しくは実際には何かしらの客観的な目安をこれから提示されて、それに該当する方というふうにするのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。実際、本当に様々な疾患が該当するというところで、客観的にここでという線引きはなかなか難しいところではあります。一方で、慢性疼痛に関するガイドライン等も出ていますので、そういったところを考慮して、処方する医師が適切な処方対象を検討することになると考えています。

○森委員 患者さんの中には痛い痛いとドクターの前で演技をする方もおられるので、やはり明確な基準を例として提示されることは大変重要だと思います。しかもドクターも、患者さんが痛いとおっしゃっていれば、痛みがあるというふうに判断せざるを得ない状況も多いのですが、慢性疼痛の場合は非常に心因性の影響も大きくて変動も大きいです。適切に処方されるためには、やはり何らかの目安が必要だと私は思いましたから、機構の御意見をまた要望したいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。今回の慢性疼痛に含まれるとしては、大別すると侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛となります。侵害受容性疼痛に入るものは、腰痛症や変形性関節症といったものが代表的なものとしては知られています。神経障害性疼痛としては、帯状疱疹後神経痛あるいは糖尿病性神経障害性疼痛などが該当すると思います。そういった代表的な疾患については、恐らく医療従事者の方々も認知されているのかなと思っています。

 先生に御指摘いただいた心因性の痛みについては、確かにこの薬剤を使うべきではない対象になりますので、その辺りのことについては、医療従事者向けの資材等で、そういった心因性の痛みの患者さんに対しては投与しないということをしっかり情報提供していくことになっています。

○森委員 医療現場では、今、疼痛管理が大変大きな問題になっていまして、疼痛のある方を見逃さない、積極的に対応するということが求められているわけですが、その場合に疼痛をスケール化することが非常に推奨されているので、やはりそういった客観的な目安というものをお示しになるということが、この薬剤を適切に使用する際に非常に重要だと思いました。

○長島委員 今、おっしゃられたようなことをしっかり縛りを掛けるためには、添付文書の中に、例えば「関連学会の指針に従うこと」など、そういうものを添付文書の中に入れないと、提供資材だけでは強制力がないので、やはりそこのところをしっかりやるべきではないかと思います。

○杉部会長 ありがとうございます。今の御指摘に関しては処方できる医師が限られているようです。資格が必要だということで、それも複数の医師が関与するというようなことも含めて、検討いただいたらいかがですか。容易に処方できないということですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおり流通管理体制が敷かれますので、しっかりとした講習を受けた医師のみが処方できるということになっています。

 また、添付文書案のほうを御覧いただければと思いますが、「効能・効果に関連する使用上の注意」という項があります。そちらの中で慢性疼痛に用いる場合の注意喚起として、「慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること」という形で、注意喚起をさせていただいています。もう少しこの内容を踏み込んだものについて、医療従事者に向けて更に情報提供するというところ、また、今、部会長の杉先生から御指摘いただいたように、こういったものについて習熟した医師のみが処方できるということになりますので、一定の目安というものは添付文書、あるいは医療従事者向けの資材で対応できているのかなとは考えています。

○長島委員 これはアメリカでは大変な問題になっているので、そこを踏まえると、やはり添付文書の中にしっかり縛りが掛かるようなことを入れないといけない。提供資材では縛りが掛かりません。先ほど言ったように、例えばここに関連学会の指針に従うこととか、そういうことを入れないと提供資材では縛りが掛からないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。関連学会の指針の中では、先ほど申し上げた効能・効果に関連する注意のような記載があり、それをさらに踏み込む形で少し解説をしているような記載ぶりになっているのかなと思っています。

 また、もう1点、先ほどの数値化することが大事という御指摘につきまして、今回、臨床試験を実施するに当たっては、中等度から高度な疼痛ということですので、NRSというスケールを使って疼痛の程度を数値化しているところがあります。添付文書における臨床成績の項で、臨床試験の結果を情報提供していますが、ここで実際に定量的にどれぐらいの値の患者さんが組み入れられたのか、その辺のところについて情報提供するように申請者にお伝えしたいと思います。

○長島委員 十分な対応がされていないと考えますので、そこの対応が十分されてから、もう一度再検討というのはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。我々としては「効能・効果に関連する使用上の注意」で注意喚起をして、医療従事者向けの資材でさらにその内容についての詳細を情報提供するというような形で考えていますが、先生としては例えば「効能・効果に関連する使用上の注意」に、もう少し踏み込んだ内容を記載しなければならないというお考えでしょうか。

○長島委員 調剤薬局を含めた、しっかりコントロールができるような体制づくりの要望です。

○事務局 事務局でございます。今まで、先生方が御指摘のとおり、本剤は乱用のリスクや不正に使われないようにするというところで、どうしていくべきかというところは非常に重要な点だと考えています。そのため、この剤の承認の了承を頂けるようでしたら、今現在、麻薬対策の関連部署と協議をしていまして、その流通管理について縛りをかけようというところで、留意事項通知を発出させていただいて、ここの所の強化をした上で流通がされるようにという仕組みづくりはしようとさせていただいているところです。その上で、なお添付文書に記載をすべき事項があるということであれば、御指摘を頂ければと考えています。

○長島委員 添付文書に書くべきことというのは、先ほど申しました。具体的にどのような体制が取れるかということを、確実に取れるということであればいいかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より追加で回答させていただきます。先ほどの先生からの御指摘につきましては、例えば「効能・効果に関連する使用上の注意」の項に、関連学会の指針あるいはガイドラインを参考にすることという旨を追記することを含めて、企業と検討させていただきます。

