第128回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

 令和2年3月30日(月)16:30~18:00

場所

共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)

出席者

【公益代表委員】
    砂金伸治、城内博(分科会長)、髙田礼子、三柴丈典、山口直人
【労働者代表委員】
    漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
【使用者代表委員】
    砂原和仁、中澤善美、中村節雄、増田将史、最川隆由、矢内美雪、輪島忍
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、毛利正(安全課長)、井内努(労働衛生課長)、塚本勝利(化学物質対策課長)、
    佐々木邦臣(建設安全対策室長)、小沼宏治(産業保健支援室長)、安井省侍郎(環境改善室長)、秋山篤史(産業保健支援室長補佐)、
    黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

(1)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱等について(諮問)
(2)高年齢労働者の労働災害防止のためのガイドラインの策定について
(3)伐木作業等の安全対策に係る改正労働安全衛生規則(平成31年2月公布)に基づくガイドラインの改正について
(4)事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について
(5)副業・兼業の場合の健康確保措置について



 

議事

 
○城内分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第128回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。少なからず感染症のリスクがある中、お出掛けいただきまして委員の皆様、本当にありがとうございます。本日は重要案件で審議が必要だということで、開催させていただくことになりました。スムースな進行、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
本日は公益代表委員の水島委員が欠席しています。また本日は感染症対策のため、一般傍聴は募集せず報道関係者のみの傍聴を受け入れていますので、御承知おきください。
次に傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。
では、議事に入ります。議題1「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱等について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
 
