2020年4月6日 第6回「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和2年4月6日(月) 17:00~20:00

場所

AP虎ノ門 Bルーム

議題

裁量労働制実態調査について

議事

 
○西郷座長 それでは、定刻より2分ほど早いようなのですけれども、事前に御欠席と伺っている方以外はもう見えているということですので、第6回「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ、また非常に世の中の状況が切迫している中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
まず、事務局から事務的な事項について御確認をお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 事務局でございます。
本日は、小倉構成員より御欠席との御連絡をいただいております。また、本日の議題に鑑み、西郷座長の御推薦により、統計理論、実務について御知見が深い有識者として、青山学院大学の元山斉先生、公益財団法人統計情報研究開発センターの村田磨理子先生に参考人としてお越しいただいております。
次に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。
資料1といたしまして、御議論いただきたい論点について。
資料1の別紙1といたしまして、集計処理に係る論点について。
別紙2といたしまして、達成精度の計算式が今回の資料でございます。
参考資料は1から9まででございます。
そのほか、座席表をお配りしております。不足などがございましたら、事務局までお申しつけください。
また、新型コロナウイルス感染症対策についてアナウンスさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症対策として、傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用、咳エチケットに御配慮いただきますようお願いいたします。
また、新型コロナウイルス感染症防止の観点から、本日は迅速な議事の進行に努めてまいりたいと思いますので、御協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
では、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
これ以降の進行は西郷座長にお願いいたします。
○西郷座長 それでは、本日の議題のほうに入らせていただきます。
まず、資料はかなり大部のものですけれども、事務局から一括して御説明をいただきまして、その後で質疑応答に入りたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 それでは、資料1に沿いまして御説明申し上げます。
本日御議論いただきたい論点といたしましては、6点ございます。まず1点目として、「復元方法について」、3ページ目に2番目として「集計処理について」、その下の「達成精度について」が3つ目、4つ目といたしまして、その次のページ、「労働時間の平均値について」、そして7ページに5点目として「自由記述について」、最後6点目として「二次分析について」とございます。
順番に手短に御説明させていただければと思います。
まず、1ページ目の「復元方法について」でございます。まず、復元倍率の計算式でございますけれども、ここに書いてあるとおり、適用事業場、非適用事業場、適用労働者、非適用労働者の復元倍率をこのように計算することを考えております。
適用事業場については、適用労働者がいない事業場も生かすという観点と、労働者票は返ってきているけれども、事業場票は返ってきていない事業場についても復元対象に含めるということから、若干調整したような式になっております。
非適用事業場については、プレ調査に係る復元と本調査に係る復元をそれぞれ掛け合わせたような復元倍率になっております。
労働者票については事業場票と同じような考え方に、さらに労働者の抽出に係る復元、その業務ごとの当該事業場の有効回答労働者票の数を当該事業場の当該業務の労働者数に戻すというのを最後に掛けるというような形になっているということでございます。
次のページでございます。まず、一番上の○でございますけれども、適用事業場調査について、調査の中で、裁量労働制の適用廃止が分かった事業場とか廃業等が分かった事業場については、復元倍率の計算上、母集団から除外するということを考えております。
非適用事業場についても同様でございますけれども、非適用事業場の場合は廃業等の中に、本来、抽出枠に入っていない常用労働者が5人未満の事業場も含めて除外するということを考えております。また、本体調査で裁量労働制の対象業務従事者がいないことが判明した事業場については、プレ調査の復元には含めますけれども、本体調査の復元に含めないというふうに考えております。
3点目でございますけれども、これは業務の認識が事業場と労働者で異なる場合が考えられまして、その場合、先ほど申し上げたような有効回答労働者票を当該業務の労働者数に復元するということが困難になる事例が発生する可能性があるということで、その対応を考えたものでございます。
(例1)のように、事業場は業務アの業務しかいないとしているところに、私は業務イですよというような有効回答労働者票があった場合、これをどのように復元するかという問題でございますけれども、(例1)の場合ですと、この1人の人の業務は、事業場としては業務アとして扱っていると考えられることから、この7人と1人を足した8人を20人のアの業務の人数に復元するということを考えております。この1人はアに含めて復元しますけれども、集計する場合の表章については業務イとして表章することを考えております。
(例1)の場合は簡単にできるのですけれども、(例2)のような場合はやや複雑でして、この場合だと、例えば事業場はア、イ、ウという業務がありますと言っているのに、エとかオといった業務ですよという労働者票が返ってきた場合に、どういうふうに復元するかというのが問題となります。このような場合も、業務ア、イ、ウの中から、余った労働者票の中でエとオのような回答が来たということが考えられますので、このア、イ、ウの中のどこからエとオの回答が来たのかというようなものを、どこから来たかという確率を計算して、その確率に基づいてエとオの復元倍率を計算するというものでございます。