 また、別途御指摘いただいている適正使用を管理するための体制については、先ほど冒頭でも御説明したように、処方に対する講習の受講の義務付け、あるいはそれが確認されたときに初めて調剤されるということについては、しっかりと体制構築をしていただきますし、また、承認条件としてもそういったものを付すということで、その辺の対応については徹底できるのではないかなと考えています。

○長島委員 そうではなくて、先ほどお話があったように、麻薬のほうとも相談して、しっかり体制をつくるということを条件に、それならばいいでしょうという話をしました。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) 御指摘いただいたように、麻薬等の関係の部署と、流通管理の点は決定すると、添付文書については目安が分かるような、ガイドラインなどを参照するような形で記載について検討させていただきます。

○杉部会長 よろしいですね。非常に重要な点だとは思いますので、是非、実行していただきたいと思います。

○川上委員 麻薬の部署と連携して流通管理を行うという場合は、従来の癌性疼痛に使う場合でも同じような流通管理がされるということを意味されているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。今回の流通管理体制については、あくまでも慢性疼痛に使用する際のみに掛かってくるものですので、癌性疼痛については、こういった流通管理は設定せずにこれまでどおり使用していただくことが可能です。

○杉部会長 よろしいでしょうか。管理は十分にするということが必要だと思いますが、よろしいですね。それでは議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。飯島委員、大森委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、今の注意点、これを改善するということで承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題9に移りたいと思います。議題9について、機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料9-1、9-2、アイラミド配合懸濁性点眼液の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。紙資料は、資料9の審査報告書を御覧ください。タブレットは、資料9のフォルダを開き、★の付いている審査報告書ファイルをお開きください。

 審査報告書の通し番号3/26ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、アドレナリンα受容体作動薬であるブリモニジン酒石酸塩と炭酸脱水酵素阻害薬であるブリンゾラミドを有効成分とする配合点眼剤です。本邦において、ブリンゾラミド単剤の点眼剤は200210月に、ブリモニジン酒石酸塩単剤の点眼剤は2012年1月にそれぞれ承認され、緑内障又は高眼圧症に対して広く使用されています。今般、新医療用配合剤として、本剤の製造販売承認申請が行われました。なお、海外において本剤が承認されている国又は地域はありませんが、配合成分は本剤と同様でブリモニジン酒石酸塩の濃度のみが異なる配合点眼剤が米国及び欧州でそれぞれ2013年4月及び2014年7月に承認されております。本品目の審査に関して、専門委員として資料19に記載されている5名の委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。本剤の有効性及び安全性を検討する目的で2つの国内第III相試験が実施されました。まず、審査報告書通し番号11/26ページ、「7.2.1 国内第III相試験マル1」の項を御覧ください。ブリモニジン酒石酸塩単剤で効果不十分な原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象に、ブリモニジン酒石酸塩単剤を対照とした比較試験が実施されました。有効性の結果については、審査報告書通し番号12/26ページの表13を御覧ください。主要評価項目である治療期投与4週における眼圧変化値において、本剤群のブリモニジン酒石酸塩群に対する統計学的な有意差が認められました。続いて同ページ、「7.2.2 国内第III相試験マル2」の項を御覧ください。ブリンゾラミド単剤で効果不十分な原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象に、ブリンゾラミド単剤を対照とした比較試験が実施されました。有効性の結果については、審査報告書通し番号13/26ページ、表14を御覧ください。主要評価項目である治療期投与4週における眼圧変化値において、本剤群のブリンゾラミド群に対する統計学的な有意差が認められました。以上のとおり、各単剤に対する本剤群の優越性が検証されたことから、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 次に、安全性については、審査報告書通し番号16/26ページ、表18を御覧ください。この表では、2つの国内第III相試験における本剤群と対照群の有害事象の発現状況を示しています。ブリモニジン酒石酸塩を対照とした3-02試験において、ブリモニジン酒石酸塩単剤群と比較して本剤群で有害事象の発現割合がやや高い傾向にありましたが、本剤群で発現割合が高かった事象はいずれも、もう1つの有効成分であるブリンゾラミド単剤の副作用として既知のものであり、これらの事象はいずれも軽度なものでした。以上の点などを踏まえると、各成分を配合することによる新たなリスクは見い出されておらず、既承認の単剤と同様に、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

 最後に、本剤の配合意義については、審査報告書通し番号18/26ページから始まる「7.R.3 配合意義について」の項を御覧ください。機構の考えを次の19ページの2段落目から記載しております。少し補足しながら御説明いたします。緑内障治療においては単剤での治療をまずは目指しますが、単剤では十分な眼圧下降が得られない場合も多く、そのような場合は併用療法を行うことが一般的です。本剤の2つの有効成分の単剤は、臨床現場で既に一定の割合で併用されている使用実態があります。このような併用療法においては、適切な間隔を空けずに各単剤を点眼した場合、先に投与された薬剤が洗い流されることによる治療効果減弱の懸念があり、点眼間隔を一定時間空けることが必要とされております。一方、配合点眼剤である本剤は点眼間隔を空けることが不要であるため、患者の利便性の向上に資するものと考えております。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新医療用配合剤であることから再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 先生方から何か御質問、御発言ございますか。

