2020年2月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年2月26日(水)16:00~
 

場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room B(4階)

出席者

出席委員(15名)五十音順

欠席委員(6名)

(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者
 

  •  樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員)
  •  鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻となりましたので、そろそろ開始させていただければと思います。それでは、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、川上委員、田島委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。大曲委員につきましては、これからいらっしゃるのではないかと思います。本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち、15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。
 続きまして、事務局に人事異動がございましたので御報告させていただきます。医薬品医療機器総合機構で1月1日付けで再生医療製品等審査部長に着任いたしました本田でございます。
○再生医療製品等審査部長 どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」と規定しております。今回全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には開催の都度書面の提出を頂いており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日の部会開催に際しましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、先生方の御協力をお願い申し上げていたところでございます。今般の会合では、マスク等を着用されたまま御発言いただいて差し支えございませんので、最大限の御注意を頂きますようお願いいたします。また、私ども事務局のほうも、御説明させていただく際にはマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、そちらにつきましても何とぞ御了承いただければと思います。併せて、部会参加者の人数を制限するために、出席者の途中入退室があることも御了承いただければと思います。
 それでは清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 皆さん、こんにちは。それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をお願いします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上には議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料19をあらかじめお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組といたしまして、本日の医薬品部会では、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。このほか資料20、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を机上に配布し、またタブレット内には資料21として、各審議品目に係る専門協議の専門委員リストを、資料22として「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。また、当日配布資料といたしまして、資料4の参考資料をタブレット内の「当日配布」フォルダに格納しております。なお、タブレットの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日の審議事項に係る競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料22の1ページを御覧ください。「オニバイド点滴静注43mg」ですが、本品目は「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「ベレキシブル錠80mg」ですが、本品目は「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「エンハーツ点滴静注用100mg」ですが、本品目は「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目として選定しております。
 4ページの「ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL」ですが、本品目は「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目としております。
 5ページの「テプミトコ錠250mg」ですが、本品目は「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目に選定しております。
 6ページの「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」ですが、本品目は「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は「なし」としております。
 7ページの「ボンベンディ静注用1300」ですが、本品目は「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目としております。
 8ページの「レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム」ですが、本品目は記載のとおり「多剤耐性菌による各種感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目として選定しております。
 続いて9ページの「リツキシマブ(遺伝子組換え)」、1つ目のほうですが、本品目は「全身性強皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目としております。
 10ページの「リツキシマブ(遺伝子組換え)」の2つ目のほうですが、こちらは「難治性の尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、記載の品目を競合品目として選定しております。
 11ページの「アレムツズマブ(遺伝子組換え)」ですが、本品目は「同種造血幹細胞移植の前治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は「なし」としております。
 最後に12ページの「オラパリブ」ですが、本品目は「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における維持療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は「なし」としております。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況につきまして、御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1、オニバイドについては退室委員なし、議決には参加しない委員は南委員となっております。続いて議題2、ベレキシブルは退室委員が南委員、議決には参加しない委員が亀田委員となっております。議題3、エンハーツは退室委員が南委員、議決には参加しない委員が亀田委員、清田委員、中野委員、濱委員となっております。議題4、ステボロニンにつきましては退室委員はなし、議決には参加しない委員は南委員となっております。議題5、テプミトコは退室委員なし、議決には参加しない委員が亀田委員、濱委員、南委員となっております。議題6、デュピクセントは退室委員はなし、議決には参加しない委員が亀田委員、清田委員、島田委員、中野委員、南委員となっております。議題7、ボンベンディは退室委員なし、議決には参加しない委員が南委員。続いて議題8、レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウムは退室委員はなし、議決には参加しない委員が亀田委員、南委員です。次に議題9、リツキシマブ(遺伝子組換え)の1つ目の全身性強皮症のほうは退室委員はなし、議決には参加しない委員は清田委員、長島委員、南委員です。議題10、リツキシマブ(遺伝子組換え)の天疱瘡のほうは退室委員、議決には参加しない委員ともにいらっしゃいません。議題11、アレムツズマブ(遺伝子組換え)は退室委員はなし、議決には参加しない委員が亀田委員、清田委員、島田委員、中野委員、南委員です。さらに議題12、オラパリブが退室委員はなし、議決には参加しない委員が亀田委員となっております。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。本日は審議事項12議題、報告事項6議題、その他事項1議題です。
 それでは審議事項の議題に移ります。審議事項1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品オニバイド点滴静注43mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際には資料1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本剤の有効成分であるイリノテカン塩酸塩水和物、以下イリノテカンと略しますが、イリノテカンはI型トポイソメラーゼを阻害することにより、細胞増殖抑制作用を示すと考えられています。本剤はイリノテカンの血中滞留性を改善すること等を目的として、リポソーム中にイリノテカンを封入した製剤です。今般、本剤はゲムシタビンによる治療後に増悪した転移性膵癌を効能・効果として承認申請されました。令和元年10月時点において、本剤は膵癌に係る効能・効果にて、9の国又は地域で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にありますとおり6名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。他の品目も含め審査報告書のページ番号は、青字で記載している数字を使用いたします。それでは、審査報告書の27ページを御覧ください。今般の承認申請では主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるNAPOLI-1試験が提出されました。有効性については、この27ページの表21及び図3を御覧ください。ゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した遠隔転移を有する膵癌患者を対象としたNAPOLI-1試験において主要評価項目とされた全生存期間について、フルオロウラシルとホリナートとの併用投与群に対する本剤、フルオロウラシル及びホリナートとの併用投与群の優越性が示されたこと等から、本剤を含む3剤併用投与の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については審査報告書32ページ、7.R.3を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として骨髄抑制、重度の下痢、感染症、肝機能障害、infusion reaction、血栓塞栓症、腸閉塞、腸炎、消化管出血、播種性血管内凝固、間質性肺疾患、急性腎障害、心筋梗塞、狭心症及び心室性期外収縮が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構はがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は新剤形医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、あるいは御意見を頂きたいと思います。いかがでしょう。
○浦野委員 1つ伺いたいのですけれども、青の31ページにある図5のKaplan-Meierですが、これは「副次評価項目の1つとされていて」というところは書いてあって、一応理由も書いてあるのですが、余りにほかのものと違う結果になっていて、確かに例数は少数ですが、薬の効果が逆転しているのではないかということだと思うのですが、これで本当にいいのでしょうか。実際にこれは大丈夫だと判断したところをもう一回教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書31ページに記載しておりますように、申請者は患者背景因子の差異等が影響したと考える旨を説明しています。機構としましては、申請者の説明について一定の理解は可能であるものの、考察には限界があり、表23及び図5のような結果が得られた原因について、明確に結論付けることは困難であると考えています。しかしながら、主要評価項目とされたPFS、副次評価項目とされた奏効率等の成績も考慮した上で、日本人患者においても本剤の有効性は期待できると判断しました。
○浦野委員 これは今までの承認されていたものというのも、こういったことというのは往々にしてあったのでしょうか。私は余り過去を知らないのですけれども、似たような事例があるかどうかというのをお教えください。
○医薬品医療機器総合機構 近年、海外III相試験を利用した開発というのは少なくなってきたのですけれども、まだドラッグラグがあった頃では、海外III相試験プラス国内のII相試験という開発で承認申請されているものがありました。当時は、国内のII相試験は探索的な試験の位置付けになりますので、結果的には今回のように、明確な有効性を知らせる結果を得られていないというものはありました。しかしながら、基本的には第III相試験の成績に基づいて有効性について評価することが適切だと考えており、また、副次評価項目等も踏まえると、今回の成績で機構としては日本人においても有効性は期待できると判断しております。
○浦野委員 ちょっと申し訳ないのですが、逆にこれは悪くなっているようにしか見えないのですけれども。有効性がないのであればまだ分かるのですが、こういう例も今まではあったのですか。
