2020年3月16日 第20回厚生労働統計の整備に関する検討会 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和2年3月16日(月)16:00~17:00

場所

厚生労働省専用第22会議室
(中央合同庁舎第5号館18階1806号室)
 

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:座長)

  大久保 一郎
  加藤 久和
 ◎津谷 典子
  樋田 勉
  永井 暁子
  長島 公之
  野口 晴子

構成員以外の関係者

  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  廣松 毅(情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科客員教授)


事務局

  鈴木政策統括官
  武藤参事官(企画調整担当)
  中村世帯統計室長
  瀧原雇用・賃金福祉統計室長
  細井統計企画調整室長
  渡保健統計室長
  井戸本人口動態・保健社会統計室統計情報調整官
  清水賃金福祉統計室長補佐
  新国立社会保障・人口問題研究所企画部長

議題

1 「公的統計の整備に関する基本的な計画」別表の検討状況等について
2 患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置について
3 国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループの検討状況について(報告)
4 国民生活基礎調査 報告書掲載統計表の整理について(報告)
5 その他

議事

 


○武藤参事官(企画調整担当)
 それでは、定刻より少し早いですけれども、ただいまから第20回厚生労働統計の整備に関する検討会を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、昨年7月より政策統括官付参事官に着任しました武藤でございます。
 まず、始めに、本検討会委員に任命後初めて御出席いただきました委員の御紹介をさせていただきます。日本医師会常任理事の長島先生でいらっしゃいます。

○長島委員
 長島でございます。よろしくお願い申し上げます。

○武藤参事官(企画調整担当)
 また、審議に入ります前に、新たに事務局メンバーで変更のあった者について御紹介いたします。政策統括官の鈴木でございます。

○鈴木政策統括官
 どうぞよろしくお願いいたします。

○武藤参事官(企画調整担当)
 政策立案総括審議官の山田ですが、別の公務のため、本日は欠席となっております。また、以下の事務方の紹介は、時間の都合上、省略させていただきます。
 検討会の開催に当たりまして、政策統括官の鈴木より御挨拶を申し上げます。

○鈴木政策統括官
 それでは、皆様、第20回になりますけれども、厚生労働統計の整備に関する検討会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 ちまたでは、世界的に新型コロナがいろいろと取り沙汰されておりまして、いろいろなイベントも自粛といったようにみられておりますけれども、本検討会も委員の先生方の間隔を1メートルを取りまして、傍聴も絞りまして、また、アルコール消毒を用意しておりますので、こういったものを御活用いただきながら開催させていただいております。こういう時期ですけれども、私どもは、厚生労働統計はこういう時期だからこそ、新型コロナのときに何が起こったのかということを正確に把握して、後世に伝えるということが厚生労働統計の役割だと思っております。そういった意味で、いろいろと業務の制約は今あるところですが、統計についてはしっかりと決められたものを決められたように調べていくということを心掛けて、今、業務をやらせていただいております。
 本日、皆様方に御審議いただきたい内容については、公的統計の整備に関する基本計画の検討状況、それから、患者調査、国民生活基礎調査といったいろいろな国民の生活、医療に不可欠な調査について御審議をいただく予定です。是非、忌憚のない御意見をいただけますようお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○武藤参事官(企画調整担当)
 次に、本日の出席状況ですが、阿部委員、大江委員、黒田委員、玄田委員、原委員が御欠席です。また、本日は審議協力として、西郷先生、廣松先生に御出席いただいております。それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、以後の進行については、津谷座長にお願いいたします。

○津谷座長
 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題は議事次第に示されておりますように、1つ目は「「公的統計の整備に関する基本的な計画」別表の検討状況等について」、2つ目は「患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置について」、3つ目、4つ目は報告案件ですが、それぞれ「国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループの検討状況について(報告)」、「国民生活基礎調査報告書掲載統計表の整理について(報告)」、そして、最後に「その他」となっております。まず、議事1「「公的統計の整備に関する基本的な計画」別表の検討状況等について」を事務局から御説明をお願いします。