○堀委員 製剤の形状についてお尋ねいたします。今、手元にアイラミドがございまして、緑色をしております。アイファガンがやはり同じように黄緑色とか、緑とかの同色なのでとても色が似ているので、使用する者にとってみるとちょっと分かりづらいかと思うのですが、なぜこの色になったのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。実際、どういう経緯があって、その色が選択されたかというところについては把握していないのですが、患者さんの立場に立ったときに、アイファガンとアイラミドを併用することはまずないと考えておりますので、もちろん両方とも手元にあった場合は間違えてしまうリスクは確かに完全には否定できないとは思っているのですが、そこは医師がアイファガンをもし使っていた場合は、今度アイラミドに切り換えますよというところをしっかり指導していただくことで、対応可能なのではないかと思っています。

○堀委員 エイゾプトはオレンジ色で、アイファガンがアイラミドと同じような緑色なのです。この配合剤というのは、今までの2回続けて付ける点眼薬よりも、とても便利で、本当にクオリティオブライフにおいても良い薬だと思うのですが、患者さんは、この配合剤をいただいたときに、今までのアイファガンを全部使い切って捨ててしまうのであれば間違いはないかと思うのですが、意外に使い切らずに手元に残している方がいらっしゃるように思います。そのようなときに、使う側にとってみると、2つの点眼薬を間違えやすいという、そこが非常に心配な点かと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。確かに御指摘のとおりの懸念もあると思いますので、申請者のほうには、そういった懸念がないか等も含めて、少し対応を検討していただくことといたします。

○堀委員 ありがとうございます。それこそ本当に申請者にその説明をなさるときに、医師から患者への説明の際に、いままでのアイファガンは破棄をするなりして、新しくこれを使うというような、詳しい説明もしていただいたほうがよろしいかと思いますので、是非お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。承知いたしました。

○堀委員 もう1点。とても細かいことなのですが、この添付文書に、高齢者の項目がありまして、添付文書の9.8の高齢者のところに書いてあるのですが、「一般に生理機能が低下している」という書き方だけだと、一般市民はその意味がよく分からないと思います。でも、この書き方というのはこの添付文書だけではなくて、よく他の添付文書にも使われている書き方です。医療関係者の方たちは、多分これは高齢者の方が一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが望ましいとか、そういう文言がほかの項に出てくるのでお分かりかと思うのですが、一般市民はこれを読んだだけではよく分からないのです。「高齢者は一般に生理機能が低下している」という書き方を、今後は是非もう少し分かりやすく書いていただけると有り難いと思いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。確かに御指摘の点はあるかと思っております。先生から御指摘いただいたように、ほかの剤でも同じような記載になっているところもありますので、この薬剤だけの話ではなくて、まさに添付文書全体のお話になってくると思いますので、安全対策の部門等とも少し協議をさせていただければと思います。

○堀委員 よろしくお願いいたします。以上です。

○長島委員 今御指摘だった見た目の色の問題ですが、薬事のヒアリハット委員会に出ていますが、そこだと、オーダリングのところで、最初の文字がないラベリングも一緒だと、これは非常に間違いやすくなる。したがって、更に効能とかが近くて、見た目が近いと、これは医療側が間違う可能性が十分あるということで、そういう場合は包装の色を変えてもらうとかの対策を、機構でも確か依頼してやっているはずなのです。ということを考えると、市販される前にここのところを十分にチェックして、変えられるものなら早めに変えたほうが、メーカーにとっても損失が少ないので、ここはしっかり対応していただければと思います。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) 御指摘はごもっともです。ただ一方で、この製剤の安定性についてはこの緑色の容器に入れて、安定性を担保しているということになっているようです。ですので、容器自体の色を変えることは安定性の面からちょっと難しいところがあるかもしれません。全体で区別できるようなことを申請者に検討するようにさせていただきます。

○杉部会長 ありがとうございます。やはり間違わないのが一番ですから、どうぞよろしくお願いします。そのほか、特にございませんか。どうぞ。

○奥田委員 今、赤羽委員から指摘を受けたのですが、この添付文書で、「9.3」があって。その次に「9.5」になっているのは、「9.4」はどこに行ったのだろうということです。これは何か訳があるのですか。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) これは添付文書の記載要領が変わりまして、現在の新しい記載要領になりますと、ナンバリングをつけ、項目に漏れがあってはいけないということで、該当しない項目の番号を飛ばそうということになっています。これは慣れていただくということで、最初はびっくりすると思います。

○奥田委員 思い出しました。前もこの議論はしたことがありました。

○杉部会長 よろしいですね。そのほか、大丈夫ですね。それでは議決に入りたいと思います。武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、今のことを十分勘案して承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。承認を可といたしまして、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題10に移りたいと思います。機構からの説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題10、資料10、アイリーア硝子体内注射液40mg/mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。紙資料は資料10の審査報告書を御覧ください。タブレットは資料10のフォルダを開き、★のついている審査報告書をお開きください。

 審査報告書の通し番号5/24ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。血管新生緑内障は、網膜虚血を生じる後眼部疾患を主な原因疾患とし、虹彩及び隅角に新生血管が形成され、房水の排出が阻害されることにより眼圧が上昇する続発緑内障の一種です。高眼圧の状態が持続することにより視神経障害が進行し、失明に至る場合もあります。血管新生緑内障に対する治療としては、一般的に網膜虚血を是正する目的で汎網膜光凝固術が実施されるものの、十分な眼圧下降が速やかに得られない場合があります。また、既存の眼圧下降薬による治療も並行して実施されますが、既存の眼圧下降薬による眼圧コントロールには限界があることなどから、新しい治療法が望まれております。