○医薬品医療機器総合機構 見た目では、確かにKaplan-Meierの曲線が下に行っていますので、そのように見えますが、一方で、国内のII相試験はバイチャンスで起こるものが探索的な試験になりますので、副次評価項目の成績も踏まえると、日本人でも外国人と同様に有効性が期待できると判断してよいと考えております。過去もこういった探索的な試験の成績では同様の判断をしております。
○浦野委員 はい、了解しました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
○南委員 今の点は、後治療の影響もやはり考えたほうがいいと思います。キードラッグの1つのゲムシタビンが、本剤投与群で25%しか後治療で使われていなくて、対照群では6割近い方に使われているということも、恐らく影響しているのではないかなと思われます。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○登美委員 今回、リポソーム製剤にされたということなのですが、リポソーム製剤と既承認の普通のものと比べるということはされていないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。膵癌患者を対象として、本剤と既承認のイリノテカン製剤とを直接比較する臨床試験は実施されていません。現時点では、他の癌腫において、探索的に両剤を比較検討する海外臨床試験が実施されていますが、両剤の有効性及び安全性を結論付けられる試験成績は得られていません。
○登美委員 では、その血中滞留性の改善が、何かしら有効性を増しているとか、今はそのような議論はされてないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床薬理試験において、本剤は既承認のイリノテカン製剤と比較して血漿中に長期間滞留する傾向は認められているものの、血中滞留性の改善と有効性との関連について説明可能な臨床試験成績は得られていません。
○登美委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかにどうぞ。
○菊池委員 今も似たようなことをお聞きしたかったのですが、リポソームの代謝とかで悪影響があるとか、抗がん剤としての作用が増すと思うのですが、そうではなくて、これ自体の何か、これは新規薬剤というわけでもないわけですか。リポソームはほかの薬剤にも使っていますけれども、この薬自体に使っているリポソームのことについての記載は、「ほとんどリポソーム化している」としか書いていませんが、その純度とかはどうなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 リポソームとしましては、本剤特有の構成となっておりますが、臨床試験において得られた結果から、特段、安全性上の問題等は認められておらず、当該リポソームを臨床使用することは許容可能と判断しました。
○長島委員 今回は膵癌が対象になっていますが、今後の方向性として、ほかの種類のがんにも効果が追加されていくような見込みがあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。現在、海外において、小細胞肺癌患者を対象とした第III相試験が実施されているなど、他にも複数の癌腫で開発が行われています。
○清田部会長 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。南委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして議題2に移ります。南委員には利益相反に関する申出に基づきまして、議題2と3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。
(南委員 退室)
○清田部会長 議題2につきまして、機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ベレキシブル錠80mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には、資料2のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本剤の有効成分であるチラブルチニブ塩酸塩は、ブルトン型チロシンキナーゼ、以下BTKと略しますが、BTKに対する阻害作用を有する低分子化合物であり、B細胞受容体の下流シグナル伝達分子であるBTKと結合することにより、B細胞性腫瘍の増殖等を抑制すると考えられています。今般、本剤は、再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和元年8月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和元年11月時点において本剤が承認されている国又は地域はありません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にございますとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第I/II相試験である02試験が提出されました。有効性については審査報告書35ページの表25を御覧ください。再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫患者を対象とした02試験において、主要評価項目とされた奏効率について、本剤480mg空腹時投与群における奏効率は、事前に設定された閾値を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書37ページの本文上から17行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として骨髄抑制、感染症、間質性肺疾患、皮膚障害、出血、肝機能障害及び過敏症が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 本ベレキシブル錠につきましては、退席されております南委員からコメントを頂戴いたしておりますので、御紹介させていただきます。「この薬物は作用機序から考えて日和見感染症が懸念されます。実際に治験でもその危険性を指摘し、脳外科医と血液内科医、あるいは腫瘍内科医の密接な連携の下、使用するよう意見しておりましたが、ニューモシスチス肺炎での死亡例が出ている状況です。本邦の脳外科医の中でも、腫瘍を多数診療している施設で治験しても死亡例が出ている状況であり、本薬が市販され広く使用されるようになった場合の安全管理体制を十分確保する必要があると考えます。患者さんを診断する脳外科医と血液内科医、あるいは腫瘍内科医との十分な連携が取れていることを確認した上で使用する体制を取るよう働き掛けていただきたいと思います。」との御意見です。
○清田部会長 それでは、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどの南委員からのコメントに対しまして機構から回答させていただきます。脳外科医と腫瘍内科医又は血液内科医との連携に関してコメントを頂きましたので、その点に関しましては企業に対して適切な対応を行うように指導させていただきたいと考えております。
○清田部会長 それでは改めて、御意見、御質問を頂ければと思います。いかがでしょう。
○長島委員 添付文書の10ページの相互作用の所で、本剤は主にCYP3A4により代謝されるということで、その下の併用注意の所で阻害剤が書いてありますけれども、これは注意ぐらいで良くて、それを中止するとか、そこまでの必要性はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回は併用注意とさせていただいているところです。強い、又は中程度のCYP3A阻害剤との併用に関して、本剤の曝露は1.5倍程度の上昇でありまして、それほど高い曝露量になっているわけではありませんので、臨床症状・措置方法の記載内容を遵守いただければ、特に中断する必要はないと考えております。
○長島委員 はい、分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問ありますでしょうか。
○濱委員 服用方法の所で、この薬剤は空腹時服用になっていまして、食事の影響があるということを臨床試験で示しているのですが、その中で対象になる食事の内容が標準食という言葉を使っているのですが、具体的にどのような食事なのかの記載を見付けることができませんでした。今までは高脂肪食であるとか低脂肪食ということで、それなりの内容が分かったので服薬指導もできたのですが、ここで言う標準食というものがどういうものであるのか、もし分かったらば御指示いただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の24ページから25ページにかけまして、食事の影響試験の成績を記載しております。25ページの1行目に用法・用量を記載しており、標準食につきましては総カロリー700kcal以下のうち脂質20%以下という設定のもとで実施されております。
○濱委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことになります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは続きまして、議題3に移ります。議題3につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、「医薬品エンハーツ点滴静注用100mg」の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際には資料3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)は、ヒト上皮増殖因子受容体2型(以下、「HER2」と略します)、HER2に対するIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体と、トポイソメラーゼI阻害作用を有するカンプトテシン誘導体をリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体です。本剤は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するHER2に結合し、細胞内に取り込まれた後にリンカーが加水分解され、遊離したカンプトテシン誘導体がDNA傷害作用及びアポトーシス誘導作用を示すことなどにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は「トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)による治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、医薬品の条件付き早期承認制度の適用とされており、令和元年11月の当部会において報告させていただいております。令和2年1月時点において、本剤はHER2陽性の乳癌に係る効能・効果にて米国のみで承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にありますとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第II相試験であるU201試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書45ページの表31及び表32を御覧ください。本試験では、申請用量である5.4mg/kg群に割り付けられた患者からなるEA集団と、EA集団のうち少なくとも1回は本剤が投与され、中央判定により標的病変が特定された患者からなるRE集団の2つの解析対照集団に基づき有効性を評価することとされ、それぞれの結果が表31と表32になります。
 トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者を対象としたU201試験において、主要評価項目とされたRECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率は、EA集団で60.6%、RE集団で64.1%でした。高い薬物抗体比を有するなどの薬剤設計上の工夫がなされた本剤の投与によって、当該成績が得られたことなどを考慮しますと、トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書48ページ、7.R.3の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として間質性肺疾患、骨髄抑制、infusion reaction、肝機能障害及び心臓障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師により観察や管理等の適切な対応がなされ、かつ、間質性肺疾患等の重篤な有害事象に対する厳重な注意と、管理・対応によって安全管理がなされるのであれば忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御意見、御質問がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
○亀田委員 1つ伺わせていただきますが、これはリンカーで2つの薬剤がつながっているということで、我々がイメージするときに、それぞれの薬剤単独の安全性と、それから、もし、これが併用禁忌でなければ、それぞれを別々の薬剤として併用した場合の安全性と、そして新規の薬剤ということで、4つが頭の中でイメージできると薬剤の有用性というのが非常にクリアに分かるのですが、そういった意味でこういった副作用が少なくなっているとか、逆にこういった副作用の懸念が新たに現われているとか、そういった比較としてはどうなりますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤は先ほど御説明しましたとおり、抗体部分はHER2抗体となりまして、既存の薬剤で言うと、トラスツズマブとほぼ同様の構造になっております。トラスツズマブについては本剤と同じ3次治療を対象とした比較可能な試験成績がないため、審査報告書では言及いたしませんでした。
 また、薬物部分はカンプトテシン誘導体で、こちらはイリノテカン様のものですが、本剤と同様の投与対象における安全性情報について申請者からは説明されておりません。今回の薬剤設計上の工夫について、イリノテカンを単体で投与すると血中濃度が上がりますが、本剤は抗体と薬物をリンカーでつないで、腫瘍細胞に運ばれた後にそこで切れるような設計をしているため、イリノテカン等を単体で投与した場合に比べて全身性の有害事象が抑えられるのではないかと申請者は説明しております。しかし、この点を裏付けるデータはございません。