手順で言うと下にマル1からマル5まで書いているところでございますけれども、まずマル1のように余った枚数を業務ごとに計算して、それを比率に直すというのがマル2で、マル3でエとオの復元先がないような労働者数をマル2の比率で案分する。それをア、イ、ウの業務に足したもので、ア、イ、ウの復元倍率を計算して、エとオの復元倍率はマル4で計算したものにマル2の案分比率を掛けてエとオの復元倍率を計算するというような手法を考えているというものでございます。
続きまして、論点2の「集計処理について」というものでございます。まず「(1)集計処理の基本的な考え方」でございます。集計に当たっては、一部の設問が無回答なものであっても、できるだけ集計対象に含めることといたしまして、「不明」という項目を設けて、そこに表章することを考えております。ただし、平均値を計算するときは、「不明」を含めて計算できませんので、そういう「不明」というものを除いて平均値を計算するということを考えております。
2番目として、無回答であっても記入漏れだと判断できるものについては、これを補正して集計対象に含めるということを考えております。
3番目として、2つのある問いとある問いの回答が両立し得ない場合、矛盾する場合については、基本的にはどちらが正しいか判断できないため、両方を「不明」として集計することを基本と考えております。また、「○は一つ」と設定されている設問において複数回答がなされている場合も、どれが正しい回答か判断できないため、「不明」として集計することと考えております。
4番目、非適用事業場でございますけれども、常用労働者が5人未満の事業場はそもそも抽出枠に入っていない、抽出対象になっていなかったため、調査の結果5人未満であることが分かった場合は集計対象としないことを考えております。
産業区分でございますけれども、調査前の区分と調査結果による区分において、産業大分類間でもかなり異なるような事例が見られておりまして、選択式の中で産業を正しく選ぶのがなかなか難しかったのではないかと考えられます。
そこで、産業が調査前と調査後で大分類間移動をしているものについては、調査前のもの、あるいは製造業の中で中分類を取りまとめたような3区分で調査しているのですけれども、それについてもなかなか選ぶのが難しかっただろうということで、それについては調査前の産業を用いることを考えております。それ以外のものについては、調査結果の区分による表章を基本とすることを考えております。
その次の○ですけれども、労働者票が提出されていても事業場票が提出されていない場合は、労働者数を何人に戻すかというのが分かりませんので、そのような場合とか事業場票に人数が書いていない場合については、その労働者票の労働者抽出に係る復元倍率は「1」として集計するというようにしたいと思っております。
「(2)論理的にあり得るが想定しにくい回答などの処理」でございます。論理的にあり得ない例、1日の労働時間が24時間を超えている場合などについては、当然エラーとして取り扱うことになりますけれども、論理的にあり得るけれども、通常は想定しにくい回答の処理については、別紙1のような方針としてはどうかということで、別紙1を御覧いただければと思います。
全て説明すると大部になりますので、主なものだけ説明させていただければと思います。例えば真ん中辺の問7(1)、1日の所定労働時間が通常考えにくいケースでございます。当然、1日の所定労働時間が24時間を超えているようなものは集計から除外いたしますけれども、それ以外に考えにくいような、短かったり、長かったりするものもございますけれども、それらについては事実である可能性も排除できないため、原則としてそのまま集計したいと考えております。ただし、比較のため、これは短時間労働者を除いた調査でございますので、所定内労働時間が「4時間未満」とか、あるいは8時間の1.5倍たる「12時間超」については、エラーとして処理した平均値も併せて表章することも考えております。1週間の所定労働時間についても、同様の考え方でございます。
その次、問8のみなし労働時間でございます。みなし労働時間についても、同様の考え方で、原則としてはそのまま集計いたしますけれども、「4時間」「12時間」で切ったようなものも併せて集計してはどうかと考えております。
その2つ下、2番目のところですけれども、問10(1)、実際の労働時間数が通常考えにくいケースで、こちらのほうは当該事業所の1か月の総労働時間の合計を記載していただいておりますけれども、この場合、例えば「業務ごとの人数」×「4時間」×「14日未満」の場合、これは例えば1日4時間しか働いていなくて、14日というのは例えば祝日が2日ありましたので、その2日プラス週休3日休んだよりもさらに日数が少ないようなケースとか、逆に人数×20時間、1日20時間働いて28日、週休1日で3日休んで28日になりますけれども、これらを超えるような場合、あるいは1日の労働時間が4時間未満または20時間超のような場合、これについてはエラーとした平均値も併せて表章する。そのまま集計したものと、これらを除いたものの両方を集計することを考えているということでございます。
あと、その下の問10(1)の2番目のところですけれども、労働日数の合計が通常考えにくいケースということで、この場合もそのまま集計したものと、人数×14日未満、あるいは人数×28日超というものを除いたものも併せて表章することを考えているということでございます。
その下、問15(2)の特別手当ですけれども、特別手当について「ある」と書いていながら、「0円」と記載しているものもございます。ただ、これは時点のずれがありますので、「0円」ということもあり得ない話ではないので、この「0円」を含んだものと含まないものの平均を両方集計してはどうかと考えております。
適用事業場のほうはこのような感じで考えております。
次、4ページの労働者票でございます。労働票についても、労働時間を中心に御説明いたしますけれども、真ん中辺に問2(1)とございます。こちらは労働日数が「0日」のケースで、ある特定の1週間の労働日数を聞いておりますので、当然「0日」という回答も、たまたまそういう週に当たった場合はあり得ますので、原則としてそのまま集計することを考えております。ただ、「0日」と回答しているにも関わらず、労働時間がゼロではない値の場合は矛盾ですので、こちらの場合は両方不明として集計するということでございます。