○細井統計企画調整室長
 統計企画調整室長の細井でございます。よろしくお願いいたします。資料1の「公的統計の整備に関する基本的な計画別表の検討状況等について」を御説明させていただきます。こちらの資料は、平成30年3月6日に閣議決定された第Ⅲ期基本計画の別表のうち、厚生労働省の課題を記載させていただいております。昨年3月に、持ち回り開催をさせていただきました第18回の検討会において、平成30年度の進捗状況を委員の皆様に御確認していただいたところです。
 資料1の表ですが、左から項目、具体的な措置・方策と実施時期までが基本計画別表に記載された事項でして、その右の欄に、令和元年度末時点の進捗状況について記載させていただいております。本日の検討会においては、この進捗状況について御説明をさせていただきまして、総務省への報告を前に委員の皆様から専門的な見地からの御意見、御助言を賜りたいと存じます。
 それでは、具体的な中身の資料の御説明に入らせていただきます。はじめに、毎月勤労統計調査についてです。資料1の1ページ目を御覧ください。毎月勤労統計調査の1つ目の課題については、令和4年(2022年)の1月のローテーション・サンプリングへの全面移行に向けまして、実査機関とも連携の上、移行を進めているところです。また、その間の結果と公表については、入替え方法を変更したことについての説明資料をホームページに掲載をするとともに、継続標本による参考指標も、引き続き公表していくこととしております。
 2つ目の課題については、調査の母集団としての事業所母集団データベースを用い、毎年最新の母集団を用いるようにしておりまして、また、抽出率逆数を用いた復元処理を行っているところです。
 課題の3つ目の労働力調査と毎月勤労統計調査の相違点の整理については、平成30年度に毎月勤労統計調査のウェブサイトにおいて、両調査の調査方法や調査事項の相違点、用語の定義の対応関係を整理し、掲載しました。また、両調査の労働時間の算出方法や比較を行う際の留意点を掲載したところです。
 次に、国民生活基礎調査です。2ページを御覧ください。国民生活基礎調査については、本検討会の下に国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループを設置して、本調査の見直しについて御議論いただいているところです。本ワーキンググループの検討状況については、後ほど議題3において御報告いただくこととなっております。ここではワーキンググループの検討中のものを除く主な取組について御説明をさせていただきます。
 まず、1つ目の課題は、非標本誤差の縮小に向けた取組についてですが、回収率の向上方策として、令和元年調査において回収率の比較的低い地域を中心に郵送回収を導入しました。更に令和2年調査では、全面的に郵送回収の導入を行うことをしております。
 4つ目の課題は推計方法の検討状況や、結果精度等についての情報提供の一層の充実を図るとされた課題についてですが、ワーキンググループの会議資料や議事録のほか、標本設計に関する情報、非標本誤差に関する情報をホームページで公開しております。引き続き情報提供の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、人口動態調査です。3ページを御覧ください。人口動態調査の1つ目の課題は、外国人集計の検討についてです。「外国人が一定規模以上居住する」の基準、秘匿措置の範囲等を検討したところ、市区町村別にすると客体数が少なく、数値が計上されない表が多くなってしまうことから、都道府県別や市別に表章するということとしまして、加えて、各事象の発生件数について市区町村別に表章する見直し案を作成しました。
 ここで資料1の参考1を御覧いただきたいと思います。見直し案については、様々な方面から幅広い意見を聴取するために、厚生労働省ホームページにおいて意見募集を行いました。その資料の3ページ目を御覧いただきたいと思います。2.表章する国籍の見直し案があります。そちらには最近の在留外国人数を踏まえまして、現行の国籍に新たにベトナム、ネパール、インドネシア、インド、ミャンマー、スリランカの6か国を追加する案となっています。意見募集において頂いた意見を踏まえて見直し案に反映し、令和2年中に調査計画を変更することとしております。
 続いて、課題の2つ目は、テキスト形式による調査票情報の提供開始についてです。こちらは資料1の参考2を御覧いただけますでしょうか。紙の調査票で報告された場合はパンチ入力によりテキスト化をしておりまして、平成30年データよりオンライン報告分に合わせ、紙報告分についてもテキスト形式による提供を開始しているところです。
 恐縮でございますが、資料1の3ページ目にお戻りいただけますでしょうか。3つ目の課題はオンライン報告システムの利便性向上及びセキュリティ強化を図るため、オンライン報告システム専用ホームページの構成を見直すなどの取組を実施しました。引き続き、次期システム更改に向け、作成事務の更なる効率化に取り組む予定です。
 次に、賃金構造基本統計調査についてです。4ページを御覧いただきたいと思います。賃金構造基本統計調査の1つ目の課題である、毎月勤労統計調査との比較については、同一事業所の個票を用いた比較の方法について検討しており、また、非回答の事業所に関する対応として、令和2年調査から母集団となる事業所数に対して、有効回答事業所数の割合の逆数を乗じる推計方法に変更することとしております。
 2つ目の課題の匿名データの提供について、統計委員会企画部会において事業所のデータに係る匿名化等については総務省統計研究研修所の支援を受けつつ、統計委員会において一定の結論を得ることとするとされたことに伴いまして、統計委員会における検討に積極的に参画するとともに、引き続き必要な対応を行うこととしております。
 3つ目に示された課題の取組としては、令和元年調査からは一括調査を導入し、電子媒体による報告の試行的な実施を行いました。さらに、令和2年調査からはオンライン調査の導入及び審査業務等の一部民間委託の実施をすることとしております。
 また、従来の事業所票と個人票を統合し、公表時期の早期化に努めるとともに、日本標準職業分類と整合性のある職種区分に変更及び学歴区分の選択肢を細分化するということや、推計方法の変更に伴いまして、過去の調査結果との接続性の観点から平成18年まで遡りまして、新たな推計方法による結果の公表、提供をすることとしております。また、労働者個人に係る調査事項に関し、事業所内の全労働者について回答可能となるように変更するというような以上の取組を実施することとしております。
 最後に社会保障費用統計についてです。5ページ目を御覧ください。社会保障費用統計の1つ目の課題である、EU(ESSPROS)基準に準拠した統計の作成については、EU(ESSPROS)基準コード表の翻訳版の整備や、集計のためのデータベースシステムの構築を行うとともに、集計表様式について有識者の意見を聴取し検討を進め、試行集計に向けて準備を進めております。
 2つ目の課題である、社会保障関係費用に関する調査結果の活用や、単価に基づく推計等の検討については、新たに総務省から「社会保障施策に要する経費に関する調査」の地方単独事業に係るデータの提供を受けまして、平成29年度結果から総務省の当該調査の活用によりまして、公立保育所運営費等の主要な事業については決算値の計上が可能となりました。
 地方単独事業として実施される公営住宅家賃対策補助、災害補助費等については、当該調査において把握されていないため未計上又は決算値ではない地方交付税の単位費用に基づく推計値を使用しておりまして、引き続き検討が必要となっております。事務局からの説明は以上でございます。