○亀田委員 骨髄抑制とかは減るということが予測されるわけですけれども、ただ、EGFレセプターに対する抗体とリンクすることによって、例えば肺に対する障害が、むしろ上がるリスクというのがどうかということが一番の懸念点なのですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。抗体と薬物を複合体にすることによって、それまでに出てこなかったような臓器での有害事象が出ているかについては、今回ILDが特に問題となっております。既存のHER2抗体に比べるとILDの発現率が高い状況にありますので、可能性の1つとしてはあるのかと思いますが、その原因の特定というところまでには至っておりません。
○亀田委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんでしょうか。
○菊池委員 この初回は90分と言っていて、2回目以降は30分でいいとなっていますが、その根拠はどこにあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。U201試験でも同様の規定が設けられておりました。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は30分まで短縮できるとして今回の安全性成績が得られておりますので、設定根拠は試験のとおりとなります。
○菊池委員 モノクローナル抗体なので、そちらの部分で2回目以降によりひどくなる場合もある可能性もあると思いますが、そこは大丈夫なのかなと。抗体とその阻害するようなものの合わさったものですから、2回で大丈夫なのかという、設定上そういうものだったということだと思いますけれども、それで大丈夫だったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 試験でも後期に、遅発的に出るような有害事象は特段認められておりません。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、濱委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様の扱いでございます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、別室でお待ちの南委員をお呼びいただきたいと思います。
(南委員 入室)
○清田部会長 それでは、議題4に移りたいと思います。機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mLの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際には資料4のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 BNCTと呼ばれるホウ素中性子捕捉療法は、体外より中性子線を照射することで腫瘍細胞に取り込まれたボロファランから発生するアルファ線及びリチウム原子核による殺細胞効果を期待する治療法です。フェニルアラニン誘導体である本剤は、4-ボロノ-L-フェニルアラニンに含まれるホウ素中の10Bの存在比を高めた薬剤になります。
 今般、本剤は「切除不能な局所再発頭頸部癌及び切除不能な進行頭頸部癌(非扁平上皮癌)」を効能・効果として承認申請されました。また、本剤を用いたBNCTに使用される中性子照射装置及び医療プログラムについても製造販売承認申請されており、2月19日の医療機器体外診断薬部会において審議されております。なお、本剤は先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、令和2年1月時点において、本剤が承認されている国、又地域はありません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にありますとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第II相試験である002試験が提出されました。有効性については審査報告書24ページの表16を御覧ください。
 化学放射線療法又は放射線療法後の切除不能な局所再発の頭頸部扁平上皮癌患者及び切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部非扁平上皮癌患者を対象とした002試験において、主要評価項目とされたRECIST ver1.1に基づく独立中央判定委員会判定による奏効率は71.4%でした。当該成績に加えて切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌患者における局所病変は、嚥下障害、栄養障害、気道狭窄、誤嚥、瘻孔形成等、患者の生活の質を著しく低下させる病態を引き起こす可能性があり、当該病変に対する局所制御は一定の臨床的意義があると考えることなどを考慮すると、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書26ページの7.R.3を御覧ください。本剤を用いたBNCT時に特に注意を有する有害事象として、嚥下障害、脳膿瘍、皮膚障害、尿中結晶、白内障又は頸動脈出血が挙げられます。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験をもつ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、本品目について川崎委員より事前に御質問・指摘を3点いただいておりますので、機構より回答させていただきます。1点目は、「有効性に係るボロファラン(10B)の純度を確認するICP-MSのデータが添付されていないように思います」という御指摘でした。
 こちらについては、CTD2.3、57ページを御覧ください。ボロファラン(10B)20%と、ボロファラン(11B)80%を含む標準物質を用いて真度を確認した結果、ボロファラン(10B)は19.827%、ボロファラン(11B)は80.173%との結果が得られており、ボロファラン(10B)とボロファラン(11B)が混在した状態でも真度が高く評価可能であることが分かっておりますので、データの添付までは不要と判断しました。
 2点目については、「保存中に同位体比率が変わることはないのかもしれませんが、安定性試験でボロファラン(10B)濃縮度試験をしなかったのはなぜですか」という御質問でした。
 こちらについては、ボロファラン(10B)は放射性をもたないボロファラン(11B)の同位体であり、放射性崩壊によってほかの核種に変化しない安定同位体であることから、品質専門委員の御意見も踏まえ、安定性試験で経時的な変化を確認することは不要と判断しました。
 3点目については、「出発物質で10Bの純度を管理しないのですか。最終製品のみで管理すると逸脱頻度が高まりませんか」という御質問でした。
 こちらについては、CTD2.3、23ページを御覧ください。出発物質に関しては、ボロファラン(10B)の純度に相当する濃縮度を管理する予定です。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 まず、川崎先生、大丈夫ですか。
○川崎委員 御回答ありがとうございました。質問を変えたいと思いますが、この製剤の重要なところは、10Bが含まれていることだと思いますが、これを確認する試験がないと思いまして、そのような質問をしたのですが、直接的に質問しますと、確認試験で10Bを含む化合物であることを確認する試験を入れなくてもよかったのでしょうか。例えば質量分析などを設定すれば確認できたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○川崎委員 では、調べていただいている間に、先ほどICP-MSのデータのことに関して分析法バリデーションが出されているので大丈夫という御回答だったのですが、これは定量試験になると思いますので、定量範囲ですとか、定量下限のようなものを示す必要があると思いますが、そのようなデータは出されておりませんが、適切であるという御判断でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ただいま御質問を頂いた定量範囲については、今回はボロファラン(10B)とボロファラン(11B)の比を管理する試験と考えておりますので、真度の結果等も踏まえて問題ないと考えております。
○川崎委員 真度と定量範囲は別と思いますし、1対99の比率を直線性のある範囲で確認できることを検証する必要はあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 確認した上で、御回答させていただければと思います。
○清田部会長 では、精査をして、後日、お答えいただくということでよろしいですか。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。
○南委員 教えていただきたいのですが、今回、審査対象となった国内第II相試験は、放射線治療後の患者さんと局所進行でありながら放射線治療がされていない患者さんも対象とされていたわけですが、放射線治療をせずにこの治療をやる妥当性と、放射線よる前治療の有無により、有効性、安全性に差があったかどうかについていかがでしょうか。実際、放射線治療をやらずに、この治療に入った患者さんがどのくらいいたのですか。相当大きな照射範囲になるので、放射線治療ができないという判断をした症例に関して、もし、この治療ができるのであれば、それはそれで患者さんにとってメリットになると思いますが、放射線治療ができるのに、やらずにこれに入ってきたとなると、データの解釈は慎重であるべきかなと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回提出された試験の対象は、基本的には放射線治療ができる方は放射線治療を行った後に入ることになっていますので。
○南委員 前治療に放射線が入っていない患者さんはいなかった。全例放射線既治療例という解釈でいいですか。
○医薬品医療機器総合機構 扁平上皮癌患者に関しては、化学放射線療法又は放射線療法が必ず前治療歴として入っております。非扁平上皮癌患者に関しては、放射線治療の前治療歴に関しては、組み入れの際に必須としない試験の設定になっております。
○南委員 非扁平上皮癌も入っていたということなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりです。
○南委員 有効性はどうだったのですか。同じように扱ってしまって大丈夫でしょうか。それと、いろいろ動脈の破裂とか、脳膿瘍とか、重篤な合併症が起きているようなのですが、これは前治療の放射線の影響があるのか、あるいはこの治療単独でも起きるものなのか、どのように考察しているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。組織型別の有効性の結果については、審査報告書26ページの表17を御覧ください。組織型別の結果を記載させていただいておりまして、非扁平上皮癌患者における奏効率は69.2%であり、組織型によらず、本剤を用いたBNCTの有効性は期待できると判断しております。
○南委員 毒性に関して前治療の放射線の影響はどうなのか、頸動脈の破裂は効きすぎて破裂したのか、現在そこに腫瘍がないのに動脈から破裂してきたのかとか、脳膿瘍もそこにがんが浸潤していて効いたためにそこに感染を起こしたのか、がんとは離れた場所に脳膿瘍を起こしたのかということは臨床的には重要な点だと思います。その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。臨床試験において脳膿瘍が認められた患者の臨床経過表を確認したところ、頭頸部癌が頭蓋底に近接した部位にありました。中性子照射を行って腫瘍が壊死することによって感染を起こしてしまい、その感染が頭蓋内に波及したことで脳膿瘍を発症した症例になります。
○南委員 頸動脈の破裂も同じような病態ですか。
○医薬品医療機器総合機構 頸動脈破裂に関しては、頸動脈を全周性に取り囲んだ腫瘍に対して中性子照射を行ったことによって頸動脈出血を起こす可能性があると考えております。
○南委員 であれば、有効性の裏返しということなので、そこら辺は注意することによって回避できると思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありますでしょうか。
○浦野委員 これ、基本的に、もともと自然同位体である20%の10Bのものを使っていたものを、ほぼ100%近く、99%ぐらいの10Bにしたということだと思うのですが、そうすると、普通に考えると5分の1量で済むというデータが出てくるのかなと思ったのですが、動物試験とかでそういったことはやられているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今、先生がおっしゃったような検討はされておりません。
○浦野委員 していないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 されておりません。
○浦野委員 実際の今やられているボロノ-フェニルアラニンでの臨床でやられていると思いますが、その投与量というものと、今回の10Bを100%近くエンリッチしたものというものの投与量というのは同じくらいでやっているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 正確に数値を記憶しているわけではありませんけれども、臨床で使用する量に相当する投与量が検討できるような設定で非臨床試験は行われています。
○浦野委員 今回の患者さんに使われた、最終的に500ミリでしたか、それくらいまで入れる量というのは、臨床成績ではよくあるのですけれども、たくさんボロノ-フェニルアラニンを使ったBNCTというのは患者さんでやられているので、その量に比べると何がメリットなのか分からなかったのですが、10Bの濃度が高いということが多分唯一のメリットかなとは思いますけれども。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。そういった意味でいくと、10Bの純度を高めたことのメリットについて、実際に臨床開発の過程で純度を変えた検討というのは行われていないので、メリットに関する情報というのは得られていない状況です。少なくとも臨床試験での検討としては、今回純度を高めたものでの成績で評価しているような状況になります。
○浦野委員 何だかちょっと勘違いしているのですが、では、普通の天然同位体比のものというのはまだ承認されているわけではないのですね。10Bのものが初めてということ。