問2(2)、1週間の労働時間が通常考えにくいケースでございますけれども、こちらのほうも原則としてそのまま集計すること、もう一つ、併せて16時間未満、これは1週間ですので、週休3日で4日働いて、1日4時間で16時間、これより少ない場合とか、1日20時間を週休1日で6日間働いた場合、120時間を超えるようなものについては、常識的な範囲ということで除いたものも併せて表章してはどうかと考えてございます。
それから、少し飛ばして、次の5ページの問3、みなし労働時間が通常考えにくいケースでございます。この回答には、特に「1時間」「2時間」などといった回答が結構見られまして、これらはみなし労働時間そのものではなくて、法定または所定内労働時間を超過する時間数を回答している可能性が大いに考えられるということでございます。この場合は、事業場票と併せて見まして、そのような誤りであることが確認されたものはそのように修正することにしたいと考えております。
その上で、全体をそのまま集計するということと、先ほどの「4時間未満」あるいは「12時間超」については、エラーとして処理した平均値も併せて表章することを考えているということでございます。
別紙1の説明は以上とさせていただければと思います。
資料1に戻っていただきまして、3ページの下の「達成精度について」でございます。達成精度を計算する集計項目としては、全4種類の調査票に共通している質問項目であることが望ましいということから、客観的かつ重要な質問項目である「労働時間の把握方法の問」について、達成精度を計算することとしてはどうかと考えております。
その計算方法については、別紙2のとおりにしてはどうかと考えております。1ページ目に、適用事業場、適用労働者票の計算式がありまして、記号の説明が続いた後に、5ページ目に非適用事業場と非適用労働者票の計算式を書いてございます。一応、両方とも二相抽出かつ層化二段抽出ということを前提に計算式を構築しているということでございます。
以上が達成精度についてでございます。
続きまして4ページを御覧いただければと思います。「労働時間の平均値について」でございます。これまで当検討会において議論に出てきたもの等を考えますと、例えば次のA、B、Cの3つが考えられるのではないかと思っております。
Aは、総労働時間を計算して、総労働日数を計算して、それを割って1日当たりの労働時間を出すというものでございます。
Bは、事業場・業務ごとに1日当たりの時間を計算して、それを業務・事業場ごとの労働者で加重平均して計算するというものでございます。
Cは、事業場ごとに1日当たりの労働時間を計算して、それを事業場数で単純平均するというものでございます。
このうちどれを採用するということでございますけれども、Cは、さすがに労働者数とか労働日数に関わらず、全部1事業場は1の重みという形で集計してしまいますので、それよりもやはりある程度労働者数とか労働日数で加重平均したほうがよいだろうということで、Aを基本としつつ、Bについても併せて表章することとしてはどうかと考えているということでございます。
続きまして5ページでございますけれども、「(2)休憩時間取扱い(適用事業場票)」でございますけれども、適用事業場のほうは休憩時間を含むか含まないかというのを聞いておりまして、含む場合はそれを控除する必要があるということでございます。ただし、含むか含まないか無回答の場合とか、含むと回答していながら時間が書いていないようなケースをどうするかという問題でございます。
結論といたしましては、仮定を置いて計算することもできますけれども、この場合は仮定を置かずに、集計結果が仮定を置いてゆがむリスクを避けるという観点から、休憩時間を含んでいるか、含まないかが分からないもの、あるいは含んでいても労働時間が分からないものについては、それを除いた形で集計してはどうかと考えております。
次に「(3)適用事業場と非適用事業場の労働時間に関する比較」の問題でございます。第3回の検討会の議論において、適用事業場と非適用事業場の属性を適用事業場に合わせて平均値を比較するということが議論として出たところでございます。
その2つ下の3番目の○でございますけれども、属性を合わせるといった場合にどんな属性で合わせるのか、どの属性に注目するのかというものでございます。考えられるものとしては、業務、産業、事業場規模、企業規模、地域などが考えられるということでございますけれども、その下にあるように、あまりそれを細かくしますと、このセルは適用事業場はあるけれども非適用事業場はないとか、そういった問題が発生することがありますので、あまり細かくし過ぎるのはよくないだろうということでございます。
また、事業場規模については、5人未満が入るか入らないかという適用事業場、非適用事業場の違いがあるという問題がございます。それから、業務と産業についてはかなり相関が高いので、業務と産業をクロスするようなことになると、またこのセルはいないとか、そういう問題が発生いたしますので、本調査においては、業務を基本といたしまして、可能であれば企業規模を組み合わせることによって区分を作成し、比較に当たって加重平均を行ってはどうかと考えおります。
その加重平均の方法ですけれども、適用事業場のウエートに合わせるとか、逆に非適用事業場のウエートに合わせるといったことが考えられますけれども、どちらかの一方に寄せるのではなくて、その両者を計算して、さらに幾何平均を出すというフィッシャー式で行ってはどうかと考えているものでございます。
続きまして、「(4)1週間の実労働時間を階級で回答した労働者票の取扱い」でございます。労働票については、1時間単位で書いてもいいし、階級から選んで書いてもいいということになっているのですけれども、そのような階級で回答した労働者票の労働時間をどのように平均するかという問題が発生いたします。
考えられる方法としては、ここに書いてあるとおり、1時間単位で回答したものだけで平均値を出すというのと、あるいは階級で回答したものについては、階級ごとにある値を当てはめて、マル2として階級の中央値みたいなものを当てはめる。マル3としては、1時間単位で回答したものから、その階級ごとの平均値を推測して、それを当てはめるといったような方法が考えられるということでございます。