○津谷座長
 それでは、ただいまの御説明について、質問も含めて何か御意見がありましたらお願いいたします。御意見、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 続いて、議事2の「患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置について」を、事務局から御説明をお願いします。

○渡保健統計室長
 保健統計室の渡と申します。資料2-1に沿って御説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。「患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置について」という紙です。1番は概要です。患者調査では、再来患者平均診療間隔や、それを用いた総患者数という指標を算出、公表しております。算出方法については、当時の厚生統計協議会第2部会において審議、了承されたものですが、その後の高齢化による慢性疾患の増加等の疾病構造の変化や診療報酬改定、医療技術の向上などによる診療内容の変化に対応したものとなっているかについて検討する必要があります。このためワーキンググループを設置し、見直しについて議論していただくというものです。2番はワーキンググループでの検討内容です。ワーキンググループでは、以下の項目について検討を進める。1つ目のポツが総患者数の算出方法の見直し、次に、見直し後の数値の公表方法、その他、必要な事項としております。3番のスケジュールは、令和3年3月までに検討を行い、検討結果については厚生労働統計の整備に関する検討会に報告するとしております。
 次に、資料2-2を御覧ください。こちらはワーキンググループの設置に係る様式です。まず、1番ですが、構成員については座長に御指名をお願いしたいと思っております。2番のスケジュールについては、先ほどのペーパーと同様のことが書いてあります。御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○津谷座長
 それでは、ただいまの御説明について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○長島委員
 平成5年以降の医療を取り巻く環境の変化ということで言うと、やはり病院完結型の医療から、地域完結型の医療ということで1つの病院で全部診るのではなくて、地域の複数の医療機関で患者を支えることになったので、これが受診行動にどのような影響を与えるのかという検討が必要ですし、それから、今、ICTを活用した地域医療連携ネットワークを使って他の病院で行ったCTやMRI等の画像とか、血液生化学検査などを、例えば他の中小病院とか、診療所で見ることができるということで、そのような検査の重複を減らすことが可能になっていますので、それがどのような影響があるか。あるいは在宅医療が非常に拡大しているということで、これがどのような影響があるかということ。それから、今現在、地域医療構想ということで、地域における医療機関の入院や外来の機能というのを再検討して、場合によっては医療機関の再編、統合あるいはダウンサイジングということが進みつつあるので、こういうまさに大きな変化が起こっている中で、その変化をどのように捉えることが可能かという検討が必要だと思います。
 もう1つは、技術の進歩ということで言うと、オンライン診療等を含む遠隔医療というのが、今、急速に進んでいるということで、これがどのような影響を与えているかということ。最も大きな影響を与えるのが新型コロナウイルス感染症、特にこれが長期化すると、恐らく近年経験したことがないような大きな受診抑制なり、あるいは受診間隔の拡大なり、こういうことが起こると。これは多分、今まで経験したことがないぐらい大規模なものになる可能性があるので、これがどのような影響を与えて、その後どのような変化をするのか。こういう点をしっかり捉えられるような統計というのを取っていただくように、そのところをワーキンググループでしっかり検討していただければと希望します。以上です。