○医薬品医療機器総合機構 そのような理解になります。
○浦野委員 分かりました。あと、先ほど幾つか説明のところで10Bの安定のところで、11Bが何か放射性っぽいみたいな発言をしていたのですが、それは全くの間違いなので、11Bだって完全な安定同位体ですから、それが1対4で存在するというだけなので、実際の有効としては上げているということで説明されたほうがいいかと思います。
 あと、本日の資料の所でしたか、当日配布の所に資料4の参考資料というのがあるのですが、これは今ここで議論すべきことなのですか。
○事務局 事務局でございます。こちらは本剤と一緒に使用するBNCTの機器の添付文書案となっておりまして、既に2月19日の機器部会において御審議いただいているのですけれども、参考として利用していただくために格納しているものです。御質問がありましたら、回答させていただくこともできるかと思います。
○浦野委員 回答というか、単位が間違っている、書き方が間違っているので。
○事務局 承知いたしました。
○浦野委員 中性子束の単位というのはcm-・sec-とか、この辺をきちんと書かないとまずいかなと思います。そのあたりを指摘します。以上です。
○事務局 御指摘いただきまして、ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。
○菊池委員 今の機械というか、これは住友重機何々の機械でなければ駄目だという、限定商品になってしまうわけですよね。ほかの所の中性子の照射装置がある所で全くできないわけで、この機械自体はまだ世の中に出ていないわけですね、今の2月19日どうこうということだと。この装置を造るまでにもものすごいお金が掛かりますということ。
 あとは、全然話が違うのですが、200mg/kgで2時間入れて、50kgの人にこれをどれだけ使うか計算しました。私、計算が間違っているのかもしれませんが、すごく使いますよね、これは。だから先ほどの先生がおっしゃったとおりに、純度が高ければいいのですが、それでもものすごい数を使いませんか、これは。ですので、心不全のことを少し書かれていますけれども、素人的に言っても、結構心負荷が掛かるのではないかと思ったので、そこはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。1点目の機器に関しては、別途審査が行われていまして、少なくとも現時点では、審査されているものは今、同時期に承認されるものになりますので、この時点では住友重機械工業の機器に限定する形になります。今後、新たにそういう機器が開発されてきた場合には、我々のほうでそちらも審査した上で使用できるようになるのかなと思います。
 2点目の用量と製剤との関連ですが、実際に企業から受けている説明としては、作れる最大の用量の製剤がこの規格でしか作れないということで今回の申請の製剤になっていまして、今後改良等、新たな改善等ができる可能性はあるのかもしれませんが、現状ではこのバッグしか作れないということで今回承認申請されています。
○菊池委員 これは何バッグ使うか計算しましたか。50kgの人に200mg/kgで使って、それで900だったら。
○医薬品医療機器総合機構 60kgのときに、3バッグ弱を使用することになります。申請者からは、これ以上の量の製剤が作れないため、このような量になっていると聞いております。
○菊池委員 その先にも1時間でその半分の量がいきますよね、だから、そこそこいきますよねということで、心不全のこととかはいいのですか。書いてありますが、もっと上のほうに書かなくていいのかなと思ったのですが。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。安全性に関しては臨床試験の中でも確認されていて、極めて症例数は限られていますけれども一定の情報は得られていますので、少なくとも、現時点で得られている状況で承認して差し支えないというのが我々の判断になります。
 添付文書の記載場所に関しては、我々としては、十分検討した上でこの位置で妥当ではないかと考えていますが、再度、本日の御指摘を踏まえまして、企業と相談・検討はさせていただきたいと思います。ただ、結果的にはこの位置での記載になるかもしれませんが、資材等も使いながら適切に医療現場のほうには情報提供させていただきたいと思います。
○浦野委員 短く1つだけですが、今の機械の所というのは、先駆け制度はちゃんと私は理解していないのですけれども、とにかくこの機械と、この用量のボロファランだったらこのようなことができますということで、まずは早く通すということを優先していると考えてよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 早く通すというか、この組合せの場合には有効性及び安全性の一定の成績が得られていますので、承認して差し支えないというのが機構の判断になります。
○浦野委員 先ほどの中性子束密度を見ると10というのは結構高いので、あれを簡単な装置で出すのは結構大変で、実際には原子炉だったり、そういったものでないとちょっと厳しいぐらいだと思います。だから、それが出せるというのが住友重機の所で、ほかは中性子線源では多分この条件は出せないと思うのです。まず、これと同じぐらいのスペックがあるものが出てきたらどんどん使いましょうというぐらいで、先にまずはこれを通すということの理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そのように理解していただいてよいかと思います。
○浦野委員 分かりました。
○菊池委員 余計なことですが、2.5の所にいろいろ書いてあって、京大とか、何かそこら辺の4つぐらいしか大学の施設がなくて、そこだけしかできないのだったら、本当に大変ですし、この機械を入れるとなっても、すごく大変ではないかと思って、それでちょっと、多分、マニアックに浦野委員は聞いているのだと思います。
○清田部会長 出尽くしましたか。よろしいでしょうか。そうしましたら、最初の川崎先生のコメントに対する精査に関しては、後日、直接御検討いただきまして。
○医薬品医療機器総合機構 川崎先生に御連絡させていただきます。
○清田部会長 それはよしという解釈をさせていただきまして、それ以外の件について議決に入りたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、南委員におかれましては利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。条件付きのようなのですが、ちょっと宿題もありますけれども、承認を可としまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題5に移りたいと思います。議題5について機構より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品テプミトコ錠250mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明します。タブレットを御覧になる際には、資料5のフォルダを開き審査報告書のファイルをお開きください。本剤の有効成分であるテポチニブ塩酸塩水和物は間葉上皮転換因子、以下、METと略しますが、METのチロシンキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物であり、METのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のりン酸化を阻害することにより、MET遺伝子のエクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺癌に対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、令和元年10月の当部会における審議を経て希少疾病用医薬品に指定されております。また、本剤は、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、令和2年1月時点において本剤が承認されている国又は地域はありません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第II相試験であるVISION試験が提出されました。有効性については審査報告書38ページの表22を御覧ください。MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象としたVISION試験のコホートAにおいて、主要評価項目とされた中央判定によるRECIST ver.1.1に基づく奏効率は、当該変異が血液検体を用いた検査で確認された患者であるLBx集団で45.5%、腫瘍組織を用いた検査で確認された患者であるTBx集団で43.3%、いずれか又は両方の検査で確認された患者であるLBx/TBx集団で42.4%でした。当該成績に加えて、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異ががんのドライバーであること等を考慮すると、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については審査報告書41ページ、7.R.3を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、間質性肺疾患、低アルブミン血症を含む体液貯留、肝機能障害、腎機能障害及びQT/QTc間隔延長が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、MET遺伝子エクソン14スキッピング陽性の切除不能な進行再発の非小細胞肺癌を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、この件について御質問、御意見ありますでしょうか。
○長島委員 添付文書の11/21ページの上の所に、コンパニオン診断システムとして商品名、製品名が出ておりますが、これは要は、効能・効果に関する注意の所に書いてある当該遺伝子変異が確認できる、承認された対外診断薬等であればいいということで、これでなければいけないことはないし、今後、これに該当するものが出てくればそれでもいいはずですよね。ここの書き場所として、国際共同第II相試験の注にこれが入っていると、まず場所として非常に不自然であるのと分かりにくい。それから、先ほど言ったように、これに限定する理由はないし、今後増えることもあるということで、これはここに書くのではなくて、資材のほうに情報提供として書くのが適切で、効能・効果に関する注意の所にきちんと承認されたものを使えと書いてあるので、それのほうが分かりやすいのではないかと思いますが、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。我々としても、認識としてはそれほど大きくずれていないのかと思っています。基本的には、関連注意の所で承認した診断薬を使っていただきたいという注意喚起だけさせていただく。ただ一方で、臨床試験でどの診断薬が使われたかという情報提供もすべきだと考えていまして、そういう意味で臨床成績のほうで書いております。その他の承認されているコンパニオン診断薬等については、資材等も使いながら医療現場に情報提供したいと思っております。
○長島委員 臨床試験で、このコンパニオン診断システムそのものが使われたのですか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、そのものではないのですが、臨床試験で使われたものと同等のものが。
○長島委員 そのものが使われていないのだから、ここに書くのは不適切ではないかと思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 実際に臨床試験で使われているものについては承認申請されないものもありますので、医療現場に情報提供するものとしては、臨床試験で使われたものと同等のものがどの診断薬かということの意味で、添付文書の中で少なくとも臨床試験で使われたものと同等のものということで情報提供しているつもりです。
○長島委員 これは先ほど言ったように、そのものではないので余り意味がないのではないかというのと、資材のほうできちんとこのようなものだということで提供したほうが適切で、添付文書の中に書くのは適切ではないのではないかと思うので、そこは御検討をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。これまでコンパニオン診断薬を伴った上で承認された医薬品については、臨床試験成績の項でこういった書き方をしているところもあって今回も記載したのですが、情報提供の在り方については今後も検討したいと思います。
○清田部会長 今の長島先生の御意見は、注1を全部削除したほうがいいのではないかという御意見なのです。削除はできないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 少なくとも、今までの我々の添付文書の作りとして臨床成績の項にこのような情報を記載することにしていますので、この場での回答は難しいので、情報提供の仕方については引き続き検討させていただきたいと思います。
○清田部会長 そのような感じでよろしいですか。削除したほうがいいのではないかというのが御意見ですよね。
○長島委員 はい。要するに、それそのものを使ったならばそうなのですが、違うものなので、ここに書く意味があるのかということです。
○審査第五部長 先生、御指摘ありがとうございます。先生が一番最初に御指摘されたみたいな形で、コンパニオン診断薬と医薬品がセットになっていて、同等の性能があればほかのを、診断薬も使えるのに、こういうところで情報提供が細かくされるのはいかがかというのは多分根本的な御質問の提起かと思っております。ただ、まだ今制度的にはやはりコンパニオン診断薬というのがありまして、検査薬にどの医薬品に使うのかという用途まで書かれていて、一応そこはセットのような形になっております。我々の医薬品の添付文書も、この医薬品を使うに当たってのコンパニオン診断がどれに当たるのかというものも具体的にお伝えしておいたほうがいいのではないかということで、ある意味、全く意味がないわけではありません。
○長島委員 ただ、場所として不適切ではないかと。
○審査第五部長 そうですね、場所としてはどういう所があるのか、あるいは資材だけでいいのかどうかというのもあるので、それについては検討させていただきたいとは思っております。
○清田部会長 確認させていただきたいのです。コンパニオン診断薬のこの商品以外の同等なのもあるよ、という表現にはならないのですか。今、お答えになったように。
○医薬品医療機器総合機構 少なくとも現時点ではこの診断薬しかありませんので。