○安井環境改善室長 事務局から説明させていただきます。資料としては、資料1-2を使いまして説明させていただきます。
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案等ということで、1枚おめくりいただきまして、検討会の経緯等があります。
2ページ目からですが、今回の検討についてはマンガン及びその化合物、並びに溶接ヒュームの健康障害防止対策です。もともとの検討の経緯としては、従来から管理濃度が定められているマンガン及びその化合物について、ACGIH、アメリカ、それからEC科学委員会、ヨーロッパにおいて、ばく露濃度が引き下げられたことがあります。それを日本においても取り入れるべきではないかということで、議論が始まった経緯があります。
続きまして、2番にあるように従来、マンガン及びその化合物の中には、括弧で「塩基性酸化マンガンを除く」という規定がありました。こちらについては、溶接ヒューム及び溶解フェロマンガン・ヒュームに含まれているものですが、こちらについてもACGIH、あるいはEC科学委員会においても両方とも規制の対象にしているということです。また塩基性酸化マンガンに関する特殊健康診断において、一定の有所見者(2.4%)が見られるということがありましたので、この度、この「塩基性酸化マンガンを除く」という記載を削除して、こちらにもこの塩基性酸化マンガンを特化物に含めるということが1点目です。
3番ですが、溶接ヒュームについては国際がん研究機構IARCが、2017年に溶接ヒュームをグループ1、「ヒトに対する発がん性が高い」に分類をしました。マンガン及びその化合物については、発がん性、特に肺がんですが、そういった知見は現在得られていませんので、これはマンガン以外の毒性がある、あるいは健康影響があるということでしたので、溶接ヒュームをマンガン及びその化合物から切り離して、独立して特化物として位置付けるべきではないかということです。
4番ですが、溶接ヒュームに対する特殊健康診断は申請する必要がありますが、こちらについては従来行われているマンガン及びその化合物の項目、マンガンによる神経関係の障害の項目と同様にするということです。一方、発がん性、肺がんについては、従来からじん肺法によるじん肺健診において、合併症の検査として肺がんの検査を行っていますので、当面の間はそちらのほうで対応して、今後、じん肺を経ないで肺がんになるようなケースがもしあるようであれば、そちらについての検査を追加することでまとまっています。
3ページです。こちらは溶接ヒュームのばく露防止対策です。特定化学物質に指定されると、そのまま作業環境測定及びその結果に基づく管理区分、あるいはそれに基づく局所排気装置等の設置が義務付けられるわけですが、今回、ばく露実態調査を行ったところ、6割が第3管理区分に当たる濃度でした。また、溶接については溶接不良を防ぐために、局所排気装置の風速を上げることができないという制約があります。このため、作業環境測定の実施及びその結果に基づく管理区分の決定を義務付けないこととしますが、現状を悪化することなく事業場の状況に応じた対策を促すために、次に掲げる段階的な規制を設けるということです。
①ですが、金属アーク溶接作業を行う屋内作業場については、全体換気装置、あるいはこれと同等以上の措置を必ず講じなければならない。②ですが、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場については、個人サンプリングにより空気中の溶接ヒュームの濃度を、溶接の方法を新たに採用又は変更するときに行わなければならないことを義務付けます。③ですが、この測定の結果に応じて、全体換気装置等の風量の増加、その他必要な措置を講ずるということを義務付けるということです。④ですが、こういった措置を取った後に、どこまで濃度が下がっているかを、再度測定で確認をしていただきます。その結果を踏まえまして⑤ですが、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場については、厚生労働大臣の定めるところによって、先ほどの測定の溶接ヒュームの空気中濃度の結果に応じて、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることを義務付けるということです。
一方、継続して行う屋内作業場以外の作業場、例えば屋外など、そういったものについては、従来の粉じん障害防止規則で義務付けられているように、有効な呼吸用保護具の使用ということで、測定を前提とせずに呼吸用保護具を選んでいただくということです。
6番目ですが、溶接ヒュームの空気中濃度の基準値を定める必要がありますが、こちらはマンガン及びその化合物の管理濃度と同じ値であるマンガンとして0.05mg/m3(レスピラブル粒子)とすべきであるということです。
(2)ですが、これらの措置に加えて次に掲げる規制ということで、①にあるのが測定結果などの記録をきちんとする。こちらについては、1つの測定をしてから例えば10年間ほど溶接を続ける可能性がありますので、その測定をした溶接が続いている間はずっと保存していただいて、それをやめましたという後から起算して3年間後に捨てていただくことができるようにするという規制です。②については、金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときには、粉じんの飛散しない方法で毎日1回以上清掃することを義務付けるということです。
5ページ目ですが、第3です。こちらについては、特定化学物質(管理第2類物質)として政令で指定した場合、(1)から(10)までの義務が自動的に適用されることになります。ほとんどの措置については、比較的満たされている状況にあると思いますが、(6)特定化学物質作業主任者の選任については、溶接を行っている所で選任されている例は少ないと思います。こちらについては、技能講習を受けていただいて新たに作業主任者を選任していただく必要が発生します。
6ページです。こちらはマンガン及びその化合物の管理濃度ですが、ACGIH及びECの提案理由書、文献等のレビューの結果、まず測定する対象の粒子の大きさはレスピラブルで、肺胞に到達する粒子を測定する。その基準値としてはEC提案理由書と同じ値になりますが、0.05mg/㎥を採用するということです。
7ページです。こちらからは告示で定める内容に入っていきますが、まず個人サンプリングによる溶接ヒューム濃度測定の方法です。先だって、個人サンプリング法による作業環境測定を認める改正をさせていただきましたが、今回、それとは若干違う点がありますので、そちらを重点に説明させていただきます。
まず(1)については、サンプリングを付けるサンプラーの位置が労働者の呼吸域で、労働者が呼吸する範囲の空気が捕集できる場所にサンプラーを付けていただく必要があります。(2)については、採取等の対象者数、時間等ですが、①にありますように溶接ヒュームの量がほぼ均一であると見込まれる作業ということですので、例えば大きな工場であればたくさんの場所で溶接しているわけですが、各ワークショップごとに1つ均等ばく露作業ということにしていただいて、測定を行う必要があります。従来の作業環境測定では5人以上測定することになっていますが、こちらについては2人を下回ってはならないということです。
8ページ、②です。こちらの測定は1回測れば、変更しない限りそのまま有効となる測定ということですので、時間の短縮などは認めず、一の作業日において金属アーク溶接作業等に従事する全時間について測定をしていただくということになります。③は作業環境測定であれば、いろいろ統計処理をするということがありますが、こちらの場合はそういったことは必要なく、測定値のうち最大のものを評価値とするということです。(3)については、試料採取方法及び分析方法です。マンガン及び化合物に係るものをそのまま採用するということです。
2番目ですが、呼吸用保護具の選定及び使用です。こちらはまず要求防護係数を算定していただきます。こちらは測定されたマンガンの濃度を基準値で割っていただく、つまり基準値の何倍の濃度があるのかということを把握していただきます。その算定された要求防護係数を上回る指定防護係数を持っている呼吸用保護具を選定して、それを使用していただくことを義務付けるということです。
9ページ、(3)です。今回は、作業環境測定とそれに基づく環境の改善を義務付けないということですので、濃度の高い中マスクで作業していただくことになります。きちんとしたマスクが選定されていても、それを正しく使用していないと意味がないので、1年に1回、定期的に定量的にフィットテストを行いまして、きちんとマスクが装着されているかどうかを確認することを義務付けます。その結果を3年間保存するということです。
10ページです。こちらからそれぞれの政省令の要綱の内容になってくるわけですが、まず政令案の概要です。1にありますのは、まず特定化学物質(第2類物質)に溶接ヒューム並びに塩基性酸化マンガンを追加します。2にありますのは先ほど御説明したように、溶接ヒュームに係る作業を行う屋内作業場については、作業環境測定の適用除外とします。経過措置として、令和4年3月31日までの間は溶接ヒューム並びに塩基性酸化マンガン業務に関する作業主任者の選任は1年間猶予するということです。施行期日については、令和3年4月1日を予定しています。
11ページ、省令です。1の(1)については、先ほど御説明しました全体換気装置の設置を義務付けるということです。(2)については、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属溶接等の作業の方法を採用しようとするとき又は当該作業の方法を変更しようとするときは、あらかじめ厚生労働大臣の定めるところによって、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならないということを定めます。
12ページ、(3)です。先ほどの溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加、その他の措置を講ずる。(4)ですが、この措置を講じた後にもう一回空気中の溶接ヒュームの濃度を測定するということです。(5)ですが、こちらは屋内外を問わず、金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときには、有効な呼吸用保護具を使用させる。(6)は、これに加えまして、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において作業を行う場合は、厚生労働大臣の定めるところによって空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、有効な呼吸用保護具を使用させなければならないということを追加的に義務付けるということです。(7)については、呼吸用保護具が適切に装着されていることを厚生労働大臣の定める方法により、1年以内ごとに1回確認する、これを3年間保存するということです。13ページです。(8)、こちらの測定を行ったときの保存ですが、測定の対象となった作業を行わなくなった日から起算して3年を経過する日まで保存する。(9)は、屋内作業場の床などを毎日1回以上清掃するということです。
14ページです。健康診断の関係です。こちらは既に金属アーク溶接等作業を行う場合については、じん肺法に基づくじん肺健診が1年ごとまたは3年ごとに実施されていますが、それに加えて実施するということです。配置換えの際及び6か月ごとに1回、業務歴の調査、作業条件の簡易な調査、溶接ヒュームによるせき等パーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査などを行うということです。(2)については、(1)の健康診断の結果、有所見があった場合については、より詳しい胸部理学的検査、そういったものを行うことを定めるということです。
15ページです。経過措置です。施行期日は、令和3年4月1日を予定していますが、令和4年3月31日までの1年間について、測定などについては猶予するということです。既に行われている作業については、令和4年3月31日までに測定を行っていただくということです。(2)は、測定を1年間猶予するということですので、それに伴う作業環境の換気装置の改善やマスクの選定、それからフィットテストなどについても、1年間猶予するということです。
16ページです。今回の諮問案件ではありませんが、告示の案について御参考までに説明申し上げます。1番ですが、作業環境評価基準の中に管理濃度を定めていますが、こちらがマンガンとして0.05mg/㎥に引き下げること。粒子の径については、レスピラブルということです。2にありますのは、抑制濃度です。こちらについても、管理濃度と同じ値を採用するということです。(3)について、先だって改正しました個人サンプリング法の対象に、今回のマンガン及びその化合物が対象とできるように改正を行うという趣旨です。
最後の17ページですが、適用の期日については令和3年4月1日を予定しています。また本日お示ししていませんが、溶接ヒュームの濃度測定の方法、呼吸用保護具の使用及び呼吸用保護具の適切な装着の詳細な方法については、別途、厚生労働大臣告示で定める予定です。説明は以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただいた内容について、質問等発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○増田委員 資料の2枚目に「有所見者(2.4%)が認められる」という記述がありますが、これは具体的にどのような所見が認められているのでしょうか。がんの方がこのぐらい見付かっているということでしょうか。
 