○津谷座長 
 御意見ありがとうございました。貴重な御示唆であると思います。このワーキンググループはこれから発足するものですので、ただいま頂いた御意見と御示唆も含めて、それを今後の検討に活かしていっていただきたいと思います。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。大変重要な御指摘を頂いたかと思います。
 先ほどの御説明にもありましたが、頂いた御意見については、当然のことながら今後の検討に反映させていただくということで、患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループの設置自体は了承とさせていただいてよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○津谷座長
 ありがとうございます。また、先ほどの御説明にありましたように、ワーキンググループの構成員と主査については、参考資料2にありますように、本検討会開催要綱に基づきまして、座長である私が指名させていただくことになっておりますので、構成員については大久保委員、樋田委員のお二人の本検討会の構成員のほか、自治医科大学の小池先生、そして、あいち健康の森健康科学総合センターの津下先生を指名させていただきたいと思います。そして、主査については大久保委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは続いて、議事(3)「国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループの検討状況について(報告)」に移りたいと思います。ワーキンググループの主査をお務めいただいております加藤委員より、ワーキンググループの検討状況について御報告をお願いいたします。

○加藤委員
 それでは、国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループの検討状況について、私から御報告させていただきます。資料3を御覧いただければと思います。
 1ページ目、ワーキンググループにおける検討事項及びスケジュールです。検討事項ですが、国民生活基礎調査については一昨年の2019年調査計画に係る統計委員会の答申の中で、非標本誤差の縮小等に向けた更なる取組の推進が検討課題とされております。この検討課題を踏まえ、(1)に記載のとおりワーキンググループにおける検討事項が2つあります。1点目は、オンライン調査の導入に向けた検討となります。オンライン調査の導入とともに調査系統、調査時期や5種類ある調査票の再編など、調査計画全体の見直しを含め検討を行うこととしております。2点目は、結果精度の向上に向けた推計方法の見直しの検討となります。世帯属性ごとのきめ細かな層別の拡大乗数の設定などの検討を行うこととしております。
 2番目のスケジュールですが、(2)に記載のとおり、全体のスケジュールとしては、2020年度末までに結論を得ることを目標に検討を進め、今年度については6月に第1回ワーキンググループ、12月に第2回ワーキンググループを開催したところであり、本日、この後、第3回ワーキンググループを開催いたします。
 次ページを御覧いただければと思います。オンライン調査の導入に向けた検討です。現在の国民生活基礎調査は、6月調査については保健所経由で世帯票、健康票、介護票。7月調査については福祉事務所経由で所得票、貯蓄票を実施しております。現行の調査方法は、やや複雑な仕組みとなっていることもあり、まずはオンライン調査の導入に当たって、現行の調査方法を維持したままオンライン化を図るべきか、それとも、5種類ある調査票を再編したり、調査時期や系統を一元化した上でオンライン化を図るべきか、その方向性を整理する必要があるのではないかという点について第1回ワーキンググループで議論を行ったところですが、引き続き本日のワーキンググループで議論する予定であります。
 次ページを御覧いただければと思います。結果精度の向上に向けた推計方法の見直しの検討です。現行の推計方法は、例えば大規模調査の世帯票の場合、左下のイメージの図にありますように、都道府県・指定都市別にそれぞれ1つの拡大乗数を作成し、この拡大乗数を各保有データにウエイトとして付与し、各推計値を算出しております。
 推計方法の見直しに当たりましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計を利用し、3ページの右下にありますイメージのような、都道府県・指定都市別に世帯構造と世帯主年齢階級別の層別の拡大乗数を作成し、この拡大乗数を各個票データにウエイトとして付与し、各推計値を算出する方法について検討しているところです。第2回ワーキンググループでは、過去2か年分のデータを用いて、この新たな推計方法による試算結果について議論を行ったところですが、幾つか課題もあることから、引き続き本日のワーキンググループで議論する予定です。以上が私からの報告となります。ありがとうございました。