○清田部会長 しかないのですね、では、しかないようなのです。
○長島委員 とすると、別のが出てきたら、そこもここの中にいちいち追加していくことになりますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そういったことも含めて検討すること。
○長島委員 それは余りよくないから、すっきりさせたほうがいいのではないですかということです。
○医薬品医療機器総合機構 引き続き検討させていただきます。
○清田部会長 ほかによろしいですか。どうぞ。
○菊池委員 私もよくコンパニオンキットのことを質問しますが、同じことで、やはり添付文書ですから、どこにどう書くのだということをしっかり決めてもらって、そこの中での判断を決めていただかないと困るところだと思います。審査報告書の中にもArcher METコンパニオンときちんと書かれているので、これでやったのでこれしかないのだと。多くの遺伝子変異検査が一発でできるのがどんどんできてくるはずなので、せめて注1にするのでしたら「等の」とか何か書いておけば許されるのではないかとちょっとだけ思います。そうなると、結局、このようなことをどこに書くのかを統一的にしていただいたほうがいいと思います。
○清田部会長 分かりますよね。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 はい、理解しております。引き続き検討させていただきます。
○清田部会長 どうぞ。
○南委員 今の議論の継続になるのですが、一般的な話になりますが、やはり今はゲノム医療でパネル検査が行われていて、その結果をコンパニオン診断として使えるような状況にしていただきたいと思います。この部会の範疇を超えることは十分分かってはいるのですが、是非、統一を取っていただきたい。そうでないと、現場が非常に混乱して無駄なリソースを使ってしまうことになります。是非、今後、開発段階から利用できるパネル検査を組み込んで、それが使えるような状況を作るように働きかけていただきたい。製薬企業はそうしますと言いながら一向に実現していません。規制当局もそうあるべきだと言いながらその動きが見えてこない。やはり国としてもう少し考えていただければというお願いです。
 それから質問があるのです。このような希少フラクションに対する臨床開発は、腫瘍縮小効果を指標とした第II相試験の結果で承認せざるを得ないというのは理解できるのですが、やはり腫瘍縮小効果がデュラブルかどうか、つまり長期間持続したかどうか、奏功期間のデータも絶対必要だと思うのです。奏功が確かに半分弱に見られているということは、かなりの症例で腫瘍縮小が見られていると想像できるのですが、一方で、増大している症例も2割弱ぐらいある中で、これをこのまま承認するかどうかというのは、やはり腫瘍縮小効果が長期間持続したかどうかがポイントになるかと思うのです。その情報はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。
○南委員 それからもう一点、ILDがやはり気になるのです。日本人では分子標的薬などのILDの頻度が高いと言われていて、症例数は少ないのですが、17例で1例見られていて、計算するとやはり5%を超えてくるのです。たった1例ですが、人種差を現段階でどう考えているのか、安全対策は何か特別に取る必要があるかという点についてはどうでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 ご質問ありがとうございます。審査報告書の44ページの表26に記載しておりますように、重篤又は死亡に至ったILDを発現した日本人患者が1例認められており、当該患者の詳細等について確認しておりますが、現時点では日本人特有の懸念は認められないと考えております。しかしながら、臨床試験におけるILDの発現状況を考慮し、添付文書では、警告欄等でILDについて注意喚起をする予定です。
○南委員 やはり全体の頻度より日本人のほうが数値的には高くなっていますから、いろいろ社会問題になった背景を考えると慎重に対応すべきかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 あと御質問いただいた奏効期間に関してですが、我々もその点は重要だと思っていまして、今、最新の結果ですと12.4か月という結果になっています。
○南委員 分かりました。それだけあれば結構長いとは思います。できればやはりこのような資料の中に、waterfall plotとかSwimmers plotなどを入れていただけると、分かりやすいので、よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書のまとめ方については検討させていただきたいと思います。
○清田部会長 では、そろそろ議決に入ってよろしいですか。どうぞ。
○登美委員 すみません、少しだけ。添付文書の薬物動態の所で、例えば、16.7.2の(2)で、AUCが1%増加したという書き方は余りスマートではないような気がするのです。これは、例えば比が1.01であったと書くのとは違い、1%増加したと書くと何か増加したという印象を与えるような気がするのですが。
○登美委員 他も10%、20%といろいろあるのですが、1%が一番目立ったので1%を言うのですが、その1%を増加という表現で表わすのが適切かどうかという。 
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘いただいた点を踏まえて、記載については再度検討させていただきます。
○登美委員 ベレキシブルなどでも、同じように数%の差を変化として書いているような例があったので、全般的に、例えば比が0.17であったとかと言われると比較的スムーズに受け取れるのですが、御検討いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 検討させていただきます。ご指摘ありがとうございました。
○南委員 今の点、要するに相互作用の点で、増加とかの定義は何かあるのですか。そういう定義があればそれに基づいた書き方をすればいいと思うのです。私は数字を出していただければ、後は臨床サイドでその数字を見て判断できるかとは思いますが、確かに慣れていない人にとってみると、1%増えたというところだけ残ってしまうかもしれませんが、記載については私はこれでもいいのかと思います。通常は読めば分かるような気はするのですが、ほかに適切な表現があればもちろん書いてもらっていいと思います。
○清田部会長 では、いよいよ議決に入ってよろしいですか。ありがとうございます。それでは議決に入らせていただきます。亀田委員、濱委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題6に移ります。議題6について機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品デュピクセント皮下注300mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明します。タブレットの資料6のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本剤の有効成分である「デュピルマブ(遺伝子組換え)」は、IL-4受容体及びIL-13受容体を構成するIL-4受容体αサブユニットに対するモノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎及び気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)の効能・効果で承認されております。
 今般、「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に係る効能・効果では、本剤は2019年6月に米国で、同年10月に欧州で承認されております。
 本申請の専門委員として、資料21に記載されております6名の委員を指名しました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明します。なお、審査報告書29ページ、10項の「その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象とした国際共同第III相試験であるEFC14280試験成績より説明します。審査報告書12ページ表10を御覧ください。本試験では、鼻腔内のポリープの大きさを評価した鼻茸スコア、鼻詰まりの重症度を評価した鼻閉重症度スコア、副鼻腔炎をCT画像に基づき評価したLMKスコアのベースラインからの変化量がいずれも主要評価項目とされ、表の左半分にあります全体集団の列のプラセボ群との差の行に示すとおり、プラセボ群に対する本剤300mgQ2W併合群の優越性が検証されております。また、同じ表の右半分では日本人患者の部分集団解析結果を示しておりますが、全体集団と同様の成績が得られております。以上より、機構は、本剤の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する有効性は示されていると判断しました。
 安全性について、審査報告書20ページ表17を御覧ください。この表は、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者(こちらの表ではCRSwNPと記載しております)と、既承認疾患の気管支喘息及びアトピー性皮膚炎患者(こちらはADと表中では記載しております)を対象とした本剤の臨床試験において認められた有害事象の発現状況を示しております。患者背景、ばく露期間、併用薬等が試験間で異なるため、直接の比較に限界はありますが、現時点では既承認疾患の患者における安全性プロファイルと比較して、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないと考えております。また、審査報告書21ページ上段部分では、本剤の製造販売後の安全性情報について記載しておりますが、製造販売後の安全性情報からも新たな安全性上の懸念は認められていないことから、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者においては、既承認疾患で実施されている安全対策を引き続き実施することで安全性は許容可能であると判断しました。
 用法・用量については、先ほど有効性に関する点として御説明しましたとおり、プラセボ群に対する本剤300mgQ2W併合群の優越性が検証されていることから、本剤の通常用量は300mgの2週間隔投与が適切であると判断しました。一方、審査報告書24ページ図3、図4及び図5に示すとおり、投与24週以降に本剤の投与間隔を4週間とした被験者でも、2週間隔投与を継続した被験者と比較して、投与52週時の有効性において臨床的に意味のある違いは認められず、また、審査報告書25ページ図6に示すとおり、鼻茸スコアを指標として本剤の有効性が認められた被験者では、投与間隔を2週間から4週間に変更してもその有効性が一定程度維持可能であることが示唆されることから、本剤300mgの2週間隔投与で症状が安定した患者に対する治療選択肢として、本剤300mgの4週間隔投与を設定することは可能と判断しました。
 最後に併用薬について、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象とした本剤の全ての臨床試験は、鼻噴霧用ステロイド薬であるモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物の併用下で実施されておりますが、先ほどお示しした審査報告書12ページ表10のプラセボ群の成績、審査報告書23ページ表19では同じ試験のスクリーニングの期間における成績を示しておりますが、いずれの成績においても、本剤の臨床試験における鼻噴霧用ステロイド薬のみによる有効性は極めて限定的であり、臨床試験で認められた有効性の大部分は本剤投与によるものとする申請者の説明について一定の理解は可能と考えております。そのため、本剤投与に際し、鼻噴霧用ステロイド薬の併用を必須としないことは許容可能と考えるものの、製造販売後に鼻噴霧用ステロイド薬非併用下でも併用下と同程度の有効性が得られることを確認する必要があると判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、新効能及び新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は、既に付与されている再審査期間の期限である令和8年1月18日までとすることが適切と判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 ステロイドの局所投与なしでもいいということですが、もし、相加作用ではなくて相乗作用によって効果が見られていったとしたら、やはり効果も減弱してしまう懸念があります。ほかの疾患でもいいので、ステロイドを併用せずに病気そのものに効いているとか、何かもう少しサポーティブなデータはないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 鼻噴霧用ステロイド薬で、ほかの疾患でというのはちょっと事例が。
○南委員 いや、鼻噴霧でなくてももちろんいいのですが、皮膚疾患に対する外用などでもいいと思います。要するにバイオモデュレーションのような作用がもしあったとすると有効性を落とすことになってしまうことを懸念しているのです。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。御指摘のとおりかと思います。今回、承認に当たって、その部分は必ず検討されるべきかと思っております。現時点でその点について詳細なデータはありませんが、承認条件として付して、必ず製造販売後に本剤がステロイド薬非併用下でも有効性が同程度であることを確認するように申請者に指示する予定です。
○南委員 ほかの薬では、治験では使っていたから使うようにと添付文書で縛られる場合が多いものですから、そこにやはり是非、整合性を取ってもらえればと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今回の場合は鼻茸が鼻にいっぱいあるような人だとなかなか薬を入れるのも難しいこともありまして。
○南委員 分かります。
○医薬品医療機器総合機構 そういったところもあって、レジメン承認のような形で併用というのを我々も検討はしたのですが、なかなか効くか効かないか分からないようなものを必ず併用しなければならないとまでするデータではないだろうというところで、製販後に必ず検討してほしいという審査方針としたところです。
○清田部会長 よろしいですか。ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