○安井環境改善室長 こちらについては、報告書の様式が有所見者の人数しか書かない形になっていますので、原票を当たっても、どの項目が有所見であったかというのは分からないので、これ以上を調べようと思うと各事業場に聞くしかありませんので、現時点ではこれ以上の詳しい情報はありません。
 
○増田委員 ありがとうございます。それでは、今後、健康診断の項目を再検討する条件として、「溶接ヒュームに含まれる物質の毒性、発がん性が明らかになった場合」とあるのですが、特殊健康診断の所見内容等々は今後の特殊健康診断の項目の再検討に際して考慮されないということになるのでしょうか。
 
○安井環境改善室長 一般的な統計としては、どの部分が有所見というのは分からないわけですが、今回、厚生労働科学研究費、あるいは労災疾病科学研究費といった研究費の中で、溶接ヒュームについて疫学的な調査を実施するようにしています。また、諸外国の文献も注視しまして、そういった内容を踏まえて有害性について検討を行って必要な健康診断の項目の追加を行う予定です。
 
○増田委員 分かりました。当然、事業者負担で健康診断を実施するわけですので、見直し内容が本当に妥当かどうかということを、既存の検診データも交えて今後の検討に活かしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 そのほかに御質問は。
 
○勝野委員 溶接ヒュームの濃度測定に関してですが、今回、屋内作業について濃度測定を行っていくとなった理由と申しましょうか、屋外作業の場合の濃度測定はしなくてもいいとなった理由等がもしあれば教えていただけたらと思います。
 
○安井環境改善室長 従来から作業環境測定と申しますのは、屋内作業場に限定しています。今回も作業環境測定と、それに基づく管理区分を緩和するという条件として、それを代替する措置として個人サンプリングを行うということですので、継続して作業を行う屋内作業場に限定をしているということです。
 
○勝野委員 現場でこうした溶接を行っている人の話も少し聞いてみたのですが、作業の際にかなり場合によっては煙と言うのでしょうか、発生をするというケースがあるという話でした。風向きによっては、自分のほうに煙が来る。そういうケースもあるということでした。そうしたことを考えると、室内の濃度だけでなくて、労働者にどの程度影響を及ぼすのかという点についても、こういった測定等をしていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○安井環境改善室長 今回、実態調査を行いまして屋内作業場に一応限定させていただきましたが、造船のように限りなく屋外に近いような、ものすごく大きな建屋の場合もありました。その結果、同じ溶接方法を取っていても、結局、建屋の広さや換気の具合などで非常にばらつきが多かったということですので、屋外で実際どれくらいのばく露が発生しているのかということを予測するのは、自然条件から極めて難しいということですので、今回の規制については見送っているということです。ただ、先ほど申し上げましたように、疫学研究などを今後行っていきますので、そういった中で屋外労働者をできるだけ含める形で検討していきたいとは考えています。
 
○勝野委員 是非、今後の検討のサンプリングの中には屋外の場合もできるだけ数を多く含めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 そのほかいかがでしょうか。
 
○最川委員 継続して作業というのは、目安の時間などがあれば教えてください。
 
○安井環境改善室長 目安の時間という概念ではなくて、どちらかというと繰り返してやるかどうかというところです。例えば建設中の建築物の中で、いわゆるスポット的に溶接することがあると思います。これについては、同じ場所で2度と溶接をしないということですので、そういったものについては適用しない。基本的に、同じ場所で溶接を繰り返すかどうかということで考えていただくということです。
 
○最川委員 特定化学物質作業主任者の選任に関してですが、これは屋内の継続してやる作業も対象に含むのか、例えば溶接作業であれば対象になるのか。
 
○安井環境改善室長 こちらについては、金属アーク溶接等作業を行う場合で、屋内外を問わず作業主任者の選任は必要です。ですので、屋外で建設業で作業を行う場合であっても作業主任者の選任は必要です。
 
○最川委員 必要ですか。
 
○安井環境改善室長 はい。
 
○最川委員 そうするとものすごい数になると思いますが、その作業主任者を取る。今回、猶予期間がありますよね。
 
○安井環境改善室長 猶予は1年間です。
 
○最川委員 そこで取り切れるのかどうかというのが、ハーネスのときもそうでしたが、受けたくても受けられない人が結構いて、そういうことが起きないかということが。私も人数は言えませんが、多分、建設業で溶接をやっている方はものすごい人数がいて、その中で作業主任者を全部取らないといけないとなると、受け入れる日数が足りなくならないかということが心配です。
 