○津谷座長
 加藤主査、御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告について、御質問はありますでしょうか。

○長島委員
 2ページ目の、要するに現行のもの、Aの維持するのと、抜本的に見直しというところで、これは、恐らくどちらに重きを持つかということで、それぞれメリット、デメリットがあるので非常に難しいと思いますが、オンライン化のタイミングである程度変えておかないと、1回それに合わせてオンラインのシステムを作ってしまって、その後でもう一回変えるというのは、かなり大きなことになってしまって、恐らく二度手間になるという心配がかなりあるのですが、その辺りはどのような検討になっていますでしょうか。

○加藤委員
 実はそれについて、現在、議論している最中でして、今、その点についても検討しておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。

○長島委員
 はい。継続性は統計で極めて重要かと思いますけれども、5年先、10年先のことも考えて、是非、よろしくお願い申し上げます。

○加藤委員
 ありがとうございます。

○津谷座長
 御示唆をありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。この後、第3回のワーキンググループが開かれますので、ただいま頂いた御意見についても反映できるようにしていただけると思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは続いて、議事(4)の「国民生活基礎調査 報告書掲載統計表の整理について(報告)」を、事務局より御説明をお願いします。

○中村世帯統計室長
 世帯統計室の中村です、よろしくお願いします。資料4を御覧ください。国民生活基礎調査の報告書の掲載表の整理についてですが、1の整理の方向としましては、職員の業務軽減及び経費節減といった観点から、報告書の掲載表については縮減の方向で考えています。なお書きにありますように、実際に報告書に残す統計表については、政府統計の総合窓口のアクセス件数でありますとか、担当への照会件数及び、実際に毎年概況に載せております統計表、こういったよく使われるものを考慮しまして、残すこととしております。
 2番の実施時期につきましては、平成30年調査分から実施ということで、平成30年分は昨年暮れに刊行しています。※にありますように、集計した結果表につきましては、従来から全てe-Statに掲載しております。したがいまして、報告書自体の掲載は削減されますが、e-Statへの掲載自体は何ら変わるものではありません。
 3番目、報告書の構成のイメージなのですが、簡易調査年につきましては、これまで1分冊だったわけですが、おおむね3分の1程度に縮小することになっています。次の大規模年につきましては、これまで4分冊で行っておりましたが、これを1分冊に集約して主なものを載せると、こういった方向で検討しています。説明は以上です。

○津谷座長
 ありがとうございました。これは統計表自体の数が減るわけではなく、要は紙媒体で出す報告書に掲載する統計表の数を限るということです。今までと同じ情報がe-Statにデジタル化されて、全てアップされるということであるかと思います。それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
 では、最後に議事(5)として「その他」となっておりますが、事務局から何かありますでしょうか。