○菊池委員 いつもこの手の薬で聞くので、自己注射のこととかを機構の全体の見解というか、どうお考えなのでしょうか。これでいいとなっていますが。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の27ページ表22で、本剤の臨床試験では14例の日本人の被験者で自己投与が実施されております。表22に示すとおり、有効性について同程度の成績が得られていることから、本剤については自己投与可能ではないかと判断しております。
○清田部会長 ほかに御質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、島田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様の取扱いです。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。事務局から、引き続き説明をお願いします。
○事務局 事務局です。デュピクセント皮下注300mgシリンジについては、最適使用推進ガイドライン(案)を作成しておりますので御説明をします。タブレットの資料19を御覧ください。平成29年9月に発出した「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」という通知に基づいて、デュピクセント皮下注300mgシリンジについては、既承認の効能・効果として気管支喘息とかアトピー性皮膚炎が承認されているのですが、その際にも最適使用推進ガイドラインを作成しております。今回も、この効能・効果の追加に当たって最適使用推進ガイドラインを作成することとしています。資料19の下のページ番号2/12ページの目次を御覧ください。このガイドラインの全体の構成については、既に発出されているほかのガイドラインと同様です。
 次ページの1.の「はじめに」について、今回の対象疾患が鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎であるため、資料に記載の2団体から御推薦を頂いた専門家からの御意見を踏まえまして、本ガイドライン案を作成しております。
 続いて、下のページ番号4/12ページには、本剤の特徴及び作用機序、5/12ページからは本剤の臨床試験成績の概要を記載しております。内容については、先ほどの説明と重複しますので割愛します。
 続いて9/12ページには、本剤を適切に使用していただくために必要な施設の要件を記載しております。具体的には、マル1からマル3の要件を満たす施設において使用いただくべきとしております。
 11/12ページには、5として、投与対象となる患者について記載しております。患者選択の要件については、慢性副鼻腔炎の確定診断がなされていること、既存治療に効果不十分であること等が確認されることとしております。またその下には、本剤の投与継続の取扱いについて記載しております。本剤の臨床試験における有効性評価期間を踏まえて、投与開始後24週までの適切な時期に効果を確認し、効果が認められない場合には漫然と投与を続けないようにすることとしております。
 12/12ページです。こちらには、投与に際して留意すべき事項として、添付文書の使用上の注意の中の重要な基本的注意などに記載された主な注意事項について、入念的に本ガイドラインにおいても記載を行っております。本ガイドラインについて、本剤の効能追加の承認日に通知として発出する予定としております。また、別途、中医協にも御報告するとともに、発出の際は本ガイドラインの保険請求上の取扱いについて保険局医療課より留意事項通知が発出される予定とされております。
 以上、簡単ではありますが、本剤のガイドラインの現在の案について御説明しました。御意見や御質問等ありましたらよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、御意見、御質問ありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、御確認いただけたと思います。その他、議題1のデュピクセント皮下注300mgシリンジの最適使用のガイドラインについてはこれで御確認いただいたものといたします。
 議題7に移ります。議題7について機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、「医薬品ボンベンディ静注用1300」の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットでは、資料7のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書の通し番号の7ページを御覧ください。
 von Willebrand因子は、血液凝固因子の1つであり、血管障害部位に血小板を粘着させる接着因子として、また血液凝固第VIII因子のキャリアー蛋白として血液凝固に関与しています。von Willebrand病は、von Willebrand因子の質的異常又は量的欠損に起因する遺伝性の出血性疾患であり、血液凝固能の低下により鼻出血や皮下出血などの症状を呈します。重症度の高いvon Willebrand病の治療には、血漿由来のvon Willebrand因子を含む血液凝固第VIII因子製剤による補充療法が行われています。本剤は、von Willebrand病患者に対する補充療法用に開発された遺伝子組換えvon Willebrand因子製剤で、米国及び欧州を含む34の国、又は地域で承認されています。
 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料21に記載した8名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書の通し番号26ページの表の25を御覧ください。有効性について、国際共同第III相試験における出血時の止血効果が、表の25に示します4段階の基準により、出血事象ごとに判定、スコアリングされ、平均スコアが2.5未満となった被験者を奏効とし、奏効例の割合が評価されました。治療奏効例の割合の結果は、27ページの表の26を御覧ください。表26上段のとおり、治療奏効割合は100%であり、両側90%信頼区間の下限値は、事前に設定した評価の基準を上回っていました。審査では、被験者ごとの評価である治療奏効割合に加えて、出血事象ごとの止血効果も評価いたしました。
 30ページの2段落目です。個々の出血事象について、先ほどの4段階の基準で「著効」、又は「有効」と判定された割合は100%でした。以上の結果から、本剤の出血時における有効性が期待できると判断いたしました。
 次に審査報告書の通し番号28ページの表の29を御覧ください。海外第III相試験において、手術を予定される患者に対する周術期の止血効果が表の29の判定基準により評価され、15例の手術について「著効」、又は「有効」であった割合は100%でした。以上の結果から、本剤の周術期における有効性が期待できると判断いたしました。
 次に審査報告書の通し番号31ページを御覧ください。安全性については、提出された臨床試験の結果及び海外製造販売後安全性情報において、既存の血漿由来の製剤に比べて、問題となる有害事象等は認められていないことから、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 次に32ページを御覧ください。臨床試験で認められた血栓塞栓性事象については、添付文書においてリスクのある患者及び必要に応じて血液凝固系検査によるモニタリングを行うことを注意喚起しております。既存の血漿由来の製剤にも共通して見られるショック・アナフィラキシー及びインヒビターの発現リスクについても、添付文書で注意喚起しております。また日本人における検討症例は極めて限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とする使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 審査報告書の40ページを御覧ください。以上の審査の結果、機構は承認条件を付した上で本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。
 説明は以上ですが、川崎委員から事前に御質問を頂いております。後ほど御審議の際に、質問内容を川崎委員から御紹介いただいて、こちらから解答したいと思います。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を伺いますが、川崎先生から、まずよろしいですか。
○川崎委員 本剤は多量体であるということで、規格で多量体バンド15以上が40%以下で設定されているのですが、この多量体、大きいものを40%以下とした理由は何なのでしょうか。この大きな多量体があると何か安全性、有効性上の懸念があるということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いたします。本剤は、多量体として40%以下という規格値が設定されています。その理由として、本剤は、分子量が大きいほど血液凝固に関与する度合いも大きくなるという性質を持っていると言われております。40%以下というのは、それ以上、多量体が多分に含まれますと過凝固を起こすおそれがあることから上限値を設定したと申請者は説明しております。製剤にはおおむね35%程度の多量体が含まれており、臨床試験に使用したロット等の実績を踏まえて、多量体の規格値は40%以下と設定されております。
○川崎委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに、どうぞ。
○半田委員 幾つか質問したいのですが、まず第一に添付文書なのですが、効能・効果で、当該患者の出血傾向の抑制と書いてあるのですが、これは周術期の管理ですよね。止血管理、それから止血時の治療管理ということですが、通常それ以外にもある程度安定したところの予防的投与とあるのですが、それは除外されるという意味なのでしょうけれども、これは非常に曖昧ですよね。ですから、特にタイプ3の重症患者だと、日常的に関節の出血の予防等々が必要になってくるので、それに対する適用というのは、どのように考えていらっしゃるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。効能・効果として、出血傾向の抑制としたのは、まず血漿分画製剤と、今回申請された遺伝子組換え製剤はいずれも臨床的な位置付けは同じものであるということから、同じ効能・効果を付けております。重症の患者さんに関しては、ご指摘のように定期的な投与による管理が必要となる可能性ももちろんあるのですが、定期的な投与に関する用法・用量は企業で現在開発中です。添付文書の2ページの用法・用量の関連する注意の7.4項に「出血時又は周術期以外におけるVWFの補充を目的とする定期的な投与に関する用法・用量の有効性及び安全性は確立していない」ということを区別として書かせていただいております。
○半田委員 もう一点よろしいですか。von Willebrand病のタイプですね、タイプ1が多いのですね。9割以上タイプ1で、マイルドなタイプなのですが、非常にそういう意味では使われやすいですね。今までは、血漿由来の製剤は、第VIII因子もvon Willebrand因子も両方入っていますから、それで対応していたのですが、この製剤がもし使えるとすると、いわゆる凝固第VIII製剤も一緒に使われてしまうということで、非常に乱用の恐れにつながりますよね。医療費の増大にもなるかと思うのですが、米国とかヨーロッパでは、一応タイプ1に多分、関係していると思うのですが、酢酸デスモプレシンで効果がないような患者に限定するということを書かれているのですね。
 それから、もう一点は、外国では18歳以上と一応限定されているのですが、小児への適用を添付文書の前面に明示しなくて、よろしいのでしょうか。その2点をお聞きしたいです。
○医薬品医療機器総合機構 まず、先に小児のほうについて、御説明させていただきます。今回の用法・用量においては、通常18歳以上の患者にはということで、成人に限定した用法・用量を設定しております。小児に関しては、現在、申請者がデータを取っているところですので、臨床試験成績で有効性及び安全性が確認された後に一部変更承認申請がなされることになります。もう一点が、病型で1型に関する限定を。
○半田委員 だからタイプ別ですね。分ける必要はないのかということですね。これだとどこにでも使われてしまいますよね。その辺はもちろん希少疾患ですし、学会のガイドラインがあると思うのですが、やはり添付文書にある程度明確に書いておかないといけないのかということで、米国とかヨーロッパの適用条件には、それが入っているのです。それから小児でも使われてしまう可能性があるのですが、年齢の条件が入っていないので、それはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 小児については、添付文書の後ろのほうに、小児を対象とした臨床試験は得られていないということと、用法・用量においては18歳以上ということを明記させてはいただいているのですが。
○半田委員 やはり文章の先頭に小児、18歳以上とか、重要な条件は入れる必要はないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の記載の規則上は、成人のという辺りを、例えばですが効能・効果に入れるということができるかは、ちょっと難しいかとは思っておりまして、用法・用量に通常どおり書かせていただいているところになります。
 もう一点は病型についてですが、審査でも議論しましたが、1型は、おっしゃるとおり、軽症の方が多いというのが現状になります。一方で、1型の中でも重症の方もいらっしゃいますので、そちらに関して使用を限定することはないかと考えまして、効能・効果には病型の限定は付けない形としております。なお類薬について、デスモプレシンは作用機序上、1型に限り使用されるという効能・効果はあるのですが、血漿分画製剤のvon Willebrand因子を含む第VIII因子製剤に関しては、限定されていないということも踏まえまして、こちらも限定をせずに効能・効果を付しております。
○半田委員 ただ、血漿分画製剤が承認された頃と今は、病型や病態への対応に関する知識が非常に蓄積・拡大しているわけですよね。それから、リコンビナント製剤というのはどんどん出ているのですが、やはり乱用とか経済的な面ということも考えて、ある程度、適用は最初のほうにきちんと書くべきではないかと思いますが。もちろん、この製剤の効果は問題ないと思うのですが、その辺の書き方がどうかと、ちょっと御質問しました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。本剤の投与が対象になる患者等に関しましては、厳重に、おっしゃるとおり軽々しく使わないように等の情報提供ができるかというのは、申請者とも相談しまして、何か反映できるところがあれば、資材等で適用対象を適切に選択するように指導していきたいと思います。ありがとうございます。