結論といたしましては、1時間単位で回答したものだけを平均値を取るということプラス、できるだけ多くの回答を生かす観点から、マル3の方法ですね、階級ごとの値を1時間単位で回答した労働者票から推定して、それを当てはめることで集計するという、2つの方法で集計してはどうかと考えているということでございます。
「(5)働き方の多様性を考慮した平均値の考え方について」でございます。(1)なんかで議論しているのは、1日当たりの労働時間に着目して議論しているわけでございますけれども、1日当たりの労働時間だけを見ますと、ここの例に書いてあるとおり、週4日で9時間働いた人と、週5日で8時間ずつ働いた人では、最初の人のほうが1日当たりは長いのですけれども、週の労働時間は最初の人のほうが短いというように、1日当たりだけを見るだけだと見落とすようなことがあるのではないかということでございますので、こういったところをちゃんと見るために、1日当たりの労働時間のほかに、1人当たりの1か月の労働時間の平均、労働者票については1週間の労働時間平均も算出して表章してはどうかと考えているということでございます。
(6)として、今まで言ったことのまとめのようなものでございますけれども、労働時間の平均値の取り方については、(1)~(5)で議論したものとか、別紙1で検討したような様々な取り方があるということでございますので、表章に当たっては回答の分布状況等も考慮した上で、必要に応じてさらに参考値として中央値の表章を行うことも含めて、一つの方法に限定することにとらわれず、表章してはどうかと考えているということでございます。
次に7ページ目でございますけれども、「自由記述について」でございます。本調査につきましては、何点か自由記述の欄がございます。これをどのように扱うのかということについては検討しておくべき課題であるとの御意見をいただいているところでございます。
一方、統計法におきましては、調査情報の利用については、統計の作成または統計的研究を行う場合と統計調査その他の統計を作成するための調査に係る名簿を作成する場合に限られておりまして、調査によって得られた情報を集計することなく公表することは認められていないということでございます。したがいまして、事業場や個人が識別されることのないように部分非開示の処理を施したとしても、自由記述回答を原文のまま公表することは不可となっております。
そこで、統計法を遵守しつつ、最大限自由記述回答を活用する観点から、次のようにしてはどうかと考えております。まず、事業場や個人が決して識別されることがないよう、特定され得る情報については細心の注意を払って表示しないようにする。調査事項に全く関係ないもの、例えば政府の別の政策に関する御意見などについては、集計対象外とします。そういった処理を行った上で、「~~の旨のご意見」といったようなカテゴリーを設けまして、これを集計するということで、その集計したものを厚生労働省において統計法第32条に基づき、集計した意見として取り扱って、この検討会において公表資料として提示するということにしてはどうかと考えているところでございます。
最後に6点目、「二次分析について」でございます。これまでも、当専門家検討会において、この調査の趣旨に鑑みますと、統計を集計した結果表だけで分かることには限界があり、回帰分析やマッチング推定等の計量経済的な統計分析手法を用いる必要があるという御意見をいただいているところでございまして、この認識に基づきまして二次分析を行った上で結果の検証を行うこととしてはどうかと考えているところでございます。
以上、大変駆け足で恐縮でございますけれども、私の説明は以上でございます。
○西郷座長 どうもありがとうございました。
初めてやる調査で、調査票の中身、回答の状況なんかを見ないまま議論すると、なかなかやりにくい面があるのですけれども、統計法の下で行われている調査ですので、それがちょっとできないという事情もあるというところを御了解いただきたいと思います。
今、事務局のほうからまとめて御説明をいただいたのですけれども、質疑応答のほうは資料1の一つ一つの項目に分けて進めていきたいと思います。
最初に、資料1の1ページ目にございます「1.復元方法について」で、質問、御意見を承りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○労働条件政策課課長補佐 本日御欠席の小倉構成員より、本論点についてコメントをいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
適用事業場については、全数調査であるものの回収率の違いを調整するため復元を行うという手法は理解するが、特に回収率が低い層の回答については、復元倍率を掛けて膨らませることで、かえって結果を歪めてしまうことにならないよう注意する必要がある。特に二次分析を行う際などは、こういった点にも十分留意して検証を行うことが重要である。
以上でございます。
○西郷座長 ありがとうございます。
それでは、フロアのほうから質疑、御意見等をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
焦点になるのは、事業場の票は返ってこなかったのだけれども、労働者票だけ返ってきたところの、その労働者票をどういうふうに取り扱いましょうかというのが一つの焦点ですね。
こちらの解決策としては、事業場票が返ってきていないので、何人分というふうに復元したらいいか分からないので、そうは言いながら回答そのものはあるので、それをそのまま使わないという手ももったいないであろうと。だから、復元の倍率が決めかねる状況でこれを生かすとすれば、その復元倍率を1人分というふうに勘定して集計の中に含めるというのが原案ということですね。
○労働条件政策課課長補佐 おっしゃるとおりです。資料1で言うと、復元倍率のところにちゃんと書いていなかったのですけれども、3ページ目の「2.集計処理について」の「(1)集計処理の基本的な考え方」の最後の○、(2)の前のところですけれども、労働者票が提出されていても、属している事業場票が提出されていない場合や事業場票に人数の記載がない場合は、復元が困難なため、当該労働者票の労働者抽出に係る復元倍率は「1」として集計することとしてはどうかということにさせていただいております。
○西郷座長 今の点につきましては、分量がどの程度あるかということにも依存する話ではあるのですけれども、そういう集計をしてもそれほど大きな影響はないであろうという解釈でよろしいですか。
○労働条件政策課課長補佐 それほど大勢に影響があるほどの数ではないのではないかと考えております。