○武藤参事官(企画調整担当)
 それでは、ここで2月10日(月)に開催しました第1回厚生労働省統計改革検討会でも報告させていただきました、厚生労働省統計改革ビジョン2019の進捗状況について説明させていただきます。資料としては参考資料になりますが、まずは参考資料1-2をお開きください。こちらの資料ですが、昨年の10月8日付けで厚生労働省統計改革ビジョン2019工程表というタイトルになっている資料です。統計改革の全体的な工程の流れを書いたものが1ページ目にありまして、まずその流れを確認させていただきたいと思います。下のほうに表があります。
 統計改革ビジョンの策定のために設置した有識者懇談会がありまして、そこで取りまとめをいただいた提言が8月20日にあり、それを踏まえてビジョンを策定しました。ビジョンが右にありますように、8月27日付けということになっています。そのビジョンを踏まえて工程表ですが、この工程表におきましては、具体的な統計改革の項目の実施スケジュールの案などを定めているという状況でして、昨年の10月8日に公表させていただいています。
 その後ですが、今年に入りまして2月10日に、先ほどお話ししました第1回統計改革検討会を開催したところでして、この表にもありますように、工程表の進捗状況のフォローアップなどを頂いたという状況です。
 個々の統計改革項目が次の1ページ目以降になります。まず1番が統計業務改善のその1ということで、ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施というタイトルが付いている資料です。この項目につきまして、主な取組内容としては1つ目の○にもありますように、統計の企画から公表、データの保管までの一連のプロセスを可視化した、標準的なガイドラインを作成するということを柱としています。下にスケジュール表がありまして、2019年度、今年度は何をやっているかという所からまず見ていきますと、表の左上ですが、基幹統計、一般統計、業務統計に係るデータの保管状況や、公表ルール等の実態把握をまず行うということですとか、あるいはそれによって課題等を整理するということがあります。
 さらにはその下、BPMNの試行的実施と書いてあります。BPMNというのは注の下に※がありますが、一言で言うと統計業務プロセスの可視化を目的として、標準的な業務フローを作成するという行為でして、これらのことを行っているということ。
 あるいは、その右下にありますが、コンプライアンスチェックに向けたルール等の検討・作成です。コンプライアンスチェックというのは、統計調査員の方の業務の履行状況を、国が直接確認するという取組です。これらのルール等の作成のために検討を行っているところですが、これらを反映して来年度には標準的なガイドラインを作成していきたいと考えています。まずは標準的なガイドラインを作成した後に、個別の統計のマニュアルを作成していきたいと考えておりまして、その後ガイドライン等に基づく業務の実行を行っていきたいと考えています。さらに、この項目でいきますと一番下にありますように、第三者が誤り等を報告するための相談窓口などを設置して、迅速に対応していきたいと考えている状況です。
 続きまして、2ページ目が「情報システムの適正化」となっている部分です。この部分につきましては、毎勤統計で用いられているCOBOLなどをはじめとして、レガシー化したシステムからの脱却を図ることが課題になっているという状況です。これも(2)のスケジュールの所を御覧いただきますと、今年度についてはまず基幹統計、一般統計、業務統計に係る集計システム等の実態把握を行い、さらにはその下のブラックボックス化したシステムの洗い出しなどを行って、課題の整理をしているところです。
 それで来年度、2020年度以降の取組ということですが、②に毎勤統計のシステム、COBOLシステムの話が書かれていて、優先して移行方針を決定し、速やかにシステム改修を実施していきたいというところですが、毎勤統計のシステムを改修していくにしましても、全体的なシステムと整合性を取っていく必要がありますので、システム共通の課題、つまり今後の移行方針を検討・確定した上で、順次、優先順位を付けながらシステムの見直しを実施していく必要があるという状況です。
 ということで、来年度のシステム共通の所に書かれておりますように、今後の統計処理システム等に係る調査研究を実施し、言語、システムの共通化などを考えていく。あるいは、今後の移行方針を確定した上で、毎勤統計については移行方針を早めに決めながら、順次、個々のシステムについて反映していくという対応をとっていきたいと考えています。
 続きまして3ページが、組織改革・研修の拡充等についてです。これも(2)のスケジュールの所を御覧いただきますと、2本柱になっておりまして、まず上のほうが組織改革・体制整備関係の話です。今年度行ったことを振り返ってみますと、昨年10月に民間から来ていただいた企画官を配置したり、昨年の7月から統計分析審査官が配置されているという状況です。
 また、その下の令和2年度の組織定員要求や予算要求などを行い、あるいは職員配置の見直しを行ったということでして、来年度以降もこれに継続して、所要の対応をしていきたいと考えているところです。
 また、後段のほうの人材育成・研修の充実関係につきましては、人材育成の基本方針という研修の体系を定めた方針がありますが、これを再整理しまして、来年度以降の新体系による計画的な研修を実施していきたいということです。さらには来年度にも所要の見直しを行いまして、再来年度以降の計画的な研修実施に努めてまいりたいと考えているところです。
 4番目がデータの利活用・一元的な保存の推進についてということです。ここはデータの利活用、外部の方にデータを使っていただくことによりまして、統計データの質の向上につなげていきたいということを目的として取り組んでいる項目ですが、具体的には調査票情報の二次利用ですとか、行政記録情報の利用促進に関する広報の充実を行うということで、まずはこれまでの取組を充実させていきたいというのが1本目の柱です。
 あと、新たな取組として、スケジュール表の下にも書かれておりますが、データ利活用検討会の関係のことがあります。これは来年度に有識者委員から成るデータ利活用検討会を設置・開催いたしまして、具体的な利活用促進策の検討ですとか、あるいは利活用促進策の決定をして、その後の一層の活用促進につなげていきたいと考えている項目です。
 5番目が項目として最後になりますが、EBPMの実践を通じた、統計の利活用の促進があります。下のスケジュール表に、これも2つ項目がありますが、上のEBPM実践関係と書いてある所が、従来からの取組を拡充していくという部分でして、つまり今年度で見ましても、EBPMの実践については各局1施策ずつ選んでやっているところですが、来年度以降については、その対象事業の拡大を図っていきたいということを考えております。これに当たりまして、外部有識者によりEBPMの実施状況の検証等をして頂いた上で、それを反映しながら、その翌年度のEBPMに適した施策の更なる対象拡大、政策立案への反映を行っていきたいと考えているところです。
 あと、下に省内若手・中堅プロジェクトチーム関係という項目があり、これは新たな取組で考えていることですが、昨年に既に設置しましたけれど、省内若手・中堅のプロジェクトチームを設置しまして、来年度以降、本格的に取り組んで、分析力を上げていきたいと考えているところです。
以上が参考資料1-2でして、次は参考資料1-3が、統計ビジョンの進捗状況についてとなっている資料ですが、こちらが今年の2月10日に第1回の厚生労働省統計改革検討会で報告しました、工程表の進捗状況についての資料です。内容的には先ほどの工程表に基づいて行っております、さらに具体的な作業や業務を報告した際の資料でして、個々の項目は時間の関係もありますので、後ほど御確認いただければと存じます。2月10日の検討会自体では、この資料の報告の後、検討会の先生方から貴重な御意見等を頂いたところですので、今後に活かしていきたいと考えているところです。私からの説明は以上です。