○安井環境改善室長 建設業に限らず溶接に従事されている方は、30万人に近いと言われています。そのうちの例えば10人に1人などのオーダーで、作業主任者を取る必要がありますので、こちらについては猶予措置を一応設けています。施行を公布してから約2年間、ほぼ丸2年間ありますので、その間に円滑に取っていただけるように技能講習機関に働き掛けて十分な数の講習をしていただくように要請する予定です。
 
○最川委員 その30万人で10人だとすると3万人ということが、その2年間で3万人というのはちょっと現実的ではないように私は取るのですが。
 
○安井環境改善室長 3万人と申しましても、例えば都道府県で割れば当然それの50分の1などになってきますし、毎月とは言いませんが高い頻度で今も行われていますので、1回の講習で60人ぐらい受講できる講習で、実技などがない講習で、1日の講習ですので、十分な数の講習の開催さえあればできると考えています。
 
○最川委員 1日ではなかった気がしますが。
 
○安井環境改善室長 ちょっとお待ちください。申し訳ありません、12時間ありました。1日では無理でした。2日です、失礼しました、訂正します。
 
○最川委員 そうですよね。ちょっと猶予期間が厳しいのかなと、私は感じています。
 
○安井環境改善室長 御懸念を受け止めまして、円滑に講習が行われるように関係の団体に要請していきたいと思います。
 
○城内分科会長 そのほかに御質問等はありませんか。よろしいでしょうか。それでは「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱等について」は、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。今、御指摘のあった講習会等については手配のほうをよろしくお願いいたします。それでは事務局で答申の手続をお願いいたします。
次に、議題2「高年齢労働者の労働災害防止のためのガイドラインの策定について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○毛利安全課長 安全課長でございます。議題2について資料2を使い説明いたします。これは、昨年の夏から年末にかけまして「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」を5回にわたって開催をいたしまして、1月17日に報告書を公表させていただきました。この中で労使の取組を促進するためのガイドラインを取りまとめることが適当であるとされまして、先日このガイドラインにつきまして取りまとめまして公表させていただいたものです。本日の参考1に全文を掲載しておりますが、本日は時間の関係もございまして、資料2でポイントについて説明させていただきます。
まず、頭書きの所ですが、このガイドラインにおいては、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりなどを推進するために、高年齢労働者を使用する事業者と労働者に取組が求められる事項を具体的に示す、こういうものになっております。ただし、請負の形式による契約により、業務を行う者につきましても、このガイドラインを参考にしていただくことを期待しております。
まず、背景・現状につきましては、労働災害、休業災害に占めます60歳以上の労働者の割合が増加傾向ということです。平成30年は26.1%となっておりますが、10年間で8ポイント伸びているという統計もございます。
2番目です。労働災害の発生率で見ますと、男女ともに若年層に比べて高齢層では高いということで、男性では2.0倍、女性では4.9倍と非常に顕著に災害発生率が増加しているということでございます。こうしたことから、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりが重要ということでございます。
具体的な取組の内容についてでございますが、まず事業者に対しては、高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の実情に応じて、実施可能な労働災害防止対策に積極的に取り組むように努めていただきたい。それから労働者に対しては、事業者の取組に協力し、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むということがポイントでございます。まず事業者に求められる取組ですが、1として安全衛生管理体制、経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定する。それから高年齢労働者の身体機能の低下による労働災害について、リスクアセスメントを実施するということを記載しております。
2番目として、職場環境の改善ですが、これは照度の確保、段差の解消、補助機器の導入といったこと。あるいは勤務形態を工夫したり、ゆとりのある作業スピードにするといった作業管理について記載しております。
3番目として、高年齢労働者の健康や体力の状況の把握ということで、健康診断、体力チェックにより、高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握することを挙げております。
4番目として、その健康、体力の状況に応じて、適合する業務をマッチングして、高年齢労働者にやっていただくということ。それから高年齢労働者を対象に、身体機能の維持向上に取り組むといったようなことも挙げております。
5番目として、安全衛生教育が非常に重要になるわけですが、十分な時間をかけまして、写真や図などの情報を活用して教育を実施する。特に再就職などで経験のない業種、業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練をやっていただくといったようなことを挙げております。
一方、労働者に求められる取組としては、自らの身体機能や健康状況を客観的に把握し、健康や体力の維持管理に努めること。それから日頃から運動を取り入れて、食習慣の改善等により体力の維持、生活習慣の改善に取り組むことを挙げております。これらを推進するために、国・関係団体では支援策を用意しておりますので、そういったものを活用していただきたいといったことを一番下に挙げておりますが、一番目に書いておりますのは、高年齢労働者災害防止対策の取組事例の活用といったもの、事例を収集して、しっかり周知をしていきたいということでございます。
それから2番目、個別事業場に対するコンサルティングの活用と書いてありますが、これは裏面に来年度行う事業として、2点目に書いている内容です。労働災害防止団体の安全管理士等の専門家が、無料で改善のアドバイスを実施するといったようなもの。その際、高齢・障害・求職者支援機構と連携して展開していきたいと考えております。
3番目、エイジフレンドリー補助金です。これも裏面にございますが、60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業の事業者を対象として、必要な経費、100万円を上限として補助率2分の1で取組を促進するといったようなものを考えております。
4点目、社会的評価を高めるための仕組みということで、安全衛生優良企業公表制度ですとか、あんぜんプロジェクトといったようなもので今、取組を進めておりますが、こうした中での事例などを活用していただきたいと考えております。
5番目、職域保健・地域保健との連携、あるいは健康保険の保険者との連携の仕組みの活用といったことを挙げております。以上、ざっと説明させていただきましたが、裏面にございますように、このガイドラインにつきましては、来年度、周知するためのパンフレットを作成し配布をする。あるいは労働局、監督署を通じて周知する。セミナーも開催するといったようなことも考えております。こうした事業を行うことで、この取組を促進していきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○輪島委員 この高年齢労働者の安全と健康確保は非常に大切な課題ではないかと思っております。この背景や現状は、そのとおりだろうと思いますし、求められる取組、特に、事業者に求められる取組をきちんと整理していただいているものと理解をしております。私ども経団連といたしましても、会員企業、団体への周知をしっかりやっていきたいと思いますが、併せて厚生労働省におかれましても、丁寧な周知をしていただきたいと思っています。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。そのほかございませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。次に議題3「伐木作業等の安全対策に関わる改正労働安全衛生規則に基づくガイドラインの改正について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○佐々木建設安全対策室長 建設安全対策室長です。資料3を御覧ください。今回はガイドライン2本を改正したという御報告です。1点目は「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の改正です。本年1月31日に改正しております。1は改正の趣旨です。もともと、このガイドラインは平成27年に策定されたものです。2つ目の丸に書いてありますように、昨年2月に伐木作業の安全に関して労働安全衛生規則の改正を行いましたので、主にそれを踏まえた修正です。
昨年の規則改正について3ページを御覧ください。ここに参考として「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の概要」ということで、昨年2月に改正した内容の概要をお示ししております。この中で、2の主な改正の内容の(2)の②に記載のある、かかり木の処理に関して、この改正の分科会での御審議において、特に元玉切りについて禁止すべきではないかという御意見があり、御議論いただいた結論として、規則では禁止はしないが、ガイドラインを改正する際に、その危険性についてもしっかり示すことで御了解を頂いていたところです。今回、この内容についても、この改正ガイドラインの中に記載いたしました。
1ページに戻り、2の改正の概要です。まず、①が先ほど御説明したとおり、昨年の省令改正を踏まえたところで、具体的には労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させること。もう一点は、伐倒作業のときに伐倒者以外の労働者が入ることの禁止措置。3点目のかかり木処理については、ここに掲げている(ア)~(オ)までの(ア)(イ)については規則の中で昨年禁止としたものですが、それ以外の(ウ)~(オ)、(ウ)の元玉切りについても、かかり木処理の作業を安全に行うものであるとは言い難いことから、実施内容を確実に指導するという内容を盛り込んでおります。こういったところが規則改正に対応した改正です。
それから、②は、伐木等作業における労働作業における労働災害の防止のための作業計画の作成について、今回これは新たにガイドラインに盛り込んだ内容です。③は、より適切な表現に改めるという、文言の修正を一部行っております。④は、かかり木処理のガイドライン、従来、これについては「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」と別立てで2本ガイドラインがありましたが、非常に関連するガイドラインということで、今回、2つを統合して1本化したということです。これが「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の改正の概要です。
2ページです。今回、もう一本ガイドラインの改正を行いました。「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」についても、同じく本年1月31日に発出しております。1の改正の趣旨は、先ほどのガイドラインと同じように、昨年の労働安全衛生規則の改正を踏まえたものが主な趣旨となっております。
2の改正の概要です。①は、改正省令を踏まえた内容です。具体的には車両系木材伐出機械、林業架線作業、簡易林業架線作業については、従来より作業経過を示すことが規則上盛り込まれておりましたが、昨年の改正で「労働災害が発生した場合の応急の措置」及び「傷病者の搬送の方法」が追加されましたので、このガイドラインの中にもそのことを明確化するのが今回の改正です。
②は、このガイドラインでは、従来、通信の手段として無線通信を前提としておりましたが、昨今の携帯電話網の発達により、場所によっては携帯電話を使えるような場所もあり、全てではありませんが、そういった所では携帯電話を通信手段として使ってもいいのではないかということで、今回、それについても付け加えたところです。これらガイドラインについては都道府県労働局を通じた周知を行うとともに、関係省庁、伐木等作業に係る関係団体等に通知し、傘下の関係者等に対する周知をお願いしているところです。また、来年度の委託事業においても、改正労働安全衛生規則あるいは、改正ガイドラインについての研修会を実施する予定としております。これらを通じてガイドラインの周知と定着を図ってまいりたいと考えております。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。中村委員どうぞ。
 