○西郷座長 あとは、資料1の2ページ目になりますけれども、本人が思っている業務、回答した人が認識している業務と、事業場のほうで認識している業務が必ずしも一致していない場合の処理の仕方について、これも一種の変則処理にはなると思うのですけれども、弱点はあるかもしれませんけれども、これ以外の方法もなかなか思いつかないということもありますので、もしこうしたところで集計の経験等がございます場合には、事務局のほうにアドバイスをいただけると助かりますけれども、いかがでしょうか。
では、村田先生、お願いします。
○村田参考人 アドバイスというほどではないのですけれども、こういったエラーというか、齟齬は必ず発生するもので、今回、この資料を拝見して、こういった場合にどう対応するかというのをとても細かく考えられて記載されていると思いますので、どういうふうに修正するなら修正するとか、補正するといったことを明らかにした上で処理を行うということでよいのではないかと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
それでは、今すぐに御意見がないという場合もあるかと思いますので、後から戻ることもオーケーということにいたしまして、次の資料1の3ページ目になりますけれども、「2.集計処理について」に関しては、別紙1も交えて説明していただいたということですけれども、これもいわゆる審査規則というか、エディティングの規則に関することなので、回答の状況が分かっていない状態で議論するというのがなかなか難しい面はあるのですけれども、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
小島先生、お願いします。
○小島構成員 集計処理の仕方について、一言申し上げます。回答票に、無回答とか、あるいは矛盾するような回答が出た場合の処理の仕方についてご説明いただきました。無回答の場合、3ページの一番上の○に書いてあるように、それについては「不明」というような処理の仕方をしていくということ、また、平均値を取る場合には無回答を除外してという処理の仕方をしていくということした。そうすると、設問によって合計nが違ってくるということなので、その理由を明確に説明した上で、この平均値はどういう数字を使っているのか、どういうエラー処理をしたのかということを書いておくということをすれば、ここに記載されたような方向での処理をしていくというのでいいのではないかと考えます。
先ほど説明があった別紙1の所定労働時間のエラーの処理の仕方などについても、これは1日の所定労働時間が4時間未満あるいは12時間を超えるような場合については、エラーとして処理し、平均するときはそれを除外するといったような集計の仕方をするということでしたが、どういう前提で平均値を出したか、あるいは処理をしたかということを明確にしておくといったことが必要だと思います。そうすることが前提となれば、事務局から説明されたような処理の仕方でいくということでいいのではないかと思います。
そうすると、注意書きが相当膨大になってくると思いますけれども、それも、より正確性を期していくためには必要ではないかと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
エラーの処理まで含めた集計の方法に関しては文書化していただけるという理解でよろしいですよね。
○労働条件政策課課長補佐 はい。それは文書化して、報告書等についてもできるだけ細かく記載したいと考えております。
○西郷座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
それでは、資料1の3ページ目の下のほうになりますけれども、「3.達成精度について」ということで、これに関して別紙2のほうでかなり細かい計算式が提示されております。
これに関しては、樋田先生や元山先生が詳しいということなので、もし御意見等があったら伺いたいと思いますけれども、それも含めて皆さんのほうからコメントなり、御意見なりをいただければと思います。もしあれば何か。
元山先生、この式はチェックしていただいているのですよね。
○元山参考人 はい。
○西郷座長 ありがとうございます。
○元山参考人 非常に大変な計算をされて、すばらしいと思っています。
○西郷座長 樋田先生、何かありますか。
○樋田構成員 一つ目の式は問題がないことを確認しております。
○西郷座長 ありがとうございます。
それでは、今度は4ページ目に参りまして、「4.労働時間の平均値について」ということで、こちらは特に労働経済学的な分析をなさっている方からはいろいろな御意見があるのではないかと思います。(1)から(6)まであるのですが、特に区切りませんので、この4番で御意見がございましたら伺いたいと思います。
区切った方が意見が出しやすいようですので、区切らせていただきます。まず「(1)の平均値の計算方法」、一番基本的な集計をする際の集計方法ということで、A、B、Cと記されておりますけれども、事務局の案ではA及びBを表章するということですけれども、いかがでしょうか。
よろしいですか。
(構成員首肯)
○西郷座長 それでは、資料1の5ページになりますけれども、「(2)休憩時間の取扱い」に関してはいかがでしょうか。
これも回答の状況を見ながらでないと、なかなか議論がしづらいのかなという気もするのですけれども、よろしいですか。
それでは、こちらの4に関しましても(1)(2)に後から戻ってコメントをいただくこともできますので、議事は先に進めさせていただいて、「(3)適用事業場と非適用事業場の労働時間に関する比較」に関してはいかがですか。
では、座長をしていながら私からの質問になりますけれども、これは指数しか出さないということですか。例えばフィッシャー式というと、多分100%指数で出すしかないものになってしまいますけれども、その前のラスパイレス式かパーシェ式だと、例えば適用のほうを非適用に合わせて労働時間を計算するとどうなるかという計算も可能だし、その逆もできるわけですよね。フィッシャー式となると、その両者を幾何平均するような形になってしまうので、指数でしか出さないよということを最初から言う形になるのですが、ここでの労働時間の比較とおっしゃった場合に、どういう形で比較の結果を示すつもりなのですか。