 本薬は、ヒト免疫グロブリンG1のFc ドメインにヒト血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体の細胞外ドメインを結合した組換え糖タンパク質です。本邦において、本剤は、2012年9月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」で承認されて以降、複数の適応で承認を取得しています。本剤は、血管新生緑内障の発症に中心的な役割を担っているVEGFを直接阻害することで、新生血管の退縮及びそれに伴う眼圧下降を速やかに示すことが期待され、今般、血管新生緑内障に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外においては、2019年末時点で本剤が「血管新生緑内障」に対して承認されている国又は地域はありません。なお、本剤は「血管新生緑内障」を予定効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料19に記載されている4名の委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。まずは審査報告書通し番号8/24ページ「7.1.1 国内第III相試験マル1」の項を御覧ください。血管新生緑内障患者を対象に、偽注射を対照とした比較試験が実施されました。有効性の結果については、同ページ、表3を御覧ください。主要評価項目1週目の治験薬投与前における眼圧のベースラインからの変化量は、偽注射群で-4.9mmHg、本剤群で-8.5mmHgであり、数値の上では本剤でより強い眼圧下降作用が認められましたが、統計学的な有意差は認められませんでした。続いて、審査報告書通し番号9/24ページ「7.1.2 国内第III相試験マル2」の項を御覧ください。先の試験で統計学的な有意差が認められなかった理由として、一定の条件で使用が許可されていた全身性の眼圧下降薬が偽注射群で多く使用されていたことが原因と推察されたことから、当該試験成績を補完する目的で、全身性の眼圧下降薬の併用を禁止する等の試験デザインの工夫を行った試験が実施されました。有効性の結果については、同ページ、「ベースライン及び」から始まる段落を御覧ください。主要評価項目である1週目の治験薬投与前における眼圧のベースラインからの変化量は、本剤群で-8.3mmHgであり、両側95%信頼区間の上限値はあらかじめ設定された閾値(mmHg)を下回ったことから、本剤の眼圧下降作用は示唆されたと判断しました。これらの結果に加え、各第III相試験の副次評価項目などにおいて、本剤の薬理作用から期待される前眼部の新生血管の退縮作用が確認されており、この作用は本剤の眼圧下降作用を支持するものであることも考慮した結果、本剤の血管新生緑内障に対する有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、安全性については、審査報告書通し番号13/24ページ、表6及び表7を御覧ください。これらの表はそれぞれ臨床試験における眼の有害事象と眼以外の有害事象の発現状況を示しており、血管新生緑内障患者における眼及び眼以外の安全性について、既承認効能を明らかに上回るリスクは認められませんでした。以上から、既承認効能にて行われている注意喚起の下であれば、血管新生緑内障においても本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 以上のような検討を行った結果、本剤は治療選択肢が限られている血管新生緑内障に対して、速かな眼圧下降が期待できる新たな治療選択肢を提供するものであり、臨床的意義があると判断したため、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は、希少疾病用医薬品としての申請であることから、再審査期間は10年とすることが適当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。

 以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 この件について、先生方から何か質問、御意見ございますか。

○堀委員 やはり添付文書についてお尋ねいたします。添付文書の「5.3 血管新生緑内障」の前緑内障期というのがあるかと思うのですが、緑内障だと普通は自覚症状がなくて、気付いたときにはどちらかというと、もう中期に入っていることが多く、この前緑内障期というのはどのような時期のことをおっしゃるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。血管新生緑内障については前眼部のほうに新生血管が発現してきて、それがひどくなってくると、眼圧が上がっていくというような病型なのですが、この前緑内障期と言われるものは、新生血管が発現しているのですが、眼圧はまだ上がっていないという状況のものを指します。今回の臨床試験では、眼圧が上がっている方を対象に眼圧下降作用を見ましたので、この眼圧がまだ上がっていない状態の患者さんに対しては、本剤の有効性及び安全性が確立していないので、そういった内容を注意喚起しているというようなところでございます。

○堀委員 となると、患者の立場からすると、緑内障になる前というのは何か自分の中で判断することがなかなか難しく、視野がどんどん狭くなっていって、それでおかしいと気づいたり、あと健康診断とかで緑内障の症状のチェックがあって、眼科に行って初めて気付くというのが多いかと思うのです。この前緑内障期、先ほど眼圧のこととかおっしゃっていたのですが、本人はもう自覚症状がある状況ということなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。今お話している前緑内障期というのは、血管新生緑内障における分類にあります。先ほど話されていた、視野がだんだん欠けていくようなものは、一般的に皆さんが思っている緑内障においての前視野緑内障という考え方でして、通常の緑内障は長時間掛けて少しずつ視野障害が進んでいくものですが、今回ここに書かれているものは、急激に眼圧が上がって、失明に至るような血管新生緑内障ですので、ちょっと言葉が似ているので分かりづらいのですが、もともと違うものなのです。

○堀委員 分かりました。ありがとうございます、理解しやすかったです。もう1つ質問をよろしいですか。この血管新生緑内障の用法及び用量のところで、ほかのところにはない、「必要な場合は」という文言が書かれているのですが、これはなぜですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。今回の血管新生緑内障以外の効能、例えば加齢黄斑変性ですとか、糖尿病黄斑浮腫といった効能に対しては基本的にはずっと使い続ける、定期的に投与していくような使い方になるのですが、血管新生緑内障は、基本的には冒頭で御説明した標準治療である汎網膜光凝固術というものがあるのですが、それとの併用を基本的には前提として使われるものと思っております。この薬剤をずっと定期的に使って眼圧をコントロールするという使い方にはならないと想定しておりますので、少し意識的にほかの効能とは違う書きぶりにしています。