○中村(恭)委員 私から2点ほど意見等を述べたいと思います。まず1つは「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」の改正で、かかり木の処理の作業についてです。先ほども御説明のあったとおり、元玉切りや木の肩かつぎ、そして、かかり木の枝切り等、これらについても安全な作業とは言い難いというところで、少し微妙な言い方になっていると思うのですが、いずれにしても、元玉切り等でいえば、死亡災害も発生している事例ですので、そこは確実に実施しないよう指導の強化を、是非、厚労省としてもよろしくお願いしたいと思います。
もう1つが「緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」の改正ですが、携帯電話・スマートフォンを含む通信も可能であることを明確にし、これが改正されたということで、携帯電話を使えることについては異論はないところですが、先ほども少し御説明のあったとおり、携帯電話ですと山林奥地等に入れば入るほど通じる所が非常に限られてきます。昨今の災害を見ても、携帯電話が通じる所まで移動して、その災害の通報・連絡等を行うというところで、非常にタイムラグが生じています。
そのため、携帯電話が通信可能であることはいいのですが、ただ、その山林のどこが携帯電話で通じるのか、しっかり確認することが非常に大事だと思っておりますので、そういった指導や事業者に対する周知等を今後行っていくことが必要だと思います。その辺についてお考え等ありましたらお聞かせ願います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。
 
○佐々木建設安全対策室長 ただいま、中村委員から御指摘いただきましたのは、重要な点かと思いますので、今後のこのガイドラインの周知・指導に当たり、御指摘を踏まえてしっかり対応していきたいと考えております。
 
○城内分科会長 そのほか、御質問、御発言等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。では、次に議題4「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について」に関して事務局より説明をお願いいたします。
 