○労働条件政策課課長補佐 ここでフィッシャー式という言い方が適切かどうかはあれですけれども、どっちがラスパイレスか、どっちがパーシェかというのはあるのですけれども、適用事業場のほうの構成比に合わせた平均値を出す。非適用のほうの構成比に合わせたものも、適用、非適用、それぞれについて出します。それぞれについて、適用、非適用についてそれぞれに合わせたものを乗じて、その平方根をとることによって、指数ではなくて、労働時間でつくるといったことを今考えているということでございます。
○西郷座長 分かりました。ありがとうございます。
いかがですか。(3)に関しては注目が結構集まりそうなところなので、どういうふうに計算するのかということに関してはいろいろな意見があるのかなと私は予想していたのですが。
それでは、これも後から戻れるということにいたしまして、6ページ目の(4)の「1週間の実労働時間を階級で回答した労働者票の取扱い」、調査票の何ページになるのか、労働時間に関しては、労働時間を数字で書いてもいいし、階級で答えてもいいという形になっていたのですね。ですので、それを集計するときにどうするのかというのが一つ問題になって、そのことが(4)の部分で問われている内容になります。
○労働条件政策課課長補佐 該当するのは、参考資料3-3の2ページでございます。
○西郷座長 ありがとうございます。
どうぞ、黒田先生。
○黒田構成員 事務局の皆さん、細部にわたって細かく見てくださって本当にありがとうございました。まず御礼申し上げたいと思います。
(4)については、原則マル1でなおかつマル3という案に賛成いたします。
その上で、ちょっとだけ希望ですけれども、今回、裁量労働制で働く方々をここまで大規模に調査するというのは初めての試みで、大変貴重な統計だと思います。私も裁量労働制で働いているので思うのですが、仕事と生活の境界が曖昧になりがちで、きちんと労働時間を答えられない人が多いのではないか、そんな印象があります。
そういう意味では、1時間単位で答えた方と、細かく覚えていない方の回答者の割合が、適用と非適用でどれぐらい違うのか、違わないのか、そのあたりの情報も出していただけると、今後非常に有用だと思います。それが1点お願いしたいことです。
もう一つは、細かく1時間単位で答えた回答者と階級で答えた回答者の分布も出していただけないでしょうか。分布の形状がほとんど一緒なのか、それとも結構違う形をしているのかとか、そのあたりの情報もあると非常にありがたいと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
今、黒田先生の御指摘になった最初の点になると思いますけれども、数字で答えた人と階級の中で答えている人たちの割合を集計量として出すというのは、要するに、どれぐらいの割合の人が数字で答えている、そこにむしろ関心があるのだということだったのですけれども、そういう集計の仕方は、宮内さんに聞いたほうがいいのか、回答そのものを集計するというか、例えば労働時間の場合に、平均労働時間を集計するというような集計の仕方と併せて、この調査票で、時間で回答した人がどれぐらいの割合でいましたというのを集計量として出すというのは特に問題ない、大丈夫ですか。調査票で聞いている事柄そのものではないわけですよね。それでも、集計してあれば特に問題はないのですか。
○総務省政策統括官(統計基準担当)付国際統計企画官 そこは分析して出したという話になりますから、全然問題ないと思います。
○西郷座長 分かりました。ありがとうございます。
どうぞ。
○小島構成員 今の点では、1時間単位で答えた人の平均を出す場合に、何人答えたかというnが当然出ますので、全体でそれ以外の時間帯で答えた人の数もまた出ます。そうするとそこから当然、全体でどのくらいの比率かが出てくると思いますので、それほど問題ではないかと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
私が問題にしたのは、そういう出し方をすること自体が問われるということはないのかということを確認したかったのです。どうもありがとうございます。
どうぞ。
○村田参考人 一つ質問をよろしいですか。ここは、今、平均を出す話ですけれども、この項目からだと、時間の階級別の人数で度数分布表もつくれると思うのですが、それは両方とも出すという理解でよろしいのですか。
○労働条件政策課課長補佐 両方の答えをまとめた形で階級の割合を出すということを考えていたのですけれども、分けたものも必要だということであれば、そういうのも、e-Statとかに載せるのか、ここの場で御報告申し上げるのがいいのかというのはあると思うのですけれども、何らかの形で出すというのはあり得るのかなと考えております。
○西郷座長 もし分布を出していただけるのだったら、それは絶対分布を出していただいたほうが分析するほうからすればずっとありがたいので、ぜひそれは御検討いただければと思います。
ほかにいかがですか。
○元山参考人 今の分布を出して頂くということに関連してですが、これは公表前のデータなのでここであまり詳細なことを申し上げにくいこともあるのですが、分布の状況によっては、階級幅は5時間ですので集計結果に大きく変化はないと思うのですが、階級に該当するものの平均値ではなくて、最頻値のようなもののほうが適切かもしれないと思います。正確に時間単位で書いてあるもの、「時間(くらい)」と書いてありますが、時間単位で答えている人は、一つには勤務形態に大きなぶれがない人、ないしはもちろん記憶力が非常にいい人ということはあるとは思うのですが、一方で思い込みが激しくて丸めた数字を答えている可能性もあると思うので、分布に関してはちょっと見てみたいかなという気がしています。
○西郷座長 その回答の状況を見て、慎重に表章の仕方を考えたほうがいいのでないかということですね。ありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、同じページの「(5)働き方の多様性を考慮した平均値の考え方について」で、こちらも多分いろいろな考え方があると思います。特に裁量労働制の場合に、休みの日数をたくさん確保したいということから大学の先生なんかがよくやるのですけれども、働く日数を、授業の日を月曜日とか火曜日にまとめて、あとは研究をするという人もいるわけですね。そういう働き方を認めるのがむしろ裁量労働制だと思うので、そういうような働き方をあえて選択した方がおられたときに、どういうふうに平均値を表章するのがいいだろうか、多分そういう問題だと思うのですけれども。