○堀委員 分かりました、ありがとうございます。

○杉部会長 そのほかいかがですか。

○森委員 国内第III相試験が2つ行われているのですが、添付文書にVENERA試験と書かれている追加された試験は16例の検討になっていまして、もう1つの国内第III相試験VEGA試験はより多くの症例で、しかもコントロールを置いている試験になっているのですが、コントロールを置いている試験のほうがより信頼性が高く、通常、承認の際に参考にされるべき資料だと思ったのですが、今回、より少数で単独で行なわれている試験の結果を重視した背景を追加で伺ってよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。再試験の結果ももちろん重要視はしているのですが、添付文書に記載されている1つ目のVEGA試験についても、我々としては重要な試験と位置づけています。御指摘いただいたように、最初の試験ではコントロールを置いた比較試験が実施されたわけですが、その中で、結果的には統計学的な有意差が得られなかったということです。その原因をいろいろ考察していく中で、併用療法の使用というのは影響しているのだろうということになりました。本来であれば、先生御指摘のように、再試験をやるのであればもう一度比較試験というところがひとつの考え方だとは思うのですが、そういった併用療法を制限しながら対照群を置くということはなかなか倫理的にも許容しにくかったというところもありまして、再試験については単群で実施されたということです。最初の試験と2回目に実施された試験を合わせて、総合的に評価して、我々としては有効性が期待できるというふうに考えたというところです。

○森委員 もし、そのような考察が成立するのであれば、単独で使用した場合の成績と、もう1つ併用された場合の成績の2つ、つまり全例単独で使用した場合と、全例併用した場合の成績というのが出されているべきではないかと思いました。と申しますのは、既存の先行薬の内服がある場合は、本剤が有効性があるかどうかは、今、担保されていないということですか。

○医薬品医療機器総合機構 それは併用環境下で言うと、御指摘のとおりではあるのですが、全身性の眼圧下降薬についてはやはり循環器系の影響もいろいろあるということで、なかなかそれだけではコントロールが長期的にはしづらいというところもあります。この薬剤については、そういった全身性の眼圧下降薬を使用せずに、眼圧がコントロールできるということには意義があると思っておりますので、これまでに提出されている試験成績でも医療上の有用性というのは一定程度説明できるのではないかと考えたところです。

○杉部会長 森先生、どうぞ。

○森委員 では、用法については、全身的な併用薬と併用しないという制限をなぜ付けないのでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。血管新生緑内障自体は本当に重篤なものでして、早期発見して、すぐに眼圧を下降しないと失明に至ってしまうような性質のものですので、現場ではできる限りの眼圧下降の治療を行っている実態があります。そういった中で、本剤の有効性が示されたということですので、実臨床においては本剤とそのほかの眼圧下降薬が併用されることになるかと思います。本来であれば、確かに本剤と、本剤プラス全身性の眼圧下降薬による比較試験を行うべきだとは思います。ただ、本剤だけで眼圧下降が示された試験を有効と判断した根拠としては、血管新生緑内障の性質上、無治療で眼圧が下降することというのはないものでして、そういった放置すればどんどん悪化していくようなものに対して、単剤で本剤の有効性を示せたというところも勘案すると、一定の効果が得られるという判断に至ったということです。ですので、本剤と併用薬についての縛りを付けるということは考えておりません。

○森委員 治験のデザインは機構の方が管理されたと思いますので、追加で第III相試験を行うということになったと思うのですが、その併用、既存の全身的な治療薬を使いながら、この薬を併用した場合の有効性を調べることは、特に実際には検討が難しいから行われていなかったのか、特に必要ないと判断したのか、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。技術的には、全身性の眼圧下降薬と本剤を併用した環境での臨床試験というものは実施可能であったのかなというふうに思います。ただ、一方で、先ほど申し上げたように、全身性の眼圧下降薬については、いろいろな制限がある中で、やはり医療現場としても、全身性の眼圧下降薬を使わずに眼圧コントロールができる薬剤が望まれているというところもありまして、本剤の最初の試験成績を見ても、本剤単独でも眼圧コントロールができる可能性が示唆されていましたので、本剤の純粋な作用を見るという意味で、併用薬を制限した臨床試験のデザインを我々としては許容したというようなところです。

○杉部会長 森先生、いいですか。

○森委員 治験のデザインのことはもう結構です、はい。

○杉部会長 柴田先生どうぞ。

○柴田委員 実は同じところを質問しようと思っていました。森先生からも御指摘があったことの繰り返しになってしまいますが、少なくとも全身性の眼圧下降薬を使っておられる患者さんにおいて上乗せ効果はないわけですよね。おっしゃるように、全身性の眼圧下降薬を使えない方、あるいは使いたくない状況がある方に対して、この薬がプラセボでないことを示唆するデータがあるという御説明までは理解できます。けれども、全身性眼圧下降薬を使える方に対して、既存の全身性眼圧下降薬に上乗せして本剤を使うことの意義というのは具体的には示されていないのではないかと思うのですが、それについてはどうでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生御指摘のとおり、全身性の眼圧下降薬を併用できる環境では、本剤の上乗せ効果というものは確かに統計学的な有意差をもっては証明されてはいないというような状況であると理解しています。

○医薬品医療機器総合機構 機構より補足いたします。全身性の眼圧下降薬に本剤を併用した場合に、副次評価項目なのですが、隅角の新生血管というものを見ておりまして、本剤を使ったときに限って隅角の新生血管の退縮というものが見られましたので、それをもって実際に新生血管を抑える効果があったと判断することはできると思います。したがいまして、眼圧という意味での上乗せはないにせよ、全身性の眼圧下降薬はずっと使うものではないので、そういった意味では、その全身性の眼圧下降薬を切ったとしても、本剤による新生血管を抑制する作用によって眼圧が下がることが期待できると判断することはできると考えております。