○秋山産業保健支援室長補佐 それでは、私より議題4「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について」を御説明いたします。資料4を御覧ください。報告事項として御説明いたします。
2ページは、現行の指針の体系を示しております。通称トータル・ヘルスプロモーション・プラン、略してTHP指針という形で示している指針となります。本指針では、労働安全衛生法第70条の2第1項に基づき、同法第69条第1項の事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるため、当該措置の原則的な実施方法について定めたものです。
具体的には、事業者は健康保持増進計画を策定し、産業医や各指導に関係する運動指導担当者等を養成して推進体制を確立します。そして、産業医による労働者個人への健康測定を実施し、その結果に基づいて各担当者による運動指導等の健康指導を実施する構成となっております。これらの取組を通じて、事業者に労働者の健康保持増進を求めている指針となっております。昭和63年制定から活動を推進してきておりますが、30年以上たった現在でも本指針に基づいた活動を実施している事業場は決して多いとはいえない状況になっております。
3ページです。これらの状況を踏まえ、第13次労働災害防止計画で、本指針の見直しについて、明記されたところです。本年度において、労使代表等の有識者による検討委員会を設置し、改正内容について議論を進めてまいりました。主として3点を見直しの方向性として定めて議論いただいたところです。
1つ目は、高年齢労働者が増加することを踏まえた、若い頃からの健康づくり活動の充実・強化の必要性及びその具体的な取組。2つ目は、第13次労働災害防止計画にも記載されているスポーツ基本計画と連動した事業場における運動実践を通じた労働者の健康保持増進の取組の推進。3つ目は、事業場における健康づくり活動が促進される実施体制、また、外部専門機関や地域保健との連携を踏まえた実施体制づくり。この3点で御議論いただいたところです。
4ページは、改正の概要について記載しております。検討会での議論を踏まえ、改正のポイントを次の3点として挙げております。まず①は、従来の労働者「個人」から「集団」への健康保持増進措置の視点を強化です。現行の指針では健康測定を実施し、生活習慣上の課題を有する労働者を主なターゲットとして各健康指導を実施する視点が強い内容となっております。今回の改正では、昨今の健康保持増進に関する考え方として、幅広い労働者に健康保持が促進されるようにしていくことが中心となっているところがありますので、ここにあるように、直ちに生活習慣上の課題が見当たらない労働者も対象に含み、一定の集団に対して活動を推進できるような「ポピュレーションアプローチ」の視点を強化しております。
②は、事業場の特性等に合った健康保持増進措置への見直しです。現行の健康保持増進措置は、先ほど申し上げたとおり、健康測定を実施し、産業医等による指導票を作成し、個人の状況に応じて各担当者から健康指導を実施する流れで構成されており、非常に定型的な内容を示しております。しかし、事業場がこの内容に取り組むことは、時間や費用の観点から非常にハードルが高いというところで、結果的に浸透していないと考えております。一方で、昨今の健康経営のような形で独自に健康保持増進に取り組む事業場が増えておりますので、今回の改正では、事業場の規模や事業等の特性に応じて、健康保持増進措置の内容を検討し、実施していけるものに見直す形にしております。
③は、健康保持増進措置の内容を規定する指針から、取組方法を規定する指針への見直しを実施するものになります。先ほど御説明したとおり、健康保持増進措置の内容については、事業場の特性に応じて設定できるものに変更する一方で、事業場で健康保持増進対策を推進するに当たって、この指針に基づいて進めていただくところで、PDCAの観点を細かく明記することを実施したところになります。この3点を基本として、指針の改正を進めているところです。改正指針の適用については、令和2年4月1日で進めていく予定です。
5ページから2ページにわたり、指針の主要項目について記載しております。左から現行指針の各項目、現指針の内容、改正案について記載しております。抜粋して御説明いたします。まず現行指針の健康保持増進対策の基本的考え方については、改正案で大きく3つの留意点を加えております。①は先ほど御説明した「ポピュレーションアプローチ」の視点を加えました。②は労働者の積極的な参加を促すための取組として、健康増進無関心層への取組や事業場の風土醸成の大切さを記載しております。③は労働者の高齢化を見据えた取組として、若年期からの運動の習慣化等の大切さを記載したところです。
続いて、健康保持増進計画の現行の3の(1)は、タイトルを「健康保持増進対策の推進に当たっての基本事項」という記載に変更し、PDCAの各段階を細かに記載したところです。健康保持増進措置の内容を柔軟化することになりますので、これらの対策の取組方法を明確にして、当該方法に基づく取組を指針の活動としていただくという記載ぶりに変更しております。
次に、3の(2)の事業場内の推進体制です。推進体制については、これまで現指針で6つの担当者を配置して進めていくものになっていましたが、これらの担当者については、配置を必須としないと明記しております。一方で、現行の事業場でのリソースを活用していただく視点から、産業保健スタッフや人事労務スタッフ等を事業場内の推進スタッフとして活用していただくような記載ぶりに変更しております。また、事業場によっては、その事業場外資源を活用することがあるかと思いますので、その辺も明記したところです。この推進体制の部分については、項目4として「健康保持増進対策の推進に当たって事業場ごとに定める事項」という項目を立て、そちらに記載したところになります。
同様に、事業場外資源については、これまで労働者健康保持増進サービス機関等と記載をしておりましたが、この記載にあるような具体例を示しながら事業場外資源という形を明記して、推進体制と同様に、4の項目に記載したところです。
次のページは、健康保持増進措置の内容についてです。事業場の実態に合わせて実施するものという形に見直し、現指針の健康指導を実施していただいても結構ですし、健康教育や健康相談、若しくは、健康増進に関わる啓発活動のようなところも読み込めるような記載ぶりに変更しております。
また、これまでの指針では健康指導を実施するに当たって、健康測定を実施する形になっておりましたが、これについては、健康診断やそれプラスアルファという形で、必要な項目があればそれに足して、労働者の健康状態を把握していただき、それに基づいて健康指導を実施してくださいという記載ぶりに変更しております。
また、その他では、留意事項として2点加えております。1つは客観的な数値に基づいた活動を推進してくださいというところで、データヘルスやコラボヘルスの活用のようなところを加えております。また、メンタルヘルスケアについては、ここにある労働者の心の健康保持増進のための指針、メンタル指針との関係性について明記したところです。
最後のページは、新たな指針のイメージ図を記載しております。詳細の説明は先ほど御説明した内容と重複いたしますので割愛いたします。参考としてお読みいただけますと幸いです。また、参考資料2として、指針の新旧対照表もお付けしておりますので、こちらも参考としてお読みいただければと存じます。以上で本報告案件の説明を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○漆原委員 御説明ありがとうございます。6ページ目の「その他」の追加事項についての質問です。ここに「データヘルスケアの指針との関係性」という記載もありますが、それと関連して、その上にあるデータヘルス、コラボヘルスについてです。安全衛生分科会ではないですが、例えば特定健診の前の39歳までの方のデータも集めて、それをもとにデータヘルスを行うというような議論も厚労省の別の場で行われていました。現在、厚労省が進めているデータヘルス、コラボヘルスと指針の関係性について、今回の改正では特段記載しなくとも良いということでよろしいでしょうか。それとも、「推進」という所に、両者の関係性が含まれるという理解でいいでしょうか。
 