○長島委員 今の点で、単なる資材等では無理なので、通常こういう場合は、やはり関連学会の指針等をしっかり作って、それを例えば、添付文書にしっかり書くとかという形でやらないと、なかなかコントロールができないのですが、その点はお考えになりませんか。
○医薬品医療機器総合機構 ガイドラインは現在学会で策定中となっており、そちらで本剤の対象患者にも多少は触れられるかもしれないとは思います。ただ現時点では、本剤の添付文書に引用できるガイドラインがなく、御期待に沿える記載にはなってはいないのですが、患者の選択について、情報提供することは可能かと思います。
○長島委員 現場の方から、非常に危惧の念を呈されていますので、そこのところをきちんと反映できるような方法を最初からやはり準備すべきだと思うので、ちょっとそこを何か方法について検討していただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 何か方法がないか、検討していきたいと思います。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
○濱委員 貯法の記載で、今気が付いたのですが、凍結を避けて室温保存というのは、日本語としておかしいかと思うのですが、いかがでしょうか室温保存は1℃から30℃を意味します。ほかにこういう記載はありましたか。
○医薬品医療機器総合機構 冷蔵保存の場合などは、恐らく凍結を避けという文言が多く付いているのかと思いますが、今回室温。
○濱委員 冷蔵保存や、冷所保存する場合で、凍結を避けて冷所保存という記載はよくあるのですが、基本的に、病院から患者さんに渡すときには、室温で渡すことが想定できるので、貯法としては室温で、注意としては自宅で冷所保存する場合は凍結を避けることはあるかとは思います。繰り返しになりますが、凍結を避けて室温保存というのは、ちょっと日本語としておかしい気がします。
○医薬品医療機器総合機構 凍結と室温のギャップが大きいかという御指摘かと思います。タンパク質製剤ですので、患者さんによっては、冷蔵してしまうことがあるものを、注意しておきたいということからこのような記載になっているものと思います。こちらも、保管条件等に関しまして丁寧に説明するよう指導したいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
○菊池委員 「特定の背景を有する患者に関する注意」というのが、9の所に、この新しい形式の添付文書に変わってから現場の混乱がすごくあって、以前の形式でしたら、最初のほうの効能・効果の辺りに、小児には認められていないとか高齢者は駄目だとか、そういうふうに書かれていたのですよね。
 それがなくなって、9の所で、例えば9.3とかの記載がないので、腎臓とか肝臓には問題がないから記載が省略されて欠番になっているわけなのですが、それをやっぱり気が付かない人もたくさんいるし、この添付文書の構成としては、非常にいけていないと思って、そういった意味で現場では困っているところだと思いますので、この薬剤は子供には駄目だとかということだったら、前に書いてほしいというのはすごく強くあるところだと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御要望としては、全体的な御要望という形でしょうか。
○清田部会長 これは確認しておきますが、ここに出てきた添付文書は、変えられないのですよね。
○菊池委員 いや、もう変えられないですよね。
○清田部会長 変えないのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 構造的には、新記載要領で定められた順番になってしまっておりますので、後は丁寧に説明していくしかないかと思うところではあります。
○清田部会長 ということは、添付文書に関する質疑応答は無駄だということですよね。違いますか。
○医薬品医療機器総合機構 順番は難しいのですが。
○清田部会長 時間の無駄だと。
○医薬品医療機器総合機構 要素が足りないところ等があれば、適宜、対応したいと思います。
○清田部会長 今後の参考にさせていただきたいというのは、かないますよね。
○医薬品医療機器総合機構 今、先生から御指摘いただいた点でございますが、添文の内容について御指摘をいただいていることについては、私どもは真剣に検討してまいりたいと思っております。一方で、今、御指摘いただきましたような並び順の所については、ちょっと私どもの審査では与りにくいところになりますので、そこだけお許しいただければと思います。
○清田部会長 ということで、よろしいですか。
○菊池委員 個人的には、研修医には、添付文書の見本があって、すべての項目が書かれているのが原本みたいなものであって、肝機能の項目がないときにはその薬は肝代謝ではないのだよといって、安心して肝臓が悪くても使っていいのだというような言い方をして教えています。だから最後まで読まないと大事なことが分からないし、添付文書が現場では本当に大事なことの、今、例えば代謝酵素のこととかも知りたいのに全く書いていないですよね。そういうことで、臨床の現場で知りたい内容がなくて、時間の無駄になっているということがあって、本当に残念な文書になっちゃっているのですよ。そこをやっぱり考えてほしいなと。みんなの思考回路から、僕は古いのかもしれませんが、昔から慣れ親しんだやつと、大事なことが後ろのほうに出てくることが比較的に多くて、やっぱりちょっと、どうなのでしょうというところなので、そこはもう形でも特別な注意事項というのは、特に上の所に出てくるのが、やっぱり一番有り難くて、禁忌だ何だというのがなくなった分が後ろのほうに来ていますが、全部読まなきゃ分からないというのが。禁忌は当然、最初に出ていますが、中ぐらいに注意しなきゃいけないことも分からなくなっているので、軽重の付き方がおかしいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今後の参考にさせていただきたいと思います。
○清田部会長 今後の参考にしていただければと思います。それでは議決に入ります。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題8に移ります。議題8について、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。
○事務局 議題8、資料8、レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料8のフォルダをタップしていただきまして、2の事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者はMSD株式会社。予定される効能・効果については、適応菌種は、本剤に感性のカルバペネム耐性腸内細菌科細菌、カルバペネム耐性緑膿菌、カルバペネム耐性アシネトバクター属、その他のカルバペネム耐性グラム陰性菌。適応症は各種感染症になります。
 まず、1ページからの「対象患者数」について御説明いたします。感染症発生動向調査における2015年から2017年までの本邦のカルバペネム耐性菌に関する感染症患者の年間報告例数については、記載しているとおりです。本邦における患者数は限定的であると考えております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性」について御説明いたします。本邦では、「カルバペネム耐性菌」に効能・効果を有する抗菌薬として、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム及びチゲサイクリンが製造販売承認されています。しかしながら、安全性の懸念や抗菌活性を示さない菌種があると、各薬剤における有効性及び安全性に関する課題がございます。以上の検討から、医療上の必要性は高いと考えています。
 最後に、「開発の可能性について」。イミペネム耐性菌感染症患者を対象とした国際共同第III相試験において、主要評価項目であるmMITT集団での総合効果が有効と判定された被験者の割合は、本剤群71.4%、対象薬であるコリスチンメタンスルホン酸、イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム併用群70%でした。また、国内第III相非盲検非対照試験において、一定の有効性及び安全性が確認されました。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 御質問、御意見はございますでしょうか。これは患者はそれほど多くはないのですが、非常に必要な薬と関連学会では認識しております。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。亀田委員、南委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題9に移ります。事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題9、資料9、リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料9のフォルダをタップしていただきまして、「2.事前評価報告書」のファイルをお開きください。まず、報告書1ページ中段です。申請者は「全薬工業株式会社」。予定される効能・効果は「全身性強皮症」になります。「対象患者数」については、全身性強皮症は指定難病でありまして、平成30年度特定医療費受給者証所持者数は、2万6,740名でした。以上より、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」、御説明します。全身性強皮症は皮膚や内臓の線維化により、血管障害、免疫異常等の病態を引き起こす疾患です。全身性強皮症の罹患により、寿命の短縮や皮膚硬化に続く臓器線維化等可逆性が乏しい機能不全が起こることから、早期の治療介入により病態の進行を抑制することが重要です。本邦における全身性強皮症の治療薬として、副腎皮質ステロイド、シクロホスファミド等がありますが、腎クリーゼ誘発リスク、感染症及び肺がん等の悪性腫瘍誘発のリスクにより長期投与が困難であることから、全身性強皮症の皮膚硬化に対する長期投与が可能かつ有効性の高い治療方法が期待されています。以上の検討から、医療上の必要性は高いと考えます。
 最後に、「開発の可能性について」です。全身性強皮症患者に対する本剤の有効性及び安全性を検討するための医師主導治験が実施され、最終試験被験者の二重盲検期が終了しています。その後の長期投与試験成績が得られ次第、製造販売承認事項一部変更承認申請が予定されています。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 これに関しまして、御質問、御意見はございますでしょうか。実際にこれは既に使われていると伺っておりますので、よろしいかと思います。それでは議決に入ります。長島委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私につきましても同様の扱いです。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題10に移ります。事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料10、リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料10のフォルダをタップしていただき、事前評価報告書のファイルをお開きください。申請者は「全薬工業株式会社」、予定される効能・効果は「難治性の下記疾患 尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡」になります。「対象患者数」については、天疱瘡は指定難病でありまして、平成29年の患者調査によれば、本邦における天疱瘡患者の総数は約6,000名と報告をされています。以上より、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」。天疱瘡は、皮膚や粘膜に病変が認められる自己免疫性疾患でありまして、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、その他の3型に大別されます。尋常性天疱瘡について、特徴的な臨床的所見として、口腔粘膜に認められる疼痛を伴う難治性のびらん、潰瘍を認めます。一方、落葉状天疱瘡の臨床的特徴は、弛緩性水疱、びらんとなります。国内のガイドラインで推奨される治療法は多くの症例で有効ではありますが、根治的治療法は未確立でありまして、治療導入期において病勢が制御できない症例や治療維持期においてステロイド減量が困難な症例が存在します。また、天疱瘡患者は長期にわたりステロイド内服が必要となるため、感染症、糖尿病等の重篤な合併症を引き起こすリスクが高いと考えられています。以上の検討から、医療上の必要性は高いと考えます。