事務局としては、(5)の2番目の○のところに書かれているような形で表章すれば、いろいろな平均の使われ方の目的に適した表章の仕方になるのではないかということですけれども、もし、このやり方に問題があるということであれば、この場でおっしゃっていただいて、あるいはもうちょっとこういうやり方もあるのだというサジェスチョンがあれば、よりありがたいという形になりますけれども、いかがですか。どうぞ。
○黒田構成員 (5)の2つ目の○に関しては私も賛成で、1日当たりにしてしまうと、オンとオフがはっきりしていない人は土日も祝祭日も働く代わりに平日1日当たりが少なくなるということにもなりかねないので、1か月もぜひ算出していただきたいと思います。
その上で質問なのですけれども、労働日数の平均値の算出もできますでしょうか。
○労働条件政策課課長補佐 労働日数につきましても、事業場票であれば1か月当たりの1人平均の労働日数、労働者票であれば1週間の平均の労働日数というのは算出可能でございます。
○西郷座長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
それでは、同じページの(6)になりますけれども、これは今まで議論していただいたことのまとめのような感じのものですけれども、特にこういう形の表章を検討してほしいという御意見がありましたら伺いたいと思います。
よろしいですか。
(構成員首肯)
○西郷座長 それでは、また後でまとめて御意見を伺える時間も設けますので、議事のほうは先に進めさせていただいて、今度は7ページの「5.自由記述について」に関してはいかがでしょうか。
○村田参考人 この自由記述なのですけれども、基本的にはその他を具体的に記述するという欄のところだと理解していますけれども、このあたりをどう分類するかというのは、専門家の知見で決めていく必要があることかなと思います。
割とよくあるのは、本来はほかの選択肢に当てはまるのにその他欄に記述しているというのも多いので、その場合は「その他」の欄からほかのもともとあった選択肢に移し替えるといった操作が必要で、「その他」の場合は、専門家の意見で分類をつくって集計するという形、公表するという形でいいのではないかと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○小島構成員 この自由記述の処理の仕方は、ここに記載してあるような方向でいいのではないかと思います。なお、最後のところに、カテゴリー分けをするということが記載されていますが、このカテゴリーはどこで、どうつくるのですか。
○西郷座長 どうぞ。
○労働条件政策課課長補佐 そこはまだ詳細を御相談かなと思っていますけれども、例えば事務局でつくってこの検討会で一回見ていただくというのもありますし、先ほどおっしゃっていただいたように、専門家のどなたか、やっていただけそうな方に御相談するというのも一つかなと思っておりまして、その辺は詳細についてはまた御相談させていただければと考えております。
○西郷座長 カテゴリーをつくるというのも、一種の判断というか、主観が入るような部分になるのでちょっと難しいのですけれども、一方で最近はテキストマイニング、フリーのソフトでそういう自由回答を処理するようなものもあるようですので、そうしたものを参考にしながら考える。あるいは、二次分析でそういうテキストマイニングや何かが得意なところに分析を依頼するというのも一つのやり方かなと思っております。
それでは、自由記述に関しては、これこそ中身を見てみないと何が出てくるかというのが分からないので、また出てきた状況に応じて御意見をいただきたいと思います。
それでは、同じページの「6.二次分析について」に関してはいかがでしょうか。特に労働経済学等で二次分析に詳しい方々に御意見をいただければと思います。
○川口構成員 今日の議論の中でも何度か話題になった欠損値の取扱いですけれども、二次分析用に調査票を御提供いただくときに、たまに欠損値がゼロとかで上書きされているようなケースがあるのですけれども、そういうことがないように、欠損値は欠損値として分かるような形でマイクロデータが提供されるのが望ましいと思います。
それで、小倉先生のコメントに関係するのですけれども、回収率、これは小倉先生がおっしゃっているのは、どちらかというと全部回収できなかった、調査票そのものが全く返ってこなかったケースというのを想定されているのかなと思います。一般的に政府から貸していただくマイクロデータは回収できたところのものが入っていて、欠損値が入っているという形になっていると思うのですけれども、そもそも回収できなかったところはわかりません。そのため、見てみないと分からないですけれども、事業所の規模とか、あるいは企業規模とか、業種なんかが偏っている可能性は十分にあると思うのですね。
どの層の回収率が低かったかというところまで知ろうと思うと、もとの名簿になった、もちろん個社の情報はなくてもいいわけですけれども、ターゲットになった事業所の属性が分かるようなざっくりとした名簿情報があって、それと実際に回収ができた事業所の属性が対照できるような形のデータセットを提供していただかないと、小倉先生の疑問には恐らく十分に答えることはできないのではないかという懸念を持っているのですね。
ターゲットになったところの情報を提供するというのは、あまり例がないことだと思うのですけれども、そういったところも御検討いただければいいのかなと思うのです。
○西郷座長 大きく分けると無回答の種類に2つあると言われていて、1つが今、川口先生がおっしゃった調査票の一部が欠測しているという一部項目無回答というものと、もう一つは、調査票そのものが何らかの理由で返ってこなかったというUnit non-response、全部項目無回答と訳しているようですけれども、2つある。
通常、公的統計の個票というのは、一部項目無回答のほうは分析者のほうに渡されるのだけれども、Unit non-response、全部項目無回答がどういうふうに起きていたかということについては全然分からない状態で分析せざるを得ない。
本来は、そこまで含めて無回答への対応というのがあってしかるべきなので、もし可能であれば、Unit non-responseに関しても情報が分かるような形で、名簿なり、二次分析用なりのデータを用意してほしいというのが多分川口先生がおっしゃっていることかなと思いますが、それは可能ですか。