○柴田委員 確認ですが、今御指摘いただいた話は審査報告書通し番号11ページに書いてある表5の情報から読み取れる情報だということになりますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。今御指摘いただいた審査報告書通し番号11ページの表5については、先ほど機構より御説明した隅角における新生血管をグレード評価した結果が記載されています。加えて、表の上のほうに記載しているとおり、具体的なデータは示してはいないのですが、全身性の眼圧下降薬の使用の有無にかかわらず、本剤群で、偽注射群に比べて、これらのグレードが改善した被験者の割合が多いということについては確認しています。

○柴田委員 分かりました。そこの部分は重要な情報であって、なおかつ、ここに書いてあることから先ほどの御説明が可能であるのであれば、私のコメントはここまででいいと思います。

○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがですか。それでは、本件の議決に入りたいと思います。武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと存じます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可といたしまして、薬事分科会へ報告させていただきます。

 それでは議題11に移りたいと思います。議題11について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題11、資料11、医薬品キャブピリン配合錠について機構より説明いたします。資料11の審査報告書をお開きください。タブレットについては、資料11のフォルダを開き、★が付いている審査報告書ファイルをお開きください。以降の説明においては、審査報告書の下部に青字で記載されている通し番号で御説明させていただきます。

 本剤は、シクロオキシゲナーゼ1阻害薬であるアスピリンとプロトンポンプ阻害薬(PPI)であるボノプラザンフマル酸塩を有効成分とする配合剤です。低用量アスピリン製剤はこの抗血小板作用から、2000年9月に狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害における血栓・塞栓形成の抑制、冠動脈バイパス術又は経皮経管冠動脈形成術施行後における血栓・塞栓形成の抑制等の効能・効果について、医学薬学上の公知として承認されています。また、ボノプラザンフマル酸塩製剤であるタケキャブ錠は、201412月に低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能・効果で承認されており、低用量アスピリンとの併用効能が承認済みです。今般、国内臨床試験成績等に基づき、狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害における血栓・塞栓形成の抑制、又は冠動脈バイパス術若しくは経皮経管冠動脈形成術施行後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)に係る効能・効果で本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。

 本品目の審査の概略について説明いたします。配合意義について、審査報告書8ページ、「7.R.1 本剤の配合意義について」の項を御覧ください。既に、タケキャブ錠で、血栓・塞栓形成の抑制を目的とした低用量アスピリンによる上部消化管潰瘍の再発防止に係る効能・効果が承認済みであり、「医薬品の承認申請に際し注意すべき事項について」(平成261121日付け薬食審査発112112)における医療用配合剤としての承認事由の「副作用(毒性)軽減」に該当し、配合剤とすることに意義はあるものと判断いたしました。

 有効性について、審査報告書9ページ「7.R.2 アスピリンについて」の項を御覧ください。既にタケキャブ錠の承認時に低用量アスピリンとの併用時の有効性は検証済みであることから、本剤投与時と各単剤併用投与時の各有効成分の生物学的同等性(BE)を示すことにより、本剤の有効性を説明する開発戦略がとられました。その結果、ボノプラザンについてはBEが示された一方で、アスピリンについてはBEが示されなかったことから、本剤の血栓・塞栓形成の抑制効果が既承認の低用量アスピリン製剤と同等であることを、厳密には説明できませんでした。しかしながら、低用量アスピリンの血小板凝集抑制効果が認められる用量として、75325mg/日の幅広い臨床用量が医学薬学上公知として認められ、用量及び薬物動態が異なるアスピリン腸溶錠と制酸緩衝アスピリン錠が同一の効能・効果で承認されていること、今回実施された臨床試験成績から、本剤投与時のアスピリンのCmaxが既承認のアスピリン腸溶錠100mg投与時のアスピリンのCmaxの分布の範囲内であることが推定可能であること等から、本剤に含有されるアスピリンによっても、既承認の低用量アスピリン製剤に期待されている有効性が同様に得られることが推定できるものと判断いたしました。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新医療用配合剤ですが、ボノプラザンフマル酸塩と低用量アスピリンとの併用効能が承認済みであり、これらの併用投与時の安全性等については、タケキャブ錠の製造販売後調査を含む製造販売後の情報として、既に集積・検討されていること等を踏まえ、再審査期間はタケキャブ錠の再審査期間の残余期間とすることが適切と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○杉部会長 今の説明に関して、何か御質問、御意見はございますか。

○長島委員 別々に飲む場合と比べて、配合錠にした場合のメリットは、端的に言うと何でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 併用投与時と配合剤投与時の比較ということになると、飲み忘れがないというところで、アドヒアランスということになろうかと思います。

○長島委員 とすると、飲み忘れしにくい方ではこれを使うメリットはないということになりますか。

○医薬品医療機器総合機構 ご指摘のとおりです。各単剤を確実に併用が可能であるという方には、先生の御判断かとは思いますが、選択肢の1つにはなるかと思います。

○長島委員 一般論として、配合剤にすると薬価というのは、別々に飲んだときよりもかなり高くなるものでしょうか。あくまでも過去の例等で。

○事務局 事務局よりお答え申し上げます。担当部局ではなくなってしまうのですが、配合剤はいろいろルールがあって、例えば既存品を組み合わせた場合だと、既存品を組み合わせた価格に8掛けをするとか、そういった様々なルールがあります。配合したからといって、すぐにそれがそのまま高い薬価になるという制度ではないと承知しております。