○津谷座長
 参事官、ありがとうございました。ただいまの御報告について、御質問、御意見はありませんか。

○長島委員
 個票データの有効活用ということなのですが、ある程度、統計学的に処理したものでも、あるいはそれ単独では個人が特定できないような情報でも、今はほかに様々なデータがあるので、それと組み合わせることで、かなり個人の特定が可能になるということが指摘されているところですが、その辺りに対する配慮というのはどうなっていますか。

○武藤参事官(企画調整担当)
 個票データを組み合わせる取組については、例えばNDBとKDBのデータをどうやって組み合わせていくかといった議論が進んでいると思いますが、統計調査におきましても、どういうことができるかというのは大変重要な課題になってきますので、そこについてはこれから検討していくということです。
 ただ、統計調査の場合は、抽出している統計みたいなものですと、抽出している統計同士を組み合わせるというのはなかなか技術的にも難しくなってまいりますので、その辺の状況についても、有識者の先生から御意見を頂きながら、今後検討していきたいと考えています。

○長島委員
 十分な配慮をよろしくお願い申し上げます。

○津谷座長
 個票データの匿名化をどこまで行うのかということについては、政府の統計委員会でこれについて審議する部会が設置されたぐらいの、大変重要なトピックであると思います。ただ、事業所を別にしまして、個人のデータのリンクというのはほぼ不可能に近いということもあります。ですので、これも当然のことながら最大限注意して丁寧にやっていただく必要があります。もし匿名化が破られてしまいますと、調査の存続自体にも関わってまいりますので、その点は特に慎重にお願いしたいと思います。
 その他、御意見、御質問はありませんか。よろしいでしょうか、ありがとうございます。それでは、本日予定しておりました議題は以上となります。全体を通して、もし御質問、御意見などがありましたらお願いします。