○労働条件政策課課長補佐 難しいのが、返ってきていないものは、例えば本調査の調査票情報とまではちょっと言えないというのがありまして、それは例えば非適用事業場であればプレ調査で事業所母集団データベースから抽出して名簿をつくっているわけですけれども、それはこの調査の結果というよりも、事業所母集団データベースの内容を渡しているとも解することができる可能性があるので、そこがどこまでできるかというのは、もしかしたらいろいろな制限があるかもしれません。
ただ、非適用得事業場の本体調査の場合はプレ調査をやっておりますので、プレ調査の結果は本調査の結果ですので、プレ調査がこれだけ返ってきて、その中から、送ったけれども返ってこなかったのは本調査の中で完結していますので、それは可能かなとは考えます。
○西郷座長 プレ調査は調査の一環としてやったということなので、それも調査票情報であるという整理はできるということですね。
○労働条件政策課課長補佐 そうですね。あともう一個、適用事業場については、基本的には厚生労働省で名簿を整備したという扱いにはなるのですけれども、そこをどこまで調査として返ってきていないものまで含めて出せるかというのは、ちょっと要相談なのかなと考えております。
○西郷座長 ありがとうございます。
川口先生、今のような御回答でよろしいですか。
○川口構成員 どうもありがとうございます。できることとできないことがあると思うので、できる範囲でよろしくお願いします。
○西郷座長 どうでしょうか。二次分析について。
どうぞ、小島先生。
○小島構成員 二次分析のほうについては、この検討会でも二次分析をした結果について検証すべきだと思います。これまでの議論の中で、統計的な処理だけでは実態が把握できないので、回帰分析等も行った上で実態を把握するところまで、この検討会でやったらどうかという意見が、川口先生、黒田先生からも出されておりました。そこまでぜひこの検討会でやってもらえばと思っています。
その際、どなたにやってもらうかということですけれども、それについてはこの調査票の制度設計に関わった先生方にもぜひ御協力いただいて二次分析をやっていただければと思います。川口先生、黒田先生に、その辺はお願いできればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○西郷座長 では、お名前が挙がったということで、お二人から何かおっしゃっていただけますか。
○川口構成員 非常に僣越ではあるのですけれども、東京大学のほうに政策評価研究教育センターというのがございまして、私、そこのセンター長を務めさせていただいているのですけれども、そちらのほうでお引き受けさせていただいて、適宜、他大学の先生方にも御参加いただくような形で分析を進めさせていただくというのは一つの案かなと思っております。
○西郷座長 ありがとうございます。
黒田先生、何かございますか。
○黒田構成員 東大のセンターのほうでまずは分析していただけるということであれば、非常にありがたく思います。その過程で何らかの協力をさせていただくことがありましたら、ぜひ協力させていただきたいと思います。
一旦終わった話にもう一度戻ることになってしまい恐縮ですけれども、先ほど川口先生がおっしゃった未回収企業の属性の偏りについては、二次分析を行う上で大変重要な点ですので、念のためにもう少し補足させてください。「サンプルセレクションバイアス」という言葉を経済学ではよく使うのですけれども、要するに答えてくれた企業や労働者に偏りがあって、例えばホワイトのところしか答えていないということになると、得られる結果にバイアスが生じてしまうという問題があります。回収できなかった企業がどういう企業なのかといったことを把握するうえで、最低限でかまわないので企業属性を御提供いただけると、非常に分析の幅が広がると思います。ぜひ検討していただけましたら幸いです。
○西郷座長 ありがとうございます。
お二人の先生から渡りに船みたいな感じの御回答をいただいて、ぜひ川口先生のほうの東京大学のセンターに分析を引き受けていただけるということであれば、ぜひお願いしたいと思います。
その後の話は、事務局のほうにお任せしてよろしいですね。
○労働条件政策課課長補佐 はい。今日の御議論を踏まえまして、検討、調整させていただければと思っております。
○西郷座長 ありがとうございます。
二次分析に関しまして、ほかに御意見等はございますか。
それでは、資料1を一通り議論していただいたわけですけれども、全体を通して何か御意見はございますか。どうぞ。
○村田参考人 全体を通してというか、まだ気が早い話だと思うのですけれども、ここまで丁寧にエラーの処理の方法とか平均値の出し方も複数の方法を出して比較するといったこととか、二次分析も行うということですけれども、結果として物すごく膨大になると思うので、ユーザーとしてどこから手をつけていいのかということにもなりかねないのかなと思っています。
それで、公表する際にはそのあたりをうまく解説するような形で公表資料をつくっていただけたらと思います。
例えば、先ほどの回収の問題も、報告書のほうには恐らく回収率を掲載すると思うのですけれども、できればそのあたりも、例えば産業別とか、規模別とか、少し細かい形で出していただければ、二次分析以外のユーザーにとってもそのあたりが手がかりになるかなと思いますし、平均値だけでは分布がうまくあらわせないという感触を持っていますので、そのあたりは代わりに中央値を使うとか、またはもうヒストグラムのような形で出すといった形でも、ユーザーにとって理解しやすいような公表の仕方をしていただければと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
ないようでしたら、御案内していた終了時刻よりはずっと早い形になってしまうのですけれども、今日の議題はこれにてということで、事務局のほうから今後の日程等について御連絡をお願いいたします。
○労働条件政策課課長補佐 今後の日程等につきましては、調整の上、追って御連絡差し上げたいと思います。
○西郷座長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして第6回「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を終了いたします。
本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。