○秋山産業保健支援室長補佐 今、御質問いただいた点ですが、データヘルスやコラボヘルスの内容を、こと細かにこの指針で記載したというものではございません。一方でデータヘルス、コラボヘルスで特定医療保険者と連携していく事業者に期待されているところがありますので、その点を踏まえて、こういった記載ぶりにさせていただいているという形になります。
 
○城内分科会長 そのほかございませんでしょうか。
 
○山口委員 大分前にTHPというキャッチフレーズがあって、そのTHPのTはトータルのTですよね。トータルにやろうということで、THPということが、非常にキャッチーな使われ方をしていたと思うのですが、今、時代が随分変わって、健康経営とか特定健診とか特定保健指導は健保が中心になってやっているようなプログラム。それから、事業所のほうも、ストレスチェックあり、ちょっと古くなったかもしれないのですが、健康日本21みたいなものもあったりして、いろいろなプログラムがめじろ押しという感じで、乱立とは言いませんが、そういう状況になっている中で、どういう位置付けにしたらいいのかなという辺りを、根本的なところを整理をしていただかないと、これは何か明後日みたいな話なので、もう間に合わないのかもしれないのですが、厚生労働省の中で、健康経営みたいに他省庁の話も含めて、ちょっと整理というか、全体で一番有効なやり方がどうなのかという辺りを、やはり整理が必要なのではないか。企業の側から見るといろいろなものが降ってきて、PDCAって何かどこかで聞いたことがあるなというような話になってしまうと、企業のほうはちょっと面食らうところもあるのではないかなという感じもしますので、その辺も是非お願いしたいと思います。
 
○城内分科会長 事務局から何かありますか。
 
○秋山産業保健支援室長補佐 御指摘の点ですが、検討会の中でも、現行の指針では定型的なものを求めてきましたが、幅広く健康保持増進に関する健康経営などが出てきているというところも踏まえて、できるだけ事業所が取り組んでいるものを読み込めるようにというような形で、見直したものとなっております。御指摘いただいたような他との関係性は、考えながら見直しを進めてきたというところです。
 
○三柴委員 あくまで私見としてということですが、この指針は、今事務局からお答えがあったように、この間、健康を巡る施策を踏まえて、個々の企業、事業者さんが取り組んできた現実を踏まえて、今後どうしていくのかと。政策としてどうしていくのかということの綱領的なもの、特に理念的なものをかなり集約して押さえておられるとは思います。
1点だけ申し上げるとすると、健康というと、やはり安全と質が違う面がありますので、関係団体、関係省庁との正にコラボがより必要になってくる。いろいろなステイクホルダーを巻き込んでいかないと、なかなかうまくいかないというところはありますので、その点は改めて御留意ください。事務局だけではなくて、関係者全てに御留意いただければと思います。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかこれについて御発言等ございますか。どうもありがとうございました。次に、議題5「副業・兼業の場合の健康確保措置について」を事務局から説明をお願いします。
 