○長島委員 基本的に有効性、安全性は変わりはないということですね。分かりました。

○平石委員 追加ですが、類似薬のタケルダという薬があります。これはアスピリンとランソプラゾールの合剤ですが、この薬価は確か、私の記憶ではランソプラゾール単剤の薬価に設定されていると思います。以上です。

○杉部会長 御指摘ありがとうございます。アスピリンに関しては、日本人の胃腸にはかなり障害が出ることもありますので、合剤であってもいいかなという感じがいたします。森先生、どうぞ。

○森委員 1つ、薬剤の名称について発言させてください。アスピリンは大変普及している薬剤で、アスピリンという名前ですが、ピリン系ではありません。ということで、アレルギーの確認上、我々はピリン系のアレルギーがあるかどうか大変注意して聞いているのですが、アスピリンは例外であるということです。バイアスピリンやアスピリンは、大変普及している薬剤なので、例外としてそれを容認しているのですが、アスピリンと、例えばPPIや胃薬の合剤のネーミングに、ピリンという言葉が入ることは、私ども臨床現場としては非常に抵抗があります。ピリン系のアレルギーの方にとっては、自分が飲んでいい薬剤かどうか分からないというリスクがあります。

 一方で近年、合剤では2剤の薬剤のオリジンが分かりやすいように、2つの名前をうまく合体させてネーミングするということが一般化されているので、今回のキャブピリンという名前は覚えやすいし良い名前だとは思うのですが、ピリンという言葉がそのまま入っていることは、実はちょっと抵抗があります。タケルダだと逆に分かりにくいのですが、もうちょっと、例えばキャブリンとか、ピリンという言葉を安易に使っていただきたくないということは、ここで発言しておきたいと思います。以上です。

○杉部会長 どうでしょうか。機構から何か御意見はございますか。

○執行役員(新医薬品審査等部門担当) 名称については、いろいろと機構、厚労省と一緒に考えています。その御指摘を共有したいと思います。

○杉部会長 森先生、どうぞ。

○森委員 ピリン系薬剤の使用頻度が減っているので、皆さんが忘れ掛けているということを注意喚起しておきたいと思います。以上です。

○杉部会長 そのほかはいかがでしょうか。もう一回メーカーとも相談ということもあるでしょうが、そういうことも勘案して、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。この薬剤については大賀委員、大森委員、川上委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいですか。

 ありがとうございます。承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題12に移ります。議題12については、事務局から説明をお願い申し上げます。

○事務局 事務局です。議題12、オファツムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。タブレット資料12をタップしていただいて、2つ目の事前評価報告書のファイルをお開きください。1ページですが、申請者は「ノバルティスファーマ株式会社」、予定される効能・効果は「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」となっております。

 オーファンの3つの要件のうちの最初の「対象患者数」ですが、多発性硬化症は指定難病でして、平成26年にこちらに対する特定疾患医療受給者証の所持数が約1万9,400人となっており、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 続いて「医療上の必要性について」ですが、多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患でして、病状の進行により運動機能障害や認知機能障害が認められております。本邦では、治療薬として幾つか承認はされているところですが、その忍容性とか長期安全性に対する懸念から、投与を継続できない患者さんが一定数存在しております。本剤は、本邦での既存の承認薬とは異なる作用機序を有することから、既承認薬では制御し切れない多発性硬化症についても制御できる可能性があります。以上のことから、医療上の必要性が高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性について」ですが、本剤投与による再発性の多発性硬化症患者の再発予防効果等を検証する海外の第III相試験が実施されており、年間再発率について、国内未承認の治療薬を対照にしたものではありますが、50%程度抑制しており、安全性プロファイルも良好でした。また、本邦では国際共同第II相試験を実施中です。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○杉部会長 何かこの件について御質問、御意見はございますか。なければ議決に入ります。大森委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、希少疾病の医薬品として指定することで、承認いただけますか。

 ありがとうございます。指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題13に移ります。これも事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題13、資料13Vestronidase alfaを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料13のフォルダに格納しております、「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。申請者は「アミカス・セラピューティクス株式会社」、予定される効能・効果は「ムコ多糖症VII型」です。

 まず、「対象患者数」ですが、ムコ多糖症VII型は、指定難病である「ライソゾーム病」に含まれる疾患です。日本先天代謝異常学会によって調査された情報によると、国内で確認された患者数は現在のところ4名とされています。以上より、患者数は指定基準を満たしているものと考えております。

 「医療上の必要性について」について御説明いたします。本邦において、ムコ多糖症VII型に対する治療薬は承認されていません。本剤の有効成分は遺伝子組換えヒトβ-グルクロニダーゼであり、組織におけるデルマタン硫酸、ヘパラン硫酸等の代謝を促進し、その蓄積を減少させることで、ムコ多糖症VII型患者の徴候及び症状の改善が期待されます。以上より、本剤の臨床上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性について」御説明いたします。本剤を用いた海外第III相試験が実施され、当該試験成績に基づき、海外において承認されています。また現在、国内臨床試験を実施中です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがって、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○杉部会長 この件について、何か御意見、御質問はございますか。大丈夫ですか。4人という非常に少ない希少疾患です。この件について議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題14に移ります。これも事務局から概要の説明をお願いいたします。

○事務局 議題14、資料14、イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)脳室内投与用製剤を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料14のフォルダに格納しております、事前評価報告書のファイルをお開きください。申請者は「クリニジェン株式会社」、予定される効能・効果は「ムコ多糖症II型」です。