 最後に、「開発の可能性について」です。難治性の天疱瘡患者を対象とした臨床試験、こちら本邦において実際やっているものですが、こちらの結果を主たる臨床試験成績として製造販売承認事項一部変更承認申請がなされる予定です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 これにつきまして御質問はよろしいでしょうか。希少疾病用医薬品としての指定の件ですが、特にないようでしたら議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題11に移ります。事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題11、資料11、「アレムツズマブ(遺伝子組換え)」を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料11のフォルダに格納しています「2.希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。申請者は「サノフィ株式会社」、予定される効能・効果は、「同種造血幹細胞移植の前治療」になります。まず、「対象患者数」についてです。日本造血細胞移植データセンター及び日本造血細胞移植学会の調査によると、本邦の2017年における同種造血幹細胞移植件数は約3,700件と報告されており、本邦において同種造血幹細胞移植の前治療が施行される患者数は最大で年3,700人と推定されます。以上より、患者数は5万人未満という指定基準を満たしていると考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。同種造血幹細胞移植は、造血器悪性腫瘍、再生不良性貧血等に対する根治的な治療として実施されており、当該移植の施行に際しては、移植片に対する拒絶反応の抑制を目的とした前治療が実施されておりますが、現在実施されている前治療においては、重篤な移植片対宿主病が発現すること等から、十分な治療成績は得られておらず、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、同種造血幹細胞移植の前治療に対して、本剤の臨床上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。本邦において実施されたHLA適合、若しくは1抗原不適合の血縁者ドナー、又はHLA適合の非血縁者ドナーのいない造血器悪性腫瘍患者を対象とした臨床試験、及び輸血依存の後天性再生不良性貧血患者を対象とした臨床試験において、移植成功率は良好な結果でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 議題11について御説明いただきました。委員の先生方から御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員、島田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様の扱いです。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題12に移ります。事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題12、資料12、オラパリブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料12のフォルダに格納しております「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。申請者は「アストラゼネカ株式会社」、予定される効能・効果は「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における維持療法」になります。まず、「対象患者数」についてです。厚生労働省における患者調査及び膵癌患者におけるBRCA1又は2に病的変異を有する患者の割合から、BRCA遺伝子変異陽性の膵癌患者数は多くとも3,060人と推測されます。オラパリブにつきましては、既にBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌、及びBRCA遺伝子変異陽性の手術不能又は再発乳癌を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定しておりますが、本邦における患者数はそれぞれ1,250人及び9,280~2万5,520人と推測され、BRCA遺伝子変異陽性の膵癌、卵巣癌及び乳癌の患者数を合わせても患者数は5万人未満であると推測されます。以上より、患者数は指定基準を満たしているものと考えております。なお、本剤につきましては、これまでに希少疾病用医薬品に指定している対象患者を考慮しても、患者数は指定基準を満たすと判断しておりますが、今後もこのような考え方とするかどうかにつきましては、対象疾患等を踏まえて、個別に判断していきたいと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。治癒切除不能な膵癌に対する化学療法としては、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、フルオロウラシル、レボホリナート、イリノテカン塩酸塩水和物及びオキサリプラチンの併用投与等が行われておりますが、多くの場合、再発又は病勢進行を認め、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌は依然として予後不良な疾患であり、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法の開始後16週以降に病勢進行を認めない、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌患者を対象とした臨床試験が実施され、本剤を維持投与することにより無増悪生存期間の延長が認められております。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 したがいまして、希少疾病用医薬品の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見がございましたら頂きたいのですが、いかがですか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは報告事項に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料13の医薬品ヌーカラ皮下注用100mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤の有効成分であるメポリズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-5に対するモノクローナル抗体であり、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」の効能・効果に対して、成人及び12歳以上の小児に係る用法・用量で承認されております。今般グラクソ・スミスクライン株式会社から、気管支喘息に対して6歳以上12歳未満の小児に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされ、審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しております。
 続きまして、議題2、資料14の「医薬品リサイオ点滴静注液100mg」の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤はエチレンイミン系のアルキル化剤であるチオテパを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として承認されております。今般大日本住友製薬株式会社から、「悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療」に関する効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされ、機構による審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
 続きまして、議題3、資料15、「医薬品ニンラーロカプセル2.3mg、同カプセル3mg、及び同カプセル4mg」の製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。本剤はプロテアソームの活性に対する阻害作用を有するイキサゾミブクエン酸エステルを有効成分とする抗悪性腫瘍剤あり、現在は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として承認されております。今般、武田薬品工業株式会社から、「多発性骨髄腫における自家造血幹細胞移植後の維持療法」に関する効能・効果及び用法・用量を追加する、製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされ、審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。
 続きまして、議題4、資料16の「医薬品ブスルフェクス点滴静注用60mg」の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤はスルホン酸エステル系のアルキル化剤であるブスルファンを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「同種造血幹細胞移植の前治療及びユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和元年10月31日に開催されました本部会における事前評価を踏まえて、今般、「大塚製薬株式会社」から、「悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療」に関する効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
○事務局 続きまして、議題5、医療用医薬品の承認条件について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料17-1のファイルをお開きください。今回は、リルピビリン塩酸塩/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を有効成分とする医薬品「オデフシィ配合錠」の承認条件に係る御報告となります。本剤は平成30年8月に、「HIV-1感染症」の効能・効果が承認され、その際、同ページに示されている承認条件が付されております。この度、ヤンセンファーマ株式会社から、医薬品の使用条件の設定に関する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。1~2ページの「1.製造販売後調査の実施の経緯」を御覧ください。本剤の審査過程において日本人を対象とした薬物動態試験を実施し、その進捗状況を定期的に報告するとともに、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出することが必要とされてきました。
 続いて2ページ、「提出された資料の概要」を御覧ください。日本人健康成人を対象に、本剤を標準食摂取終了後5分以内に単回経口投与したときの薬物動態及び安全性を検討することを目的とした、非盲検非対照試験が国内1施設で実施されました。本試験で得られたPKパラメータと、本剤の承認申請時に提出済みの海外臨床試験から得られた外国人健康成人でのPKパラメータは表1に示すとおりであり、本試験と海外臨床試験の結果について、臨床的に意義のある民族差は認められませんでした。安全性については3ページに記載しておりますとおり、現時点で追加の対応が必要となる問題は生じていないことを確認しました。
 4ページの「III.総合評価」を御覧ください。機構は提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断されております。以上を踏まえ、承認条件は満たされたものと判断しております。
○事務局 医療用医薬品の承認条件について御報告する品目がございますので、資料17-2のファイルをお開きください。こちらは「トラベクテジン」を有効成分とする医薬品「ヨンデリス点滴静注用0.25mg、同点滴静注用1mg」です。本剤は平成27年9月に、「悪性軟部腫瘍」の効能・効果が承認され、その際、2ページから3ページにかけて記載をしています承認条件が付されております。この度、「大鵬薬品工業株式会社」から承認条件に基づき実施された使用成績調査の結果、本調査結果に対する承認取得者の考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されました。本調査は、本剤を使用した全症例を対象に、平成27年12月7日より実施され、平成28年12月2日までに本剤の投与が開始された425例の情報を基に調査結果がまとめられました。本調査において、収集された有効性及び安全性は製造販売承認時に検討された臨床試験とおおむね同様でした。
 7ページの「III.総合評価」を御覧ください。機構は提出された資料から、承認条件である製造販売後調査が適切に実施され、有効性、安全性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、承認条件は対応されたものと判断しております。以上を踏まえ、承認条件は満たされたものと判断いたしました。
○事務局 最後に、議題6、医療用医薬品の再審査結果について御報告申し上げます。資料18-1から資料18-7になっております。資料18-1は、有効成分名がテガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム、販売名がティーエスワン配合カプセルT20及び同配合カプセルT25のもの。資料18-2が、有効成分名がセレコキシブ、販売名がセレコックス錠100mg及び同錠200mgのもの。資料18-3が、有効成分名アダリムマブ(遺伝子組換え)、販売名はヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL及び同皮下注20mgシリンジ0.4mLで、報告書記載の効能・効果のうち、関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎に関する報告となっています。資料18-4は、有効成分名がオマリズマブ(遺伝子組換え)、販売名はゾレア皮下注用75mg及び同皮下注用150mgのもの。資料18-5は、有効成分名が抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン、販売名はサイモグロブリン点滴静注用25mgで報告書記載の効能・効果のうち、再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に関する報告です。資料18-6は、有効成分名がアバタセプト(遺伝子組換え)、販売名はオレンシア点滴静注用250mgのもの。資料18-7は、有効成分名が乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、販売名ははしか風しん混合生ワクチン「第一三共」のものです。これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性、安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項についての変更の必要がないカテゴリー1と判定されております。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御確認頂いたと思います。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、4月22日水曜日の午後5時から開催させていただく予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)