○小宅計画課長 資料5により説明させいただきます。3ページを開いていただきますと、127回の分科会において、検討に当たって実態把握も必要であろうということで、このような項目について把握しようとなっておりました。その中の2について、今回おまとめして御報告するものです。今後の検討の素材としての御報告です。5ページ目を開いていただきますと、ヒアリング項目の粗々と、どういった業種についてやったかというのをまとめております。
6ページ、各企業の状況についてです。まず、A社、サービス業ですが、1にありますように、パートタイム労働者はほとんどいないということです。3の③ですが、他社に雇用される形での副業・兼業はこちらではやっていない。④承認制という形だということです。具体的には2ポツ目にありますように、法定外の労働が、本業・副業を含め80時間に収まるようにという観点で承認制になっているということです。⑤⑥にありますように、労働時間の把握については、3か月ごとに自己申告していただくという形になっています。次に7ページ目の4の①ですが、自己申告ということでしたが、その他、副業・兼業先等の事業者間での情報共有は特にないということです。定期健診等については、法定どおりやっているということです。長時間労働者については、兼業・副業を足した時間で考えていく。7の①ですが、社命での兼業・副業があるかということですが、それはある。その場合については、本社と子会社のようですが、システム上一括管理をしているということです。
次にB社、製造業です。こちらもパートタイム労働者はほとんどいないということですが、3の③にありますように、こちらは他社で雇用される形での兼業・副業もある。他社で先に雇用されているという場合は、自社では雇用しないということです。4にありますように、承認制です。3の⑥にありますように、労働時間等について、特段報告は求めていない。9ページ目の4の①ですが、副業・兼業先との情報交換については、特にやっていない。定期健診については年に1回、ストレスチェックは2回ということですので、法定を上回るような取組をしていますが、3ポツ目にあるように、副業・兼業の労働時間は特に考慮はしておりません。③長時間労働者については、80時間超えについては、面接指導をしている。2ポツ目以降で、それに上乗せして、3か月連続で60時間の場合や単月で45時間の場合は、それぞれ上乗せ的にやっています。ただし、自社のみの労働時間に基づいてやっているということです。5の所ですが、自己管理をしっかり行うように指導して、何かあれば相談してくれということは周知しています。副業・兼業しているかにかかわらず、時間外を超えた者については、希望者については面談を行う等々の取組をしています。3ポツ目ですが、時間外労働が長くなっている人については注意喚起を、副業・兼業に限らず行っています。7の①ですが、社命での兼業・副業はありということで、こちらは本部と兼業・副業先で同じパソコンを使っているということで、こちらもシステム的に一括管理できているということです。
C社は金融業で、こちらもパートタイム労働者はほとんどいないということです。3の③ですが、こちらも他社に雇用される形も可能だと。しかし括弧にありますように、自社が先に雇用契約を締結しているということで、B社と同じような感じです。自社に出勤する前と深夜の他社での勤務は禁止しています。a、b、cとありますが、条件を満たすことが必要で、要約すれば、週5日、1日8時間、週40時間の枠内に収まるような働き方をしていただくということだと思います。3の④の所ですと、更新制の許可制になっているということです。11ページの4の①ですが、副業・兼業先との情報交換については特にしていない。定期健診等については、法令上の義務が定められている方を対象に行っています。5の3ポツ目ですが、副業で現時点でのトラブルは発生していないけれども、万が一健康管理等で問題が生じるような長時間の兼業が発生した場合には、許可制ですので、許可を見直すのではないかと考えている。7番目ですが、社命での兼業・副業についてはあるということで、通算した労働時間で面接指導を行っています。
D社、小売業ですが、パートの方が多いということです。3の②ですが、パートの方のみが副業・兼業の対象、正社員は不可。3の③ですが、他社に雇用される副業・兼業も可能、ただし同業は避けてくださいということのようです。④ですが、許可制ということで、半年に1回、基準を満たしているかチェックしている。3の⑥の所ですが、自社と副業先の労働時間を通算して8時間、週40時間となるようにしていただいている。2ポツ目で、条件を満たさないと契約更新をしないということです。農業などの自営業については、通算の対象外。4番目の副業・兼業先との情報交換は特にやっていない。定期健診等については、短期のアルバイトを除いて、全てのパートタイム労働者についてやっているということで、法定より上回っているかと思います。6の所ですが、通算した労働時間の制限に合うように、通算した労働時間を確認して、条件を満たさない場合には契約を締結しないというようなことをしています。7番目ですが、社命での副業はないということです。
E社、情報通信産業ですが、こちらは3の③にありますとおり、A社と同様に他社で雇用される副業・兼業は不可となっております。手続としては許可制を取っています。3の⑤になりますが、健康管理は自ら責任を持つと。⑥ですが、雇用形態での副業は認めていないということですので、副業分の労働時間は把握していないという状況です。2ポツ目で、ただし、副業開始時に上司に報告するということです。3ポツ目ですが、上司のマネジメントの範囲に体調の確認というのがあり、副業の有無にかかわらず、必要があれば状況を把握するというような取組をされています。16ページの4①ですが、副業・兼業先との情報交換等は特にない。健診についてもパートタイムや定年後の再雇用者も含めて、全社員を対象にしています。ただし、副業・兼業の時間は考慮していないということです。7番目の①ですが、社命での副業・兼業はないということです。
以上、5社の取組状況の説明は以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問等発言がある方は挙手をお願いいたします。
 
○漆原委員 1点質問があります。3ページの下の注1の記載もあるように、現在進めている調査については、こういった記載を質問票に明記していると思うのですが、今回のヒアリングに際しても、同様に副業の定義が注1であると伝えた上で、ヒアリング先からの回答を得たのかについて確認させてください。
 
○小沼産業保健支援室長 下の注1、注2と同じようなことにつきましては、事前に御説明をさせていただいた上で、ヒアリングをさせていただいております。
 
○城内分科会長 そのほかございませんでしょうか。
 
○山口委員 質問というか、例えばC社で、3の③のaの所を見ますと、週間所定勤務日数が4日以下のときうんぬんみたいな表現があって、我々が想定している普通の雇用関係と何かちょっとバリエーションがあったりするのかなと感じたのですが、その辺は調べていらっしゃるのですか。
 
○小宅計画課長 事前に内容のバリエーションを考えてお伺いに行ったというよりは、こちらで把握している事業所に行った結果がこうだったという調査の仕方です。
 
○城内分科会長 そのほかございませんか。
 
○輪島委員 5社なので、特徴的に何が言えるというわけでもないと思いますが、率直に言うと、自分の会社が本業で、副業先の会社をどう見ているのか。その中で言えば、やはり現行の法律の枠組みをきちんと意識をしているということと、5社とも同じ回答でしたが、4ポツの他の会社とは情報交換は難しいということは言えるのだろうという感想です。
 
○城内分科会長 そのほか質問等ございませんでしょうか。ありがとうございました。これで全ての議題を終了いたしました。本日も長時間にわたり、熱心に御議論いただきありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。
 
○小宅計画課長 次回については、別途御連絡をさせていただきます。
 
○城内分科会長 協力ありがとうございました。それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表委員は門﨑委員、使用者代表委員は中村(節)委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。