 まず、「対象患者数」ですが、ムコ多糖症II型は指定難病である「ライソゾーム病」に含まれる疾患です。本邦において、ムコ多糖症II型の有病率は、10.8万人に1人と報告されており、大阪市立大学医学部附属病院と国立成育医療研究センターが把握している患者数は2014年9月時点の集計で145人とされています。以上より、患者数は指定基準を満たしているものと考えております。

 「医療上の必要性について」御説明いたします。本邦において、ムコ多糖症II型に対する治療薬として、イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)の点滴静注用等製剤は承認されていますが、当該酵素は血液脳関門を通過しないことから、当該酵素補充療法を受けているムコ多糖症II型の患者では、中枢神経障害の改善は認められず、新たな治療選択肢が求められております。本剤は、遺伝子組換え型のヒトイデュルスルファーゼ ベータの脳室内投与用製剤であり、本剤を脳室内に直接投与することにより、脳室内におけるヘパラン硫酸濃度を低下させ、ムコ多糖症II型患者における中枢神経症状の改善が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「開発の可能性について」について御説明いたします。本邦において実施された臨床試験において、本剤投与後に脳室内ヘパラン硫酸濃度の低下等が確認されています。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがって、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○杉部会長 この件について、先生方から何か御質問、御意見はございますか。それでは、この件について議決に入ります。本案件について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項及びその他の事項に移ります。よろしくお願いいたします。事務局からの説明でお願いいたします。

○事務局 事務局です。まず、報告事項について御報告いたします。医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料15-1から15-8です。

 フォルダを開いていただいて、まず15-1が有効成分名は『アダリムマブ(遺伝子組換え)』、販売名は『ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL及び同皮下注20mgシリンジ0.4mL』です。今回、再審査報告書に幾つかの効能を記載しておりますが、本部会にはクローン病に関する報告ということで御報告させていただいております。なお、残りの効能については、先に開催された医薬品第二部会で御報告させていただいたものです。

 続いて資料15-2です。有効成分名は『アルガトロバン水和物』、販売名は『ノバスタンHI注10mg/mL及びスロンノンHI注10mg/mL』です。

 資料15-3は、有効成分名が『リセドロン酸水和物』、販売名は『アクトネル錠及びベネット錠』です。

 続いて資料15-4は、有効成分名が『抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン』、販売名は『サイモグロブリン点滴静注用25mg』でして、再審査報告書記載の効能・効果のうち、腎移植後の急性拒絶反応の治療に関する報告です。

 資料15-5は、有効成分名が『抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン』、販売名は『サイモグロブリン点滴静注用25mg』ですが、肝移植・心移植・肺移植・膵移植及び小腸移植後の急性拒絶反応の治療に関する報告です。

 資料15-6は、有効成分名が『ナルフラフィン塩酸塩』、販売名が『レミッチカプセル2.5μg及び同OD錠2.5μg』です。資料15-7は、有効成分名が『レパグリニド』、販売名は『シアポスト錠0.25mg及び同錠0.5mg』です。

 最後、資料15-8は、有効成分名が『一酸化窒素』、販売名は『アイノフロー吸入用800ppm』です。

 これらの品目ですが、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認条件について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定させていただきました。

 続いて、その他の事項についても併せて御説明いたします。

○事務局 続いて事務局です。今回は、2月12日に開催された第40回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に報告する品目が1品目ありました。

 その他事項のフォルダに格納しております資料16、公知申請事前評価報告書のファイルをお開きください。ページ番号は、各ページの最下部に記載しております通し番号に基づいて説明いたします。3ページを御覧ください。本要望は、オクトレオチド酢酸塩の「ジアゾキシド不応性先天性高インスリン血症に伴う低血糖症状の改善」に関する、日本小児内分泌学会からの要望です。本要望については、平成31年2月の第37回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われました。

 本要望の公知該当性について、17ページを御覧ください。まず有効性です。先進医療Bの枠組みで、臨床研究として実施されたSCORCH試験において、5例中3例で本剤投与が有効と評価されています。また、国内外の複数の教科書、ガイドライン及び総説において、ジアゾキシド不応性先天性高インスリン血症に対するオクトレオチドの投与が推奨されています。さらに、国内ガイドラインに記載された用法・用量による多数の使用実態があり、血糖上昇効果等が確認されております。以上より、ジアゾキシド不応性先天性高インスリン血症に対するオクトレオチドの有効性は、期待できると判断されました。

 続いて安全性について、18ページを御覧ください。国内外のガイドライン、総説等において、ジアゾキシド不応性先天性高インスリン血症患者にオクトレオチドを投与した際の主なリスクとして、消化器症状、肝機能障害等が報告されておりますが、SCORCH試験等では、これらの事象に関する特段の懸念は認められておらず、また、いずれの事象も先天性高インスリン血症患者にオクトレオチドを投与する際に広く知られている有害事象であることから、現行の添付文書における注意喚起及び小児に対する適切な注意喚起を行うことで、管理可能と判断されております。以上より、オクトレオチドのジアゾキシド不応性先天性高インスリン血症に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断されました。

 なお、検討会議において、効能・効果及び用法・用量は、19ページから20ページにかけて記載している内容とすることが適切と判断されております。以上です。

○杉部会長 何か先生方から質問はございますか。特になければ、今の報告事項の議題1及びその他事項の議題1については、御確認いただいたものとしたいと思います。本日の議題は以上のとおりですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございます。次回の部会ですが、4月24()午後5時からを予定しております。またよろしくお願いいたします。

○杉部会長 どうもありがとうございました。先生方も長い間議論いただいて本当にありがとうございました。非常に大事な点を指摘されておりますので、また今後ともよろしくお願い申し上げます。今日は、どうもありがとうございました。

 

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)