○西郷早稲田大学政治経済学術院教授
 直接議題に関係なかったかもしれないので、質問するのを控えていたのですが、資料1の所で毎月勤労統計に関して、ローテーション・サンプリングが全面的に移行される過程にあるというお話がありました。今、その最中にあるわけですが、それに加えて調査のサンプルサイズが、確か昨年の6月から元に戻された。東京都の部分の話をしているのですが、確か元に戻されて、今、毎月勤労統計は実査の部分で非常に負荷が大きくなっているというのが、私の印象なのです。
 質問したいのは、そういう負荷が非常に大きくなって、特に東京都に関しては何千というオーダーで、多分、調査対象が増えているはずなので、そういう中にあって回収率などがきちんと維持できているのかどうかということについて、確認をしたいのですが、確か5月と6月に元の設計に戻されたので、5月と6月に関しては統計委員会に資料が出てきて、そのときの回答率はほとんど差がなかったのです。私はむしろ非常にびっくりして、これは回答していただく方も、実査をする方も、非常に大きな努力をなさって、そういう回収率を維持したと理解しているのですが、ただ、それがかなり無理をして達成された数字なのか、その後、ずっとそれが維持されているのかどうかということは、私が拝見できる資料で確認できていなかったので、もし何か実査のレベルで、今どういう状態にあるのかということについて、現場の方の感触だけでもいいので伺っておきたいのですが。

○瀧原雇用・賃金福祉統計室長
 毎月勤労統計調査を担当しております統計管理官の瀧原です。今、西郷先生からお話がありました、東京都は6月から全数調査に戻したという件ですが、ここの部分につきましては、5月まで抽出でやっていた分については、引き続き東京都が同じように調査をする。一方で6月から全数とするために、追加した分については、厚生労働省において直轄でやるというやり方をしておりまして、具体的には私の所の雇用・賃金福祉統計室で直接事業所に調査票を送り、あるいは中身についての確認作業も行うということでやっております。我々としては直接やるということもありますので、これの回収率が、端的に言いますと東京都が今までやってきたものと同じレベル以上になるように、室の体制を整えてやった結果、現時点においては東京都で従来どおりやってきている部分の回収率と、私の室でやっている回収率は、ほぼ同じか、うちの室のほうがやや高めに出るという状況になっております。それで結果的に全体として遜色のない回収率を維持しているという状況が、6月以降、現在も続いております。
 そういう意味では、負荷という意味ではうちの室の限られた人員の中でやっているので、負荷がないとは言えませんが、ただ、できるだけ効率的にやるということで、組織の体制を組んでやっておりますので、引き続き今の状況を維持していくという形で、進めていきたいと考えております。

○津谷座長
 御説明、ありがとうございました。西郷先生、よろしいでしょうか。

○西郷早稲田大学政治経済学術院教授
 はい、ありがとうございます。

○津谷座長
 そのほか、御質問、御意見はありませんか。

○廣松情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科・客員教授
 国民生活基礎調査の調査方法に関して、今、オンライン調査も含めて検討していただいているということですが、昔から言われていることの繰り返しになりますが、いわゆるクラスターサンプリングのあり方についても、ご検討いただければと思います。先ほどの調査系統と同じで、サンプリング方法をすぐに変えるわけにはいかないことかもしれませんが、検討に当たって、是非そういう問題が昔から指摘されていたということを、どこか頭の片隅に置いておいていただければと思います。希望です。

○津谷座長
 ありがとうございます。これは廣松先生がおっしゃったように、長い間、現れては消え、また現れてという対応が非常に難しい課題です。まず、調査コストの問題があり、またたとえ十分な予算が付いても実施は難しいといえます。例えば、現行のクラスターサンプルではなく、層化多段確率サンプルなどの無作為抽出サンプルがとれれば、もちろん統計的には望ましいわけですが、それには多大なコストがかかります。また、もし予算が取れても、今度はその実施を担当する、つまり実査をする調査員のマンパワーの確保がどうなるのかといったような問題点が、今まで指摘されております。いずれにしても、これらの課題を、これからも忘れないようにという廣松先生からの御指摘であったと思います。ありがとうございます。
 その他、御意見、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議題はこれで全て終了となります。事務局へお返ししたいと思います。

○武藤参事官(企画調整担当)
 皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございました。これをもちまして第20回厚生労働統計の整備に関する検討会を閉会させていただきます。
 また、この後第3回国民生活基礎調査の改善に関するワーキンググループを、17時より本会議室で開催いたしますので、ワーキンググループ構成員の皆様におかれましては、17時までに再度、本会議室に御参集いただきますよう、お願いいたします。
 なお、少し時間もありますが、ワーキンググループに向けた事務局の準備がありますので、そのまま会議室に残られる場合も、壁際に椅子を用意してありますので、一度移動いただきますようお願い申し上げます。

○津谷座長
 活発で有用な御議論ありがとうございました。
 

                                          (了)

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)